(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】G-17、PGI、PGII複合検出装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/543 541Z
(21)【出願番号】P 2022537172
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2021087746
(87)【国際公開番号】W WO2021218661
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202010370096.6
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522238044
【氏名又は名称】吉林省格瑞斯特生物技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】楊 小軍
(72)【発明者】
【氏名】李 欣
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109001463(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105548534(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0330743(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111638372(CN,A)
【文献】特表2008-547016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つのサンプルパッド(1)、
3つの免疫金コロイドガラス繊維膜(2)、3つの免疫ニトロセルロース膜(3)、及び
3つの吸収パッド(4)がそれぞれプラスチックプレート(5)に貼り付けられ、前記免疫ニトロセルロース膜(3)の両端がそれぞれ、吸収パッド(4)及び前記免疫金コロイドガラス繊維膜(2)とラッピングし;前記免疫金コロイドガラス繊維膜(2)の他端がサンプルパッド(1)とラッピングし;前記免疫ニトロセルロース膜(3)が3つあるそれぞれに第1検出ラインT1、第2検出ラインT2、第3検出ラインT3が設置されるとともに、品質コントロールラインCが設置され;前記第1検出ラインT1は固相に高特異性ガストリン17抗体を持ち、第2検出ラインT2は固相に高特異性ペプシノーゲンI抗体を持ち、第3検出ラインT3は固相に高特異性ペプシノーゲンII抗体を持ち;前記免疫ニトロセルロース膜(3)上に設定された第1検出ラインT1、第2検出ラインT2及び第3検出ラインT3が3つのニトロセルロース膜(3)上にそれぞれ設定されて、並べて配置されて一つの複合検出装置を形成し;前記品質コントロールラインCにヤギ抗マウスIgGポリクローナル抗体をスプレーすることを特徴とする
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置。
【請求項2】
クエン酸三ナトリウム還元法によって金コロイドを調製するステップ(a)と;
ステップ(a)で調製して得られた金コロイドを使用してガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII抗体を標識し、免疫金コロイドを得るステップ(b)と;
ステップ(b)の免疫金コロイドを金スプレー緩衝液で希釈し、免疫金コロイド溶液を得て、免疫金コロイド溶液をガラス繊維パッドに噴霧して、免疫金コロイドガラス繊維膜を調製して得るステップ(c)と;
ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなる処理液で前処理した後、オレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子に結合したガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体をそれぞれ第1検出ラインT1、第2検出ラインT2、第3検出ラインT3としてスプレーし塗布して、ヤギ抗マウスIgG抗体を品質コントロールラインとしてスプレーして免疫ニトロセルロース膜を調製して得るステップ(d)と;
前処理したサンプルパッド、ステップ(c)で調製した免疫金コロイドガラス繊維膜、ステップ(d)で調製した免疫ニトロセルロース膜、吸収紙を順番にプラスチックプレートに貼り付け、切り取ってテストストリップを準備し、最後にテストストリップをプラスチックケースに入れるステップ(e)を含むことを特徴とする請求項1に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項3】
ステップ(a)に記載の金コロイド粒子の粒径が20~60nmであることを特徴とする請求項2に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項4】
ステップ(c)に記載の金スプレー緩衝液がTris-HCl液、スクロース、トレハロース、及びウシ血清アルブミンBSAからなり、pH値が8.5であり、その中でTris-HCl液の濃度が0.02mol/L、スクロース濃度が5~20%、トレハロース濃度が1~5%、ウシ血清アルブミンBSA濃度が0.5~1%であることを特徴とする請求項2に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項5】
