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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】払拭装置、液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240910BHJP
   B65H 20/24 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/165 307
B65H20/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020075452
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021171946
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】荒深 和志
(72)【発明者】
【氏名】木村 仁俊
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164980(JP,A)
【文献】特開2003-137233(JP,A)
【文献】特開2014-176973(JP,A)
【文献】特開平08-302576(JP,A)
【文献】特開2019-043031(JP,A)
【文献】特開2020-040238(JP,A)
【文献】特開2014-117946(JP,A)
【文献】特開2004-106525(JP,A)
【文献】特開2014-054834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0091065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B65H 20/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、液体を噴射可能な液体噴射部に接触可能にする押圧部と、
巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、
前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、
を備え、
前記接触部は、前記移動領域のうち前記移動方向において前記押圧部より上流の移動方向上流領域で前記帯状部材に接触し、
前記接触部の移動範囲は、前記巻出軸に巻き付いた前記帯状部材を収容するための空間と重なることを特徴とする払拭装置。
【請求項2】
巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、液体を噴射可能な液体噴射部に接触可能にする押圧部と、
巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、
前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、
を備え、
前記接触部の移動範囲は、前記巻出軸に巻き付いた前記帯状部材を収容するための空間と重なることを特徴とする払拭装置。
【請求項3】
前記接触部は、前記移動方向において前記接触領域と隣り合う直前領域で前記帯状部材に接触するように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の払拭装置。
【請求項4】
前記接触部は、自重によって前記動作時位置から該動作時位置より下方の前記停止時位置に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の払拭装置。
【請求項5】
前記接触部分が前記液体噴射部に接触した状態で該液体噴射部に対して相対移動する方向を払拭方向とした場合に、前記接触部は、前記移動領域のうち前記払拭方向において前記押圧部より上流の払拭方向上流領域で前記帯状部材に接触することを特徴とする請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の払拭装置。
【請求項6】
液体を噴射する液体噴射部と、
前記液体噴射部を払拭可能な払拭装置と、
を備え、
前記払拭装置は、
巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、前記液体噴射部に接触可能にする押圧部と、
巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、
前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、
を有し、
前記接触部は、前記移動領域のうち前記移動方向において前記押圧部より上流の移動方向上流領域で前記帯状部材に接触し、
前記接触部の移動範囲は、前記巻出軸に巻き付いた前記帯状部材を収容するための空間と重なることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
液体を噴射する液体噴射部と、
前記液体噴射部を払拭可能な払拭装置と、
を備え、
前記払拭装置は、
巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、前記液体噴射部に接触可能にする押圧部と、
巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、
前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、
前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、
を有し、
前記接触部の移動範囲は、前記巻出軸に巻き付いた前記帯状部材を収容するための空間と重なることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
前記接触部は、前記移動方向において前記接触領域と隣り合う直前領域で前記帯状部材に接触するように設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記接触部は、自重によって前記動作時位置から該動作時位置より下方の前記停止時位置に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項~請求項のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記接触部分が前記液体噴射部に接触した状態で該液体噴射部に対して相対移動する方向を払拭方向とした場合に、前記接触部は、前記移動領域のうち前記払拭方向において前記押圧部より上流の払拭方向上流領域で前記帯状部材に接触することを特徴とする請求項~請求項のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記動作時位置に位置する前記接触部と、前記停止時位置に位置する前記接触部は、前記巻出軸の直上に位置することを特徴とする請求項~請求項10のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭装置、及び払拭装置を備える液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体噴射部の一例である機能液滴吐出ヘッドを帯状部材の一例であるワイピングシートで拭き取る払拭装置の一例であるワイピングユニットを備える液体噴射装置の一例である液滴吐出装置がある。ワイピングユニットは、帯状部材の一例であるワイピングシートを繰り出す巻出軸の一例である繰出しリールと、ワイピングシートを巻き取る巻取軸の一例である巻取りリールと、繰出しリール及び巻取りリールの間に設けられる押圧部の一例である拭取りローラーと、を備える。
【0003】
ワイピングユニットは、巻取りモーターを駆動して巻取りリールにワイピングシートを巻き取り、制動機構の一例であるトルクリミッターにより繰出しリールを制動してワイピングシートに張力を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-307915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
帯状部材に張力を付与した状態で巻取軸を回転させて帯状部材を巻き取る場合、巻取軸の回転が停止すると、巻出部と巻取部との間の帯状部材に弛みが生じてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する払拭装置は、巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、液体を噴射可能な液体噴射部に接触可能にする押圧部と、巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決する液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射部と、前記液体噴射部を払拭可能な払拭装置と、を備え、前記払拭装置は、巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、前記液体噴射部に接触可能にする押圧部と、巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体噴射装置の一実施形態の斜視図。
図2】液体噴射部及びキャリッジの模式底面図。
図3】メンテナンス装置の模式平面図。
図4】払拭装置の模式側面図。
図5】払拭装置の模式側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、払拭装置、液体噴射装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙等の媒体に液体の一例であるインクを噴射して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
図面では、液体噴射装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸に沿う方向を幅方向X、Y軸に沿う方向を奥行方向Y、Z軸に沿う方向を重力方向Zともいう。
【0011】
