IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】自動車用カメラの展開装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/28 20220101AFI20240910BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240910BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240910BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20240910BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240910BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B60R1/28 200
B60R1/26 100
G03B15/00 V
G03B11/04 Z
G03B17/56 A
H04N5/222 100
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021534936
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2019083350
(87)【国際公開番号】W WO2020126444
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】18213636.6
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ミネベア アクセスソリューションズ イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MINEBEA ACCESSSOLUTIONS ITALIA S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ダリオ フィモニャーリ
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/068927(WO,A1)
【文献】実開昭50-145345(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0294758(US,A1)
【文献】特開2003-063309(JP,A)
【文献】特表2015-520069(JP,A)
【文献】特開2011-213193(JP,A)
【文献】特開平05-216092(JP,A)
【文献】特開平09-281577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/28
B60R 1/26
G03B 15/00
G03B 11/04
G03B 17/56
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポート(3)に取り付けられ、アクチュエータ(18)によってカバー(7)を介して格納位置から撮影位置に動くことができるカメラ(2)を備える自動車用カメラの展開装置(1)であって、前記カバー(7)は、前記カメラ(2)の移動と同時に、閉位置と開位置との間で両方向に移動することができ、かつ、前記カバーの部分における第2の軸(Y)に直角な第1の軸(X)に沿った長手方向の移動によって、2つの部分(7a)、(7b)に分割することができ、前記カメラ(2)は、前記2つの部分(7a)、(7b)の移動に関して、前記第1の軸(X)に直角な前記第2の軸(Y)に沿った横方向に移動することができ
前記アクチュエータ(18)は、軸(25)に取り付けられたモータ(19)を備えており、前記軸(25)は、前記モータ(19)を受け入れる端部とは反対側の端部に配置された第1の歯車(20)に接続されて、少なくとも1つの第2の歯車(21a、21b)を駆動することができ、前記少なくとも1つの第2の歯車(21a、21b)は、作動レバー(22a、22b)を駆動することができ、前記作動レバー(22a、22b)は、前記サポート(3)上に配置され、かつ前記作動レバー(22a、22b)の長楕円形の孔(24a、24b)に挿入することができるラグ(23a、23b)を介して、前記サポート(3)に接続され、前記カメラ(2)を格納位置から撮影位置に、またはその逆に移動させることができ、前記ラグ(23a、23b)は、前記カメラ(2)の移動方向に沿って、レセプタクル(12)の窪(25a、25b)をスライドすることもできることを特徴とする自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項2】
