(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】三次元積層装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/34 20140101AFI20240910BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240910BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240910BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240910BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20240910BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240910BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240910BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240910BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20240910BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K26/00 Q
B23K26/00 P
B29C64/153
B29C64/386
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
B22F3/105
B22F3/16
(21)【出願番号】P 2020061231
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】ニデックマシンツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015944(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163429(WO,A1)
【文献】特開2017-164801(JP,A)
【文献】特開2014-161903(JP,A)
【文献】特開2017-097839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0283333(US,A1)
【文献】特表2018-538167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
B29C 64/00 - 64/40、
67/00 - 37/08、
67/24 - 69/02、
73/00 - 73/34
B33Y 10/00 - 99/00
B22F 1/00 - 8/00
C22C 1/04 - 1/05、33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を供給する粉末供給部と、前記粉末に光ビームを照射して前記粉末を溶融固化させて積層体を造形する光照射部と、
前記光ビームを出射する光ビーム照射口と、を有する積層ヘッドと、
溶融した前記粉末で形成される溶融池を含む造形箇所の画像を撮像する撮像部と、
異常時の前記造形箇所の画像と、該画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、前記積層体の造形が異常であるかを判断するための学習モデルに、前記画像を入力して、前記積層体の造形が異常であるかの判断結果を取得する結果取得部と、
前記判断結果に基づく情報を出力する情報出力部と、
を含
む三次元積層装置であって、
前記撮像部は、前記積層ヘッドに取り付けられ、
前記撮像部には、前記光ビームが進行するビーム経路を通過する光が入射
し、
前記画像は、前記光ビーム照射口の外周よりも内側の領域の像が写っている内側領域と、前記光ビーム照射口の内周面の像が写っている外側領域と、を含み、
前記結果取得部は、三次元積層装置の異常を、前記判断結果として取得する、三次元積層装置。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記積層体の造形の異常の種類を分類可能に構成されており、前記結果取得部は、前記学習モデルに前記画像を入力することで、前記積層体の造形の異常の種類を、前記判断結果として取得する、請求項1に記載の三次元積層装置。
【請求項3】
前記結果取得部は、
さらに前記積層体の異
常を、前記判断結果として取得する、請求項2に記載の三次元積層装置。
【請求項4】
前記結果取得部は、前記三次元積層装置の異常の種類として、前記光照射部に設けられる保護ガラスの異常と、前記光照射部及び前記粉末供給部の少なくとも一方に異物が付着している状態と、前記光照射部の結露と、前記光照射部と前記粉末供給部とのアラインメント異常との、少なくとも1つを取得する、請求項3に記載の三次元積層装置。
【請求項5】
前記結果取得部は、前記積層体の異常の種類として、前記積層体のビードの高さの異常と、前記積層体の割れと、前記積層体からスパッタが発生している状態との、少なくとも1つを取得する、請求項3又は請求項4に記載の三次元積層装置。
【請求項6】
前記情報出力部は、前記判断結果に基づき、前記積層体の造形を停止する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の三次元積層装置。
【請求項7】
前記情報出力部は、前記積層体の造形が異常であるとの判断結果を取得した回数が閾値以上となった場合に、前記積層体の造形を停止する、請求項6に記載の三次元積層装置。
【請求項8】
前記情報出力部は、前記判断結果に基づき、造形に異常がある旨の警告を出力する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の三次元積層装置。
【請求項9】
前記情報出力部は、前記判断結果に基づき、前記積層体に対する前記粉末供給部の移動速度と、前記光ビームの出力との、少なくとも1つを制御する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の三次元積層装置。
【請求項10】
前記学習モデルは、前記異常種類として、前記光照射部に設けられる保護ガラスの異常と、前記光照射部及び前記粉末供給部の少なくとも一方に異物が付着している状態と、前記光照射部の結露と、前記光照射部と前記粉末供給部とのアラインメント異常と、前記積層体のビードの高さの異常と、前記積層体の割れと、前記積層体からスパッタが発生している状態との、少なくとも1つが起こった際の前記造形箇所の画像と、前記異常種類との対応関係を機械学習させた学習モデルである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の三次元積層装置。
【請求項11】
粉末を供給する粉末供給部と前記粉末に光ビームを照射して前記粉末を溶融固化させて積層体を造形する光照射部と
前記光ビームを出射する光ビーム照射口とを有する積層ヘッドを備える三次元積層装置に用いられる制御方法であって、
前記積層ヘッドに取り付けられ、前記光ビームが進行するビーム経路を通過する光が入射する撮像部によって、溶融した前記粉末で形成される溶融池
と、前記光ビーム照射口の外周よりも内側の領域の像が写っている内側領域と、前記光ビーム照射口の内周面の像が写っている外側領域と、を含む造形箇所の画像を撮像するステップと、
