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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】シート供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B65H3/52 310G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020106274
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001517
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】近本 忠信
(72)【発明者】
【氏名】金澤 学郎
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-081429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0026693(US,A1)
【文献】特開2011-073826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを積層したシート束を載置面に載置して収容する収容部と、
前記載置面に対して傾斜した傾斜面を有する傾斜部材と、
前記載置面上のシート束の最上層のシートを前記傾斜部材に給送する給送部と、
前記傾斜面に設けられるシート分離体と、を備え、
前記シート分離体は、
前記傾斜面からその先端が突出する、複数の樹脂製の分離片と、
当該分離片の基端を前記傾斜面の背面側で支持する、樹脂製の支持部と、を有し、
それぞれの前記分離片は、互いに独立して、前記傾斜面に沿った傾斜方向における前記載置面側の反対側、及び、前記傾斜面の法線方向における前記背面側に移動可能に前記支持部により支持されており、
前記分離片の先端における、前記傾斜方向における前記載置面側の反対側への移動量が、前記傾斜面の法線方向における前記背面側への移動量よりも大きいことを特徴とする、シート供給装置。
【請求項2】
前記分離片は、前記先端が前記基端よりも前記傾斜方向の前記載置面側の反対側に位置するように、前記法線方向に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記分離片及び前記支持部は一体的に形成されており、
前記分離片の前記基端から前記先端へと延伸する延伸方向が前記法線方向に対して傾斜する傾斜角は45度未満であることを特徴とする、請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項4】
複数枚のシートを積層したシート束を載置面に載置して収容する収容部と、
前記載置面に対して傾斜した傾斜面を有する傾斜部材と、
前記載置面上のシート束の最上層のシートを前記傾斜部材に給送する給送部と、
前記傾斜面に設けられるシート分離体と、を備え、
前記シート分離体は、
前記傾斜面からその先端が突出する、複数の樹脂製の分離片と、
当該分離片の基端を前記傾斜面の背面側で支持する、樹脂製の支持部と、を有し、
それぞれの前記分離片は、互いに独立して、前記傾斜面に沿った傾斜方向における前記載置面側の反対側、及び、前記傾斜面の法線方向における前記背面側に移動可能に前記支持部により支持されており、
前記支持部は、前記傾斜面から前記背面側に窪む溝状の凹部を有しており、
前記分離片が前記凹部の底面から立設するように、前記分離片及び前記支持部が一体的に形成されていることを特徴とする、シート供給装置。
【請求項5】
前記凹部の前記底面のうち、前記傾斜方向において前記分離片の基端の両側の少なくとも一方側に、貫通穴が形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のシート供給装置。
【請求項6】
複数枚のシートを積層したシート束を載置面に載置して収容する収容部と、
前記載置面に対して傾斜した傾斜面を有する傾斜部材と、
前記載置面上のシート束の最上層のシートを前記傾斜部材に給送する給送部と、
前記傾斜面に設けられるシート分離体と、を備え、
前記シート分離体は、
前記傾斜面からその先端が突出する、複数の樹脂製の分離片と、
当該分離片の基端を前記傾斜面の背面側で支持する、樹脂製の支持部と、を有し、
それぞれの前記分離片は、互いに独立して、前記傾斜面に沿った傾斜方向における前記載置面側の反対側、及び、前記傾斜面の法線方向における前記背面側に移動可能に前記支持部により支持されており、
前記シート分離体は、前記傾斜方向に沿って複数の前記分離片が一列に配列された分離片列と、当該分離片列を互いの間に挟むように前記傾斜方向に延伸する一対の壁部と、を一体化した分離片ユニットを含み、
当該分離片ユニットは、前記傾斜部材に対して着脱可能であり、
前記傾斜部材に取り付けられた前記壁部の上面は、前記傾斜面と面一に配置されていることを特徴とする、シート供給装置。
【請求項7】
複数枚のシートを積層したシート束を載置面に載置して収容する収容部と、
前記載置面に対して傾斜した傾斜面を有する傾斜部材と、
前記載置面上のシート束の最上層のシートを前記傾斜部材に給送する給送部と、
前記傾斜面に設けられるシート分離体と、を備え、
前記シート分離体は、
前記傾斜面からその先端が突出する、複数の樹脂製の分離片と、
当該分離片の基端を前記傾斜面の背面側で支持する、樹脂製の支持部と、を有し、
それぞれの前記分離片は、互いに独立して、前記傾斜面に沿った傾斜方向における前記載置面側の反対側、及び、前記傾斜面の法線方向における前記背面側に移動可能に前記支持部により支持されており、
前記先端よりも前記背面側において、前記傾斜方向及び前記法線方向に直交する幅方向における前記先端の両側に設けられた補助傾斜面を備え、
前記支持部は、前記先端及び前記補助傾斜面を移動可能に支持することを特徴とする、シート供給装置。
【請求項8】
前記補助傾斜面は、前記傾斜面と面一になるように形成されていることを特徴とする、請求項7に記載のシート供給装置。
【請求項9】
前記補助傾斜面は、前記傾斜方向における前記先端の前記載置面側に設けられ、
前記分離片は、前記傾斜方向における前記補助傾斜面の前記載置面側に、前記載置面側に向かって前記背面側に傾斜するシート誘導面を有していることを特徴とする、請求項7又は8に記載のシート供給装置。
【請求項10】
前記補助傾斜面は、前記傾斜方向において前記先端よりも前記載置面側の反対側へ延びていることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項11】
前記幅方向において、前記先端を除く前記分離片の寸法は前記補助傾斜面の寸法と等しいことを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項12】
前記先端は、前記傾斜方向に配列された複数の突起により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシート供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシートを積層したシート束からシートを1枚ずつ分離して給送するシート供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プリンター等の画像記録装置は、画像の被記録媒体である記録用紙等のシートを画像記録部(インクジェットヘッド、感光体ドラム等)に給送するシート供給装置を備えている。シート供給装置は、例えば、複数枚のシートを積層したシート束として収容する収容部と、収容部と画像記録部との間に位置する傾斜部材と、収容部からシートを傾斜部材に給送するローラ等の給送部とを備えている。傾斜部材は、通常、樹脂製の板状部材であり、収容部におけるシート束の載置面に対して傾斜した傾斜面を有している。
【0003】
