(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電子機器及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240910BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240910BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240910BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
B41J29/00 E
B41J29/38 104
B41J29/38 301
B41J29/38 401
B41J29/38 701
G06F3/12 310
G06F3/12 330
G06F3/12 336
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2020055462
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】小泉 純平
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101430669(CN,A)
【文献】特開2016-174295(JP,A)
【文献】特開2012-209797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0123188(US,A1)
【文献】特開2006-048113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0037547(US,A1)
【文献】特開2006-236062(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107995644(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00- 29/70
G06F 3/09- 3/12
H04B 7/24- 7/26
H04N 1/00
H04L 13/00- 13/18
H04L 61/00- 65/80
H04L 69/00-101/695
H04W 4/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部の通信制御を行う処理部と、
を含み、
前記処理部は、
前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記無線通信部への電源供給の遮断と、前記電源供給の遮断後の前記電源供給の再開と、前記電源供給の再開後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行うことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
外部アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部の通信制御を行う処理部と、
を含み、
前記処理部は、
前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行い、
前記アンインストール及び前記インストールを行っても前記エラーが解消しなかった場合に、前記自己修復リブートとして、前記無線通信部への電源供給の遮断と、前記電源供給の遮断後の前記電源供給の再開とを行うことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記処理部は、
前記外部アクセスポイントとの前記無線接続に前記エラーが発生した場合に、前記外部アクセスポイントの探索処理を行い、前記外部アクセスポイントを発見できたが、前記外部アクセスポイントへの認証要求に対する応答を受信できなかった場合に、前記自己修復リブートを行うことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記処理部は、
前記外部アクセスポイントとの前記無線接続に前記エラーが発生した場合に、前記外部アクセスポイントの探索処理を行い、前記外部アクセスポイントを発見できたが、前記外部アクセスポイントへの接続要求に対する応答を受信できなかった場合に、前記自己修復リブートを行うことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記処理部は、
接続状態であった前記外部アクセスポイントとの前記無線接続が切断された場合の再接続処理において、前記自己修復リブートを行うことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
外部アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部の通信制御を行う処理部と、
を含み、
前記無線通信部は、
前記外部アクセスポイントを経由した第1無線通信と、内部アクセスポイントを経由した第2無線通信を行い、
前記処理部は、
前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、前記無線通信部が前記内部アクセスポイントを起動していないことを条件に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行うことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1において、
前記処理部は、
前記外部アクセスポイントとの
前記無線接続に
前記エラーが発生した場合に、前記外部アクセスポイントの探索処理を行い、前記無線接続に前記エラーが発生した前記外部アクセスポイント及び他の外部アクセスポイントのいずれも発見できなかった場合に、前記自己修復リブート
を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
無線通信部により外部アクセスポイントと無線通信を行う通信制御方法であって、
前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、
前記外部アクセスポイントとの前記無線接続に前記エラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記無線通信部への電源供給の遮断と、前記電源供給の遮断後の前記電源供給の再開と、前記電源供給の再開後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行うことを特徴とする通信制御方法。
【請求項9】
無線通信部により外部アクセスポイントと無線通信を行う通信制御方法であって、
前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、
前記外部アクセスポイントとの前記無線接続に前記エラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行い、
前記アンインストール及び前記インストールを行っても前記エラーが解消しなかった場合に、前記自己修復リブートとして、前記無線通信部への電源供給の遮断と、前記電源供給の遮断後の前記電源供給の再開とを行うことを特徴とする通信制御方法。
【請求項10】
無線通信部により外部アクセスポイントと無線通信を行う通信制御方法であって、
前記無線通信部により、前記外部アクセスポイントを経由した第1無線通信と、内部アクセスポイントを経由した第2無線通信を行い、
前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、
