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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】線量計としてのミニSPECT
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240909BHJP
   G01T 1/167 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G01T1/161 D
G01T1/161 B
G01T1/167 J
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023513862
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020070520
(87)【国際公開番号】W WO2022055539
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ビジャ,アレクサンダー ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ミーシャー
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219530(JP,A)
【文献】特開2004-317140(JP,A)
【文献】特開2010-256176(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172997(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0261440(US,A1)
【文献】特開2009-098131(JP,A)
【文献】国際公開第2013/045421(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0235641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入線量を決定するための方法であって、
シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の第1の放射能量を測定するステップであって、前記第1の放射能量が、固体検出器を有するとともに、患者を装着せずに前記シリンジ又はバイアルをスキャンするサイズを有する核イメージングシステム内で、前記シリンジ又はバイアルで測定される、ステップと、
患者に注入後、前記シリンジ又はバイアル内の前記放射性医薬品の残存量の第2の放射能量を測定するステップであって、前記第2の放射能量が前記核イメージングシステムによって測定される、ステップと、
前記第1の放射能量及び前記第2の放射能量からの注入された放射能量を決定するステップと、
を含み、
前記第1の放射能量を測定するステップが、
固体線量計を含む組織模倣体が前記シリンジ又はバイアルとともに前記核イメージングシステム内にある前記第1の放射能量を測定するステップを含み、
さらに前記固体線量計を用いて第1の線量を測定するステップを含む方法。
【請求項2】
前記第1の放射能量を測定するステップと、前記第2の放射能量を測定するステップが、半導体材料を含む前記固体検出器で測定するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の放射能量を測定するステップと、前記第2の放射能量を測定するステップが、前記シリンジ又はバイアルを、76.2mm×76.2mm(3インチ×3インチ)未満の孔に入るように寸法決めされた前記核イメージングシステムによって測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の放射能量を測定するステップと、前記第2の放射能量を測定するステップが、少なくとも1つのハンドルを有し、前記ハンドルを使用する人によって運搬可能な大きさである前記核イメージングシステムによって測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の放射能量を測定するステップと前記第2の放射能量を測定するステップが、
前記シリンジ又はバイアル内の前記放射性医薬品の前記核イメージングシステムによって単光子放射型コンピュータ断層撮影スキャンを実行するステップと、
前記スキャンで検出された放出量から前記第1及び第2の放射能量を再構成するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記注入された放射能量を決定するステップが、線量較正器なしで決定するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1の放射能量を測定するステップと前記第2の放射能量を測定するステップが、時間の経過とともに前記第1の放射能量を測定するステップと、時間の経過とともに前記第2の放射能量を測定するステップと、を含み、
前記注入された放射能量を決定するステップが、時間の経過とともに第1のモデルを前記第1の放射能量に適合させるステップと、
時間の経過とともに第2のモデルを前記第2の放射能量に適合させるステップと、
前記第1のモデルから第1の線量を適合させるステップと、
前記第2のモデルから第2の線量を適合させるステップと、
前記第1と第2の線量の差から前記注入された放射能量を決定するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記核イメージングシステムにおいて、標準化された線源から放出量の放射検出から前記核イメージングシステムを較正するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放射性医薬品の線量モデルを前記第1の線量で較正するステップをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項10】
前記線量モデルが、物理モデル、線量カーネルモデル、又は伝達モデルのうちの1つである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記注入線量を有する患者のための内部線量を計算するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
注入線量を決定するための方法であって、
シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の第1の放射能量を測定するステップであって、前記第1の放射能量が、固体検出器を有するとともに、患者を装着せずに前記シリンジ又はバイアルをスキャンするサイズを有する核イメージングシステム内で、前記シリンジ又はバイアルで測定される、ステップと、
患者に注入後、前記シリンジ又はバイアル内の前記放射性医薬品の残存量の第2の放射能量を測定するステップであって、前記第2の放射能量が前記核イメージングシステムによって測定される、ステップと、
前記第1の放射能量及び前記第2の放射能量からの注入された放射能量を決定するステップと、
を含み、
前記第1の放射能量を測定するステップが、
前記放射性医薬品及び前記シリンジ又はバイアルの前記核イメージングシステムによる放射スキャンを実施するステップを含み、
さらに前記放射スキャンから前記シリンジ又はバイアルの同位元素及びフォームファクタを決定するステップを含む方法。
【請求項13】
医療核イメージングのための線量計であって、
放射型イメージングシステムのキャビティであって、前記キャビティがシリンジ又はバイアルを保持するように構成され、前記放射型イメージングシステムが患者に適合されることなく前記シリンジ又はバイアル内からの放出を保持及び画像化するようにサイズ設定される、キャビティと、
前記放射型イメージングシステムの半導体検出器であって、前記キャビティに隣接し、前記キャビティ内の前記シリンジ又はバイアル内からの放出量を検出するように構成された半導体検出器と、
前記放出量から前記シリンジ又はバイアルの線量を決定するように構成された画像処理装置と、
