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特許7552001液化炭酸ガスの製造における製造制御装置、液化炭酸ガスの製造における製造システム、液化炭酸ガスの製造における製造制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】液化炭酸ガスの製造における製造制御装置、液化炭酸ガスの製造における製造システム、液化炭酸ガスの製造における製造制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240910BHJP
   F25J 3/02 20060101ALI20240910BHJP
   F25J 3/08 20060101ALI20240910BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240910BHJP
【FI】
F25J1/00 D
F25J3/02 A
F25J3/08
C01B32/50
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023062079
(22)【出願日】2023-04-06
【審査請求日】2023-06-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔1〕 販売・納品日(公開日) 令和4年6月15日 販売先 大崎クールジェン株式会社 広島県豊田郡大崎上島町中野6208番地1 〔2〕 実証実験開始日(公開日) 令和4年7月27日 実験場所 世羅菜園株式会社 トマト温室(広島県世羅郡世羅町重永608-25) <資 料> 実証実験 ニュースリリース 資料
(73)【特許権者】
【識別番号】591107034
【氏名又は名称】日本液炭株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593027967
【氏名又は名称】大陽日酸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】矢島 弘
(72)【発明者】
【氏名】土佐 真輝
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 拓也
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-104753(JP,A)
【文献】特開2002-338224(JP,A)
【文献】特開2001-130907(JP,A)
【文献】特開平06-271308(JP,A)
【文献】特開2004-313960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00 - 5/00
C01B 32/00 - 32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を圧縮する圧縮部による圧縮工程と、前記圧縮工程よりも後段の工程であって原料から不要な成分を取り除く除去部による除去工程と、を含む複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置を制御する製造制御装置であって、
前記圧縮部によって圧縮された原料の圧力値を取得する取得部と、
前記製造装置の起動時に、前記取得部によって取得された圧力値が所定値以上になると、前記除去部を起動する制御部と、
を備える、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項2】
記除去工程よりも後段の工程であって、原料を液化する液化工程に係る液化部を含み、
前記制御部は、前記取得部によって取得された圧力値に基づいて、前記液化部を起動する、
請求項に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項3】
化した原料を一時的に貯液する液化貯槽工程に係る液化貯槽部と、
前記液化貯槽工程よりも後段の工程であって、前記液化貯槽部に貯液された原料を精留部へ送出する第1送出工程に係る第1送出部と、
を含み、
前記取得部は、前記液化貯槽部に貯液された原料の量を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された原料の量に基づいて、前記第1送出部を起動する、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項4】
液化した原料を精製する精製工程後に原料の純度を検出する純度検出工程に係る純度検出部と、
前記純度検出工程の後段の工程であって、原料を再利用するために前記圧縮部へ送出する第2送出工程に係る第2送出部と、
を含み、
前記取得部は、前記純度検出部によって検出された純度を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された純度に基づいて、前記第2送出部を起動させる、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項5】
液化した原料を精製した液化炭酸ガスを一時的に貯液する精製貯槽工程に係る精製貯槽部と、
前記精製貯槽工程よりも後段の工程であって、前記精製貯槽部に貯液された液化炭酸ガスを製品貯槽タンクに送出する第3送出工程に係る第3送出部と、
を含み、
前記取得部は、記精製貯槽部に貯液された液化炭酸ガスの量を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された液化炭酸ガスの量に基づいて、前記第3送出部を起動する、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項6】
液化した原料を精製前加熱する加熱工程に係る加熱部と、
前記加熱工程の後段の工程であって、精製した液化炭酸ガスを一時的に貯液するとともに前記加熱部によって加熱された原料の通過に伴って液化炭酸ガスの蒸気を精留部へ送出する精製貯槽工程に係る精製貯槽部と、
を含み、
前記取得部は、前記精製貯槽部に貯液された液化炭酸ガスの量を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された液化炭酸ガスの量に基づいて、前記加熱部を起動させる、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項7】
前記製造装置は、
前記圧縮部から、圧縮された原料に基づいて製造される液化炭酸ガスを貯液する貯槽工程に係る貯槽ユニットまでを連結する配管内の圧力値を検出する圧力検出部を含み、
前記取得部は、前記配管内の圧力値を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された圧力値に基づいて、前記配管内の圧力を制御する、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項8】
前記複数の工程のうち一部の工程における温度または液面を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記温度または前記液面に関する画面を表示部に表示させる表示処理部と、
備える、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項9】
前記制御部による制御内容に基づく画面を表示部に表示させる表示処理部を備える、
請求項1または2に記載の、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置。
【請求項10】
原料を圧縮する圧縮部による圧縮工程と、前記圧縮工程よりも後段の工程であって原料から不要な成分を取り除く除去部による除去工程と、を含む複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置と、前記製造装置を制御する製造制御装置と、を含む製造システムであって、
前記製造制御装置は、
前記圧縮部によって圧縮された原料の圧力値を取得する取得部と、
前記製造装置の起動時に、前記取得部によって取得された圧力値が所定値以上になると、前記除去部を起動する制御部と、
を備える、液化炭酸ガスの製造における製造システム。
【請求項11】
