(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】多重物質伝達マイクロシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
A61M37/00 512
A61M37/00 530
(21)【出願番号】P 2023527296
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2021015701
(87)【国際公開番号】W WO2022098055
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0146144
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0102892
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523161697
【氏名又は名称】カーサス バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファクレイ ラヒジ,シャヤン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0016388(US,A1)
【文献】国際公開第2016/114213(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの一面にマイクロニードルが形成され、第1物質からなるマイクロ構造体と、
前記マイクロ構造体の一領域に位置し、前記第1物質と異なる第2物質を収容する収容空間を有する物質収容部とを含
み、
前記物質収容部は、前記収容空間を取り囲み、その上端が前記マイクロニードルの先端より低く位置するリング状の隔壁をさらに含む、多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項2】
前記ベースフィルムの一面は、
中心領域と、
前記中心領域を取り囲み、前記マイクロニードルが形成された周辺領域とを含み、
前記物質収容部は、前記ベースフィルムの中心領域に位置する、請求項1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項3】
前記収容空間は、その底面の中心が前記ベースフィルムの一面より低く位置する、請求項2に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項4】
前記隔壁は、
膨脹状態で上端が第1高さに位置し、収縮状態で上端が第1高さより低い第2高さに位置するしわ壁で提供される、請求項
1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項5】
前記隔壁は、
リング状の第1隔壁レイヤーと、
前記第1隔壁レイヤーの下部に位置し、内部に前記第1隔壁レイヤーが収容可能な空間が形成された第2隔壁レイヤーとを含み、
前記第1隔壁レイヤーと前記第2隔壁レイヤーは、多段が積層された第1状態と、
前記第1隔壁レイヤーが前記第2隔壁レイヤーの内部に位置する第2状態との間で切換え可能である、請求項
1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項6】
前記隔壁は、
前記収容空間の周りに沿って互いに離隔して順次に位置する支持部と、
前記支持部の間に位置し、前記支持部より薄い厚さを有する連結部とを含む、請求項
1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項7】
前記隔壁は、下端から上端に行くほど直径と厚さが次第に減少する、請求項
1に記載の多重物質伝達システム。
【請求項8】
前記隔壁は、下端から上端に行くほど直径が次第に増加し、厚さが次第に減少する、請求項
1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項9】
前記物質収容部は、
前記ベースフィルムの下部に位置し、その中心領域に前記隔壁が一体で形成された支持プレートをさらに含む、請求項
1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項10】
前記支持プレートの内部には、前記第2物質が格納される格納空間が形成され、前記格納空間と前記収容空間を連結する開口が形成される、請求項
9に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項11】
前記支持プレートには、前記収容空間と連結する格納空間が形成され、前記格納空間の底面は、厚さが薄い膜で提供され、
前記格納空間の底面をパンチングし、前記格納空間に挿入して前記格納空間に格納された前記第2物質を押すプッシング部をさらに含む、請求項
9に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項12】
前記支持プレートには、前記収容空間と連結する格納空間が形成され、前記格納空間の底面は下に膨らみ厚さが薄い膜で提供され、
外部から前記格納空間の底面を押す場合、前記格納空間の底面が前記収容空間側に押さえられる、請求項
9に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【請求項13】
前記物質収容部内には、区画壁によって区画された複数個の格納空間が形成され、
前記ベースフィルムの開口内に位置するメンブレンと、
前記格納空間と前記メンブレンとの間で前記ベースフィルムに形成された開口を塞ぐ流出防止膜と、
複数個の末端が前記格納空間のそれぞれに位置し、前記流出防止膜を打撃可能なパンチングロッドとを含み、
前記格納空間のそれぞれには、互いに異なる物質が格納され、それぞれの物質は、前記パンチングロッドの打撃で前記流出防止膜に生じた穴を通じて前記メンブレンに流入して互いに混合する、請求項1に記載の多重物質伝達マイクロシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重物質伝達マイクロシステムに関し、さらに詳しくは、肌に浸透して多重物質を伝達することができるマイクロシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品または化粧品を含んだ物質を身体に伝達する投与経路としては、経口型、注射型および経皮型などがある。経口型投与は、最も一般的かつ便利な方法で、有効成分をカプセル、錠剤、シロップ形態で身体に伝達する。しかし、肝臓における初回通過代謝(first-pass metabolism)などにより、有効成分の一部は不活性化される可能性がある。よって、有効成分の効果を高めるために、注射型で人体の防御障壁を貫通して投与する。注射型の場合、伝達する有効成分の活性が維持されるという長所があるが、感染の危険、不正確な用量の投与、恐怖、苦痛などの短所がある。