ステップ(d)に記載されているポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなる処理液によるニトロセルロース膜の前処理は、ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなる処理液に1時間浸し、ゆっくりと振とうし、取り出した後、蒸留水で3回洗浄し、最後に真空乾燥オーブンで乾燥させ;
ステップ(d)に記載されているオレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子に結合したガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体は、オレイン酸で修飾されたZnSを担体として使用し、ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体溶液をそれぞれ1mL取り、1時間攪拌した後、それぞれ12000rpm、8500rpm、及び7000rpmで10分間遠心分離して収集し、脱イオン水で2回洗浄することを特徴とする請求項2に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項6】
ステップ(d)に記載のポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなる処理液は、0.5%の濃度に希釈されたポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなり、0.22μmフィルターで濾過して準備することを特徴とする請求項2又は5に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項7】
ステップ(d)に記載のポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなる処理液は、ポリエチレングリコールグリセロールという化合物とポリリジンを混合して構成され、その中で、ポリエチレングリコールグリセロールという化合物の濃度が0.5%、ポリリジンの濃度が0.5%であり、0.22μmフィルターで濾過して準備することを特徴とする請求項2又は5に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項8】
ポリリジンがSIGMAから購入され、分子量が150KD~300KDであることを特徴とする請求項7に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項9】
ステップ(d)に記載のポリエチレングリコールグリセロールという化合物からなる処理液がポリエチレングリコールグリセロールという化合物とポリリジン、PEG20000を混合して構成され、その中で、ポリエチレングリコールグリセロールという化合物の濃度が0.5%、ポリリジンの濃度が0.5%、PEG20000濃度が0.1%であり、0.22μmフィルターで濾過して準備することを特徴とする請求項2又は5に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【請求項10】
ステップ(d)に記載のオレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子を調製するための方法は、オレイン酸無水エタノール溶液15mlを取り、0.3mol/Lの濃度で酢酸亜鉛水溶液15mlに加え、40℃の水浴で攪拌し、アンモニア水でpH値を調整してから、0.3mol/Lの濃度の硫化ナトリウム水溶液15mlを加えて5分間反応させた後、SDS水溶液5mlを加え、均一に混合した後、当該反応液を90ml水熱反応器に注ぎ、水熱反応器を密閉した後、恒温乾燥オーブンに入れ、一定温度で一定時間恒温反応を行い、反応終了後、温度を50℃に下げ、生成物を取り出し、アセトン、脱イオン水、エタノールで洗浄し、遠心分離して50℃の真空下で2時間乾燥させて粉末オレイン酸修飾ZnSを得て、後で使用するために保存することを特徴とする請求項2又は5に記載の
ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII複合検出装置の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年04月30日に中国特許庁に出願された出願番号が202010370096.6であり、発明名称が「G-17、PGI、PGII複合検出装置及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は本出願に引用として組み込まれる。
【0002】
本発明は医療検出装置の分野に関し、特にガストリン17、ペプシンI及びペプシンIIの複合検出装置及びにその調製方法に関し、金コロイド免疫クロマトグラフィー技術及び二重抗体サンドイッチ法の原理を用いた全血、血清、血漿検体中のヒトガストリン17(G-17)、ペプシノーゲンI(PGI)、ペプシノーゲンII(PGII)の定量的に検出するための検出装置及びその調製方法であり、胃癌リスクマーカーの高感度で特異的且つ迅速な検出を実現できる。
【背景技術】
【0003】
胃粘膜病変は、薬物、アルコール、異常な胃酸分泌、ヘリコバクターピロリ感染などのさまざまな要因によって引き起こされ、その中でヘリコバクターピロリ感染が主な要因である。胃粘膜が損傷すると、その機能も変化する。胃癌は複数の要因が関与する進行性の上皮性悪性病変のグループであり、その多くが慢性萎縮性胃炎から徐々に進行され、慢性萎縮性胃炎の約7%が最終的に上皮内癌に進行するとされている。異常な細胞増殖とHP感染の両方は、萎縮性胃炎の発症を加速させることができる。中国は胃癌の発生率が高い地域であり、毎年20万人以上の住民が胃癌で亡くなっている。根治的切除を、放射ライン療法、化学療法と組み合わせて、胃癌患者の5年生存率を向上することができるが、死亡率の低下にはほとんど効果がなく、胃がんの発生率や死亡率を下げるには、早期スクリーニングが重要であることを証明する研究もある。