一般的なシート供給装置では、シート束の最上層のシートに対してローラ等の給送部を当接させて傾斜部材にシートを1枚ずつ給送する。従来、複数枚のシートが同時に給送される(重送される)ことを防止するために、シートの先行端を捌くためのシート分離体を傾斜面に設ける構成が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、シート分離体は、シートの給送方向に沿って所定間隔で配列される金属製の分離片を備えている。また、特許文献2では、シート分離体は、傾斜部材に一体的に設けられる樹脂製の複数の分離片を備えている。特許文献2に開示のシート分離体では、分離片の先端は、シートの給送方向の下流に延伸し、傾斜面から載置面側に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-182481号公報
【文献】特開2011-073826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシート分離体は、例えば、金属シートを打ち抜き加工することにより、複数の分離片を一体的に形成した金属製部材として構成することができる。このような金属製の分離片は良好な弾性を発揮できるため、シートの先行端を良好に捌くことができる。しかしながら、シート分離体の取り付け対象である傾斜部材は樹脂製であるため、傾斜部材とシート分離体とを一体化することができない。そのため、シート供給装置の部品点数が増加するだけでなく、リサイクル時に樹脂製の傾斜部材と金属製のシート分離体とを分別する必要が生じ、リサイクル性が低下する。
【0007】
特許文献2に記載のシート分離体は、分離片そのものが樹脂製であるため、傾斜部材とシート分離体とを一体成形することが可能である。また、シート分離体を樹脂製の別部材として構成しても、傾斜部材と同じ樹脂材料で成形することにより、リサイクル性の低下を回避することができる。ただし、特許文献2に開示の分離片は、その延伸方向が給送方向の下流である。このような構成では、樹脂材料の種類によっては分離片に十分な弾性を付与できず、シートの先行端を好適に捌けない可能性がある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、樹脂製の分離片を備えるシート分離体において当該分離片に良好な弾性を付与し、当該シート分離体によりシートの先行端をより一層好適に捌くことが可能なシート供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様に係るシート供給装置は、複数枚のシートを積層したシート束を載置面に載置して収容する収容部と、前記載置面に対して傾斜した傾斜面を有する傾斜部材と、前記載置面上のシート束の最上層のシートを前記傾斜部材に給送する給送部と、前記傾斜面に設けられるシート分離体と、を備え、前記シート分離体は、前記傾斜面からその先端が突出する、複数の樹脂製の分離片と、当該分離片の基端側を前記傾斜面の背面で支持する、樹脂製の支持部と、を有し、それぞれの前記分離片は、互いに独立して、前記傾斜面に沿った傾斜方向における前記載置面側の反対側、及び、前記傾斜面の法線方向における前記背面側に移動可能に前記支持部により支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、樹脂製の分離片を備えるシート分離体において当該分離片に良好な弾性を付与し、当該シート分離体によりシートの先行端をより一層好適に捌くことが可能なシート供給装置を提供することが可能であるという効果を奏する。
【0011】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係るシート供給装置を備えた画像記録装置を概略的に示す図である。
図2図1の傾斜部材及びシート分離体を示す斜視図である。
図3図2の傾斜部材及びシート分離体を背面側から見た図である。
図4図2の傾斜部材及びシート分離体の一部を示す斜視図である。
図5図2の傾斜部材及びシート分離体を左右方向に直交する面で切断した断面図である。
図6図5のVI-VI線に沿って切断した傾斜部材及びシート分離体の断面を上側から見た図である。
図7】本発明の実施の形態1の変形例1に係るシート供給装置の傾斜部材及びシート分離体を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態2に係るシート供給装置の傾斜部材及びシート分離体を前側から視た図である。
図9図8の傾斜部材及びシート分離体の一部を示す斜視図である。
図10図8の傾斜部材及びシート分離体の一部を背面側から視た図である。
図11図8の傾斜部材及びシート分離体の断面を上側から見た図である。
図12】本発明の実施の形態2の変形例2に係るシート供給装置の傾斜部材及びシート分離体を示す斜視図である。
図13】本発明の実施の形態1の他の変形例に係るシート供給装置の傾斜部材及びシート分離体を示す斜視図である。
図14図14(a)~図14(d)は、本発明の実施の形態1、2の他の変形例に係るシート供給装置の傾斜部材及びシート分離体を示す斜視図である。
図15図15(a)~図15(b)は、本発明の実施の形態2の他の変形例に係るシート供給装置の傾斜部材及びシート分離体の一部を背面側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1の画像記録装置10は、図1に示すように、筐体11、記録部14及びシート供給装置20を備えている。画像記録装置10は、シート供給装置20によってシートAを供給し、記録部14によってシートAに画像を記録する装置である。以下では、画像記録装置10としてインクジェットプリンタについて説明し、シートAとして紙について説明するが、画像記録装置10及びシートAはこれに限定されない。
【0015】
なお、シート供給装置20に対して記録部14側を上と称し、その反対側を下と称する。この上下方向に対して直交しかつ互いに直交する方向を前後方向及び左右方向を称する。但し、画像記録装置10の配置方向はこれに限定されない。
【0016】
筐体11は、その内部空間に記録部14及びシート供給装置20を収容しており、後面及び前面を有している。前面には挿入口12及び排出口13が開口し、挿入口12及び排出口13を介して筐体11の内部空間は外部と連通している。挿入口12は排出口13よりも下方に配置されている。
【0017】
記録部14は、記録ヘッド15、プラテン16及び搬送部を有している。記録ヘッド15は、複数の駆動素子、インク等の液体を吐出する複数のノズル、及び、ノズルが開口する吐出面を有している。駆動素子は、圧電素子等で構成されており、ノズル毎に設けられて、ノズルから液体を吐出する圧力を付与する。複数のノズルは、例えば、左右方向に並んで、ノズル列を形成している。
【0018】
記録ヘッド15は、ラインヘッド方式であっても、シリアルヘッド方式であってもよい。ラインヘッド方式の記録ヘッド15は、左右方向においてノズル列がシートAよりも長く延びるように構成されている。また、シリアルヘッド方式の記録ヘッド15は、キャリッジに搭載されており、キャリッジにより左右方向に往復移動するように構成されている。
【0019】
プラテン16は、平坦な上面を有している。この上面は、記録ヘッド15よりも下方であって、シート供給装置20よりも上方に配置されている。上面は、シートAが載置される面であって、上下方向において記録ヘッド15の吐出面に対して間隔を空けて対向するように配置されている。
【0020】
搬送部は、一対の上流ローラ17及び一対の下流ローラ18を有している。一対の上流ローラ17は、左右方向に延びる回転軸を有し、プラテン16よりも後方において互いの間にシートAを挟むように上下方向に配置されている。一対の上流ローラ17は、その一方の上流ローラ17がモータにより駆動すると、互いに協働してシートAを前方へ送るように回転する。一対の下流ローラ18は、左右方向に延びる回転軸を有し、プラテン16よりも前方において互いの間にシートAを挟むように上下方向に配置されている。一対の下流ローラ18は、その一方の下流ローラ18がモータにより駆動すると、互いに協働してシートAを前方へ送るように回転する。
【0021】
