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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240909BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023193518
(22)【出願日】2023-11-14
【審査請求日】2024-02-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 啓太
(72)【発明者】
【氏名】佐成 巧
(72)【発明者】
【氏名】大原 穂波
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/068099(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112768331(CN,A)
【文献】特開2021-057468(JP,A)
【文献】特開2021-048243(JP,A)
【文献】特開2024-022859(JP,A)
【文献】特開2023-021622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面、及び前記第1表面の反対側に配される第2表面を含み、セラミックスを主成分とする板状部材と、前記板状部材の内部に形成されるガス流路と、前記ガス流路の一部に充填され、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体とを有する保持基板を備える保持装置であって、
前記ガス流路は、前記第1表面側に開口したガス流出口を含み、前記ガス流出口から前記第2表面側に延びた縦流路部と、前記縦流路部と接続し、前記第1表面に対して平行に延びた横流路部とを有し、
前記多孔質体は前記第2表面側に底面を有し、前記縦流路部に充填され、
前記多孔質体の側面部は全て前記縦流路部に配置され、
前記横流路部は、前記多孔質体に対して前記第2表面側に配されるポーラス直下空間を有し、
平面視における前記ポーラス直下空間の面積は、平面視における前記底面の面積より大きい、保持装置。
【請求項2】
前記ポーラス直下空間は、平面視において前記底面と重なる中心空間と、前記中心空間の周囲に配される周囲空間と、を有する、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第1表面に直交する方向の寸法を厚みと定義した場合に、前記周囲空間の厚みが前記中心空間の厚みよりも大きい、請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記第1表面に直交する方向の寸法を厚みと定義した場合に、前記周囲空間の厚みが前記中心空間の厚みよりも小さい、請求項2に記載の保持装置。
【請求項5】
前記多孔質体は、前記ガス流出口よりも前記第2表面側に配され、かつ径方向において前記ガス流出口よりも大きい幅広部を有する、請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
前記底面は曲面状をなしている、請求項1に記載の保持装置。
【請求項7】
上下方向から見た前記ポーラス直下空間の形状は、上下方向から見た前記多孔質体の前記底面の形状と対応する形状となっている、請求項1に記載の保持装置。
【請求項8】
前記多孔質体の側面部の全体は、前記縦流路の内周面の全体と接合されている、請求項1に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する際にウェハ(半導体ウェハ)を保持する保持装置の一例として、静電チャックが挙げられる(特許文献1参照)。静電チャックは、絶縁性のセラミックス(例えば、アルミナ)を主体とした保持基板(セラミック基板)を備えており、その保持基板の表面上でウェハが静電引力により保持される。静電引力は、保持基板の内部に設けられたチャック電極に電圧が印加されることで、発生する。
【0003】
この種の静電チャックでは、プラズマエッチング等のプラズマ処理において、保持基板とウェハとの間に、ヘリウムガス等の熱伝導ガスを供給して、ウェハから熱を取り除くことが行われている。そのため、静電チャックの保持基板の内部には、外部から供給された熱伝導ガスを、ウェハに向かって流すためのガス流路が形成されている。
【0004】
なお、プラズマ処理時に印加される高周波電力により、ガス流路内で異常放電(アーキング)が発生して、その異常放電により保持基板上のウェハが損傷することがあった。そのため、このような異常放電の発生を抑制するために、ガス流路の内部に、絶縁性のセラミック材料からなるガス透過性の多孔質体が設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4959905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のような保持装置において、保持基板の表面からの熱伝導ガスの供給量を確保するためには、ガス流路内に導入される熱伝導ガスと、多孔質体の表面との接触面積を大きくすることが重要である。
