(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】要因推定装置、要因推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240910BHJP
【FI】
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2020136126
(22)【出願日】2020-08-12
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】郡司島 亮
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-078373(JP,A)
【文献】特開2010-122901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する血糖値データ取得手段と、
前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する検出手段と、
前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する推定手段と、
推定された前記要因を出力する出力手段と、
を備える要因推定装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記複数の要因候補の各々の状態を表す状態値の分布と、前記スパイクが検出される前の所定期間における前記複数の要因候補の状態値とに基づいて、前記複数の要因候補から前記要因を推定する
請求項1に記載の要因推定装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記要因候補の前記状態値の、前記要因候補の前記分布の基準値からの乖離の度合いを表す指標の値に基づいて、少なくとも1つの前記要因候補を選択する
請求項2に記載の要因推定装置。
【請求項4】
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の運動の状態を表す
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の要因推定装置。
【請求項5】
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の睡眠の状態を表す
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の要因推定装置。
【請求項6】
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の食事の状態を表す
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の要因推定装置。
【請求項7】
コンピュータが、
対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得し、
前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出し、
前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定し、
推定された前記要因を出力する、
要因推定方法。
【請求項8】
コンピュータが、
前記複数の要因候補の各々の状態を表す状態値の分布と、前記スパイクが検出される前の所定期間における前記複数の要因候補の状態値とに基づいて、前記複数の要因候補から前記要因を推定する
請求項7に記載の要因推定方法。
【請求項9】
コンピュータが、
前記要因候補の前記状態値の、前記要因候補の前記分布の基準値からの乖離の度合いを表す指標の値に基づいて、少なくとも1つの前記要因候補を選択する
請求項8に記載の要因推定方法。
【請求項10】
対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する血糖値データ取得処理と、
前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する検出処理と、
前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する推定処理と、
推定された前記要因を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、要因を推定する技術に関し、特に、血糖値の測定値の推移に検出される急激な変化の要因を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、FGM(Flash Glucose Monitoring)やCGM(Continuous Glucose Monitoring)などの血糖値測定デバイスによって、血糖値の推移を定常的に把握することが可能になっている。
【0003】
特許文献1には、1つ以上のアクティビティのアクティビティレベル(例えば歩数等)と、夜間グルコースレベルの測定値との関係に基づいて、アクティビティレベルに対する夜間グルコースレベルの応答の情報を出力するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血糖値の急激な変動は、血糖値スパイク(または、グルコーススパイク)と呼ばれる。最近の医学的研究により、この血糖値スパイクが、糖尿病やその他の合併症(例えば、動脈硬化や心筋梗塞など)のリスクを高めることが分かってきている。さらに、たとえ血糖値の上昇の要因が同じであっても(例えば同じ量の同じ食材を摂取したとしても)、血糖値の上昇の大きさには、大きな個人差があることが、別の研究によって分かっている。
【0006】
すなわち、血糖値スパイクが発生した場合、その血糖値スパイクの要因は、個人ごとに様々である。血糖値スパイクの真の要因を特定することは容易ではない。特許文献1の技術では、アクティビティレベルに対する夜間グルコースレベルの応答を得ることはできるが、発生した血糖値スパイクの要因を特定することはできない。
【0007】
本開示の目的の1つは、検出された血糖値スパイクの真の要因として考えられる要因を推定できる要因推定装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る要因推定装置は、対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する血糖値データ取得手段と、前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する検出手段と、前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する推定手段と、推定された前記要因を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る要因推定方法は、対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得し、前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出し、前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定し、推定された前記要因を出力する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する血糖値データ取得処理と、前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する検出処理と、前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する推定処理と、推定された前記要因を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示には、検出された血糖値スパイクの真の要因として考えられる要因を推定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る要因推定システムの構成の例を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る要因推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施形態に係るセンサ付端末の構成の一例を表すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施形態に係る要因データ受付部の詳細な構成の例を表すブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施形態に係る要因データ解析部の詳細な構成の例を表すブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施形態に係る食事データ解析部の詳細な構成の例を表すブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施形態に係るセンサ付端末の実装例を表すブロック図である。
