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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20240910BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20240910BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240910BHJP
   H01M 50/209 20210101ALN20240910BHJP
【FI】
H01M50/291
H01G11/12
H01G11/78
H01M50/209
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020132161
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029055
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 将次
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-029087(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143464(WO,A2)
【文献】特開2016-103378(JP,A)
【文献】特開2019-186117(JP,A)
【文献】特開2016-091871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20- 50/291
H01G 11/00- 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に並んで配置される蓄電素子及びスペーサを備える蓄電装置であって、
前記第一方向と交差する第二方向において、前記スペーサと隣り合う位置に配置されるサイド部材を備え、
前記スペーサは、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向に向けて突出する第一突起を有し、
前記サイド部材は、前記第三方向において、前記第一突起に対向する位置に配置される対向部を有する
蓄電装置。
【請求項2】
前記スペーサは、さらに、
前記第三方向において、前記第一突起に対向する壁部を有し、
前記壁部は、前記第三方向において前記対向部に対向して配置され、かつ、前記壁部の前記対向部に対向する面は、前記対向部に沿った形状を有している
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記壁部は、前記スペーサの前記第三方向における端部に配置される
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記スペーサは、さらに、
前記第一突起とで前記対向部を挟む位置に配置され、前記対向部に向けて、前記第三方向における前記第一突起が突出する向きとは反対向きに突出する第二突起を有する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記スペーサは、さらに、
前記第二方向において、前記対向部に向けて突出する第三突起を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及びスペーサを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子及びスペーサを備え、蓄電素子及びスペーサの並び方向と交差する方向においてスペーサと隣り合う位置にサイド部材が配置された構成の蓄電装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の電池セル(蓄電素子)と、複数の電池セルの間に介在されるスペーサとを備え、スペーサと隣り合う位置にサイドプレート(サイド部材)が配置された構成の電池モジュール(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-174831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のような構成の蓄電装置において、サイド部材に対してスペーサを位置決めしたい場合がある。例えば、振動や衝撃等によって蓄電装置内で蓄電素子が移動してしまうのを抑制するために、サイド部材に対してスペーサを位置決めすることにより蓄電装置内で蓄電素子を位置決めしたい場合がある。蓄電素子及びバスバーの接合時の接合不良を抑制するために、当該接合時において、サイド部材に対してスペーサを位置決めすることにより蓄電素子を位置決めしたいような場合もある。しかしながら、サイド部材とスペーサとの間には、製造時の公差を吸収するために隙間(クリアランス)が設けられることがあり、この隙間によって、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるおそれがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目してなされたものであり、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるのを抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に並んで配置される蓄電素子及びスペーサを備える蓄電装置であって、前記第一方向と交差する第二方向において、前記スペーサと隣り合う位置に配置されるサイド部材を備え、前記スペーサは、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向に向けて突出する第一突起を有し、前記サイド部材は、前記第三方向において、前記第一突起に対向する位置に配置される対向部を有する。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、蓄電素子と第一方向に並ぶスペーサは、第三方向に突出する第一突起を有し、第二方向においてスペーサと隣り合うサイド部材は、第三方向において第一突起に対向する対向部を有している。このように、スペーサに、第三方向に突出し、かつ、サイド部材の対向部に対向する第一突起を設けることで、第一突起が設けられた壁部と対向部との間に隙間が形成されていても、第一突起が当該隙間を埋めることができる。つまり、第三方向においてスペーサの当該壁部とサイド部材の対向部との間に、製造時の公差を吸収するための隙間(クリアランス)が設けられる場合でも、第一突起によって、スペーサとサイド部材との間に隙間が形成されるのを抑制することができる。これにより、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記スペーサは、さらに、前記第三方向において、前記第一突起に対向する壁部を有し、前記壁部は、前記第三方向において前記対向部に対向して配置され、かつ、前記壁部の前記対向部に対向する面は、前記対向部に沿った形状を有していることにしてもよい。
【0009】
これによれば、スペーサにおいて、第一突起に対向する壁部の、対向部に対向する面は、対向部に沿った形状を有している。このように、スペーサの第一突起に対向する壁部が、サイド部材の対向部に沿った形状を有していることで、当該壁部を基準にして、サイド部材に対するスペーサの位置決めを行うことができる。これにより、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるのを抑制することができる。
【0010】
また、前記壁部は、前記スペーサの前記第三方向における端部に配置されることにしてもよい。
【0011】
これによれば、スペーサの第一突起に対向する壁部(サイド部材の対向部に沿った形状の壁部)が、スペーサの端部に配置されることで、スペーサの端部を基準にして、サイド部材に対するスペーサの位置決めを行うことができる。これにより、スペーサの当該端部側の位置決めの精度を向上させることができる。したがって、例えば、蓄電素子の電極端子をスペーサの当該端部側に配置することにより、蓄電素子の電極端子の位置決め精度の向上を図ることができるため、電極端子とバスバーとの接合時の接合不良を抑制することができる。
【0012】
また、前記スペーサは、さらに、前記第一突起とで前記対向部を挟む位置に配置され、前記対向部に向けて、前記第三方向における前記第一突起が突出する向きとは反対向きに突出する第二突起を有することにしてもよい。
【0013】
これによれば、スペーサは、第一突起とでサイド部材の対向部を挟む位置に、対向部に向けて突出する第二突起を有しているため、対向部を第一突起及び第二突起で挟むことができる。これにより、スペーサと対向部との間に隙間が形成されるのをより抑制することができるため、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるのをより抑制することができる。
【0014】
また、前記スペーサは、さらに、前記第二方向において、前記対向部に向けて突出する第三突起を有することにしてもよい。
【0015】
これによれば、スペーサは、第二方向において、サイド部材の対向部に向けて突出する第三突起を有しているため、第二方向においても、スペーサと対向部との間に隙間が形成されるのを抑制することができる。これにより、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるのをより抑制することができる。
【0016】
なお、本発明は、蓄電装置として実現することができるだけでなく、スペーサとサイド部材との組み合わせ、または、スペーサとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、サイド部材に対してスペーサの位置がずれるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置において外装体の本体と蓋とを分離して外装体の内方を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電装置の外装体の内方の構成要素を分解して示す分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る蓄電ユニットを分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
図5】実施の形態に係る蓄電素子を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
図6】実施の形態に係るスペーサの構成を示す斜視図である。
図7】実施の形態に係るスペーサの側壁部の構成を示す上面図である。
図8】実施の形態に係るサイド部材の構成を示す斜視図である。
図9】実施の形態に係るスペーサ及びサイド部材の位置関係を示す上面図である。
図10】実施の形態に係るスペーサの側壁部及びサイド部材の位置関係を示す上面図である。