【0003】
したがって、既存の経口型と注射型経路の投与の限界点を克服するために、最小浸透生分解性マイクロニードルを含む多様なマイクロ構造体基盤の経皮型有効成分伝達システムが開発されている。生分解性マイクロ構造体は、高分子と化粧品、医薬品などを含む多様な有効成分を微細針の形態で剤型化して肌に挿入した後、体液により溶解して搭載された有効成分を痛みなく伝達する経皮伝達システムである。
【0004】
しかし、生分解性マイクロ構造体は、有効成分の搭載量において限界がある(limited encapsulation capacity)。一般的な生分解性マイクロ構造体は、数十~数百マイクロの微細な大きさで製作されるため、搭載量が制限的である。よって、所望の有効成分の量を体内に伝達することができず、主に化粧品分野に適用されるという限界点を持つ。
【0005】
また、生分解性マイクロ構造体は、付着の不便さがある(Inconvenience of continuous skin attachment)。一般的に、生分解性マイクロ構造体は、パッチ形態で肌に付着して溶解時間が数分から数時間がかかる。よって、パッチの付着により、かゆみ、皮膚炎、アレルギーを含む多様な肌疾患を引き起こす危険性と付着の不便さなどの限界点がある。また、付着時間と関係なく、マイクロ構造体の鋭いチップ(tip)と広いベース(base)のため、肌に完璧に挿入されず、搭載された有効成分が効率的に伝達できない恐れがある。
【0006】
また、生分解性マイクロ構造体は、多重有効成分の混合時に不活性化の問題点を有する(Activity loss risk in multi compound mixtures)。具体的に、有効成分の性質によって、生体材料、高分子、他の有効成分などと混合時に多様な化学反応(chemical reaction)により不活性化されるおそれがある。よって、マイクロ構造体に多重物質を搭載時に、有効成分の活性化と安定性が減少し得るという短所がある。
【0007】
また、生分解性マイクロ構造体は、疎水性有効成分の搭載に制限を有する(Limitations in encapsulation of poorly soluble compounds)。生分解性マイクロ構造体は、親水性高分子基盤で製作される。よって、疎水性分子(molecule)を有する有効成分をマイクロ構造体に搭載できないか、搭載するために複雑な標的処理過程が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、伝達しようとする物質の搭載量と伝達量を高めることができ、物質の活性を最大限維持可能な多重物質伝達マイクロシステムを提供する。
【0009】
また、本発明は、マイクロニードルに搭載された物質を迅速に肌に浸透させることができる多重物質伝達マイクロシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による多重物質伝達マイクロシステムは、ベースフィルムの一面にマイクロニードルが形成され、第1物質からなるマイクロ構造体と、前記マイクロ構造体の一領域に位置し、前記第1物質と異なる第2物質を収容する収容空間を有する物質収容部とを含むことができる。
【0011】
また、前記ベースフィルムの一面は、中心領域と、前記中心領域を取り囲み、前記マイクロニードルが形成された周辺領域とを含み、前記物質収容部は、前記ベースフィルムの中心領域に位置することができる。
【0012】
また、前記収容空間は、その底面の中心が前記ベースフィルムの一面より低く位置することができる。
【0013】
また、前記物質収容部は、前記収容空間を取り囲み、その上端が前記マイクロニードルの先端より低く位置するリング状の隔壁をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記隔壁は、膨脹状態で上端が第1高さに位置し、収縮状態で上端が第1高さより低い第2高さに位置するしわ壁で提供されることができる。
【0015】
また、前記隔壁は、リング状の第1隔壁レイヤーと、前記第1隔壁レイヤーの下部に位置し、内部に前記第1隔壁レイヤーが収容可能な空間が形成された第2隔壁レイヤーとを含み、前記第1隔壁レイヤーと前記第2隔壁レイヤーは、多段が積層された第1状態と、前記第1隔壁レイヤーが前記第2隔壁レイヤーの内部に位置する第2状態との間で切換え可能であることができる。
【0016】
また、前記隔壁は、前記収容空間の周りに沿って互いに離隔して順次に位置する支持部と、前記支持部の間に位置し、前記支持部より薄い厚さを有する連結部とを含むことができる。
【0017】
また、前記隔壁は、下端から上端に行くほど直径と厚さが次第に減少することができる。
【0018】
また、前記隔壁は、下端から上端に行くほど直径が次第に増加し、厚さが次第に減少することができる。
【0019】
また、前記物質収容部は、前記ベースフィルムの下部に位置し、その中心領域に前記隔壁が一体で形成された支持プレートをさらに含むことができる。
【0020】
また、前記支持プレートの内部には、前記第2物質が格納される格納空間が形成され、前記格納空間と前記収容空間を連結する開口が形成されることができる。
【0021】
また、前記支持プレートには、前記収容空間と連結する格納空間が形成され、前記格納空間の底面は、厚さが薄い膜で提供され、前記格納空間の底面をパンチングし、前記格納空間に挿入して前記格納空間に格納された前記第2物質を押すプッシング部をさらに含むことができる。
【0022】
また、前記支持プレートには、前記収容空間と連結する格納空間が形成され、前記格納空間の底面は下に膨らみ厚さが薄い膜で提供され、外部から前記格納空間の底面を押す場合、前記格納空間の底面が前記収容空間側に押さえられることができる。
【0023】
また、前記物質収容部内には、区画壁によって区画された複数個の格納空間が形成され、前記ベースフィルムの開口内に位置するメンブレンと、前記格納空間と前記メンブレンとの間で前記ベースフィルムに形成された開口を塞ぐ流出防止膜と、複数個の末端が前記格納空間のそれぞれに位置し、前記流出防止膜を打撃可能なパンチングロッドとを含み、前記格納空間のそれぞれには、互いに異なる物質が格納され、それぞれの物質は、前記パンチングロッドの打撃で前記流出防止膜に生じた穴を通じて前記メンブレンに流入して互いに混合することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、マイクロニードルに搭載された物質と物質収容部に収容された物質を同時に肌の中に浸透させることができる。