異常時の前記造形箇所の画像と該画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、前記積層体の造形が異常であるかを判断するための学習モデルに、前記画像を入力して、前記
三次元積層装置が異常であるかの判断結果を取得するステップと、
前記判断結果に基づく情報を出力するステップと、
を含む、制御方法。
【請求項12】
粉末を供給する粉末供給部と、前記粉末に光ビームを照射して前記粉末を溶融固化させて積層体を形成する光照射部と
、前記光ビームを出射する光ビーム照射口とを有する積層ヘッドを備える三次元積層装置に用いられる制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記積層ヘッドに取り付けられ、前記光ビームが進行するビーム経路を通過する光が入射する撮像部によって、溶融した前記粉末で形成される溶融池
と、前記光ビーム照射口の外周よりも内側の領域の像が写っている内側領域と、前記光ビーム照射口の内周面の像が写っている外側領域と、を含む造形箇所の画像を撮像するステップと、
異常時の前記造形箇所の画像と該画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、前記積層体の造形が異常であるかを判断するための学習モデルに、前記画像を入力して、前記
三次元積層装置が異常であるかの判断結果を取得するステップと、
前記判断結果に基づく情報を出力するステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元積層装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属粉末などの粉末を原料として積層体を成形する積層体成形方法が実用化されている。例えば特許文献1には、3Dプリンタによって造形された造形物をカメラで撮像して、機械学習によって造形物の異常を評価する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、造形物に異常を生じさせる原因は様々なケースが考えられ、特許文献1のような検出方法では、異常を適切に検出できない可能性もある。従って、造形異常を適切に検出するには改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、造形異常を適切に検出可能な三次元積層装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る三次元積層装置は、粉末を供給する粉末供給部と、前記粉末に光ビームを照射して前記粉末を溶融固化させて積層体を造形する光照射部と、溶融した前記粉末で形成される溶融池を含む造形箇所の画像を撮像する撮像部と、異常時の前記造形箇所の画像と該画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、前記積層体の造形が異常であるかを判断するための学習モデルに、前記画像を入力して、前記積層体の造形が異常であるかの判断結果を取得する結果取得部と、前記判断結果に基づく情報を出力する情報出力部と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御方法は、粉末を供給する粉末供給部と前記粉末に光ビームを照射して前記粉末を溶融固化させて積層体を造形する光照射部とを備える三次元積層装置に用いられる制御方法であって、溶融した前記粉末で形成される溶融池を含む造形箇所の画像を撮像するステップと、異常時の前記造形箇所の画像と該画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、前記積層体の造形が異常であるかを判断するための学習モデルに、前記画像を入力して、前記積層体の造形が異常であるかの判断結果を取得するステップと、前記判断結果に基づく情報を出力するステップと、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、粉末を供給する粉末供給部と、前記粉末に光ビームを照射して前記粉末を溶融固化させて積層体を形成する光照射部とを備える三次元積層装置に用いられる制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、溶融した前記粉末で形成される溶融池を含む造形箇所の画像を撮像するステップと、異常時の前記造形箇所の画像と該画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、前記積層体の造形が異常であるかを判断するための学習モデルに、前記画像を入力して、前記積層体の造形が異常であるかの判断結果を取得するステップと、前記判断結果に基づく情報を出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、造形異常を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態の三次元積層装置の模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る積層ヘッドの模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、学習モデルの概念的な模式図である。
【
図5】
図5は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る制御フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(三次元積層装置の全体構成)
図1は、本実施形態の三次元積層装置の模式図である。ここで、本実施形態では、水平面内の一方向を方向X、水平面内において方向Xと直交する方向を方向Y、方向X及び方向Yのそれぞれと直交する方向、すなわち鉛直方向を、方向Zとする。また、方向Zに沿う方向のうち一方の方向を、方向Z1とし、方向Zに沿う方向のうち他方の方向、すなわち方向Z1の反対方向を、方向Z2とする。本実施形態では、方向Z1が鉛直方向上方に向かう方向であり、方向Z2が鉛直方向下方に向かう方向である。
【0013】
図1に示すように、三次元積層装置1は、三次元積層室R内に、台部10と、基台移動部12と、基台部14と、台部16と、積層ヘッド18と、ヘッド移動部20と、撮像部22と、制御装置26とを備える。制御装置26は、三次元積層室Rの外部に設けられていてもよい。
【0014】
三次元積層装置1は、基台部14に、三次元形状物である積層体Aを成形する装置である。基台部14は、積層体Aが成形される土台となる部材である。本実施形態の基台部14は、板状の部材である。なお、基台部14は、これに限定されない。基台部14は、積層体Aとは別体として積層体Aの土台となる部材であるが、積層体Aと結合されて積層体Aの一部となる部材であってもよい。
【0015】
(台部、基台移動部)
台部10は、基台移動部12や基台部14などを支持する台である。基台移動部12は、台部10上に設けられ、基台部14を支持する。基台移動部12は、制御装置26の制御により、基台部14を移動させる機構である。基台移動部12は、第1移動部12Aと、第2移動部12Bと、回転部12Cとを有する。第1移動部12Aは、水平方向に沿った(鉛直方向に直交する)第1方向に基台部14を移動させる機構である。本実施形態では、第1移動部12Aは、基台部14を方向Yに沿って移動させる。さらに言えば、本実施形態においては、第1移動部12A上に、第2移動部12B、回転部12C、及び基台部14が配置され、第1移動部12Aは、第2移動部12B、回転部12C、及び基台部14を、方向Yに沿って移動させる。