図1に示すように、液体噴射装置11は、一対の脚部12と、脚部12上に組み付けられる筐体13と、を備えてもよい。液体噴射装置11は、ロール状に巻き重ねた媒体14を巻き解いて繰り出す繰出部15と、筐体13から排出される媒体14を案内する案内部16と、媒体14を巻き取って回収する回収部17と、を備えてもよい。液体噴射装置11は、回収部17に回収される媒体14にテンションを付与するテンション付与機構18を備えてもよい。
【0012】
液体噴射装置11は、液体を噴射可能な液体噴射部20と、液体噴射部20を移動させるキャリッジ21と、液体噴射部20のメンテナンスを行うメンテナンスユニット22と、を備える。液体噴射装置11は、液体噴射部20に液体を供給する液体供給装置23と、ユーザーによって操作される操作パネル24と、を備えてもよい。キャリッジ21は、液体噴射部20をX軸に沿って往復移動させる。液体噴射部20は、液体供給装置23を通じて供給された液体を移動しながら噴射し、媒体14に印刷する。
【0013】
液体供給装置23は、液体を収容する複数の液体収容体25が着脱可能に装着される装着部26と、装着部26に装着させる液体収容体25から液体噴射部20に液体を供給する供給流路27と、を備えてもよい。
【0014】
液体噴射装置11は、液体噴射装置11の動作を制御する制御部29を備える。制御部29は、例えばCPU、メモリーなどを含んで構成される。制御部29は、メモリーに記憶されるプログラムをCPUが実行することにより、液体噴射部20、液体供給装置23、及びメンテナンスユニット22などを制御する。
【0015】
図2に示すように、液体噴射装置11は、キャリッジ21を支持するガイド軸31と、キャリッジ21を移動させるキャリッジモーター32と、を備えてもよい。ガイド軸31は、幅方向Xに延びる。制御部29は、キャリッジモーター32の駆動を制御することにより、キャリッジ21及び液体噴射部20をガイド軸31に沿って往復移動させる。
【0016】
液体噴射装置11は、キャリッジ21の下部に保持される整風部34を備えてもよい。整風部34は、幅方向Xにおいて液体噴射部20の両側に設けると、X軸に沿って往復移動する液体噴射部20周辺の気流を整えやすくできる。
【0017】
液体噴射部20は、複数のノズル36が形成されるノズル形成部材37と、ノズル形成部材37の一部を覆うカバー部材38と、を備えてもよい。カバー部材38は、例えばステンレス鋼などの金属により構成される。カバー部材38には、カバー部材38を重力方向Zに貫通する複数の貫通孔39が形成されている。カバー部材38は、貫通孔39からノズル36が露出するように、ノズル形成部材37においてノズル36の開口が形成される側を覆う。ノズル面40は、ノズル形成部材37と、カバー部材38と、を含んで形成される。具体的には、ノズル面40は、貫通孔39から露出するノズル形成部材37と、カバー部材38と、により構成されている。液体噴射部20は、ノズル面40に配置されるノズル36から液体を噴射可能である。
【0018】
液体噴射部20には、液体を噴射するノズル36の開口が一方向に一定の間隔で多数並ぶ。複数のノズル36は、ノズル列を構成する。本実施形態では、ノズル36の開口は、奥行方向Yに並び、第1ノズル列L1~第12ノズル列L12を構成する。1つのノズル列を構成するノズル36は、同じ種類の液体を噴射する。1つのノズル列を構成するノズル36のうち、奥行方向Yにおける奥に位置するノズル36と、奥行方向Yにおける前に位置するノズル36は、幅方向Xに位置をずらして形成されている。
【0019】
第1ノズル列L1~第12ノズル列L12は、2列ずつ幅方向Xに接近して並ぶ。本実施形態では、互いに接近して並ぶ2つのノズル列をノズル群という。液体噴射部20には、第1ノズル群G1~第6ノズル群G6が幅方向Xに一定の間隔で配置される。
【0020】
具体的には、第1ノズル群G1は、マゼンタインクを噴射する第1ノズル列L1とイエローインクを噴射する第2ノズル列L2を含む。第2ノズル群G2は、シアンインクを噴射する第3ノズル列L3とブラックインクを噴射する第4ノズル列L4を含む。第3ノズル群G3は、ライトシアンインクを噴射する第5ノズル列L5とライトマゼンタインクを噴射する第6ノズル列L6を含む。第4ノズル群G4は、処理液を噴射する第7ノズル列L7および第8ノズル列L8を含む。第5ノズル群G5は、ブラックインクを噴射する第9ノズル列L9とシアンインクを噴射する第10ノズル列L10を含む。第6ノズル群G6は、イエローインクを噴射する第11ノズル列L11とマゼンタインクを噴射する第12ノズル列L12を含む。
【0021】
次に、メンテナンスユニット22について説明する。
図3に示すように、メンテナンスユニット22は、幅方向Xに並ぶフラッシング装置42、払拭装置43、吸引装置44、及びキャッピング装置45を有する。キャッピング装置45の上方は、液体噴射部20のホームポジションHPとなる。ホームポジションHPは、液体噴射部20の移動の始点となる。払拭装置43の上方は、液体噴射部20のクリーニング位置CPとなる。図3には、クリーニング位置CPに位置する液体噴射部20を二点鎖線で示す。払拭装置43は、クリーニング位置CPに位置する液体噴射部20のノズル面40を払拭可能に設けられる。
【0022】
