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特許7552141情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20240910BHJP
   G06F 3/08 20060101ALI20240910BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G06F3/06 306Z
G06F3/06 304N
G06F3/06 540
G06F3/08 H
G06F11/34 185
G06F11/34 152
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020140329
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035779
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 賢一
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528174(JP,A)
【文献】特開2016-012287(JP,A)
【文献】特開2015-129998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06
G06F 3/08
G06F 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記憶装置と第2記憶装置それぞれは、データの書き換え回数に上限が設けられた記憶装置であり、
前記記憶装置の寿命は、使用可能な使用時間であり、
前記第1記憶装置と前記第2記憶装置のそれぞれから取得した解析情報に基づいて前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得し、システムが稼働してから所定時間毎の前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の前記所定時間に基づく規定値と、取得した前記差分とを比較し、前記差分が前記規定値未満であるか否かを判別する判別部と、
前記差分が前記規定値未満である場合に1つの記憶装置にダミーデータを書き込む制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記差分が前記規定値未満である場合にデータを書き込みする記憶装置を選択する選択部を更に備え、
前記選択部は、
前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分が所定値未満の場合にスロット番号の大きい方の記憶装置を選択し、前記差分が所定値以上である場合に寿命が短い側の記憶装置を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
第1記憶装置と第2記憶装置との構成を認識する認識部を更に備え、
前記認識部は、前記構成が複数台の記憶装置に同時に同じ内容を書き込む構成であることを認識した後に、前記判別部に前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得するように指示する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判別部は、前記第1記憶装置と前記第2記憶装置に書き込まれた量に応じて、前記所定時間を前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の使い始め初期より短くする
請求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記第1記憶装置と前記第2記憶装置に書き込まれた量に応じて、前記所定時間を短くしていく、
請求項1から請求項4のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
データの書き換え回数に上限が設けられた第1記憶装置と第2記憶装置とを制御する情報処理装置における情報処理方法であって、
記憶装置の寿命は、使用可能な使用時間であり、
前記情報処理装置が、前記第1記憶装置と前記第2記憶装置のそれぞれから取得した解析情報に基づいて前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得し、
前記情報処理装置が、システムが稼働してから所定時間毎の前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の前記所定時間に基づく規定値と、取得した前記差分とを比較し、
前記情報処理装置が、前記差分が前記規定値未満であるか否かを判別し、
前記情報処理装置が、前記差分が前記規定値未満である場合に1つの記憶装置にダミーデータを書き込む、
情報処理方法。
【請求項7】
データの書き換え回数に上限が設けられた第1記憶装置と第2記憶装置とを制御する情報処理装置のコンピュータに、
記憶装置の寿命は、使用可能な使用時間であり、
前記第1記憶装置と前記第2記憶装置のそれぞれから取得した解析情報に基づいて前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得させ、
システムが稼働してから所定時間毎の前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の前記所定時間に基づく規定値と、取得した前記差分とを比較させ前記差分が前記規定値未満であるか否かを判別させ、
