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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240910BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03G21/00 398
G03G21/16 120
G03G21/16 133
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020145953
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040972
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】何 慧敏
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-058611(JP,A)
【文献】特開2017-083117(JP,A)
【文献】特開2004-133259(JP,A)
【文献】特開2008-142367(JP,A)
【文献】実開昭53-147143(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体と、
前記装置筐体に取り付けられ、トナーを収容するカートリッジと、
前記カートリッジの使用中に第1位置に位置し、前記カートリッジの取り外し時に第2位置に位置する変位部材と、
前記変位部材が前記第2位置に位置することを示す信号を出力するスイッチと、
制御部と、
電源ONモードで前記制御部及び前記スイッチに給電し、電源OFFモードで前記制御部及び前記スイッチへの給電を停止する電源装置と、
前記電源ONモードで充電されるコンデンサと、
前記電源装置に接続された第1抵抗素子と、
アノードを前記第1抵抗素子に接続され、カソードを前記スイッチ及び前記コンデンサに接続される第1ダイオードと、
を備え、
前記スイッチは、
前記電源OFFモードで前記変位部材が前記第2位置に位置する時に前記コンデンサに充電された電荷を放電し、
前記制御部は、
前記電源OFFモードから前記電源ONモードへの移行に応じて、前記コンデンサに充電された電荷量が閾値以下の場合、準備動作を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記変位部材は、
前記カートリッジの交換時に開閉するカバーであり、
前記第1位置は、
前記カバーを閉じた閉位置であり、
前記第2位置は、
前記カバーを開いた開位置であり、
前記スイッチは、
前記電源OFFモードにおいて前記カバーが前記開位置になると導通し、前記コンデンサの電荷を放電し、前記電源OFFモードにおいて前記カバーが前記閉位置に位置すると非導通となり、前記コンデンサの電荷を維持する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
アノードを前記コンデンサに接続され、カソードを前記第1ダイオードのカソードに接続される第2ダイオードと、
第3ダイオードを有し、前記電源装置から受電した電力により前記コンデンサを充電する充電回路と、
前記電源OFFモードから前記電源ONモードへの移行に応じて、前記充電回路による前記コンデンサの充電を遅延させる遅延部と、
を備え、
前記第3ダイオードは、
アノードに前記電源装置が接続され、カソードに前記コンデンサが接続される、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記充電回路は、
前記制御部の出力端子を介して前記電源装置に接続され、
前記制御部は、
前記電源OFFモードから前記電源ONモードへ移行した後も、前記出力端子の電圧レベルをLowレベルで維持し、前記コンデンサの電荷量を閾値で判断する判断処理が完了した後、前記出力端子の電圧レベルをHighレベルに変更し、前記充電回路により前記コンデンサを充電させ、前記充電回路による前記コンデンサの充電を遅延させる前記遅延部として機能する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遅延部は、
前記第3ダイオードのカソードと、前記コンデンサの間に接続される第2抵抗素子であり、
前記制御部は、
前記電源OFFモードから前記電源ONモードへの移行に応じて、前記コンデンサの電荷量を閾値で判断する判断処理を処理時間で完了させ、
前記充電回路は、
前記第2抵抗素子を介して前記電源装置から前記コンデンサへ給電し、放電した前記コンデンサの充電を充電時間で完了させ、
前記第2抵抗素子の抵抗値は、
前記処理時間に比べて、前記充電時間が長くなる値が設定される、請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジの交換を検知する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置の中には、電源をOFFした状態からの復帰時の消費電力を抑えるものがある。下記特許文献1の画像形成装置は、電源部の一部しか動作していない電源OFFモードから復帰すると、画像形成を実行する前に準備動作を実行する。この準備動作では、カートリッジによるトナーの撹拌などを実行するため、一定の電力を消費する。特許文献1の画像形成装置は、電源OFFモードにおいて筐体カバーが開けられておらず、カートリッジが交換されていない可能性が高い場合、準備動作を実行せずに消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-17031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した画像形成装置では、筐体カバーの開閉を判断し、カートリッジの交換に応じて準備動作の実行の有無を決定している。画像形成装置は、電源容量の小さい小容量電源部を備え、電源OFFモードにおいて、筐体カバーの開閉を検知する監視ICへ小容量電源部から給電している。このため、カートリッジの交換を検知するために電源OFFモードにおいて一定の電力が消費されており、消費電力を低減する観点において改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、電源OFFモードにおけるカートリッジの交換を検知するための処理で必要な消費電力を低減できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、装置筐体と、前記装置筐体に取り付けられ、トナーを収容するカートリッジと、前記カートリッジの使用中に第1位置に位置し、前記カートリッジの取り外し時に第2位置に位置する変位部材と、前記変位部材が前記第2位置に位置することを示す信号を出力するスイッチと、制御部と、電源ONモードで前記制御部及び前記スイッチに給電し、電源OFFモードで前記制御部及び前記スイッチへの給電を停止する電源装置と、前記電源ONモードで充電されるコンデンサと、を備え、前記スイッチは、前記電源OFFモードで前記変位部材が前記第2位置に位置する時に前記コンデンサに充電された電荷を放電し、前記制御部は、前記電源OFFモードから前記電源ONモードへの移行に応じて、前記コンデンサに充電された電荷量が閾値以下の場合、準備動作を実行する、画像形成装置を開示する。
【0007】
これによれば、コンデンサには、電源ONモードにおいて電荷が充電される。スイッチは、電源OFFモードにおいて、変位部材を第1位置から第2位置へ変位させると、コンデンサに充電されていた電荷を放電する。これにより、制御部は、電源OFFモードから電源ONモードへの移行に応じて、コンデンサの電荷量が閾値以下の場合のみ、準備動作を実行することで、カートリッジが交換された可能性が高い場合のみ、準備動作を実行することができる。電源復帰時における消費電力の低減を図れる。
