(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電極組立体を収容するパウチカップ部の高さ測定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/03 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01B11/03 Z
(21)【出願番号】P 2023541881
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 KR2022016582
(87)【国際公開番号】W WO2023080543
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0149899
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、デヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ソク、ホンギ
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030239(JP,A)
【文献】特開2021-144864(JP,A)
【文献】特開2015-163842(JP,A)
【文献】特開2001-264020(JP,A)
【文献】特開2007-315794(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103900448(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0142050(KR,A)
【文献】中国実用新案第204461301(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0229301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用パウチケースのパウチカップ部の高さ測定方法であって、
(a)カップ部受け治具にパウチを被せる段階;
(b)前記カップ部受け治具に被せたパウチ上部面のうちカップ部の高さを測定する角部を露出し、前記露出した角周辺を覆うように上部固定治具を位置させる段階;
(c)前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部及び周辺底部に下部固定治具を位置させ、前記下部角部の周辺は露出させ、他の部分は覆う段階;及び
(d)3D形状測定機を通じて、前記上部固定治具と前記下部固定治具により露出した角部のカップ部の高さを測定する段階;を含むパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項2】
前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、残りの3つの角部のカップ部の高さを順次測定する、請求項1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項3】
前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、前記パウチ又は前記カップ部受け治具を90度、180度又は270度に回転させてカップ部の他の角部の高さを測定し、前記角部は、1つの頂点とこれに向き合った頂点とを連結する高さ方向の角である、請求項2に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項4】
前記カップ部受け治具は別途の受け台上に備えられ、前記カップ部受け治具が前記受け台上で90度、180度又は270度に回転完了した後には、前記受け台とねじ部材又はピン部材で締結されるか、又は磁力結合を通じて付着し、前記角部のカップ部の高さを回して順次測定する、請求項3に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項5】
前記パウチのカップ部の高さと前記カップ部受け治具の高さとの間に差異があると、高さ調節用ライナープレートを前記カップ部受け治具の上部面又は下部面に対面するように挿入してパウチカップ部の高さを測定し、前記高さ調節用ライナープレートが、前記カップ部受け治具及び前記受け台とねじ部材又はピン部材で締結されるか、又は磁力で付着する、請求項4に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項6】
前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、前記3D形状測定機をカップ部の他の角部側に位置させ、測定されていないカップ部の他の角部の高さを測定する、請求項2に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項7】
前記上部固定治具と前記下部固定治具は、反射を低減させる明度5以下の色相を有する、請求項1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項8】
前記上部固定治具と前記下部固定治具はそれぞれ磁力で前記パウチを固定する、請求項1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項9】
前記パウチカップ部が2つ形成された前記パウチのカップ部の高さ測定時には、前記カップ部受け治具が2つのカップ部のそれぞれに1つずつ収容され、前記パウチ又は前記カップ部受け治具を回転させることなく前記2つのカップ部受け治具が向き合う角部と、前記カップ部受け治具のそれぞれの外側角部のパウチカップ部の高さを測定する、請求項1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項10】
前記上部固定治具は、測定しようとするパウチカップ部の一側角方向に密着させ、前記下部固定治具は、前記パウチカップ部の一側角に隣接する2つの側面を同時に包む形態となるように具備させる、請求項1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項11】
前記下部固定治具は、前記パウチカップ部の一側角に隣接する2つの側面を同時に包む2つの翼部を含み、前記翼部のそれぞれが前記パウチカップ部側に行くほど低くなる傾斜面を含み、前記傾斜面を通じて3D形状測定機から照射されるレーザが進入または反射される、請求項
10に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項12】
前記上部固定治具は、前記3D形状測定機のレーザが進入することができるように、又は測定部が露出するようにパウチカップ部の角部に内側に陥入された陥入部を含む、請求項
