(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車両の走行制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/10 20120101AFI20240910BHJP
F02D 11/10 20060101ALI20240910BHJP
B60W 30/182 20200101ALI20240910BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240910BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240910BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20240910BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20240910BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20240910BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240910BHJP
B60W 20/15 20160101ALI20240910BHJP
【FI】
B60W50/10
F02D11/10 K ZHV
B60W30/182
B60L15/20 J
B60L50/16
B60L7/14
B60K6/48
B60K6/54
B60W10/08 900
B60W20/15
(21)【出願番号】P 2020029502
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏康
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-118431(JP,A)
【文献】特開2017-047746(JP,A)
【文献】特開2011-063122(JP,A)
【文献】特開平10-329684(JP,A)
【文献】特開2020-023257(JP,A)
【文献】特開2013-038969(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025290(WO,A1)
【文献】特開2007-276625(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121848(WO,A1)
【文献】特開2020-129938(JP,A)
【文献】特開2016-141223(JP,A)
【文献】特開2016-141232(JP,A)
【文献】特開2019-041538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 ~ 50/16
F02D 11/10
B60L 15/20
B60L 50/16
B60L 7/14
B60K 6/48
B60K 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの操作状態に応じて、駆動モータの出力トルクを制御して、車両の加減速から停止までを制御する制御部を備える車両の走行制御装置であって、
前記制御部は、アクセル開度に、第一領域と、前記第一領域よりも前記アクセル開度の大きい第二領域と、
前記第二領域よりも前記アクセル開度の大きい第三領域と、を少なくとも設定し、
前記アクセル開度が、前記第一領域から前記第二領域へ遷移し
て前記第二領域にある場合に、
前記アクセル開度によらず前記駆動モータにクリープ走行駆動トルクを出力させ
、前記アクセル開度が前記第二領域から前記第一領域へ遷移して前記第一領域にある場合に、前記駆動モータに制動トルクを出力させ、
前記アクセル開度が前記第二領域から前記第三領域へ遷移して前記第三領域にある場合に、前記アクセル開度に応じて前記駆動モータの出力トルクを制御し、前記アクセル開度が前記第三領域から前記第二領域へ遷移して前記第二領域にある場合に、前記アクセル開度に応じて前記駆動モータに制動トルクを出力させる車両の走行制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記アクセル開度が前記第二領域から前記第三領域へ遷移した場合に、前記クリープ走行駆動トルクの出力を停止させる請求項
1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記車両は、前記アクセルペダルの操作状態に応じて前記車両の加減速から停止までを制御する第一モードと、前記アクセルペダルの操作状態のみによらず前記車両の加減速から停止までを制御する第二モードと、を切替可能に構成され、