前記カメラ(2)の前記格納位置から前記撮影位置への転置は、レバー(4)、(5)によって行われることを特徴とする請求項1に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項3】
前記カバー(7)の前記閉位置から前記開位置への移動は、前記レバー(4)、(5)によって行われることを特徴とする請求項2に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項4】
前記レバー(4)、(5)は、締結手段(6a)、(6b)によって前記サポート(3)を介して互いに接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項5】
前記レバー(4)、(5)は、締結手段(6c)、(6d)によって前記カバー(7)に接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項6】
前記締結手段(6)は、決定されたトラック(10)に沿って移動することができることを特徴とする請求項4または5に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項7】
前記締結手段(6a)、(6b)は、前記サポート(3)を通過する窪に挿入することができるロッドからなり、前記締結手段(6c)、(6d)は、前記カバー(7)を通過する窪に挿入することができるロッドからなっていることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項8】
前記トラック(10)は、L字形であることを特徴とする請求項6に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項9】
前記カバー(7)は、前記閉位置から前記開位置に切り替わるときに、その中央で2つの部分(7a)、(7b)に分割されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項10】
前記カバー(7)の一方の部分の接触端部は、V字形であり、前記カバー(7)の他方の部分の接触端部は、V字形に相補的な形状であり、前記カバー(7)が閉位置にあるときに、前記部分(7a)、(7b)の2つの端部が、互いに入れ子になることができることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項11】
前記カメラの展開装置(1)の移動は、車両のバックギア操作または起動ボタンなどの起動装置によっておこなわれることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項12】
前記カメラ(2)を車両ロゴの開口部を通過させることができる並進運動によって、前記カメラ(2)を前記格納位置から前記撮影位置に転置することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項13】
前記カバー(7)が2つの部分(7a)、(7b)に分割されると同時に、前記カメラ(2)を前記格納位置から前記撮影位置に切り替えることができるようにするために、前記カバー(7)は、車両のロゴと一体化し、2つの部分(7a)、(7b)に分割することができることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項14】
ガスケット(8)は、前記カメラの展開装置(1)と車両ロゴとの間に挿入され、前記車両の後部ドアリーフの金属シート面に置かれていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【請求項15】
前記カメラ(2)は、設定装置(17)を介した前記カメラ(2)の移動に関して、直角軸(X)に沿って傾斜し、横軸(Z)に沿ってプリセットすることができることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の自動車用カメラの展開装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用カメラの展開装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラは、車両の後部、たとえば車両の後部ロゴの高さに配置されている。格納位置から撮影位置への展開は、アクティベータ、たとえば車両のバックギア操作によって行われる。カメラが撮影位置にあるとき、カメラは車両の外部の画像を記録し、ダッシュボードに配置された画面に瞬時に送信する。これにより、たとえば、車両のバック運転中に、ドライバーは、従来の車両設備では気付くことができなかった操作における危険について警告を受けることができる。
【0003】