10に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項13】
前記3D形状測定機のレーザが進入することができるように又は測定部が露出するように、前記下部固定治具において前記パウチカップ部と当接する折曲部には、底部を露出させる底露出部が陰刻形状にさらに形成された、請求項
10に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項14】
前記3D形状測定機から照射されるレーザと3D形状測定機のカメラにより得られる撮像イメージを取得し、前記得られた撮像イメージを通じて前記上部固定治具のカップ部角側から前記下部固定治具側方向にプロファイル測定線を複数個設定し、これらの平均値を基準として最高点と最低点との差異を計算することにより、パウチカップ部の高さ値を得ることができる、請求項1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
【請求項15】
二次電池用パウチケースのパウチカップ部の高さ測定装置であって、
パウチカップ部が被せ得るようにパウチカップ部の内部形状を有するカップ部受け治具;
前記カップ部受け治具に被せるパウチ上部面のうちカップ部の高さを測定する角部を露出し、前記露出した角部周辺部を覆うプレート形態の上部固定治具;
前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部及び周辺底部を覆い、前記下部角部の周辺はカップ部の高さ測定が可能に露出させるプレート形態の下部固定治具;及び
前記角部の高さを測定する3D形状測定機;
を含むパウチカップ部の高さ測定装置。
【請求項16】
前記下部固定治具は、前記パウチカップ部の一側角に隣接する2つの側面を同時に包む2つの翼部を含む、請求項
15に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
【請求項17】
前記下部固定治具が前記パウチカップ部と当接する翼部のそれぞれに形成され、パウチカップ部側に行くほど低くなる傾斜面を含む、請求項
16に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
【請求項18】
前記下部固定治具において、前記パウチカップ部と当接する折曲部には、底部を露出させる底露出部が陰刻形状にさらに形成され、
前記底露出部は、前記下部固定治具の両頂点を基準として前記下部固定治具の形状に対称な形状に形成される、請求項
17に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
【請求項19】
前記上部固定治具は、パウチ上部面のうち角周辺を覆うことができる形態を有し、パウチカップ部の角部が露出することができるように角部に内側に陥入された陥入部を含む、請求項
15に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月3日付け韓国特許出願第10-2021-0149899号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体を内部に収容するパウチカップ部の高さを非接触測定方式で測定する方法及び装置に関するものであり、より詳細には、測定者間の測定偏差を最小化してパウチカップ部の高さ測定に対する信頼性を向上させることにより、パウチの品質を改善させることができる、電極組立体を収容するパウチカップ部の高さ測定方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器及び自動車に関する技術開発と需要が爆発的に増加するにつれて、高いエネルギー密度と放電電圧及び優れた出力安定性を有する二次電池についてより多くの研究が行われている。このような二次電池としては、リチウム-硫黄電池、 リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池などのリチウム二次電池などを例示することができる。また、前記のような二次電池はその形状によって円筒型、角型、パウチ型などに区分することができ、その中でパウチ型電池セルに関する関心及び需要が徐々に高まっている。パウチ型電池セルは高い集積度で積層されることができ、重量当たりのエネルギー密度が高く、かつ安価で変形が容易である。したがって、パウチ型電池セルは、多様なモバイル機器及び自動車に適用可能な形態及び大きさで製作されることができる。
【0004】
図1は、通常のパウチ型電池セルの分解斜視図である。
図1を参照すると、通常のパウチ型電池セル10は電極組立体30、電極組立体30から延びている電極タブ40、50、電極タブ40、50に溶接されている電極リード60、70及び電極組立体30を収容する電池ケース20を含む。電極組立体30は、分離膜が介在した状態で正極と負極が順次積層されているものであって、スタック型又はスタック/フォールディング型構造からなっている。電極タブ40、50は電極組立体30の各極板から延びており、電極リード60、70は各極板から延びた複数の電極タブ40、50とそれぞれ電気的に連結されており、電池ケース20の外部に一部が露出している。また、電極リード60、70の上下面の一部には電池ケース20との密封度を高め、同時に電気的絶縁状態を確保するために絶縁フィルム80が付着することができる。電池ケース20は樹脂(resin)、金属またはこれらの混合物を含むラミネートシートからなることが一般的であり、電極組立体30を収容することができる空間を提供し、全体的にパウチ形状を有している。
図1でのような積層型電極組立体30の場合、複数の正極タブ40と複数の負極タブ50が電極リード60、70に共に結合され得るように、電池ケース20の内部上端は電極組立体30から離隔することができる。
【0005】
すなわち、言い換えれば、通常のパウチ型電池セルは正極、負極及び分離膜を含む電極組立体が積層されて軟質の電池ケースに収容され(すなわち、スタック型電極組立体又はスタック/フォールディング型電極組立体が電池ケースに収納)、電池ケースの端部が熱融着などで密封されるシーリング部を有する封止構造からなる。電池ケースを構成する軟質の包装材シートは樹脂層(resin layer)及び金属層(metal layer)のいずれか1つ以上からなり、その端部にシーリング部を形成することにより電極組立体が外部に離脱することを防止するだけでなく、外部の衝撃から保護する役割も果たす。すなわち、パウチ型電池セルは電極組立体を電池ケース(または、パウチカップ(cup)部)に収納し、電解液を注入した後に熱融着などで密封する段階を経ることにより製造されることができる。
【0006】
再び
図1を参照すると、パウチ型電池セル10の電池ケース20は電極組立体30を収容するケース20aと、前記電極組立体30がケースに収容された後、電極組立体30が逸脱しないように覆うカバー20bに分類されることができる。ここで、