前記差分が前記規定値未満である場合に1つの記憶装置にダミーデータを書き込ませる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SSD(Solid State Drive)の普及に伴い、SSDでRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)構成を組んだシステムも一般的となっている。SSDには、書き換え回数に上限がある。SSDをRAID1構成で使用した場合は、2台のSSDに対して同じデータを書き込むため、書き換え回数に基づく寿命がほぼ同時期である。
【0003】
これに対して、データの書き換えが可能な残りの書き込み可能量の差分が予め定められた値未満の場合に、差分が予め定められた値以上となるように記憶装置を制御することで、2つの記憶装置の寿命の到来時期をずらすミラーリング装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。なお、予め定められた値は、ホストがどの程度SSDにアクセスするかに依存する値であり、ホストから取得される値である。特許文献1に記載の技術では、マスタとスレーブの各々の書き込み可能量の差分Dが予め定められた値Tとに基づいて、マスタやスレーブに書き込むタイミングを遅延させたり、スレーブに書き込む回数を増やしたりすることで、差分が予め定められた値以上となるように記憶装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-129998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、予め定められた値が、ホストがどの程度SSDにアクセスするかに依存する値であり、ホストから取得される値であるため、2つの記憶装置の寿命の到来時期を適切にずらせ無い場合もあった。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題を解決する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、情報処理装置は、第1記憶装置と第2記憶装置それぞれは、データの書き換え回数に上限が設けられた記憶装置であり、前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得し、システムが稼働してから所定時間毎の前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の前記所定時間における使用率の平均値または最大値である規定値と、取得した前記差分とを比較し、前記差分が前記規定値未満であるか否かを判別する判別部と、前記差分が前記規定値未満である場合に、少なくとも1つの記憶装置にデータを書き込む制御部と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の別の態様によれば、情報処理方法は、データの書き換え回数に上限が設けられた第1記憶装置と第2記憶装置とを制御する情報処理装置における情報処理方法であって、前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得し、システムが稼働してから所定時間毎の前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の前記所定時間における使用率の平均値または最大値である規定値と、取得した前記差分とを比較し、前記差分が前記規定値未満であるか否かを判別し、前記差分が前記規定値未満である場合に、少なくとも1つの記憶装置にデータを書き込む。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の別の態様によれば、プログラムは、データの書き換え回数に上限が設けられた第1記憶装置と第2記憶装置とを制御する情報処理装置のコンピュータに、前記第1記憶装置の寿命と前記第2記憶装置の寿命との差分を取得させ、システムが稼働してから所定時間毎の前記第1記憶装置と前記第2記憶装置の前記所定時間における使用率の平均値または最大値である規定値と、取得した前記差分とを比較させ、前記差分が前記規定値未満であるか否かを判別させ、前記差分が前記規定値未満である場合に、少なくとも1つの記憶装置にデータを書き込ませる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の各態様によれば、データの書き換え回数に上限が設けられた記憶装置の寿命の到来時期を適切にずらすことができので、記憶装置が同時に寿命を迎えることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による情報処理装置の最小構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理装置が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態による情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】第2実施形態に係る情報処理装置が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態による情報処理装置システムの構成の一例を示すブロック図である。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態による情報処理装置の最小構成を示すブロック図である。図1のように、情報処理装置1は、判別部11および制御部12を備えている。また、情報処理装置1には、第1記憶装置2、および第2記憶装置3が接続される。
【0014】