【0016】
第2移動部12Bは、水平方向に沿った(鉛直方向に直交する)第2方向に基台部14を移動させる機構であり、第2方向は、第1方向に直交する方向である。本実施形態では、第2移動部12Bは、基台部14を方向Xに沿って移動させる。さらに言えば、本実施形態においては、第2移動部12B上に、回転部12C及び基台部14が配置され、第2移動部12Bは、回転部12C及び基台部14を方向Xに沿って移動させる。なお、本実施形態では、第1移動部12Aと第2移動部12Bは、上部に載せた基台部14を移動させるスライダであるが、スライダ以外の機構であってもよい。
【0017】
回転部12Cは、基台部14が配置される回転テーブルである。回転部12Cは、少なくとも1つの回転軸を中心として回転することで、上部に配置されている基台部14を回転させる。本実施形態では、回転部12Cは、互いに直交する3つの回転軸を回転中心として基台部14を回転させる。
【0018】
このように、基台移動部12は、第1移動部12Aと第2移動部12Bとにより、基台部14を方向X及び方向Yに沿って移動させ、回転部12Cにより、基台部14を3つの回転軸を回転中心として回転させる。すなわち、基台移動部12は、基台部14を、2つの軸に沿って移動させ3つの回転軸を中心に回転させる、5軸の移動機構である。ただし、基台移動部12は、5軸の移動機構に限られず、例えば、基台部14を方向X及び方向Yに沿って移動させる2軸の移動機構であってもよい。
【0019】
(台部)
台部16は、三次元積層室R内に設けられる台座であり、本実施形態ではヘッド移動部20が設けられている。
【0020】
(ヘッド移動部)
ヘッド移動部20は、積層ヘッド18を方向Zに沿って移動させる。本実施形態では、ヘッド移動部20は、台部16に取付けられている。ヘッド移動部20は、積層ヘッド18を、方向Zに沿って移動させる。本実施形態では、ヘッド移動部20は、積層ヘッド18を移動させるスライダであるが、スライダ以外の機構であってもよい。また、ヘッド移動部20は、台部16に取付けられることに限られず、取付け位置は任意である。
【0021】
このように、本実施形態においては、基台移動部12で基台部14(積層体A)をX方向及びY方向に移動させることで、積層体Aに対する積層ヘッド18のX方向及びY方向の位置を変化させる。そして、本実施形態においては、ヘッド移動部20で積層ヘッド18をZ方向に移動させることで、積層体Aに対する積層ヘッド18のZ方向の位置を変化させる。ただし、積層体Aに対する積層ヘッド18の位置を変化させる方法はそれに限られず、例えば、積層ヘッド18をX方向及びY方向の少なくとも1方向に移動させてもよいし、積層体AをZ方向に移動させてもよい。すなわち、三次元積層装置1は、積層体Aを移動させることで、積層体Aに対する積層ヘッド18の位置を変化させてもよいし、積層ヘッド18を移動させることで、積層体Aに対する積層ヘッド18の位置を変化させてもよいし、積層体A及び積層ヘッド18の両方を移動させることで、積層体Aに対する積層ヘッド18の位置を変化させてもよい。
【0022】
(積層ヘッド)
積層ヘッド18は、基台部14の方向Z1側、すなわち基台部14の鉛直方向上方側に設けられる。積層ヘッド18は、光ビーム照射口32Bから、基台部14に向けて光ビームLを照射し、粉末噴射口34Bから、基台部14に向けて粉末Pを噴射することで、基台部14上で積層体Aを形成する。すなわち、本実施形態に係る三次元積層装置1は、積層ヘッド18を備えるデポジション方式の三次元積層装置である。
【0023】
図2は、本実施形態に係る積層ヘッドの模式図である。
図2に示すように、積層ヘッド18は、内管32と外管34とを有する。外管34は、管状の部材であり、先端、すなわち方向Z2に向かって径が小さくなっている。内管32も、管状の部材であり、先端、すなわち方向Z2に向かって径が小さくなっている。内管32は、外管34の内部に挿入されているため、内管32と外管34とで、二重管を構成している。積層ヘッド18は、内管32の内側の空間が、光ビームLが通過するビーム経路32Aとなる。また、積層ヘッド18は、内管32の外周面と外管34の内周面との間の空間が、粉末Pが通過する粉末流路34Aとなる。すなわち、粉末流路34Aは、ビーム経路32Aの周囲を囲う形状の流路となる。本実施形態では、粉末流路34Aは、ビーム経路32Aの外周に同心円状に配置される。
【0024】
積層ヘッド18は、方向Z2側の端部30Aに、ビーム経路32Aに連通する光ビーム照射口32Bが開口している。すなわち、光ビーム照射口32Bは、ビーム経路32Aの方向Z2側の開口である。ビーム経路32A内には、光学素子36と保護ガラス37とが設けられる。光学素子36は、例えば、光ビームLをコリメートするコリメートレンズと、コリメートした光ビームLを集光する集光レンズと、を備える。保護ガラス37は、光学素子36よりも端部30A側に設けられており、積層ヘッド18内を保護するカバーガラスである。積層ヘッド18は、光源28に接続されている。光源28は、光ビームLを出力する光源である。光源28から出力された光ビームLは、光源28とビーム経路32Aとの間に設けられたミラー38、40で反射して、ビーム経路32A内に導入される。光ビームLは、ビーム経路32A内をZ2方向側に進行して、光学素子36で集光されて、保護ガラス37を通って光ビーム照射口32Bから積層ヘッド18の外部に出射される。光ビーム照射口32Bから出射された光ビームLは、方向Z2に向けて進み、基台部14に向けて照射される。
【0025】
また、積層ヘッド18は、方向Z2側の端部30Aに、粉末流路34Aに連通する粉末噴射口34Bが開口している。すなわち、粉末噴射口34Bは、ビーム経路32Aの方向Z2側の開口である。粉末噴射口34Bは、光ビーム照射口32Bを囲うように開口する。粉末流路34Aは、粉末Pを貯留する図示しない粉末貯留機構に接続されており、粉末貯留機構から粉末Pが供給される。粉末流路34A内に供給された粉末Pは、粉末流路34A内を方向Z2に向けて流れ、粉末噴射口34Bから積層ヘッド18の外部に噴射される。粉末噴射口34Bから噴射された粉末Pは、方向Z2に向けて進み、基台部14に向けて噴射される。
【0026】
ここで、粉末Pは、所定のスポット径をもって基台部14に向かって噴射され、光ビームLは、所定のスポット径をもって基台部14に向かって照射される。粉末Pは、光ビームLの熱や、光ビームLの照射によって加熱された積層体Aの熱によって溶融して、溶融池Mを形成する。溶融池Mは、溶融した粉末Pと、溶融した積層体Aとの少なくとも1つを含むといえる。基台部14は、積層ヘッド18に対して移動するため、光ビームLが照射される位置が変化する。従って、光ビームLが照射されて溶融池Mを形成していた箇所は、光ビームLが照射されなくなることで冷却されて固化して、ビードBを形成する。このビードBを三次元状に積層することで、積層体Aが成形される。以下、基台部14上において光ビームLを照射して粉末Pを噴射している箇所を、すなわちビードBを形成している箇所を、造形箇所と記載する。造形箇所は少なくとも溶融池Mが形成されている部分を含み、さらにいえば、溶融池Mと溶融池Mの周辺のビードBとを含むともいえる。
【0027】
このように、本実施形態においては、内管32が、言い換えれば粉末流路34A及び粉末噴射口34Bが、粉末Pを供給する粉末供給部であり、外管34が、言い換えればビーム経路32A及び光ビーム照射口32Bが、粉末Pに光ビームLを照射して粉末Pを溶融固化させて積層体Aを形成する光照射部であるといえる。すなわち、本実施形態では、粉末供給部と光照射部とが、積層ヘッド18として一体で構成されている。ただし、粉末供給部と光照射部とは別体であってもよい。また、本実施形態における光ビームLは、レーザ光であるが、レーザ光に限られず、例えば電子ビームなどであってもよい。また、本実施形態における粉末Pは、金属粉末であるが、金属粉末に限られない。