図1のケース20aに表記された符号Cは完全に電極組立体30が収容される部分であって、ケース20aにおいてシーリング部(または翼部)のみが除外された部分ともいえる。あわせて、カップ(cup)と類似する形状である点を考慮して、以下では、
図1の符号Cに該当する部分を「パウチカップ部」と命名する。
【0007】
一方、このようなパウチカップ部は、パンチなどで成形(Forming)させることにより形成されることができる。そして、その後にはカップ部が形成されたパウチのカップ部の高さ(または、深さ)を測定し、このとき、カップ部が適正高さで形成されたことが確認されれば、電極組立体をパウチカップ部に内蔵させるなどの組立工程が行われることができる。すなわち、言い換えれば、パウチカップ部に電極組立体を挿入するにあたり、特にパウチカップ部の高さ及びこれに対する管理が非常に重要である。
【0008】
そして、このような工程の遂行のために、当業界ではカップ部が形成されたパウチのカップ部の高さをスチール定規(steel ruler)又はバーニアキャリパー(Vernier Calipers)などの接触式測定機構を通じて測定している。
図2は、通常の接触式測定機構を通じてパウチカップ部の高さを測定する様子であり、
図2のaはスチール定規の測定方式に該当し、
図2のbはバーニアキャリパーの測定方式に該当する。そして、スチール定規の測定方式による場合には2つのスチール定規が用いられることができ、バーニアキャリパーの測定方式による場合には垂直固定したバーニアキャリパーを下げて測定部に接触させることにより測定が可能である。
【0009】
しかし、これらの場合、測定する人(または測定者、measurer)の主観的な判断が介入されるしかなく、これにより、測定者間の測定偏差により、パウチカップ部の高さ測定に対する信頼性水準が低くなる問題が必然的に発生する。したがって、通常の接触式測定機構を通じてパウチカップ部の高さを測定するようになると、パウチカップ部が電極組立体の規格に完全に合わず、クラック(crack)が発生するなどパウチの品質が低下する問題が発生するしかない。
【0010】
そのため、測定者の主観的な判断が介入されることなくパウチカップ部の高さを客観的に測定し、既存に比べて正確性、反復性及び再現性などの測定値に対する全般的な信頼性を高めることにより、パウチの品質を改善させることができる技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、測定者間の測定偏差を最小化してパウチカップ部の高さ測定に対する信頼性を向上させることによりパウチの品質を改善させることができる、電極組立体を収容するパウチカップ部の高さ測定方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、二次電池用パウチケースのパウチカップ部の高さを測定する方法であって、(a)カップ部受け治具にパウチを被せる段階;(b)前記カップ部受け治具に被せたパウチ上部面のうちカップ部の高さを測定する角部を露出し、前記露出した角周辺を覆うように上部固定治具を位置させる段階;(c)前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部及び周辺底部に下部固定治具を位置させ、前記下部角部の周辺は露出させ、他の部分は覆う段階;及び(d)3D形状測定機を通じて、前記上部固定治具と下部固定治具により露出した角部のカップ部の高さを測定する段階;を含むパウチカップ部の高さ測定方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、二次電池用パウチケースのパウチカップ部の高さを測定する装置であって、パウチカップ部が被せ得るようにパウチカップ部の内部形状を有するカップ部受け治具;前記カップ部受け治具に被せるパウチ上部面のうちカップ部の高さを測定する角部を露出し、前記露出した角部周辺部を覆うプレート形態の上部固定治具;前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部及び周辺底部を覆い、前記下部角部の周辺はカップ部の高さ測定が可能に露出させるプレート形態の下部固定治具;及び前記角部の高さを測定する3D形状測定機;を含むパウチカップ部の高さ測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電極組立体を収容するパウチカップ部の高さ測定方法及び装置によれば、測定者間の測定偏差を最小化してパウチカップ部の高さ測定に対する信頼性を向上させることにより、パウチの品質を改善させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】通常のパウチ型電池セルの分解斜視図である。
【
図2】通常の接触式測定機構を通じてパウチカップ部の高さを測定する様子である。
【
図3】本発明の一実施例によりパウチカップ部の高さを測定するための装置を具備させた様子を示す模式図である。
【
図4】成形前のパウチにカップ部を形成させる様子を示す模式図である。
【
図5】本発明の他の実施例によりカップ部受け治具を別途の受け台上に具備及び固定させた様子を示す斜視図である。
【
図6】本発明のまた他の実施例により2つのカップ部受け治具を別途の受け台上に具備及び固定させた様子を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例により上部固定治具でカップ部受け治具に被せたパウチを加圧固定させ、下部固定治具でパウチ翼部を加圧固定させた様子を共に示す上部斜視図である。
【
図8】3D形状測定機から照射されるレーザと、3D形状測定機のカメラにより得られる撮像イメージを通じて上部固定治具のカップ部角側から前記下部固定治具側方向にプロファイル測定線を複数個設定したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図3は、本発明の一実施例によりパウチカップ部の高さを測定するための装置を具備させた様子を示す模式図である。
図3を参照すると、本発明に係る電極組立体を収容するパウチカップ部の高さ測定方法は、二次電池用パウチケースのパウチカップ部Cの高さを測定する方法であって(例えば、パウチの両端のそれぞれをストリッパーとダイとの間に挟んで固定させた後、前記パウチの中心部をパンチで加圧して形成されたパウチカップ部Cの高さを測定する方法であって)、(a)カップ部受け治具100にパウチ200を被せる段階、(b)前記カップ部受け治具100に被せたパウチ200の上部面のうちカップ部Cの高さを測定する角部を露出し、前記露出した角周辺は覆うように上部固定治具300を位置させる段階;(c)前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部W及び周辺底部に下部固定治具400を位置させ、前記下部角部の周辺は露出させ、他の部分は覆う段階及び(d)3D形状測定機を通じて、前記上部固定治具と下部固定治具により露出した角部のカップ部の高さhを測定する段階を含む。
