IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
  • 特許-画像形成装置 図7
  • 特許-画像形成装置 図8
  • 特許-画像形成装置 図9
  • 特許-画像形成装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G03G21/16 133
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020020302
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021124697
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】一柳 雅生
(72)【発明者】
【氏名】飯野 光
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-328302(JP,A)
【文献】特開2011-252947(JP,A)
【文献】特開2017-032807(JP,A)
【文献】特開2016-126027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
回動軸を中心に前記本体に回動可能に取り付けられたトップカバーと、
前記トップカバーに取り付けられ、前記回動軸が延びる第1方向に延びるとともに前記第1方向に延びるレバー軸を中心に閉位置と開位置との間で回動可能な操作レバーと、
前記トップカバーに取り付けられ、第1軸を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能な第1ロック部材であって、前記第1方向における前記操作レバーの一方の端部と係合する第1ロック部材と、
前記トップカバーに取り付けられ、第2軸を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能な第2ロック部材であって、前記第1方向における前記操作レバーの他方の端部と係合する第2ロック部材と、を備え
前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記操作レバーが前記閉位置から前記開位置へ回動すると、前記ロック位置から前記アンロック位置へ回動し、
前記第1軸および前記第2軸は、前記第1方向に直交する第2方向に延びており、
前記第1ロック部材は、
前記トップカバーに前記第1軸を中心に回動可能に支持される第1シャフト部と、
前記第1シャフト部から前記第1方向および前記第2方向に直交する下方に延びるロック本体と、
前記ロック位置において前記本体に係止され、前記アンロック位置において前記本体に係止されない係止部であって、前記第1方向に延びる係止部と、を有し、
前記第2ロック部材は、
前記トップカバーに前記第2軸を中心に回動可能に支持される第2シャフト部と、
前記第2シャフト部から下方に延びるロック本体と、
前記ロック位置において前記本体に係止され、前記アンロック位置において前記本体に係止されない係止部であって、前記第1方向に延びる係止部と、を有し、
前記操作レバーは、前記第1方向に延びるレバー本体と、前記トップカバーを開けるために操作される操作部と、を有し、前記操作部は、前記レバー本体から下方に延びており、
前記回動軸は、前記トップカバーの前記第2方向における一方の端部に位置し、前記操作部は、前記トップカバーの前記第2方向における他方の端部に位置し、
前記操作部の下端を前記回動軸から遠ざかるように回動させることで、前記操作レバーが前記レバー軸を中心に閉位置から開位置に回動し、前記第1ロック部材および前記第2ロック部材がそれぞれ第1軸および第2軸を中心にロック位置からアンロック位置に回動し、前記トップカバーが前記回動軸を中心に回動して上方に開かれることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1ロック部材は、
前記操作レバーが当接する当接部を有し、
前記第2ロック部材は、
前記操作レバーが当接する当接部を有し、
前記操作レバーが前記閉位置から前記開位置へ移動すると、前記当接部が前記操作レバーによって押されることにより前記第1ロック部材および前記第2ロック部材が回動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
本体と、
回動軸を中心に前記本体に回動可能に取り付けられたカバーと、
前記カバーに取り付けられ、前記回動軸が延びる第1方向に延びるとともに閉位置と開位置との間で移動可能な操作レバーと、
前記カバーに取り付けられ、第1軸を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能な第1ロック部材であって、前記第1方向における前記操作レバーの一方の端部と係合する第1ロック部材と、
前記カバーに取り付けられ、第2軸を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能な第2ロック部材であって、前記第1方向における前記操作レバーの他方の端部と係合する第2ロック部材と、を備え