【0004】
ガストリン(gastrin,GAS)は、幽門部及び十二指腸と上空腸の粘膜のG細胞から分泌される胃腸ホルモンの一種である。エドキンス(Edkins)は1905年に犬の胃洞で最初に発見され、よく知られるようになった。ヒト血清中のガストリンには、主にガストリン-17(gastrin-17,G-17)とガストリン-34(gastrin-34,G-34)の2つの異性体が含まれ、そのうちガストリン-17が85%~90%を占めている。このため、人々は通常、血清ガストリンレベルを表すためにガストリン-17を選択する。生理的状態では、ガストリンは主に胃酸の分泌に影響を与えることによって作用するが、一方では、ガストリンは壁側細胞を直接刺激して胃酸を分泌し、胃酸はペプシノーゲンを活性化して活性ペプシンにし、それによってタンパク質を分解し、同時に、これらの分解生成物はガストリンの分泌を刺激する;他方では、ガストリンは腸クロム親和性細胞の胆嚢収縮受容体に作用して、腸クロム親和性細胞によるヒスタミンの分泌を促進し、ヒスタミンにより壁細胞を刺激することで胃酸を分泌することができる。ガストリンは胃酸分泌に影響を与えながら、下部食道括約筋の緊張を低下させることもできる。最近のいくつかの研究では、ガストリンが胃粘膜機能のマーカーとして働く可能性が示唆されている。慢性萎縮性胃炎ではガストリン-17レベルが正常粘膜よりも有意に高く、また、血清ガストリン-17レベルは血清総ガストリンよりも胃幽門洞萎縮の重症度を正確に示す指標である可能性が示唆されている。
【0005】
ペプシノーゲン(pspsinogen,PG)は、胃粘膜の中の主細胞から分泌されるタンパク質ポリペプチド鎖である。ヒトのペプシノーゲンは、主に2つの生化学的及び免疫学的に異なるアイソザイム(PGI及びPGII)に分けられる。ペプシノーゲンIは胃腺の主細胞と頸部細胞から分泌され、ペプシノーゲンIIはまた噴門腺、幽門腺、近位十二指腸腺からも分泌される。ペプシノーゲン自体は生物学的活性を持たず、胃酸の作用下で消化機能を備えたペプシンに活性化され、それによって体内で摂取されたタンパク質を吸収されやすい小分子ペプチド類とアミノ酸に分解する。ほとんどのペプシノーゲンは胃腔内に分泌され、血液に吸収されるのはごくわずかである。私たちは通常、血清中のペプシノーゲンを測定して、ヒトのペプシンのレベルを表す。血清中のペプシノーゲンI及びペプシノーゲンIIのレベルは、胃粘膜機能及び組織学的状態を正確に反映できることが報告されている。したがって、血清ペプシノーゲンは「血清学的生検」とも呼ばれる。微細な内視鏡検査と組み合わせた血清ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンIIの検出は、胃の疾患、特に初期の胃粘膜病変の検出に有効である。既存の研究では、血清ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンIIのレベルは、びらん性胃炎、萎縮性胃炎、胃潰瘍、胃癌、及びその他の胃疾患で著しく異常であり、これらの疾患の貴重なスクリーニング方法を提供できることが示されている。
【0006】
現在、早期胃癌の統一された臨床スクリーニング法はまだ不足している。腫瘍マーカー及び関連タンパク質の検出は、異常な細胞増殖を効果的に反映でき、早期の癌スクリーニング及び術後のフォローアップに適している。胃腸血管造影や胸部透視は主に胃潰瘍や進行胃癌の観察に用いられるが、上皮内癌の感度や精度は低く、顕微鏡生検は多くの禁忌を伴う侵襲的な手術であり、実施が困難である。ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンIIは胃粘膜組織から分泌される消化酵素であり、胃底や幽門部などの胃粘膜部位の病変は、そのレベルの変化をもたらすことがある。ガストリン17、ペプシノーゲンIとIIの複合検出は、胃癌の早期スクリーニングに有効であり、胃癌の診断率を効果的に向上させることができ、臨床応用と推進に値する。
【0007】
金コロイド免疫クロマトグラフィーの技術(gold immunochromatography assay,GICA)は、金コロイド標識技術とタンパク質クロマトグラフィー技術を組み合わせ、ミクロポーラス膜を担体とした固相膜イムノアッセイ技術である。金コロイド免疫クロマトグラフィーは、一般的に使用される免疫クロマトグラフィー検出方法であり、簡単な操作、時間の節約、製造コストの低さ、結果の解釈のしやすさという特徴により、現場での検出に非常に適しており、生物学、医学、食品などの分野で広く使用されている。金コロイド免疫クロマトグラフィー技術は1つのステップで検出を完了するため、検出プロセスには多くの干渉要因があり、その低い感度は金コロイド免疫クロマトグラフィーの適用範囲を制限する主な要因であり、従来の金コロイド免疫クロマトグラフィーの検出限界は、ELISAや他の方法の検出限界よりも高くなっている。
【0008】
