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特許7551928グリコリピド及びサリチル酸誘導体を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】グリコリピド及びサリチル酸誘導体を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20240909BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20240909BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240909BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/365
A61Q19/00
A61Q19/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023534580
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2021032564
(87)【国際公開番号】W WO2022045372
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】2009756
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】P 2020144452
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】織田 政紀
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加賀 裕章
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-518667(JP,A)
【文献】特開昭62-026224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ラムノリピド、ソホロリピド、グルコリピド、トレハロリピド、セロビオースリピド、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種のグリコリピド、並びに
(b)少なくとも1種の式(I):
【化1】
(式中、
R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の飽和脂肪族鎖、又は2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ以上の二重結合を含有する直鎖状又は分枝状の不飽和鎖を示し、前記基は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されており、
R'は、ヒドロキシル基である)
のサリチル酸誘導体及び無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩
を含む、化粧用組成物。
【請求項2】
前記(a)グリコリピドがラムノリピド及びソホロリピドから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(b)サリチル酸誘導体が式(I)によって表され、前記R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の飽和脂肪族鎖を示す、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(b)サリチル酸誘導体が、式(I)によって表され、前記R基は、2個以上22個以下の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキル基又はアルケニル基を示す、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(a)グリコリピドの量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(b)サリチル酸誘導体の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の(a)グリコリピドの(b)サリチル酸誘導体に対する質量比が、1以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
溶液の形態である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の総質量に対して60質量%以上の量で水を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための化粧用組成物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための非治療的な美容方法であって、
前記ケラチン物質上に、
(a)ラムノリピド、ソホロリピド、グルコリピド、トレハロリピド、セロビオースリピド、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種のグリコリピド、並びに
(b)少なくとも1種の式(I):
【化2】
(式中、
R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の飽和脂肪族鎖、又は2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ以上の二重結合を含有する直鎖状又は分枝状の不飽和鎖を示し、前記基は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されており、
R'は、ヒドロキシル基である)
のサリチル酸誘導体及び無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩
を含む組成物を適用する工程を含む、方法。
【請求項12】
ラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための、
(a)ラムノリピド、ソホロリピド、グルコリピド、トレハロリピド、セロビオースリピド、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種のグリコリピド、並びに
(b)少なくとも1種の式(I):
【化3】
(式中、
R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の飽和脂肪族鎖、又は2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ以上の二重結合を含有する直鎖状又は分枝状の不飽和鎖を示し、前記基は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されており、
R'は、ヒドロキシル基である)
