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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】眼鏡レンズ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20240910BHJP
   G01M 11/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01M11/00 L
G01M11/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019237367
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105572
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】水野 勝保
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊洋
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036255(JP,A)
【文献】特開2006-189386(JP,A)
【文献】特開平07-140046(JP,A)
【文献】特表2019-522781(JP,A)
【文献】特開2009-229422(JP,A)
【文献】特開2019-015541(JP,A)
【文献】登録実用新案第3186077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00-11/08
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズを測定する眼鏡レンズ測定装置であって、
前記眼鏡レンズに向けて測定光束を照射する光源と、
前記光源からの前記測定光束を透過させる透過型ディスプレイであって、複数の指標が配列されることで形成される指標パターンを表示可能とする透過型ディスプレイと、
前記指標パターンの表示を制御する表示制御手段と、
前記眼鏡レンズと前記透過型ディスプレイとを経由した前記測定光束を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて、前記眼鏡レンズの学特性を取得する光学特性取得手段と、
前記検出器の検出結果に基づいて、前記眼鏡レンズの前記光学特性とは異なるレンズ情報を取得するレンズ情報取得手段と、
を備え、
前記透過型ディスプレイは、第1指標パターンを表示可能な第1透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な第2透過型ディスプレイであって、前記第1透過型ディスプレイとは光軸方向に異なる位置に配置される第2透過型ディスプレイと、を有し、
前記検出器は、前記第1透過型ディスプレイを透過し、さらに、前記第2透過型ディスプレイを透過した、前記測定光束を検出し、
前記表示制御手段が前記指標パターンを表示させることで、前記光学特性取得手段が前記光学特性を取得し、前記表示制御手段が前記指標パターンの少なくとも一部を非表示とさせることで、前記レンズ情報取得手段が前記レンズ情報を取得することを特徴とする眼鏡レンズ測定装置。
【請求項2】
請求項1の眼鏡レンズ測定装置において、
前記表示制御手段は、前記第1指標パターンの表示と、前記第2指標パターンの表示と、を各々に制御し、
前記第1指標パターンを表示させる際は、前記第2指標パターンの少なくとも一部を非表示とし、前記第1指標パターンの少なくとも一部を非表示とする際は、前記第2指標パターンを表示させることを特徴とする眼鏡レンズ測定装置。
【請求項3】
請求項1または2の眼鏡レンズ測定装置において、
前記透過型ディスプレイは、前記指標パターンを表示して、前記眼鏡レンズの左レンズに指標パターン像を投影させる左レンズ用透過型ディスプレイと、前記指標パターンを表示して、前記眼鏡レンズの右レンズに指標パターン像を投影させる右レンズ用透過型ディスプレイと、を兼用することを特徴とする眼鏡レンズ測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかの眼鏡レンズ測定装置において、
前記光源は、前記眼鏡レンズに向けて前記測定光束を照射し、前記眼鏡レンズを照明することが可能なディスプレイであって、
前記検出器は、前記ディスプレイからの前記測定光束を検出することを特徴とする眼鏡レンズ測定装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかの眼鏡レンズ測定装置において、
前記光源から前記眼鏡レンズに向けて照射され、前記眼鏡レンズと前記透過型ディスプレイとを経由した前記測定光束を、入射方向へ反射させて戻すことで、前記眼鏡レンズを照明することが可能な再帰性反射部材を備え、
前記検出器は、前記測定光束が前記再帰性反射部材に反射された反射光束を検出することを特徴とする眼鏡レンズ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡レンズの光学特性を測定する眼鏡レンズ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズの光学特性を測定するための光学系と、眼鏡レンズのレンズ情報(隠しマーク)を検出するための光学系と、を備える眼鏡レンズ測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-54454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、眼鏡レンズの光学特性を得るための光学系と、眼鏡レンズのレンズ情報を得るための光学系と、を各々に設けており、装置の構成が複雑化する問題があった。また、眼鏡レンズと各々の光学系との位置合わせは手間であり、眼鏡レンズの光学特性及びレンズ情報を容易に取得することはできなかった。
【0005】
本開示は、上記従来技術に鑑み、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを、容易な構成で、精度よく取得することができる眼鏡レンズ測定装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は、以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1)本開示の第1態様に係る眼鏡レンズ測定装置は、眼鏡レンズを測定する眼鏡レンズ測定装置であって、前記眼鏡レンズに向けて測定光束を照射する光源と、前記光源からの前記測定光束を透過させる透過型ディスプレイであって、複数の指標が配列されることで形成される指標パターンを表示可能とする透過型ディスプレイと、前記指標パターンの表示を制御する表示制御手段と、前記眼鏡レンズと前記透過型ディスプレイとを経由した前記測定光束を検出する検出器と、前記検出器の検出結果に基づいて、前記眼鏡レンズの学特性を取得する光学特性取得手段と、前記検出器の検出結果に基づいて、前記眼鏡レンズの前記光学特性とは異なるレンズ情報を取得するレンズ情報取得手段と、を備え、前記透過型ディスプレイは、第1指標パターンを表示可能な第1透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な第2透過型ディスプレイであって、前記第1透過型ディスプレイとは光軸方向に異なる位置に配置される第2透過型ディスプレイと、を有し、前記検出器は、前記第1透過型ディスプレイを透過し、さらに、前記第2透過型ディスプレイを透過した、前記測定光束を検出し、前記表示制御手段が前記指標パターンを表示させることで、前記光学特性取得手段が前記光学特性を取得し、前記表示制御手段が前記指標パターンの少なくとも一部を非表示とさせることで、前記レンズ情報取得手段が前記レンズ情報を取得することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】測定装置の外観図である。
図2】眼鏡支持ユニットとレンズ測定ユニットとの概略図である。
図3】透過型ディスプレイに表示可能な指標パターンの一例である。
図4】第1透過型ディスプレイに第1指標パターンを表示させることで得られる撮像画像の一例である。
図5】第2透過型ディスプレイに第2指標パターンを表示させることで得られる撮像画像の一例である。
図6】測定装置の制御系を示す図である。
図7】光源からの測定光束を示す模式図である。
図8】レンズの経線方向を示す図である。
図9】測定画像の一例である。
図10】1枚の透過型ディスプレイを備える測定光学系の一例である。
図11】測定光束が左レンズに導光される光路と右レンズに導光される光路とを異なる光路とする構成の一例である。
図12】光源としてディスプレイを用いる構成の一例である。
図13】ディスプレイに表示可能な照射パターンの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
本開示の実施形態に関わる眼鏡レンズ測定装置の概要について説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0010】
<測定光学系>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、測定光学系(例えば、測定光学系20)を備える。測定光学系は、眼鏡レンズの光学特性を測定するための構成を備える。例えば、眼鏡レンズの光学特性は、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、プリズム量、等の少なくともいずれかであってもよい。また、測定光学系は、眼鏡レンズのレンズ情報を取得するための構成を備える。例えば、眼鏡レンズのレンズ情報は、光学特性とは異なる情報である。例えば、眼鏡レンズのレンズ情報は、測定光学系により測定された光学特性とは異なる情報であってもよい。一例として、眼鏡レンズのレンズ情報は、眼鏡レンズに形成された隠しマークに関する情報、眼鏡レンズに付された印点に関する情報、眼鏡レンズに付されたプリントマークに関する情報、眼鏡レンズの外形に関する情報、等の少なくともいずれかであってもよい。例えば、測定光学系は、眼鏡レンズの光学特性を測定するための構成と、眼鏡レンズのレンズ情報を取得するための構成と、の少なくとも一部を兼用してもよい。
【0011】
測定光学系は、光源と、透過型ディスプレイと、検出器と、を少なくとも備えていればよい。例えば、眼鏡レンズに向けて光源から測定光束を投光し、眼鏡レンズと透過型ディスプレイとを通過した測定光束を検出器にて検出することで、眼鏡レンズの光学特性を測定する構成であってもよい。なお、測定光学系は、光源からの測定光束を入射方向へ反射させて戻し、眼鏡レンズを照明することができる再帰性反射部材を備えてもよい。また、測定光学系は、光源からの測定光束を整形するための光学部材(例えば、コリメータレンズ23)を備えてもよい。また、測定光学系は、光源からの測定光束を複数の光路に分岐させるための光路分岐部材(例えば、ハーフミラー22)を備えてもよい。
【0012】
<光源>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、光源(例えば、光源21)を備える。光源は、眼鏡レンズに向けて測定光束を照射する。光源は、任意の位置に配置されてもよい。光源は、点光源であってもよい。この場合、例えば、点光源には、LED(Light Emitting Diode)等を用いてもよい。また、光源は、面光源であってもよい。この場合、例えば、面光源には、発光パネル等を用いてもよい。
【0013】
なお、光源は、眼鏡レンズに向けて測定光束を照射し、眼鏡レンズを照明することが可能なディスプレイであってもよい。この場合、例えば、光源としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、等の少なくともいずれかを用いてもよい。ディスプレイは、後述する複数の指標が配列されることで形成される指標パターンとは異なる照射パターンを表示することによって、眼鏡レンズに照射パターンを投影することができる。また、ディスプレイは、眼鏡レンズを照明することによって、眼鏡レンズ像、眼鏡レンズに投影された指標パターン像(指標像)、眼鏡レンズに投影された照射パターン像、等を、コントラストが高い状態で得ることができ、これらの像の検出精度を向上させることができる。
【0014】
光源は、第1光源と、第2光源と、を有してもよい。例えば、第1光源は、眼鏡レンズの左レンズに向けて測定光束を照射する、左レンズ用光源であってもよい。また、例えば、第2光源は、眼鏡レンズの右レンズに向けて測定光束を照射する、右レンズ用光源であってもよい。
【0015】
第1光源と第2光源とは、兼用されてもよい。すなわち、第1光源(第2光源)は、眼鏡レンズの左レンズと、眼鏡レンズの右レンズと、に向けて、測定光束を照射してもよい。例えば、第1光源(第2光源)は、左レンズと右レンズとへ順に測定光束を照射してもよい。この場合、第1光源(第2光源)と眼鏡レンズとの相対的な位置関係を変更する変更手段(例えば、モータ等)を設けてもよい。また、例えば、第1光源(第2光源)は、左レンズと右レンズとの双方へ測定光束を照射してもよい。一例として、第1光源(第2光源)から測定光束が照射される光路内に、左レンズと右レンズとをともに配置することによって、左レンズと右レンズとの双方へ測定光束を照射してもよい。これによって、左レンズと右レンズとにおいて、光学特性を同時に取得することができる。また、これによって、左レンズと右レンズとにおいて、レンズ情報を同時に取得することができる。
【0016】
第1光源と第2光源は、左右一対に設けられてもよい。すなわち、第1光源が、眼鏡レンズの左レンズに向けて測定光束を照射し、第2光源が、眼鏡レンズの右レンズに向けて測定光束を照射してもよい。この場合、第1光源から左レンズに向けて測定光束が導光される第1光路と、第2光源から右レンズに向けて測定光束が導光される第2光路と、の少なくとも一部の光路が、共通光路とされてもよい。また、この場合、第1光源から左レンズに向けて測定光束が導光される第1光路と、第2光源から右レンズに向けて測定光束が導光される第2光路と、異なる光路とされてもよい。
【0017】
例えば、第1光源と第2光源とは、異なるタイミングで点灯され、左レンズと右レンズとへ順に測定光束を照射してもよい。また、例えば、第1光源と第2光源とは、同一(略同一)のタイミングで点灯され、左レンズと右レンズとの双方へ測定光束を照射してもよい。すなわち、左レンズと右レンズとへ同時(略同時)に測定光束を照射してもよい。
【0018】
<透過型ディスプレイ>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、透過型ディスプレイ(例えば、透過型ディスプレイ24)を備える。透過型ディスプレイは、光源からの測定光束を透過させる。また、透過型ディスプレイは、複数の指標(例えば、指標31)が配列させることで形成される指標パターン(例えば、指標パターン30)を表示可能とする。
【0019】
透過型ディスプレイにおいて、複数の指標が配列されることで形成される指標パターンは、眼鏡レンズの光学特性を測定するために用いられる。複数の指標は、任意の形状、任意の位置、及び任意の個数、等で形成され、これによって、指標パターンが表現される。一例として、複数の指標は、点(例えば、円形の点、四角形の点、等)、線(例えば、実線、点線、破線、等)、等の少なくともいずれかの形状を有してもよい。また、一例として、複数の指標は、格子状、放射状、同心円状、等の少なくともいずれかに配置されてもよい。
【0020】
なお、眼鏡レンズの光学特性の測定では、指標パターンを用いることによって、光源からの測定光束が透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報が取得されてもよい。このため、複数の指標は、光源からの測定光束における透過型ディスプレイの通過位置の位置情報を把握できるように、表示されることが好ましい。
【0021】
透過型ディスプレイは、第1透過型ディスプレイと、第2透過型ディスプレイと、を有してもよい。例えば、第1透過型ディスプレイは、眼鏡レンズの左レンズに指標パターン像を投影させる、左レンズ用透過型ディスプレイであってもよい。また、例えば、第2透過型ディスプレイは、眼鏡レンズの右レンズに指標パターン像を投影させる、右レンズ用透過型ディスプレイであってもよい。
【0022】
第1透過型ディスプレイと第2透過型ディスプレイとは、兼用されてもよい。すなわち、第1透過型ディスプレイ(第2透過型ディスプレイ)は、眼鏡レンズの左レンズと、眼鏡レンズの右レンズと、に指標パターン像を投影させてもよい。例えば、第1透過型ディスプレイ(第2透過型ディスプレイ)は、指標パターンを表示することで、左レンズと右レンズとの双方に指標パターン像を投影させてもよい。これによって、左レンズと右レンズとへ、指標パターンを同時に投影することができる。
【0023】