【
図8】
図8は、本開示の第2の実施形態に係る要因推定装置の構成の例を表すブロック図である。
【
図9】
図9は、本開示の第2の実施形態に係る要因推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係る要因推定装置を実現できるコンピュータのハードウェア構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る要因推定システム1の構成の例を表すブロック図である。
【0016】
<構成>
図1に示す例では、本実施形態に係る要因推定システム1は、要因推定装置100と、センサ付端末200とを含む。要因推定装置100は、センサ付端末200と、例えば無線回線を介した通信を行えるように接続されている。
【0017】
<<概要>>
まず、要因推定システム1の概要を説明する。センサ付端末200は、対象者の状態を示すデータを取得し、取得したデータを要因推定装置100に送信する。要因推定装置100は、センサ付端末200からデータを受け取り、受け取ったデータから、複数の要因候補の値を得る。複数の要因候補の各々は、血糖値スパイクの要因の候補である。要因推定装置100は、複数の要因候補の各々の分布を生成する。センサ付端末200は、更に、対象者の血糖値を例えば定期的に測定し、測定した血糖値を要因推定装置100に送信する。要因推定装置100は、血糖値の測定値の推移から血糖値スパイクを検出する。血糖値スパイクが検出された場合、要因推定装置100は、血糖値スパイクが検出される前の所定期間内の複数の要因候補の値と、複数の要因候補の値の分布とに基づいて、複数の要因候補から検出された血糖値スパイクの要因を推定する。
【0018】
<<センサ付端末200>>
センサ付端末200は、対象者の状態を示すデータを取得し、取得したデータ(以下、要因データと表記)と、その要因データが得られた時刻を表すデータを要因推定装置100に送信する。
【0019】
センサ付端末200は、対象者の血糖値を例えば定期的に測定し、測定によって得られた血糖値とその血糖値が測定された時刻を表すデータとの組み合わせ(以下、血糖値データと表記)を要因推定装置100に送信する。センサ付端末200が血糖値を測定する間隔(以下、測定間隔と表記)は、持続的、連続的であるとみなしうる間隔である。センサ付端末200が血糖値の測定間隔は、例えば、数秒~十数分の範囲で定められた間隔である。測定間隔は、必ずしもこの範囲に含まれる必要はない。血糖値の測定間隔は、測定された血糖値を送信する間隔と異なっていてよい。本実施形態では、センサ付端末200は、定期的に、前回の血糖値データの送信以降に得られた血糖値データ(すなわち、血糖値とその血糖値が測定された時刻を表すデータとの組み合わせ)を要因推定装置100に送信する。
【0020】
以下の説明では、測定した順序を特定可能な複数の血糖値を、血糖値の推移と表記する。血糖値の推移を表すデータは、例えば、血糖値とその血糖値が測定された時刻を表すデータと、の複数の組み合わせ(言い換えると、複数の時点において測定された血糖値データ)である。センサ付端末200は、血糖値の推移を表すデータを、要因推定装置100に送信する、と言える。
【0021】
本実施形態では、対象者の状態を示すデータは、対象者が食事をしている状態を撮影した映像、食事を撮影した画像、対象者の食事の順番を示すデータ、対象者の睡眠の状態を示すデータ、及び、対象者の運動の状態を示すデータである。
【0022】
センサ付端末200は、上述の対象者の状態と血糖値との少なくともいずれかを測定するセンサから、又は、そのようなセンサと対象者の状態の少なくともいずれかが入力される入力部とから、対象者の状態と血糖値とを取得する。センサは、センサ付端末200に含まれるか、センサ付端末200に接続される。入力部は、センサ付端末200に含まれるか、センサ付端末200に接続される。センサ付端末200は、少なくとも1つの装置の組み合わせとして実装される。
【0023】
具体的には、センサ付端末200は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末装置と、ウェアラブル端末と、血糖値センサとの組み合わせとして実装される。携帯端末装置は、通信機能とカメラとタッチパネルとを備える。ウェアラブル端末は、対象者の活動状態を測定するセンサと対象者の睡眠状態を測定するセンサとを備え、その携帯端末装置と通信可能であるように実装されている。ウェアラブル端末は、センサによって測定した測定値を携帯端末装置に送信する。血糖値センサは、定期的に対象者の血糖値を測定するセンサである。血糖値センサは、血糖値センサが測定した血糖値のデータをその携帯端末装置が読み取れるように実装されている。
【0024】
以下では、センサ付端末200は、複数のセンサを備えた1つの装置として説明する。センサ付端末200が上述のような複数の装置の組み合わせとして実装されるセンサ付端末200の具体例については、後で詳細に説明する。
【0025】
<<要因推定装置100>>
要因推定装置100は、要因データ受付部110と、要因データ解析部120と、要因データ記憶部130と、血糖値データ取得部140と、検出部150と、推定部160と、出力部170とを含む。
【0026】
<<要因データ受付部110>>
要因データ受付部110は、対象者の状態を示すデータ(上述の要因データ)と、その要因データが得られた時刻を表すデータ(時刻データ)とを、センサ付端末200から受け取る。要因データ受付部110は、受け取った要因データと時刻データとを、要因データ解析部120に送出する。
【0027】
上述のように、本実施形態では、対象者の状態を示すデータ、すなわち、要因データは、対象者が食事をしている状態を撮影した映像、食事を撮影した画像、対象者の食事の順番を示すデータ、対象者の睡眠の状態を示すデータ、及び、対象者の運動の状態を示すデータである。要因データ受付部110の詳細については、後で説明する。
【0028】
<<要因データ解析部120>>
要因データ解析部120は、要因データ受付部110から要因データと時刻データとを受け取る。要因データ解析部120は、受け取った要因データを解析する。要因データ解析部120は、解析の結果として、要因データから複数の要因候補の値を抽出する。要因データ解析部120は、抽出した要因候補の値と、その要因候補の値が抽出された要因データが得られた時刻を表す時刻データとを関連付け、互いに関連付けられている要因候補の値と時刻データと、要因データ記憶部130に格納する。
【0029】
要因候補は、例えば、食事に係る情報(例えば、食事中の栄養素の量及び食事中の行動等)、運動に係る情報、睡眠に係る情報などである。要因データ解析部120は、例えば、対象者が食事をしている状態を撮影した映像、食事を撮影した画像、対象者の食事の順番を示すデータから、食事に係る情報を抽出する。要因データ解析部120は、例えば、対象者の睡眠の状態を示すデータから、睡眠に係る情報を抽出する。要因データ解析部120は、例えば、対象者の運動の状態を示すデータなどから、運動に係る情報を抽出する。
【0030】
要因データ解析部120の詳細と、要因候補のさらに具体的な例については、後で詳細に説明する。
【0031】
<<要因データ記憶部130>>
要因データ記憶部130は、互いに関連付けられている、要因候補の値と時刻データとを記憶する。
【0032】
<<血糖値データ取得部140>>
血糖値データ取得部140は、センサ付端末200から、血糖値の測定値と、その血糖値が測定された時刻を表すデータと、の組み合わせ(以下、血糖値データとも表記)を受け取る。血糖値データ取得部140は、血糖値の推移を、検出部150に送出する。上述のように、本実施形態では、血糖値の推移は、測定された順序を特定可能な複数の血糖値を表す。血糖値の推移を表すデータは、例えば、血糖値とその血糖値が測定された時刻を表すデータとの複数の組み合わせである。言い換えると、血糖値データ取得部140は、血糖値の推移を表すデータをセンサ付端末200から受け取り、受け取った血糖値の推移を表すデータを、検出部150に送出する。
【0033】
<<検出部150>>
検出部150は、血糖値の推移を表すデータを血糖値データ取得部140から受け取り、受け取った血糖値の推移を表すデータにおいて、血糖値スパイクを検出する。血糖値スパイクは、一般に、血糖値が急上昇し、その後、急降下することを表す。検出部150は、例えば、血糖値の推移において、単位時間当たりの血糖値の上昇量が所定値(スパイク閾値と表記)を超える血糖値の上昇を、血糖値スパイクとして検出する。単位時間は、例えば要因推定装置100のユーザにより、適宜定められていてよい。スパイク閾値も、例えば要因推定装置100のユーザにより、適宜定められていてよい。