また、電源ONモードでコンデンサを充電しているため、電源OFFモードにおいてコンデンサを充電するために電源装置を起動等する必要がなくなる。また、電源OFFモードでは、スイッチが、変位部材の位置に応じてコンデンサの放電を行うことで、電源復帰後にカートリッジの交換を判断できる。このため、電源OFFモードにおいて、変位部材の位置を監視する監視ICや、監視ICへの給電が不要となる。従って、電源OFFモードにおいてカートリッジの交換を検知するための処理で必要な消費電力を低減できる。
【0008】
また、本願の画像形成装置において、前記変位部材は、前記カートリッジの交換時に開閉するカバーであり、前記第1位置は、前記カバーを閉じた閉位置であり、前記第2位置は、前記カバーを開いた開位置であり、前記スイッチは、前記電源OFFモードにおいて前記カバーが前記開位置になると導通し、前記コンデンサの電荷を放電し、前記電源OFFモードにおいて前記カバーが前記閉位置に位置すると非導通となり、前記コンデンサの電荷を維持する、構成としても良い。
【0009】
これによれば、画像形成装置は、カートリッジの交換時に開閉されるカバーを備える。スイッチは、カバーの開閉に応じて出力する信号を変更する。このようなカバーの開閉を検知するためのスイッチは、カートリッジの交換以外にも、印刷用紙のジャムの解消など、様々なユーザ動作を検知するために画像形成装置に備え付けられている可能性が高い。また、スイッチは、コンデンサの電荷を放電する放電回路としても機能する。従って、画像形成装置に取り付けられた他の用途のカバースイッチを、放電回路として流用できる。画像形成装置に必要な部品の削減を図ることができる。
【0010】
また、本願の画像形成装置において、前記電源装置に接続された第1抵抗素子と、アノードを前記第1抵抗素子に接続され、カソードを前記スイッチ及び前記コンデンサに接続される第1ダイオードを備える、構成としても良い。
【0011】
これによれば、電源装置からスイッチへ給電する経路と、コンデンサからスイッチへ放電する経路を共通化することができる。電源装置の出力端子の電位は、電源OFFモードで下がる。このため、電源OFFモードにおいて、スイッチが非導通であるにもかかわらず、コンデンサに充電されている電荷が第1抵抗素子を介して電源装置から放電されてしまう虞がある。その結果、電荷量に基づくカバーの開閉を誤検知する虞がある。そこで、電源装置とコンデンサの間に、電荷が電源装置から抜けてしまうことを抑制するための第1ダイオードを設ける。これにより、誤検知の発生を抑制できる。
【0012】
また、本願の画像形成装置において、アノードを前記コンデンサに接続され、カソードを前記第1ダイオードのカソードに接続される第2ダイオードと、第3ダイオードを有し、前記電源装置から受電した電力により前記コンデンサを充電する充電回路と、前記電源OFFモードから前記電源ONモードへの移行に応じて、前記充電回路による前記コンデンサの充電を遅延させる遅延部と、を備え、前記第3ダイオードは、アノードに前記電源装置が接続され、カソードに前記コンデンサが接続される、構成としても良い。
【0013】
電源OFFモードから電源ONモードへの移行に応じて電源装置から第1抵抗素子を介してコンデンサへ電流が流れ込むと、仮に、電源OFF時に放電されていても、コンデンサが再度充電される可能性がある。その結果、カバーの開閉を誤検知する虞がある。そこで、第1ダイオードとコンデンサの間に、電源装置から第1ダイオードを介してコンデンサに電流が流れ込むことを抑制するための第2ダイオードを設ける。これにより、誤検知の発生を抑制できる。
また、充電回路を介して電源装置からコンデンサへ充電する場合、電源OFFモードにおいて、スイッチが非導通であるにもかかわらず、コンデンサに充電された電荷が充電回路を介して電源装置へ放電される虞がある。そこで、電源装置とコンデンサの間に、電荷が電源装置から抜けてしまうことを抑制するための第3ダイオードを設ける。これにより、誤検知の発生を抑制できる。
さらに、充電回路によるコンデンサの充電を遅延させる遅延部を設ける。これにより、電源OFFモードにおけるカバーの開閉の判断が完了する前に、充電回路によってコンデンサが充電されてしまうことを抑制できる。その結果、誤検知の発生を抑制できる。
【0014】
また、本願の画像形成装置において、前記充電回路は、前記制御部の出力端子を介して前記電源装置に接続され、前記制御部は、前記電源OFFモードから前記電源ONモードへ移行した後も、前記出力端子の電圧レベルをLowレベルで維持し、前記コンデンサの電荷量を閾値で判断する判断処理が完了した後、前記出力端子の電圧レベルをHighレベルに変更し、前記充電回路により前記コンデンサを充電させ、前記充電回路による前記コンデンサの充電を遅延させる前記遅延部として機能する、構成としても良い。
【0015】
これによれば、制御部は、電源復帰時に、電荷量の判断が完了するまでの間、充電回路に接続される出力端子をLレベルにする。これにより、電源OFF中に放電されたコンデンサが、電荷量の判断が完了する前に充電されることをより確実に抑制できる。また、制御部は、判断完了後に、出力端子をHレベルにすることで、判断完了後、コンデンサを速やかに充電できる。
【0016】
また、本願の画像形成装置において、前記遅延部は、前記第3ダイオードのカソードと、前記コンデンサの間に接続される第2抵抗素子であり、前記制御部は、前記電源OFFモードから前記電源ONモードへの移行に応じて、前記コンデンサの電荷量を閾値で判断する判断処理を処理時間で完了させ、前記充電回路は、前記第2抵抗素子を介して前記電源装置から前記コンデンサへ給電し、放電した前記コンデンサの充電を充電時間で完了させ、前記第2抵抗素子の抵抗値は、前記処理時間に比べて、前記充電時間が長くなる値が設定される、構成としても良い。
【0017】
これによれば、第2抵抗素子の抵抗値を調整することで、電源復帰後の充電において、放電したコンデンサを充電する充電時間を、コンデンサの電荷量を判断する処理時間よりも長くする。これにより、閾値で放電の有無を判断する前に、コンデンサが充電されることを抑制でき、誤検知の発生を抑制できる。また、制御部による充電回路の制御が不要となる。充電回路に給電を行う出力端子を制御部に設ける必要がなくなる。
【発明の効果】
【0018】
本願に係る画像形成装置によれば、電源OFFモードにおけるカートリッジの交換を検知するための処理で必要な消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態のプリンタの概略構成を示す断面図である。
図2】プリンタから現像カートリッジ30Kを取り出す状態を示す図である。
図3】プリンタの接続構成を示すブロック図である。
図4】プリンタの電源構成を示すブロック図である。
図5】フロントカバーを閉位置とした状態のカバースイッチを示す図である。
図6】フロントカバーを開位置とした状態のカバースイッチを示す図である。
図7】カバースイッチと本体部の接続を示す回路図である。
図8】準備動作判断処理の内容を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態におけるカバースイッチと本体部の接続を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1.プリンタ1の構成)
以下、本開示の画像形成装置を具体化した第1実施形態のプリンタについて説明する。図1は、第1実施形態のプリンタ1の断面の概略構成を示している。プリンタ1は、例えば、4色のトナーを用いる所謂タンデム方式のレーザプリンタである。以下の説明では、図1に示すように、プリンタ1を使用するユーザを基準にした方向を用いて説明する。具体的には、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0021】