原料を圧縮する圧縮部による圧縮工程と、前記圧縮工程よりも後段の工程であって原料から不要な成分を取り除く除去部による除去工程と、を含む複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置を制御する製造制御装置のコンピュータが、
前記圧縮部によって圧縮された原料の圧力値を取得する取得ステップと、
前記製造装置の起動時に、前記取得ステップにおいて取得された圧力値が所定値以上になると、前記除去部を起動する制御ステップと、
を含む処理を実行する、液化炭酸ガスの製造における製造制御方法。
【請求項12】
原料を圧縮する圧縮部による圧縮工程と、前記圧縮工程よりも後段の工程であって原料から不要な成分を取り除く除去部による除去工程と、を含む複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置を制御する製造制御装置のコンピュータを、
前記圧縮部によって圧縮された原料の圧力値を取得する取得部、
前記製造装置の起動時に、前記取得部によって取得された圧力値が所定値以上になると、前記除去部を起動する制御部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化炭酸ガスの製造における製造制御装置、液化炭酸ガスの製造における製造システム、液化炭酸ガスの製造における製造制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品用や工業用に液化炭酸ガスが用いられている。液化炭酸ガスは、工場の製造装置で、複数の工程を経て製造される。例えば、不純物を含む粗製炭酸ガスを圧縮した後に水分等の不純物を除去し、さらに、水素の存在下で触媒反応により窒素酸化物を分解し、分解により発生した水分等の不純物を吸着除去して、液化精留分離によって酸素等の低沸点成分不純物を分離する装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
また、二酸化炭素を含有するガスから液体炭素ガスを回収する装置が知られている。例えば、当該ガスから、水分の除去、濃縮および圧縮をし、圧縮ガスを膨張機からの膨張ガスを用いて熱交換器によって冷却し、冷却した圧縮ガスを液化して精留塔に導入し、精留塔からの不凝集ガスを膨張機および熱交換器を介して濃縮装置に還流するとともに、精留塔から液体炭素ガスを回収する装置が知られている(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-130009号公報
【文献】特開平4-359785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、液化炭酸ガスの製造装置を起動する場合、所定の工程に係る装置を起動させるために、監視用の作業スタッフの配置を要していたため、製造装置を簡単且つ迅速に起動させることができないことがあった。このため、製造装置を効率よく安全に起動させることができないことがある、という問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、製造装置を効率よく安全に起動させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である液化炭酸ガスの製造における製造制御装置は、複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置を制御する製造制御装置であって、前記複数の工程のうち、工程ごとに原料の物理量を取得する取得部と、前記製造装置の起動時に、前記取得部によって取得された一の工程に係る物理量に基づいて、前記一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニットを起動する制御部と、を備える製造制御装置である。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である液化炭酸ガスの製造における製造システムは、複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置と、前記製造装置を制御する製造制御装置とを含む製造システムであって、前記製造制御装置は、前記複数の工程のうち、工程ごとに原料の物理量を取得する取得部と、前記製造装置の起動時に、前記取得部によって取得された一の工程に係る物理量に基づいて、前記一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニットを起動する制御部と、を備える製造システムである。
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である液化炭酸ガスの製造における製造制御方法は、複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置を制御する製造制御装置のコンピュータが、前記複数の工程のうち、工程ごとに原料の物理量を取得する取得ステップと、前記製造装置の起動時に、前記取得ステップにおいて取得された一の工程に係る物理量に基づいて、前記一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニットを起動する制御ステップと、を含む処理を実行する製造制御方法である。
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様であるプログラムは、複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置を制御する製造制御装置のコンピュータを、前記複数の工程のうち、工程ごとに原料の物理量を取得する取得部、前記製造装置の起動時に、前記取得部によって取得された一の工程に係る物理量に基づいて、前記一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニットを起動する制御部、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液化炭酸ガスの製造装置を効率よく安全に起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る製造システムStの構成例を示す図である。
図2】製造システムStのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】製造制御装置200が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図4】製造制御装置200が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図5】ディスプレイ205に表示される画面例を示す図である。
図6】ディスプレイ205に表示される画面例を示す図である。
図7】製造システムStの機能的構成の一例を示すブロック図である。一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
(製造システムStの構成)
図1は、実施形態に係る製造システムStの構成例を示す図である。製造システムStは、液化炭酸ガスを製造する製造工場(プラント)に適用される。図1に示すように、製造システムStは、製造装置1と、製造制御装置200とを含む。製造装置1が製造する液化炭酸ガスは、様々な用途で使用される。本実施形態に係る製造装置1は、例えば、炭酸飲料などの食品用の液化炭酸ガスを製造する。ただし、製造装置1が製造する液化炭酸ガスは、食用品に限らず、例えば、アーク溶接などの金属溶接用、排水の中和処理などの化学用、農園等における殺虫用などとすることも可能である。
【0014】
製造装置1は、複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する。具体的には、製造装置1は、受入ユニット10と、圧縮ユニット20と、除去ユニット30と、精製ユニット40と、貯槽ユニット50とを備え、各装置ユニット10~50による工程を経て、液化炭酸ガスを製造する。
【0015】
また、製造装置1は、各装置ユニット10~50をそれぞれ連結して、原料ガスを搬送する配管190を含む。配管190は、低圧配管190aと、高圧配管190bとを含む。低圧配管190aは、受入ユニット10から圧縮ユニット20において圧縮される前の所定圧力(低圧)のガスが通過する配管である。高圧配管190bは、圧縮ユニット20において圧縮された以降の所定圧力よりも大きい圧力(高圧)のガスが通過する配管である。
