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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240909BHJP
【FI】
G06Q30/0201
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023517078
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005992
(87)【国際公開番号】W WO2022230311
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021077495
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中川 智尋
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一也
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144937(JP,A)
【文献】特開2015-037244(JP,A)
【文献】特開2016-024704(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111309977(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ管理データベースにおいて管理されている第1のユーザIDに対応する位置情報から位置ベクトルを生成する位置ベクトル生成部と、
前記ユーザ管理データベースとは異なる他のユーザ管理データベースで管理されている第2のユーザIDに対応する行動情報から行動ベクトルを生成する行動ベクトル生成部と、
前記位置ベクトルと前記行動ベクトルとに基づいて、前記第1のユーザIDのユーザおよび前記第2のユーザIDのユーザの同一性を判定する判定部と、
を備え、
前記位置ベクトル生成部は、複数の第1のユーザIDのそれぞれの位置ベクトルを生成し、
前記行動ベクトル生成部は、複数の第2のユーザIDのそれぞれの行動ベクトルを生成し、
前記位置ベクトル生成部は、一または複数の特定地点ごとにおける複数の前記第1のユーザIDのそれぞれの位置ベクトルを生成し、
前記行動ベクトル生成部は、一または複数の特定地点ごとにおける複数の前記第2のユーザIDのそれぞれの行動ベクトルを生成する、
判定装置。
【請求項2】
前記位置情報および前記行動情報から、前記特定地点におけるユーザの滞在時間を取得する滞在時間取得部をさらに備え、
前記位置ベクトル生成部および前記行動ベクトル生成部は、前記特定地点における前記滞在時間に基づいて、前記特定地点における位置ベクトルまたは行動ベクトルを生成する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記一または複数の位置ベクトルと前記一または複数の行動ベクトルとのそれぞれの組み合わせに対して算出された、位置ベクトルと行動ベクトルとの類似度に基づいて、同じユーザと判定できる前記第1のユーザIDと前記第2のユーザIDとの組合せを判定する、
請求項1または2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、同じユーザと判定できる前記第1のユーザIDと前記第2のユーザIDとの組合せを除外した他の第1のユーザIDの位置ベクトルおよび他の第2のユーザIDの行動ベクトルを用いて、当該位置ベクトルおよび当該行動ベクトルとの類似度を算出して、前記他の第1のユーザIDのユーザと前記他の第2のユーザIDのユーザとの同一性を判定する、
請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
ユーザ管理データベースにおいて管理されている複数の第1のユーザIDに対応する位置情報からそれぞれの位置ベクトルを生成する位置ベクトル生成部と、
前記ユーザ管理データベースとは異なる他のユーザ管理データベースで管理されている複数の第2のユーザIDに対応する行動情報からそれぞれの行動ベクトルを生成する行動ベクトル生成部と、
前記位置ベクトルと前記行動ベクトルとに基づいて、前記第1のユーザIDのユーザおよび前記第2のユーザIDのユーザの同一性を判定する判定部と、
前記複数の第1のユーザIDの位置ベクトルと、前記複数の第2のユーザIDの行動ベクトルとのそれぞれの組み合わせにおける複数の類似度を算出する類似度算出部と、を備え、
前記判定部は、
前記一または複数の位置ベクトルと前記一または複数の行動ベクトルとのそれぞれの組み合わせに対して算出された、位置ベクトルと行動ベクトルとの類似度に基づいて、同じユーザと判定できる前記第1のユーザIDと前記第2のユーザIDとの組合せを判定し、
一の第1のユーザIDの位置ベクトルと前記複数の第2のユーザIDそれぞれの行動ベクトルとの複数の類似度のうち、当該類似度が所定条件を満たした第2のユーザIDと、
一の第2のユーザIDの行動ベクトルと前記複数の第1のユーザIDそれぞれの位置ベクトルとの複数の類似度のうち、当該類似度が所定条件を満たした第1のユーザIDと、
を導出し、
前記一の第1のユーザIDと、前記類似度が所定条件を満たした第1のユーザIDとが一致し、
