(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】トナー搬送装置、及びトナー搬送装置を備える画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G03G15/08 347
(21)【出願番号】P 2020128327
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】永島 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 尚樹
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-024524(JP,A)
【文献】特開平04-189215(JP,A)
【文献】特開2001-122436(JP,A)
【文献】特開平10-010851(JP,A)
【文献】特開平05-072887(JP,A)
【文献】特開2003-241595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを搬送するトナー搬送装置であって、
内部にトナー搬送路を有する筐体と、
前記筐体に設けられ、トナーが流入又は流出される開口、及び前記開口から前記トナー搬送路に連通する案内通路を有するトナー案内部と、
前記トナー案内部に振動を付与する少なくとも二つの振動モーターと、を備え、
前記振動モーターそれぞれは、互いに異なるタイミングで始動され、パルス幅の異なる第1パルス及び第2パルスが交互に連続する駆動信号によって駆動制御されるものである、トナー搬送装置。
【請求項2】
前記振動モーターそれぞれは、前記第1パルスの立ち上がりから前記第2パルスの立下りまで間隔未満の時間差で始動される、請求項1に記載のトナー搬送装置。
【請求項3】
前記振動モーターは、出力軸に偏心ウェイトが取り付けられたものである、請求項1又は2に記載のトナー搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のトナー搬送装置と、
前記トナー搬送装置から供給されたトナーを用いて現像する現像装置と、
前記振動モーターそれぞれを互いに異なるタイミングで始動し、パルス幅の異なる第1パルス及び第2パルスが交互に連続する駆動信号によって各振動モーターを駆動制御する制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー搬送装置が備える開口にトナーを補給するトナー補給装置を更に備え、
前記制御部は、
前記現像装置による現像動作中に前記開口にトナーを補給するトナー補給動作
が行われている場合に各振動モーターを駆動し、
前記現像動作が行われておらず且つ前記トナー補給動作が行われていない間は各振動モーターを停止する、請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを搬送するトナー搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって印刷用紙などのシート部材に画像を形成する複写機やプリンター等の画像形成装置には現像装置が搭載されている。現像装置の内部にはトナーを含む現像剤が収容されている。現像装置は、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を前記現像剤に含まれるトナーによって現像する。現像が行われることにより現像装置の内部のトナーが減少する。そのため、画像形成装置は、トナーが収容されたトナー容器を備えており、トナー容器から現像装置へトナーを補給するように構成されている。画像形成装置には、トナー容器からトナーを現像装置まで搬送するトナー搬送装置を備えている。前記トナー搬送装置の筐体には、トナー容器から供給されたトナーを受け入れて内部のトナー搬送路に案内するトナー受入部を有している。前記トナー受入部をトナーが通過する際に、トナー受入部の案内路の内面にトナーが付着して堆積し、案内路におけるトナーの流入を阻害する場合がある。これらの堆積物を除去するために、従来のトナー搬送装置には、前記案内路の内面に接触して前記堆積物を崩す除去する除去部材が設けられている。
【0003】
しかしながら、前記除去部材は、前記案内路の内面に物理的に接触するものであるため、疲労により劣化すると除去効果が低下する。また、前記除去部材自体にトナーが堆積し、前記案内路におけるトナーの流入を却って悪化させるおそれがある。
【0004】
特許文献1には、振動モーターを用いて現像装置のケーシング内におけるトナーの堆積を抑制する提案が開示されている。前記振動モーターを前記トナー搬送装置の前記トナー受入部に取り付けることにより、内部の案内路におけるトナーの堆積を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トナー搬送装置に複数のトナー受入部が設けられた構成では、各トナー受入部におけるトナーの堆積物を抑制又は除去するために、複数のトナー受入部それぞれに対応して複数の振動モーターが設けられる場合がある。しかしながら、複数の振動モーターそれぞれの振動の周期と位相とが一致した場合に共振が生じる。一方、各振動モーターの振動の周期が一致するが位相が互いに逆位相の関係にある場合は、振動が減衰することになる。
【0007】
本発明の目的は、トナーの堆積物を抑制又は除去するための複数の振動モーターから振動の伝達先に対して安定した振動を付与することが可能なトナー搬送装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係るトナー搬送装置は、トナーを搬送するトナー搬送装置である。前記トナー搬送装置は、内部にトナー搬送路を有する筐体と、前記筐体に設けられ、トナーが流入又は流出される開口、及び前記開口から前記トナー搬送路に連通する案内通路を有するトナー案内部と、前記トナー案内部に振動を付与する少なくとも二つの振動モーターと、を備える。前記振動モーターそれぞれは、互いに異なるタイミングで始動され、パルス幅の異なる第1パルス及び第2パルスが交互に連続する駆動信号によって駆動制御される。
【0009】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記トナー搬送装置と、前記トナー搬送装置から供給されたトナーを用いて現像する現像装置と、前記振動モーターそれぞれを互いに異なるタイミングで始動し、パルス幅の異なる第1パルス及び第2パルスが交互に連続する駆動信号によって各振動モーターを駆動制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナーの堆積物を抑制又は除去するための複数の振動モーターから振動の伝達先に対して安定した振動を付与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、画像形成装置の筐体の前面カバーが開けられた状態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置が備える画像形成部の内部構成を示す図である。
