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特許7551910プローブカード及びプローブカード補修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】プローブカード及びプローブカード補修方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240909BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G01R1/073 E
H01L21/66 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023516000
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016446
(87)【国際公開番号】W WO2022224438
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 浩
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-200271(JP,A)
【文献】特開2007-240787(JP,A)
【文献】特開平10-207039(JP,A)
【文献】中国実用新案第208400844(CN,U)
【文献】特開2008-216300(JP,A)
【文献】特開2008-091681(JP,A)
【文献】特開2007-123797(JP,A)
【文献】特開平08-062415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 1/06-1/073、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
プローブを取り付けるためのプローブ用電極パッドと、検査前に位置合わせを行うためのアライメントシンボルとが形成されたプローブ設置面を有する配線基板を備えたプローブカードを補修するプローブカード補修方法であって、
低反射シートの低反射面とは他方の添付面を前記プローブ設置面上に貼付するステップと、
前記低反射面よりも光反射率が高い高反射面を有する平板状の高反射チップの前記高反射面とは他方の貼付面を前記プローブ設置面上に貼付するステップとを備え、
前記高反射チップは、前記配線基板上に貼付された前記低反射シートのチップ配置孔内において露出する前記アライメントシンボル上に接着剤を介して貼付され、
前記接着剤が、前記高反射チップの貼付時に、前記高反射チップの前記貼付面側から前記高反射チップの貫通孔内へ進入した状態で硬化されることを特徴とするプローブカード補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカード及びプローブカード補修方法に係り、更に詳しくは、配線基板上にアライメント用の高反射チップが貼付されたプローブカード、並びに、当該高反射チップを用いてプローブカードを補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブカードは、半導体ウエハ上に形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する際に使用される検査装置であり、半導体ウエハ上の電極パッドにそれぞれ接触させる多数のプローブが配線基板上に設けられている。また、配線基板のプローブ設置面には、位置合わせのためのアライメントシンボルが形成されている。
【0003】
半導体デバイスの検査は、プローブカードに半導体ウエハを近づけてプローブの先端を半導体ウエハ上の電極パッドに接触させ、プローブ及び配線基板を介してテスター装置を半導体デバイスと導通させることにより行われる。また、検査前にアライメントシンボルをカメラで撮影することにより、プローブの先端が電極パッドに接触するようにプローブカードと半導体ウエハの位置合わせ(アライメント)が行われる。
【0004】
図9は、従来のプローブカードを構成する配線基板14の一例を示した図であり、プローブが設置されるプローブ設置面17を平面視した様子を示した図である。プローブ設置面17上には、多数のプローブ用電極パッド15と、4つのアライメントシンボル3とが形成され、各プローブ用電極パッド15には、プローブ16がそれぞれ取り付けられている。プローブ16は、検査対象物である半導体ウエハの電極パッドに対応する位置に配置されている。アライメントシンボル3は、配線基板14の外周縁部に略等間隔となるように形成されている。
【0005】
