(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
H04N1/60
(21)【出願番号】P 2020140414
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】針貝 潤吾
(72)【発明者】
【氏名】桑田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】平松 崇
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-061723(JP,A)
【文献】特開2008-154175(JP,A)
【文献】特開2018-160814(JP,A)
【文献】特開2015-200825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
色情報を含んだ画像データを取得し、
前記画像データに基づき記録媒体上に形成された画像である形成画像の色情報を取得し、
前記形成画像が形成された前記記録媒体である画像形成済み媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得し、
前記画像データに含まれる前記色情報である第1色情報と、前記形成画像の前記色情報である第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付け
、
表示対象の画像データから前記第1色情報を取得し、取得した当該第1色情報に対応する前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記画像データを構成する画素の色情報を、前記第1色情報として取得し、
前記第1色情報に基づき前記画像形成済み媒体上に形成された画素である形成画素の色情報を前記第2色情報として取得し、
前記画像形成済み媒体のうちの前記形成画素が形成された箇所における光の透過度合いについての情報を前記光透過度合い情報として取得し、
画素毎に取得する、前記第1色情報と、前記第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記画像形成済み媒体の背後に第1の背景が設置された状態で前記形成画像の読み取りが行われることにより得られた第1の読み取り結果と、当該画像形成済み媒体の背後に第1の背景とは異なる第2の背景が設置された状態で当該形成画像の読み取りが行われることにより得られた第2の読み取り結果とに基づき、前記光透過度合い情報を取得する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1の背景が設置された状態で前記形成画像の読み取りが行われることにより得られた前記第1の読み取り結果と、当該第1の背景とは明度が異なる前記第2の背景が設置された状態で当該形成画像の読み取りが行われることにより得られた前記第2の読み取り結果とに基づき、前記光透過度合い情報を取得する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記画像形成済み媒体上に形成された前記形成画像の色情報である前記第2色情報として、機種非依存性の色情報を取得し、
前記画像データに含まれる前記第1色情報と、機種非依存性の前記第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記画像データに基づき前記画像形成済み媒体上に形成された前記形成画像の色を測色器で読み取ることにより得られた読み取り結果を、前記機種非依存性の前記第2色情報として取得する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記画像データに基づき前記画像形成済み媒体上に形成された前記形成画像をスキャナ装置で読み取ることにより得られた読み取り結果である機種依存性の色情報を、機種非依存性の色情報に変換し、当該変換により得た当該機種非依存性の当該色情報を、前記機種非依存性の前記第2色情報として取得する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記形成画像が形成される前記記録媒体である形成媒体の光の透過度合いを示す情報である媒体光透過度合い情報をさらに取得し、
前記媒体光透過度合い情報に基づき、前記光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記形成画像が形成される前記記録媒体である形成媒体についての情報である媒体情報をさらに取得し、
入力された画像データである入力画像データを取得した場合、当該入力画像データの色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握し、
把握した前記第1色情報に対応付けられた前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得するとともに、前記媒体情報に基づき、取得した当該光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記媒体情報として、前記形成媒体の凹凸に関する情報を取得し、
前記入力画像データの画素毎に、当該画素の色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握するとともに、把握した当該第1色情報に対応付けられた前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得し、
前記形成媒体に前記入力画像データに基づく画像を形成することを想定した場合に当該形成媒体の凹部又は凸部に位置するようになる、当該入力画像データの画素を特定し、
前記凹部又は前記凸部に位置するようになる前記画素について取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記凹部に位置するようになる前記画素について取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が大きくなるように当該光透過度合い情報を変更し、
前記凸部に位置するようになる前記画素について取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が小さくなるように当該光透過度合い情報を変更する請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記画像形成済み媒体の特定の領域における、光の透過度合いの情報を、前記光透過度合い情報として取得し、
前記特定の領域が予め定められた条件を満たす領域である場合に、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記特定の領域における前記画像形成済み媒体の厚さが当該画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも大きい場合又は小さい場合に、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記特定の領域における前記画像形成済み媒体の厚さが当該画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも大きい場合、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が大きくなるように当該光透過度合い情報を変更し、
前記特定の領域における前記画像形成済み媒体の厚さが当該画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも小さい場合、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が小さくなるように当該光透過度合い情報を変更する請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記画像データを構成する画素の位置情報である画素位置情報を取得し、
前記画像データを構成する画素の色情報を、前記第1色情報として取得し、
前記第1色情報に基づき前記画像形成済み媒体上に形成された画素である形成画素の色情報を前記第2色情報として取得し、
前記画像形成済み媒体のうちの前記形成画素が形成された箇所における光の透過度合いについての情報を前記光透過度合い情報として取得し、
画素毎に取得する、前記画素位置情報と、前記第1色情報と、前記第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
入力された画像データである入力画像データを取得した場合、当該入力画像データを構成する構成画素の位置情報に一致する前記画素位置情報を把握するとともに、当該構成画素の色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握し、
把握した前記画素位置情報および前記第1色情報の両者に対応付けられている前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得する請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
入力された画像データである入力画像データを取得した場合、当該入力画像データの色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握し、
把握した前記第1色情報に対応付けられた前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得するとともに、前記入力画像データに基づき、取得した当該光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記入力画像データには、当該入力画像データに基づき画像を形成する際に使用する材料の量についての情報である量情報が含まれ、
前記プロセッサは、
前記入力画像データに含まれる前記量情報に基づき、取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記入力画像データに含まれる前記量情報により特定される値が大きくなるのに従い、前記光透過度合い情報の変更の程度が小さくなる請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記入力画像データに基づき、当該入力画像データに基づき形成される画像の明度についての情報を取得し、取得する当該明度についての当該情報に基づき、取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項21】
取得する前記明度についての前記情報により特定される明度が小さくなるのに従い、前記光透過度合い情報の変更の程度が小さくなる請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項22】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
入力された画像データであって色情報を含んだ画像データである入力画像データを取得し、
前記入力画像データの色情報を、当該色情報の色空間とは異なる他の色空間の色情報に変換し、
前記他の色空間の前記色情報に対応付けられた、
画像が形成された記録媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得
し、
変換された前記他の色空間の前記色情報に対し、前記光透過度合い情報に応じて背景色の影響を反映させた色情報を設定する、
情報処理装置。
【請求項23】
前記プロセッサは、
前記入力画像データを構成する画素毎に、当該画素の色情報を、前記他の色空間の色情報に変換し、
前記入力画像データを構成する画素毎に、前記他の色空間の前記色情報に対応付けられた前記光透過度合い情報を取得する請求項22に記載の情報処理装置。
【請求項24】
色情報を含んだ画像データを取得する機能と、
前記画像データに基づき記録媒体上に形成された画像である形成画像の色情報を取得する機能と、
前記形成画像が形成された前記記録媒体である画像形成済み媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得する機能と、
前記画像データに含まれる前記色情報である第1色情報と、前記形成画像の前記色情報である第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける機能と、
表示対象の画像データから前記第1色情報を取得し、取得した当該第1色情報に対応する前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得する機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項25】
入力された画像データであって色情報を含んだ画像データである入力画像データを取得する機能と、
前記入力画像データの色情報を、当該色情報の色空間とは異なる他の色空間の色情報に変換する機能と、
前記他の色空間の前記色情報に対応付けられた、
画像が形成された記録媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得する機能と、
変換された前記他の色空間の前記色情報に対し、前記光透過度合い情報に応じて背景色の影響を反映させた色情報を設定する機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のパッチの分光反射率および分光透過率と、裏当て材の分光反射率とから複数のパッチの測色値を算出する算出手段と、算出された複数のパッチの測色値から、裏当て材に対応する出力デバイスのカラープロファイルを作成する作成手段とを有する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体上に形成される画像の透け感は、この画像を実際に記録媒体に形成することにより把握できる。ところで、例えば、複数種類の画像データがある場合などには、画像データ毎に記録媒体への画像の形成を行う必要が生じ、手間を要する。