前記一の第2のユーザIDと、前記類似度が所定条件を満たした第2のユーザIDとが一致した場合、
前記一の第1のユーザIDのユーザと前記一の第2のユーザIDのユーザとは、同一であると判定する、
判定装置。
【請求項6】
前記所定条件とは、最大値または所定値以上である、請求項5に記載の判定装置。
【請求項7】
ユーザ管理データベースにおいて管理されている第1のユーザIDに対応する位置情報から位置ベクトルを生成する位置ベクトル生成部と、
前記ユーザ管理データベースとは異なる他のユーザ管理データベースで管理されている第2のユーザIDに対応する行動情報から行動ベクトルを生成する行動ベクトル生成部と、
前記位置ベクトルと前記行動ベクトルとに基づいて、前記第1のユーザIDのユーザおよび前記第2のユーザIDのユーザの同一性を判定する判定部と、
を備え、
一の学習用ユーザIDにおいて、ベクトルの要素を計算するパラメータを変えて、学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルを複数生成する学習用ベクトル生成部と、
前記パラメータを共通にする前記学習用位置ベクトルと前記学習用行動ベクトルとの類似度を算出して、当該類似度に基づいて一のパラメータを決定する決定部と、
に基づいて、前記一のパラメータは決定されており、
前記位置ベクトル生成部および前記行動ベクトル生成部は、前記一のパラメータに基づいて前記位置ベクトルおよび前記行動ベクトルを生成する、
判定装置。
【請求項8】
前記学習用ベクトル生成部は、学習用位置情報および学習用行動情報のうち少なくともいずれか一方に含まれている、予め定められた特定地点におけるユーザの滞在時間を取得し、
前記学習用ベクトル生成部は、前記滞在時間に基づいて、前記特定地点における学習用位置ベクトルまたは学習用行動ベクトルを生成する、
請求項7に記載の判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザIDの判定を行う判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1または特許文献2には、異なるユーザデータベースから位置情報同士を比較することで、異なるユーザIDのユーザが、同じユーザであるか否かを判定する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-168273号公報
【文献】特開2012-234589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、異なるユーザデータベースにおいては、ユーザIDは異なっている。従って、ユーザIDに紐付くユーザが、店舗等の位置情報に基づいて同じ位置にいることを滞在時間等に基づいて判定することになる。その場合、閾値を設定することでユーザがその位置に滞在しているか否かを判定することができる。しかしながら、店舗の平均的な利用時間(滞在時間)は、店舗の業態または店舗規模によって異なるため、適切な設定をすることは困難である。
【0005】
そこで、上述の課題を解決するために本発明は、異なるユーザデータベースにおけるユーザIDが同じユーザであるか否かを高精度で判定することができる判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の判定装置は、ユーザ管理データベースにおいて管理されている第1のユーザIDに対応する位置情報から位置ベクトルを生成する位置ベクトル生成部と、前記ユーザ管理データベースとは異なる他のユーザ管理データベースで管理されている第2のユーザIDに対応する行動情報から行動ベクトルを生成する行動ベクトル生成部と、前記位置ベクトルと前記行動ベクトルとに基づいて、前記第1のユーザIDのユーザおよび前記第2のユーザIDのユーザの同一性を判定する判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、異なるデータベースで管理されているユーザIDにおけるユーザの同一性を高精度で判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示におけるID判定装置100を用いたデータ連携方法を示す概念図である。
図2】行動ベクトルおよび位置ベクトルを示す説明図である。
図3】ID判定装置100の機能構成を示すブロック図である。
図4】位置ベクトルおよび行動ベクトルの具体例を示す図である。
図5】類似度行列の生成処理および更新処理を示す図である。
図6】学習用ベクトル生成部107および閾値学習部108の動作を示す説明図である。
図7】ID判定装置100の判定処理を示すフローチャートである。
図8】学習処理を行うID判定装置100の動作を示すフローチャートである。
図9】本開示の一実施の形態に係るID判定装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、本開示におけるID判定装置100を用いたデータ連携方法を示す概念図である。図に示されるとおり、ID判定装置100は、決済データKおよび位置情報データLを入力する。決済データKは、ユーザIDごとに購入時刻、購入店舗、および購入商品を対応付けている。位置情報データLは、ユーザIDごとに、位置情報を登録した時刻およびそのときの座標情報を対応付けている。