金コロイド免疫クロマトグラフィー検出では、タンパク質は、テストするサンプルの捕捉試薬としてニトロセルロース膜(NC膜)に固着される。検出結果は捕捉試薬が膜への良好な吸着を達成するかどうかに完全に依存するため、金コロイドの検出結果には、膜へのタンパク質の均一で良好な吸着が非常に重要である。NC膜に結合するタンパク質の量が不十分であるか、或はタンパク質の結合力が十分に強くない場合、かなりの数の問題が発生し、これは、検出結果の検出ラインで非常に明白である。膜に結合するタンパク質の量が少なすぎると、結果の検出ラインの色が薄くなり、検出感度が低下する。タンパク質がNC膜にしっかりと吸着できない場合、タンパク質がNC膜に吸着する前に拡散が起こり、明るく透明なものよりも検出ラインが広くなり、色が弱くなり、検出結果の解釈が困難になる。極端な条件下で、NC膜へのタンパク質の物理吸着が弱すぎる場合、流れるタンパク質分析物と界面活性剤溶液は、NC膜から固定されたタンパク質を洗い流し、広いまたはまったく明確でない検出ラインを明らかにする可能性があり、テスト結果の解釈が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はG-17、PGI、PGII複合検出装置及びその製造方法を提供し、従来技術に存在するNC膜のタンパク質吸着量の不足及び結合力が弱いという問題を解決した。本発明により調製されたヒトガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンIIのスリーインワン複合検出装置は、胃癌リスクマーカーの高感度、特異的且つ迅速な検出を実現し、胃疾患患者の胃がんリスクの合理的で包括的な判断を改善し、胃がんの早期警告や疾病リスク判定を迅速且つ正確に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によって採用された技術的解決策は、G-17、PGI、PGII複合検出装置及びその製造方法であって、サンプルパッド1、免疫金コロイドガラス繊維膜2、免疫ニトロセルロース膜3、及び吸収パッド4は、それぞれプラスチックプレート5に貼り付けられ、前記免疫ニトロセルロース膜3の両端は、それぞれ、吸収パッド4及び免疫金コロイドガラス繊維膜2とラッピングし、前記免疫コロイド状の金ガラス繊維膜2の他端は、サンプルパッド1とラッピングし;前記免疫ニトロセルロース膜3は、第1検出ラインT1、第2検出ラインT2、第3検出ラインT3、及び品質コントロールラインCを備え;前記第1検出ラインT1は固相に高特異性ガストリン17抗体を持ち、第2検出ラインT2は固相に高特異性ペプシノーゲンI抗体を持ち、第3検出ラインT3は固相に高特異性ペプシノーゲンII抗体を持ち;前記免疫ニトロセルロース膜3上に設定された検出ラインT1、T2及びT3は、同じ免疫ニトロセルロース膜3上に縦方向に配置されて、一つの複合検出装置を形成してもよく;前記免疫ニトロセルロース膜3上に設定された検出ラインT1、T2、T3はまた、3つの免疫ニトロセルロース膜3上にそれぞれ設定されて、並列に配置されて一つの複合検出装置を形成してもよく;前記ヤギ抗マウスIgGポリクローナル抗体を品質コントロールラインCにスプレーした。
【0011】
本発明はさらにG-17、PGI、PGII複合検出装置の製造方法を提供し、
クエン酸三ナトリウム還元法によって金コロイドを調製するステップ(a)と;
ステップ(a)で調製して得られた金コロイドを使用してガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体を標識し、免疫金コロイドを得るステップ(b)と;
ステップ(b)の免疫金コロイドを金スプレー緩衝液で希釈し、免疫金コロイド溶液を得て、免疫金コロイド溶液をガラス繊維パッドにスプレーし塗布して、免疫金コロイドガラス繊維膜を調製して得るステップ(c)と;
ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロール処理液で前処理した後、オレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子に結合したガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体を検出ラインとしてスプレーし、ヤギ抗マウスIgG抗体を品質コントロールラインとしてスプレーして免疫ニトロセルロース膜を調製して得るステップ(d)と;
前処理したサンプルパッド、ステップ(c)で調製した免疫金コロイドガラス繊維膜、ステップ(d)で調製した免疫ニトロセルロース膜、吸収紙を順番にのり板に貼り付け、切り取ってテストストリップを準備し、最後にテストストリップをプラスチックケースに入れるステップ(e)を含む。
【0012】
本発明のステップ(a)に記載のクエン酸三ナトリウム還元法によって調製された金コロイド粒子の粒径は20~60nmである。
本発明のステップ(c)に記載の金スプレー緩衝液は、Tris-HCl液、スクロース、トレハロース、及びウシ血清アルブミンBSAからなり、pH値は8.5であり、その中でTris-HCl液の濃度は0.02mol/L、スクロース濃度は5~20%、トレハロース濃度は1~5%、ウシ血清アルブミンBSA濃度は0.5~1%である。
【0013】
本発明のステップ(d)に記載されているポリエチレングリコールグリセロール処理液によるニトロセルロース膜の前処理は、ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロール処理液に1時間浸し、ゆっくりと振とうし、取り出した後、蒸留水で3回洗浄し、最後に真空乾燥オーブンで乾燥させることである。
【0014】
