(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置、方法、及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G01J 5/70 20220101AFI20240909BHJP
G01J 5/48 20220101ALN20240909BHJP
【FI】
G01J5/70 A
G01J5/48 E
(21)【出願番号】P 2023534691
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 KR2020017957
(87)【国際公開番号】W WO2022124442
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0170066
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520485066
【氏名又は名称】ユー エレクトロニクス シーオー. エルティディ.
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】リ ジュン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】オム テ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リ ミン キュ
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1833365(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0089764(US,A1)
【文献】特開2008-185465(JP,A)
【文献】特表2005-519266(JP,A)
【文献】特開2019-213193(JP,A)
【文献】特開2015-014509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0202569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00 - G01J 5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体によって輻射された赤外線による出力電圧を提供する赤外線センサモジュールと、
前記赤外線センサモジュールが取り付けられた基板の温度を測定する温度センサモジュールと、
黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧間の第1関数を用いて、
前記提供され
た出力電圧を前記基板の基準設定温度における出力電圧で補償する基板温度補償モジュールと、
前記基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を用いて、
前記補償され
た出力電圧から前記対象体の温度を求める演算モジュールと、
を含
み、
前記基板温度補償モジュールは、
前記第1関数を用いて、前記提供された出力電圧から前記測定された基板の温度と前記基板の基準設定温度との間の差による出力電圧の変動分を減算することにより、前記提供された出力電圧を前記基板の基準設定温度における出力電圧で補償する、基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置。
【請求項2】
前記第1関数は、
前記黒体の温度を基準設定温度に固定させた状態で測定した基板の温度に対する出力電圧をカーブフィッティングによって求めた関数である、請求項1に記載の基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置。
【請求項3】
前記第2関数は、
前記基板の温度を基準設定温度に固定させた状態で測定した基板の温度に対する出力電圧をカーブフィッティングによって求めた関数である、請求項1に記載の基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置。
【請求項4】
前記赤外線センサモジュールは、
第1バイアス電圧を供給する第1バイアス電源と、
前記第1バイアス電圧の大きさより小さいサイズを有する第2バイアス電圧を供給する第2バイアス電源と、
一端が前記第1バイアス電源に直列連結されたリファレンスセルと、
一端が前記リファレンスセルの他端に連結され、他端は接地されたアクティブセルと、
(-)端子は前記リファレンスセル及び前記アクティブセルの連結ノードに、(+)端子は前記第2バイアス電源に連結され、前記アクティブセルを流れる電流の増加量を積分した出力電圧を提供する積分器と、
を含む、請求項1に記載の基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置。
【請求項5】
前記第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧は、
前記基板の基準設定温度及び前記黒体の基準設定温度で前記出力電圧が既に設定された値となるようにする大きさを有する、請求項
4に記載の基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置。