【0007】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ガス流路に導入される熱伝導ガスと多孔質体との接触面積を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の保持装置は、第1表面、及び前記第1表面の反対側に配される第2表面を含み、セラミックスを主成分とする板状部材と、前記板状部材の内部に形成されるガス流路と、前記ガス流路の一部に充填され、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体とを有する保持基板を備える保持装置であって、前記ガス流路は、前記第1表面側に開口したガス流出口を含み、前記ガス流出口から前記第2表面側に延びた縦流路部と、前記縦流路部と接続し、前記第1表面に対して平行に延びた横流路部とを有し、前記多孔質体は前記第2表面側に底面を有し、前記縦流路部に充填され、前記横流路部は、前記多孔質体に対して前記第2表面側に配されるポーラス直下空間を有し、平面視における前記ポーラス直下空間の面積は、平面視における前記底面の面積より大きい、保持装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ガス流路に導入される熱伝導ガスと多孔質体との接触面積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1にかかる保持装置の外観構成を模式的に表した斜視図である。
図2図2は、実施形態1にかかる保持装置の内部構造を模式的に表した断面図である。
図3図3は、基板側ガス流路の一部を拡大した保持基板の断面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図であって、上下方向から見て多孔質体の底面の中心とポーラス直下空間の中心が一致した状態を示す図である。
図5図5は、図3のA-A断面図であって、上下方向から見て多孔質体の底面の中心とポーラス直下空間の中心がずれた状態を示す図である。
図6図6は、保持基板の製造方法を模式的に表した説明図である。
図7図7は、保持基板の製造方法を模式的に表した説明図である。
図8図8は、比較例にかかる保持基板の断面図であって、実施形態1の図5に対応する図である。
図9図9は、実施形態2にかかる保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図である。
図10図10は、実施形態3にかかる保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図である。
図11図11は、実施形態4にかかる保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図である。
図12図12は、他の実施形態にかかる保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図である。
図13図13は、他の実施形態にかかる保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
(1)本開示の保持装置は、第1表面、及び前記第1表面の反対側に配される第2表面を含み、セラミックスを主成分とする板状部材と、前記板状部材の内部に形成されるガス流路と、前記ガス流路の一部に充填され、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体とを有する保持基板を備える保持装置であって、前記ガス流路は、前記第1表面側に開口したガス流出口を含み、前記ガス流出口から前記第2表面側に延びた縦流路部と、前記縦流路部と接続し、前記第1表面に対して平行に延びた横流路部とを有し、前記多孔質体は前記第2表面側に底面を有し、前記縦流路部に充填され、前記横流路部は、前記多孔質体に対して前記第2表面側に配されるポーラス直下空間を有し、平面視における前記ポーラス直下空間の面積は、平面視における前記底面の面積より大きい。
【0012】
このような構成によると、多孔質体の底面の一部が板状部材の一部により塞がれることを抑制することができ、ガス流路に導入される熱伝導ガスと多孔質体との接触面積を確保することができる。
【0013】
(2)(1)に記載の保持装置において、前記ポーラス直下空間は、平面視において前記底面と重なる中心空間と、前記中心空間の周囲に配される周囲空間と、を有することが好ましい。
【0014】
このような構成によると、周囲空間が設けられることで、多孔質体の底面の一部が板状部材の一部により塞がれることをより一層抑制しやすくなる。
【0015】
(3)(2)に記載の保持装置において、前記第1表面に直交する方向の寸法を厚みと定義した場合に、前記周囲空間の厚みが前記中心空間の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0016】
このような構成によると、横流路部の体積を大きくすることができるため、熱伝導ガスの流量を確保しやすくなる。
【0017】