【0025】
また、本発明によると、第2物質が第1物質に迅速に溶解させることができるため、第1物質が短時間で肌の中に浸透されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施例によって製作されたマイクロ構造体のサンプル写真を示す図面である。
【
図4】マイクロ構造体の物質収容部に第2物質が搭載された状態を示すサンプル写真である。
【
図5】本発明の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを利用して肌の中に第1物質と第2物質を伝達する過程を順次に示す図面である。
【
図6】本発明の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを利用して肌の中に第1物質と第2物質を伝達する過程を順次に示す図面である。
【
図7】本発明の他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図8】本発明の他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図9】本発明の他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図10】本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す斜視図である。
【
図11】
図10の多重物質伝達マイクロシステムを示す分解斜視図である。
【
図12】
図10の多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図13】
図12の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを利用してマイクロニードルを肌に挿入する過程を示す図面である。
【
図14】本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図である。
【
図16】本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図である。
【
図18】本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図である。
【
図20】本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図である。
【
図22】本発明の他の実施例による隔壁構造を示すXY平面上に示した図面である。
【
図24】本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図25】
図24の多重物質伝達マイクロシステムの使用状態を示す図面である。
【
図26】本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図27】本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図28】本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【
図29】
図28の多重物質伝達マイクロシステムの作動過程を示す図面である。
【
図30】多様な実施例によるマイクロ構造体を示す平面図である。
【
図31】多様な実施例によるマイクロ構造体を示す平面図である。
【
図32】多様な実施例によるマイクロ構造体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による多重物質伝達マイクロシステムは、ベースフィルムの一面にマイクロニードルが形成され、第1物質からなるマイクロ構造体と、前記マイクロ構造体の一領域に位置し、前記第1物質と異なる第2物質を収容する収容空間を有する物質収容部とを含むことができる。
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。しかし、本発明の技術的思想は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。むしろ、ここで紹介される実施例は開示された内容が徹底かつ完全になるように、そして当業者に本発明の思想が充分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0029】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素上にあると言及される場合に、それは、他の構成要素上に直接形成されてよいか、またはそれらの間に第3の構成要素が介在されてもよいことを意味する。また、図面において、膜および領域の厚さは、技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0030】
また、本明細書の多様な実施例において、第1、第2、第3などの用語が多様な構成要素を記述するために使用されたが、これらの構成要素がこのような用語によって限定されてはならない。これらの用語は、単にある構成要素を他の構成要素と区別するために使用されただけである。よって、ある一実施例に第1構成要素として言及されたものが他の実施例では第2構成要素として言及されることもある。ここで説明され例示される各実施例は、その相補的な実施例も含む。また、本明細書において「および/または」は、前後に並べた構成要素のうち少なくとも一つを含む意味で使用された。
【0031】
明細書において、単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。また、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらの組み合わせなどの存在または付加可能性を排除すると理解されてはならない。また、本明細書において「連結」は、複数の構成要素を間接的に連結すること、および直接的に連結することをいずれも含む意味で使用される。
【0032】
また、下記で本発明を説明するにあたって関連の公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図1は、本発明の一実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す分解斜視図であり、
