(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】太陽光発電インバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240909BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2023120494
(22)【出願日】2023-07-25
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】202210963275.X
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310161818.0
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】呉 軍緯
(72)【発明者】
【氏名】林 鴻銓
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-076705(JP,A)
【文献】特開2020-036511(JP,A)
【文献】特開2018-117514(JP,A)
【文献】特開2018-023268(JP,A)
【文献】特表2017-529818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられる少なくとも1つの回路基板と、
前記少なくとも1つの回路基板に設けられる電流センサと、
前記少なくとも1つの回路基板に設けられるアーク放電検出コイルと、
前記少なくとも1つの回路基板に設けられるセルフテストコイルと、
前記ハウジングに設けられ、且つ前記少なくとも1つの回路基板に接続される少なくとも1つの直流電力入力端子と、
を含み、
前記セルフテストコイルは、前記アーク放電検出コイルに感知されるためのテスト信号を送信するように配置され、前記直流電力入力端子は、前記アーク放電検出コイルに電流を供給するように配置され、前記電流センサは、前記直流電力入力端子を流れる前記電流の大きさを検出するように配置される太陽光発電インバータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回路基板は、第1回路基板を含み、前記電流センサ、前記セルフテストコイル、及び前記アーク放電検出コイルは、前記第1回路基板に設けられる請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項3】
前記直流電力入力端子に接続されるケーブルを更に含み、前記第1回路基板は、開口を有し、前記ケーブルは、前記開口を貫通し、前記アーク放電検出コイルは、前記開口を取り囲むように設けられ、前記セルフテストコイルは、前記アーク放電検出コイルの一部を巻回するように設けられる請求項2に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項4】
接続端子を更に含み、前記第1回路基板は、前記直流電力入力端子に固定され、前記接続端子は、前記第1回路基板に設けられ、且つ前記第1回路基板の内部線路を介して前記直流電力入力端子に電気的に接続され、前記アーク放電検出コイルは、前記直流電力入力端子及び前記接続端子を取り囲むように設けられる請求項2に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの直流電力入力端子は、複数であり、前記第1回路基板は、前記直流電力入力端子から電流を受け、且つ少なくとも1つの出力端子を介して電流を出力するように配置され、前記少なくとも1つの出力端子の数は、前記直流電力入力端子の数よりも小さい請求項2に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項6】
前記第1回路基板に設けられる電磁干渉抑制コンデンサを更に含む請求項2に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの回路基板は、第1回路基板及び第2回路基板を含み、前記電流センサは、前記第1回路基板に設けられ、前記アーク放電検出コイル及び前記セルフテストコイルは、前記第2回路基板に設けられ、前記セルフテストコイルは、前記アーク放電検出コイルの一部に設けられる請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項8】
前記直流電力入力端子に電気的に接続され、且つ前記第1回路基板を貫通するケーブルを更に含み、前記第2回路基板は、前記ケーブルに外嵌される請求項7に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項9】