本発明の目的は、記録媒体上に形成される画像の透け感を、記録媒体への画像の形成を実際には行わずに把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、色情報を含んだ画像データを取得し、前記画像データに基づき記録媒体上に形成された画像である形成画像の色情報を取得し、前記形成画像が形成された前記記録媒体である画像形成済み媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得し、前記画像データに含まれる前記色情報である第1色情報と、前記形成画像の前記色情報である第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付け、表示対象の画像データから前記第1色情報を取得し、取得した当該第1色情報に対応する前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得する、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像データを構成する画素の色情報を、前記第1色情報として取得し、前記第1色情報に基づき前記画像形成済み媒体上に形成された画素である形成画素の色情報を前記第2色情報として取得し、前記画像形成済み媒体のうちの前記形成画素が形成された箇所における光の透過度合いについての情報を前記光透過度合い情報として取得し、画素毎に取得する、前記第1色情報と、前記第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像形成済み媒体の背後に第1の背景が設置された状態で前記形成画像の読み取りが行われることにより得られた第1の読み取り結果と、当該画像形成済み媒体の背後に第1の背景とは異なる第2の背景が設置された状態で当該形成画像の読み取りが行われることにより得られた第2の読み取り結果とに基づき、前記光透過度合い情報を取得する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第1の背景が設置された状態で前記形成画像の読み取りが行われることにより得られた前記第1の読み取り結果と、当該第1の背景とは明度が異なる前記第2の背景が設置された状態で当該形成画像の読み取りが行われることにより得られた前記第2の読み取り結果とに基づき、前記光透過度合い情報を取得する請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像形成済み媒体上に形成された前記形成画像の色情報である前記第2色情報として、機種非依存性の色情報を取得し、前記画像データに含まれる前記第1色情報と、機種非依存性の前記第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像データに基づき前記画像形成済み媒体上に形成された前記形成画像の色を測色器で読み取ることにより得られた読み取り結果を、前記機種非依存性の前記第2色情報として取得する請求項5に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像データに基づき前記画像形成済み媒体上に形成された前記形成画像をスキャナ装置で読み取ることにより得られた読み取り結果である機種依存性の色情報を、機種非依存性の色情報に変換し、当該変換により得た当該機種非依存性の当該色情報を、前記機種非依存性の前記第2色情報として取得する請求項5に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記形成画像が形成される前記記録媒体である形成媒体の光の透過度合いを示す情報である媒体光透過度合い情報をさらに取得し、前記媒体光透過度合い情報に基づき、前記光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記形成画像が形成される前記記録媒体である形成媒体についての情報である媒体情報をさらに取得し、入力された画像データである入力画像データを取得した場合、当該入力画像データの色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握し、把握した前記第1色情報に対応付けられた前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得するとともに、前記媒体情報に基づき、取得した当該光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記媒体情報として、前記形成媒体の凹凸に関する情報を取得し、前記入力画像データの画素毎に、当該画素の色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握するとともに、把握した当該第1色情報に対応付けられた前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得し、前記形成媒体に前記入力画像データに基づく画像を形成することを想定した場合に当該形成媒体の凹部又は凸部に位置するようになる、当該入力画像データの画素を特定し、前記凹部又は前記凸部に位置するようになる前記画素について取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項9に記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記凹部に位置するようになる前記画素について取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が大きくなるように当該光透過度合い情報を変更し、前記凸部に位置するようになる前記画素について取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が小さくなるように当該光透過度合い情報を変更する請求項10に記載の情報処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像形成済み媒体の特定の領域における、光の透過度合いの情報を、前記光透過度合い情報として取得し、前記特定の領域が予め定められた条件を満たす領域である場合に、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項13に記載の発明は、前記プロセッサは、前記特定の領域における前記画像形成済み媒体の厚さが当該画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも大きい場合又は小さい場合に、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項12に記載の情報処理装置である。
請求項14に記載の発明は、前記プロセッサは、前記特定の領域における前記画像形成済み媒体の厚さが当該画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも大きい場合、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が大きくなるように当該光透過度合い情報を変更し、前記特定の領域における前記画像形成済み媒体の厚さが当該画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも小さい場合、当該特定の領域を基に取得した前記光透過度合い情報により特定される光透過度が小さくなるように当該光透過度合い情報を変更する請求項13に記載の情報処理装置である。
請求項15に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像データを構成する画素の位置情報である画素位置情報を取得し、前記画像データを構成する画素の色情報を、前記第1色情報として取得し、前記第1色情報に基づき前記画像形成済み媒体上に形成された画素である形成画素の色情報を前記第2色情報として取得し、前記画像形成済み媒体のうちの前記形成画素が形成された箇所における光の透過度合いについての情報を前記光透過度合い情報として取得し、画素毎に取得する、前記画素位置情報と、前記第1色情報と、前記第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項16に記載の発明は、前記プロセッサは、入力された画像データである入力画像データを取得した場合、当該入力画像データを構成する構成画素の位置情報に一致する前記画素位置情報を把握するとともに、当該構成画素の色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握し、把握した前記画素位置情報および前記第1色情報の両者に対応付けられている前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得する請求項15に記載の情報処理装置である。
請求項17に記載の発明は、前記プロセッサは、入力された画像データである入力画像データを取得した場合、当該入力画像データの色情報と予め定められた関係を有する前記第1色情報を把握し、把握した前記第1色情報に対応付けられた前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得するとともに、前記入力画像データに基づき、取得した当該光透過度合い情報を変更する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項18に記載の発明は、前記入力画像データには、当該入力画像データに基づき画像を形成する際に使用する材料の量についての情報である量情報が含まれ、前記プロセッサは、前記入力画像データに含まれる前記量情報に基づき、取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項17に記載の情報処理装置である。
請求項19に記載の発明は、前記入力画像データに含まれる前記量情報により特定される値が大きくなるのに従い、前記光透過度合い情報の変更の程度が小さくなる請求項18に記載の情報処理装置である。
請求項20に記載の発明は、前記プロセッサは、前記入力画像データに基づき、当該入力画像データに基づき形成される画像の明度についての情報を取得し、取得する当該明度についての当該情報に基づき、取得した前記光透過度合い情報を変更する請求項17に記載の情報処理装置である。
請求項21に記載の発明は、取得する前記明度についての前記情報により特定される明度が小さくなるのに従い、前記光透過度合い情報の変更の程度が小さくなる請求項20に記載の情報処理装置である。
請求項22に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、入力された画像データであって色情報を含んだ画像データである入力画像データを取得し、前記入力画像データの色情報を、当該色情報の色空間とは異なる他の色空間の色情報に変換し、前記他の色空間の前記色情報に対応付けられた、画像が形成された記録媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得し、変換された前記他の色空間の前記色情報に対し、前記光透過度合い情報に応じて背景色の影響を反映させた色情報を設定する、情報処理装置である。
請求項23に記載の発明は、前記プロセッサは、前記入力画像データを構成する画素毎に、当該画素の色情報を、前記他の色空間の色情報に変換し、前記入力画像データを構成する画素毎に、前記他の色空間の前記色情報に対応付けられた前記光透過度合い情報を取得する請求項22に記載の情報処理装置である。
請求項24に記載の発明は、色情報を含んだ画像データを取得する機能と、前記画像データに基づき記録媒体上に形成された画像である形成画像の色情報を取得する機能と、前記形成画像が形成された前記記録媒体である画像形成済み媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得する機能と、前記画像データに含まれる前記色情報である第1色情報と、前記形成画像の前記色情報である第2色情報と、前記光透過度合い情報とを対応付ける機能と、表示対象の画像データから前記第1色情報を取得し、取得した当該第1色情報に対応する前記第2色情報および前記光透過度合い情報を取得する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
請求項25に記載の発明は、入力された画像データであって色情報を含んだ画像データである入力画像データを取得する機能と、前記入力画像データの色情報を、当該色情報の色空間とは異なる他の色空間の色情報に変換する機能と、前記他の色空間の前記色情報に対応付けられた、画像が形成された記録媒体の光の透過度合いを示す情報である光透過度合い情報を取得する機能と、変換された前記他の色空間の前記色情報に対し、前記光透過度合い情報に応じて背景色の影響を反映させた色情報を設定する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、記録媒体上に形成される画像の透け感を、記録媒体への画像の形成を実際には行わずに把握できるようにすることができる。
請求項2の発明によれば、画像データを構成する画素毎に、画像の透け感を把握できるようにすることができる。
請求項3の発明によれば、光透過度合いを把握するための専用の装置を用意せずに、光透過度合い情報を取得できる。
請求項4の発明によれば、光透過度合いを把握するための専用の装置を用意せずに、光透過度合い情報を取得できる。
請求項5の発明によれば、画像データに含まれる色情報と、この画像データに基づき記録媒体上に形成された画像である形成画像の色情報であって機種非依存性の色情報とを対応付けることができる。
請求項6の発明によれば、測色器を用いずに機種非依存性の第2色情報を取得する場合に比べ、機種非依存性の第2色情報をより精度よく得ることができる。
請求項7の発明によれば、測色器を用いて機種非依存性の第2色情報を取得する場合に比べ、機種非依存性の第2色情報をより簡易に取得できる。
請求項8の発明によれば、形成画像が形成される記録媒体である形成媒体の光の透過度合いに応じて、光透過度合い情報を変更できる。
請求項9の発明によれば、形成画像が形成される記録媒体である形成媒体に応じて、光透過度合い情報を変更できる。
請求項10の発明によれば、形成媒体の凹部又は凸部に位置するようになる画素について取得した光透過度合い情報を変更できる。
請求項11の発明によれば、凹部に位置するようになる画素について取得した光透過度合い情報により特定される光透過度が大きくなるように光透過度合い情報を変更でき、また、凸部に位置するようになる画素について取得した光透過度合い情報により特定される光透過度が小さくなるように光透過度合い情報を変更できる。
請求項12の発明によれば、画像形成済み媒体の特定の領域が予め定められた条件を満たす領域である場合に、この特定の領域を基に取得した光透過度合い情報を変更できる。
請求項13の発明によれば、特定の領域における画像形成済み媒体の厚さがこの画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも大きい場合又は小さい場合に、この特定の領域を基に取得した光透過度合い情報を変更できる。
請求項14の発明によれば、特定の領域における画像形成済み媒体の厚さがこの画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも大きく、光透過度合い情報により特定される光透過度が小さくなりやすい場合に、光透過度が大きくなるように光透過度合い情報を変更でき、特定の領域における画像形成済み媒体の厚さがこの画像形成済み媒体の他の領域の厚さよりも小さく、光透過度合い情報により特定される光透過度が大きくなりやすい場合に、光透過度が小さくなるように光透過度合い情報を変更できる。