自動車用カメラの展開装置は、先行技術として知られている。ハンドルの操作中にラッチを開けるための機能と、必要に応じて、車両の外部を撮影するためにカメラを使用するための機能との二元的機能装置は、特許文献1で知られている。これら2つのタスクを最適に実行するため、そしてほとんどかさばらない構成のために、モジュールのケースが固定されているサポートシェルを受け入れるハンドルの後壁に穴を形成することが提案されている。モジュールの場合、カメラは、カメラサポートを介して格納位置と伸長位置の間に旋回可能に取り付けられ、平行移動するようにガイドされている。モジュールの場合、カメラの回転並進運動用のリーダーとトランスミッションも配置されている。
【0004】
自動車用の別のカメラの展開装置は、特許文献2で知られており、休止位置および作動位置に位置することができるカメラユニットと、閉位置および開位置に移動することができる保護要素とを備えており、カメラユニットは、休止位置および開位置にあり、保護要素が閉位置にあるとき、カメラユニットは、保護要素の後ろで外側からアクセスすることができない休止位置にあり、保護要素が開位置にあるとき、カメラユニットは画像取得のための作動位置にあり、さらに、カメラユニットおよび保護要素を移動するためのアームを備えている。カメラユニットと保護要素は、このカメラの展開装置で互いに動くことができるようにヒンジで取り付けられている。本発明はさらに、このようなカメラの展開装置を含む車両、特に自動車に関する。従来技術のこれらの公知のカメラの展開装置は、カメラの前に配置された保護要素のために、カメラの視野が妨げられるなどの欠点を有している。さらに、カメラは、休止位置にあるとき、旋回する保護要素によって最適な状態に保護されていない。実際、車両が施錠されていない場合、旋回する保護要素はハンドルとしても機能する。そのため、人がハンドルとして機能する保護要素を旋回させるときに、カメラにアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第2054572号明細書
【文献】欧州特許第2524494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、サポートに取り付けられ、アクチュエータによってカバーを介して格納位置から撮影位置に動くことができるカメラを備える自動車用カメラの展開装置を提供することによってこれらの欠点を解消することを目的とし、このカバーは、カメラの移動と同時に、閉位置と開位置との間で両方向に移動することができ、かつ、前記カバーの部分における第2の軸Yに直角な第1の軸Xに沿った長手方向の移動によって、2つの部分に分割することができ、このカメラは、この2つの部分の移動に関して、横方向の第2の軸Yに沿って移動することができることを特徴とする。
【0007】
カメラの格納位置から撮影位置への転置は、レバーによって行われることが好ましい。カバーの閉位置から開位置への移動は、レバーによって行われることがさらに好ましい。これにより、カメラの動きをカバーに伝えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
好ましい実施形態では、レバーは、締結手段によって当該サポートを介して互いに接続され、理想的には、締結手段は、サポートを通過する窪に挿入することができるロッドからなっている。別の好ましい実施形態では、レバーは締結手段によってカバーに接続され、理想的には、締結手段は、カバーを通過する窪に挿入することができるロッドからなっている。これにより、カメラの動きをカバーに効果的に伝えることができる。
【0009】
好ましくは、締結手段は、決定されたトラックに沿って移動することができ、理想的には、トラックは、L字形である。この成形により、締結手段を並進移動させることができる。
【0010】
別の好ましい実施形態では、カバーは、閉位置から開位置に切り替わるときに、その中央で2つの部分に分割される。これにより、カバー部分の動きを最適化することができる。
【0011】
理想的には、カバーの一方の部分の接触端部は、V字形であり、カバーの他方の部分の接触端部は、V字形に相補的な形状であり、カバーが閉位置にあるときに、これらの部分の両端が互いに入れ子になっている。さらに、2つの部分の結合が促進される。
【0012】
好ましくは、カメラの展開装置の移動は、車両のバックギア操作または起動ボタンなどの起動装置によっておこなわれる。この利点は、運転席から制御できることである。
【0013】
別の好ましい方法では、カメラを車両ロゴの開口部を通過させることができる並進運動によって、カメラを格納位置から撮影位置に転置し、さらに別の好ましい方法では、カバーは、車両のロゴと一体化し、2つの部分に分割されるようになる。これによりカバーが2つの部分に分割されると同時に、カメラ2は、格納位置から撮影位置に切り替わることができる。