第1記憶装置2と第2記憶装置3それぞれは、データの書き換え回数に上限が設けられた記憶装置である。第1記憶装置2と第2記憶装置3それぞれは、例えば、不揮発性メモリにより構成される記憶装置の一例であり、例えばSSD(Solid State Drive)である。以下の例では、第1記憶装置2と第2記憶装置3は、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)構成であり、RAIDレベルが例えばRAID1である。実施形態において、例えば、第1記憶装置2はスロット1に接続され、第2記憶装置3はスロット2に接続されているとする。
【0015】
情報処理装置1は、例えばRAIDコントローラである。
【0016】
判別部11は、第1記憶装置2の寿命と第2記憶装置の寿命との差分に関する情報を取得する。判別部11は、例えば、第1記憶装置2と第2記憶装置3それぞれのSMART(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)情報を取得し、取得した第1記憶装置2と第2記憶装置3それぞれのSMART情報を用いて、差分に関する情報を取得する。判別部11は、取得した差分と規定値とを比較し、差分が規定値未満であるか否かを判別する。判別部11は、差分が規定値未満である場合に、例えば、スロット番号の大きい方の記憶装置を、データ書き込み対象として選択するようにしてもよい。なお、寿命は、書き込み可能な記録容量、使用可能な使用時間のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0017】
制御部12は、差分が規定値未満である場合に、1つの記憶装置にデータ(例えばダミーデータ)を書き込むことで、差分が規定値以上となるように記憶装置を制御する。なお、書き込むデータ量は、差分が規定値以上となるデータ量である
【0018】
ここで、規定値は、例えば書き込み可能な最大容量に対して所定値(例えば5%)等であってもよい。また、規定値は、システムが稼働してから所定時間毎の第1記憶装置2と第2記憶装置3の所定時間における使用率の平均値または最大値であってもよい。また、規定値は、例えば、使用時間に応じて変更してもよく、書き込まれたに応じて変更してもよい。また、所定時間は、例えば一日、一週間、一ヶ月等であってもよく、所定を書き込んだ期間であってもよい。また、判別部11は、記憶装置に書き込まれたに応じて、所定時間を変化させるようにしてもよい。例えば、記憶装置の使い始めで書き込まれたが少なく所定値未満の場合、寿命への影響が小さいため、判別部11は、所定時間を長くするようにしてもよい。これに対して、記憶装置の使い始めで書き込まれたが多く所定値以上の場合、寿命への影響が大きいため、判別部11は、所定時間を初期より短くするようにしてもよい。このように、判別部11は、書き込まれたの増加に応じて、例えば所定時間を短くしていくことで基準値を変化させるようにしてもよい。
【0019】
次に、情報処理装置1が行う処理手順の一例を説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、情報処理装置1は、以下の処理を、例えば、所定の日時、所定のデータ量が書き込まれた後、所定の使用時間毎に行う。
【0020】
(ステップS1)判別部11は、第1記憶装置2の寿命と第2記憶装置の寿命との差分に関する情報を取得する。
【0021】
(ステップS2)判別部11は、取得した差分と規定値とを比較する。
【0022】
(ステップS3)判別部11は、差分が規定値未満であるか否かを判別する。判別部11は、差分が規定値未満であると判別した場合(ステップS3;YES)、ステップS4の処理に進める。判別部11は、差分が規定値以上であると判別した場合(ステップS3;NO)、処理を終了する。
【0023】
(ステップS4)制御部12は、差分が規定値未満である場合に、少なくとも1つの記憶装置にデータを書き込むことで、差分が規定値以上となるように記憶装置を制御する。
【0024】
以上、本実施形態による情報処理装置1について説明した。本実施形態では、取得した寿命の差分と規定値とを比較した結果、差分が規定値未満である場合に、少なくとも1つの記憶装置にデータを書き込むようにした。
【0025】
これにより、本実施形態によれば、差分が規定値以上となるように記憶装置を制御するので、データの書き換え回数に上限が設けられた記憶装置が同時に寿命を迎えることを防ぐことができる。本実施形態によれば、事前処理(ダミーデータ書き込み)が不要となるため、確実にSSDの同時故障を防ぐことが可能となる。本実施形態によれば、初期不良等のSSD交換で、寿命の差分が小さくなった場合にも対応できる。
【0026】
また、本実施形態では、規定値を、システムが稼働してから所定時間毎の第1記憶装置2と第2記憶装置3の所定時間における使用率の平均値または最大値とした。
これにより、本実施形態によれば、規定値が、ホストがどの程度SSDにアクセスするかに依存する値とした場合と比較して、SSDから取得される情報であるため精度を向上することができる。また、本実施形態によれば、規定値に統計的な値を用いることで、関連技術と比べて精度を向上することができる。
【0027】
<第2実施形態>
は、本実施形態による情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。図のように、情報処理装置1Aは、判別部11A、制御部12A、認識部13、選択部14、検出部15、および記憶部16を備えている。なお、第1実施形態と同様に、情報処理装置1Aには、第1記憶装置2、および第2記憶装置3が接続される。
【0028】
認識部13は、情報処理装置1Aに設定されているRAID構成を取得する。
【0029】
判別部11Aは、認識部13が確認した結果、RAID構成がRAID1の場合、第1記憶装置2の寿命と第2記憶装置の寿命との差分に関する情報を取得する。判別部11は、取得した差分と規定値とを比較し、差分が規定値未満であるか否かを判別する。なお、規定値は第1実施形態と同様である。