【0028】
(撮像部)
撮像部22は、本実施形態では赤外光Iの像を撮像する赤外カメラである。撮像部22は、例えば、InGaAsカメラである。撮像部22は、積層ヘッド18に取り付けられて、積層ヘッド18に対して位置が固定されている。
図2に示すように、撮像部22は、積層ヘッド18のZ1方向側に設けられており、撮像部22の光軸は、ビーム経路32Aにおける光ビームLの光軸と同軸となっている。造形箇所(溶融池Mやその周囲の積層体A)からは、赤外光Iが放出される。赤外光Iは、光ビーム照射口32Bから、ビーム経路32A内をZ1方向に進行する。ミラー40は、光ビームLは反射するが赤外光Iを透過するため、赤外光Iは、ミラー40を透過して、撮像部22に入射する。撮像部22は、この赤外光Iの像を撮像することで、造形箇所の画像を撮像できる。撮像部22が検出する赤外光Iの波長は、例えば、0.75μm以上1000μm以下であり、さらに言えば、例えば波長が0.75μm以上1.4μm以下程度の近赤外線であることが好ましい。なお、撮像部22が設けられる位置は、以上で説明した位置に限られず、任意の位置であってもよい。また、撮像部22は、赤外カメラであることに限られない。
【0029】
図2に示すように、造形箇所(溶融池Mやその周囲の積層体A)からの赤外光Iの一部は、ビーム経路32A内をZ1方向に直進して撮像部22に到達するが、赤外光Iの他の一部は、内管32の内周面32Cで反射して、撮像部22に入射する。撮像部22は、このように内周面32Cで反射して撮像部22に到達した赤外光Iの像も撮像する。すなわち、撮像部22は、光ビーム照射口32BをZ1方向に直進した赤外光Iの像、すなわち内周面32Cで反射せずに撮像部22に到達した赤外光Iの像と、内周面32Cで反射して撮像部22に到達した赤外光Iの像とを、撮像する。内周面32Cで反射せずに撮像部22に到達した赤外光Iの像は、光ビーム照射口32Bの外周よりも内側の領域内の像であり、造形箇所(溶融池Mやその周囲の積層体A)の像であるといえる。また、内周面32Cで反射して撮像部22に到達した赤外光Iの像は、内周面32Cの像であるといえる。
【0030】
(制御装置)
制御装置26は、三次元積層装置1を制御する装置、ここではコンピュータである。制御装置26は、積層ヘッド18を制御することで、積層ヘッド18から粉末Pを噴射させつつ光ビームLを照射させて、所定の送り速度で積層ヘッド18に対する基台部14(積層体A)の位置を移動させることで、積層体Aを造形させる。また、制御装置26は、積層体Aを造形中に撮像部22で撮像した造形箇所の画像である検出用画像KAを、後述する機械学習済みの学習モデルCNに入力することで、造形中の積層体Aの造形の異常を検出する。検出用画像KAとは、造形中の積層体Aの造形異常を検出するために撮像部22によって撮像された、造形中の積層体Aの造形箇所の画像といえる。
【0031】
図3は、本実施形態に係る制御装置のブロック図である。
図3に示すように、制御装置26は、制御部50と記憶部52とを備える。記憶部52は、制御部50の演算内容やプログラムの情報や、学習モデルCNなどを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0032】
制御部50は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部50は、学習部60と、画像取得部62と、結果取得部64と、情報出力部66とを含む。制御部50は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで学習部60と、画像取得部62と、結果取得部64と、情報出力部66を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部50は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、学習部60と、画像取得部62と、結果取得部64と、情報出力部66の少なくとも1つを、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0033】
(学習部)
(学習モデル)
図4は、学習モデルの概念的な模式図である。学習部60は、未学習の学習モデルを学習させて、機械学習済みの学習モデルCNを生成して、生成した学習モデルCNを記憶部52に記憶させる。学習モデルCNは、AI(Artificial Interigence)における学習モデルを指す。具体的には、学習モデルCNは、ディープラーニングによって学習された学習モデルであり、ディープラーニングによって学習された分類器を構成するニューラルネットワークを定義するモデル(ニューラルネットワークの構成情報)と、変数とで構成される。学習モデルCNは、入力されたデータと学習済みのデータとを比較して、類似の度合い、例えば類似度が何%であるか、を判定できるものである。ディープラーニングは、機械学習のうちの1つの手法であり、狭義には例えば4層以上のニューラルネットワークから構成される。本実施形態の例では、学習モデルCNは、CNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルであり、
図4に示すように、複数の畳み込み層及び複数のプーリング層を含む中間層MNと、全結合層を含む最終層FNと、を備える。CNNモデルCNは、入力データINが入力された場合に、中間層MNと最終層FNとで演算を行って、出力データONを出力する。ただし、学習モデルCNは、CNNモデルに限られず、任意の方式の学習モデルであってもよい。
【0034】
学習部60は、教師データを用いて学習モデルにおける重み係数及びバイアス値を設定することで、機械学習済みの学習モデルCNを生成する。すなわち、学習モデルCNは、学習部60によって重み係数及びバイアス値が学習された学習モデルであるといえる。
【0035】
本実施形態における学習モデルCNは、異常時の造形箇所の画像とその画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルであって、積層体の造形が異常であるかを判断するための機械学習済みの学習モデルである。学習部60は、溶融池Mを含む造形箇所を撮像した画像である教師画像Kと、教師画像Kに割り当てられているラベル(クラス)とを、教師データとして取得する。本実施形態におけるラベルは、教師画像Kに写っている造形箇所を含む積層体の造形が異常であるかを示す情報(識別子)である。教師画像K毎のラベルは既知であり、学習部60は、例えば、人が教師画像K毎に設定したラベルを取得する。ただし、学習部60の教師画像K毎のラベルの取得方法は任意であってよい。学習部60は、教師データとしての教師画像Kとラベルとを未学習の学習モデルに入力することで、例えばバックプロパケーション(誤差逆伝搬法)により、重み係数及びバイアス値を設定して、機械学習済みの学習モデルCNを生成する。
【0036】
(教師画像)
教師画像Kは、予め撮像された造形箇所の画像であり、積層体の造形が異常であるかのラベルが既知の画像である。教師画像Kは、実際に三次元積層装置1で造形中の積層体の造形箇所を、撮像部22によって撮像した画像であることが好ましい。すなわち、教師画像Kを撮像した撮像部は、これから造形異常を検出するために用いる撮像部22と同じ構成であることが好ましい。ここでの同じ構成とは、造形箇所に対する撮像部の位置が同じことを指す。言い換えれば、教師画像Kは、これから造形異常を検出するために撮像される検出用画像KAと同じアングルで撮像された画像であることが好ましい。