【0016】
さらに、製造装置1は、各種検出器(各計器類)と、各種弁130(130a~130g)とを含む。各種検出器は、圧力計60(60a~60m)と、温度計70(70a~70r)と、流量計80(80a、80b)と、液面計90(90a、90b)と、純度計100a、100bと、分析計110とを含む。各種検出器は、発信器を備え、検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、各種検出器から取得した検出結果を逐次記憶する。また、製造制御装置200は、各種検出器からの検出結果をリアルタイムに表示したり、所定の検索条件に応じて表示したりすることが可能である。
【0017】
圧力計60、温度計70、および流量計80は、各配管190上に配置される。
圧力計60は、配置される配管190上における原料ガスの圧力を検出する。
温度計70は、配置される配管190上における原料ガスの温度を検出する。
流量計80(80a、80b)は、配置される配管190上における原料ガスの流量を検出する。
液面計90は、気液分離槽42およびリボイラ45に配置され、それぞれの液面を検出する。
純度計100aは、液化器41および気液分離槽42に連結する第1排出管120a内の液化炭酸ガスの純度を検出する。
純度計100bは、リボイラ45に連結する配管122内の液化炭酸ガスの純度を検出する。
分析計110は、リボイラ45から貯槽ユニット50へ送出される液化炭酸ガスの成分を分析する。
【0018】
各種弁130は、流量調節弁130aと、圧力調節弁130b、130f、130gと、スピルバック弁130cと、液面調節弁130d、130eとを含む。各種弁130は、製造制御装置200の制御によって、開度が制御される。
【0019】
製造制御装置200は、製造装置1(各装置ユニット10~50)が配置される製造現場から離れた中央制御室210に配置され、各装置ユニット10~50を遠隔操作することが可能である。具体的には、各種検出器の検出結果は、製造制御装置200へ出力される。製造制御装置200は、各種検出器の検出結果に基づいて、各装置ユニット10~50や各種弁130の監視および制御を行う。なお、各装置ユニット10~50は、製造制御装置200の遠隔操作によって動作することに加えて、各装置ユニット10~50が備える操作ボタン等の入力デバイスから、現場の作業スタッフの操作(近接操作)に応じて動作することも可能である。製造制御装置200は、遠隔操作と、近接操作との設定を切り替えることも可能である。
【0020】
製造制御装置200は、遠隔操作で製造装置1を起動する場合、起動操作を受け付けると、所定の装置ユニット(例えば、圧縮ユニット20、除去ユニット30、および精製ユニット40)に対して運転許可の指示を行う。また、製造制御装置200は、所定の装置ユニット20~40について、それぞれ一定の条件が成立すると、運転指令を出力してそれぞれを起動させる。以下、各装置ユニット10~50について詳述する。
【0021】
(受入ユニット10について)
受入ユニット10は、ガスクーラ11、および水洗塔12の各装置を含む。
【0022】
(原料ガスについて)
原料ガスの温度は、所定温度(例えば、180℃)である。原料ガスは、製造制御装置200の制御により、ガスクーラ11へ送出される。ガスクーラ11の前段部分には、受入圧力計60a、流量計80a、および流量調節弁130aなどが設けられている。
【0023】
受入圧力計60aは、製造装置1に流入するガスの圧力を検出する。
流量計80aは、原料ガスの受入流量を検出する。
流量調節弁130aは、原料ガスの受入流量を調節する弁である。
製造制御装置200は、流量計80aの検出結果に基づいて、流量調節弁130aを制御して、受入流量を調節する。
【0024】
ここで、流量調節弁130aを設ける主な理由は、原料ガスの受入量を安定させることにある。ただし、受入圧力は、所定圧力(例えば、30kPa)であり、非常に低い。このため、製造制御装置200は、流量調節弁130aの開度を全開に近い状態(例えば、80%)にして、圧縮機22の起動時にのみ、入口が負圧になることを防止している。また、この状態において、流量計80aによって検出される流量が所定流量(例えば、30Nm/h)以下になるようにしている。
【0025】
(ガスクーラ11について)
ガスクーラ11は、原料ガスを所定温度(例えば、180℃)から所定温度(例えば、40℃)まで冷却させる。ガスクーラ11は、冷却装置(チラー)を備える。冷却装置は、製造制御装置または自装置の制御によって、例えば、所定温度(例えば、10℃)になるように設定されている。所定温度まで冷却された原料ガスは、水洗塔12へ送出される。
【0026】
(水洗塔12について)
水洗塔12は、ガスクーラ11から送出された原料ガスを洗浄する。具体的には、水洗塔12は、原料ガスから、ダストや微量の水溶性物質等を除去する。水洗塔12は、洗浄した原料ガスを圧縮機22へ送出する。製造装置1の起動時には、受け入れた原料ガスは、ガスクーラ11および水洗塔12を経て、圧縮ユニット20へ送出される。
【0027】
(圧縮ユニット20について)
圧縮ユニット20は、一段吸入スナッバ21と、圧縮機22と、二段吐出スナッバ23と、アフタークーラ排出タンク24と、スピルバック弁130cとを備える。一段吸入スナッバ21は、ガス脈動や騒音抑制、ミスト分離を行う機能を備える。一段吸入スナッバ21は、水洗塔12から送出された原料ガスを圧縮機22へ送出する。一段吸入スナッバ21は、吸入圧力計60dを備える。吸入圧力計60dは、一段吸入スナッバ21に流入する原料ガスの圧力を検出する。吸入圧力計60dは、圧力の検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、吸入圧力計60dによって検出される圧力が所定圧力(例えば、30kPa)になると、圧縮機22に運転指令を出力して、圧縮機22を起動させる。より具体的には、圧縮機22は、以下の条件が成立すると、起動する。
・圧力が所定圧力になること。
・原料ガスの流量が所定流量(例えば、30Nm/h)以下になること。
・流量調節弁130aの開度を全開に近い状態(例えば、80%)になること。
【0028】
圧縮機22は、一段吸入スナッバ21から送出がされた原料ガスを圧縮し、凝縮水の分離を行う。圧縮機22は、圧縮した原料ガスを二段吐出スナッバ23へ送出する。二段吐出スナッバ23は、ガス脈動や騒音を抑制する機能を備える。二段吐出スナッバ23は、圧縮機22から送出された原料ガスをアフタークーラ排出タンク24へ出力する。アフタークーラ排出タンク24は、二段吐出スナッバ23から送出された原料ガスを冷却して凝縮水の分離を行い、除去ユニット30へ送出する。アフタークーラ排出タンク24は、排出圧力計60eを備える。排出圧力計60eは、アフタークーラ排出タンク24に流入する原料ガスの圧力を検出する。排出圧力計60eは、圧力の検出結果を製造制御装置200へ出力する。
【0029】
スピルバック弁130cは、排出側の原料ガスの一部を吸い込み側にリサイクルさせる。具体的に説明すると、スピルバック弁130cは、エアー駆動式のバルブを備える。バルブの種類は、例えば、グローブ弁であり、流量調整のために用いられる一般的なバルブである。スピルバック弁130cは、計装空気(圧縮空気)が供給されることにより、開方向に作動する。より具体的には、スピルバック弁130cは、吸入圧力計60dによって検出される圧力が30kPa未満になった際に、または、排出圧力計60eによって検出される圧力が所定値(例えば、2.45MPa)を超えた際に、開方向に作動する。これにより、後段の圧力上昇と、入口側の負圧とを防ぎ、圧縮機を安定的に運転する。
【0030】
スピルバック弁130cは、吸入圧力計60dの検出結果と、排出圧力計60eの検出結果とに基づく製造制御装置200の制御により、開度を調節する。圧縮機22の圧力が所定値(例えば、2.0MPa)になると、圧縮ユニット20は、原料ガスを除去ユニット30へ送出する。
【0031】
(除去ユニット30について)
除去ユニット30は、除湿塔31と、脱臭塔32とを備える。除湿塔31は、圧縮ユニット20から送出された原料ガスの水分を除去する。除湿塔31は、除湿した原料ガスを脱臭塔32へ送出する。
脱臭塔32は、除湿塔31から送出された原料ガスの脱臭を行う。脱臭塔32は、脱臭した原料ガスを精製ユニット40へ送出する。