図2は、
図1のマイクロ構造体を示す断面図である。
【0034】
図1および
図2を参照すると、多重物質伝達マイクロシステム10は、使用者の肌に第1物質と第2物質を伝達することができる。
【0035】
第1物質は、肌の中に浸透した後に溶解する生分解性物質であり、人体に毒性がなく、化学的に不活性で免疫原性のない物質であることができる。第1物質は、生体内で体液または微生物などによって分解されることができる。
【0036】
一実施例によると、第1物質は、ヒアルロン酸、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α-ヒドロキシアシド)、ポリ(β-ヒドロキシアシド)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-バレレート;PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4-ヒドロキシアシド)、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(4-ヒドロキシバレレート)、ポリ(4-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアマイド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリ(ラクチド-co-グリコライド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(チロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA-PEG、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン-アルファオレフィン共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレントリブロック共重合体、アクリル重合体および共重合体、ビニルハライド重合体および共重合体、ポリビニルクロリド、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニリデンハライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンクロリド、ポリフルオロアルケン、ポリパーフルオロアルケン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニルアロマティックス、ポリスチレン、ポリビニルエステル、ポリビニルアセテート、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ABS樹脂とエチレン-ビニルアセテート共重合体、ポリアマイド、アルキド樹脂、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸-co-マレイン酸、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、アルギネート、イヌリン、デンプンまたはグリコーゲンを使用することができ、ヒアルロン酸、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α-ヒドロキシアシド)、ポリ(β-ヒドロキシアシド)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-バレレート;PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4-ヒドロキシアシド)、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(4-ヒドロキシバレレート)、ポリ(4-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアマイド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリ(ラクチド-co-グリコライド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(チロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHAPEG、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、アルギネート、イヌリン、デンプンおよびグリコーゲンからなるグループから選択された一つ以上を使用することができる。
【0037】
他の実施例によると、第1物質は薬物であることができる。薬物は、広義の概念を意味し、狭意の治療目的の治療剤だけでなく、エネルギー、ナノ成分、美容成分(例えば、しわ改善剤、肌老化抑制剤および肌美白剤)、細胞培養液などをいずれも含むことができる。具体的に、前記治療剤としては、化学薬物、タンパク質/ペプチド医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療用ヘキサン分子などを含むことができる。
【0038】
例えば、治療剤は、抗炎症剤、陣痛剤、抗関節炎剤、鎮痙剤、抗うつ剤、抗精神病薬、神経安定剤、抗不安剤、麻薬拮抗剤、抗パーキンソン病薬、コリン性アゴニスト、抗癌剤、抗血管新生抑制剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗生剤、食欲抑制剤、鎮痛剤、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛剤、ホルモン剤、冠状血管、脳血管または末梢血管拡張剤、避妊薬、抗血栓剤、利尿剤、抗高血圧剤、心血管疾患治療剤などを含むことができる。
【0039】