【請求項6】
赤外線センサモジュールにおいて、対象体によって輻射された赤外線による出力電圧を提供する第1段階と、
温度センサモジュールにおいて、前記赤外線センサモジュールが取り付けられた基板の温度を測定する第2段階と、
基板温度補償モジュールにおいて、黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧間の第1関数を用いて、
前記提供され
た出力電圧を前記基板の基準設定温度における出力電圧で補償する第
3段階と、
演算モジュールにおいて、前記基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を用いて、
前記補償され
た出力電圧から前記対象体の温度を求める第
4段階と、
を含
み、
前記第3段階は、前記第1関数を用いて、前記提供された出力電圧から前記測定された基板の温度と前記基板の基準設定温度との間の差による出力電圧の変動分を減算することにより、前記提供された出力電圧を前記基板の基準設定温度における出力電圧で補償する、基板の温度補償を用いた対象体の温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置、方法、及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱画像カメラは、高い空間分解能及び温度分解能、非接触方式などの利点により、物体の表面を熱的にイメージ化し、温度分布を測定する周知の装置である。
【0003】
このような熱画像カメラを用いて対象物の温度を測定するためには、シャッターの温度を基準としてシャッターの開放前後の出力コード差に対する温度差曲線を求める。その後、求めた出力コード差に対する温度差曲線を適切な次数のフィッティング関数に近似させた後、これを用いて対象体の温度を測定する。
【0004】
このような従来技術によれば、対象物の温度を測定するためには、シャッターの温度を測定する必要があるが、シャッターには温度センサを取り付けることが実質的に不可能であるため、基板に取り付けられた温度センサを介して測定された温度をシャッターの温度と仮定する。
【0005】
しかし、基板の温度とシャッターの実際温度とは異なり、特に0.5度以下の高い精度で測定しなければならない体温の場合には精度が低下するという問題点がある。
【0006】
関連技術としては、韓国登録特許第2064582号(「熱画像カメラを用いた温度測定装置、方法及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体」、登録日:2020年01月03日)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、シャッターなしでも高い精度で対象体の温度を求めることができる基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置、方法、及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1実施形態によれば、対象体によって輻射された赤外線による出力電圧を提供する赤外線センサモジュールと、黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧間の第1関数を用いて、提供された上記出力電圧を上記基板の基準設定温度における出力電圧で補償する基板温度補償モジュールと、上記基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を用いて、補償された上記出力電圧から上記対象体の温度を求める演算モジュールと、を含む、基板の温度補償を用いた対象体の温度測定装置が提供される。
【0009】
本発明の第2実施形態によれば、赤外線センサモジュールにおいて、対象体によって輻射された赤外線による出力電圧を提供する第1段階と、基板温度補償モジュールにおいて、黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧間の第1関数を用いて、提供された上記出力電圧を上記基板の基準設定温度における出力電圧で補償する第2段階と、演算モジュールにおいて、上記基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を用いて、補償された上記出力電圧から上記対象体の温度を求める第3段階と、を含む、基板の温度補償を用いた対象体の温度測定方法が提供される。
【0010】