請求項15の発明によれば、入力された画像データの画素についての位置情報および色情報に応じて、得られる第2色情報および光透過度合い情報を異なるものにすることができる。
請求項16の発明によれば、入力された画像データの画素についての位置情報および色情報に応じて、得られる第2色情報および光透過度合い情報を異なるものにすることができる。
請求項17の発明によれば、入力された画像データである入力画像データを考慮して、光透過度合い情報を、新たな光透過度合い情報に変更できる。
請求項18の発明によれば、入力画像データに基づき画像を形成する際に使用する材料の量を考慮して、光透過度合い情報を、新たな光透過度合い情報に変更できる。
請求項19の発明によれば、量情報により特定される値が大きくなるのに従い、光透過度合い情報の変更の程度を小さくできる。
請求項20の発明によれば、入力画像データに基づき形成される画像の明度を考慮して、光透過度合い情報を、新たな光透過度合い情報に変更できる。
請求項21の発明によれば、明度についての情報により特定される明度が小さくなるのに従い、光透過度合い情報の変更の程度を小さくできる。
請求項22の発明によれば、記録媒体上に形成される画像の透け感を、記録媒体への画像の形成を実際には行わずに把握できるようにすることができる。
請求項23の発明によれば、入力画像データを構成する画素毎に、画像の透け感を把握できるようにすることができる。
請求項24の発明によれば、記録媒体上に形成される画像の透け感を、記録媒体への画像の形成を実際には行わずに把握できるようにすることができる。
請求項25の発明によれば、記録媒体上に形成される画像の透け感を、記録媒体への画像の形成を実際には行わずに把握できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にて実行される処理の流れを説明する図である。
【
図4】透過度合いパラメータを取得する際の処理を説明する図である。
【
図6】生成された第1変換用テーブルを示した図である。
【
図10】(A)、(B)は、元画像データおよび形成用紙を示した図である。
【
図11】第1変換用テーブルの他の一例を示した図である。
【
図12】第1変換用テーブルの生成方法を説明する図である。
【
図14】情報処理装置のハードウェア構成の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態にて実行される処理の流れを説明する図である。
本実施形態では、符号1Aで示すように、複数のパッチ画像1が載った画像を示す画像データ90(以下、「元画像データ90」と称する)が用意される。
具体的には、本実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、特色の各々の成分値が互いに異なる複数のパッチ画像1が載った画像を示す元画像データ90が用意される。言い換えると、本実施形態では、複数の色についての情報である色情報を含んだ元画像データ90が用意される。
この元画像データ90は、例えば、不図示のコンピュータ装置の操作画面に開かれた印刷設定画面に対するユーザの設定に応じて生成される。
【0009】
次いで、本実施形態では、印刷装置(不図示)にて、この元画像データ90に基づく用紙への印刷が行われ、複数のパッチ画像2が形成された用紙92(以下、「パッチ形成用紙92」)が生成される。
言い換えると、本実施形態では、元画像データ90に基づき、記録媒体の一例である用紙への画像の形成が行われ、画像形成済み媒体の一例としてのパッチ形成用紙92が生成される。
【0010】
用紙への印刷に使用される色材としては、インクやトナーが一例に挙げられる。インク又はトナーは、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色と、シルバー、ゴールド、クリア等の特色とにより構成される。
なお、本実施形態では、元画像データ90に基づく印刷の対象が、用紙である場合を一例に説明するが、印刷の対象は、用紙に限らず、フィルム、木、布等であってもよい。
【0011】
次いで、本実施形態では、画像読み取り装置の一例としてのスキャナ装置100により、パッチ形成用紙92上の画像の読み取りが行われる。言い換えると、スキャナ装置100により、パッチ形成用紙92上に形成された画像である形成画像の読み取りが行われる。
そして、この読み取りにより得られた読み取り画像データ、および、元画像データ90に基づいて、変換用テーブル81(以下、「第1変換用テーブル81」と称する)が生成される。
【0012】
より具体的には、本実施形態では、読み取り画像データ(白背景読み取り画像データ(詳細は後述))、および、元画像データ90が、情報処理装置110に入力され、この情報処理装置110にて、第1変換用テーブル81が生成される。
より具体的には、本実施形態では、CMYK、特色(以下、単に「CMYK特色」と称する)の色空間の画像データを、RGBの色空間の画像データに変換するための第1変換用テーブル81が生成される。
ここで、本実施形態では、この情報処理装置110に、プロセッサの一例としてのCPU111(後述)が設けられており、本実施形態では、このCPU111により、各種の処理が実行される。
【0013】
より具体的には、本実施形態では、まず、情報処理装置110が、CMYK特色の色空間の元画像データ90、および、パッチ形成用紙92を読み取ることにより得られた、RGBの色空間の読み取り画像データ(白背景読み取り画像データ)を取得する。
そして、情報処理装置110は、取得した、CMYK特色の色空間の元画像データ90と、RGBの色空間の読み取り画像データとに基づき、CMYK特色の色空間の画像データを、RGBの色空間の画像データに変換するための第1変換用テーブル81を生成する。
言い換えると、情報処理装置110は、元画像データ90に含まれる色情報(以下、「第1色情報」と称する)と、パッチ形成用紙92上に形成された形成画像の色情報(以下、「第2色情報」と称する)とを対応付け、第1変換用テーブル81を生成する。
【0014】
具体的には、本実施形態では、スキャナ装置100に、第1の背景の一例としての白背景板100A、および、第2の背景の一例としての黒背景板100Bが用意されている。
より具体的には、スキャナ装置100には、白色の面を有しパッチ形成用紙92の背後に設置される板状の白背景板100A、および、黒色の面を有しパッチ形成用紙92の背後に設置される板状の黒背景板100Bが用意されている。
言い換えると、スキャナ装置100には、白背景板100Aと、この白背景板100Aとは明度が異なる黒背景板100Bが用意されている。
【0015】
そして、スキャナ装置100では、パッチ形成用紙92の背後に白背景板100Aが設置された状態で、パッチ形成用紙92の読み取りを行う。
そして、本実施形態では、CMYK特色の色空間の元画像データ90と、この白背景板100Aが設置された状態のときに得られた、RGBの色空間の読み取り画像データとに基づいて、上記の第1変換用テーブル81を生成する。
言い換えると、本実施形態では、元画像データ90に含まれる第1色情報と、白背景板100Aが設置された状態にてパッチ形成用紙92が読み取られることにより得られた第2色情報とに基づいて、上記の第1変換用テーブル81を生成する。
【0016】
さらに、本実施形態では、黒背景板100Bが設置された状態で、パッチ形成用紙92の読み取りが行われる。より具体的には、パッチ形成用紙92の背後に黒背景板100Bが設置された状態で、パッチ形成用紙92の読み取りが行われる。
【0017】
そして、本実施形態では、情報処理装置110が、白背景板100Aが設置されているときに得られた上記の読み取り画像データ(以下、「白背景読み取り画像データ」と称する)と、黒背景板100Bが設置されているときに得られた読み取り画像データ(以下、「黒背景読み取り画像データ」と称する)とに基づいて、光の透過度合いを示すパラメータである透過度合いパラメータTr(詳細は後述)を生成する。
【0018】
言い換えると、本実施形態では、画像形成済み媒体の一例であるパッチ形成用紙92の背後に白背景板100Aが設置された状態で形成画像の読み取りが行われることにより得られた第1の読み取り結果を取得する。
また、本実施形態では、パッチ形成用紙92の背後に黒背景板100Bが設置された状態で形成画像の読み取りが行われることにより得られた第2の読み取り結果を取得する。
【0019】
そして、本実施形態では、情報処理装置110は、この第1の読み取り結果と、第2の読み取り結果とに基づき、光透過度合い情報の一例である透過度合いパラメータTrを生成する。
より具体的には、本実施形態では、白背景読み取り画像データ、黒背景読み取り画像データが、情報処理装置110へ送られ、情報処理装置110にて、この2つの画像データに基づき、透過度合いパラメータTrが生成される。
【0020】
ここで、透過度合いパラメータTrは、例えば、0~1の範囲内の数値であり、数値の値が大きいほど、光の透過度が大きいことを示す。
そして、本実施形態では、この透過度合いパラメータTrが、第1変換用テーブル81に登録される。
【0021】
図2は、スキャナ装置100を説明する図である。
スキャナ装置100は、パッチ形成用紙92を下方から支持するプラテンガラス41と、読み取り用の光学系を内蔵するキャリッジ42と有する。
キャリッジ42は、平板形状のプラテンガラス41の表面に沿うように移動する。キャリッジ42には、パッチ形成用紙92へ光を出射する光源42A、42Bと、結像光学系42Dと、イメージングセンサ42Eとが設けられている。
【0022】
キャリッジ42は、不図示の駆動機構によって移動される。不図示の駆動機構やその制御系には、公知の技術を使用する。
プラテンガラス41は、不図示の筐体に取り付けられている。また、不図示のこの筐体の内部に、キャリッジ42が収容されている。
【0023】
キャリッジ42は、
図2の紙面に対して垂直な方向に、予め定めた長さを有している。紙面に垂直な方向は、キャリッジ42の主走査方向に当たる。一方、矢印で示す方向は、キャリッジ42の副走査方向に当たる。
パッチ形成用紙92の表面の情報を読み取る場合、キャリッジ42は、矢印の方向に移動する。言い換えると、キャリッジ42は、パッチ形成用紙92を読み取るとき、予め定められた速度で副走査方向に移動する。
【0024】
プラテンガラス41は、例えば、ガラス板により構成される。プラテンガラス41は、透明な部材であればよく、例えば、アクリル板でもよい。
また、本実施形態では、上記の通り、スキャナ装置100には、白背景板100Aおよび黒背景板100Bが設けられており、パッチ形成用紙92の読み取りが行われる際には、ユーザによって、白背景板100Aおよび黒背景板100Bの何れかが設置される。
具体的には、プラテンガラス41に置かれたパッチ形成用紙92の上に、白背景板100Aおよび黒背景板100Bの何れかが設置される。このとき、白背景板100Aが有する白色の面、黒背景板100Bが有する黒色の面が、プラテンガラス41側を向く。
【0025】
光源42A、光源42Bには、例えば、蛍光ランプや希ガス蛍光ランプ(キセノン蛍光ランプ等)が用いられる。また、光源42A、光源42Bは、複数の白色LED(Light Emitting Diode)により構成してもよい。
この構成例では、2つの光源42A、42Bを配置しているが、1つの光源のみを設けてもよい。また、1つの光源から射出された光を反射する等して、異なる複数の方向から、パッチ形成用紙92への光の照射を行ってもよい。
【0026】
結像光学系42Dは、例えば反射ミラーや結像レンズで構成され、パッチ形成用紙92の表面からの光をイメージングセンサ42Eの受光面に結像する。
イメージングセンサ42Eでは、複数の受光素子(不図示)が、主走査方向に並んで配置されている。イメージングセンサ42Eは、受光面上に結像された光の強度を画像信号として出力する。イメージングセンサ42Eには、例えばCCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサや、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサ等を用いる。
【0027】
イメージングセンサ42Eの表面には、不図示のカラーフィルタが配置されている。
これにより、イメージングセンサ42Eは、パッチ形成用紙92の読み取り結果として、カラーの画像信号を出力する。
カラーの画像信号は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の成分値で与えられる。
【0028】
図3は、生成された第1変換用テーブル81を示した図である。
この図では、図中左欄に、元画像データ90についての情報が表示されている。より具体的には、図中左欄には、元画像データ90を構成する各画素の各々について、各画素の色を示す情報である第1色情報が登録されている。
より具体的には、図中左欄には、元画像データ90を構成する各画素の各々について、CMYK特色の色空間の元画像データ90が登録されている。
【0029】
より具体的には、この例では、例えば、符号3Aで示すように、ある1つのパッチ画像1を構成する画素についての第1色情報である、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という色情報が登録されている。
より具体的には、この例では、1つのパッチ画像1を構成する画素についての第1色情報として、各色材の成分値が登録されている。
【0030】
この例では、1つのパッチ画像1を構成する画素の第1色情報として、マゼンタの成分値:20、特色の成分値:80、シアンとイエローとブラックの成分値:0が登録されている。
ここで、特色には、例えば、シルバー、ゴールド、クリア等が含まれるが、この例では、これらのうちの1色が使用されている。例えばゴールドが使用される。
【0031】
本実施形態では、このように、元画像データ90に、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報を有するパッチ画像1が存在している。
第1変換用テーブル81には、このパッチ画像1が有する色についての情報である、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報が登録されている。
【0032】
また、本実施形態の第1変換用テーブル81では、図中右欄に、パッチ形成用紙92の背後に白背景板100Aが設置されているときに得られた、RGBの色空間の読み取り画像データが登録されている。
言い換えると、第1変換用テーブル81の図中右欄には、元画像データ90に基づきパッチ形成用紙92上に形成された画像である形成画像についての色情報(第2色情報)である、RGBの色空間の読み取り画像データが登録されている。