特に、タンパク質/ペプチド医薬は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝逹タンパク質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、抗原、付着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子、およびワクチンなどを含むことができる。さらに詳しくは、前記タンパク質/ペプチド医薬は、インスリン、IGF-1(insulin-like growth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G-CSFs(granulocyte-colony stimulating factors)、GM-CSFs(granulocyte/macrophagecolony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1アルファおよびベータ、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1-13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH-II(growth hormone releasing hormone-II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン(oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカライド(sincalide)、テルリプレッシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセディン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone-releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T-20(enfuvirtide)、サイマルファシン(thymalfasin)およびジコノチドを含むことができる。
【0040】
また、エネルギーは、熱エネルギー、光エネルギー、電気エネルギーなどを含むことができる。例えば、光線力学的療法(photodynamic therapy)において、マイクロ構造体は光が直接的に組織に作用できるようにするか、または光感応性(lightsensitive)分子のような媒介体に光が作用するように、身体内の特定部位に光を誘導するのに利用されることができる。
【0041】
また、第1物質は、水溶性薬物であることができる。第1物質は、固相、液相、粉末または高濃縮状態であることができる。
【0042】
第2物質は、第1物質のように薬物であるか、第1物質を溶かすことができる物質であるか、第1物質の伝達効率および速度を高めることができる物質であることができる。
【0043】
第2物質が第1物質と共に体内に伝達されることで、多様な効能を期待することができる。そして、第1物質と第2物質の相互作用により、第1物質が体内で溶解される速度が調節されることで、効能が極大化することができる。また、第2物質がその特性上、所定強度の接着力を有することで、多重物質伝達マイクロシステムが肌に密着接触されることができる。
【0044】
一実施例によると、第2物質は、脂溶性物質を含むことができる。具体的に、第2物質は、麻油、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンDおよびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、ビタミンKおよびその誘導体、有機紫外線遮断剤および脂溶性植物抽出物からなるグループから選択された一つ以上の脂溶性物質を含むことができる。
他の実施例によると、第2物質は、第1物質を溶解させるか、溶解速度を速く調節することができる物質であることができる。具体的に、第2物質は、水、C1-C4の無水または含水低級アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、クロロホルム、エーテル、アセトンおよびアミンからなるグループから選択された一つ以上を含むことができる。
【0045】
また他の実施例によると、第2物質は、肌を保護するための物質を含むことができる。具体的に、第2物質は、保湿剤、肌洗浄剤、消毒剤、肌復元剤、鎮静剤などを含むことができる。補習剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、アミノ酸、ブチレングリコール、ヒアルロン酸などを含むことができ、肌洗浄剤は、各種の高分子化合物、ポリオール、エステルオイル、油脂、シリコーン化合物などを含むことができ、消毒剤は、C1-C4の低級アルコール、サリチル酸、カムファー(camphor)などを含むことができ、肌復元剤は、セラミド、アーモンドまたはアルガン植物性オイルまたはシアバター(shea butter)などを含むことができる。
【0046】
多重物質伝達マイクロシステム10は、マイクロ構造体100、物質収容部200、そして保護キャップ300を含む。
【0047】
マイクロ構造体100は、第1物質からなり、ベースフィルム110の一面にマイクロニードル120が形成される。
【0048】
ベースフィルム110は、厚さが薄いフィルム形態で、所定幅で提供される。ベースフィルム110は、円形または多角形状で提供されることができる。ベースフィルム110の幅は、1~200mm2または1~100mm2であってよい。
【0049】
マイクロニードル120は、ベースフィルム110の一面から所定高さで突き出し、その末端が肌の浸透に容易になるように鋭く提供される。実施例によると、マイクロニードル120の高さは、10~20,000μm、10~10,000μm、20~10,000μm、30~8,000μmまたは50~2,000μmであってよい。マイクロニードル120の先端の各領域は、最小直径が1~500μm、2~300μmまたは5~100μmで提供され、最大直径が50~1,000μmで提供されることができる。
【0050】
マイクロニードル120は、ベースフィルム110の一面中に物質収容部200が位置する領域を除いた残りの領域に既設定された間隔で提供されることができる。実施例によると、マイクロニードル120は、ベースフィルム110の中心領域を取り囲んで提供されることができる。マイクロニードル120は、1~5個/mm2の密度で形成されることができる。
【0051】
マイクロ構造体100には、ベースフィルム110の縁領域に沿って肌隔離壁130が形成されることができる。肌隔離壁130は、その上端がベースフィルム110の一面より高く、マイクロニードル120の末端より低い高さを有する。
【0052】
物質収容部200は、第2物質20を収容する収容空間を提供する。物質収容部200は、マイクロ構造体100の中心領域に形成されることができる。実施例によると、物質収容部200は、ベースフィルム110の中心領域にベースフィルム110と一体で形成されることができる。物質収容部200は、収容空間210の底面がマイクロニードル120が形成されたベースフィルム110の一面より低い高さを有することができる。収容空間210の底面は、下側に凹な形状を有することができる。