【0032】
ここで、除湿塔31および脱臭塔32の起動条件について説明する。上述したように、排出圧力計60eは、アフタークーラ排出タンク24に流入する原料ガスの圧力に係る検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、排出圧力計60eによって検出される圧力値が所定圧力(例えば、2.0MPa)以上になると、製造制御装置200は、除湿塔31および脱臭塔32の各装置に運転指令を送信して、除湿塔31および脱臭塔32を起動させる。これにより、人手を要さずに、除湿塔31および脱臭塔32を起動させることができる。
【0033】
なお、除湿塔31および脱臭塔32は、排出圧力計60eによって検出される圧力値に基づいて起動することに限らず、除湿塔31に設けられる除湿塔圧力計60fによって検出される圧力値に基づいて起動してもよい。具体的に説明すると、除湿塔圧力計60fは、除湿塔31内のガスの圧力を検出し、検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、除湿塔圧力計60fによって検出される圧力値が所定圧力になると、除湿塔31および脱臭塔32に運転指令を送信することにより、各装置を起動させるようにしてもよい。
【0034】
(精製ユニット40について)
精製ユニット40は、液化器41、気液分離槽42、移送ポンプ43、精留塔44、リボイラ45、およびヒータ46と、過冷却器47とを備える。
【0035】
(液化器41について)
液化器41は、脱臭塔32から送出された原料ガスを冷却して、液化された炭酸ガス(液化炭酸ガス)を生成する。なお、脱臭塔32から送出された原料ガスは、ヒータ46およびリボイラ45を経由して、液化器41へ送出される。液化器41は、液化炭酸ガスを気液分離槽42へ送出する。
ここで、液化器41の起動条件について説明する。液化器41の起動条件は、除湿塔31および脱臭塔32の起動条件と同様である。すなわち、液化器41は、排出圧力計60eによって検出される圧力値が所定圧力以上になると、製造制御装置200の制御によって受信する運転指令に基づいて起動する。これにより、人手を要さずに、液化器41の装置を起動させることができる。
【0036】
なお、液化器41は、排出圧力計60eによって検出される圧力値に基づいて起動することに限らず、液化器41に設けられる液化器圧力計60iによって検出される圧力値に基づいて起動してもよい。具体的に説明すると、液化器圧力計60iは、液化器41のオフガス(後述)の圧力を検出し、検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、液化器圧力計60iによって検出される圧力値が所定圧力以上になると、液化器41に運転指令を送信することにより、各装置を起動させるようにしてもよい。
【0037】
(気液分離槽42について)
気液分離槽42は、液化器41から送出された液化炭酸ガスを気体と液体とに分離させて一時的に貯液する。気液分離槽42は、貯液する液化炭酸ガスが移送ポンプ43によって吸い上げられる際に、キャビテーション(泡)を発生させないようにするために、移送ポンプの吸入ヘッドを確保させることを目的としている。
【0038】
気液分離槽42には、分離槽液面計90aが設けられている。分離槽液面計90aは、槽内に貯液される液化炭酸ガスの液面を検出する。分離槽液面計90aは、液面の検出結果を製造制御装置200へ送信する。製造制御装置200は、液化器41が通常運転している場合において、分離槽液面計90aによって検出される液面が所定液面レベル(例えば、50%)以上になると、移送ポンプ43を起動する。
【0039】
また、移送ポンプ43と、精留塔44との間には、分離槽液面調節弁130dが設けられる。分離槽液面調節弁130dは、気液分離槽42の液化炭酸ガスの液面および精留塔44へ送出する液化炭酸ガスの送出量を調節する。製造制御装置200は、分離槽液面計90aの検出結果に基づいて、分離槽液面調節弁130dの開状態を制御する。これにより、気液分離槽42から精留塔44への液化炭酸ガスの送出量が調節されて、気液分離槽42内の液化炭酸ガスのうち、適量が精留塔44の上方へ送出される。
【0040】
(精留塔44について)
精留塔44は、移送ポンプ43によって気液分離槽42から吸い上げられた液化炭酸ガスを上方から下方へ流下させるとともに、リボイラ45からの液化炭酸ガスの蒸気を下方から上昇させる。これにより、流下する液体と、上昇する蒸気とによる気液接触が行われ、液化炭酸ガスの純度を上げることができる。純度が上がった液化炭酸ガスは、精留塔44からリボイラ45へ送出される。
【0041】
(リボイラ45について)
リボイラ45は、精留塔44から送出された液化炭酸ガスを一時的に貯液する。リボイラ45は、精留塔44の底部から送出された液化炭酸ガスを、加熱および沸騰させて、液化炭酸ガスの蒸気を再び精留塔44に返す。
【0042】
リボイラ45には、リボイラ液面計90bが設けられている。リボイラ液面計90bは、リボイラ45内に貯液される液化炭酸ガスの液面を検出する。
また、リボイラ45と貯槽ユニット50とを繋ぐ配管190には、過冷却器47と、リボイラ液面調節弁130eと、流量計80bとが設けられている。
過冷却器47は、リボイラ45から送出される液化炭酸ガスを過度に冷却させる。
リボイラ液面調節弁130eは、リボイラ45内の液化炭酸ガスを貯槽タンク51へ送出させるための弁である。
流量計80bは、リボイラ45から送出された液化炭酸ガスの流量を検出し、検出結果を製造制御装置200へ送信する。
製造制御装置200は、リボイラ液面計90bによって検出される液面が50%以上になると、流量計80bが示す流量を監視しながら、リボイラ液面調節弁130eを開状態にして、リボイラ45内の液化炭酸ガスの一部を貯槽ユニット50へ送出させる。
【0043】
また、リボイラ45内から送出される液化炭酸ガスの一部は、分析計110に送出される。これにより、リボイラ45から貯槽ユニット50へ送出される液化炭酸ガスの一部は、分析計110によって成分の分析が行われる。分析計110は、分析結果を製造制御装置200へ出力する。
【0044】
(ヒータ46について)
ヒータ46は、リボイラ45の前段に設けられており、原料ガスを加温するガスヒータである。リボイラ45内には、加温された原料ガスが通過する通過配管が設けられる。加熱された原料ガスは、当該通過配管を通過することにより、リボイラ45に貯液される液化炭酸ガスの蒸気量を増加させる。これにより、液化炭酸ガスの精留塔44への取り込みを促すことができる。
【0045】
ここで、各装置ユニット10~50の起動直後など、リボイラ45内の液化炭酸ガスの貯槽量が少ない場合に、ヒータ46によって加温された原料ガスが通過配管を通過したとする。この場合、リボイラ45内の液化炭酸ガスが蒸発してしまい、リボイラ45内に液化炭酸ガスが溜まらなくなってしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、リボイラ45内に所定の条件が成立することにより、ヒータ46の起動および停止を制御するようにしている。
【0047】
ヒータ46を運転させる条件は、例えば、以下(1)~(4)の条件を全て満たすことである。
(1)リボイラ液面計90bによって検出される液面が40%以上であること。
(2)リボイラ液面調節弁130eが開いていること。
(3)ヒータ46の温度が所定値未満であること。
(4)ヒータ46が停止状態であること。
【0048】
また、ヒータ46を停止させる条件は、例えば、以下(5)~(7)の条件のうち、いずれかの条件と(8)の条件とを全て満たすことである。
(5)リボイラ液面計90bによって検出される液面が30%未満であること。
(6)リボイラ液面調節弁130eの開度が0%であること(閉じていること)。
(7)ヒータ46の温度が所定値以上であること。
(8)ヒータ46が運転状態であること。
【0049】
(貯槽ユニット50について)
貯槽ユニット50は、貯槽タンク51を含む。貯槽タンク51は、リボイラ45に貯液される液化炭酸ガスが所定量になると、リボイラ45から送出される液化炭酸ガスを貯液する。貯槽タンク51は、第1貯槽タンク51aと、第2貯槽タンク51bとを含む。
【0050】
(低純度の液化炭酸ガスの再利用について)