シート供給装置20は、収容部21、傾斜部材30、給送部22、ガイド部23及びシート分離体25を備えている。収容部21は、複数枚のシートAが積層したシート束を載置面21aに載置して収容する。例えば、収容部21は、上部が開口した形状のトレイであって、上部開口の反対側に底板21bを有している。底板21bの上面は載置面21aであって、載置面21a上には、複数枚のシートAが積層された状態に載置される。収容部21は、挿入口12から筐体11内に挿入可能であって、筐体11内において給送部22の下に配置される。なお、収容部21の後ろ部分が挿入口12から筐体11内に挿入され前部分が挿入口12から筐体11外に突出するように、収容部21の一部が筐体11の外に配置されていてもよい。
【0022】
給送部22は、シート束の最上層のシートAを傾斜部材30に給送する。例えば、給送部22は、アーム22a及び1つ又は複数の給送ローラ22bを有している。アーム22aは、その一方端が他方端よりも前になるように傾斜し、左右方向に延びる回転軸を中心に回転するように一方端が筐体11に取り付けられている。アーム22aは、その一方端の回転軸を中心に回転することにより、傾斜角度を変更する。
【0023】
給送ローラ22bは、左右方向に延びる回転軸を中心に回転可能にアーム22aの他方端に取り付けられている。給送ローラ22bが複数の場合、複数の給送ローラ22bは、回転軸が同軸になるように左右方向に並べられてアーム22aの他方端に取り付けている。
【0024】
給送ローラ22bは、収容部21の上側において左右方向における収容部21の中央に配置され、載置面21a上に積載された最上位のシートAと接触する。ここで、積層されたシートAの枚数によって載置面21aから最上位のシートAまでの高さが変わる。これに応じて、アーム22aの傾斜角度が変化することによって、給送ローラ22bは上下動して最上位のシートAに接触することができる。そして、給送ローラ22bは、モータにより回転して、シートAを給送方向(後方)に給送する。
【0025】
傾斜部材30は、樹脂により形成されており、筐体11内において収容部21及び給送ローラ22bよりも後ろに配置されている。傾斜部材30は平板形状部を有している。平板形状部は、左右方向における収容部21の中央の後方に配置されている。平板形状部の前面が傾斜面31であって、その反対側の後面が背面32である。
【0026】
傾斜面31は、平坦であって、上方ほど後方になるように載置面21aに対して一定の角度で傾斜している。傾斜面31は、載置面21aに載置されたシートAの先行端(後端)に対向し、上下方向及び前後方向においてその下端が上端よりも載置面21aに近い。なお、傾斜面31は、上方後側に一定の角度で直線状に延び、左右方向の中央部ほど前方になるように湾曲した曲面であってもよい。
【0027】
なお、傾斜面31に平行であって且つ左右方向に直交する方向を傾斜方向と称する。傾斜方向は、矢印Bに示すように、後方上側及び前方下側の斜めに延びており、載置面21aに対する角が傾斜角となる。この傾斜方向では、載置面21a側から反対側に向かって、後方上側の斜め方向に延びる。傾斜方向において載置面21a側を下側と称し、その反対側を上側と称する。傾斜方向は、傾斜面31上を移動するシートAの移動方向に相当し、傾斜方向の載置面21a側は移動方向の上流に相当し、傾斜方向の反対側は移動方向の下流に相当する。また、傾斜面31に平行であって且つ傾斜方向に直交する幅方向は、左右方向に相当し、傾斜面31と載置面21aの延長面とが交わる線が延びる方向である。傾斜面31の法線方向は矢印Cに示すように傾斜方向に直交し、法線方向において背面32側を後側と称し、その反対側を前側と称する。
【0028】
ガイド部23は、傾斜部材30の上方であって搬送部の後方に配置されており、前面が湾曲面23aにより形成されている。湾曲面23aは、左右方向において直線状に延び、上方ほど前方に延びるように湾曲している。このガイド部23及び傾斜部材30は、給送ローラ22bによって収容部21から給送されたシートAを記録部14に導くUターンパスを形成する。
【0029】
シート分離体25は、傾斜部材30の傾斜面31に設けられており、複数のシートAから1枚のシートAを分離する。シート分離体25は、前から後ろを視て給送ローラ22bに重なるように、給送ローラ22bの後方に配置されている。左右方向において、シート分離体25の幅は給送ローラ22bの幅よりも広くてもよい。なお、シート分離体25の詳細については後述する。
【0030】
<画像記録装置の動作>
画像記録装置10において、シートAのシート束が載置面21aに載置された状態で、収容部21が筐体11内に配置され、給送ローラ22bがシート束の最上位にあるシートAに当接している。そして、印刷指令に応じて給送ローラ22bが回転すると、最上位のシートAが後方に給送され、傾斜部材30へ移動し、その傾斜面31に沿って傾斜方向の上側(後方上側)へ移動していく。
【0031】
ここで、最上位のシートAに伴って1枚又は複数枚のシートAが後方へ移動する場合がある。この場合、最上位のシートAが、複数枚のシートAからシート分離体25にて分離され、傾斜面31上をガイド部23へ移動する。
【0032】
このシートAは、ガイド部23の湾曲面23aに沿って後方から前方へ移動方向を変えながら移動する。そして、シートAは、一対の上流ローラ17の間に挟まれて前方へ搬送され、プラテン16へ移動する。シートAは、プラテン16の上面上に載置され、ここで記録部14の吐出面から吐出された液体によって画像が形成される。さらに、シートAは、一対の下流ローラ18の間に挟まれて前方へ搬送されて、排出口13から筐体11外へ排出される。
【0033】
<シート分離体の構成>
シート分離体25は、図2図6に示すように、複数の分離片40及び支持部50を備えており、これらは樹脂により形成されている。シート分離体25は傾斜面31に設けられており、傾斜面31に複数(例えば、5本)のスリット33が開口している。スリット33は矩形状であって、傾斜方向に延びている。複数のスリット33は、左右方向において互いに間隔を空けながら、互いに隣り合って平行に配置されている。
【0034】
複数の分離片40は、傾斜方向において互いに間隔を空けながら、互いに平行に並んで列(分離片列40a)を成している。複数(例えば、5列)の分離片列40aは、左右方向に互いに隣り合って並べられている。1列の分離片列40aが1本のスリット33に割り当てられている。
【0035】
図5に示すように、分離片40は、例えば、断面が矩形の板形状であって、その基端41から先端42に向かって直線状に一定の角度で上方前側に延びている。分離片40は、その矢印Dに示す延伸方向及び左右方向に直交する方向の寸法が延伸方向の寸法及び左右方向の寸法よりも短く、左右方向の寸法が延伸方向の寸法よりも短い。先端42は傾斜面31よりも前方に配置され、基端41は傾斜面31及び背面32よりも後方に配置されている。分離片40の延伸方向は、載置面21aに対する角度が法線方向よりも大きくなるように、法線方向に対して傾いていてもよい。この場合、延伸方向の法線方向に対するなす角のうちの上側の小さい角θは45度未満である。
【0036】
図4に示すように、分離片40は、その先端42には、1本の切り込み43が設けられている。切り込み43は、先端42から後方に窪み、左右方向に延びている。この切り込み43によって、先端42は2つの突起44が形成されている。2つの突起44は、互いに略同形状を有しており、傾斜方向において連続的に並んで配置されている。突起44は、左右方向に直線状に延び、分離片40の延伸方向における高さが、前方下側に向かって低くなるように傾いている。
【0037】
支持部50は、図6に示すように、背面32よりも後方に配置されており、例えば、U字形状を有しており、一対の壁部(右壁部51、左壁部52)及び底部53を有している。右壁部51、左壁部52及び底部53は、例えば、それぞれ平板形状であって、一体的に形成されている。
【0038】