のサリチル酸誘導体及び無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩の組合せの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のグリコリピド及び少なくとも1種のサリチル酸誘導体を含む組成物、好ましくはこれらを含む化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
角栓は、鼻の周囲の毛穴等の顔の毛穴の中で観察されうる。角栓が除去されずに毛穴の内部に残ると、角栓は毛穴の内部で成長し、毛穴を物理的に拡げてしまう恐れがある。
これは、顔の美的特性を損ないうる。したがって、角栓の除去又は減少のためのさまざまな技術が従来から開発されてきた。
【0003】
したがって、毛穴を縮小し、皮膚の良好な外観を達成するために、皮膚、特に顔の皮膚内の角栓を除去又は減少できる組成物の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,159,479号
【文献】米国特許第5,558,871号
【文献】仏国特許第2,581,542号
【文献】米国特許第4,767,750号
【文献】欧州特許第378 936号
【文献】米国特許第5,267,407号
【文献】米国特許第5,667,789号
【文献】米国特許第5,580,549号
【文献】欧州特許出願公開第570,230号
【非特許文献】
【0005】
【文献】D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH. P. Kleber著、Adv Biochem. Eng./Biotechnol. (1986年) 第33巻、53~90頁
【文献】F. Wagner、H. Bock及びA. Kretschmar著、Fermentation (R. M. Lafferty編) (1981年)、181~192頁、Springer Verlag, Vienna
【文献】M. Schmidt著のPh.D.論文(1990年)、Technical University of Braunschweig
【文献】Schulz等、(1991年) Z. Naturforsch 46C、197~203頁
【文献】A. P. Tulloch、J. F. T. Spence及びP. A. J. Gorin、Can. J Chem (1962年)、第40巻、1326頁
【文献】U. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters (1984年)第6巻(4)、225頁
【文献】Ishigami等(1987年) J. Jpn Oil Chem Soc 36、847~851頁、Schultz等(1991年)、Z. Naturforsch 46C 197~203頁
【文献】Passer等(1991年) Z. Naturforsch 46C 204~209頁
【文献】Frautz, Lang及びWagner (1986年) Biotech Letts 8、757~762頁
【文献】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、皮膚等のケラチン物質中の角栓を除去又は減少できる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のグリコリピド、並びに
(b)少なくとも1種の式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、
- R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状又は環状の飽和脂肪族鎖、2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ以上の二重結合を含有する不飽和鎖、カルボニル基に直接又は2~7個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和脂肪族鎖を介して結合している芳香核を示し、前記基は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されており、
- R'は、ヒドロキシル基又は次式:
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、R1は、1~18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族鎖を示す)
のエステル基である)
のサリチル酸誘導体及び無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩
を含む組成物によって達成することができる。
【0012】
(a)グリコリピドは、オートス及びソホロリピドから選択されてもよい。
【0013】
(b)サリチル酸誘導体は、式(I)によって表されてもよく、R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状又は環状の飽和脂肪族鎖を示す。
【0014】
(b)サリチル酸誘導体は、式(I)によって表されてもよく、R基は、2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更により好ましくは5個以上、特に6個以上の炭素原子及び/又は22個以下、好ましくは18個以下、更により好ましくは14個以下、優先的には12個以下、特に10個以下の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を示す。
【0015】
(b)サリチル酸誘導体は式(I)によって表されてもよく、R'はヒドロキシル基を示す。
【0016】
(a)グリコリピドの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特に0.8質量%以上であってもよく、10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に4質量%以下である。
【0017】
(b)サリチル酸誘導体の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に0.15質量%以上であってもよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に0.5質量%以下である。
【0018】
組成物中の(a)グリコリピドの(b)サリチル酸誘導体に対する質量比は、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更により好ましくは4以上、特に5以上であってもよい。
【0019】
本発明による組成物は、溶液の形態であってもよい。
【0020】
組成物は、組成物の総質量に対して60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上の量で水を更に含んでもよい。
【0021】
組成物は、皮膚等のケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための化粧用組成物であってもよい。