図11】実施の形態に係る蓄電素子、スペーサ、エンド部材、サイド部材及び外装体の位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0020】
以下の説明及び図面中において、蓄電装置の外装体の長手方向、蓄電ユニットと電気機器ユニットとの並び方向、複数のサイド部材の並び方向、エンド部材の延設方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、1つの蓄電素子における一対の電極端子の並び方向を、X軸方向と定義する。蓄電素子とバスバー若しくはバスバーフレームとの並び方向、または、蓄電素子の容器の本体と蓋との並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電装置の外装体の本体と蓋との並び方向、一対のエンド部材の並び方向、蓄電素子とスペーサとエンド部材との並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、蓄電素子の扁平方向、蓄電素子の電極体の極板の積層方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、以下では、Z軸方向を第一方向または配列方向とも呼び、X軸方向を第二方向とも呼び、Y軸方向を第三方向とも呼ぶ場合がある。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10において外装体100の本体と蓋とを分離して外装体100の内方を示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外装体100の内方の構成要素を分解して示す分解斜視図である。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置10は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1図3に示すように、蓄電装置10は、外装体100と、外装体100に収容される蓄電ユニット200及び電気機器ユニット300と、を備えている。蓄電装置10は、上記の構成要素の他、蓄電ユニット200から排出されるガスを外装体100の外方へ排気するための排気部、及び、電気機器ユニット300に電線等で接続されて外部との信号の伝達を行うためのコネクタ等を備えていてもよい。
【0025】
外装体100は、蓄電装置10の外装体を構成する箱形(略直方体形状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体100は、蓄電ユニット200及び電気機器ユニット300の外方に配置され、これら蓄電ユニット200及び電気機器ユニット300を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。外装体100は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。外装体100は、これにより、蓄電ユニット200及び電気機器ユニット300が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電ユニット200及び電気機器ユニット300の電気的絶縁性が保たれる構成であれば、外装体100は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0026】
外装体100は、外装体100の本体を構成する外装体本体110と、外装体100の蓋体を構成する外装体蓋体120と、を有している。外装体本体110は、Z軸プラス方向側に開口が形成された有底矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電ユニット200及び電気機器ユニット300を収容する。外装体本体110は、底壁部111と、4つの側壁部112と、複数の突出部113とを有している。
【0027】
底壁部111は、外装体本体110のZ軸マイナス方向側に配置され、外装体本体110の底面を形成する平板状かつ矩形状の壁部である。底壁部111のZ軸プラス方向の面には、リブ111aが形成されている。リブ111aは、底壁部111のZ軸プラス方向の面からZ軸プラス方向に突出する凸部であり、底壁部111のZ軸プラス方向の面のほぼ全面に亘って、X軸方向及びY軸方向に延設される複数のリブ111aが形成されている。4つの側壁部112は、外装体本体110のX軸方向両側及びY軸方向両側に配置され、外装体本体110のX軸方向両側の2つの短側面とY軸方向両側の2つの長側面とを形成する4つの平板状かつ矩形状の壁部である。
【0028】
突出部113は、底壁部111をZ軸方向に貫通し、底壁部111のZ軸プラス方向の面からZ軸プラス方向に突出する部材である(図11参照)。本実施の形態では、底壁部111のX軸方向中央部及びX軸プラス方向の端部のそれぞれに、Y軸方向に並ぶ2つの突出部113が配置されている。それぞれの突出部113は、底壁部111からZ軸プラス方向に突出した部位が、エンド部材230及びサイド部材240に形成された開口部(後述の開口部230b及び244)に挿入されることにより、エンド部材230及びサイド部材240に取り付けられる。
【0029】
例えば、突出部113は、シーリングボルト等のボルトであり、当該ボルトの雄ネジ部が、底壁部111のZ軸プラス方向の面から、リブ111aよりもZ軸プラス方向に突出して配置されている。そして、突出部113の当該雄ネジ部が、開口部230b及び244の少なくとも一方に形成された雌ネジ部に螺合されることにより、底壁部111がエンド部材230及びサイド部材240に取り付けられる。本実施の形態では、突出部113は、雄ネジ部が、エンド部材230の開口部230bを貫通し、サイド部材240の開口部244の雌ネジ部に螺合されることにより、底壁部111がエンド部材230を挟んだ状態でサイド部材240に固定される。
【0030】
このように、外装体100及びサイド部材240の一方(本実施の形態では、外装体100)は、他方(本実施の形態では、サイド部材240)に向けて突出する突出部(突出部113)を有し、当該他方は、当該突出部が挿入される開口部(開口部244)を有している。そして、サイド部材240は、当該突出部(突出部113)が当該開口部(開口部244)内で当該他方(サイド部材240)に固定されることにより、外装体100に固定される。
【0031】
外装体蓋体120は、外装体本体110の開口を閉塞する扁平な矩形状の部材である。外装体蓋体120は、外装体本体110と、接着剤、ヒートシール、超音波溶着またはレーザー溶着等によって好ましくは気密または水密に接合される。外装体蓋体120には、X軸マイナス方向かつY軸方向両端部に、正極側及び負極側の一対のモジュール端子(総端子)である一対の外部端子130が配置されている。蓄電装置10は、この一対の外部端子130を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子130は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0032】
蓄電ユニット200は、複数の蓄電素子210が横置き(横倒し)にされた状態で、Z軸方向に配列(平積み)され、かつ、X軸方向に並べられることにより、Z軸方向に扁平かつX軸方向に長尺な形状を有している。具体的には、蓄電ユニット200は、Z軸方向及びX軸方向に並ぶ複数の蓄電素子210を、スペーサ220とともに、一対のエンド部材230及び複数(3つ)のサイド部材240がZ軸方向及びX軸方向で挟み込む構成を有している。蓄電ユニット200の構成のさらに詳細な説明については、後述する。
【0033】
電気機器ユニット300は、電気機器310と、取付部材320と、バスバーユニット330とを有している。電気機器310は、蓄電ユニット200が有する蓄電素子210の状態の監視、及び、蓄電素子210の制御を行うことができる機器である。本実施の形態では、電気機器310は、蓄電ユニット200のX軸プラス方向に配置されて取り付けられる扁平な矩形状の部材である。電気機器310は、例えば、蓄電素子210の充電状態や放電状態を監視したり、蓄電素子210の充放電を制御したりする回路基板、シャント抵抗、コネクタ等の電気部品を有している。電気機器310は、これらの電気部品が絶縁性のカバー部材に収容された構成を有している。
【0034】
取付部材320は、蓄電ユニット200に対して電気機器310を取り付ける平板状の部材である。取付部材320は、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの電気的絶縁性の樹脂材料等で形成されている。取付部材320は、蓄電ユニット200及び電気機器310の間に配置され、蓄電ユニット200に取り付けられるとともに、電気機器310が取り付けられる。本実施の形態では、取付部材320は、蓄電ユニット200のX軸プラス方向の側面に取り付けられることで、電気機器310を立設した姿勢(YZ平面に平行となる姿勢)で、蓄電ユニット200のX軸プラス方向の側面に対して取り付ける。
【0035】
具体的には、取付部材320は、蓄電ユニット200が有する後述のエンド部材230及びサイド部材240に取り付けられる。さらに具体的には、取付部材320は、Z軸方向両端部かつY軸方向両端部に、4つの突出部321を有している。突出部321は、エンド部材230に向けてZ軸方向に突出する部位を有し、当該部位が、エンド部材230及びサイド部材240に形成された開口部(後述の開口部230c及び244)に挿入されることにより、エンド部材230及びサイド部材240に取り付けられる。例えば、突出部321は、ボルトであり、当該ボルトの雄ネジ部が、開口部230c及び244の少なくとも一方に形成された雌ネジ部に螺合されることにより、取付部材320がエンド部材230及びサイド部材240に取り付けられる。
【0036】
バスバーユニット330は、バスバー及びリレー(継電器)等を有し、蓄電ユニット200と電気機器310とを電気的に接続したり、電気機器310と外部端子130とを電気的に接続したり、蓄電ユニット200と外部端子130とを電気的に接続する。当該バスバーは、蓄電ユニット200が有する後述のバスバー250と電気機器310とを接続したり、電気機器310と外部端子130とを接続したり、バスバー250と当該リレーとを接続したり、当該リレーと外部端子130とを接続する板状の部材である。当該バスバーは、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル等の金属製の導電部材若しくはそれらの組み合わせ、または、金属以外の導電性の部材で形成されている。
【0037】
[2 蓄電ユニット200の構成の説明]
次に、図3に加えて、図4も用いて、蓄電ユニット200の構成について詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る蓄電ユニット200を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。なお、図4では、蓄電ユニット200のうちのバスバー250及びバスバーフレーム251を省略して図示している。