本発明のステップ(d)に記載されている硫化亜鉛ナノ粒子は、ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体にそれぞれ結合することは、オレイン酸で修飾されたZnSを担体として使用し、ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体溶液1mLを取り、1時間攪拌した後、12000rpm、8500rpm、及び7000rpmで10分間遠心分離して収集し、脱イオン水で2回洗浄した。
【0015】
本発明のステップ(d)に記載のポリエチレングリコールグリセロール処理液は、0.5%の濃度に希釈されたポリエチレングリコールグリセロールからなり、0.22μmフィルターで濾過して準備する。
【0016】
本発明のステップ(d)に記載のポリエチレングリコールグリセロール処理液は、ポリエチレングリコールグリセロールとポリリジン(SIGMA、150KD~300KD)の混合物から構成され、その中で、ポリエチレングリコールグリセロールの濃度は0.5%、ポリリジンの濃度は0.5%であり、0.22μmフィルターで濾過して準備する。
【0017】
本発明のステップ(d)に記載のポリエチレングリコールグリセロール処理液は、ポリエチレングリコールグリセロールとポリリジン(SIGMA、150KD~300KD)、PEG20000の混合物から構成され、その中で、ポリエチレングリコールグリセロールの濃度は0.5%、ポリリジンの濃度は0.5%、PEG20000濃度は0.1%であり、0.22μmフィルターで濾過して準備する。
【0018】
本発明のステップ(d)に記載のオレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子を調製するための方法は、オレイン酸無水エタノール溶液15mlを取り、0.3mol/Lの濃度で酢酸亜鉛水溶液15mlに加え、40℃の水浴で攪拌し、アンモニア水でpH値を調整してから、0.3mol/Lの濃度の硫化ナトリウム水溶液15mlを加えて5分間反応させた後、SDS水溶液5mlを加え、均一に混合した後、当該反応液を90ml水熱反応器に注いだ。水熱反応器を密閉した後、恒温乾燥オーブンに入れ、一定温度で一定時間恒温反応を行う。反応終了後、温度を50℃に下げ、生成物を取り出す。アセトン、脱イオン水、エタノールで洗浄し、遠心分離して50℃の真空下で2時間乾燥させて粉末ZnSを得て、後で使用するために保存する。
【0019】
本発明のステップ(e)に記載の前処理されたサンプルパッドで使用されるサンプルパッド処理液は、Tris-HCl溶液、ウシ血清アルブミンBSA、カゼイン、界面活性剤(アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル)からなり、その中でTris-HCl溶液の濃度は0.1mol/L、ウシ血清アルブミンBSAの濃度は0.5~1%、カゼインの濃度は0.1~0.2%、界面活性剤の濃度は0.5~1%である。
【0020】
エチレングリコールとエピクロロヒドリンの反応はアルカリにより触媒され、生成物は希塩酸で中和され、四塩化炭素で抽出され、減圧下で蒸留されて、淡黄色の粘稠な物質であるポリエチレングリコールグリセロール(PEGG)を得た。PEGGは、任意の比率で水と混和でき、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどの一般的な有機溶媒に溶解でき、一定の表面活性を持っている。ポリエチレングリコールグリセロールの構造には、カップリングに使用可能の複数のヒドロキシル基が含まれており、活性化プロセスが単純で、NC膜の表面へのタンパク質の固定を容易にする。従来の条件では、NC膜の単位面積あたりの結合抗体数は制限されていたが、ポリエチレングリコールグリセロールで処理を行うことで、単位面積あたりのNC膜に結合する抗体数が増えて、より高い検出感度が実現できる。
【0021】
NC膜のタンパク質に対する吸着を改善することに基づいて、タンパク質のNC膜に対する吸着効果を調べることは、金コロイドの感度を向上させる別の方法である。オレイン酸/ドデシル硫酸ナトリウムで修飾されたZnSはナノスケールの粒子サイズであるだけでなく、優れた水溶性と生体相溶性を備えており、外面の官能基を利用して、水性媒体に均一に分散して、生体高分子と組み合わせることができる。硫化亜鉛ナノ粒子は、安定性に優れ、調製が容易で、生体相溶性に優れ、免疫原性が低い利点があるから、バイオメディカル分野で広く研究されている。ただし、金コロイド免疫クロマトグラフィーでの適用は報告されていない。本研究では、NC膜にコーティングした抗体に対する硫化亜鉛ナノ粒子の影響を調査し、まず、メンブレンディスペンサー用の抗体を硫化亜鉛ナノ粒子と結合し、ブロックし、遠心分離によって精製し、次に未結合の抗体を除去し、次に、特定の比率に再溶解してからをメンブレンディスペンサーし、このようにすると、一つの硫化亜鉛粒子は複数の抗体に結合できるため、抗体のコーティング効率が向上し、感度が大幅に向上する。
【0022】
金コロイド免疫クロマトグラフィー技術の感度を向上させるために、本発明は、ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロール処理液で前処理し、NCをコーティングした抗体を硫化亜鉛ナノ粒子と組み合わせて、試験紙の感度を向上させる目的が達成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の極端な効果は:
1、本発明の検出装置は、構造が単純であり、概念が新規で、ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体は、ニトロセルロース膜上にコーティングされており、特異性が強く、製造作業の複雑さを増すことなく、サンプル中のガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンIIを同時に検出できる。