右壁部51及び左壁部52は、前端が傾斜部材30の背面32に接続され、背面32から法線方向の後側に立ち上がり、互いに平行に配置されている。右壁部51はスリット33の右側縁に沿って傾斜方向に延びており、左壁部52はスリット33の左側縁に沿って傾斜方向に延びている。互いに隣り合う2つのスリット33のうち、右側のスリット33の左壁部52と左側のスリット33の右壁部51とは一体的に設けられている。ただし、これらは別々に設けられていてもよい。
【0039】
底部53は、傾斜方向に延び、その右端が右壁部51の後端に接続され、左端が左壁部52の後端に接続されており、右壁部51と左壁部52との間に架け渡されている。これにより、支持部50は、左右方向にスリット33を跨ぐようにスリット33の両側の背面32に接続されている。これにより、互いに隣り合うスリット33の間の背面32に、右壁部51及び左壁部52が接続されている。また、底部53の前面は、法線方向に直交し、スリット33に面している。スリット33の周囲は右壁部51、左壁部52及び底部53により囲われている。右壁部51、左壁部52及び底部53は、傾斜面31から後方に窪む溝状の凹部54を形成し、底部53の前面は凹部54の底面に相当する。
【0040】
分離片40の基端41は凹部54の底面に接続されており、分離片40及び支持部50は互いに一体的に形成されている。この底部53において、図3及び図5に示すように、基端41との接続位置の上側及び下側のそれぞれに貫通穴55が設けられている。貫通穴55は、傾斜方向において隣接する分離片40どうしの間に形成されており、底部53を貫通している。貫通穴55により凹部54の内側と外側が連通する。
【0041】
分離片40は、図6に示すように、左右方向において右壁部51と左壁部52との間に配置されており、底部53から立設し、スリット33を介して傾斜面31よりも前方へ突出している。右壁部51及び左壁部52は、傾斜方向において複数の分離片40に亘って延びている。このため、右壁部51及び左壁部52は、複数の分離片40の支持部50として共通して用いられているが、分離片40毎に設けられていてもよい。
【0042】
<シート分離体の作用、効果>
このように、シート供給装置20において、シート分離体25は、傾斜面31からその先端42が突出する、複数の樹脂製の分離片40と、分離片40の基端41を傾斜面31の背面32側で支持する、樹脂製の支持部50と、を備えている。それぞれの分離片40は、互いに独立して、傾斜面31に沿った傾斜方向における載置面21a側の反対側、及び、傾斜面31の法線方向における背面32側に移動可能に支持部50により支持されている。
【0043】
この構成によれば、分離片40は、その先端42が傾斜方向に沿って移動するだけでなく、傾斜面31から背面32側に沈み込む方向にも移動するように傾倒する。そのため、分離片40が樹脂製であっても良好な弾性を有する。これにより、傾斜面31上を傾斜方向の上側に移動するシートAの先行端が分離片40に当接すると、分離片40は、基端41を中心に先端42が傾斜方向の上側且つ法線方向の後側へ移動するように傾倒してシートAを良好に分離することができる。
【0044】
しかも、分離片40の基端41は、傾斜面31よりも背面32側で支持部50により支持されている。そのため、傾斜面31では、任意の分離片40の先端42が移動しても、沈み込む方向の移動により当該先端42は隣接する他の分離片40に不用意に当接することが抑制される。そのため、従来と比較して、傾斜面31における単位面積当たりの分離片40の個数(分離片40の配置密度)を向上することが可能となる。
【0045】
さらに、複数の分離片40がそれぞれ独立して移動可能であるため、給送されたシートAがシート分離体25に当接したときに、複数の分離片40の少なくともいずれかが、シートAを捌くためにより好適な荷重を発揮することができる。これにより、シートAの分離性能をより一層安定化し、シートAの収容量(シート束を構成するシートAの枚数)が大容量化しても、良好な分離性能を実現することができる。
【0046】
シート供給装置20において、分離片40は、その先端42が基端41よりも傾斜方向の反対側に位置するように、法線方向に対して傾斜している。この構成によれば、分離片40は、その先端42が傾斜方向の上側且つ法線方向の後側に移動して傾斜面31よりも後方に沈み込むように傾倒する。そのため、分離片40は複数のシートAから最上位のシートAを分離しつつ、分離された最上位のシートAの移動が分離片40により阻害されることを低減することができる。
【0047】
シート供給装置20において、先端42における傾斜方向の反対側への移動量が、背面32側への移動量よりも大きい。この構成によれば、分離片40が傾斜面31から沈み込むように移動している間も、分離片40の先端42が傾斜面31から突出した状態は長く維持される。そのため、分離片40がシートAの先行端に当接している時間を相対的に長くすることができるとともに、分離片40がシートAに当接する際の荷重を相対的に小さくすることができる。これにより、シートAを短時間で強引に捌くおそれを有効に抑止できるので、より一層良好なシートAの分離性能を実現することができる。
【0048】
シート供給装置20において、支持部50は、傾斜面31から背面32側に窪む溝状の凹部54を有している。分離片40が凹部54の底面から立設するように、分離片40及び支持部50が一体的に形成されている。この構成によれば、溝状の凹部54の底面から複数の分離片40が立設するように配置されるため、シート分離体25の成形時に脱型し易い。これにより、高い配置密度の分離片40を一体成形し易い。
【0049】
シート供給装置20において、凹部54の底面のうち、傾斜方向において分離片40の基端41の両側の少なくとも一方側に、貫通穴55が形成されている。この構成によれば、傾斜面31上を移動するシートAの粉塵が凹部54内に落下しても、粉塵が貫通穴55を介して凹部54外に排出されるため、凹部54内に粉塵が溜まることを抑制することができる。
【0050】
シート供給装置20では、先端42は、傾斜方向に配列された複数の突起44により形成されている。この構成によれば、傾斜面31上を移動するシートAは1つの分離片40において複数の突起44に当接する。このため、1つの分離片40において複数の分離チャンスがあり、シートAの分離性能をより一層良好なものとすることができる。
【0051】
シート供給装置20において、傾斜面31には、傾斜面31に沿った傾斜方向に直交する幅方向において、分離片40が突出するための複数の開口部(スリット33)が設けられている。支持部50は、背面32側において幅方向に開口部(スリット33)を跨ぐように開口部(スリット33)の両側の傾斜部材30に接続されている。
【0052】
この構成によれば、支持部50は、幅方向においてスリット33の両側の傾斜部材30を背面32側から補強する。これにより、傾斜部材30の傾斜面31の平面度を高く維持し、シートAは傾斜面31上を円滑に移動するができる。しかも、支持部50を介して傾斜部材30に接続されている分離片40の姿勢が安定し、シートAの分離機能を向上することができる。
【0053】
<補助傾斜面及びシート誘導面の構成>
分離片40には、図4及び図5に示すように、補助傾斜面46及びシート誘導面47が設けられている。補助傾斜面46は、分離片40の基端41よりも先端42の近く、例えば、延伸方向において切り込み43の底と同一位置に配置されている。分離片40の先端42を構成する突起44が補助傾斜面46から突出している。補助傾斜面46は、例えば、突起44の周囲を取り囲むようにU字形状であって、右面部分46a、左面部分46b及び下面部分46cを有している。右面部分46aは突起44の右端から右側に拡がり、左面部分46bは突起44の左端から左側に拡がり、下面部分46cは突起44の下端から下方に拡がっている。
【0054】
また、分離片40は、右面部分46a及び左面部分46bが突起44よりも上側に延びるように拡張した上側拡張部48aを有している。この上側拡張部48aの上面が、右面部分46a及び左面部分46bのうち、上方に延びている部分である。この部分は、例えば、三角形状又は台形状であって、上方ほど左右方向における互いの間隔が広がっている。
【0055】