また、例えば、第1透過型ディスプレイ(第2透過型ディスプレイ)は、左レンズと右レンズとへ順に指標パターン像を投影させてもよい。この場合、第1透過型ディスプレイ(第2透過型ディスプレイ)は、左レンズに指標パターン像を投影させる第1領域と、右レンズに指標パターン像を投影させる第2領域と、を有してもよい。第1透過型ディスプレイ(第2透過型ディスプレイ)は、各々の領域に異なるタイミングで指標パターンを表示することで、左レンズと右レンズとへ順に指標パターン像を投影させてもよい。
【0024】
第1透過型ディスプレイと第2透過型ディスプレイとは、左右一対に設けられてもよい。すなわち、第1透過型ディスプレイが、眼鏡レンズの左レンズに指標パターン像を投影させ、第2透過型ディスプレイが、眼鏡レンズの右レンズに指標パターン像を投影させてもよい。例えば、第1透過型ディスプレイと第2透過型ディスプレイとは、同一(略同一)のタイミングで指標パターンを表示することで、左レンズと右レンズとの双方へ指標パターン像を投影してもよい。すなわち、左レンズと右レンズとへ同時(略同時)にぢ票パターン像を投影してもよい。また、例えば、第1透過型ディスプレイと第2透過型ディスプレイとは、異なるタイミングで指標パターンを表示することで、左レンズと右レンズとへ順に指標パターン像を投影してもよい。
【0025】
例えば、透過型ディスプレイに指標パターンを表示させることで、光源からの測定光束が光軸方向における少なくとも2点を通過した通過位置の位置情報が取得され、これに基づいて、眼鏡レンズの光学特性が測定される。一例として、光源からの測定光束が眼鏡レンズを通過した通過位置を示す位置情報と、光源からの測定光束が透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、を利用し、眼鏡レンズの光学特性が測定されてもよい。より詳細には、光源からの測定光束が眼鏡レンズの左レンズを通過した通過位置を示す位置情報と、光源からの測定光束が第1透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、を利用し、左レンズの光学特性が測定されてもよい。また、光源からの測定光束が眼鏡レンズの右レンズを通過した通過位置を示す位置情報と、光源からの測定光束が第2透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、を利用し、右レンズの光学特性が測定されてもよい。
【0026】
また、一例として、光源からの測定光束が透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報のみを利用し、眼鏡レンズの光学特性が測定されてもよい。より詳細には、光源からの測定光束が第1透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報のみを利用し、左レンズの光学特性が測定されてもよい。また、光源からの測定光束が第2透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報のみを利用し、右レンズの光学特性が測定されてもよい。なお、このような場合には、第1透過型ディスプレイと左レンズとの相対的な位置関係を変更する変更手段(例えば、移動機構28)を設けてもよい。また、このような場合には、第2透過型ディスプレイと右レンズとの相対的な位置関係を変更する変更手段(例えば、移動機構28)を設けてもよい。
【0027】
第1透過型ディスプレイは、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を有してもよい。すなわち、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイが、眼鏡レンズの左レンズに第1指標パターン像を投影させ、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイが、眼鏡レンズの左レンズに第2指標パターン像を投影させてもよい。第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、は光軸方向に異なる位置に配置される。なお、第1指標パターンと第2指標パターンとは、同一の指標パターンであってもよい。もちろん、第1指標パターンと第2指標パターンとは、少なくとも一部が異なる指標パターンであってもよい。
【0028】
また、第2透過型ディスプレイは、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を有してもよい。すなわち、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイが、眼鏡レンズの右レンズに第1指標パターン像を投影させ、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイが、眼鏡レンズの右レンズに第2指標パターン像を投影させてもよい。第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、は光軸方向に異なる位置に配置される。なお、第1指標パターンと第2指標パターンとは、同一の指標パターンであってもよい。もちろん、第1指標パターンと第2指標パターンとは、少なくとも一部が異なる指標パターンであってもよい。
【0029】
例えば、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、の各々に指標パターンを表示させることで、光源からの測定光束が光軸方向における少なくとも2点を通過した通過位置の位置情報が取得され、これに基づいて、測定光束の屈折角度が求められ、眼鏡レンズの光学特性が測定される。より詳細には、第1透過型ディスプレイにおいて、光源からの測定光束が第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、光源からの測定光束が第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、を利用し、眼鏡レンズの左レンズの光学特性が測定されてもよい。また、第2透過型ディスプレイにおいて、光源からの測定光束が第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、光源からの測定光束が第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイを通過した通過位置を示す位置情報と、を利用し、眼鏡レンズの右レンズの光学特性が測定されてもよい。
【0030】
例えば、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を光軸方向の異なる位置に設けることによって、光源からの測定光束が眼鏡レンズを通過する位置に関わらず、光源からの測定光束が光軸方向における少なくとも2点を通過した通過位置の位置情報を得ることができ、これによって、眼鏡レンズの光学特性が測定される。眼鏡レンズと透過型ディスプレイとの相対的な位置関係を変更するための変更手段を設けることなく、容易な構成で、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。
【0031】
<検出器>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、検出器(例えば、撮像素子27)を備える。検出器は、眼鏡レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を検出する。例えば、検出器は、眼鏡レンズと第1透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、眼鏡レンズと第2透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を検出してもよい。また、例えば、検出器は、光源から照射された測定光束が、後述の再帰性反射部材に反射された反射光束を検出してもよい。また、例えば、検出器は、光源として用いられたディスプレイからの測定光束を検出してもよい。
【0032】
検出器は、眼鏡レンズの任意の位置に配置されてもよい。検出器は、信号(信号データ)に基づいて、測定光束を検出してもよい。また、検出器は、信号(信号データ)を変換することで得られる画像(画像データ)に基づいて、測定光束を検出してもよい。
【0033】
検出器は、第1検出器と、第2検出器と、を有してもよい。例えば、第1検出器は、眼鏡レンズの左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を検出する、左レンズ用検出器であってもよい。また、例えば、第2検出器は、眼鏡レンズの右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を検出する、右レンズ用検出器であってもよい。
【0034】
第1検出器と第2検出器とは、兼用されてもよい。すなわち、第1検出器(第2検出器)は、眼鏡レンズの左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、眼鏡レンズの右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を検出してもよい。例えば、第1検出器(第2検出器)は、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を順に検出してもよい。この場合、第1検出器(第2検出器)と眼鏡レンズとの相対的な位置関係を変更する変更手段(例えば、モータ等)を設けてもよい。また、例えば、第1検出器(第2検出器)は、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、の双方を検出してもよい。これによって、左レンズと右レンズとにおいて、光学特性を同時に取得することができる。また、これによって、左レンズと右レンズとにおいて、レンズ情報を同時に取得することができる。
【0035】
第1検出器と第2検出器は、左右一対に設けられてもよい。すなわち、第1検出器が、眼鏡レンズの左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を検出し、第2検出器が、眼鏡レンズの右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を検出してもよい。例えば、第1検出器と第2検出器とは、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を順に検出してもよい。また、例えば、第1検出器と第2検出器とは、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、の双方を検出してもよい。すなわち、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を同時に検出してもよい。
【0036】
なお、第1検出器と第2検出器とを左右一対に設ける場合、眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの各々に対し、検出器の画素数を有効に用いることができ、指標パターン像(指標像)の位置をより正確に検出して、光学特性の測定精度を向上させることができる。また、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を区別する必要がないため、より簡単な制御によって、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを取得することができる。
【0037】
<再帰性反射部材>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、再帰性反射部材(例えば、再帰性反射部材25)を備える。再帰性反射部材は、光源から眼鏡レンズに向けて照射され、眼鏡レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を、入射方向へ反射させて戻すことで、眼鏡レンズに測定光束の反射光束を照射することが可能である。すなわち、再帰性反射部材は、光源からの測定光束が入射する入射方向と、光源からの測定光束が反射する反射方向と、を平行(略平行)とし、眼鏡レンズに測定光束の反射光束を照射することが可能である。言い換えると、再帰性反射部材は、光源からの測定光束を反射させ、眼鏡レンズを照明することが可能である。これによって、眼鏡レンズ像、及び、眼鏡レンズに投影された指標パターン像(指標像)を、コントラストが高い状態で得ることができ、これらの像の検出精度を向上させることができる。
【0038】
例えば、再帰性反射部材は、光源からの測定光束を反射させて、眼鏡レンズの前面に測定光束の反射光束を照射してもよい。一例として、光源及び検出器を眼鏡レンズの後面側に配置する構成とした場合に、再帰性反射部材を眼鏡レンズの前面側に配置することによって、光源からの測定光束を反射させ、眼鏡レンズの前面に測定光束の反射光束を照射してもよい。また、例えば、再帰性反射部材は、光源からの測定光束を反射させて、眼鏡レンズの後面に測定光束の反射光束を照射してもよい。一例として、光源及び検出器を眼鏡レンズの前面側に配置する構成とした場合に、再帰性反射部材を眼鏡レンズの後面側に配置することによって、光源からの測定光束を反射させ、眼鏡レンズの後面に測定光束の反射光束を照射してもよい。
【0039】
再帰性反射部材は、第1再帰性反射部材と、第2再帰性反射部材と、を有してもよい。例えば、第1再帰性反射部材は、光源から眼鏡レンズの左レンズに向けて照射され、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を、入射方向へ反射させて戻すことで、左レンズに測定光束の反射光束を照射する、左レンズ用再帰性反射部材であってもよい。また、例えば、第2再帰性反射部材は、光源から眼鏡レンズの右レンズに向けて照射され、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を、入射方向へ反射させて戻すことで、右レンズに測定光束の反射光束を照射する、右レンズ用再帰性反射部材であってもよい。
【0040】
第1再帰性反射部材と第2再帰性反射部材とは、兼用されてもよい。すなわち、第1再帰性反射部材(第2再帰性反射部材)は、光源から眼鏡レンズの左レンズに向けて照射された測定光束を入射方向へ反射させて戻すことで、左レンズに測定光束の反射光束を照射し、光源から眼鏡レンズの右レンズに向けて照射された測定光束を入射方向へ反射させて戻すことで、右レンズに測定光束の反射光束を照射してもよい。
【0041】
第1再帰性反射部材と第2再帰性反射部材とは、左右一対に設けられてもよい。すなわち、第1再帰性反射部材が、光源から眼鏡レンズの左レンズに向けて照射された測定光束を入射方向へ反射させて戻すことで、左レンズに測定光束の反射光束を照射し、第2再帰性反射部材が、光源から眼鏡レンズの右レンズに向けて照射された測定光束を入射方向へ反射させて戻すことで、右レンズに測定光束の反射光束を照射してもよい。
【0042】
なお、光源からの測定光束を反射させることによって、眼鏡レンズを十分に照明することができる場合には、必ずしも再帰性反射部材を設ける必要はない。また、光源及び検出器の一方を眼鏡レンズの前面側に配置し、光源及び検出器の他方を眼鏡レンズの後面側に配置する構成とした場合には、必ずしも再帰性反射部材を設ける必要はない。
【0043】
<測定光学系の光学配置>
本実施形態において、測定光学系は、光源、検出器、透過型ディスプレイ、再帰性反射部材、等を備えてもよい。また、本実施形態において、測定光学系は、光源と検出器とを眼鏡レンズの前面側に配置し、透過型ディスプレイと反射部材とを眼鏡レンズの後面側に配置してもよい。
【0044】
例えば、測定光学系において、第1光源と第2光源とが兼用され、第1検出器と第2検出器とが兼用される場合、光源から照射された測定光束が、眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの双方に照射される。左レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと左レンズとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと右レンズとを経由した測定光束と、がともに検出器にて検出される。
【0045】
例えば、測定光学系において、第1光源と第2光源とが左右一対に設けられ、第1検出器と第2検出器とが左右一対に設けられる場合、第1光源から照射された測定光束が、眼鏡レンズの左レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと左レンズとを経由して第1検出器に検出される。また、第2光源から照射された測定光束が、眼鏡レンズの右レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと右レンズとを経由して第2検出器に検出される。
【0046】