【0037】
(ラベル)
ラベルは、積層体の造形が異常であるかを示す情報であり、造形が異常であるかを分類する情報であるともいえる。ラベルは、教師画像K毎に割り当てられている。積層体の造形が異常であるとは、積層体が正常に造形されていない状態を指し、このまま造形を継続した場合には望んだ特性(形状や強度など)の積層体が造形できなくなる状態を指す。それぞれの教師画像Kには、積層体の造形が異常であることを示すラベルと、積層体の造形が正常であることを示すラベルとの、いずれかが割り当てられる。
【0038】
さらに言えば、本実施形態においては、造形異常を示すラベルは、積層体の造形異常の種類毎に分類されている。すなわち、教師画像Kは、どのような造形異常が生じているかが既知であり、造形異常の種類毎のラベルが割り当てられている。ラベルは、造形異常の種類毎に分類されているため、造形の異常モードを指すと言い換えることもできる。造形異常の種類(異常モード)としては、三次元積層装置1の異常と、積層体Aの異常とが挙げられる。すなわち、それぞれの教師画像Kは、造形が正常であることを示すラベル、三次元積層装置1が異常であることを示すラベル、又は積層体Aが異常であることを示すラベル、のいずれかが割り当てられている。
【0039】
さらに言えば、本実施形態では、三次元積層装置1が異常であることを示すラベルも、複数に区分されている。三次元積層装置1が異常であることを示すラベルとしては、保護ガラス異常と、異物付着と、結露と、アラインメント異常と、が挙げられる。保護ガラス異常は、積層ヘッド18(光照射部)に設けられる保護ガラス37に異常が生じている状態であり、具体的には保護ガラス37が異物付着などで汚れている状態を指す。保護ガラス異常は、例えば保護ガラス37が破損している場合を含んでもよい。異物付着は、積層ヘッド18(光照射部及び粉末供給部の少なくとも一方)に異物が付着している状態を指す。異物付着は、積層ヘッド18のビーム経路32A内に異物が付着している状態を指してもよい。結露は、積層ヘッド18の光学素子が結露している状態を指す。ここでの光学素子は、積層ヘッド18内に設けられる光学素子であれば任意のものであってもよいが、
図2の例だと、光学素子36、保護ガラス37、ミラー38、40などを指す。アラインメント異常は、光照射部と粉末供給部とのアラインメントが許容範囲よりもずれていることを指し、光ビームLの収束位置と粉末Pの収束位置が、許容範囲よりもずれていることを指すともいえる。このように、本実施形態では、三次元積層装置1が異常であることを示すラベルとして、保護ガラス異常と、異物付着と、結露と、アラインメント異常とが含まれるが、それに限られず、例えば、保護ガラス異常と、異物付着と、結露と、アラインメント異常との少なくとも1つを含んでいてよい。
【0040】
本実施形態では、造形中の積層体Aが異常であることを示すラベルも、複数に区分されている。積層体Aが異常であることを示すラベルとしては、積層体割れと、ビードBの高さ異常と、スパッタと、が挙げられる。積層体割れとは、造形中の積層体Aに割れ(破損)が生じていることを指すが、割れ方、すなわち割れた箇所の傷の形状については、特に限定されない。ビードBの高さ異常とは、
図2に示すビードBの高さD1が、すなわちビードBのZ方向における長さが、許容範囲外であることを指す。ビードBの高さ異常は、ビード高さ低下と、ビード高さ増加とに分けられる。ビード高さ低下は、ビードBの高さD1が許容範囲より小さくなっている状態を指し、ビード高さ増加とは、ビードBの高さD1が許容範囲より大きくなっている状態を指す。スパッタとは、溶融池Mの周囲にスパッタ(火花)が発生している状態を指す。このように、本実施形態では、積層体Aが異常であることを示すラベルとして、積層体割れと、ビード高さ低下と、ビード高さ増加と、スパッタとが含まれるが、それに限られず、例えば、積層体割れと、ビード高さ低下と、ビード高さ増加と、スパッタとの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0041】
(ラベル毎の教師画像の例)
以下、ラベル毎の、すなわち異常モード毎の教師画像Kの例を説明する。
図5から
図13は、ラベル毎の教師画像の例を示す模式図である。
図5は、正常である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。
図5に示すように、造形箇所を撮像した教師画像Kは、内側領域AR1と、外側領域AR2とを含む。内側領域AR1は、教師画像Kのうちの、光ビーム照射口32Bの外周よりも内側の領域の像が写っている領域を指し、造形箇所が写っている領域といえる。内側領域AR1は、造形箇所が写っている造形箇所領域AR1aと、造形箇所領域AR1aの周囲の輝度が低い周囲領域AR1bとを含む。溶融池Mを含む造形箇所は高温になっているため、造形箇所が写っている造形箇所領域AR1aは、輝度が高くなっている。一方、周囲領域AR1bは、造形箇所の周囲であって温度が低下している箇所が写っているため、造形箇所領域AR1aよりも輝度が低くなっている。一方、外側領域AR2は、内周面32Cの像が写っている領域、すなわち内周面32Cで反射して撮像部22に到達した赤外光Iの像が写っている領域を指す。外側領域AR2は、内側領域AR1を囲うように形成されている。外側領域AR2は、造形箇所からの赤外光Iの内周面32Cでの反射光を撮像した領域であるため、周囲領域AR1bよりも輝度が高く、造形箇所領域AR1aよりも輝度が低い。
【0042】
図5のように正常のラベルが割り当てられる教師画像Kは、後述するような異常のラベルが割り当てられる教師画像Kが有する特徴を有していない。
【0043】
図6は、異常の内容が保護ガラス異常である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。保護ガラス異常が起きている場合、保護ガラス37を通って撮像部22に到達する赤外光Iが、散乱する。そのため、
図6に示すように、保護ガラス異常のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、造形箇所領域AR1aや外側領域AR2などの画像全体がぼやける傾向にある。また、保護ガラス異常のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、造形箇所領域AR1a内に、輝度が低い領域(影)が存在する傾向にある。
【0044】
図7は、異常の内容が異物付着である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。異物付着が起きている場合、異物が付着している箇所では、異物に遮られて、赤外光Iが撮像部22に到達しない。そのため、
図7に示すように、異物付着のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、内周面32Cが写っている外側領域AR2に、輝度が低い領域(影)が存在する傾向にある。本実施形態では、学習部60は、異物付着を機械学習させるために、造形箇所全体が写っている教師画像Kから、一部を切り出した教師画像Kaを生成する。学習部60は、この教師画像Kaと異物付着のラベルとを教師データとして学習モデルに入力することで、学習モデルCNに異物付着を学習させる。教師画像Kaは、内側領域AR1と外側領域AR2とを含む教師画像Kから、外側領域AR2のみを切り出した画像であり、さらに言えば、外側領域AR2のうちの一部を切り出した画像であることが好ましい。このような教師画像Kaを教師データとして用いることで、異物付着を適切に学習できる。