前記制御部は、前記第一モードにおける前記第一領域と、前記第二モードにおける前記第一領域と、を同じ設定とし、前記アクセル開度が前記第一領域にある場合は、前記第一モードと前記第二モードとで同じ走行制御を行なう請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アクセルをオフするだけで車両を停止に至らしめ且つ停止状態に保持することが可能な走行モードを備えた車両において、低速基準値よりも低い速度で走行している時に、ブレーキが操作された状態から操作がブレーキ閾値まで解除された場合、電動機に車両を低速で前進させる駆動力を発生させることが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のものにおいては、渋滞走行や車庫入れ操作などの走行シーンにおいて、ドライバの発進または走行の意図を推定し、クリープトルクを発生させているが、アクセルペダル以外にもブレーキ操作も行なうことで車速調整がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、車両の加減速状態をアクセルペダルの操作のみで行なう制御を備えているにも関わらず、アクセルペダル以外の操作を行なう必要が生じるため、ドライバの操作性について改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、アクセルペダルの操作のみで車両の加減速状態を制御するワンペダル制御において、ドライバの操作性を向上させることができる車両の走行制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、アクセルペダルの操作状態に応じて、駆動モータの出力トルクを制御して、車両の加減速から停止までを制御する制御部を備える車両の走行制御装置であって、前記制御部は、アクセル開度に、第一領域と、前記第一領域よりも前記アクセル開度の大きい第二領域と、前記第二領域よりも前記アクセル開度の大きい第三領域と、を少なくとも設定し、前記アクセル開度が、前記第一領域から前記第二領域へ遷移して前記第二領域にある場合に、前記アクセル開度によらず前記駆動モータにクリープ走行駆動トルクを出力させ、前記アクセル開度が前記第二領域から前記第一領域へ遷移して前記第一領域にある場合に、前記駆動モータに制動トルクを出力させ、前記アクセル開度が前記第二領域から前記第三領域へ遷移して前記第三領域にある場合に、前記アクセル開度に応じて前記駆動モータの出力トルクを制御し、前記アクセル開度が前記第三領域から前記第二領域へ遷移して前記第二領域にある場合に、前記アクセル開度に応じて前記駆動モータに制動トルクを出力させるものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、アクセルペダルの操作のみで車両の加減速状態を制御するワンペダル制御において、ドライバの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る車両の走行制御装置の要部の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る車両の走行制御装置のアクセル開度の領域分割の例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る車両の走行制御装置のワンペダルドライブ走行制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る車両の走行制御装置のクリープ走行モード設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る車両の走行制御装置のワンペダルドライブ走行制御処理による車速の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両の走行制御装置は、アクセルペダルの操作状態に応じて、駆動モータの出力トルクを制御して、車両の加減速から停止までを制御する制御部を備える車両の走行制御装置であって、制御部は、アクセル開度に、第一領域と、第一領域よりもアクセル開度の大きい第二領域と、を少なくとも設定し、アクセル開度が、第一領域から第二領域へ遷移した場合に、駆動モータにクリープ走行駆動トルクを出力させるよう構成されている。
【0011】
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両の走行制御装置は、アクセルペダルの操作のみで車両の加減速状態を制御するワンペダル制御において、ドライバの操作性を向上させることができる。
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る車両の走行制御装置について詳細に説明する。
【0013】
図1において、本発明の一実施例に係る車両の走行制御装置を搭載した車両1は、内燃機関としてのエンジン2と、変速機としてのトランスミッション3と、駆動モータ4と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)6と、を含んで構成される。
【0014】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なうように構成されている。エンジン2の点火時期や燃料噴射量は、ECU6により制御される。