図1に示すように、プリンタ1は、略箱状の装置筐体2を有している。装置筐体2の内部には、給紙部10、画像形成部20等が収納されている。装置筐体2の上面には、排出トレイ5が形成されている。排出トレイ5は、印刷後のシートPを積層状態で載置する。シートPは、例えば、印刷用紙やOHPである。
【0022】
給紙部10は、シートPが収容された給紙トレイ11、ピックアップローラ12、分離パッド13、圧板14、及び各種ローラを有している。給紙トレイ11は、装置筐体2の下部に対して着脱可能に構成されている。圧板14は給紙トレイ11内に備えられている。圧板14の下方には、不図示の変位機構が設けられている。この変位機構は、後述する印刷動作に先立って、前方に向かって上り、傾斜する状態に変位する。これにより、給紙トレイ11内に収容されたシートPは、圧板14によってピックアップローラ12側に寄せられ、ピックアップローラ12及び分離パッド13により一枚ずつ分離され、各種ローラにより画像形成部20に搬送される。シートPは、図1に示す搬送路43に沿って、給紙トレイ11から排出トレイ5まで搬送される。
【0023】
画像形成部20は、装置筐体2内部の略中央部分に配置されており、ドラムユニット29、現像カートリッジ30C、30M、30Y、30K、露光部40、転写部50、及び定着器60を有している。ドラムユニット29は、4つの感光体ドラムと、4つの帯電器32とを備える。現像カートリッジ30C、30M、30Y、30Kの各々には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーが収容されている。以下、現像カートリッジ30C、30M、30Y、30Kを、現像カートリッジ30C~30Kなどと、省略して記載する場合がある。4つの現像カートリッジ30C~30Kは、プリンタ1の前方から後方に向かって、現像カートリッジ30K、30Y、30M、30Cの順に設けられている。
【0024】
尚、他の現像カートリッジ30M、30Y、30Kは、トナーの色が異なるが、その他の構成は現像カートリッジ30Cと同様となっている。このため、以下の説明では、代表して現像カートリッジ30Cについて説明し、他の現像カートリッジ30M、30Y、30Kについての説明を適宜省略する。
【0025】
帯電器32は、帯電ワイヤ32aと、グリッド32bとを有するスコロトロン型の帯電器である。帯電器32は、画像形成に際し、感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成するのに先立って、感光体ドラム31の表面を一様に正帯電させる。
【0026】
現像カートリッジ30Cは、トナー収容室33a、アジテータ33b、現像ローラ33c等を有している。トナー収容室33aは、シアンのトナーを収容している。アジテータ33bはトナー収容室33aに収容されたトナーを攪拌する。現像ローラ33cは感光体ドラム31の回転方向において帯電器32の下流側に配置されている。現像ローラ33cのローラ軸には、正電圧が印加されるように構成されている。これにより、現像ローラ33cと、感光体ドラム31に形成された静電潜像の電位との間に電位差が形成され、現像ローラ33cにより、トナーが感光体ドラム31に移動する。
【0027】
また、現像カートリッジ30C~30Kは、装置筐体2に備えられるフロントカバー2aをオープンし、着脱可能に設置されている。具体的には、図2は、現像カートリッジ30Kを取り外す状態を示している。例えば、フロントカバー2aは、装置筐体2の前端に設けられた回転軸2bを中心に、図1における時計回り方向へ回転可能となっている。フロントカバー2aは、図1に示す閉じた位置である閉位置から、図2に示す開いた位置である開位置まで図1における時計回り方向へ回転する。また、現像カートリッジ30C~30Kは、感光体ドラム31等が設けられたドラムユニット29に装着されている。ドラムユニット29は、装置筐体2に対して前後方向へ移動可能となっている。
【0028】
現像カートリッジ30C~30Kを交換する場合、ユーザは、例えば、フロントカバー2aを開位置まで前方側へ回転させて、フロントカバー2aを開けた状態とする。ユーザは、ドラムユニット29を前方へ引き出す。ユーザは、ドラムユニット29に対して上方から装着されている、交換の必要な現像カートリッジ30C~30K、例えば、現像カートリッジ30Kを上方へ引っ張ってドラムユニット29から取り外し、新しい現像カートリッジ30Kをドラムユニット29に装着する。これにより、現像カートリッジ30C~30Kを個々に交換することができる。
【0029】
尚、上記した現像カートリッジ30C~30Kを交換するための構造や方法は、一例である。例えば、装置筐体2は、装置筐体2を開口させる筐体カバーを、図1における装置筐体2の上面に備えても良い。そして、プリンタ1は、筐体カバーを開けて装置筐体2の上方を開口させ、その開口から現像カートリッジ30C~30Kを交換可能な構成でも良い。
【0030】
また、現像カートリッジ30C~30Kは、本願のカートリッジの一例である。本願のカートリッジの構成は、上記した構成に限らない。例えば、現像ローラ33c、トナー収容室33aに加え、感光体ドラム31、帯電器32も一体的に設けられ、交換時に装置筐体2から取り外される構成でも良い。あるいは、現像ローラ33cを支持する筐体から、トナー収容室だけを着脱できる構成でも良い。
【0031】
図1に戻り、露光部40は、装置筐体2内部の最上方に配設されており、レーザ光源、ポリゴンミラー等を有している。レーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向されて、感光体ドラム31の表面に照射される。これにより、静電潜像が形成される。
【0032】
転写部50は、給紙部10の上方であって、現像カートリッジ30C~30Kの下方に配設されている。転写部50は、給紙部10により給紙されたシートPを排出トレイ5へ向かって搬送しつつ、シートPにカラー画像を形成する。転写部50は、駆動ローラ51、従動ローラ52、搬送ベルト53、複数の転写ローラ54等を有している。
【0033】
搬送ベルト53は、ベルトを環状にして構成された無端ベルトであり、現像カートリッジ30Cの後端側下方に位置する駆動ローラ51と、現像カートリッジ30Kの前端側下方に位置する従動ローラ52との間に掛け渡されている。各転写ローラ54は、搬送ベルト53のシートPを搬送する用紙搬送面53Aを間に挟んで、各感光体ドラム31と対向する位置に配置されている。各転写ローラ54は、用紙搬送面53Aの裏面側から搬送ベルト53に接触している。各転写ローラ54は、所定のタイミングで転写電流が付与されることで、感光体ドラム31の表面に担持されたトナー像を、用紙搬送面53Aを搬送されるシートPに転写する。
【0034】
定着器60は、転写部50よりも搬送方向における下流側に配設されている。定着器60は、加熱ローラ61と、搬送路43を間に挟んで加熱ローラ61と反対側に配置される加圧ローラ62とを有している。加熱ローラ61は、ハロゲンヒーター等を備え、シートPに転写されたトナー像を加熱し、加圧ローラ62に加圧されながら回転する。これにより、定着器60は、シートPに転写されたトナー像を加熱溶融させてシートPに定着させるとともに、シートPを搬送路43の下流側に搬送する。その後、シートPは、排出ローラ65により排出トレイ5に排出される。
【0035】
(2.プリンタ1の接続構成)