例えば、測定光学系において、第1光源と第2光源とが兼用され、第1検出器と第2検出器とが左右一対に設けられる場合、光源から照射された測定光束が、眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの双方に照射される。左レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと左レンズとを経由した測定光束は、第1検出器にて検出され、右レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと右レンズとを経由した測定光束は、第2検出器にて検出される。
【0047】
例えば、測定光学系において、第1光源と第2光源とが左右一対に設けられ、第1検出器と第2検出器とが兼用される場合、第1光源から照射された測定光束が眼鏡レンズの左レンズに照射され、第2光源から照射された測定光束が眼鏡レンズの右レンズに照射される。左レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと左レンズとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由して再帰性反射部材に反射され、再び透過型ディスプレイと右レンズとを経由した測定光束と、がともに検出器にて検出される。
【0048】
なお、上記のいずれの構成であっても、測定光学系において、第1透過型ディスプレイと第2透過型ディスプレイは、兼用されてもよいし、左右一対に設けられてもよい。第1透過型ディスプレイは、光軸方向の異なる位置に配置された、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を有してもよい。第2透過型ディスプレイは、光軸方向の異なる位置に配置された、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を有してもよい。また、上記のいずれの構成であっても、測定光学系において、第1再帰性反射部材と第2再帰性反射部材は、兼用されてもよいし、左右一対に設けられてもよい。
【0049】
また、本実施形態において、測定光学系は、光源としてのディスプレイ、検出器、透過型ディスプレイ、等を備えてもよい。また、本実施形態において、測定光学系は、検出器を眼鏡レンズの前面側に配置し、ディスプレイと透過型ディスプレイとを眼鏡レンズの後面側に配置してもよい。
【0050】
例えば、測定光学系において、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが兼用され、第1検出器と第2検出器とが兼用される場合、ディスプレイから照射された測定光束が、眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの双方に照射される。左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、がともに検出器にて検出される。
【0051】
例えば、測定光学系において、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが左右一対に設けられ、第1検出器と第2検出器とが左右一対に設けられる場合、第1ディスプレイから照射された測定光束が、眼鏡レンズの左レンズと透過型ディスプレイとを経由して第1検出器に検出される。また、第2ディスプレイから照射された測定光束が、眼鏡レンズの右レンズと透過型ディスプレイとを経由して第2検出器に検出される。
【0052】
例えば、測定光学系において、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが兼用され、第1検出器と第2検出器とが左右一対に設けられる場合、ディスプレイから照射された測定光束が、眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの双方に照射される。左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束は、第1検出器にて検出され、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束は、第2検出器にて検出される。
【0053】
例えば、測定光学系において、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが左右一対に設けられ、第1検出器と第2検出器とが兼用される場合、第1ディスプレイから照射された測定光束が眼鏡レンズの左レンズに照射され、第2ディスプレイから照射された測定光束が眼鏡レンズの右レンズに照射される。左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、がともに検出器にて検出される。
【0054】
なお、上記のいずれの構成であっても、測定光学系において、第1透過型ディスプレイと第2透過型ディスプレイは、兼用されてもよいし、左右一対に設けられてもよい。第1透過型ディスプレイは、光軸方向の異なる位置に配置された、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を有してもよい。第2透過型ディスプレイは、光軸方向の異なる位置に配置された、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、を有してもよい。
【0055】
<指標パターン像検出手段>
本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、指標パターン像検出手段(例えば、制御部70)を備える。指標パターン像検出手段は、検出器の検出結果に基づいて、眼鏡レンズに投影された指標パターンの像(指標パターン像)を検出する。例えば、指標パターン像検出手段は、検出器が検出した信号(信号データ)に基づいて、指標パターン像を検出してもよい。一例として、指標パターン像検出手段は、検出器が検出した信号の強度に基づいて、指標パターン像を検出してもよい。また、例えば、指標パターン像検出手段は、検出器が検出した信号を変換することで得られる画像(画像データ)に基づいて、指標パターン像を検出してもよい。一例として、指標パターン像検出手段は、画像の輝度情報、彩度情報、色相情報、等の少なくともいずれかに基づいて、指標パターン像を取得してもよい。
【0056】
例えば、指標パターン像検出手段は、検出器の検出結果に基づいて、指標パターン像を構成する複数の指標像の間隔を検出してもよい。この場合には、複数の指標像の画素位置情報を用いて、複数の指標像の間隔を検出してもよい。また、例えば、指標パターン像検出手段は、検出器の検出結果に基づいて、指標パターン像を構成する指標像の形状を検出してもよい。この場合には、画像処理(一例としては、二値化処理、輪郭抽出、エッジ検出、等)により、指標像の形状を検出してもよい。また、この場合には、指標像の形状に基づき、指標像の面積を検出してもよい。
【0057】
<判定手段>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、判定手段(例えば、制御部70)を備える。判定手段は、検出器の検出結果に基づいて、眼鏡レンズがマイナスレンズまたはプラスレンズのいずれであるかを判定する。例えば、判定手段は、検出器の検出結果として得られた指標パターン像を構成する指標像の画素位置情報の変化に基づいて、眼鏡レンズがマイナスレンズまたはプラスレンズのいずれであるかを判定してもよい。一例として、判定手段は、指標像の画素位置が互いに近づいた場合(言い換えると、指標像の間隔が狭くなった場合)に、眼鏡レンズがマイナスレンズであると判定してもよい。また、一例として、判定手段は、指標像の画素位置が互いに離れた場合(言い換えると、指標像の間隔が広くなった場合)に、眼鏡レンズがプラスレンズであると判定してもよい。
【0058】
なお、例えば、判定手段は、眼鏡レンズが強度のマイナスレンズまたは強度のプラスレンズのいずれであるかを判定してもよい。この場合、判定手段は、検出器の検出結果として得られた指標像の画素位置情報の変化の程度に基づいて、眼鏡レンズが強度のマイナスレンズまたは強度のプラスレンズのいずれであるかを判定してもよい。例えば、指標像の画素位置情報の変化の程度とは、指標像の画素位置情報の変化率(拡大率や縮小率)、指標像の画素位置情報の変化量(拡大量や縮小量)、等の少なくともいずれかにより表されてもよい。
【0059】
<間隔設定手段>
本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、間隔設定手段(例えば、制御部70)を備える。間隔設定手段は、透過型ディスプレイにおいて指標パターンを構成する複数の指標の間隔を設定可能とする。例えば、間隔設定手段は、透過型ディスプレイにおいて指標パターンを構成する複数の指標の間隔を、任意の間隔に設定可能としてもよい。また、例えば、間隔設定手段は、透過型ディスプレイにおいて指標パターンを構成する複数の指標の間隔を、所定の間隔に設定可能としてもよい。これにより、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像を得て、光学特性を精度よく取得することができる。また、眼鏡レンズの広範囲の光学特性を測定する場合や、眼鏡レンズの光学特性の分布を取得する場合においても、光学特性を精度よく取得することができる。
【0060】
例えば、間隔設定手段は、複数の指標の間隔を設定するための指示信号に基づいて、複数の指標の間隔を設定する。一例として、間隔設定手段は、操作者が操作手段(例えば、モニタ4)を操作することで入力される指示信号に基づいて、複数の指標の間隔を設定してもよい。また、一例として、間隔設定手段は、検出器の検出結果に基づいて出力される指示信号に基づいて、複数の指標の間隔を設定してもよい。
【0061】
なお、この場合、間隔設定手段は、検出器により検出される検出結果と、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔と、を対応付けたテーブル等を利用して、複数の指標の間隔を設定してもよい。すなわち、間隔設定手段は、検出器により検出される検出結果に応じて、複数の指標の間隔を異なる間隔に設定してもよい。例えば、テーブルは、実験やシミュレーションの結果等から、予め設定されていてもよい。
【0062】
また、この場合、間隔設定手段は、検出器により検出される検出結果が、所定の閾値を超えるか否かに基づいて、複数の指標の間隔を設定してもよい。すなわち、間隔設定手段は、検出器により検出される検出結果が、所定の閾値を超えるときと、所定の閾値未満であるときと、において、複数の指標の間隔を異なる間隔に設定してもよい。なお、所定の閾値は許容範囲として設けられてもよい。この際、間隔設定手段は、検出器により検出される検出結果が、許容範囲外であるときと、許容範囲内であるときと、において、複数の指標の間隔を異なる間隔に設定してもよい。例えば、所定の閾値は、実験やシミュレーションの結果等から、予め設定されていてもよい。
【0063】
これによって、眼鏡レンズに応じて自動的に複数の指標の間隔が切り換えられ、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像を容易に取得し、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。なお、このような複数の指標の間隔の設定は、眼鏡レンズを載置した後に、光学特性の測定の開始から完了までを自動で行うフルオート化された装置において、特に効果的に用いることができる。
【0064】
間隔設定手段は、指標パターン像検出手段の検出結果に基づいて、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔を設定してもよい。これによって、複数の指標の間隔が自動的に設定されるので、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像を、容易に取得することができる。
【0065】
例えば、間隔設定手段は、指標パターン像検出手段により検出される指標パターンを構成する複数の指標像の間隔に基づいて、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔を設定してもよい。この場合、指標パターン像検出手段により検出される指標パターンを構成する複数の指標像の間隔と、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔と、を対応付けたテーブル等を利用して、指標の間隔を設定してもよい。また、この場合、指標パターン像検出手段により検出される指標パターンを構成する複数の指標像の間隔が、所定の閾値を超えるか否かによって、複数の指標の間隔を設定してもよい。なお、例えば、所定の閾値は、指標像の間隔が狭くなる方向に対して設けられてもよい。また、例えば、所定の閾値は、指標像の間隔が広くなる方向に対して設けられてもよい。もちろん、所定の閾値は、指標像の間隔が狭くなる方向と、指標像の間隔が広くなる方向と、に許容範囲として設けられてもよい。
【0066】
また、例えば、間隔設定手段は、指標パターン像検出手段により検出される指標パターンを構成する複数の指標像の形状に基づいて、指標の間隔を設定してもよい。この場合、指標パターン像検出手段により検出される複数の指標像の形状が、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の形状に対して、変形したか否かによって、複数の指標の間隔を設定してもよい。また、この場合、指標パターン像検出手段により検出される複数の指標像の変形の程度(例えば、変形率、変形量、等)が、所定の閾値を超えるか否かによって、複数の指標の間隔を設定してもよい。例えば、複数の指標像の変形とは、拡大、縮小、歪み、欠け、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0067】
また、例えば、間隔設定手段は、指標パターン像検出手段により検出される指標パターンを構成する複数の指標像の面積に基づいて、複数の指標の間隔を設定してもよい。この場合、指標パターン像検出手段により検出される複数の指標像の面積が、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の面積に対して、増減したか否かによって、複数の指標の間隔を設定してもよい。また、この場合、指標パターン像検出手段により検出される指標パターンを構成する複数の指標像における面積の変化の程度(例えば、変化率、変化量、等)が、所定の閾値を超えるか否かによって、複数の指標の間隔を設定してもよい。なお、例えば、所定の閾値は、指標像の面積が減少する方向に対して設けられてもよい。また、例えば、所定の閾値は、指標像の面積が増加する方向に対して設けられてもよい。もちろん、所定の閾値は、指標像の面積が減少する方向と、指標像の面積が増加する方向と、に許容範囲として設けられてもよい。
【0068】
間隔設定手段は、光学特性取得手段の取得結果(演算手段の演算結果)に基づいて、透過型ディスプレイに表示される指標パターンを構成する複数の指標の間隔を設定してもよい。この場合、光学特性取得手段により検出される眼鏡レンズの屈折度数と、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔と、を対応付けたテーブル等を利用して、複数の指標の間隔を設定してもよい。また、この場合、光学特性取得手段により検出される眼鏡レンズの屈折度数が、所定の閾値を超えるか否かによって、複数の指標の間隔を設定してもよい。なお、例えば、所定の閾値は、眼鏡レンズの屈折度数が大きくなる(高くなる)方向に対して設けられてもよい。また、例えば、所定の閾値は、眼鏡レンズの屈折度数が小さくなる(低くなる)方向に対して設けられてもよい。もちろん、所定の閾値は、眼鏡レンズの屈折度数が大きくなる方向と、眼鏡レンズの屈折度数が小さくなる方向と、に許容範囲として設けられてもよい。
【0069】
間隔設定手段は、判定手段の判定結果に基づいて、透過型ディスプレイに表示される指標パターンを構成する複数の指標の間隔を設定してもよい。この場合、判定手段により判定される眼鏡レンズの種類と、透過型ディスプレイに表示される指標の間隔と、を対応付けたテーブル等を利用して、複数の指標の間隔を設定してもよい。
【0070】
なお、本実施形態においては、上記のような、指標パターン像検出手段の検出結果と、光学特性取得手段の取得結果(演算手段の演算結果)と、判定手段の判定結果と、の少なくともいずれかに基づいて、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔が設定されてもよい。
【0071】
間隔設定手段は、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の間隔を、第1間隔と、第1間隔とは異なる第2間隔と、の2つの間隔に設定可能としてもよい。一例として、間隔設定手段は、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第1間隔よりも、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第2間隔を、短い間隔に設定してもよい。また、一例として、間隔設定手段は、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第1間隔よりも、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第2間隔を、長い間隔に設定してもよい。