右面部分46a、左面部分46b及び下面部分46cは互いに面一であって、補助傾斜面46は平坦である。分離片40が傾倒していない状態では、補助傾斜面46は、傾斜面31と同一面上に配置される。これに対し、分離片40が傾倒して先端42がスリット33に沈み込んだ状態では、補助傾斜面46は傾斜面31に対して傾く。
【0056】
シート誘導面47は、補助傾斜面46の下面部分46cよりもさらに下側に配置されている。このため、分離片40は、下面部分46cよりも下方に延びるように拡張した下側拡張部48bを有しており、この下側拡張部48bの上面がシート誘導面47に相当する。シート誘導面47は、平坦であって、下側に向かい一定の角度で補助傾斜面46に対して傾いている。
【0057】
上側拡張部48a及び下側拡張部48bは、延伸方向における寸法が、例えば、分離片40の寸法の半分よりも短く、好ましくは分離片40の寸法の1/3よりも短い。このため、分離片40は上側拡張部48a及び下側拡張部48bから延伸方向の後側に突出している。分離片40は、延伸方向において、拡張部48a、48b、並びに、突出部49を有している。左右方向において、拡張部48a、48bの寸法と突出部49の寸法は互いに等しく、先端42を除く分離片40の寸法は補助傾斜面46の寸法に等しい。また、延伸方向に直交する方向において、突出部49の寸法は拡張部48a、48bの寸法よりも小さい。
【0058】
<補助傾斜面の作用、効果>
シート供給装置20は、先端42よりも背面32側において、傾斜方向及び法線方向に直交する幅方向(左右方向)における先端42の両側に設けられた補助傾斜面46を備えている。支持部50は、先端42及び補助傾斜面46を移動可能に支持している。
【0059】
この構成によれば、補助傾斜面46が先端42よりも左右方向の両側に拡がることにより、先端42と傾斜面31との間にシートAが入り込むこと抑制することができる。そのため、シートAをより安定的に給送できる。
【0060】
また、シート供給装置20の補助傾斜面46は、傾斜面31と面一になるように形成されている。この構成によれば、シートAは傾斜面31及び補助傾斜面46上を移動しやすくなる。
【0061】
シート供給装置20では、補助傾斜面46は、傾斜方向における先端42の載置面21a側に設けられている。分離片40は、傾斜方向における補助傾斜面46の載置面21a側に、載置面21a側に向かって背面32側に傾斜するシート誘導面47を有している。
【0062】
この構成によれば、傾斜方向において、シート誘導面47、補助傾斜面46の下面部分46c及び先端42の突起44が順に並んで配置される。これにより、傾斜面31を移動するシートAはこの順に移動して、その先行端がシート誘導面47により下面部分46cを介して先端42に導かれるため、先端42によってシートAを良好に捌くことができる。また、捌かれたシートAは、分離片40の先端42の周囲に設けられる補助傾斜面46により安定的に移動するため、シートAをより一層安定的に給送できる。
【0063】
シート供給装置20では、補助傾斜面46は、傾斜方向において先端42よりも反対側へ延びている。この構成によれば、傾斜方向において互いに隣接する分離片40どうしの間隔を狭め、この間にシートAが入り込むこと抑制することができる。そのため、傾斜面31上におけるシートAの移動が阻害されることを抑制するとともに、傾斜方向の上側の分離片40にシートAを誘導し易いため、シートAをより一層安定的に給送することができる。
【0064】
シート供給装置20では、幅方向(左右方向)において、先端42を除く分離片40の寸法は補助傾斜面46の寸法と等しい。この構成によれば、シートAが当接する際の荷重に対して分離片40の強度を高め、分離性能をより一層安定化することができる。
【0065】
なお、シート供給装置20の補助傾斜面46は、先端42が傾斜方向の反対側へ移動したときに傾斜面31と面一になるように形成されていてもよい。この構成によれば、シートAが分離片40に当接して分離片40が傾倒して傾斜面31に対して沈み込んだときに、補助傾斜面46が傾斜面31とフラットになる。これにより、シートAは傾斜面31及び補助傾斜面46上を移動しやすくなる。
【0066】
<変形例1>
変形例1に係るシート供給装置20は、実施の形態1において、図7に示すように、シート分離体25は、傾斜方向に沿って複数の分離片40が一列に配列された分離片列40aと、分離片列40aを互いの間に挟むように傾斜方向に延伸する一対の壁部(右壁部51、左壁部52、底部53)と、を一体化した分離片ユニット26を含んでいる。分離片ユニット26は、傾斜部材30に対して着脱可能である。傾斜部材30に取り付けられた壁部(右壁部51、左壁部52)の上面51a、52aは、傾斜面31と面一に配置されている。
【0067】
具体的には、傾斜部材30の傾斜面31には、複数(例えば、4本)の溝部34が設けられている。溝部34は、傾斜面31から法線方向の後側に窪んで、傾斜方向に延びている。溝部34により傾斜面31に形成された開口34aは矩形状である。溝部34は、右面部34b、左面部34c及び底面部34dを有している。
【0068】
右面部34b及び左面部34cは、前端が傾斜部材30の背面32に接続され、背面32から法線方向の後側に立ち上がっている。右面部34bは開口34aの右縁に沿って延び、左面部34cは開口34aの左縁に沿って延びている。傾斜面31に互いに隣り合う2つの開口34aのうち、右側の開口34aの左面部34cと左側の開口34aの右面部34bとは一体的に設けられている。ただし、これらは別々に設けられていてもよい。
【0069】
底面部34dは、その右端が右面部34bの後端に接続され、左端が左面部34cの後端に接続されており、右面部34bと左面部34cとの間に架け渡されている。底面部34dの前面は、法線方向に直交し、開口34aに面している。開口34aの周囲は右面部34b、左面部34c及び底面部34dにより囲われている。底面部34dには、係止孔34eが設けられている。
【0070】
分離片ユニット26は、分離片列40a及び支持部50を有している。支持部50は、一対の壁部(右壁部51、左壁部52)及び底部53を有している。なお、右壁部51の前端(上面51a)及び左壁部52の前端(上面52a)が傾斜部材30に取り付けられておらず、右壁部51の後端及び左壁部52の後端には係止爪50bが設けられている。これを除いて、図7の分離片ユニット26の支持部50は図3の支持部50と同様である。
【0071】
分離片ユニット26は、傾斜部材30の溝部34と同数(例えば、4つ)設けられている。1つの分離片ユニット26が1つの溝部34に嵌められる。この際、分離片ユニット26の係止爪50bが傾斜部材30の係止孔34eに挿入されると、分離片ユニット26が傾斜部材30に固定される。このように傾斜部材30に取り付けられた分離片ユニット26において、右壁部51の上面51a及び左壁部52の上面52aは、傾斜部材30の傾斜面31と段差がなくフラットになる。
【0072】
この構成によれば、複数の分離片40を分離片ユニット26としてモジュール化しているので、分離片40が破損しても容易に交換することができる。また、分離片ユニット26を傾斜部材30に取り付けたときに、右壁部51の上面51a及び左壁部52の上面52aが傾斜面31と面一になるため、分離片ユニット26の成形時に上面51a、52aに対して分離片40の突出量を設定することにより、傾斜面31に対する分離片40の突出量を設定することができる。
【0073】
(実施の形態2)
実施の形態2の画像記録装置10では、シート分離体25は、図8図11に示すように、複数の分離片及び複数の支持部を備えており、これらは樹脂により形成されている。分離片は、例えば、互いに形状が異なる第1分離片60及び第2分離片70を有している。支持部50は、例えば互いに形状が異なる第1支持部80及び第2支持部90を有している。但し、シート分離体25は、第1分離片60及びこれを支持する第1支持部80、並びに、第2分離片70及びこれを支持する第2支持部90のいずれか一方を有していてもよい。
【0074】