【0045】
図8は、異常の内容が結露である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。結露が起きている場合、結露している部分を透過した赤外光Iが撮像部22に到達する。そのため、
図8に示すように、結露のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、特に輝度が高い造形箇所領域AR1aや外側領域AR2に、粒状の模様が生成される傾向にある。
【0046】
図9は、異常の内容がアラインメント異常である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。アラインメント異常が起きている場合、溶融池M以外の部分に、高温であるが未溶融の粉末Pが付着する傾向にある。そのため、
図9に示すように、アラインメント異常のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、輝度が高い造形箇所領域AR1aが送り方向(ビードの延在方向)に長くなったり、造形箇所領域AR1a内での輝度のばらつきが大きくなったりする傾向にある。
【0047】
図10は、異常の内容が積層体割れである旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。積層体割れが起きている場合、積層体の傷(クラック)の部分からの赤外光Iも撮像部22に入射する。そのため、
図10に示すように、積層体割れのラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、輝度が低い周囲領域AR1bにおいて、輝度が高い線状の領域が形成される傾向がある。
【0048】
図11は、異常の内容がビード高さ低下である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。ビード高さ低下が起きている場合、
図2に示す造形箇所と積層ヘッド18(粉末供給部)の端部30Aとの間の、Z方向における距離D2が、適正範囲より長くなる。積層ヘッド18の端部30AのZ方向における位置は、積層ヘッド18からの光ビームLや粉末Pが造形箇所で適切に収束するように設定されている。従って、ビード高さ低下が起きて距離D2が長くなると、造形箇所から離れる分、造形箇所から撮像部22に入射する赤外光Iの強度が小さくなる。そのため、
図11に示すように、ビード高さ低下のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、造形箇所領域AR1aの輝度及び面積が小さくなる。
【0049】
図12は、異常の内容がビード高さ増加である旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。ビード高さ増加が起きている場合、距離D2が適正範囲より短くなる。従って、ビード高さ増加が起きて距離D2が短くなると、造形箇所に近づく分、造形箇所から撮像部22に入射する赤外光Iの強度が高くなり、かつ、造形箇所の像のピントがずれる。そのため、
図12に示すように、ビード高さ低下のラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、造形箇所領域AR1aの輝度及び面積が大きくなる。
【0050】
図13は、異常の内容がスパッタである旨を示すラベルが割り当てられる教師画像Kの例を示している。スパッタが起きている場合、溶融池Mの周辺にスパッタが発生する。そのため、
図13に示すように、スパッタのラベルが割り当てられる教師画像Kは、一般的な特徴として、周囲領域AR1b内の造形箇所領域AR1aの周囲において、輝度が高い複数の領域が含まれる画像となる。
【0051】
学習部60は、以上で挙げたそれぞれの種類のラベルが割り当てられた教師画像Kと、その教師画像Kに割り当てられたラベルの情報とを、教師データとして学習モデルに入力して、機械学習済みの学習モデルCNを生成する。従って、学習済みモデルCNは、ラベルが未知の検出用画像K1が入力された場合に、演算を実行して、検出用画像K1にラベルを割り当てて、判定結果として出力することができる。学習済みモデルCNは、積層体Aの造形異常の種類を分類可能に構成されているといえる。なお、学習部60は、同じラベルが割り当てられる複数の教師画像Kを教師データとして学習モデルに入力することが好ましい。
【0052】
(画像取得部)
図3に示す画像取得部62は、撮像部22を制御して、撮像部22に、造形中の積層体Aの造形箇所の画像を撮像させて、撮像部22が撮像した画像を、検出用画像K1として取得する。画像取得部62は、所定の時間毎に撮像部22に撮像を行わせることで、所定の時間毎に撮像された検出用画像K1を取得する。検出用画像K1も、教師画像Kと同様に造形箇所を撮像した画像なので、内側領域AR1及び外側領域AR2を含む画像となるが、造形状況に応じて、教師画像Kとは異なる画像になる。
【0053】
(結果取得部)
図3に示す結果取得部64は、記憶部52から機械学習済みの学習モデルCNを読み出して、画像取得部62が取得した検出用画像K1を、学習モデルCNに入力する。学習モデルCNにおいては、検出用画像K1が入力データINとして入力されて検出用画像K1の特徴量が抽出され、演算が実行される。その結果、学習モデルCNからは、入力された検出用画像K1のラベルが、出力データONとして出力される。結果取得部64は、出力データONとして出力された検出用画像K1のラベルを、積層体Aの造形が異常であるかの判断結果として取得する。結果取得部64は、検出用画像K1が取得される毎に学習モデルCNに入力して、検出用画像K1毎に判断結果(ラベル)を取得する。
【0054】
図14は、判断結果の一例を示す模式図である。本実施形態では、学習モデルCNは、教師画像Kを用いた学習により、正常、保護ガラス異常、異物付着、結露、アラインメント異常、積層体割れ、ビード高さ低下、ビード高さ増加、及び、スパッタのうちのいずれかのラベルを、検出用画像K1に対して割り当て可能となる。従って、結果取得部64は、正常、保護ガラス異常、異物付着、結露、アラインメント異常、積層体割れ、ビード高さ低下、ビード高さ増加、及び、スパッタのいずれかのラベルを、判断結果として取得する。本実施形態においては、学習モデルCNは、それぞれのラベルに対する検出用画像K1の一致度合いを、ラベル毎の確率として算出する。すなわち、学習モデルCNは、検出用画像K1がそれぞれのラベルに割り当てられる確率を算出するといえる。学習モデルCNは、それぞれのラベルのうちから、一致度合いが最も高いラベルを、すなわち割り当てられる確率が最も高いラベルを、検出用画像K1に割り当てられるラベルと判断して、そのラベルを判断結果として出力する。
図14の例では、ビード高さ増加のラベルに割り当てられる確率が最も高いため、ビード高さ増加のラベルが、判断結果として出力される。
【0055】
結果取得部64は、以上のようにして、検出用画像K1に割り当てられるラベルを取得する。上述のように、ラベルは、積層体Aの造形が異常であるかを示す情報であるため、結果取得部64は、積層体Aの造形が異常であるかの判断結果を取得しているといえる。さらに言えば、ラベルは積層体Aの造形異常の種類を示すため、結果取得部64は、積層体Aの造形異常の種類を、判断結果として取得しているともいえる。
【0056】