【0024】
2、免疫金コロイドの調製ステップでは、適切な金スプレー緩衝液及びサンプルパッド処理液を組み合わせることにより、免疫金コロイドの完全な放出を確実にすることに基づいて、反応の感度を効果的に改善でき、同じしきい値の下で、免疫金コロイドの量も減らすことができ、コストを節約できる。
【0025】
3、本発明は、ニトロセルロース膜に対して前処理し、ニトロセルロース膜にコーティングする抗体を修飾し、検出試験紙の感度及び特異性を改善した。
【0026】
4、本発明の検出装置は、特別な機器を必要とせず、検出コストが低い。
【0027】
5、本発明の検出装置は、操作が容易であり、専門家でなくても操作でき、実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の構造の概略図であり、図では、免疫ニトロセルロース膜に設定された検出ラインT1、T2、及びT3が、同じ免疫ニトロセルロース膜上に縦方向に配置され;
【
図3】本発明の別の構造概略図であり、図では、検出ラインT1、T2、及びT3がそれぞれ3つの免疫ニトロセルロース膜上に設定され、これらを並列で配置して複合検出装置を形成し;
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施例及び図面に関連してさらに説明する。
【実施例1】
【0030】
サンプルパッド1、免疫金コロイドガラス繊維膜2、免疫ニトロセルロース膜3、及び吸収パッド4は、それぞれプラスチックプレート5に貼り付けられ、前記免疫ニトロセルロース膜3の両端は、それぞれ、吸収パッド4及び免疫金コロイドガラス繊維膜2とラッピングし、前記免疫コロイド状の金ガラス繊維膜2の他端は、サンプルパッド1とラッピングし;前記免疫ニトロセルロース膜3は、第1検出ラインT1、第2検出ラインT2、第3検出ラインT3、及び品質コントロールライン(C)を備え;前記第1検出ラインT1は固相に高特異性ガストリン17抗体を持ち、第2検出ラインT2は固相に高特異性ペプシノーゲンI抗体を持ち、第3検出ラインT3は固相に高特異性ペプシノーゲンII抗体を持ち;
図1と
図2に示すように、前記免疫ニトロセルロース膜3上に設定された検出ラインT1、T2及びT3は、同じ免疫ニトロセルロース膜3上に縦方向に配置されて、一つの複合検出装置を形成し;
図3、
図4、
図5図、6に示すように、前記免疫ニトロセルロース膜3上に設定された検出ラインT1、T2、T3はまた、3つの免疫ニトロセルロース膜3上にそれぞれ設定されて、並べて配置されて一つの複合検出装置を形成してもよく;前記ヤギ抗マウスIgGポリクローナル抗体を品質コントロールラインCにスプレーした。
【0031】
本発明のG-17、PGI、PGII複合検出装置の調製方法は、固相に精製された特異性の高いガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体(検出ラインT1、T2、T3)及びヤギ抗マウスIgGポリクローナル抗体(コントロールライン)を含むニトロセルロース膜、金コロイド標識のガストリン17、ペプシノーゲIン及びペプシノーゲンII抗体を吸着させたガラス繊維膜、サンプルパッド、吸取紙などの付属品を順次に貼り付けて製造されることを含む。具体的なステップは次のとおりである。
【0032】
(a)クエン酸三ナトリウム還元法によって金コロイドを調製する。
加熱した精製水100mlに金塩化物をすばやく加え、溶液が再び沸騰したらクエン酸三ナトリウムをすばやく追加し、塩化金:クエン酸三ナトリウムは1:0.5であり、続けて沸騰させ、溶液の色が黄色から黒色、次は紫色に変化するのを観察し、最後に安定したワインレッド色になったら、時間を計って10分間加熱続ければよい、得られるコロイド状の金の粒子は20nmであり;
(b)免疫金コロイドの調製
1)20nmの金コロイド溶液をそれぞれ100ml取り、140μlのpH調整剤を加え、よく混合し、5分間放置し;
2)20nmの金コロイド溶液に、ガストリン17、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンIIを金コロイド溶液1ミリリットルあたり14μgの割合で合計1.4mg加え、よく混合し、5分間放置し;
3)0.4mlの金コロイド安定剤を0.4%の割合で加え、よく混合し、5分間放置し;
4)10000、12000及び14000rpmで10分間遠心分離し、沈殿物を別々に収集し、収集した3つの沈殿物を合併し;
(c)免疫金コロイドを最適化された金スプレー緩衝液で希釈し、免疫金コロイド溶液を得て、免疫金コロイド溶液をガラス繊維パッドに噴霧して、免疫金コロイドガラス繊維膜を調製して得る;前記金スプレー緩衝液は、濃度20mMのTris-HCl溶液、濃度5%スクロース、濃度1%トレハロース、濃度1%BSAを含み、pHは8.5であり;
(d)ニトロセルロース膜の固相化
1)ポリエチレングリコールグリセロール処理液によるニトロセルロース膜の前処理
ポリエチレングリコールグリセロール処理液の調製:ポリエチレングリコールグリセロールの濃度は0.5%であり、0.22μmフィルターで濾過して、準備し;
ポリエチレングリコールグリセロール処理液によるニトロセルロース膜の前処理:ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロール処理液に1時間浸し、ゆっくりと振とうし、取り出した後、蒸留水で3回洗浄し、最後に真空乾燥オーブンで乾燥させ;