【0038】
図3及び図4に示すように、蓄電ユニット200は、複数の蓄電素子210(211、212)と、複数のスペーサ220(221、222)と、一対のエンド部材230(231、232)と、3つのサイド部材240と、複数のバスバー250と、バスバーフレーム251と、を有している。
【0039】
蓄電素子210は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子210は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子210が横置き(横倒し)にされた状態で(蓄電素子210の長側面がZ軸方向に向いた状態で)、Z軸方向及びX軸方向に配列されている。具体的には、4つのX軸マイナス方向側の蓄電素子211がZ軸方向(配列方向)に配列(平積み)され、4つのX軸プラス方向側の蓄電素子212がZ軸方向(配列方向)に配列(平積み)されている。そして、当該4つの蓄電素子211及び当該4つの蓄電素子212が、X軸方向に並んで配列されている。蓄電素子210(211、212)の構成の詳細な説明については、後述する。
【0040】
なお、蓄電素子210の個数は特に限定されず、何個の蓄電素子210がZ軸方向に積層(平積み)されていてもよいし、何個の蓄電素子210がX軸方向に配列されていてもよい。つまり、蓄電ユニット200は、1つの蓄電素子210しか有していなくてもよい。蓄電素子210の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等であってもよい。蓄電素子210は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子210は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子210は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子210は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。
【0041】
スペーサ220(221、222)は、Z軸方向(第一方向、配列方向)において蓄電素子210と並んで配置され(配列され)、蓄電素子210と他の部材とを電気的に絶縁する平板状かつ矩形状の部材である。スペーサ220(221、222)は、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの電気的絶縁性の樹脂材料等で形成されている。
【0042】
具体的には、スペーサ221は、蓄電素子210のZ軸方向に隣接して配置される中間スペーサ(セル間スペーサ)である。つまり、スペーサ221は、隣り合う2つの蓄電素子210の間(2つの蓄電素子211の間、及び、2つの蓄電素子212の間)に配置され、当該2つの蓄電素子210の間を電気的に絶縁する。本実施の形態では、4つの蓄電素子211に対応して、3つのスペーサ221が配置されているが、蓄電素子211の個数が4つ以外の場合には、スペーサ221の個数も蓄電素子211の個数に応じて適宜変更される。蓄電素子212についても同様である。
【0043】
スペーサ222は、複数のスペーサ220のうちのZ軸方向(第一方向、配列方向)における端部に配置されるエンドスペーサであり、端部の蓄電素子210のZ軸方向に隣接して配置される。スペーサ222は、端部の蓄電素子210(端部の蓄電素子211及び蓄電素子212)とエンド部材230(231、232)との間に配置され、当該端部の蓄電素子210とエンド部材230(231、232)との間を電気的に絶縁する。つまり、4つの蓄電素子211のZ軸方向両側に2つのスペーサ222が配置され、4つの蓄電素子212のZ軸方向両側に2つのスペーサ222が配置されている。
【0044】
なお、スペーサ220(221、222)は、X軸方向両側面及びY軸方向両側面に壁部を有しており、蓄電素子210のX軸方向両側及びY軸方向両側に配置される他の部材とも電気的に絶縁する。例えば、スペーサ220(221、222)は、当該壁部が、蓄電素子210とサイド部材240との間に配置され、蓄電素子210とサイド部材240との間を電気的に絶縁する。スペーサ220(221)の構成の詳細な説明については、後述する。
【0045】
エンド部材230及びサイド部材240は、Z軸方向において、蓄電素子210を外方から圧迫(拘束)する部材(拘束部材)である。つまり、エンド部材230及びサイド部材240は、複数の蓄電素子210及び複数のスペーサ220をZ軸方向の両側から挟み込むことで、それぞれの蓄電素子210及び複数のスペーサ220をZ軸方向の両側から圧迫(拘束)する。エンド部材230及びサイド部材240は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材で形成されているが、剛性の高い樹脂等の絶縁部材で形成されていてもよい。
【0046】
エンド部材230(231、232)は、Z軸方向において、複数の蓄電素子210(211及び212)並びに複数のスペーサ220(221及び222)を挟む位置に配置され、これらをZ軸方向で挟み込む一対の平板状の部材(エンドプレート)である。これにより、一対のエンド部材230は、複数の蓄電素子210及び複数のスペーサ220をZ軸方向で一括して拘束する(複数の蓄電素子210及び複数のスペーサ220にZ軸方向における拘束力を一括して付与する)。なお、エンド部材231は、一対のエンド部材230のうちのZ軸マイナス方向側のエンド部材230であり、エンド部材232は、Z軸プラス方向側のエンド部材230である。なお、エンド部材230(231、232)は、平板状の部材ではなく、ブロック状または棒状等の部材であってもよい。
【0047】
サイド部材240は、X軸方向(第一方向と交差する第二方向)において、スペーサ220と隣り合う位置にスペーサ220と対向して配置される平板状の部材(サイドプレート)である。サイド部材240は、両端が一対のエンド部材230に取り付けられて、当該一対のエンド部材230を繋ぐことで、複数の蓄電素子210及び複数のスペーサ220を拘束する。つまり、サイド部材240は、複数の蓄電素子210及び複数のスペーサ220を跨ぐようにZ軸方向に延設されて配置され、当該複数の蓄電素子210等に対してこれらの並び方向(Z軸方向)における拘束力を付与する。なお、サイド部材240は、平板状の部材ではなく、ブロック状または棒状等の部材であってもよい。
【0048】
本実施の形態では、複数の蓄電素子211のX軸マイナス方向と、複数の蓄電素子211及び複数の蓄電素子212の間と、複数の蓄電素子212のX軸プラス方向とに、3つのサイド部材240が配置される。つまり、X軸方向(第二方向)において、中央のサイド部材240を挟む位置に、2組の蓄電素子210及びスペーサ220が配置され、当該2組の蓄電素子210及びスペーサ220を挟む位置に、2つのサイド部材240が配置される。そして、これら3つのサイド部材240は、Z軸方向両端部において、一対のエンド部材230のX軸方向両端部及び中央部に取り付けられる。これにより、エンド部材230及びサイド部材240は、複数の蓄電素子210及び複数のスペーサ220を、X軸方向の両側及びZ軸方向の両側から挟み込んで拘束する。
【0049】
具体的には、エンド部材230(231、232)は、突出部230a(231a、232a)を有し、突出部230aによって、それぞれのサイド部材240と接続(接合)される。本実施の形態では、エンド部材230のX軸方向中央部及び両端部のそれぞれにおいて、Y軸方向に並ぶ3つの突出部230aが配置されている。突出部230aは、エンド部材230のサイド部材240側の面から、サイド部材240に向けてZ軸方向に突出する部位を有し、当該部位が、サイド部材240に形成された開口部243に挿入されることにより、サイド部材240に取り付けられる。
【0050】
例えば、突出部230aは、ボルトであり、当該ボルトの雄ネジ部が、開口部243に形成された雌ネジ部に螺合されることにより、エンド部材230がサイド部材240に取り付けられる。または、突出部230aは、セルフタップボルト(タッピングボルト)であり、開口部243に雌ネジ部を形成しながら螺合されることで、エンド部材230がサイド部材240に取り付けられる。なお、突出部230aの配置位置及び個数は、特に限定されない。また、エンド部材230及びサイド部材240を接続する手法は、他の手法でもよく、例えば、溶接、かしめ接合、接着、溶着等であってもよい。サイド部材240の構成の詳細な説明については、後述する。
【0051】
また、エンド部材230(231、232)には、X軸方向中央部及びX軸プラス方向の端部のそれぞれにおいて、Y軸方向に並ぶ3つの突出部230a(231a、232a)のそれぞれの間に、上述の2つの開口部230b(231b、232b)が配置されている。つまり、3つの突出部230a(231a、232a)と2つの開口部230b(231b、232b)とが、Y軸方向において交互に配置されている。開口部230b(231b、232b)は、エンド部材230(231、232)をZ軸方向に貫通する円形状の貫通孔である。エンド部材230(231、232)のX軸マイナス方向の端部においては、Y軸方向に並ぶ3つの突出部230a(231a、232a)のそれぞれの間に、上述の2つの開口部230c(231c、232c)が配置されている。つまり、3つの突出部230a(231a、232a)と2つの開口部230c(231c、232c)とが、Y軸方向において交互に配置されている。開口部230c(231c、232c)は、エンド部材230(231、232)をZ軸方向に貫通する円形状の貫通孔である。
【0052】
バスバー250は、蓄電素子210に接続される平板状の部材である。具体的には、バスバー250は、複数の蓄電素子210のY軸マイナス方向に配置され、複数の蓄電素子210の電極端子210b、及び、バスバーユニット330に接続(接合)される。つまり、バスバー250は、複数の蓄電素子210の電極端子210b同士を接続し、かつ、端部の蓄電素子210の電極端子210bとバスバーユニット330とを接続する。本実施の形態では、バスバー250と蓄電素子210の電極端子210bとは、溶接によって接続(接合)されるが、ボルト締結等によって接続(接合)されてもよい。バスバー250は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル等の金属製の導電部材若しくはそれらの組み合わせ、または、金属以外の導電性の部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー250は、蓄電素子210を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続するが、バスバー250は、8個の蓄電素子210を全て直列に接続してもよいし、その他の構成であってもよい。
【0053】