(4)(2)に記載の保持装置において、前記第1表面に直交する方向の寸法を厚みと定義した場合に、前記周囲空間の厚みが前記中心空間の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0018】
このような構成によると、横流路部の体積を小さくすることにより、横流路部内における異常放電を抑制しやすくなる。
【0019】
(5)(1)に記載の保持装置において、前記多孔質体は、前記ガス流出口よりも前記第2表面側に配され、かつ径方向において前記ガス流出口よりも大きい幅広部を有することが好ましい。
【0020】
このような構成によると、幅広部が設けられることにより、例えば多孔質体に外力が加わった場合に、多孔質体が縦流路部から脱落しにくくなる。
【0021】
[本開示の実施形態1の詳細]
本開示の実施形態1の具体例について、図1から図8を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。本明細書では、図2の図示上下方向を上下方向、図2の図示左右方向を水平方向として、保持装置1の構成を説明するが、保持装置1の実際の使用態様においてはこれと異なる配置であってもよい。また、本明細書において、「直交」や「平行」は実質的に直交や平行と認識される態様の配置も含まれるものとする。
【0022】
本実施形態の保持装置1は、半導体ウェハ、ガラス基板等の対象物(以下「ウェハW」という)を吸着保持できる静電チャックである。静電チャックは、例えば、図示しない半導体製造装置の処理チャンバに取り付けられ、プラズマを用いてウェハWに対する各処理(成膜、エッチング等)を行うために用いられる。
【0023】
図1に示すように、保持装置1は、保持基板10とベース部材20とを備える。保持基板10は円板状であって、例えば、300mm程度の直径と3mm程度の厚みを有する形状に成形することができる。ベース部材20は保持基板10より直径の大きい円板状であって、例えば340mm程度の直径と20mm程度の厚みを有する形状に成形することができる。なお、保持基板10及びベース部材20には、それぞれ、互いの位置合わせを行うための位置決め部(凹凸等)が設けられてもよい。
【0024】
保持基板10及びベース部材20は、保持基板10が上側に配され、かつベース部材20が下側に配された状態で、上下方向に互いに重ねられる。保持基板10及びベース部材20は、それらの間に介在される接合材30により、互いに接合される。
【0025】
図2に示すように、保持基板10は、上側に配される略円形状の第1表面S1と、その第1表面S1の反対側(つまり、下側)に配され、かつベース部材20と対向する略円形状の第2表面S2とを有する。ベース部材20は、上側に配され、かつ保持基板10の第2表面S2と対向する略円形状の第3表面S3と、その第3表面S3の反対側(つまり、下側)に配される略円形状の第4表面S4とを有する。上述した接合材30は、保持基板10の第2表面S2とベース部材20の第3表面S3との間で挟まれつつ、層状に広がった状態となっている。
【0026】
保持基板10は、円板状の板状部材11と、その板状部材11の内部に形成された基板側ガス流路12(ガス流路の一例)とを有する。板状部材11の上側の表面が、保持基板10の第1表面S1となる。また、板状部材11の下側の表面が、保持基板10の第2表面S2となる。
【0027】
板状部材11は、セラミックスを主成分とする板状(円板状)をなした絶縁性の部材である。本明細書において、「主成分」とは、含有割合の最も多い成分を意味する。本実施形態の板状部材11は、アルミナ(Al)からなる。なお、他の実施形態においては、窒化アルミニウム(AlN)等の他のセラミックスからなるものであってもよい。
【0028】
基板側ガス流路12は、保持装置1に形成される流路60の一部である。流路60には、例えばヘリウムガス等の熱伝導ガスが流される。基板側ガス流路12は、保持基板10の板状部材11の内部に形成される。基板側ガス流路12は、保持基板10の第2表面S2に開口した入口12Aと、第1表面S1に開口したガス流出口12Bとを含む、保持基板10内を貫通する孔からなる。入口12Aから熱伝導ガスが供給されると、熱伝導ガスは、基板側ガス流路12内を通って最終的にガス流出口12Bから外部に排出される。
【0029】
図3は、基板側ガス流路12の一部を拡大した保持基板10の断面図であり、図4は、図3のA-A線断面図である。図3には、保持基板10を厚み方向に沿って切断した断面構造が示されている。基板側ガス流路12は、図3に示すように、第1縦流路部13(縦流路部の一例)と、横流路部14と、第2縦流路部17とを有する。
【0030】
第1縦流路部13は、第1表面S1側に開口したガス流出口12Bを含み、ガス流出口12Bから第2表面S2側へと、板状部材11の厚み方向(上下方向)に延びている。第1縦流路部13は、ガス流出口12Bの反対側に、第1縦流路部13の入口である開口部12Cを含む。開口部12Cは、ガス流出口12Bと略同径に設けられている。なお、第1縦流路部13は、基板側ガス流路12におけるガス流出口12Bと開口部12Cとの間の区間からなる。
【0031】