【
図4】
図4は、コンテナ装着部、トナー搬送装置、現像装置を後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、画像形成装置が備える現像装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、コンテナ装着部を後方斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、トナー搬送装置及び現像装置の断面構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、トナー搬送装置を後方側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、トナー搬送装置を前方側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、トナー搬送装置が備えるケーシングの分解斜視図である。
【
図11】
図11は、トナー搬送装置が備えるトナーガイドを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、トナー搬送装置が備えるケーシングの側面の構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、トナー搬送装置が備えるケーシングの側面の構成を示す側面図である。
【
図14】
図14は、トナー搬送装置が備えるケーシングから振動ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、トナー搬送装置が備える振動ユニットを示す斜視図である。
【
図16】
図16は、トナー搬送装置が備える振動ユニットを示す斜視図である。
【
図17】
図17は、トナー搬送装置が備える振動ユニットの分解図である。
【
図18】
図18は、制御部と振動モーターとの接続関係を示すブロック図である。
【
図20】
図20は、印刷動作のタイミングチャート、及び、制御部から補給モーター及び各振動モーターに付与される駆動信号の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
〈第1実施形態〉
以下、適宜図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能な設置状態(
図1に示す状態)における鉛直方向を上下方向6と定義する。また、前記設置状態において操作表示部17が設けられた側面を正面(前面)として前後方向7を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準にして左右方向8を定義する。
【0014】
[画像形成装置10]
画像形成装置10は、少なくとも印刷機能を備えている。
図1に示すように、画像形成装置10は、所謂タンデムタイプのカラープリンターである。画像形成装置10は、トナーを含む現像剤を用いて、印刷用紙などのシート部材に画像を印刷する。なお、画像形成装置10は、印刷機能を備えたものであればよく、例えば、前記印刷機能を含む複数の機能を備えた複合機や、FAX装置、複写機などであってもよい。もちろん、画像形成装置10は、カラー画像を形成するものでなく、単一色の画像を形成するものであってもよい。
【0015】
画像形成装置10は、画像読取部12と、画像形成部14とを備える。画像読取部12は、原稿の画像を読み取る処理を行うものであり、画像形成装置10の上部に設けられている。画像形成部14は、電子写真方式に基づいてカラー画像を形成する処理を行うものであり、画像形成装置10の下部に設けられている。また、画像形成部14の右側には、シート排出部15が設けられている。
【0016】
画像形成部14と画像読取部12との間に排出スペース21が設けられている。シート排出部15は、画像形成部14と画像読取部12との間に排出スペース21を形成しつつ、画像形成部14と画像読取部12とを上下に連結する。
【0017】
シート排出部15は、画像形成後のシート部材を排出スペース21へ排出する。シート排出部15において排出スペース21に臨む左側面には、シート排出口15A(
図3参照)が設けられている。シート排出口15Aは、後述するシートトレイ18の端部24よりも上方に形成されている。シート排出口15Aからシート部材が排出される。
【0018】
画像形成部14は、装置本体としての筐体11を備える。筐体11の内部には、画像形成部14を構成する各部が配置されている。筐体11は、画像形成部14の全体を覆う外装フレームと、画像形成部14を構成する各部を支持するための内部フレームとにより構成されている。筐体11は、全体として略直方体形状である。
【0019】
筐体11は、前面カバー11Aと、サイドカバー11Bとを有する。前面カバー11A及びサイドカバー11Bによって、筐体11の前面の開口11C(
図2参照)が覆われている。前面カバー11Aが開けられると、画像形成部14の内部が開放される(
図2参照)。サイドカバー11Bは、前面カバー11Aの上側に設けられている。前面カバー11Aでは閉塞できない開口11Cの上部側がサイドカバー11Bによって閉塞される。
図2では、サイドカバー11Bが取り外され、前面カバー11Aが開けられた状態が示されている。開口11Cを通じて、トナーコンテナ3(トナー容器)が筐体11の内部に装着される。
【0020】
図3は、画像形成部14の内部構成を示す図である。
図3では、画像読取部12の図示が省略されている。画像形成部14は、所謂タンデム方式に基づいてカラー画像を印刷用紙などのシート部材に形成する。
図3に示すように、画像形成部14は、4つの画像形成ユニット4、中間転写ユニット5、光走査装置13、二次転写ローラー20、定着装置16、シートトレイ18、シートカセット27、給送ユニット28、操作表示部17(
図1参照)、搬送経路26、コンテナ装着部30、トナー搬送装置60(本発明のトナー搬送装置の一例)、及び制御部35(本発明の制御部の一例)などを備える。
【0021】
給送ユニット28は、シートカセット27に収容されている被記録媒体であるシート部材を一枚ずつ取り出して、搬送経路26へ向けてシート部材を給送する。
【0022】