【0022】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための非治療的な美容方法であって、ケラチン物質上に本発明による組成物を適用する工程を含む方法にも関する。
【0023】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための、(a)グリコリピド及び(b)サリチル酸誘導体の組合せの使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討の結果、本発明者らは、驚くべきことに、(a)少なくとも1種のグリコリピド及び(b)式(I)の特定の構造を有する少なくとも1種のサリチル酸誘導体を含む組成物が、皮膚中の角栓を除去又は減少でき、したがって、本発明を完了させることができることを発見した。
【0025】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のグリコリピド、並びに
(b)少なくとも1種の式(I):
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、
- R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状又は環状の飽和脂肪族鎖、2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ以上の二重結合を含有する不飽和鎖、カルボニル基に直接又は2~7個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和脂肪族鎖を介して結合している芳香核を示し、前記基は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されており、
- R'は、ヒドロキシル基又は次式:
【0028】
【化4】
【0029】
(式中、R1は、1~18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族鎖を示す)
のエステル基である)
のサリチル酸誘導体及び無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩
を含む組成物である。
【0030】
以下に、本発明による組成物、方法、及び使用をより詳細に説明する。
【0031】
[組成物]
組成物は、化粧用組成物、好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物、より好ましくはケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための化粧用組成物であってもよい。ケラチン物質は、本明細書において、ケラチンを主要構成要素として含む物体を意味し、その例には、皮膚、頭皮、唇等が含まれる。
【0032】
本発明による組成物の形態は特に限定されない。一般に、本発明による組成物は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)下で液体である。組成物は、溶液、水溶液、ローション、乳液、クリーム、ジェル、液体ジェル、ペースト、セラム、懸濁液、分散体、流体、乳剤、エマルション(O/W又はW/O型)等のさまざまな形態をとることができる。本発明による組成物は、水溶液又はジェルの形態であることが好ましい。
【0033】
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として、特にリンスオフタイプの化粧用組成物として使用することができる。本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚、特に顔の皮膚への適用を意図してもよい。
【0034】
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のグリコリピド、及び(b)少なくとも1種の式(I)のサリチル酸誘導体を含む。組成物中の成分については、以下で詳細に説明することにする。
【0035】
(グリコリピド)
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)グリコリピドを含む。2種以上の(a)グリコリピドが使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
(a)グリコリピドは、適宜、ラムノリピド、グルコリピド、トレハロリピド(trehalolipids)、及びこれらの混合物から選択することができる。ここで、それぞれについて、以下でより詳細に説明していく。
【0037】
- ラムノリピド
これらのグリコリピドは、ラムノース部分を含み、一般式(I):
【0038】
【化5】
【0039】
(式中、
aは1又は2であり、
bは1又は2であり、
nは4~10、好ましくは6であり、
R1は、H又はカチオン、好ましくはH、又は一価の可溶化カチオンであり、
R2は、H又は以下の基
【0040】
【化6】
【0041】
、好ましくはHであり、
mは4~10であり、
m及びnの値は、各出現において同一である必要はない)
によって表され得る。
【0042】
ラムノリピドは、細菌発酵によって生成されうる。これは、細菌発酵の生成物が一般に再生可能な原料から誘導され得、使用後に生分解しやすいことで本質的に有利である。式(I)の界面活性剤の別の利点は、これらが酵素製造の副産物として生成されうることである。
【0043】
ラムノリピドは、シュードモナス(Pseudomonas)属の細菌から生成されうる。細菌発酵は、典型的には、糖又はグリセロール又はアルカン又はこれらの混合物を基質として利用する。
【0044】
適当な発酵法は、D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH. P. Kleber著、Adv Biochem. Eng./Biotechnol. (1986年) 第33巻、53~90頁並びにF. Wagner、H. Bock及びA. Kretschmar著、Fermentation (R. M. Lafferty編) (1981年)、181~192頁、Springer Verlag, Viennaに概説されている。
【0045】
ラムノリピドの任意の試料は一般に、一般式(I)中にさまざまな個々の化合物を含有する。個々の化合物の比率は、微生物種、発酵に用いる特定菌株、発酵に供給される基質材料、及び他の発酵条件によって制御される。
【0046】
細菌発酵は一般に、R1が水素又は可溶化カチオンである化合物を生成する。そのような化合物は、溶液のpHに応じて、水溶液中で塩形態と酸形態との間の変換を経ることができる。一般的な可溶化カチオンは、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンである。
【0047】
ラムノリピドとして、例えば、EVONIK社からRHEANCE Oneの名称で販売されているものを使用することができる。