バスバーフレーム251は、バスバー250と他の部材との電気的な絶縁、及び、バスバー250の位置規制を行うことができる扁平な矩形状の絶縁部材である。バスバーフレーム251は、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの電気的絶縁性の樹脂材料等で形成されている。バスバーフレーム251は、複数の蓄電素子210のY軸マイナス方向に配置され、複数の蓄電素子210に対して位置決めされる。また、バスバーフレーム251には、バスバー250が位置決めされる。これにより、バスバー250が、複数の蓄電素子210に対して位置決めされて、当該複数の蓄電素子210が有する電極端子210bに接合される。
【0054】
[3 蓄電素子210の構成の説明]
次に、蓄電素子210の構成について、詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る蓄電素子210を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。具体的には、図5は、図4に示した蓄電素子210を縦置きにした(立てた)状態で、各部を分解した図を示している。なお、8個の蓄電素子210(4つの蓄電素子211及び4つの蓄電素子212)は、全て同様の構成を有するため、以下では、1つの蓄電素子210の構成についての説明を行う。
【0055】
図5に示すように、蓄電素子210は、容器210aと、一対(正極側及び負極側)の電極端子210bと、一対(正極側及び負極側)のガスケット210cと、を備えている。また、容器210aの内方には、一対(正極側及び負極側)のガスケット210dと、一対(正極側及び負極側)の集電体210eと、電極体210fとが収容されている。なお、容器210aの内方には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略している。当該電解液としては、蓄電素子210の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、上記の構成要素の他、電極体210fの側方または下方等に配置されるスペーサ、電極体210f等を包み込む絶縁フィルム、または、容器210aの外面を覆う絶縁シート等が配置されていてもよい。
【0056】
容器210aは、開口が形成された容器本体210a1と、容器本体210a1の当該開口を閉塞する容器蓋部210a2と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。このような構成により、容器210aは、電極体210f等を容器本体210a1の内部に収容後、容器本体210a1と容器蓋部210a2とが溶接等されることにより、内部を密封することができる構造となっている。容器本体210a1及び容器蓋部210a2の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0057】
容器本体210a1は、容器210aの本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸マイナス方向側に開口が形成されている。つまり、容器本体210a1は、Z軸方向両側の側面に一対の矩形状かつ平面状の(平坦な)長側面を有し、X軸方向両側の側面に一対の矩形状かつ平面状の(平坦な)短側面を有し、Y軸プラス方向側に矩形状かつ平面状の(平坦な)底面を有している。容器蓋部210a2は、容器210aの蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体210a1のY軸マイナス方向側にX軸方向に延設されて配置されている。
【0058】
電極体210fは、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。本実施の形態では、電極体210fは、極板(正極板及び負極板)がX軸方向に延びる巻回軸(X軸方向に平行な仮想軸)まわりに巻回されて形成された巻回型(いわゆる縦巻き型)の電極体である。
【0059】
ここで、電極体210fの極板(正極板及び負極板)は、Z軸方向に積層されているため、Z軸方向を積層方向とも呼ぶ。つまり、電極体210fは、極板が積層方向に積層されて形成されている。なお、電極体210fは、極板が巻回されることで、Z軸方向に並ぶ一対の平坦部210f1と、Y軸方向に並ぶ一対の湾曲部210f2と、を有しているが、上記の積層方向は、平坦部210f1における極板の積層方向である。平坦部210f1は、一対の湾曲部210f2の端部同士を繋ぐ平坦な部位であり、湾曲部210f2は、Y軸方向に突出するように半円形状等に湾曲した部位である。また、平坦部210f1の平坦面の向く方向、または、一対の平坦部210f1の対向方向を、上記積層方向と定義することもできる。このため、配列方向(Z軸方向)に並ぶ複数の蓄電素子211は、当該積層方向に並んでいるとも言え、配列方向(Z軸方向)に並ぶ複数の蓄電素子212についても、当該積層方向に並んでいるとも言える。
【0060】
また、電極体210fは、正極板と負極板とがX軸方向に互いにずらして巻回されているため、正極板及び負極板は、それぞれのずらされた方向の端部に、活物質が形成(塗工)されず基材層が露出した部分(活物質層非形成部)を有している。つまり、電極体210fは、X軸方向の両端部に、平坦部210f1及び湾曲部210f2からX軸方向両側に突出し、かつ、正極板及び負極板の活物質層非形成部が積層されて集電体210eと接続される接続部210f3を有している。
【0061】
なお、電極体210fは、Y軸方向に延びる巻回軸まわりに極板が巻回されて形成されたいわゆる横巻き型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。横巻き型の電極体の場合、湾曲部、及び、集電体との接続部(タブ)以外の平坦な部位が平坦部であり、積層型(スタック型)及び蛇腹型の電極体の場合、集電体との接続部(タブ)以外の平坦な部位が平坦部である。
【0062】
電極端子210bは、蓄電素子210の端子(正極端子及び負極端子)であり、Y軸マイナス方向に突出するように容器蓋部210a2に配置されている。電極端子210bは、集電体210eを介して、電極体210fの正極板及び負極板に電気的に接続されている。電極端子210bは、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属等の導電部材で形成されている。
【0063】
集電体210eは、電極端子210bと電極体210fの接続部210f3とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。集電体210eは、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等で形成されている。ガスケット210c及び210dは、容器蓋部210a2と電極端子210b及び集電体210eとの間に配置された、平板状の電気的絶縁性を有する封止部材である。ガスケット210c及び210dは、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの電気的絶縁性の樹脂材料等で形成されている。
【0064】
[4 スペーサ221の構成の説明]
次に、スペーサ221の構成について、詳細に説明する。なお、蓄電ユニット200が有するスペーサ221は、全て同様の構成を有しているため、以下では、1つのスペーサ221を図示して説明を行う。図6は、本実施の形態に係るスペーサ221の構成を示す斜視図である。具体的には、図6は、図4に示したスペーサ221を拡大して示している。図7は、本実施の形態に係るスペーサ221の側壁部280の構成を示す上面図である。具体的には、図7は、図6のスペーサ221のX軸プラス方向側の側壁部280aを、Z軸プラス方向から見た場合の構成を示している。なお、図7では、説明の便宜のため、スペーサ凹部285及び287の図示を省略している。
【0065】
図6及び図7に示すように、スペーサ221は、スペーサ本体260と、前壁部270と、一対の側壁部280(280a及び280b)と、後壁部290と、を有している。スペーサ本体260は、スペーサ221の本体を構成する平板状かつ矩形状の部位であり、Z軸方向において蓄電素子210と対向する位置に配置される。具体的には、スペーサ本体260は、蓄電素子210の容器210aの長側面に対向し、かつ、2つの蓄電素子210の当該長側面に挟まれて配置される。本実施の形態では、スペーサ本体260には、Z軸方向両側の主面260aに、X軸方向に延びる複数のリブ261、262及び263が形成されているが、Y軸方向に延びるリブが形成されていてもよいし、リブは形成されていなくてもよい。
【0066】
前壁部270は、スペーサ本体260のY軸マイナス方向の端縁からZ軸方向両側に突出する平板状の壁部であり、Y軸方向において蓄電素子210と対向し、かつ、X軸方向に延設されて配置される。具体的には、前壁部270は、スペーサ221のZ軸方向両側に配置されるそれぞれの蓄電素子210について、蓄電素子210の容器蓋部210a2のY軸マイナス方向の面のZ軸方向における略半分を覆うように配置される。さらに具体的には、前壁部270は、当該蓄電素子210のY軸マイナス方向の部位のうちの、容器蓋部210a2のガス排出弁及び電極端子210b以外の部分のZ軸方向における略半分を覆うように配置される。
【0067】
一対の側壁部280は、スペーサ本体260のX軸方向両側の端縁からZ軸方向両側に突出する板状の壁部であり、X軸方向において蓄電素子210と対向し、かつ、Y軸方向に延設されて配置される。具体的には、一対の側壁部280は、スペーサ221のZ軸方向両側に配置されるそれぞれの蓄電素子210について、蓄電素子210の容器本体210a1のX軸方向両側の面(短側面)のZ軸方向における略半分を覆うように配置される。以下では、一対の側壁部280のうちの、X軸プラス方向側の側壁部280を側壁部280aとも称し、X軸マイナス方向側の側壁部280を側壁部280bとも称する。
【0068】
側壁部280aは、スペーサ凸部281~283と、スペーサ凹部284~288とを有している。側壁部280bについても、側壁部280aと同様に、スペーサ凸部281~283と、スペーサ凹部284~288とを有している。つまり、側壁部280bは、スペーサ本体260の中心を通るYZ平面に対して、側壁部280aと対称となる形状を有している。このため、以下では、側壁部280aの構成について詳細に説明し、側壁部280bの構成の説明は、簡略化または省略する。
【0069】
側壁部280aにおいて、スペーサ凸部281~283は、X軸プラス方向に突出する凸部であり、スペーサ凹部284~288は、X軸マイナス方向に凹む凹部である。つまり、スペーサ凸部281~283は、サイド部材240に向けて突出し、スペーサ凹部284~288は、サイド部材240とは反対の向きに凹む。
【0070】