【0072】
もちろん、例えば、間隔設定手段は、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第1間隔と、第2間隔と、第1間隔及び第2間隔とは異なる第3間隔と、を設定可能としてもよい。一例として、間隔設定手段は、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第1間隔よりも、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第2間隔を短い間隔に設定するとともに、透過型ディスプレイに表示される複数の指標の第3間隔を長い間隔に設定してもよい。
【0073】
なお、間隔設定手段は、複数の指標の第1間隔と、複数の指標の第2間隔と、において、少なくとも一部の指標の間隔を、異なる間隔で設定してもよい。また、間隔設定手段は、複数の指標の第1間隔と、複数の指標の第2間隔と、複数の指標の第3間隔と、において、少なくとも一部の指標の間隔を、それぞれ異なる間隔で設定してもよい。例えば、複数の指標の配列により形成される指標パターンの中心付近のみ、複数の指標の間隔を異なる間隔に設定できてもよい。
【0074】
<間隔切換手段>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、間隔切換手段(例えば、制御部70)を備える。間隔切換手段は、間隔設定手段により複数の指標の第1間隔が設定される第1モード(例えば、通常モード)と、間隔設定手段により複数の指標の第2間隔が設定される第2モード(例えば、広間隔モード)と、を切り換える。例えば、間隔切換手段は、第1モードと第2モードとを切り換えるための指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換える。一例として、測定切換手段は、操作者が操作手段を操作することで入力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。また、一例として、間隔切換手段は、検出器の検出結果に基づいて出力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。例えば、この場合、間隔切換手段は、検出器の検出結果に基づいて出力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。より詳細には、間隔切換手段は、指標パターン像検出手段の検出結果、光学特性取得手段の取得結果(演算手段の演算結果)、判定手段の判定結果、等の少なくともいずれかに基づいて出力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。これによって、眼鏡レンズに合わせて適切なモードを適用し、眼鏡レンズの光学特性を容易に取得することができる。
【0075】
<表示制御手段>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、表示制御手段(例えば、制御部70)を備える。表示制御手段は、透過型ディスプレイにおける複数の指標の表示を制御する。すなわち、表示制御手段は、透過型ディスプレイにおける指標パターンの表示を制御する。表示制御手段は、透過型ディスプレイにおける所定の位置へ複数の指標を表示することによって、指標パターンを表現してもよい。所定の位置は、操作者により指定される位置であってもよいし、予め設定された位置であってもよい。また、表示制御手段は、間隔設定手段に設定された間隔をもつ複数の指標を表示することによって、指標パターンを表現してもよい。つまり、表示制御手段は、様々な眼鏡レンズに対応させて、指標パターンを使い分けてもよい。
【0076】
例えば、表示制御手段は、透過型ディスプレイにおいて、複数の指標の配列である指標パターンを表示させることができる。また、例えば、表示制御手段は、透過型ディスプレイにおいて、複数の指標の配列である指標パターンを非表示とすることができる。なお、例えば、表示制御手段は、透過型ディスプレイにおいて、複数の指標を部分的に表示させるとともに、複数の指標を部分的に非表示とし、指標パターンを部分的に表示させる(または、指標パターンを部分的に非表示とする)ことができる。
【0077】
本実施形態においては、表示制御手段が、透過型ディスプレイに指標パターンを表示させることによって、後述の光学特性取得手段により、眼鏡レンズの光学特性が取得される。なお、例えば、透過型ディスプレイが光軸方向の異なる位置に配置される場合、表示制御手段が、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイに第1指標パターンを表示させ、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイに第2指標パターンを表示させることによって、光学特性取得手段により眼鏡レンズの光学特性が取得される。
【0078】
なお、透過型ディスプレイが光軸方向の異なる位置に配置される場合、表示制御手段は、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイにおける第1指標パターンの表示と、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイにおける第2指標パターンの表示と、を各々に制御してもよい。
【0079】
例えば、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、において、第1指標パターンと第2指標パターンの一方を表示する際に、第1指標パターンと第2指標パターンの他方の少なくとも一部を非表示としてもよい。一例として、表示制御手段は、第1指標パターンを表示させる際に第2指標パターンを非表示とし、第1指標パターンを非表示とする際に第2指標パターンを表示してもよい。また、一例として、表示制御手段は、第1指標パターン(言い換えると、すべての複数の指標)を表示させる際に第2指標パターン(言い換えると、一部の複数の指標)を非表示とし、第1指標パターン(言い換えると、一部の複数の指標)を非表示とする際に第2指標パターン(言い換えると、すべての複数の指標)を表示してもよい。これによって、第1指標パターン像と第2指標パターン像とが重ならず、各々の指標パターン像(指標像)の位置を正確に検出することができるため、光学特性が精度よく測定される。
【0080】
また、透過型ディスプレイが光軸方向の異なる位置に配置される場合、表示制御手段は、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイにおける第1指標パターンの表示と、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイにおける第2指標パターンの表示と、を同時(略同時)に制御してもよい。例えば、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイと、において、第1指標パターンと第2指標パターンの双方を表示してもよい。これによって、第1指標パターン像と第2指標パターン像とを1度に検出することができるため、測定時間が短縮される。
【0081】
本実施形態においては、表示制御手段が、透過型ディスプレイの少なくとも一部の指標パターンを非表示とさせることによって、後述のレンズ情報取得手段により、眼鏡レンズのレンズ情報が取得される。例えば、透過型ディスプレイが光軸方向の異なる位置に配置される場合、表示制御手段が、第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイにおいて、第1指標パターンの少なくとも一部を非表示とし、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイにおいて、第2指標パターンの少なくとも一部を非表示とすることによって、レンズ情報取得手段により眼鏡レンズのレンズ情報が取得される。
【0082】
なお、このような場合、表示制御手段は、透過型ディスプレイにおいて、指標パターン(言い換えると、すべての複数の指標)を非表示としてもよい。また、このような場合、表示制御手段は、一部の指標パターン(言い換えると、一部の複数の指標)を非表示としてもよい。例えば、眼鏡レンズのレンズ情報を得ることができる領域のみ、指標パターンを非表示としてもよい。一例としては、眼鏡レンズに投影される指標のみ非表示とし、眼鏡レンズの外側に投影される指標は表示しておいてもよい。また、一例としては、眼鏡レンズに形成された隠しマークの付近に投影される指標のみ非表示とし、眼鏡レンズに形成された隠しマークの付近より外側に投影される指標は表示しておいてもよい。
【0083】
例えば、本実施形態においては、表示制御手段により透過型ディスプレイに指標パターンが表示されることで、後述の光学特性取得手段により眼鏡レンズの光学特性が取得され、表示制御手段により透過型ディスプレイの指標パターンの少なくとも一部が非表示とされることで、後述のレンズ情報取得手段により眼鏡レンズのレンズ情報が取得される。これによって、光学特性あるいはレンズ情報を得るための光学系を各々に設けたり、複雑な制御を必要としたりせず、容易な構成で、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを取得することができる。
【0084】
本実施形態において、表示制御手段は、間隔切換手段によって、複数の指標の第1間隔を設定する第1モードと、複数の指標の第2間隔を設定する第2モードと、のいずれかに切り換えられる場合、第1間隔をもつ指標により形成された第1指標パターンと、第2間隔をもつ指標により形成された第2指標パターンと、いずれかを、透過型ディスプレイに表示させてもよい。例えば、第1モードと第2モードを適切に設定しておくことによって、所定の指標の間隔をもつ指標パターンを投影することで光学特性を精度よく取得することができる眼鏡レンズと、所定の指標の間隔をもつ指標パターンを投影することでは光学特性を精度よく取得すること難しい眼鏡レンズと、のいずれの眼鏡レンズにも対応することができる。
【0085】
<光学特性取得手段>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、光学特性取得手段(例えば、制御部70)を備える。光学特性取得手段は、検出器の検出結果に基づいて、眼鏡レンズの光学特性を取得する。なお、光学特性取得手段は、検出器の検出結果に基づいて、眼鏡レンズの複数の位置についての光学特性を取得することで、眼鏡レンズの光学特性の分布を取得してもよい。
【0086】
例えば、光学特性取得手段は、光源からの測定光束に対し、光線追跡処理を行うことによって、眼鏡レンズの光学特性を取得してもよい。この場合、光学特性取得手段は、光源からの測定光束が光軸方向における少なくとも2点を通過した通過位置の位置情報を求めることによって、眼鏡レンズの光学特性を取得してもよい。さらに、光学特性取得手段は、光源からの測定光束が光軸方向における少なくとも2点を通過した通過位置の位置情報を用いて、光源からの測定光束が眼鏡レンズの屈折力により屈折された屈折角度を算出し、眼鏡レンズの光学特性を取得してもよい。
【0087】
一例として、光学特性取得手段は、光源からの測定光束が眼鏡レンズを通過した通過位置の位置情報と、光源からの測定光束が透過型ディスプレイを通過した通過位置の位置情報と、に基づき、眼鏡レンズの光学特性を取得してもよい。また、一例として、光学特性取得手段は、光源からの測定光束が第1指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイを通過した通過位置の位置情報と、第2指標パターンを表示可能な透過型ディスプレイを通過した通過位置の位置情報と、に基づき、眼鏡レンズの光学特性を取得してもよい。
【0088】
なお、本実施形態では、光学特性取得手段が、検出器の検出結果に基づき、眼鏡レンズの光学特性として、眼鏡レンズの屈折度数を取得してもよい。すなわち、本実施形態では、光学特性取得手段が、検出器の検出結果に基づいて、眼鏡レンズの屈折度数を演算する演算手段を兼ねてもよい。
【0089】
<レンズ情報取得手段>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、レンズ情報取得手段(例えば、制御部70)を備える。レンズ情報取得手段は、検出器の検出結果に基づいて、眼鏡レンズの光学特性とは異なるレンズ情報を取得する。例えば、レンズ情報取得手段は、検出器が検出した信号(信号データ)に基づいて、レンズ情報を取得してもよい。一例として、レンズ情報取得手段は、検出器が検出した信号の強度に基づいて、レンズ情報を取得してもよい。また、例えば、レンズ情報取得手段は、検出器が検出した信号を変換することで得られる画像(画像データ)に基づいて、レンズ情報を取得してもよい。一例として、レンズ情報取得手段は、画像の輝度情報、彩度情報、色相情報、等の少なくともいずれかに基づいて、レンズ情報を取得してもよい。
【0090】
<測定切換手段>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置は、測定切換手段(例えば、制御部70)を備える。測定切換手段は、光学特性取得手段によって眼鏡レンズの光学特性が取得される第1モード(例えば、光学特性測定モード)と、レンズ情報取得手段によって眼鏡レンズのレンズ情報が取得される第2モード(例えば、レンズ情報取得モード)と、を切り換える。例えば、測定切換手段は、第1モードと第2モードとを切り換えるための指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換える。一例として、測定切換手段は、操作者が操作手段を操作することで入力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。また、一例として、測定切換手段は、検出器の検出結果に基づいて出力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。例えば、この場合、測定切換手段は、検出器の検出結果に基づき、眼鏡レンズの光学特性が取得されたことによって出力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。また、例えば、この場合、測定切換手段は、検出器の検出結果に基づき、眼鏡レンズの種類を判定し、その判定結果に基づいて出力される指示信号に基づいて、第1モードと第2モードとを切り換えてもよい。これによって、眼鏡レンズに合わせて適切なモードを適用し、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを容易に取得することができる。
【0091】
なお、本開示は、眼鏡レンズの光学特性を測定するための測定光学系(例えば、測定光学系20)を備えた眼鏡レンズ測定装置に適用することが可能である。一例としては、眼鏡レンズに向けて光源から測定光束を投光し、眼鏡レンズを通過した測定光束を検出器にて検出することで、眼鏡レンズの光学特性を測定し、眼鏡レンズの周縁を加工するために用いるカップを、この測定結果に基づいて取り付けるカップ取付装置に適用してもよい。
【0092】
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
【0093】
<実施例>
本実施形態における眼鏡レンズ測定装置(以下、測定装置)の一実施例について説明する。本実施例では、測定装置1の左右方向をX方向、上下方向(鉛直方向)をY方向、前後方向をZ方向、として表す。
【0094】
図1は、測定装置1の外観図である。例えば、測定装置1は、筐体2、収納部3、モニタ4、等を備える。
【0095】
筐体2は、その内部に収納部3を有する。収納部3には、後述の眼鏡支持ユニット10、後述のレンズ測定ユニット、等が収納される。モニタ4は、各種の情報(例えば、レンズLEの光学特性、レンズLEの光学特性の分布、レンズLEの隠しマーク像65、等)を表示する。モニタ4は、タッチパネルである。すなわち、モニタ4は、操作部としての機能を兼ね、操作者が各種の設定(例えば、指標の間隔の変更、測定の開始、モードの切り換え、等)を行う際に用いられる。操作者によりモニタ4から入力された操作指示に応じた信号は、後述の制御部70に出力される。
【0096】
図2は、眼鏡支持ユニット10とレンズ測定ユニットとの概略図である。
【0097】
<支持ユニット>
眼鏡支持ユニット10は、眼鏡Fを載置するために用いる。例えば、眼鏡支持ユニット10は、位置決めピン11、前方支持部12、後方支持部13、等を備える。
【0098】
位置決めピン11は、眼鏡FにおけるレンズLEの後面に当接される。位置決めピン11は、レンズLEと、後述の透過型ディスプレイ24と、の位置関係を一定にする。また、位置決めピン11は、レンズLEと、後述の撮像素子27と、の位置関係を一定にする。
【0099】