【0048】
- グルコリピド
本発明による第2のクラスのグリコリピドは、グルコース部分を含む、一般式(II):
【0049】
【化7】
【0050】
(式中、
R1は、H又はカチオンであり、
pは、1~4であり、
qは4~10、好ましくは6である)
によって表され得るグルコリピドを含む。
【0051】
グルコリピドは、アルカリゲネス(Alcaligenes)菌Sp. MM1によって生成されうる。適当な発酵法は、M. Schmidt著のPh.D.論文(1990年)、Technical University of Braunschweig、及びSchulz等、(1991年) Z. Naturforsch 46C、197~203頁に概説されている。グルコリピドは、エチルエーテル又はジクロロメタン:メタノール若しくはクロロホルム:メタノールの混合物を使用する溶媒抽出法によって発酵ブロスから回収される。
【0052】
- ソホロリピド
本発明による第3のクラスのグリコリピドは、ソホロース部分を含む、一般式(III):
【0053】
【化8】
【0054】
(式中、
R3及びR4は、個別に、H又はアセチル基であり、
R5は、1~9個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の水酸化又は非水酸化炭化水素基、好ましくはメチル基であり、
R6は、1~19個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の水酸化又は非水酸化炭化水素基であり、
但し、R5及びR6基の合計炭素原子数は、20を超えないものとし、好ましくは14~18である)
によって表され得るソホロリピドを含む。
【0055】
ソホロリピドは、R7がHでありR8がOHである開鎖遊離酸形態、又は一般式(IV):
【0056】
【化9】
【0057】
(式中、
R3、R4、及びR6は、上記で定義されたとおりであるが、
但し、R3及びR4のうちの少なくとも1つはアセチル基とする)
によって表されるようにR7及びR8間でラクトン環が形成されるそのラクトン形態のいずれかとして、本発明の洗剤組成物に組み込まれてもよい。
【0058】
ソホロリピドは、酵母細胞、例えばトルロプシス・アピコーラ(Torulopsis apicola)及びトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)によって生成されうる。発酵プロセスは、典型的には、糖及びアルカンを基質として利用する。適当な発酵法は、A. P. Tulloch、J. F. T. Spence及びP. A. J. Gorin、Can. J Chem (1962年)、第40巻、1326頁並びにU. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters (1984年)第6巻(4)、225頁に概説されている。結果として得られる生成物は、様々な開鎖ソホロリピド及びソホロリピドラクトンの混合物であり、混合物として利用してもよいが、必要とされる形態を単離することもできる。グリコリピドがソホロリピドを含む場合、ソホロリピドの追加の界面活性剤に対する質量比は、好ましくは4:1~3:2の範囲であり、より好ましくは4:1である。
【0059】
ソホロリピドとしては、例えば、GIVAUDAN社からSOPHOLIANCEの名称で販売されているもの及びBASF社からBioToLifeの名称で販売されているものを使用することができる。
【0060】
- トレハロリピド
本発明による第4のクラスのグリコリピドは、トレハロース部分を含む、一般式(V):
【0061】
【化10】
【0062】
(式中、
R9、R10、及びR11は、個別に、5~13個の炭素原子の飽和又は不飽和の水酸化又は非水酸化炭化水素である)
によって表され得るトレハロリピドを含む。
【0063】
トレハロリピドは、海洋細菌アルスロバクター属(Arthrobacter)Ek 1又は淡水細菌ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)を使用する細菌発酵法によって生成されうる。適当な発酵法は、Ishigami等(1987年) J. Jpn Oil Chem Soc 36、847~851頁、Schultz等(1991年)、Z. Naturforsch 46C 197~203頁、及びPasseri等(1991年) Z. Naturforsch 46C 204~209頁によって提供されている。
【0064】
- セロビオースリピド
本発明による第5のクラスのグリコリピドは、セロビオース部分を含む、一般式(VI):
【0065】
【化11】
【0066】
(式中、
R1は、H又はカチオンであり、
R12は、9~15個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の水酸化又は非水酸化炭化水素であり、
R13は、H又はアセチル基であり、R14は、4~16個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の水酸化又は非水酸化炭化水素である)
によって表され得るセロビオースリピドを含む。
【0067】
セロビオースリピドは、黒穂菌属(Ustilago)由来の真菌細胞によって生成されうる。適当な発酵法は、Frautz, Lang及びWagner (1986年) Biotech Letts 8、757~762頁によって提供されている。
【0068】
(a)グリコリピドは、ラムノリピド及びソホロリピドから選択され得ることが好ましい場合がある。
【0069】
(a)グリコリピドは、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特に0.8質量%以上の量で存在していてもよく、10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に4質量%以下の量で存在していてもよい。
【0070】
(サリチル酸誘導体)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の式(I)のサリチル酸誘導体を含む。単一のタイプのサリチル酸誘導体を使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプのサリチル酸誘導体を組み合わせて使用してもよい。
【0071】
本発明によるサリチル酸誘導体は、式(I):
【0072】
【化12】
【0073】
(式中、
- R基は、2~22個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状又は環状の飽和脂肪族鎖、2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ以上の二重結合を含有する不飽和鎖、カルボニル基に直接又は2~7個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和脂肪族鎖を介して結合している芳香核を示し、前記基は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されており、