スペーサ凸部281は、側壁部280aのY軸マイナス方向の端部に配置され、X軸プラス方向に向けて矩形状に突出したZ軸方向に延びる角柱状(本実施の形態では、角筒状)の凸部である。スペーサ凸部282は、側壁部280aのY軸プラス方向の端部に配置され、X軸プラス方向に向けて矩形状に突出したZ軸方向に延びる角柱状(本実施の形態では、角筒状)の凸部である。スペーサ凸部283は、スペーサ凸部281及び282の間に配置され、Z軸方向から見て、X軸プラス方向に向けて矩形状に突出したZ軸方向に延びる膨出状(コ字状、逆C字状)の凸部である。本実施の形態では、スペーサ凸部281及び282の間に、4つのスペーサ凸部283が配置されている。
【0071】
本実施の形態では、スペーサ凸部281及び282は、X軸プラス方向への突出量は同等であり、かつ、4つのスペーサ凸部283よりも、X軸プラス方向に突出して配置されている。Y軸方向においては、スペーサ凸部281は、スペーサ凸部282よりも大きな幅を有し、4つのスペーサ凸部283は、スペーサ凸部281及び282よりも大きな幅を有している。なお、4つのスペーサ凸部283は、X軸プラス方向への突出量は同等であり、Y軸方向における幅も同等である。
【0072】
スペーサ凹部284は、スペーサ凸部281及び283の間に配置され、Z軸方向から見て矩形状に凹んだ略C字状の凹部である。スペーサ凹部285~287は、隣り合う2つのスペーサ凸部283の間に配置され、Z軸方向から見て矩形状に凹んだ略C字状の凹部である。スペーサ凹部288は、スペーサ凸部282及び283の間に配置され、Z軸方向から見て矩形状に凹んだ略C字状の凹部である。つまり、スペーサ凸部281、4つのスペーサ凸部283及びスペーサ凸部282の6つのスペーサ凸部のうちの隣り合う2つのスペーサ凸部の間に配置される5つの凹部を、Y軸マイナス方向側から順に、スペーサ凹部284、285、286、287及び288と称する。
【0073】
図7に示すように、スペーサ凹部284は、Y軸方向で対向する一対の壁部284d及び284eと、壁部284d及び284eを繋ぐ壁部284fと、を有し、壁部284dは第一突起284aを有し、壁部284fは第三突起284cを有している。
【0074】
壁部284dは、Y軸マイナス方向に向いたZ軸方向に延びる壁部であり、Y軸マイナス方向の面が、平坦な矩形状の平面から第一突起284aが突出した形状となっている。壁部284dは、スペーサ凸部283を構成する壁部でもある。壁部284eは、Y軸プラス方向に向いたZ軸方向に延びる壁部であり、Y軸プラス方向の面が、平坦な矩形状の平面となっている。壁部284eは、スペーサ221のY軸方向における端部のスペーサ凸部281を構成する壁部でもあるため、壁部284eは、スペーサ221のY軸方向(第一方向及び第二方向と交差する第三方向)における端部に配置されていると言える。壁部284fは、X軸プラス方向に向いたZ軸方向に延びる壁部であり、X軸プラス方向の面が、平坦な矩形状の平面から第三突起284cが突出した形状となっている。
【0075】
第一突起284aは、壁部284dのX軸方向中央部からY軸マイナス方向に突出するリブであり、Z軸方向において、壁部284dの一端から他端に亘って延設されて配置されている。本実施の形態では、第一突起284aは、Y軸マイナス方向に向かうほどZ軸方向の長さが短くなるX軸方向から見て台形状の突起である。なお、第一突起284aの配置位置及び形状は特に限定されず、例えば、第一突起284aは、壁部284dのX軸方向の端部に配置されていてもよいし、Z軸方向の端部または中央部に配置されていてもよいし、X軸方向から見て台形状以外の形状であってもよい。第一突起284aの個数についても特に限定されず、複数の第一突起284aがX軸方向またはZ軸方向に並んで配置されてもよい。
【0076】
第三突起284cは、壁部284fからX軸プラス方向に突出するリブであり、Z軸方向において、壁部284fの一端から他端に亘って延設されて配置されている。本実施の形態では、第三突起284cは、X軸プラス方向に向かうほどZ軸方向の長さが短くなるY軸方向から見て台形状の突起であり、Y軸方向に並んで2つの第三突起284cが配置されている。なお、第三突起284cの配置位置及び形状は特に限定されず、例えば、第三突起284cは、壁部284dのY軸方向中央部に配置されていてもよいし、Z軸方向の端部または中央部に配置されていてもよいし、Y軸方向から見て台形状以外の形状であってもよい。第三突起284cの個数についても特に限定されず、1つまたは3つ以上でもよいし、複数の第三突起284cがZ軸方向に並んで配置されてもよい。
【0077】
スペーサ凹部286は、Y軸方向で対向する一対の壁部286d及び286eと、壁部286d及び286eを繋ぐ壁部286fと、を有し、壁部286dは第一突起286aを有し、壁部286eは第二突起286bを有し、壁部286fは第三突起286cを有している。壁部286d及び286fは、スペーサ凹部284の壁部284d及び284fと同様の構成を有している。壁部286eは、Y軸プラス方向に向いたZ軸方向に延びる壁部であり、Y軸プラス方向の面が、平坦な矩形状の平面から第二突起286bが突出した形状となっている。壁部286eは、スペーサ凸部283を構成する壁部でもある。
【0078】
第一突起286a及び第三突起286cは、スペーサ凹部284の第一突起284a及び第三突起284cと同様の構成を有している。第二突起286bは、壁部286eのX軸方向中央部からY軸プラス方向に突出するリブであり、Z軸方向において、壁部286eの一端から他端に亘って延設されて配置されている。本実施の形態では、第二突起286bは、Y軸プラス方向に向かうほどZ軸方向の長さが短くなるX軸方向から見て台形状の突起である。なお、第二突起286bの配置位置及び形状は特に限定されず、例えば、第二突起286bは、壁部286eのX軸方向の端部に配置されていてもよいし、Z軸方向の端部または中央部に配置されていてもよいし、X軸方向から見て台形状以外の形状であってもよい。第二突起286bの個数についても特に限定されず、複数の第二突起286bがX軸方向またはZ軸方向に並んで配置されてもよい。
【0079】
スペーサ凹部288は、Y軸方向で対向する一対の壁部288d及び288eと、壁部288d及び288eを繋ぐ壁部288fと、を有し、壁部288dは第一突起288aを有し、壁部288eは第二突起288bを有し、壁部288fは第三突起288cを有している。壁部288e及び288fは、スペーサ凹部286の壁部286e及び286fと同様の構成を有している。壁部288dは、Y軸マイナス方向に向いたZ軸方向に延びる壁部であり、Y軸マイナス方向の面が、平坦な矩形状の平面から第一突起288aが突出した形状となっている。壁部288dは、スペーサ221のY軸方向における端部のスペーサ凸部282を構成する壁部でもあるため、壁部288dは、スペーサ221のY軸方向(第三方向)における端部に配置されていると言える。
【0080】
第一突起288aは、壁部288dからY軸マイナス方向に突出するリブであり、Z軸方向において、壁部288dの一端から他端に亘って延設されて配置されている。本実施の形態では、第一突起288aは、Y軸マイナス方向に向かうほどZ軸方向の長さが短くなるX軸方向から見て台形状の突起であり、X軸方向に並んで2つの第一突起288aが配置されている。なお、第一突起288aの配置位置及び形状は特に限定されず、例えば、第一突起288aは、壁部288dのX軸方向中央部に配置されていてもよいし、Z軸方向の端部または中央部に配置されていてもよいし、X軸方向から見て台形状以外の形状であってもよい。第一突起288aの個数についても特に限定されず、1つまたは3つ以上でもよいし、複数の第一突起288aがZ軸方向に並んで配置されてもよい。
【0081】
このように、第一突起284a、286a、288aは、Y軸方向(第三方向)に向けて突出し、壁部284e、286e、288eは、Y軸方向(第三方向)において、第一突起284a、286a、288aに対向して配置される。また、第二突起286b、288bは、Y軸方向に向けて突出し、壁部286d、288dは、Y軸方向において、第二突起286b、288bに対向して配置される。なお、本実施の形態では、第一突起284a、286a及び288a、第二突起286b及び288b、並びに、第三突起284c、286c及び288cは、全て同じ形状を有している。
【0082】
ここで、スペーサ凹部284の一対の壁部284d及び284eの間の幅Aよりも、スペーサ凹部286の一対の壁部286d及び286eの間の幅Bの方が大きく、当該幅Bよりも、スペーサ凹部288の一対の壁部288d及び288eの間の幅Cの方が大きい。また、スペーサ凹部285は、スペーサ凹部286と同様の構成を有しているが、スペーサ凹部285のY軸方向で対向する一対の壁部の幅は、当該幅Aよりも大きく、当該幅Bよりも小さい。スペーサ凹部287についても、スペーサ凹部286と同様の構成を有しているが、スペーサ凹部287のY軸方向で対向する一対の壁部の幅は、当該幅Bよりも大きく、当該幅Cよりも小さい。
【0083】
つまり、複数のスペーサ凹部284~288のうちの少なくとも2つのスペーサ凹部(本実施の形態では、全てのスペーサ凹部)は、Y軸方向(第三方向)で対向する一対の壁部の間のY軸方向(第三方向)における幅が異なる。具体的には、複数のスペーサ凹部284~288は、当該一対の壁部の間のY軸方向(第三方向)における幅が、Y軸方向(第三方向)における一端のスペーサ凹部から他端のスペーサ凹部に向かうほど大きくなる。本実施の形態では、Y軸マイナス方向の端部のスペーサ凹部284から、Y軸プラス方向の端部のスペーサ凹部288に向かうほど、当該一対の壁部の間の幅が徐々に大きくなる。
【0084】
後壁部290は、スペーサ本体260のY軸プラス方向の端縁からZ軸方向両側に突出する平板状の壁部であり、Y軸方向において蓄電素子210と対向し、かつ、X軸方向に延設されて配置される。具体的には、後壁部290は、スペーサ221のZ軸方向両側に配置されるそれぞれの蓄電素子210について、蓄電素子210の容器本体210a1のY軸プラス方向の面(底面)のZ軸方向における略半分を覆うように配置される。
【0085】
以上、スペーサ221の構成について説明したが、スペーサ222においても、スペーサ221と同様の構成を有している。つまり、全てのスペーサ222について、スペーサ221の前壁部270、一対の側壁部280(280a及び280b)並びに後壁部290のZ軸方向における半分と同様の構成の壁部を有している。
【0086】
[5 サイド部材240の構成の説明]
次に、サイド部材240の構成について、詳細に説明する。なお、蓄電ユニット200が有するサイド部材240は、全て同様の構成を有しているため、以下では、1つのサイド部材240を図示して説明を行う。図8は、本実施の形態に係るサイド部材240の構成を示す斜視図である。具体的には、図8は、図4に示したサイド部材240を拡大して示している。
【0087】
図8に示すように、サイド部材240は、上述の開口部243及び244が形成されたサイド凸部241と、サイド凹部242と、を有している。本実施の形態では、5つのサイド凸部241と、4つのサイド凹部242とが、Y軸方向に交互に並んで配置されている。