【0034】
血糖値スパイクが検出された場合、検出部150は、血糖値スパイクが検出されたことを推定部160に通知する。具体的には、血糖値スパイクが検出された場合、検出部150は、血糖値スパイクが検出されたことを表すデータを推定部160に送出する。
【0035】
検出部150は、さらに、受け取った血糖値の推移を表すデータを、血糖値データ記憶部180に格納する。
【0036】
<<推定部160>>
推定部160は、血糖値スパイクが検出されたことが検出部150によって通知された場合、すなわち、血糖値スパイクが検出されたことを表すデータを検出部150から受け取った場合、複数の要因候補から、血糖値スパイクの要因を推定する。言い換えると、血糖値スパイクが検出された場合、推定部160は、複数の要因候補から、血糖値スパイクの要因を推定する。
【0037】
具体的には、推定部160は、要因データ記憶部130に格納されている複数の要因候補の値から、複数の要因候補の各々の値の分布を生成する。推定部160は、要因候補の分布の各々の、代表値を算出する。代表値は、例えば、平均値、中間値、又は、中央値等である。本実施形態では、推定部160は、代表値として平均値を算出する。推定部160は、要因候補の各々の測定値のうち、測定値が測定された時刻と、検出された血糖値スパイクが生じた時刻との関係が基準を満たす測定値の、代表値からの乖離の大きさを表す指標を算出する。
【0038】
血糖値スパイクが生じた時刻は、例えば、上昇量がスパイク閾値を超えた血糖値が測定された時刻である。上述の基準は、例えば、測定値が測定された時刻が、血糖値スパイクが生じた時刻から所定時間前の時刻から、血糖値スパイクが生じた時刻までの間に含まれることである。この所定時間は、あらかじめ、例えば要因推定装置100のユーザ等によって、定められていてよい。上述の基準は、必ずしもこの例に限られない。代表値からの乖離の大きさを表す指標は、例えば、測定値と代表値との差の大きさの、分布の標準偏差に対する比である。代表値からの乖離の大きさを表す指標は、必ずしもこの例に限られない。
【0039】
推定部160は、乖離指標に基づいて、複数の要因候補から、血糖値スパイクの要因を推定する。具体的には、推定部160は、測定値の代表値からの乖離の大きさを表す指標(以下、乖離指標と表記)が所定の選択基準を満たす要因候補が、血糖値スパイクの要因であると推定する。以下の説明では、乖離指標が大きいほど、測定値の代表値からの乖離が大きい。
【0040】
選択基準は、例えば、乖離指標の値が、算出された乖離指標の値の中で、大きい方から所定個数以内に含まれることである。選択基準は、例えば、乖離指標の値が、所定の閾値よりも大きいことであってもよい。選択基準は、これらの例に限られない。
【0041】
推定部160は、血糖値スパイクの要因を表す情報を、出力部170に送出する。
【0042】
<<出力部170>>
出力部170は、血糖値スパイクの要因を表す情報を推定部160から受け取り、血糖値スパイクの要因を表す情報を、例えば、要因推定装置100の、ディスプレイなどの出力装置に出力する。出力部170は、血糖値スパイクの要因を表す情報を、例えば、センサ付端末200、又は、他の端末に送信してもよい。血糖値スパイクの要因を表す情報を受け取った端末は、血糖値スパイクの要因を表す情報を表示する。出力部170は、血糖値スパイクの要因を表す情報を、記憶装置等に格納してもよい。
【0043】
<動作>
次に、本実施形態の要因推定装置100の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図2は、本実施形態の要因推定装置100の動作の例を表すフローチャートである。
【0045】
図2に示す例では、まず、要因データ受付部110が、センサ付端末200から要因データを受け取る(ステップS101)。要因データ解析部120は、要因データを解析する(ステップS102)。要因データ解析部120は、要因データの解析によって、要因候補の値を得る。要因データ解析部120は、要因データの解析によって得られた要因候補の値を、要因データ記憶部130に格納する(ステップS103)。
【0046】
血糖値データ取得部140は、センサ付端末200から、複数の時点の測定によって得られた、血糖値データを受け取る(ステップS104)。この血糖値データは、血糖値とその血糖値が測定された時刻を表すデータとの組み合わせを表すデータである。血糖値データ取得部140は、受け取った血糖値データを検出部150に送信する。
【0047】
検出部150は、血糖値データを受け取り、受け取った血糖値データにおいて、血糖値スパイクを検出する(ステップS105)。検出部150は、例えば、受け取った血糖値データと、血糖値データ記憶部180に格納されている血糖値データとによって表される血糖値の推移にのうち、受け取った血糖値データにおける血糖値スパイクを検出する。検出部150は、さらに、受け取った血糖値データ記憶部180に格納する。
【0048】
図2に示す例では、血糖値スパイクが検出されなかった場合(ステップS106においてNO)、要因推定装置100の動作は、ステップS101に戻る。
【0049】
血糖値スパイクが検出された場合(ステップS106においてYES)、推定部160は、要因候補の値の分布を生成する(ステップS107)。ステップS107において、推定部160は、複数の要因候補の各々の値の分布を生成する。推定部160は、生成された分布の代表値を算出する。
【0050】
推定部160は、要因候補から、血糖値スパイクの要因を推定する(ステップS108)。具体的には、まず、推定部160は、要因候補の各々の測定値のうち、測定値が測定された時刻と、検出された血糖値スパイクが生じた時刻との関係が基準を満たす測定値の、代表値からの乖離の大きさを表す指標(すなわち乖離指標)を算出する。推定部160は、乖離指標が所定の選択基準を満たす要因候補が、血糖値スパイクの要因であると推定する。
【0051】
出力部170は、推定された要因を出力する(ステップS109)。
【0052】
要因推定装置100は、
図2に示す動作を繰り返し行う。また、要因推定装置100は、ステップS0101からステップS103までの動作を、ステップS104の前ではなくステップS104~ステップS109までの動作と独立で並列に行ってもよい。
【0053】
<効果>
本実施形態には、検出された血糖値スパイクの真の要因として考えられる要因を推定できるという効果がある。その理由は、検出部150によって血糖値スパイクが検出された場合、推定部160が、要因候補の各々の測定値のうち、測定値が測定された時刻と、検出された血糖値スパイクが生じた時刻との関係が基準を満たす測定値の、代表値からの乖離の大きさを表す乖離指標を算出するからである。そして、推定部160が、算出された乖離指標に基づいて、複数の要因候補から、血糖値スパイクの要因を推定するからである。
【0054】
<要因候補の具体例>
要因候補の1つは、例えば、食事に含まれる複数の栄養素の各々の量(すなわち摂取量)である。要因候補の1つは、例えば、食事のカロリーである。要因候補の1つは、例えば、炭水化物の摂取量の指標である。炭水化物の摂取量の指標は、例えば、グリセミックロード値(Glycemic Load値;GL値)である。要因データ解析部120は、食事を撮影した画像から、これらの要因候補を抽出する。
【0055】
要因候補の1つは、例えば、一口当たりの咀嚼の回数である。要因データ解析部120は、対象者の食事の状態を撮影した映像から、一口当たりの咀嚼の回数を抽出する。要因候補の1つは、例えば、食事の間隔(すなわち、食事の開始時刻の、前回の食事の終了時刻からの経過時間)である。要因データ解析部120は、例えば、対象者の食事の状態を撮影した映像に基づいて、食事の開始時刻と終了時刻とを特定し、特定した開始時刻と終了時刻とに基づいて、食事の間隔を算出する。
【0056】
要因候補の1つは、例えば、食事の順番を表すデータ(具体的には、食事の順番がベジファーストであるか否かを表す値)である。要因データ解析部120は、センサ付端末200によって送信された食事の順番を表すデータを、要因データ受付部110を介して受け取る。
【0057】
要因候補の1つは、例えば、睡眠に係る状態の時間である。睡眠に係る状態の1つは、例えば、睡眠時間の合計である。睡眠に係る状態の1つは、例えば、就寝時刻から起床時刻までの間における覚醒状態の時間の合計である。睡眠に係る状態の1つは、例えば、レム睡眠の合計時間である。睡眠に係る状態の1つは、例えば、ノンレム睡眠の時間の、睡眠の深さ毎の合計である。要因データ解析部120は、睡眠の状態を示すデータから、これらの睡眠に係る状態の時間を算出する。
【0058】