接続端子及びケーブルを更に含み、前記第1回路基板は、前記直流電力入力端子に固定され、前記接続端子は、前記第1回路基板に設けられ、且つ前記第1回路基板の内部線路を介して前記直流電力入力端子に電気的に接続され、前記ケーブルは、前記接続端子に電気的に接続され、前記第2回路基板は、前記ケーブルに外嵌される請求項7に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項10】
前記直流電力入力端子と前記第1回路基板との間に電気的に接続され、且つ前記第2回路基板を貫通するケーブルと、
前記第1回路基板と前記第2回路基板を電気的に接続し、且つ前記第2回路基板の内部線路を介して前記アーク放電検出コイルに電気的に接続される電気コネクタと、
を更に含む請求項7に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項11】
前記第1回路基板は、前記直流電力入力端子に固定され、前記第2回路基板は、前記第1回路基板と前記ハウジングの壁面との間に位置し、且つ前記直流電力入力端子に外嵌され、前記太陽光発電インバータは、前記第1回路基板と前記第2回路基板を電気的に接続し、且つ前記第2回路基板の内部線路を介して前記アーク放電検出コイルに電気的に接続される電気コネクタを更に含む請求項7に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項12】
前記直流電力入力端子は、太陽光パネルに電気的に接続されるように配置され、前記太陽光発電インバータは、前記アーク放電検出コイルから信号を受信し、且つ前記信号に基づいて前記太陽光発電インバータと前記太陽光パネルとの間の線路にアーク放電故障が発生したかを判定するように配置されるアーク放電検出ユニットを更に含み、前記太陽光発電インバータは、アーク放電故障が発生すると、前記太陽光パネルからのエネルギーの受け取りを停止するように配置される請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項13】
前記アーク放電検出コイルと前記セルフテストコイルが前記少なくとも1つの回路基板に形成される環状とは、同じ軸心である請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項14】
前記アーク放電検出コイルは、環状であり、前記セルフテストコイルは、前記環状の一部のセグメントに設けられる請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光発電インバータに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムでは、太陽光パネルは、屋外に設けられ、またケーブルによってインバータや電池等の素子に電気的に接続される。屋外環境の影響で、ケーブルは、破損しやすく、ケーブルが破損した場合、アーク放電が発生する可能性があり、非常に危険である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本開示は、アーク放電検出メカニズムを備える太陽光発電インバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本開示の幾つかの実施例によれば、ハウジングと、ハウジング内に設けられる少なくとも1つの回路基板と、回路基板に設けられる電流センサと、回路基板に設けられるアーク放電検出コイルと、回路基板に設けられるセルフテストコイルと、ハウジングに設けられ、且つ回路基板に電気的に接続される少なくとも1つの直流電力入力端子と、を含み、セルフテストコイルは、前記アーク放電検出コイルに感知されるためのテスト信号を送信するように配置され、直流電力入力端子は、アーク放電検出コイルに電流を供給するように配置され、電流センサは、直流電力入力端子を流れる電流の大きさを検出するように配置される太陽光発電インバータである。
【発明の効果】
【0005】
前述のように、環状骨格(core)に巻き付けられたアーク放電検出コイルを使用する従来の太陽光発電インバータと異なり、本開示の太陽光発電インバータでは、アーク放電検出コイル及びセルフテストコイルが回路基板に統合され、これは、コストやスペースの節約に寄与し、且つ太陽光ストリング(string)ごとにアーク放電検出及びセルフテストをより簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