- R'は、ヒドロキシル基又は次式:
【0074】
【化13】
【0075】
(式中、R1は、1~18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族鎖を示す)
のエステル基である)
及び無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩
に対応する。
【0076】
好ましくは、式(I)中のR基は、3~11個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状又は環状の飽和脂肪族鎖、3~17個の炭素原子を含有し、1つ以上の共役又は非共役の二重結合を含む不飽和鎖を示し、前記炭化水素系鎖は場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態の若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選択される、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されている。
【0077】
好ましい一実施形態において、式(I)中のR基は、2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更により好ましくは5個以上、特に6個以上の炭素原子及び/又は22個以下、好ましくは18個以下、更により好ましくは14個以下、優先的には12個以下、特に10個以下の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を示す。
【0078】
優先的には、式(I):
【0079】
【化14】
【0080】
(式中、R1は、-(CH2)n-CH3基を示し、式中、nは0~14の範囲の数である)
中のR'は、ヒドロキシル基又は次式のエステル基である。
【0081】
より特定して好ましいサリチル酸誘導体は、式中のR基がC3~C10アルキル基であり、且つ/又はR'がヒドロキシルを示す、式(I)によるものである。
【0082】
その他の特に有利な化合物は、Rがカプリル酸、リノール酸、リノレン酸又はオレイン酸から誘導される鎖を表すものである。
【0083】
特に好ましいサリチル酸誘導体の別の群は、式中のR基が、遊離形態の又は1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基を有するC3~C10アルキル基を示し、R'がヒドロキシルを示す化合物から構成される。
【0084】
本発明に従って使用されうる式(I)のサリチル酸誘導体は、特に、特許文献米国特許第6,159,479号及び米国特許第5,558,871号、仏国特許第2,581,542号、米国特許第4,767,750号、欧州特許第378 936号、米国特許第5,267,407号、米国特許第5,667,789号、米国特許第5,580,549号、及び欧州特許出願公開第570,230号に記載されている。
【0085】
特に好ましい式(I)のサリチル酸誘導体のうち、5-n-オクタノイルサリチル酸(又はカプリロイルサリチル酸)、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸、及びこれらの対応する塩を挙げることができる。当該誘導体は、好ましくは、5-n-オクタノイルサリチル酸である。
【0086】
本発明の目的のために、サリチル酸誘導体の塩も考慮される。無機塩基から誘導される塩として、特に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化塩基、例としては水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアンモニアから誘導されるものを挙げることができる。有機塩基から誘導される塩に関しては、特にアミン又はアルカノールアミンタイプの塩基から誘導されるものを挙げることができる。
【0087】
(b)サリチル酸誘導体は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に0.15質量%以上の量で存在していてもよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に0.5質量%以下の量で存在していてもよい。
【0088】
本発明の好ましい一実施形態によれば、組成物中の(a)グリコリピドの(b)サリチル酸誘導体に対する質量比は、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更により好ましくは4以上、特に5以上であってもよい。一般に、組成物中の(a)グリコリピドの(b)サリチル酸誘導体に対する質量比は、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
【0089】
本発明の好ましい一実施形態において、組成物は:
(a)ラムノリピド及びソホロリピドから選択される少なくとも1種の生物界面活性剤、及び
(b)少なくとも1種の式(I):
【0090】
【化15】
【0091】
(式中、
R基は、2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更により好ましくは5個以上、特に6個以上の炭素原子及び/又は22個以下、好ましくは18個以下、更により好ましくは14個以下、優先的には12個以下、特に10個以下の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキル基又はアルケニル基を示し、R'はヒドロキシル基である)
のサリチル酸誘導体を含む。
【0092】
(両性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0093】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的に列挙すると)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択により四級化されているアミン誘導体であってよく、その脂肪族基は、8から22個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1個の水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する、直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0094】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0095】
両性界面活性剤が、ベタインタイプの界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0096】