【0088】
サイド凸部241は、サイド部材240のうちのX軸方向に突出し、かつ、Z軸方向に延設される突出状の部位である。本実施の形態では、サイド凸部241は、サイド部材240のX軸方向両側に矩形状に突出し、かつ、サイド部材240のZ軸方向における一端から他端まで延設される角柱状(直方体形状)の部位である。ここで、開口部243が形成されたサイド凸部241をサイド凸部241aと称し、開口部244が形成されたサイド凸部241をサイド凸部241bと称する。つまり、3つのサイド凸部241aと2つのサイド凸部241bとが、Y軸方向に交互に並んで配置されている。そして、サイド凸部241aのZ軸方向両端部に、Z軸方向に延びる2つの開口部243が形成され、サイド凸部241bのZ軸方向両端部に、Z軸方向に延びる2つの開口部244が形成されている。
【0089】
上述の通り、サイド凸部241aは、Z軸方向両側の開口部243に、一対のエンド部材230(231、232)の突出部230a(231a、232a)が挿入されることにより、Z軸方向で当該一対のエンド部材230に固定される。サイド凸部241bは、Z軸マイナス方向の開口部244に、外装体100の外装体本体110の突出部113が挿入されることにより、Z軸方向で外装体100に固定される。なお、X軸マイナス方向側のサイド部材240については、サイド凸部241bは、Z軸方向両側の開口部244に、電気機器ユニット300の取付部材320の突出部321が挿入されることにより、Z軸方向で電気機器ユニット300に固定される。
【0090】
このように、サイド凸部241は、スペーサ221及びサイド部材240とは異なる他の部材に固定される。つまり、少なくとも2つのサイド凸部241が、互いに異なる少なくとも2つの他の部材に固定される。具体的には、サイド凸部241は、エンド部材230、外装体100及び電気機器ユニット300に固定される。また、サイド部材240は、外装体100の突出部113及びサイド凸部241bの開口部244と隣り合う位置(サイド凸部241aの位置)で、一対のエンド部材230に固定される。さらに、サイド部材240は、突出部113の突出方向(外装体100との固定方向)と同じ方向(Z軸方向)で、一対のエンド部材230及び電気機器ユニット300に固定される。
【0091】
サイド凹部242は、サイド部材240のうちのX軸方向に凹み、かつ、Z軸方向に延設される部位であり、サイド凸部241(241a、241b)に隣接して配置されている。本実施の形態では、サイド凹部242は、サイド部材240のX軸方向両側から矩形状に凹み、かつ、サイド部材240のZ軸方向における一端から他端まで延設される平板状かつ矩形状(直方体形状)の部位である。
【0092】
サイド凸部241bは、外装体100の突出部113または開口部244が配置される第一サイド部の一例であり、サイド凹部242は、第一サイド部に隣接する第二サイド部の一例である。つまり、サイド部材240は、第一サイド部の方が、第二サイド部よりも、蓄電素子210及びサイド部材240の並び方向(X軸方向)の厚みが厚い。
【0093】
[6 スペーサ221、サイド部材240及び外装体100の位置関係の説明]
次に、スペーサ221、サイド部材240及び外装体100の位置関係について、詳細に説明する。図9は、本実施の形態に係るスペーサ221及びサイド部材240の位置関係を示す上面図である。具体的には、図9は、スペーサ221、サイド部材240及び蓄電素子210を組み付けた状態を、Z軸プラス方向から見た場合の構成を示している。図10は、本実施の形態に係るスペーサ221の側壁部280及びサイド部材240の位置関係を示す上面図である。具体的には、図10は、図9のスペーサ221のX軸プラス方向側の側壁部280a及びサイド部材240を、Z軸プラス方向から見た場合の構成を示している。なお、図10は、図7に対応する図である。図11は、本実施の形態に係る蓄電素子210、スペーサ220、エンド部材230、サイド部材240及び外装体100の位置関係を示す断面図である。具体的には、図11は、蓄電装置10を、外装体100の突出部113を通りXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示している。
【0094】
図9及び図10に示すように、スペーサ221の側壁部280の複数のスペーサ凸部283は、サイド部材240の複数のサイド凹部242にそれぞれ挿入される。サイド部材240の複数のサイド凸部241は、スペーサ221の側壁部280の複数のスペーサ凹部284~288にそれぞれ挿入される。具体的には、複数のサイド凸部241は、スペーサ凹部284の一対の壁部284d及び284eの間、スペーサ凹部286の一対の壁部286d及び286eの間、並びに、スペーサ凹部288の一対の壁部288d及び288e等の間において、これら一対の壁部にそれぞれ挟まれた状態で配置される。そして、複数のサイド凸部241及び複数のスペーサ凹部284~288のそれぞれは、Y軸方向において当接することにより、スペーサ221のサイド部材240に対するY軸方向における移動を規制する。
【0095】
つまり、スペーサ221及びサイド部材240の一方は、他方に向けて突出する複数の凸部を有し、当該他方は、当該複数の凸部がそれぞれ挿入される複数の凹部を有している。複数の凹部のそれぞれは、Y軸方向(第三方向)において、複数の凸部のそれぞれを挟む一対の壁部を有している。そして、複数の凸部のうちの少なくとも1つの凸部及び複数の凹部のうちの少なくとも1つの凹部は、Y軸方向(第三方向)において当接することにより、スペーサ221のサイド部材240に対するY軸方向(第三方向)における移動を規制する。本実施の形態では、全てのスペーサ220(全てのスペーサ221及び全てのスペーサ222)について、上記と同様の構成により、サイド部材240に対するY軸方向における移動が規制される。このため、サイド部材240によって、当該全てのスペーサ220の移動が一括して規制され、これによって、全ての蓄電素子210についても移動が一括して規制される。
【0096】
また、スペーサ凸部281及び282は、Y軸方向(第三方向)においてサイド部材240の端部よりも外側に配置され、サイド部材240に向けて突出する。つまり、スペーサ凸部281は、サイド部材240のY軸マイナス方向に配置され、スペーサ凸部282は、サイド部材240のY軸プラス方向に配置される。これにより、サイド部材240は、Y軸方向における長さが、スペーサ221よりも短いこととなる。したがって、サイド部材240は、Y軸方向における長さが、蓄電素子210よりも短いこととなる。このように、サイド部材240は、Y軸方向(第三方向)における長さが、蓄電素子210及びスペーサ221の少なくとも一方(本実施の形態では、双方)よりも短い。なお、蓄電素子210の外面に絶縁シートが配置されている場合、蓄電素子210及びサイド部材240の絶縁性を向上させる観点等から、サイド部材240は、Y軸方向における長さが、当該絶縁シートよりも短いのが好ましい。
【0097】
以上の構成により、サイド部材240のサイド凸部241は、Y軸方向(第三方向)において、スペーサ221の第一突起284a、286a及び288a等(以下、第一突起284a等と称す)に対向する位置に配置される。同様に、サイド凸部241は、Y軸方向(第三方向)において、第二突起286b及び288b等(以下、第二突起286b等と称す)に対向する位置に配置される。さらに、サイド凸部241は、X軸方向(第二方向)において、第三突起284c、286c及び288c等(以下、第三突起284c等と称す)に対向する位置に配置される。このように、サイド凸部241は、第一突起284a等に対向する位置に配置される対向部の一例でもある。
【0098】
つまり、第一突起284a等は、Y軸方向において、サイド凸部241(対向部)に向けて突出している。第二突起286b等は、第一突起286a等とでサイド凸部241(対向部)を挟む位置に配置され、サイド凸部241(対向部)に向けて、Y軸方向(第三方向)における第一突起286aが突出する向きとは反対向きに突出している。第三突起284c等は、X軸方向(第二方向)において、サイド凸部241(対向部)に向けて突出している。さらに、壁部284eは、Y軸方向(第三方向)において、サイド凸部241(対向部)に対向して配置されている。そして、壁部284eには、突起が形成されていないため、壁部284eのサイド凸部241(対向部)に対向する面は、サイド凸部241(対向部)に沿った形状(平面)を有している。これにより、壁部284eは、サイド凸部241と面接触する。
【0099】
図9及び図11等に示すように、蓄電装置10は、X軸方向(第二方向)においてサイド部材240を挟む位置に、2組の蓄電素子210及びスペーサ221を備えている。スペーサ221及びサイド部材240は、サイド部材240のX軸方向(第二方向)における両側において、一方が複数の凸部を有し、他方が複数の凹部を有している。つまり、蓄電素子211のZ軸方向に配置されるスペーサ221の側壁部280aと、蓄電素子212のZ軸方向に配置されるスペーサ221の側壁部280bとの間に、サイド部材240が配置される。そして、当該サイド部材240のX軸マイナス方向側の部位と当該側壁部280aとが、上述した凸部及び凹部の構成を有し、当該サイド部材240のX軸プラス方向側の部位と当該側壁部280bとが、上述した凸部及び凹部の構成を有している。
【0100】
さらに、図11に示すように、外装体100の外装体本体110の突出部113は、一対のエンド部材230(231、232)の並び方向(Z軸方向)に突出する雄ネジ部113aを有している。この雄ネジ部113aが、外装体本体110の底壁部111とエンド部材231の開口部231bとを貫通し、サイド部材240のサイド凸部241の開口部244の雌ネジ部に螺合される。これにより、外装体本体110の底壁部111が、エンド部材231を挟んだ状態でサイド部材240に固定される。
【0101】
また、蓄電ユニット200は、接着体114によって、外装体100に接着される。本実施の形態では、接着体114は、接着剤であるが、接着体114として、両面テープ等の接着剤以外の接着体が用いられてもよい。具体的には、外装体100の外装体本体110の底壁部111に形成されたリブ111aで囲われた領域内に接着体114が配置されて、接着体114によって、蓄電ユニット200が外装体本体110の底壁部111に接着される。つまり、蓄電ユニット200は、突出部113及び開口部244とは異なる位置で、外装体100に接着される。
【0102】
蓄電装置10の製造時においては、例えば、サイド部材240をY軸マイナス方向側の端部を基準として、治具で位置決めしながら、蓄電素子210及びスペーサ220に対して配置する。そして、蓄電素子210及びスペーサ220をエンド部材230とサイド部材240とで拘束して、蓄電素子210にバスバー250を溶接する等により蓄電ユニット200を構成し、外装体100に挿入する。そして、突出部113によって、蓄電ユニット200を外装体100に固定するとともに、予め配置(塗布)された接着体114によって、蓄電ユニット200を外装体100に接着する。