【0014】
理想的には、ガスケットは、カメラの展開装置と車両ロゴとの間に挿入され、車両の後部ドアリーフの金属シート面に接している。これにより、シール性能が改善される。
【0015】
さらに理想的には、カメラは、設定装置を介したカメラの移動に関して、縦軸Yに沿って傾斜し、横軸Zに沿ってプリセットすることができる。これにより、視界に影響を与えることなく、車両のさまざまな高さに適応することができる。
【0016】
さらに理想的には、アクチュエータは、軸に取り付けられたモータを備えており、当該軸は、当該モータを受け入れる端部とは反対側の端部に配置された第1の歯車を備え、少なくとも1つの第2の歯車を駆動することができ、当該少なくとも1つの第2の歯車は、作動レバーを駆動することができ、当該作動レバーは、サポート上に配置され、かつ作動レバーの長楕円形の孔に挿入することができるラグを介して、サポートに接続され、カメラを格納位置から撮影位置に、またはその逆に移動させることができ、当該ラグは、当該カメラの移動方向に沿って、レセプタクルの窪に挿入することもできる。
【0017】
カバーを開く際のカバーの2つの部分の長手方向の移動によって、カメラは、視野を縮小することなく、撮影位置に向かって同時に移動することができ、カバーの2つの部分は、カバーが開位置にあるとき、もはや車両の外側から見えなくなる。カバーが閉位置にあるとき、カバーは、盗難防止として機能する。カメラが格納位置にあるとき、この成形は、カメラを最適に保護することを目的としている。
【0018】
アクチュエータの各配置には、このようなカメラの展開装置を装備した車両のタイプに応じて独自の利点が存在する。さらに、カメラの展開装置は、カメラ付きバックミラータイプの用途にも使用することができる。
【0019】
本発明を、その理解を容易にする、以下に示す異なる図を通して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるアクチュエータなしのカメラの展開装置の上面側斜視図である。
図2a】本発明によるアクチュエータなしのカメラの展開装置の底面側斜視図である。
図2b図2aのトラックの断面図である。
図3図1のカメラの展開装置の断面図である。
図4図1のカメラの展開装置の一部の斜視図である。
図5a】本発明によるカメラの展開装置の一部の正面図である。
図5b図5aの背面図である。
図6a】本発明によるアクチュエータなしのカメラの展開装置の車両の外側から見える部分の斜視図である。
図6b図6aの背面側斜視図である。
図7】サポート上にある本発明によるカメラの図である。
図8】本発明によるカメラの展開装置の上面図である。
図9】本発明によるアクチュエータが組み込まれたカメラの展開装置の斜視図である。
図10a】本発明の第2の実施形態の模式的上面図である。
図10b】本発明の第3の実施形態の模式的上面図である。
図10c】本発明の第4の実施形態の模式的上面図である。
図11】カメラが格納位置にあるときの本発明によるカメラの展開装置の上面図である。
図12】カメラが撮影位置にあるときの本発明によるカメラの展開装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施形態の説明は、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないこと、すなわち、以下に開示する実施形態の組み合わせ、または簡単な修正も、本発明の特許請求の範囲に含まれるものであることを理解されたい。
【0022】
図1は、格納位置でサポート3に取り付けられたカメラ2を備える本発明のカメラの展開装置1を示している。このカメラ2は、任意な形状の、好ましくは立方体のカメラ2を挿入することができる中央空洞を有する正方形の第2のサポート15にも挿入されている。第3のサポート(図示されていない)は、第3のサポートを受け入れるようになっている正方形の窪を介してサポート3に挿入される。第3のサポートに挿入される第2のサポート15および第3のサポートは、カメラの展開装置1を取り付ける前にカメラ2を傾斜させることができる。カメラ2を傾斜させることは、カメラ2の視野を、カメラの展開装置1が組み込まれている車両に適合させることができる。
【0023】