前記キャビティ内に位置決めされ、前記半導体検出器から離間された固体線量計を有する組織模倣体と、を含み、
前記組織模倣体が、前記固体線量計からの線量モデルを較正するように構成された、
線量計。
【請求項14】
前記キャビティが、76.2mm×76.2mm(3インチ×3インチ)以下の開口部を有し、前記開口部を通って、前記シリンジ又はバイアルが前記キャビティ内に配置可能である、請求項13に記載の線量計。
【請求項15】
前記半導体検出器が、前記キャビティの両側に一対の固体検出器を備える、請求項13に記載の線量計。
【請求項16】
前記画像処理装置が、前記シリンジ又はバイアル内の放射能量の再構成からの線量を決定するように構成され、前記再構成が、前記半導体検出器によって検出された前記放出量に基づいてなされる、請求項13に記載の線量計。
【請求項17】
注入された線量を決定するための方法であって、
固体検出器を有する核イメージングシステムによるシリンジ又はバイアル内の放射性医薬品をイメージングするステップと、
前記イメージングから前記シリンジ又はバイアル内の前記放射性医薬品の放射能量を計算するステップと、
前記シリンジ又はバイアル内の前記放射性医薬品の同位元素を、前記シリンジ又はバイアルの前記放射性医薬品の前記イメージングから決定するステップと、
前記放射能量及び前記同位元素に基づいて患者内の線量を推定するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、放射断層撮影又は核イメージングに関する。注入された放射性医薬品は、ガンマ線(単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングの場合)又は電子で消滅してガンマ線を生成する陽電子(陽電子放射型断層撮影(PET)イメージングの場合)を放出する。患者の外側に位置する検出器システムは、放出されたガンマ線を検出し、検出された放出量に基づいてイメージを再構成する。
【背景技術】
【0002】
セラノスティクスでは、放射性医薬品が治療薬として用いられる。放出された放射線は、体積内のトレーサ標的組織に治療線量を適用する。核イメージングは、患者に適用される線量を決定するために用いられる。医療内部放射線量(MIRD)のような内部線量測定は、患者における放射性物質の取り込みによる組織に沈着したエネルギの推定である。複数の時点(例えば、1日又は2日にわたる)での患者の核イメージングからのような、患者における時間経過に伴う放射能量、及び注入された線量の測定は、内部線量を示す一般的な線量モデルと共に使用される。一般的な線量モデルは不正確である可能性がある。
【0003】
ガスチャンバ検出器に基づく線量較正器を用いて、注入前後のシリンジ及びバイアルに含まれる線量(放射能量又は放射能計)を測定するが、ガスチャンバはエネルギ応答に対して非線形感受性を有する。較正にもかかわらず、線量較正器は、較正された線源を用いて補正係数を計算しない限り、10%を超える誤差を示す。較正線源は、線量較正器と核イメージングシステムとの間の較正及び断面較正に使用され、正確かつ正確な線量決定が可能になる。各病院に必要な、較正された放射性線源の使用と発送は、複雑で費用がかかる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
導入として、以下に記載される好ましい実施形態は、線量測定のための方法、システム、命令、及びコンピュータ可読保存媒体を含む。放射性医薬品の放射能量及び/又は注入線量を決定するために、固体検出器を備えた小型化された核イメージングシステムを使用する。シリンジ又はバイアルをスキャンするためのサイズであることにより、注入された線量は、現在の線量較正器よりも精度が高く、較正された又は標準化された線源の使用頻度がより少ない固体検出器を用いて決定され得る。この小型化された核イメージングシステムは、患者をスキャンする核イメージングシステムと同様に放射能量を再構成するため、線量モデルの較正に使用される可能性がある。固体線量計による組織模倣体は、放射性医薬品からの線量を測定する。放射性医薬品の線量は、線量モデルを較正するために使用される。
【0005】
第1の態様において、注入線量を決定するための方法が提供される。固体検出器を有する核イメージングシステムにおいて、シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の第1の放射能量をシリンジ又はバイアルで測定し、患者を装着せずにシリンジ又はバイアルをスキャンするためのサイズにする。シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の残存量の第2の放射能量は、患者に注入した後、核イメージングシステムで測定する。注入された線量(放射能量)は、第1の放射能量及び第2の放射能量から決定される。
【0006】
様々な実施形態では、固体検出器は、半導体材料から形成され、核イメージングシステムは、3インチ未満の穴にシリンジ又はバイアルを収めるようにサイズ決定され、及び/又は核イメージングシステムは、少なくとも1つのハンドルを有し、ハンドルを使用する人によって運搬可能なサイズである。
【0007】
1つの実施形態において、シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の単光子放射型コンピュータ断層撮影スキャンが、放射能量を測定するために核イメージングシステムによって実施される。第1及び第2の放射能量は、スキャンで検出された放出量から再構成される。
【0008】
注入された線量は、特定の患者に対する放射性医薬品の線量較正器を使用せずに決定することができる。例えば、第1の放射能量を経時的に測定し、第2の放射能量を経時的に測定する。第1のモデルは、経時的に第1の放射能量に適合するものであり、第2のモデルは、経時的に第2の放射能量に適合するものである。第1の線量は第1のモデルから適合度として導き、第2の線量は第2のモデルから適合度として導き出す。第1と第2の線量の差から注入線量を算出する。
【0009】
標準線源又は較正線源は、患者の使用ごとに必要ではない。核イメージングシステムは、核イメージングシステムにおける標準化された線源からの放射検出から頻繁に較正され得る。
【0010】
核イメージングシステムは、線量モデルを較正するために使用され得る。第1の放射能量は、固体線量計を含む組織模倣体がシリンジ又はバイアルを有する核イメージングシステム内にある場所で測定される。固体線量計は、第1の線量を測定する。線量モデルは、放射性医薬品について、第1の線量で較正される。線量モデルは、物理モデル、線量カーネルモデル、又は転送モデルの一つである。
【0011】
注入された線量及び/又は較正された線量モデルは、患者のための内部線量を計算するために使用される。小型化された核イメージングシステムは、放射性医薬品の同位元素及び/又はシリンジ又はバイアルのフォームファクタを決定するために使用され得る。シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の放射能量は、核イメージングシステムによる放射スキャンを用いて測定される。同位元素又はフォームファクタは、放射スキャンから、そのような情報のユーザ入力を回避又は確認することによって決定され得る。
【0012】
第2の態様では、医療核イメージングのために線量計が提供される。キャビティは、シリンジ又はバイアルを保持するように構成される。キャビティに隣接する半導体検出器は、キャビティ内のシリンジ又はバイアル内からの放出量を検出するように構成されている。画像処理装置は、放出量からのシリンジ又はバイアルの線量を決定するように構成される。
【0013】
1つの実施形態において、キャビティは3インチ以下の開口部を有し、この開口部を介してシリンジ又はバイアルがキャビティ内に留置可能である。別の実施形態では、半導体検出器は、キャビティの両側にある一対の固体検出器である。他の実施形態では、画像処理装置は、シリンジ又はバイアルにおける活動の再構成から線量を決定するように構成されている。再構成は半導体検出器により検出された放出量からである。
【0014】
キャビティは、固体線量計を用いて、物体を模倣する組織を可能にし得る。組織模倣体はキャビティ内に位置することができる。画像処理装置は、固体線量計からの信号から線量モデルを較正するように構成されている。