【0103】
[7 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、スペーサ221は、第三方向(Y軸方向)に突出する第一突起284a等を有し、サイド部材240は、第三方向において第一突起284a等に対向する対向部(サイド凸部241)を有している。このように、スペーサ221に、第三方向に突出し、かつ、対向部に対向する第一突起284a等を設けることで、第一突起284a等が設けられた壁部284d等と対向部との間に隙間が形成されていても、第一突起284a等が当該隙間を埋めることができる。つまり、第三方向において壁部284d等と対向部との間に、製造時の公差を吸収するための隙間(クリアランス)が設けられる場合でも、第一突起284a等によって、スペーサ221とサイド部材240との間に隙間が形成されるのを抑制することができる。これにより、サイド部材240に対してスペーサ221の位置がずれるのを抑制することができる。
【0104】
特に、蓄電素子210及びスペーサ221は、第一方向(Z軸方向)においては、エンド部材230によって移動が抑制され、第二方向(X軸方向)においては、サイド部材240によって移動が抑制され得るが、第三方向(Y軸方向)においては、移動が抑制されないおそれがある。このため、スペーサ221に、第三方向に突出する第一突起284a等を設けることで、第三方向において、サイド部材240に対してスペーサ221の位置がずれるのを抑制することができる。これにより、第三方向における蓄電素子210の位置決めを行うことができ、蓄電素子210の電極端子210bの第三方向における位置決めを行うことができるため、電極端子210bとバスバー250との接合時の接合不良を抑制することができる。つまり、第三方向において、サイド部材240に対して全てのスペーサ220の位置がずれるのを抑制することができるため、全ての蓄電素子210について、第三方向における位置決めを行うことができる。これにより、全ての蓄電素子210について、電極端子210bの第三方向における位置決めを行うことができるため、電極端子210bとバスバー250との接合時の接合不良を抑制することができる。
【0105】
また、スペーサ221において、第一突起284aに対向する壁部284eの、対向部(サイド凸部241)に対向する面は、対向部に沿った形状を有している。このように、スペーサ221の第一突起284aに対向する壁部284eが、サイド部材240の対向部に沿った形状を有していることで、壁部284eを基準にして、サイド部材240に対するスペーサ221の位置決めを行うことができる。これにより、サイド部材240に対してスペーサ221の位置がずれるのを抑制することができる。
【0106】
また、スペーサ221の第一突起284aに対向する壁部284eが、スペーサ221の端部に配置されることで、スペーサ221の端部を基準にして、サイド部材240に対するスペーサ221の位置決めを行うことができる。これにより、スペーサ221の当該端部側の位置決めの精度を向上させることができる。したがって、蓄電素子210の電極端子210bをスペーサ221の当該端部側に配置することにより、電極端子210bの位置決め精度の向上を図ることができるため、電極端子210bとバスバー250との接合時の接合不良を抑制することができる。
【0107】
また、スペーサ221は、第一突起286a等とでサイド部材240の対向部(サイド凸部241)を挟む位置に、対向部に向けて突出する第二突起286b等を有しているため、対向部を第一突起286a等及び第二突起286b等で挟むことができる。これにより、スペーサ221と対向部との間に隙間が形成されるのをより抑制することができるため、サイド部材240に対してスペーサ221の位置がずれるのをより抑制することができる。
【0108】
また、スペーサ221は、第二方向において、サイド部材240の対向部(サイド凸部241)に向けて突出する第三突起284c等を有しているため、第二方向においても、スペーサ221と対向部との間に隙間が形成されるのを抑制することができる。これにより、サイド部材240に対してスペーサ221の位置がずれるのをより抑制することができる。
【0109】
また、スペーサ221及びサイド部材240の一方は、複数の凸部(サイド凸部241)を有し、他方は、当該複数の凸部がそれぞれ挿入される複数の凹部(スペーサ凹部284等)を有している。そして、複数の凸部のうちの少なくとも1つの凸部及び複数の凹部のうちの少なくとも1つの凹部が、第三方向(Y軸方向)において当接することにより、スペーサ221のサイド部材240に対する第三方向における移動を規制する。このように、スペーサ221及びサイド部材240に複数の凸部及び複数の凹部が形成されているため、1つの凸部及び1つの凹部だけでも当接できれば、サイド部材240に対するスペーサ221の移動を規制することができる。2つ以上の凸部及び2つ以上の凹部が当接すれば、サイド部材240に対するスペーサ221の移動をより強固に規制することができる。また、スペーサ221は、第一方向(Z軸方向)には蓄電素子210が配置され、第二方向(X軸方向)にはサイド部材240が配置されているため、第一方向及び第二方向には移動し難いが、第三方向(Y軸方向)には移動しやすい。このため、スペーサ221のサイド部材240に対する第三方向における移動を規制することにより、サイド部材240に対するスペーサ221の移動を効果的に規制することができる。
【0110】
また、スペーサ221及びサイド部材240において、製造時の寸法公差等により、第三方向(Y軸方向)における凹部(スペーサ凹部284等)及び凸部(サイド凸部241)の位置がずれる場合がある。このため、少なくとも2つの凹部の第三方向における幅、または、少なくとも2つの凸部の第三方向における幅を異ならせる。これにより、当該2つの凹部に当該2つの凸部が挿入される際に、一方の凹部の一対の壁部(例えば、壁部288d及び288e)と一方の凸部との間に隙間が生じるため、当該隙間が、当該一方の凹部と当該一方の凸部との位置ずれを吸収することができる。したがって、凹部に凸部を容易に挿入することができるため、サイド部材240に対するスペーサ221の移動を容易に規制することができる。
【0111】
また、製造時の寸法公差等により、複数の凹部及び複数の凸部のうち、一端の凹部(スペーサ凹部284)及び凸部を基準とすると、第三方向(Y軸方向)における一端の凹部及び凸部から他端の凹部(スペーサ凹部288)及び凸部に向かうほど、凹部及び凸部の位置ずれが大きくなる。このため、凹部の第三方向における幅を、第三方向における一端の凹部から他端の凹部に向かうほど大きくする。これにより、凹部の一対の壁部と凸部との間の隙間が、第三方向における一端から他端に向かうほど大きくなるため、凹部及び凸部の位置ずれを吸収することができる。したがって、凹部に凸部を容易に挿入することができるため、サイド部材240に対するスペーサ221の移動を容易に規制することができる。
【0112】
また、サイド部材240がサイド凸部241を有することで、サイド凸部241の位置で幅が大きくなるため、サイド凸部241の位置で、他の部材(エンド部材230または外装体100等)と固定しやすい。つまり、サイド凸部241が他の部材に固定されることで、サイド部材240を他の部材に容易に固定することができる。これにより、スペーサ221の移動を規制するための部材であるサイド部材240の移動を規制することができる。また、サイド凸部241が他の部材に固定されることで、溶接ナット、圧入ナット等の部材が不要になり部品点数を低減することができ、かつ、省スペース化を図ることができる。
【0113】
また、サイド部材240が有する2つのサイド凸部241を用いて、サイド部材240を、異なる2つの他の部材(エンド部材230及び外装体100等)に固定することができる。これにより、スペーサ221の移動を規制するための部材であるサイド部材240の移動を、さらに規制することができる。また、部品点数をさらに低減することができ、かつ、省スペース化をさらに図ることができる。
【0114】
また、スペーサ221及びサイド部材240の複数の凸部(サイド凸部241)及び複数の凹部(スペーサ凹部284等)によって、スペーサ221のサイド部材240に対する第三方向(Y軸方向)における移動を規制することができる。このため、第三方向においてスペーサ221をサイド部材240で覆って移動を規制する必要性が低い。スペーサ221の第三方向における移動が規制されることで、蓄電素子210の第三方向における移動も規制され得るため、第三方向において蓄電素子210をサイド部材240で覆って移動を規制する必要性も低い。このため、サイド部材240の第三方向における長さを、蓄電素子210及びスペーサ221の少なくとも一方よりも短くすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0115】
また、サイド部材240が金属等の導電部材で形成されている場合、サイド部材240を短くすることで、導電部材が小さくなるため、蓄電素子210とサイド部材240との間の絶縁性を向上させることができる。特に、蓄電素子210のサイド部材240との対向面(例えば短側面)に絶縁シートが設けられ、当該対向面の隣接面(例えば底面)には絶縁シートが設けられていない場合、サイド部材240を短くすることで、当該隣接面とサイド部材240との距離が長くなる。これにより、蓄電素子210とサイド部材240との間の沿面距離を長くすることができるため、蓄電素子210とサイド部材240との間の絶縁性を向上させることができる。
【0116】
また、スペーサ221及びサイド部材240の複数の凸部及び複数の凹部によって、スペーサ221のサイド部材240に対する第三方向における移動を規制することができるため、第三方向においてスペーサ221をサイド部材240で覆って移動を規制する必要性が低い。このため、スペーサ221を、第三方向においてサイド部材240の端部よりも外側に配置することができ、省スペース化を図ることができる。しかしながら、スペーサ221が、第三方向においてサイド部材240の端部よりも外側に配置されている場合、スペーサ221の当該外側の部分は、サイド部材240で補強されていないため、損傷しやすい。このため、スペーサ221の当該外側の部分に、サイド部材240に向けて突出するスペーサ凸部281及び282を形成する。これにより、スペーサ221の当該外側の部分の厚みが厚くなることで、当該外側の部分が補強されるため、スペーサ221が損傷するのを抑制することができる。
【0117】
また、サイド部材240を挟む位置に2組の蓄電素子210及びスペーサ221が配置され、サイド部材240の両側において、スペーサ221及びサイド部材240の一方が複数の凸部を有し、他方が複数の凹部を有する。これにより、サイド部材240の両側において、サイド部材240に対するスペーサ221の移動を規制することができる。したがって、サイド部材240の両側において、蓄電素子210の移動を規制することができるため、振動または衝撃等によっても、サイド部材240の両側の蓄電素子210が動くのを抑制することができる。さらに、サイド部材240の両側の蓄電素子210に、バスバー250を容易に接続することができる。