次に、図3を用いて、プリンタ1の接続構成について説明する。プリンタ1は、図1で示した給紙部10、画像形成部20等の他に本体部80、電源装置90、電源スイッチSW1、カバースイッチSW2、トレイスイッチSW3、電源ボタン71等を有する。本体部80は、制御IC81、ROM82、及びRAM83を有している。本体部80は、給紙部10等の各装置に接続されている。制御IC81は、例えば、CPUである。ROM82には、制御プログラムなどの各種のプログラムやデータなどが記憶されている。制御IC81は、ROM82に記憶されている各種のプログラムを実行することによって、給紙部10、画像形成部20等を制御する。制御IC81は、プログラムの実行中の一時データ等をRAM83に記憶し、RAM83を作業用メモリとして使用する。以下の説明では、各種のプログラムを実行する制御IC81等を装置名で記載する場合がある。例えば、「制御IC81は、画像形成部20を制御して印刷を実行する」とは、「制御IC81は、ROM82に記憶されたプログラムを読み出して実行し、画像形成部20を制御して印刷を実行する」ことを意味する。
【0036】
本実施形態のプリンタ1は、上記した構成によって印刷を実行する。具体的には、制御IC81は、帯電器32を制御して、感光体ドラム31の表面を一様に正帯電させる。制御IC81は、印刷データに基づいて露光部40により感光体ドラム31を露光させる。これにより、各感光体ドラム31の表面には、それぞれのトナー色に対応した静電潜像が形成される。次に、制御IC81は、現像カートリッジ30C~30Kを制御して現像ローラ33cにより、感光体ドラム31の表面に形成した静電潜像にトナーを供給する。これにより、感光体ドラム31の表面の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム31の表面にはトナー像が担持される。
【0037】
また、制御IC81は、給紙部10によってシートPを画像形成部20に搬送させる。制御IC81は、転写ローラ54のローラ軸に印加される転写電流を制御し、感光体ドラム31の表面に担持されたトナー像をシートPに転写させる。制御IC81は、定着器60を制御して、シートPにトナー像を熱定着させる。そして、制御IC81は、排出ローラ65を制御して、印刷の完了したシートPを排出トレイ5に排出させる。
【0038】
また、制御IC81は、電源スイッチSW1、カバースイッチSW2、トレイスイッチSW3のそれぞれに接続されている。電源スイッチSW1等の各スイッチは、オン・オフに応じた信号を制御IC81へ出力する。
【0039】
電源装置90は、プリンタ1の各装置へ必要な電力を給電する電源装置である。図4は、プリンタ1の電源構成を示している。図4に示すように、電源装置90は、AC/DC回路91、DC/DCコンバータ92、電源制御IC93を有している。AC/DC回路91は、AC電源100から受電した交流電圧Vacを、プリンタ1の各装置で必要な直流の電源電圧V1に変換する。電源電圧V1は、例えば、24Vの直流電圧である。電源装置90は、電源電圧V1を、給紙部10や画像形成部20等へ給電する。
【0040】
DC/DCコンバータ92は、AC/DC回路91の電源電圧V1を電源電圧V2や電源電圧V3に変換する。電源電圧V2は、例えば、3.3Vの直流電圧である。電源電圧V3は、例えば、5Vの直流電圧である。電源装置90は、電源電圧V2,V3を本体部80等へ給電する。また、電源装置90は、電源電圧V3を、電源スイッチSW1、カバースイッチSW2、トレイスイッチSW3へ給電する。
【0041】
ここで、プリンタ1は、動作モードとして、電源ONモードと電源OFFモードとを有する。プリンタ1は、電源ONモードにおいて、電源装置90を動作させ、プリンタ1の各装置へ電源電圧V1,V2,V3を給電する。プリンタ1は、電源ONモードにおいて、印刷ジョブを受け付けて印刷動作を実行する。これに対し、プリンタ1は、電源OFFモードにおいて、電源装置90の一部のみを動作させ、プリンタ1の一部のみに電源を給電し、省電力化を図る。
【0042】
電源ボタン71は、電源ONモードと電源OFFモードとを切り替えるための操作部であり、例えば、装置筐体2の上面に設けられた押しボタンである。電源スイッチSW1は、電源ボタン71のオン・オフに連動してオープン・クローズする接点を備える。ユーザは、電源ボタン71をオン・オフ操作することで、プリンタ1の動作モードを、電源ONモードと、電源OFFモードとで切り替えることができる。尚、プリンタ1は、電源ONモードから電源OFFモードへの移行を自動で実行しても良い。例えば、プリンタ1は、ユーザによる操作入力や印刷ジョブの受け付けが所定時間だけなかった場合、電源ONモードから電源OFFモードへ移行しても良い。
【0043】
電源装置90の電源制御IC93は、電源装置90の動作を制御する制御装置である。電源スイッチSW1は、例えば、電源ボタン71のオン状態において、接点をクローズし、電源装置90から受電した電源電圧V3に応じたHighレベルの信号を本体部80に出力する。以下、Highレベルを、Hレベルと記載する場合がある。
【0044】
また、電源スイッチSW1は、電源ボタン71のオフ状態において、接点をオープンし、Lowレベルの信号を本体部80へ出力する。以下、Lowレベルを、Lレベルと記載する場合がある。Lレベルは、例えば、接地電圧である。本体部80は、Lレベルの信号を電源スイッチSW1から入力すると、プリンタ1の電源を停止する処理を実行する。ここでいう電源を停止する処理とは、例えば、給紙部10や画像形成部20等による印刷動作を停止する処理や、プリンタ1のタッチパネルなどのユーザインタフェースを停止する処理である。
【0045】
本体部80は、停止処理を完了させると、電源装置90の停止を指示する信号を電源制御IC93へ出力する。電源制御IC93は、本体部80からの信号に基づいて、例えば、電源装置90による電源電圧V1,V2の生成を停止する。給紙部10、画像形成部20等の各装置は、動作を停止した状態となる。また、電源制御IC93は、本体部80、カバースイッチSW2、トレイスイッチSW3への電源電圧V3の給電を停止する。本体部80、カバースイッチSW2、トレイスイッチSW3は、給電を停止された状態となり、動作を停止する。プリンタ1は、電源OFFモードとなる。
【0046】
一方、電源制御IC93は、電源OFFモードにおいても、電源スイッチSW1への電源電圧V3の給電を継続する。電源OFFモードにおいて、ユーザにより電源ボタン71がオン操作されると、電源スイッチSW1は、Hレベルの信号を電源制御IC93へ出力する。電源制御IC93は、電源装置90による電源電圧V1,V2の生成等を開始させる。本体部80は、電源装置90から電力を受電すると、制御IC81でプログラムを実行しシステムを起動し、プリンタ1を電源OFFモードから電源ONモードへ切り替える。これにより、電源ボタン71のオン・オフ操作に応じて、プリンタ1のモードを切り替えることができる。
【0047】
尚、上記した電源ONモード、及び電源OFFモードにおけるプリンタ1の動作は、一例である。例えば、電源ONモードから電源OFFモードへの移行において、本体部80による停止処理を実行しなくとも良い。例えば、電源制御IC93は、電源スイッチSW1からLレベルの信号を入力した場合に、本体部80の状態に係わらず、電源装置90による電源電圧V1,V2の生成等を停止しても良い。
【0048】
あるいは、電源ボタン71に対する電源のオン操作を、本体部80が判断しても良い。例えば、本体部80は、制御IC81とは別に、電源OFFモードにおいて動作するサブCPUを備えても良い。サブCPUは、電源スイッチSW1のオン・オフ信号を入力し、電源OFFモードから電源ONモードへの切り替えを電源制御IC93に指示しても良い。また、電源装置90は、電源OFFモードにおいて、電源スイッチSW1へ電力を供給する電源回路を、電源ONモードの電源回路とは別に備えても良い。