画像形成ユニット4(4Y,4C,4M,4K)各々は、中間転写ユニット5の下方に設けられている。複数の画像形成ユニット4は、転写ベルト5Aの走行方向(矢印19で示す方向)と概ね一致する左右方向8に沿って並設されている。転写ベルト5Aの左側から右側へ順に、イエロー色用の画像形成ユニット4Y、シアン色用の画像形成ユニット4C、マゼンタ色用の画像形成ユニット4M、黒色用の画像形成ユニット4Kがその順番で一列に配置されている。
【0023】
画像形成ユニット4各々は、感光体ドラム41、帯電装置42、現像装置44、一次転写ローラー45などを備えている。画像形成ユニット4は、電子写真方式にしたがって、感光体ドラム41にトナー像を形成し、中間転写ユニット5が備える転写ベルト5Aにトナー像を順次重ね合わせて転写する。転写ベルト5Aは、矢印19の方向へ移動可能であり、その移動中の転写ベルト5Aにトナー像が順次転写される。画像形成ユニット4Yは、イエロー色のトナーで感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する。画像形成ユニット4Cは、シアン色のトナーで、画像形成ユニット4Mはマゼンタ色のトナーで、画像形成ユニット4Kは黒色のトナーでトナー像を感光体ドラム41の表面に形成する。感光体ドラム41に対するトナー像の現像処理は現像装置44によって行われる。
【0024】
現像装置44は、トナーを含む現像剤を用いて現像するものである。
図4は、コンテナ装着部30、トナー搬送装置60、現像装置44を後方側から見た場合の斜視図である。
図5は、現像装置44を示す斜視図である。
図4及び
図5に示すように、現像装置44は、前後方向7に長い形状に形成されている。現像装置44の容器本体44Aには、トナー補給部44B(本発明のトナー補給装置の一例、
図5参照)が設けられている。トナー補給部44B、補給口44C(
図5参照)が形成されている。
図5に示すように、トナー補給部44Bは、容器本体44Aの長手方向の一方側の端部、具体的には、筐体11の内部に現像装置44が装着された装着状態における後方側の端部に設けられている。
【0025】
現像装置44は、交換を可能とするために、筐体11に対して着脱可能に設けられている。筐体11の内部フレームには、現像装置44を支持するための支持台(不図示)が設けられている。現像装置44が前記支持台に装着された状態で、後述のトナー搬送装置60によって補給口44Cを通じて現像装置44の内部にトナーが供給可能となる。
【0026】
図3に示すように、中間転写ユニット5は、画像形成ユニット4の上方であって、コンテナ装着部30の下方に設けられている。中間転写ユニット5は、転写ベルト5Aと、駆動ローラー5Bと、従動ローラー5Cとを有する。転写ベルト5Aは、画像形成ユニット4各々の感光体ドラム41に形成された各色のトナー像が転写されるベルト部材である。転写ベルト5Aは、感光体ドラム41の上側に設けられている。転写ベルト5Aは、無端の環状のベルトである。転写ベルト5Aは、左右方向8へ離間して設けられた駆動ローラー5B及び従動ローラー5Cによって回動可能に支持されている。転写ベルト5Aは、駆動ローラー5B及び従動ローラー5Cに架け渡されるようにして支持されている。転写ベルト5Aは、その表面が感光体ドラム41と一次転写ローラー45との間を通過する際に、各感光体ドラム41からトナー像が順に重ね合わせて転写される。
【0027】
光走査装置13は、入力される各色の画像データに基づいてレーザー光を画像形成ユニット4各々の感光体ドラム41に照射する。これにより、感光体ドラム41各々に静電潜像が形成される。
【0028】
二次転写ローラー20は、上下に延びる搬送経路26を挟むようにして駆動ローラー5Bに対向するように設けられている。二次転写ローラー20に印加された転写電位によって、転写ベルト5A上のトナー像がシート部材に転写される。トナー像が転写されたシート部材は定着装置16に搬送される。
【0029】
定着装置16は、シート部材に転写されたトナー像を加熱してシート部材に定着させるものであり、加熱ローラー16Aと、加圧ローラー16Bとを有している。定着装置16に搬送されたシート部材は、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとによって挟持されつつ搬送される。この搬送時に、シート部材に転写されたトナー像に加熱ローラー16Aから熱が伝達してトナー像が加熱される。これにより、トナー像がシート部材に定着する。その後、シート部材はシート排出部15によってシートトレイ18に排出される。
【0030】
図3に示すように、シートトレイ18は、排出スペース21に設けられている。シートトレイ18は、定着装置16を通過してシート排出部15のシート排出口15Aから外部に排出されたシート部材を保持する。シートトレイ18は、画像形成部14の上面を構成する外装フレームを兼ねている。シートトレイ18に排出されたシート部材は、上方向へ積み重ねるようにして積載される。シートトレイ18の上面(シート載置面)には、左右方向8へ延びる複数条のリブ18A(
図2参照)が形成されている。シートトレイ18に排出されたシート部材は、これらのリブ18Aの上端によって支持される。
【0031】
コンテナ装着部30は、トナーが収容された4つのトナーコンテナ3を保持するものである。
図3に示すように、コンテナ装着部30は、中間転写ユニット5の上方に設けられている。中間転写ユニット5とシートトレイ18との間に収容スペース22が形成されており、コンテナ装着部30はその収容スペース22に設けられている。つまり、コンテナ装着部30の上側にシートトレイ18が設けられており、コンテナ装着部30の下側に中間転写ユニット5が設けられている。コンテナ装着部30の詳細については後述する。
【0032】
トナー搬送装置60は、コンテナ装着部30に装着されたトナーコンテナ3から供給されるトナーを現像装置44に搬送するものである。
図4に示すように、トナー搬送装置60は、コンテナ装着部30及び各現像装置44よりも後方側に設けられている。トナー搬送装置60の詳細については後述する。
【0033】
[コンテナ装着部30]
図6は、コンテナ装着部30を後方斜め下方から見た斜視図である。
図4及び
図6のいずれにおいても、コンテナ装着部30にトナーコンテナ3が装着された状態が示されている。コンテナ装着部30は、筐体11の内部フレームに固定されている。コンテナ装着部30は、複数のトナーコンテナ3(トナー容器)を着脱可能に装着する。つまり、トナーコンテナ3は、コンテナ装着部30によって画像形成装置10に着脱可能に装着される。
【0034】
コンテナ装着部30は、各色のトナーコンテナ3それぞれを前後方向7へスライド可能に支持する支持フレーム31を有する。支持フレーム31において、各色のトナーコンテナ3は、左右方向8に沿って並設されている。
【0035】
[トナーコンテナ3]
