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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電動車両の駐車案内装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/37 20190101AFI20240910BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B60L53/37
H02J7/00 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022201868
(22)【出願日】2022-12-19
(65)【公開番号】P2024087205
(43)【公開日】2024-07-01
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】寺田 一朗
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195773(JP,A)
【文献】特開2019-186814(JP,A)
【文献】特開2018-143088(JP,A)
【文献】国際公開第2021/210302(WO,A1)
【文献】特開2016-141161(JP,A)
【文献】特開2012-039743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部充電器から充電可能な電動車両の駐車案内装置であって、
車両の駐車動作を検知する駐車動作検知部と、
前記車両の周囲を撮像する撮像部と、
撮像された画像に基づいて、前記車両の周囲にあり、且つ前記車両に充電エラーなく充電可能な外部充電器を識別し、識別した外部充電器に応じた充電可能範囲を算出する充電器識別部と、
前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知された際に、前記車両のインレットが前記充電可能範囲に入る位置へ駐車を案内する駐車案内制御部と、
を備えることを特徴とする電動車両の駐車案内装置。
【請求項2】
外部充電器から充電可能な電動車両の駐車案内装置であって、
車両の駐車動作を検知する駐車動作検知部と、
前記車両の周囲を撮像する撮像部と、
撮像された画像に基づいて、前記車両の周囲にある外部充電器を識別し、識別した外部充電器に応じた充電可能範囲を算出する充電器識別部と、
前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知された際に、前記車両のインレットが前記充電可能範囲に入る位置へ駐車を案内する駐車案内制御部と、を備え、
前記充電器識別部は、前記識別した外部充電器の外観からケーブルの長さを計測して、前記充電可能範囲を算出することを特徴とする電動車両の駐車案内装置。
【請求項3】
前記充電器識別部は、前記撮像部により撮像された画像に対して画像認識を行い、前記外部充電器の外観から外部充電器を識別する請求項1又は2に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項4】
前記充電器識別部は、前記撮像部により撮像された画像に対してユーザが指定した位置の物体を外部充電器として認識して、当該外部充電器を識別する請求項1又は2に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項5】
少なくともケーブル長さ情報を含む、外部充電器に関する外部充電器情報が記憶された記憶部を、さらに備え、
前記充電器識別部は、前記識別した外部充電器と前記記憶部に記憶された外部充電器とを照合し、前記外部充電器情報から前記充電可能範囲を算出する請求項1に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項6】
前記充電器識別部は、前記識別した外部充電器のケーブル長さが不明の場合は、前記識別した外部充電器のケーブル長さを予め設定された所定の長さと仮定して、前記充電可能範囲を算出する請求項1又は2に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項7】
前記駐車案内制御部は、前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知され、且つ前記車両のバッテリの充電量が所定量以下である場合に、前記充電可能範囲に応じた駐車案内を行う請求項1又は2に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項8】