要因候補の1つは、例えば、運動の量(例えば歩数)の合計である。要因データ解析部120は、対象者の運動の状態を示すデータから、運動の量を算出してよい。要因候補の1つは、例えば、直前の食事と運動との間の時間である。要因データ解析部120は、対象者の運動の状態を示すデータによって特定される運動の開始時刻と、その運動の開始時刻に最も近い食事の終了時刻と、から、直前の食事と運動との間の時間を算出する。
【0059】
要因データ解析部120については、後でさらに詳細に説明する。
【0060】
<第1の実施形態の詳細例>
以下では、第1の実施形態の詳細な構成の例(すなわち詳細例)について説明する。
【0061】
本詳細例では、対象者の状態を示すデータ、すなわち、要因データは、対象者が食事をしている状態を撮影した映像、食事を撮影した画像、対象者の食事の順番を示すデータ、対象者の睡眠の状態を示すデータ、及び、対象者の状態を示すデータである。
【0062】
また、上述のように、要因候補は、例えば、食事に係る情報(例えば、食事中の栄養素の量及び食事中の行動等)、運動に係る情報、睡眠に係る情報などである。食事に係る情報は、例えば、複数の栄養素の各々の量、一口当たりの咀嚼の回数、食事の最初に摂取した野菜の量、前回の食事からの経過時間などである。運動に係る情報は、例えば、運動の量(歩数など)、直前の食事から運動までの時間などである。睡眠に係る情報は、睡眠の合計時間(就寝から起床までの時間)、就寝から起床までの間の覚醒状態の時間、睡眠の状態ごとの睡眠時間などである。睡眠の状態は、睡眠の深さごとに複数の状態に分けられていてよい。例えば、睡眠の状態は、レム睡眠とノンレム睡眠とに分けられる。ノンレム睡眠は、さらに、睡眠の深さに応じて複数の状態に分けられていてよい。
【0063】
以下では、主に、上述の要因データを取得するセンサ付端末200の詳細な構成と、要因推定装置100の、要因データを受け取る要因データ受付部110と、要因データから要因候補の値を抽出する要因データ解析部120の詳細な構成について説明する。
【0064】
<<センサ付端末200の詳細>>
図3は、センサ付端末200の構成の一例を表すブロック図である。
図3に示す例では、センサ付端末200は、画像センサ210と、入力部220と、活動状態センサ230と、睡眠状態センサ240と、血糖値センサ250とを含む。
図3に示す例は、センサ付端末200に含まれるセンサ及び入力部の例と、センサ及び入力部の各々によって得られたデータの送信先を表す。センサ付端末200のさらに具体的な実装例については、後で詳細に説明する。
【0065】
<<<画像センサ210>>>
画像センサ210は、対象者の状態を示すデータとして、例えば、対象者が食事をしている状態を撮影した映像(すなわち動画像)を取得する。動画像のデータには、少なくとも、撮影の開始時刻と終了時刻とが含まれる。動画像のデータは、例えばフレームごとに、撮影された時刻の情報を含んでいる。画像センサ210は、さらに、対象者の状態を示すデータとして、例えば、対象者が摂取する食事を撮影した画像(動画像又は静止画像)を取得する。静止画像のデータには、撮影の時刻が含まれる。対象者は、画像センサ210により、食事に含まれる個々のメニューを特定できるように、食事を撮影する。また、対象者が、画像センサ210により、対象者が食事をしている状態を撮影する。言い換えれば、画像センサ210は、対象者の操作により、これらの映像及び画像を取得する。
【0066】
画像センサ210は、センサ付端末200の通信機能を介して、対象者が食事をしている状態を撮影した映像(すなわち食事中の対象者の映像)、及び、対象者が摂取する食事を撮影した画像(すなわち食事の画像)を、後述する要因データ受付部110の食事データ受付部111に送信する。
【0067】
<<<入力部220>>>
入力部220は、対象者の状態を示すデータとして、例えば、対象者によって入力された、対象者の食事の順番を示すデータを受け付ける。対象者の食事の順番を示すデータは、例えば、食事の順番が、野菜類を最初に摂取する「ベジファースト」を行ったか否かを示す情報である。
【0068】
入力部220は、センサ付端末200の通信機能を介して、対象者の食事の順番を示すデータを、後述する要因データ受付部110の食事行動情報受付部112に送信する。
【0069】
<<<活動状態センサ230>>>
活動状態センサ230は、対象者の状態を示すデータとして、例えば、対象者の運動の状態を示すデータを取得する。運動の状態を示すデータは、運動の開始時刻と運動の継続時間とを特定できるデータを含む。運動の開始時刻と運動の継続時間とを特定できるデータは、例えば、運動の開始時刻と運動の継続時間との組み合わせである。運動の開始時刻と運動の継続時間とを特定できるデータは、例えば、運動の開始時刻と運動の終了時刻との組み合わせである。運動の状態を示すデータは、運動の負荷を表すデータを含む。運動の負荷を表すデータは、例えば、歩数を表すデータである。
【0070】
活動状態センサ230は、センサ付端末200の通信機能を介して、運動の状態を表すデータを、後述する要因データ受付部110の活動データ受付部113に送信する。
【0071】
<<<睡眠状態センサ240>>>
睡眠状態センサ240は、対象者の状態を示すデータとして、例えば、対象者の睡眠の状態を示すデータを取得する。睡眠の状態を示すデータは、例えば、就寝時刻と起床時刻との組み合わせを含む。睡眠の状態を示すデータは、例えば、睡眠の深さを示すデータと、その深さの睡眠の開始時刻及び継続時間の長さを示すデータと、の組み合わせをさらに含む。睡眠の深さを示すデータは、例えば、覚醒状態、レム睡眠、及び、ノンレム睡眠のいずれか1つを示す。言い換えると、睡眠の状態を示すデータは、就寝時刻から起床時刻までの間の、覚醒状態、レム睡眠、及び、ノンレム睡眠の各々の長さを表す。睡眠の状態を示すデータは、例えば、睡眠の深さを示すデータと、その深さの睡眠の開始時刻及び終了時刻を示すデータと、の組み合わせをさらに含んでいてもよい。睡眠の状態を示すデータは、例えば、就寝時刻から起床時刻までの間の、睡眠の状態が変化した時刻と、変化後の睡眠の状態と、の組み合わせを、時系列で複数含むデータであってもよい。睡眠の状態を示すデータは、他の形式のデータであってもよい。なお、ノンレム睡眠は、複数の深さ(以下、段階と表記する)に分けられていてもよい。段階の数は、2つであってもよい。段階の数は4つであってもよい。ノンレム睡眠が複数の深さに分けられている場合、睡眠の状態を示すデータは、覚醒状態の時間、レム睡眠の時間、及び、ノンレム睡眠の各段階の時間のデータを含む。睡眠状態センサ240として、人間の睡眠の状態を測定できる既存の様々なセンサのいずれかを使用することができる。
【0072】
睡眠状態センサ240は、センサ付端末200の通信機能を介して、対象者の睡眠の状態を示すデータを、後述する要因データ受付部110の睡眠データ受付部114に送信する。
【0073】
<<<血糖値センサ250>>>
血糖値センサ250は、対象者の血糖値を定期的に測定する。血糖値センサ250は、FGMやCGMなどの血糖値測定デバイスによって実現される。血糖値センサ250は、測定した血糖値の推移を表すデータを、センサ付端末200の通信機能を介して、後述する血糖値データ取得部140に送信する。
【0074】
<<要因推定装置100>>
以下では、要因推定装置100に含まれる、要因データ受付部110及び要因データ解析部120の、詳細な構成の例について説明する。
【0075】
<<<要因データ受付部110>>>
図4は、要因データ受付部110の詳細な構成の例を表すブロック図である。
図4に示す例では、要因データ受付部110は、食事データ受付部111と、食事行動情報受付部112と、活動データ受付部113と、睡眠データ受付部114とを含む。
【0076】
<<<食事データ受付部111>>>
食事データ受付部111は、センサ付端末200の画像センサ210から、食事中の対象者の映像、及び、食事の画像を受け取る。食事データ受付部111は、受け取った、食事中の対象者の映像、及び、食事の画像を、後述する要因データ解析部120の食事データ解析部121に送出する。
【0077】
<<<食事行動情報受付部112>>>
食事行動情報受付部112は、センサ付端末200の入力部220から、対象者の食事の順番を示すデータを受け取る。食事行動情報受付部112は、受け取った、対象者の食事の順番を示すデータを、後述する要因データ解析部120の食事データ解析部121に送出する。
【0078】
<<<活動データ受付部113>>>
活動データ受付部113は、センサ付端末200の活動状態センサ230から、対象者の運動の状態を表すデータを受け取る。活動データ受付部113は、受け取った運動の状態を表すデータを、後述する要因データ解析部120の活動データ解析部122に送出する。
【0079】
<<<睡眠データ受付部114>>>
睡眠データ受付部114は、センサ付端末200の睡眠状態センサ240から、対象者の睡眠の状態を示すデータを受け取る。睡眠データ受付部114は、受け取った睡眠の状態を示すデータを、後述する要因データ解析部120の睡眠データ解析部123に送出する。
