(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ボタン型二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/153 20210101AFI20240910BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/578 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
H01M50/153
H01M50/109
H01M50/184 E
H01M50/186
H01M50/193
H01M50/342 101
H01M50/474
H01M50/477
H01M50/533
H01M50/578
(21)【出願番号】P 2022549800
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2021010779
(87)【国際公開番号】W WO2022059927
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119501
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ゲオン ウー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミン ス
(72)【発明者】
【氏名】スン、ジョー ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、サン ハク
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111509148(CN,A)
【文献】中国実用新案第210245557(CN,U)
【文献】特開平10-302737(JP,A)
【文献】特開2010-129546(JP,A)
【文献】特開平07-105933(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125413(WO,A1)
【文献】特開2001-210553(JP,A)
【文献】特開平11-354148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/30
H01M 50/40
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径の長さが高さよりも大きいボタン型二次電池であって、
電極組立体と、
前記電極組立体が挿入される下部缶と、
前記下部缶の上端開口を覆う上部缶と、
を含み、
前記下部缶の上部には内側に湾入したビーディング部が備えられ、
前記ビーディング部の上側に位置する前記下部缶の上端部が折り曲げられた形態を有し、前記上部缶の縁端部を囲んで前記上部缶と前記下部缶が互いに結合され、
前記電極組立体の電極と前記上部缶とを連結する電極タブをさらに含
み、
前記上部缶は、一枚のプレート状であるか、または段差のある一枚のプレート状であり、
前記上部缶の縁端部と前記下部缶の上端部が折り曲げられた形態の部分との間(前記ビーディング部の内側側面を除く。)には絶縁体が介在され、
前記絶縁体は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)材質である、ボタン型二次電池。
【請求項2】
前記上部缶は、平面図上では円形の形状を有し、この際、上部缶の縁端部よりも中央部が上側にさらに突出する形状を有しており、前記上部缶の縁端部と前記中央部は互いに段差があるように形成される、請求項
1に記載のボタン型二次電池。
【請求項3】
前記電極組立体の中心部には中心孔が形成され、
前記中心孔内には前記中心孔が満たされるようにセンターピンが備えられている、請求項1
または2に記載のボタン型二次電池。
【請求項4】
前記上部缶と前記電極組立体との間には、内部ガスを捕集できる捕集空間(space)が備えられている、請求項1から
3のいずれか一項に記載のボタン型二次電池。
【請求項5】
前記電極タブの一端は前記電極組立体の電極に連結され、
前記電極タブの他端は前記上部缶の下面にC字状に連結されている請求項1から
4のいずれか一項に記載のボタン型二次電池。
【請求項6】
直径の長さが高さよりも大きいボタン型二次電池であって、
電極組立体と、
前記電極組立体が挿入される下部缶と、
前記下部缶の上端開口を覆う上部缶と、
を含み、
前記下部缶の上部には内側に湾入したビーディング部が備えられ、
前記ビーディング部の上側に位置する前記下部缶の上端部が折り曲げられた形態を有し、前記上部缶の縁端部を囲んで前記上部缶と前記下部缶が互いに結合され、
前記上部缶と前記電極組立体との間には、内部ガスを捕集できる捕集空間(space)が備えられ、
前記捕集空間を横切る形状を有するベント胴体部と、前記ベント胴体部の端部から外側に延びて前記上部缶の縁端部の下面に当接するように形成されたベント外縁部と、を含むベントユニットをさらに含み
前記上部缶には孔が形成されていない、ボタン型二次電池。