前記外部アクセスポイントとの前記無線接続に前記エラーが発生した場合に、前記無線通信部が前記内部アクセスポイントを起動していないことを条件に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行うことを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び通信制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
Wi-Fi(登録商標)などの無線通信では、電子機器と外部アクセスポイントとが通信接続された後、何らかの原因で、電子機器と外部アクセスポイントの無線接続にエラーが発生し、無線接続が切断されてしまう場合がある。例えば特許文献1には、端末装置と通信可能な印刷装置において、通信エラーが発生した場合に、通信制御部が初期化信号を通信部に送信することで、通信エラーを解消させる印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電子機器と外部アクセスポイントの無線接続にエラーが発生した場合に、エラー状態からの復旧手法として、ユーザーの操作により無線設定のやり直しを行う方法が考えられる。しかしながら、ユーザーの設定による無線設定のやり直しは、ユーザーの手間を煩わせてしまうという問題がある。また上述の特許文献1には、電子機器と外部アクセスポイントとの無線接続のエラー発生時におけるエラー状態からの復旧手法については提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、外部アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部の通信制御を行う処理部と、を含み、前記処理部は、前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行う電子機器に関係する。
【0006】
本開示の一態様は、無線通信部により外部アクセスポイントと無線通信を行う通信制御方法であって、前記外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、前記外部アクセスポイントとの前記無線接続に前記エラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、前記無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、前記アンインストール後の前記ドライバーソフトウェアのインストールとを、行うことを特徴とする通信制御方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】電子機器と外部アクセスポイントが無線接続される通信システムの構成例。
【
図4】自己修復リブートの処理例を説明するフローチャート。
【
図5】自己修復リブートの処理の他の例を説明するフローチャート。
【
図6】自己修復リブートの処理の他の例を説明するフローチャート。
【
図8】再接続処理の詳細を説明するフローチャート。
【
図9】再接続処理の詳細を説明するフローチャート。
【
図10】内部アクセスポイントを介した無線通信が可能な通信システムの構成例。
【
図11】内部アクセスポイントを起動していないことを条件に自己修復リブートを行う処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.通信システム、電子機器
図1は、本実施形態の通信システム10の構成例を模式的に示す図である。電子機器200、外部アクセスポイントAP、端末装置100により通信システム10が構成される。そして
図1に示すように、本実施形態の電子機器200は、外部アクセスポイントAPと無線通信を行うことで外部アクセスポイントAPに接続される。具体的には電子機器200は、外部アクセスポイントAPを経由した無線通信を行うことで、外部アクセスポイントAPを経由して端末装置100に接続される。なお本実施形態では「無線通信による接続」を、適宜、「無線接続」と記載したり、単に「接続」と記載する。外部アクセスポイントAPは、例えばルーター機能を有する無線ルーターである。また
図1では端末装置100は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置であるが、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置であってもよい。
【0010】
電子機器200は、例えばプリンターである。或いは電子機器200は、スキャナー、ファクシミリ装置又はコピー機であってもよい。電子機器200は、複数の機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であってもよく、印刷機能を有する複合機もプリンターの一例である。或いは電子機器200は、プロジェクター、頭部装着型表示装置、ウェアラブル機器、生体情報測定機器、ロボット、映像機器、携帯情報端末又は物理量計測機器等であってもよい。生体情報測定機器とは、脈拍計、歩数計、活動量計等である。映像機器とは、カメラ等である。携帯情報端末とは、スマートフォン、携帯ゲーム機等である。
【0011】
電子機器200は、外部アクセスポイントAPと無線による通信を行う。ここでの無線通信は無線LANによる通信であり、具体的には例えばWi-Fi(登録商標)方式を用いた通信である。Wi-Fi方式は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格に基づく無線通信方式である。
【0012】
図2は、電子機器200の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図2は、印刷機能を有する電子機器200を示しており、以下の説明においても、適宜、電子機器200がプリンターである例について説明する。ただし、電子機器200をプリンター以外に拡張可能な点は上述したとおりである。電子機器200は、処理部210、無線通信部220、表示部230、操作部240、印刷部250、記憶部260を含む。
【0013】
処理部210は、電子機器200の各部の制御を行う。電子機器200の各部とは、例えば無線通信部220、記憶部260、印刷部250等である。処理部210は、具体的にはプロセッサー又はコントローラーである。例えば処理部210は、メインCPU、サブCPUなどの複数のCPUを含むことができる。メインCPUは、電子機器200の各部の制御や全体的な制御を行う。サブCPUは、例えば無線通信部220の通信制御を行うCPUである。或いは、電子機器200がプリンターである場合、印刷についての各種の処理を行うCPUが更に設けられてもよい。
【0014】
本実施形態の処理部210は、下記のハードウェアによって構成できる。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子によって構成できる。回路装置は例えば集積回路装置である。回路素子は例えば抵抗、キャパシター等である。
【0015】
また処理部210は、下記のプロセッサーによって実現できる。例えば本実施形態の電子機器200は、情報を記憶するメモリーと、メモリーに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサーと、を含む。情報は、例えばプログラムと各種のデータ等である。プロセッサーは、ハードウェアを含む。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。メモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリーはコンピューターによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサーが実行することによって、処理部210の機能が処理として実現される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。さらに、処理部210の全部または一部はクラウドコンピューティングで実現されてもよい。