第1縦流路部13内には、多孔質体70が充填されている。多孔質体70は、絶縁性のセラミックスを主成分とする、多数の気孔を含むガス透過性の部材である。多孔質体70は、基板側ガス流路12における複数の第1縦流路部13に対して、それぞれ充填される。多孔質体70は、全体的には、上下方向(保持基板10の厚み方向)に延びた円柱状をなしている。多孔質体70の内部には、不活性ガスを通過させる通気経路が網目状に形成されている。通気経路は、多孔質体70内において、多数の気孔が互いに連なったものからなる。気孔は、多孔質体70の製造時(焼成時)に、粒子状の造孔材が焼失(消失)した痕として形成される。造孔材としては、例えば、合成樹脂製のビーズや炭素粉末等が利用される。
【0032】
多孔質体70は、円形状の上面70Aがガス流出口12Bから露出し、かつ円形状の底面70Bが開口部12Cから横流路部14側に露出する形で、第1縦流路部13内に充填される。本実施形態の場合、第1表面S1及び上面70Aは、互いに同一平面をなすように配されている。また、底面70Bは、第1表面S1と平行であり、開口部12Cと同じ高さに配されている。なお、多孔質体70と、第1縦流路部13を構成する内周面とは、互いに焼結して接合されている。
【0033】
多孔質体70の底面70Bは、横流路部14に面しており、基板側ガス流路12の上流側から供給された熱伝導ガスが、この底面70Bから多孔質体70内に供給される。底面70Bは、多孔質状であり、その底面70Bが熱伝導ガスの入口となる。
【0034】
横流路部14は、第1縦流路部13と接続し、第1表面S1に対して平行に延びている。横流路部14の下流側が、第1縦流路部13の上流側にある開口部12Cと接続している。なお、基板側ガス流路12において、入口12A側が上流側であり、ガス流出口12B側が下流側である。
【0035】
図4に示すように、横流路部14は、ポーラス直下空間15と本体横流路部16とを有する。ポーラス直下空間15は横流路部14の下流側の端部に位置する。本体横流路部16は、ポーラス直下空間15と第2縦流路部17との間を繋いでいる。ポーラス直下空間15には、本体横流路部16の下流側と接続する開口部15Cが設けられている。
【0036】
ポーラス直下空間15は、第1縦流路部13内に充填された多孔質体70に対して第2表面S2側(下方)に配されている。ポーラス直下空間15は上下方向に延びる略円柱状の空間とされている。上下方向から見たポーラス直下空間15の面積は、上下方向から見た多孔質体70の底面70Bの面積よりも大きくなっている。言い換えると、平面視のポーラス直下空間15の面積は、平面視の多孔質体70の底面70Bの面積よりも大きくなっている。なお、図4及び図5において、二点鎖線は底面70Bの外形を示している。また、この二点鎖線は、後述する中心空間15Aと周囲空間15Bの境界を示している。
【0037】
上下方向から見たポーラス直下空間15の形状は、上下方向から見た多孔質体70の底面70Bの形状と対応する形状となっていることが好ましい。より詳細には、上下方向から見たポーラス直下空間15の形状は、上下方向から見た多孔質体70の底面70Bの形状を拡大した形状であることが好ましい。例えば、本実施形態では、上下方向から見たポーラス直下空間15の形状、及び上下方向から見た多孔質体70の底面70Bの形状は、略円形状となっている。
【0038】
ポーラス直下空間15は、上下方向から見て(平面視において)底面70Bと重なる中心空間15Aと、中心空間15Aの周囲に配される周囲空間15Bと、を有する。周囲空間15Bは中心空間15Aに対して水平方向について中心空間15Aの外側に広がっている。図4に示すように、平面視における底面70Bの中心C1は、平面視におけるポーラス直下空間15の中心C2と一致していてもよい。また、図5に示すように、平面視における底面70Bの中心C1は、平面視におけるポーラス直下空間15の中心C2とずれていてもよい。底面70Bの全体がポーラス直下空間15に面して配置されていることが好ましい。
【0039】
本体横流路部16の下流側はポーラス直下空間15の開口部15Cと接続されている。本体横流路部16は、第1表面S1に対して平行に細長く延びている。図3に示すように、本体横流路部16の上流側は第2縦流路部17と接続されている。
【0040】
第2縦流路部17は、第2表面S2に開口した入口12Aを含み、入口12Aから第1表面S1側へと、板状部材11の厚み方向に延びている。第2縦流路部17の下流側は、横流路部14の上流側と接続している。なお、入口12Aは、基板側ガス流路12の入口をなす。
【0041】
保持基板10は、更に、電極部材であるチャック電極40を備える。チャック電極40は、全体的には、第1表面S1に略平行な平面状(層状)をなしている。チャック電極40は、例えば、タングステン、モリブデン、白金等の導電性材料から形成される。チャック電極40は、図2に示すように、保持基板10(板状部材11)の内部において、第1表面S1側に配されている。チャック電極40は、端子等を介して外部の電源に接続されており、チャック電極40に対して給電が行われると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが、保持基板10の第1表面S1に吸着保持される。なお、チャック電極40には、厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔41が形成されている。なお、他の実施形態において、電極部材として高周波電極やヒータ電極が設けられてもよい。