【0033】
具体的には、本実施形態の第1変換用テーブル81では、符号3Bで示すように、RGBの色空間の読み取り画像データの一例として、(R,G,B)=(185,151,95)という第2色情報が登録されている。
この(R,G,B)=(185,151,95)という、RGBの色空間の第2色情報は、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報に対応付けられている。
【0034】
この例では、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報を基にパッチ形成用紙92上に形成されたパッチ画像2が、スキャナ装置100にて、(185,151,95)というRGB値で読み取られた場合を例示している。
言い換えると、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報を基にパッチ形成用紙92上に形成された画素が、スキャナ装置100にて、(185,151,95)というRGB値で読み取られた場合を例示している。
【0035】
この場合、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報に対して、(185,151,95)というRGB値(第2色情報)が対応付けられる。
そして、第1変換用テーブル81には、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報と、(185,151,95)というRGB値(第2色情報)とが互いに対応付けられた状態で登録される。
【0036】
(185,151,95)というRGB値は、上記の白背景読み取り画像データに含まれるRGB値のうちの、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報を基に形成された形成画素のRGB値である。
より具体的には、(185,151,95)というRGB値は、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報を基に形成された複数の形成画素の各々が有するRGB値の平均値である。
【0037】
より具体的には、本実施形態では、1つのパッチ画像2毎に、この1つのパッチ画像2に対応した1つのRGB値を得る。
より具体的には、本実施形態では、1つのパッチ画像1が有する、CMYK特色の色空間の第1色情報を基に、パッチ形成用紙92上であって、この1つのパッチ画像1に対応する1つのパッチ画像2の領域内に、複数の形成画素が形成される。
【0038】
本実施形態では、この複数の形成画素の各々について、RGB値を取得する。そして、本実施形態では、複数得られるこのRGB値の平均値を得ることで、1つのパッチ画像1,2に対応した1つのRGB値(第2色情報)を得る。
上記の(185,151,95)というRGB値(第2色情報)は、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報を基に生成された1つのパッチ画像2の含まれる複数の形成画素の各々のRGB値の平均値である。
【0039】
本実施形態では、第1変換用テーブル81が用いられ、後述するシミュレーション画像についての色変換が行われる。
この際、本実施形態では、例えば、シミュレーション画像のうちの、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という色情報を有する画素については、(R,G,B)=(185,151,95)というRGB値に変換される。
【0040】
さらに、本実施形態の第1変換用テーブル81では、
図3の符号3Cで示すように、光の透過度合いを示すパラメータである透過度合いパラメータTr(0.8)が登録されている。
言い換えると、第1変換用テーブル81では、RGB値で表された第2色情報の図中右側に、光透過度合い情報の一例としての透過度合いパラメータTrが登録されている。
言い換えると、本実施形態では、各画素の各々に対応付けて、画素が位置する箇所における光の透過の度合い示す透過度合いパラメータTrが登録されている。
【0041】
透過度合いパラメータTrについて説明する。
本実施形態では、白背景板100Aが設置されているときに得られた白背景読み取り画像データと、黒背景板100Bが設置されているときに得られた黒背景読み取り画像データとに基づいて、透過度合いパラメータTrを得る。
【0042】
言い換えると、本実施形態では、白背景板100Aが設置されているときに得られた、パッチ形成用紙92の読み取り画像データと、黒背景板100Bが設置されているときに得られた、パッチ形成用紙92の読み取り画像データとに基づいて、透過度合いパラメータTrを得る。
より具体的には、本実施形態では、白背景板100Aのときに得られたRGB値と、黒背景板100Bのときに得られたRGB値とに基づいて、画素毎に、透過度合いパラメータTrを得る。
【0043】
より具体的には、本実施形態では、
図4(透過度合いパラメータTrを取得する際の処理を説明する図)の(A)で示すように、透過度合いパラメータTrを取得する際には、白背景板100Aのときに得られたRGB値と、黒背景板100Bのときに得られたR´G´B´値との差分を得る。
より具体的には、R値、G値、B値のそれぞれについて、例えば、白背景板100Aのときに得られた値から、黒背景板100Bのときに得られた値を減算し、差分Rt、Gt、Btを得る。
【0044】
そして、本実施形態では、
図4(B)に示すように、この3つの差分Rt、Gt、Btを、予め定められた用意した関数F(Rt、Gt、Bt)に代入して、透過度合いパラメータTrを得る。
関数F(Rt、Gt、Bt)は、差分Rt、Gt、Btの各々の大きいほど、透過度合いパラメータTrが大きくなる関数となっている。
【0045】
本実施形態では、白背景板100Aのときに得られたRGB値と、黒背景板100Bのときに得られたR´G´B´値との差分が大きいほど、透過度合いパラメータTrが大きくなるように、透過度合いパラメータTrが設定される。
また、上記の通り、本実施形態では、透過度合いパラメータTrは、例えば、0~1の範囲内の値に設定される。また、本実施形態では、透過度合いパラメータTrの値が大きいほど、光の透過度が大きいことを示す。
【0046】
ここで、パッチ形成用紙92の元となる用紙が薄い場合や、パッチ形成用紙92のうちの色の薄いパッチ画像2が形成されている箇所では、光の透過度が大きくなる。この場合、黒背景板100Bが設置されているときに得られるR´G´B´値が、この黒背景板100Bの影響を大きく受ける。
そして、この場合、白背景板100AのときのRGB値と、黒背景板100BのときのR´G´B´値との差分が大きくなる。そして、この場合、透過度合いパラメータTrが大きくなる。
【0047】
一方で、パッチ形成用紙92の元となる用紙が厚い場合や、パッチ形成用紙92のうちの色の濃いパッチ画像2が形成されている箇所では、光の透過度が小さくなる。この場合、R´G´B´値は、黒背景板100Bの影響を受けにくくなる。
そして、この場合、白背景板100AのときのRGB値と、黒背景板100BのときのR´G´B´値との差分が小さくなる。そして、この場合、透過度合いパラメータTrは小さくなる。
【0048】
本実施形態では、1つのパッチ画像1,2毎に、1つの透過度合いパラメータTrを取得する。
より具体的には、本実施形態では、1つのパッチ画像1が有する、CMYK特色の色空間の第1色情報を基に、複数の画素がパッチ形成用紙92上に形成される。言い換えると、パッチ形成用紙92上には、1つのパッチ画像1に対応して、複数の画素が形成される。
本実施形態では、この複数の画素の各々について、上記の算出式を用い、透過度合いパラメータTrを得る。そして、本実施形態では、複数得られるこの透過度合いパラメータTrの平均値を得ることで、1つのパッチ画像1,2に対応した透過度合いパラメータTrを得る。
【0049】
ここで、本実施形態では、上記の通り、元画像データ90の色情報である第1色情報を取得するが、この取得にあたっては、1つのパッチ画像1毎に、1つの第1色情報を取得する。
言い換えると、1つのパッチ画像1には、複数の画素が含まれているが、元画像データ90の色情報である第1色情報を取得するにあたっては、実質的に、この複数の画素の各々が有する共通の値の1つの第1色情報を取得することになる。
そして、本実施形態では、第1変換用テーブル81に対して、この1つの第1色情報を登録する。
【0050】
また、本実施形態では、画素の各々が有する共通の値のこの第1色情報に基づきパッチ形成用紙92上に形成された画素である形成画素の色情報を第2色情報として取得する。
さらに、パッチ形成用紙92のうちのこの形成画素が形成された箇所における光の透過度合いについての情報である、透過度合いパラメータTrを取得する。
そして、本実施形態では、画素毎に取得する、この第1色情報と、第2色情報と、透過度合いパラメータTrとを対応付けて、第1変換用テーブル81を生成する。
【0051】
図1の符号1Cで示す画像データは、シミュレーションの対象となっている画像データ94(以下、「シミュレーション画像データ94」と称する)を示している。
言い換えると、
図1の符号1Cで示すシミュレーション画像データ94は、透け感をこれから把握しようとしている画像の画像データとなっている。
また、このシミュレーション画像データ94は、入力画像データの一例であり、ユーザにより入力された画像データであって色情報を含んだ画像データとなっている。
本実施形態では、用紙上に画像を形成した際の用紙の透け感のシミュレーションを行える。
【0052】
シミュレーション画像データ94は、上記にて生成された第1変換用テーブル81を保持した情報処理装置110に入力される。
なお、本実施形態では、第1変換用テーブル81を生成する情報処理装置と、シミュレーションを行う情報処理装置とが同じである場合を一例に説明する。
但し、これに限らず、第1変換用テーブル81を生成する一の情報処理装置と、シミュレーションを行う他の情報処理装置とを用意し、この他の情報処理装置にて、シミュレーションを行ってもよい。この場合は、一の情報処理装置にて生成された第1変換用テーブル81が、この他の情報処理装置にて用いられる。
【0053】
図1に示すシミュレーション画像データ94が、情報処理装置110に入力されると、この情報処理装置110に接続された表示装置200に、シミュレーション画像データ94に基づく画像が表示される。
【0054】
より具体的には、本実施形態では、上記のパッチ画像2が形成される用紙である形成用紙(形成媒体の一例)に、シミュレーション画像データ94に基づく画像を形成した場合の状態が、表示装置200に表示される。
言い換えると、本実施形態では、パッチ形成用紙92の元となった用紙に、シミュレーション画像データ94に基づく画像を形成した場合の状態が、表示装置200に表示される。
【0055】
シミュレーション画像データ94は、CMYK特色の色空間の画像データである。
このシミュレーション画像データ94が情報処理装置110に入力されると、情報処理装置110では、CMYK特色の色空間のシミュレーション画像データ94に基づき、RGBの色空間のシミュレーション画像データ94が生成される。
【0056】
より具体的には、情報処理装置110では、上記にて生成された第1変換用テーブル81(
図3参照)と、CMYK特色の色空間のシミュレーション画像データ94とに基づき、このシミュレーション画像データ94は、RGBの色空間のシミュレーション画像データ94に変換される。
言い換えると、情報処理装置110では、シミュレーション画像データ94の色情報が、この色情報の色空間とは異なる他の色空間の色情報に変換される。
これにより、情報処理装置110では、RGBの色空間のシミュレーション画像データ94が生成される。
【0057】
より具体的には、例えば、シミュレーション画像データ94に、例えば、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という色情報を有する画素が含まれている場合、この画素の色情報は、(R,G,B)=(185,151,95)という色情報に変換される。
【0058】
より具体的には、シミュレーション画像データ94に、例えば、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という色情報を有する画素が含まれている場合、情報処理装置110は、まず、
図3の符号3Eで示す箇所を参照し、この画素の色情報と予め定められた関係を有する第1色情報としての、符号3Aで示す(0,20,0,0,80)を把握する。
次いで、情報処理装置110は、
図3の符号3Eで示す行を参照し、把握したこの第1色情報に対応付けられた第2色情報としての、(R,G,B)=(185,151,95)を得る。
【0059】
また、本実施形態では、情報処理装置110は、
図3の符号3Eで示す行を参照し、把握した上記の第1色情報に対応付けられた透過度合いパラメータTr(0.8)を得る。
言い換えると、情報処理装置110は、第2色情報として把握した、(R,G,B)=(185,151,95)に対応付けられた情報である、透過度合いパラメータTr(0.8)を得る。
また、情報処理装置110は、シミュレーション画像データ94を構成する他の画素の各々についても、同様に、RGB値の第2色情報、透過度合いパラメータTrを得る。
【0060】
ここで、本実施形態では、このように、入力画像データであるシミュレーション画像データ94を構成する画素毎に、この画素の色情報を、他の色空間の色情報に変換する。
また、本実施形態では、シミュレーション画像データ94を構成する画素毎に、この他の色空間の色情報に対応付けられた光透過度合い情報である、透過度合いパラメータTrを得る。
【0061】
なお、シミュレーション画像データ94に含まれる色情報に対応する第1色情報が、第1変換用テーブル81に登録されていない場合は、補間処理を行う。
より具体的には、シミュレーション画像データ94に含まれる色情報に対応する第1色情報が、第1変換用テーブル81に登録されていない場合は、シミュレーション画像データ94に含まれるこの色情報に類似する第1色情報を、第1変換用テーブル81の中から特定する。
そして、この類似する第1色情報に対応する第2色情報、透過度合いパラメータTrを得る。
ここで、類似する第1色情報としては、シミュレーション画像データ94に含まれる色情報に、色空間上にて一番近い第1色情報や、予め定められた距離内に位置する第1色情報が一例に挙げられる。
【0062】
本実施形態では、シミュレーション画像データ94を取得した場合、まず、シミュレーション画像データ94を構成する構成画素の色情報と予め定められた関係を有する第1色情報を把握する。