【0049】
また、カバースイッチSW2は、フロントカバー2aのオープン・クローズに連動してオープン・クローズする接点を備える。図5及び図6は、カバースイッチSW2の構成の一例を示している。図5は、フロントカバー2aを閉じた閉位置の状態を示している。図6は、フロントカバー2aを開いた開位置の状態を示している。
【0050】
図5及び図6に示すように、カバースイッチSW2は、スイッチ本体部111と、可動部材113と、当接部材115とを備えている。スイッチ本体部111は、可動部材113の位置に応じてオープン・クローズする接点117を有している。また、スイッチ本体部111は、可動部材113をオープン側、例えば、図5における上方側へ付勢する弾性部材119を備えている。
【0051】
可動部材113は、スイッチ本体部111に対して回動可能に取り付けられ、例えば、図5における時計回り方向へと回動する。また、当接部材115は、装置筐体2に対して回動可能に取り付けられ、図5における時計回り方向へ回転する。当接部材115は、例えば、薄い金属板であり、下面を可動部材113に接触させた状態となっている。
【0052】
また、装置筐体2には、カバースイッチSW2とフロントカバー2aとを連動させる連動部材121が設けられている。連動部材121は、例えば、滑車123と、ワイヤ125とを有している。滑車123は、装置筐体2に対して回動可能に取り付けられている。ワイヤ125は、滑車123に巻き付けられ、一端をフロントカバー2aの先端に固定され、他端を当接部材115の先端に固定されている。
【0053】
連動部材121は、図5に示す閉位置の状態では、ワイヤ125を撓ませることで当接部材115の先端を引っ張らない状態となる。可動部材113は、弾性部材119の弾性力により上方へ押し上げられ、当接部材115を上方へ押し上げる。接点117は、フロントカバー2aの閉位置においてオープンとなる。カバースイッチSW2は、オフする。
【0054】
一方、連動部材121は、図6に示す開位置の状態では、フロントカバー2aの回動位置に応じてワイヤ125を引っ張り当接部材115の先端を下方へ引っ張る状態となる。可動部材113は、当接部材115によって下方へ引き下げられ、弾性部材119の弾性力に抗して下方へ回動する。接点117は、フロントカバー2aの開位置においてオープンとなる。カバースイッチSW2は、オンする。これにより、フロントカバー2aの開閉状態を、カバースイッチSW2のオン・オフ信号により本体部80へ通知することができる。尚、上記したカバースイッチSW2の構成は、一例である。カバースイッチSW2は、例えば、フロントカバー2aの閉位置においてオープンしてオフ状態となり、開位置においてクローズしてオフ状態となったが、接点を逆に動作させる構造でも良い。
【0055】
また、図4に示すトレイスイッチSW3は、給紙トレイ11のオープン・クローズに連動してオープン・クローズする接点を備える。トレイスイッチSW3の構造は特に限定されない。例えば、トレイスイッチSW3は、上記したカバースイッチSW2と同様に、給紙トレイ11の位置に応じて接点をオープン・クローズさせる構成でも良い。
【0056】
(3.カバースイッチSW2と本体部80の接続構成)
図7は、カバースイッチSW2と本体部80の接続を示している。図7に示すように、本体部80は、電源ONモードにおけるフロントカバー2aの開閉を検知するための素子として、第1抵抗素子R1と、第1ダイオードD1と、トランジスタQ1を有している。第1抵抗素子R1の一端は、電源電圧V3に接続されている。第1抵抗素子R1の他端は、第1ダイオードD1のアノードに接続されている。第1ダイオードD1のカソードは、カバースイッチSW2を介して接地電圧GNDに接続されている。
【0057】
また、第1ダイオードD1のアノードは、トランジスタQ1のゲートに接続されている。トランジスタQ1は、例えば、PMOSトランジスタである。トランジスタQ1のソースには、電源電圧V3が接続されている。トランジスタQ1のドレインは、第3抵抗素子R3を介して接地電圧GNDに接続されている。
【0058】
また、制御IC81は、ON時チェック端子T1、VDD_OUT端子T2、OFF時チェック端子T3を有している。ON時チェック端子T1には、トランジスタQ1のドレインと第3抵抗素子R3の接続点の第1チェック電圧Vc1が入力される。
【0059】
上記した構成により、制御IC81は、電源ONモードにおけるフロントカバー2aの開閉を、ON時チェック端子T1の第1チェック電圧Vc1により判断することができる。詳述すると、カバースイッチSW2は、フロントカバー2aを閉じた状態ではオフ状態となる(図5参照)。電源ONモードにおいてカバースイッチSW2をオフ状態にすると、トランジスタQ1のゲートには、第1抵抗素子R1を介してHレベルの信号が入力される。トランジスタQ1は、OFF状態となる。ON時チェック端子T1には、Lレベルの第1チェック電圧Vc1が入力される。
【0060】
一方、カバースイッチSW2は、フロントカバー2aを開けた状態ではオン状態となる(図6参照)。電源ONモードにおいてカバースイッチSW2をオン状態にすると、トランジスタQ1のゲートには、Lレベルの信号が入力される。トランジスタQ1は、ON状態となる。ON時チェック端子T1には、Hレベルの第1チェック電圧Vc1が入力される。これにより、制御IC81は、電源ONモードにおいて、ON時チェック端子T1の信号レベルに基づいて、フロントカバー2aの開閉を検知することができる。
【0061】
また、本体部80は、電源OFFモードにおけるフロントカバー2aの開閉を検知するための素子として、第2ダイオードD2と、コンデンサC1、充電回路131を有している。第1ダイオードD1のカソードは、第2ダイオードD2のカソードに接続されている。また、第2ダイオードD2のアノードは、コンデンサC1を介して接地電圧GNDに接続されている。制御IC81のOFF時チェック端子T3には、第2ダイオードD2とコンデンサC1の接続点の第2チェック電圧Vc2が入力される。制御IC81は、OFF時チェック端子T3から入力される第2チェック電圧Vc2が閾値以下であるか否かによって、電源OFFモード中のフロントカバー2aの開閉を判断する。
【0062】
充電回路131は、第2抵抗素子R2、第3ダイオードD3を有している。第2ダイオードD2のアノードは、第2抵抗素子R2を介して第3ダイオードD3のカソードに接続されている。第3ダイオードD3のアノードは、VDD_OUT端子T2に接続されている。制御IC81は、電源OFFモードにおいて、VDD_OUT端子T2からLレベルの信号を出力する。Lレベルの信号は、例えば、接地電圧GNDの信号である。
【0063】
また、制御IC81は、後述するように、電源OFFモードから電源ONモードへ移行した直後から、第2チェック電圧Vc2に基づく開閉判断を完了するまでの間、VDD_OUT端子T2からLレベルの信号を出力する。そして、制御IC81は、開閉判断を完了した後の電源ONモードにおいて、VDD_OUT端子T2からHレベルの信号を出力する。Hレベルの信号は、例えば、電源電圧V3の5Vの信号である。充電回路131は、VDD_OUT端子T2からHレベルの信号を入力すると、第2抵抗素子R2を介してコンデンサC1に電源電圧V3を印加する。コンデンサC1には、所定の電荷量の電荷がチャージされる。尚、上記した充電回路131の構成は、一例である。充電回路131は、第2抵抗素子R2を、第3ダイオードD3のアノードとVDD_OUT端子T2の間に接続する構成でも良い。
【0064】