【0011】
決済データKは、クレジットカード、QRコード決済、ICカード決済、またはその他キャッシュレス決済に基づいて決済された店舗(特定地点)およびその決済時刻を示している。この決済データKは、キャッシュレス決済を運営している決済事業者(クレジットカード会社など)によって管理(記憶)されている。なお、ポイントカードを用いたデータを利用して、ユーザが商品購入した店舗(位置)およびその時刻を利用してもよい。
【0012】
位置情報データLは、携帯電話およびスマートフォンなどの携帯端末が移動体通信網に通信接続する際に行われる位置登録に基づいた情報である。この位置情報データLは、移動体通信網を運営している通信事業者によって管理されている。なお、これに限らず、携帯端末がGPSを利用して測位した情報を利用してもよい。
【0013】
一般的に、決済データKと位置情報データLとは、運営事業者が異なっているため、同じユーザであってもユーザIDは異なる。本開示のID判定装置100は、同じユーザを示すそれぞれ異なるユーザIDを紐付けるための判定を行う。
【0014】
図1においては、ID判定装置100は、決済データKおよび位置情報データLから一致するユーザUおよび不一致ユーザU1を抽出する。そして、一致するユーザUにおけるユーザIDを紐付ける。ID判定装置100がこのようにユーザが一致する異なるユーザIDを判定することで、広告配信装置(図示せず)は、これを利用して、異なるユーザID宛に対して同一ユーザであることを前提とした広告配信等を行うことができる。したがって、効果的な広告配信および送客を実現できる。
【0015】
図2は、行動ベクトルおよび位置ベクトルを示す説明図である。図に示されるとおり、ID判定装置100は、決済データDB200および位置情報データDB300からそれぞれ決済データKおよび位置情報データLを取り出し、それぞれ行動ベクトルおよび位置ベクトルを、ユーザIDごとに生成する。そして、ID判定装置100は、決済データKおよび位置情報データLのコサイン類似度を算出する。ID判定装置100は、コサイン類似度が所定値以上のユーザIDの組み合わせは、同じユーザであると判定する。なお、類似度を算出する方法として、コサイン類似度以外にも、ユークリッド距離を用いた方法など種々の方法を利用してもよい。
【0016】
つぎに、このID判定装置100の詳細な構成について説明する。図3は、ID判定装置100の機能構成を示すブロック図である。図に示されるとおり、ID判定装置100は、行動ベクトル生成部101、位置ベクトル生成部102、類似度行列生成部103(類似度算出部)、ID判定部104、類似度行列更新部105、および滞在時間計算部106、学習用ベクトル生成部107(取得部)、および閾値学習部108(決定部)を含んで構成されている。また、ID判定装置100は、決済データDB200、位置情報データDB300、および学習用データDB400(記憶部)と通信接続可能に構成されており、各種データを取得することができる。
【0017】
行動ベクトル生成部101は、決済データKから行動ベクトルを生成する部分である。行動ベクトルは、ユーザIDごとおよび店舗IDごとに、購買の有無を時間帯ごとに2値(または多値でもよい)で示して、構成される。図4(a)では、時間帯は、1時間単位で示されている。すなわち、行動ベクトルは、店舗IDで示される店舗でユーザが購入した時間帯を示しており、言い換えると、ユーザがその店舗に、どの時間帯にいたのかを示す。
【0018】
位置ベクトル生成部102は、位置情報データLから位置ベクトルを生成する部分である。位置ベクトルは、ユーザIDごとおよびメッシュIDごとに、位置登録の有無を時間帯ごとに2値(または多値でもよい)で示して、構成される。図4(b)では、時間帯は、1時間単位で示されている。すなわち、位置ベクトルは、メッシュIDで示される地域にユーザが滞在した時間帯を示す。
【0019】
なお、行動ベクトル生成部101および位置ベクトル生成部102は、滞在時間計算部106が計算した各メッシュおよび各店舗に滞在していた時間に基づいた滞在の有無をベクトルに反映してもよい。例えば、所定時間以上、メッシュおよび店舗に滞在していた場合に、位置ベクトルおよび行動ベクトルにユーザが滞在していたことを示すようにしてもよい。
【0020】
類似度行列生成部103は、判定対象とする店舗ごとに、類渡行列を生成する部分である。なお、その比較対象となる位置ベクトルは、当該店舗付近のメッシュIDを含んだ位置ベクトルが利用される。
【0021】
より詳細には、類似度行列生成部103は、判定対象となる店舗IDおよび当該店舗の近辺を示すメッシュIDを含んだ行動ベクトルおよち位置ベクトルを取得する。そして、一のユーザIDの行動ベクトルと、他のユーザIDそれぞれの位置ベクトルとの類似度を算出する。全てのユーザIDの行動ベクトルに対して、それぞれ他のユーザIDの位置ベクトルに対する類似度算出を行うことで、ある位置(店舗またはメッシュ)におけるユーザID同士の類似度行列を生成する。
【0022】
図5(a)は、その模式図である。図に示されるとおり、類似度行列生成部103は、一のユーザの行動ベクトルと、他の全てのユーザの位置ベクトルそれぞれとの類似度を計算し、行列を構成する要素(成分)とする。また、類似度行列生成部103は、一のユーザとは別の他のユーザの行動ベクトルと、他の全てのユーザの位置ベクトルそれぞれとの類似度を計算し、それを行列を構成する要素(成分)とする。類似度行列生成部103は、全てのユーザの行動ベクトルに対して上記処理を行うことで、類似度行列を生成する。