前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記操作レバーが前記閉位置から前記開位置へ移動すると、前記ロック位置から前記アンロック位置へ回動し、
前記第1軸および前記第2軸は、前記第1方向に直交する第2方向に延びており、
前記操作レバーは、前記閉位置と前記開位置との間でレバー軸を中心に回動可能となっており、
前記カバーは、第1フレームと第2フレームとを有し、前記操作レバーは、前記レバー軸を中心に回動可能な軸部を有し、前記軸部は、前記第1フレームと前記第2フレームとに挟まれて支持されており、
前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記カバーに回動可能に支持されるシャフト部をそれぞれ有し、
前記シャフト部は、前記第1フレームと前記第2フレームとに挟まれて支持されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ロック部材は、
前記ロック位置において前記本体に係止され、前記アンロック位置において前記本体に係止されない係止部と、
前記操作レバーが当接する当接部と、を有し、
前記第2ロック部材は、
前記ロック位置において前記本体に係止され、前記アンロック位置において前記本体に係止されない係止部と、
前記操作レバーが当接する当接部と、を有し、
前記操作レバーが前記閉位置から前記開位置へ移動すると、前記当接部が前記操作レバーによって押されることにより前記第1ロック部材および前記第2ロック部材が回動することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロック部材は、前記ロック位置から前記アンロック位置へ回動するときに、前記第1ロック部材の前記係止部と前記第2ロック部材の前記係止部とが、前記第1方向において、互いに近づくように回動することを特徴とする請求項1、請求項2および請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1ロック部材を前記ロック位置に付勢する第1ばねと、
前記第2ロック部材を前記ロック位置に付勢する第2ばねと、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記トップカバーに当接して前記ロック部材の前記ばねの付勢による回動を止める止め部をそれぞれ有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トップカバーは、第1フレームと第2フレームとを有し、前記操作レバーは、前記レバー軸を中心に回動可能な軸部を有し、前記軸部は、前記第1フレームと前記第2フレームとに挟まれて支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
記第1方向における前記操作レバーの一方の端部と前記操作部との最短距離は、前記第1方向における前記操作レバーの他方の端部と前記操作部との最短距離よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記当接部は、前記ロック本体の上端部から前記操作レバーに向かって延びており、
前記係止部は、前記ロック本体の下端部から前記操作レバーから離れる方向に延びていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記操作レバーは、前記当接部に当接するレバー当接部を備え、
前記レバー当接部は、前記レバー本体の前記第1方向の両側の端面から突出しており、前記レバー本体の前記第1方向の一方の端面から突出するレバー当接部は、前記第1ロック部材に向かって突出しており、前記レバー本体の前記第1方向の他方の端面から突出するレバー当接部は、前記第2ロック部材に向かって突出しており、前記第1ロック部材および前記第2ロック部材の前記当接部の下面が、前記レバー当接部の上面と接触していることを特徴とする請求項2または請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記レバー当接部は、前記レバー軸からずれていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置には、装置本体の内部に配置された構成要素のメンテナンスや交換のために開閉可能なカバーが設けられている。例えば、カバーは、水平方向に延びる回動軸を中心に回動可能となるように装置本体に取り付けられている。カバーを閉じた際には、カバーはロック機構によって装置本体にロックされる。
【0003】