プローブ用電極パッド15及びアライメントシンボル3は、電気めっき法やエッチング法を用いたフォトリソグラフィ処理によりプローブ設置面17上に形成される金属膜又は樹脂膜である。アライメントシンボル3は、識別領域30及び周辺領域31により構成される。識別領域30は、高い反射率を有する金属材料からなり、予め定められた幾何学図形の平面形状を有する薄膜、例えば、円形のAu膜である。周辺領域31は、識別領域30を取り囲む領域であり、識別領域30よりも低い反射率を有する薄膜、例えば、樹脂膜である。識別領域30及び周辺領域31の反射率を異ならせることにより、カメラ撮影で取得した撮影画像から識別領域30の輪郭を容易に識別することができる。
【0006】
図10の(a)~(d)は、アライメントシンボル3に生じ得る様々な状態を示した図である。図中の(a)は、正常なアライメントシンボル3の様子が示されている。図中の(b)は、周辺領域31内に異物32が付着した場合の例である。異物32の反射率が高い場合、識別領域30の輪郭が正しく抽出できず、アライメントシンボル3が正しく認識できないおそれがある。図中の(c)は、周辺領域31にシミ33が発生し、周辺領域31内において反射率のばらつきが発生した場合の例である。この場合も、アライメントシンボル3が正しく認識できないおそれがある。図中の(d)は、識別領域30に傷34が発生した場合の例である。識別領域30の輪郭が変化し、アライメントシンボル3が正しく認識できないおそれがある。
【0007】
従来のプローブカードでは、アライメントシンボル3の識別領域30又は周辺領域31に傷や汚れなどの欠陥が発見された場合、配線基板14の全体を再製作する必要があるという問題があった。アライメントシンボル3は、フォトリソグラフィ処理により配線基板14上に形成されるため、欠陥が見つかったアライメントシンボル3を補修することができない。このため、アライメントシンボル3などに欠陥があれば、プローブ用電極パッド15等には問題がない場合であっても、不良品として破棄する必要があり、配線基板14の歩留まりを低下させる一因になっているという問題があった。
【0008】
アライメントシンボルを形成する従来の方法として、シート状部材を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、光反射面を有する金属部材からなる光反射部材が配線基板上に形成され、さらに光非反射面又は光拡散面を有するシート状部材を貼着して光反射面を覆った後、レーザー加工によりシート状部材に開口を形成して光反射面を部分的に露出させることにより、配線基板上にアライメントシンボルを形成する方法が記載されている。
【0009】
この方法は、アライメントシンボルに欠陥があった場合の補修方法ではないが、シート状部材を貼着する方法であるため、周辺領域の欠陥の補修にも適用可能であると考えられるが、識別領域の欠陥を補修することはできないという問題がある。さらに欠陥のあるアライメントシンボル上に光反射部材を形成し、さらに当該光反射部材上にシート状部材を貼付する方法により、シンボルの欠陥を補修することも考えられるが、シート状部材が高くなりすぎ、検査対象物と接触するおそれがある。
【0010】
また、従来のプローブカードでは、配線基板を製作した後に、当該配線基板にアライメントシンボルを設けることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2001-330626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、アライメント用の高反射チップを用いて、配線基板上にアライメントシンボルが形成されたプローブカードを提供することを目的とする。特に、アライメントシンボルに発生した欠陥を補修することができるプローブカードを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、アライメント用の高反射チップを用いて、アライメントシンボルに欠陥が発生したプローブカードを補修するプローブカード補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の本発明の実施態様によるプローブカードは、検査対象物と接触させるプローブと、前記プローブが取り付けられる配線基板と、前記配線基板のプローブ設置面に設けられたアライメント用の高反射チップと、を備え、前記高反射チップが、貫通孔を有する金属板からなり、接着剤を介して前記プローブ設置面に貼付される一方の面である貼付面と、他方の面である鏡面加工された高反射面とを有し、前記貼付面に形成された前記接着剤が前記貫通孔内に延びる隆起部を有するように構成される。
【0015】
接着剤を介して貼付することにより、微小な面積からなる高反射チップを配線基板上に容易に取り付けることができる。また、貼付面に形成された接着剤が貫通孔内に延びる隆起部を有することにより、高反射チップを配線基板上に強固に取り付けることができ、脱落を防止することができる。さらに、フォトリソグラフィ処理を必要としないため、配線基板に対し事後的にアライメントシンボルを追加することができ、例えば、アライメントシンボルに欠陥がある配線基板を修復することができる。