【0042】
図1及び図2に示すように、保持基板10の第1表面S1には、複数のガス流出口12Bが設けられている。第1表面S1の外周縁部は、それよりも内側の部分と比べて僅かに上方に突出しつつ、円環状に形成されている。そのため、第1表面S1にウェハWが吸着保持されると、図2に示すように、ウェハWと第1表面S1の内側の部分との間に隙間Gが形成される。
【0043】
ベース部材20は、例えば、金属(アルミニウム、アルミニウム合金等)、金属とセラミックスの複合体(Al-SiC)、又はセラミックス(SiC)を主成分として構成される。
【0044】
ベース部材20の内部には、冷媒流路21が設けられている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体、水等)が流されることで、プラズマ熱の冷却が行われる。具体的には、冷媒流路21に冷媒が流されると、ベース部材20が冷却され、接合材30を介したベース部材20と保持基板10との間の伝熱(熱引き)により、保持基板10が冷却される。その結果、保持基板10の第1表面S1で保持されたウェハWが冷却される。なお、冷媒流路21における冷媒の流量を適宜、調整することにより、第1表面S1で保持されたウェハWの温度を制御することができる。
【0045】
ベース部材20の内部には、流路60の一部を構成するベース側ガス流路22が設けられている。ベース側ガス流路22は、全体的には、ベース部材20の厚み方向に延びた貫通孔状をなしており、ベース部材20の第4表面S4に開口した入口22Aと、第3表面S3に開口した出口22Bとを有する。入口22Aは、ベース側ガス流路22の入口をなすと共に、保持装置1に設けられた流路60全体の入口をなす。
【0046】
接合材30は、例えば、シリコーン系の有機接合剤、無機接合剤、又はAl系の金属接着剤を含むボンディングシート等により構成される。接合材30としては、保持基板10及びベース部材20の双方に対して高い接着力を備えつつ、高い耐圧性及び熱伝導性を備えるものが好ましい。
【0047】
接合材30にも、流路60の一部を構成する接合側ガス流路31が形成されている。接合側ガス流路31は、層状の接合材30を厚み方向に貫通する孔からなる。
【0048】
流路60は、保持装置1の第1表面S1側に、熱伝導ガスを供給するものである。第1表面S1には、上述したように、流路60の出口であるガス流出口12Bが多数設けられており、各ガス流出口12Bから熱伝導ガスが排出される形で、第1表面S1側に熱伝導ガスが供給される。このような流路60は、上述したように、ベース側ガス流路22と、接合側ガス流路31と、基板側ガス流路12とを有する。
【0049】
流路60の入口22Aは、ベース部材20の第4表面S4に複数設けられている。各入口22Aから熱伝導ガス(図2中の矢印H)が供給されると、その熱伝導ガスは、各入口22Aに接続したベース側ガス流路22、接合側ガス流路31及び基板側ガス流路12を順次通過し、最終的に、第1表面S1に設けられた複数のガス流出口12Bから排出される。
【0050】
ベース側ガス流路22の出口22Bは、接合側ガス流路31の下側(ベース部材20側)の開口部と接続する。また、接合側ガス流路31の上側(保持基板10側)の開口部は、基板側ガス流路12の入口12Aと接続する。基板側ガス流路12の入口12Aは、保持基板10の第2表面S2に複数設けられている。
【0051】
このような基板側ガス流路12の入口12Aを含む第2縦流路部17は、その下流側で、複数の横流路部14と接続する。そして、各横流路部14には、それぞれ第1縦流路部13が接続されている。つまり、基板側ガス流路12は、保持基板10(板状部材11)の内部において、上流側から下流側に向かって複数に分岐した形をなしている。
【0052】
熱伝導ガスは、横流路部14のポーラス直下空間15から第1縦流路部13内に配置された多孔質体70の通気経路を通り、ガス流出口12Bから排出される。このとき、熱伝導ガスは、ポーラス直下空間15に面する底面70Bの気孔から多孔質体70内へと進入する。換言すると、底面70Bは、ポーラス直下空間15から流れてくる熱伝導ガスに接触し、多孔質体70内へと熱伝導ガスを導入する部分となっている。したがって、底面70Bの面積が大きいほど、基板側ガス流路12における熱伝導ガスの圧損を抑制することができる。
【0053】
続いて、本実施形態の保持装置1の製造方法の一例を説明する。ここで、まず図6及び図7を参照しつつ、保持基板10の製造方法について説明する。図6及び図7は、保持基板10の製造方法を模式的に表した説明図である。この保持基板10の製造方法は、グリーンシート(セラミックグリーンシート)を利用するシート積層法を応用したものである。なお、図6及び図7においては、保持基板10の下側(第2表面S2側)がその他の図の上側に対応し、かつ保持基板10の上側(第1表面S1側)がその他の図の下側に対応するように示される。
【0054】
まず、図6(A)に示されるように、保持基板10の板状部材11を形成するためのグリーンシートを複数枚積層して、第1積層物80Aが形成される。なお、第1積層物80Aを構成する所定のグリーンシートには、導体層Mが形成されている。