傾斜面31には、複数(例えば、3本)の開口部(スリット33)が開口している。スリット33は矩形状であって、傾斜方向に延びている。複数のスリット33は、左右方向において互いに間隔を空けながら、互いに隣り合って平行に配置されている。3本のスリット33のうち、中央のスリット33の左右方向における両側の傾斜面31には、刻み目35が設けられている。刻み目35は、傾斜面31から鋸歯のように突出し、スリット33に沿って傾斜方向に延びている。
【0075】
複数の第1分離片60は、傾斜方向において互いに間隔を空けながら、互いに平行に並んで列(第1分離片列60a)を成している。複数の第2分離片70は、傾斜方向において互いに間隔を空けながら、互いに平行に並んで列(第2分離片列70a)を成している。2本の第2分離片列70aが互いの間に第1分離片列60aを挟むように配置されており、これらは、左右方向において互いに間隔を空けながら互いに隣り合って並べられている。1列の分離片列60a、70aが1本のスリット33に割り当てられている。
【0076】
図10に示すように、傾斜部材30の背面32には、補強リブ36が設けられている。補強リブ36は、例えば、平板形状であって、前端が背面32に接続されており、背面32から法線方向の後側に立ち上がる。例えば、4つの補強リブ36(右補強リブ36a、左補強リブ36b、上補強リブ36c及び下補強リブ36d)が設けられている。右補強リブ36a及び左補強リブ36bは互いに間隔を空けて傾斜方向に延び、上補強リブ36c及び下補強リブ36dは互いに間隔を空けて左右方向に延びている。これにより、これらの補強リブ36は、矩形の枠形状を有しており、第1分離片列60a及び2本の第2分離片列70aの周囲を囲んでいる。
【0077】
図9及び図11に示すように、第1分離片60は、例えば、断面が矩形の棒形状であって、その第1基端61から第1先端62に向かって直線状に一定の角度で上方前側に延びている。第1分離片60は、その延伸方向(図9の矢印D1)及び左右方向に直交する方向の寸法が延伸方向の寸法及び左右方向の寸法よりも短く、左右方向の寸法が延伸方向の寸法よりも短い。
【0078】
第1先端62は傾斜面31よりも前方に配置され、第1基端61は背面32よりも後方に配置されている。傾斜面31から突出する第1先端62の突出方向、つまり、第1分離片60の第1基端61から第1先端62に延びる延伸方向は、法線方向、又は、法線方向に対して前方に向かって上側になるように法線方向から傾いた方向である。傾斜面31に対する第1分離片60の延伸方向及び第1先端62の突出方向のうち、上側の小さい角θ1は、例えば、90度以下且つ45度よりも大きい。
【0079】
第1支持部80は、例えば、平板形状であって、その前端から後方に窪むU字形状を有している。第1支持部80は、その前端からの第1窪み81がスリット33に対応するように、前端が傾斜部材30の背面32に固定されている。このため、第1支持部80は、スリット33を跨ぐように、背面32よりも後方に配置されている。
【0080】
第1支持部80において、第1窪み81よりも後側の上面に第1分離片60の第1基端61が接続されており、第1分離片60と第1支持部80とは一体的に形成されている。このため、1つの第1分離片60に対して1つの第1支持部80が設けられており、第1分離片60は第1支持部80と共に移動する。複数の第1支持部80は傾斜方向に間隔を空けながら列を成している。
【0081】
第1分離片60は第1基端61から立ち上がり、第1支持部80に対して間隔を空けて平行又は略平行に前方へ延びている。第1先端62は、第1支持部80の前端からスリット33を介して傾斜面31の前方に突出している。このため、第1支持部80及び第1分離片60は、第1支持部80がその前端から後方に延びて、第1支持部80と第1分離片60との接続位置を介して、第1分離片60がその第1基端61から前方に延びるようにUターンしている。第1先端62は、左右方向に延びて、傾斜方向に湾曲している。
【0082】
第2分離片70は、例えば、断面が略三角形の棒形状であって、その第2基端71から第2先端72に向かって直線状に一定の角度で上方前側に延びている。第2先端72は傾斜面31よりも前方に配置され、第2基端71は背面32よりも後方に配置されている。法線方向において、傾斜面31から突出する第2分離片70の寸法は、傾斜面31から突出する第1分離片60の寸法と同じ又は小さい。
【0083】
傾斜面31から突出する第2先端72の突出方向、つまり、第2分離片70の第2基端71から第2先端72に延びる延伸方向(図9の矢印D2)は、法線方向に対して前方に向かって上側になるように法線方向から傾いた方向である。傾斜面31に対する第2分離片70の延伸方向及び第2先端72の突出方向のうち、小さい角θ2は、角θ1よりも小さく、例えば、90度未満且つ45度より大きい。
【0084】
第2支持部90は、例えば、平板形状であって、その前端から後方に窪むU字形状を有している。第2支持部90は、その前端からの第2窪み91がスリット33に対応するように、前端が傾斜部材30の背面32に固定されている。このため、第2支持部90は、スリット33を跨ぐように、背面32よりも後方に配置されている。
【0085】
第2支持部90において、第2窪み91の底に第2分離片70の第2基端71が接続されており、第2分離片70と第2支持部90とは一体的に形成されている。このため、1つの第2分離片70に対して1つの第2支持部90が設けられており、第2分離片70は第2支持部90と共に移動する。複数の第2支持部90は傾斜方向に間隔を空けながら列を成している。
【0086】
第2分離片70は、第2支持部90に対して前方に向かって上方に傾いて延び、第2支持部90の前端からスリット33を介して傾斜面31の前方に突出している。このため、第2支持部90及び第2分離片70は、第2支持部90がその前端から後方に延びて、第2支持部90と第2分離片70との接続位置を介して、第2分離片70がその第2基端71から前方に延びるようにUターンしている。
【0087】
<シート分離体の作用、効果>
このように、シート供給装置20において、シート分離体25は、傾斜面31からその第1先端62が突出する、複数の樹脂製の第1分離片60と、第1分離片60の第1基端61を傾斜面31の背面32側で支持する、樹脂製の第1支持部80と、を備えている。それぞれの第1分離片60は、互いに独立して、傾斜面31に沿った傾斜方向における載置面21a側の反対側(上側)、及び、傾斜面31の法線方向における背面32側(後側)に移動可能に第1支持部80により支持されている。
【0088】
この構成によれば、第1分離片60は、第1基端61を中心に第1先端62が傾斜方向の上側且つ法線方向の後側へ移動するように傾倒してシートAを良好に分離することができる。しかも、傾斜面31では、任意の第1分離片60の第1先端62が移動しても、沈み込む方向の移動により第1先端62は隣接する他の第1分離片60に不用意に当接することが抑制されるため、第1分離片60の配置密度を向上することが可能となる。さらに、給送されたシートAがシート分離体25に当接したときに、複数の第1分離片60の少なくともいずれかがシートAを捌くため、シートAの分離性能をより一層安定化することができる。なお、第2分離片70及び第2支持部90は、第1分離片60及び第1支持部80と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0089】
シート供給装置20において、第1分離片60は、第1先端62が第1基端61よりも傾斜面31に沿った傾斜方向における載置面21a側の反対側(上側)に位置するように、法線方向に対して傾斜している。この構成によれば、第1分離片60は傾斜方向の上側且つ法線方向の後側に移動するため、第1分離片60は最上位のシートAを分離しつつ、第1分離片60により最上位のシートAの移動が阻害されることを低減することができる。なお、第2分離片70及び第2支持部90は、第1分離片60及び第1支持部80と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0090】