【0053】
保護キャップ300は、マイクロ構造体100に相応するか、それより大きい幅を有し、マイクロ構造体300の上部を覆い、マイクロニードル120が外部に露出することを遮断する。保護キャップ300は、多重物質伝達マイクロシステム10の保管時にマイクロ構造体100と結合し、手術時にマイクロ構造体100から除去される。
【0054】
図3は、本発明の実施例によって製作されたマイクロ構造体のサンプル写真を示す図面であり、
図4は、マイクロ構造体の物質収容部に第2物質が搭載された状態を示すサンプル写真である。
【0055】
図3および
図4を参照すると、マイクロ構造体100の中心領域に物質収容部200が凹な溝状で形成され、第2物質20が物質収容部200に搭載されることを確認することができる。
【0056】
図5および
図6は、本発明の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを利用して肌の中に第1物質と第2物質を伝達する過程を順次に示す図面である。
【0057】
図5を参照すると、使用者は、保護キャップ300を除去した後、マイクロニードル120が肌50と接触するように多重物質伝達マイクロシステム10を位置させた状態で、指でベースフィルム110の裏面を押す。この過程において、マイクロニードル120が肌40に浸透し、物質収容部200に収容された第2物質20がベースフィルム110と肌40との間の空間を通じてベースフィルム110の全体領域に広がる。第2物質20は、肌隔離壁130が肌の周辺領域を押すことにより、マイクロ構造体100の外部に漏れることが遮断される。
【0058】
時間が経過するにつれて、マイクロニードル120をなす第1物質が溶解しながら肌の中に浸透する。第2物質20は、第1物質と共に肌の中に浸透し、第1物質の溶解を促進させる。そして、第2物質20は、マイクロニードル120が浸透した肌表面を保護するか、刺激発生を抑制する。
【0059】
図7は、本発明の他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【0060】
図7を参照すると、物質収容部200には、第2物質20を格納する空間210が内部に形成される。そして、ベースフィルム110の中心領域には開口111が形成される。
【0061】
多重物質伝達マイクロシステム10は、流出防止膜410、メンブレン420、パンチング部430、そして弾性スプリング440をさらに含む。
【0062】
流出防止膜410は、厚さが薄い膜であり、ベースフィルム100の開口111を塞ぐ。流出防止膜410は、第2物質20によって溶解されない物質で提供され、流出防止膜410によって第2物質20の流出が遮断される。流出防止膜410は、合成樹脂、またはゴム材質で提供されることができる。
【0063】
メンブレン420は、ベースフィルム100の開口111内に位置し、多孔性材質で提供される。メンブレン420は、第2物質20が流出される速度を調節する。第2物質20は、メンブレン420によって、マイクロニードル120側に徐々に流入されることができる。実施例によると、メンブレン420は、セラミックまたは繊維材質で提供されることができる。
【0064】
パンチング部430は、使用者の操作によって流出防止膜410を開放させる。パンチング部430は、パンチングロッド431、弾性スプリング432、そして作動ボタン433を含む。
【0065】
パンチングロッド431は、その末端が物質収容部200の内部空間210に位置し、鋭いチップを有する。
【0066】
弾性スプリング432は、物質収容部200の外部に位置し、内側にパンチングロッド431が挿入される。
【0067】
作動ボタン433は、パンチングロッド431の上端と結合する。
【0068】
使用者が作動ボタン433を押す場合、パンチングロッド431が前方に移動しながら、鋭い末端が流出防止膜410を打撃する。これにより、流出防止膜410には穴が生じ、第2物質20が穴を通じてメンブレン420側に流入される。第2物質20はメンブレン420に吸収され、流出速度が調節されながらマイクロニードル120側に流入される。
【0069】
作動ボタン433を押す力が除去されると、弾性スプリング432の弾性力によってパンチングロッド431は本来の位置に移動する。
【0070】
本実施例による多重物質伝達マイクロシステム10は、第2物質20の流動性が高い場合に使用に適合であることができる。
【0071】
図8および
図9は、本発明の他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【0072】
図8および
図9を参照すると、物質収容部200内には区画壁220a~220cが形成される。区画壁220a~220cは、物質収容部200の内部空間を複数個の空間210a~210cで区画する。それぞれの空間210a~210cには、上述した第2物質のうち互いに異なる物質が提供される。
【0073】
パンチングロッド431a~431cは、その末端が前記空間210a~210cの個数に対応する個数で分離し、各空間210a~210cで流出防止膜410を打撃する。
【0074】
流出防止膜410の打撃により、各空間210a~210cに格納された物質が開口111を通じて流出され、メンブレン420に吸収される。各物質は、メンブレン420内で混合した後、混合物質でマイクロニードル120に提供される。
【0075】
本発明の実施例による多重物質伝達マイクロシステム10は、混合物質で格納する時、効果が低下するか物質特性が変わる可能性のある物質を分離した空間210a~210cに区画して格納し、肌浸湿時に混合物質を生成することができる。
【0076】
図10は、本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す斜視図であり、
図11は、
図10の多重物質伝達マイクロシステムを示す分解斜視図であり、
図12は、
図10の多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【0077】
図10~
図12を参照すると、第2物質20が第1物質を溶解させる物質である場合、第2物質20がマイクロ構造体100と接触した状態で保管されれば、マイクロ構造体100が溶解されるおそれがある。これを防止するために、第2物質20をマイクロ構造体100と分離する必要がある。
【0078】
本発明の実施例による多重物質伝達マイクロシステム10は、マイクロ構造体100と物質収容部200を含む。