【0023】
図5(a)は、類似度行列の模式図を示し、ユーザID:1~5のそれぞれの行動ベクトルと、ユーザID:A~Eの位置ベクトルとの類似度を行列の要素として、類似度行列が構成されている。本開示では、類似度は、0~100の間となるよう調整された値としているが、当然にそのような処理に限定されるものではない。
【0024】
ID判定部104は、類似度行列の各要素が最大値であるユーザIDの組合せを選択して、それらユーザIDは、同じユーザに紐付けられたユーザIDであることを判定する部分である。例えば、ID判定部104は、一のユーザIDの位置ベクトルと、全ての他のユーザIDの行動ベクトルそれぞれとの類似度のうち、類似度が最大となる他のユーザIDが示すユーザは、一のユーザIDが示すユーザと同じである可能性が高いと判定する。
【0025】
そして、ID判定部104は、当該他のユーザID(行動ベクトル)の類似度行列の行をみて、上記一のユーザIDとの類似度が最大であれば、一のユーザID(位置ベクトル)と他のユーザID(行動ベクトル)とは同じユーザであると判定する。
【0026】
一方で、ID判定部104は、当該他のユーザID(行動ベクトル)の類似度行列の行をみて、上記一のユーザIDとの類似度が最大でないのであれば、一のユーザID(位置ベクトル)と他のユーザID(行動ベクトル)とは同じユーザではないと判定する。
【0027】
図5(a)を参照すると、ユーザID:Bの列において、ユーザID:2との類似度は、他のユーザID:1、3、4、および5との組合せより高く、最大値であるとする。また、ユーザID:2の行において、ユーザID:Bとの類似度は、他のユーザID:A、C、D、およびEとの組合せより高く、最大値であるとする。この場合、ID判定部104は、このような最大値となるユーザIDの組み合わせである、ユーザID:2、ユーザID:Bを選択して、これらユーザIDは、同じユーザであると判定する。図5(a)では、ユーザID:3、ユーザID:Cの組み合わせも、同じユーザであると判定する。
【0028】
また、ユーザID:Dの列において、ユーザID:1との類似度は、他のユーザID:2、3、4、および5との組合せより高く、最大値であるとする。しかしながら、ユーザID:1の行において、ユーザID:Bとの類似度が最大値である。このような場合には、ID判定部104は、ユーザID:1とユーザID:Dとは、同じユーザではないと判定する。
【0029】
上記説明では、類似度が最大ととなるユーザIDの組合せを同じユーザであると判定しているが、これに限るものではない。類似度が所定値以上であるユーザIDの組合せをユーザと判定してもよい場合がある。
【0030】
ID判定部104は、行動ベクトルのユーザIDからみた、位置ベクトルとの類似度が最大となるユーザIDと、位置ベクトルのユーザIDからみた、行動ベクトルのユーザIDとの類似度が最大となるユーザIDとが、一致する場合、その組合せとなるユーザIDのユーザを同一のユーザと判定する(図5(b)参照)。
【0031】
類似度行列更新部105は、ID判定部104で選択されたユーザIDを除外した新たな類似度行列を生成する部分である。ID判定部104は、これを使ってさらにユーザIDの組合せを選択する。
【0032】
図5(c)を参照すると、同一ユーザと判定された行および列が削除されている。ここでは、ユーザID:B、C、ユーザID:2、3のベクトル要素が削除される。
【0033】
滞在時間計算部106は、学習用データDB400から学習用データを取り出し、メッシュIDで示されるメッシュ(地域)または店舗IDで示される店舗、に滞在する時間を計算する部分である。学習用データは、位置情報データおよび決済データからなり、時間情報を含んでいる。滞在時間計算部106は、その時間情報に基づいてメッシュまたは店舗にユーザが滞在した時間を把握する。また、滞在時間計算部106は、決済データDB200および位置情報データDB300の情報に基づいて各メッシュおよび各店舗に滞在した時間を計算してもよい。
【0034】
学習用ベクトル生成部107は、学習用データDB400から学習用データを取得し、当該学習用データから、ユーザIDごとおよびメッシュごとに、学習用位置ベクトルを生成し、また、ユーザIDおよび店舗IDごとに、学習用行動ベクトルを生成する部分である。学習用データDB400は、ユーザIDを共通にして、位置情報と決済データとを記憶している。例えば、学習用データDB400は、携帯端末の位置登録の管理と、決済データを管理する事業者により管理されている。例えば、近年の通信事業者は、移動体通信網を運営するとともに、キャッシュレスサービス等も運営している。
【0035】
学習用ベクトル生成部107は、これを利用して、ユーザIDごとに、学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルを生成する。これら学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルは、上述した位置ベクトルおよび行動ベクトルと同じであるが、その解像度が変わる。
【0036】