本実施形態では、低純度の液化炭酸ガスの再利用(再液化)することとしている。具体的に説明すると、リボイラ45と、過冷却器47との間には、純度計100bが設けられている。純度計100bは、リボイラ45から過冷却器47に向けて送出される液化炭酸ガスの純度を検出する。純度計100bは、検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、純度計100bによって検出された純度が所定純度以上(高純度)である場合には、圧力調節弁130gを制御して、液化炭酸ガスを過冷却器47に送出させる。これにより、高純度の液化炭酸ガスを貯槽タンク51に貯液させることができる。
【0051】
一方で、製造制御装置200は、純度計100bによって検出された純度が所定純度未満(低純度)である場合には、圧力調節弁130gを制御して、液化炭酸ガスを配管122へ送出させる。配管122には、気化器14が設けられる。気化器14は、液化炭酸ガスを気化させて原料ガスにする。気化器14によって気化された原料ガスは、圧縮ユニット20へ送出され、再度、原料ガスとして用いられる。これにより、低純度の液化炭酸ガスを貯槽タンク51タンクに貯液させずに、再度、原料ガスとして用いることができる。
【0052】
(オフガスの回収について)
次に、オフガスの回収について説明する。オフガスは、各装置ユニット10~20、40~50から定常的に排出されるガスである。製造装置1には、原料ガスの流量が所定流量(例えば、140Nm/h)である通常の状態において、オフガスを回収する機構が設けられている。具体的には、配管190は、排出管120(120a、120b)を含む。排出管120は、一のオフガス配管121に合流する。オフガス配管121は、排出管120から送出されたオフガスを、再利用するために、圧縮ユニット20へ送出する。以下、各排出管120について詳述する。
【0053】
第1排出管120aは、液化器41と、気液分離槽42において発生したオフガスを排出する。第1排出管120aには、オフガス圧力調節弁130fが配置されている。オフガス圧力調節弁130fは、液化器圧力計60iによって検出されるオフガスの圧力が所定圧力(例えば、2.3MPa)以上になると、開状態となり、オフガスを排出させる。オフガス圧力調節弁130fは、系内(高圧配管190bおよび装置ユニット20~50)の圧力を一定に保ち、すなわち、圧力の上昇を防止させることができる。このため、圧力上昇による異常に伴って製造装置1が停止してしまうことを抑えることができる。
【0054】
また、第1排出管120aには、純度計100aが設けられている。純度計100aは、第1排出管120a内の液化炭酸ガスの純度を検出する。純度計100aは、検出結果を製造制御装置200へ出力する。製造制御装置200は、純度計100aによって検出された純度が所定純度未満(低純度)である場合には、圧力調節弁130fを制御して、液化炭酸ガスをオフガス配管121へ送出させる。一方、製造制御装置200は、純度計100aによって検出された純度が所定純度以上である場合には、オフガスとして放出させる。
【0055】
第2排出管120bは、受入ユニット10(水洗塔12)と、圧縮ユニット20(一段吸入スナッバ21)との間で発生したオフガスを排出する。第2排出管120bには、吸入圧力調節弁130bが配置されている。吸入圧力調節弁130bは、水洗塔12と一段吸入スナッバ21との間における圧力に応じて開状態となり、オフガスを排出させる。第2排出管120bによって排出されるオフガスは、低圧であるため、そのままオフガス配管121に排出される。
【0056】
なお、図示した排出管120や各種弁130の他にも、その他の装置ユニット間には、適宜、排出管や、不図示の安全弁が設けられるようにして、オフガスが排出されるようにしてもよい。例えば、製造装置1には、不図示の安全弁や分析計110から放出されたガスが排出される排出管が設けられるようにし、当該排出管がオフガス配管121に合流するようにすればよい。また、発生したオフガスが高圧である場合には、当該装置ユニットに設けられているコントロールバルブで低圧にされるようにし、オフガス配管121に排出されるようにすればよい。また、発生したオフガスが低圧である場合には、そのままオフガス配管121に排出されるようにすればよい。
【0057】
ここで、液化器41から排出された液化炭酸ガスは、冷却されていることから、そのまま圧縮ユニット20へ送出されてしまうと、圧縮ユニット20が備える配管や機器を損傷し兼ねない。そこで、オフガス配管121の経路上(圧縮機22の前)に、加温器15を設けるようにし、オフガス配管121によって回収された低純度ガスを加温するようにしている。このように、本実施形態では、気化器14を用いた低純度ガスの再利用とは別に、従来では廃棄していた低純度ガス(オフガス)についても、再利用することができるようになっている。
【0058】
(製造システムStのハードウェア構成)
図2は、製造システムStのハードウェア構成の一例を示す図である。図2において、製造システムStは、製造制御装置200と、各種検出器300と、各装置ユニット10~50とを含む。製造制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202と、通信I/F(インタフェース)203と、入力デバイス204と、ディスプレイ205とを備える。
【0059】
CPU201は、製造制御装置200の全体の制御をつかさどる。
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの各種記憶媒体を含む。ROMは、各種プログラムを記憶する。例えば、ROMは、本実施形態に係る製造制御プログラムを記憶する。RAMは、CPU201のワークエリアとして使用される。メモリ202は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリを含む。メモリ202は、製造制御装置200のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、通信I/F203等のインタフェースを介して製造制御装置200に接続される外部メディアであってもよい。また、プログラムが通信I/F203によって製造制御装置200に配信される場合、配信を受けた製造制御装置200が当該プログラムをメモリ202に展開し、処理を実行してもよい。
【0060】
通信I/F203は、通信回線を通じてネットワークに接続され、ネットワークを介して他の装置や機器(例えば、各種検出器300)に接続される。
入力デバイス204は、文字、数字、各種指示などの入力を行う。入力デバイス204は、タッチパネル式の入力パッド、テンキー、キーボード、マウス、マイク、カメラなどを含む。
ディスプレイ205は、液晶ディスプレイなど、画像を表示する表示装置である。
【0061】
各種検出器300は、圧力計60と、温度計70と、流量計80と、液面計90と、純度計100と、分析計110とを含む。
各装置ユニット10~50は、各種弁130や、各種ポンプを含む。各種ポンプは、移送ポンプ43を含むほか、液化炭酸ガスを貯液する他のタンクに設けられるポンプを含む。
各装置ユニット10~50は、それぞれ起動部を備える。それぞれの起動部は、製造制御装置200からの運転指令に応じて、自装置を起動させる。
【0062】
(製造制御装置200が行う処理の一例)
図3および図4は、製造制御装置200が行う処理の一例を示すフローチャートである。図3において、製造制御装置200は、製造装置1(各装置ユニット10~50)の起動開始となるまで待機する(ステップS301)。製造装置1の起動開始とは、製造装置1が停止している状態において、例えば、入力デバイス204(図2)によって作業スタッフから起動開始に係る所定の操作を受け付けることである。ステップS301において、製造装置1の起動開始になると(ステップS301:YES)、水洗塔12に対して運転指令を行う(ステップS302)。
【0063】
当該運転指令により、水洗塔12が起動する。そして、製造制御装置200は、流量計80aの検出結果を取得するとともに(ステップS303)、原料ガスの流量が30Nm/h以下となるように、流量調節弁130aの流量設定値に合わせて開度が追従するように流量調節弁130aを制御する(ステップS304)。
【0064】