前記駐車案内制御部は、前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知され、且つユーザからの所定の操作がある場合に、前記充電可能範囲に応じた駐車案内を行う請求項1又は2に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項9】
外部充電器と車両との適合性に関する適合性情報を含む、外部充電器に関する外部充電器情報が記憶された記憶部を備え、
前記適合性情報は、充電エラーなく充電可能な外部充電器か否かについての適合性に関する情報を含み、
前記充電器識別部は、前記撮像部により撮像された画像から外部充電器を認識し、当該外部充電器と前記適合性情報を照合し、前記車両に充電エラーなく充電可能な外部充電器を識別する請求項1に記載の電動車両の駐車案内装置。
【請求項10】
前記充電器識別部は、前記車両の充電に支障がある外部充電器を識別すると、警告の実施、又は前記駐車案内制御部での駐車の案内を中止する請求項1又は9に記載の電動車両の駐車案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動車両の駐車案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両について、外部充電器から充電可能な電動車両が増えてきている。外部充電器は様々なメーカから製造されている上、同じメーカであっても機種によってケーブルの長さが異なっている。また、電動車両もメーカ、車種、モデルによってインレットの位置は様々であり、通常充電用と急速充電用の複数のインレットを有する車両もある。
【0003】
そのため、ユーザは外部充電器にて充電を行う際に、自車両のインレットの位置と外部充電器のケーブル長さを確認した上で駐車する必要があり、駐車作業が煩雑となる。特にレンタカーやカーシェア等のユーザが乗り慣れていない電動車両については、煩雑さはより顕著となる。
【0004】
そこで、特許文献1には、自車両のインレットの位置情報と、外部充電器の位置情報とを用いて車両の駐車方向を地図上に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-257914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、自車両のインレットと外部充電器とが近くなる自車両の駐車方向を単に示すのみであり、実際に充電ケーブルの長さ等は考慮されていない。したがって、車両を具体的にどこまで外部充電器に近づければ充電可能となるかはユーザが確認し、判断する必要がある。例えば、ケーブルが長い外部充電器であれば、車両のインレットの位置が外部充電器に対して遠い駐車方向であっても接続可能であるが、特許文献1の技術では不必要に駐車方向を限定することとなり、ユーザに対して却って難しい駐車操作を求めるおそれもある。
【0007】
以上から、本願の解決すべき課題は、充電を行うための駐車(充電駐車)時におけるユーザの利便性をより向上させることができる電動車両の駐車案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0009】
(1)本適用例に係る電動車両の駐車案内装置は、外部充電器から充電可能な電動車両の充電制御装置であって、車両の駐車動作を検知する駐車動作検知部と、前記車両の周囲を撮像する撮像部と、撮像された画像から前記車両の周囲にある外部充電器を識別し、識別した外部充電器に応じた充電可能範囲を算出する充電器識別部と、前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知された際に、前記充電可能範囲に入る方向への駐車を案内する駐車案内制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように、車両の駐車時に外部充電器を識別して、識別した外部充電器に応じた充電可能範囲にインレットが入るよう駐車を案内することで、外部充電器ごとに応じて適した駐車案内をすることができる。これにより、充電駐車時におけるユーザの利便性をより向上させることができる。
【0011】