【0015】
エンジン2には、図示しない空調装置のエアコンコンプレッサ5と、オルタネータ21とが連結されている。エアコンコンプレッサ5とオルタネータ21は、ベルト22などを介してエンジン2のクランクシャフトに連結されており、エンジン2のクランクシャフトから出力される動力によって駆動される。
【0016】
オルタネータ21は、エンジン2の動力により発電を行なう。オルタネータ21は、図示しない車両電装部品などの電気負荷に電力を供給する図示しない補機バッテリを充電する。
【0017】
トランスミッション3は、エンジン2から出力された回転を変速し、駆動軸11を介して駆動輪10を駆動する。トランスミッション3は、平行軸歯車機構からなる常時噛合式の図示しない変速機構と、図示しないアクチュエータとを備えている。
【0018】
エンジン2とトランスミッション3の間には、係合機構としての乾式単板式のクラッチ31が設けられており、クラッチ31は、エンジン2とトランスミッション3との間の動力伝達を接続する係合状態、またはエンジン2とトランスミッション3との間の動力伝達を切断する切断状態とする。
【0019】
なお、駆動モータ4は、クラッチ31から駆動輪10までの動力伝達経路の何れかの箇所に動力伝達可能に連結されていればよい。
【0020】
このように、車両1は、エンジン2と駆動モータ4の両方の動力を車両1の駆動に用いることが可能なパラレルハイブリッドシステムを構成しており、エンジン2及び駆動モータ4の少なくとも一方が出力する動力により走行する。
【0021】
ECU6は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0022】
このコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU6として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0023】
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、このコンピュータユニットは、本実施例におけるECU6として機能する。
【0024】
ECU6の入力ポートには、アクセル開度センサ62、車速センサ63、ワンペダルドライブモードスイッチ64等の各種センサ類及びスイッチ類が接続されている。
【0025】
アクセル開度センサ62は、ドライバによって操作されるアクセルペダル61の開度であるアクセル開度を検出する。
【0026】
ワンペダルドライブモードスイッチ64は、ドライバの操作を受け付け、オン信号またはオフ信号を出力する。ECU6は、ワンペダルドライブモードスイッチ64からオン信号が出力されていれば、アクセルペダル61の操作のみで車両1の加減速の制御から停車までを行なう、第一モードとしてのワンペダルドライブモードを使用する。また、ECU6は、ワンペダルドライブモードスイッチ64からオフ信号が出力されていれば、ワンペダルドライブモードを使用しない第二モードとする。
【0027】
一方、ECU6の出力ポートには、前述のトランスミッション3、駆動モータ4、エアコンコンプレッサ5、オルタネータ21、クラッチ31、に加え、図示しないスタータ、インジェクタを含む各種制御対象類が接続されている。スタータは、電力が供給されることにより回転することでエンジン2のクランクシャフトを回転させて、エンジン2に始動時の回転力を与える。インジェクタは、エンジン2に燃料を供給する。ECU6は、スタータやインジェクタを制御することで、エンジン2の始動や停止、出力トルクなどを制御する。
【0028】
ECU6は、駆動モータ4のみの動力により車両1を駆動している場合でも、エアコンコンプレッサ5やオルタネータ21などのエンジン回転要素がエンジン2の回転を必要としているときは、エンジン2を回転させる。
【0029】
エンジン2の回転が必要なときとは、例えば、エアコン作動によりエアコンコンプレッサ5を駆動させなければならないときや、補機バッテリのSOC(State Of Charge)低下によりオルタネータ21を駆動させなければならないとき、ブレーキ負圧を確保しなければならないとき、エンジン2の冷却水温を確保しなければならないときなどがある。
【0030】
ECU6は、例えば、所定のエンジン回転条件が成立したときに、エンジン2を回転させる。エンジン回転条件としては、例えば、エアコンコンプレッサ5を駆動させなければならないこと、補機バッテリのSOCが所定値以下であること、ブレーキ負圧が所定圧以下であること、エンジン2の冷却水温が所定温度以下であること、などの何れかが成立したことを条件とする。すなわち、エンジン2の回転が必要な要因がエンジン回転条件となる。
【0031】
ECU6は、ワンペダルドライブモードスイッチ64によりワンペダルドライブモードを使用することが選択された場合、アクセルペダル61の操作状態に応じて、エンジン2や駆動モータ4の動力を制御したり、クラッチ31を制御したりして、車両1の加減速から停止までを制御する。