【0016】
第2の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記高反射チップに対応するチップ配置孔を有するシート形状からなり、前記高反射面よりも光反射率が低い一方の面である低反射面を有し、他方の面である添付面が前記プローブ設置面に貼付される低反射シートを備え、前記高反射チップが、前記チップ配置孔を介して露出する前記プローブ設置面上に貼付されるように構成される。
【0017】
このような構成を採用することにより、低反射面で囲まれ、高反射面の輪郭のコントラストが増大することにより、アライメント時のカメラ画像から容易に認識することができる。また、配線基板に対し事後的に低反射シートを追加することができ、例えば、アライメントシンボルの周辺領域に欠陥がある配線基板を修復することができる。さらに、高反射チップと低反射シートとが重複することなく配置され、高反射チップ及び低反射シートのプローブ取付面上における高さを抑制することができ、検査対象物への接触を回避することができる。
【0018】
第3の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記低反射シートが、カーボンを含有する樹脂シートからなり、両面テープを用いて貼付されるように構成される。
【0019】
このような構成を採用することにより、より大きな面積を有する低反射シートを両面テープで貼付し、より小さな面積を有する高反射チップを接着剤で貼付することができるので、貼付作業を容易化することができる。また、低反射シートにより接着剤が配線基板上に広がるのを抑制することができ、貼付作業を容易化することができる。
【0020】
第4の本発明の実施態様によるプローブカードの補修方法は、プローブを取り付けるためのプローブ用電極パッドと、検査前に位置合わせを行うためのアライメントシンボルとが形成されたプローブ設置面を有する配線基板を備えたプローブカードを補修するプローブカード補修方法であって、低反射シートの低反射面とは他方の添付面を前記プローブ設置面上に貼付するステップと、前記低反射面よりも光反射率が高い高反射面を有する平板状の高反射チップの前記高反射面とは他方の貼付面を前記プローブ設置面上に貼付するステップとを備え、前記高反射チップは、前記配線基板上に貼付された前記低反射シートのチップ配置孔内において露出する前記アライメントシンボル上に接着剤を介して貼付され、前記接着剤が、前記高反射チップの貼付時に、前記高反射チップの前記貼付面側から前記高反射チップの貫通孔内へ進入した状態で硬化されるように構成される。
【0021】
この様な構成を採用することにより、アライメントシンボルに欠陥が発生したプローブカードを補修することができる。また、低反射シートにより高反射チップ用の接着剤が配線基板上で広がるのを抑制することができる。また、低反射シートのチップ配置孔内に高反射チップを配置することにより、貼付作業を容易化することができる。さらに、低反射シートのチップ配置孔内に高反射チップを配置することにより、補修後のアライメントシンボルの高さを抑制することができ、検査対象物への接触を回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アライメント用の高反射チップを用いて、配線基板上にアライメントシンボルが形成されたプローブカードを提供することができる。特に、アライメントシンボルに発生した欠陥を補修することができるプローブカードを提供することができる。
【0023】
さらに、アライメント用の高反射チップを用いて、アライメントシンボルに欠陥が発生したプローブカードを補修するプローブカード補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態1によるプローブカード10の概略構成の一例を示した図である。
図2】初期シンボル3Aの一構成例を示した図である。
図3】シンボル補修時の様子を模式的に示した図である。
図4】補修シンボル3Bの一構成例を示した図である。
図5】シンボル補修時の様子の一例を時系列に示した図である。
図6】高反射チップ4の製作方法の一例を時系列に示した図である。
図7】実施の形態2によるシンボル補修時の様子の一例を時系列に示した図である。
図8】実施の形態3によるシンボル形成時の様子の一例を時系列に示した図である。
図9】従来のプローブカードを構成する配線基板14の一例を示した図である。
図10】アライメントシンボル3に生じ得る様々な状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
(1)プローブカード10