図6に示すように、トナーコンテナ3は、前後方向7に長い形状に形成されている。4つのトナーコンテナ3それぞれには、画像形成ユニット4の各色に対応する色のトナーが収容されている。具体的には、トナーコンテナ3Kには黒色のトナーが収容されており、トナーコンテナ3Mにはマゼンタ色のトナーが収容されており、トナーコンテナ3Cにはシアン色のトナーが収容されており、トナーコンテナ3Yにはイエロー色のトナーが収容されている。黒色のトナーは消費量が最も多いため、トナーコンテナ3Kは、他のトナーコンテナ3(3Y,3C,3M)に比べて横幅が大きく形成されており、容積が大きい。
【0036】
トナーコンテナ3の底部の後方側にトナー排出口32が形成されており、更に、トナー排出口32を開閉するためシャッター部材33が設けられている。シャッター部材33は、トナーコンテナ3の底部に取り付けられたシャッター支持部材331によって、開位置と閉位置との間でスライド可能に支持されている。コンテナ装着部30にトナーコンテナ3が装着されると、シャッター部材33がスライド移動してトナー排出口32を開放する。
【0037】
トナーコンテナ3の後方端部には、トナーコンテナ3がコンテナ装着部30に装着された装着状態において画像形成装置10から入力される回転駆動力を受ける伝達部50が設けられている。伝達部50は、連結部材やギヤなどを含む。伝達部50は、前記装着状態でコンテナ装着部30に設けられたジョイント(不図示)に連結される。また、伝達部50は、トナーコンテナ3の内部に設けられたスパイラル状の搬送部材34(
図7参照)に連結されている。これにより、前記装着状態で伝達部50に前記回転駆動力が入力されると、伝達部50は搬送部材34を回転させる。これにより、トナーコンテナ3の内部のトナーがトナー排出口32側へ搬送される。
【0038】
画像形成装置10のコンテナ装着部30には、トナー補給用の補給モーター51(
図18参照)が設けられている。補給モーター51は、伝達部50に前記回転駆動力を供給して、搬送部材34を回転駆動させる。補給モーター51は、制御部35によって駆動制御される。補給モーター51は、トナーコンテナ3の数に応じて複数設けられていてもよく、あるいは、トナーコンテナ3それぞれの伝達部50に回転駆動力を供給する一つのモーターであってもよい。
【0039】
トナーコンテナ3に収容されたトナーは、トナー排出口32から、後述するトナー搬送装置60に供給され、そして、トナー搬送装置60によって、供給されたトナーの色に対応する現像装置44の補給口44C(
図5参照)に搬送され、その補給口44Cから現像装置44の内部に補給される。
【0040】
制御部35は、画像形成装置10やトナー搬送装置60の動作を制御する。制御部35は、CPU、ROM、RAMなどの制御機器を含む。前記CPUは各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは前記CPUの各種の演算処理を実行させるための制御プログラムが記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体である。制御部35は、例えば、ASICなどのICによって実現されてもよい。
【0041】
図18に示すように、制御部35は、トナー搬送装置60が備える複数の振動モーター72(721,722)に接続されている。また、制御部35は、コンテナ装着部30が備える補給モーター51に接続されている。制御部35は、振動モーター72及び補給モーター51に駆動信号を供給して、振動モーター72及び補給モーター51を駆動させる。
【0042】
[トナー搬送装置60]
図7は、トナー搬送装置60のトナー搬送路36を通る切断面でトナー搬送装置60、コンテナ装着部30、及び現像装置44を切断した場合の後方側から見た断面図である。
図8及び
図9は、トナー搬送装置60の構成を示す斜視図であり、
図8はトナー搬送装置60を後方側から見た斜視図であり、
図9はトナー搬送装置60を前方側から見た斜視図である。
図10は、トナー搬送装置60が備えるケーシング61の分解斜視図である。なお、
図8では、トナーコンテナ3が備えるシャッター支持部材331及びシャッター部材33が示されている。
【0043】
トナー搬送装置60は、コンテナ装着部30及び現像装置44の後方側に設けられている。トナー搬送装置60は、トナーコンテナ3のトナー排出口32から供給されたトナーを現像装置44の補給口44Cまで運び、補給口44Cを通じて現像装置44の内部にトナーを補給する。
【0044】
図8及び
図9に示すように、トナー搬送装置60は、ケーシング61(本発明の筐体の一例)と、4つのトナーガイド62と、搬送部材65と、2つの振動ユニット70と、を備える。
【0045】
ケーシング61は、合成樹脂で構成されており、例えば、ABS樹脂で形成されている。ケーシング61は、水平方向(左右方向8)に長い形状に形成されている。ケーシング61は、前方側の筐体を構成する第1ケーシング611(第1分割筐体の一例)と、後方側の筐体を構成する第2ケーシング612(第2分割筐体の一例)とにより構成されている。第1ケーシング611及び第2ケーシング612は、いずれも、左右方向8に長い形状に形成されており、ケーシング61をその長手方向に直交する短手方向(前後方向7)に分割する。第1ケーシング611及び第2ケーシング612が前記短手方向に連結されることによって、ケーシング61が構成される。
【0046】
ケーシング61の上部には、5つの連結部63(連結部材の一例)が設けられている。
図10に示すように、連結部63は、第1ケーシング611と第2ケーシング612とを連結する連結部材であり、所謂スナップフィット構造を有する。本実施形態では、5つの連結部63のうちケーシング61の左側に設けられた4つの連結部63(63A,63B)は、後述する受入口38及び案内通路38Aの近傍に配置されている。
【0047】
連結部63は、第1ケーシング611の上部に設けられた突出片631と、第2ケーシング612の上部に設けられた係止爪632とにより構成されている。突出片631には、連結状態で係止爪632が差し込まれる差込孔が形成されている。第1ケーシング611と第2ケーシング612とが短手方向に位置合わせされて互いに接合されると、各係止爪632が、対応する突出片631の前記差込孔に挿入する。これにより、突出片631と係止爪632とが強固に連結し、つまり、第1ケーシング611と第2ケーシング612とが連結される。なお、ケーシング61の下部にも、連結部63と同じ構成の連結部(不図示)が設けられている。
【0048】
図7に示すように、ケーシング61の内部には、トナーを搬送するためのトナー搬送路36が設けられている。トナー搬送路36は、トナーコンテナ3から供給されたトナーを現像装置44に搬送するための通路である。本実施形態では、トナー搬送路36は、ケーシング61において左右方向8に延在している。トナー搬送路36は、4つのトナーコンテナ3それぞれに対応して4つの通路に区分されている。各通路の隣接部分は、各色のトナーがトナー搬送路36内で混在しないようシール部材37によってシールされている。