【0032】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度に第一領域としての停車領域と、第二領域としてのクリープ走行領域を設定する。停車領域は、クリープ走行領域よりもアクセル開度が小さい領域であり、アクセルペダル61の解放状態から所定範囲のアクセル開度の領域とする。
【0033】
ECU6は、例えば、
図2に示すように、アクセル開度に領域を設定する。
図2において、Aで示した領域が停車領域であり、Bで示した領域がクリープ走行領域である。
【0034】
ECU6は、例えば、アクセル開度が停車領域またはクリープ走行領域にある場合は、駆動モータ4の出力トルク(力行トルク及び制動トルク)のみを車両1の走行制御に用いる。
【0035】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度が停車領域からクリープ走行領域へ遷移した場合に、駆動モータ4にクリープ走行駆動トルクを出力させる。クリープ走行駆動トルクとは、例えば、車両1を所定のクリープ走行速度で走行させることができるトルクのことである。クリープ走行速度とは、例えば、オートマチック車両でエンジンがアイドリング状態で、ギアがパーキングかニュートラル以外のときにアクセルが踏まれていなくてもブレーキが開放されると車両が動く時の速度である。
【0036】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度がクリープ走行領域から停車領域へ遷移した場合に、駆動モータ4に制動トルクとしてのクリープ走行制動トルクを出力させる。クリープ走行制動トルクとは、クリープ走行状態の車両1を停止させるための制動トルクであり、アクセル開度や車速に基づいて演算される。
【0037】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度に、クリープ走行領域よりアクセル開度の大きい第三領域としてのワンペダルドライブ駆動領域を設定してもよい。ECU6は、例えば、
図2のCで示した領域をワンペダルドライブ駆動領域とする。
【0038】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度がクリープ走行領域からワンペダルドライブ駆動領域へ遷移すると、アクセル開度に応じて駆動モータ4の力行トルクとしてのワンペダルドライブ駆動トルクを制御する。ワンペダルドライブ駆動トルクは、アクセル開度に基づいて車両1を駆動させる駆動トルクであり、アクセル開度や車速に基づいて演算される。
【0039】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度がクリープ走行領域からワンペダルドライブ駆動領域へ遷移した場合に、駆動モータ4のクリープ走行駆動トルクの出力を禁止する。
【0040】
ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度がワンペダルドライブ駆動領域からクリープ走行領域へ遷移すると、アクセル開度に応じて駆動モータ4の制動トルクとしてのワンペダルドライブ制動トルクを制御する。ワンペダルドライブ制動トルクは、アクセル開度に基づいて車両1を停止させるための制動トルクであり、アクセル開度や車速に基づいて演算される。
【0041】
ECU6は、ワンペダルドライブモードを使用していないときでも、アクセル開度が停車領域にある場合は、駆動モータ4の出力トルクのみを車両1の走行制御に用い、ワンペダルドライブモードの使用中と同様の走行制御(駆動モータ4の出力トルクの制御)を行なう。ECU6は、前述のワンペダルドライブモードを使用しているときのように、例えば、アクセル開度が停車領域からクリープ走行領域へ遷移した場合にクリープ走行駆動トルクを出力させたり、アクセル開度がクリープ走行領域から停車領域へ遷移した場合にクリープ走行制動トルクを出力させたりする。
【0042】
ECU6は、例えば、車両1の停車状態から、アクセル開度が停車領域またはクリープ走行領域にある状態をクリープ走行モードとする。ECU6は、例えば、アクセル開度がクリープ走行領域からワンペダルドライブ駆動領域へ遷移したとき、クリープ走行モードを解除する。
【0043】
ECU6は、例えば、クリープ走行モードの状態で、アクセル開度がクリープ走行領域にある場合は、クリープ走行駆動トルクを駆動モータ4に出力させる。
【0044】
ECU6は、例えば、クリープ走行モードの状態で、アクセル開度がクリープ走行領域から停車領域へ遷移した場合、クリープ走行制動トルクを駆動モータ4に出力させる。
【0045】
ECU6は、例えば、クリープ走行モードが解除された状態で、アクセル開度がクリープ走行領域または停車領域にある場合、ワンペダルドライブ制動トルクを駆動モータ4に出力させる。
【0046】
ECU6は、例えば、クリープ走行モードが解除された状態で、アクセル開度がワンペダルドライブ駆動領域にある場合、ワンペダルドライブ駆動トルクを駆動モータ4に出力させる。