(2)上記適用例に係る電動車両の駐車案内装置は、上記(1)において、前記充電器識別部は、前記撮像部により撮像された画像に対して画像認識を行い、前記外部充電器の外観から外部充電器を識別してもよい。このように画像認識を用いて外部充電器を識別することで、GPS等の位置情報による識別よりも、または位置情報による識別に加えて容易に且つ正確に車両周囲の外部充電器を識別することができる。
【0012】
(3)上記適用例に係る電動車両の駐車案内装置は、上記(1)において、前記充電器識別部は、前記撮像部により撮像された画像に対してユーザが指定した位置の物体を外部充電器として認識して、当該外部充電器を識別してもよい。このように、車両周囲を撮像した画像からユーザが外部充電器を指定することで、より確実に外部充電器を識別することができる。
【0013】
(4)上記適用例に係る電動車両の駐車案内装置は、上記(1)において、前記充電器識別部は、前記識別した外部充電器の外観からケーブルの長さを計測して、前記充電可能範囲を算出してもよい。これにより、車両が外部充電器のケーブルの長さの情報を有していなくとも、その場で容易に充電可能範囲を算出することができる。
【0014】
(5)上記適用例に係る電動車両の駐車案内装置は、上記(1)において、少なくともケーブル長さ情報を含む、外部充電器に関する外部充電器情報が記憶された記憶部を、さらに備え、前記充電器識別部は、前記識別した外部充電器と前記記憶部に記憶された外部充電器とを照合してケーブルの長さを特定し、前記充電可能範囲を算出する。このように記憶部に記憶された外部充電器情報から、識別した外部充電器の充電可能範囲を算出することで、より正確な充電可能範囲を算出することができる。
【0015】
(6)本適用例に係る充電制御装置は、上記(1)において、前記充電器識別部は、前記識別した外部充電器のケーブル長さが不明の場合は、前記識別した外部充電器のケーブル長さを予め設定された所定の長さと仮定して、前記充電可能範囲を算出してもよい。これにより、外部充電器のケーブルの長さが不明の場合でも、駐車を案内することができる。
【0016】
(7)本適用例に係る車両の充電制御装置は、上記(1)において、前記駐車案内制御部は、前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知され、且つ前記車両のバッテリの充電量が所定量以下である場合に、前記充電可能範囲に応じた駐車案内を行ってもよい。つまり、充電のための駐車と推定できる場合にのみ、充電駐車の案内を行うこととなる。これにより、不要な充電駐車の案内によってユーザに煩わしさを与えることを抑制することができる。
【0017】
(8)本適用例に係る車両の充電制御装置は、上記(1)において、前記駐車案内制御部は、前記駐車動作検知部により前記車両の駐車動作が検知され、且つユーザからの所定の操作がある場合に、前記充電可能範囲に応じた駐車案内を行ってもよい。つまり、ユーザが充電の意思を示した場合にのみ、充電駐車の案内を行うこととなる。これにより、不要な充電駐車の案内によるユーザに対する煩わしさを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る電動車両の駐車案内装置を含む駐車案内システムの概略構成図である。
図2】本実施形態の充電駐車案内時の画面表示例である。
図3】本実施形態の駐車案内ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
【0020】
図1には本発明の一実施形態に係る電動車両の駐車案内装置を含む駐車案内システムの概略構成図が示され、図2には駐車案内時の画面表示例が示されている。以下、これらの図に基づいて、本実施形態に係る電動車両の駐車案内装置を含む駐車案内システムの構成について説明する。なお、図2に示す画面表示例は、車載モニタ等の表示部Mに表示される画面表示例であり、本実施形態では駐車時に車両後方の状況を表示するバックモニタ表示M1と、車両1の周囲を俯瞰的に示す360°表示M2が同時に表示されている状態を示している。
【0021】
図1の示す一実施形態に係る駐車案内システムは、主に、駐車案内装置を備えた車両1と、車両1に対して充電を行う外部充電器2と、車両1とネットワークNを介して相互に通信可能に接続された充電器管理サーバ3から構成されている。なお、図1では説明の簡略化のため、車両1、外部充電器2、充電器管理サーバ3はそれぞれ1つ示しているが、駐車案内システムとしては各装置が複数あってもよい。
【0022】
(外部充電器)