【0049】
図7に示すように、ケーシング61の内部には、トナー搬送路36におけるトナーを搬送するためのスパイラル状の搬送部材65が設けられている。搬送部材65は、トナー搬送路36に設けられている。搬送部材65は、スパイラル状の羽根がトナー搬送路36の長手方向(左右方向8)に沿って延在する回転軸に設けられたスパイラル軸部材である。駆動力を受けて搬送部材65が回転することにより、トナー搬送路36において一方向へトナーを搬送する。本実施形態では、搬送部材65は、トナーコンテナ3から後述する受入口38を通じて供給されたトナーをトナーガイド62の後述する連通口39へ向けて搬送する。連通口39に搬送されたトナーは、トナーガイド62に案内されつつ下方へ落下して、その下端の下部供給口66(トナー供給口)から補給口44Cに至り、補給口44Cを通じて現像装置44の内部に入る。
【0050】
図8及び
図9に示すように、ケーシング61の上部に複数の受入口38(本発明の開口の一例)が設けられている。受入口38は、トナーコンテナ3からのトナーが流入される開口である。本実施形態では、4つのトナーコンテナ3に対応して、4つの受入口38がケーシング61の上部に設けられている。各受入口38は、第1ケーシング611の上面に形成されている。各受入口38は、ケーシング61の上部において左右方向8へ所定距離を隔てて配置されている。各受入口38はケーシング61の上側の壁面を下方へ貫通して、トナー搬送路36に連通している。トナーコンテナ3から供給されるトナーは、受入口38に流入される。各受入口38それぞれからトナー搬送路36に至る部分には、トナーコンテナ3から供給されるトナーを受入口38からトナー搬送路36まで案内する案内通路38A(
図7参照)が形成されている。受入口38及び案内通路38Aを含む構成が本発明のトナー案内部に相当する。
【0051】
各受入口38は、対応するトナーコンテナ3がコンテナ装着部30に装着された装着状態(以下、コンテナ装着状態という。)で、トナーコンテナ3に形成されたトナー排出口32(
図7参照)に連通可能な位置に設けられている。つまり、前記コンテナ装着状態で、トナー排出口32の下方に受入口38が設けられている。なお、トナー排出口32からのトナー漏れを防止するために、前記コンテナ装着状態においてトナー排出口32は受入口38に密着される。
【0052】
また、ケーシング61の下壁面61A(
図7参照)には、4つの連通口39が形成されている。各連通口39は、トナー搬送路36において各色のトナーに対応した通路ごとに設けられている。
図7に示されるように、それぞれの連通口39に対応してトナーガイド62が設けられている。
【0053】
図11は、トナーガイド62の拡大斜視図である。トナーガイド62は、連通口39から下方へ延びる断面四角形状の筒状のガイド部62Aを有する。ガイド部62Aの内部は、トナーが下方へ案内される通路である。トナーガイド62の上端は連通口39に連結されている。トナーガイド62の下端部には、下部供給口66が形成されている。連通口39からトナーガイド62の内部に流入したトナーは、ガイド部62Aによって案内されつつ、その自重によって下方へ移動する。
【0054】
トナーガイド62の下端部にはシャッター部材67が設けられている。シャッター部材67は、下部供給口66を開閉するための部材であり、下部供給口66を閉塞可能な閉位置と、下部供給口66を開放可能な開位置(
図11に示す位置)との間でスライド移動可能なようにトナーガイドの下端部に支持されている。シャッター部材67は、不図示のバネ部材によって前記開位置から前記閉位置側へ向かう閉塞方向へ付勢されている。現像装置44が筐体11における装着位置に装着されるときに、現像装置44の一部がシャッター部材67の当接部68を後方へ押圧する。このときの押圧力を受けて、シャッター部材67は、前記バネ部材の付勢力に抗して前記閉位置から前記開位置へ向かう開放方向へ移動する。これにより、下部供給口66が開放されて、トナーガイド62を下方へ移動するトナーが現像装置44の内部に流入することが可能となる。
【0055】
ところで、複数の受入口38それぞれは、トナーコンテナ3から供給されたトナーを受け入れて内部のトナー搬送路36に案内するものである。このため、受入口38からトナー搬送路36に至る案内通路38Aの内面にトナーが付着して堆積し、案内通路38Aにおけるトナーの移動を阻害する場合がある。本実施形態では、複数の受入口38に対して、受入口38の設置数よりも少ない数の振動モーター72によって複数の受入口38及び複数の案内通路38Aの全てに適切な振動を伝達して、複数の案内通路38Aそれぞれの内面に堆積するトナーの堆積物を効果的に除去するため、後述する振動ユニット70がケーシング61に取り付けられている。
【0056】
[振動ユニット70]
図12乃至
図14は、ケーシング61の側面の構成を示す図である。
図14では、ケーシング61から振動ユニット70が取り外された状態が示されている。
図12等に示すように、振動ユニット70は、ケーシング61における後方側の側面61B、つまり、第2ケーシング612の後方側の側面61Bに設けられている。本実施形態では、2つの振動ユニット70はいずれも同じ構成であり、ケーシング61の側面61Bにおいてケーシング61の長手方向に所定間隔を隔てて設けられている。
【0057】
2つの振動ユニット70は、4つの受入口38及び4つの案内通路38Aそれぞれにトナーが堆積しないように、4つの受入口38及び4つの案内通路38Aの全てに適度な振動を付与するよう構成されている。各振動ユニット70は、ブラケット71と、振動モーター72(振動発生部)とを有する。
【0058】
ブラケット71は、側面61Bに設けられた後述のボス73(本発明の脚部の一例)を介して、側面61Bに固定されている。ブラケット71は、ケーシング61の固有振動数よりも大きい材料で構成されており、本実施形態では、炭素鋼や合金鋼などの板金部材によって板状に形成される。ブラケット71は、ケーシング61の長手方向に沿って長尺な形状に形成されている。また、ブラケット71は、より高い強度及び剛性を得るために、短手方向の両端部(上端部及び下端部)それぞれが外側へ90度屈曲されている。
【0059】
図15及び
図16は、振動ユニット70の単体を示す斜視図である。
図17は、振動ユニット70の分解斜視図である。