すなわち、学習用ベクトル生成部107は、まずは1時間単位をベクトルの要素とする位置ベクトルおよび行動ベクトルを生成する。その後、閾値学習部108による判定に基づいて、その単位を変えたベクトルを作り替える。
【0037】
また、学習用ベクトル生成部107は、ユーザがメッシュまたは店舗に滞在した時間を、滞在時間計算部106から取得し、その時間に基づいて、ベクトルの要素に滞在の有無を含ませる。例えば、ユーザが、メッシュまたは店舗に長時間いた場合と、通り過ぎた場合とでは、ベクトルとしての扱いが変わるためである。なお、学習用ベクトル生成部107は、所定時間滞在した場合に、ベクトルの要素を1とするが、それに限るものではなく、例えば、ベクトル要素を滞在時間について関数f(t)であらわしてもよい。この場合、要素は、0~1の間の連続値で表される。
【0038】
閾値学習部108は、学習用ベクトル生成部107により生成された位置ベクトルおよび行動ベクトルの類似度を計算して、適切なベクトルの要素を計算するパラメータ(例えば時間帯幅)を学習する部分である。すなわち、閾値学習部108は、位置ベクトルおよび行動ベクトルの類似度が所定値以下である場合には、学習用ベクトル生成部107に対してベクトルの再生成を指示し、適切なパラメータを学習する。
【0039】
学習用ベクトル生成部107は、その指示を受けると、ベクトルの要素を計算するパラメータを変えて、位置ベクトルおよび行動ベクトルを生成する。例えば、学習用ベクトル生成部107は、位置ベクトルおよび行動ベクトルの要素のパラメータ(時間帯幅)は1時間であったが、それを拡大して、例えば2時間とした位置ベクトルおよび行動ベクトルを生成する。
【0040】
閾値学習部108は、再生成された位置ベクトルおよび行動ベクトルに基づいて類似度を計算し、それが所定値以上である場合に、そのベクトルの要素を計算したパラメータを閾値として学習する。閾値学習部108は、当該閾値を行動ベクトル生成部101および位置ベクトル生成部102に送る。行動ベクトル生成部101および位置ベクトル生成部102は、学習されたパラメータに基づいて行動ベクトルおよび位置ベクトルを生成する。
【0041】
上記パラメータは、時間帯幅を示す時間解像度を例に説明したが、これに限るものではなく、メッシュの大きさを定義した地理解像度を加えてもよい。例えば、メッシュの大きさを徐々に大きくすることにより、ベクトルは同じような構成となり、その類似度が高くなる。また、時間解像度または地理解像度のみ調整ししてもよい。
【0042】
図6は、学習用ベクトル生成部107および閾値学習部108の動作を示す説明図である。学習用データDB400から、学習用データGとして、ユーザID、位置情報データおよび決済データが取り出される。ユーザIDは、位置情報データおよび決済データの両者において共通のIDである。
【0043】
学習用ベクトル生成部107は、所定のパラメータ(時間解像度および地理的解像度)に基づいて、位置情報データから位置ベクトルを求め、決済データから行動ベクトルを求める(S11)。
【0044】
閾値学習部108は、類似度を算出する(S12)。閾値学習部108は、類似度が所定値以上ではないと判定すると、学習用ベクトル生成部107に、ベクトル要素のパラメータを変えたベクトル生成の指示を出力する。例えば、時間解像度の時間幅を広げ、および/または地理解像度のメッシュ幅を広げる、などの指示を行う。
【0045】
学習用ベクトル生成部107は、所定の類似度を得るまでパラメータを変えたベクトルを生成する。例えば、時間解像度として、ベクトル要素の時間間隔を広げ、また地理的解像度として、メッシュ単位を大きくした学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルを生成する(S13)。
【0046】
閾値学習部108は、類似度が所定の条件を満たしたパラメータ(時間解像度および地理解像度)を決定し、行動ベクトル生成部101および位置ベクトル生成部102に通知して、当該解像度によるベクトル生成を行わせる(S14)。
【0047】
これにより、適切なパラメータで位置ベクトルおよび行動ベクトルを生成することができる。
【0048】
つぎに、本開示のID判定装置100の動作について説明する。図7は、ID判定装置100の判定処理を示すフローチャートである。位置ベクトル生成部102は、位置ベクトルを生成する(S101)。行動ベクトル生成部101は、行動ベクトルを生成する(S102)。類似度行列生成部103は、ベクトル間の類似度を示す類似度行列を生成する(S103)。
【0049】
ID判定部104は、同一ユーザのユーザIDの組み合わせを、位置ベクトルと行動ベクトルとの類似度に基づいて判定する(S104)。類似度行列更新部105は、ユーザIDの組み合わせを除外した類似度行列を更新する(S106)。ID判定部104は、更新した類似度行列を用いて同一ユーザのユーザID判定を行う。
【0050】
これら処理を終了条件を満たすまで繰り返し行う(S105)。終了条件とは、例えば、類似度行列がなくなるまであるが、これに限らず、類似度が所定値以下のものだけになった場合などである。類似度が所定値以下のものだけとは、ユーザが同一であると判定できないことを示す。
【0051】