以上説明したように、学習モデルCNは、積層体Aの造形状態を、正常、保護ガラス異常、異物付着、結露、アラインメント異常、積層体割れ、ビード高さ低下、ビード高さ増加、及び、スパッタのいずれかに分類可能であるが、それに限られない。学習モデルCNは、例えば、積層体Aの造形を、正常と異常とのいずれかに分類可能であってよい。この場合、結果取得部64は、学習モデルCNから、正常のラベルと異常のラベルとのいずれかを取得することで、積層体の造形が異常であるかの判断結果を取得する。また、学習モデルCNは、積層体Aの造形を、正常と、三次元積層装置1の異常と、積層体Aの異常とのいずれか1つに分類可能であってよい。この場合、結果取得部64は、学習モデルCNから、正常のラベルと、三次元積層装置1の異常のラベルと、積層体Aの異常のラベルとのいずれかを取得することで、正常と三次元積層装置1の異常と積層体Aの異常との少なくとも1つを、判断結果として取得するといえる。
【0057】
(情報出力部)
図3に示す情報出力部66は、結果取得部64が取得した判断結果に基づく情報を出力する。より具体的には、情報出力部66は、結果取得部64が取得した判断結果に基づいて、三次元積層装置1を制御する。情報出力部66は、結果取得部64が取得した判断結果に基づいて、積層体Aの造形を停止させたり、警告を出力したりする。なお、積層体Aの造形の停止とは、光ビームLの照射及び粉末Pの噴射を停止することを指す。また、ここでの警告とは、造形異常の可能性がある旨を示す情報であり、音で通知してもよいし、表示装置に表示させてもよい。また、警告として、ラベルの情報を、すなわち造形異常の種類の情報を、出力してもよい。
【0058】
以下、情報出力部66の具体的な制御内容を説明する。情報出力部66は、結果取得部64が取得した判断結果において、造形異常とされた回数をカウントする。情報出力部66は、造形異常とされた合計回数である異常回数が第1閾値以上となった場合に、造形を停止することなく警告を出力し、異常回数が第2閾値以上となった場合に、積層体Aの造形を停止させる。第2閾値は、第1閾値より値が大きいため、情報出力部66は、造形異常の回数が増加するに従って、最初は警告を出力し、さらに造形異常の回数が増加した場合に、造形を停止する。第1閾値や第2閾値は、任意に設定可能である。また例えば、情報出力部66は、第1閾値及び第2閾値を、回数ではなく所定の割合として設定してもよい。この場合例えば、情報出力部66は、直近に取得された所定数の検出用画像K1のうち、造形異常とされた検出用画像K1の数を、異常回数として算出する。情報出力部66は、この所定数(直近の検出用画像K1の数)に対する異常回数の比率を算出し、この比率が第1閾値以上である場合には、警告を出力し、この比率が第2閾値以上である場合には、造形を停止させる。
【0059】
情報出力部66は、ラベル毎に、すなわち造形異常の種類毎に、異常回数をカウントすることが好ましい。従って、情報出力部66は、ラベル毎の異常回数をカウントし、いずれかのラベルの異常回数が第1閾値以上になったら、警告を出力し、いずれかのラベルの異常回数が第2閾値以上になったら、造形を停止する。この場合、第1閾値や第2閾値は、ラベル毎に、すなわち造形異常の種類毎に設定されることが好ましい。造形異常の種類によっては、早めに警告や造形停止を行った方がよいものもあるため、ラベル毎に閾値を設定することで、造形異常の種類に応じて適切に対応可能となる。例えば、保護ガラス異常及びスパッタのラベルに対する閾値を、ビード高さ低下及びビード高さ増加のラベルに対する閾値よりも、低く設定してよい。ただし、情報出力部66は、ラベル毎に異常回数をカウントすることに限られず、造形異常とされたラベル(正常以外のラベル)が割り当てられた全ての検出用画像K1の枚数を、異常回数としてカウントしてもよい。
【0060】
このように、情報出力部66は、異常回数が第1閾値以上となった場合に警告を出力し、異常回数が第2閾値以上となった場合に造形を停止させる。ただし、情報出力部66による制御はこれに限られず、例えば、警告の出力と造形の停止とのうちの一方のみを実行してもよい。また、情報出力部66は、結果取得部64が取得した判断結果に基づき、送り速度V(
図2参照)と、光ビームLの出力との、少なくとも1つを制御してもよい。ここでの送り速度Vとは、
図2に示す送り方向Dへの、積層体Aに対する積層ヘッド18の移動速度を指す。送り方向Dは、ビードBの伸びる方向、すなわち基台部14に対して積層ヘッド18の位置が移動する一方向を指し、例えばX方向やY方向に沿った方向である。
【0061】
情報出力部66は、結果取得部64が取得したラベルの種類に応じて、制御内容を決定してよい。例えば、情報出力部66は、保護ガラス異常のラベルについての異常回数(すなわち保護ガラス異常のラベルが割り当てられた検出用画像K1の数)が所定の閾値(例えば第2閾値)以上となった場合には、造形を停止させて、造形の停止後に、保護ガラス37を自動交換させてもよい。また例えば、情報出力部66は、ビード高さ低下のラベルについての異常回数が所定の閾値(例えば第2閾値より小さい閾値)以上となった場合には、造形を停止せず、送り速度Vの低下と光ビームLの出力増加との少なくとも一方を実行してよい。また例えば、情報出力部66は、ビード高さ増加のラベルについての異常回数が所定の閾値(例えば第2閾値より小さい閾値)以上となった場合には、造形を停止せず、送り速度Vの上昇と光ビームLの出力低下との少なくとも一方を実行してよい。また例えば、情報出力部66は、スパッタのラベルについての異常回数が所定の閾値(例えば第2閾値より小さい閾値)以上となった場合には、造形を停止せず、スパッタが観察されなくなるまで光ビームLの出力を低下させてもよい。
【0062】
(制御フロー)
次に、以上で説明した制御装置26による制御についてのフローを説明する。
図15は、本実施形態に係る制御フローを説明するフローチャートである。
図15に示すように、制御装置26は、積層ヘッド18を制御して、粉末Pを供給させつつ光ビームLを照射させながら(ステップS10)、撮像部22に検出用画像K1を撮像させる(ステップS12)。制御装置26は、学習済みの学習モデルCNに検出用画像K1を入力して、判断結果を、すなわち検出用画像K1に割り当てられたラベルを取得する(ステップS14)。制御装置26は、判断結果に基づいて造形異常とされた回数をカウントし、造形異常とされた回数が閾値(第2閾値)以上である場合に(ステップS16;Yes)、造形を停止する(ステップS18)。一方、造形異常とされた回数が閾値(第2閾値)以上でない場合(ステップS16;No)には、造形を停止せず、ステップS10に戻り造形を続行する。なお、ここでは造形停止の制御のみを示しているが、上述のように、造形異常とされた回数に基づき、警告の出力や、送り速度Vの調整や、光ビームLの出力の調整なども実行してよい。