図15等に示すように、ブラケット71の一方側(後方側)の側面71Aには、ブラケット71を貫通する複数の開口81~88が形成されている。開口81,82は、ブラケット71の長手方向の両端部に形成されている。一方の開口81の近傍には、開口81よりも小径の開口83が形成されており、他方の開口82の近傍にも、開口82よりも小径の開口84が形成されている。開口83,84は、ブラケット71をケーシング61の側面61Bに仮止めする際に用いられる。開口81,82は、側面61Bに仮止めされたブラケット71をビス92(
図13参照)などによって固定するために用いられる。
【0060】
図16に示すように、ブラケット71の他方側(前方側)の側面71B(対向面の一例)に振動モーター72が取り付けられている。これにより、側面71Bと側面61Bとの間の空間に振動モーター72が配置される。2つの振動ユニットそれぞれの振動モーター72は、例えば、直流モーターの出力軸に偏心ウェイトが固定されたものであり、制御部35(
図3参照)の制御によって直流電流が供給されることにより各振動モーター72は駆動される。振動モーター72が回転駆動して偏心ウェイトが回転することにより、振動が生じる。この振動は、ブラケット71、ボス73を介してケーシング61の側面61Bに伝達する。なお、振動モーター72は振動発生部の単なる一例であり、振動を生じさせるものであれば如何なる構成のものでも適用可能である。
【0061】
図17に示すように、振動モーター72の取付面72Aに3つの位置決めピン95~97が設けられている。振動モーター72の各位置決めピン95~97がブラケット71に形成された開口85~87に挿入されることで、振動モーター72がブラケット71の側面71Bに仮止めされる。この仮止め状態で開口88から振動モーター72に形成されたビス穴98にビス91(
図15参照)が螺着される。これにより、振動モーター72がブラケット71の側面71Bに強固に固定される。
【0062】
図14に示すように、ケーシング61の側面61Bには、円柱形状の4つのボス73が設けられている。言い換えると、各ボス73は、第2ケーシング612の後方側の側面61Bに設けられている。各ボス73によって、ブラケット71が支持される。各ボス73は、ケーシング61の側面61Bから外方(後方)へ突出している。各ボス73は、側面61Bにおいて、ケーシング61の長手方向に沿って所定間隔を隔てて設けられている。4つのボス73のうち、右側の一対のボス73Aに一方の振動ユニット70が取り付けられ、左側の一対のボス73Bに他方の振動ユニット70が取り付けられる。一対のボス73Aの離間間隔と、一対のボス73Bの離間間隔とは同じである。
【0063】
各ボス73には、補強リブ74が形成されている。各ボス73の外周面に一つ又は複数の補強リブ74が形成されている。補強リブ74は、ボス73の突出方向に延在している。
【0064】
各ボス73の近傍に仮止め用の位置決めピン75が設けられている。位置決めピン75は、ケーシング61と一体に形成されている。各位置決めピン75にブラケット71の開口82,83を挿通させることにより、振動ユニット70がブラケット71の側面71Aに仮止めされる。この仮止め状態で開口81,82から対応するボス73に形成されたビス穴にビス92(
図13参照)が螺着される。これにより、振動ユニット70がケーシング61の側面61Bに強固に固定される。
【0065】
各ボス73は、ケーシング61と一体に形成されている。つまり、ボス73は、ケーシング61と同じ材質で構成されている。各ボス73は、ケーシング61の側面61Bの上端部において受入口38に対応する位置に設けられている。また、4つのボス73それぞれの突出長さは全て同じ長さである。本実施形態では、ケーシング61における複数の受入口38ぞれぞれの近傍位置にボス73が固定されている。具体的には、一対のボス73Aは、対応する受入口38の直下に設けられており、一対のボス73Bは、対応する受入口38の近傍に設けられている。また、本実施形態では、各ボス73は、連結部63の近傍に設けられている。
【0066】
本実施形態のトナー搬送装置60には、そのケーシング61の側面61Bに上述のように構成された振動ユニット70が固定されているため、振動ユニット70の振動モーター72が制御部35によって駆動されると、振動モーター72で生じた振動が、ブラケット71、ボス73を介してケーシング61の側面61Bに伝達する。上述したように、ボス73は、ケーシング61における2つの受入口38ぞれぞれの近傍位置に固定されているため、ボス73からケーシング61に伝達した振動は、大きく減衰することなく、対応する2つの受入口38や案内通路38Aに伝達する。その結果、対応する2つの受入口38及び案内通路38Aに堆積するトナーの堆積物を効果的に除去することが可能となり、また、受入口38や案内通路38Aの内面にトナーが付着することを抑制することができる。また、上述の振動ユニット70によれば、一つの振動モーター72の振動を、対応する2つの受入口38及び案内通路38Aに伝達することができるので、複数の受入口38及び案内通路38Aそれぞれに振動モーター72を設ける構成に比べて、設置する振動モーター72の数を減らすことができる。
【0067】
また、本実施形態では、ブラケット71の側面71Bに振動モーター72が取り付けられており、ブラケット71の側面71Bとケーシング61の側面61Bとの間の空間に振動モーター72が配置されている。そのため、振動モーター72がケーシング61の外側に露出されないので、ケーシング61の側面61Bよりも外側のスペースを省減することができる。また、ブラケット71によって振動モーター72を外部からの衝撃などから保護することができる。
【0068】
また、上述の実施形態では、ケーシング61が、第1ケーシング611と第2ケーシング612とを前後方向7に連結した構成であり、受入口38及び案内通路38Aが第1ケーシング611に設けられ、ボス73が第2ケーシング612の側面61Bに設けられている。そして、このような構成において、ボス73が側面61Bの上端部において受入口38及び案内通路38Aに対応する位置に設けられており、更に、連結部63が受入口38及び案内通路38Aの近傍に設けられている。そのため、振動ユニット70の振動は、2つの経路から受入口38及び案内通路38Aに伝達される。つまり、当該振動は、ボス73から第2ケーシング612、第2ケーシング612との接合部(不図示)、第1ケーシング611を経て受入口38及び案内通路38Aに伝達され、また、当該振動は、ボス73から第2ケーシング612、連結部63、第1ケーシング611を経て受入口38及び案内通路38Aに伝達される。このように、2つの経路から受入口38及び案内通路38Aに振動が伝達されるので、上述のように2部材で構成されるケーシング61においては、振動ユニット70の振動を効果的に受入口38及び案内通路38Aに伝達することが可能となる。
【0069】