特許文献1には、このような画像形成装置の例として、カバーに取り付けられた操作レバーと、操作レバーの両端部に取り付けられたロック部材を備えるものが記載されている。操作レバーは、カバーの回動軸方向に延びるとともに回動可能となっている。ロック部材は、カバーの回動軸方向に摺動可能となっている。操作レバーが閉位置と開位置との間で回動すると、ロック部材は、操作レバーから離れるロック位置と操作レバーに近づくアンロック位置との間で摺動する。ロック部材は、ばねによってロック位置に付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-10298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ロック部材が操作レバーの両端部に取り付けられて操作レバーと共に回動するものに比べて、カバーの回動軸に直交する方向でロック部材が動くのに必要な空間が小さくなっていた。しかしながら、カバーを開くときに、ばねの付勢力に抗してロック部材を内側に摺動させる必要があったので、操作に必要な力が大きく、操作性が悪くなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、カバーの回動軸に直交する方向でロック部材が動くのに必要な空間が小さく、かつ開閉操作に必要な力が小さくて済むロック機構を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、本体と、回動軸を中心に前記本体に回動可能に取り付けられたカバーと、前記カバーに取り付けられ、前記回動軸が延びる第1方向に延びるとともに閉位置と開位置との間で移動可能な操作レバーと、前記カバーに取り付けられ、第1軸を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能な第1ロック部材であって、前記第1方向における前記操作レバーの一方の端部と係合する第1ロック部材と、前記カバーに取り付けられ、第2軸を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能な第2ロック部材であって、前記第1方向における前記操作レバーの他方の端部と係合する第2ロック部材と、を備える。前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記操作レバーが前記閉位置から前記開位置へ移動すると、前記ロック位置から前記アンロック位置へ回動する。前記第1軸および前記第2軸は、前記第1方向に直交する第2方向に延びている。
【0008】
このような構成によれば、カバーの回動軸に直交する方向でロック部材が動くのに必要な空間を小さくするとともに、開閉操作に必要な力を小さくすることができる。
【0009】
前記第1ロック部材は、前記ロック位置において前記本体に係止され、前記アンロック位置において前記本体に係止されない係止部と、前記操作レバーが当接する当接部と、を有する。前記第2ロック部材は、前記ロック位置において前記本体に係止され、前記アンロック位置において前記本体に係止されない係止部と、前記操作レバーが当接する当接部と、を有する。前記操作レバーが前記閉位置から前記開位置へ移動すると、前記当接部が前記操作レバーによって押されることにより前記第1ロック部材および前記第2ロック部材が回動する。
【0010】
これによれば、ロック部材の当接部が操作レバーによって押されることによってロック部材が回動するので、例えば操作レバーとロック部材の間に部品を介在させた場合に比べて開閉操作に必要な力が小さくなる。
【0011】
前記ロック部材は、前記ロック位置から前記アンロック位置へ回動するときに、前記第1ロック部材の前記係止部と前記第2ロック部材の前記係止部とが、前記第1方向において、互いに近づくように回動する。
【0012】
これによれば、係止部が互いに離れるように回動する場合や係止部が同じ方向に回動する場合に比べて、カバーの回動軸の方向でロック部材が動くのに必要な空間が小さくなる。
【0013】
画像形成装置は、前記第1ロック部材を前記ロック位置に付勢する第1ばねと、前記第2ロック部材を前記ロック位置に付勢する第2ばねと、を備える。
【0014】
これによれば、ロック位置においてロック部材が本体から外れないようにすることができる。
【0015】
前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記カバーに当接して前記ロック部材の前記ばねの付勢による回動を止める止め部をそれぞれ有する。
【0016】
これによれば、カバーを開いたときに、ロック部材の係止部が、カバーを閉じるときに本体に係止可能となる位置を超えて回動することが抑制される。
【0017】
前記操作レバーは、前記閉位置と前記開位置との間でレバー軸を中心に回動可能となっている。
【0018】
これによれば、例えばスライド式のものに比べて操作に必要な力が小さくなる。
【0019】
前記カバーは、第1フレームと第2フレームとを有し、前記レバー軸は、前記第1フレームと前記第2フレームとに挟まれて支持されている。
【0020】
これによれば、操作レバーをカバーに容易に取り付けることができる。
【0021】
前記第1ロック部材および前記第2ロック部材は、前記カバーに回動可能に支持されるシャフト部をそれぞれ有し、前記シャフト部は、前記第1フレームと前記第2フレームとに挟まれて支持されている。
【0022】
これによれば、第1ロック部材および第2ロック部材をカバーに容易に取り付けることができる。
【0023】