下記の添付図面についての説明は、本開示の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより分かりやすくするためのものである。
【
図1】本開示の一実施例による太陽光発電システムを示す概略図である。
【
図2】
図1に示す太陽光発電システムの太陽光発電インバータを示す内部構造図である。
【
図3】本開示の別の実施例による太陽光発電インバータを示す部分拡大断面図である。
【
図4】本開示の別の実施例による太陽光発電インバータを示す部分拡大断面図である。
【
図5】
図4に示す太陽光発電システムの太陽光発電インバータを示す正面図である。
【
図6】本開示の別の実施例による太陽光発電インバータを示す部分拡大断面図である。
【
図7】
図6に示す太陽光発電インバータの第2回路基板を示す正面図である。
【
図8】本開示の別の実施例による太陽光発電インバータを示す部分拡大断面図である。
【
図9】本開示の別の実施例による太陽光発電インバータを示す部分拡大断面図である。
【
図10】本開示の別の実施例による太陽光発電インバータを示す部分拡大断面図である。
【
図11】本開示の一実施例による回路基板を示す部分拡大断面図である。
【
図12】本開示の別の実施例による回路基板を示す部分拡大断面図である。
【
図13】本開示の更なる実施例による回路基板を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示をより詳細且つ完全に説明するために、添付図面及び以下の様々な実施例を参照してよい。図面における各素子は、縮尺通りに描かれておらず、本開示を説明するためのものに過ぎない。以下、本開示を全体的に理解するために、多くの実務上の細部を説明するが、当業者は、1つ又は複数の実務上の細部がない場合に本開示を実施することができることを理解すべきである。よって、これらの細部は、本開示を限定するために用いられるべきではない。
【0008】
図1を参照されたい。太陽光発電システム10は、複数の太陽光パネル11及び太陽光発電インバータ12を含み、太陽光発電インバータ12は、太陽光パネル11に電気的に接続され、且つ太陽光パネル11で発生した直流電力を交流電力に変換して、交流電力を電力網又は電気設備に出力するように配置される。太陽光発電インバータ12は、太陽光発電インバータ12と太陽光パネル11との間の線路にアーク放電故障(arc fault)が発生したかを判定するように配置されるアーク放電検出ユニット13を含む。太陽光発電インバータ12は、直流スイッチ14を更に含む。アーク放電検出ユニット13は、太陽光発電インバータ12と太陽光パネル11との間の線路にアーク放電故障が発生したと判定すると、直流スイッチ14は、太陽光パネル11が太陽光発電インバータ12に供給する直流電力を遮断するように配置される。太陽光発電インバータ12は、検出回路コントローラ15を更に含む。検出回路コントローラ15は、アーク放電検出ユニット13が正常に機能するかを検出するように、セルフテストコイル(例えば、
図2のセルフテストコイル38)によってホワイトノイズ又は高周波信号を導入するように配置される。
【0009】
更に、太陽光発電インバータ12は、アーク放電検出ユニット13で太陽光発電インバータ12と太陽光パネル11との間の線路にアーク放電故障が発生したと判定すると、太陽光パネル11からのエネルギーの受け取りを停止することができる(例えば、太陽光発電インバータ12をオフにして動作を停止するか、又は直流スイッチ14によって太陽光パネル11の太陽光発電インバータ12への給電を遮断することができる)。太陽光パネル11は、太陽光に照射されると発電する受動素子であり、異常を検出するとオフになる電源供給器や電池等の他の直流電源と異なる。よって、本開示の太陽光発電システム10では、アーク放電検出機能が太陽光発電インバータ12に統合され、太陽光発電インバータ12でアーク放電故障を検出し、且つ太陽光発電システム10を保護するように、アーク放電故障が発生すると電源をオフにする(太陽光パネル11からの電流の取り出しを停止する)。
【0010】
図2に示すように、太陽光発電インバータ12は、ハウジング20及び1つ又は複数の直流電力入力端子25を含む。直流電力入力端子25は、太陽光パネル11から電流を受けるように、ハウジング20の壁面に設けられ、且つ太陽光パネル11(
図2では図示せず、
図1を参照する)に電気的に接続される。幾つかの実施例において、各直流電力入力端子25は、1つの太陽光ストリング(string)に電気的に接続され、各ストリングは、1つ又は複数の太陽光パネル11を含んでよい。