【0080】
<<要因データ解析部120>>
図5は、要因データ解析部120の詳細な構成の例を表すブロック図である。
図5に示す例では、要因データ解析部120は、食事データ解析部121と、活動データ解析部122と、睡眠データ解析部123と、アクセス部124とを含む。
【0081】
<<<食事データ解析部121>>>
食事データ解析部121は、食事データ受付部111から、食事中の対象者の映像、及び、食事の画像を受け取る、食事データ解析部121は、さらに、食事行動情報受付部112から、対象者の食事の順番を示すデータを受け取る。
【0082】
食事データ解析部121は、受け取った映像および画像に基づいて、食事の情報を解析する。具体的には、食事データ解析部121は、食事中の対象者の映像に基づいて、画像処理により、一口当たりの咀嚼の回数を、要因候補の1つの値として判定する。食事データ解析部121は、食事の画像から、栄養素ごとの量を、要因候補の1つの値として推定する。食事データ解析部121は、対象者の食事の順番を示すデータが、対象者が野菜類を最初に摂取したことを示している場合、最初に摂取した野菜の量を、要因候補の1つの値として推定する。食事データ解析部121は、対象者の食事の順番を示すデータが、対象者が野菜類を最初に摂取したことを示していない場合、要因候補の1つの値としての最初に摂取した野菜の量が0であると推定する。
【0083】
食事データ解析部121は、最も新しい食事(前回の食事)の終了時刻を保持する。食事データ解析部121は、食事中の対象者の映像、及び、食事の画像を受け取ると、その映像および画像によって記録された食事(以下、今回の食事と表記)の開始時刻及び終了時刻を特定する。食事データ解析部121は、保持している、前回の食事の終了時刻から、今回の食事の開始時刻までの時間を、要因候補の1つの値として算出する。そして、食事データ解析部121は、保持している前回の食事の終了時刻を、特定した今回の食事の終了時刻によって更新する。言い換えると、食事データ解析部121は、特定した今回の食事の終了時刻を、前回の食事の終了時刻として保持する。
【0084】
食事データ解析部121は、前回の食事の終了時刻を、活動データ解析部122に送出する。食事データ解析部121は、得られた要因候補の値と、その要因候補の値が得られた時刻との組み合わせを、アクセス部124に送出する。食事データ解析部121は、要因候補の値が得られた食事の時刻を、要因候補の値が得られた時刻をとする。食事データ解析部121は、例えば食事の開始時刻、または、食事の終了時刻等の、あらかじめ定められた食事に関する時刻を、食事の時刻とする。
【0085】
食事データ解析部121については、後で詳細に説明する。
【0086】
<<<活動データ解析部122>>>
活動データ解析部122は、活動データ受付部113から、運動の状態を表すデータを受け取る。活動データ解析部122は、食事データ解析部121から、前回の食事の終了時刻を受け取る。
【0087】
活動データ解析部122は、運動の状態を表すデータから、運動の量を表す情報(例えば、歩数)を、要因候補の1つの値として抽出する。活動データ解析部122は、運動の状態を表すデータから、運動の開始時刻を抽出する。活動データ解析部122は、運動の開始時刻に最も近い食事の終了時刻から、運動の開始時刻までの時間を、要因候補の1つの値として算出する。活動データ解析部122は、食事データ解析部121から受け取った、前回の食事の終了時刻を、運動の開始時刻に最も近い食事の終了時刻として扱う。
【0088】
活動データ解析部122は、得られた要因候補の値と、その要因候補の値が得られた時刻と、の組み合わせを、アクセス部124に送出する。活動データ解析部122は、要因候補の値が抽出された運動の時刻を、その要因候補の値が得られた時刻とする。活動データ解析部122は、例えば、運動の開始時刻又は運動の終了時刻などの、あらかじめ定められた運動に関する時刻を、その運動の時刻とする。
【0089】
<<<睡眠データ解析部123>>>
睡眠データ解析部123は、睡眠データ受付部114から、睡眠の状態を示すデータを受け取る。
【0090】
睡眠データ解析部123は、受け取った睡眠の状態を示すデータから、睡眠の合計時間、覚醒状態の時間、及び、深さごとの睡眠時間の各々を、要因候補の1つの値として算出する。
【0091】
睡眠データ解析部123は、得られた要因候補の値と、その要因候補の値が得られた時刻と、の組み合わせを、アクセス部124に送出する。睡眠データ解析部123は、要因候補が算出された睡眠の時刻を、その要因候補の時刻とする。睡眠データ解析部123は、例えば、睡眠の開始時刻又は睡眠の終了時刻などの、あらかじめ定められた睡眠に関する時刻を、その睡眠の時刻とする。
【0092】
<<<アクセス部124>>>
アクセス部124は、食事データ解析部121、活動データ解析部122、及び、睡眠データ解析部123の各々から、要因候補の値とその要因候補の値が得られた時刻と、の組み合わせを受け取る。アクセス部124は、受け取った、要因候補の値とその要因候補の値が得られた時刻と、の組み合わせを、要因データ記憶部130に格納する。
【0093】
<<<食事データ解析部121の詳細>>>
次に、食事データ解析部121について詳細に説明する。
【0094】
図6は、食事データ解析部121の詳細な構成の例を表すブロック図である。
図6に示す例では、食事データ解析部121は、栄養分析部1211と、野菜量推定部1216と、食事動作解析部1217とを含む。
【0095】
<<<栄養分析部1211>>>
栄養分析部1211は、メニュー判定部1212と、栄養素情報推定部1213と、炭水化物指標算出部1214と、合計部1215とを含む。
【0096】
メニュー判定部1212は、食事データ受付部111から、食事の画像を受け取る。メニュー判定部1212は、食事に含まれる個別のメニューとその量(例えば重量)とを判定する。メニュー判定部1212は、例えば、あらかじめ機械学習によってトレーニングされた判別器によって、食事に含まれる個別のメニューとその量とを判定する。メニュー判定部1212は、例えば、以下の参考文献1に記載されている技術を使用して、食事に含まれる個別のメニューを判定してもよい。
【0097】
(参考文献1)特許第4989240号公報
また、メニュー判定部1212は、例えば、メニューごとの単位重量当たりの使用されている食材の量をあらかじめ保持している。メニュー判定部1212が保持しているメニューごとの単位重量当たりの食材の量は、例えば、あらかじめ求めておいたメニューごとの典型的な食材ごとの使用量(例えば重量)である。
【0098】
メニュー判定部1212は、受け取った食事に含まれるメニュー及びそのメニューの重量と、あらかじめ保持しているそのメニューの単位重量当たりの食材ごとの使用量と、に基づいて、そのメニューに使用されている個別の食材の使用量(例えば重量)を算出する。
【0099】
メニュー判定部1212は、食事に含まれる個別のメニューごとの、使用される食材の情報とその食材の重量の情報と(以下、食材情報と表記)を、栄養素情報推定部1213に送出する。
【0100】
メニュー判定部1212は、各食材の分類(少なくとも、野菜に分類される食材の情報)を保持している。そして、メニュー判定部1212は、事に含まれる個別のメニューごとの、使用される食材のうち、野菜に分類される食材を特定する。
【0101】
メニュー判定部1212は、食事に含まれる個別のメニューごとの、使用される、野菜に分類される食材の情報と、その食材の使用量(例えば重量)の情報とを、野菜量推定部1216に送出する。
【0102】
栄養素情報推定部1213は、メニュー判定部1212から、食材情報を受け取る。栄養素情報推定部1213は、例えばメニューごとに、メニューのカロリーと、メニューに含まれる栄養素とを推定する。
【0103】
栄養素情報推定部1213は、更に、食材ごとのカロリーと栄養素の含有量とをあらかじめ保持している。栄養素情報推定部1213が保持しているカロリー及び栄養素の含有量は、例えば、あらかじめ求めておいた食材ごとの典型的なカロリー及び栄養素の含有量である。
【0104】
栄養素情報推定部1213は、さらに、食事に含まれる個別のメニューに使用されている個別の食材の使用量と、あらかじめ保持している食材ごとの単位授受量当たりのカロリー及び栄養素の含有量に基づいて、食事のカロリー及び栄養素の含有量を推定する。栄養素情報推定部1213は、例えば、食事に含まれる個別のメニューに含まれる食材ごとに、食事のカロリー及び栄養素の含有量を推定する。栄養素の含有量の単位は、栄養素ごとに定義されている単位である。含有量が推定される栄養素の種類は、あらかじめ定められている。また、含有量が推定される栄養素の一つは、炭水化物である。
【0105】
栄養素情報推定部1213は、例えば、上記参考文献1に記載されている技術を使用して、食事ごとの栄養素の量を推定してもよい。