【0015】
第3の態様では、核イメージングにおける線量モデルの較正のための方法が提供される。患者に注入される放射性医薬品からの放出量は、固体検出器で検出される。放射性医薬品は、検出中、固体検出器に隣接するキャビティ内にある。第1の線量は、固相線量計を用いて組織模倣体で測定する。検知・測定中、物体を模倣した組織がキャビティ内にある。線量モデルは、固体線量計からの第1の線量と、放出量から導出される第2の線量で較正される。
【0016】
1つの実施形態において、第2の線量は、検出された放出量の経時的な放射能量の再構成から決定される。患者の内部線量は、較正された線量モデルを用いて放射性医薬品を注入した後に計算される。
【0017】
第4の態様において、注入線量を決定するための方法が提供される。固体検出器を有する核イメージングシステムは、シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品を画像化する。シリンジ又はバイアル内の放射性医薬品の放射能量は、イメージングから計算される。シリンジ又はバイアルの放射性医薬品の同位元素は、シリンジ又はバイアルの放射性医薬品のイメージングから決定される。患者における線量は、放射能量と同位元素に基づいて推定される。
【0018】
本発明は、次の請求の範囲によって定義され、この欄の何れも、それらの請求の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本発明のそれ以上の観点及び利点については、好ましい実施形態と関連して以下において説明し、これらを独立して又は組合せ状態でクレーム請求する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
構成要素(コンポーネント)及び図面は、必ずしも縮尺通りにはなっておらず、それどころか、本発明の原理を説明する際に誇張がなされている。さらに、図面に関し、同一の参照符号は、互いに異なる図全体にわたり対応の部分を示している。
図1図1は、注入線量を決定するため及び/又は線量モデル較正のために小型化された放出システムを用いる定量的放出イメージャシステムの一実施形態のブロック図である。
図2図2A及び図2Bは、小型化された放出システムの側断面図及び上面断面図である。
図3図3は、注入線量を決定する方法の一実施形態のフローチャート図である。
図4図4は、線量モデル較正用の固体線量計を有する組織模倣体を有する小型化された放射型システムの断面上面図である。
図5図5は、線量モデルを較正する方法の一実施形態のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
較正済みのミニSPECT又はPETは、シリンジ及びバイアル内の放射能量の正確な測定のための標準化された線量計として使用される。このミニ核イメージングシステムは、積算線量較正に使用できる可能性がある。米国国立技術標準研究所(NIST)は、放射能量及び/又は線量測定のトレーサブル較正を、種々の同位元素化合物又は混合物及びフォームファクタ(シリンジ及び/又はバイアルの種類)のいずれについても提供することができる。
【0021】
比例ガスチェンバ又はシンチレータ材料は、典型的には、間接変換器として使用される。比例ガスチェンバ又はシンチレータ材料は、既知の非線形性エネルギ応答を有し、エネルギ分解能が乏しいか又は全くないので、複数の光子エネルギによる較正を必要とする。比例ガスチャンバ又はシンチレータ材料を使用する代わりに、分光高エネルギ解像度画像のシリンジ及びバイアルを用いた携帯型固体ミニSPECT又はPETシステムにより、放射能含有量及び線量を推定する。固体センサ(又は検出器)は、ガスチャンバ及びシンチレータで遭遇する問題なしに、より容易に較正され得る。患者用のイメージングシステムと線量計(例えば、ミニSPECT)は、同様の線形エネルギ応答を有する。ミニSPECT又はPETは、既存の線量計に取って代わる可能性があり、通常の使用において、より少数の標準線源又は較正線源を必要とする。
【0022】
イメージの幾何学的形状は固定されており、むしろ標準化されているので、シリンジ及びバイアル内の放射能量及び線量を推定するための断層再構成の任意の方法(例えば、単位体積当たり及び/又は全体積当たりの毎秒の崩壊としてのmCl又はMBqとしての放射能量)を用いることができる。ミニ核イメージングシステムは、放射能量及び線量モデル(例えば、線量カーネル)較正を可能にし、これは、ガスチャンバ又はシンチレーション結晶ベース線量計では不可能である可能性がある。バス又は他の組織模倣体内の固体線量計(例えば、ダイアモンド検出器)を用いて、存在する放射能量から与えられた線量を推定し、イメージベースの線量測定の較正が、使用者の介入の必要性を少なくするか又は全く必要なく、既存の方法と同程度に正確であることを可能にする。
【0023】
イメージングを用いることにより、同位元素又は同位元素の混合物を同定することができる。この情報により、測定に基づく較正及び/又は寄託線量の推定が可能となり、注入された線量又は放射能量及び同位元素又は混合物の決定の両方が自動化される。較正とエネルギ沈着(例えば、患者のための線量測定)は、同位元素の手動入力を必要としたり、頼りにしたりすることなく、確実に組み合わせて提供される。
【0024】
図1は、定量的放射型イメージャシステム10の一実施形態を示す。システム10は、放射性医薬品から患者が受ける線量を決定する。患者の異なる時点又はスキャンからの放射データのセットを用いて、線量を推定する。時間特定取り込み又はトレーサ分布ではなく線量を再構成することによって、治療サイクル中又は複数サイクルにわたって患者に適用される線量は、治療における線量を確認するため、及び/又はさらなる治療を計画するために提供される。別の実施形態では、線量は、経時的に再構成された放射能量からの計算として決定されるか、又は線量は、1回の再構成における線量を再構成することによって決定される。
【0025】
システム10は、画像処理装置16、放射型イメージングシステム12、解剖学的イメージングシステム13、小型放射システム14、メモリ18、及びディスプレイ17を含む。追加の、異なる、又はより少ない成分を提供してもよい。例えば、解剖学的イメージングシステム13は、解剖学的情報なしに線量が推定される場所には提供されない。1つの実施形態において、画像処理装置16、メモリ18、及び/又はディスプレイ17は、放射型イメージングシステム12又は解剖学的イメージングシステム13の1つの一部である。代替実施形態では、画像処理装置16、メモリ18、及び/又はディスプレイ17は、イメージングシステム12、14とは別のワークステーション、サーバ、又はコンピュータとして提供される。メモリ18は、画像処理装置16を備えたコンピュータ又はワークステーションの一部であるか、又は画像アーカイブ及び通信システムのような遠隔データベースである。
【0026】
解剖学的イメージングシステム13は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、超音波、又は他の診断医用イメージングシステムである。解剖学的イメージングシステム13は、患者の内部の解剖学的構造をイメージングするために、X線、超音波、又は電気パルスを用いて患者をスキャンする。線源は患者にエネルギーを伝える。検出器は、送信されたエネルギに応答する信号を受信する。現在知られているか、又は後に開発された解剖学的イメージングシステム13を使用することができる。本明細書では、「イメージング」又は「イメージ」を使用する一方で、解剖学的イメージングシステム13を使用して、ディスプレイ上に画像を生成又は表示することなく、患者を表す解剖学的構造データを取得することができる。
【0027】
一実施形態では、解剖学的イメージングシステム13はCTシステムである。X線源及び検出器は、可動ガントリ上に取り付けられている。X線源はX線を発生し、その一部は患者を通過する。検出器は、患者を通過する透過X線を検出する。使用されるエネルギ、タイミング、スキャン角度、及び/又はCTスキャンの他の態様は、患者に設定され、ボリューム又は患者の他の領域をスキャンするために使用される。CTは、患者の解剖学的構造の表現を生成するために使用される。