本発明の第3実施形態によれば、上記温度測定方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した、コンピュータで読み出し可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、赤外線センサモジュールから提供された出力電圧を基板の基準設定温度における出力電圧で補償し、出力電圧に対する黒体の温度間の関数を用いて、補償された出力電圧から対象体の温度を求めることにより、シャッターなしでも高い精度で対象体の温度を求めることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る温度測定装置を含む熱画像カメラを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る赤外線センサモジュールの回路図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧のカーブフィッティングによって求めた曲線を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度のカーブフィッティングによって求めた曲線を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る基板の温度補償を用いた対象体の温度測定方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態にのみ限定されるものではない。図面における要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る温度測定装置を含む熱画像カメラ100を示す図である。
【0015】
図1に示すように、熱画像カメラ100は、ハウジング111、ハウジング111の上部に備えられたIRウィンドウ112、鏡筒113、鏡筒113の内部に備えられた複数のレンズ114、基板115、基板115上に備えられた温度測定装置200を含むことができ、温度測定装置200は、赤外線センサモジュール210、基板温度補償モジュール220、演算モジュール230及び温度センサモジュール240を含むことができる。本発明の一実施形態によれば、熱画像カメラ100には別途のシャッターが備えられていないことに留意すべきである。
【0016】
具体的に、赤外線センサモジュール210は、対象体によって輻射された赤外線による出力電圧を提供するモジュールであって、例えば、赤外線センサを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。以下、
図2を参照して赤外線センサモジュール210について説明する。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る赤外線センサモジュール210の回路図である。
【0018】
図2に示すように、赤外線センサモジュール210は、第1バイアス電圧を供給する第1バイアス電源VDDと、第1バイアス電圧の大きさより小さい大きさを有する第2バイアス電圧を供給する第2バイアス電源Vrctと、一端が第1バイアス電源VDDに直列連結されたリファレンスセルRr、一端がリファレンスセルRrの他端に連結され、他端は接地GNDに連結されたアクティブセルRaと、(-)端子はリファレンスセルRrとアクティブセルRaの連結ノードに、(+)端子は第2バイアス電源Vrctに連結され、アクティブセルRaを流れる電流の増加量を積分した出力電圧を提供するキャパシタCを含む積分器211を含んで構成されることができる。
【0019】
上述した第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の大きさは、基板115の基準設定温度Tpcb_ref及び黒体の基準設定温度Tb_refで出力電圧Voutが既に設定された値となるようにする大きさを有することができる。また、上述した第2バイアス電圧の大きさは第1バイアス電源VDDの大きさの1/2であるか、又は第2バイアス電源Vrctの大きさは第1バイアス電源VDDの大きさの1/2を基準として一定範囲内の値であることができる。このように固定された大きさのバイアス電源を印加する理由は、センサに安定した電源を供給するためである。
【0020】
上述したリファレンスセルRrは一定の抵抗値を有し、アクティブセルRaは入射する赤外線IRに応じて内部の抵抗値が変化する素子であり得る。
【0021】
上述した積分器211は、アクティブセルRaの抵抗値の減少に応じてアクティブセルRaを流れる電流の増加量を積分し、出力信号(例えば、電圧)を生成することができる。
【0022】
具体的に、積分器211は、リファレンスセルRrとアクティブセルRaとの間の連結ノードに(-)端子が、(+)端子には第2バイアス電源Vrctが印加され、(-)端子及び出力端子の間にはキャパシタCが連結された構造を有することができる。
【0023】
図2を参照すると、赤外線IRが照射される場合、アクティブセルRaの抵抗値が減少し、このような抵抗値の変化を電圧の形で読むためにバイアス電源VDD、Vrctが印加されることができる。印加されるバイアス電源VDD、Vrctの大きさには、後述するように第1関数を求める際に格納された値が用いられることができる。
【0024】
アクティブセルRaの抵抗値が減少するにつれて、アクティブセルRa1を流れる電流は増加し、アクティブセルRa1を流れる電流量は積分器211で一定時間の間積分されることにより、出力信号Voutが生成されることができる。
【0025】
発明の理解を助けるために、
図2には、一つのリファレンスセルRr及び一つのアクティブセルRaのみを例示的に示しているが、アクティブセルRaは少なくとも2つ以上であってもよく、各アクティブセルRaは、スイッチ(図示せず)を介してリファレンスセルRrに連結されてもよいことは、当業者に明らかである。
【0026】