2)硫化亜鉛ナノ粒子修飾ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体
オレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子の調製:オレイン酸無水エタノール溶液15mlを取り、0.3mol/Lの濃度の酢酸亜鉛水溶液15mlに加え、40℃の水浴で攪拌し、アンモニア水でpH値を調整してから、0.3mol/Lの濃度の硫化ナトリウム水溶液15mlを加えて5分間反応させた後、SDS水溶液5mlを加え、均一に混合した後、当該反応液を90ml水熱反応器に注いだ。水熱反応器を密閉した後、恒温乾燥オーブンに入れ、一定温度で一定時間恒温反応を行う。反応終了後、温度を50℃に下げ、生成物を取り出す。アセトン、脱イオン水、エタノールで洗浄し、遠心分離して50℃の真空下で2時間乾燥させて粉末ZnSを得て、後で使用するために保存する。
【0033】
硫化亜鉛ナノ粒子修飾ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体:
オレイン酸で修飾されたZnSを担体として使用し、ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体溶液1mLを取り、1時間攪拌した後、それぞれ12000rpm、8500rpm、及び7000rpmで10分間遠心分離して収集し、脱イオン水で2回洗浄した。
【0034】
3)ニトロセルロース膜検出ライン及び品質コントロールライン抗体のコーティング
スプレーフィルム量が1.4μl/cmである場合、硫化亜鉛ナノ粒子であるガストリン17抗体、硫化亜鉛ナノ粒子であるペプシノーゲンI抗体、硫化亜鉛ナノ粒子であるペプシノーゲンII抗体を1.5mg/mlに希釈し、品質コントロールラインヤギ抗マウスIgG抗体を1mg/mlに希釈し、検出ラインと品質コントロールラインをそれぞれニトロセルロース膜でコーティングし、室温で一晩乾燥させ、保存して準備し;
4)サンプルパッドの前処理
ガラス繊維をサンプルパッド処理液に10分間浸し、そのサンプルパッド処理液には、溶液濃度0.1MのTris-HCl、濃度0.5%のウシ血清アルブミンBSA、濃度0.1%カゼイン、濃度0.5%の界面活性剤が含まれ、37℃で乾燥させて準備し、処理されたサンプルパッドは、反応感度を向上さでき;
(e)組み立て
前処理したサンプルパッド、免疫金コロイドガラス繊維膜、免疫ニトロセルロース膜、吸収紙を順番に糊板に貼り付け、切り取ってテストストリップを準備し、最後にテストストリップをプラスチックケースに入れる。
【0035】
(f)定量的検出:金コロイド検出器の検出により、本複合検出装置によって検出されるヒトガストリン17の最小検出濃度は0.5pg/ml、ペプシノーゲンIの最小検出濃度は5ng/ml、ペプシノーゲンIIの最小検出濃度は5ng/mlである。
【実施例2】
【0036】
40nmの金コロイド粒子の調製;
金スプレー緩衝液は、濃度20mMのTris-HCl溶液、濃度12%のスクロース、濃度3%のトレハロース、濃度0.7%のBSAを含み、pHは8.5であり;
ポリエチレングリコールグリセロール処理液の調製は、ポリエチレングリコールグリセロールとポリリジン(SIGMA、150KD~300KD)を混合したもので構成され、その中で、ポリエチレングリコールグリセロールの濃度は0.5%、ポリリジンの濃度は0.5%であり、0.22μmフィルターで濾過して準備し;
サンプルパッド処理液には、溶液濃度0.1MのTris-HCl、濃度0.7%のウシ血清アルブミンBSA、濃度0.15%のカゼイン、濃度0.7%の界面活性剤が含まれ;
残りは実施例1と同じである。
【実施例3】
【0037】
60nmの金コロイド粒子の調製;
金スプレー緩衝液は、濃度20mMのTris-HCl溶液、濃度20%のスクロース、濃度5%のトレハロース、濃度1%のBSAを含み、pHは8.5であり;
ポリエチレングリコールグリセロール処理液の調製は、ポリエチレングリコールグリセロールとポリリジン(SIGMA、150KD~300KD)、PEG20000を混合して構成され、その中で、ポリエチレングリコールグリセロールの濃度が0.5%、ポリリジンの濃度が0.5%、PEG20000濃度が0.1%であり、0.22μmフィルターで濾過して準備し;
サンプルパッド処理液には、溶液濃度0.1MのTris-HCl、濃度1%のウシ血清アルブミンBSA、濃度0.2%カゼイン、濃度1%の界面活性剤が含まれ;
残りは実施例1と同じである。
【0038】
本発明の効果は、実験を通じて以下にさらに説明される。
【0039】
試験例1:
1)ニトロセルロース膜タンパク質に対するポリエチレングリコールグリセロール処理液の吸着能力の比較
1.1材料及び方法
1.1材料:ゼネラルエレクトリック社から購入した孔径4.5μmのニトロセルロース膜
1.2ニトロセルロース膜の処理方法
1.2.1ポリエチレングリコールグリセロール処理液の調製
三種類のポリエチレングリコールグリセロール処理液の調製:ポリエチレングリコールグリセロールグループでは、濃度0.5%のポリエチレングリコールグリセロールで構成される;ポリエチレングリコールグリセリン処理液ポリリシングループでは、ポリエチレングリコールグリセリンの濃度が0.5%、ポリリシンの濃度が0.5%である;ポリエチレングリコールグリセロール、ポリリジン及びPEG20000グループでは、ポリエチレングリコールグリセロールの濃度が0.5%、ポリリジンの濃度が0.5%、PEG20000の濃度が0.1%である;3種類の処理液のグループをすべて0.22μmのフィルター膜で濾過して準備する。