前方支持部12は、眼鏡Fが装用された状態における前後方向(すなわち、眼鏡FのテンプルFTが伸びる方向)の中心より、前方の部位を支持する。例えば、前方支持部12は、眼鏡FのブリッジFBを支持する。なお、前方支持部12は、本実施例に限定されず、一例として眼鏡Fのリムを支持してもよい。後方支持部13は、眼鏡Fが装用された状態における前後方向の中心より、後方の部位を支持する。例えば、後方支持部13は、眼鏡FのテンプルFTを支持する。なお、後方支持部13は、本実施例に限定されず、一例として眼鏡FのモダンFMを支持してもよい。例えば、本実施例では、前方支持部12及び後方支持部13に、眼鏡Fのリムの上端を上方向に、眼鏡Fのリムの下端を下方向に向けて、眼鏡Fが載置される。
【0100】
なお、前方支持部12と、後方支持部13とは、基台5へ移動可能に配置されてもよい。例えば、前方支持部12は、図示なき駆動機構によって、上下方向(Y方向)へ移動可能に配置されてもよい。また、例えば、後方支持部13は、図示なき駆動機構によって、上下方向(Y方向)へ移動可能に配置されてもよい。例えば、前方支持部12と後方支持部13との少なくともいずれかを上下方向へ移動させることで、眼鏡Fが装用された状態における眼鏡Fの前傾角度を調節することができる。また、例えば、前方支持部12と後方支持部13との少なくともいずれかを上下方向へ移動させることで、眼鏡FのレンズLEの後面と、位置決めピン11の底面と、を平行(略平行)にすることができる。
【0101】
<レンズ測定ユニット>
レンズ測定ユニットは、眼鏡Fに枠入れされたレンズLEの光学特性を測定するために用いる。また、レンズ測定ユニットは、眼鏡Fに枠入れされたレンズLEの光学特性とは異なる情報を検出するために用いる。例えば、レンズ測定ユニットは、測定光学系20を備える。
【0102】
本実施例では、測定光学系20において、眼鏡Fの左レンズLElに測定光束を照射するための光源と、眼鏡Fの右レンズLErに測定光束を照射するための光源と、を兼用した光源21を用いる構成を例に挙げる。また、本実施例では、測定光学系20において、眼鏡Fの左レンズLElに照射された測定光束を検出するための撮像素子と、眼鏡Fの右レンズLErに照射された測定光束を検出するための撮像素子と、を兼用した撮像素子27を用いる構成を例に挙げる。なお、測定光学系20は、このような構成に限定されず、種々の構成を用いることが可能である。例えば、測定光学系20は、光源21、ハーフミラー22、コリメータレンズ23、透過型ディスプレイ24、再帰性反射部材25、撮像素子27、等を備える。
【0103】
光源21は、眼鏡FのレンズLEに向けて測定光束を照射する。コリメータレンズ23は、光源21からの測定光束を、光軸N1と平行(略平行)に整形する。
【0104】
透過型ディスプレイ24は、光源21からの測定光束を透過させることが可能な、透過率の高いディスプレイである。透過型ディスプレイ24は、後述の指標パターン30を表示可能である。例えば、透過型ディスプレイ24に指標パターン30を表示することで、光源21からの測定光束が透過型ディスプレイ24を透過した際、測定光束に指標パターン30が形成される。なお、例えば、透過型ディスプレイ24を非表示とすれば、光源21からの測定光束は透過型ディスプレイ24を素通りし、測定光束に指標パターン30は形成されない。
【0105】
本実施例では、透過型ディスプレイ24として、第1透過型ディスプレイ24aと、第2透過型ディスプレイ24bと、が設けられる。第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとは、各々の上下中央及び左右中央が、光軸L1と一致するように配置される。また、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとは、光軸N1方向に所定の距離ΔDをあけて配置される。
【0106】
再帰性反射部材25は、光源21からの測定光束を、入射方向と同一(略同一)の方向に反射させ、眼鏡FのレンズLEを後面から照明する。なお、再帰性反射部材25は、駆動機構26(例えば、モータ等)により、高速で回転されてもよい。これによって、再帰性反射部材25が有する、図示なきガラス小球、図示なき反射膜、等の分布のばらつきにより生じる反射ムラを、均一にすることができる。
【0107】
撮像素子27は、光源21からの測定光束が再帰性反射部材25により反射された反射光束を撮像する。撮像素子27の焦点は、眼鏡FのレンズLEの前面付近に合わせられている。このため、例えば、眼鏡FのレンズLEに形成された隠しマーク等が、ほぼ焦点の合った状態で撮像される。
【0108】
例えば、光源21からの測定光束は、ハーフミラー22を通過し、コリメータレンズ23により平行光束とされ、眼鏡FのレンズLEに到達する。続いて、測定光束は、レンズLEを通過する際に、レンズLEがもつ屈折力により収束あるいは発散され、透過型ディスプレイ24を透過して、再帰性反射部材25に到達する。さらに、測定光束は、再帰性反射部材25により反射され、再び、透過型ディスプレイ24、レンズLE、及びコリメータレンズ23、を通過し、ハーフミラー22に反射されて、撮像素子27へ到達する。撮像素子27は、各部材を経由した測定光束を撮像する。
【0109】
<指標パターン>
図3は、透過型ディスプレイ24に表示可能な指標パターン30の一例である。ここでは、第1透過型ディスプレイ24aに表示可能な第1指標パターン30aを例に挙げる。なお、第2透過型ディスプレイ24bに表示可能な第2指標パターン30bは、下記の構成と同一であるため、その説明を省略する。
【0110】
第1透過型ディスプレイ24aは、画面上に、指標31を表示可能とする。指標31は、周辺指標31aと、基準指標31bと、からなる。
【0111】
例えば、周辺指標31aは、予め、所定の形状、所定の位置、及び所定の個数、等で、基準指標31bの周辺に設けられる。本実施例では、周辺指標31aが、円形で形成される。また、本実施例では、周辺指標31aが、眼鏡Fの左レンズLElが配置される側の右領域33aと、眼鏡Fの右レンズLErが配置される側の左領域33bと、のそれぞれに配置される。なお、周辺指標31aは、光軸L1の通過位置Iを通る上下方向(Y方向)の軸に対し、左右対称となるように、右領域33aと左領域33bとのそれぞれに配置される。また、本実施例では、周辺指標31aが、多数配置される。
【0112】
例えば、基準指標31bは、周辺指標31aと区別することができればよく、予め、所定の形状、所定の位置、及び所定の個数、等で設けられる。本実施例では、基準指標31bが、周辺指標31aよりも大きな円形で形成される。また、本実施例では、基準指標31bが、光軸L1の通過位置Iを通る上下方向(Y方向)の軸に対し、左右対称となるように、右領域33aと左領域33bとのそれぞれに配置される。また、本実施例では、基準指標31bが、4個ずつ配置される。例えば、基準指標31bによって、各々の周辺指標31aの位置関係を特定しやすくなる。
【0113】
第1透過型ディスプレイ24aは、複数の指標31を表示することで、複数の指標31により形成される第1指標パターン30aを表現する。一例として、図3(a)のように、複数の指標31の間隔を距離S1とする、第1指標パターン30aを表現することができる。また、一例として、図3(b)のように、複数の指標31の間隔を、距離S1よりも短い距離S2とする、第1指標パターン30aを表現することができる。また、一例として、図3(c)のように、複数の指標31の間隔を、距離S1よりも長い距離S3とする、第1指標パターン30aを表現することができる。例えば、このような、複数の指標31の表示と非表示とは、後述の制御部70により制御される。
【0114】
なお、第1透過型ディスプレイ24aは、1個の指標31を表示単位(セグメント)として等間隔に並べ、各々のセグメントに電圧を印加するか否かで、複数の指標31により形成される第1指標パターン30aを表現してもよい。言い換えると、第1透過型ディスプレイ24aは、セグメント表示によって、複数の指標31により形成される第1指標パターン30aを表現してもよい。例えば、セグメントへ電圧が印加されると、指標31が表示される。例えば、セグメントへ電圧が印加されない、あるいは、セグメントへの電圧の印加が停止されると、指標31は非表示となる。例えば、各々の指標31は、印刷により形成されてもよい。
【0115】
例えば、第1透過型ディスプレイ24aに設けられたすべてのセグメントに対して電圧が印加されれば、すべてのセグメントにおいて指標31が表示される。この場合、複数の指標31の間隔を所定の距離(すなわち、複数の指標31で表すことができる最短の距離)とした、第1指標パターン30aを表現することができる。また、第1透過型ディスプレイ24aに設けられた特定のセグメントに電圧が印加されれば、特定のセグメントにのみ指標31が表示される。この場合、一例としては、1つ置きのセグメントに電圧を印加させ、複数の指標31の間隔を、前述した最短の距離よりも長い距離とした、第1指標パターン30aを表現することができる。もちろん、2つ置き、3つ置き、4つ置き、等のセグメントに電圧を印加させ、複数の指標31の間隔をより長い距離とした、第1指標パターン30aを表現することもできる。
【0116】
本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aの第1指標パターン30aと、第2透過型ディスプレイ24bの第2指標パターン30bと、が同一のパターンとなるように構成される。つまり、第1指標パターン30aにおける指標31の形状と、第2指標パターン30bにおける指標31の形状と、が同一となるように構成される。また、第1指標パターン30aにおける指標31の位置と、第2指標パターン30bにおける指標31の位置と、が同一となるように構成される。また、第1指標パターン30aにおける指標31の個数と、第2指標パターン30bにおける指標31の個数と、が同一となるように構成される。
【0117】
しかし、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aの第1指標パターン30aと、第2透過型ディスプレイ24bの第2指標パターン30bと、がその少なくとも一部を異なるパターンとするように構成されてもよい。つまり、第1指標パターン30aにおける指標31の形状と、第2指標パターン30bにおける指標31の形状と、が異なるように構成されてもよい。また、第1指標パターン30aにおける指標31の位置と、第2指標パターン30bにおける指標31の位置と、が異なるように構成されてもよい。また、第1指標パターン30aにおける指標31の個数と、第2指標パターン30bにおける指標31の個数と、が異なるように構成されてもよい。
【0118】
<指標パターン像>
例えば、光源21からの測定光束が撮像素子27により撮像されると、後述の制御部70により電気信号が処理され、撮像画像が得られる。
【0119】
図4は、第1透過型ディスプレイ24aに第1指標パターン30aを表示させることで得られる撮像画像の一例である。図4(a)は、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10に載置していない状態を表す。図4(b)は、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10に載置した状態を表す。図5は、第2透過型ディスプレイ24bに第2指標パターン30bを表示させることで得られる撮像画像の一例である。図5(a)は、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10に載置していない状態を表す。図5(b)は、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10に載置した状態を表す。
【0120】
なお、図4及び図5では、眼鏡FのレンズLEがマイナスレンズである場合を例に挙げ、眼鏡Fの右レンズLErに対する撮像画像を図示する。また、図4及び図5では、便宜上、第1指標パターン30aの形状と、第2指標パターン30の形状と、を異なる形状として図示する。
【0121】
まず、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10に載置していない基準状態について説明する。基準状態で第1透過型ディスプレイ24aに第1指標パターン30aを表示させると、光源21からの測定光束が、第1指標パターン30a状に形成される。このため、図4(a)に示すように、撮像画像としては、第1指標パターン30aの像(以下、第1指標パターン像41)を含む基準画像B1が取得される。また、基準状態で第2透過型ディスプレイ24bに第2指標パターン30bを表示させると、光源21からの測定光束が、第2指標パターン30b状に形成される。このため、図5(a)に示すように、撮像画像としては、第2指標パターン30bの像(以下、第2指標パターン像51)を含む基準画像B2が取得される。
【0122】
なお、本実施例において、第1指標パターン30aにおける複数の指標31の位置及び個数と、第2指標パターン30bにおける複数の指標31の位置及び個数と、は同一である。このため、基準状態では、基準画像B1における各々の指標像の画素位置と、基準画像B2における各々の指標像の画素位置と、が同一の位置となる。一例としては、第1指標パターン像41において、左から4個目かつ上から3個目の指標像に対応する点P1の画素位置と、第2指標パターン像51において、左から4個目かつ上から3個目の指標像に対応する点P2の画素位置と、が同一の位置となる。
【0123】
次に、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10に載置した測定状態について説明する。測定状態で第1透過型ディスプレイ24aに第1指標パターン30aを表示させると、光源21からの測定光束が第1指標パターン30a状に形成され、さらに、光源21からの測定光束がレンズLEの屈折力により屈折されて収束する。このため、図4(b)に示すように、撮像画像としては、少なくとも一部が基準状態よりも円形状に縮小された第1指標パターン像41と、右レンズLErの像(以下、右レンズ像60)と、を含む測定画像M1が取得される。また、測定状態で第2透過型ディスプレイ24bに第2指標パターン30bを表示させると、光源21からの測定光束が第2指標パターン30b状に形成され、さらに、光源21からの測定光束がレンズLEの屈折力により屈折されて収束する。このため、図5(b)に示すように、撮像画像としては、少なくとも一部が基準状態よりも円形状に縮小された第2指標パターン像51と、右レンズ像60と、を含む測定画像M2が取得される。
【0124】
なお、本実施例では、レンズLEから第1透過型ディスプレイ24aまでの距離よりも、レンズLEから第2透過型ディスプレイ24bまでの距離が遠くなるように、各々の透過型ディスプレイが配置されている。このため、測定状態では、測定画像M1における第1指標パターン像41よりも、測定画像M2における第2指標パターン像51が、小さな像として現れ、測定画像M1における各々の指標像の画素位置と、測定画像M2における各々の指標像の画素位置と、が異なる位置となる。一例としては、第1指標パターン像41において、左から4個目かつ上から3個目の指標像に対応する点P1’の画素位置と、第2指標パターン像51において、左から4個目かつ上から3個目の指標像に対応する点P2’の画素位置と、が異なる位置となる。
【0125】
例えば、上記では、眼鏡FのレンズLEをマイナスレンズとしたが、レンズLEがプラスレンズであれば、光源21からの測定光束がレンズLEの屈折力により屈折されて発散する。このため、測定状態では、少なくとも一部が基準状態よりも円形状に拡大された第1指標パターン像41と第2指標パターン像51が取得される。測定画像M1における第1指標パターン像41よりも、測定画像M2における第2指標パターン像51は、大きな像として現れる。また、レンズLEが乱視レンズであれば、少なくとも一部が基準状態よりも楕円形状に変化した第1指標パターン像41と第2指標パターン像51が取得される。また、レンズLEが累進レンズであれば、累進帯の屈折力に応じて変化した第1指標パターン像41と第2指標パターン像51が取得される。
【0126】
<制御部>
図6は、測定装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部70には、モニタ4、光源21、駆動機構26、撮像素子27、第1透過型ディスプレイ24a、第2透過型ディスプレイ24b、不揮発性メモリ75(以下、メモリ75)、等が電気的に接続されている。
【0127】
例えば、制御部70は、一般的なCPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等で実現される。例えば、CPUは、測定装置1における各部の駆動を制御する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されている。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0128】
メモリ75は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、メモリ75としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。例えば、メモリ75には、基準状態における基準画像B1及び基準画像B2、測定状態における測定画像M1及びM2、等が記憶される。