次に、製造制御装置200は、圧縮機22の起動条件となるまで待機する(ステップS305)。圧縮機22の起動条件は、原料ガスの流量が30Nm/h以上であり且つ、吸入圧力計60dによって検出される圧力(一段吸入スナッバ21に流入する原料ガスの圧力)が30kPa以上になることである。製造制御装置200は、圧縮機22の起動条件になると、圧縮機22に対し運転指令を行う(ステップS306)。当該運転指令により、圧縮機22が起動する。
【0065】
そして、製造制御装置200は、排出圧力計60eによって検出される圧力(アフタークーラ排出タンク24に流入する原料ガスの圧力)が所定値(例えば、2.0MPa)になったか否かを判断する(ステップS307)。製造制御装置200は、当該圧力が所定値になるまで待機し(ステップS307:NO)、当該圧力が所定値になると(ステップS307:YES)、除湿塔31、脱臭塔32、および液化器41に対して、それぞれ運転指令を行う(ステップS308~S310)。当該運転指令により、除湿塔31、脱臭塔32、および液化器41が起動する。
【0066】
この後、図4に示すように、製造制御装置200は、分離槽液面計90aによって検出される気液分離槽42の液面が50%以上になると(ステップS401)、移送ポンプ43に対して運転指令を行い、移送ポンプ43を起動する(ステップS402)。
【0067】
そして、製造制御装置200は、気液分離槽42の液面が30%以下である場合(ステップS403:YES)、すなわち、起動直後で当該液面が30%を超えない場合、製造制御装置200は、移送ポンプ43の停止指令を行い(ステップS404)、ステップS401に戻る。
【0068】
一方、当該液面が30%以下ではない場合(ステップS403:NO)、すなわち、当該液面が30%を超える場合、分離槽液面調節弁130dを制御して(ステップS405)、液化炭酸ガスを精留塔44へ送出させる。そして、製造制御装置200は、リボイラ液面調節弁130eの制御を開始する(ステップS406)。これにより、製造制御装置200は、リボイラ45内の液化炭酸ガスの量に応じて、液化炭酸ガスを貯槽タンク51へ送出させることが可能になる。この後、製造制御装置200は、ステップS413およびステップS414の処理に進む。
【0069】
また、ステップS405の処理の後、製造制御装置200は、精留塔バイパス運転が選択されている場合(ステップS407:YES)、上記(1)~(4)に示したヒータ46の運転条件が成立に応じて(ステップS408)、ステップS413およびステップS414の処理に進む。精留塔バイパス運転とは、機器の本来の機能を停止する運転である。
【0070】
精留塔バイパス運転が選択されていない場合(ステップS408:NO)、製造制御装置200は、ヒータ46に対して運転指令を行い、ヒータ46を起動させる(ステップS409)。そして、製造制御装置200は、リボイラ液面計90bによって検出されるリボイラ45の液面が30%以下ではなく(ステップS424:NO)、さらに、ヒータ46の温度が所定温度以上ではない場合(ステップS425:NO)、ステップS413およびステップS414の処理に進む。
【0071】
一方で、リボイラ45の液面が30%以下である場合や(ステップS424:YES)、ヒータ46の温度が所定温度以上である場合には(ステップS425:YES)、製造制御装置200は、ヒータ46に対して停止指令を行うことにより、ヒータ46を停止させ(ステップS412)、ステップS407に戻る。
【0072】
ステップS413において、製造制御装置200は、第1貯槽タンク51aの液面が80%以上となると(ステップS413)、第1貯槽タンク51aの貯槽液面をディスプレイ205に表示し(ステップS415)、一連の処理を終了する。同様に、ステップS414において、製造制御装置200は、第2貯槽タンク51bの液面が80%以上となると(ステップS414)、第2貯槽タンク51bの貯槽液面をディスプレイ205に表示し(ステップS415)、一連の処理を終了する。
【0073】
(ディスプレイ205に表示される画面例)
次に、ディスプレイ205に表示される画面の一例について説明する。
図5および図6は、ディスプレイ205に表示される画面例を示す図である。図5に示す画面は、製造装置1の全体を示す統括画面500である。統括画面500は、第1操作指示ボタン群510と、表示対象選択ボタン群520と、状況画面530と、第2操作指示ボタン群540とを含む。
【0074】
第1操作指示ボタン群510は、各種操作指示を受け付ける複数のボタンを備える。複数のボタンのうち、いずれかが押下されると、受け付けた指示内容に応じた画面への切替えや、装置ユニット10~50に対する制御が行われる。例えば、「軽故障一括」ボタンは、過去の履歴のうち、軽故障の一覧表示画面への切替えを受け付ける。また、「非常停止」ボタンは、製造装置1が備える装置ユニット10~50の停止を受け付ける。
【0075】
表示対象選択ボタン群520は、状況画面530に表示される表示対象の切替えを受け付ける複数のボタンを備える。図示では、複数のボタンのうち、「全体図」ボタンが選択されていることを示しており、また、状況画面530には全体図が表示されている。例えば、「水洗塔ユニット」ボタンが押下されると、水洗塔12の詳細画面に切り替わる。
【0076】
第2操作指示ボタン群540は、各種操作指示を受け付ける複数のボタンを備える。複数のボタンのうち、いずれかが押下されると、受け付けた指示内容に応じた画面に切替わる。例えば、「配管系統図」ボタンは、配管190の系統を示す詳細画面への切替えを受け付ける。また、「電力量」ボタンは、製造装置1に係る各種の電力量の一覧表示画面への切替えを受け付ける。
【0077】
このような統括画面500を表示することにより、作業スタッフは、中央制御室210で各装置ユニット10~50の運転状況を把握したり、各装置ユニット10~50を遠隔操作したりすることができる。
【0078】
図6は、一覧表示画面の一例を示す図である。図6の一覧表示画面600は、例えば、図5に示した第1操作指示ボタン群510の「軽故障一括」ボタンが押下されることによって表示される。一覧表示画面600は、軽故障の一覧を示す。具体的には、一覧表示画面600には、軽故障が発生した日時や、対象の装置ユニット10~50や、軽故障が発生した際の状況などが表示される。例えば、弁の開閉に係る制御内容や、温度の状況(HまたはL)や、液面の状況(HまたはL)などが表示される。また、一覧表示画面600には、現在発生中のアラームも表示される。
【0079】
なお、一覧表示画面600では、故障等に係る画面に限らず、通常の運転時おける各種検出器300によって検出された検出結果や、各装置ユニット10~50に対する制御内容などをリアルタイムに表示することも可能である。また、例えば、起動時に除湿塔31等を起動させた時間や、ヒータ46をオンまたはオフにした時間を含む制御内容を表示することも可能である。
【0080】
このような一覧表示画面600を表示することにより、作業スタッフは、各装置ユニット10~50についての現在の状況や過去の履歴を容易に確認することができる。
【0081】
(製造システムStの機能的構成)
次に、実施形態の総括として、製造システムStの機能的構成について説明する。
図7は、製造システムStの機能的構成の一例を示すブロック図である。図7において、製造システムStは、装置ユニット10~50と、製造制御装置200とを含む。
装置ユニット10~50は、圧縮部701と、除去部702aと、液化部702bと、液化貯槽部703と、第1送出部704と、純度検出部705と、第2送出部706と、精製貯槽部707と、第3送出部708と、加熱部709と、圧力検出部710とを備える。
【0082】
製造制御装置200は、取得部721と、制御部722と、表示処理部723とを備える。取得部721と、制御部722と、表示処理部723とは、CPU201によって実現される。すなわち、CPU201がメモリ202に記憶される製造制御プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0083】
(各工程における物理量の取得、および、製造装置1の全体に係る制御について)
取得部721は、液化炭酸ガスの製造に係る複数の工程のうち、工程ごとに原料ガスの物理量を取得する。複数の工程は、上述した各装置ユニット10~50に係る工程に加えて、各装置ユニット10~50の間の原料ガスの伝達に係る工程を含む。物理量は、例えば、圧力、温度、純度、貯槽量(液面量)、分析値などを含む。
【0084】