ここで、予め定められた関係を有する第1色情報とは、構成画素の色情報に一致する第1色情報が存在する場合には、一致するこの第1色情報となる。また、構成画素の色情報に一致する第1色情報が存在しない場合には、構成画素の色情報に類似する第1色情報となる。
そして、本実施形態では、上記の通り、この第1色情報に対応付けられている第2色情報および透過度合いパラメータTrを取得する。
【0063】
情報処理装置110は、シミュレーション画像データ94を構成する画素の各々について、RGB値の第2色情報、透過度合いパラメータTrを得ると、これらの情報に基づく画像を、表示装置200に表示する。
具体的には、情報処理装置110は、各画素の各々について、第1変換用テーブル81により得られたRGB値の第2色情報、透過度合いパラメータTrを基に、表示装置200の制御を行い、シミュレーション画像データ94に基づく画像を、表示装置200に表示する。
【0064】
本実施形態では、情報処理装置110は、例えば、シミュレーション画像データ94に含まれる、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という色情報を有する画素については、(R,G,B)=(185,151,95)という第2色情報を基に、表示装置200における表示制御を行う。
また、情報処理装置110は、この(R,G,B)=(185,151,95)の色情報を有する画素についての表示の制御を行う際、透過度合いパラメータTr(0.8)を加味して、この画素の表示の制御を行う。
【0065】
ここで、上記の透過度合いパラメータTr(0.8)は、透過度合いが高いことを示している。
この場合、情報処理装置110は、(R,G,B)=(185,151,95)の第2色情報を有する画素(以下、「対象画素」と称する)の表示にあたっては、この対象画素の背後に位置する、他の画素の色情報も加味して、この対象画素のRGB値を新たに設定する。
そして、情報処理装置110は、この対象画素については、新たに設定したこのRGB値で表示されるように表示制御を行う。
【0066】
より具体的には、情報処理装置110は、対象画素の表示を行うにあたっては、表示しようとするシミュレーション画像の背後に位置する背景画像を構成する画素であって対象画素の背後に位置する画素(以下、「背後画素」と称する)のRGB値(以下、「背景RGB値」と称する)を考慮して、対象画素についての表示制御を行う。
より具体的には、情報処理装置110は、対象画素のRGB値と、背景RGB値と、対象画素の透過度合いパラメータTrとに基づき、対象画素についての新たなRGB値を設定する。
そして、情報処理装置110は、設定後のこの新たなRGB値で、対象画素についての表示制御を行う。
【0067】
ここで、例えば、対象画素の透過度合いパラメータTrが0.8である場合は、光の透過度合いが大きく、対象画素は、この対象画素の背後に位置する背景画素の色の影響を大きく受ける。
この場合、情報処理装置110は、例えば、対象画素のRGB値への背景RGB値の影響が大きくなるように、対象画素についての新たなRGB値を設定する。
そして、情報処理装置110は、対象画素については、この新たなRGB値で表示制御を行う。
【0068】
一方、例えば、対象画素の透過度合いパラメータTrが0である場合、対象画素は、対象画素の背後に位置する背景画素の色の影響を受けないようになる。
この場合、情報処理装置110は、例えば、(R,G,B)=(185,151,95)という第2色情報を有する対象画素については、(R,G,B)=(185,151,95)という色情報でこの対象画素の表示を行う。
【0069】
図5は、他の処理例を説明する図である。
この処理例では、上記と同様、元画像データ90に基づき、透け感の把握の対象となっている用紙への印刷を行い、パッチ形成用紙92を得る。
次いで、この処理例では、パッチ形成用紙92上のパッチ画像2の各々について、符号5Aで示すように、専用の測色器(不図示)を用いて、測色値を得る。具体的には、この処理例では、パッチ画像2の各々について、Lab色空間の測色値を得る。
【0070】
さらに、この処理例では、光の透過率を測定する専用の透過率測定装置(不図示)に、パッチ形成用紙92をセットして、符号5Bに示すように、パッチ形成用紙92のうちの、パッチ画像2が形成された箇所の各々について、透過率測定を行う。
【0071】
そして、本実施形態では、情報処理装置110が、この透過率測定の結果を基に、パッチ画像2が形成された箇所の各々について、透過度合いパラメータTrを取得する。
上記と同様、透過度合いパラメータTrは、例えば、0~1の範囲内の数値で設定される。数値の値が大きいほど、光の透過度が大きいことを示す。
【0072】
次いで、この処理例では、上記と同様、情報処理装置110が、第1色情報を含む元画像データ90、Lab色空間の測色値(第2色情報)、透過度合いパラメータTrに基づき、第1変換用テーブル81を生成し、この第1変換用テーブル81を情報処理装置110に登録する。
【0073】
図6は、生成された第1変換用テーブル81を示した図である。
この第1変換用テーブル81は、CMYK特色の色空間の画像データを、Lab色空間の画像データに変換するための変換用テーブルである。
この第1変換用テーブル81では、上記と同様、図中左欄に、CMYK特色の色空間の第1色情報が登録されている。また、図中右欄には、Lab色空間の第2色情報、透過度合いパラメータTrが登録されている。
【0074】
この例では、元画像データ90に含まれる画素の第1色情報の一例として、符号6Aで示すように、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)が登録されている。
また、この例では、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報に対応付けられて、符号6Bで示すように、(L,a,b)=(E,F,G)という第2色情報が登録されている。なお、E,F,Gは、何れも数値を表す。
また、この第1変換用テーブル81では、符号6Cで示すように、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という第1色情報、(L,a,b)=(E,F,G)という第2色情報に対応付けられて、透過度合いパラメータTr(H)が登録されている。ここで、このHも、数値であり、上記と同様、例えば、0~1の範囲内の値に設定される。
【0075】
この処理例では、
図5の符号5Cで示す、CMYK特色の色空間のシミュレーション画像データ94が、情報処理装置110に入力される。
そして、この情報処理装置110では、
図6にて示した第1変換用テーブル81が用いられ、符号5Dで示すように、シミュレーション画像データ94を構成する複数の画素の画素毎に、CMYK特色の色空間の色情報が、Lab色空間の色情報に変換される。
また、この際、情報処理装置110は、この複数の画素の画素毎に、透過度合いパラメータTrを得る。
【0076】
より具体的には、情報処理装置110は、例えば、シミュレーション画像データ94に、(CMYK特色)=(0,20,0,0,80)という色情報を有する画素が含まれている場合、
図6の第1変換用テーブル81を参照し、この色情報と予め定められた関係を有する第1色情報としての、符号6Aで示す、(0,20,0,0,80)という第1色情報を把握する。
【0077】
次いで、情報処理装置110は、この(0,20,0,0,80)という第1色情報に対応付けられた第2色情報しての(L,a,b)=(E,F,G)を取得する。
また、情報処理装置110は、この(0,20,0,0,80)という第1色情報、(L,a,b)=(E,F,G)という第2色情報に対応付けられた透過度合いパラメータTrである、透過度合いパラメータTr(H)を取得する。
【0078】
また、情報処理装置110は、シミュレーション画像を構成する他の画素の各々についても、同様に、Lab色空間の第2色情報を得る。また、情報処理装置110は、シミュレーション画像を構成する他の画素の各々について、透過度合いパラメータTrを得る。
なお、上記と同様、情報処理装置110は、シミュレーション画像データ94に含まれる色情報に一致する第1色情報が、第1変換用テーブル81に登録されていない場合は、補間処理を行う。これにより、この場合も、シミュレーション画像データ94に含まれる色情報に対応する、第1色情報、第2色情報、透過度合いパラメータTrが得られる。
【0079】
次いで、情報処理装置110は、各画素の各々について、画素毎に得た、Lab色空間の第2色情報を、予め登録された色変換テーブル83(
図5参照)を用い、符号5Eに示すように、RGBの色空間の色情報に変換する。言い換えると、情報処理装置110は、各画素の各々について、Lab値をRGB値に変換する。
次いで、情報処理装置110は、上記と同様、符号5Fで示すように、Lab値をRGB値に変換することにより得た画素毎のこのRGB値と、画素毎に得た透過度合いパラメータTrと、背景画像とに基づき、各画素についてのRGB値を新たに設定する。
【0080】
具体的には、情報処理装置110は、上記と同様、透過度合いパラメータTrが大きい対象画素については、この対象画素のRGB値への背景RGB値の反映の程度を大きくして、新たなRGB値を設定する。
また、情報処理装置110は、透過度合いパラメータTrが小さい対象画素については、この対象画素のRGB値への背景RGB値の反映の程度を小さくして、新たなRGB値を設定する。
【0081】
図1にて示した処理例では、パッチ形成用紙92を読み取るスキャナ装置100の経時変化などに起因し、パッチ形成用紙92を読み取ることにより得られるRGB値が変動しやすい。この場合、このRGB値に基づき生成される第1変換用テーブル81も、スキャナ装置100の経時変化等の影響を受ける。
【0082】
これに対し、
図5にて示した処理例では、専用の測色器を用いて、色についての物理量を測定する。このため、
図5にて示した処理例では、機器の経時変化等の影響を抑えた状態で、第1変換用テーブル81が生成される。
言い換えると、この
図5にて示す処理例では、パッチ形成用紙92上に形成された形成画像の色情報である第2色情報として、機種非依存性の色情報を取得する。
【0083】
言い換えると、
図5にて示す処理例では、元画像データ90に基づきパッチ形成用紙92上に形成された形成画像の色を測色器で読み取ることにより得られた読み取り結果を、機種非依存性の第2色情報として取得する。
そして、本実施形態では、元画像データ90に含まれる第1色情報と、機種非依存性のこの第2色情報と、光透過度合い情報である透過度合いパラメータTrとを対応付ける。
【0084】
図7は、他の処理例を説明する図である。
この処理例では、図中符号7Aで示す部分にて、パッチ形成用紙92を読み取ることにより得られた、RGBの色空間の画像データを、Labの画像データに変換する。
この処理例は、情報処理装置110に、RGB値をLab値に変換するための第2変換用テーブル89が登録されている。
【0085】
情報処理装置110では、この第2変換用テーブル89を用い、白背景板100Aが設置されている状態のときに得られた読み取り画像データ(白背景読み取り画像データ)に含まれる各画素のRGB値を、Lab値に変換する。
言い換えると、この処理例では、パッチ形成用紙92(符号7H参照)に形成された形成画像をスキャナ装置100で読み取ることにより得られた読み取り結果である機種依存性の色情報であるRGB値を、符号7Aで示す第2変換用テーブル89を用い、機種非依存性の色情報であるLab値に変換する。
この処理例では、この変換により得たこの機種非依存性の色情報であるLab値を、機種非依存性の第2色情報として取得する。
【0086】
そして、この処理例では、元画像データ90に含まれる第1色情報と、第2変換用テーブル89により得られたこのLab値(第2色情報)とを、第1変換用テーブル81に登録し、
図6にて示した第1変換用テーブル81と同様の第1変換用テーブル81を得る。
言い換えると、この処理例では、元画像データ90に含まれる第1色情報と、機種依存性の色情報を機種非依存性の色情報に変換することにより得た第2色情報とを、第1変換用テーブル81に登録し、
図6にて示した第1変換用テーブル81と同様の第1変換用テーブル81を得る。
【0087】
より具体的には、CMYK特色の色空間の各画素の第1色情報と、第2変換用テーブル89により得られた各画素のLab値(第2色情報)とを対応付けて第1変換用テーブル81に登録する。
これにより、
図6にて示した第1変換用テーブル81と同様の第1変換用テーブル81を得る。
【0088】
より具体的には、この処理例では、1つのパッチ画像2に含まれる複数の画素の各々に対応して、複数のLab値が得られるが、この複数のLab値の平均値を求める。そして、CMYK特色の色空間の1つのパッチ画像1についての第1色情報と、この平均値(第2色情報)とを対応付けた状態で、第1変換用テーブル81に登録する。
これにより、
図6にて示した第1変換用テーブル81と同様の第1変換用テーブル81が得られる。
【0089】
また、この処理例では、さらに、
図7の符号7Bで示すように、黒背景板100Bが設置された状態で、パッチ形成用紙92の読み取りを行う。
そして、上記と同様、白背景板100Aが設置されているときに得られたRGB値と、黒背景板100Bが設置されているときに得られたRGB値とに基づき、画素毎に、透過度合いパラメータTrを把握する。
そして、この透過度合いパラメータTrを、各画素に対応付けて、第1変換用テーブル81に登録する。
【0090】
より具体的には、上記と同様、1つのパッチ画像1が有する、CMYK特色の色空間の色情報を基にパッチ形成用紙92上に形成された複数の画素の各々について、
図4にて示した算出式を用い、透過度合いパラメータTrを得る。
そして、複数得られるこの透過度合いパラメータTrの平均値を得ることで、1つのパッチ画像1,2に対応した透過度合いパラメータTrを得る。
そして、この透過度合いパラメータTrを、第1変換用テーブル81に登録する。
これにより、
図6にて示した第1変換用テーブル81と同様の第1変換用テーブル81が生成される。
【0091】
この処理例では、専用の測色器を用いることなく、各パッチ画像2についてのLab値の取得を行える。言い換えると、専用の測色器を用いることなく、パッチ形成用紙92を構成する各画素のLab値の取得を行える。
言い換えると、この処理例では、専用の測色器によるパッチ画像2毎の測色を行うことなく、各パッチ画像2のLab値の取得を行える。
【0092】
なお、上記の通り、スキャナ装置100は経時的に変化する。このため、第2変換用テーブル89は、定期的に更新することが好ましい。
より具体的には、スキャナ装置100は経時的に変化し、これに伴い、パッチ形成用紙92を読み取ることにより得られるRGB値(符号7Eで示すRGB値)も変化する。