【0030】
選択部14は、RAID構成がRAID1の場合かつ差分が規定値未満である場合に、データを書き込む記憶装置を選択する。選択部14は、第1記憶装置2と第2記憶装置3の寿命に差分が所定値未満の場合、例えばスロット番号の大きい方を選択する。または、選択部14は、差分が所定値以上である場合、寿命が短い側の記憶装置を選択する。
【0031】
検出部15は、選択部14が選択した記憶装置のアクセス状況を検出する。
【0032】
制御部12Aは、RAID構成がRAID1の場合かつ差分が規定値未満である場合かつ選択された記憶装置にアクセスが無い場合に、例えばダミーデータを書き込むことで、差分が規定値以上となるように記憶装置を制御する。
【0033】
記憶部16は、固定値である規定値、またはシステムが稼働してから所定時間毎の第1記憶装置2と第2記憶装置3の所定時間における使用率の平均値または最大値である規定値を記憶する。なお、規定値は、判別部11Aが記憶するようにしてもよい。記憶部16は、ダミーデータを書き込む記憶装置を示す情報(例えば識別情報)を記憶する。
【0034】
次に、情報処理装置1Aが行う処理手順の一例を説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置1Aが行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0035】
(ステップS11)認識部13は、情報処理装置1Aに設定されているRAID構成を取得する。
【0036】
(ステップS12)認識部13は、RAID構成がRAID1であるか否かを判別する。認識部13は、RAID構成がRAID1であると判別した場合(ステップS12;YES)、ステップS1の処理に進める。認識部13は、RAID構成がRAID1ではないと判別した場合(ステップS12;NO)、処理を終了する。
【0037】
(ステップS1~S2)情報処理装置1Aは、RAID構成がRAID1と認識された後に、ステップS1~S2の処理を行う。
【0038】
(ステップS13)判別部11Aは、差分が規定値未満であるか否かを判別する。判別部11Aは、差分が規定値未満であると判別した場合(ステップS13;YES)、ステップS14の処理に進める。判別部11Aは、差分が規定値以上であると判別した場合(ステップS13;NO)、ステップS1の処理に戻す。
【0039】
(ステップS14)選択部14は、ダミーデータを書き込む記憶装置を選択済みであるか否かを判別する。選択部14は、ダミーデータを書き込む記憶装置を選択済みであると判別した場合(ステップS14;YES)、ステップS16の処理に進める。選択部14は、ダミーデータを書き込む記憶装置を選択済みではないと判別した場合(ステップS14;NO)、ステップS15の処理に進める。
【0040】
(ステップS15)選択部14は、ダミーデータを書き込む記憶装置を選択する。
【0041】
(ステップS16)検出部15は、選択部14が選択した記憶装置がアクセス中であるか否かを検出する。検出部15は、選択された記憶装置がアクセス中である場合(ステップS16;YES)、ステップS16の処理を繰り返す。検出部15は、選択された記憶装置がアクセス中である場合(ステップS16;NO)、ステップS17の処理に進める。
【0042】
(ステップS17)制御部12Aは、選択された記憶装置にダミーデータを書き込むことで、差分が規定値以上となるように記憶装置を制御する。処理後、制御部12Aは、ステップS1の処理に戻す。
【0043】
なお、情報処理装置1Aは、ステップS1~S17の処理を、例えば、所定の日時、所定のデータ量が書き込まれた後、所定の使用時間毎に行う。
【0044】
これにより、本実施形態によれば、出荷時のRAID構成が不明な場合であっても対応できる。本実施形態によれば、アクセスを待ってダミーデータを選択した記憶装置に書き込むことができる。本実施形態によれば、RAID1構成の記憶装置が同時に寿命を迎えデータ復旧不能となることを防ぐことができる。本実施形態によれば、人が行うRAID構成の確認と、事前処理(ダミーデータ書き込み)が不要となるため、確実にSSDの同時故障を防ぐことが可能となる。本実施形態によれば、初期不良等のSSD交換で、寿命の差分が小さくなった場合にも対応できる。
【0045】
<情報処理装置の他の構成例>
次に、情報処理装置の他の構成例を説明する。
図5は、実施形態による情報処理装置システムの構成の一例を示すブロック図である。図5のように、情報処理装置システム10は、CPU(中央演算装置)5、情報処理装置1B、第1記憶装置2、および第2記憶装置3を備えている。
情報処理装置1Bは、判別部11B、制御部12B、認識部13B、選択部14B、検出部15B、およびインターフェース16Bを備えている。
なお、情報処理装置1Bは、記憶部16を備えていてもよい。
【0046】
CPU5は、例えばPCI Expressインターフェース6を介して情報処理装置1Bと接続される。CPU5は、OS(Operating System)等のソフトウェアの命令に従い、記憶装置(第1記憶装置2、第2記憶装置3)へのアクセス要求を出す。
【0047】
情報処理装置1Bは、例えば、SAS(Serial Attached SCSI)またはSATA(Serial ATA)インターフェース7、8を介し第1記憶装置2、第2記憶装置3と接続される。情報処理装置1Bは、第1記憶装置2、第2記憶装置3を使用したRAIDの構築機能を持ち、CPU5の指示に従って第1記憶装置2、第2記憶装置3へアクセスする。
【0048】