【0055】
グリーンシート用のスラリーは、例えば、アルミナ粉末、アクリル系バインダ、分散剤、可塑剤等を含む混合物に、更に有機溶剤を加えたものを、ボールミルを用いて混合することで得られる。このスラリーを、キャスティング装置でシート状に成形し、その後、得られた成形物を乾燥させることで、複数枚のグリーンシートが得られる。
【0056】
また、導体層Mを形成するためのメタライズペーストは、例えば、アルミナ粉末、アクリル系バインダ、有機溶剤の混合物に、タングステンやモリブデン等の導電性粉末を添加して混錬することで得られる。このメタライズペーストを、例えばスクリーン印刷装置を用いて印刷することにより、特定のグリーンシート上に、導体層Mが形成される。
【0057】
次いで、図6(B)に示されるように、第1積層物80Aの所定箇所に、第1縦流路部13を形成するための孔部81が形成される。孔部81は、第1積層物80Aを厚み方向に貫通している。孔部81は、公知の加工装置(ルーター等)を利用して、第1積層物80Aの所定箇所に形成される。
【0058】
次いで、図6(C)に示されるように、第1積層物80Aの孔部81に対して、多孔質体70を形成するための多孔質体用ペーストPが充填される。多孔質体用ペーストPは、例えば、アルミナ粉末、造孔材、バインダ、有機溶剤等を含む混合物を混錬することで得られる。多孔質体用ペーストPを孔部81に充填する方法としては、例えば、射出成型装置を用いる方法、スクリーン印刷装置を用いる方法等が挙げられる。なお、孔部81に多孔質体用ペーストPが充填された第1積層物80Aは、適宜、乾燥される。
【0059】
その後、図7(D)に示されるように、第1積層物80Aと、第2積層物80Bとが積層される。第2積層物80Bは、複数枚のグリーンシートが積層されたものからなる。なお、第2積層物80Bの所定箇所には、第2縦流路部17を形成するための孔部82や、横流路部14を形成するための溝部83、孔部82及び溝部83に充填される充填材84が設けられている。充填材84は、例えばカーボンペースト等であって、焼成時に焼失(消失)する材料である。第1積層物80A及び第2積層物80Bからなる積層物は、例えば、20枚のグリーンシートの積層物からなり、それらは互いに熱圧着される。前記積層物の外周は、適宜、切断されてもよい。そして、前記積層物をマシニングによって切削加工して円板状の成形体を作製する。その後、得られた成形体を脱脂焼成し、更に、脱脂焼成後の成形体を焼成(本焼成)することで焼成体が得られる。
【0060】
その後、焼成体の表面に、凸状の外周縁部に対応する部分を遮蔽するマスクを配置し、例えばセラミックス等の粒体を投射するショットブラストを行うことにより、焼成体の表面に凸状の外周縁部を形成する。その後、この焼成体の表面を研磨加工等することにより、図7(E)に示されるような、板状部材11を有する保持基板10が得られる。
【0061】
なお、上述した脱脂焼成及び本焼成は、保持基板10の第1表面S1側が上側に、かつ第2表面S2側が下側となるように、第1積層物80A及び第2積層物80Bの積層物を配置して行われる。このような脱脂焼成及び本焼成において、孔部81に充填された多孔質体用ペーストP(未焼成組成物)と、板状部材11等を形成するためのグリーンシートの積層物とが、同時に焼成される。
【0062】
ベース部材20の製造方法は、基本的に従来品の製造方法と同じである。そのため、その詳細説明は省略する。
【0063】
保持基板10及びベース部材20がそれぞれ作製された後、それらを、接合材30を利用して接合する。接合材30による保持基板10及びベース部材20の接合は、基本的には、従来品における接合と同じである。そのため、その詳細説明は省略する。以上のように、保持装置1が製造される。
【0064】
ところで、図7(D)に示す第1積層物80Aと第2積層物80Bとの積層工程においては、例えば製造公差等により、平面視における底面70Bの中心C1と平面視におけるポーラス直下空間15の中心C2が互いに水平方向にずれた状態で第1積層物80Aと第2積層物80Bとが積層される場合がある。図8は、本実施形態と異なる比較例にかかる保持基板710の構成を示す断面図であって、本実施形態の図5に対応している。保持基板710においては、平面視におけるポーラス直下空間715の面積が、平面視における底面70Bの面積と等しくなっている。図8に示すように、平面視における底面70Bの中心C1と平面視におけるポーラス直下空間715の中心C2が互いに水平方向にずれた状態では、網掛け部分で示される底面70Bの一部がポーラス直下空間715に面しておらず、板状部材11によって塞がれている。よって、底面70Bと熱伝導ガスとの接触面積が減少し、熱伝導ガスの圧損に繋がる。
【0065】
一方、本実施形態では、平面視におけるポーラス直下空間15の面積は、平面視における底面70Bの面積より大きく設定されている。このため、第1積層物80Aと第2積層物80Bとの積層工程において、平面視における底面70Bの中心C1と平面視におけるポーラス直下空間15の中心C2が互いに水平方向にずれた場合でも、底面70Bの全体をポーラス直下空間15に面するように配置しやすくなっている(図5参照)。すなわち、底面70Bの全体を熱伝導ガスと接触可能に配置しやすくなっている。この結果、熱伝導ガスの圧損を抑制することができる。