図1は、本発明の実施の形態1によるプローブカード10の概略構成の一例を示した図である。プローブカード10は、プローブ設置面17を下に向けた状態でウエハプローバーに取り付けられ、ステージ26上に載置された半導体ウエハ20の電極パッド21と対向し、ステージ26を上下動することにより、プローブ16を電極パッド21に接触させることができる。
【0026】
プローブカード10は、メイン基板11、補強板12、インターポーザー13、ST(Space Transformer)基板14及び2以上のプローブ16により構成される。
【0027】
メイン基板11は、ウエハプローバーに着脱可能に取り付けられる配線基板であり、例えば、円板状のガラスエポキシ基板が用いられる。メイン基板11は、下面の外周縁部がウエハプローバーのカードホルダ25により支持され、略水平に配置される。メイン基板11の上面の中央部には、メイン基板11の歪みを抑制するための補強板12が取り付けられ、上面の外周縁部には、テスター装置(不図示)の信号端子が接続される2以上の外部端子11tが設けられている。
【0028】
インターポーザー13は、メイン基板11及びST基板14間に配置され、メイン基板11の配線及びST基板14の配線を導通させる基板間の接続手段であり、例えば、多数のポゴピンを備えている。
【0029】
ST基板14は、電極ピッチを変換する多層配線基板、例えば、2以上のセラミック板を貼り合わせた積層板である。ST基板14は、インターポーザー13を介して、メイン基板11の下面側に配置される。プローブ設置面17は、ST基板14の下面であり、2以上のプローブ用電極パッド15と、2以上のアライメントシンボル3とが形成されている。
【0030】
プローブ用電極パッド15及びアライメントシンボル3は、電気めっき法又はエッチング法を用いたフォトリソグラフィ処理によりプローブ設置面17上に形成される金属膜又は樹脂膜である。プローブ用電極パッド15は、プローブが接続される電極であり、半導体ウエハ20上の電極パッド21に対応するように形成されている。
【0031】
ステージ26は、半導体ウエハ20の載置台であり、水平面内における移動及び回転、並びに、上下方向の移動が可能である。カメラ27は、アライメントシンボル3を撮影する撮像手段であり、ステージ26を移動させながら撮影することにより、アライメントシンボル3の位置を検知し、プローブカード10に対する半導体ウエハ20の位置合わせを行う。
【0032】
(2)初期シンボル3A
図2は、初期シンボル3Aの一構成例を示した図であり、図中の(a)は、カメラ27により撮影されるシンボル面を平面視した図であり、(b)は、A-A切断線により切断したときの様子を示した断面図(A-A断面図)である。
【0033】
初期シンボル3Aは、フォトリソグラフィ処理により配線基板14上に形成されるアライメントシンボル3であり、識別領域30及び周辺領域31により構成される。識別領域30は、高い光反射率を有する高反射面として形成される領域であり、例えば、配線基板14上に形成された金属膜からなる。周辺領域31は、識別領域30よりも低い光反射率を有する低反射面として形成される領域であり、例えば、配線基板14上に形成された樹脂膜からなる。周辺領域31は、識別領域30を取り囲むように形成され、アライメント時のカメラ画像において、識別領域30の輪郭を容易に認識することができる。図示した識別領域30は円形であり、周辺領域31は矩形であるが、いずれも任意の形状を採用することができる。
【0034】
(3)補修シンボル3B
図3は、シンボル補修時の様子を模式的に示した図である。図4は、補修シンボル3Bの一構成例を示した図であり、図中の(a)は、カメラ27により撮影されるシンボル面を平面視した図であり、(b)は、B-B切断線により切断したときの様子を示した断面図(B-B断面図)である。
【0035】
補修シンボル3Bは、初期シンボル3Aに欠陥が発見された場合に配線基板14を補修することによって形成されるアライメントシンボル3である。配線基板14上に2以上の初期シンボル3Aが形成されている場合、シンボル補修は、全ての初期シンボル3Aについて行うこともできるが、一部の初期シンボル3Aについてのみ行うこともできる。
【0036】
補修シンボル3Bは、初期シンボル3A上に形成されるアライメントシンボル3であり、高反射チップ4及び低反射シート5により構成される。高反射チップ4は、高反射面及び貼付面を有する金属板であり、初期シンボル3A上に貼付される。高反射面は、高い光反射率を有する面、例えば鏡面加工された面であり、カメラ27により輪郭が識別される識別領域を形成する。貼付面は、高反射面とは他方の面であり、接着剤6を介して初期シンボル3Aの識別領域30上に貼付される。
【0037】
低反射シート5は、低反射面及び添付面を有するシート材、例えばカーボンを含有する樹脂シートであり、初期シンボル3A上に貼付される。低反射面は、高反射チップ4の高反射面よりも低い光反射率を有する面であり、高反射面の輪郭のコントラストを向上させる周辺領域を形成する。添付面は、低反射面とは他方の面であり、両面テープ7を介して初期シンボル3Aの周辺領域31上に貼付される。