一方、基板温度補償モジュール220は、黒体の基準設定温度Tb_refで求めた基板115の温度Tpcbに対する出力電圧Vout間の第1関数(下記の数学式1参照)を用いて、赤外線センサモジュール210から提供された出力電圧Voutを基板115の基準設定温度Tpcb_refにおける出力電圧で補償することができる。
【0027】
一方、上述した第1関数は、黒体(図示せず)の温度を基準設定温度Tb_refに固定させた状態で測定した基板115の温度Tpcbに対する出力電圧Voutをカーブフィッティングによって求めた関数であってもよい。
【0028】
以下、基板の温度Tpcbに対する出力電圧Vout間の第1関数を求める過程について詳細に説明する。
【0029】
まず、基板115の温度Tpcbを基準設定温度Tpcb_ref(例えば25度)に維持した状態で、基準設定温度Tb_ref(例えば40度)を有する黒体(図示せず)を熱画像カメラ100の前に位置させた後、バイアス電圧VDD、Vrctを可変させながら、出力電圧Voutが所望の電圧、例えば、0.9Vとなるバイアス電圧VDD、Vrctを格納する。
【0030】
その後、格納されたバイアス電圧VDD、Vrctを印加し、基準設定温度Tb_ref(例えば40度)を有する黒体(図示せず)を熱画像カメラ100の前に位置させた状態で、基板115の温度TpcbをTpcb1、Tpcb2、Tpcb3に可変させながら、それぞれの出力電圧Vout、例えば、Vout1、Vout2、Vout3を格納する。
【0031】
その後、基板の温度と出力電圧Tpcb1-Vout1、Tpcb2-Vout2、Tpcb3-Vout3のカーブフィッティング(curve fitting)によって基板の温度Tpcbに対する出力電圧Vout間の第1関数を求めることができる。
【0032】
第1関数は、例えば、下記数学式1に示すような2次関数であってもよいが、必ずしも2次関数に限定されるものではないことに留意すべきである。このようにして求めた第1関数による曲線301は、
図3のように示すことができる。
【0033】
[数学式1]
Vout(Tpcb)=2.3125+0.05×Tpcb-0.0025×Tpcb2
【0034】
ここで、Vout(Tpcb)は基板温度がTpcbであるときの出力電圧、Tpcbは基板の温度であり得る。上述した数学式1は、黒体の温度Tbが基準設定温度Tb_refであるときに求めることができる。
【0035】
より具体的に、基板温度補償モジュール220は、下記数学式2によって、赤外線センサモジュール210から提供された出力電圧Voutから、基板115の温度Tpcbと基板115の基準設定温度Tpcb_ref間の差による出力電圧の変動分を減算することにより、提供された出力電圧Voutを基板115の基準設定温度Tpcb_refにおける出力電圧で補償することができる。
【0036】
[数学式2]
Voutc=Vout-(Vout(Tpcb)-Vout(Tpcb_ref))
【0037】
ここで、Voutcは補償された出力電圧、Voutは対象体が位置した状態で赤外線センサモジュールから提供された出力電圧、Vout(Tpcb)及びVout(Tpcb_ref)は上述した数学式1にTpcb及びTpcb_refを代入して求めた出力電圧を意味する。上述した出力電圧の変動分は(Vout(Tpcb)-Vout(Tpcb_ref))である。
【0038】
一方、演算モジュール230は、基板115の基準設定温度Tpcb_refで求めた出力電圧Voutに対する黒体の温度Tb間の第2関数(下記数学式3参照)を用いて、基板温度補償モジュール220で補償された出力電圧Voutcから対象体の温度を求めることができる。
【0039】
すなわち、演算モジュール230は、基板115の基準設定温度Tpcb_refで求めた出力電圧Voutに対する黒体の温度Tb間の第2関数(下記数学式3参照)の変数であるVoutに補償された出力電圧Voutcを代入することにより、対象体の温度を求めることができる。
【0040】
上述した第2関数は、基板115の温度を基準設定温度Tpcb_refに固定させた状態で提供された出力電圧Voutに対する黒体の温度Tpcbをカーブフィッティングによって求めた関数であってもよい。
【0041】
以下、出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を求める過程について詳細に説明する。
【0042】
まず、上記で格納されたバイアス電圧VDD、Vrctを赤外線センサモジュール210に印加し、基板115の温度Tpcbを基準設定温度Tpcb_ref(例えば25度)に維持させた状態で、熱画像カメラ100の前に位置した黒体の温度TbをTb1、Tb2、Tb3に可変させながら、それぞれの出力電圧Vout、例えば、Vout1、Vout2、Vout3を格納する。
【0043】
その後、出力電圧Voutに対する黒体の温度Tb(Vout1-Tb1、Vout2-Tb2、Vout3-Tb3)をカーブフィッティングによって第2関数を求めることができる。
【0044】
第2関数は、例えば、下記数学式3に示すような2次関数であってもよいが、必ずしも2次関数に限定されるものではないことに留意すべきである。このようにして求めた第2関数による曲線401は、
図4のように示すことができる。
【0045】
[数学式3]
Tb(Vout)=-180+176.667×Vout-33.3333×Vout2
【0046】