【0016】
無線通信部220は、例えば所定の無線通信規格に準拠した無線通信を行う。例えば無線通信部220は、所定の無線LAN規格に準拠した無線通信を行う。具体的には、無線LAN規格の1つである例えばWi-Fi(登録商標)の規格に準拠した無線通信を行う。例えば無線通信部220は無線通信モジュールにより実現される。無線通信モジュールは少なくとも1つのIC(Integrated Circuit)を含む。ICは半導体チップである。例えば無線通信モジュールは、少なくとも1つのICとして、無線通信ICを含む。また無線通信モジュールは、無線通信IC以外にも、インターフェースやメモリーのICを含んでもよい。また無線通信モジュールは、無線通信ICとして、無線LANの規格以外の規格の無線通信ICを有していてもよい。例えば無線通信モジュールは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信の規格の無線通信ICを含んでもよい。具体的にはBLE(Bluetooth Low Energy)の規格の無線通信ICを含んでもよい。或いは無線LANと近距離無線通信を1チップの無線通信ICにより実現してもよい。
【0017】
表示部230は、各種情報をユーザーに表示するディスプレイ等で構成される。操作部240は、ユーザーからの入力操作を受け付けるボタン等で構成される。なお、表示部230及び操作部240は、例えばタッチパネルにより一体的に構成してもよい。
【0018】
印刷部250は、印刷エンジンを含む。印刷エンジンとは、印刷媒体への画像の印刷を実行する機械的構成である。印刷エンジンは、例えば搬送機構やインクジェット方式の吐出ヘッド、当該吐出ヘッドを含むキャリッジの駆動機構等を含む。印刷エンジンは、搬送機構により搬送される印刷媒体に対して、吐出ヘッドからインクを吐出することで、印刷媒体に画像を印刷する。印刷媒体は、紙であってもよいし、布であってもよいし、他の媒体であってもよい。なお、印刷エンジンの具体的構成はここで例示したものに限られず、電子写真方式でトナーにより印刷するものでもよい。
【0019】
記憶部260は、データやプログラムなどの各種の情報を記憶する。処理部210や無線通信部220は例えば記憶部260をワーク領域として動作する。記憶部260は、SRAM、DRAMなどの半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、磁気記憶装置であってもよいし、光学式記憶装置であってもよい。記憶部260は、外部アクセスポイントAPに接続される情報処理装置から、無線通信によって送信されるデータを記憶してもよい。ここでのデータは、例えば印刷部250での印刷に用いられるデータである。
【0020】
図3は、電子機器200における処理部210及び無線通信部220の具体的な構成例を示す図である。
【0021】
処理部210はCPU212とインターフェース214を含む。CPU212はプロセッサーである。インターフェース214は、電子機器200の内部デバイス間において例えば有線により通信を行うためのインターフェースである。インターフェース214は、例えば高速シリアル転送が可能なシリアルインターフェースである。具体的にはインターフェース214は、例えばUSB(Universal Serial Bus)の通信規格のインターフェースであるが、他の通信規格のインターフェースであってもよい。また処理部210は、
図2の記憶部260を構成するRAM262、ROM264に接続されている。RAM262は例えばSRAM又はDRAMなどであり、例えば処理部210のワークメモリーとして使用される。ROM264は、電源供給が遮断されても情報を保持できるメモリーである。ROM264は、例えばデータの電気的な消去が可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリーと呼ばれるROMであってもよいし、マスクROMであってもよい。
【0022】
無線通信部220は、無線通信IC222、インターフェース224、RAM226、アンテナ部ANTを含む。これらの無線通信IC222、インターフェース224、RAM226、アンテナ部ANTにより無線通信モジュールが構成される。なお前述のように無線通信IC222として、無線LANと近距離無線通信というように異なる規格の複数の無線通信ICを設けてもよい。複数の無線通信ICは無線通信のチップセットである。
【0023】
無線通信IC222は、アンテナ部ANTを用いて外部装置との無線通信を行う。無線通信IC222は、例えば無線通信の物理層の回路であるトランシーバーと、リンク層の処理などを行う通信処理回路を含むことができる。トランシーバーは、例えば無線通信の送信回路や受信回路を含む。通信処理回路は例えばCPUなどのプロセッサーにより実現できる。インターフェース224は、例えば高速シリアル転送が可能なシリアルインターフェースであり、処理部210のインターフェース214と同じ通信規格のインターフェースである。例えばインターフェース224はUSBの通信規格のインターフェースである。処理部210のインターフェース214と、無線通信部220のインターフェース224は、バスBSを介して接続される。RAM226は、各種のデータやプログラムを一時的に記憶する。無線通信IC222の通信処理回路は、RAM226をワーク領域として動作する。
【0024】
2.自己修復リブート
図1の通信システム10において、電子機器200と外部アクセスポイントAPとの無線接続が行われた後、何らかの原因で無線接続にエラーが発生し、無線接続が切断されてしまう場合がある。このように電子機器200と外部アクセスポイントAPとの無線接続が切断されると、ユーザーが端末装置100により、外部アクセスポイントAPを経由して電子機器200にジョブを送っても、当該ジョブが実行されず、ユーザーの利便性を損ねてしまう。電子機器200がプリンターである場合を例にとれば、印刷ジョブを実行できなくなる。
【0025】
このように無線接続が切断された場合に、ユーザーの手作業による操作により、無線接続の切断状態を解消する復旧方法も考えられる。例えばユーザーが電子機器200の場所まで行って、無線接続の再設定を行ったり、電子機器200の電源のオフ/オンを行う。しかしながら、この復旧方法は、ユーザーの煩雑な作業が必要になり、ユーザーの手間を煩わせてしまうという問題がある。また、やみくもに無線接続の再設定を行っても、無線接続の回復どころか、次のような弊害を招く可能性が高い。例えば無線接続の再設定中は、ユーザーの操作不可状態が続いてしまうという弊害がある。また無線接続の再設定のための処理が原因となって、電子機器200の他の機能の処理を妨げてしまうという弊害もある。例えば電子機器200がプリンターである場合には、印刷の処理が妨げられてしまう。また無線接続の回復が見込めないにもかかわらず、ユーザーは無駄なやり直しを繰り返すことになり、ユーザーの利便性を損ねてしまう。
【0026】
そこで本実施形態では、
図2、
図3の処理部210が、外部アクセスポイントAPとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートを行う。例えば無線通信部220による外部アクセスポイントAPとの無線接続にエラーが発生し、無線接続が切断した場合に、処理部210は自己修復リブートを実行する。具体的には処理部210は、自己修復リブートとして、無線通信部220のドライバーソフトウェアのアンインストールと、アンインストール後のドライバーソフトウェアのインストールを行う。自己修復リブートは、無線接続のエラーを回復するための自己修復を行って再起動する処理である。