なお、上述の実施形態では、4つの受入口38及び案内通路38Aに対して、2つの振動ユニット70が搭載された構成を例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、振動ユニット70は、4つのボス73によって支持される長尺な1つのブラケットと、そのブラケットに固定された一つ又は二つの振動モーターとを有する構成であってもよい。
【0070】
また、上述の実施形態では、ケーシング61の側面61Bに振動ユニット70が取り付けられた構成を例示したが、例えば、ケーシング61において、側面61Bとは反対側の側面に振動ユニット70が取り付けられた構成であってもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、ケーシング61が、第1ケーシング611及び第2ケーシング612によって二つに分割可能である構成について例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、ケーシング61が分割可能な構成ではなく、一体に構成されたものであっっても、本発明は適用可能である。
【0072】
ところで、複数の受入口38及び複数の案内通路38Aに複数の振動モーター72から振動を付与する構成では、複数の振動モーター72が駆動された場合に、各振動モーター72の振動の周期と位相が一致すると、各振動が共振する。一方、各振動モーター72の振動の周期が一致するが位相が互いに逆位相の関係となった場合は、互いに打ち消し合い、振動が減衰することになる。本実施形態では、振動の伝達先に対して安定した振動を付与することが可能なように、各振動モーター72は制御部35によって駆動制御される。
【0073】
具体的には、制御部35は、
図19Aに示すように、振動モーター721,722それぞれを互いに異なるタイミングで始動し、始動後に所定の間隔で間欠駆動するよう各振動モーター721,722を駆動制御する。例えば、制御部35は、一方の振動モーター721に時点T10のタイミングで駆動信号Sig11を出力して振動モーター721を始動させると、その時点T10よりもΔt1遅れた時点T20のタイミングで他方の振動モーター722に駆動信号Sig12を出力して振動モーター722を始動させる。具体的には、制御部35は、駆動信号Sig11及び駆動信号Sig12それぞれに対応するスイッチング素子(不図示)を有しており、前記スイッチング素子のオンオフのタイミングを制御することによって、駆動信号Sig11と駆動信号Sig12との出力タイミングを異ならせている。なお、例えば、制御部35と他方の振動モーター722との間の信号ラインに、所定の時定数の遅延回路(不図示)を設けることにより、駆動信号Sig11と駆動信号Sig12との出力タイミングを異ならせることも可能である。この場合、前記遅延回路の時定数を適宜の設定値に定めることにより、振動モーター721,722それぞれの始動タイミングの差分を調整することができる。
【0074】
図19Aの例では、各振動モーター721,722に出力される駆動信号Sig11,Sig12は、デューティー比が50%の矩形波信号(パルス信号)であり、前記Δt1は、各矩形波の立ち上がりから立ち下がりまでの間隔(パルスがオンとなる継続時間)と同じにされている。このように駆動制御されることにより、振動モーター721が振動(駆動)しているときは振動モーター722が停止し、振動モーター721が停止しているときは振動モーター722が振動(駆動)することになる。制御部35からの駆動信号が停止するまで、上述のような動作が繰り返されることにより、各振動モーター721,722が振動する。
【0075】
また、制御部35は、
図19Bに示すように、一方の振動モーター721を時点T10のタイミングで駆動信号Sig11を出力して始動させると、その時点T10よりもΔt2遅れた時点T30のタイミングで他方の振動モーター722に駆動信号Sig12を出力して始動させる。
図19Bの例でも、各振動モーター721,722に出力される駆動信号は、デューティー比が50%の矩形波信号(パルス信号)であるが、前記Δt2は、各矩形波の立ち上がりから立ち下がりまでの間隔(パルスがオンとなる継続時間)の半分とされている。このように駆動制御されることにより、振動モーター721が振動(駆動)し始めたときは、振動モーター722は停止しており、振動モーター721が振動してからΔt2が経過すると振動モーター722が振動(駆動)し始める。その後、更にΔt2が経過すると振動モーター721の振動が停止し、更にΔt2が経過すると振動モーター722も停止する。制御部35からの駆動信号が停止するまで、上述のような動作が繰り返されることにより、各振動モーター721,722が振動する。
【0076】
また、制御部35は、
図19Cに示すように、一方の振動モーター721を時点T10のタイミングで駆動信号Sig11を出力して始動させると、その時点T10よりもΔt3遅れた時点T40のタイミングで他方の振動モーター722に駆動信号Sig12を出力して始動させる。
図19Cの例では、各振動モーター721,722に出力される駆動信号Sig11,Sig12は、デューティー比が50%未満の矩形波信号(パルス信号)であり、前記Δt3は、各矩形波の立ち上がりから立ち下がりまでの間隔(パルスがオンとなる継続時間)よりも長くされている。このように駆動制御されることにより、振動モーター721が振動(駆動)し始めてから振動が停止するまで、振動モーター722は停止しており、振動モーター721が完全に停止してから振動モーター722が振動(駆動)し始める。その後、振動モーター722の振動が停止するまで振動モーター721の停止が維持され、振動モーター722の振動が完全に停止してから振動モーター721が振動し始める。制御部35からの駆動信号が停止するまで、上述のような動作が繰り返されることにより、各振動モーター721,722が振動する。
【0077】
〈第2実施形態〉
以下、
図20を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、制御部35による振動モーター721,722の駆動制御が上述の第1実施形態と異なっており、その他の構成等については第1実施形態と同じである。そのため、以下においては、第1実施形態と相違する構成について説明し、他の構成の説明は省略する。
【0078】
本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、制御部35は、
図20に示すように、振動モーター721,722それぞれを互いに異なるタイミングで始動し、始動後に所定の間隔で間欠駆動するよう各振動モーター721,722を駆動制御する。つまり、制御部35は、一方の振動モーター721を時点T50のタイミングで駆動信号Sig11を出力して始動させると、その時点T50よりもΔt4遅れた時点T60のタイミングで他方の振動モーター722に駆動信号Sig12を出力して始動させる。