前記操作レバーは、前記第1方向に直交する方向に延びる操作部を有し、前記第1方向における前記操作レバーの一方の端部と前記操作部との最短距離は、前記第1方向における前記操作レバーの他方の端部と前記操作部との最短距離よりも小さい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、カバーの回動軸に直交する方向でロック部材が動くのに必要な空間を小さくするとともに、開閉操作に必要な力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタを示す斜視図である。
図2】カラープリンタの断面図である。
図3】トップカバーのロック機構の分解斜視図である。
図4】操作レバーの背面の斜視図である。
図5】操作レバーの一方のレバー軸を破断した斜視図(a)と、他方のレバー軸を破断した斜視図(b)である。
図6】ロック機構の動作を示す図であって、ロック状態を示す断面図(a)と、アンロック状態を示す断面図(b)である。
図7】ロック部材がばねによってロック位置に付勢されている状態を示す、トップカバーに取り付けられたロック部材を背面から見た破断斜視図である。
図8】ロック機構を示す図であって、ロック状態を示す斜視図(a)と、アンロック状態を示す斜視図(b)である。
図9】ロック機構の取付方法を示す図であって、第2フレームの取付前を示す斜視図(a)と、第2フレームの取付後を示す斜視図(b)である。
図10】本発明の他の実施形態に係るロック部材を示す図であって、ロック位置からアンロック位置に回動するときに、互いから離れるように回動するロック部材を示す説明図(a)と、時計回りに回動するロック部材を示す説明図(b)と、反時計回りに回動するロック部材を示す説明図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について説明する。
【0027】
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体の一例としての装置本体10と、カバーの一例としてのトップカバー2とを備えている。トップカバー2は、装置本体10の開口部を覆い、装置本体10の内部に配置された構成要素のメンテナンスや交換のために開閉可能となっている。トップカバー2は、回動軸X1を中心に装置本体10に回動可能に取り付けられている。トップカバー2の上面には、操作用のパネルPが設けられている。以下では、トップカバー2の回動軸X1が延びる方向を単に「第1方向」とも称する。
【0028】
図2に示すように、カラープリンタ1は、用紙Sの両面に画像を形成可能な装置であり、装置本体10内に、給紙部20と、画像形成部3と、搬送部90とを主に備えている。
【0029】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ1の使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図2において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0030】
装置本体10は、上面に、画像が形成された用紙Sが載置される排紙トレイ11を有している。
【0031】
給紙部20は、装置本体10内の下部に設けられており、給紙トレイ21と、給紙機構22とを主に備えている。給紙機構22は、給紙トレイ21の前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24、分離パッド25、紙粉取りローラ26およびレジストローラ27を備えている。
【0032】
給紙トレイ21に収容された用紙Sは、給紙機構22によって、装置本体10の前側から後側へ向かってUターンされ、画像形成部3に供給される。なお、給紙トレイ21は、装置本体10に対して前方に引き出すことによって取り外すことが可能となっており、後方に押し込むことによって装着することが可能となっている。また、給紙トレイ21は、装置本体10の下部における前後方向にわたって設けられている。
【0033】
画像形成部3は、給紙トレイ21の上部に配置され、給紙部20から搬送されてくる用紙Sに画像を形成するための構成であり、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスユニット50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを主に備えている。
【0034】
LEDユニット40は、その下端に複数のLEDを有し、後述する感光ドラム51の上方に対向して配置されている。このLEDユニット40は、複数のLEDが画像データに基づいて明滅することで、感光ドラム51の表面を露光する。
【0035】
プロセスユニット50は、前後に並んで配置され、感光ドラム51と、帯電器52と、符号を省略して示す現像ローラ、供給ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー収容部とを主に備えている。
【0036】
転写ユニット70は、給紙トレイ21とプロセスユニット50との間に設けられ、駆動ローラ71と従動ローラ72の間で張設された無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光ドラム51に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0037】