フラッシング装置42は、フラッシングにより液体噴射部20から噴射される液体を受容する。フラッシングとは、ノズル36の目詰まりを予防及び解消する目的で、液体を廃液として噴射するメンテナンスである。
【0023】
フラッシング装置42は、液体噴射部20がフラッシングのために噴射した液体を受容する液体受容部47と、液体受容部47の開口を覆うための蓋部材48と、蓋部材48を移動させる蓋用モーター49と、を備える。フラッシング装置42は、複数の液体受容部47と、複数の蓋部材48と、を備えてもよい。制御部29は、液体の種類によって液体受容部47を選択してもよい。本実施形態のフラッシング装置42は、2つの液体受容部47を備え、一方の液体受容部47は、液体噴射部20からフラッシングにより噴射される複数のカラーインクを受容し、他方の液体受容部47は、液体噴射部20からフラッシングにより噴射される処理液を受容する。液体受容部47は、保湿液を収容してもよい。
【0024】
蓋部材48は、蓋用モーター49の駆動により、液体受容部47の開口を覆う図示しない被覆位置と、液体受容部47の開口を露出させる図3に示す露出位置と、の間で移動する。フラッシングを行わない時には、蓋部材48が被覆位置に移動することにより、収容する保湿液や受容した液体の乾燥を抑制する。
【0025】
吸引装置44は、吸引キャップ51と、吸引キャップ51を保持する吸引用保持体52と、吸引用保持体52をZ軸に沿って往復移動させる吸引用モーター53と、吸引キャップ51内を減圧する減圧機構54と、を備える。吸引用モーター53による吸引用保持体52の移動に伴って、吸引キャップ51が接触位置と退避位置との間で移動する。接触位置は、吸引キャップ51が液体噴射部20に接触してノズル36を囲む位置である。退避位置は、吸引キャップ51が液体噴射部20から離れる位置である。
【0026】
吸引キャップ51は、全てのノズル36をまとめて囲む構成としてもよいし、少なくとも1つのノズル群を囲む構成としてもよいし、ノズル群を構成するノズル36のうち一部のノズル36を囲む構成としてもよい。本実施形態の吸引装置44は、2つの吸引キャップ51により第1ノズル群G1~第6ノズル群G6のうち1つのノズル群を囲む。
【0027】
液体噴射装置11は、液体噴射部20を吸引装置44の上方に位置させると共に、吸引キャップ51を接触位置に位置させて1つのノズル群を囲み、吸引キャップ51内を減圧してノズル36から液体を排出させる吸引クリーニングを行ってもよい。すなわち、吸引装置44は、吸引クリーニングにより排出される液体を受容してもよい。
【0028】
キャッピング装置45は、待機キャップ56と、待機キャップ56を保持する待機用保持体57と、待機用保持体57をZ軸に沿って往復移動させる待機用モーター58と、を有する。待機用モーター58による待機用保持体57の移動に伴って、待機キャップ56が上方もしくは下方に移動する。待機キャップ56は、下方の位置である離隔位置から上方の位置であるキャッピング位置に移動し、ホームポジションHPで停止している液体噴射部20に接触する。
【0029】
キャッピング位置に位置する待機キャップ56は、第1ノズル群G1~第6ノズル群G6を構成するノズル36の開口を囲う。このように、待機キャップ56がノズル36の開口を囲うメンテナンスを待機キャッピングという。待機キャッピングは、キャッピングの一種である。待機キャッピングにより、ノズル36の乾燥が抑制される。
【0030】
待機キャップ56は、全てのノズル36をまとめて囲む構成としてもよいし、少なくとも1つのノズル群を囲む構成としてもよいし、ノズル群を構成するノズル36のうち一部のノズル36を囲む構成としてもよい。
【0031】
次に、払拭装置43について説明する。
図3に示すように、払拭装置43は、ワイピング本体部60と、ワイピング本体部60を移動可能に支持する軌道部61と、を備えてもよい。軌道部61は、Y軸に沿って延びる一対のレール62と、Y軸に沿って延びるラック63と、を備える。
【0032】
ワイピング本体部60は、液体噴射部20が噴射する液体を吸収可能な帯状部材65と、帯状部材65を収容するケース66と、ケース66内に設けられる動力伝達機構67及びワイピングモーター68と、を備えてもよい。ワイピング本体部60は、軌道部61上を図4に示す待機位置WPと図3に示す受容位置RPとの間で移動する。
【0033】
ケース66は、帯状部材65の一部を露出させる開口66aを有する。幅方向Xにおける帯状部材65の大きさはノズル面40の大きさ以上であってもよい。この場合、液体噴射部20を効率よくメンテナンスできる。
【0034】
ワイピング本体部60が受容位置RPに位置し、且つ液体噴射部20がクリーニング位置CPに位置するとき、帯状部材65の第1面65fとノズル面40とが対向する。この状態で液体噴射装置11は、加圧した液体をノズル36から排出させる加圧クリーニングを行ってもよい。すなわち、払拭装置43は、加圧クリーニングにより排出される液体を受容してもよい。
【0035】
待機位置WPに位置するワイピング本体部60は、ワイピングモーター68が逆転駆動されることにより、奥行方向Yに移動して受容位置RPに向かう。受容位置RPに位置するワイピング本体部60は、ワイピングモーター68が正転駆動されることにより、奥行方向Yとは反対の払拭方向Dwに移動して待機位置WPに向かう。