この場合に、第2変換用テーブル89が更新されないと、第2変換用テーブル89が用いられて得られるLab値が、本来のLab値とは異なるものとなる。そして、この場合、第1変換用テーブル81に登録されるLab値も、本来のLab値とは異なるものとなる。
【0093】
このため、この処理例では、符号7Xで示すように、Lab値が既知の色見本を、スキャナ装置100にセットして、白背景板100Aの下で、RGB値を新たに得る。そして、既知のLab値と、新たに得たこのRGB値とを対応付けて、新たな第2変換用テーブル89を生成する。
言い換えると、予め定められた保存箇所に保存され、色の管理がなされている色見本を、スキャナ装置100にセットして、RGB値を得る。そして、この色見本に対応付けられて記録されているLab値と、新たに得たRGB値とを対応付けて、新たな第2変換用テーブル89を生成する。
【0094】
その後は、この新たな第2変換用テーブル89を用い、パッチ形成用紙92を読み取ることにより得たRGB値を、Lab値に変換する。そして、この変換により得たLab値と、元画像データ90とを対応付けて、新たな第1変換用テーブル81を生成する。
なお、シミュレーション画像データ94が、情報処理装置110に入力された場合の処理は、
図5にて説明した処理と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0095】
図8は、他の処理例を示した図である。
図8にて示すこの処理では、
図1に示した処理に加え、符号8Aで示す、透過度合いパラメータTrの補正処理が行われる。
透過度合いパラメータTrの補正処理を行う場合は、まず、符号8Bで示すように、形成画像の一例であるパッチ画像2が形成される用紙である形成用紙98が用意される。
この形成用紙98は、符号8Hで示すパッチ画像2が実際に形成される用紙であってもよいし、符号8Hで示すパッチ画像2が実際に形成される用紙と同じ種類の用紙であってもよい。より具体的には、形成用紙98は、符号8Hで示すパッチ画像2が実際に形成される用紙と同じ型番を有する用紙であってもよい。
形成用紙98そのものにパッチ画像2を形成することは必須ではなく、パッチ画像2を形成する用紙と形成用紙98とは、同じ種類の用紙や同じ型番を有する用紙であればよく、パッチ画像2を形成する用紙と形成用紙98とは別の用紙であってもよい。
この形成用紙98は、シミュレーション画像データ94に基づく画像の形成のシミュレーションを行なおうとしている用紙である。付言すると、以下の説明では、シミュレーション画像データ94に基づく、形成用紙98への画像の形成のシミュレーションを行う場合の処理を示している。
【0096】
そして、この処理例では、符号8Cで示すように、この形成用紙98が、スキャナ装置100により読み取られる。
具体的には、白背景板100Aが設置されている状況、黒背景板100Bが設置されている状況の各々の状況下で、この形成用紙98の読み取りが行われて、2つの読み取り画像データが生成される。
【0097】
次いで、この2つの読み取り画像データを用い、画素毎に、透過度合いパラメータTrを得る。言い換えると、
図4にて示した処理と同様の処理により、画素毎に、透過度合いパラメータTrを得る。
言い換えると、この処理例では、形成媒体の一例である形成用紙98の光の透過度合いを示す情報である媒体光透過度合い情報を得る。
【0098】
言い換えると、この処理例では、形成画像の一例であるパッチ画像2が形成される形成媒体についての情報である媒体情報として、透過度合いパラメータTrを取得する。
言い換えると、この処理例では、媒体情報として、形成用紙98の凹凸に関する情報を取得する。ここで、透過度合いパラメータTrは、形成用紙98の凹凸の影響を受けるものであり、この処理例では、形成用紙98の凹凸に関する情報としての透過度合いパラメータTrを取得する。
【0099】
そして、本実施形態では、画素毎に得たこの透過度合いパラメータTrと、各画素の位置情報とを、対応付けた状態で、情報処理装置110に格納されたパラメータ修正用テーブルPT(
図8参照)に登録する。
以下、本明細書では、パラメータ修正用テーブルPTに登録されるこの透過度合いパラメータTrを、修正用パラメータTxと称する。
【0100】
情報処理装置110へのシミュレーション画像データ94の入力があると、情報処理装置110は、上記と同様、符号8Eで示すように、このシミュレーション画像データ94に含まれる各画素について、第1変換用テーブル81を用い、RGB値および透過度合いパラメータTrを得る。
【0101】
より具体的には、情報処理装置110は、入力された画像データの一例であるシミュレーション画像データ94を取得した場合、上記と同様、まず、シミュレーション画像データ94の画素毎に、シミュレーション画像データ94が有する画素の色情報と予め定められた関係を有する第1色情報を把握する。
さらに、上記と同様、情報処理装置110は、把握したこの第1色情報に対応付けられた第2色情報および透過度合いパラメータTrを取得する。
【0102】
さらに、情報処理装置110は、シミュレーション画像データ94の入力があると、このシミュレーション画像データ94に含まれる各画素の各々について、このシミュレーション画像データ94に含まれる情報を基に、各画素が何れの位置にあるかを示す位置情報を取得する。
すなわち、この処理例では、シミュレーション画像データ94の入力があると、情報処理装置110は、各画素についての情報として、RGB値、透過度合いパラメータTr、および、位置情報を取得する。
【0103】
次いで、情報処理装置110は、各画素について取得したこの透過度合いパラメータTrの補正処理を行う。言い換えると、第1変換用テーブル81を用いることにより得た透過度合いパラメータTrの補正処理を行う。
具体的には、情報処理装置110は、パラメータ修正用テーブルPTに登録された修正用パラメータTxを用いて、透過度合いパラメータTrの補正処理を行う。言い換えると、情報処理装置110は、パラメータ修正用テーブルPTに登録された修正用パラメータTxに基づき、透過度合いパラメータTrを変更する。
言い換えると、情報処理装置110は、形成用紙98についての情報である媒体情報に基づき、光透過度合い情報の一例である透過度合いパラメータTrを変更する。
【0104】
透過度合いパラメータTrの変更処理について詳細に説明する。
情報処理装置110は、例えば、ある画素について、第1変換用テーブル81を用いて透過度合いパラメータTrを得ると、この画素の位置に対応する修正用パラメータTxを、パラメータ修正用テーブルPTから読み出して取得する。
そして、情報処理装置110は、この画素についてのこの透過度合いパラメータTrを、この修正用パラメータTxを用いて補正する。
【0105】
具体的には、情報処理装置110は、例えば、透過度合いパラメータTrと修正用パラメータTxとの差の絶対値が、予め定められた閾値を超える場合に、この透過度合いパラメータTrの値が、修正用パラメータTxの値に近づくように、透過度合いパラメータTrの変更を行う。
【0106】
これにより、例えば、シミュレーション画像データ94が有する複数の画素のうちの、例えば、形成用紙98の凹部に配置される画素に対応付けられた透過度合いパラメータTrについては、当初の透過度合いパラメータTrよりも大きい透過度合いパラメータTrに修正される。
言い換えると、第1変換用テーブル81に登録されている透過度合いパラメータTrよりも大きい透過度合いパラメータTrに修正される。
【0107】
より具体的には、この処理例では、形成用紙98にシミュレーション画像データ94に基づく画像を形成することを想定した場合にこの形成用紙98の凹部に位置するようになる、このシミュレーション画像データ94の画素を、実質的に特定することになる。
言い換えると、この処理例では、形成用紙98にシミュレーション画像データ94に基づく画像を形成することを想定した場合にこの形成用紙98の薄肉部分に位置するようになる、このシミュレーション画像データ94の画素を、実質的に特定する。
【0108】
そして、この処理例では、この凹部に位置するようになる画素について取得した透過度合いパラメータTrを変更する。
より具体的には、凹部に位置するようになる画素について取得した透過度合いパラメータTrにより特定される光透過度が大きくなるように透過度合いパラメータTrを変更する。
【0109】
また、この処理では、形成用紙98にシミュレーション画像データ94に基づく画像を形成することを想定した場合にこの形成用紙98の凸部に位置するようになる、このシミュレーション画像データ94の画素を、実質的に特定することになる。
言い換えると、この処理例では、形成用紙98にシミュレーション画像データ94に基づく画像を形成することを想定した場合にこの形成用紙98の厚肉部分に位置するようになる、このシミュレーション画像データ94の画素を、実質的に特定する。
【0110】
そして、この処理例では、この凸部に位置するようになる画素について取得した透過度合いパラメータTrを変更する。
より具体的には、凸部に位置するようになる画素について取得した透過度合いパラメータTrにより特定される光透過度が小さくなるように透過度合いパラメータTrを変更する。
【0111】
以上の処理により、シミュレーション画像データ94の表示にあたっては、形成用紙98の凹凸等の状態が、この表示に、より反映される。言い換えると、この場合、シミュレーション画像データ94の表示は、形成用紙98の状態がより反映された状態で行われる。
より具体的には、形成用紙98のうちの凹部が存在する箇所に配置される画素については、より透けた感じで表示され、また、形成用紙98のうちの凸部が存在する箇所に配置される画素については、透けの程度が減じられた状態で表示される。
【0112】
本実施形態では、上記の通り、1つの透過度合いパラメータTrは、複数得られる透過度合いパラメータTrの平均値である。
言い換えると、本実施形態では、複数得られる透過度合いパラメータTrの平均値を得ることで、1つのパッチ画像1,2に対応した透過度合いパラメータTrを得る。
【0113】
本実施形態では、1つのパッチ画像1,2は面状に形成され、1つのパッチ画像1,2には、複数の画素が含まれる。
本実施形態では、1つのパッチ画像1,2に含まれるこの複数の画素の各々について、透過度合いパラメータTrを取得し、そして、この複数の透過度合いパラメータTrの平均値を、第1変換用テーブル81に登録する透過度合いパラメータTrとする。
例えば、
図3の符号3Cで示した透過度合いパラメータTrは、例えば、
図1の符号1Xで示す1つのパッチ画像2に含まれる複数の画素の各々について得られる複数の透過度合いパラメータTrの平均値である。
【0114】
この場合、例えば、パッチ形成用紙92のうちの、1つのパッチ画像2が形成される領域内に、面積が小さい凹部や凸部などがあったとしても、この凹部や凸部は、透過度合いパラメータTrに反映されにくくなる。
これに対し、本実施形態のように、修正用パラメータTxを用いて透過度合いパラメータTrの補正を行うと、透過度合いパラメータTrへの凹部や凸部の反映度合いが大きくなる。そして、この場合、シミュレーション画像データ94の表示が、形成用紙98の状態がより反映された状態で行われる。
言い換えると、本実施形態にて得られる透過度合いパラメータTr(補正前の透過度合いパラメータTr)は、上記の通り、複数得られる透過度合いパラメータTrの平均値であり、用紙の凹凸が一様であると想定した場合における透過度合いパラメータTrともいえる。
これに対し、この処理例では、実際にシミュレーションを行おうとしている形成用紙98を準備し、この形成用紙98の凹凸についての情報を得る。
そして、局所的に厚みが大きくなっている箇所や、局所的に厚みが小さくなっている箇所に対応する透過度合いパラメータTrについては、修正用パラメータTxを用いて補正する。
【0115】
図9は、他の処理例を示した図である。
この処理例では、符号9Aで示すように、CMYK特色の色空間の元画像データ90も用いられて、透過度合いパラメータTrの補正が行われる。
また、この処理例でも、上記と同様、形成用紙98が用意され、この形成用紙98が、スキャナ装置100により読み取られる。
【0116】
より具体的には、この場合、まず、上記と同様、情報処理装置110にて、この形成用紙98についての透過度合いパラメータTrを得る。より具体的には、この形成用紙98の画素毎に、透過度合いパラメータTrを得る。
以下、形成用紙98の画素毎に得たこの透過度合いパラメータTrを、「形成用紙パラメータTz」と称し、情報処理装置110では、符号9Zで示すように、形成用紙98の画素毎に、この形成用紙パラメータTzを得る。
次いで、この処理例では、CMYKの色空間の元画像データ90に含まれる、パッチ画像1毎に、形成用紙パラメータTzの平均値を得る。
【0117】
より具体的には、CMYKの色空間の元画像データ90には、複数のパッチ画像1が含まれるが、本実施形態では、このパッチ画像1毎に、形成用紙パラメータTzの平均値を得る。
より具体的には、この処理を行うにあたっては、まず、パッチ画像1毎に、このパッチ画像1に基づき形成用紙98上に形成されるパッチ画像2が形成される形成領域を把握する。
【0118】
より具体的には、本実施形態では、
図10(元画像データ90および形成用紙98を示した図)の(A)、(B)に示すように、パッチ画像1毎に、形成用紙98に対し、パッチ画像1に基づくパッチ画像2が形成されるが、この処理例では、パッチ画像1毎に、このパッチ画像2が形成される形成領域を把握する。
【0119】
そして、この処理例では、形成領域毎に、各形成領域に含まれる複数の画素の各々について得られた形成用紙パラメータTzを加算し、形成用紙パラメータTzの合計値を取得する。次いで、この合計値を、この複数の画素の総数で割る。
これにより、形成領域毎に、形成用紙パラメータTzの平均値が得られる。言い換えると、各色のパッチ画像1毎の、形成用紙パラメータTzの平均値が得られる。
【0120】
次いで、この処理例では、例えば、複数得られるこの平均値のうちの、その値の大きさが上位10%以内に入る平均値を特定する。言い換えると、複数得られるこの平均値のうちの、特定の条件を満たす平均値を特定する。
そして、特定したこの平均値が得られる元となった形成領域に対応するパッチ画像1を特定する。
【0121】
次いで、特定したこのパッチ画像1を基に得られた透過度合いパラメータTrを特定する。言い換えると、第1変換用テーブル81(
図9参照)に登録されている情報の中から、このパッチ画像1に対応する透過度合いパラメータTrを特定する。言い換えると、このパッチ画像1を基に得られた透過度合いパラメータTrを特定する。
そして、
図9の符号9Xで示すように、特定したこの透過度合いパラメータTrを補正する。より具体的には、上記のように、値の大きさが上位10%以内となる平均値を特定した場合は、特定したこの透過度合いパラメータTrを小さくする補正を行う。
【0122】