【0129】
<制御動作>
測定装置1の制御動作について説明する。
【0130】
操作者は、装用者の眼鏡Fを受け取り、眼鏡Fを眼鏡支持ユニット10へ載置する。また、操作者は、前方支持部12、後方支持部13、及び位置決めピン11、の少なくともいずれかを移動させ、眼鏡Fと測定光学系20との位置合わせを完了させる。
【0131】
続いて、操作者は、眼鏡FのレンズLEについて、その光学特性を取得するための光学特性測定モードと、その光学特性とは異なるレンズ情報を取得するためのレンズ情報取得モードと、のいずれかを設定する。操作者は、モニタ4を操作して、図示なきモード設定ボタンを選択する。制御部70は、モニタ4からの入力信号に応じ、光学特性測定モードあるいはレンズ情報取得モードのいずれかを設定する。
【0132】
<レンズの光学特性の取得>
以下、光学特性測定モードを詳細に説明する。光学特性測定モードでは、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとを表示させ、レンズLEに第1指標パターン30aと第2指標パターン30bとを投影することによって、レンズLEの光学特性が取得される。本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aを表示する際には、第2透過型ディスプレイ24bを非表示とし、第1透過型ディスプレイ24aを非表示とする際には、第2透過型ディスプレイ24bを表示し、レンズLEに第1指標パターン30aと第2指標パターン30bとを順に投影することによって、レンズLEの光学特性が取得される。
【0133】
光学特性測定モードが設定されると、制御部70は、光源21を点灯させる。また、制御部70は、第1透過型ディスプレイ24aに所定の第1指標パターン30aを表示させる。第2透過型ディスプレイ24bは非表示とし、所定の第2指標パターン30bを表示させない。光源21からの測定光束は、発散し、コリメータレンズ23により平行に整形され、左レンズLElと右レンズLErとへ同時に照射される。また、光源21からの測定光束は、左レンズLElと右レンズLErの各々で屈折され、第1透過型ディスプレイ24aを通過することにより第1指標パターン30a状に形成され、第2透過型ディスプレイ24bを素通りし、再帰性反射部材25により元の方向へ反射され、撮像素子27に到達する。制御部70は、撮像素子27の撮像結果に基づき、第1指標パターン像41と、左レンズ像と、右レンズ像60と、を含む測定画像M1を取得する。また、制御部70は、測定画像M1をメモリ75へ記憶させる。
【0134】
続いて、制御部70は、第1透過型ディスプレイ24aを非表示とし、第2透過型ディスプレイ24bに所定の第2指標パターン30bを表示させる。これによって、光源21からの測定光束は、左レンズLElと右レンズLErの各々で屈折され、第1透過型ディスプレイ24aを素通りし、第2透過型ディスプレイ24bを通過することにより第2指標パターン30b状に形成され、再帰性反射部材25により元の方向へ反射され、撮像素子27に到達する。制御部70は、撮像素子27の撮像結果に基づき、第2指標パターン像51と、左レンズ像と、右レンズ像60と、を含む測定画像M2を取得する。また、制御部70は、測定画像M1をメモリ75へ記憶させる。
【0135】
制御部70は、測定画像M1と測定画像M2とに基づいて、左レンズLElと右レンズLErの各々の光学特性を取得する。例えば、制御部70は、第1指標パターン像41と、第2指標パターン像51と、を形成する各々の指標像の間隔の変化量等から、左レンズLElと右レンズLErの各々の光学特性を取得する。
【0136】
図7は、光源21からの測定光束を示す模式図である。例えば、光源21からの測定光束(光線R1)は、レンズLEにおける点Q1の位置を通過することで、屈折される。なお、レンズLEにおける点Q1のXY方向の位置は、基準画像B1における所定の指標像の画素位置(例えば、点P1の画素位置)、及び、基準画像B2における所定の指標像の画素位置(例えば、点P2の画素位置)、に対応するため、基準画像B1と基準画像B2のいずれかに基づいて求めることができる。
【0137】
制御部70は、基準状態における基準画像B1の指標像が、眼鏡Fを載置して測定状態となったことで、測定画像M1のどこへ移動したのかを検出する。例えば、制御部70は、測定画像M1について、第1指標パターン像41を形成する各々の指標像の画素位置を検出する。また、例えば、制御部70は、測定画像M1における各々の指標像の画素位置と、基準画像B1における各々の指標像の画素位置と、を比較する。これによって、例えば、光線R1が第1透過型ディスプレイ24aを通過し、基準画像B1の点P1が、測定画像M1の点P1’へと移動されたことが検出される。
【0138】
同様に、制御部70は、基準状態における基準画像B2の指標像が、眼鏡Fを載置して測定状態となったことで、測定画像M2のどこへ移動したのかを検出する。例えば、制御部70は、測定画像M2について、第2指標パターン像51を形成する各々の指標像の画素位置を検出し、基準画像B2における各々の指標像の画素位置と比較する。これによって、例えば、光線R1が第2透過型ディスプレイ24bを通過し、基準画像B2の点P2が、測定画像M2の点P2’へと移動されたことが検出される。
【0139】
次に、制御部70は、光源21からの光線R1が、レンズLEにて屈折された屈折角度θを算出する。例えば、光線R1の屈折角度θは、第1透過型ディスプレイ24aから第2透過型ディスプレイ24bまでの距離ΔDと、光線R1が第1透過型ディスプレイ24aを通過したXY方向の点P1’の位置と、光線R1が第2透過型ディスプレイ24bを通過したXY方向の点P2’の位置と、を用いた三角関数から算出することができる。
【0140】
制御部70は、光源21からの測定光束が、レンズLEにおける少なくとも2点(本実施例では、点Q1と、点Q1とは異なる点Q2と、の2点)の位置を通過して屈折される、各々の屈折角度(すなわち、角度θ1と角度θ2)を上記のように算出する。また、制御部70は、レンズLEにおける少なくとも2点の位置に基づいて、レンズLEの焦点距離fの位置と、レンズLEの光学中心Oの位置と、を算出する。例えば、レンズLEの焦点距離fの位置、及び、レンズLEの光学中心Oの位置は、以下の数式により求めることができる。
【0141】
【数1】
【0142】
【数2】
【0143】
なお、レンズLEの光学中心Oの位置は、光線R2がレンズLEを通過する点Q2の位置と、光線R2がレンズLEにて屈折される屈折角度θ2と、を用いて求めることも可能である。
【0144】
図8は、レンズLEの経線方向を示す図である。制御部70は、レンズLEの光学中心Oの位置から、所定の経線方向へ、所定の距離だけ離れた位置に、任意の2点(図8では、点C1と点C2)を設定する。例えば、制御部70は、所定の角度α毎に、所定の経線方向を設定する。つまり、所定の角度αが45度であれば、経線方向は、それぞれ、0度、45度、90度、…、315度、と設定する。また、例えば、制御部70は、光学中心Oから点C1までの距離が、各経線方向において同じ距離となるように、所定の距離を設定する。また、例えば、制御部70は、光学中心Oから点C2までの距離が、各経線方向において同じ距離となるように、所定の距離を設定する。
【0145】
続いて、制御部70は、各経線方向における任意の2点から、各経線方向における焦点距離fの位置を算出し、各経線方向におけるレンズLEの屈折力Eを求める。レンズLEの屈折力Eは、焦点距離fの逆数として表される。また、制御部70は、レンズLEの屈折力Eを縦軸に、所定の角度αを横軸にプロットしたグラフを作成し、最小二乗法を用いた近似曲線を求める。例えば、このような近似曲線は、以下の数式となる。なお、式中のa、b、及びcは定数である。
【0146】
【数3】
【0147】
制御部70は、近似曲線に基づいて、レンズLEの光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、等)を取得する。また、制御部70は、レンズLEの光学特性をモニタ4に表示させる。
【0148】
なお、制御部70は、レンズLEの光学中心Oの位置を除く複数の位置において、上述した光線の屈折角度及び屈折力の算出を繰り返すことにより、レンズLEの光学特性の分布を取得してもよい。制御部70は、レンズLEの光学特性の分布を示すマップ画像をモニタ4に表示させてもよい。例えば、マップ画像は、測定画像M1または測定画像M2における左レンズ像と右レンズ像60とに重畳させることで、眼鏡フレームの像とともに呈示されてもよい。操作者は、これらの情報を確認することで、レンズLEの光学特性及びレンズLEの光学特性の分布を把握することができる。
【0149】
<レンズのレンズ情報の取得>
以下、レンズ情報取得モードを詳細に説明する。レンズ情報取得モードでは、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとを非表示とすることによって、レンズLEのレンズ情報が取得される。なお、ここでは、レンズLEのレンズ情報として、レンズLEの隠しマークを検出する場合を例に挙げる。
【0150】
レンズ情報取得モードが設定されると、制御部70は、光源21を点灯させる。また、制御部70は、第1透過型ディスプレイ24aと、第2透過型ディスプレイ24bと、を非表示にさせる。また、制御部70は、駆動機構26を駆動させ、再帰性反射部材25を高速で回転させる。光源21からの測定光束は、発散し、コリメータレンズ23により平行に整形され、左レンズLElと右レンズLErとへ同時に照射される。また、光源21からの測定光束は、左レンズLElと右レンズLErの各々で屈折され、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bを素通りし、再帰性反射部材25により元の方向へ反射され、撮像素子27に到達する。制御部70は、撮像素子27の撮像結果に基づく電気信号を処理し、測定画像M3を取得する。
【0151】
図9は、測定画像M3の一例である。例えば、測定画像M3は、左レンズ像と、右レンズ像60と、を含む画像として取得される。なお、本実施例では、光源21からの測定光束を、再帰性反射部材25を用いて反射させることで、左レンズLElと右レンズLErとの後面が照明される。このため、コントラストが高く、レンズ像(左レンズ像及び右レンズ像60)、後述の隠しマーク像65、等がはっきりと現れた測定画像M3を得ることができる。
【0152】
制御部70は、測定画像M3における輝度の立ち上がりや立ち下がりからエッジを検出し、隠しマーク像65を検出する。また、制御部70は、レンズLEの隠しマーク像65をモニタ4に表示させる。操作者は、隠しマーク像65を確認することで、レンズLEの、屈折率、加入度数、累進帯長、等を把握することができる。
【0153】
なお、本実施例では、操作者が光学特性測定モードとレンズ情報取得モードとのいずれかを手動で設定する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。もちろん、制御部70が光学特性測定モードとレンズ情報取得モードとのいずれかを自動で設定する構成であってもよい。一例として、制御部70は、レンズLEの種類に基づいて、レンズ情報取得モードを設定してもよい。
【0154】
制御部70は、第1指標パターン像41を含む測定画像M1を取得し、第1指標パターン像41を形成する各々の指標像の間隔の変化に基づいて、レンズLEの種類を判定する。例えば、レンズLEが球面レンズ(マイナスレンズまたはプラスレンズ)や乱視レンズであると、第1指標パターン像41を形成する各々の指標像の間隔は、一定の割合で拡大あるいは縮小される。このため、制御部70は、測定画像M1にて検出される指標像の間隔の距離K1が等距離(略等距離)の場合に、レンズLEが球面レンズまたは乱視レンズであると判定することができる。また、例えば、レンズLEが累進レンズであると、第1指標パターン像41を形成する各々の指標像の間隔は、累進帯の屈折力に応じ、遠点から近点に近づくほど狭くなる。このため、制御部70は、測定画像M1にて検出される指標像の間隔の距離K1が徐々に狭く(あるいは広く)なる場合に、レンズLEが累進レンズであると判定することができる。例えば、制御部70は、レンズLEを累進レンズと判定した際に、レンズ情報取得モードを設定して、レンズLEの隠しマーク像65を検出するようにしてもよい。
【0155】
<指標の間隔の変更>
レンズLEの光学特性を取得する場合、レンズLEの屈折力によっては、指標パターン像を形成する各々の指標像の間隔が大きく変化する。特に、レンズLEが高度数であるほど、レンズLEの屈折力が強いために、指標像の間隔が大きく変化する。
【0156】
一例として、レンズLEがマイナスレンズかつ高度数であるほど、各々の指標像は円形状に縮小され、指標像の間隔が狭くなる。この場合、測定画像において、隣接する指標像が重なる、あるいは、隣接する指標像が交差することがあり、互いを区別しにくくなる。例えば、レンズLEの光学特性をこのような状態で測定すると、光源からの測定光束が透過型ディスプレイを通過する位置情報を正確に得ることができず、一定の測定精度を保つことが難しい。
【0157】
また、一例として、レンズLEがプラスレンズかつ高度数であるほど、各々の指標像は円形状に拡大され、指標像の間隔が広くなる。この場合、測定画像において、十分な個数の指標像を得られないことがある。例えば、レンズLEの光学特性をこのような状態で測定すると、光源からの測定光束が透過型ディスプレイを通過する位置情報が不足し、一定の測定精度を保つことが難しい。
【0158】
そこで、本実施例では、測定画像における各々の指標像の間隔を検出し、その検出結果に基づいて、透過型ディスプレイに設けられた特定のセグメントへの電圧の印加を制御する。これにより、レンズLEに応じて、指標31の間隔を変更し、適切な指標パターンを表現することができる。
【0159】
以下、眼鏡FのレンズLEがマイナスレンズである場合を例に挙げ、指標31の間隔の変更について詳細に説明する。例えば、本実施例では、制御部70により、複数の指標31を所定の間隔で第1透過型ディスプレイ及び第2透過型ディスプレイに表示させる通常モードと、複数の指標31を
所定の間隔よりも広い間隔で第1透過型ディスプレイ及び第2透過型ディスプレイに表示させる広間隔モードと、のいずれかのモードが自動的に設定される。
【0160】
<通常モード>
以下、通常モードを詳細に説明する。制御部70は、レンズLEの光学特性を測定する際、始めに、通常モードを設定する。例えば、通常モードでは、複数の指標31を表示する各々のセグメントに対して1つ置きに電圧が印加され、複数の指標31の間隔を所定の距離S1とする第1指標パターン30a(図3(a)参照)が、第1透過型ディスプレイ24aに表示される。このとき、レンズLEがもつ屈折力により、各々の指標像(以下、第1指標像)の間隔が縮小された第1指標パターン像41を含む測定画像M1が取得される。例えば、制御部70は、測定画像M1を解析して、第1指標像の画素位置を検出し、隣接する第1指標像の画素位置に基づいて、第1指標像の間隔の距離K1(図4(b)参照)を算出する。
【0161】
制御部70は、第1指標像の間隔の距離K1が、所定の閾値として設定された距離を超えるか否かを判定する。例えば、制御部70は、第1指標像の間隔の距離K1が所定の閾値よりも長い場合に、距離K1が閾値未満であると判定する。また、制御部70は、第1指標像の間隔の距離K1が所定の閾値よりも短い場合に、距離K1が閾値を超えたと判定する。なお、所定の閾値は、実験やシミュレーション等により、予めメモリ75に記憶されていてもよい。
【0162】
制御部70は、第1指標像の間隔の距離K1を閾値未満と判定した場合、第1指標像の間隔が距離K1となった第1指標パターン像41を含む測定画像M1を、メモリ75に記憶させる。続いて、制御部70は、複数の指標31を表示する各々のセグメントに対して1つ置きに電圧を印加し、複数の指標31の間隔を所定の距離S1とする第2指標パターン30bを、第2透過型ディスプレイ24bに表示させる。これによって、各々の指標像(以下、第2指標像)の間隔が距離K2となった第2指標パターン像51を含む測定画像M2を取得し、メモリ75に記憶させる。制御部70は、これらの測定画像M1と測定画像M2とに基づき、レンズLEの光学特性を取得する。
【0163】
<広間隔モード>
以下、広間隔モードを詳細に説明する。例えば、広間隔モードは、前述の通常モードにおいて、第1指標像の間隔の距離K1が閾値を超えたと判定した場合に設定される。例えば、広間隔モードでは、複数の指標31を表示するすべてのセグメントに対して電圧が印加され、複数の指標31の間隔を所定の距離S1よりも長い距離とする第1指標パターン30aが、第1透過型ディスプレイ24aに表示される。
【0164】