外部充電器2は、車両1に電力を供給するための充電設備である。本実施形態では、外部充電器2は車両1に対して直流(DC)で、所定の電圧(450V)、所定の出力(例えば50kW)以上の充電が可能なDC急速充電器である。外部充電器2はケーブル2aの先端に車両1と接続可能なコネクタ2bが設けられている。なお、本実施形態の外部充電器2はDC急速充電規格であるCHAdeMO(登録商標)に準拠しているものを例に説明するが、本発明を適用可能な充電規格はこれに限られず、他の規格に適用してもよい。
【0023】
(充電器管理サーバ)
充電器管理サーバ3は、外部充電器2の情報を管理するサーバであり、外部のネットワークNと接続されている。充電器管理サーバ3は、外部充電器2に関する充電器情報が記憶された外部充電器データベース3a(記憶部)を備えている。充電器管理サーバ3はネットワークNを介して車両1に対し、外部充電器データベース3aに記憶された情報を提供可能である。また、充電器管理サーバ3は車両1側から提供された情報に基づき外部充電器データベース3aに記憶された情報を更新することが可能である。
【0024】
外部充電器2に関する充電器情報としては、例えば、外部充電器の機種情報、ケーブル情報、外観情報、外部充電器が設置されている設置位置情報、車両との適合性に関する適合性情報が含まれる。
【0025】
外部充電器の機種情報としては、例えば外部充電器の製造元、型番、規格及びその規格のバージョン、等の情報が含まれる。
【0026】
ケーブル情報としては外部充電器2に接続されているケーブル2aの長さ(ケーブル長さ情報)、太さ、種類(急速充電用、通常充電用、等)に加え、ケーブル2aが外部充電器2に接続されている横方向の位置(左側、右側、等)、縦方向の位置(バランサーなどを介して上方から接続されている等)、さらに、ケーブル2aが外部充電器2に複数本接続されているかどうか(複数本の場合はその本数の情報も含まれる)、が含まれる。
【0027】
外観情報としては、例えば外部充電器2の外観形状のタイプ(ポール型、ボックス型、壁掛け型、等)、形状の特徴(ケーブル取付位置、等)、表示物(メーカー名、メーカーロゴ、説明表示、等)、充電スタンド表示(充電スタンドの表示の形、位置、等)、外観を写した画像、等が含まれている。
【0028】
設置位置情報としては、外部充電器が設置されている位置の緯度、経度、標高等の情報が含まれている。
【0029】
適合性情報には、外部充電器と自車両との適合性に関する情報が含まれる。適合性は、充電エラーなく充電可能な外部充電器の場合は「適合」、例えば同車種で充電エラーが発生したことがある等、自車両の充電に支障がある外部充電器の場合は「不適合」の情報という情報が含まれている。なお、例えば同車種で接続したことがない外部充電器の場合は「適合不明」という情報が含まれていてもよい。さらに、「不適合」について重要度又は緊急度を設定し、当該重要度又は緊急度に応じて後述する充電停止の手順や警告の種類を異ならせてもよい。なお、外部充電器情報は必ずしもこれら全ての情報が含まれていなくてもよいし、他の情報が含まれてもよい。
【0030】
(車両)
車両1は、例えば電気自動車であり、動力源として走行用モータ10(以下モータ10という)が搭載されている。図示しないがモータ10の出力軸は減速装置及び差動装置から構成される動力伝達部及び駆動軸を介して左右の駆動輪に接続されている。モータ10が発生する駆動力が駆動輪に伝達されることで車両1は走行可能である。
【0031】
モータ10は、インバータ・コンバータ(以下、単にインバータ11という)及びジャンクションボックス12を介して高電圧(例えば200V)の駆動用バッテリ13と電気的に接続されている。
【0032】
駆動用バッテリ13は、例えばリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。駆動用バッテリ13は蓄えられた直流電力を、インバータ11を介することで交流電力に変換しモータ10に供給する。また、例えば車両1の減速時や降坂路の走行時(回生走行時)には、駆動輪側からの逆駆動力によりモータ10が発電機として作動(回生運転)する。車両1は、このモータ10が発電した電力により駆動用バッテリ13を充電することも可能である。
【0033】
ジャンクションボックス12は、駆動用バッテリ13と車両1に搭載された各種電気機器との接続及び遮断を行う機能を有する。ジャンクションボックス12の内部には、駆動用バッテリ13と各種電気機器を電気的に接続する電路及び当該電路の断接を行う各種コンタクタ(電磁接触器)やリレー等のスイッチ類が設けられており、当該スイッチの断接を行うことで、駆動用バッテリ13から各種電気機器への電力の供給や遮断を制御可能である。ジャンクションボックス12に接続される各種電気機器の一つとして車載充電開閉器14がある。