【請求項7】
前記ベント胴体部は、外側縁部に凹んだ溝状の破断ノッチを含む、請求項
6に記載のボタン型二次電池。
【請求項8】
前記捕集空間は、
前記ベント胴体部の上面と前記上部缶の下面との間に形成される第1捕集空間と、前記ベント胴体部の下面と前記電極組立体の上面との間に形成される第2捕集空間と、を含む、請求項
7に記載のボタン型二次電池。
【請求項9】
前記電極組立体の電極と前記ベントユニットとを連結する電極タブをさらに含み、
前記電極タブの一端は前記電極組立体の電極に連結され、
前記電極タブの他端は前記ベント胴体部の下面にC字状に連結されている、請求項
8に記載のボタン型二次電池。
【請求項10】
前記電極タブの他端と前記ベント胴体部の下面が互いに接合された地点は、前記破断ノッチの内側に位置する、請求項
9に記載のボタン型二次電池。
【請求項11】
前記破断ノッチは、下部缶内で発生するガスが所定圧力以上発生する際に破断する、請求項
10に記載のボタン型二次電池。
【請求項12】
前記破断ノッチが破断すると、前記ベント胴体部と前記ベント外縁部は互いに分離され、前記電極組立体と前記上部缶との間の電流の流れが遮断される、請求項
11に記載のボタン型二次電池。
【請求項13】
前記破断ノッチが破断すると、前記内部ガスは、前記第2捕集空間から前記第1捕集空間に移動する、請求項
11または
12に記載のボタン型二次電池。
【請求項14】
前記電極組立体の中心部には中心孔が形成され、
前記中心孔内にはセンターピンが備えられ、
前記センターピンは、複数のセンターピン内部空間が形成されている多孔性センターピンである、請求項
6から
13のいずれか一項に記載のボタン型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年09月16日付けの韓国特許出願第10-2020-0119501号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、ボタン型二次電池に関し、電池の内部で発生するガスにより過度な内部圧力が発生しても電池の内部でガスを捕集することができるため、ガス圧力により電池が分解されたり、人体に有害なガスが電池の外に漏れたりしないようにし、過電流や内部高圧が発生する状況で、必要時に電流の流れを遮断することで電池の安全性を顕著に担保することができるボタン型二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染の関心が増幅されるにつれ、環境に優しい代替エネルギー源に対する要求が未来生活のための必須不可欠な要因となっている。そこで、太陽光、風力、潮力などの多様な電力生産技術に対する研究が続けられており、このように生産された電気エネルギーをさらに効率的に用いるための電池などの電力貯蔵装置にも多大な関心が寄せられている。
【0004】
さらに、電池を用いる電子モバイル機器および電気自動車に対する技術開発および需要が増加するにつれ、エネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、それにより、多様な要求に応じ得る電池に対する多くの研究が行われている。
【0005】
特に、材料面では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの長所を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0006】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒型電池および角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ形ケースに内蔵されているパウチ型電池などに分類することができる。そして、近年、ウェアラブル機器が次第に小型化していく傾向に合わせて、ボタン型二次電池などの小型電池の開発重要性が浮上している。
【0007】
図1は、従来のボタン型二次電池を示す断面図である。
図1を参照すると、従来のボタン形状の二次電池10は、上部、下部ハウジングが分けられている形態であって、その形状が上部円筒形の缶4と下部円筒形の缶3の締まり嵌めの形態であった。すなわち、下部円筒形の缶3の外径が上部のものよりも若干大きく、互いに締まり嵌めの形態となるものであった。締まり嵌め形態の場合、その嵌められた摩擦力によりボタン型二次電池の形態が維持される原理である。そして、従来のボタン形状の二次電池は、上部缶4と下部缶3を内部電極組立体1のサイズに合わせて製作し嵌合したため、内部に別の余裕空間が存在しなかった。
【0008】
しかし、このような形態は、内部ガスの発生などで内部圧力が大きくなると、摩擦力以外には固定している力がないため、上部缶4と下部缶3が分離される可能性が大きかった。内部圧力が上がる場合は、副反応により上がることもあるが、一般サイクルの進行時にも上がり得る。この際、内部圧力が過度に上がると、上部缶と下部缶が分離され、電池としての役割をすることができなかった。
【0009】