【0018】
通常、パウチカップ部は、パンチなどで成形(Forming)させることにより形成されることができる。
図4は、成形前のパウチにカップ部を形成させる様子を示す模式図であり、
図4に示すように、パウチ200の両端のそれぞれをストリッパー(Stripper)90とダイ(Die)92との間に挟んで固定させた後、前記パウチ200の中心部をパンチ94で加圧すると同時に、パウチ200の両側のそれぞれのストリッパー90及びダイ92は共に上昇させることによりパウチにカップ部を形成させることができる。そして、その後にはカップ部が形成されたパウチのカップ部の高さ(または、深さ)を測定し、このとき、カップ部が適正高さで形成されたことが確認されれば、電極組立体をパウチカップ部に内蔵させるなどの組立工程が行われることができる。すなわち、言い換えれば、パウチカップ部に電極組立体を挿入するにあたり、特にパウチカップ部の高さ及びこれに対する管理が非常に重要である。
【0019】
このような工程の遂行のために、当業界ではカップ部が形成されたパウチのカップ部の高さを
図2に示すように、スチール定規(steel ruler)又はバーニアキャリパー(Vernier Calipers)などの接触式測定機構を通じて測定している。しかし、これらの場合、測定する人(または測定者、measurer)の主観的な判断が介入されるしかなく、これにより、測定者間の測定偏差により、パウチカップ部の高さ測定に対する信頼性水準が低くなる問題が必然的に発生する。したがって、通常の接触式測定機構を通じてパウチカップ部の高さを測定するようになると、パウチカップ部が電極組立体の規格に完全に合わず、クラック(crack)が発生するなどパウチの品質が低下する問題が発生するしかない(特に、パウチカップ部が電極組立体よりも小さいとクラックが発生する)。
【0020】
そこで、本出願人は、測定者の主観的な判断が介入されることなくパウチカップ部の高さを客観的に測定し、既存に比べて正確性、反復性及び再現性などの測定値に対する全般的な信頼性を高めることにより、パウチの品質を改善させることができる技術を発明したのである。
【0021】
再び、
図3及び
図4を参照して本発明について説明すると、本発明によりパウチカップ部の高さを測定するためには、
図4のような成形方式を通じてパウチにカップ部を形成するなどの先行工程が必ず行わなければならない。その後には、カップ部受け治具100にパウチ200を被せる段階、すなわち、言い換えれば、前記形成されたパウチカップ部Cの形状を有するカップ部受け治具100にパウチ200を被せ、前記パウチ200のカップ部Cにカップ部受け治具100を収容させる段階が行われる(段階a)。前記カップ部受け治具100は、パウチ200のカップ部Cの形状を維持させるためのものであるので、前記パウチカップ部Cの形状と同一でなければならず、したがって、最大限誤差が少ない方がよい。
【0022】
図5は、本発明の他の実施例によりカップ部受け治具を別途の受け台上に具備及び固定させた様子を示す斜視図である。
図5に示すように、前記カップ部受け治具100は別途の受け台110上に備えられることができる。これは、カップ部受け治具100を固定させてパウチの据置便宜性を向上させるためのものであって、
図5に示すように、カップ部受け治具100と受け台110のそれぞれに形成されたホール(hole)を介してねじ又はピンなどの部材で相互間締結及び固定させることができる。このとき、前記受け台110はダイ(die)に乗せられた状態であってもよく、必要に応じて、前記ねじやピンなどの部材がダイまで通過して固定力をより向上させることができる。また、前記カップ部受け治具100と受け台110の一方には磁石が備えられることができ、残りの他方は磁石が付着することができるスチール(steel)などの素材からなり、相互に付着及び固定することもできる。
【0023】
すなわち、前記パウチカップ部Cの高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、残りの3つの角部のカップ部の高さを順次測定することができる。このとき、前記パウチ200又はカップ部受け治具100を90度、180度又は270度に回転させてカップ部の他の角部の高さを測定することができ、前記パウチ200又はカップ部受け治具100が前記受け台110上で90度、180度又は270度に回転完了した後には、前記受け台110とねじ部材又はピン部材で締結されるか、又は磁力結合を通じて付着し、前記パウチカップ部Cの角高さを回して順次測定することができる。
【0024】
一方、
図5には、カップ部受け治具100の一側角部に仮想の十字(cross)が表記されているが、この十字表記の交差点は、パウチカップ部の高さ測定時に使用される3D形状測定機のカメラ中心点又は測定ポイントに該当する。したがって、
図5に示すように、カップ部受け治具100を十字中心点基準受け台110のいずれか一方(左側又は右側)に固定されるように位置させると、カップ部の測定される部位を変更しても(すなわち、受け台110上でパウチ又はカップ部受け治具100を90度(°)、180度又は270度回転させても)、受け台110をX軸及びY軸に移動させなくても直ちにカップ部Cの高さ測定が可能であるという利点がある。あわせて、3D形状測定機を通じて角部のカップ部Cの高さを測定した後には、測定された値をマクロ演算してパウチカップ部Cの高さhを決定することができるが、前記のような方法に従うと使用者がマクロをさらに設定する必要がないため、パウチカップ部の高さ測定値の偏差を最小化することができる利点もある。したがって、前記カップ部受け治具100と受け台110を3D形状測定機のカメラ中心点又は測定ポイントに合わせて相互に固定するように設置することが好ましい。
【0025】
ただし、前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部Cの高さ測定が完了すると、前記3D形状測定機をカップ部Cの他の角部側に位置させ、測定されていないカップ部Cの他の角部の高さを順次測定することもできる。
【0026】
図6は、本発明のまた他の実施例により2つのカップ部受け治具を別途の受け台上に具備及び固定させた様子を示す斜視図である。これは、1つのパウチに2つのカップ部が形成されたモデルのカップ部の高さ測定のためのものであって、2つのカップ部が形成されたパウチモデルの場合、1つのカップ部が形成されたパウチモデルよりも規格が大きいため、受け台110上でパウチ又はカップ部受け治具100を90度、180度又は270度に回転させることができない問題点を補完するためのものである。したがって、2つのカップ部受け治具を使用する場合には、前記3D形状測定機のカメラ中心点又は測定ポイントを受け台110の中心部(すなわち、2つのカップ部受け治具が向き合う角部)以外に、2つのカップ部受け治具のそれぞれの外側角部分にも置き、パウチ又はカップ部受け治具100を回転させることなくパウチカップ部の高さを測定することができる。すなわち、言い換えれば、前記パウチカップ部が2つ形成されたパウチのカップ部の高さ測定時には、カップ部受け治具100が2つのカップ部Cのそれぞれに1つずつ収容され、このとき、パウチ200又はカップ部受け治具100を回転させることなく、前記2つのカップ部受け治具100が向き合う角部分とカップ部受け治具100のそれぞれの外側角部分のパウチカップ部Cの高さを測定することができる。