【0106】
栄養素情報推定部1213は、食事に含まれる個別のメニューに使用される食材ごとのカロリーと栄養素の含有量とを、合計部1215に送出する。栄養素情報推定部1213は、食事に含まれる個別のメニューに使用される食材ごとの炭水化物の量を、炭水化物指標算出部1214に送出する。
【0107】
炭水化物指標算出部1214は、栄養素情報推定部1213から、食事に含まれる個別のメニューに使用される食材ごとの炭水化物の量を受け取る。
【0108】
炭水化物指標算出部1214は、食材ごとに、炭水化物の含有量の合計を算出する。炭水化物指標算出部1214は、食材ごとのグリセミックインデックス値(Glycemic Index値;GI値)をあらかじめ保持している。炭水化物指標算出部1214は、食材ごとの含有量とGI値に基づいて、食材ごとのGL値を算出する。GL値は、含有量とGI値の積を100で割ることにより得られる値である。具体的には、炭水化物指標算出部1214は、食材ごとに、含有量とGI値の積を100で割ることにより、GL値を算出する。炭水化物指標算出部1214は、食材ごとのGL値を、合計部1215に送出する。
【0109】
合計部1215は、栄養素情報推定部1213から、食事に含まれる個別のメニューに使用される食材ごとのカロリーと栄養素の含有量とを受け取る。合計部1215は、炭水化物指標算出部1214から、食材ごとのGL値を受け取る。合計部1215は、受け取ったカロリーの合計と、受け取った栄養素ごとの含有量の合計と、受け取ったGL値の合計とを算出する。
【0110】
合計部1215は、受け取ったカロリーの合計と、受け取った栄養素ごとの含有量の合計と、受け取ったGL値の合計とを、要因候補の値としてアクセス部124に送出する。
【0111】
<<<野菜量推定部1216>>>
野菜量推定部1216は、食事行動情報受付部112から、対象者の食事の順番を示すデータを受け取る。対象者の食事の順番を示すデータは、例えば、最初に野菜を摂取したか否かを表す情報である。
【0112】
野菜量推定部1216は、さらに、メニュー判定部1212から、メニュー判定部1212は、食事に含まれる個別のメニューごとの、使用される、野菜に分類される食材の情報と、その食材の使用量(例えば重量)の情報とを受け取る。
【0113】
野菜量推定部1216は、さらに、後述の食事動作検出部1218から、最初に摂取したメニューの情報を受け取る。
【0114】
対象者の食事の順番を示すデータが、最初に野菜を摂取していないことを示している場合、野菜量推定部1216は、最初に摂取した野菜の量を0に設定する。
【0115】
対象者の食事の順番を示すデータが、最初に野菜を摂取したことを示している場合、野菜量推定部1216は、あらかじめ定められている方法で、最初に摂取した野菜の量を推定する。野菜量推定部1216は、例えば、最初に摂取したメニューに含まれる、野菜に分類される食材の使用量に、所定係数を掛けることによって得らえる重量を、最初に摂取した野菜の量とする。所定係数は、あらかじめ定められている値である。所定係数は、例えば、あらかじめ実験的に得ておいた、最初に摂取されるメニューが最初に摂取される割合の統計値(例えば平均値、中央値、又は、中間値等)である。所定係数は他の方法によって定められていてもよい。所定係数は、1に設定されていてもよい。
【0116】
野菜量推定部1216は、最初に摂取した野菜の量を、要因候補の1つの値として、アクセス部124に送出する。
【0117】
<<<食事動作解析部1217>>>
食事動作解析部1217は、食事動作検出部1218と、食事動作情報算出部1219とを含む。
【0118】
食事動作検出部1218は、食事データ受付部111から、食事中の対象者の映像を受け取る。食事中の対象者の映像には、例えばフレームごとに、撮影された時刻の情報が含まれる。
【0119】
食事動作検出部1218は、受け取った映像において、食事の開始時刻と食事の終了時刻とを特定する。食事動作検出部1218は、例えば、映像の撮影の開始の時刻を、食事の開始時刻とする。食事動作検出部1218は、例えば、映像の撮影の終了の時刻を、食事の終了時刻とする。食事動作検出部1218は、映像において、既存の画像認識の技術を使用して、食事が開始されたフレームを決定し、特定したフレームが撮影された時刻を、食事の開始時刻としてもよい。食事動作検出部1218は、映像において、既存の画像認識の技術を使用して、食事が終了したフレームを決定し、特定したフレームが撮影された時刻を、食事の終了時刻としてもよい。
【0120】
また、食事動作検出部1218は、既存の画像認識の技術を使用して、食事中の対象者の映像において、対象者が食事を摂取する回数(すなわち、対象者が食物を口に運ぶ回数)と、対象者が咀嚼する回数とを判定する。
【0121】
食事動作検出部1218は、食事の開始時刻及び終了時刻と、食物を口に運ぶ回数と、咀嚼の回数とを、食事動作情報算出部1219に送出する。
【0122】
食事動作検出部1218は、既存の画像認識の技術を使用して、食事中の対象者の映像において、対象者が最初に摂取したメニューを判定する。
【0123】
食事動作検出部1218は、対象者が最初に摂取したメニューの情報を、野菜量推定部1216に送出する。
【0124】
食事動作情報算出部1219は、食事動作検出部1218から、食事の開始時刻及び終了時刻と、食物を口に運ぶ回数と、咀嚼の回数とを受け取る。受け取った食事の開始時刻を、今回の食事の開始時刻と表記する。受け取った食事の終了時刻を、今回の食事の終了時刻と表記する。また、食事動作情報算出部1219は、前回の食事の終了時刻の情報を保持している。
【0125】
食事動作情報算出部1219は、食事の間隔を、要因候補の値の1つとして算出する。食事動作情報算出部1219は、保持している前回の食事の終了時刻と、受け取った食事の開始時刻(すなわち、今回の食事の開始時刻)との間の時間を、食事の間隔として算出する。
【0126】
食事動作情報算出部1219は、食物を口に運ぶ回数(言い換えると、一口の回数)と、咀嚼の回数とから、一口当たりの咀嚼の回数を、要因候補の値の1つとして算出する。
【0127】
食事動作情報算出部1219は、食事の間隔と、一口当たりの咀嚼の回数とを、要因候補の値として、アクセス部124に送出する。食事動作情報算出部1219は、さらに、保持している、前回の食事の終了時刻を、活動データ解析部122に送出する。
【0128】
前回の食事の終了時刻を活動データ解析部122に送出した後、食事動作情報算出部1219は、保持している前回の食事の終了時刻を、今回の食事の終了時刻によって置き換える。言い換えると、食事動作情報算出部1219は、今回の食事の終了時刻を、前回の食事の終了時刻として保持する。
【0129】
<センサ付端末200の実装例>
次に、上述のセンサ付端末200の実装例について説明する。
【0130】
図7は、第1の実施形態に係るセンサ付端末200の実装例を表すブロック図である。
図7に示す例では、センサ付端末200は、携帯端末201と、ウェアラブル端末202と、血糖値センシング装置203とを含む。携帯端末201は、ウェアラブル端末202及び血糖値センシング装置203の各々と、例えば近距離無線通信によって通信することができる。上述のように、センサ付端末200は、要因推定装置100と、例えば無線通信によって通信することもできる。
図7に示す画像センサ210、入力部220、活動状態センサ230、睡眠状態センサ240、血糖値センサ250は、それぞれ、
図3に示す、これらの構成要素と同じ名称及び符号が付与されている構成要素と同じである。
【0131】
<<携帯端末201>>
携帯端末201は、画像センサ210と、入力部220と、制御部260と第1通信部280と、第2通信部290とを含む。携帯端末201は、例えば、スマートフォンである。画像センサ210は、例えば、スマートフォンに搭載されているカメラである。入力部220は、例えば、タッチパネルである。
【0132】
<<制御部260>>
制御部260は、画像センサ210から映像および画像を受け取り、受け取った第1通信部280を介して要因推定装置100に送信する。制御部260は、入力部220によって入力された、野菜を最初に摂取したか否かを表す情報を、第1通信部280を介して要因推定装置100に送信する。
【0133】
制御部260は、活動状態センサ230によって取得された対象者の運動の状態を表すデータを、後述のウェアラブル端末202のインタフェース部272と第2通信部290とを介して受け取る。制御部260は、運動の状態を表すデータの要求を、ウェアラブル端末202に送信し、要求に応じて送信された運動の状態を表すデータを受け取ってもよい。制御部260は、運動の状態を表すデータの要求なしに、ウェアラブル端末202から送信された運動の状態を表すデータを受け取ってもよい。制御部260は、受け取った運動の状態を表すデータを、第1通信部280を介して要因推定装置100に送信する。