例えば、制御部70は、第1指標像の間隔の距離K1が閾値を超えたと判定すると、第1透過型ディスプレイ24aにて複数の指標31を表示する各々のセグメントへの電圧の印加を変更し、複数の指標31を表示するすべてのセグメントに対して電圧を印加させる。これによって、例えば、複数の指標31の間隔を所定の距離S1よりも長い距離S3とする第1指標パターン30a(図3(c)参照)が、第1透過型ディスプレイ24aに表示されるようになる。このとき、レンズLEがもつ屈折力により、第1指標像の間隔が距離K1よりも長い距離となった第1指標パターン像41を含む測定画像M1が取得されるようになる。制御部70は、この測定画像M1をメモリ75に記憶させる。
【0165】
続いて、制御部70は、複数の指標31を表示するすべてのセグメントに対して電圧を印加し、複数の指標31の間隔を所定の距離S1よりも長い距離S3とする第2指標パターン30bを、第2透過型ディスプレイ24bに表示させる。これによって、第2指標像の間隔が距離K2よりも長い距離となった第2指標パターン像51を含む測定画像M2が取得される。制御部70は、この測定画像M2をメモリ75に記憶させる。
【0166】
制御部70は、このように、レンズLEに応じて複数の指標31の間隔を変更することで、適切な測定画像M1と測定画像M2とを取得し、これらの測定画像に基づいて、レンズLEの光学特性を取得する。
【0167】
なお、上記では、広間隔モードを、第1指標像の間隔の距離K1が閾値を超えたと判定した場合に設定する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、広間隔モードは、第1指標像の間隔の距離K1が第1指標像の重なり等で検出されなかった場合に設定されてもよい。
【0168】
また、上記では、複数の指標31の間隔を所定の距離S1とする第1指標パターン30aを第1透過型ディスプレイ24aに表示し、この際に検出される第1指標像の間隔の距離K1が閾値を超えたか否かに基づいて、通常モードから広間隔モードへと自動的に切り換えられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。もちろん、複数の指標31の間隔を所定の距離S1とする第2指標パターン30bを第2透過型ディスプレイ24bに表示し、この際に検出される第2指標像の間隔の距離K2が、予め設定された閾値を超えたか否かに基づいて、通常モードから広間隔モードへと自動的に切り換えられる構成としてもよい。例えば、通常モードで測定画像M1が取得された後、広間隔モードで測定画像M2が取得された場合には、広間隔モードにて、再度、測定画像M1が取得されてもよい。
【0169】
以上、説明したように、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、光源からの測定光束を透過させ、複数の指標が配列されることで形成される指標パターンを表示可能とする透過型ディスプレイを備え、透過型ディスプレイに指標パターンを表示させることで、眼鏡レンズの光学特性を取得し、透過型ディスプレイに指標パターンの少なくとも一部を表示させないことで、眼鏡レンズのレンズ情報(一例として、隠しマーク情報)を取得する。これによって、例えば、光学特性あるいはレンズ情報を得るための光学系を各々に設けたり、複雑な制御を必要としたりせず、容易な構成で、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを取得することができる。
【0170】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、第1指標パターンを表示可能な第1透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な第2透過型ディスプレイであって、第1透過型ディスプレイとは光軸方向に異なる位置に配置される第2透過型ディスプレイと、を有し、第1透過型ディスプレイを透過してさらに第2透過型ディスプレイを透過した測定光束を、検出器にて検出する。例えば、透過型ディスプレイを光軸方向の異なる位置に設けることによって、眼鏡レンズあるいは透過型ディスプレイを光軸方向に移動させるため機構を設けることなく、容易な構成で、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。より詳細には、光源からの測定光束が眼鏡レンズの屈折力により屈折された屈折角度を求め、これに基づいて、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。
【0171】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、第1指標パターンを表示可能な第1透過型ディスプレイと、第2指標パターンを表示可能な第2透過型ディスプレイと、において、第1指標パターンを表示させる際は、第2指標パターンの少なくとも一部を非表示とし、第1指標パターンの少なくとも一部を非表示とする際は、第2指標パターンを表示させる。これによって、第1指標パターン像と第2指標パターン像とが重ならず、各々の指標パターン像(指標像)の位置を正確に検出することができるため、光学特性が精度よく測定される。
【0172】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、光源から眼鏡レンズに向けて照射され、眼鏡レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束を入射方向へ反射させて戻すことによって、眼鏡レンズを照明することが可能な再帰性反射部材を備え、光源からの測定光束が再帰性反射部材に反射された反射光束を、検出器にて検出する。これによって、眼鏡レンズ像、及び、眼鏡レンズに投影された指標パターン像(指標像)を、コントラストが高い状態で得ることができ、これらの像の検出精度を向上させることができる。
【0173】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、眼鏡レンズの光学特性を取得する第1モードと、眼鏡レンズのレンズ情報を取得する第2モードと、を切り換える。このため、例えば、眼鏡レンズに合わせて適切なモードを適用し、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを容易に取得することができる。
【0174】
また、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、光源から眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの双方に向けて測定光束を照射し、左レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、右レンズと透過型ディスプレイとを経由した測定光束と、を検出器にて検出する。このため、測定光学系を容易な構成とし、簡単な制御によって、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを取得することができる。なお、例えば、眼鏡レンズの左レンズと右レンズとの双方に向けて測定光束を同時に照射する構成であれば、左レンズと右レンズとに向けて順に測定光束を照射する構成において必要となる、眼鏡レンズを移動させるための機構を設けなくてもよい。このため、測定光学系を、より容易な構成、かつ、より簡単な制御によって、眼鏡レンズの光学特性とレンズ情報とを取得することができる。
【0175】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、複数の指標の間隔を任意に設定可能とし、任意の間隔をもつ複数の指標が配列されることにより形成される指標パターンを、透過型ディスプレイに表示させる。これにより、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像を得て、光学特性を精度よく取得することができる。また、眼鏡レンズの広範囲の光学特性を測定する場合や、眼鏡レンズの光学特性の分布を取得する場合においても、光学特性を精度よく取得することができる。
【0176】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、光源からの測定光束を検出する検出器の検出結果に基づいて、指標パターンを形成する指標の間隔を設定する。これによって、指標の間隔が自動的に設定され、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像を、容易に取得することができる。
【0177】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、眼鏡レンズに指標が投影された指標パターン像を検出し、指標パターン像の検出結果に基づいて、指標パターンを形成する複数の指標の間隔を設定する。例えば、これによって、眼鏡レンズに投影された指標パターン像における複数の指標像の間隔や形状に基づき、眼鏡レンズに応じた指標の間隔を適切に設定することができる。また、例えば、これによって、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像が取得され、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。
【0178】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、検出器の検出結果が所定の閾値を超えるか否かに基づいて、指標パターンを形成する複数の指標の間隔を設定する。これによって、眼鏡レンズに応じて自動的に複数の指標の間隔が切り換えられ、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像を容易に取得し、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。なお、このような指標の間隔の設定は、眼鏡レンズを載置した後に、光学特性の測定の開始から完了までを自動で行うフルオート化された装置において、特に効果的に用いることができる。
【0179】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、指標パターンを形成する複数の指標の第1間隔と、複数の指標の第1間隔とは異なる第2間隔と、を設定可能である。このため、様々な眼鏡レンズに対応させて、少なくとも2つの指標の間隔を使い分けることができる。
【0180】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、第1間隔をもつ複数の指標により形成される第1指標パターンと、第2間隔をもつ複数の指標により形成される第2指標パターンと、のいずれかを、切り換えられたモードに応じて、透過型ディスプレイに表示させる。このため、例えば、所定の指標の間隔をもつ指標パターンを投影することで、光学特性を精度よく取得することができる眼鏡レンズと、所定の指標の間隔をもつ指標パターンを投影することでは、光学特性を精度よく取得すること難しい眼鏡レンズと、のいずれの眼鏡レンズにも対応することができる。
【0181】
<変容例>
なお、本実施例では、測定光学系20を用いて、眼鏡フレームに枠入れされたレンズLEに対し、光学特性の測定と、隠しマーク像65の検出と、を行う構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、測定光学系20を用いて、眼鏡フレームに枠入れされていない未加工のレンズに対し、光学特性の測定と、隠しマーク像65の検出と、を行う構成としてもよい。なお、この場合、未加工レンズのレンズ情報としては、未加工レンズに形成された隠しマーク像の他、未加工レンズに付された印点、未加工レンズに付されたプリントマーク、等を検出してもよい。
【0182】
なお、本実施例では、光軸方向の異なる位置に配置された2枚の透過型ディスプレイ(第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24b)を備える測定光学系20を用いて、レンズLEの光学特性を取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、光軸方向の所定の位置に1枚の透過型ディスプレイを配置した測定光学系を用いて、レンズLEの光学特性を取得する構成としてもよい。
【0183】
図10は、1枚の透過型ディスプレイを備える測定光学系の一例である。1枚の透過型ディスプレイを備える測定光学系とする場合には、透過型ディスプレイ24’を光軸N1方向へ移動させるための移動機構28(例えば、モータ等)を設けてもよい。これによって、2枚の透過型ディスプレイを用いたときと同様に、レンズLEから透過型ディスプレイまでの距離が異なる2枚の測定画像が得られる。
【0184】
例えば、制御部70は、透過型ディスプレイ24’に所定の指標パターンを表示させ、透過型ディスプレイ24’をレンズLEから近い初期位置T1に配置する。この状態で、指標パターン像、左レンズ像、及び右レンズ像を含む、初期位置T1での測定画像が取得される。また、例えば、制御部70は、透過型ディスプレイ24’に所定の指標パターンを表示させたまま、移動機構28を制御して透過型ディスプレイ24’を距離ΔDだけ移動させ、透過型ディスプレイ24’をレンズLEから遠い移動位置T2に配置する。この状態で、指標パターン像、左レンズ像、及び右レンズ像を含む、移動位置T2での測定画像が取得される。制御部70は、これらの測定画像に基づき、レンズLEの焦点距離fの位置、レンズLEの光学中心Oの位置、レンズLEの屈折力E、等を求めることで、レンズLEの光学特性を取得することができる。
【0185】
なお、上記では、透過型ディスプレイ24’を光軸N1方向へ移動させるための移動機構28を設けたが、レンズLEを光軸N1方向へ移動させるための移動機構を設けてもよい。これによっても、レンズLEから透過型ディスプレイまでの距離が異なる2枚の測定画像が得られるので、これらの測定画像に基づいて、レンズLEの光学特性を取得することができる。
【0186】
また、上記では、透過型ディスプレイ24’を光軸N1方向へ移動させるための移動機構28を設けたが、透過型ディスプレイ24’を移動させない構成としてもよい。この場合、光源21からの測定光束が、レンズLEを通過したXY方向の点と、透過型ディスプレイ24’を通過したXY方向の点と、レンズLEから透過型ディスプレイ24’までの距離と、に基づいて、レンズLEの光学特性を取得することができる。例えば、図7における第1透過型ディスプレイ24aの点P1’をレンズLEの点Q1に置き換え、第1透過型ディスプレイ24aから第2透過型ディスプレイ24bまでの距離ΔDをレンズLEから第2透過型ディスプレイ24bまでの距離に置き換え、同様の処理を行うことで、レンズLEの光学特性を取得することができる。
【0187】
なお、本実施例では、光源21からの測定光束が左レンズLElと右レンズLErに導光される光路と、を共通光路とする構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、光源からの測定光束が左レンズLElに導光される光路と、光源からの測定光束が右レンズLErに導光される光路と、を異なる光路とする構成としてもよい。
【0188】
図11は、光源からの測定光束が、左レンズLElに導光される光路と、右レンズLErに導光される光路と、を異なる光路とする構成の一例である。測定光学系は、左右一対の光源(第1光源211と第2光源212)と、左右一対の撮像素子(第1撮像素子271と第2撮像素子272)と、を備えてもよい。例えば、第1光源211からの測定光束を左レンズLElに照射し、左レンズLEl及び透過型ディスプレイ24を経由して、再帰性反射部材25に反射された測定光束を、第1撮像素子271に撮像させる。また、例えば、第2光源212からの測定光束を右レンズLErに照射し、右レンズLEr及び透過型ディスプレイ24を経由して、再帰性反射部材25に反射された測定光束を、第2撮像素子272に撮像させる。
【0189】
例えば、このように、左右一対の光源と、左右一対の撮像素子と、を備える構成とする場合、コリメータレンズ、透過型ディスプレイ24、再帰性反射部材25、等の少なくともいずれかは、左右の光路に各々配置してもよいし、左右の光路にて兼用してもよい。一例として、図11のように、左右の光路にコリメータレンズ(コリメータレンズ231とコリメータレンズ232)を各々配置し、左右の光路にて透過型ディスプレイ24と再帰性反射部材25とを兼用してもよい。
【0190】
例えば、左右一対の光源と、左右一対のコリメータレンズと、を設けることによって、光源211からの測定光束はコリメータレンズ231の中心付近を通過し、光源212からの測定光束はコリメータレンズ232の中心付近を通過する。このため、光源からの測定光束がコリメータレンズを通過することで発生する収差を抑え、測定精度への影響を小さくすることができる。また、径の小さなコリメータレンズを用いることができるため、測定光学系を安価に構成することができる。
【0191】
例えば、左右一対の撮像素子を設けることによって、左レンズLElと右レンズLErとの各々に対し、検出器の画素数を有効に用いることができ、指標パターン像(指標像)の位置をより正確に検出して、光学特性の測定精度を向上させることができる。例えば、左右一対の撮像素子を備える構成であれば、左レンズLElを経由した測定光束と、右レンズLErを経由した測定光束と、を区別する必要がないため、より簡単な制御によって、レンズLEの光学特性とレンズ情報とを取得することができる。