定着ユニット80は、プロセスユニット50の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0038】
画像形成部3では、感光ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40からの光によって露光されることで、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラに供給され、現像ローラと層厚規制ブレードの間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ上に担持される。
【0039】
そして、現像ローラ上に担持されたトナーが、静電潜像が形成された感光ドラム51に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光ドラム51上にトナー像が形成される。その後、給紙部20から供給された用紙Sが、感光ドラム51と搬送ベルト73(転写ローラ74)の間を搬送されることで、各感光ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。
【0040】
トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。以上のようにして、用紙Sに画像を形成することができる。画像が形成された用紙Sは、搬出ローラ83によって定着ユニット80から搬送経路91に搬出される。
【0041】
搬送部90は、画像形成部3から搬出された用紙Sを装置本体10の外部に排出する排出機構として機能するとともに、画像形成部3により一方の面に画像が形成された用紙Sの表裏を反転させた状態で当該用紙Sを画像形成部3へ再搬送する再搬送機構として機能している。具体的に、搬送部90は、搬送経路91と排紙ローラ92を主に備えている。
【0042】
次に、トップカバー2のロック機構について説明する。
図3に示すように、ロック機構4は、操作レバー30と、ロック部材60と、を備えている。
トップカバー2は、第1フレーム2Aと、第1フレーム2Aにねじ8によって固定された第2フレーム2Bと、を備えている。第1フレーム2Aは、第1方向に離間された一対のレバー支持部2Cを有している。各レバー支持部2Cは、操作レバー30を支持するように設けられた凹部2Pを有している。凹部2Pの底は半円形状を有し、この半円形状の中心は、第1方向に対して平行な共通の軸上に設けられている。第1フレーム2Aは、さらに、一対の第1ロック支持部2Eと一対の第2ロック支持部2Fを有している。第1ロック支持部2Eの対と第2ロック支持部2Fの対は、第1方向に離間して設けられている。各第1ロック支持部2Eは、対応するロック部材60を支持するように設けられた凹部2Qを有している。各第2ロック支持部2Fは、対応するロック部材60を支持するように設けられた凹部2Rを有している。凹部2Qの底は半円形状を有し、この半円形状の中心は、第1方向に対して直交する共通の軸上に設けられている。凹部2Rの底は半円形状を有し、この半円形状の中心は、第1方向に直交する共通の軸上に設けられている。
【0043】
操作レバー30とロック部材60は、第2フレーム2Bによって第1フレーム2Aに取り付けられている。
操作レバー30は、第1方向に延びており、第1方向に延びるレバー軸X2を中心に閉位置と開位置との間で回動可能となっている。操作レバー30は、レバー本体31と、操作部32と、レバー当接部33と、を有している。
【0044】
図4に示すように、レバー本体31は、第1方向に延びる細長い直方体状の部分である。レバー本体31の第1方向の両端部は、背面に切欠き部31Aをそれぞれ有する。切欠き部31Aの内部には、レバー軸X2に沿った円柱状の軸部31Bが形成されている。
図5に示すように、軸部31Bは、レバー支持部2Cの凹部2Pに配置され、レバー支持部2Cと第2フレーム2Bとに挟まれて支持されている。
【0045】
図4に戻り、操作部32は、トップカバー2を開けるために人が手で操作する板状の部分であり、レバー本体31からレバー軸X2に直交する方向に延びている。操作部32と第1方向の一方のレバー当接部33の端面33Aとの最短距離L1(図6参照)は、操作部32と第1方向の他方のレバー当接部33の端面33Bとの最短距離L2よりも小さい。つまり、操作部32は、操作パネルP(図1参照)をよけるように第1方向に偏った位置で操作レバー30に設けられている。
【0046】
レバー当接部33は、以下で説明するようにロック部材60に当接する部分である。レバー当接部33は、レバー本体31の第1方向の両方の端面31Cから第1方向にそれぞれ突出している。レバー当接部33は、レバー軸X2からずれて設けられている。
【0047】
図3に示すように、ロック部材60は、2つあり、以下では、左側を第1ロック部材60A、右側を第2ロック部材60Bと称する。第2ロック部材60Bは、第1ロック部材60Aと左右対称の構成を有するので、第1ロック部材60Aと同様の部分については、図に同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