シート供給装置20において、傾斜面31には、傾斜面31に沿った傾斜方向に直交する幅方向において、第1分離片60が突出するための複数の開口部(スリット33)が設けられている。第1支持部80は、背面32側において幅方向に開口部(スリット33)を跨ぐように開口部(スリット33)の両側の傾斜部材30に接続されている。
【0091】
この構成によれば、第1支持部80は、幅方向においてスリット33の両側の傾斜部材30を背面32側から補強する。これにより、傾斜部材30の傾斜面31の平面度を高く維持し、シートAは傾斜面31上を円滑に移動するができる。しかも、第1支持部80を介して傾斜部材30に接続されている第1分離片60の姿勢が安定し、シートAの分離機能を向上することができる。なお、第2分離片70及び第2支持部90は、第1分離片60及び第1支持部80と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0092】
シート供給装置20において、複数の第1分離片60は、傾斜方向に沿って一列に配列される第1分離片列60aとして構成されている。複数の第2分離片70は、傾斜方向に沿って一列に配列される第2分離片列70aとして構成されている。幅方向には、複数の分離片列60a、70aが並列配置している。隣接する分離片列60a、70aでは、それぞれの第1支持部80と第2支持部90とが交互に位置している。
【0093】
この構成によれば、隣接する分離片列60a、70aどうしの間において、第1支持部80と第2支持部90とが傾斜方向において互い違いの配置されている。これにより、第1分離片60の高密度化を図ることができるとともに、傾斜部材30を補強する第1支持部80が増えることにより傾斜部材30の剛性がより一層増す。
【0094】
シート供給装置20において、傾斜部材30の背面32側には、開口部(スリット33)の周囲の少なくとも一部に立設する補強リブ36が設けられている。この構成によれば、スリット33の周囲は補強リブ36により補強されるため、傾斜面31上のシートA移動の円滑化及びシートAの分離機能の向上を図ることができる。
【0095】
シート供給装置20において、図11に示すように開口部(スリット33)の両側の傾斜部材30の傾斜面31の法線方向の寸法Eは、傾斜部材30に接続された第1支持部80の傾斜方向の寸法Fよりも大きい。この構成によれば、第1支持部80の寸法Fよりも傾斜部材30の寸法Eが大きいため、傾斜部材30の構造をより安定化することができる。さらに、第1支持部80及び傾斜部材30を一体的に樹脂成形する場合には、傾斜部材30にヒケ及び変形が生じにくく、これらにより傾斜面31上におけるシートAの移動が阻害されることを低減することができる。なお、第2支持部90は第1支持部80と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0096】
シート供給装置20において、傾斜方向において第1分離片60の寸法は第1支持部80の寸法よりも大きく、且つ、幅方向において第1分離片60の寸法は第1支持部80の寸法よりも小さい。この構成によれば、第1分離片60が相対的に細長く厚い板状に構成され、第1支持部80が相対的に幅広で薄い板状に構成される。これにより、第1支持部80が撓み易くかつ折れにくくなるので、第1分離片60を傾斜方向及び背面32側に移動し易くできる。また、第1分離片60が相対的に厚いので、シートAから直接荷重を受ける分離片40が折れることを抑制することができる。なお、第2分離片70及び第2支持部90は、第1分離片60及び第1支持部80と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0097】
シート供給装置20において、複数の第1分離片60は、傾斜方向(後方上側)に移動した第1分離片60が隣接する第1分離片60に当接するように傾斜方向に沿って配列している。この構成によれば、シートAに当接した第1分離片60は後方上側に移動する。この際、この第1分離片60は、その上側に隣接した第1分離片60に当接し、その移動を停止する。これにより、当接された第1分離片60が、移動した分離片40のストッパーとして機能するので、第1分離片60の移動量を好適な範囲内に規制することができる。これにより、第1分離片60が傾斜方向に過剰に移動して折れるおそれを有効に抑制することができる。なお、第2分離片70は、第1分離片60と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0098】
シート供給装置20において、第1分離片60は、傾斜面31に沿った傾斜方向における載置面21a側の反対側、及び、傾斜面31の法線方向における背面32側に移動可能に支持部50により支持されている。第1分離片60における傾斜方向の反対側への移動量が、法線方向の背面32側(後側)への移動量よりも大きい。
【0099】
この構成によれば、第1分離片60の後側への移動量が小さいため、第1分離片60が傾斜面31から沈み込むように移動している間も第1分離片60の第1先端62は傾斜面31から突出した状態で維持される。このため、第1分離片60がシートAの先行端に当接している時間を相対的に長くすることができるとともに、第1分離片60がシートAに当接する際の荷重を相対的に低くすることができる。なお、第2分離片70は、第1分離片60と同様の上記構成、作用及び効果を奏する。
【0100】
シート供給装置20において、複数の分離片は、幅方向(左右方向)の中央に位置する第1分離片60、及び、幅方向において第1分離片60の両側に位置する第2分離片70を有している。傾斜面31に対して突出する第1分離片60の突出角θ1は、傾斜面31に対して突出する第2分離片70の突出角θ2よりも大きい。
【0101】
例えば、傾斜面31が幅方向において中央ほど前方に湾曲した曲面で形成されている。この場合、薄いシートAは、湾曲する傾斜面31に沿って撓むため、傾斜面31上を移動するシートAの先行端は第1分離片60及び第2分離片70に当接する。これにより、シートAは3つの分離片60、70から荷重を受けるため、シートAが受ける荷重を分散して、各荷重を小さくすることができる。これにより、分離片60、70による薄いシートAの損傷を抑制しつつ、シートAに対する分離性能を向上することができる。また、厚いシートAは撓みにくいため、傾斜面31上を移動するシートAの先行端は第2分離片70への当接量が減り、第1分離片60に当接する。この第1分離片60の突出角θ1が大きいことにより、第1分離片60によりシートAがより確実に分離される。
【0102】
<変形例2>
変形例2に係るシート供給装置20は、実施の形態2において、図12に示すように、分離片列は、幅方向(左右方向)に3列以上設けられている。幅方向の中央部に位置する第1分離片列60aに対する、幅方向の両側部に位置する第2分離片列70aの間隔は、傾斜方向の載置面21a側からその反対側に向かって連続的又は段階的に広くなる。
【0103】
例えば、傾斜面31は、複数の傾斜面31(例えば、下側傾斜面31b及び上側傾斜面31a)を傾斜方向に有している。法線方向において、下側傾斜面31bと上側傾斜面31aとの間には段差が設けられている。下側傾斜面31bは、法線方向の前側であって傾斜方向において上側傾斜面31aの下側に配置されており、上側傾斜面31aに対して平行である。
【0104】
なお、上側傾斜面31a及び下側傾斜面31bは、その間に段差がなく、互いに同一平面に形成されていてもよい。また、上側傾斜面31a及び下側傾斜面31bのいずれか一方の傾斜面31は、左右方向に直線状の延びる平面であって、他方の傾斜面31は、左右方向の中央ほど前側に湾曲する曲面であってもよい。
【0105】
下側傾斜面31b及び上側傾斜面31aのそれぞれには、複数(例えば、3本)の分離片列60a、70a、及び、分離片列60a、70aと同数のスリット33が設けられている。傾斜方向において、上側傾斜面31aの分離片列60a、70aは下側傾斜面31bの分離片列60a、70aよりも長い。下側傾斜面31bの第1分離片列60aと上側傾斜面31aの第1分離片列60aとは、互いに傾斜方向に延びる同一直線上に配置されている。
【0106】