つぎに、解像度の学習処理について説明する。図8は、学習処理を行うID判定装置100の動作を示すフローチャートである。滞在時間計算部106は、学習用データDB400から学習用データを取得して、各ユーザの各店舗および各メッシュにおける滞在時間を計算する(S201)。
【0052】
学習用ベクトル生成部107は、計算したユーザごとの各メッシュにおける滞在時間に基づいて、位置ベクトルを生成する(S202)。また、学習用ベクトル生成部107は、計算したユーザごとの各店舗における滞在時間に基づいて、行動ベクトルを生成する(S203)。
【0053】
閾値学習部108は、生成した位置ベクトルおよび行動ベクトルに基づいて、適切な解像度を学習する(S204)。
【0054】
このような処理を行うことにより、位置ベクトルを生成するためのメッシュの解像度およびその時間単位を適切な単位にすることができる。
【0055】
つぎに、本開示におけるID判定装置100の作用効果について説明する。本開示のID判定装置100は、ユーザ管理データベース、例えば位置情報データDB300において管理されているユーザID(第1のユーザID)に対応する位置情報から位置ベクトルを生成する位置ベクトル生成部102と、上記ユーザ管理データベース(例えば位置情報データDB300)とは異なる他のユーザ管理データベースである決済データDB200で管理されているユーザID(第2のユーザID)に対応する購買情報(行動情報)から行動ベクトルを生成する行動ベクトル生成部101と、を備える。
【0056】
そして、ID判定部104は、位置ベクトルと行動ベクトルとに基づいて、位置ベクトルのユーザID(第1のユーザID)のユーザおよび行動ベクトルのユーザID(第2のユーザID)のユーザの同一性を判定する。
【0057】
ここで、位置ベクトル生成部102は、複数のユーザID(第1ユーザID)のそれぞれの位置ベクトルを生成する。行動ベクトル生成部101は、複数のユーザID(第2のユーザID)のそれぞれの行動ベクトルを生成する。
【0058】
さらに、ここで位置ベクトル生成部102および行動ベクトル生成部101は、それぞれ一または複数の特定地点であるメッシュまたは店舗におけるベクトルを生成する。
【0059】
また、滞在時間計算部106は、位置情報データDB300および決済データDB200の情報から、予め定められた特定地点(メッシュまたは店舗)におけるユーザの滞在時間を取得してもよい。そして、行動ベクトル生成部101および位置ベクトル生成部102は、特定地点における滞在時間に基づいて、特定地点(メッシュ等)における位置ベクトルまたは行動ベクトルを生成する。
【0060】
また、本開示おいて、ID判定部104は、一または複数の位置ベクトルと一または複数の行動ベクトルとのそれぞれの組み合わせに対して算出された、位置ベクトルと行動ベクトルとの類似度に基づいて、同じユーザと判定できるユーザID(第1のユーザIDおよび第2のユーザID)の組合せを判定する。
【0061】
このような構成により、異なるデータベースで管理されているユーザIDのそれぞれにおいて同じユーザに紐付いたユーザIDであるかを判定することができる。
【0062】
また、ID判定部104は、同じユーザと判定できるユーザID(第1のユーザID、第2のユーザID)の組合せを除外した他のユーザID(第1のユーザID)の位置ベクトルおよび他のユーザID(第2のユーザID)の行動ベクトルを用いて、さらにそのベクトルの類似度を算出して、他のユーザID(第1のユーザID、第2のユーザID)同士のユーザとの同一性を判定する。
【0063】
このような構成により、さらにベクトル同士が類似するユーザIDのユーザを判定することができる。
【0064】
より具体的には、類似度行列生成部103は、複数のユーザID(第1のユーザID)の位置ベクトルと、複数のユーザID(第2のユーザID)の行動ベクトルとの組み合わせにおける複数の類似度を算出する。そして、ID判定部104は、一のユーザID(第1のユーザID)の位置ベクトルと複数のユーザID(第2のユーザID)それぞれの行動ベクトルとの複数の類似度のうち、当該類似度が所定条件を満たした一のユーザID(第2のユーザID)を決定する。
【0065】
ID判定部104は、さらに一のユーザID(第2のユーザID)の行動ベクトルと複数のユーザID(第1のユーザID)それぞれの位置ベクトルとの複数の類似度のうち、一のユーザID(第1のユーザID)との類似度が所定条件を満たした場合、位置ベクトルにおける一のユーザID(第1のユーザID)のユーザと、行動ベクトルにおける一のユーザID(第2のユーザID)のユーザとは、同一であると判定する。
【0066】
すなわち、ID判定部104は、位置情報データDB300において管理されている一のユーザID(第1のユーザID)の位置ベクトルと、決済データDB200において管理されている複数のユーザID(第2のユーザID)それぞれの行動ベクトルとの複数の類似度のうち、当該類似度が所定条件を満たした行動ベクトルのユーザID(第2のユーザID)を導出する。また、同様に、一のユーザID(第2のユーザID)の行動ベクトルと複数のユーザID(第1のユーザID)それぞれの位置ベクトルとの複数の類似度のうち、当該類似度が所定条件を満たしたユーザID(第1のユーザID)を導出する。
【0067】