認識部13Bは、情報処理装置1Bに設定された記憶装置のRAID構成を認識する。認識部13Bは、RAID構成がRAID1の場合、判別部11Bへ第1記憶装置2、第2記憶装置3の寿命を取得するよう指示する。
【0049】
判別部11Bは、第1記憶装置2、第2記憶装置3の寿命をインターフェース16Bを介し取得する。判別部11Bは、取得した寿命の差分が規定値未満の場合、データ書き込みする記憶装置を選択するよう指示を選択部14Bへ行う。
【0050】
選択部14Bは、データ書き込みする記憶装置を選択する。選択部14Bは、認識部13Bが取得した第1記憶装置2、第2記憶装置3の寿命に差分がない場合、例えば、スロット番号の大きい方の記憶装置を選択する。選択部14Bは、寿命に差分がある場合、寿命が短い側の記憶装置を選択する。選択部14Bは、すでにデータ書き込みする記憶装置を選択済みの場合、記憶装置の選択は省略し、記憶装置のアクセス状況を確認する指示を検出部15Bへ行う。
【0051】
検出部15Bは、インターフェース16Bを介して第1記憶装置2、第2記憶装置3のアクセス状況を確認する。検出部15Bは、記憶装置へのアクセスがない場合、選択した記憶装置へデータ書き込みする指示を制御部12Bへ行う。
【0052】
制御部12Bは、インターフェース16Bを介し選択部14Bが選択した記憶装置へ、例えばダミーデータを書き込む。なお、書き込むデータは、ダミーデータでなくてもよい。なお、本実施形態においても、制御部12Bは、差分が規定値以上となるように、第1記憶装置2、第2記憶装置3の両方にダミーデータを書き込むようにしてもよい。
【0053】
なお、情報処理装置1Bの処理手順は、第2実施形態の情報処理装置1Aと同様である。
【0054】
情報処理装置1Bでも、第1実施形態、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、上述した各実施形態において、2つの記憶装置によってRAID1構成が構成されている例を説明したが、構成台数は2つに限らず2つ以上であればよい。
【0056】
なお、上述した各実施形態では、第1記憶装置2と第2記憶装置3とのRAIDレベルがRAID1の例を説明したが、これに限らない。第1記憶装置2と第2記憶装置3とのRAIDレベルは、例えば、RAID01(0+1)、またはRAID10(1+0)であってもよい。このような場合、情報処理装置1(または1Aまたは1B)は、RAID1を構成している記憶装置の組み合わせを選択し、選択した記憶装置の組み合わせ毎に、上述した処理を行うようにしてもよい。
【0057】
このように、各実施形態において、上述したように寿命を取得して、例えばダミーデータを記憶装置へ書き込む処理は、複数台の記憶装置に同時に同じ内容を書き込む構成であればよい。
【0058】
なお、上述した各実施形態において、情報処理装置1(または1A、1B)は、OSで実現するソフトウェアRAID、Fake RAID(またはBIOS RAID)と呼ばれるチップセットの機能を利用したソフトウェアRAIDにも適用可能である。この場合、情報処理装置1(または1A、1B)は、CPU等で実現してもよい。
【0059】
上述の情報処理装置1(または1A、1B)は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した情報処理装置1(または1A、1B)が行う処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるようにしてもよい。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0060】
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。図6のように、コンピュータ100は、CPU101(ベクトルプロセッサ、コントローラを含む)、メインメモリ102、ストレージ103、インターフェース104を備える。
【0061】
例えば、上述の情報処理装置1(または1A、1B)は、コンピュータ100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ103に記憶されている。CPU101は、プログラムをストレージ103から読み出してメインメモリ102に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU101は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ102に確保する。
【0062】
ストレージ103の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ103は、コンピュータ100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース104または通信回線を介してコンピュータ100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ100が当該プログラムをメインメモリ102に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ103は、一時的でない有形の記録媒体である。
【0063】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ装置にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0065】
1,1A,1B…情報処理装置
2…第1記憶装置
3…第2記憶装置
11,11A,11B…判別部
12,12A,12B…制御部
13,13B…認識部
14,14B…選択部
15,15B…検出部
16…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6