また、電源OFFモードにおいて、フロントカバー2aが開けられると、カバースイッチSW2がオンする。コンデンサC1にチャージされた電荷は、第2ダイオードD2、カバースイッチSW2を介してグランドへ放電される。そこで、制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへ移行した後、第2チェック電圧Vc2が所定の閾値以上であり、コンデンサC1に電荷がチャージされている場合、電源OFFモード中にフロントカバー2aが開けられていないと判断する。一方、制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへ移行した後、第2チェック電圧Vc2が所定の閾値未満であり、コンデンサC1の電荷が放電されていた場合、電源OFFモード中にフロントカバー2aが開けられたと判断する。
【0065】
また、電源ONモードから電源OFFモードへ移行すると、電源装置90は、本体部80に給電する電源電圧V2,V3の端子をLレベルとする。本体部80は、電源装置90からの給電を停止され、動作を停止する。制御IC81のVDD_OUT端子T2は、Lレベルとなる。このため、VDD_OUT端子T2とコンデンサC1とを直接接続すると、電源ONモード中にコンデンサC1にチャージした電荷が、VDD_OUT端子T2を介して電源装置90側へ放電される虞がある。そこで、コンデンサC1とVDD_OUT端子T2の間には、放電を抑制するための第3ダイオードD3が接続されている。これにより、電源OFFモード中にカバースイッチSW2がオフされたまま、即ち、フロントカバー2aが閉じたままであるにも係わらず、チャージされた電荷がVDD_OUT端子T2を介して電源装置90側へ放電されることを抑制できる。
【0066】
また、コンデンサC1は、第1抵抗素子R1を介して電源電圧V3に接続されている。このため、電源OFFモードにおいて電源電圧V3がLレベルになると、カバースイッチSW2がオフ状態であるにも係わらず、コンデンサC1にチャージされた電荷が、第1抵抗素子R1を介して電源装置90側へ放電される虞がある。そこで、第1抵抗素子R1とコンデンサC1の間には、放電を抑制するための第1ダイオードD1が接続されている。これにより、電源OFFモード中にカバースイッチSW2がオフされたままであるにも係わらず、チャージされた電荷が第1抵抗素子R1を介して電源装置90側へ放電されることを抑制できる。
【0067】
また、電源OFFモードから電源ONモードへ移行すると、第1抵抗素子R1には、電源装置90から電源電圧V3が印加される。このため、コンデンサC1の電荷量を判断する前に、第1抵抗素子R1を介してコンデンサC1へ電流が流れコンデンサC1がチャージされる虞がある。その結果、コンデンサC1の電荷量を正しく判断できない虞がある。そこで、第1抵抗素子R1とコンデンサC1の間には、第1抵抗素子R1を介した電源電圧V3からの電流の流れを抑制するための第2ダイオードD2が接続されている。これにより、コンデンサC1の電荷量を判断する前に、第1抵抗素子R1を介してコンデンサC1がチャージされることを抑制できる。尚、例えば、第1抵抗素子R1とコンデンサC1のRC回路の時定数を調整して、第1抵抗素子R1を介したコンデンサC1の充電時間を遅延させることができる。このため、放電したコンデンサC1を、第1抵抗素子R1を介して充電する充電時間が、コンデンサC1の電荷量を判断する処理時間に比べて長くなるように、RC回路の時定数を調整しても良い。この場合、第1抵抗素子R1とコンデンサC1の間に第2ダイオードD2を設けなくとも良い。
【0068】
(4.電源OFFモードから電源ONモードへの移行時における処理)
次に、電源OFFモードから電源ONモードへの移行時に、制御IC81によって実行する処理について説明する。制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへ移行する際に、図8に示す準備動作判断処理を実行する。制御IC81は、準備動作判断処理を実行することで、電源OFFモード中にフロントカバー2aが開けられたか否かに応じて準備動作の実行の有無を決定する。
【0069】
ここでいう準備動作とは、例えば、所謂、ガラ回しである。「ガラ回し」とは、例えば、現像カートリッジ30C~30Kの交換が行われた時などに実行され、アジテータ33b、現像ローラ33c、感光体ドラム31などを予備的に回転させる動作である。これにより、トナー収容室33aのトナーを攪拌することができる。その結果、例えば、トナー残量の検知精度を高めることや、新たに装着された現像カートリッジ30C~30Kのトナーの特性をより正確に検知することができる。また、現像ローラ33c、感光体ドラム31等を回転させ、感光体ドラム31等に貯まっている電荷を放電することができる。これにより、印刷時の帯電器32による放電エラーをより正常に検知することができる。
【0070】
フロントカバー2aが開けられた場合には、ユーザにより現像カートリッジ30C~30Kの交換がされた可能性があり、印刷処理前に準備動作を実行する必要がある。また、フロントカバー2aが開けられていない場合には準備動作を省略することにより省電力化を図ることができる。また、準備動作を繰り返し実行することで生じるトナーや感光体ドラム31の劣化など、消耗品や部品に発生する不具合の発生を抑制できる。
【0071】
さらに、プリンタ1に対する省電力の要求が厳しくなると、ユーザの使用していない期間に合わせて電源OFFモードへ移行する制御をより厳密に実行することが要求される。換言すれば、例えば、より短い不使用時間で電源OFFモードへの移行を実行すると、電源ONモードと電源OFFモードの切り替え回数が増加する可能性がある。このため、電源OFFモードの移行の度にガラ回しなどの準備動作を実行するのではなく、現像カートリッジ30C~30Kの交換が行なわれた可能性がある場合のみ準備動作を実行することで、モードの切り替えが頻発しても消耗品等の劣化を抑制できる。
【0072】
制御IC81は、例えば、電源OFFモードにおいて、電源ボタン71をオン操作され、電源装置90から電力を受電すると、図8に示す処理を開始する。尚、図8の処理を開始する条件は、電源ボタン71のオン操作に限らない。例えば、制御IC81は、加熱ローラ61への給電など、プリンタ1の一部の機能を停止して省電力化を図るスリープモードから復帰する場合に、図8に示す処理を実行しても良い。
【0073】
まず、制御IC81は、図8の処理を開始すると、ステップ(以下、単に「S」と記載する)11において、OFF時チェック端子T3から入力した第2チェック電圧Vc2、即ち、コンデンサC1のチャージ電圧が所定の閾値以下であるか否かを判断する。上記したように、コンデンサC1に所定の電荷が残っていれば、電源OFFモード中においてフロントカバー2aは、閉じたままであり、放電されていれば、フロントカバー2aが開けられたこととなる。
【0074】
従って、S11における閾値は、例えば、充電回路131によってコンデンサC1に充電される充電電圧を判断できる電圧値である。尚、閾値は、電源OFFモード中におけるコンデンサC1の自然放電を加味した値でも良い。また、制御IC81は、電圧値ではなく、電流値でコンデンサC1にチャージされている電荷量を判断しても良い。
【0075】
制御IC81は、第2チェック電圧Vc2が閾値以下であると判断すると(S11:YES)、VDD_OUT端子T2をLレベルからHレベルにする(S13)。これにより、コンデンサC1の電荷量の判断を完了した後に、コンデンサC1のチャージを開始することができる。
【0076】