【0011】
図2に示すように、太陽光発電インバータ12は、回路基板30を更に含み、回路基板30は、直流電力入力端子25に対向してハウジング20内に設けられ、且つ直流電力入力端子25に電気的に接続される。本実施例において、直流電力入力端子25は、ケーブル60を介して回路基板30に電気的に接続される。具体的には、回路基板30は、開口31を有し、ケーブル60の一端は、直流電力入力端子25に電気的に接続され、且つ開口31を介して延伸して回路基板30を貫通する。幾つかの実施例において、ケーブル60は、回路基板30を貫通して回路基板30の接続インタフェース(例えば、接続端子37)に電気的に接続される。
【0012】
図2に示すように、太陽光発電インバータ12は、回路基板30に設けられる電流センサ33(例示のみ、具体的な構造を図示せず)を更に含み、電流センサ33は、直流電力入力端子25を流れる電流の大きさを検出するように配置される。つまり、回路基板30は、直流電力入力端子25の入力電流を検出する機能を備える。
【0013】
図2に示すように、太陽光発電インバータ12は、アーク放電検出コイル35を更に含み、アーク放電検出コイル35は、回路基板30に設けられ、且つ回路基板30の開口31を取り囲むように設けられる。これにより、直流電力入力端子25は、ケーブル60を介してアーク放電検出コイル35を流れる/貫通する電流を流すことができる。幾つかの実施例において、アーク放電検出コイル35は、回路基板30の表面に設けられてよい。他の実施例において、アーク放電検出コイル35は、回路基板30内に埋設されてもよい。太陽光発電インバータ12は、セルフテストコイル38を更に含み、セルフテストコイル38も回路基板30に設けられ、且つアーク放電検出コイル35の一部のセグメントに設けられる。セルフテストコイル38は、ホワイトノイズ又は高周波信号を導入し、それによりアーク放電検出コイル35が前記ホワイトノイズ又は高周波信号を検出できるかをテストする。
【0014】
アーク放電検出コイル35は、例えばRogowskiコイルである。アーク放電検出コイル35は、信号線を介してアーク放電検出ユニット13(
図1を参照)に電気的に接続されてよい。アーク放電検出ユニット13は、回路基板30に設けられてもよく、他の回路基板に設けられてもよい。アーク放電検出ユニット13は、アーク放電検出コイル35から信号(例えば、電圧信号)を受信し、且つ直流電力入力端子25に対応するストリングにアーク放電故障が発生したかを判定するように、受信した信号に信号処理及びスペクトル分析を行うように配置される。アーク放電検出ユニット13は、フィルタ、増幅器、デジタル信号処理装置又は他の電子素子を含んでよく、それによりフィルタリング、増幅、及びフーリエ分析等の動作を実行してスペクトル分析を行って、アーク放電故障が発生したかを判定する。
【0015】
太陽光発電インバータの設計について、従来のやり方では、環状骨格(core)に巻き付けられたアーク放電検出コイルでアーク放電検出を行うが、セルフテストコイル38は、環状骨格の一部のセグメントに巻き付けられる。しかしながら、このような形式のアーク放電検出コイルの体積が大きく、セルフテストコイル38の配線も非常に乱雑で、且つコストが高い。本開示の太陽光発電インバータ12では、アーク放電検出コイル35及びセルフテストコイル38は共に回路基板30に統合され、このやり方は、アーク放電検出コイル及びセルフテストコイルの組立スペースを省くことができ、環状骨格形式のアーク放電検出コイルに比べてコストも低く、回路基板30の直流電力入力端子25にアーク放電検出コイル35を配置するだけで、対応するストリングに対して個別にアーク放電検出を行うことができる。
【0016】
更に、
図2に示す実施例では、アーク放電検出コイル35及びセルフテストコイル38を、直流電力入力端子25と組み合わせるために用いられ、且つ電流検出機能を備える元の回路基板30に統合することにより、太陽光発電インバータ12の構造をよりコンパクトにする。
【0017】
説明すべきなのは、
図2では、ケーブル60を介して回路基板30に電気的に接続されるそのうちの1つの直流電力入力端子25、及びそのうちの1つの直流電力入力端子25に対応するアーク放電検出コイル35及びセルフテストコイル38のみを代表的に示すことである。実際の製品では、太陽光発電インバータ12の各直流電力入力端子25はそれぞれ一本のケーブル60に電気的に接続されてよく、且つ回路基板30に複数のアーク放電検出コイル35が設けられてよく、各アーク放電検出コイル35は、そのうちの1つの直流電力入力端子25を貫通し(即ち、そのうちの一本のケーブル60を取り囲む)、且つアーク放電検出コイル35の一部のセグメントを取り囲むセルフテストコイル38を有する。