【0047】
以上のように構成された本実施例に係る車両の走行制御装置によるワンペダルドライブ走行制御処理について、
図3を参照して説明する。なお、以下に説明するワンペダルドライブ走行制御処理は、ECU6が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0048】
ステップS1において、ECU6は、アクセル開度はワンペダルドライブ駆動領域にあるか否かを判定する。
【0049】
アクセル開度はワンペダルドライブ駆動領域にあると判定した場合には、ECU6は、ステップS8の処理を実行する。アクセル開度はワンペダルドライブ駆動領域にはないと判定した場合には、ECU6は、ステップS2の処理を実行する。
【0050】
ステップS2において、ECU6は、アクセル開度はクリープ走行領域にあるか否かを判定する。
【0051】
アクセル開度はクリープ走行領域にあると判定した場合には、ECU6は、ステップS4の処理を実行する。アクセル開度はクリープ走行領域にないと判定した場合には、ECU6は、ステップS3の処理を実行する。
【0052】
ステップS3において、ECU6は、クリープ走行モードであるか否かを判定する。クリープ走行モードであると判定した場合には、ECU6は、ステップS5の処理を実行する。クリープ走行モードでないと判定した場合には、ECU6は、ステップS6の処理を実行する。
【0053】
ステップS5において、ECU6は、クリープ制動トルクを演算し、クリープ制動トルクを駆動モータ4に出力させ、車両1を停車させ、ワンペダルドライブ走行制御処理を終了する。
【0054】
ステップS4において、ECU6は、クリープ走行モードであるか否かを判定する。クリープ走行モードであると判定した場合には、ECU6は、ステップS7の処理を実行する。クリープ走行モードでないと判定した場合には、ECU6は、ステップS6の処理を実行する。
【0055】
ステップS6において、ECU6は、ワンペダルドライブ制動トルクを演算し、ワンペダルドライブ制動トルクを駆動モータ4に出力させ、車両1をワンペダルドライブで停車させ、ワンペダルドライブ走行制御処理を終了する。
【0056】
ステップS7において、ECU6は、クリープ走行駆動トルクを演算し、クリープ走行駆動トルクを駆動モータ4に出力させ、車両1をクリープ走行させ、ワンペダルドライブ走行制御処理を終了する。
【0057】
ステップS8において、ECU6は、ワンペダルドライブ駆動トルクを演算し、ワンペダルドライブ駆動トルクを駆動モータ4に出力させ、車両1をワンペダルドライブ走行させ、ワンペダルドライブ走行制御処理を終了する。
【0058】
本実施例に係る車両の走行制御装置によるクリープ走行モード設定処理について、
図4を参照して説明する。なお、以下に説明するクリープ走行モード設定処理は、ECU6が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0059】
ステップS10において、ECU6は、アクセル開度はワンペダルドライブ駆動領域にあるか否かを判定する。
【0060】
アクセル開度はワンペダルドライブ駆動領域にあると判定した場合には、ECU6は、ステップS14の処理を実行する。アクセル開度はワンペダルドライブ駆動領域にはないと判定した場合には、ECU6は、ステップS11の処理を実行する。
【0061】
ステップS11において、ECU6は、アクセル開度は停車領域にあるか否かを判定する。アクセル開度は停車領域にあると判定した場合には、ECU6は、ステップS12の処理を実行する。アクセル開度は停車領域にないと判定した場合には、ECU6は、クリープ走行モード設定処理を終了する。
【0062】
ステップS12において、ECU6は、車両1は停車しているか否かを判定する。車両1は停車していると判定した場合には、ECU6は、ステップS13の処理を実行する。車両1は停車していないと判定した場合には、ECU6は、クリープ走行モード設定処理を終了する。
【0063】
ステップS13において、ECU6は、クリープ走行モードを設定して、クリープ走行モード設定処理を終了する。
【0064】
ステップS14において、ECU6は、クリープ走行モードを解除して、クリープ走行モード設定処理を終了する。
【0065】
このようなワンペダルドライブ走行制御処理による動作について
図5を参照して説明する。
【0066】
領域R1において、車両1が停車状態で、アクセル開度が停車領域であるため、クリープ走行モードが設定される。
【0067】
時刻t1において、アクセルペダル61が踏み込まれ、アクセル開度がワンペダルドライブ駆動領域に達すると、クリープ走行モードが解除される。
【0068】
領域R2において、車両1は発進して、ワンペダルドライブ駆動トルクが駆動モータ4から出力され、ワンペダルドライブでアクセル開度に応じた走行が行なわれる。
【0069】