【0028】
放射型イメージングシステム12は、SPECT又はPETスキャナのような、現在知られているか、又は後に開発された核イメージングシステムである。放射型イメージングシステム12は、患者内部から放出された放射線を検出するための検出器を備える。SPECTではガンマカメラを用いて検出する。検出器は光子放出量を検出する。ある検出器は、患者の同じ又は異なる位置からの一連の事象を検出することがある。
【0029】
放射型断層システム12は、放出量を検出するために、ソフトウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェアによって構成される。放射型断層システム12は、同一患者からの放出量を検出するが、複数のイメージングセッションの間に検出する。各イメージングセッションは、患者に対して異なる位置にガンマカメラを配置すること、及びドウェル時間中の各位置での放出量を検出することなどの、患者の完全なスキャンを提供する。患者は、複数のイメージングセッションの間に放射断層システム12から離れることができる(例えば、ベッドから起き上がる)。イメージングセッションは、患者が内部放射性医薬品によって投薬されている間に、数時間又は数日にわたって分配された複数の期間で実施され得る。イメージングセッションは、治療サイクルの間及び/又は複数の治療サイクルの間に起こる。イメージングセッションは、全サイクル未満の期間にわたることがある。同じサイクルのために、患者は、複数のイメージングセッションの間に、放射型トレーサの所定の適用又は投与量から治療を受ける。各サイクルについて、放射型トレーサの複数の適用が使用される。
【0030】
メモリ18は、ランダム・アクセス・メモリ、グラフィックス処理メモリ、ビデオ・ランダム・アクセス・メモリ、システム・メモリ、キャッシュ・メモリ、ハード・ドライブ、光学メディア、磁気メディア、フラッシュ・ドライブ、バッファ、データベース、これらの組合せ、又はデータを格納するための他の既知又は後に開発されたメモリ装置である。メモリ18は、検出された放出量(例えば、PET又はSPECT検出されたイベントデータ)、解剖学的スキャニングからの信号(例えば、CTデータ)、ゾーン情報、分割情報、部分ボリューム効果、平滑化フィルタ係数、試験放射能量、再構成された放射能量、線量、生体内分布、較正、及び/又は再構成情報を記憶する。メモリ18は、処理されたデータ、例えば、セグメンテーション、較正、割り当てられた試験放射能量の前方投影、検出された放出量からの再構成、イメージオブジェクト、線量、レンダリングされたイメージ、及び/又は他の情報を保存する、を保存する。
【0031】
メモリ18又は他のメモリは、線量又は線量モデルの較正を決定するために、プログラムされた画像処理装置16によって実行可能な命令を表すデータを記憶する非一過性のコンピュータ可読貯蔵媒体である。本明細書で説明したプロセス、方法及び/又は技術を実施するための命令は、キャッシュ、バッファ、RAM、リムーバブルメディア、ハード・ドライブ、又は他のコンピュータ読み取り可能記憶媒体などの、コンピュータ読み取り可能記憶媒体又はメモリ上に提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、様々なタイプの揮発性及び不揮発性記憶媒体を含む。本明細書中に図示又は記述された機能、作用又は作業は、コンピュータ可読記憶媒体内部又はそれ上に保存された1つ以上の命令セットに応答して実行される。機能、動作又はタスクは、特定のタイプの命令セット、記憶媒体、プロセッサ又は処理ストラテジに依存せず、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコードなどによって実行され、単独で動作することも、組み合わせて実行されることもある。同様に、処理戦略は、多重処理、多重タスク、並列処理などを含み得る。
【0032】
一実施形態では、命令は、ローカル又はリモート・システムによる読み出しのために、リムーバブル・メディア・デバイスに格納される。他の実施形態では、命令は、コンピュータネットワークを介して、又は電話回線を介して転送するために、遠隔位置に記憶される。さらに他の実施形態では、命令は、所定のコンピュータ、CPU、GPU、又はシステム内に格納される。
【0033】
ディスプレイ17は、モニタ、LCD、プラズマ、タッチスクリーン、プリンタ、又はユーザが見るためのイメージを表示する他の装置である。ディスプレイ17は、治療サイクルの所与の時間における蓄積線量のような、線量を表す1つ以上のイメージを示す。他のイメージは、例えば、機能のイメージ(即ち、再構成されたオブジェクトの放射能量を表す)、例えば、取り込み又は放射能量濃度のような出力され得る。線量イメージは定量イメージである。機能イメージは定量的又は定性的SPECT又はPETイメージである。イメージは、ボリュームレンダリング、マルチプラナ再構成、断面、及び/又は最終イメージオブジェクトからの他のイメージであってもよい。イメージは、放射型イメージングシステム12からの検出された放出量に基づく患者における分布を表す。代替的又は追加的に、ディスプレイ17は、注入された線量又はシリンジ又はバイアル内の放射能量の空間分布のイメージを表示する。
【0034】
画像処理装置16は、一般的な処理装置、中央処理ユニット、制御プロセッサ、グラフィック処理装置、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、増幅器、比較器、時間-デジタル変換器、アナログ-デジタル変換器、デジタル回路、アナログ回路、タイミング回路、それらの組合せ、又は検出された放出量から。画像処理装置16は、シリアル、パラレル、又は別々に動作する単一装置又は複数のデバイスである。画像処理装置16は、線量決定又はモデル較正のために特別に設計され、又は提供されるが、コンピュータの主又は一般的な処理装置、例えば、ノートパソコン、又はより大規模なシステムにおける作業を処理するための処理装置であってもよい。画像処理装置16は、他の機能を実行することができる。
【0035】
画像処理装置16は、構成可能である。画像処理装置16は、ソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアによって構成される。複数のソフトウェア、ファームウェア、及び/又は命令は、画像処理装置16を構成するためにメモリ18にロードされるか、又は記憶される。
【0036】
画像処理装置16は、患者に適用される線量を計算するように構成されている。注入線量は、パラメトリックモデル再構成において直接的に、又は異なる時間での再構成された放射能量分布から、異なる時間からの検出された放出量から推定することができる。解剖学的情報を用いて、部分的には異なる組織の位置に基づいて再構成するなど、マルチモーダル再構成を用いることができる。
【0037】
画像処理装置16は、放射型トレーサの半減期のパラメトリックモデル又は線量モデルを検出された放射型トレーサに適合させることにより、放射型トレーサからの線量の分布を再構成するように構成されている。拡散(例えば、k1及びk2拡散)を含むように、放射型トレーサ動力学をモデル化する。放射線輸送と電離放射線エネルギ堆積を、再構成に用いたパラメトリックモデルでモデル化した。パラメトリックモデルには、放出量判定のためのモンテカルロ又は線量核が含まれることがある。放出量データからのオブジェクトモデルの生成は、部分的に、線量動態のパラメトリック又は線量モデルを使用する。線量モデルは、再構成における適合として、異なるタイプの組織に対する変数に対して異なる値を提供することがある。あるいは、異なる種類の組織に対して異なるパラメトリックモデルが使用される。
【0038】
画像処理装置16は、線量モデルから線量を決定するように構成される。適合線量モデルは、異なる時間からの入力検出された放出量に基づいて線量を出力する。線量は蓄積線量として出力される。適合線量モデルは、いつでも蓄積線量を決定するために使用され得る。再構成によって線量が直接決定され、線量分布が得られる。あるいは、線量は、異なる時間での放射能量の再構成から計算される。任意の線量計算処理を使用することができる。