このため、電池の内部反応によるガスを捕集できる電池が必要であり、上部缶と下部缶が分離できない製品の研究も必要な実情であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、本発明の課題は、電池の内部で発生するガスにより過度な内部圧力が発生しても電池の内部でガスを捕集することができるため、ガス圧力により電池が分解されたり、人体に有害なガスが電池の外に漏れたりしないようにし、過電流や内部高圧が発生する状況で、必要時に電流の流れを遮断することで電池の安全性を顕著に担保することができるボタン型二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るボタン型二次電池は、直径の長さが高さよりも大きいボタン型二次電池に関し、電極組立体と、電極組立体が挿入される下部缶と、下部缶の上端開口を覆う上部缶と、を含み、下部缶の上部には内側に湾入したビーディング部が備えられ、ビーディング部の上側に位置する下部缶の上端部が折り曲げられた形態を有し、上部缶の縁端部を囲んで上部缶と下部缶が互いに結合されている。
【0012】
上部缶の縁端部と下部缶の上端部が折り曲げられた形態の部分との間には絶縁体が介在され、絶縁体はPBT(ポリブチレンテレフタレート)材質であってもよい。
【0013】
上部缶は、平面図上では円形の形状を有し、この際、縁端部よりも中央部が上側にさらに突出する形状を有しており、上部缶の縁端部と中央部は互いに段差があるように形成されることができる。
【0014】
電極組立体の中心部には中心孔が形成され、中心孔内には中心孔が満たされるようにセンターピンが備えられることができる。
上部缶と電極組立体との間には、内部ガスを捕集できる捕集空間(space)が備えられることができる。
【0015】
電極組立体の電極と上部缶とを連結する電極タブをさらに含み、電極タブの一端は電極組立体の電極に連結され、電極タブの他端は上部缶の下面にC字状に連結されることができる。
【0016】
上部缶と電極組立体との間には、内部ガスを捕集できる捕集空間(space)が備えられ、捕集空間を横切る形状を有するベント胴体部と、ベント胴体部の端部から外側に延びて上部缶の縁端部の下面に当接するように形成されたベント外縁部と、を含むベントユニットをさらに含むことができる。
ベント胴体部は、外側縁部に凹んだ溝状の破断ノッチを含むことができる。
【0017】
捕集空間は、ベント胴体部の上面と上部缶の下面との間に形成される第1捕集空間と、ベント胴体部の下面と電極組立体の上面との間に形成される第2捕集空間と、を含むことができる。
【0018】
電極組立体の電極とベントユニットとを連結する電極タブをさらに含み、電極タブの一端は電極組立体の電極に連結され、電極タブの他端はベント胴体部の下面にC字状に連結されることができる。
【0019】
電極タブの他端とベント胴体部の下面が互いに接合された地点は、破断ノッチの内側に位置することができる。
破断ノッチは、下部缶内で発生するガスが所定圧力以上発生する際に破断することができる。
【0020】
破断ノッチが破断すると、ベント胴体部とベント外縁部は互いに分離され、電極組立体と上部缶との間の電流の流れが遮断されることができる。
破断ノッチが破断すると、内部ガスは、第2捕集空間から第1捕集空間に移動することができる。
【0021】
電極組立体の中心部には中心孔が形成され、中心孔内にはセンターピンが備えられ、センターピンは、複数のセンターピン内部空間が形成されている多孔性センターピンであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るボタン型二次電池は、直径の長さが高さよりも大きいボタン型二次電池に関し、電極組立体と、電極組立体が挿入される下部缶と、下部缶の上端開口を覆う上部缶と、を含み、下部缶の上部には内側に湾入したビーディング部が備えられ、ビーディング部の上側に位置する下部缶の上端部が折り曲げられた形態を有し、上部缶の縁端部を囲んで上部缶と下部缶が互いに結合されている。それにより、電池の内部で発生するガスにより過度な内部圧力が発生しても電池の内部でガスを捕集することができるため、ガス圧力により電池が分解されたり、人体に有害なガスが電池の外に漏れたりしないようにし、過電流や内部高圧が発生する状況で、必要時に電流の流れを遮断することで電池の安全性を顕著に担保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来のボタン型二次電池を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池を示す断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、以下の実施形態により制限または限定されるものではない。
【0025】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分または本発明の要旨を不要に濁す恐れのある関連の公知技術に関する詳細な説明は省略し、本明細書において、各図面の構成要素に参照符号を付する際に、明細書の全体をわたって同一または類似の構成要素に対しては、同一または類似の参照符号を付するようにする。