【0079】
マイクロ構造体100は、上述した第1物質で製造され、ベースフィルム110とマイクロニードル120とを含む。
【0080】
ベースフィルム110は、
図1の実施例で説明した厚さと幅を有してよい。ベースフィルム110の一面は、中心領域と周辺領域を含む。
【0081】
ベースフィルム110の中心領域には開口111が形成される。周辺領域は、中心領域を取り囲む領域で、マイクロニードル120が形成される。マイクロニードル120は、
図1で説明したマイクロニードルと同一の構造および大きさを有する。
【0082】
物質収容部200は、マイクロ構造体100と分離して提供され、第2物質20によって溶解されない材質で提供される。実施例によると、物質収容部200は、柔軟で人体親和的な物質で製造されることができる。物質収容部200は、合成樹脂、シリコーン、またはゴム材質で提供されることができる。
【0083】
物質収容部200は、支持プレート210、隔壁220、そして肌隔離壁230を含む。
【0084】
支持プレート210は、ベースフィルム110に相応する幅および形状を有する厚さの薄い板で提供される。
【0085】
隔壁220は、支持プレート210の中心領域に形成される。隔壁220は、ベースフィルム110の開口111と相応する外形を有するリング状で、支持プレート210の一面から所定高さで提供される。隔壁220の内側空間は、第2薬物20が収容可能な収容空間221で提供される。収容空間221の底面は、凹な曲面で提供されることができる。マイクロ構造体100が支持プレート210の一面に置かれる場合、隔壁220は、ベースフィルム110の開口111内に挿入される。そして、隔壁220の上端はベースフィルム110の一面より高く、マイクロニードル120の末端より低い高さを有する。
【0086】
肌隔離壁230は、支持プレート210の縁領域に沿って所定高さで提供される。肌隔離壁230は、その上端がベースフィルム110の一面より高く、マイクロニードル120の末端より低い高さを有する。肌隔離壁230は、支持プレート110の半径方向に多様な幅を有することができる。また、肌隔離壁230は、隔壁220に向かう一側面が曲面で提供されることができる。
【0087】
図13は、
図12の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを利用してマイクロニードルを肌に挿入する過程を示す図面である。
【0088】
先ず
図12を参照すると、第2物質20は、物質収容部200の隔壁220によってマイクロ構造体100との接触が遮断された状態で保管される。そのため、保管期間中にマイクロ構造体100は溶解されず本来の様子を維持することができる。
【0089】
図13を参照すると、使用者は、マイクロニードル120を肌50に挿入しようとする場合、マイクロ構造体100が肌50に接触した状態で支持プレート210の後面を押してマイクロニードル120を肌50に浸透させる。この過程で、第2物質20は肌50と隔壁220との間の隙間に流れ出てマイクロニードル120側に広がって行く。そして、周辺領域を押している肌隔離壁230によって外部に漏れるこが遮断される。第2物質20は、マイクロニードル120と接触してマイクロニードル120の分解を促進する。これにより、第1物質が速い時間内に肌50に浸透することができる。
【0090】
図14は、本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図であり、
図15は、
図14の隔壁構造が変形する様子を示す図面である。
【0091】
図14を参照すると、隔壁220は、薄い厚さを有し、高さ方向にしわが形成されることができる。隔壁220は、しわが膨脹した状態で上端が第1高さに位置し、内側の収容空間221に第2物質を収容する。
【0092】
図15を参照すると、マイクロニードル120が肌50に挿入される過程で、隔壁220は肌50に押されて収縮される。これにより、隔壁220の上端は第1高さより低い第2高さに位置し、肌50と隔壁220との間の隙間に第2物質が容易に広がることができる。
【0093】
図16は、本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図であり、
図17は、
図16の隔壁構造が変形する様子を示す図面である。
【0094】
図16を参照すると、隔壁220は、リング状の複数の隔壁レイヤー225~227が多段で積層された構造を有する。隔壁レイヤー225~227は、少なくとも二つ以上提供されることができる。本実施例では、隔壁レイヤー225~227が3個提供されることを例として説明する。
【0095】
第1隔壁レイヤー225は、リング状を有し、隔壁220の上端に位置する。
【0096】
第2隔壁レイヤー226は、第1隔壁レイヤー225の下部に位置し、内部に第1隔壁レイヤー225が収容可能な空間が形成される。
【0097】
第3隔壁レイヤー227は、第2隔壁レイヤー226の下部に位置し、内部に第2隔壁レイヤー226が収容可能な空間が形成される。第3隔壁レイヤー227は支持プレート210の一面と結合する。
【0098】
隔壁220は、第1状態と第2状態間に切換えが可能である。第1状態は、第1隔壁レイヤー~第3隔壁レイヤー225~226が順次に積層された状態で、第1隔壁レイヤー225の上端が第1高さに位置する。第2状態では、第1隔壁レイヤー225が第2隔壁レイヤー226の内部空間に位置し、第2隔壁レイヤー226が第3隔壁レイヤー227の内部空間に位置する。そのため、隔壁220の上端は、第1高さより低い第2高さ、即ち、第3隔壁レイヤー227の上端と同一の高さを有する。
【0099】
隔壁220は、第1状態で内部に第2物質20を収容する。そして、マイクロニードル120が肌50に挿入される過程で、肌50に押されて第2状態に切換えられる。第2状態において、肌50と隔壁220との間の隙間に第2物質20が容易に広げられることができる。
【0100】
図18は、本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図であり、
図19は、
図18の隔壁構造が変形する様子を示す図面である。
【0101】
図18および
図19を参照すると、隔壁220は、支持プレート210に離接した下端から上端に行くほど直径と厚さが次第に減少する。隔壁220の下端は第1直径を有し、上端は第1直径より小さい第2直径を有する。概して隔壁220はドーム構造を有する。隔壁220の内側には第2物質20が収容される。
【0102】