【0034】
車載充電開閉器14は、図示しないフィルタや電力変換回路及びリレーを備え、外部充電器2から供給された電力を駆動用バッテリ13に供給する機能を有する。車載充電開閉器14は外部充電器2との通信機能を有する。車載充電開閉器14は、充電用のインレット15と接続されている。インレット15は、外部充電器2のコネクタ2bと嵌合接続する急速充電用の受電端子を備えている。
【0035】
また車両1には記憶部16、通信部17、カメラ18(撮像部)、位置情報取得部19、車両制御ユニット20(Vehicle Control Unit、以下VCU20という。)が搭載されている。
【0036】
記憶部16は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置であり、各種情報が記憶されている。本実施形態の記憶部16には、自車両に関する車両情報、上述した外部充電器2に関する充電器情報(機種情報、ケーブル情報、外観情報、設置位置情報、適合性情報)が記憶されている。また記憶部16には、ナビゲーションシステム等に用いられる地図情報等も記憶されている。記憶部16に記憶されている各種情報は予め記憶されたものであってもよいし、充電器管理サーバ3から配信された情報であってもよい。
【0037】
通信部17は、例えばインターネットや専用ネットワーク等の外部の情報ネットワークと無線通信可能な通信機である。本実施形態では、通信部17は、ネットワークNを介して充電器管理サーバ3と相互に通信可能に接続されている。
【0038】
カメラ18は、車両1の周囲を撮像するものである。図1ではカメラを1つのみ示しているが、実際には車両の前後左右の位置にそれぞれ(つまり少なくとも4つ)設置されており、カメラ18により車両1に対して水平方向に360°撮像可能である。カメラ18で撮像する画像は、静止画像であっても、動画像であってもよい。
【0039】
位置情報取得部19は、例えば車両1のナビゲーションシステムに用いられるGPSであり、地図上における自車両の位置を取得する機能を有する。地図情報は例えば記憶部16に予め記憶されていたり、通信部17を介したりして外部から取得可能である。
【0040】
VCU20は、中央処理装置(CPU)、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される主記憶装置(ROM、RAMなど)、入出力装置、タイマカウンタなどを備えるコンピュータである。VCU20は、車両内通信ネットワークであるCAN(Control Area Network)を介して、車両1に搭載された各種機器や他の制御ユニットと通信可能に接続されている。本実施形態のVCU20は、上述したモータ10、インバータ11、ジャンクションボックス12、駆動用バッテリ13、車載充電開閉器14、記憶部16、通信部17、カメラ18、位置情報取得部19と通信可能に接続されている。また、VCU20は車両1に搭載されている図示しないセンサ類やユーザの操作を受け付ける操作部とも通信可能に接続されている。そして、VCU20は車両1が外部充電器2により充電を行うための駐車(充電駐車)を案内する充電駐車案内制御を実行可能である。
【0041】
具体的にはVCU20は、車両1の駐車の準備動作(駐車動作)を検知する駐車動作検知部21と、外部充電器2を識別する充電器識別部22と、駐車案内を行う駐車案内制御部23と、を有している。
【0042】
駐車動作検知部21は、車両1の駐車動作に対応する所定の条件を判定し、当該条件を満たしたときに駐車動作に入ったと検知する。例えば位置情報取得部19と記憶部16に記憶されている地図情報とから車両1が駐車場内に位置していること、シフト位置センサ(図示せず)によりユーザがシフト位置をR(リバース)レンジに操作したこと、車両1の車速を計測する車速センサ(図示せず)から車両1が所定車速以下であること、カメラ18で駐車枠やタイヤ停めを検知したこと、ユーザがスイッチやナビ画面、音声コマンド等で駐車開始意思を入力したこと、のうちの1又は複数の要件を満たしたとき、駐車動作として判断する。例えば、本実施形態では、前向き駐車の場合も考慮して、位置情報取得部19から車両1が駐車場内にあり且つ所定車速以下となった場合に、駐車動作に入ったと検知する。
【0043】
充電器識別部22は、カメラ18により撮像された画像から車両1の周囲にある外部充電器2を識別し、識別した外部充電器2に応じた充電可能範囲を算出する機能を有する。