【0027】
一方、成形されたパウチ200のカップ部Cの高さとカップ部受け治具100の高さとの間に差異がある場合には、高さ調節用ライナープレート(図示せず)をカップ部受け治具100の上部面又は下部面に対面するように挿入することができる。前記高さ調節用ライナープレートにも前記カップ部受け治具100及び受け台110に形成可能なホールが形成されることができ、ねじ又はピンなどの部材を用いて相互間締結が可能である。また、磁力を利用した付着も可能であることは勿論である。
【0028】
前述のように、前記カップ部受け治具100にパウチ200を被せた後には、前記カップ部受け治具100に被せたパウチ200の上部面のうち、カップ部Cの高さを測定する角部を露出し、前記露出した角周辺は覆うように上部固定治具300を位置させ、前記カップ部受け治具100に被せたパウチ200を加圧固定させる段階が行われる(段階b)。そして、続いて、前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部W及び周辺底部に下部固定治具400を位置させ、前記下部角部の周辺は露出させ、他の部分は覆う同時にパウチ翼部W及び周辺底部を加圧固定させる段階が行われる(段階c)。
【0029】
図7は、本発明の一実施例により上部固定治具でカップ部受け治具に被せたパウチを加圧固定させ、下部固定治具でパウチ翼部を加圧固定させた様子を共に示す上部斜視図である。前記のようにカップ部受け治具100にパウチ200を被せた後には、
図3又は
図7に示すように、上部固定治具300をパウチ200のカップ部C上に位置させてパウチ200を加圧固定し、下部固定治具400をパウチ翼部W及び周辺底部の上に位置させてパウチ翼部Wを加圧固定する。
【0030】
したがって、前記上部固定治具300とカップ部受け治具100の一方には磁石が備えられることができ、他方は磁石を付着することができるスチール(steel)などの素材からなって相互に付着が可能であり、これを通じて、上部固定治具300とカップ部受け治具100との間に介在したパウチ200、より具体的にはパウチ200のカップ部Cを固定させることができる。また、前記下部固定治具400は底面に磁力付着するか、又は底面とのねじ結合を通じて、前記下部固定治具400と底面との間に介在したパウチ翼部Wを固定させることができる。すなわち、上部固定治具300と下部固定治具400はそれぞれ磁力などでパウチ200を固定させることができる。なお、前述のような受け台110を使用する場合には、前記下部固定治具400もカップ部受け治具100と同様に受け台110に固定することができ、このときには前記パウチ翼部Wが下部固定治具400と受け台110との間に介在して固定することができる。
【0031】
一方、目的とするパウチカップ部C一端の高さ測定が完了してカップ部受け治具100を回転させなければならないか、又はパウチ200をカップ部受け治具100から分離させなければならない場合には、前記上部固定治具300と下部固定治具400をパウチ200から分離させなければならない。このとき、前記上部固定治具300がカップ部受け治具100と磁力で結合されているため、分離が容易ではない。したがって、この場合には、
図7に示すように、前記上部固定治具300の上部面の一端に上部固定治具ノブ(knob)(上部固定治具ノブ310)を固定結合させ、より容易に上部固定治具300を取り外すことができる。そして、前記下部固定治具400が受け台110と磁力結合する場合にも、前記下部固定治具400の上部面の一端に下部固定治具ノブ410を固定結合させることにより、より容易に下部固定治具400を取り外すことができる。
【0032】
一方、前記上部固定治具300と下部固定治具400は、前記3D形状測定機から照射されるレーザの反射を低減させるように、明度5以下の色相を有することが好ましい。そして、前記明度5以下の色相としては、黒色またはこれに近接する色相が好ましい。これは、アルミニウムなどの素材を含むパウチの特性上、3D形状測定機から照射されるレーザが反射されることにより、パウチのカップ部Cの高さhの測定が不正確になり得る問題点を補完するためである。
【0033】
前記のように、上部固定治具300及び下部固定治具400をそれぞれ設置してパウチ200を固定させた後には、3D形状測定機を通じて、前記上部固定治具300と下部固定治具400により露出した角部のカップ部の高さhを測定する段階が行われる(段階d)。前記3D形状測定機はパウチカップ部の高さ測定のために用いられるものであって、測定しようとするパウチカップ部Cの特定位置を測定ポイント又は3D形状測定機のカメラ中心点に設定した後、3D形状測定機からレーザを照射することにより、前記上部固定治具300と下部固定治具400により露出した角部のカップ部の高さhを測定することができる。すなわち、言い換えれば、前記上部固定治具300とカップ部受け治具100との間の境界面、及び前記下部固定治具400と底面との間の境界面間の一側角部の高さhを測定することができる。
【0034】
前記3D形状測定機を通じて測定されるパウチカップ部Cの位置としては、パウチカップ部Cの形状が最もよく維持される角部が好ましく、具体的には、1つの頂点とこれに向き合った頂点とを連結する高さ方向の角部であってもよい。すなわち、言い換えれば、
図5又は
図6に表記された十字表記の交差点を測定ポイント又は3D形状測定機のカメラ中心点に設定することが好ましい。そして、前述のように、いずれか一ヶ所のパウチカップ部の高さ測定が完了すると、パウチ又はカップ部受け治具100を90度、180度又は270度に回転させ、測定しようとするパウチカップ部Cの他の角部の高さを順次測定することができる。また、2つのカップ部が形成されたパウチモデルの場合には、パウチ又はカップ部受け治具100を回転させることが容易ではないため、このときには3D形状測定機を左右移動させていろいろな所のカップ部Cの高さを測定することができる。なお、2つのカップ部が形成されたパウチモデルのカップ部の高さを測定する場合には、カップ部のそれぞれに1つのカップ部受け治具100を収容させることもでき、角ごとに個別的なカップ部受け治具100を収容させることもできる。
【0035】