【0026】
また、本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0027】
第1実施形態
図2は、本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池を示す断面図である。
図2を参照すると、本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池100は、円筒形の形状を有する電池であってもよく、円筒状の電池の直径の長さが電池の高さよりもさらに大きい形態であってもよい。そして、本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池100は、電極組立体150、下部缶110、および上部缶130を含むことができる。電極組立体150は、電極151とセパレータ152が交互に積層されて巻き取られた形態であってもよい。
【0028】
そして、電極組立体150は、下部缶110に挿入されることができる。下部缶110は、円筒状での上端が開口された形態であってもよい。電極組立体150は、ゼリーロール状であってもよい。電極組立体150が下部缶110に配置される際に、電極組立体150の巻き取り軸が地面に垂直した形態で配置されることができる。上部缶130は、プレート状であるか、または段差のあるプレート状であってもよい。そして、上部缶130は、下部缶110の上端開口を覆う形態であってもよい。
【0029】
下部缶110の上部には、内側に湾入したビーディング部111が備えられることができる。ビーディング部111は、下部缶110の外側円周面に沿って周縁全体に形成されることができる。
図2を参照すると、ビーディング部111は、断面が90度に角ばった形状に湾入した形状を有してもよく、図面とは異なり、曲面状に湾入した形状を有してもよい。本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池100は、ビーディング部111の上側に位置する下部缶の上端部112が折り曲げられた形態を有し、上部缶の縁端部132を囲んで上部缶130と下部缶110が互いに結合されていてもよい。上部缶の縁端部132と下部缶の上端部112が折り曲げられた形態の部分との間には、絶縁体170が介在されていてもよい。
【0030】
下部缶の上端部112は、曲げまたは折り曲げられた形態に曲がっていてもよい。折り曲げられた形態の内部に上部缶の縁端部132が挿入されている形態であってもよい。下部缶の上端部112は、圧入方式で上部缶の縁端部132と絶縁体170を共に把持していてもよい。これは、圧力を加えて結合させるため、上部缶130が下部缶110から容易に分離されず、堅固な結合が可能である。それにより、電池の内部で発生するガスにより過度な内部圧力が発生しても人体に有害なガスが電池の外に漏れず、電池内部の電解液が電池の外に液漏れするのを防止することができる。
【0031】
ここで、絶縁体170は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)材質であってもよい。PBT材質の場合、機械的物性が良く、特に剛性が高いため、気密性および耐久性に優れた電池を実現することができる。
【0032】
本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池100において、上部缶130は、平面図上では円形の形状を有し、この際、
図2に示されるように、断面図上では縁端部132よりも中央部131が上側にさらに突出する形状を有しており、上部缶の縁端部132と中央部131は互いに段差があるように形成されることができる。このような形状を有することにより、上部缶130と電極組立体150との間には、内部ガスを捕集できる捕集空間120(space)が備えられることができる。電池内に捕集空間120が備えられることで、電池の内部で発生するガスにより過度な内部圧力が発生しても電池の内部でガスを捕集することができ、ガス圧力により電池が分解されたり(すなわち、本発明は、ガス圧力により電池が容易に分解されない)、人体に有害なガスが電池の外に漏れたりしないようにすることができる。
【0033】
電極組立体150の中心部には、中心孔153が形成されていてもよい。そして、この中心孔153内には、中心孔153が満たされるようにセンターピン190が備えられていてもよい。センターピン190が中心孔153を満たすように形成される場合、電極組立体150が変形するのを防止することができる。電池反応が進行すると、発生する内部熱および内部ガスなどにより、特に支持力の弱い電極組立体150のコア部が変形し得、このようにコア部が変形すると、正極と負極を分離するセパレータ152が変形し得、それにより、正極と負極が接するなどのショート事故が発生し得る。しかし、本願発明においては、中心孔153が満たされるようにセンターピン190が備えられているため、このようなショート事故の発生を未然に防止することができる。
【0034】