ID判定部104は、位置情報データDB300において管理されていたユーザIDにおいて、一のユーザIDと、類似度が所定条件を満たしたユーザIDとが一致し、決済データDB200において管理されていたユーザIDにおいて、一のユーザID(第2のユーザID)と、類似度が所定条件を満たしたユーザID(第2のユーザID)とが一致した場合、位置情報データDB300において管理されている一のユーザIDのユーザ(第1のユーザID)と、決済データDB200において管理されている一のユーザID(第2のユーザID)のユーザとは、同一であると判定する。
【0068】
ここで所定条件とは、最大値または所定値以上とするが、これに限定するものではない。
【0069】
なお、上記説明では、ID判定部104は、位置ベクトルの一のユーザIDをキーにして、所定条件を満たす行動ベクトルのユーザIDを探しだし、その行動ベクトルのユーザIDをキーにした場合、位置ベクトルの上記一のユーザIDが所定条件を満たしたか否かを判定しているが、これに限るものではなく、逆にしてもよい。すなわち、ID判定部104は、行動ベクトルの一のユーザIDをキーにして、所定条件を満たす位置ベクトルのユーザIDを探し出し、その位置ベクトルのユーザIDをキーにした場合、行動ベクトルの一のユーザIDが所定条件を満たしたか否かを判定してもよい。
【0070】
また、本開示のID判定装置100において、学習用ベクトル生成部107は、共通するユーザID(一の学習用ユーザID)において、学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルを、ベクトルの要素を計算するパラメータを変えて 複数生成する。
【0071】
閾値学習部108は、パラメータを共通にする学習用位置ベクトルと学習用行動ベクトルと間の類似度を算出して、当該類似度に基づいて一のパラメータを決定する。
【0072】
位置ベクトル生成部102および行動ベクトル生成部101は、一のパラメータに基づいて位置ベクトルおよび行動ベクトルを生成する。
【0073】
学習用ベクトル生成部107または滞在時間計算部106は、学習用データDB400から、ユーザIDを共通にした学習用データ(学習用位置情報および学習用行動情報)を取得する。
【0074】
そして、学習用ベクトル生成部107は、学習用位置情報および学習用行動情報から、ユーザIDを共通にした学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルを生成する。
【0075】
この構成においては、ユーザが同一であることを前提にした学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルを生成することができる。そのため、学習用位置ベクトルおよび学習用行動ベクトルにおける類似度は、所定値以上であって、同一のユーザであることを示す。しかしながら、上記したパラメータに基づくベクトルの解像度によっては、必ずしも一致を示すようにベクトルは構成されていない。
【0076】
そのため、パラメータを調整する必要がある。本開示においては、類似度が一致を示すパラメータを探し出すことで、適切なパラメータで、ベクトルの生成を可能にする。そして、適切なパラメータ(時間解像度または地理解像度)を用いた位置ベクトルおよび行動ベクトルを生成することで、ユーザの同一性判定を正確に行うことができる。
【0077】
また、本開示においては、滞在時間計算部106は、学習データ(学習用位置情報および学習用行動情報のうち少なくともいずれか一方)に含まれている、予め定められた特定地点におけるユーザの滞在時間を取得する。学習用ベクトル生成部107は、滞在時間に基づいて、特定地点における学習用位置ベクトルまたは学習用行動ベクトルを生成する。ここでは、閾値を設けて、所定時間以上滞在していた場合に、ベクトルの要素を1とするが、これに限らず、滞在時間に基づいた関数を用いて、ベクトルの要素を定めてもよい。
【0078】
この構成により、ユーザが単に近くを通り過ぎたような状態を滞在していたと扱うことがなく、適切な位置ベクトルまたは行動ベクトルを生成することができる。
【0079】
本開示において、ID判定装置100は、滞在時間計算部106、閾値学習部108、および閾値学習部108を備えているが、これに限定するものではない。ID判定装置100とは別に学習装置があって、当該学習装置が滞在時間計算部106、閾値学習部108、および閾値学習部108を備え、学習装置が、位置ベクトルおよび行動ベクトルの要素を計算するためのパラメータを学習してもよい。ID判定装置100は、学習したパラメータを用いて行動ベクトルおよび位置ベクトルを生成する。
【0080】
上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0081】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0082】
例えば、本開示の一実施の形態におけるID判定装置100は、本開示のID判定方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、本開示の一実施の形態に係るID判定装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のID判定装置100は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0083】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ID判定装置100のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0084】
ID判定装置100における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0085】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述のID判定装置100の行動ベクトル生成部101、位置ベクトル生成部102などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0086】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、ID判定装置100の行動ベクトル生成部101、位置ベクトル生成部102、類似度行列生成部103などは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0087】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係るID判定方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0088】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0089】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、各データベースを通信接続するにあたっては、通信装置1004によって実現されてもよい。この通信装置1004は、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0090】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0091】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0092】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0093】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0094】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0095】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0096】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0097】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0098】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0099】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0100】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0101】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0102】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0103】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。
【0104】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0105】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0106】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0107】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0108】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0109】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0110】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0111】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0112】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0113】
100…ID判定装置、101…行動ベクトル生成部、102…位置ベクトル生成部、103…類似度行列生成部、104…ID判定部、105…類似度行列更新部、106…滞在時間計算部、107…学習用ベクトル生成部、108…閾値学習部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9