【0039】
画像処理装置16は、患者の内部線量を決定するために、注入線量及び/又は線量モデルを使用する。ミニチュア放射型イメージングシステム14は、注入線量を決定し、及び/又は線量モデルを較正するために使用される。ミニチュア放射型イメージングシステム14は、医用核イメージングの線量計として使用される。
【0040】
図2A及び2Bは、ミニチュア放射型イメージングシステム14の側面図及び上面断面図を示す。システム14は、側壁20と、キャビティ26を形成する1つ又は複数の検出器22とを含む。追加の、異なる、又はより少ない成分を提供してもよい。例えば、キャビティ26と検出器22との間で検出器22及び/又はコリメータを移動させるためのガントリが設けられている。コリメータは、使用されている同位元素及び/又は患者治療適用に自動的に適応するなどの調節可能であってもよい。コリメータは回転コリメータであってもよく、かつ/又は任意の数の検出器22をカバーしてもよい。コリメータは、ステップワイズ又は連続的な開口変化を提供し得る。
【0041】
側壁20は、シリンジ24又はバイアルからの放出量がシステム14から流出するのを防止又は制限するための遮蔽物質である。追加の遮蔽等の蓋を設けてもよい。シールドとは、鉛又は他の材料である。
【0042】
検出器22は、半導体検出器である。任意の固相検出器、例えば、CZT、CdTe、HgI、TlBr、GaAs、又は他の半導体材料を使用してもよい。半導体材料は、分光型高エネルギ分解能を有し、室温で動作するか、又は冷却されてもよい(例えば、HPGe検出器のための冷却)。
【0043】
1つ以上の検出器22が提供される。図2A及び図2Bは、キャビティ26の反対側の平坦な基板又はプレートとしての2つの検出器22を示す。他の形状及び/又は配置を提供してもよい。1つ、2つ、又はそれ以上の検出器22(発光センサ)が、小型化された放射型イメージングシステム14の内部に配置される。追加の、異なる、又はより少ない検出器22を使用することができ、例えば、キャビティ26の周りの検出器のリングを使用することができる。検出器22は、検出器22を動かすためのガントリ又は他の装置に取り付けることができる。ガントリは移動するか、又は検出器22は、検出器22を使用するスキャンからのイメージに基づいて、及び/又はアルゴリズム又は人工知能に基づいて、配置されてもよい。
【0044】
検出器22は、キャビティ26内にあるなどのキャビティ26に隣接している。検出器22は、キャビティ26に直接隣接していてもよいし、コリメータのように1層以上の介在物質が提供される。検出器22は、検出器22がキャビティ26内からの放出量を検出することができるキャビティ26に隣接している。検出器22は、キャビティ26内のシリンジ24内又はバイアル内からの放出量を検出するように構成されている(例えば、配置されている)。
【0045】
キャビティ26は、円筒状又は角柱状である。キャビティ26は側壁20及び/又は検出器22から形成される。キャビティ26は、シリンジ24又はバイアルを保持するようなサイズである。例えば、キャビティ26は、3×3インチ以下の開口部(例えば、1インチ×1インチ又は2インチ×1インチ)を有し、かつ1つ又は少数の患者出願のために放射性医薬品を保持するシリンジ24又はバイアルを囲むのに十分な高さを有するサイズである。キャビティのボリュームは1立方フィート未満の場合がある。
【0046】
キャビティ26のサイズが小さいため、ミニ放射型イメージングシステム14は、ハウジング又はシールド側壁20上に配置される1つ以上のハンドルを有してもよい。ハンドルは蓋の上にあってもよく、これはキャビティ26を囲むために本体上にラッチ又はねじ止めされる。全体的なサイズと重量は、1リットルのピッチャ、1ガロンのジャグ、大きなコーヒーマグ、ブリーフケース、又はラゲッジのサイズであるなど、システム14を運ぶことを可能にする。システム14は、1人又は2人が携帯することにより携帯可能である。他の実施形態において、システム14は、床、壁、又は天井にクランプ又はボルトで固定されるような位置に固定される。
【0047】
単一の投与量の放射性医薬品のためのシリンジ24のようなシリンジ24又はバイアルは、図2Aに示されているような頂部開口部のような開口部を通ってキャビティ26内に配置され得る。プラスチック製のホルダーのようなホルダーを設けることができる。代わりに、キャビティ26は、シリンジ24又はバイアルを直立に保持するか、又は圧力又は摩擦によるかみ合いでその側面に静止させるようにサイズ決定される。シリンジ24又はバイアルは、検出器22を用いたPET又はSPECTスキャンのためにキャビティ26内に配置される。
【0048】
画像処理装置16は、シリンジ24又はバイアル内の放射性医薬品からの放射能量及び/又は線量を決定するように構成されている。放射性医薬品の放射性同位元素は、ガンマ線又は陽電子を放出し、その結果、ガンマ線が発生する。これらの放出量の一部は、検出器22によって検出される。画像処理装置16は、検出された放出量を計数する。放出量の場所(例:反応線)を記録してもよい。PETについては、一致度(例えば、シリンジ24の両側にある2つの検出器からの一致したタイミング)を決定し、応答のラインで記録してもよい。放出量のエネルギレベルは、記録される場合とされない場合がある。シリンジ24又はバイアルの放射スキャンが実施され、画像処理装置16が放射スキャンからの活動又は線量を決定する。
【0049】
画像処理装置16は、放射能量からの線量を経時的に決定するように構成されている。線量モデルを異なる時点での放出量からの再構成に含めるなど、線量を再構成することができる。あるいは、複数回のそれぞれの放射能量を再構成する。線量モデルを用いて再構成された放射能量から線量を決定する。再構成は、患者に使用される再構成と同じであり、放射能量又は線量の2次元又は3次元分布を提供する。別法として、画像処理装置16は、放射能量又は線量の空間的変動又は分布を決定することなく、全体的な線量及び/又は放射能量(例えば、エリア又はボリュームにわたる計数)を提供するために、放出量の計数を統合する擬似画像再構成を使用する。
【0050】
ミニ放射型イメージングシステム14は、注入の前後で、シリンジ24又はバイアルに対する放射能量及び/又は線量を決定するために使用され得る。放射能量又は線量の差は、注入された放射能量及び/又は線量を示す。図3は、注入された放射能量及び/又は線量を決定する方法の1つの実施形態を示す。
【0051】
ミニ放射型イメージングシステム14は、代替的に、又は追加的に、線量モデルを較正するために使用することができる。放射性医薬品の取り込みとウォッシュアウトの一般的な機能はサメ鰭のような機能であり、個体については知られておらず、注入される特定の個体や放射性医薬品に依存する。線量は、部分的に、この包括的関数をモデル化することによって決定される。物理モデル(例えば、モンテカルロベースモデル)、線量カーネルから形成されたモデル、又は流入と流出の輸送モデルなど、様々な線量モデルが使用されることがある。モデルの1つ以上の特性が較正で設定される。較正を行うには、線量モデルを用いて、シリンジ24又はモデルからの線量を放射スキャンによって決定する。実際の線量は、組織模倣体内のダイアモンド検出器などの固体線量計を用いて、同時に、又は放射スキャンとは異なる時間に測定される。固体線量計からの信号は、実際の線量を決定するために使用される。2つの線量を比較する。2つの線量の差を最小にする線量モデルの設定が見つかり、線量モデルが較正される。較正は、患者と共に使用される放射性医薬品と、患者に対する内部線量を決定するために使用される線量モデルに基づいているため、較正は正確である可能性がある。図5は、線量モデルを較正する方法の一実施形態を示す。
【0052】
図3は、注入された線量を決定するための方法を示す1つの実施形態である。ミニ放射型イメージングシステム14は、特定の患者又はインスタンスに対する注入線量を決定するために使用される。固体検出器を用いてシリンジ又はバイアル内の放射能量を直接測定することにより、注入された線量を決定することができる。放射型イメージングシステム14は、ガスチャンバ線量計よりも精度が高く、複数の標準化され、較正された線源による較正の必要性がより少ない線量決定を可能にする。