【0066】
<実施形態1の効果>
以上のように、実施形態1の保持装置1は、第1表面S1、及び第1表面S1の反対側に配される第2表面S2を含み、セラミックスを主成分とする板状部材11と、板状部材11の内部に形成されるガス流路(基板側ガス流路12)と、ガス流路の一部に充填され、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体70とを有する保持基板10を備える保持装置1であって、ガス流路は、第1表面S1側に開口したガス流出口12Bを含み、ガス流出口12Bから第2表面S2側に延びた縦流路部(第1縦流路部13)と、縦流路部と接続し、第1表面S1に対して平行に延びた横流路部14とを有し、多孔質体70は第2表面S2側に底面70Bを有し、縦流路部に充填され、横流路部14は、多孔質体70に対して第2表面S2側に配されるポーラス直下空間15を有し、平面視におけるポーラス直下空間15の面積は、平面視における底面70Bの面積より大きい。
【0067】
このような構成によると、多孔質体70の底面70Bの一部が板状部材11の一部により塞がれることを抑制することができ、ガス流路に導入される熱伝導ガスと多孔質体70との接触面積を確保することができる。
【0068】
実施形態1では、ポーラス直下空間15は、平面視において底面70Bと重なる中心空間15Aと、中心空間15Aの周囲に配される周囲空間15Bと、を有することが好ましい。
【0069】
このような構成によると、周囲空間15Bが設けられることで、多孔質体70の底面70Bの一部が板状部材11の一部により塞がれることをより一層抑制しやすくなる。
【0070】
[本開示の実施形態2の詳細]
本開示の実施形態2の具体例について、図9を参照しつつ説明する。実施形態2の保持装置が備える保持基板110は、ポーラス直下空間115の構成を除いて、実施形態1の保持基板10と同様に構成されている。以下、実施形態1と同一の部材に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
実施形態2の保持基板110には、基板側ガス流路112が設けられている。基板側ガス流路112は、第1縦流路部13と、横流路部114と、第2縦流路部17と、を有する。実施形態2のポーラス直下空間115は、中心空間15Aと周囲空間115Bとを有する。周囲空間115Bの少なくとも一部の上下方向の寸法(厚み)は、中心空間15Aの厚みよりも大きくなっている。なお、中心空間15Aの下端と周囲空間115Bの下端とは上下方向について同じ位置に配されていてもよい。このような構成では、実施形態1と比較して横流路部114の体積を大きくすることができるから、熱伝導ガスの流量を確保しやすくなる。
【0072】
<実施形態2の効果>
実施形態2では、第1表面S1に直交する方向(上下方向)の寸法を厚みと定義した場合に、周囲空間115Bの厚みが中心空間15Aの厚みよりも大きいことが好ましい。
【0073】
このような構成によると、横流路部114の体積を大きくすることができるため、熱伝導ガスの流量を確保しやすくなる。
【0074】
[本開示の実施形態3の詳細]
本開示の実施形態3の具体例について、図10を参照しつつ説明する。実施形態3の保持装置が備える保持基板210は、ポーラス直下空間215の構成を除いて、実施形態1の保持基板10と同様に構成されている。以下、実施形態1と同一の部材に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
実施形態3の保持基板210には、基板側ガス流路212が設けられている。基板側ガス流路212は、第1縦流路部13と、横流路部214と、第2縦流路部17と、を有する。実施形態3のポーラス直下空間215は、中心空間15Aと周囲空間215Bとを有する。周囲空間215Bの少なくとも一部の厚みは、中心空間15Aの厚みよりも小さくなっている。例えば、周囲空間215Bの上端は水平方向に延びており、周囲空間215Bの下端は外側(中心空間15Aから離れる方向)に向かうにつれて上端に近づくように傾斜していてもよい。このような構成では、実施形態1と比較して横流路部214の体積を小さくすることができるから、例えば保持装置にウェハWを保持して、プラズマ処理を行う際に、横流路部214内における異常放電を抑制しやすくなる。
【0076】
<実施形態3の効果>
実施形態3では、第1表面S1に直交する方向の寸法を厚みと定義した場合に、周囲空間215Bの厚みが中心空間15Aの厚みよりも小さいことが好ましい。
【0077】
このような構成によると、横流路部214の体積を小さくすることにより、横流路部214内における異常放電を抑制しやすくなる。
【0078】
[本開示の実施形態4の詳細]
本開示の実施形態4の具体例について、図11を参照しつつ説明する。実施形態4の保持装置が備える保持基板310は、第1縦流路部313及び多孔質体370の構成を除いて、実施形態1の保持基板10と同様に構成されている。以下、実施形態1と同一の部材に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