前記において説明したように、パウチカップ部cのうち1つの頂点とこれに向き合った頂点とを連結する高さ方向の角部を測定ポイントに設定することが信頼性の側面で最も好ましい。これにより、測定しようとするパウチカップ部cの角部及びこの周辺部をより強い力で固定させなければならない。そのためには、
図7に示すような形態、すなわち、前記上部固定治具300は、測定しようとするパウチカップ部cの一側角方向にできるだけ近く密着させ、前記下部固定治具400は前記パウチカップ部cの一側角に隣接する2つの側面を同時に包む形態となるように具備させることができる。一例として、前記下部固定治具400は2つの翼部を含む「
」字状であってもよく、このとき、2つの翼部がパウチカップ部cの一側角に隣接する2つの側面を同時に包む形態となるように具備させることができる。また、前記のように下部固定治具400を用いると、パウチカップ部cの他の角高さを測定しても、同一の下部固定治具400を位置や角度のみ変更して続けて用いることができるという利点がある。
【0036】
また、前記下部固定治具400が
図7に示すように、パウチカップ部Cと当接する翼部のそれぞれに形成された傾斜面420を含むことができる。そして、前記翼部のそれぞれに形成された傾斜面420は、
図7に示すようにパウチカップ部C側に行くほど低くなり、底面(または、パウチ翼部)に近づく形態を有してもよい。これは、3D形状測定機から照射されるレーザの進入角及び反射角を考慮したテーパ(Taper)設計に該当するので(すなわち、前記傾斜面420を通じて3D形状測定機から照射されるレーザが進入又は反射されることを考慮)、できるだけ下部固定治具400に傾斜面420を形成することがよい。
【0037】
また、前記パウチカップ部Cの高さを正確に測定するためには、3D形状測定機のレーザが障害物に妨害されない状態で照射されなければならない。これにより、前記上部固定治具300は、3D形状測定機のレーザが正常に進入できるように(言い換えれば、測定部が露出するように)、パウチカップ部Cの角端に位置しないことが好ましい。すなわち、言い換えれば、前記上部固定治具300は、前記3D形状測定機のレーザが進入できるように、又は測定部が露出するようにパウチカップ部Cの角部に内側に陥入された陥入部を含むことがよい。
図7には、一実施形態として、測定部側に位置する上部固定治具300の一端を内側に陥入又は曲面(round)処理して測定部を露出させた様子が示されており、その他にも様々な形状を通じて測定部を露出させることできることは当然であるというだろう。
【0038】
そして、前記下部固定治具400も上部固定治具300と同様に、3D形状測定機のレーザ照射に妨害となってはならない。これにより、前記下部固定治具400も、3D形状測定機のレーザが正常に進入できるように(言い換えれば、測定部が露出するように)、パウチカップ部Cの角と向き合う部分には位置しないことが好ましい。すなわち、言い換えれば、前記下部固定治具400において、前記パウチカップ部Cと当接する折曲部には、底を露出させる底露出部430が陰刻形状にさらに形成されることがよい。
図7には、一実施形態として「
」字状の下部固定治具400でパウチカップ部Cと当接する折曲部に底を露出させる底露出部430を陰刻形状に形成させて測定部を露出させた様子が示されており、他にも多様な陰刻形状を通じて測定部を露出させることができることは当然であるというだろう。このとき、前記底露出部430は、前記下部固定治具400の両頂点を基準として前記下部固定治具400の形状に対称な形状(例えば「
」字状)に形成されることができるが、これに制限されるものではない。あわせて、このような設計は、3D形状測定機から照射されるレーザの進入角及び反射角を考慮した設計でもある。
【0039】
以上の設計要件の全てを満足すれば、前記3D形状測定機を通じて前記上部固定治具300と下部固定治具400により露出した角部のカップ部の高さhを測定することができる。
図8は、3D形状測定機から照射されるレーザと、3D形状測定機のカメラにより得られる撮像イメージを通じて上部固定治具のカップ部角側から前記下部固定治具側方向にプロファイル測定線を複数個設定したイメージである。具体的に、まず、3D形状計測機から照射されるレーザと3D形状計測機のカメラにより得られる撮像イメージを取得する。続いて、
図8に示すように、前記得られた撮像イメージを通じて、前記上部固定治具300のカップ部角側から前記下部固定治具400側方向にプロファイル測定線を複数個設定し、これらの平均値を基準として最高点と最低点との差異を計算することにより、パウチカップ部Cの高さ値を得ることができる(局所ポイントを基準として測定時誤りや偏差が発生する可能性がある点を考慮して、多数ポイントの平均値を基準とする)。一例として、前記プロファイル測定線は合計5本に設定されることができ、前記測定線間の間隔は0.25mmであってもよいが、これはあくまでも一つの実施形態に過ぎないので、これに制限される解釈をしてはならない。
【0040】
以上により、前記上部固定治具300と下部固定治具400により露出した角部のカップ部の高さh値が測定されると、この測定された値をマクロ演算してパウチカップ部Cの高さhを決定することができる。前記マクロ演算は、本発明のパウチカップ部測定設計基準と同一の条件で再現されたマクロプログラムを通じて行われることができ、これは前記3D形状測定機内で、または別途に備えられた機器を通じて行われることもできる。
【0041】
次に、本発明に係るパウチカップ部の高さ測定装置について説明する。
図3、4及び7を参照すると、本発明に係るパウチカップ部の高さ測定装置は、二次電池用パウチケースのパウチカップ部Cの高さを測定する装置であって、パウチカップ部Cが被せ得るようにパウチカップ部Cの内部形状を有するカップ部受け治具100、前記カップ部受け治具100に被せるパウチ200の上部面のうち、カップ部Cの高さを測定する角部を露出し、前記露出した角部周辺部を覆うプレート形態の上部固定治具300、前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部W及び周辺底部を覆い、前記下部角部周辺はカップ部Cの高さ測定が可能に露出させるプレート形態の下部固定治具400及び前記角部の高さを測定する3D形状測定機を含む。
【0042】
図5まで参照すると、前記カップ部受け治具100は別途の受け台110上に備えられることができる。そして、前記カップ部受け治具100と受け台110のそれぞれにはホール(hole)が形成されることができ、このホールを介してねじ又はピンなどの部材でカップ部受け治具100及び受け台110の相互に締結及び固定することができる。このとき、前記受け台110はダイ(die)に乗せられた状態であってもよく、必要に応じて、前記ねじ又はピンなどの部材がダイまで通過して固定力をより向上させることができる。また、前記カップ部受け治具100と受け台110の一方にも磁石が備えられることができ、他方は磁石が付着することができるスチールなどの素材からなり、相互に付着及び固定することもできる。