【0134】
制御部260は、睡眠状態センサ240によって取得された対象者の睡眠の状態を表すデータを、後述のウェアラブル端末202のインタフェース部272と第2通信部290とを介して受け取る。制御部260は、睡眠の状態を表すデータの要求を、ウェアラブル端末202に送信し、要求に応じて送信された睡眠の状態を表すデータを受け取ってもよい。制御部260は、睡眠の状態を表すデータの要求なしに、ウェアラブル端末202から送信された睡眠の状態を表すデータを受け取ってもよい。制御部260は、受け取った睡眠の状態を表すデータを、第1通信部280を介して要因推定装置100に送信する。
【0135】
制御部260は、血糖値センサ250によって測定された対象者の血糖値のデータを、インタフェース部273と第2通信部290とを介して血糖値センシング装置203から受け取る。制御部260は、血糖値のデータの要求を、血糖値センシング装置203に送信し、要求に応じて送信された血糖値のデータを受け取ってもよい。制御部260は、血糖値のデータの要求なしに、血糖値センシング装置203から送信された血糖値のデータを受け取ってもよい。制御部260は、受け取った対象者の血糖値のデータを、第1通信部280を介して要因推定装置100に送信する。
【0136】
制御部260は、要因推定装置100の出力部170から、血糖値スパイクの要因の情報を受け取り、血糖値スパイクの要因の情報を、入力部220としても動作するタッチパネルに表示してもよい。なお、
図1に示す例では、出力部170とセンサ付端末200との間の線は省略されている。
【0137】
<<第1通信部280>>
第1通信部280は、例えば制御部260の制御に従って、無線通信によって要因推定装置100との通信を行う通信インタフェースである。
【0138】
<<第2通信部290>>
第2通信部290は、例えば制御部260の制御に従って、近距離無線通信などの無線通信によってウェアラブル端末202及び血糖値センシング装置203との通信を行う通信インタフェースである。
【0139】
<<ウェアラブル端末202>>
ウェアラブル端末202は、活動状態センサ230と、睡眠状態センサ240と、インタフェース部272とを含む。
【0140】
<<インタフェース部272>>
インタフェース部272は、携帯端末201(具体的には、第2通信部290)との間で、例えば近距離無線通信によって通信を行うインタフェースである。
【0141】
インタフェース部272は、活動状態センサ230が取得した、対象者の運動の状態を表すデータを、携帯端末201に(具体的には、第2通信部290を介して制御部260に)送信する。インタフェース部272は、携帯端末201からの要求に応じて、対象者の運動の状態を表すデータを携帯端末201に送信してもよい。インタフェース部272は、対象者の運動の状態を表すデータが得られた場合に、その対象者の運動の状態を表すデータを携帯端末201に送信してもよい。インタフェース部272は、例えばあらかじめ定められているタイミングで、得られている対象者の運動の状態を表すデータを携帯端末201に送信してもよい。
【0142】
インタフェース部272は、睡眠状態センサ240が取得した、対象者の睡眠の状態を表すデータを、携帯端末201に(具体的には、第2通信部290を介して制御部260に)送信する。インタフェース部272は、携帯端末201からの要求に応じて、対象者の睡眠の状態を表すデータを携帯端末201に送信してもよい。インタフェース部272は、対象者の睡眠の状態を表すデータが得られた場合に、その対象者の睡眠の状態を表すデータを携帯端末201に送信してもよい。インタフェース部272は、例えばあらかじめ定められているタイミングで、得られている対象者の睡眠の状態を表すデータを携帯端末201に送信してもよい。
【0143】
<<血糖値センシング装置203>>
血糖値センシング装置203は、血糖値センサ250とインタフェース部273とを含む。
【0144】
<<インタフェース部273>>
インタフェース部273は、携帯端末201(具体的には、第2通信部290)との間で、例えば近距離無線通信によって通信を行うインタフェースである。
【0145】
インタフェース部273は、血糖値センサ250が取得した、対象者の血糖値のデータを、携帯端末201に(具体的には、第2通信部290を介して制御部260に)送信する。インタフェース部273は、携帯端末201からの要求に応じて、対象者の血糖値のデータを携帯端末201に送信してもよい。インタフェース部273は、例えばあらかじめ定められているタイミングで、得られている対象者の血糖値のデータを携帯端末201に送信してもよい。
【0146】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0147】
<構成>
図8は、本実施形態に係る要因推定装置101の構成の例を表すブロック図である。
【0148】
図8に示す例では、要因推定装置101は、血糖値データ取得部140と、検出部150と、推定部160と、出力部170と、を備える。血糖値データ取得部140は、対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する。検出部150は、前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する。推定部160は、前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する。出力部170は、推定された前記要因を出力する。血糖値のスパイクは、第1の実施形態の血糖値スパイクを表す。推定部160は、第1の実施形態の推定部160と同様の方法で、血糖値スパイクの要因を推定する。その場合、要因推定装置101(具体的には、例えば、推定部160又は
図8には示されない記憶部)が、複数の要因候補の各々の分布と、要因候補の各々の最新の値とを保持している。推定部160は、第1の実施形態の推定部160と同様の方法で、要因候補の最新の値の、その要因候補の値の分布(具体的には、分布の代表値)からの管理の大きさを表す指標に基づいて、複数の要因候補から血糖値スパイクの要因を推定する。
【0149】
<動作>
図9は、本実施形態に係る要因推定装置101の動作の例を表すフローチャートである。
【0150】
図9に示す例では、血糖値データ取得部140が、血糖値データを受け取る(ステップS104)。検出部150が、血糖値データにおいて、血糖値のスパイク、すなわち、血糖値スパイクを検出する(ステップS105)。血糖値スパイクが検出されなかった場合(ステップS106においてNO)、要因推定装置101の動作は、ステップS104に戻る。
【0151】
血糖値スパイクが検出された場合(ステップS106においてYES)、推定部160が、血糖値スパイクの要因を推定する(ステップS208)。上述のように、推定部160は、第1の実施形態の推定部160と同様の方法で、血糖値スパイクの要因を推定する。推定部160は、ステップS208において、あらかじめ保持している、複数の要因候補の各々の分布と、要因候補の各々の最新の値とに基づいて、
図2に示すステップS108と同様の動作を行ってもよい。
【0152】
出力部170は、血糖値スパイクの、推定された要因を出力する(ステップS109)。
【0153】
<効果>
本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0154】
<他の実施形態>
本開示の実施形態に係る要因推定装置100及び要因推定装置101は、記憶媒体から読み出されたプログラムがロードされたメモリと、そのプログラムを実行するプロセッサとを含むコンピュータによって実現することができる。要因推定装置100及び要因推定装置101は、専用のハードウェアによって実現することもできる。要因推定装置100及び要因推定装置101は、前述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによって実現することもできる。
【0155】
図10は、本開示の実施形態に係る要因推定装置を実現することができる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。
図10に示す例では、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、センサ付端末200にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係る要因推定装置として動作させるプログラムが格納されている。
【0156】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係る要因推定装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、本開示の実施形態に係る要因推定装置として動作する。