実施形態4の保持基板310には、基板側ガス流路312が設けられている。基板側ガス流路312は、第1縦流路部313と、横流路部14と、第2縦流路部17と、を有する。第1縦流路部313は、ガス流出口12Bを含む小径部313Aと、大径部313Bと、小径部313A及び大径部313Bを接続する拡径部313Cと、を有する。小径部313Aは、第1縦流路部313の上端に配されている。大径部313Bは、第1縦流路部313の下端に配されている。拡径部313Cは、小径部313Aと大径部313Bとの間に配されている。
【0080】
上下方向から見た場合、小径部313A及び大径部313Bは円形をなし、小径部313Aの中心と大径部313Bの中心とは同じ位置に配されている。大径部313Bの内径は小径部313Aの内径よりも大きい。すなわち、大径部313Bは、小径部313Aよりも径方向に大きくなっている。拡径部313Cは、下方に向かうにつれて徐々に内径が大きくなっている。拡径部313Cは、小径部313Aから径方向の外側に広がっている。例えば、拡径部313Cは円錐台状をなす空間となっている。
【0081】
第1縦流路部313には多孔質体370が充填されている。多孔質体370は、小径部313Aに配される第1部分371と、大径部313Bに配される第2部分372と、拡径部313Cに配される第3部分373と、を備える。第2部分372と第3部分373とは、幅広部374を構成している。幅広部374は、ガス流出口12B(小径部313A)よりも第2表面S2側(下側)に配されている。幅広部374は、径方向においてガス流出口12Bよりも大きくなっている。本実施形態によれば、例えば多孔質体370に何らかの外力が加えられた場合に、幅広部374と第1縦流路部313の内壁とが係止することで、多孔質体370が第1縦流路部313から第1表面S1側に脱落しにくくなる。
【0082】
なお、上記と異なり、拡径部313Cを形成せず、小径部313Aと大径部313Bとから第1縦流路部313を構成してもよい。この場合、小径部313Aと大径部313Bとは直接的に接続される。また、多孔質体370は、第1部分371と、第2部分372のみから構成される幅広部374と、を備える。
【0083】
<実施形態4の効果>
実施形態4では、多孔質体370は、ガス流出口12Bよりも第2表面S2側に配され、かつ径方向においてガス流出口12Bよりも大きい幅広部374を有することが好ましい。
【0084】
このような構成によると、幅広部374が設けられることにより、例えば多孔質体370に外力が加わった場合に、多孔質体370が縦流路部(第1縦流路部313)から脱落しにくくなる。
【0085】
<他の実施形態>
(1)多孔質体の底面は第1表面に平行でなくてもよい。また、底面は、第1縦流路部の開口部と同じ高さに配されていなくてもよい。例えば、図12に示すように、他の実施形態にかかる保持基板410は多孔質体470を備え、多孔質体470の底面470Bは曲面状をなして開口部12C(破線部)より下方に突出していてもよい。また、図13に示すように、他の実施形態にかかる保持基板510は多孔質体570を備え、多孔質体570の底面570Bは曲面状をなして開口部12C(破線部)より上方に凹んでいてもよい。
【0086】
(2)多孔質体は第1縦流路部の一部に充填されていてもよい。
【0087】
(3)多孔質体の上面は、第1表面よりも下側に配されてもよい。
【0088】
(4)平面視におけるポーラス直下空間の形状、及び平面視における多孔質体の底面の形状は、略円形状でなくてもよく、例えば多角形状や楕円状であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…保持装置 10…保持基板 11…板状部材 12…基板側ガス流路(ガス流路の一例) 12B…ガス流出口 13…第1縦流路部(縦流路部の一例) 14…横流路部 15…ポーラス直下空間 15A…中心空間 15B…周囲空間 70…多孔質体 70B…底面 S1…第1表面 S2…第2表面 W…ウェハ
【要約】
【課題】ガス流路に導入される熱伝導ガスと多孔質体との接触面積を確保する。
【解決手段】保持装置1は、第1表面S1、及び第1表面S1の反対側に配される第2表面S2を含み、セラミックスを主成分とする板状部材11と、板状部材11の内部に形成されるガス流路と、ガス流路の一部に充填され、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体70とを有する保持基板10を備える。ガス流路は、第1表面S1側に開口したガス流出口12Bを含み、ガス流出口12Bから第2表面S2側に延びた縦流路部と、縦流路部と接続し、第1表面S1に対して平行に延びた横流路部14とを有し、多孔質体70は第2表面S2側に底面70Bを有し、縦流路部に充填され、横流路部14は、多孔質体70に対して第2表面S2側に配されるポーラス直下空間15を有し、平面視におけるポーラス直下空間15の面積は、平面視における底面70Bの面積より大きい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13