【0044】
具体的には、充電器識別部22は、カメラ18により撮像された画像に対して画像認識を行い、外部充電器2の外観から外部充電器2を識別する。詳しくは、当該画像認識は、画像に写る各物体を認識し、記憶部16に記憶されている充電器情報の外観情報と照合して外部充電器2を識別する。例えば図2に示す画面表示例のバックモニタ表示M1には車両後方を撮像するカメラ18により撮像した画像が映し出されている。当該バックモニタ表示M1に映し出されている外部充電器2からは、ボックス型で、幅方向片側(図2で左側)がケーブル2aの取付位置であり、メーカ名「ABC」及び急速充電器の充電スタンド表示である「EV QUICK」が外観情報として確認できる。充電器識別部22は、このような画像から確認できる情報を画像認識により抽出し、記憶部16に記憶され記憶部16に記憶されている充電器情報の外観情報と照合して外部充電器2を識別する。なお、この照合の際には記憶部16に記憶されている充電器情報に含まれるその他の情報、例えば外部充電器が設置されている設置位置情報を利用することも可能である。
【0045】
なお、充電器識別部22は、識別した外部充電器2の適合情報において、当該外部充電器2と自車両とが不適合であった場合、ユーザに対して警告を行ったり、充電駐車の案内を中止したり、してもよい。また、充電器識別部22は、カメラ18により撮像された画像の他に、駐車支援で使用される図示しない車載ソナー等の物体検出部により取得した物体検出情報も用いて外部充電器2の識別精度を向上させてもよい。
【0046】
また、充電器識別部22は、カメラ18により撮像された画像を車両1が備える表示部に表示して、ユーザが指定した位置の物体を外部充電器2として外部充電器2を識別することも可能である。
【0047】
また充電器識別部22は、識別した外部充電器2に応じた充電可能範囲の算出は、記憶部16に記憶されているケーブル情報に含まれるケーブル長さ情報から、又は、画像認識によりケーブル長さを計測することで行う。つまり、外部充電器2の識別により充電器情報が特定されていれば、それに対応するケーブル情報を照合してケーブル長さを特定可能である。一方、ケーブル情報が特定できない場合であっても、カメラ18により撮像した画像から外部充電器2のケーブル2aを特定し、当該画像からケーブル2aの長さを推定する。
【0048】
さらに、充電器識別部22は、例えば記憶部16に識別した外部充電器2に対応するケーブル長さに関する情報が存在しない場合、且つ画像からケーブル長さを計測できない場合等で、ケーブル長さが不明である場合は、識別した外部充電器2のケーブル長さを予め設定された所定の長さ(例えば5m)と仮定する。
【0049】
充電器識別部22は、外部充電器2のケーブル長さを特定することで、外部充電器2の取付位置からケーブル2aの長さや周囲の状況(障害物の有無)から、取り回しできる範囲(充電可能範囲)を算出する。
【0050】
また、充電器識別部22は、識別した外部充電器2及び算出した充電可能範囲をユーザに認識しやすいように車両1が有する表示部に表示する。
【0051】
具体的な表示方法は限定されるものではないが、例えば、図2に車両の表示部Mに対する画面表示例が示されている。同図に示すように、充電器識別部22は、表示部Mのバックモニタ表示M1内で外部充電器2に相当する範囲を枠状の強調表示A1で示したり、360°表示M2内にて外部充電器2に対して強調表示A2で示したり、充電可能範囲Bを扇状の範囲表示で示したり、する。
【0052】
駐車案内制御部23は、車両1の駐車動作が検知された際に、車両1のインレット15が充電可能範囲に入る位置へ駐車を案内する機能を有する。具体的には、駐車案内制御部23は、駐車動作検知部21により車両1の駐車動作が検知されると、当該駐車動作が充電のための駐車であるか否かを判定する。駐車案内制御部23は当該判定を、例えば車両1のバッテリの充電量、又はユーザからの所定の操作、に基づき行う。つまり、駐車案内制御部23は、駆動用バッテリ13の充電量を検出し、当該充電量が所定量以下である場合に、検知された駐車動作が充電のための駐車であるものと判定する。又は、駐車案内制御部23は、ユーザから充電意思があることを示す所定の操作があった場合に、検知された駐車動作が充電のための駐車であるものと判定する。この充電意思があることを示す所定の操作とは、例えば充電駐車を示すスイッチの操作や、上述したユーザによる外部充電器2の指定操作である。なお、駐車案内制御部23は、より単純に、充電器識別部22により外部充電器2が識別されたことを検知した駐車動作が充電のための駐車であるものと判定してもよい。また、駐車案内制御部23は、ユーザが自宅や通勤先等の特定の駐車領域を予め充電駐車案内不要な地点として登録していた場合には、当該駐車領域内で車両1の駐車動作が検知されても充電駐車案内を行わないようにしてもよい。