【0053】
図3の方法は、図1のシステム10、画像処理装置を有するミニ放射型イメージングシステム14、及び/又は別の装置を用いて実施される。例えば、ミニ放射型イメージングシステム14は、シリンジ又はバイアルをスキャンし、画像処理装置16は、スキャンの結果から注入された線量を決定する。
【0054】
方法は、示された順番(数値又は上から下)で実施するが、他の順番を用いてもよい。追加的、異なる、又はより少ない動作を提供してもよい。例えば、ミニ放射型イメージングシステム14が既に較正されている(すなわち、較正を各患者について行う必要はなく、週、月、又は年に1回又は1回実施することができる)ように、動作30は実施されない。他の例として、キャビティ26にシリンジ24又はバイアルを配置し、シリンジ24又はバイアルを除去し、及び/又は患者に注入するための作用が提供される。別の例では、PET又はSPECT構成、コリメータ、及び/又はスキャンプロセスを選択するための作用など、シリンジ24又はバイアルをスキャンするように構成するための作用が提供される。
【0055】
動作30において、ミニ核又は放射型イメージングシステム14が較正される。標準化され、較正された放射線源がキャビティ26内に配置される。線源は、米国国立技術標準研究所(NIST)からの線源など、既知の放射能量、線量、及び/又は同位元素を有する。放射型イメージングシステムは、線源からの放出量を検出する。検出は、注入線量を測定するために使用される形状のような、固定された形状を使用することができる。可能性のある形状が複数ある場合、複数の較正は、形状の各々についての放出量を検出することによって決定される。
【0056】
線量は、検出器22による経時的に測定された放射能量を用いて決定される。測定線量を線源の既知の線量と比較する。この差は重み付けとして用いられるか、検出された放出量から計算された線量が正しい(すなわち、線源の既知の線量と等しい)ように、その差に基づいて重み付けが探索される。例えば、線量モデルで表される振幅及び/又は分布は調整される。別の例として、較正は、測定された取り込みのための調整又は加重を提供する。測定された取り込み量は、較正に基づいて、より正確になるように調整される。幾何学及び/又は同位元素に対して複数の較正を提供することができる。
【0057】
固体検出器22は、ミニ放射型イメージングシステム14で使用されるため、較正は、各患者に対してではなく、定期的に行うことができる。任意の周波数の構成が使用されてもよい。
【0058】
動作32において、ミニ放射型イメージングシステム14は、シリンジ24又はバイアル内の放射性医薬品の放射能量を測定する。患者に注入する放射性医薬品を保持しているシリンジ24又はバイアルをキャビティ26に配置する。キャビティ26は、シリンジ24又はバイアルを保持するようなサイズであり、キャビティ26に患者を入れることができないように小さくすることができる。この測定は、患者に使用されている同位元素に対する放射能量及び/又は線量の測定である。キャビティ26内にシリンジ24又はバイアルを密閉した後(例えば、キャビティ26上に蓋を置く)、放射能量の尺度として放出量を検出する。
【0059】
放射能量を測定するために、PET又はSPECTスキャンを実施する。ミニ核イメージングシステム14は、シリンジ24又はバイアル内の放射性医薬品からの放出量をスキャンする。1つの実施形態において、シリンジ24又はバイアル内の放射能量は、直接的な光子測定(例えば、エネルギビン当たりのスペクトル及びカウント数)と、所定の別の装置、すなわちカメラ、IRカメラ/センサ等のシリンジ又はバイアルの追加のモード情報とを組み合わせることによって、単一の測定において、半導体検出器によって直接測定される。CTスキャンは、限られた数のシリンジ又はバイアルがあり、AIアルゴリズムは、例えば、どのシリンジが使用されているか、そして、全ての患者に対してシリンジの注入前及び注入後における正確な放射能量計算のためにチャンバ内のその位置を識別することができるので、必要ない。ミニ核イメージングシステム14を用いた測定は、患者に注入する前後に放射型トレーサをスキャンするが、その後、PET/SPECTスキャナ12は患者をスキャンする。患者に対して経時的に複数のスキャンが実施される。このアプローチを用いると、より少ないスキャン及び/又はより正確な線量推定が生じるであろう。患者からの複数の放出量セットが複数の時点で検出される。各時点で別々のスキャンが用いられる。各測定時点について、完全なSPECT又はPETスキャンなどで放出量が検出される。同じシリンジ24又はバイアルが複数回使用される場合(同一患者又は異なる患者に対して)、後に発生する使用はすでに放射能量を測定しているため、注入された放射能量を決定するための測定は、次の患者に対する注入後に行われる。
【0060】
放射型イメージングシステム14は、シリンジ24又はバイアル内の放射性医薬品からの放出量を検出器22と共に、例えば数十秒以上にわたって経時的に検出する。検出器22の前方にあるコリメータは、検出器22によって検出される光子の方向を制限するため、検出される各発光は、SPECTスキャンのために発光が起こった可能な位置のエネルギ及び線又は錐体と関連している。検出器に対する線又は錐体の側方位置も同様に決定され得る。PETスキャンでは、同時発生した放出量が一般的に反対方向に移動する場合の応答線を検出するために、同時発生処理を使用することができる。別の実施形態では、検出は位置決定なし(例えば、コリメータなし)で行われる。カウントは、空間再構成なしで提供される全体的放射能量(すなわち、擬似画像アプローチ)に統合される。
【0061】
SPECT又はPETスキャンでは、生放射データを再構成に使用する。再構成は、ミニ放射型イメージングシステムの特性を記述するためにシステムマトリックス又は投影オペレーターを使用して、放射能量を表すイメージオブジェクトのデータモデルを反復的に改良することができる。検出された放出量は、放射能量の空間分布を示すために再構成される。線量が再構成される場所では、異なる時間にわたる放射能量が線量の再構成に使用される。放射能量は線量の再構成の一部として再構成される。
【0062】
イメージオブジェクトは、オブジェクト又はイメージ空間内で定義される、データ空間内で測定される発光データからの再構成である。オブジェクト空間は、画像再構成の結果が定義され、そして画像化される、例えば3Dボリューム又は2Dエリア(すなわち、視野又は“FOV”)に対応する空間である。検出された放出量は投影を形成し、これは再構成により二次元又は三次元分布を表現するために断層的に計算されることがある。再構成は、放出量の各セットにおいて異なる方向又はカメラ位置から検出された放出量を使用する。
【0063】
断層撮影再構成は、検出された放射性医薬品のオブジェクト又はイメージ空間における分布に反復的に適合する。反復最適化を適用して、測定された放出量に最も適合する分布を見つける。検出空間及びオブジェクト空間からの後方及び前方投影は、放射型断層撮影システムのためのシステムモデル(例えば、検出器感度)及び/又は放射型トレーサの動態のためのパラメトリック線量モデル(例えば、崩壊を伴う2方向(例えば、k1及びk2)への拡散)などの任意のモデリングと同様に使用される。反復最適化では、放射型断層撮影システムのモデルを用いて、測定値をオブジェクト空間に前方投影し、次の反復のデータモデルを修正するために残差を後方投影する。
【0064】
動作34において、ミニ核イメージングシステム14は、注入後のシリンジ24又はバイアル内の放射能量を測定する。動作32は注入前に既成である。患者に放射性医薬品を注入した後、シリンジ24又はバイアルをキャビティ26に戻す。注入後にシリンジ24又はバイアルに残存する放射性医薬品の放射能量を測定する。線量決定には、異なる時点で放射能量を測定する(すなわち、複数回の放射スキャンを経時的に実施する)。放射性医薬品の放射能量残量を測定する。
【0065】