【0038】
図示した高反射チップ4は円形であり、低反射シート5は矩形であるが、いずれも任意の形状を採用することができる。高反射チップ4及び低反射シート5の外形は、初期シンボル3Aの識別領域30及び周辺領域31の外形とそれぞれ一致していることが望ましいが、異なっていてもよい。
【0039】
低反射シート5は、チップ配置孔51を有し、高反射チップ4は、チップ配置孔51内に配置される。このため、高反射チップ4の高反射面は、低反射シート5の低反射面により取り囲まれ、アライメント時のカメラ画像において、高反射チップ4の高反射面の輪郭を容易に認識することができる。また、チップ配置孔51は、低反射シート5の貫通孔であり、高反射チップ4に対応する形状を有する。このため、高反射チップ4は、低反射シート5と重なることなく配線基板14上に配置することができる。従って、補修シンボル3Bの配線基板14上における高さを抑制することができる。
【0040】
高反射チップ4は、固着用貫通孔41を有する。接着剤6は、高反射チップ4の貼付面だけでなく、固着用貫通孔41内にも設けられる。固着用貫通孔41内を接着剤6で充填することにより、高反射チップ4が配線基板14に強固に固着され、脱落しにくくなる。
【0041】
接着剤6は、当該貼付面と識別領域30の間に配置される薄層部60と、薄層部60から固着用貫通孔41内に向かって鉛直方向に隆起する隆起部61からなり、薄層部60及び隆起部61は連続するように形成される。隆起部61は、高反射チップの4の貼付面側から固着用貫通孔41内に向かって延びる形状であればよく、固着用貫通孔41内が接着剤6で完全に満たされていなくてもよい。つまり、隆起部61が高反射チップ4の高反射面に到達せず、固着用貫通孔41内の高反射面側には空間が残っていてもよい。
【0042】
(4)シンボル補修方法
図5の(a)~(c)は、シンボル補修時の様子の一例を時系列に示した図である。図中の(a)には、低反射シート5を貼付する様子が示されている。低反射シート5の添付面に取り付けられた両面テープ7の剥離紙71を剥離し、初期シンボル3A上に低反射シート5が貼付される。このとき、周辺領域31に対応する位置に低反射シート5が貼付される。チップ配置孔51は、配線基板14上に貼付される前の低反射シート5に予め形成されている。
【0043】
図中の(b)は、高反射チップ4を貼付する様子が示されている。高反射チップ4の貼付は、低反射シート5の貼付後に行われる。高反射チップ4は、貼付面に接着剤6が塗布された後、低反射シート5のチップ配置孔51内において露出する初期シンボル3A上に貼付される。このとき、識別領域30に対応する位置に高反射チップ4が貼付される。接着剤6を用いて貼付することにより、また、先に貼付された低反射シート5のチップ配置孔51内に配置することにより、微小な面積を有する高反射チップ4を容易に貼付することができる。
【0044】
図中の(c)は、高反射チップ4の貼付後の様子が示されている。高反射チップ4を貼付する際、高反射チップ4に加える押圧力により、貼付面に塗布された接着剤6が固着用貫通孔41内に進入する。この状態で接着剤6を硬化させることにより、高反射チップ4の貼付面側の薄層部60から固着用貫通孔41内に延びる隆起部61が形成される。
【0045】
接着剤6は、高反射チップ4への塗布時には液体であるが、その後の乾燥、加熱又は化学反応により硬化する材料、例えば、黒色のエポキシ樹脂が用いられる。高反射チップ4を低反射シート5のチップ配置孔51内に配置することにより、硬化前の接着剤6が、チップ配置孔51よりも外側に流れ出ず、接着剤6が配線基板14上を流れて広がるのを防止することができる。
【0046】
また、接着剤6は、高反射チップ4の高反射面よりも低反射率であることが望ましく、カーボンを含有することが望ましい。例えば、接着剤6が粉末状のカーボンを含有していれば、低反射率になる。このため、接着剤6が、高反射チップ4と低反射シート5の隙間に形成されている場合に高反射チップ4の輪郭のコントラストが低下するのを防止することができる。
【0047】
(5)高反射チップ4の製作方法
図6の(a)~(e)は、高反射チップ4の製作方法の一例を時系列に示した図である。金属板400の一方の面にフォトレジスト401が塗布され、露光及び現像処理されることにより一部の領域が選択的に除去される。その結果、高反射チップ4の一方の面、例えば高反射面に対応する領域にフォトレジスト401が形成される(図中の(a))。次に、金属板400の一方の面のうち、フォトレジスト401が形成されていない領域がエッチング処理され、凹部402が形成される(図中の(b))。
【0048】