ベタインタイプの両性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から好ましくは選択される。一実施形態では、ベタインタイプの両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選択される。
【0097】
挙げることができる非限定的な例には、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年で、単独で又は混合物として、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインの名称で分類されている化合物がある。
【0098】
ベタインタイプの両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタインであり、特にココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0099】
本発明による組成物中の両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更により好ましくは2質量%以上であってもよく、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0100】
(化粧料として許容される親水性有機溶媒)
本発明による組成物は、少なくとも1種の、化粧料として許容される親水性有機溶媒を含んでもよい。用語「親水性」とは、本明細書において、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)下の水中で少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも10g/L、より好ましくは少なくとも100g/Lの溶解度を有する物質を意味する。化粧料として許容される親水性有機溶媒には、例えば、1~8個の炭素原子を有する実質的に直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール及びイソブタノール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、カプリリルグリコール、ソルビトール、エチレングリコールのモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールのモノエチルエーテル又はモノブチルエーテル;ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6及びPEG-8、並びにそれらの誘導体、並びにそれらの組合せを挙げることができる。
【0101】
本発明による組成物中の化粧料として許容される親水性有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってもよく、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0102】
(pH調整剤)
本発明による組成物のpHは、例えば、化粧料において通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤等の少なくとも1種のpH調整剤を使用して、所望の値に調整することができる。
【0103】
本発明による組成物のpHは、9.0以下、より好ましくは8.5以下、更により好ましくは8.0以下であってもよく、5.0以上、より好ましくは5.5以上、更により好ましくは6.0以上であってもよい。
【0104】
酸性化剤の中で例として挙げることができるのは、鉱酸又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸、並びにスルホン酸である。
【0105】
塩基性化剤野中で例として挙げることができるのは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、例としては水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム;水酸化第四級アンモニウム及び水酸化グアニジン;アルカリ金属ケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウム;アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジン;特に第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、又はアンモニウムの炭酸塩及び重炭酸塩;並びに次式:
【0106】
【化16】
【0107】
(式中、
Wは、ヒドロキシル基又はC1~C6アルキル基で任意選択により置換されているC1~C6アルキレン残基であり、
Rx、Ry、Rz及びRtは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル若しくはC1~C6アミノアルキル基を表す)の化合物である。1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン、及びスペルミジンを特に挙げることができる。
【0108】
pH調整剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0109】
(水)
本発明による組成物は、好ましくは、水を含む。
【0110】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であってもよく、99質量%以下であってもよい。
【0111】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物はまた、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性のポリマー、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤、油、疎水性有機溶媒、ガム、樹脂、増粘剤、分散剤、抗酸化剤、緩衝剤、有機又は無機充填剤、防腐剤、例えばフェノキシエタノール、香料、中和剤、消毒薬、UV遮蔽剤、化粧用活性剤、例えばビタミン、保湿剤、エモリエント、又はコラーゲン保護剤、及びこれらの混合物から選択される、化粧品の分野で通常使用される何らかの任意選択の添加剤を含んでもよい。
【0112】