【0157】
要因データ受付部110、要因データ解析部120、血糖値データ取得部140、検出部150、推定部160、及び、出力部170は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現することができる。また、要因データ記憶部130、及び、血糖値データ記憶部180は、コンピュータ1000が含むメモリ1002やハードディスク装置等の記憶装置1003により実現することができる。あるいは、要因データ受付部110、要因データ解析部120、要因データ記憶部130、血糖値データ取得部140、検出部150、推定部160、出力部170、及び、血糖値データ記憶部180の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。
【0158】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0159】
(付記1)
対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する血糖値データ取得手段と、
前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する検出手段と、
前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する推定手段と、
推定された前記要因を出力する出力手段と、
を含む要因推定装置。
【0160】
(付記2)
前記推定手段は、前記複数の要因候補の各々の状態を表す状態値の分布と、前記スパイクが検出される前の所定期間における前記複数の要因候補の状態値とに基づいて、前記複数の要因候補から前記要因を推定する
付記1に記載の要因推定装置。
【0161】
(付記3)
前記推定手段は、前記要因候補の前記状態値の、前記要因候補の前記分布の基準値からの乖離の度合いを表す指標の値に基づいて、少なくとも1つの前記要因候補を選択する
付記2に記載の要因推定装置。
【0162】
(付記4)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の運動の状態を表す
付記1乃至3のいずれか1項に記載の要因推定装置。
【0163】
(付記5)
前記運動の状態は、運動の量、又は、食事と運動との間の時間である
付記4に記載の要因推定装置。
【0164】
(付記6)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の睡眠の状態を表す
付記1乃至5のいずれか1項に記載の要因推定装置。
【0165】
(付記7)
前記睡眠の状態は、睡眠の深さと当該深さにおける睡眠の時間の長さとの組み合わせである
付記6に記載の要因推定装置。
【0166】
(付記8)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の食事の状態を表す
付記1乃至7のいずれか1項に記載の要因推定装置。
【0167】
(付記9)
前記食事の状態は、食事によって摂取された栄養成分の量、又は、食事の行動の情報である
付記8に記載の要因推定装置。
【0168】
(付記10)
対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得し、
前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出し、
前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定し、
推定された前記要因を出力する、
要因推定方法。
【0169】
(付記11)
前記複数の要因候補の各々の状態を表す状態値の分布と、前記スパイクが検出される前の所定期間における前記複数の要因候補の状態値とに基づいて、前記複数の要因候補から前記要因を推定する
付記10に記載の要因推定方法。
【0170】
(付記12)
前記要因候補の前記状態値の、前記要因候補の前記分布の基準値からの乖離の度合いを表す指標の値に基づいて、少なくとも1つの前記要因候補を選択する
付記11に記載の要因推定方法。
【0171】
(付記13)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の運動の状態を表す
付記10乃至12のいずれか1項に記載の要因推定方法。
【0172】
(付記14)
前記運動の状態は、運動の量、又は、食事と運動との間の時間である
付記13に記載の要因推定方法。
【0173】
(付記15)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の睡眠の状態を表す
付記10乃至14のいずれか1項に記載の要因推定方法。
【0174】
(付記16)
前記睡眠の状態は、睡眠の深さと当該深さにおける睡眠の時間の長さとの組み合わせである
付記15に記載の要因推定方法。
【0175】
(付記17)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の食事の状態を表す
付記10乃至16のいずれか1項に記載の要因推定方法。
【0176】
(付記18)
前記食事の状態は、食事によって摂取された栄養成分の量、又は、食事の行動の情報である
付記17に記載の要因推定方法。
【0177】
(付記19)
対象者の血糖値の推移を表す血糖値データを取得する血糖値データ取得処理と、
前記血糖値データから血糖値のスパイクを検出する検出処理と、
前記スパイクが検出された場合、前記対象者の状態をそれぞれ表す複数の要因候補から、前記複数の要因候補の各々の値の、当該値の分布からの乖離の大きさに基づいて、前記スパイクの要因を推定する推定処理と、
推定された前記要因を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0178】
(付記20)
前記推定処理は、前記複数の要因候補の各々の状態を表す状態値の分布と、前記スパイクが検出される前の所定期間における前記複数の要因候補の状態値とに基づいて、前記複数の要因候補から前記要因を推定する
付記19に記載のプログラム。
【0179】
(付記21)
前記推定処理は、前記要因候補の前記状態値の、前記要因候補の前記分布の基準値からの乖離の度合いを表す指標の値に基づいて、少なくとも1つの前記要因候補を選択する
付記20に記載のプログラム。
【0180】
(付記22)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の運動の状態を表す
付記19乃至21のいずれか1項に記載のプログラム。
【0181】
(付記23)
前記運動の状態は、運動の量、又は、食事と運動との間の時間である
付記22に記載のプログラム。
【0182】
(付記24)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の睡眠の状態を表す
付記19乃至23のいずれか1項に記載のプログラム。
【0183】
(付記25)
前記睡眠の状態は、睡眠の深さと当該深さにおける睡眠の時間の長さとの組み合わせである
付記24に記載のプログラム。
【0184】
(付記26)
前記複数の要因候補の少なくともいずれか1つは、前記対象者の食事の状態を表す
付記19乃至25のいずれか1項に記載のプログラム。
【0185】
(付記27)
前記食事の状態は、食事によって摂取された栄養成分の量、又は、食事の行動の情報である
付記26に記載のプログラム。
【0186】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0187】
1 要因推定システム
100 要因推定装置
101 要因推定装置
110 要因データ受付部
111 食事データ受付部
112 食事行動情報受付部
113 活動データ受付部
114 睡眠データ受付部
120 要因データ解析部
121 食事データ解析部
122 活動データ解析部
123 睡眠データ解析部
124 アクセス部
130 要因データ記憶部
140 血糖値データ取得部
150 検出部
160 推定部
170 出力部
180 血糖値データ記憶部
200 センサ付端末
201 携帯端末
202 ウェアラブル端末
203 血糖値センシング装置
210 画像センサ
220 入力部
230 活動状態センサ
240 睡眠状態センサ
250 血糖値センサ
260 制御部
272 インタフェース部
273 インタフェース部
280 第1通信部
290 第2通信部
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体
1211 栄養分析部
1212 メニュー判定部
1213 栄養素情報推定部
1214 炭水化物指標算出部
1215 合計部
1216 野菜量推定部
1217 食事動作解析部
1218 食事動作検出部
1219 食事動作情報算出部