一方、本発明の第1実施形態に係るボタン型二次電池100において、電極組立体150の電極151と上部缶とを連結する電極タブ154をさらに含むことができる。電極タブ154の一端は電極組立体150の電極151に連結され、電極タブ154の他端は上部缶130の下面にC字状に連結されていてもよい。
図2に示されるように、電極タブ154が上部缶130の下面にC字状に連結されると、落下などの衝撃にも一部の弾性を有し得るため、落下などの衝撃が発生しても電極タブ154が切れるのを効果的に防止することができる。
【0035】
第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池を示す断面図である。
本発明の第2実施形態においては、過電流や内部高圧が発生する状況で必要時に電流の流れを遮断することができ、電池の内部で発生するガスにより過度な内部圧力が発生する場合に電池の内部でガスを捕集できる空間をさらに提供可能なベントユニット260をさらに含むという点で、第1実施形態とは異なる。
【0036】
第1実施形態と共通した内容はできるだけ省略し、相違点を中心に第2実施形態について説明することにする。すなわち、第2実施形態にて説明していない内容が、必要な場合、第1実施形態の内容と見なされることは明らかである。
【0037】
図3を参照すると、本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池200は、ベントユニット260をさらに含むことができる。ベントユニット260は、ベント胴体部261およびベント外縁部263を含むことができる。
【0038】
第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、上部缶230と電極組立体250との間に内部ガスを捕集できる捕集空間220(space)が備えられることができる。ただし、第2実施形態において、ベント胴体部261は、この捕集空間220を横切る形状を有することができる。それにより、ベントユニット260は、捕集空間220を2つの部分に分ける形状を有することができる。そして、ベント外縁部263は、ベント胴体部261の端部から外側に延びて上部缶の縁端部232の下面に当接するように形成されることができる。
【0039】
このような方式の構造により、本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池200において、捕集空間220は、ベント胴体部261の上面と上部缶230の下面との間に形成される第1捕集空間221と、ベント胴体部261の下面と電極組立体250の上面との間に形成される第2捕集空間222と、を含むことができる。
【0040】
そして、ベント胴体部261は、外側縁部に凹んだ溝状の破断ノッチ262を含むことができる。破断ノッチ262は、他の部分よりも厚さが薄いように凹んだ溝状を有してもよく、その形状は、三角形状であってもよく、四角形状であってもよく、半円形状であってもよい。初めには電池の内部でガスが発生して第2捕集空間222を満たすことになるが、内圧が次第に増加すると、圧力に耐えることができず、ベント胴体部261に形成されている破断ノッチ262が破断することになる。すると、内部ガスは、第2捕集空間222から第1捕集空間221に移動できるようになる。
【0041】
本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池200は、電極組立体250の電極251とベントユニット260とを連結する電極タブ254をさらに含むことができる。電極タブ254の一端は電極組立体250の電極251に連結され、電極タブ254の他端はベント胴体部261の下面にC字状に連結されていてもよい。第1実施形態においては、電極タブ254の他端が上部缶230の下面にC字状に連結されているが、実施形態2においては、電極タブ254の他端が上部缶230ではなくベントユニット260に連結されるという点で、特に第1実施形態とは異なる形態であってもよい。
【0042】
図3に示されるように、電極タブ254がベント胴体部261の下面にC字状に連結されると、落下などの衝撃にも一部の弾性を有し得るため、落下などの衝撃が発生しても電極タブ254が切れるのを効果的に防止することができる。
【0043】
電極タブ254の他端とベント胴体部261の下面が互いに接合された地点は、破断ノッチ262の内側に位置することができる。破断ノッチ262は、下部缶210内で発生するガスが所定圧力以上発生する際に破断することができる。破断ノッチ262が破断すると、ベント胴体部261とベント外縁部263は互いに分離され、電極組立体250と上部缶230との間に連結される電流の流れが遮断されることができる。
【0044】
具体的に、本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池200において、内部ガスの発生後の作動の過程は次のとおりである。すなわち、電池の副反応などにより内部ガスが発生すると、ガスは軽い気体であるため上昇し、第2捕集空間222を満たし得る。その後、第2捕集空間222が全て満たされて電池の内部圧力が次第に高くなると、所定圧力以上ではベントユニット260のベント胴体部261に形成されている破断ノッチ262が破断することになる。