その後、金属板400の他方の面にもフォトレジスト403が塗布され、露光及び現像処理されることにより一部の領域が選択的に除去される。その結果、高反射チップ4の他方の面、例えば貼付面に対応する領域にフォトレジスト403が形成される(図中の(c))。次に、金属板400の他方の面のうち、フォトレジスト403が形成されていない領域がエッチング処理され、凹部404が形成される(図中の(d))。このとき、互いに対向する上下の凹部402,404により、外周面及び固着用貫通孔41が形成され、高反射チップ4が得られる(図中の(e))。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態1では、初期シンボル3A上に高反射チップ4及び低反射シート5を貼付することにより補修シンボル3Bを形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、高反射チップ4のみを貼付することにより補修シンボル3Cを形成する場合について説明する。なお、実施の形態1の場合と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
図7の(a)及び(b)は、実施の形態2によるシンボル補修時の様子の一例を時系列に示した図である。補修シンボル3Cは、初期シンボル3Aの識別領域30に欠陥が発見された場合に行われる補修によって形成されるアライメントシンボル3であり、高反射チップ4と、初期シンボル3Aの周辺領域31とにより構成される。つまり、補修シンボル3Cは、低反射シート5を用いない点で補修シンボル3B(実施の形態1)とは異なる。
【0051】
補修シンボル3Cは、初期シンボル3A上に高反射チップ4を貼付することにより形成される。高反射チップ4の高反射面は、より低い光反射率を有する周辺領域31の低反射面により取り囲まれるため、アライメント時のカメラ画像において、高反射チップ4の輪郭を容易に認識することができる。
【0052】
実施の形態1の場合と同様、高反射チップ4は、接着剤6を介して初期シンボル3A上に貼付される。このため、微小な面積を有する高反射チップ4を容易に貼付することができる。また、高反射チップ4は、固着用貫通孔41を有し、接着剤6が固着用貫通孔41内に延びるように形成される。このため、容易に脱落しないように、高反射チップ4を強固に固着することができる。
【0053】
実施の形態3.
上記実施の形態では、初期シンボル3Aに欠陥がある場合に、初期シンボル3A上に補修シンボルを形成する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、配線基板14上の初期シンボル3Aが形成されていない領域に、追加シンボル3Dを新たに形成する場合について説明する。なお、実施の形態1の場合と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
図8の(a)~(c)は、実施の形態3によるシンボル形成時の様子の一例を時系列に示した図である。追加シンボル3Dは、フォトリソグラフィ処理を用いることなく配線基板14上に形成されるアライメントシンボル3である。追加シンボル3Dは、初期シンボル3Aを補修するために形成されるものではなく、配線基板14上の初期シンボル3Aが形成されてない領域に新たに形成されるアライメントシンボル3である点で補修シンボル3B,3C(実施の形態1及び2)とは異なる。
【0055】
図中の(a)には、低反射シート5を貼付する様子が示されている。低反射シート5の添付面に取り付けられた両面テープ7の剥離紙71を剥離し、配線基板14上に低反射シート5が貼付される。
【0056】
図中の(b)は、高反射チップ4を貼付する様子が示されている。高反射チップ4の貼付は、低反射シート5の貼付後に行われる。高反射チップ4は、貼付面に接着剤6が塗布された後、低反射シート5のチップ配置孔51内において露出する配線基板14上に貼付される。
【0057】
図中の(c)は、高反射チップ4の貼付後の様子が示されている。高反射チップ4を貼付することにより、貼付面に塗布された接着剤6が固着用貫通孔41内に進入する。この状態で接着剤6を硬化させることにより、高反射チップ4の貼付面側の薄層部60から貫通孔41内に延びる隆起部61が形成される。
【符号の説明】
【0058】
10 プローブカード
11 メイン基板
12 補強板
13 インターポーザー
14 ST基板
15 プローブ用電極パッド
16 プローブ
17 プローブ設置面
27 カメラ
3 アライメントシンボル
3A 初期シンボル
3B,3C 補修シンボル
3D 追加シンボル
30 識別領域
31 周辺領域
32 異物
33 シミ
34 傷
4 高反射チップ
41 固着用貫通孔
400 金属板
401,403 フォトレジスト
402,404 凹部
5 低反射シート
51 チップ配置孔
6 接着剤
60 薄層部
61 隆起部
7 両面テープ
71 剥離紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10