マイクロニードル120が肌50に挿入される過程で、隔壁220は、上端から順次に肌50に押される。これにより、隔壁220は収容空間221側に撓われる。隔壁220は、上端の厚さが薄く提供されるため、少ない力で容易に押されることができる。この過程で、肌50と隔壁220との間の隙間に第2物質20が容易に広げられる。
【0103】
図20は、本発明の他の実施例による隔壁構造を示す断面図であり、
図21は、
図20の隔壁構造が変形する様子を示す図面である。
【0104】
図20および
図21を参照すると、隔壁220は、支持プレート210に隣接した下端から上端に行くほど直径が次第に大きくなり厚さが次第に減少する。隔壁220の下端は第1直径を有し、上端は第1直径より大きい第2直径を有する。隔壁220の内側には第2物質20が収容される。
【0105】
マイクロニードル120が肌50に挿入される過程で、隔壁220の上端から順次に肌50に押される。隔壁220は収容空間221の外側に撓われて上端の直径がさらに大きくなる。隔壁220は、上端の厚さが薄く提供されるため、少ない力で容易に押されることができる。この過程で肌50と隔壁220との間の隙間に第2物質20が容易に広げられる。
【0106】
図22は、本発明の他の実施例による隔壁構造を示すXY平面上で表示した図面であり、
図23は、
図22の隔壁構造が変形する様子を示す図面である。
【0107】
図22および
図23を参照すると、隔壁220は、支持部228と連結部229の結合で提供される。
【0108】
支持部228は、所定長さを有する孤形状の板で、複数個が収容空間221の周りに沿って互いに離隔して順次に配置される。
【0109】
連結部229は、支持部228の間で、隣接した支持部228の両側部を互いに連結する。連結部229は、支持部228より薄い厚さを有する。連結部229は、外力が加えられた時、破れやすいほどの厚さを有する。
【0110】
上述したように、隔壁220は、支持部228と連結部229の結合構造で提供され、収容空間221に第2物質20を収容する。
【0111】
マイクロニードル120が肌50に挿入される過程で、支持部228は、肌50によって上端が押されて収容空間221の外側に撓われる。この過程で、連結部229が破れ、連結部229が破れた支持部228間の空間を通じて第2物質20がマイクロニードル120側に流入される。
【0112】
図24は、本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図であり、
図25は、
図24の多重物質伝達マイクロシステムの使用状態を示す図面である。
【0113】
図24を参照すると、支持プレート210の内部には、第2物質20が格納可能な格納空間211が形成される。格納空間211の底面は、平たく提供されることができる。支持プレート210の内部に別途格納空間211を形成することで、第2物質20の格納量が増加されることができる。そして、隔壁220が形成された支持プレート210の中心領域には、開口212が形成される。開口212は、格納空間211と隔壁220内側の収容空間221と連結され、格納空間211に格納された第2物質20が流出可能な通路を提供する。
【0114】
図25を参照すると、支持プレート210は柔軟な材質で提供されるため、使用者が支持プレート210の底面を押す場合、底面が開口211側に変形する。これは、格納空間211に格納された第2物質20が開口212に流出することを促進する。
【0115】
図26は、本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【0116】
図26を参照すると、
図24の実施例と違って、格納空間211の底面は凹な曲面で提供されることができる。凹な曲面は、第2物質20が開口側212に流出することを容易にする。
【0117】
図27は、本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図である。
【0118】
図27を参照すると、支持プレート210は、隔壁220が位置した領域の底面210aが下に凸な曲面で提供される。底面210aは、第2物質20の格納用量によって多様な深さで提供されることができる。使用者は、底面210aを押し、第2物質20をマイクロニードル120側に供給することができる。
【0119】
図28は、本発明のまた他の実施例による多重物質伝達マイクロシステムを示す断面図であり、
図29は、
図28の多重物質伝達マイクロシステムの作動過程を示す図面である。
【0120】
図28および
図29を参照すると、支持プレート210において、格納空間が形成された領域は、底面が厚さの薄い膜で提供される。
【0121】
多重物質伝達マイクロシステム10は、プッシング部240をさらに含む。プッシング部240は、格納空間211に挿入可能である。使用者がプッシング部240の先端を格納空間211の底面に押し付ける場合、薄い膜で提供される底面が破れ、プッシング部240が格納空間211内に挿入される。格納空間211に格納された第2物質20は、プッシング部240に押されてマイクロニードル120側に供給されることができる。
【0122】
図30~
図32は、多様な実施例によるマイクロ構造体を示す平面図である。
【0123】
先ず、
図30を参照すると、上述した実施例では、ベースフィルム110の中心領域に開口111が形成されると説明したが、開口111は、複数個が多様な領域に形成されることができる。そして、開口111が形成されない周辺領域にマイクロニードル120が形成されることができる。
【0124】
図31を参照すると、ベースフィルム110は、円形だけでなく四角形状で提供されることができる。実施例によると、ベースフィルム110は、直四角形状で提供されることができる。そして、開口111は、ベースフィルム120の長さ方向に沿って互いに離隔して複数個形成されることができる。
【0125】
図32を参照すると、開口111は、スリット状でベースフィルム110の長さ方向に形成されることができる。
【0126】
以上、本発明を好ましい実施例を使用して詳しく説明したが、本発明の範囲は、特定の実施例に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって解釈されるべきである。また、この技術分野で通常の知識を習得した者であれば、本発明の範囲から逸脱せずとも多くの修正と変形が可能であることを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明によるマイクロ構造体は、医療および肌美容に使用されることができる。