制御IC81は、S13を実行した後、準備動作を実行する(S15)。制御IC81は、準備動作の実行を完了すると、電源ONモードへ移行する(S17)。制御IC81は、例えば、電源ボタン71をオン操作されてから印刷ジョブを受け付けていない場合、電源ONモードとしてレディーモードへ移行する。レディーモードとは、印刷ジョブをPC等から受け付け可能な状態であり、加熱ローラ61を余熱等で動作させ、印刷ジョブを受け付けると直ぐに実行できる待機モードである。また、制御IC81は、印刷ジョブを受け付けていた場合は、電源ONモードにおいて印刷ジョブを実行する。制御IC81は、S17を実行すると、図8に示す処理を終了する。これにより、電源OFFモード中にフロントカバー2aが開けられた場合、ガラ回しなどの準備動作を実行した上で、プリンタ1を電源ONモードへ移行させることができる。
【0077】
また、制御IC81は、S11において、第2チェック電圧Vc2が閾値より高いと判断すると(S11:NO)、VDD_OUT端子T2をLレベルからHレベルにした後(S14)、準備動作を実行せずに、S17を実行する。これにより、電源OFFモード中にフロントカバー2aが開けられていない場合には準備動作を省略することにより省電力化を図ることができる。また、コンデンサC1の電荷量の判断を完了した上で、コンデンサC1のチャージを開始できる。
【0078】
また、本実施形態のプリンタ1では、電源ONモードにおいてコンデンサC1をチャージしておき、電源OFFモードでは、制御IC81等を停止している。プリンタ1は、電源OFFモード中において、カバースイッチSW2のオンに応じてコンデンサC1を放電する処理を、ハードウェア構成で実現する。そして、プリンタ1は、電源OFFモードから復帰した際に、コンデンサC1の電荷量を判断することで、電源OFFモード中におけるフロントカバー2aの開閉を判断することができる。これにより、電源OFFモード中にフロントカバー2aの開閉やカバースイッチSW2のオン・オフを監視するための監視ICなどを動作させておく必要がなくなる。また、電源OFFモード中において、監視ICやカバースイッチSW2に給電を行う必要がなくなる。
【0079】
ここで、上記した第1実施形態において、プリンタ1は、画像形成装置の一例である。フロントカバー2aは、変位部材、カバーの一例である。現像カートリッジ30C、30M、30Y、30Kは、カートリッジの一例である。制御IC81は、制御部、遅延部の一例である。カバースイッチSW2は、スイッチの一例である。VDD_OUT端子T2は、出力端子の一例である。図1に示すフロントカバー2aを閉じた閉位置は、本願の第1位置の一例である。図2に示すフロントカバー2aを開いた開位置は、第2位置の一例である。
【0080】
(5.第1実施形態の効果)
以上、上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のプリンタ1は、現像カートリッジ30C~30Kの使用中においてフロントカバー2aを閉位置に位置させ、現像カートリッジ30C~30Kの取り外し時においてフロントカバー2aを開位置に位置させる構成となっている。電源装置90は、電源ONモードにおいて、制御IC81及びカバースイッチSW2に電源電圧V2,V3を給電し、電源OFFモードにおいて制御IC81及びカバースイッチSW2への給電を停止する。制御IC81に接続されたコンデンサC1は、電源ONモードにおいて充電される。カバースイッチSW2は、電源OFFモードにおいて、フロントカバー2aを開位置にすると、コンデンサC1に充電された電荷を放電する。制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへの移行に応じて、コンデンサC1に充電された電荷量が閾値以下の場合(S11:YES)、準備動作を実行する(S15)。
【0081】
これによれば、制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへの移行に応じて、コンデンサC1の電荷量が閾値以下の場合のみ、準備動作を実行することで、現像カートリッジ30C~30Kが交換された可能性が高い場合のみ、準備動作を実行することができる。電源復帰時における消費電力の低減を図れる。また、電源ONモードでコンデンサC1を充電しているため、電源OFFモードにおいてコンデンサC1を充電するために電源装置90の全体を動作させる必要がなくなる。また、電源OFFモードでは、カバースイッチSW2のオフに応じてコンデンサC1を放電することで、電源復帰後に現像カートリッジ30C~30Kの交換を判断できる。このため、電源OFFモードにおいて、カバースイッチSW2のオン・オフを監視する監視ICや、監視ICへの給電が不要となる。従って、電源OFFモードにおいて現像カートリッジ30C~30Kの交換を検知するための処理で必要な消費電力を低減できる。
【0082】
(2)また、カバースイッチSW2は、電源OFFモードにおいてフロントカバー2aを開位置にすると導通し、コンデンサC1の電荷を放電し、電源OFFモードにおいてフロントカバー2aが閉位置に位置すると非導通となり、コンデンサC1の電荷を維持する。
【0083】
これによれば、カバースイッチSW2は、フロントカバー2aの開閉に応じて出力する信号を変更し、且つコンデンサC1を放電する放電回路としても機能する。カバースイッチSW2は、現像カートリッジ30C~30Kの交換以外にも、シートPのジャムの解消など、様々なユーザ動作を検知するためにプリンタ1に備え付けられている可能性が高い。従って、プリンタ1に取り付けられた他の用途のカバースイッチSW2を、放電回路として流用でき、プリンタ1に必要な部品の削減を図ることができる。
【0084】
(3)また、プリンタ1は、電源電圧V3に接続された第1抵抗素子R1を備える。第1ダイオードD1は、アノードを第1抵抗素子R1に接続され、カソードをカバースイッチSW2及びコンデンサC1に接続されている。
【0085】
これによれば、電源装置90からカバースイッチSW2へ給電する経路と、コンデンサC1からカバースイッチSW2へ放電する経路を共通化することができる。また、第1ダイオードD1を設けることで、電源OFFモードにおいて、カバースイッチSW2が非導通であるにもかかわらず、コンデンサC1に充電されている電荷が第1抵抗素子R1を介して電源装置90側へ放電されてしまうことを抑制できる。誤検知の発生を抑制できる。
【0086】
(4)また、第2ダイオードD2は、アノードをコンデンサC1に接続され、カソードを第1ダイオードD1のカソードに接続されている。充電回路131は、第3ダイオードD3を有し、VDD_OUT端子T2から受電した電力によりコンデンサC1を充電する。制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへの移行時に、VDD_OUT端子T2の出力を変更することで、充電回路131によるコンデンサC1の充電を遅延させる。第3ダイオードD3は、アノードにVDD_OUT端子T2が接続され、カソードにコンデンサC1が接続されている。
【0087】
第1ダイオードD1とコンデンサC1の間に、電源電圧V3から第1ダイオードD1を介してコンデンサC1に電流が流れ込むことを抑制するための第2ダイオードD2を設ける。また、VDD_OUT端子T2とコンデンサC1の間に、電荷が電源装置90側へ抜けてしまうことを抑制するための第3ダイオードD3を設ける。さらに、電源OFFモードにおけるフロントカバー2aの開閉の判断が完了する前に、充電回路131によってコンデンサC1が充電されてしまうことを、VDD_OUT端子T2の出力の変更により抑制できる。これにより、誤検知の発生を抑制できる。
【0088】
(5)また、充電回路131は、制御IC81のVDD_OUT端子T2を介して電源装置90に接続されている。制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへ移行した後も、VDD_OUT端子T2の電圧レベルをLレベルで維持し、電荷量の判断が完了した後(S11)、VDD_OUT端子T2の電圧レベルをHレベルに変更する(S13,S14)。
【0089】