制御部722は、製造装置1の起動時に、取得部721によって取得された一の工程に係る物理量に基づいて、当該一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニット10~50を起動する。以下に、後段の工程に係る装置ユニット10~50の起動について具体例を挙げて説明する。
【0085】
(除去部702aおよび液化部702bの起動に係る制御について)
圧縮部701は、例えば、圧縮ユニット20である。具体的には、圧縮部701は、原料ガスを圧縮する圧縮工程に係る圧縮機22を含む。除去部702aは、例えば、除去ユニット30である。具体的には、除去部702aは、原料ガスから不要な成分を取り除く除去工程に係る除湿塔31および脱臭塔32を含む。除去工程は、圧縮工程よりも後段の工程である。液化部702bは、例えば、原料を液化する液化工程に係る液化器41である。液化工程は、除去工程の後段の工程である。
【0086】
取得部721は、一の工程の物理量として、圧縮部701によって圧縮された原料ガスの圧力値を取得する。具体的に取得部721は、排出圧力計60eによって検出される圧力値(アフタークーラ排出タンク24に流入する原料ガスの圧力値)を取得する。
【0087】
制御部722は、取得部721によって取得された圧力値に基づいて、除去部702aを起動する。具体的には、制御部722は、当該圧力値が所定値(例えば、2.0MPa)以上になると、除湿塔31および脱臭塔32を起動させるための運転指令を除湿塔31および脱臭塔32へ出力する。これにより、除湿塔31および脱臭塔32は、自動で起動する。
【0088】
また、制御部722は、取得部721によって取得された圧力値に基づいて、液化部702bを起動する。具体的には、制御部722は、当該圧力値が所定値(例えば、2.0MPa)以上になると、液化器41を起動させるための運転指令を液化器41へ出力する。これにより、液化器41は、自動で起動する。
【0089】
(移送ポンプ43の起動に係る制御について)
液化貯槽部703は、液化した原料ガスを一時的に貯液する液化貯槽工程に係る気液分離槽42を含む。第1送出部704は、第1送出工程に係る移送ポンプ43を含む。第1送出工程は、液化貯槽部703に貯液された原料ガスを精留部(精留塔44)へ送出する工程である。第1送出工程は、液化貯槽工程よりも後段の工程である。
【0090】
なお、第1送出部704は、移送ポンプ43に代えて、パージコンデンサ(凝縮器)であってもよい。パージコンデンサは、リボイラにより炊きあげられた蒸気を凝縮し、高純度の液として貯液する。パージコンデンサは、精留塔44の上部に設けられ、精留塔44の上部に溜まった不純物を含有する蒸気を凝縮(コンデンス)し、液については精留塔44に降らせるようにする。パージコンデンサを設けた場合、発生したイナートガスについては、放出させることができる。
【0091】
第1送出部704に移送ポンプ43を用いた場合のメリットについて補足する。移送ポンプ43を用いた場合、パージコンデンサを用いた場合と比較して、移送ポンプ43の不使用時における電力消費の低減を図ることができるため、省電力化を図ることができる。また、パージコンデンサの場合、精留塔44の上部に設けられるため、設置時やメンテナンス時等に架構を要してしまう。一方で、移送ポンプ43は精留塔の下部に設置することができるため、設置等において架構を不要とすることができる。また、移送ポンプ43は、パージコンデンサに比べて圧損しにくい。
【0092】
取得部721は、一の工程の物理量として、液化貯槽部703に貯液された原料ガスの量を取得する。具体的には、取得部721は、分離槽液面計90aによって検出される気液分離槽42の液面の検出結果を取得する。なお、当該原料ガスの量は、液面に限らず、重量としてもよい。
【0093】
制御部722は、取得部721によって取得された原料ガスの量に基づいて、第1送出部704を起動する。具体的には、制御部722は、分離槽液面計90aによって検出される液面が50%以上になると、移送ポンプ43を起動させるための運転指令を移送ポンプ43へ出力する。これにより、移送ポンプ43は、自動で起動する。
【0094】
(低純度の液化炭酸ガスの再利用について)
純度検出部705は、液化した原料ガスの純度を検出する純度検出工程に係る純度計100a、100bを含む。第2送出部706は、第2送出工程に係る圧力調節弁130f、130gを含む。第2送出工程は、原料ガスを再利用するために圧縮部701へ送出する工程である。具体的には、第2送出工程は、圧力調節弁130fを制御することにより、当該原料ガスを加温器15へ送出する工程を含む。また、第2送出工程は、圧力調節弁130gを制御することにより、当該原料ガスを気化器14へ送出する工程を含む。第2送出工程は、純度検出工程の後段の工程である。なお、第2送出部706は、圧力調節弁130f、130gに限らず、それぞれポンプであってもよい。
【0095】
一例として、気化器14への送出について説明すると、取得部721は、一の工程の物理量として、純度検出部705によって検出された純度を取得する。具体的には、取得部721は、純度計100bによって検出される純度(リボイラ45から過冷却器47に向けて送出される液化炭酸ガスの純度)の検出結果を取得する。
【0096】
制御部722は、取得部721によって取得された純度に基づいて、第2送出部706を起動させる。具体的には、制御部722は、純度計100aによって検出された純度が所定純度未満(低純度)である場合には、圧力調節弁130gを制御して、液化炭酸ガスを気化器14へ送出させる。これにより、低純度の液化炭酸ガスを再度圧縮ユニット20へ流入させて、再利用することができる。
【0097】
(リボイラ45の液面に応じて液化炭酸ガスを貯槽タンク51へ送出することについて)
精製貯槽部707は、精製した液化炭酸ガスを一時的に貯液する精製貯槽工程に係るリボイラ45を含む。第3送出部708は、第3送出工程に係るリボイラ液面調節弁130eを含む。第3送出工程は、精製貯槽部707に貯液された液化炭酸ガスを製品貯槽タンク(貯槽タンク51)に送出する工程である。第3送出工程は、精製貯槽工程よりも後段の工程である。なお、第3送出部708は、リボイラ液面調節弁130eに限らず、ポンプであってもよい。
【0098】
取得部721は、一の工程の物理量として、精製貯槽部に貯液された液化炭酸ガスの量を取得する。具体的には、取得部721は、リボイラ液面計90bによって検出されるリボイラ45の液面の検出結果を取得する。なお、当該液化炭酸ガスの量は、液面に限らず、重量や体積としてもよい。
【0099】
制御部722は、取得部721によって取得された液化炭酸ガスの量に基づいて、第3送出部708を起動する。具体的には、制御部722は、リボイラ液面計90bによって検出される液面が50%以上になると、リボイラ液面調節弁130eを起動させるための運転指令をリボイラ液面調節弁130eへ出力する。これにより、リボイラ45内の液化炭酸ガスを貯槽タンク51へ送出することができる。
【0100】
(ヒータ46の起動)
加熱部709は、加熱工程に係るヒータ46を含む。加熱工程は、精製前の原料ガスを加熱する工程である。精製貯槽部707は、リボイラ45を含む。上述したように、リボイラ45は、精製した液化炭酸ガスを一時的に貯液するとともに、加熱部709によって加熱された原料ガスの通過に伴って、液化炭酸ガスの蒸気を精留部(精留塔44)へ送出する精製貯槽工程を行う。
【0101】
取得部721は、一の工程の物理量として、精製貯槽部707に貯液された液化炭酸ガスの量を取得する。具体的には、取得部721は、リボイラ液面計90bによって検出されるリボイラ45の液面の検出結果を取得する。
【0102】
制御部722は、取得部721によって取得された液化炭酸ガスの量に基づいて、加熱部709を起動させる。具体的には、制御部722は、リボイラ液面計90bによって検出される液面の検出結果を含む所定条件(上記(1)~(4))の成立により、ヒータ46を起動させるための運転指令をヒータ46へ出力する。
【0103】
(製造装置1の高圧制御)
圧力検出部710は、配管(高圧配管190b)内の圧力値を検出する。高圧配管190bは、原料ガスを圧縮する圧縮工程に係る装置ユニット(圧縮ユニット20)から、圧縮された原料ガスに基づいて製造される高圧の液化炭酸ガスを貯液する貯槽工程に係る装置ユニット(貯槽ユニット50)まで連結する配管である。圧力検出部710は、圧縮機22の後段に配置される圧力計60であり、例えば、液化器圧力計60iである。