【0036】
払拭方向Dwは、帯状部材65の接触部分65aが液体噴射部20に接触した状態で液体噴射部20に対して相対移動する方向である。図3では、接触部分65aを網掛けで示す。本実施形態の払拭装置43は、液体噴射部20がクリーニング位置CPで停止した状態で、ワイピング本体部60を払拭方向Dwに移動させることで払拭動作を実行する。払拭動作では、帯状部材65のうち接触部分65aの第1面65fが、ノズル面40に接触してノズル面40を払拭する。帯状部材65は、払拭動作によりノズル面40に付着した液体を収集する。
【0037】
図4に示すように、払拭装置43は、巻出軸70を有する巻出部71と、巻取軸72を有する巻取部73と、を備える。巻出部71は、帯状部材65をロール状に巻いた状態で保持する。払拭装置43は、帯状部材65の移動領域に沿って上流から順に設けられる上流ローラー74、接触部75、押圧部76、及び下流ローラー77を備えてもよい。上流ローラー74、接触部75、押圧部76、及び下流ローラー77は、払拭方向Dwの上流からこの順に並ぶ。
【0038】
巻出部71から巻き出された帯状部材65は、上流ローラー74、接触部75、押圧部76、及び下流ローラー77の順に巻き掛けられ、巻取部73に巻き取られる。ケース66は、巻出軸70、上流ローラー74、接触部75、押圧部76、下流ローラー77、及び巻取軸72をX軸を軸線方向として回転可能に支持する。接触部75は、帯状部材65の第1面65fに接触する。上流ローラー74、押圧部76、及び下流ローラー77は、帯状部材65の第1面65fとは反対の第2面65sに接触する。
【0039】
巻取軸72は、ケース66が待機位置WPもしくは受容位置RPに位置する状態でワイピングモーター68が駆動されることで巻取方向Drに回転し、帯状部材65をロール状に巻き取る。本実施形態では、巻取部73が巻取軸72に帯状部材65を巻き取る動作を巻取動作といい、巻出部71と巻取部73との間の領域を移動領域という。巻取部73は、巻取動作を行うことで、帯状部材65を引っ張り、巻出軸70を巻出方向Duに回転させる。巻取部73は、帯状部材65の引き出した部分を移動領域に沿って移動方向Dmに移動させる。巻取部73は、帯状部材65を巻き取る巻取動作を行うことで接触部分65aを移動方向Dmに移動可能である。移動方向Dmとは、移動領域に沿う方向であり、上流の巻出部71から下流の巻取部73に向かう方向である。
【0040】
払拭装置43は、巻出軸70から帯状部材65が巻き出される巻出方向Duへの巻出軸70の回転を制動する制動機構79を備える。制動機構79は、例えば巻出軸70に摩擦力を付与することで巻出軸70の回転を制動してもよいし、トルクダンパーを用いてもよい。巻取部73と制動機構79は、巻取動作によって帯状部材65に移動方向Dmの張力を付与する。巻取部73は、巻取動作により張力が付与された帯状部材65を巻き取る。
【0041】
払拭装置43は、巻取軸72の巻取方向Drとは反対の方向への回転を規制する回転規制機構80を備えてもよい。回転規制機構80は、巻取動作に伴う巻取軸72の巻取方向Drへの回転を許容し、巻取動作が行われていないときの巻取軸72の回転を規制する。
【0042】
移動領域は、移動方向Dmの上流から順に並ぶ巻出領域A1、直前領域A2、接触領域A3、直後領域A4、及び巻取領域A5を有する。巻出領域A1及び直前領域A2は、移動領域のうち移動方向Dmにおいて押圧部76より上流の移動方向上流領域Muであり、移動領域のうち払拭方向Dwにおいて押圧部76より上流の払拭方向上流領域Wuでもある。直後領域A4及び巻取領域A5は、移動領域のうち移動方向Dmにおいて押圧部76より下流の移動方向下流領域Mdであり、移動領域のうち払拭方向Dwにおいて押圧部76より下流の払拭方向下流領域Wdでもある。
【0043】
巻出領域A1は、巻出部71から上流ローラー74までの領域である。直前領域A2は、上流ローラー74から押圧部76までの領域である。直前領域A2は、移動方向Dmにおいて巻出領域A1及び接触領域A3と隣り合う。
【0044】
接触領域A3は、帯状部材65が押圧部76に巻き掛けられ、押圧部76が帯状部材65を上方に押す領域である。帯状部材65のうち、接触領域A3に位置する部分が、接触部分65aになる。押圧部76は、帯状部材65のうち接触領域A3に位置する接触部分65aを、液体噴射部20に接触可能に押す。
【0045】
直後領域A4は、押圧部76から下流ローラー77までの領域である。直後領域A4は、ワイピング本体部60が受容位置RPに位置するとき、クリーニング位置CPに位置する液体噴射部20と対向する。直後領域A4は、移動方向Dmにおいて接触領域A3及び巻取領域A5と隣り合う。巻取領域A5は、下流ローラー77から巻取部73までの領域である。
【0046】
接触部75は、巻出部71から巻き出された帯状部材65に、移動方向Dmにおいて巻出部71と巻取部73との間となる移動領域で接触して帯状部材65に張力を付与する。本実施形態の接触部75は、直前領域A2で帯状部材65に接触するように設けられている。換言すると、接触部75は、払拭方向上流領域Wuで帯状部材65に接触すると共に、移動方向上流領域Muで帯状部材65に接触する。接触部75は、帯状部材65に上方から接触すると共に、自重で帯状部材65を押して帯状部材65に張力を付与する。