【0043】
また、前記カップ部受け治具100と受け台110を3D形状測定機のカメラ中心点又は測定ポイントに合わせて相互に固定するように設置することが好ましい。それでこそ、受け台110上でパウチ200又はカップ部受け治具100を90度、180度又は270度回転させても、受け台110をX軸及びY軸に移動させることなく直ぐにカップ部Cの高さh測定が可能であるからである。また、前記カップ部受け治具100は、
図6に示すように、2つが並んで受け台110の上に位置することができる。これは、パウチに2つのカップ部が形成されたモデルのカップ部の高さ測定のための場合であり、2つのカップ部が形成されたパウチモデルの場合、1つのカップ部が形成されたパウチモデルよりも規格が大きいため、受け台110上でパウチ又はカップ部受け治具100を90度、180度又は270度に回転させることができない問題点を補完するためである。また、成形されたパウチ200のカップ部Cの高さとカップ部受け治具100の高さとの間に差異がある場合には、高さ調節用ライナープレート(図示せず)をカップ部受け治具100の上部面又は下部面に対面するように挿入することができる。前記高さ調節用ライナープレートにも前記カップ部受け治具100及び受け台110に形成可能なホールが形成されることができ、ねじ又はピンなどの部材を用いて相互間の締結が可能である。また、磁力を利用した固定も可能である。
【0044】
図7を参照すると、前記上部固定治具300は、測定しようとするパウチカップ部Cの一側角にできるだけ近く位置することが好ましく、前記下部固定治具400は前記パウチカップ部Cの一側角に隣接する2つの側面を2つの翼部が同時に包むように位置することが好ましい(すなわち、言い換えれば、前記下部固定治具400は、前記パウチカップ部Cの一側角に隣接する2つの側面を同時に包む2つの翼を含む)。また、前記下部固定治具400において、パウチカップ部Cと当接する翼部のそれぞれには、
図7に示すように傾斜面が形成されることができる。そして、前記翼部のそれぞれに形成された傾斜面は、
図7に示すように、パウチカップ部C側に行くほど低くなって底面(または、パウチ翼部)に近づく形態を有してもよい。
【0045】
また、前記上部固定治具300は、3D形状測定機のレーザが正常に進入できるように(言い換えれば、測定部が露出するように)、パウチカップ部Cの角端に位置しないことが好ましい。すなわち、言い換えれば、前記上部固定治具300は、前記3D形状測定機のレーザが進入できるように、又は測定部が露出するようにパウチカップ部Cの角部に内側に陥入された陥入部を含むことがよい。
図7には、一実施形態として、測定部側に位置する上部固定治具300の一端を内側に陥入又は曲面処理して測定部を露出させた様子が示されており、この他にも様々な形状を通じて測定部を露出させることができる。
【0046】
そして、前記下部固定治具400も、3D形状測定機のレーザが正常に進入できるように(言い換えれば、測定部が露出するように)、パウチカップ部Cの角と向き合う部分には位置しないことが好ましい。すなわち、言い換えれば、前記下部固定治具400において前記パウチカップ部Cと当接する折曲部には、底を露出させる底露出部430が陰刻形状にさらに形成されることがよい。
図7には、一実施形態として「
」字状の下部固定治具400でパウチカップ部Cと当接する折曲部に底を露出させる底露出部430を陰刻形状に形成させて測定部を露出させた様子が示されており、この他にも様々な形状を通じて測定部を露出させることができる。このとき、前記底露出部430は、前記下部固定治具400の両頂点を基準として前記下部固定治具400の形状に対称な形状(例えば、「
」字状)に形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0047】
そして、前述のように、前記上部固定治具300と下部固定治具400は、それぞれ磁力などにより固定することができる。そして、前記上部固定治具300と下部固定治具400は、前記3D形状測定機から照射されるレーザの反射を減少させるように、明度5以下の色相を有することが好ましい。そして、前記明度5以下の色相としては黒色またはこれに近接する色相が好ましい。
【0048】
前記3D形状測定機は、レーザ及びカメラにより得られる撮像イメージを提供するものであって、これを通じて、前記露出した角部のカップ部の高さh値が測定されると、この測定された値をマクロ演算してパウチカップ部Cの高さhを決定することができる。前記マクロ演算は、本発明のパウチカップ部の測定設計基準と同一の条件で再現されたマクロプログラムを通じて行われることができ、これは、前記3D形状測定機内で、または別途に備えられた機器を通じて行われることもできる。
【0049】
以上では、特定の実施例を参照して本発明に係る電極組立体を収容するパウチカップ部の高さ測定方法及び装置を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の範囲及び技術思想の範囲内で多様な変形が可能であることは当然であるというだろう。
[項目1]
二次電池用パウチケースのパウチカップ部の高さ測定方法であって、
(a)カップ部受け治具にパウチを被せる段階;
(b)前記カップ部受け治具に被せたパウチ上部面のうちカップ部の高さを測定する角部を露出し、前記露出した角周辺を覆うように上部固定治具を位置させる段階;
(c)前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部及び周辺底部に下部固定治具を位置させ、前記下部角部の周辺は露出させ、他の部分は覆う段階;及び
(d)3D形状測定機を通じて、前記上部固定治具と前記下部固定治具により露出した角部のカップ部の高さを測定する段階;
を含むパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目2]
前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、残りの3つの角部のカップ部の高さを順次測定する、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目3]
前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、前記パウチ又は前記カップ部受け治具を90度、180度又は270度に回転させてカップ部の他の角部の高さを測定し、前記角部は、1つの頂点とこれに向き合った頂点とを連結する高さ方向の角である、項目2に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目4]
前記カップ部受け治具は別途の受け台上に備えられ、前記カップ部受け治具が前記受け台上で90度、180度又は270度に回転完了した後には、前記受け台とねじ部材又はピン部材で締結されるか、又は磁力結合を通じて付着し、前記角部のカップ部の高さを回して順次測定する、項目3に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目5]