動作36では、画像処理装置は、注入された線量(放射能量)を決定する。注入された線量は、注入前後のシリンジ24又はバイアル内の測定された放射能量から決定される。動作32及び34の測定された放射能量を使用する。注入前の投与量(放射能量)を決定し、注入後の投与量(放射能量)を決定する。線量(放射能量)の差は注入線量である。線量(放射能量)は、線量較正器なしで決定される。固体検出器22からの検出された放出量を使用することによって、ガスチャンバの非線形応答に起因する不正確さを回避することができる。
【0066】
動作32及び34における放射能量の測定値が放出量のものである場合、その後、放射能量及び/又は線量の再構成を行い、線量を決定する。線量は、複数の時点からの放出量から1回の再構成で決定することができる。再構成はパラメトリックであり、再構成の一部として線量モデル適合を含む。動作32及び34において放射能量が再構成される場合、その後、経時的に再構成された放射能量に線量モデルを当てはめることによって、時間の経過に伴う放射能量から線量が決定される。
【0067】
実際の線量を決定するために、線量モデルは測定された放射能量に適合する。この線量モデルは、再構成された放射能量に適合するか、又は放出量からのパラメトリック再構成に適合する。線量モデルは、注入前に測定された放射能量に適合する。同一又は複数の線量モデルは、注入後に測定された放射能量に適合する。注入前後の線量は適合線量モデルから導かれる。注入と注入後の差が注入線量である。
【0068】
どのような線量モデルを用いてもよい。線量モデルは、拡散、同位元素半減期、生物学的半減期、及び/又は放射性医薬品から適用される線量の経時的変化の別の特性のような、医薬品動態のパラメトリックモデルであり得る。モンテカルロ、線量カーネルをモデルとして用いる、又は輸送モデルなどの物理モデルを用いて、線量に対する放射確率及び/又は相互作用をモデル化することができる。フィッティングに基づいて、線量モデルのモデルパラメータの値を解き、分布の位置に対する任意の時間及び/又は総線量の線量を提供する。輸送に基づく線量モデルの例として、a2-コンパートメントモデルを一組の線形微分方程式にカプセル化し、それによってk12、・・・はコンパートメント1からコンパートメント2へ移動するためのキニティパラメータである。一般に、比較はボクセル又は関心ボリューム(VOI)であり得る。放射性医薬品動態のモデルの適合性を解くことにより、投与量を決定することができる。線量又は線量分布を決定する。分布はボクセルによる。
【0069】
ミニ核イメージングシステム14は、注入線量及び/又は内部線量を再構成する際に使用される線量モデルを較正するために使用され得る。図4は、キャビティ26に含まれる組織模倣体40を有するミニ核イメージングシステム14を示す。オブジェクト40を模倣する組織は、血液、軟組織、又は骨などの目的の組織を模倣する。たとえば、血液には水浴を使用する。別の例として、軟組織又は骨模倣プラスチックが用いられる。複数の異なる組織に対する複数のオブジェクト40が使用され得る。1つのオブジェクト40は、異なる組織を模倣することができる。オブジェクト40は、模倣される組織に対応する既知の減衰及び/又は減衰を有する。
【0070】
組織模倣体40は、キャビティ26内に位置決め可能である。オブジェクト40は、既知の位置及び方向を有する。図4に示すように、オブジェクト40を模倣する組織は、キャビティ26の表面と確認するように大きさ及び形状の外表面を有する。他の実施形態では、組織模倣体40は、キャビティ26の側壁、底部、及び/又は頂部(例えば、キャビティ26内に1つ以上のスペーサー又はホルダーによって保持されている)との接触が少ないか又は全くない状態で適合する。
【0071】
組織模倣体40は、1つ以上の固体線量計42を含む。例えば、ダイアモンド検出器は、固体線量計42として使用される。線量を直接測定するための他の半導体検出器を使用してもよい。線量計42の任意の数及び任意の間隔を設けることができる。
【0072】
組織模倣体40は、内室を含み、そこにシリンジ24又はバイアルが配置され保持される。固体検出器22を用いて放射能量を測定し、そこから線量を決定する。線量計42は、シリンジ24又はバイアルからの線量を、検出器22が放出量を検出するのと同時に、又は同じではあるが複数の時間にわたって測定する。
【0073】
画像処理装置16は、線量の任意の差を用いて線量モデルを較正する。放出量からの推定線量は、オブジェクト40を模倣する組織の線量計42からの直接測定線量と比較される。線量モデルは、検出器22から測定された放射能量を与えられた線量計42から直接検出された線量を生じるように重み付けされるか、又は調整される。線量モードは、固体線量計42からの信号から較正される。
【0074】
図5は、核画像における線量モデルの較正方法のフローチャート図である。組織模倣体40及び含まれる線量計42は、患者の内部線量を決定するために使用される輸送、物理、又は線量カーネルベースの線量モデルを較正するために使用される。ミニ核イメージングシステム14は、患者に使用される線量モデルの較正を可能にする。
【0075】
動作は、示された順序(数値又は上から下へ)又は別の順序で実行される。例えば、動作50及び54は、動作50を先に、又は動作54を先にして、同時に又は連続的に実施される。別の例として、動作59は、動作のいずれかの後に実施され、動作58の前に実施される。
【0076】
追加的な、異なる、又はより少ない動作を用いてもよい。例えば、動作58及び/又は動作59は実行されない。別の例として、PET又はSPECTイメージングシステム12を用いて、及び/又はマルチモード再構成及び/又は減衰のための解剖学的イメージャ13による解剖学的画像形成のための作用など、患者を放射型スキャンするための作用が実行される。さらに別の例では、動作50-56は、異なるタイプの組織のそれぞれについて繰り返される。オブジェクト40を模倣した組織を模倣した複数の組織を用いて、組織型ごとに線量モデルを較正する。
【0077】
動作50において、固体検出器22は、患者に注入されるべき放射性医薬品からの放出量を検出する。シリンジ24又はバイアルは、キャビティ26内及び組織模倣体40内又はそのそばに配置される。放射能量は、検出器22によって測定されるが、組織模倣体40は、シリンジ24又はバイアルを備えたミニ核イメージングシステム14内にある。あるいは、組織模倣体40がキャビティ内にあることなく、その放射能量を測定する。
【0078】
動作52では、画像処理装置は、検出された放出量の経時的な放射能量の再構成から線量を決定する。検出された放出量からオブジェクト40の表現を再構成する。オブジェクト40の既知の減衰及び位置は、再構成において使用され得る。放射能量分布は、時間を変えて再構成し、時間をかけて線量モデルを再構成した活動に適合させることができる。あるいは、パラメトリック再構成を行って、線量モデルを経時的な放出量からの放射能量に適合させる。さらに他の実施形態では、1回の放射能量を用いて線量モデルに適合させる。
【0079】
時間放射能量曲線の線量モデルは、線量(例えば、エネルギ/マス又はJ/kg(Gy))を計算するための経時的な放出量に適合する。実際の線量推定では、線量関数Dは時間の関数であり、放射能量A=Bqとは異なる。線量断層撮影(すなわち、1回の再構成の一部として線量モデルを当てはめる)については、1...N時点から得られるデータが、動的プロセスを記述するとともに、空間分布のどの瞬間が望ましいかを特定するのに使用される。1からNの時点は、線量分布をパラメータ化するために1回の再構成で使用される。各時点における定量的な放射能量を計算する代わりに、複数の(例えば、全ての)利用可能な時点からの断層データを用いて、線量を直接再構成する。例えば、空間時間的に矛盾したSPECTでは、断層撮影時間がT_Rと比較してT_D<T_R(放射性医薬品の滞留時間)のままであり、放射能量がT_Rと比較してT_Dの間で一定又はゆっくりと変化するだけであると仮定すると、異なる時点で測定される。標的体積内の線量はパラメトリックアプローチで直接再構成される。このパラメトリック再構成アプローチでは、誤差伝搬はシームレスであり、後の時点での雑音の多いボクセルは自然に安定化される。このパラメトリック手法は、時間的に一貫した核イメージングシステムとT_D<又はT_Rより単に<に拡張できる線量の適合モデルを提供する。
【0080】