【0047】
ケース66は、接触部75を案内するガイド66bを有してもよい。ケース66は、接触部75を移動可能に支持する。接触部75は、巻取動作中の図4に実線で示す動作時位置と巻取動作が行われていないときの図4に二点鎖線で示す停止時位置との間を移動可能である。
【0048】
本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、巻取動作が行われているときに移動領域の帯状部材65に付与される張力の大きさは、接触部75が自重により帯状部材65を押す力より大きい。そのため、接触部75は、帯状部材65に押し上げられ、停止時位置より上方の動作時位置に位置する。
【0049】
帯状部材65に張力を付与した状態で巻取動作を行うと、巻取動作を行った後に帯状部材65に弛みが生じることがある。そのため、巻取動作が終了すると、接触部75は、自重により動作時位置より下方の停止時位置に移動し、帯状部材65の弛みを吸収する。
【0050】
帯状部材65の弛みは、例えば巻取動作が終了してから回転規制機構80が機能するまでに、巻取軸72が巻取方向Drとは反対の方向に遊び角度だけ回転することで生じる弛みを含む。そのため、帯状部材65が弛む量は、巻取軸72に巻き付いた帯状部材65の量によって変化する。
【0051】
図4に示すように、巻取軸72に巻き付いた帯状部材65の量が少ない場合、この帯状部材65の直径は小さい。そのため、巻取軸72が遊び角度だけ回転したときに、巻取部73から移動領域に戻る帯状部材65の量が少なく、弛みも小さい。したがって、図4に実線で示す動作時位置に対し、図4に二点鎖線で示す停止時位置は近い位置になる。
【0052】
図5に示すように、巻取軸72に巻き付いた帯状部材65の量が多い場合、この帯状部材65の直径は大きい。そのため、巻取軸72が遊び角度だけ回転したときに、巻取部73から移動領域に戻る帯状部材65の量が多く、弛みも大きい。したがって、図5に実線で示す動作時位置に対し図5に二点鎖線で示す停止時位置は、離れた位置になる。
【0053】
すなわち、巻取軸72が帯状部材65を巻き取って、巻取部73に巻かれた帯状部材65の直径が大きくなるほど、巻出部71の帯状部材65の直径は小さくなり、巻取動作を行った後に帯状部材65が弛む量が大きくなる。したがって、巻出軸70に巻き付いた帯状部材65の直径が小さくなるほど、停止時位置は下方の位置になる。そのため、接触部75を巻出部71の上方に設け、巻出軸70に巻き付いた帯状部材65を収容するための空間と、接触部75の移動範囲とを重ねることで、払拭装置43を小型化できる。
【0054】
本実施形態の効果について説明する。
(1)接触部75は、巻取動作中には動作時位置に位置し、巻取動作が行われていないときには停止時位置に位置する。すなわち、接触部75は、巻取動作が終了すると、動作時位置から停止時位置に移動する。したがって、動作時位置から停止時位置に移動する方向を帯状部材65の弛みを低減させる方向とすることで、制動機構79が帯状部材65に張力を付与する状態で巻取動作を行った後に生じる帯状部材65の弛みを低減できる。
【0055】
(2)帯状部材65は、接触領域A3に位置する接触部分65aが弛むと、接触部分65aを液体噴射部20に良好に接触させることができない虞がある。その点、接触部75は、帯状部材65の直前領域A2に接触して帯状部材65に張力を付与する。直前領域A2は、接触領域A3と隣り合うため、接触部分65aの弛みを低減しやすくできる。
【0056】
(3)接触部75は、自重によって動作時位置から停止時位置に移動する。そのため、接触部75の重さに応じた張力を帯状部材65に安定して付与できる。
(4)接触部分65aが液体噴射部20に対して払拭方向Dwに相対移動する払拭動作を行うとき、液体噴射部20に付着する液体は、帯状部材65のうち、払拭方向Dwにおいて押圧部76より下流の払拭方向Dw下流領域に付着しやすい。その点、接触部75は、払拭方向Dwにおいて押圧部76より上流の払拭方向上流領域Wuで帯状部材65に接触する。そのため、払拭動作により帯状部材65に収集される液体が接触部75に付着しにくくできる。
【0057】
(5)液体噴射部20に接触する接触部分65aは、巻取動作により移動方向Dmの下流に移動する。その点、接触部75は、移動方向Dmにおいて押圧部76より上流の移動方向上流領域Muに接触するため、帯状部材65に収集される液体が接触部75に付着しにくくできる。
【0058】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・払拭装置43は、移動方向Dmに並ぶ2つの押圧部76を備え、2つの押圧部76の間の領域を接触領域A3としてもよい。
【0059】
・払拭装置43は、回転規制機構80を備えない構成としてもよい。例えば、制御部29は、ワイピングモーター68の駆動を制御し、巻取動作が行われていないときにも、巻取軸72にトルクを作用させてもよい。制御部29は、巻取軸72に作用させるトルクを大きくすることで巻取軸72を回転させ、巻取動作を行ってもよい。