【0027】
ドライバーソフトウェアは、無線通信部220を動作させるソフトウェアである。具体的にはドライバーソフトウェアは、無線通信部220の無線通信IC222の動作を制御するプログラムなどのソフトウェアである。ドライバーソフトウェアは、例えばROM264に記憶されており、このドライバーソフトウェアをROM264から読み出すことでドライバーソフトウェアがインストールされる。即ち、処理部210であるCPU212の実行プログラムに、ドライバーソフトウェアを組み込んで実行可能にするインストールが行われる。このドライバーソフトウェアは、処理部210のファームウェアの一部として組み込まれている。そして処理部210は、このドライバーソフトウェアを実行プログラムとして動作して、無線通信IC222などを制御する。例えば処理部210は、ドライバーソフトウェアに基づき動作して、無線通信IC222のレジスター等に対して、無線通信IC222を動作させるための各種の設定を行う。そして自己修復リブートでは、インストールされていたドライバーソフトウェアをアンインストールする。即ち、処理部210の実行プログラムの中からドライバーソフトウェアを削除するアンインストールが行われる。このとき処理部210は、無線通信部220との間でネゴシエーション処理等を行って、無線通信IC222のレジスター等に設定された各種の設定の初期化を行ってもよい。そして処理部210は、このアンインストールの後に、ROM264からドライバーソフトウェアを再インストールする。これにより、ドライバーソフトウェアにより制御される無線通信IC222のレジスター設定などに不具合があったり、ドライバーソフトウェアに不具合があった場合にも、ドライバーソフトウェアのアンインストール後の再インストールにより、これらの不具合を解消できるようになる。例えば、無線通信IC222のレジスター設定が失われていたり、誤った設定に変更されていた場合にも、アンインストール後に新たにインストールされたドライバーソフトウェアにより、無線通信IC222のレジスター設定等を正しい設定に回復することができる。従って、このようなアンインストール及びインストールを行うことで、無線通信IC222の設定等の自己修復が可能になり、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0028】
また処理部210は、自己修復リブートとして、無線通信部220への電源供給の遮断と、電源供給の遮断後の電源供給の再開を行う。例えば
図3のバスBSがUSBである場合には、USBのVBUSにより無線通信部220への電源供給が行われる。電源供給の遮断では、このVBUSによる電源供給を行わないようにする。そして電源供給の再開では、電源供給の遮断後に、VBUSによる電源供給を再開する。このような電源供給の遮断及び再開を行えば、無線通信IC222のレジスター設定等が初期化されるため、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。但し、電源供給の遮断や再開を行うと、電源電圧が安定するまでに長い時間を要したり、無線通信IC222のアナログ回路等が正常に動作するまでに長い時間を要する。従って、電源供給の遮断及び再開による自己修復リブートは、ドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールによる自己修復リブートに比べて、長い待ち時間を要してしまう。そこで本実施形態では、後述するように、まず初めに、ドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールによる自己修復リブートを行い、この自己修復リブートにより無線接続のエラーが解消されなかった場合に、電源供給の遮断及び再開による自己修復リブートを行う。
【0029】
次に本実施形態の動作について
図4、
図5、
図6を用いて説明する。
図4は自己修復リブートの処理例を示すフローチャートである。
図4に示すように処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断する(ステップS1)。例えば無線接続にエラーが発生して外部アクセスポイントとの無線接続が切断されたか否かを判断する。そして無線接続にエラーが発生した場合には、自己修復リブートを行うか否かを判断する(ステップS2)。例えば後述するような自己修復リブートの実行条件が成立した場合に、自己修復リブートを行うと判断する。そして自己修復リブートとして、前述した無線通信部220のドライバーソフトウェアのアンインストールを行う(ステップS3)。即ち処理部210の実行プログラムの中からドライバーソフトウェアを削除する。そして、アンインストールの後に、無線通信部220のドライバーソフトウェアのインストールを行う(ステップS4)。例えば
図3のROM264からドライバーソフトウェアを再インストールして、処理部210の実行プログラムとして組み込む。このようにすることで、再インストールされたドライバーソフトウェアにより、無線通信部220の各種設定を正しい設定に回復することで、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0030】
図5は自己修復リブートの他の処理例を示すフローチャートである。処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、エラーが発生した場合には、自己修復リブートを行うか否かを判断する(ステップS11、S12)。そして自己修復リブートを行う場合には、自己修復リブートとして、まず無線通信部220のドライバーソフトウェアのアンインストールを行う(ステップS13)。そしてアンインストールの後に、無線通信部220への電源供給を遮断し、電源供給の遮断後に電源供給を再開する(ステップS14、S15)。そして電源供給の再開後に、無線通信部220のドライバーソフトウェアのインストールを行う(ステップS16)。このようにドライバーソフトウェアのアンインストール後に、無線通信部220の電源供給の遮断及び再開を行うことで、無線通信部220の各種設定が初期化される。そして、その後にドライバーソフトウェアを再インストールして、処理部210の実行プログラムとして組み込む。このようにすれば、電源供給の遮断及び再開により各種設定が初期化された無線通信部220に対して、再インストールされたドライバーソフトウェアにより、無線通信部220の各種設定を正しい設定に回復することで、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0031】
図6も自己修復リブートの他の処理例を示すフローチャートである。処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、エラーが発生した場合には、自己修復リブートを行うか否かを判断する(ステップS21、S22)。そして自己修復リブートを行う場合には、1回目の自己修復リブートとして、まず無線通信部220のドライバーソフトウェアのアンインストールを行い、アンインストールの後にドライバーソフトウェアのインストールを行う(ステップS23、S24)。そしてこの1回目の自己修復リブートにより、無線接続のエラーが解消されたか否かを判断する(ステップS25)。そしてエラーが解消されなかった場合には、2回目の自己修復リブートを行うか否かを判断する(ステップS26)。2回目の自己修復リブートを行うと判断した場合には、無線通信部220のドライバーソフトウェアのアンインストールを行い、アンインストールの後に無線通信部220への電源供給の遮断及び再開を行う(ステップS27、S28、S29)。そして電源供給の再開後に、無線通信部220のドライバーソフトウェアのインストールを行う(ステップS30)。このように