【0063】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態に係る三次元積層装置1は、粉末Pを供給する粉末供給部(本実施形態では積層ヘッド18)と、粉末Pに光ビームLを照射して粉末Pを溶融固化させて積層体Aを造形する光照射部(本実施形態では積層ヘッド18)と、溶融した粉末Pで形成される溶融池を含む造形箇所の画像(検出用画像K1)を撮像する撮像部22と、結果取得部64と、情報出力部66とを含む。結果取得部64は、異常時の造形箇所の画像(教師画像K)とその画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルCNであって、積層体Aの造形が異常であるかを判断するための学習モデルCNに、検出用画像K1を入力して、積層体Aの造形が異常であるかの判断結果を取得する。情報出力部66は、判断結果に基づく情報を出力する。ここで、三次元積層装置によって造形を行う場合、造形異常が起こる場合がある。造形異常は、様々な原因で起こるため、造形の実行中に造形異常を適切に検出することは難しい。それに対し、本実施形態に係る三次元積層装置1は、学習モデルCNによって造形異常のパターンを予め学習させておき、その学習モデルCNに造形中に撮像した検出用画像K1を入力する。本実施形態に係る三次元積層装置1は、このように学習モデルCNを用いることで、造形異常を適切に検出することが可能となる。さらに、本実施形態に係る三次元積層装置1は、溶融池Mを含んだ造形箇所の画像を、検出用画像K1として学習モデルCNに入力する。溶融池Mを含んだ造形箇所は、造形異常を検出するのに適しているため、本実施形態に係る三次元積層装置1によると、造形異常を適切に検出することが可能となる。
【0064】
また、学習モデルCNは、積層体Aの造形の異常の種類を分類可能に構成されており、結果取得部64は、学習モデルCNに画像(検出用画像K1)を入力することで、積層体Aの造形の異常の種類を、判断結果として取得する。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、どのような造形異常が起きているかについても、すなわち異常モードについても、適切に検出することができる。
【0065】
また、結果取得部64は、三次元積層装置1の異常と積層体Aの異常との少なくとも1つを、判断結果として取得する。学習モデルCNが、三次元積層装置1の異常と積層体Aの異常との少なくとも1つを分類可能に構成されることで、結果取得部64は、三次元積層装置1の異常と積層体Aの異常との少なくとも1つを検出できる。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、このような異常モードを個別に検出することで、異常モードに応じた適切な対応が可能となる。
【0066】
また、結果取得部64は、三次元積層装置1の異常の種類として、光照射部(積層ヘッド18)に設けられる保護ガラス37の異常と、光照射部及び粉末供給部の少なくとも一方(積層ヘッド18)に異物が付着している状態と、光照射部(積層ヘッド18)の結露と、光照射部と粉末供給部とのアラインメント異常との、少なくとも1つを取得する。学習モデルCNが、保護ガラス異常と異物付着と結露とアラインメント異常との少なくとも1つを分類可能に構成されることで、結果取得部64は、これらの少なくとも1つを検出できる。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、このような異常モードを個別に検出することで、異常モードに応じた適切な対応が可能となる。
【0067】
また、結果取得部64は、積層体Aの異常の種類として、積層体AのビードBの高さの異常と、積層体Aの割れと、積層体Aからスパッタが発生している状態との、少なくとも1つを取得する。学習モデルCNが、ビード高さ異常と積層体割れとスパッタとの少なくとも1つを分類可能に構成されることで、結果取得部64は、これらの少なくとも1つを検出できる。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、このような異常モードを個別に検出することで、異常モードに応じた適切な対応が可能となる。
【0068】
また、情報出力部66は、判断結果に基づき、積層体Aの造形を停止する。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、造形異常の判断結果に基づいて造形を停止することで、異常に応じた適切な対応が可能となる。
【0069】
また、情報出力部66は、積層体の造形が異常であるとの判断結果を取得した回数が閾値(第2閾値)以上となった場合に、積層体Aの造形を停止する。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、造形異常と判断された回数に応じて造形を停止することで、異常に応じた適切な対応が可能となる。
【0070】
また、情報出力部66は、判断結果に基づき、造形に異常がある旨の警告を出力する。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、造形異常の判断結果に基づいて警告を出力するため、異常に応じた適切な対応が可能となる。
【0071】
また、情報出力部66は、判断結果に基づき、積層体Aに対する粉末供給部(積層ヘッド18)の移動速度(送り速度V)と、光ビームLの出力との、少なくとも1つを制御する。本実施形態に係る三次元積層装置1によると、造形異常の判断結果に基づいて、送り速度Vや光ビームLの出力を制御するため、造形精度を適切に向上できる。
【0072】
また、学習モデルCNは、異常種類として、光照射部(積層ヘッド18)に設けられる保護ガラス37の異常と、光照射部及び粉末供給部の少なくとも一方(積層ヘッド18)に異物が付着している状態と、光照射部(積層ヘッド18)の結露と、光照射部と粉末供給部とのアラインメント異常と、積層体AのビードBの高さの異常と、積層体Aの割れと、積層体Aからスパッタが発生している状態との、少なくとも1つが起こった際の造形箇所の画像(教師画像K)と、異常種類との対応関係を機械学習させた学習モデルである。このような学習モデルCNを用いることで、造形異常を適切に検出することが可能となる。
【0073】
本実施形態に係る制御方法は、粉末Pを供給する粉末供給部(本実施形態では積層ヘッド18)と、粉末Pに光ビームLを照射して粉末Pを溶融固化させて積層体Aを形成する光照射部(本実施形態では積層ヘッド18)とを備える三次元積層装置1に用いられる。本制御方法は、溶融した粉末Pで形成される溶融池Mを含む造形箇所の画像(検出用画像K1)を撮像するステップと、異常時の造形箇所の画像(教師画像K)とその画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルCNであって、積層体Aの造形が異常であるかを判断するための学習モデルCNに画像(検出用画像K1)を入力して、積層体Aの造形が異常であるかの判断結果を取得するステップと、判断結果に基づく情報を出力するステップと、を有する。本制御方法によると、造形異常を適切に検出することが可能となる。
【0074】
本実施形態に係るプログラムは、粉末Pを供給する粉末供給部(本実施形態では積層ヘッド18)と、粉末Pに光ビームLを照射して粉末Pを溶融固化させて積層体Aを形成する光照射部(本実施形態では積層ヘッド18)とを備える三次元積層装置1に用いられる制御方法をコンピュータに実行させる。本プログラムは、溶融した粉末Pで形成される溶融池Mを含む造形箇所の画像(検出用画像K1)を撮像するステップと、異常時の造形箇所の画像(教師画像K)とその画像の異常種類の対応関係を機械学習させた学習モデルCNであって、積層体Aの造形が異常であるかを判断するための学習モデルCNに画像(検出用画像K1)を入力して、積層体Aの造形が異常であるかの判断結果を取得するステップと、判断結果に基づく情報を出力するステップとを、コンピュータに実行させる。本プログラムによると、造形異常を適切に検出することが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 三次元積層装置
18 積層ヘッド(粉末供給部、光照射部)
22 撮像部
26 制御装置
60 学習部
62 画像取得部
64 結果取得部
66 情報出力部
A 積層体
B ビード
CN 学習モデル
K 教師画像
K1 検出用画像(画像)