【0045】
破断ノッチ262が破断すると、ベント胴体部261とベント外縁部263は互いに分離されることができる。ガス圧力はベント胴体部261を上側に加圧放出させるが、ガス圧力の反作用および重力が作用すると、ベント胴体部261は再び下側に落ちることになり、このような過程で、ベント胴体部261とベント外縁部263は互いに完全に分離されることができる。
【0046】
ベント胴体部261は、通常の作動時には、屈曲するか湾入した部分がない平板状を有することができる。そして、ベント胴体部261の外径とベント外縁部263の内径は、同一の直径として互いに連結されていてもよい。しかし、過度な内圧によりベントユニット260の破断ノッチ262が破断する場合には、ベント胴体部261が湾入するか突出した形態などに変形し得るし、少なくともベント胴体部261の少なくとも一部が変形することになる。したがって、ベント胴体部261の外径大きさがベント外縁部263の内径よりも小さくなり(正射影の直径を比較することを意味)、ベント胴体部261がベント外縁部263の内周を通過して下方に落ちることができるようになる。このような方式で、ベント胴体部261とベント外縁部263は互いに完全に分離されることができる。
【0047】
ところで、本願発明において、外部端子の役割をする上部缶230がベント外縁部263にのみ直接連結されており、ベント胴体部261には直接連結されておらず、電極タブ254とベント胴体部261が互いに接合された地点が破断ノッチ262の内側に位置(平面図上では破断ノッチが作る円の内部)しているため、ベント胴体部261がベント外縁部263と完全に分離されると、電極組立体250と上部缶230との間の電流の流れが遮断できるようになる。このように電流の流れが遮断されると、電池による作動が止まるため、過電流や内部高圧が発生する状況で電池の安全性を確かに担保することができる。
【0048】
一方、破断ノッチ262が破断すると、内部ガスは第2捕集空間222から第1捕集空間221に移動することができ、ベントユニット260と上部缶230との間の空間である第1捕集空間221は、追加空間であって、過度な圧力によりベントユニット260の破断および電流の遮断が発生した際に、追加のガス捕集のための余裕空間として電池の外にガスが漏れないようにする役割を行うことができる(上部缶には孔が形成されていないため、ガスが上部缶を通して外に出ることはできない)。ウェアラブル(wearable)電子機器に用いられる電池の特性上、ガスが電池の外に出ると、人体に有害な被害を与え得るため、過度なガスにより、電流は遮断されるが、ガスは電池の外部に出なくなる。
【0049】
本発明の第2実施形態に係るボタン型二次電池200において、電極組立体250の中心部には中心孔253が形成されており、中心孔253内にはセンターピン290が備えられていてもよい。ただし、第2実施形態のセンターピン290は、第1実施形態とは異なり、複数のセンターピン内部空間291が形成されている多孔性センターピン290であってもよい。センターピンに形成されたセンターピン内部空間291は、所定の間隔をおいて列をなして形成されることができる。
【0050】
多孔性のセンターピン290を用いると、電解液の注液性を確保することができる。すなわち、電池の内部に含まれる電解液の量が多ければ多いほど、電池の容量および性能の向上を得ることができ、多孔性センターピン290を用いると、従来よりもさらに多い量の電解液を注液できるようになる。
【0051】
多孔性センターピン290であるとしても、センターピン290が中心孔253を満たすように形成されることで、外部の機械的な圧力からの剛性も確保できることはいうまでもない。すなわち、第2実施形態においても、中心孔253が満たされるように形成されたセンターピン290が挿入されることにより、電極組立体250が変形するのを防止することができる。
【0052】
以上、限定された実施形態および図面により本発明を説明したが、本発明は、これにより限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により、本発明の技術思想および後述の特許請求の範囲と均等な範囲内で多様な実施が可能である。
【符号の説明】
【0053】
100:ボタン型二次電池
110:下部缶
111:ビーディング部
112:下部缶の上端部
120:捕集空間
130:上部缶
131:中央部
132:上部缶の縁端部
150:電極組立体
151:電極
152:セパレータ
153:中心孔
154:電極タブ
170:絶縁体
190:センターピン
200:ボタン型二次電池
210:下部缶
211:ビーディング部
212:下部缶の上端部
220:捕集空間
221:第1捕集空間
222:第2捕集空間
230:上部缶
231:中央部
232:上部缶の縁端部
250:電極組立体
251:電極
252:セパレータ
253:中心孔
254:電極タブ
260:ベントユニット
261:ベント胴体部
262:破断ノッチ
263:ベント外縁部
270:絶縁体
290:センターピン
291:センターピン内部空間