ロック部材60Aは、ロック本体61と、係止部62と、当接部63と、止め部64と、シャフト部65と、を有する。
図6(a)に示すように、ロック本体61は、シャフト部65を中心に回動可能に設けられた細長い直方体状の部分である。
【0049】
係止部62は、ロック位置において装置本体10に設けられた被係止部10A(図6参照)に係止される部分である。係止部62は、ロック本体61の長手方向の一方の端部から操作レバー30から離れる方向に延びている。
当接部63は、操作レバー30のレバー当接部33と当接する部分である。当接部63は、ロック本体61の長手方向の他方の端部からレバー30に向かって延びている。
【0050】
止め部64は、トップカバー2の内側面から突出する突出部2Dと当接してばね9(図7参照)の付勢によるロック部材60Aの回動を止める部分である。止め部64は、ロック本体61からトップカバー2に向かって延びている。
シャフト部65は、カバー2に回動可能に支持される部分であり、ロック部材60Aの回動中心となるように、ロック本体61の長手方向の他方の端部において第1方向に直交する第2方向に延びている。
【0051】
図7に示すように、第1ロック部材60Aは、ばね9によってロック位置に付勢されている。ばね9は、ねじりコイルばね等のトーションばねであり、コイル9Aと、第1アーム9Bと、第2アーム9Cと、を有する。コイル9Aは、第1ロック部材60Aのシャフト部65の周りに配置されている。第1アーム9Bは、コイル9Aから延びて、トップカバー2の面2Gに係止されている。第2アーム9Cは、コイル9Aから延びて、ロック本体61の面61Aに係止されている。第2ロック部材60Bは、第1ロック部材60Aと同様にばね9によってロック位置に付勢されている(図示省略)。本実施形態では、第1ロック部材60Aを付勢するばね9が「第1ばね」に相当し、第2ロック部材60Bを付勢するばね9が「第2ばね」に相当する。
【0052】
図3に戻り、第1ロック部材60Aは、シャフト部65の両端部がロック支持部2Fの凹部2Rに配置され、ロック支持部2Fと第2フレーム2Bとに挟まれて支持されている。第1ロック部材60Aの当接部63は、操作レバー30の第1方向の一方のレバー当接部33と当接している。
【0053】
第2ロック部材60Bは、シャフト部65の両端部がロック支持部2Eの凹部2Qに配置され、ロック支持部2Eと第2フレーム2Bとに挟まれて支持されている。第1ロック部材60Aの当接部63は、操作レバー30の第1方向の他方のレバー当接部33と当接している。
【0054】
上述の構成により、第1ロック部材60Aは、第1軸X3を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能となっている。また、第2ロック部材60Bは、第2軸X4を中心にロック位置とアンロック位置との間で回動可能となっている。ロック部材60A、60Bの軸X3,X4は、トップカバー2の回動軸X1およびレバー軸X2に直交している。直交とは正確に90度である必要はなく、90度から多少ずれていてもよい。例えば、90度から±5度ずれていてもよい。
【0055】
トップカバー2、操作レバー30およびロック部材60は、例えば樹脂を射出成形してなる。
【0056】
続いて、ロック機構4の動作について説明する。
図6(a),図8(a)に示すようにロック機構4がロック状態にある場合、操作レバー30は、閉位置にある。ロック部材60A,60Bの係止部62は、ばね9によって被係止部10Aと当接するロック位置に付勢されている。ロック部材60A,60Bの当接部63は、レバー当接部33と当接している。
【0057】
トップカバー2を開く際には、図6(b),図8(b)に示すように、操作レバー30の操作部32を押し上げてレバー軸X2を中心に操作レバー30を回動させる。この操作によって、ロック部材60A,60Bの当接部63は、操作レバー30のレバー当接部33によって上向きに押される。これにより、ロック部材60A,60Bは、ばね9の付勢力に抗して、軸X3,X4を中心にロック位置からアンロック位置に回動する。ロック部材60A,60Bの回動により、係止部62が被係止部10Aから外れてトップカバー2を開くことが可能になる
【0058】
操作部32から手を離すと、ロック部材60A,60Bは、ばね9の付勢力によりロック位置に戻る。このとき、ロック部材60A,60Bの止め部64がトップカバー2の突出部2Dと当接する。これにより、ばね9の付勢力によってロック部材60A,60Bが突出部2Dを超えて回動することが抑制される。
【0059】
本実施形態では、ロック部材60A,60Bは、ロック位置からアンロック位置へ回動するときに、第1ロック部材60Aの係止部62と第2ロック部材60Bの係止部62とが、第1方向において互いに近づくように回動する。つまり、第1ロック部材60Aは、反時計回りに回動し、第2ロック部材60Bは、時計回りに回動する。
【0060】
次に、操作レバー30とロック部材60A,60Bをトップカバー2に取り付ける方法について説明する。