図6では、1回目の自己修復リブートでは、
図4のようにドライバーソフトウェアのアンインストール及びイントールを行う。そして、この1回目の自己修復リブートにより無線接続のエラーが解消しなかった場合に、2回目の自己修復リブートを行う。即ち
図5のように、2回目の自己修復リブートとして、ドライバーソフトウェアのアンインストールを行い、その後に電源供給の遮断及び再開を行い、その後にドライバーソフトウェアのインストールを行う。
【0032】
例えばドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールによる自己修復リブートは、電源供給の遮断及び再開を含む自己修復リブートに比べて、短時間で完了できる。従って、
図6では、まずドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールによる1回目の自己修復リブートを行う。そして、この1回目の自己修復リブートにより無線接続のエラーが解消しなかった場合に、電源供給の遮断及び再開を含む2回目の自己修復リブートを行う。電源供給の遮断及び再開を含む自己修復リブートは、アンインストール及びインストールによる自己修復リブートに比べて、電源電圧の安定化等のために、長い時間はかかるが、無線通信部220の設定を確実に初期化でき、エラー状態からの復旧の可能性が高まる。そこで
図6では、まずは短時間で行うアンインストール及びインストールによる1回目の自己修復リブートを行い、それでもエラー状態を解消できなかった場合に、エラー状態からの復旧の可能性が高い電源供給の遮断及び再開を含む2回目の自己修復リブートを行う。このように2段階の自己修復リブートを行うことで、自己修復リブートに要する時間を最小限に抑えながら、無線接続のエラー状態からの復帰の可能性を高めることが可能になる。
【0033】
以上のように本実施形態の電子機器200は、外部アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部220と、無線通信部220の通信制御を行う処理部210を含む。そして
図4に示すように、処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、無線通信部220を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、アンインストール後のドライバーソフトウェアのインストールを行う。このようにすれば、ドライバーソフトウェアにより制御される無線通信部220に不具合があった場合や、或いはドライバーソフトウェアに不具合があった場合にも、当該ドライバーソフトウェアがアンインストールにより削除されるようになる。そして、ドライバーソフトウェアが再インストールされ、再インストールされたドライバーソフトウェアにより無線通信部220が制御されることで、上記の不具合を解消できるようになる。即ち、再インストールされたドライバーソフトウェアが適正に動作することで、無線通信部220の設定を正しい設定に回復することができ、当該設定の自己修復が可能になり、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。そして、自己修復リブートは、外部アクセスポイントとの無線接続のエラー発生時に自動的に実行されるため、無線接続のエラー状態からの復旧に、ユーザーの手間を煩わせることがなく、ユーザーの利便性を向上できる。例えばエラー状態から復旧するためにユーザーが何度も無駄なやり直しを行うような事態を防止できる。またドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールによる自己修復リブートは、短い時間で完了できるため、自己修復リブートの処理が要因になって、電子機器200の他の処理が妨げられてしまう事態も防止できる。
【0034】
また本実施形態では
図5に示すように、処理部210は、自己修復リブートとして、ドライバーソフトウェアのアンインストールと、アンインストールの後の無線通信部220への電源供給の遮断と、電源供給の遮断後の電源供給の再開と、電源供給の再開後のドライバーソフトウェアのインストールを行う。例えば処理部210は、ドライバーソフトウェアのインストール及びアンインストールのみならず、無線通信部220への電源供給の遮断及び再開を、自己修復リブートとして実行する。このように電源供給の遮断及び再開を行えば、無線通信部220の設定等を確実に初期化できるため、無線接続のエラー状態からの復旧の可能性を高めることができる。また電源供給の遮断及び再開の前にドライバーソフトウェアのアンインストールを行い、電源供給の遮断及び再開の後にドライバーソフトウェアのインストールを行うことで、不具合のないドライバーソフトウェアを用いて、無線通信部220を適正に制御できるようになる。これにより、無線接続のエラー状態からの復旧の可能性を更に高めることができる。
【0035】
また本実施形態では
図6に示すように、処理部210は、アンインストール及びインストールを行ってもエラーが解消しなかった場合に、自己修復リブートとして、無線通信部220への電源供給の遮断と、電源供給の遮断後の電源供給の再開を行う。例えばドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールを行う1回目の自己修復リブートにより、無線接続のエラーが解消しなかった場合に、電源供給の遮断及び再開を含む2回目の自己修復リブートを行う。このようにすれば、まず、アンインストール及びインストールによる1回目の自己修復リブートを行うことで、無線通信部220又はドライバーソフトウェアに不具合があった場合にも、再インストールされたドライバーソフトウェアにより、無線通信部220を適切に制御して、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。そして、このアンインストール及びインストールによる1回目の自己修復リブートは短時間で完了できるため、この1回目の自己修復リブートが他の処理に与える悪影響を最小限にできる。そしてアンインストール及びインストールによる1回目の自己修復リブートでは、無線接続のエラー状態から復旧できなかった場合に、電源供給の遮断及び再開を含む2回目の自己修復リブートを実行する。電源供給の遮断及び再開を含む2回目の自己修復リブートは、アンインストール及びインストールによる1回目の自己修復リブートに比べて、長い時間はかかるが、無線通信部220の設定等を確実に初期化できるため、エラー状態からの復旧の可能性を高くできる。従って、電子機器200の他の処理の妨げになるのを最小限に抑えながら、無線接続のエラー状態からの復旧の可能性を高めることができる自己修復リブートの実現が可能になる。
【0036】
3.詳細な動作
次に
図7、
図8、
図9を用いて本実施形態の詳細な動作例について説明する。
図7は周期的に再接続を行う処理を説明するフローチャートである。まず外部アクセスポイントとの無線接続がエラーにより切断されたか否かを判断する(ステップS31)。そして切断されたと判断された場合には、再接続処理を行う(ステップS32)。後述するように、この再接続処理において本実施形態の自己修復リブートが行われる。そして再接続処理により外部アクセスポイントとの再接続に成功した場合には、処理を終了する(ステップS33)。一方、外部アクセスポイントとの再接続に成功しなかった場合には、所定期間だけウェイトする(ステップS34)。例えば1時間~数時間である所定時間だけウェイトする。そして所定期間の経過後に、ステップS32の再接続処理を実行する。
【0037】
このように本実施形態では処理部210は、
図7に示すように、外部アクセスポイントとの無線接続が切断された場合の再接続処理において自己修復リブートを行う。即ち