実際、車両のタイプによっては、各車両の高さおよび構造が異なるため、カメラ2の傾斜およびプリセットは同じではない。そのため、車両に応じてカメラ2の傾斜およびプリセットを適合させることにより、ドライバーは、車両の外部の最適な視野を得ることができる。2つのレバー4、5は、締結手段6a、6bによってサポート3に接続している。締結手段6aが窪を通過することで、2つの部位3、4を接続することによって、レバー4は、一方の端部によって、サポート3の一方の端部に接続している。締結手段6bが窪を通過することで、2つの部位3、5を接続することによって、レバー5は、一方の端部によって、サポート3の他方の端部に接続している。カバー7は、2つの部分7a、7bに分割されている。カバーが閉位置にあるとき、部分7a、7bは、相補的であり、それらの端部によって互いに入れ子になり、一体の部分7を形成する。締結手段6cが窪を通過することで、2つの部位4、7aを接続することによって、レバー4は、他方の端部を、カバー7の部分7aに接続しており、締結手段6dが窪を通過することで、2つの部位5、7bを接続することによって、レバー5は、他方の端部を、カバー7の部分7bに接続している。
【0024】
これらの締結手段6は、図2aおよび図2bに示すように、空洞の形状で決定されたトラック10に沿って移動することができる。締結手段6a、6bは、サポート3を通過する窪に挿入することができるロッドからなっており、締結手段6c、6dは、カバー7を通過する窪に挿入することができるロッドからなっている。カメラの展開装置1のシール性能および機械的強度を高めるために、ポリウレタンまたはシール機能を有する別の材料で作られたガスケット8が、車両の金属シート(図示されていない)とレセプタクル12との間に挿入されている。
【0025】
図2aは、カメラの展開装置1の下面と、この装置1の起動中に各締結手段6の端部がたどるトラック10とを示している。締結手段6a、6bは、それぞれトラック10a、10bに沿っており、締結手段6c、6dは、それぞれトラック10c、10dに沿っている。トラック10a、10bは、それぞれ、トラック10c、10dに対して直角である。カメラが格納位置にあるとき、締結手段6a、6bは、トラック10a、10bの上端にそれぞれ当接しており、カメラを撮影位置に展開するために、トラック10a、10bの下端に当接するまで移動する。図2bに示すように、カメラが格納位置にあるとき、締結手段6c、6dは、それぞれトラック10c、10dに当接していない。これは、カメラの展開装置1の起動中にカバー7の開口部の動きをスムーズにするために、カバー7とレバー4、5の間の角度を90°未満に保つためである。
【0026】
しかし、カメラが撮影位置にあるとき、締結手段6c、6dは、トラック10c、10dにそれぞれ互いに離れて当接している。トラック10a、10cならびにトラック10b、10dの両方は、適切な締結手段6の端部を受け入れ、これらをガイドするための空洞を形成するL字形を有している。これらのトラックの形状は、任意の幾何学的方向においてL字形であることを理解されたい。
【0027】
図2bは、トラック10aから10dの断面図を示している。これらのトラックは、レセプタクル12に空洞を形成している。これらの空洞は、締結手段6を受け入れ、図示されていないレバー4、5を介してカメラ2およびカバー7が移動できるようにする。より詳細には、締結手段6a、6bの一方の端部は、それぞれトラック10a、10bに組み込まれ、締結手段6c、6dの一方の端部は、それぞれ、トラック10c、10dに組み込まれる。締結手段6a、6bは、カメラ2の動きに平行な並進運動に沿って、トラック10a、10bの空洞内でそれぞれ移動する。締結手段6c、6dは、カメラ2の動きに直角であり、カバー7の動きに平行である並進運動に沿って、トラック10c、10dの空洞内でそれぞれ移動する。これらの空洞は、締結手段の端部を挿入することができる特定の深さ、ならびにこれらの空洞内の締結手段の端部の移動を許容しながら、決定されたサイズを有する締結手段の端部を受け入れるのに十分な幅を有している。
【0028】
各L字形トラックの縦方向面および横方向面に関して対称性があることに留意されたい。
【0029】
図3は、サポート3に取り付けられたカメラ2、レバー4、5、ならびにカバー7および締結手段6a~6dが表されているカメラの展開装置1の断面を示している。カメラの展開装置1の起動中、カメラ2は、カバー7が閉位置から開位置に移動するのと同時に、格納位置から撮影位置に移動する。トラック10a、10bに沿った締結手段6a、6bの並進移動は、Y軸に沿ったカメラ2の転置を引き起こす。一方、同時に、締結手段6c、6dは、トラック10c、10dに沿って並進的に移動することで、カバー7の部分7a、7bの長手方向の移動を引き起こし、したがって、X軸に沿ってカバー7を開く。車外にある画像を撮影するために、撮影位置において、カメラ2は、カバーによって作られた開口部、ポリウレタンまたはシール機能を有する別の材料で作られたガスケット8、車両の金属シート13、およびロゴ9を通過する。
【0030】
カメラ2がZ軸に沿ってその格納位置に格納する間、締結手段6a、6bは、同じトラック10a、10bに沿って、図3に示すようにそれらの初期位置に戻る。同時に、締結手段6c、6dも、同じトラック10c、10dに沿って、図3に示すようにそれらの初期位置に戻る。こうして、X軸に沿って、カバー7の部分7a、7bは、閉位置へ移動する。