【0018】
幾つかの実施例において、回路基板30は、バス回路基板である。具体的には、回路基板30は、複数の直流電力入力端子25から電流を受け、且つ回路基板30に設けられる少なくとも1つの出力端子(例えば、接続端子37)によって電流を出力するように配置され、出力端子の数は、直流電力入力端子25の数よりも小さい。よって、これらの実施例において、アーク放電検出コイル35及びセルフテストコイル38を元のバス回路基板に統合することにより、太陽光発電インバータ12の構造をよりコンパクトにする。
【0019】
幾つかの実施例において、太陽光発電インバータ12は、回路基板30に設けられる電磁干渉抑制コンデンサ39を更に含む。よって、これらの実施例において、アーク放電検出コイル35を、直流電力入力端子25と組み合わせるために用いられ、且つ電磁干渉抑制機能を備える元の回路基板30に統合することにより、太陽光発電インバータ12の構造をよりコンパクトにする。
【0020】
図3を参照されたい。前述した実施例とは異なり、本実施例において、2つ以上の直流電力入力端子25は、1つのアーク放電検出コイル35を共有する。具体的には、回路基板30は、複数の開口31を有し、各開口31は、一本のケーブル60が通過するために用いられ、各ケーブル60は、異なる直流電力入力端子25に電気的に接続される。アーク放電検出コイル35は、複数の開口31を取り囲むように設けられ、それにより複数の直流電力入力端子25は、複数のケーブル60を介してアーク放電検出コイル35に電流を供給する。アーク放電検出コイル35は、信号線を介してアーク放電検出ユニットに電気的に接続されてよく、アーク放電検出ユニットは、アーク放電検出コイル35から信号を受信し、且つ受信した信号に信号処理及びスペクトル分析を行うことにより、そのうちの1つの直流電力入力端子25に対応するストリングにアーク放電故障が発生したかを判定するように配置される。アーク放電検出コイル35の一部のセグメントも、アーク放電検出コイル35及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供するように、取り囲むように設けられるセルフテストコイル38を有する。
【0021】
図4及び
図5を参照されたい。前述した実施例においてケーブル60で直流電力入力端子25を接続する方法とは異なり、本実施例において、回路基板30は直流電力入力端子25に固定される。幾つかの実施例において、直流電力入力端子25は、回路基板30の開口31に挿入され、且つ直流電力入力端子25の末端に締結部材90(例えば、ネジ)がロックされ、それにより回路基板30を直流電力入力端子25にロックして固定する。
【0022】
図4及び
図5に示すように、太陽光発電インバータ12は、接続端子37を更に含み、接続端子37は、回路基板30に設けられ、且つ回路基板30の内部線路32(破線で示す)を介して直流電力入力端子25に電気的に電気的に接続される。これにより、電流は、直流電力入力端子25、回路基板30の内部線路32、及び接続端子37を順次流れる。接続端子37は、電流を太陽光発電インバータ12の他の素子(例えば、直流スイッチ(DC switch))に伝達するように、外部のケーブル65に電気的に接続されてよい。アーク放電検出コイル35は、直流電力入力端子25からの電流がアーク放電検出コイル35を流れるするように、直流電力入力端子25及び接続端子37を取り囲むように設けられる。アーク放電検出コイル35及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供するように、アーク放電検出コイル35の一部のセグメントにもセルフテストコイル38が設けられる。幾つかの実施例において、回路基板に形成されたアーク放電検出コイル35は、閉じた環状である。セルフテストコイル38は、閉じた環状の一部のセグメントに設けられる。幾つかの実施例において、アーク放電検出コイル35の閉じた環状は、閉じた矩形、閉じた円形、閉じた楕円形、閉じた方形又は閉じた三角形等であってよい。幾つかの他の実施例において、アーク放電検出コイル35は、閉じていない環状、閉じていない矩形、閉じていない円形、閉じていない楕円形、閉じていない方形又は閉じていない三角形等であってよい。
【0023】
図6及び
図7を参照されたい。本実施例と