図7のステップS31で外部アクセスポイントとの無線接続が切断されたと判断された場合のステップS32の再接続処理において、自己修復リブートを行う。そして、この再接続処理は、例えば1時間~数時間というような長い時間間隔である所定期間毎に行われ、処理部210は、この所定期間毎に行われる再接続処理において、所定の実行条件が満たされた場合に自己修復リブートを実行する。このようにすれば、無線接続が切断された場合における再接続処理において、自己修復リブートを自動的に実行できるようになるため、ユーザーの利便性を向上できる。また定期的に実行される再接続処理において、自己修復リブートを実行できるようになるため、自己修復リブートが頻繁に行われて、電子機器200の他の処理の妨げとなってしまう事態を防止できる。
【0038】
図8、
図9は、
図7のステップS32の再接続処理の詳細を説明するフローチャートである。外部アクセスポイントとの再接続が開始すると、処理部210は、SSIDスキャンによる外部アクセスポイントの探索処理を行う(ステップS41、S42)。SSID(Service Set Identifier)は、無線LANにおける外部アクセスポイントの識別子であり、SSIDスキャンは、この外部アクセスポイントの識別子を探索する処理である。
【0039】
次にSSIDスキャンにより、接続したい外部アクセスポイントが発見されたか否かを判断する(ステップS43)。接続したい外部アクセスポイントは、再接続処理の対象となる外部アクセスポイントであり、例えば再接続処理の前に接続されていた外部アクセスポイントである。そして、接続したい外部アクセスポイントを発見できなかった場合には、当該外部アクセスポイント以外の他の外部アクセスポイントも発見できなかった否かを判断する(ステップS44)。そして他の外部アクセスポイントも発見できなかった場合に、自己修復リブートを実行する(ステップS45)。一方、他の外部アクセスポイントを発見できた場合には、自己修復リブートを実行することなく再接続処理を終了する。例えば、接続したい外部アクセスポイントに加えて他の外部アクセスポイントも電子機器200の周囲に全く存在しないような状況は、あまり想定しにくい状況である。従って、このような状況の場合には、例えば無線通信部220の不具合又はドライバーソフトウェアの不具合などが原因で、無線接続にエラーが発生している可能性が高いため、自己修復リブートを実行する。このようにすれば、自己修復リブートにより、ドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールが行われたり、或いは無線通信部220への電源供給の遮断及び再開が行われるようになる。従って、無線通信部220やドライバーソフトウェアに不具合があった場合にも、この不具合を解消して、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0040】
次に接続したい外部アクセスポイントが発見された場合には、処理部210は、認証要求を送信する処理を行う(ステップS46)。認証要求は無線LANにおけるオーセンティケーション要求(Authentication Request)である。電子機器200と外部アクセスポイントとの間で、認証情報であるオーセンティケーションのやり取りを行うことで、認証処理が実現される。そして処理部210は、認証要求の送信後、認証要求に対する応答を受信したか否かを判断する(ステップS47)。そして認証要求に対する応答を受信できなかった場合に、自己修復リブートを実行する(ステップS48)。即ち、SSIDスキャンにより、接続したい外部アクセスポイントが発見され、当該外部アクセスポイントに認証要求を送信したのに、認証要求に対する応答を受信できなかった場合には、無線通信部220又はドライバーソフトウェアなどに何らかの不具合が発生していると考えられる。従って、この場合には自己修復リブートを実行する。このようにすれば、自己修復リブートにより、ドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールが行われたり、或いは無線通信部220への電源供給の遮断及び再開が行われるようになるため、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0041】
認証要求に対する応答を受信した場合には、処理部210は、認証要求の応答のステータスがサクセスになっているか否かを判断する(ステップS49)。認証要求の応答のステータスがサクセスになっていない場合には、外部アクセスポイントとの無線接続は正常に行われたが、認証が失敗したと考えられるため、自己修復リブートを実行することなく再接続処理を終了する。
【0042】
認証要求の応答のステータスがサクセスになっていた場合には、処理部210は、接続要求を送信する処理を行う(ステップS50)。接続要求は無線LANにおけるアソシエーション要求(Association Request)である。即ち、認証により電子機器200が正しいクライアントであると外部アクセスポイントにより判断されると、クライアントである電子機器200の処理部210は外部アクセスポイントに対して接続要求を行う。処理部210は、接続要求の送信後、接続要求に対する応答を受信したか否かを判断する(ステップS51)。そして接続要求に対する応答を受信できなかった場合に、自己修復リブートを実行する(ステップS52)。即ち、SSIDスキャンにより、接続したい外部アクセスポイントが発見され、認証が成功して接続要求を送信したのに、接続要求に対する応答を受信できなかった場合には、無線通信部220又はドライバーソフトウェアなどに何らかの不具合が発生していると考えられる。従って、この場合には自己修復リブートを実行する。このようにすれば、自己修復リブートにより、ドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールが行われたり、或いは無線通信部220への電源供給の遮断及び再開が行われるようになるため、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0043】
接続要求に対する応答を受信した場合には、処理部210は、接続要求の応答のステータスがサクセスになっているか否かを判断する(ステップS53)。そして接続要求の応答のステータスがサクセスになっていない場合には、外部アクセスポイントとの無線通信及び認証は正常に行われたが、接続に失敗したと考えられるため、自己修復リブートを実行することなく再接続処理を終了する。
【0044】
一方、接続要求の応答のステータスがサクセスになっていた場合には、処理部210は、4ウェイハンドシェークを実行する(ステップS54)。4ウェイハンドシェークは、クライアントである電子機器200と外部アクセスポイントとの間で暗号鍵をやり取りする手順であり、PTK(Pairwise Transient Key)とGTK(Group Temporal Key)の暗号鍵のやり取りが行われる。そして4ウェイハンドシェークに成功した場合には、再接続に成功したと判断する(ステップS55、S56)。一方、4ウェイハンドシェークに成功しなかった場合には、自己修復リブートを実行することなく再接続処理を終了する。
【0045】
以上のように本実施形態では処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、外部アクセスポイントの探索処理を行う。即ち