【0031】
カメラの展開装置1が非作動位置にあるとき、部分7a、7bの端部の相補性により、部分7a、7bは一体のカバー7を形成する。これにより、閉位置では、盗難防止、およびほこり、水または氷などの要因に対してカメラ2を保護する機能11を有する。本発明の好ましい変形例では、カメラの展開装置1は、車両の後部、より具体的には、車両のロゴ9の中心に配置され、これにより、カバー7は、このロゴ9の中心の高さで開き、したがって、カメラ2を車両のロゴ9の開口部を通過させることができる並進運動によって、カメラ2を格納位置から撮影位置に転置する。
【0032】
本発明の別の変形例では、ロゴ9は、カバー7と一体化し、2つの部分に分割することができる。これによりロゴ9が2つの部分に分割されると同時に、カメラ2は、格納位置から撮影位置に切り替わることができる。
【0033】
図4は、第2のサポート(図示されていない)および第3のサポート(図示されていない)を介してカメラ(図示されていない)を受け入れるサポート3を表しているカメラの展開装置1の一部を示している。カバー7ならびにレバー4、5は、締結手段6を使用してサポート3とカバー7とを接続している。
【0034】
カメラの展開装置1は、格納位置にあり、カバー7は、閉位置にあり、カメラの展開装置1のこの部分は、台形である。サポート3の正方形の窪は、サポート3の垂直分岐の内面のいずれかの側に配置された締結サポート14を使用して、第3のサポートを係合することができる。次にカメラ2および第2のサポート15を支持する第3のサポートを係合することができる窪は、カメラの展開装置1の台形の部分に沿って、カバー7の中央に配置されている。この装置1の台形の部分は、カバー7の部分7a、7bの分割によって、カバー7の開放中に、その中央で、カメラ2の転置を誘発する。
【0035】
レバー4、5は十字形であり、その部分はサポート3およびカバー7の各部分7a、7bに接続された十字形の部分は、締結手段6を受け入れる窪を有しており、レバー4、5の他の部分よりも長くなっている。
【0036】
図5aは、ポリウレタンまたはシール機能を有する別の材料で作られたカバー7およびガスケット8を示しており、カメラの展開装置1のロゴ9は、正方形、円、三角形、長方形、菱形などとすることができる。部分7a、7bの分割によるカバー7の開放は、図5aに示すように、その中央で行われる。ポリウレタンまたはシール機能を有する別の材料で作られたガスケット8は、金属シート(図示されていない)とレセプタクル12との間で固定されている。このガスケット8は、ロゴ9の周りに配置されている。カバー7を開くことにより、レセプタクル12、金属シート13およびロゴ9の開口部を通じて、カメラの展開装置1の起動中にカメラが通過できるように、車両のロゴ9の開口部は、カバー7の中央に配置されている。これは、図4で説明したように、カメラがカバー7の中央に配置されているためである。
【0037】
図5bは、図5aの背面図である。カメラの第3のサポートは、サポート3に組み込まれ、カバー7およびロゴ9の開口部の中央に配置されている。図4に示すカメラの展開装置1の部分は、カメラが格納位置にあるとき、ガスケット8を超えて延在することはない。
【0038】
図6aは、カメラの展開装置1の車両の外側から見える部分を示している。例えば、車両のトランクまたはハッチバックなどのドアリーフの金属シート13に、ポリウレタンまたはシール機能を有する別の材料で作られたガスケット8が続き、次にロゴ9が続く。上述のガスケット8がない場合に、車両の金属シート13とロゴ9との間で変更することができる強化されたシール性能および機械的強度を有するガスケット8が、この装置1を保護する。好ましい実施形態において、カメラが撮影位置にあるとき、カメラは、その開放中のカバー7およびロゴ9の開口部を転置によって通過する。これにより、カメラは、車両の外部環境の最適な視野を得ることができる。
【0039】
図6bは、図6aの背面図である。カメラの展開装置1を備えるレセプタクル12は、車両の金属シート13に固定されている。レセプタクル12は、この装置1を保護することを目的とし、また、締結手段6を受け入れることを目的として、また、このレセプタクル12に空洞を形成することによってトラック10を形成することを目的とする。この図では、レセプタクル12の上面のトラックのみを示しているが、同じトラックがこのレセプタクル12の下面に存在すること、すなわち、各L字形トラックの縦方向面および横方向面に関して対称性があることを理解されたい。レセプタクル12は、カバーが開位置にあるときに、カバーの部分を受け入れるために、ポリウレタンまたはシール機能を有する別の材料で作られたガスケットを超えて延在している。したがって、レセプタクル12は、この内部で組み立てられた部位の形状を有しており、そのため、車両内部の装置が占める空間を制限することができる。