【0192】
なお、上記では、測定光学系20が、左右一対の光源と、左右一対の撮像素子と、を備える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、1つの光源と、左右一対の撮像素子と、を備えてもよい。例えば、この場合、光源から照射された測定光束を、左レンズLElに導光する光路と、右レンズLErに導光する光路と、にハーフミラー等により分岐させ、各々の光路を通過した測定光束を、第1撮像素子271と第2撮像素子272とで撮像してもよい。また、例えば、左右一対の光源と、1つの撮像素子と、を備えてもよい。例えば、この場合、光源211から照射されて左レンズLElに導光された測定光束と、光源212から照射されて右レンズLErに導光された測定光束と、をハーフミラー等により結合し、撮像素子にて撮像してもよい。
【0193】
なお、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aを表示させた際に第2透過型ディスプレイ24bを非表示とし、第1透過型ディスプレイ24aを非表示とした際に第2透過型ディスプレイ24bを表示させることで、レンズLEの光学特性を取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとをいずれも表示させることで、レンズLEの光学特性を取得する構成としてもよい。
【0194】
この場合、光源21からの測定光束には、第1透過型ディスプレイ24aを通過することで第1指標パターン40aが形成され、さらに、第2透過型ディスプレイ24bを通過することで第2指標パターン40bが形成されるため、第1指標パターン像41と第2指標パターン像51とをともに含む1枚の測定画像が取得される。なお、第1指標パターン40aを形成する指標31と、第2指標パターン40bを形成する指標31と、を異なる形状、異なる位置、異なる個数、の少なくともいずれかとしておき、測定画像における第1指標パターン像41と第2指標パターン像51とを区別しやすくしてもよい。
【0195】
例えば、制御部70は、1枚の測定画像から第1指標パターン像41と第2指標パターン像51とをそれぞれ検出することによって、2枚の透過型ディスプレイの一方を表示して他方を非表示としたときと同様に、第1指標パターン像41を含む測定画像M1と、第2指標パターン像51を含む測定画像M2と、をそれぞれ得ることができる。制御部70は、これらの測定画像に基づき、レンズLEの焦点距離fの位置、レンズLEの光学中心Oの位置、レンズLEの屈折力E、等を求めることで、レンズLEの光学特性を取得することができる。
【0196】
また、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとをいずれも非表示とすることで、レンズLEの隠しマーク像65を検出する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとの一部を非表示とすることで、レンズLEの隠しマーク像65を検出する構成としてもよい。この場合、第1指標パターン像41及び第2指標パターン像51が、隠しマーク像65に重複しないように、各透過型ディスプレイの一部が非表示とされればよい。一例として、制御部70は、測定画像から左レンズ像及び右レンズ像60を検出し、左レンズ像及び右レンズ像60の内側に位置する指標像に対応する指標31を非表示として、レンズLEの隠しマーク像65を検出してもよい。
【0197】
なお、本実施例では、光源21からの測定光束を再帰性反射部材25により反射させ、レンズLEを照明することで、レンズLEの隠しマーク像65を検出する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、光源としてディスプレイを用い、このディスプレイを点灯させてレンズLEを照明するとともに、このディスプレイに第1指標パターン30a及び第2指標パターン30bとは異なる照射パターンを表示させてレンズLEに照射パターンを投影することによって、レンズLEの隠しマーク像65を検出する構成としてもよい。
【0198】
図12は、光源としてディスプレイ28を用いる構成の一例である。例えば、光源としてディスプレイ28を用いる場合には、レンズLEの後面側に、光源28と、第1透過型ディスプレイ24aと、第2透過型ディスプレイ24bと、を配置し、レンズLEの前面側に、撮像素子27を配置してもよい。ディスプレイ28から照射された測定光束は、2枚の透過型ディスプレイと、レンズLEと、を経由して、撮像素子27に撮像される。
【0199】
図13は、ディスプレイ28に表示可能な照射パターン80の一例である。図13(a)は、ディスプレイ28に表示する照射パターン80の位置を移動させたときの測定画像M4である。図13(b)は、複数の撮像画像を処理することにより得られる処理画像M5である。照射パターン80は、明暗の異なる照射パターンであればよい。図13では、縞模様の照射パターン80を例に挙げるが、格子模様の照射パターン等であってもよい。
【0200】
例えば、制御部70は、ディスプレイ28に照射パターン80を表示させ、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとを非表示にする。これによって、ディスプレイ28から照射された測定光束は、2枚の透過型ディスプレイを素通りし、レンズLEにより屈折され、撮像素子27に到達する。制御部70は、撮像素子27の撮像結果に基づく電気信号を処理し、測定画像M4を取得する。例えば、ディスプレイ28から照射された測定光束は、レンズLEに形成された隠しマーク(あるいは、レンズLE上のキズ、等)により散乱され、撮像素子27に撮像されなくなる。このため、測定画像M4においては、照射パターン80と隠しマーク像50とが重なる部分において、隠しマーク像50が部分的に観察されるようになる。例えば、制御部70は、ディスプレイ28の表示を制御し、照射パターン80を所定の画素位置ずつ移動させ、複数の測定画像M4を取得してもよい。また、例えば、制御部70は、複数の測定画像M4をそれぞれ解析して処理画像M5を取得し、隠しマーク像65の全形を検出してもよい。
【0201】
なお、光源としてディスプレイ28を用いる構成とした場合、ディスプレイ28を点灯させ、照射パターン80を非表示とすることによって、レンズLEに照射パターンを投影させずに、レンズLEを照明することができる。この状態で、第1透過型ディスプレイ24aにおける第1指標パターン30aの表示及び非表示と、第2透過型ディスプレイ24bにおける第2指標パターン30bの表示及び非表示と、を制御し、各々の測定画像に基づいて、レンズLEの光学特性を求めてもよい。
【0202】
また、光源としてディスプレイ28を用いる構成とした場合、第2透過型ディスプレイ24bと、ディスプレイ28と、を兼用することも可能である。すなわち、第1透過型ディスプレイ24aにおいて第1指標パターン30aを表示させ、第1指標パターン像41を含む測定画像M1を取得し、ディスプレイ28において第2指標パターン30bを表示させ、第2指標パターン像51を含む測定画像M2を取得してもよい。これによっても、レンズLEの光学特性を求めることができる。
【0203】
例えば、光源としてディスプレイ28を用いることにより、レンズ像、及び、レンズLEに投影された指標パターン像(指標像)を、コントラストが高い状態で得ることができ、これらの像の検出精度を向上させることができる。なお、レンズLEを再帰性反射部材25により照明する構成では、光源21から照射された測定光束の光路を分岐させて撮像素子27へと導光する必要があり、光量が減少する。しかし、例えば、レンズLEをディスプレイ28により照明する場合には、ディスプレイ28から照射された測定光路を分岐させることなく撮像素子27へと導光できるため、光量の減少を抑え、これらの像の検出精度をより向上させることができる。
【0204】
なお、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24a及び第2透過型ディスプレイ24bにおいて、光源21からの測定光束が、指標31により遮光され、指標31以外の領域を透過するように、指標パターンを表示する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、光源21からの測定光束が、指標31を透過し、指標31以外の領域を遮光するように、指標パターンを表示する構成としてもよい。この場合には、レンズLEや透過型ディスプレイに付着した埃、再帰性反射部材25による反射ムラ、等が指標パターンに映り込むことが抑えられるため、指標像の画素位置をより精度よく検出することができる。
【0205】
なお、本実施例においては、偏光特性をもった透過型ディスプレイが用いられてもよい。この場合、レンズLEにおける偏光方向が、測定装置1におけるY方向となるように、透過型ディスプレイが配置されてもよい。例えば、偏光サングラスはレンズの上下方向(測定装置1におけるY方向)の偏光のみを通過させるため、透過型ディスプレイをこのような構成にしておくことで、偏光サングラスの光学特性を測定する際であっても、透過型ディスプレイを透過することで偏光となった測定光束を効率よく通過させることができる。
【0206】
なお、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aにおける指標31の間隔を、測定画像M1における第1指標像の間隔の距離K1に基づいて変更する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aにおける指標31の間隔を、測定画像M1における第1指標像の形状に基づいて変更する構成としてもよい。例えば、制御部70は、測定画像M1における輝度の立ち上がりや立ち下がりからエッジを検出して、第1指標像の形状を検出してもよい。
【0207】
例えば、レンズLEがマイナスレンズかつ高度数であるほど、レンズLEの屈折力によって第1指標像が縮小されるため、撮像素子27が各々の第1指標像を表現する際に用いる画素数が少なくなる。このため、測定画像M1における第1指標像が粗くなり、第1指標像が変形する。そこで、制御部70は、指標31の間隔を変更するか否かの判定に、測定画像M1における第1指標像の形状を用い、第1指標像が変形していることを検出した場合に、指標31の間隔を変更する構成としてもよい。
【0208】
なお、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aにおける指標31の間隔を、測定画像M1における第1指標像の検出結果(すなわち、第1指標像の間隔、あるいは、第1指標像の形状)に基づいて変更する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aにおける指標31の間隔を、レンズLEの光学特性に基づいて変更する構成としてもよい。この場合、制御部70は、まず、測定画像M1における第1指標像の間隔や形状に関わらず、測定画像M1を取得し、測定画像M2における第2指標像の間隔や形状に関わらず、測定画像M2を取得してもよい。制御部70は、これらの測定画像M1と測定画像M2とに基づいて、レンズLEの光学特性を取得する。一例として、レンズLEの屈折度数を取得する。
【0209】
ここで、制御部70は、レンズLEの屈折度数が、予め所定の閾値として設定された屈折度数を超えるか否かを判定する。例えば、制御部70は、レンズLEの屈折度数が、所定の閾値よりも小さな場合に、レンズLEの屈折度数が所定の閾値未満であると判定してもよい。また、例えば、制御部70は、レンズLEの屈折度数が、所定の閾値よりも大きな場合に、レンズLEの屈折度数が所定の閾値を超えたと判定してもよい。例えば、制御部70は、レンズLEの屈折度数が所定の閾値を超えたと判定した際に、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとにおける指標31の間隔を変更し、再度、測定画像M1と測定画像M2とを取得することによって、レンズLEの光学特性を取得してもよい。
【0210】
例えば、このように、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、眼鏡レンズの屈折度数を演算し、屈折度数の演算結果に基づいて、指標パターンを形成する複数の指標の間隔を設定してもよい。これによって、眼鏡レンズの屈折度数に応じた指標の間隔を適切に設定することができる。また、これによって、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像が取得され、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。
【0211】
また、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aにおける指標31の間隔を、レンズLEの種類に基づいて変更する構成としてもよい。この場合、制御部70は、測定画像M1における第1指標像の間隔や形状に関わらず、測定画像M1を取得する。例えば、制御部70は、基準画像B1と、この測定画像M1と、を比較し、基準画像B1における指標像に対する、測定画像M1における第1指標像の変化に基づいて、レンズLEの種類を判定する。一例として、制御部70は、基準画像B1における指標像に対し、測定画像M1における第1指標像が縮小されていた場合に、レンズLEがマイナスレンズであると判定してもよい。また、一例として、制御部70は、基準画像B1における指標像に対し、測定画像M1における第1指標像が拡大されていた場合に、レンズLEがプラスレンズであると判定してもよい。
【0212】
例えば、制御部70は、レンズLEがマイナスレンズであると判定した際に、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとにおける指標31の間隔を変更してもよい。例えば、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとにおける指標31の間隔を広く変更してもよい。これによって、測定画像M1と測定画像M2とを取得し、レンズLEの光学特性を取得してもよい。また、例えば、制御部70は、レンズLEがプラスレンズであると判定した際に、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとにおける指標31の間隔を変更してもよい。例えば、第1透過型ディスプレイ24aと第2透過型ディスプレイ24bとにおける指標31の間隔を狭く変更してもよい。これによって、測定画像M1と測定画像M2とを取得し、レンズLEの光学特性を取得してもよい。
【0213】
例えば、このように、本実施例における眼鏡レンズ測定装置は、眼鏡レンズがマイナスレンズまたはプラスレンズのいずれであるかを判定し、判定結果に基づいて、指標パターンを形成する複数の指標の間隔を設定してもよい。これによって、眼鏡レンズの種類に応じた指標の間隔を適切に設定することができる。また、これによって、眼鏡レンズに応じた適切な指標パターン像が取得され、眼鏡レンズの光学特性を精度よく取得することができる。
【0214】
なお、本実施例では、第1透過型ディスプレイ24aにおける指標31の間隔を変更するための所定の閾値を設け、所定の閾値を超える場合に、指標31の間隔を変更する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、撮像素子にて検出される撮像結果と、第1透過型ディスプレイ24aに表示される指標31の間隔と、を対応付けたテーブル等を利用して、指標31の間隔を変更してもよい。すなわち、撮像素子にて検出される検出結果に応じて、指標31の間隔を変更してもよい。例えば、テーブルは、実験やシミュレーションの結果等から、予め設定されていてもよい。
【0215】
なお、本実施例では、レンズLEがマイナスレンズである際に、第1指標像の間隔の距離K1に基づいて、通常モードと広間隔モードとを切り換える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、レンズLEがプラスレンズである際に、第1指標像の間隔の距離K1に基づいて、通常モードと狭間隔モードとを切り換える構成としてもよい。例えば、狭間隔モードでは、複数の指標31を表示する各々のセグメントに対して2つ置きに電圧が印加され、複数の指標31の間隔を所定の距離S1よりも短い距離とする第1指標パターン30aが、第1透過型ディスプレイ24aに表示されてもよい。もちろん、本実施例では、通常モード、広間隔モード、及び狭間隔モードを設け、第1指標像の間隔の距離K1に基づいて、これらのいずれかのモードを切り換えて適用する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0216】
1 眼鏡レンズ測定装置
10 眼鏡支持ユニット
20 測定光学系
21 光源
24 透過型ディスプレイ
26 再帰性反射部材
27 撮像素子
70 制御部
75 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図13