図9(a)に示すように、まず、第1ロック部材60Aのシャフト部65をロック支持部2Fの凹部2Rに配置し、第2ロック部材60Bのシャフト部65をロック支持部2Eの凹部2Qに配置する。次に、操作レバー30の軸部31Bをレバー支持部2Cの凹部2Pに配置する。このとき、操作レバー30のレバー当接部33は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向から見てロック部材60A,60Bの当接部63と重なる。最後に、図9(b)に示すように、第2フレーム2Bを第1フレーム2Aにねじ8によって取り付ける。
【0061】
続いて、本実施形態に係るトップカバー2のロック機構4の作用効果について説明する。
操作部32を持ち上げると、操作レバー30がレバー軸X2を中心に閉位置から開位置に回動する。これに伴って、ロック部材60A,60Bは、被係止部10Aと係合するロック位置から被係止部10Aと係合しないアンロック位置へと回動する。ロック部材60A,60Bの軸X3,X4が、操作レバー30のレバー軸X2に直交していることにより、ロック部材60A,60Bの回動に必要な空間は、ロック部材60A,60Bの第1方向で内側、つまり、装置の左右方向内側に位置する。よって、第1方向に直交する方向でロック部材60A,60Bが動くのに必要な空間を小さくすることができる。
【0062】
また、ロック部材60A,60Bがロック位置からアンロック位置へ回動するときに、第1ロック部材60Aの係止部62と第2ロック部材60Bの係止部62とが、第1方向において互いに近づくように回動するので、係止部62が互いに離れるように回動する場合や係止部62が同じ方向に回動する場合に比べて第1方向でロック部材60A,60Bが動くのに必要な空間が小さくなる。
【0063】
さらに、操作レバー30がロック部材60A,60Bの当接部63を押し上げることによって、ロック部材60A,60Bがロック位置からアンロック位置に回動するので、複雑な機構が不要で、例えば操作レバー30とロック部材60A,60Bの間に部品を介在させた場合に比べて開閉操作に必要な力が小さくて済む。
【0064】
そして、ロック機構4が、ロック部材60A,60Bをロック位置に付勢するばね9をそれぞれ備えることにより、ロック位置においてロック部材60A,60Bが被係止部10Aから外れないようにすることができる。
【0065】
また、ロック部材60A,60Bが、トップカバー2に当接してロック部材60A,60Bのばね9の付勢による回動を止める止め部64をそれぞれ有することにより、トップカバー2を開いたときに、ロック部材60A,60Bの係止部62が、トップカバー2を閉じるときに装置本体10に係止可能となる位置を超えて回動することが抑制される。
【0066】
操作レバー30が閉位置と開位置との間でレバー軸X2を中心に回動可能となっていることにより、例えばスライド式のものに比べて操作に必要な力が小さくなる。
【0067】
トップカバー2が、第1フレーム2Aと第2フレーム2Bとを有し、軸部31Bが第1フレーム2Aと第2フレーム2Bとに挟まれて支持されていることにより、操作レバー30をトップカバー2に容易に取り付けることができる。また、ロック部材60A,60Bのシャフト部65が、第1フレーム2Aと第2フレーム2Bとに挟まれて支持されていることにより、ロック部材60A,60Bをトップカバー2に容易に取り付けることができる。
【0068】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で利用できる。
図10(a)に示すように、ロック部材は、ロック位置において第1方向で内側に設けられた被係止部10Aに係止され、ロック位置からアンロック位置へ回動するときに、係止部62が、第1方向において互いに離れるように回動するロック部材160A,160Bとしてもよい。
【0069】
また、図10(b)に示すように、ロック部材は、ロック位置において第1方向で他方側に設けられた被係止部10Aに係止され、ロック位置からアンロック位置へ回動するときに、係止部62が同じ方向で反時計回りに回動するロック部材260A,260Bとすることもできる。
【0070】
さらに、図10(c)に示すように、ロック部材は、ロック位置において第1方向で一方側に設けられた被係止部10Aに係止され、ロック位置からアンロック位置へ回動するときに、係止部62が同じ方向で時計回りに回動するロック部材360A,360Bとしてもよい。
【0071】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明をモノクロのレーザプリンタや複写機、複合機等に適用してもよい。
【0072】
前記実施形態では、トップカバー2用のロック機構として説明したが、ロック機構は、他のカバーにも利用できる。
【0073】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0074】
2 トップカバー
10 装置本体
30 操作レバー
60A 第1ロック部材
60B 第2ロック部材
X1 回動軸
X3 第1軸
X4 第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10