また、その他に、例えば、複数得られる上記の平均値(形成用紙パラメータTzの平均値)のうちの、その値の大きさが下位10%以内に入る平均値を特定する。言い換えると、この場合も、複数得られるこの平均値のうちの、特定の条件を満たす平均値を特定する。
そして、特定したこの平均値が得られる元となった形成領域に対応するパッチ画像1を特定する。
【0123】
次いで、特定したこのパッチ画像1を基に得られた透過度合いパラメータTrを特定する。言い換えると、
図9にて示す第1変換用テーブル81に登録されている情報の中から、このパッチ画像1に対応する透過度合いパラメータTrを特定する。
そして、特定したこの透過度合いパラメータTrを補正する。より具体的には、上記のように、値の大きさが下位10%以内となる平均値を特定した場合は、特定したこの透過度合いパラメータTrを大きくする補正を行う。
【0124】
ここで、例えば、形成用紙98の一部に凹部があり、さらに、ある1つのパッチ画像1に基づき形成されるパッチ画像2の全ての部分が、この凹部に収まる場合を想定する。
この場合、この1つのパッチ画像1について得られた透過度合いパラメータTrについては、他の透過度合いパラメータTrよりも相対的に大きく設定されてしまう。
これに対し、本実施形態の処理を行うと、透過度合いパラメータTrが小さくなる補正が行われる。
【0125】
また、例えば、形成用紙98の一部に凸部が存在し、さらに、ある1つのパッチ画像1に基づき形成されるパッチ画像2の全ての部分が、この凸部に位置する場合を想定する。
この場合、この1つのパッチ画像1について得られた透過度合いパラメータTrについては、他の透過度合いパラメータTrよりも相対的に小さく設定されてしまう。
これに対し、本実施形態の処理を行うと、透過度合いパラメータTrが大きくなる補正が行われる。
【0126】
ここで、本実施形態では、1つのパッチ画像1に対応して得られる1つの透過度合いパラメータTrは、複数得られる透過度合いパラメータTrの平均値である。
この場合、パッチ画像2の面積よりも凹部の面積が十分に小さければ、また、パッチ画像2の面積よりも凸部の面積が十分に小さければ、透過度合いパラメータTrが過度に大きくなったり、過度に小さくなったりしない。
【0127】
これに対し、パッチ画像2の面積に対する、凹部や凸部の面積が大きいと、透過度合いパラメータTrが、この凹部や凸部の影響を受け、他のパッチ画像2に対応する他の透過度合いパラメータTrよりも大きくなったり、小さくなったりする。
これに対し、上記にて説明した処理では、形成用紙98の形状の影響を大きく受けている可能性がある透過度合いパラメータTrの補正が行われ、形成用紙98の形状の影響を抑えた透過度合いパラメータTrに修正される。
【0128】
言い換えると、この処理例では、パッチ形成用紙92のうちのパッチ画像2が形成された領域が予め定められた条件を満たす領域である場合に、パッチ画像2が形成されたこの領域を基に取得された透過度合いパラメータTrを変更する。
この処理例では、パッチ形成用紙92のうちの各パッチ画像2が形成された各領域が特定の領域に相当する。そして、この特定の領域が予め定められた条件を満たす場合、この特定の領域を基に取得した透過度合いパラメータTrを変更する。
【0129】
より具体的には、本実施形態では、パッチ形成用紙92のうちの各パッチ画像2が形成された各領域の各々について、透過度合いパラメータTrを取得するが、各領域のうちの、予め定められた特定の条件を満たす領域については、この領域について得た透過度合いパラメータTrを変更する。
より具体的には、この処理例では、パッチ画像2が形成された一の領域に面積が大きい凸部や凹部が形成され、この一の領域におけるパッチ形成用紙92の厚さ(平均厚さ)が、他の領域の厚さ(平均厚さ)よりも大きい場合や小さい場合に、この一の領域を基に取得した透過度合いパラメータTrを変更する。
【0130】
より具体的には、この処理例では、一の領域におけるパッチ形成用紙92の厚さがパッチ形成用紙92の他の領域の厚さよりも大きい場合、この一の領域を基に取得した透過度合いパラメータTrにより特定される光透過度が大きくなるように透過度合いパラメータTrを変更する。
また、この処理例では、一の領域におけるパッチ形成用紙92の厚さがパッチ形成用紙92の他の領域の厚さよりも小さい場合、この一の領域を基に取得した透過度合いパラメータTrにより特定される光透過度が小さくなるように透過度合いパラメータTrを変更する。
【0131】
図11は、第1変換用テーブル81の他の一例を示した図である。
図11にて示す第1変換用テーブル81では、上記と同様、CMYK特色の色空間の第1色情報、RGBの色空間の第2色情報、透過度合いパラメータTrが互いに対応付けられている。
また、この第1変換用テーブル81では、CMYK特色の色空間の第1色情報、RGBの色空間の第2色情報、透過度合いパラメータTrの各々に対して、画素の位置を示す情報である画素位置情報が登録されている。
【0132】
この第1変換用テーブル81を用いて、シミュレーション画像の変換を行う場合は、まず、情報処理装置110が、シミュレーション画像を構成する画素の各々について、位置情報および色情報を取得する。
言い換えると、シミュレーション画像の入力があり、入力されたこのシミュレーション画像データを取得した場合、シミュレーション画像を構成する画素の各々について、位置情報および色情報を取得する。
ここで、位置情報としては、例えば、各画素の座標情報を取得し、また、色情報としては、上記と同様、CMYK特色の色空間の色情報を取得する。
【0133】
そして、この場合、情報処理装置110は、第1変換用テーブル81の中から、取得した位置情報、取得した色情報が同一の行に含まれている行を特定する。
そして、情報処理装置110は、特定した行に含まれる、RGBの色空間の第2色情報、および、透過度合いパラメータTrを把握する。
【0134】
言い換えると、情報処理装置110は、第1変換用テーブル81に登録されている情報の中から、入力画像データを構成する構成画素の位置情報に一致する画素位置情報を把握する。
また、情報処理装置110は、第1変換用テーブル81に登録されている情報の中から、構成画素の色情報と予め定められた関係を有する第1色情報を把握する。
【0135】
さらに、情報処理装置110は、把握したこの画素位置情報および第1色情報の両者に対応付けられている、RGBの色空間の第2色情報、および、透過度合いパラメータTrを取得する。
そして、情報処理装置110は、取得した、RGBの色空間の第2色情報、透過度合いパラメータTr、背景RGB値を基に、上記と同様、各画素についての表示を行う。
【0136】
より具体的には、例えば、情報処理装置110は、シミュレーション画像(入力画像)を構成する構成画素についての情報として、位置情報(0000、0002)、および、色情報((CMYK特色)=(0,20,0,0,80))を取得した場合、
図11の符号11Aで示す行を特定する。
この行には、RGBの色空間の第2色情報として、(R,G,B)=(185,151,95)が登録され、透過度合いパラメータTrとして、0.7が登録されている。
【0137】
この場合、情報処理装置110は、RGBの色空間の第2色情報、透過度合いパラメータTrとして、(R,G,B)=(185,151,95)、0.7を取得する。
そして、情報処理装置110は、取得した、(R,G,B)=(185,151,95)、透過度合いパラメータTr(0.7)、および、背景RGB値を基に、上記と同様、対象画素についての表示を行う。
【0138】
図12は、
図11にて示した第1変換用テーブル81の生成方法を説明する図である。
図11にて示した第1変換用テーブル81の生成にあっては、各色のパッチ画像1の配置位置が互いに異なる複数種類の元画像データ90を用意する。
そして、この複数種類の元画像データ90に基づき、形成用紙98への印刷を行い、各色のパッチ画像2の配置位置が互いに異なる複数種類のパッチ形成用紙92を生成する。
【0139】
さらに、元画像データ90毎に、元画像データ90を構成する構成画素の位置情報である画素位置情報を取得する。また、元画像データ90毎に、元画像データ90を構成する構成画素の色情報を、第1色情報として取得する。
また、パッチ形成用紙92毎に、パッチ形成用紙92に含まれる各画素の各々について、第2色情報(RGBの色空間の色情報)を取得する。
言い換えると、パッチ形成用紙92毎に、第1色情報に基づきパッチ形成用紙92上に形成された画素である形成画素についての第2色情報を取得する。
【0140】
また、パッチ形成用紙92毎に、パッチ形成用紙92に含まれる各画素の各々について、透過度合いパラメータTrを取得する。
言い換えると、パッチ形成用紙92毎に、第1色情報に基づきパッチ形成用紙92上に形成された形成画素が位置する箇所についての透過度合いパラメータTrを取得する。
そして、本実施形態では、画素毎に取得する、この画素位置情報と、第1色情報と、第2色情報と、透過度合いパラメータTrとを対応付ける。
【0141】
ここで、第1色情報である、CMYK特色の色空間の色情報は、元画像データ90に含まれる各画素についての色情報である。
また、RGBの色空間の色情報である第2色情報は、上記と同様、白背景板100Aの下で、パッチ形成用紙92をスキャナ装置100で読み取ることにより得る。
また、透過度合いパラメータTrは、上記と同様、白背景板100Aが設置されている状況、黒背景板100Bが設置されている状況の両条件下で、パッチ形成用紙92を読み取ることにより得る。
【0142】
言い換えると、この処理例では、元画像データ90を構成する画素毎に、この画素についての位置情報である画素位置情報、元画像データ90の色情報である第1色情報、パッチ形成用紙92をスキャナ装置100により読み取ることにより得られたRGB値(第2色情報)、および、透過度合いパラメータTrを得る。
そして、元画像データ90を構成する画素の各々について得た、これらの情報を、第1変換用テーブル81に登録する。
これにより、
図11にて示した第1変換用テーブル81が生成される。
【0143】
図1にて示した第1変換用テーブル81を用いる場合は、シミュレーション画像を構成する各画素の色情報のみが考慮されて、各画素のRGB値(第2色情報)および透過度合いパラメータTrが取得された。
これに対し、
図11にて示した第1変換用テーブル81を用いる場合は、シミュレーション画像を構成する各画素の色情報および位置情報が考慮されて、各画素のRGB値(第2色情報)および透過度合いパラメータTrが取得される。
【0144】
図13は、他の処理例を示した図である。
図13にて示すこの処理例では、途中までの処理は、
図8にて示した処理と同様である。より具体的には、透過度合いパラメータTrの取得処理までは、
図8にて示した処理と同様である。この処理例では、透過度合いパラメータTrの補正処理が
図8にて示した処理と異なる。
【0145】
図13にて示すこの処理では、
図8にて示した処理と同様、まず、符号8Bで示すように、形成用紙98が用意される。
この形成用紙98は、
図13の符号8Hで示すパッチ画像2が後に実際に形成される用紙であってもよいし、符号8Hで示すパッチ画像2が実際に形成される用紙と同じ種類の用紙であってもよい。また、形成用紙98は、符号8Hで示すパッチ画像2が実際に形成される用紙と同じ型番を有する用紙であってもよい。
【0146】
形成用紙98そのものにパッチ画像2を形成することは必須ではなく、パッチ画像2を形成する用紙と形成用紙98とは、同じ種類の用紙や同じ型番を有する用紙であればよく、パッチ画像2を形成する用紙と形成用紙98とは別の用紙であってもよい。
この形成用紙98は、シミュレーション画像データ94に基づく画像の形成のシミュレーションを行なおうとしている用紙である。付言すると、以下の説明では、シミュレーション画像データ94に基づく、形成用紙98への画像の形成のシミュレーションを行う場合の処理を示している。
【0147】
この処理例では、
図13の符号8Cで示すように、この形成用紙98が、スキャナ装置100により読み取られる。
具体的には、白背景板100Aが設置されている状況、黒背景板100Bが設置されている状況の各々の状況下で、この形成用紙98の読み取りが行われて、2つの読み取り画像データが生成される。
【0148】
次いで、上記と同様、この2つの読み取り画像データを用い、画素毎に、透過度合いパラメータ(以下、「透過度合いパラメータTp」と称する)を得る。言い換えると、
図4にて示した処理と同様の処理により、画素毎に、透過度合いパラメータTpを得る。
言い換えると、この処理例でも、形成用紙98の光の透過度合いを示す情報である媒体光透過度合い情報を得る。
【0149】
言い換えると、この処理例では、シミュレーション画像データ94に基づく画像の形成のシミュレーションを行うとしている形成用紙98についての情報として、この形成用紙98の画素毎に、透過度合いパラメータTpを取得する。
言い換えると、この処理例でも、形成用紙98の凹凸に関する情報を取得する。ここで、透過度合いパラメータTpは、形成用紙98の凹凸の影響を受けるものであり、この処理例では、形成用紙98の凹凸に関する情報としての透過度合いパラメータTpを取得する。
【0150】
そして、この処理例では、画素毎に得たこの透過度合いパラメータTpと、各画素の位置情報とを、対応付けた状態で、情報処理装置110に格納されたパラメータ修正用テーブルPT(
図13参照)に登録する。なお、本明細書では、以下、「透過度合いパラメータTp」を、「修正用パラメータTp」と称する。
【0151】
情報処理装置110へのシミュレーション画像データ94の入力があると、情報処理装置110は、上記と同様、
図13の符号8Eで示すように、このシミュレーション画像データ94に含まれる各画素について、第1変換用テーブル81を用い、RGB値および透過度合いパラメータTrを得る。
【0152】
より具体的には、情報処理装置110は、入力された画像データの一例であるシミュレーション画像データ94を取得した場合、上記と同様、まず、シミュレーション画像データ94の画素毎に、シミュレーション画像データ94が有する画素の色情報と予め定められた関係を有する第1色情報を把握する。
さらに、上記と同様、情報処理装置110は、把握したこの第1色情報に対応付けられた第2色情報および透過度合いパラメータTrを取得する。
【0153】
さらに、情報処理装置110は、シミュレーション画像データ94の入力があると、このシミュレーション画像データ94に含まれる各画素の各々について、このシミュレーション画像データ94に含まれる情報を基に、各画素が何れの位置にあるかを示す位置情報を取得する。
すなわち、この処理例では、シミュレーション画像データ94の入力があると、情報処理装置110は、各画素についての情報として、RGB値、透過度合いパラメータTr、および、位置情報を取得する。
【0154】