図2に示す実施例とは、アーク放電検出コイルと電流センサが異なる回路基板に設けられる点で相違する。具体的には、本実施例において、電流センサは、回路基板30に設けられ(
図2を参照)、太陽光発電インバータは、回路基板50を更に含み、アーク放電検出コイル56及びそのセルフテストコイル58は、回路基板50に設けられる。回路基板50は、開口53を有し、アーク放電検出コイル56は、開口53を取り囲むように設けられる。回路基板50は、直流電力入力端子25に電気的に接続されたケーブル60に外嵌され、つまり、アーク放電検出コイル56がケーブル60を取り囲むように、ケーブル60は、回路基板50の開口53を貫通する。これにより、直流電力入力端子25からの電流は、ケーブル60を介してアーク放電検出コイル56を流れることができる。アーク放電検出コイル56及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供するように、アーク放電検出コイル56の一部のセグメントにセルフテストコイル58が設けられる。
【0024】
図7及び
図8を参照されたい。本実施例と
図4に示す実施例とは、アーク放電検出コイルと電流センサが異なる回路基板に設けられる点で相違する。具体的には、本実施例において、電流センサは、回路基板30に設けられ(
図2を参照)、太陽光発電インバータは、回路基板50を更に含み、アーク放電検出コイル56は、回路基板50に設けられる。回路基板50は、開口53を有し、アーク放電検出コイル56は、開口53を取り囲むように設けられる。回路基板50は、回路基板30の接続端子37に電気的に接続されたケーブル65に外嵌され、つまり、アーク放電検出コイル56がケーブル65を取り囲むように、ケーブル65は、回路基板50の開口53を貫通する。これにより、直流電力入力端子25からの電流は、ケーブル65を介してアーク放電検出コイル56を流れることができる。
【0025】
図9を参照されたい。本実施例において、電流センサ(
図2を参照)及びアーク放電検出コイル56と、セルフテストコイル58とはそれぞれ、回路基板30、50に設けられ、且つ回路基板50は、回路基板30と直流電力入力端子25との間に位置する。直流電力入力端子25は、ケーブル60を介して回路基板30に電気的に接続され、具体的には、ケーブル60は、一端が直流電力入力端子25に固定的に接続され、延伸して回路基板50の開口53を貫通するが、他端が回路基板30に固定的に接続される。太陽光発電インバータは、電気コネクタ70を更に含み、電気コネクタ70は、回路基板30、50に電気的に接続され、且つ回路基板50の内部線路57を介して開口53の周囲に設けられたアーク放電検出コイル56に電気的に接続される。電気コネクタ70は、複数のピンを含んでよく、アーク放電検出コイル56に生成された感知信号は、回路基板50の内部線路57及び電気コネクタ70によって回路基板30に伝達することができる。
【0026】
幾つかの実施例において、アーク放電検出ユニット(図示せず)は、回路基板30に設けられ、アーク放電検出コイル56に生成された感知信号は、電気コネクタ70によって回路基板30のアーク放電検出ユニットに伝達して分析される。他の実施例において、アーク放電検出ユニットは、他の回路基板に設けられてもよく、アーク放電検出コイル56に生成された感知信号は、電気コネクタ70によって回路基板30に伝達したら、他の回路によって他の回路基板に設けられたアーク放電検出ユニットに伝達して分析される。幾つかの実施例において、検出回路コントローラ(図示せず)は、回路基板30に設けられ、検出回路コントローラ15は、アーク放電電磁誘導コイル56及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供するように、電気コネクタ70及び回路基板50の内部線路59によってホワイトノイズ又は高周波信号をセルフテストコイル58を介して導入する。
【0027】
図10を参照されたい。
図9に示す実施例とは異なり、本実施例において、回路基板30は、直流電力入力端子25に固定され(例えば、ネジ等の締結部材90で固定される)、回路基板50は、回路基板30とハウジング20の直流電力入力端子25が設けられる壁面との間に位置し、且つ直流電力入力端子25に外嵌される(つまり、直流電力入力端子25は、延伸して回路基板50の開口53を貫通する)。回路基板30、50は、電気コネクタ70によって互いに電気的に接続され、且つ電気コネクタ70は、回路基板50の内部線路57を介して開口53の周囲に設けられたアーク放電検出コイル56に電気的に接続される。アーク放電検出コイル56及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供するように、アーク放電検出コイル56の一部のセグメントにセルフテストコイル58が設けられる。