【0040】
1.2.2ニトロセルロース膜の処理方法
ニトロセルロース膜をポリエチレングリコールグリセロール処理液に1時間浸し、ゆっくりと振とうし、取り出した後、蒸留水で3回洗浄し、最後に真空乾燥オーブンで乾燥させる。
【0041】
1.3実験方法
ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンIIの複合検出試験紙は、紙未処理と処理済みのニトロセルロース膜をそれぞれ上記の実施例によるプロセスフローに従って調製し、試験手順は、試験紙の説明書を参照し、未処理と処理済みのニトロセルロース膜の吸着力と安定性指数の違いを比較した。
【0042】
1.4結果
1.4.1タンパク質吸着力の比較
3つのグループの処理済みグループ及び未処理グループの試験紙を取り、それぞれ試験するサンプルに入れて、発色状況を観察することで処理後の膜のタンパク質吸着能力を判断し、結果は表1に示す。結果は、処理されたニトロセルロース膜が溶液の湿潤性に関して未処理の膜よりも有意に優れており、処理後の膜の陽性ストリップの色が少し暗く、特に低濃度の場合反応感度が向上したことから、タンパク質吸着能が著しく向上し、反応感度が向上したことが示された。ポリエチレングリコールグリセロール-ポリリジン-PEG20000処理グループの吸着効果は、ポリエチレングリコールグリセロールグループ及びポリエチレングリコールグリセロール-ポリリジングループの吸着効果よりも明らかに優れていた。
【0043】
【0044】
1.4.2ニトロセルロース膜の安定性の比較
処理グループと未処理グループの試験紙を3グループ取り、37℃での加速実験で発色状況を観察することによって処理後のニトロセルロース膜に吸着したタンパク質の安定性を判断し、結果は表2に示す。表2の結果と表1の結果を比較すると、処理後のニトロセルロース膜の色の変化は基本的に10日前と同じであり、安定性は良好であることがわかった。
【0045】
【0046】
試験例2:
2、オレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子修飾ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体
2.1材料及び方法
2.1.1材料:ゼネラルエレクトリック社から購入した孔径4.5μmのニトロセルロース膜
2.1.2オレイン酸修飾硫化亜鉛ナノ粒子の調製
オレイン酸無水エタノール溶液15mlを取り、0.3mol/Lの濃度の酢酸亜鉛水溶液15mlに加え、40℃の水浴で攪拌し、アンモニア水でpH値を調整してから、0.3mol/Lの濃度の硫化ナトリウム水溶液15mlを加えて5分間反応させた後、SDS水溶液5mlを加え、均一に混合した後、当該反応液を90ml水熱反応器に注いだ。水熱反応器を密閉した後、恒温乾燥オーブンに入れ、一定温度で一定時間恒温反応を行う。反応終了後、温度を50℃に下げ、生成物を取り出す。順次にアセトン、脱イオン水、エタノールを用いて洗浄し、遠心分離して50℃の真空下で2時間乾燥させて粉末ZnSを得て、後で使用するために保存する。
【0047】
2.1.3硫化亜鉛ナノ粒子修飾ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体
オレイン酸で修飾されたZnSを担体として使用し、ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体溶液1mLを取り、1時間攪拌した後、それぞれ12000rpm、8500rpm、及び7000rpmで10分間遠心分離して収集し、脱イオン水で2回洗浄した。
【0048】
2.2実験方法
硫化亜鉛ナノ粒子で修飾されたガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体及び未修飾ガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII抗体のそれぞれを、上記の実施例によるプロセスフローに従ってガストリン17、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII複合検出試験紙を調製し、試験手順は試験紙の説明書を参照し、硫化亜鉛ナノ粒子で処理済と未処理のタンパク質に対する吸着力と安定性指数の違いを比較した。
【0049】
2.3結果
2.3.1タンパク質吸着力の比較
硫化亜鉛ナノ粒子処理グループと未処理グループの試験紙を取り、それぞれ試験するサンプルに入れて、発色状況を観察することで処理後の膜のタンパク質吸着能力を判断し、結果は表3に示す。結果は、硫化亜鉛ナノ粒子修飾グループの膜の陽性ストリップはわずかに暗く、特に低濃度の場合反応感度が向上したことから、タンパク質吸着能が著しく向上し、反応感度が向上したことが示された。
【0050】
【0051】
2.3.2安定性の比較
硫化亜鉛ナノ粒子処理グループと未処理グループの試験紙を取り、37℃での加速実験で発色状況を観察することによって硫化亜鉛修飾後のニトロセルロース膜に吸着したタンパク質の安定性を判断し、結果は表4に示す。表4の結果と表3の結果を比較すると、処理後のニトロセルロース膜の色の変化は基本的に10日前と同じであり、安定性は良好であることがわかった。
【0052】
【0053】
以上の記載は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとっては、本発明の原理を逸脱することなく、多くの改善及び修正が可能であり、これらの改善及び修正をも本発明の保護の範囲内であると考えられることに留意すべきである。