【0040】
図7は、第2のサポート15に取り付けられたカメラ2を示しており、第2のサポート15は、サポート3に取り付けられた第3のサポートに順番に取り付けられている。サポート3には、カメラ2の格納位置から撮影位置への移動軸に対する直角軸(X)に沿ってカメラ2の傾斜を設定するための装置17が存在する。本発明のカメラの展開装置1を備えた車両は、そのタイプに応じて決める傾斜角で、カメラ2を事前に傾斜させることができる。実際、第3のサポートは、横軸(Z)に沿ってカメラ2を動かすことができ、第2のサポート15は、縦軸(Y)に沿ってカメラ2を動かすことができる。サポート15は、(X)軸の周りを回転することもできる。カメラ2の傾きの設定は、カメラの展開装置1にカメラ2を最終的に取り付ける前に行う。実際、カメラ2の傾斜を手動で設定するために、設定ラグ23が第2のサポート15に配置され、サポート3の側枝を通って延在している。設定ラグ23は、サポート3の側枝を通して作られた窪によって、カメラ2の休止位置から撮影位置への移動方向に平行な横軸(Z)に沿って移動することができる。運転席にいるユーザの適応性を高めるために、カメラの設定を電動化することもできる。
【0041】
図8は、カメラ2が撮影位置にあるときのカメラの展開装置1の模式的上面図である。図8では、軸25によって第1の歯車20(歯は図示されていない)に接続し、次に作動レバー22aを支持する第2の歯車21a(歯は図示されていない)と接触するモータ19を見てとれる。作動レバー22aは、サポート3の上に配置されたラグ23aを介してサポート3に接続し、第2の歯車21aに接続している端部とは反対側の端部に配置されている長楕円形の孔24aに挿入することができる。図8では、ラグ23aは、サポート3の中央の上部に配置されている。図8に示すラグ23aと反対の面、すなわちサポート3の底部に、ラグ23bも、配置されている。
【0042】
実際、カメラ2の作動レバー22a、22bは、第2の歯車21a、21bを支持するロッドを半分に切断する平面に平行な平面、および前記ロッドに直角な平面に関して対称である。アクチュエータ18は、第1の歯車20に接している第2の歯車21aの反対側に同じ第2の歯車21bを有しており、このように別の作動レバー22bが、同じ方法で、第1の歯車20に接している第2の歯車21aの反対側にある第2の歯車21bに接続している。作動レバー22bは、同じ方法でサポート3に接続しており、ここでは、サポート3の下に配置されたラグ23bを介して接続している。
【0043】
レセプタクル12は、アクチュエータ18が作動したときにカメラ2を格納位置から撮影位置に、またはその逆に移動させるために、サポート3の対応するラグ23a、23bのそれぞれを受け入れることができる2つの窪を有している。これらの2つの窪は、カメラ2の移動軸に平行な軸に沿って配置されている。
【0044】
図9は、図8と同じ状態のカメラの展開装置1の斜視図である。軸25を介して第1の歯車20に接続されたモータ19を見てとれる。図9は、アクチュエータ18の対称性を示すことを目的としている。実際、作動レバー22a、22bにそれぞれ接続した2つの第2の歯車21a、21bを見てとれる。各作動レバー22a、22bは、それぞれ長楕円形の孔24a、24bを有し、対応するラグ23a、23bが、対応する長楕円形の孔24a、24bに挿入されている。
【0045】
アクチュエータ18は、レセプタクル12に固定されているサブモジュール(図示されていない)に挿入されている。
【0046】
図10aは、本発明の別の実施形態の模式図である。カバー7の部分7a、7bの端部の接触面は平行であり、同じ平面上で互いに結合している。
【0047】
この実施形態では、レバー4およびレバー5は存在しない。カメラ2は、カメラの展開装置1の作動中にZ軸に沿って移動し、カバー7の2つの部分7a、7bを押すことにより、カバー7の部分7a、7bの開口部に係合する。カメラ2によるカバー7の部分7a、7bの移動は、カバー7を成形することによって可能である。実際、ファンネルの開口が、カメラ2の移動軸の高さでカバー7の上部から始まるファンネル成形により、カメラ2が、格納位置から撮影位置への移動中に、ファンネルの壁と接触し、カバー7の部分7a、7bをそれらの開口位置に向かって押すことができる。
【0048】
カメラ2の撮影位置から格納位置への移動中に、カバー7の部分7a、7bに配置された弾性手段26は、それらの付勢機能によって、カバー7の部分7a、7bが開位置から閉位置へ移動できるようにする。実際、カバー7の部分7a、7bが開位置にあるとき、弾性手段26は、レセプタクル12の内部部分に対して圧縮されている。そのため、カメラ2がその格納位置に移動している間、弾性手段26は、それらの当初の休止位置に戻るまで解放され、カバー7は、閉位置に戻る。