図8のステップS42に示すようにSSIDスキャンにより外部アクセスポイントの探索処理を行う。そしてステップS43、S44、S45に示すように、処理部210は、無線接続にエラーが発生した外部アクセスポイント及び他の外部アクセスポイントのいずれも発見できなかった場合に、自己修復リブートを行う。例えば、再接続の対象となる外部アクセスポイントのみならず、それ以外の他の外部アクセスポイントも発見できない状況は、電子機器200の周囲に外部アクセスポイントが全く無い状況を意味しており、あまり想定しにくい状況である。従って、このような状況の場合には、無線通信部220の不具合等が原因で無線接続にエラーが発生していると考えられるため、自己修復リブートを実行する。これにより、ドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールが行われたり、或いは無線通信部220への電源供給の遮断及び再開が行われるようになり、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0046】
また本実施形態では、処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、外部アクセスポイントの探索処理を行う。そして処理部210は、ステップS43に示すように外部アクセスポイントを発見できたが、ステップS47に示すように外部アクセスポイントへの認証要求に対する応答を受信できなかった場合に、ステップS48に示すように自己修復リブートを行う。例えば再接続の対象となる外部アクセスポイントが発見され、当該外部アクセスポイントに認証要求を送信したのに、認証要求に対する応答を受信できなかった場合には、無線通信部220等に何らかの不具合が発生していると考えられる。従って、この場合には、無線通信部220等が原因で無線接続にエラーが発生していると考えられるため、自己修復リブートを実行する。これにより、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0047】
また本実施形態では、処理部210は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、外部アクセスポイントの探索処理を行う。そして処理部210は、ステップS43に示すように外部アクセスポイントを発見できたが、ステップS51に示すように外部アクセスポイントへの接続要求に対する応答を受信できなかった場合に、ステップS52に示すように自己修復リブートを行う。具体的には、外部アクセスポイントを発見でき、当該外部アクセスポイントとの認証に成功したのに、外部アクセスポイントへの接続要求に対する応答を受信できなかった場合に、自己修復リブートを行う。例えば再接続の対象となる外部アクセスポイントが発見され、当該外部アクセスポイントに接続要求を送信したのに、接続要求に対する応答を受信できなかった場合には、無線通信部220等に何らかの不具合が発生していると考えられる。従って、この場合には、無線通信部220等が原因で無線接続にエラーが発生していると考えられるため、自己修復リブートを実行する。これにより、無線接続のエラー状態からの復旧が可能になる。
【0048】
以上に説明したように
図8、
図9では、処理部210は、再接続処理の際に常に自己修復リブートを行うのではなく、所定の実行条件が満たされた場合に自己修復リブートを行う。例えばステップS44の実行条件、ステップS47の実行条件、或いはステップS51の実行条件が満たされた場合に、自己修復リブートを行う。このようにすれば、再接続処理において無条件に自己修復リブートが実行されて、電子機器200の他の処理が妨げられてしまう事態が発生するのを防止できる。従って、自己修復リブートによる無線接続のエラー状態からの復帰と、無条件の自己修復リブートによる電子機器200の処理効率の低下の防止とを両立して実現することが可能になる。
【0049】
4.内部アクセスポイント
図10に通信システム10の他の構成例を示す。
図10の通信システム10は内部アクセスポイントを介した無線通信が可能なシステムである。
図10では、電子機器200がプリンターであり、端末装置100がスマートフォン等の携帯端末装置である場合の例が示されている。
【0050】
例えば端末装置100と電子機器200は、ともにステーションとして動作することができる。端末装置100及び電子機器200がそれぞれ外部アクセスポイントAPと接続することによって、端末装置100と電子機器200の通信が行われる。外部アクセスポイントAPは、例えばルーター機能を有する無線ルーターである。
図10では、外部アクセスポイントAPを経由した端末装置100と電子機器200の通信を第1無線通信CM1と表記している。
図10に示すように、第1無線通信CM1は、端末装置100と外部アクセスポイントAPとの間の第3無線通信CM3と、電子機器200と外部アクセスポイントAPとの間の第4無線通信CM4とによって実現される。
【0051】
また電子機器200は、不図示の内部アクセスポイントを起動可能である。内部アクセスポイントは、ソフトウェアアクセスポイントと表記できる。端末装置100は、電子機器200の内部アクセスポイントに接続する。
図10では、内部アクセスポイントを用いた端末装置100と電子機器200のダイレクト接続を、第2無線通信CM2と表記している。
【0052】
図10の通信システム10の場合には、
図2の無線通信部220は、不図示の第1無線通信部と第2無線通信部を含むことができる。第1無線通信部は、電子機器200がWi-Fiのステーションとして動作する際の無線通信を行う。例えば、第1無線通信部は、外部アクセスポイントAPとの通信である第4無線通信CM4を実行する。第2無線通信部は、電子機器200がWi-Fiのアクセスポイントとして動作する際の無線通信を行う。第2無線通信部は、内部アクセスポイントを起動し、端末装置100からの接続を受け付けることによって第2無線通信CM2を実行する。
【0053】
無線通信部220は、Wi-Fi規格に準拠した無線通信を行う。そして無線通信部220は、Wi-Fi Direct(登録商標)方式をサポートする。第1無線通信部と第2無線通信部は、それぞれ異なる無線通信ICにより実現されてもよい。或いは第1無線通信部と第2無線通信部は、共通の無線通信ICによって実現されてもよい。例えば1つの無線通信ICが、第1無線通信CM1と、第2無線通信CM2を時分割に実行することによって、第1無線通信部と第2無線通信部が実現されてもよい。また、無線通信部220は、Wi-Fi規格以外の規格に準拠した無線通信を実行可能であってもよい。
【0054】
このように本実施形態では、無線通信部220は、外部アクセスポイントAPを経由した第1無線通信と、内部アクセスポイントを経由した第2無線通信を行う。そして処理部210は、無線通信部220が内部アクセスポイントを起動していないことを条件に、自己修復リブートを行う。例えば内部アクセスポイントを介したダイレクト接続の第2無線通信CM2を行っていないことを条件に、自己修復リブートを行う。即ち、ダイレクト接続の第2無線通信CM2を行っているときには、自己修復リブートの実行条件が満たされても、自己修復リブートが実行されないようにする。例えば内部アクセスポイントを起動している時には、電子機器200がアクセスポイントとなって、端末装置100からの印刷ジョブ等のジョブを受け付けることになる。そしてユーザーが、端末装置100を第2無線通信CM2により電子機器200にダイレクト接続して、電子機器200により印刷を行っているときに、勝手に自己修復リブートが実行されてしまうと、ユーザーの意思に反して印刷が中断されてしまうなどの事態が発生する。そこで処理部210は、内部アクセスポイントが起動されていないことを条件に、自己修復リブートを実行する。このようにすれば、内部アクセスポイントを経由した第2無線通信CM2が行われているときに、意図しない自己修復リブートが実行されて、内部アクセスポイントを利用したジョブが中断されてしまうなどの不具合が発生するのを防止できるようになる。
【0055】