時刻t2において、アクセル開度がクリープ走行領域に入ると、ワンペダルドライブ制動トルクが駆動モータ4から出力され、領域R3において、ワンペダルドライブでアクセル開度に応じて減速され、最終的に停車する。そして、停車状態で、アクセル開度が停車領域に入ると、クリープ走行モードが設定される。
【0070】
時刻t3において、アクセル開度がクリープ走行領域にされると、領域R4において、クリープ走行モードは設定されたままで、車両1は発進するが、クリープ走行駆動トルクが駆動モータ4から出力され、アクセル開度によらず、クリープ走行速度で定速走行を行ない、時刻t4において、アクセル開度が停車領域にされると、クリープ走行制動トルクが駆動モータ4から出力され、減速され停車する。
【0071】
このように、本実施例では、ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度に停車領域と、停車領域よりアクセル開度が大きいクリープ走行領域を設定し、アクセル開度が停車領域からクリープ走行領域へ遷移した場合に、駆動モータ4にクリープ走行駆動トルクを出力させる。
【0072】
これにより、アクセル開度が停車領域からクリープ走行領域へ遷移すると、クリープ走行駆動トルクにより車両1が駆動される。このため、アクセルペダル61の操作のみでクリープ走行が可能となり、ドライバの操作性を向上させることができる。
【0073】
また、ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度がクリープ走行領域から停車領域へ遷移した場合に、駆動モータ4にクリープ走行制動トルクを出力させる。
【0074】
これにより、アクセル開度がクリープ走行領域から停車領域へ遷移すると、クリープ走行制動トルクにより車両1が停車する。このため、アクセルペダル61の操作のみでクリープ走行や車両減速、車両停止が可能となり、ドライバの操作性を向上させることができる。
【0075】
また、ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度に、クリープ走行領域よりアクセル開度の大きいワンペダルドライブ駆動領域を設定し、アクセル開度がクリープ走行領域からワンペダルドライブ駆動領域へ遷移すると、駆動モータ4に出力させるワンペダルドライブ駆動トルクをアクセル開度に応じて制御し、ワンペダルドライブ走行を制御する。
【0076】
これにより、アクセル開度がクリープ走行領域からワンペダルドライブ駆動領域へ遷移すると、ワンペダルドライブ駆動トルクによりワンペダルドライブ走行される。このため、アクセルペダル61の操作のみでクリープ走行や車両減速、車両停止、車両走行が可能となり、ドライバの操作性を向上させることができる。
【0077】
また、ECU6は、ワンペダルドライブモードの使用中において、アクセル開度がワンペダルドライブ駆動領域からクリープ走行領域へ遷移すると、駆動モータ4に出力させるワンペダルドライブ制動トルクをアクセル開度に応じて制御し、ワンペダルドライブで車両1を停車させる。
【0078】
これにより、アクセル開度がワンペダルドライブ駆動領域からクリープ走行領域へ遷移すると、ワンペダルドライブ制動トルクによりワンペダルドライブで停車される。このため、アクセルペダル61の操作のみでクリープ走行や車両減速、車両停止、車両走行が可能となり、ドライバの操作性を向上させることができる。
【0079】
また、ECU6は、ワンペダルドライブモードを使用していないときでも、アクセル開度が停車領域にある場合は、駆動モータ4の出力トルクのみを車両1の走行制御に用い、ワンペダルドライブモードの使用中と同様の走行制御(駆動モータ4の出力トルクの制御)を行なう。
【0080】
これにより、ワンペダルドライブモードを使用していないときでも、ワンペダルモードを使用しているときと同じ走行制御が行われ、ワンペダルモードの使用と非使用を切り替えた場合でも、ドライバのアクセルペダル61の操作感が同一となり、特に車両1の動き出し時の、アクセルペダル操作時の違和感を抑えることができる。
【0081】
なお、本実施例においては、エンジン2及び駆動モータ4の少なくとも一方が出力する動力により走行するハイブリッド車両の場合を示したが、駆動モータ4の動力のみによって車両を走行させるハイブリッド車両や電動車両においても同様に実施可能である。
【0082】
また、本実施例においては、クリープ走行制動トルクと、ワンペダルドライブ制動トルクと、を別々の特性に設定できるように演算を分けているが、制動性能の要求によっては、制動トルクの演算をひとつにまとめて、制御を簡略化してもよい。
【0083】
本実施例では、各種センサ情報に基づきECU6が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0084】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0085】
1 車両
4 駆動モータ
6 ECU(制御部)
61 アクセルペダル
62 アクセル開度センサ
63 車速センサ
64 ワンペダルドライブモードスイッチ