【0049】
図10bは、本発明の別の好ましい実施形態である。図10aの実施形態との違いは、カバー7の一方の部分の接触端部がV字形であり、カバー7の他方の部分が、カバー7の一方の部分の端部のV字形に相補的な形状の接触端部を有していることである。したがって、部分7a、7bの2つの端部は、カバー7が閉位置にあるときに、互いに入れ子になっている。この成形は、盗難防止、およびこの成形によってもたらされるほこり、水、氷などの要因に対する保護機能によって、格納位置にあるときのカメラ2の保護を最適化することを目的としている。この実施形態では、レバー4、5が存在する。カメラの展開装置1は、図10aに示す場合と同じ方法で作動する。カバー7の一方の部分は、L字形またはU字形などの別の形状の接触端部を有してもよい。
【0050】
図10cは、本発明の別の実施形態である。カメラ2のサポート3は、もはやレバー4、5を介してカバー7に間接的に接続していない。しかし、カバー7の開口点に向かって傾斜している2つのトラック16a、16bによって、サポート3の端部の垂直延長部によってカバー7に直接接続している。第1のトラック16aは、締結手段6aによってサポート3の端部をカバー7の部分7aに接続し、第2のトラック16bは、締結手段6bによってサポート3のもう一方の端部をカバー7の部分7bに接続する。カメラの展開装置1は、図10aに示す場合と同じ方法で作動する。カメラの展開装置1の作動中、締結手段6a、6bの各端部は、トラック16a、16bに沿うことで、カメラ2の格納位置から撮影位置への移動と、カバー7の閉位置から開位置への移動とを同時に行うことができる。
【0051】
カメラ2が撮影位置から格納位置に戻る間、締結手段6a、6bは、図10cに示すように、トラック16a、16bによって初期位置に戻るとともに、カバー7を閉鎖する。
【0052】
次に、アクチュエータ18の動きを、図11および図12により詳しく説明する。モータ19が起動すると、例えば、自動車のリバースギアの起動中に、モータ19は、軸25を介して第1の歯車20(歯は図示されていない)を時計回りに回転させる。次に、第1の歯車20は、第2の歯車21a(歯は図示されていない)と接触、移動し、第2の歯車21aを反時計回りに駆動させ、さらに同じ動きで他の第2の歯車21bも駆動させる。こうして、各第2の歯車21a、21bは、サポート3上に配置された対応するラグ23a、23bを受け入れることができるレセプタクル12に設けられた各窪のトラックに沿って回転運動する各対応する作動レバー22a、22bを駆動する。なお、ラグ23a、23bを、対応する各作動レバー22a、22bの各長楕円形の孔24a、24bに挿入することができる。カメラ2が格納位置にあるとき、各ラグ23a、23bは、図11に示すように、対応する第2の歯車21a、21bに最も近い位置で、各長楕円形の穴24a、24bに配置されている。
【0053】
各ラグ23a、23bはまた、図11に示すように、カバー7の反対側の位置で、レセプタクル12の対応する各窪に配置されている。カメラ2がその撮影位置まで移動する間、各ラグ23a、23bは、対応する各長楕円形の穴24a、24bを通して同時に移動するが、図12に示すように、長楕円形の穴24a、24b、および対応する窪に同時に当接するまで、レセプタクル12の対応する各窪を通しても移動する。
【0054】
カメラ2が撮影位置から格納位置に戻るように移動する間、図11に示すように、第1の歯車20の反時計回りの動きと、2つの第2の歯車21a、21bの時計回りの動きによって、各ラグ23a、23bは、その初期位置に戻る。
【0055】
レバー4、5を含む本発明の実施形態では、これらのレバー4、5は、回転運動に沿ってアクチュエータ18によって動くように設定されている。
【0056】
もちろん、回転方向を逆にすることもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 カメラの展開装置
2 カメラ
3 サポート
4、5 レバー
6 締結手段
6a、6b、6c、6d 締結手段
7 カバー
7a、7b 部分
8 ガスケット
9 ロゴ
10 トラック
10a、10b、10c、10d トラック
12 レセプタクル
13 金属シート
14 締結サポート
15 第2のサポート
16a 第1のトラック
16b 第2のトラック
17 設定装置
18 アクチュエータ
19 モータ
20 第1の歯車
21a、21b 第2の歯車
22a、22b 作動レバー
23 設定ラグ
23a、23b ラグ
24a、24b 長楕円形の孔
25 軸
26 弾性手段
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11
図12