ここで、Tb(Vout)は黒体の温度、Voutは出力電圧であり得る。
【0047】
一方、温度センサモジュール240は基板115上に備えられ、基板115の温度を測定することができる。測定された基板115の温度は、上述の基板温度補償モジュール220及び演算モジュール230に伝達されて関数を求めるか、又は対象体の温度測定に用いられることができる。
【0048】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、赤外線センサモジュールから提供された出力電圧を基板115の基準設定温度における出力電圧で補償し、出力電圧に対する黒体の温度間の関数を用いて、補償された出力電圧から対象体の温度を求めることにより、シャッターなしでも高い精度で対象体の温度を求めることができる利点がある。
【0049】
一方、
図5は、本発明の一実施形態に係る基板115の温度補償を用いた対象体の温度測定方法を説明するフローチャートである。
【0050】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る基板115の温度補償を用いた対象体の温度測定方法について説明する。ただし、発明の簡明化のために
図2~
図4で説明した事項と重複する説明は省略する。
【0051】
図1~
図5に示すように、まず、赤外線センサモジュール210は、対象体によって輻射された赤外線による出力電圧を提供することができる(S501)。提供された出力電圧は基板温度補償モジュール220に伝達されることができる。
【0052】
次に、基板温度補償モジュール220は、黒体の基準設定温度Tb_refで求めた基板115の温度Tpcbに対する出力電圧Vout間の第1関数を用いて、赤外線センサモジュール210から提供された出力電圧Voutを基板115の基準設定温度Tpcb_refにおける出力電圧で補償することができる(S502)。
【0053】
一方、上述した第1関数は、黒体(図示せず)の温度を基準設定温度Tb_refに固定させた状態で測定した基板115の温度Tpcbに対する出力電圧Voutをカーブフィッティングによって求めた関数であってもよく、基板の温度Tpcbに対する出力電圧Vout間の第1関数を求める過程は上述した通りである。
【0054】
最後に、演算モジュール230は、基板115の基準設定温度Tpcb_refで求めた出力電圧Voutに対する黒体の温度Tb間の第2関数を用いて、基板温度補償モジュール220で補償された出力電圧Voutcから対象体の温度を求めることができる(S503)。
【0055】
すなわち、演算モジュール230は、基板115の基準設定温度Tpcb_refで求めた出力電圧Voutに対する黒体の温度Tb間の第2関数の変数であるVoutに補償された出力電圧Voutcを代入することにより、対象体の温度を求めることができる。
【0056】
上述した第2関数は、基板115の温度を基準設定温度Tpcb_refに固定させた状態で提供された出力電圧Voutに対する黒体の温度Tpcbをカーブフィッティングによって求めた関数であってもよく、出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を求める過程は上述した通りである。
【0057】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、赤外線センサモジュールから提供された出力電圧を基板の基準設定温度における出力電圧で補償し、出力電圧に対する黒体の温度間の関数を用いて、補償された出力電圧から対象体の温度を求めることにより、シャッターなしでも高い精度で対象体の温度を求めることができる利点がある。
【0058】
上述した本発明の一実施形態に係る基板の温度補償を用いた対象体の温度測定方法は、コンピュータで実行されるためのプログラムで作製され、コンピュータが読むことができる記録媒体に格納されることができる。コンピュータが読むことができる記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ格納装置などが挙げられる。また、コンピュータが読むことができる記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読むことができるコードが格納され実行されることができる。そして、上記方法を実現するための機能的な(function)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野におけるプログラマによって容易に推論されることができる。
【0059】
さらに、本発明の説明において、「~モジュール」は、様々な方式、例えば、プロセッサ、プロセッサによって行われるプログラム命令、ソフトウェアモジュール、マイクロコード、コンピュータプログラム生成物、ロジック回路、アプリケーション専用集積回路、ファームウェアなどによって実現されることができる。
【0060】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されない。添付の特許請求の範囲によって権利範囲を限定するものとし、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野における通常の知識を有する者に自明である。