別の実施形態では、検出された発光からのスペクトル情報を用いて、同位元素を決定する。線量は同位元素と再構成なしの放射から推定される。スペクトルから線量を決定するために内挿を用いてもよい。
【0081】
動作54において、オブジェクト40を模倣する組織の固体線量計42は、シリンジ24又はバイアルの線量を測定する。組織模倣体40は、投与量を測定するためにシリンジ24又はバイアルを備えたキャビティ26内にある。画像処理装置16は、固体線量計42からの信号を用いて、動作52で決定された線量と同じ長さの線量を決定する。
【0082】
動作56において、画像処理装置16は、固体線量計42からの測定線量と、固体検出器22によって検出された放出量から導出された推定線量とを用いて、線量モデルを較正する。線量モデルは、物理、線量カーネル、又は輸送(移送)モデルである。推定線量と測定線量との差に基づいて、線量モデルの1つ以上の値又は重みを設定する。線量の差に基づいて複数の変数を設定するために最適化を行うことができる。最適化により、投与量間の差は最小限に抑えられる。
【0083】
他の実施形態では、測定された線量及び放出量のスペクトルからの同位元素を用いて、線量モデルを較正する。線量モデルのライブラリは、異なる同位元素及び測定線量に対して提供される。選択又は補間することにより、模倣される同位元素及び組織に対して較正された線量モデルが選択される。
【0084】
較正された線量モデルは、所与の放射性医薬品及び対応する同位元素について測定された放射性物質からの正確な線量推定を提供する可能性がより高い。較正は、未較正又は一般的な線量モードを使用するのではなく、較正された線量モデルを用いてより正確な線量推定を提供する。
【0085】
動作58において、画像処理装置又は他の処理装置は、注入された線量を有する患者の内部線量を計算する。注入された線量を患者に注入した後、患者をスキャンする。PETやSPECTなどで発光が検出される。得られた放出量は、一定の期間又は治療期間にわたる線量を決定するために使用される。ボクセル及び/又は臓器(すなわち、組織型)による線量を決定してもよい。
【0086】
この内部線量は、較正された線量モデルを用いて計算される。線量モデルを再構成に組み込んで線量を再構成することができる。あるいは、線量モデルは、異なる時期に再構成された放射能量又は取り込みに適合する。適合線量モデルを用いて線量を計算する。線量モデル及び/又は再構成は、注入線量を変数として使用することができる。注入された線量と較正された線量モデルに基づいて、患者に対する内部線量が決定される。
【0087】
ミニ核イメージングシステム14によるスキャンは、患者のスキャンを単純化するため、及び/又は情報の正確な入力を確認するために使用され得る。動作59では、画像処理装置が放射性医薬品に使用される同位元素を決定する。同位元素情報は通常、手動で入力する。検出器22はソリッドステートであるので、分光写真測定が実行される。このスペクトル情報を用いて同位元素を決定することができる。このスペクトルは同位元素を調べるのに使われる。スペクトルが可能な同位元素又は同位元素の混合物のスペクトルに適合する場合には、適合アプローチを用いてもよい。画像処理装置は、同位元素の侵入を確認するか、又はユーザ入力なしで同位元素に直接侵入する。
【0088】
同様に、スキャンは、シリンジ24又はバイアルのフォームファクタを示してもよい。動作59では、画像プロセッサがフォームファクタを決定する。複数のフォームファクタが使用されることがあり、これにより複数のボリュームが提供される。検出された放出量からの放射能量の分布は、分類器(例えば、人工知能に基づく分類器)を用いた場合のように、フォームファクタを決定するために用いられる。このフォームファクタ情報は、ユーザ入力なしで直接入力することも、ユーザ入力フォームファクタを確認することもできる。
【0089】
別の実施形態では、RFID、バーコード、又は検出器(例えば、人工知能ベースの検出器)は、カメラ画像又は他のスキャンを用いて、同位元素、形態因子、及び/又は患者を同定する。同位元素、患者、線量、核イメージングのアプリケーション、及び/又はその他の情報は、シリンジ24上のラベルから自動検出され、内部線量を決定するために統合され、及び/又は患者又は核イメージングシステムに連結される。この情報は手動で入力する必要がなく、術者の負担を軽減できる可能性がある。
【0090】
1つの実施形態において、ミニ核イメージングシステムを用いて、定量的断層撮影は、患者に送達されるシリンジ又はバイアル(例えば、崩壊/秒としてのmCl又はMBq)の体積における放射能量を断層コンピュータにより計算する。ミニ核イメージングシステムが使用されるので、分光性能は、較正を適用するために同位元素又は同位元素の混合物を同定し、次いで、患者のある物理的位置で測定された同位元素の放射能量と線量の間のリンクのために準備することができる。ワークフローでは、シリンジ内の放射能量を断層撮影的に測定する。スペクトル情報は、線量測定を実施する際に、容器の詳細(フォームファクタ)及び放射性医薬品を取り巻くあらゆる材料を説明することができる。線量(ボリュームでの放射能量)を測定し、線量測定計算を用いて測定したものを較正する。画像スキャンを用いて、自己一貫性及び/又は較正可能な一連の情報(例えば、シリンジ内の同位元素及び使用されている同位元素の放射能量)が提供され、そのような情報が線量測定(患者におけるエネルギ沈着)のために使用されることがある。特異的な性質は分光分解能と空間分解能によって提供されるので、同位元素の同定は線量推定のために自動的に決定される。
【0091】
画像処理装置は、シリンジ24又はバイアルの線量、シリンジ24又はバイアルの放射能量分布、患者の線量、及び/又は患者の放射能量分布のイメージを生成する。定量的核イメージングのために現在知られている、又は後に開発されたイメージング法を使用してもよい。再構成後、現在の時間まで、最後のスキャンまで、及び/又はまだ発生していないサイクルの終了に対して予測される、あるサイクルの特定の時間における線量分布の出力イメージングオブジェクトが生成される。
【0092】
イメージオブジェクトはレンダリングされるか、イメージの生成に使用される。例えば、平面の多重平面再構成又は単一スライスイメージが生成される。イメージングオブジェクトと1つ以上の平面の交点が可視化される。別の例として、三次元イメージングのために表面又は投影レンダリングが行われる。その他のイメージング検査を行うこともある。
【0093】
1つのイメージが生成される。あるいは、一連のイメージが生成される。例えば、異なる期間における線量のイメージオブジェクトを使用して、時間の経過に伴う患者における線量を表すイメージのシーケンスを生成する。
【0094】
再構成からの機能情報の線量イメージを単独で表示する。あるいは、解剖学的イメージを機能イメージとともに表示する。例えば、機能イメージをCTイメージ上に重ね合わせる。オーバレイは、グレースケールCT画像上に表示するために線量を着色することができる。蓄積線量、ある時点での取り込み、CTイメージなど、他の組合せを用いてもよい。線量分布と定量的取込のイメージを生成して表示することができる。
【0095】
定量的SPECT又はPETの場合、イメージは、位置に対する線量値又は全体線量の英数字テキストでよい。複数の位置及び/又は時間における線量のグラフ、チャート、又は他の表現が出力されることがある。線量の分布を表す空間イメージは、位置による線量のレベルを表すために色又は輝度変調を使用することができる。1つの実施形態において、イメージを生成して、組織の種類別の平均的な定量的取り込みを示す。
【0096】
本発明を種々の実施形態を参照して上述したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更及び改造を実施できることは理解されるべきである。したがって、上記詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示として解されるものであり、本発明の精神及び範囲を定めるのは、全ての均等例を含む特許請求の範囲の記載に基づくものであることは理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5