前記パウチのカップ部の高さと前記カップ部受け治具の高さとの間に差異があると、高さ調節用ライナープレートを前記カップ部受け治具の上部面又は下部面に対面するように挿入してパウチカップ部の高さを測定し、前記高さ調節用ライナープレートが、前記カップ部受け治具及び前記受け台とねじ部材又はピン部材で締結されるか、又は磁力で付着する、項目4に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目6]
前記パウチカップ部の高さ測定方法により、いずれかの角部のカップ部の高さ測定が完了すると、前記3D形状測定機をカップ部の他の角部側に位置させ、測定されていないカップ部の他の角部の高さを測定する、項目2に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目7]
前記3D形状測定機を通じて角部のカップ部の高さを測定した後には、測定された値をマクロ演算してパウチカップ部の高さを決定する、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目8]
前記上部固定治具と前記下部固定治具は、反射を低減させる明度5以下の色相を有する、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目9]
前記上部固定治具と前記下部固定治具はそれぞれ磁力で前記パウチを固定する、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目10]
前記パウチカップ部が2つ形成された前記パウチのカップ部の高さ測定時には、前記カップ部受け治具が2つのカップ部のそれぞれに1つずつ収容され、前記パウチ又は前記カップ部受け治具を回転させることなく前記2つのカップ部受け治具が向き合う角部と、前記カップ部受け治具のそれぞれの外側角部のパウチカップ部の高さを測定する、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目11]
前記上部固定治具は、測定しようとするパウチカップ部の一側角方向に密着させ、前記下部固定治具は、前記パウチカップ部の一側角に隣接する2つの側面を同時に包む形態となるように具備させる、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目12]
前記下部固定治具は、前記パウチカップ部の一側角に隣接する2つの側面を同時に包む2つの翼部を含み、前記翼部のそれぞれが前記パウチカップ部側に行くほど低くなる傾斜面を含み、前記傾斜面を通じて3D形状測定機から照射されるレーザが進入または反射される、項目11に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目13]
前記上部固定治具は、前記3D形状測定機のレーザが進入することができるように、又は測定部が露出するようにパウチカップ部の角部に内側に陥入された陥入部を含む、項目11に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目14]
前記3D形状測定機のレーザが進入することができるように又は測定部が露出するように、前記下部固定治具において前記パウチカップ部と当接する折曲部には、底部を露出させる底露出部が陰刻形状にさらに形成された、項目11に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目15]
前記3D形状測定機から照射されるレーザと3D形状測定機のカメラにより得られる撮像イメージを取得し、前記得られた撮像イメージを通じて前記上部固定治具のカップ部角側から前記下部固定治具側方向にプロファイル測定線を複数個設定し、これらの平均値を基準として最高点と最低点との差異を計算することにより、パウチカップ部の高さ値を得ることができる、項目1に記載のパウチカップ部の高さ測定方法。
[項目16]
二次電池用パウチケースのパウチカップ部の高さ測定装置であって、
パウチカップ部が被せられ得るようにパウチカップ部の内部形状を有するカップ部受け治具;
前記カップ部受け治具に被せるパウチ上部面のうちカップ部の高さを測定する角部を露出し、前記露出した角部周辺部を覆うプレート形態の上部固定治具;
前記角部に対応する下部角部のパウチ翼部及び周辺底部を覆い、前記下部角部の周辺はカップ部の高さ測定が可能に露出させるプレート形態の下部固定治具;及び
前記角部の高さを測定する3D形状測定機;
を含むパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目17]
前記下部固定治具は、前記パウチカップ部の一側角に隣接する2つの側面を同時に包む2つの翼部を含む、項目16に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目18]
前記下部固定治具が前記パウチカップ部と当接する翼部のそれぞれに形成され、パウチカップ部側に行くほど低くなる傾斜面を含む、項目17に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目19]
前記下部固定治具において、前記パウチカップ部と当接する折曲部には、底部を露出させる底露出部が陰刻形状にさらに形成された、項目17に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目20]
前記底露出部は、前記下部固定治具の両頂点を基準として前記下部固定治具の形状に対称な形状に形成される、項目19に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目21]
前記上部固定治具は、パウチ上部面のうち角周辺を覆うことができる形態を有し、パウチカップ部の角部が露出することができるように角部に内側に陥入された陥入部を含む、項目16に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目22]
前記上部固定治具と前記下部固定治具はそれぞれ磁力により固定する、項目16に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
[項目23]
前記上部固定治具と下部固定治具は、反射を減少させる明度5以下の色相を有する、項目16に記載のパウチカップ部の高さ測定装置。
【符号の説明】
【0050】
90:ストリッパー
92:ダイ
94:パンチ
100:カップ部受け治具
110:受け台
200:パウチ
300:上部固定治具
310:上部固定治具ノブ
400:下部固定治具
410:下部固定治具ノブ
420:傾斜面
430:底露出部
C:パウチのカップ部
W:パウチ翼部