【0053】
駐車案内制御部23による駐車案内は、車両1のインレット15が充電可能範囲内にあるか否かを判定し、充電可能範囲外にある場合は、インレット15が充電可能範囲内に入る方向に車両1を移動するようユーザに案内する。具体的には図2に示すように、バックモニタ表示M1内に現在の位置がインレット15にコネクタ2bを接続できる範囲外であり及びさらに後退すべきことを伝えるメッセージ表示Cを示したり、バックモニタ表示M1及び360°表示M2内にて車両1の進むべき方向を示す矢印表示D1、D2を示したり、する。また、駐車案内制御部23による駐車案内は、表示部Mに対する表示だけでなく、音声により案内してもよい。
【0054】
図3には、本実施形態のVCU20が実行する駐車案内ルーチンを示すフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って本実施形態の駐車案内の手順について説明する。
【0055】
まず、ステップS1としてVCU20の駐車動作検知部21は、駐車動作を検知したか否かを判定する。具体的には、駐車動作検知部21は、車両1が駐車場内にあり且つ所定車速以下である場合に、駐車動作に入ったことを検知し、当該判定結果が真(Yes)となる。当該判定結果が真(Yes)である場合は、次のVCU20はステップS2に処理を進める。一方、当該判定結果が偽(No)である場合、即ち、駐車動作が検知されない場合は、VCU20は駐車案内制御ルーチンを終了する。
【0056】
ステップS2において、VCU20の駐車案内制御部23は、検知された駐車動作が充電ための駐車であるか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)である場合は、即ち充電と関係ない通常の駐車であると判断される場合は、VCU20は駐車案内制御ルーチンを終了する。一方、当該判定結果が真(Yes)である場合、例えば駆動用バッテリ13の充電量が所定値以下である場合、又はユーザによる充電意思を示す所定の操作があった場合、VCU20はステップS3に処理を進める。
【0057】
ステップS3において、カメラ18により車両周囲の撮像が実施される。撮像した画像は、図2に示したように、表示部Mに表示される。
【0058】
次のステップS4において、VCU20の充電器識別部22は、外部充電器2の識別を行い、識別できたか否かを判定する。具体的には充電器識別部22は、画像認識により又はユーザによる指定操作により、外部充電器2の識別を行う。充電器識別部22は、そもそも画像内に外部充電器2が写っていない場合等で、外部充電器2を識別できなかった場合には、当該判定結果は偽(No)となり、駐車案内制御ルーチンを終了する。一方、充電器識別部22が外部充電器2を識別できた場合には、当該判定結果は真(Yes)となり、VCU20は次のステップS5に処理を進める。
【0059】
ステップS5において、VCU20の充電器識別部22は、充電可能範囲の算出及び算出した充電可能範囲を表示部Mへ表示する。具体的には、充電器識別部22は、識別した外部充電器2の充電器情報に対応するケーブル長さ情報を照合し、又は画像認識により計測して、ケーブル長さを特定して、充電可能範囲を算出する。また、充電器識別部22は、ケーブル長さを特定できなかった場合は、予め設定された所定の長さを用いて充電可能範囲を算出する。算出した充電可能範囲の表示は図2に示した通りである。
【0060】
次のステップS6において、VCU20の駐車案内制御部23は、車両1のインレット15の位置が充電可能範囲内に位置しているか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)である場合、即ち車両1のインレット15の位置が充電可能範囲外にある場合には、VCU20はステップS7に処理を進める。
【0061】
ステップS7では、VCU20の駐車案内制御部23は、インレット15が充電可能範囲内に入る方向に車両1を移動するようユーザに案内する。具体的には、図2を用いて上述したように、表示部Mにメッセージを表示したり、車両1の進むべき方向を表示したり、音声により案内したり、する。駐車案内制御部23は、ステップS6の判定結果が真(Yes)となるまで、ステップS7の処理を繰り返す。なお、図示しないが、駐車動作が検知されなくなった場合は、VCU20はその時点で駐車案内ルーチンを終了する。