【0028】
図11を参照されたい。それは本開示の一実施例による回路基板30/50を示す部分拡大断面図である。この図に6層(L1~L6)の銅箔回路基板30/50の断面図を示し、この部分は、前述したアーク放電検出コイル35/56及びセルフテストコイル38/58を含む。本実施例において、アーク放電検出コイル35/56は、環状を形成するように、層L2から層L5までの間に形成され、セルフテストコイル38/58は、環状を形成するように、層L1から層L6までの間に形成され、且つアーク放電検出コイルの一部のセグメントを取り囲む。本実施例において、アーク放電検出コイル35/56の環状及びセルフテストコイル38/58の環状は、同じ軸心である(例えば、空気軸ACを軸心とする)。セルフテストコイル38/58は、ホワイトノイズ又は高周波信号を空気軸ACに導入するように配置され、それによりアーク放電検出コイル35/56が空気軸ACにおける前記ホワイトノイズ又は高周波信号を検出できるかをテストし、アーク放電検出コイル及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供する。
【0029】
図12を参照されたい。それは、本開示の別の実施例による回路基板30/50を示す部分拡大断面図である。
図11に示す実施例とは異なり、本実施例において、アーク放電検出コイル35/56は、環状を形成するように、層L2から層L5までの間に形成され、セルフテストコイル38/58は、環状を形成するように、層L3から層L4までの間に形成され、且つアーク放電検出コイルの一部のセグメントの内輪に位置する。本実施例において、アーク放電検出コイル35/56の環状及びセルフテストコイル38/58の環状は、同じ軸心である(例えば、空気軸ACを軸心とする)。セルフテストコイル38/58は、ホワイトノイズ又は高周波信号を空気軸ACに導入するように配置され、それによりアーク放電検出コイル35/56が空気軸ACにおける前記ホワイトノイズ又は高周波信号を検出できるかをテストし、アーク放電検出コイル及びアーク放電検出ユニットのセルフテスト機能を提供する。
【0030】
図13を参照されたい。それは本開示の更なる実施例による回路基板30/50を示す部分拡大断面図である。
図11、
図12に示す実施例とは異なり、本実施例において、回路基板30/50は、4層(L1~L4)のみの銅箔の回路基板である。アーク放電検出コイル35/56は、環状を形成するように、層L2から層L3までの間に形成され、セルフテストコイル38/58は、環状を形成するように、層L1から層L4までの間に形成され、且つアーク放電検出コイルの一部のセグメントを取り囲む。他の実施例において、
図12の実施例と同様に、アーク放電検出コイル35/56は、環状を形成するように、層L1から層L4までの間に形成され、セルフテストコイル38/58は、環状を形成し且つアーク放電検出コイルの一部のセグメントの内輪に位置するように、層L2から層L3までの間に形成される。
【0031】
以上より、環状骨格(core)に巻き付けられたアーク放電検出コイルを使用する従来の太陽光発電インバータとは異なり、本開示の太陽光発電インバータでは、アーク放電検出コイル及びセルフテストコイルが回路基板に統合され、これは、コストやスペースの節約に寄与し、且つ太陽光ストリング(string)ごとにアーク放電検出及びセルフテストをより簡単に行うことができる。
【0032】
本開示は実施例で以上のように開示されたが、実施例は本開示を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、よって、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義されたものを基準とする。
【符号の説明】
【0033】
10 太陽光発電システム
11 太陽光パネル
12 太陽光発電インバータ
13 アーク放電検出ユニット
14 直流スイッチ
15 検出回路コントローラ
20 ハウジング
25 直流電力入力端子
30 回路基板
50 回路基板
31 開口
53 開口
32 内部線路
33 電流センサ
35 アーク放電検出コイル
38 セルフテストコイル
56 アーク放電検出コイル
57 内部線路
58 セルフテストコイル
59 内部線路
37 接続端子
39 電磁干渉抑制コンデンサ
60 ケーブル
65 ケーブル
70 電気コネクタ
90 締結部材
L1~L6 層
AC 空気軸