【0060】
・払拭装置43は、複数の接触部75を備えてもよい。
・接触部75は、払拭方向下流領域Wdで帯状部材65に接触してもよい。接触部75は、移動方向下流領域Mdで帯状部材65に接触してもよい。例えば、接触部75は、移動方向Dmにおいて接触領域A3と隣り合う直後領域A4で帯状部材65に接触するように設けられていてもよい。接触部75が帯状部材65に、直後領域A4で接触して帯状部材65に張力を付与すると、直後領域A4は接触領域A3と隣り合うため、接触部分65aの弛みを低減しやすくできる。
【0061】
・払拭装置43は、フラッシングにより液体噴射部20から噴射される液体を受容してもよい。例えば、帯状部材65は、直後領域A4において液体を受容してもよい。接触部75は、移動方向Dmにおいて、押圧部76とフラッシングによる液体を受容する位置との間で、帯状部材65に接触してもよい。
【0062】
・接触部75は、巻出領域A1において、帯状部材65に接触するように設けられていてもよい。このとき接触部75は、接触部分65aが液体噴射部20に接触する第1面65fとは反対の第2面65sに接触してもよい。接触部75が第2面65sに接触することで、接触部75が接触した部分が移動方向Dmに移動して接触部分65aになったとき、接触部分65aの第1面65fが汚れている虞を低減できる。
【0063】
・接触部75は、巻取領域A5において、帯状部材65に接触するように設けられていてもよい。接触部75は、移動方向下流領域Mdにおいて、帯状部材65の第2面65sに接触するように設けられていてもよい。これにより払拭動作によって液体を収取した部分が移動方向Dmに移動しても、接触部75は、帯状部材65のうち液体噴射部20に接触した第1面65fとは反対の第2面65sに接触する。したがって、接触部75と帯状部材65との間の摺動負荷などの変動を低減できる。
【0064】
・ワイピング本体部60は奥行方向Yに移動して液体噴射部20を払拭してもよい。この場合、奥行方向Yが払拭方向Dwになると共に、巻出領域A1と直前領域A2とが払拭方向下流領域Wdとなり、直後領域A4と巻取領域A5が払拭方向上流領域Wuとなる。
【0065】
・払拭装置43は、接触部75を帯状部材65に押し付けるばねや錘などの押付部材を備えてもよい。押付部材がばねである場合、停止時位置は、動作時位置より鉛直方向の上方に位置してもよい。接触部75は、水平方向に移動してもよい。
【0066】
・払拭動作は、停止した接触部分65aに対して液体噴射部20を移動させることで行ってもよい。払拭動作は、接触部分65aと液体噴射部20の双方を移動させて行ってもよい。
【0067】
・液体噴射装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する装置がある。液体噴射装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体噴射装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する装置であってもよい。液体噴射装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する装置であってもよい。
【0068】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)払拭装置は、巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、液体を噴射可能な液体噴射部に接触可能にする押圧部と、巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、を備える。
【0069】
この構成によれば、接触部は、巻取動作中には動作時位置に位置し、巻取動作が行われていないときには停止時位置に位置する。すなわち、接触部は、巻取動作が終了すると、動作時位置から停止時位置に移動する。したがって、動作時位置から停止時位置に移動する方向を帯状部材の弛みを低減させる方向とすることで、制動機構が帯状部材に張力を付与する状態で巻取動作を行った後に生じる帯状部材の弛みを低減できる。
【0070】
(B)払拭装置において、前記接触部は、前記移動方向において前記接触領域と隣り合う直前領域および直後領域のいずれかで前記帯状部材に接触するように設けられていてもよい。
【0071】
帯状部材は、接触領域に位置する接触部分が弛むと、接触部分を液体噴射部に良好に接触させることができない虞がある。その点、この構成によれば、接触部は、帯状部材に、直前領域及び直後領域のいずれかで接触して帯状部材に張力を付与する。直前領域及び直後領域は、接触領域と隣り合うため、接触部分の弛みを低減しやすくできる。
【0072】
(C)払拭装置において、前記接触部は、自重によって前記動作時位置から該動作時位置より下方の前記停止時位置に移動可能に設けられていてもよい。
この構成によれば、接触部は、自重によって動作時位置から停止時位置に移動する。そのため、接触部の重さに応じた張力を帯状部材に安定して付与できる。
【0073】