【0104】
取得部721は、高圧配管190b内の圧力値を取得する。具体的には、取得部721は、液化器圧力計60iによって検出される圧力値を取得する。制御部722は、取得部721によって取得された圧力値に基づいて、高圧配管190bの圧力を制御する。具体的には、制御部722は、液化器圧力計60iによって検出されるオフガスの圧力が所定圧力(例えば、2.3MPa)以上になると、オフガス圧力調節弁130fを開状態にし、オフガスを排出させる。これにより、高圧配管190b内の圧力を一定に保ち、すなわち、圧力の上昇を防止させることができる。
【0105】
(表示に係る制御)
表示処理部723は、取得部721によって取得された工程ごとの物理量に基づく画面をディスプレイ205(表示部)に表示させる。具体的には、表示処理部723は、図6に示したように、温度の状況(HighまたはLow)や、液面の状況(HighまたはLow)などを表示することが可能である。また、表示処理部723は、警告を報知することも可能である。
【0106】
また、表示処理部723は、制御部722による装置ユニット10~50に対する制御内容に基づく画面をディスプレイ205に表示させる。具体的には、表示処理部723は、図6に示したように、弁の開閉に係る制御内容等を表示することが可能である。
【0107】
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態に係る製造制御装置200は、製造装置1の起動時に、取得した一の工程に係る物理量に基づいて、当該一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニット10~50を起動する。これにより、後段の工程に係る装置ユニット10~50を起動させるために、監視用の作業スタッフを配置しなくても、後段の工程に係る装置ユニット10~50を起動させることができる。したがって、製造装置1を簡単且つ迅速に起動させることができる。よって、本実施形態によれば、製造装置1を効率よく安全に起動させることができる。
【0108】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、圧縮ユニット20によって圧縮された原料ガスの圧力値に基づいて、除去ユニット30を起動する。これにより、圧力値を確認する作業スタッフや、除去ユニット30を起動させる作業スタッフを、圧縮ユニット20や除去ユニット30にそれぞれ配置しなくても、除去ユニット30を簡単且つ迅速に起動させることができる。
【0109】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、圧縮ユニット20によって圧縮された原料ガスの圧力値に基づいて、液化器41を起動する。これにより、圧力値を確認する作業スタッフや、液化器41を起動させる作業スタッフを液化器41近傍に配置しなくても、液化器41を簡単且つ迅速に起動させることができる。
【0110】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、気液分離槽42に貯液された原料ガスの量に基づいて、移送ポンプ43を起動する。これにより、気液分離槽42に貯液された原料ガスの量を確認する作業スタッフや、移送ポンプ43を起動させる作業スタッフを、気液分離槽42や移送ポンプ43にそれぞれ配置しなくても、液化炭酸ガスを精留塔44へ送出することができる。
【0111】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、純度計100a、100bによって検出された純度に基づいて、圧力調節弁130f、130gを起動させて、液化炭酸ガスを再利用するために圧縮機22へ送出させる。これにより、低純度の液化炭酸ガスを、再度原料ガスとして利用することができる。特に、起動直後に生じやすい低純度の液化炭酸ガスを廃棄せずに、再度原料ガスとして用いることができるため、原料ガスの有効活用を図ることができる。
【0112】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、リボイラ45に貯液された液化炭酸ガスの量に基づいて、リボイラ液面調節弁130eを起動させて、液化炭酸ガスを貯槽タンク51へ送出させる。これにより、リボイラ45に貯液された原料ガスの量を確認する作業スタッフや、リボイラ液面調節弁130eを起動させる作業スタッフを、リボイラ45やリボイラ液面調節弁130eにそれぞれ配置しなくても、液化炭酸ガスを貯槽タンク51へ送出することができる。
【0113】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、リボイラ45に貯液された液化炭酸ガスの量に基づいて、ヒータ46を起動させる。これにより、リボイラ45内の液化炭酸ガスが蒸発してしまい、リボイラ45内に液化炭酸ガスが溜まらなくなってしまうことを抑えることができる。また、リボイラ45に貯液された原料ガスの量を確認する作業スタッフや、ヒータ46を起動させる作業スタッフを、リボイラ45やヒータ46にそれぞれ配置しなくても、ヒータ46を起動させることができる。
【0114】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、高圧配管190bの圧力値に基づいて、高圧配管190bの圧力を制御する。これにより、高圧配管190b内の圧力を一定に保ち、すなわち、圧力の上昇および低下を監視することができる。したがって、例えば、圧力の低下に伴ってドライアイスが発生してしまうことを防止することができる。
【0115】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、工程ごとの物理量に基づく画面をディスプレイ205に表示させる。これにより、作業スタッフは、中央制御室210において各装置ユニット10~50を容易に監視することができる。
【0116】
また、本実施形態に係る製造制御装置200は、装置ユニット10~50に対する制御内容に基づく画面をディスプレイ205に表示させる。これにより、作業スタッフは、中央制御室210において各装置ユニット10~50に対する制御内容を容易に把握することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、製造システムStは、純度計100a、100bの検出結果に基づく純度検出工程と、液化炭酸ガスの再利用に係る第2送出工程とを含むようにしたが、これらの工程を含まないようにしてもよい。すなわち、原料の再利用については、必須の構成ではなく、追加可能な構成としてもよい。
【0118】
なお、以上に説明した製造制御装置200を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0119】
St…製造システム、1…製造装置、10…受入ユニット、11…ガスクーラ、12…水洗塔、20…圧縮ユニット、21…一段吸入スナッバ、22…圧縮機、23…二段吐出スナッバ、24…アフタークーラ排出タンク、30…除去ユニット、31…除湿塔、32…脱臭塔、40…精製ユニット、41…液化器、42…気液分離槽、43…移送ポンプ、44…精留塔、45…リボイラ、46…ヒータ、50…貯槽ユニット、51…貯槽タンク、60…圧力計、70…温度計、80…流量計、90…液面計、100a、100b…純度計、110…分析計、130…各種弁、200…製造制御装置、701…圧縮部、702a…除去部、702b…液化部、703…液化貯槽部、704…第1送出部、705…純度検出部、706…第2送出部、707…精製貯槽部、708…第3送出部、709…加熱部、710…圧力検出部、721…取得部、722…制御部、723…表示処理部
【要約】
【課題】液化炭酸ガスの製造装置を効率よく安全に起動させること。
【解決手段】製造制御装置200は、複数の工程を経て、原料から液化炭酸ガスを製造する製造装置1を制御する。製造制御装置200は、取得部と、制御部とを備える。取得部は、前記複数の工程のうち、工程ごとに原料の物理量を取得する。制御部は、前記製造装置1の起動時に、前記取得部によって取得された一の工程に係る物理量に基づいて、前記一の工程よりも後段の工程に係る装置ユニット10~50を起動する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7