消毒薬としては、化粧品として一般に使用されるものを使用することができる。消毒薬の具体例としては、例えば、エタノール、トリクロサン、ピロクトンオラミン、トリクロカルバン、パラベン、アクリノール、アルキルジアミノグリシン又はその塩、ポビドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、1,2-ペンタンジオール、ハロカルバン、3,4,4-トリクロロカルバニリド、クエン酸トリエチル、レゾルシン、ヘキサクロロフェン、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ、グルコン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル;フェノール、例えばイソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、ティモール(timole)、パラクロロフェノール、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム、フェノキシエタノールナトリウム、フェノキシジグリコール、フェノール、ベンジルアルコール;第三級アンモニウム塩化合物、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルイソキノリニウム(alkylisoquinolium bromide)、ドミフェン臭化物(domiphenone bromide);植物エキス、例えば茶抽出物、ヒノキチオール、リンゴ果実エキス;クロラミンT、クロルヘキシジン、安息香酸イオン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0113】
消毒薬は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0114】
本発明による組成物は、上に記載した必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。上記の成分のうち少なくとも1つが室温で固体である場合、その成分を、溶解するまで加熱することができる。任意選択の成分のうちの任意のものを混合する工程と、成分が溶解するまで組成物を加熱する工程とを更に含むことが可能である。
【0115】
[美容方法及び使用]
本発明はまた、非治療的方法又はプロセス、好ましくは美容方法又はプロセス、より好ましくは皮膚、頭皮、唇等のケラチン物質、特に顔の皮膚のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための美容方法又はプロセスであって、
ケラチン物質上に、
(a)少なくとも1種のグリコリピド及び
(b)少なくとも1種の上式(I)のサリチル酸誘導体
を含む組成物を適用する工程を含む、美容方法又はプロセスにも関する。
【0116】
本発明はまた、皮膚、頭皮、唇等のケラチン物質、特に顔の皮膚をコンディショニング及び/又は洗浄するケアのための
(a)少なくとも1種のグリコリピドと
(b)少なくとも1種の上式(I)のサリチル酸誘導体との組合せの使用にも関する。
【0117】
組成物は一般に、皮膚等のケラチン物質に、手で又は適用器具を用いて適用される。
本発明は、組成物がケラチン物質に適用された後に組成物をケラチン物質からすすぎ落とす任意選択の工程を含んでいてもよい。
【0118】
上記の本発明による組成物と同じ、組成物、(a)グリコリピド及び(b)サリチル酸誘導体に関する説明を、方法、プロセス、及び使用の発明のための組成物、(a)グリコリピド及び(b)サリチル酸誘導体に適用することができる。本組成物による方法及び使用に用いられる組成物は、本発明による組成物に関して上記に説明された任意選択の成分のいずれを含んでもよい。
【実施例
【0119】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0120】
(実施例1及び2並びに比較例1~4)
実施例1及び2並びに比較例1~4による均一な溶液の組成物を、マグネチックスターラーを用いてTable 1(表1)に列挙する成分を混合して調製した。Table 1(表1)に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。ソホロリピドをBASF社(商標名:BioToLife)から入手し、ラムノリピドをEVONIK社(商標名:RHEANCE One)から入手した。
【0121】
[評価]
各組成物が角栓に与える効果を以下のとおりに評価した。角栓は、角栓用エクストラクタループを用いて30代の男性の鼻から角栓を注意深く取り出すことによって得た。角栓をスライドガラス上にそっと置いた。ビデオ顕微鏡Keyence VHX-5000上で記録しながら、各組成物20μLをその上に落とした。組成物を適用する前と組成物を適用してから3分後との間で、角栓の外観を比較した。適用後に膨張した又は分散された角栓が観察されるほど、角栓の除去又は減少効果が認められ得た。これは、より膨張した又は分散された角栓が、皮膚等のケラチン物質から容易に除去されうるからである。観察に基づいて、角栓の膨張及び分散効果を、以下のスコア基準で評価した。
0=明らかな変化は一切観察されなかった。
1=角栓の表面のみが膨張していた。
2=角栓全体が膨張していた。
3=角栓全体が膨張しており、その容量は元の容量の約2倍以上になった。
4=角栓全体が膨張しており、その容量は元の容量の約2倍以上になり、角栓の一部が分解して溶液中に分散されていた。
【0122】
測定を5回繰り返し、平均スコアを算出した。結果を以下のTable 1(表1)にまとめる。
【0123】
【表1】
【0124】
Table 1(表1)から確認できるように、本発明の(a)グリコリピド及び(b)サリチル酸誘導体の成分の特定の組合せを含む実施例1及び2による組成物は、本発明の(a)グリコリピド及び(b)サリチル酸誘導体の成分の特定の組合せを含まない比較例1~4の組成物より高い平均スコアを示した。この結果は、実施例1及び2による組成物が、改善された角栓の除去又は減少効果を示したことを意味する。
【0125】
したがって、本発明による組成物が、毛穴の中の角栓を除去又は減少することによってケラチン物質上の毛穴のサイズを縮小させることができるといえる。これに応じて、本発明による組成物は、ケラチン物質の審美性を改善できるため、ケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための化粧用組成物として非常に適していると結論づけることができる。
【0126】
(実施例3)
化粧料に好ましい配合を持つ実施例3による均一な溶液の組成物も、以下のTable 2(表2)に示す成分を混合して調製した。Table 2(表2)に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
【0127】
【表2】
【0128】
実施例3による組成物も、角栓を除去又は減少する上で良好な効果を示し、したがって、ケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための化粧用組成物として非常に適している。
【0129】
(実施例4~8)
化粧料に好ましい配合を持つ実施例4~8による均一な溶液の組成物も、以下のTable 3(表3)に示す成分を混合して調製した。Table 3(表3)に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
【0130】
【表3】
【0131】
実施例4~8による組成物も、角栓を除去又は減少する上で良好な効果を示し、したがって、ケラチン物質のコンディショニング及び/又は洗浄のためのケアのための化粧用組成物として非常に適している。
【0132】
これらの実施例3~8による組成物に関しては、さまざまな形態で、特に泡ポンプボトルで包装されうる。