(D)払拭装置において、前記接触部分が前記液体噴射部に接触した状態で該液体噴射部に対して相対移動する方向を払拭方向とした場合に、前記接触部は、前記移動領域のうち前記払拭方向において前記押圧部より上流の払拭方向上流領域で前記帯状部材に接触してもよい。
【0074】
接触部分が液体噴射部に対して払拭方向に相対移動する払拭動作を行うとき、液体噴射部に付着する液体は、帯状部材のうち、払拭方向において押圧部より下流の払拭方向下流領域に付着しやすい。その点、この構成によれば、接触部は、払拭方向において押圧部より上流の払拭方向上流領域で帯状部材に接触する。そのため、払拭動作により帯状部材に収集される液体が接触部に付着しにくくできる。
【0075】
(E)払拭装置において、前記接触部は、前記移動領域のうち前記移動方向において前記押圧部より上流の移動方向上流領域で前記帯状部材に接触してもよい。
液体噴射部に接触する接触部分は、巻取動作により移動方向の下流に移動する。その点、この構成によれば、接触部は、移動方向において押圧部より上流の移動方向上流領域に接触するため、帯状部材に収集される液体が接触部に付着しにくくできる。
【0076】
(F)液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射部と、前記液体噴射部を払拭可能な払拭装置と、を備え、前記払拭装置は、巻出軸を有し、帯状部材をロール状に巻いた状態で保持する巻出部と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材が巻き掛けられ、該帯状部材のうち接触領域に位置する接触部分を、前記液体噴射部に接触可能にする押圧部と、巻取軸を有し、前記帯状部材を巻き取る巻取動作を行うことで前記接触部分を移動方向に移動可能な巻取部と、前記巻出軸から前記帯状部材が巻き出される方向への該巻出軸の回転を制動する制動機構と、前記巻出部から巻き出された前記帯状部材に、前記移動方向において前記巻出部と前記巻取部との間となる移動領域で接触して該帯状部材に張力を付与する接触部であって、前記巻取動作中の動作時位置と該巻取動作が行われていないときの停止時位置との間を移動可能な接触部と、を有する。この構成によれば、上記払拭装置と同様の効果を奏することができる。
【0077】
(G)液体噴射装置において、前記接触部は、前記移動方向において前記接触領域と隣り合う直前領域および直後領域のいずれかで前記帯状部材に接触するように設けられていてもよい。この構成によれば、上記払拭装置と同様の効果を奏することができる。
【0078】
(H)液体噴射装置において、前記接触部は、自重によって前記動作時位置から該動作時位置より下方の前記停止時位置に移動可能に設けられていてもよい。この構成によれば、上記払拭装置と同様の効果を奏することができる。
【0079】
(I)液体噴射装置において、前記接触部分が前記液体噴射部に接触した状態で該液体噴射部に対して相対移動する方向を払拭方向とした場合に、前記接触部は、前記移動領域のうち前記払拭方向において前記押圧部より上流の払拭方向上流領域で前記帯状部材に接触してもよい。この構成によれば、上記払拭装置と同様の効果を奏することができる。
【0080】
(J)液体噴射装置において、前記接触部は、前記移動領域のうち前記移動方向において前記押圧部より上流の移動方向上流領域で前記帯状部材に接触してもよい。この構成によれば、上記払拭装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0081】
11…液体噴射装置、12…脚部、13…筐体、14…媒体、15…繰出部、16…案内部、17…回収部、18…テンション付与機構、20…液体噴射部、21…キャリッジ、22…メンテナンスユニット、23…液体供給装置、24…操作パネル、25…液体収容体、26…装着部、27…供給流路、29…制御部、31…ガイド軸、32…キャリッジモーター、34…整風部、36…ノズル、37…ノズル形成部材、38…カバー部材、39…貫通孔、40…ノズル面、42…フラッシング装置、43…払拭装置、44…吸引装置、45…キャッピング装置、47…液体受容部、48…蓋部材、49…蓋用モーター、51…吸引キャップ、52…吸引用保持体、53…吸引用モーター、54…減圧機構、56…待機キャップ、57…待機用保持体、58…待機用モーター、60…ワイピング本体部、61…軌道部、62…レール、63…ラック、65…帯状部材、65a…接触部分、65f…第1面、65s…第2面、66…ケース、66a…開口、66b…ガイド、67…動力伝達機構、68…ワイピングモーター、70…巻出軸、71…巻出部、72…巻取軸、73…巻取部、74…上流ローラー、75…接触部、76…押圧部、77…下流ローラー、79…制動機構、80…回転規制機構、A1…巻出領域、A2…直前領域、A3…接触領域、A4…直後領域、A5…巻取領域、CP…クリーニング位置、Dm…移動方向、Dr…巻取方向、Du…巻出方向、Dw…払拭方向、G1~G6…第1ノズル群~第6ノズル群、HP…ホームポジション、L1~L12…第1ノズル列~第12ノズル列、Md…移動方向下流領域、Mu…移動方向上流領域、RP…受容位置、Wd…払拭方向下流領域、WP…待機位置、Wu…払拭方向上流領域、X…幅方向、Y…奥行方向、Z…重力方向。
図1
図2
図3
図4
図5