上側傾斜面31aにおける左右方向の第1分離片列60aと第2分離片列70aとの間隔は、下側傾斜面31bにおける左右方向の第1分離片列60aと第2分離片列70aとの間隔よりも広い。このため、上側傾斜面31aにおける左右方向2本の第2分離片列70aどうしの間隔は、下側傾斜面31bにおける左右方向の2本の第2分離片列70aどうしの間隔よりも広い。
【0107】
なお、図12の例では、下側傾斜面31bの分離片列60a、70aの本数と、上側傾斜面31aの分離片列60a、70aの本数とは互いに等しい。但し、これらの本数が互いに異なっていてもよい。この場合も、左右方向において両側に配置されている第2分離片列70aどうしの間隔が、傾斜方向の上側ほど広くなっていればよい。
【0108】
例えば、ハガキ及び光沢紙等の厚紙は、PPC等の印刷用紙よりもサイズが小さく、厚みが大きい。このような厚紙は、通常、載置面21aに載置される枚数が少ないため、給送ローラ22bによって傾斜面31へ給送されると、その位置は傾斜面31において低く、下側傾斜面31bに対応する。このような、左右方向に小さい厚紙には、左右方向において中央に寄せられた上側傾斜面31aの分離片列60a、70aによって効率的に分離することができる。
【0109】
また、載置部上に載置されたシートAの枚数が多くなるほど、載置部から給送ローラ22bにより給送されるシートAの位置が傾斜面31の上側に位置する。この場合、分離片40からシートAが受ける荷重を左右方向に分散させる。一方、シート束の枚数が少ない場合には、分離片40が当接する際に中央部に対して安定的に荷重を与える。これにより、シートAの収容量及びシートAの厚さに応じて、分離片40による当接荷重を変えることができるので、シートAの分離性能をより一層良好なものとすることができる。
【0110】
<その他の変形例>
上記実施の形態1及びその変形例では、分離片40の先端42を囲むようなU字形状に補助傾斜面46としたが、補助傾斜面46の形状はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、補助傾斜面46は右補助傾斜面46d及び左補助傾斜面46eを有し、これらは分離片40の先端42に対して左右方向の両側に設けられていてもよい。この場合、右補助傾斜面46d及び左補助傾斜面46eは、先端42よりも上側及び下側のそれぞれに突出し、傾斜方向に延びる。先端42、右補助傾斜面46d及び左補助傾斜面46eは、H字形状に配置される。この構成によれば、傾斜面31上を移動するシートAは先端42に当接する前に補助傾斜面46d、46e上に載ることにより、シートAが分離片40どうしの間隔に嵌まり込むことを防止し、ジャムの発生を低減することができる。
【0111】
上記実施の形態1及びその変形例では、分離片40の先端42は、2つの突起44により構成されていた。但し、これらの突起44の数は、これに限定されず、1つ又は複数であってもよい。なお、上記実施の形態2及びその変形例においても、分離片60、70の先端62、72は、1つ又は複数の突起44により構成されていてもよい。
【0112】
例えば、図14(a)に示すように、分離片40の先端42は、3つの突起44により構成されていてもよい。この場合、2本の切り込み43が先端42に設けられており、これらは傾斜方向に間隔を空けながら互いに平行に左右方向に延びている。傾斜方向において、切り込み43の間及び両側のそれぞれに突起44が形成される。3つの突起44は、傾斜方向に並んで、互いに平行に左右方向に延びている。このように、突起44が増えることにより、シートAが分離片40に当接する回数が増え、シートAの分離性能を向上することができる。
【0113】
上記実施の形態1及びその変形例では、分離片40の先端42を構成する2つの突起44は、互いに同じ形状を有していた。但し、突起44の形状はこれに限定されない。
【0114】
例えば、図14(b)に示すように、2つの突起44のうち、傾斜方向における下突起44aの寸法が上突起44bの寸法よりも大きくてもよい。これにより、傾斜面31を移動するシートAは、その移動方向の上流にある下突起44aに当接し易く、シートAを分離することができる。さらに、分離されずに上位のシートAに伴って移動するシートAは、その移動方向の下流にある上突起44bに当接するため、分離機会が増える。これらにより、シートAの分離性能を向上することができる。
【0115】
また、図14(c)に示すように、2つの突起44のうち、左右方向における下突起44aの寸法が上突起44bの寸法よりも大きくてもよい。これにより、傾斜面31を移動するシートAは、その移動方向の上流にある下突起44aに当接し易く、シートAを分離することができる。さらに、上突起44bにより分離機会を増やすことができる。また、その上突起44bとシートAとの接触面積が小さいため、分離されたシートAは円滑に傾斜面31上を移動することができる。
【0116】
さらに、図14(d)に示すように、2つの突起44のうち、延伸方向における下突起44aの寸法が上突起44bの寸法よりも大きくてもよい。これにより、傾斜面31を移動するシートAは、その移動方向の上流にある下突起44aに当接し易く、シートAを分離することができる。また、分離されたシートAは、上突起44b上を移動し易い。
【0117】
なお、図14(c)の上突起44bに示すように、突起44は、前側ほど左右方向の寸法が小さくなるように形成されていてもよい。また、突起44は、その頂部よりも傾斜方向における下側面44cが上側面44dよりも小さく形成されている。この構成によれば、シートAの先行端が下側面44cに当接することにより分離片40が傾倒(移動)する際の時間が長くかかり、また、シートAは、傾倒した分離片40を乗り越え易い。これにより、JAMの発生を抑制することができる。
【0118】
上記全ての実施の形態及び変形例において、図14(d)の上突起44bに示すように突起44はアール面により丸みを有していてもよい。この場合、突起44は、傾斜方向に湾曲するよう曲面により形成されている。これにより、シートAが突起44の角により損傷を受けることを低減することができる。
【0119】
上記実施の形態2及びその変形例において、図15(a)に示すように、補強リブ36は、傾斜方向に延びる補強リブ36eをさらに有していてもよい。この場合、補強リブ36は、左右方向において右補強リブ36aと左補強リブ36bとの間において、互いに隣り合う第1分離片列60aと第2分離片列70aに設けられている。
【0120】
また、図15(b)に示すように、補強リブ36は、左右方向に延びる補強リブ36fをさらに有していてもよい。この場合、補強リブ36fが分離片列40aにおいて傾斜方向に互いに隣り合う分離片40どうしの間に設けられている。そして、補強リブ36f及び補強リブ36eが互いに接続されて階段状に配置されていてもよい。
【0121】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のシート供給装置は、樹脂製の分離片を備えるシート分離体において当該分離片に良好な弾性を付与し、当該シート分離体によりシートの先行端をより一層好適に捌くことが可能なシート供給装置等として有用である。
【符号の説明】
【0123】
20 :シート供給装置
21 :収容部
21a :載置面
22 :給送部
25 :シート分離体
26 :分離片ユニット
30 :傾斜部材
31 :傾斜面
32 :背面
40 :分離片
40a :分離片列
41 :基端
42 :先端
44 :突起
46 :補助傾斜面
47 :シート誘導面
50 :支持部
51a :上面
52a :上面
54 :凹部
55 :貫通穴
60 :第1分離片(分離片)
60a :第1分離片列(分離片列)
61 :第1基端(基端)
62 :第1先端(先端)
70 :第2分離片(分離片)
70a :第2分離片列(分離片列)
71 :第2基端(基端)
72 :第2先端(先端)
80 :第1支持部(支持部)
90 :第2支持部(支持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
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図15