【0118】
また、蓄電ユニット200は、一対のエンド部材230を繋ぐサイド部材240を有し、外装体100及びサイド部材240の一方は、他方に向けて突出する突出部113を有し、他方は、突出部113が挿入される開口部244を有している。このように、外装体100及びサイド部材240の一方に突出部113を設け、他方に開口部244を形成して、当該一方の突出部113を当該他方の開口部244に挿入する。これにより、サイド部材240を外装体100に固定したり位置決めしたりすることができるため、サイド部材240を活用して、蓄電素子210を外装体100内で容易に固定することができる。
【0119】
また、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113が他方の開口部244内で当該他方に固定されることにより、サイド部材240を外装体100に固定することができる。これにより、サイド部材240を活用して、蓄電素子210を外装体100内で容易に固定することができる。
【0120】
また、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113及び他方の開口部244と隣り合う位置で、サイド部材240がエンド部材230に固定される。これにより、サイド部材240及び外装体100の固定位置と、サイド部材240及びエンド部材230の固定位置とを分けるとともに、2つの固定位置を近付けることができる。したがって、サイド部材240及び外装体100の固定と、サイド部材240及びエンド部材230の固定とが互いに影響を及ぼすのを抑制することができ、それぞれの締結力を確保することができるとともに、省スペース化を図ることができる。
【0121】
また、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113の突出方向と同じ方向で、サイド部材240をエンド部材230に固定する。これにより、サイド部材240及び外装体100の固定と、サイド部材240及びエンド部材230の固定とを、同じ方向で行うことができる。このように、サイド部材240と外装体100及びエンド部材230との固定の方向を合わせることで、双方の固定を容易にできて好ましい場合がある。サイド部材240と外装体100及びエンド部材230との固定を容易に行うことができれば、蓄電素子210を外装体100内で容易に固定することができる。
【0122】
また、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113が一対のエンド部材230の並び方向に突出することにより、当該並び方向でサイド部材240及び外装体100を固定することができる。ここで、一対のエンド部材230の並び方向でサイド部材240及び外装体100を固定するのが、固定を容易にできて好ましい場合がある。サイド部材240及び外装体100の固定を容易に行うことができれば、蓄電素子210を外装体100内で容易に固定することができる。
【0123】
また、サイド部材240において、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113または他方の開口部244が配置される第一サイド部(サイド凸部241b)の方が、第一サイド部に隣接する第二サイド部(サイド凹部242)よりも厚みが厚い。このように、サイド部材240において、第一サイド部を第二サイド部よりも厚くすることにより、第一サイド部に突出部113または開口部244を容易に形成することができる。これにより、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113を他方の開口部244に挿入可能な構成を容易に実現できるため、蓄電素子210を外装体100内で容易に固定することができる。また、第一サイド部の厚みを厚くすることにより、第一サイド部の強度を確保することができ、第二サイド部の厚みを薄くすることにより、材料使用量の低減及び軽量化を図ることができる。
【0124】
また、外装体100及びサイド部材240の一方の突出部113及び他方の開口部244とは異なる位置で、蓄電ユニット200を外装体100に接着することにより、蓄電素子210を外装体100内で容易かつ強固に固定することができる。
【0125】
[8 変形例の説明]
以上、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0126】
例えば、上記実施の形態では、複数のスペーサ220が配置されていることとしたが、1つのスペーサ220しか配置されていなくてもよい。つまり、スペーサ221は、1つしか配置されていなくてもよいし、スペーサ222も、1つしか配置されていなくてもよいし、スペーサ221及びスペーサ222のいずれか一方が配置されていない構成でもよい。スペーサ221が配置されない場合でも、スペーサ222が、上述したスペーサ221と同様の凸部及び凹部等の構成を有することにより、スペーサ221と同様の機能を担うことができる。
【0127】
上記実施の形態では、スペーサ221は、Y軸マイナス方向の端部のスペーサ凹部284から、Y軸プラス方向の端部のスペーサ凹部288に向かうほど、一対の壁部の間の幅が徐々に大きくなることとした。しかし、スペーサ221は、スペーサ凹部288からスペーサ凹部284に向かうほど、一対の壁部の間の幅が徐々に大きくなることにしてもよいし、その他、少なくとも2つのスペーサ凹部の当該幅が異なっていれば、当該幅はどのような大きさであってもよい。または、スペーサ凹部284~288は、当該幅が全て同じであってもよい。
【0128】
また、サイド部材240は、複数のサイド凸部241のY軸方向(第三方向)における幅が、全て同じであることとしたが、複数のサイド凸部241のうちの少なくとも2つのサイド凸部241のY軸方向における幅が異なっていてもよい。例えば、複数のサイド凸部241は、Y軸方向(第三方向)における幅が、Y軸方向(第三方向)における一端のサイド凸部241から他端のサイド凸部241に向かうほど小さくなることにしてもよい。具体的には、Y軸マイナス方向の端部のサイド凸部241からY軸プラス方向の端部のサイド凸部241に向かうほど、Y軸方向における幅が徐々に小さくなることにしてもよい。これによっても、サイド凸部241とスペーサ凹部284~288のY軸方向の壁部との間の隙間を、Y軸マイナス方向の端部からY軸プラス方向の端部に向かうほど大きくすることができるため、製造時の寸法公差等による位置ずれを吸収することができる。
【0129】
上記実施の形態では、スペーサ221のうちのサイド部材240に対向する壁部に、第一突起284a、第二突起286b及び第三突起284c等の突起が設けられていることとした。しかし、スペーサ221には、これら突起のうちのいずれかの突起が設けられていなくてもよい。または、スペーサ221の当該突起に代えて、サイド部材240のうちのスペーサ221に対向する壁部に、スペーサ221に向けて突出する突起が設けられていてもよい。
【0130】
上記実施の形態では、サイド部材240のサイド凸部241は、X軸方向の両側に突出する部位であることとしたが、X軸方向の片側にしか突出していなくてもよい。
【0131】
上記実施の形態では、外装体100が有する突出部113はボルトであり、当該ボルトの雄ネジ部が、サイド部材240に形成された開口部244に螺合されて固定されることとした。しかし、突出部113は突起であり、開口部244は凹部または貫通孔であり、突出部113が開口部244に挿入されて、圧入または嵌合されることにより、サイド部材240が外装体100に固定されることにしてもよい。または、突出部113は突起であり、開口部244は凹部または貫通孔であり、突出部113が開口部244に固定されることなく挿入されて位置決めされる構成でもよい。この場合、接着体114によって、蓄電ユニット200を外装体100に接着することにより、蓄電素子210を外装体100内で固定することができる。
【0132】
上記実施の形態では、外装体100は、サイド部材240に向けて突出する突出部113を有し、サイド部材240は、突出部113が挿入される開口部244を有していることとした。しかし、サイド部材240が、外装体100に向けて突出する突出部を有し、外装体100は、当該突出部が挿入される開口部を有していてもよい。つまり、外装体100及びサイド部材240の一方が、他方に向けて突出する突出部を有し、当該他方が、当該突出部が挿入される開口部を有していればよい。
【0133】
上記実施の形態では、蓄電ユニット200は、X軸方向に並ぶ2つの蓄電素子210(211及び212)を有していることとした。しかし、蓄電ユニット200は、X軸方向に並ぶ3つ以上の蓄電素子210を有していてもよいし、X軸方向には1つの蓄電素子210しか有していないことにしてもよい。
【0134】
上記実施の形態において、複数のスペーサ221のうちのいずれかが上記の構成を有していなくてもよいし、複数のサイド部材240のうちのいずれかが上記の構成を有していなくてもよいし、複数の蓄電素子210のうちのいずれかが上記の構成を有していなくてもよい。
【0135】
上記実施の形態において、蓄電装置10は、上述した全ての構成要素を備えている必要はない。例えば、蓄電装置10は、上述した効果に寄与しない、または、なくても上述の効果を奏することができる構成要素(部材または部位)は備えていなくてもよい。
【0136】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0137】
本発明は、蓄電装置10として実現することができるだけでなく、スペーサ220とサイド部材240との組み合わせ、または、スペーサ220としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0139】
10 蓄電装置
100 外装体
110 外装体本体
111 底壁部
111a リブ
113、230a、321 突出部
113a 雄ネジ部
114 接着体
200 蓄電ユニット
210、211、212 蓄電素子
210a 容器
210b 電極端子
220、221、222 スペーサ
230、231、232 エンド部材
230b、230c、231b、232b、231c、232c、243、244 開口部
240 サイド部材
241、241a、241b サイド凸部
242 サイド凹部
250 バスバー
260 スペーサ本体
270 前壁部
280、280a、280b 側壁部
281、282、283 スペーサ凸部
284、285、286、287、288 スペーサ凹部
284a、286a、288a 第一突起
284c、286c、288c 第三突起
284d、284e、284f、286d、286e、286f、288d、288e、288f 壁部
286b、288b 第二突起
290 後壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11