【0062】
ステップS6の判定結果が真(Yes)となると、即ち駐車案内制御部23がインレット15の位置が充電可能範囲内に入ったと判定すると、VCU20はステップS8に処理を進める。
【0063】
ステップS8では、駐車案内制御部23は、駐車案内を終了する処理を行い、駐車案内ルーチンを終了する。
【0064】
以上のように本実施形態に係る駐車案内システムの駐車案内装置(VCU20)は、車両1の駐車時に外部充電器2を識別して、識別した外部充電器2に応じた充電可能範囲にインレット15が入るよう駐車を案内することで、外部充電器2ごとに応じて適した駐車案内をすることができる。これにより、充電駐車時におけるユーザの利便性をより向上させることができる。
【0065】
また、充電器識別部22は、カメラ18により撮像された画像に対して画像認識を行い、外部充電器2の外観から識別を行うことで、GPS等の位置情報による識別よりも、または位置情報による識別に加えて容易に且つ正確に車両1の周囲の外部充電器2を識別することができる。
【0066】
また、充電器識別部22は、カメラ18により撮像された画像に対してユーザが指定した位置の物体を外部充電器2として認識することで、より確実に外部充電器2を識別することができる。
【0067】
また、充電器識別部22は、識別した外部充電器2の外観からケーブル2aの長さを計測して、充電可能範囲を算出することで、車両1が外部充電器2のケーブル2aの長さの情報を有していなくとも、その場で容易に充電可能範囲を算出することができる。
【0068】
さらに、充電器識別部22は、識別した外部充電器2と記憶部16に記憶された外部充電器の充電情報とを照合してケーブル2aの長さを特定し、充電可能範囲を算出することもできる。このように記憶部16に記憶された外部充電器情報から、識別した外部充電器の充電可能範囲を算出することで、より正確な充電可能範囲を算出することができる。
【0069】
そして、充電器識別部22は、識別した外部充電器のケーブル長さが不明の場合は、識別した外部充電器2のケーブル長さを予め設定された所定の長さと仮定して、充電可能範囲を算出することで、外部充電器2のケーブルの長さが不明の場合でも、駐車を案内することができる。
【0070】
そして、駐車案内制御部23は、駐車動作検知部21により車両1の駐車動作が検知され、且つ車両1の駆動用バッテリ13の充電量が所定量以下である場合に、充電可能範囲に応じた駐車案内を行うこととしている。つまり、充電のための駐車と推定できる場合にのみ、充電駐車の案内を行うこととなる。これにより、不要な充電駐車の案内によってユーザに煩わしさを与えることを抑制することができる。
【0071】
さらに、駐車案内制御部23は、駐車動作検知部21により車両1の駐車動作が検知され、且つユーザからの所定の操作がある場合に、充電可能範囲に応じた駐車案内を行うこととしている。つまり、ユーザが充電の意思を示した場合にのみ、充電駐車の案内を行うこととなる。これによっても、不要な充電駐車の案内によってユーザに煩わしさを与えることを抑制することができる。
【0072】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0073】
例えば、上記実施形態では車両1のVUC20が、図2の画面表示例では後向き駐車の場合を示しているが、前向き駐車の場合でも本発明は適用可能である。例えば駐車案内制御部は、後向き駐車では充電可能範囲にインレットの位置が入らない場合には、前向き駐車に切り替える駐車案内を行ってもよい。
【0074】
上記実施形態では車両1は電気自動車であるが、本発明は外部充電器から駆動用バッテリを充電可能な電動車両であればよく、例えばハイブリッド電気自動車であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 :車両
2 :外部充電器
2a :ケーブル
2b :コネクタ
3 :充電器管理サーバ
3a :外部充電器データベース
10 :走行用モータ
11 :インバータ
12 :ジャンクションボックス
13 :駆動用バッテリ
14 :車載充電開閉器
15 :インレット
16 :記憶部
17 :通信部
18 :カメラ
19 :位置情報取得部
20 :車両制御ユニット
21 :駐車動作検知部
22 :充電器識別部
23 :駐車案内制御部

図1
図2
図3