これによれば、電源OFFモード中に放電されたコンデンサC1が、電荷量の判断が完了する前に充電されることをより確実に抑制できる。また、制御IC81は、判断完了後に、VDD_OUT端子T2をHレベルにすることで、判断完了後、コンデンサC1を速やかに充電できる。
【0090】
(6.第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。上実施形態では、充電回路131の第3ダイオードD3に印加する電圧を制御IC81が制御した。これに対し、図9に示すように、第2実施形態では、第3ダイオードD3のアノードを電源電圧V3に接続する。尚、以下の説明では、上記した第1実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0091】
図9に示すように、第2実施形態おける第3ダイオードD3のアノードは、電源電圧V3に接続され、電源ONモードにおいて、例えば、5Vの電源電圧V3を受電する。充電回路131は、第2抵抗素子R2を介してコンデンサC1に電源電圧V3を印加する。コンデンサC1には、所定の電荷量の電荷がチャージされる。
【0092】
ここで、上記したように、電源OFFモードから電源ONモードへ移行した際に、制御IC81は、コンデンサC1の電荷量に基づいて、電源OFFモード中におけるフロントカバー2aの開閉を判断する。このため、制御IC81は、電荷量の判断が終了するまで、即ち、図8のS11の判断処理が終了するまでの間、コンデンサC1をチャージするVDD_OUT端子T2をLレベルとした。
【0093】
一方、第2実施形態では、電源OFFモードから電源ONモードへ移行すると、電源電圧V3を介してコンデンサC1に充電電圧が印加される。そこで、例えば、充電回路131の第2抵抗素子R2の抵抗値、コンデンサC1の静電容量を変更し、RC回路の時定数を調整して、コンデンサC1の充電速度を遅らせる。ここで、例えば、電源OFFモードから電源ONモードへ移行し、第2抵抗素子R2及びコンデンサC1に5Vの電源電圧V3の印加が開始されたタイミングから、制御IC81がS11の判断処理を完了させるまでの時間を、処理時間とする。また、電源電圧V3から第2抵抗素子R2及びコンデンサC1へ5Vの電圧の印加を開始したタイミングから、放電して電荷をゼロの状態としたコンデンサC1を充電し充電を完了させるまでの時間を充電時間とする。この場合、第2抵抗素子R2の抵抗値やコンデンサC1の静電容量を、処理時間に比べて充電時間が長くなる値を設定する。
【0094】
これにより、電源OFFモードから電源ONモードへ移行しても、放電されたコンデンサC1が直ぐに充電されない。コンデンサC1の充電が完了するまでの間に、コンデンサC1の電荷量を判断することができる。尚、コンデンサC1の充電速度を遅らせる方法は、上記した第2抵抗素子R2の抵抗値やコンデンサC1の静電容量を変更する方法に限らない。例えば、充電回路131に抵抗素子やコンデンサを追加等して、コンデンサC1の充電速度を調整しても良い。
【0095】
因みに、第2実施形態では、制御IC81はVDD_OUT端子T2を備えていない。このため、制御IC81は、図8の準備動作判断処理を実行する場合、S13,S14の実行を省略することで、第1実施形態と同様に、電源OFFモード中のフロントカバー2aの開閉に応じて、準備動作の実行の有無を適切に判断できる。
【0096】
ここで、上記した第2実施形態において、第2抵抗素子R2は、遅延部の一例である。
【0097】
(7.第2実施形態の効果)
以上、上記した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)第2抵抗素子R2は、第3ダイオードD3のカソードと、コンデンサC1の間に接続されている。制御IC81は、電源OFFモードから電源ONモードへの移行に応じて、コンデンサC1の電荷量を閾値で判断する判断処理を処理時間で完了させる。また、充電回路131は、第2抵抗素子R2を介して電源電圧V3からコンデンサC1へ給電し、放電したコンデンサC1の充電を充電時間で完了させる。この場合に、第2抵抗素子R2の抵抗値は、処理時間に比べて、充電時間が長くなる値が設定されている。
【0098】
これによれば、閾値で放電の有無を判断する前に、コンデンサC1が充電されることを抑制でき、誤検知の発生を抑制できる。また、第1実施形態のように、制御IC81による充電回路131の制御が不要となる。充電回路131に給電を行うVDD_OUT端子T2を制御IC81に設ける必要がなくなる。
【0099】
(8.その他)
尚、本願は上記各実施形態に限定されるものではなく、本願の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記各実施形態では、本願の変位部材として、フロントカバー2aを採用したが、これに限らない。例えば、変位部材としては、装置筐体2に開口された開口部に設けられ、ユーザにより開閉される他のカバーでも良い。
また、変位部材の第2位置への変位を検出するスイッチは、フロントカバー2aの開閉を検出するカバースイッチSW2に限らない。例えば、図2に示すように、個々の現像カートリッジ30C~30Kの取り外しを検出する押しボタンスイッチ141をドラムユニット29や装置筐体2に設けても良い。例えば、ボタンスイッチ141のオン・オフに応じてコンデンサC1を放電するように、ボタンスイッチ141とコンデンサC1を接続しても良い。電源OFFモードにおいて、現像カートリッジ30C~30Kが装着された状態では、ボタンスイッチ141は、オフ状態となる。また、現像カートリッジ30C~30Kの何れかを取り外すと、ボタンスイッチ141はオン状態となり、コンデンサC1を放電する。この場合、現像カートリッジ30C~30Kにおけるボタンスイッチ141に接触する部材、現像ローラ33c、トナー収容室33a等は、本願の変位部材の一例である。また、現像カートリッジ30C~30Kの着脱に連動して回動等しボタンスイッチ141をオン・オフする変位部材を、現像カートリッジ30C~30Kとは別に設けても良い。ボタンスイッチ141のオフ状態の位置は、本願の第1位置の一例である。また、ボタンスイッチ141のオン状態の位置は、本願の第2位置の一例である。
また、プリンタ1は、電源ONモードにおいて、フロントカバー2aの開閉を検出するカバースイッチSW2とは別に、電源OFFモード中にフロントカバー2aの開閉に応じてコンデンサC1を放電するスイッチを備えても良い。
【0100】
また、上記各実施形態では、本願の制御部として、ROM82のプログラムを実行する制御IC81を採用したが、これに限定されるものではない。本願の制御部を、例えば、ASICのようなハードウェアで構成しても良い。また、制御部は、ハードウェア処理と、ソフトウェア処理を組み合わせて実行する構成でもよい。
上記各実施形態では、本願の画像形成装置として、カラー印刷を実行可能なプリンタ1を採用したが、これに限定されない。本願の画像形成装置は、例えば、モノクロプリンタ、スキャナ装置、コピー装置、FAX装置でも良く、スキャナ機能、コピー機能、FAX機能等を備える所謂複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 プリンタ(画像形成装置)、2 装置筐体、2a フロントカバー(変位部材、カバー)、30C~30K 現像カートリッジ(カートリッジ)、81 制御IC(制御部、遅延部)、90 電源装置、D1 第1ダイオード、D2 第2ダイオード、D3 第3ダイオード、R1 第1抵抗素子、R2 第2抵抗素子(遅延部)、SW2 カバースイッチ(スイッチ)、T2 VDD_OUT端子(出力端子)。
図1
図2
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図9