次いで、情報処理装置110は、各画素について取得したこの透過度合いパラメータTrの補正処理を行う。言い換えると、第1変換用テーブル81を用いることにより得た透過度合いパラメータTrの補正処理を行う。
より具体的には、情報処理装置110は、修正用パラメータTp、および、入力画像データの一例であるシミュレーション画像データ94に基づき、光透過度合い情報の一例である透過度合いパラメータTrの補正処理(変更処理)を行う。
【0155】
具体的には、情報処理装置110は、パラメータ修正用テーブルPTに登録された修正用パラメータTpと、シミュレーション画像データ94を構成する各画素の色情報とを用いて、シミュレーション画像データ94を構成する各画素の各々について得られた透過度合いパラメータTrの補正処理を行う。
具体的には、情報処理装置110は、次の(1)式で示す関数を用いて、補正後の透過度合いパラメータTr´を得る。
(1)………Tr´=F(Tr、Tp、CMYK特色のトータルカバレッジ)
【0156】
ここで、Trは、補正前の透過度合いパラメータTrである。言い換えると、第1変換用テーブル81を参照して得た、透過度合いパラメータTrである。
Tpは、修正用パラメータTpである。
CMYK特色のトータルカバレッジは、CMYK特色の各色のトナーの使用量の合計値である。言い換えると、CMYK特色のトータルカバレッジは、シミュレーション画像データ94に基づき画像を形成する際に使用する材料の量についての情報(量情報)である。
【0157】
本実施形態では、情報処理装置110は、例えば、シミュレーション画像データ94を構成するある1つの画素について、上記の通り、透過度合いパラメータTrを取得する。
また、情報処理装置110は、この1つの画素について、修正用パラメータTpを得る。具体的には、情報処理装置110は、この1つの画素が位置する箇所に対応付けられてパラメータ修正用テーブルPTに登録されている修正用パラメータTpを取得する。
また、情報処理装置110は、この1つの画素について、トータルカバレッジを取得する。言い換えると、情報処理装置110は、この1つの画素について、画素を形成するのに用いるトナーの使用量についての情報を取得する。
【0158】
そして、情報処理装置110は、取得したこれらの情報を、(1)式に代入し、補正後の透過度合いパラメータTr´を得る。
ここで、上記の(1)式で示す関数Fは、トータルカバレッジの値が大きくなるほど、補正前の透過度合いパラメータTrに対する、修正用パラメータTpの影響度が小さくなる関数となっている。
【0159】
具体的には、関数Fは、補正前の透過度合いパラメータTrと、修正用パラメータTpとの差が大きく、補正前の透過度合いパラメータTrの補正度合いが大きくなるようなケースであっても、トータルカバレッジの値が大きい場合には、この透過度合いパラメータTrの補正度合いが小さくなる関数となっている。
一方、逆に、関数Fは、トータルカバレッジの値が小さい場合には、補正前の透過度合いパラメータTrの補正度合いが大きくなる関数となっている。
【0160】
ここで、補正前の透過度合いパラメータTrと、修正用パラメータTpとの差が大きい場合、例えば、形成用紙98に部分的に厚みが大きい部分があったり、部分的に厚みが小さい部分があったりすることが想定され、この場合、透過度合いパラメータTrを修正することが好ましくなる。
【0161】
その一方で、トナーが沢山載る部分については、形成用紙98の地の影響が小さくなり、透過度合いパラメータTrを過度に補正してしまうと、逆に、シミュレーション画像データ94に基づくシミュレーションの結果が不自然となるおそれがある。
このため、この処理例では、修正用パラメータTpに基づき、透過度合いパラメータTrの補正を行う一方で、トータルカバレッジが大きい場合には、補正の程度を小さくする。また、逆に、トータルカバレッジが小さい場合には、補正の程度を大きくする。
言い換えると、トータルカバレッジが大きい場合には、透過度合いパラメータTrの補正に対する修正用パラメータTpの影響度を小さくし、トータルカバレッジが小さい場合には、透過度合いパラメータTrの補正に対する修正用パラメータTpの影響度を大きくする。
言い換えると、本実施形態では、上記の量情報により特定される値が大きくなるのに従い、透過度合いパラメータTrの変更の程度を小さくする。
【0162】
本実施形態にて得られる透過度合いパラメータTr(補正前の透過度合いパラメータTr)は、上記の通り、複数得られる透過度合いパラメータTrの平均値であり、用紙の凹凸が一様であると想定した場合における透過度合いパラメータTrともいえる。
これに対し、この処理例では、実際にシミュレーションを行おうとしている形成用紙98を準備し、この形成用紙98の凹凸についての情報を得る。
【0163】
そして、局所的に厚みが大きくなっている箇所や、局所的に厚みが小さくなっている箇所に対応する透過度合いパラメータTrについては、修正用パラメータTpを用いて補正する。
この際、この処理例では、この局所的に厚みが大きくなっている箇所や、局所的に厚みが小さくなっている箇所に載るトナーの量を考慮し、この量に基づき、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定する。
そして、決定後の反映度合いに基づき、透過度合いパラメータTrに対して修正用パラメータTpを反映し、補正後の透過度合いパラメータTr´を得る。
【0164】
具体的を挙げて説明する。
本実施形態では、CMYK特色のトータルカバレッジの最大値は、500%となる。より具体的には、各色についてのカバレッジの最大値は、100%であり、CMYK特色のトータルカバレッジの最大値は、500%となる。
ここで、例えば、CMYK特色の各カバレッジを、(100、100、100、100、0)と想定する。この場合、CMYK特色のトータルカバレッジは、400%となり、また、この場合、この(100、100、100、100、0)の色情報を基に形成される画素の色は、黒となる。
【0165】
本実施形態では、この場合、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを小さくする。
具体的には、例えば、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを零にする。この場合、(100、100、100、100、0)の色情報を基に形成される画素のシミュレーションにあたっては、当初の透過度合いパラメータTrそのものを用いることになる。
【0166】
(100、100、100、100、0)の色情報を有する画素については、
図3にて示した第1変換用テーブルを参照することにより得られる透過度合いパラメータTrは小さくなる。
この場合に、例えば、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを大きくしてしまうと、透過度合いパラメータTrが大きくなり、表示が不自然となるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、上記のように、トナーが沢山載り、透過度合いがそもそも小さい箇所については、透過度合いが小さい状態が保たれる。
【0167】
なお、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いの決定にあっては、トータルカバレッジが、上記の500%よりも小さい予め定められた値(例えば100%)を超えた場合に、反映度合いが零となるようにしてもよい。
言い換えると、トータルカバレッジが、トータルカバレッジの最大値(500%)よりも小さい特定の値を超えた場合に、反映度合いが零となるようにしてもよい。
言い換えると、トータルカバレッジが、トータルカバレッジの最大値に達した場合に、反映度合いが零となるようにするのではなく、トータルカバレッジが、この最大値よりも小さい場合であっても、反映度合いが零となるようにしてもよい。
【0168】
また、その他に、CMYK特色のトータルカバレッジのみではなく、CMYK特色の明度も考慮して、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定してもよい。
言い換えると、CMYK特色のトータルカバレッジ、および、CMYK特色の明度に基づき、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定してもよい。
【0169】
具体的には、CMYK特色の明度が大きいほど、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを大きくし、CMYK特色の明度が小さいほど、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを小さくしてもよい。
言い換えると、取得する明度についての情報により特定される明度が小さくなるのに従い、光透過度合い情報の一例である透過度合いパラメータTrの変更の程度が小さくなるようにしてもよい。
【0170】
ここで、例えば、CMYK特色の各カバレッジを、(0、0、100(イエロー)、0、0)と想定する。この場合、CMYK特色のトータルカバレッジのみに基づき、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定する場合、上記のように、反映度合いが零となる場合がある。
より具体的には、トータルカバレッジが、上記の500%よりも小さい予め定められた値(例えば100%)を超えた場合に、反映度合いが零となるようにする設定がなされている場合、CMYK特色の各カバレッジが、(0、0、100、0、0)であると、反映度合いが零となる。
【0171】
しかしながら、実際には、CMYK特色の各カバレッジが、(0、0、100、0、0)である場合、イエローの画素(透けが生じやすい画素)が形成された状態となり、シミュレーション画像データ94の表示を行うと、形成用紙98の影響が表れるようになる。
このような場合に、明度も考慮して、反映度合いを決定すると、形成用紙98の影響が反映されるようになる、補正後の透過度合いパラメータTr´を得られるようになる。
より具体的には、補正後の透過度合いパラメータTr´の値が、0を超える値となる補正後の透過度合いパラメータTr´を得られるようになる。
【0172】
なお、明度についての情報は、例えば、シミュレーション画像データ94の色情報と明度との関係を登録したテーブルを予め生成しておくことで得ることができる。より具体的には、このテーブルを参照することで、シミュレーション画像データ94の色情報に対応した明度を得られるようになる。
そして、本実施形態では、得たこの明度に基づき、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定する。そして、決定したこの反映度合いで、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映を行い、そして、最終的に、補正後の透過度合いパラメータTr´を得る。
【0173】
本実施形態では、このように、入力画像データであるシミュレーション画像データ94に基づき、このシミュレーション画像データ94に基づき形成される画像の明度についての情報を取得する。
そして、取得するこの明度についての情報に基づき、取得した透過度合いパラメータTrを変更し、新たな透過度合いパラメータTr´を得る。
【0174】
また、その他、CMYK特色の各カバレッジを考慮せず、CMYK特色の明度のみに基づき、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定してもよい。言い換えると、シミュレーション画像データ94の色情報に基づき得られる明度のみに基づき、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いを決定してもよい。
この場合も、CMYK特色の明度が大きいほど、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いが大きくなり、CMYK特色の明度が小さいほど、透過度合いパラメータTrに対する修正用パラメータTpの反映度合いが小さくなる。
【0175】
図14は、情報処理装置110のハードウェア構成の一例を説明する図である。
情報処理装置110は、装置全体の動作を制御する制御ユニット101と、上記の第1変換用テーブル81等を記憶するハードディスクドライブ102と、LAN(=Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース103とを有している。
【0176】
制御ユニット101は、プロセッサの一例としてのCPU(=Central Processing Unit)111と、基本ソフトウェアやBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)112と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)113とを有している。
CPU111はマルチコアでもよい。また、ROM112は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御ユニット101は、いわゆるコンピュータである。
本実施形態では、CPU111が、ROM112などに格納されたプログラムを実行することで、上記にて説明した処理が実行される。
【0177】
ハードディスクドライブ102は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。もっとも、不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリや磁気テープでもよい。
この他、情報処理装置110は、必要に応じ、キーボード、マウス等の入力デバイス、液晶ディスプレイ等の表示デバイスも備える。
制御ユニット101と、ハードディスクドライブ102と、ネットワークインターフェース103は、バス104や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0178】
ここで、CPU111によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、情報処理装置110へ提供しうる。
また、CPU111によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、情報処理装置110へ提供してもよい。
【0179】
なお、本実施形態において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【符号の説明】
【0180】
1…パッチ画像、2…パッチ画像、90…元画像データ、92…パッチ形成用紙、98…形成用紙、100A…白背景板、100B…黒背景板、110…情報処理装置、111…CPU、Tr…透過度合いパラメータ