【0079】
本実施形態では、制御部35は、
図20に示すように、各振動モーター721,722に出力される駆動信号Sig11,Sig12は、パルス幅の異なる二つの矩形波(第1パルス及び第2パルス)が交互に連続する矩形波信号(パルス信号)である。ここで、前記パルス幅は、矩形波の立ち上がりから立ち下がりまでの間隔(パルスがオンとなる継続時間)である。つまり、二つの矩形波のうち、始動後に最初に現れる第1パルスP1のパルス幅d1と、その次に現れる第2パルスP2のパルス幅d2とが異なっており、具体的には、第1パルスP1のパルス幅d1は、第2パルスP2のパルス幅d2よりも短い。また、第1パルスP1及び第2パルスP2は、所定間隔(例えば、第1パルスP1のパルス幅と同じ間隔)ごとに交互に現れる。
【0080】
本実施形態では、前記Δt4は、第1パルスP1の立ち上がりから第2パルスP2の立下りまでの間隔d3未満の時間差である。この時間差で、先に振動モーター721が始動され、その後に振動モーター722が始動される。前記Δt4は、0よりも大きく、前記間隔d3よりも小さい範囲内で定められている。
図20の例では、前記Δt4は、第1パルスP1のパルス幅d1の半分の時間差に定められている。
【0081】
このように振動モーター721,722が駆動制御されることにより、振動モーター721が駆動信号Sig11の第1パルスP1によって時点T50で先に振動(駆動)し始めた場合、振動モーター722はまだ停止している。そして、振動モーター721が振動してからΔt4が経過した時点T60で振動モーター722が駆動信号Sig12の第1パルスP1によって(駆動)し始める。その後、更にΔt4が経過すると駆動信号Sig11の第1パルスP1が立ち下って振動モーター721の振動が停止し、更にΔt4が経過すると駆動信号Sig12の第1パルスP1が立ち下がって振動モーター722も停止する。そして、各駆動信号Sig11,Sig12それぞれの第1パルスP1が立ち下がった後に、前記所定間隔が経過すると、パルス幅d2の第2パルスP2によって各振動モーター721,722が駆動する。制御部35からの駆動信号Sig11が時点61で停止するまで振動モーター721は第1パルスP1及び第2パルスP2によって動作し、駆動信号Sig12が時点62で停止するまで振動モーター721は第1パルスP1及び第2パルスP2によって動作する。
【0082】
本実施形態では、画像形成装置10の画像形成ユニット4による現像動作が行われている現像動作時間t70中に駆動信号Sig11,Sig12が振動モーター721,722に出力される。
図20の例では、現像動作が開始されたタイミング(時点T50)で駆動信号Sig11が振動モーター721に出力され、現像動作が終了したタイミング(時点T51)で駆動信号Sig11,Sig12の出力が停止される。ここで、現像動作時間t70は、1枚のシート部材への画像形成処理において、現像装置44が感光体ドラム41にトナー像の現像を開始してから当該現像が終了するまでの時間である。つまり、現像動作時間t70は、1枚のシート部材への画像形成処理においてトナーが消費される動作が行われている期間である。現像動作中は、トナーが消費される。そのため、トナーの消費によってシート部材の印字面の濃度が低下することを防止するために、制御部35は、印字動作中に
図20に示す矩形波信号を補給モーター51に出力して補給モーター51を間欠駆動させることにより、トナーコンテナ3からトナー搬送装置60にトナーを補給する。言い換えると、
図20に示すように、制御部35は、トナーの補給動作中に振動モーター721,722を駆動させ、トナー補給動作が行われていないときは振動モーター721,722を停止させる。
【0083】
以上説明したように、上述の各実施形態に係るトナー搬送装置60には、そのケーシング61の側面61Bに上述のように構成された2つの振動ユニット70が固定されており、各振動ユニット70の振動モーター72(721,722)が、上述のように、制御部35によって異なる始動タイミングで始動され、且つ、間欠駆動される。そのため、各振動モーター72の振動の周期と位相が一致し難くなり、各振動モーター72の駆動中に振動の共振が継続することが無くなる。
【0084】
また、各振動モーター72の振動の位相が互いに逆位相になり難くなり、各振動モーター72の駆動中に振動が著しく減衰することも無くなる。これにより、振動の伝達先である複数の受入口38及び複数の案内通路38Aの全てに適切な振動を安定して伝達することが可能となる。その結果、複数の案内通路38Aそれぞれの内面に堆積するトナーの堆積物を効果的に除去し、或いは、トナーの堆積を抑制することができる。
【0085】
なお、上述の各実施形態では、2つの振動ユニットそれぞれに振動モーター72が設けられた構成について例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、ケーシング61において、各案内通路38Aの近傍位置それぞれに振動モーター72が取り付けられた構成にも本発明は適用可能である。
【0086】
また、上述の各実施形態では、トナーコンテナ3からのトナーを受け入れてトナー搬送路36に案内するトナー案内部(受入口38及び案内通路38Aを含む構成)に振動を付与する構成について例示したが、本発明は、受入口38又は案内通路38Aのいずれかに効果的に振動を付与する構成であってもよい。また、例えば、トナー搬送路36からケーシング61に形成された連通口39を経て現像装置44の補給口44Cにトナーを案内するトナーガイド62に振動を付与する構成にも本発明は適用可能である。この場合、トナーガイド62が本発明のトナー案内部に相当する。また、振動モーター72は、各トナーガイド62の近傍に設けられる。
【符号の説明】
【0087】
3 :トナーコンテナ
4 :画像形成ユニット
5 :中間転写ユニット
10 :画像形成装置
11 :筐体
14 :画像形成部
30 :コンテナ装着部
31 :支持フレーム
32 :トナー排出口
33 :シャッター部材
34 :搬送部材
35 :制御部
36 :トナー搬送路
37 :シール部材
38 :受入口
38A :案内通路
39 :連通口
44 :現像装置
44A :容器本体
44B :トナー補給部
44C :補給口
50 :伝達部
60 :トナー搬送装置
61 :ケーシング
61A :下壁面
61B :側面
62 :トナーガイド
62A :ガイド部
65 :搬送部材
66 :下部供給口
67 :シャッター部材
68 :当接部
70 :振動ユニット
71 :ブラケット
71A :側面
71B :側面
72 :振動モーター
72A :取付面
73 :ボス
74 :補強リブ
75 :位置決めピン