図11は、内部アクセスポイントを起動していないことを条件に自己修復リブートを行う処理を説明するフローチャートである。まず処理部210は、無線通信部220の内部アクセスポイントが起動しているか否かを判断する(ステップS61)。例えば端末装置100において、ユーザーが電子機器200へのダイレクト接続を行うことを選択する操作が行った場合に、内部アクセスポイントが起動される。そして処理部210は、内部アクセスポイントが起動していないと判断した場合には、自己修復リブートの許可フラグをオンにする(ステップS62)。一方、内部アクセスポイントが起動していないと判断した場合には、自己修復リブートの許可フラグをオフにする(ステップS63)。そして自己修復リブートの許可フラグがオフの場合には、
図8、
図9のステップS44、ステップS47又はステップS51の実行条件が満たされた場合にも、処理部210は自己修復リブートを実行しない。一方、自己修復リブートの許可フラグがオンの場合には、ステップS44、ステップS47又はステップS51の実行条件が満たされた場合に、処理部210は自己修復リブートを実行する。これにより、内部アクセスポイントを起動していないことを条件に自己修復リブートを行う処理を実現できるようになる。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の電子機器は、外部アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、無線通信部の通信制御を行う処理部を含む。そして処理部は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、アンインストール後のドライバーソフトウェアのインストールとを行う。
【0057】
本実施形態によれば、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生すると、自己修復リブートとして、無線通信部のドライバーソフトウェアのアンインストール及びインストールが行われる。これにより、ドライバーソフトウェアにより制御される無線通信部又は当該ドライバーソフトウェアに不具合があった場合にも、当該ドライバーソフトウェアがアンインストールされて、ドライバーソフトウェアの再インストールが行われるようになる。そして再インストールされたドライバーソフトウェアにより無線通信部が制御されることで、上記の不具合を解消できるようになる。これにより外部アクセスポイントを経由した無線通信の自己修復が可能になり、無線接続のエラー状態からの自動的な復旧が可能になる。
【0058】
また本実施形態では、処理部は、自己修復リブートとして、ドライバーソフトウェアのアンインストールと、アンインストールの後の無線通信部への電源供給の遮断と、電源供給の遮断後の電源供給の再開と、電源供給の再開後のドライバーソフトウェアのインストールとを行ってもよい。
【0059】
このように電源供給の遮断及び再開を行えば、無線通信部の設定等を初期化できるようになるため、無線接続のエラー状態からの復旧の可能性を高めることができる。
【0060】
また本実施形態では、処理部は、アンインストール及びインストールを行ってもエラーが解消しなかった場合に、自己修復リブートとして、無線通信部への電源供給の遮断と、電源供給の遮断後の電源供給の再開とを行ってもよい。
【0061】
このようにすれば、アンインストール及びインストールによる自己修復リブートにより、無線接続のエラーが解消しなかった場合にも、電源供給の遮断及び再開を含む次の自己修復リブートを行うことで、無線接続のエラー状態からの復旧の可能性を高めることが可能になる。
【0062】
また本実施形態では、処理部は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、外部アクセスポイントの探索処理を行い、無線接続にエラーが発生した外部アクセスポイント及び他の外部アクセスポイントのいずれも発見できなかった場合に、自己修復リブートを行ってもよい。
【0063】
例えば無線接続にエラーが発生した外部アクセスポイントのみならず、それ以外の他の外部アクセスポイントも発見できない状況は、あまり想定しにくい状況であるため、このような状況の場合に、自己修復リブートを実行することで、無線接続のエラー状態からの適正な復旧が可能になる。
【0064】
また本実施形態では、処理部は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、外部アクセスポイントの探索処理を行い、外部アクセスポイントを発見できたが、外部アクセスポイントへの認証要求に対する応答を受信できなかった場合に、自己修復リブートを行ってもよい。
【0065】
例えば外部アクセスポイントが発見され、当該外部アクセスポイントに認証要求を送信したのに、その応答を受信できなかった場合には、無線通信部に何らかの不具合が発生していると考えられるため、この場合に自己修復リブートを実行することで、無線接続のエラー状態からの適正な復旧が可能になる。
【0066】
また本実施形態では、処理部は、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、外部アクセスポイントの探索処理を行い、外部アクセスポイントを発見できたが、外部アクセスポイントへの接続要求に対する応答を受信できなかった場合に、自己修復リブートを行ってもよい。
【0067】
例えば外部アクセスポイントが発見され、当該外部アクセスポイントに接続要求を送信したのに、その応答を受信できなかった場合には、無線通信部に何らかの不具合が発生していると考えられるため、この場合に自己修復リブートを実行することで、無線接続のエラー状態からの適正な復旧が可能になる。
【0068】
また本実施形態では、処理部は、接続状態であった外部アクセスポイントとの無線接続が切断された場合の再接続処理において、自己修復リブートを行ってもよい。
【0069】
このようにすれば、無線接続が切断された場合における再接続処理において、自己修復リブートを自動的に実行できるようになるため、ユーザーの利便性を向上できる。
【0070】
また本実施形態では、無線通信部は、外部アクセスポイントを経由した第1無線通信と、内部アクセスポイントを経由した第2無線通信を行い、処理部は、無線通信部が内部アクセスポイントを起動していないことを条件に、自己修復リブートを行ってもよい。
【0071】
このようにすれば、内部アクセスポイントを経由した第2無線通信が行われているときに、意図しない自己修復リブートが実行されて、内部アクセスポイントを利用したジョブが中断されてしまうなどの不具合が発生するのを防止できるようになる。
【0072】
また本実施形態は、無線通信部により外部アクセスポイントと無線通信を行う通信制御方法であって、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生したか否かを判断し、外部アクセスポイントとの無線接続にエラーが発生した場合に、自己修復リブートとして、無線通信部を動作させるドライバーソフトウェアのアンインストールと、アンインストール後のドライバーソフトウェアのインストールとを行う通信制御方法に関係する。
【0073】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また電子機器等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…通信システム、100…端末装置、200…電子機器、210…処理部、
212…CPU、214…インターフェース、
220…無線通信部、222…無線通信IC、
224…インターフェース、226…RAM、230…表示部、
240…操作部、250…印刷部、260…記憶部、
262…RAM、264…ROM、
ANT…アンテナ部、AP…外部アクセスポイント、BS…バス、
CM1…第1無線通信、CM2…第2無線通信、CM3…第3無線通信、
CM4…第4無線通信