(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】印画物製造システム及び印画物製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20240910BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240910BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20240910BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J29/38 203
B44C1/17 E
G06F3/12 308
G06F3/12 352
G06F3/12 378
G06F3/12 392
(21)【出願番号】P 2020153073
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 潔
(72)【発明者】
【氏名】岸本 健秀
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104207(JP,A)
【文献】特開2001-121768(JP,A)
【文献】特開2007-038412(JP,A)
【文献】特開2013-251679(JP,A)
【文献】特開2008-293286(JP,A)
【文献】特開2001-158119(JP,A)
【文献】特開2017-030316(JP,A)
【文献】特開2005-208870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/325
B41J 29/38
B44C 1/17
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明のカード基材を収納し、受容層を含む転写層が支持体から剥離可能に設けられた中間転写媒体の前記受容層に画像を形成し、前記中間転写媒体から前記転写層を前記カード基材に転写するカードプリント装置と、
ユーザ端末から画像データを含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存するサーバ装置と、
を備え、
前記カードプリント装置は、前記識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて、前記受容層に画像を形成
し、
前記サーバ装置が前記ユーザ端末から受信する前記カード作製情報には、カード基材の種類を示す情報が含まれており、
前記カードプリント装置は、複数種類の透明のカード基材を収納し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材に対し、前記中間転写媒体から前記転写層を転写する、印画物製造システム。
【請求項2】
前記転写層は、前記支持体側から順に積層された剥離層、白色層及び前記受容層を含む、請求項
1に記載の印画物製造システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記ユーザ端末から前記カード作製情報を受信すると、前記識別情報を生成し、生成した前記識別情報をコード情報に変換して前記ユーザ端末へ送信し、
前記カードプリント装置は、前記ユーザ端末の表示部に表示された前記コード情報を読み取って、前記識別情報を取得する、請求項1
又は2に記載の印画物製造システム。
【請求項4】
サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データを含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、
透明のカード基材を収納するカードプリント装置が、前記識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、受容層を含む転写層が支持体から剥離可能に設けられた中間転写媒体の前記受容層に、前記カード作製情報に含まれる前記画像データの画像を形成し、前記中間転写媒体から前記転写層を前記カード基材に転写
し、
前記サーバ装置が前記ユーザ端末から受信する前記カード作製情報には、カード基材の種類を示す情報が含まれており、
前記カードプリント装置は、複数種類の透明のカード基材を収納し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材に対し、前記中間転写媒体から前記転写層を転写する、印画物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印画物製造システム及び印画物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやスマートフォン等で撮影した画像を印画紙にオンデマンドプリントするサービスが知られている。例えば、利用者は、コンビニエンスストアや家電量販店等に設置されている画像プリント装置に対し、スマートフォンから画像データを転送する。画像プリント装置は、受信した画像データを、内部に収容するプリンタからプリント出力する。オンデマンドプリントサービスで提供されるプリント物は、印画紙を用いたものであり、折れやすく、画像面に傷が付きやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像面に傷が付き難く、高い耐久性を有する印画物を製造することができる印画物製造システム及び印画物製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印画物製造システムは、透明のカード基材を収納し、受容層を含む転写層が支持体から剥離可能に設けられた中間転写媒体の前記受容層に画像を形成し、前記中間転写媒体から前記転写層を前記カード基材に転写するカードプリント装置と、ユーザ端末から画像データを含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存するサーバ装置と、を備え、前記カードプリント装置は、前記識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて、前記受容層に画像を形成するものである。
【0006】
本発明の印画物製造方法は、サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データを含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、透明のカード基材を収納するカードプリント装置が、前記識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、受容層を含む転写層が支持体から剥離可能に設けられた中間転写媒体の前記受容層に、前記カード作製情報に含まれる前記画像データの画像を形成し、前記中間転写媒体から前記転写層を前記カード基材に転写するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像面に傷が付き難く、高い耐久性を有する印画物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る印画物製造システムの概略構成図である。
【
図2】(a)~(c)はオリジナルカードの注文画面の例を示す図である。
【
図5】カードプリント装置のハードウェア構成図である。
【
図6】カードプリント装置の機能ブロック図である。
【
図9】(a)(b)はカード収納部の別の例を示す図である。
【
図11】(a)~(c)は印画物製造方法を説明する工程断面図である。
【
図13】(a)~(e)は印画物製造方法を説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る印画物製造システムの概略構成図である。
図1に示すように、印画物製造システムは、サーバ装置1と、カードプリント装置2とを備え、ユーザが選択した画像を、複数のデザインから選択したデザインのカード基材にプリントし、オリジナルのカードを製造するものである。サーバ装置1は、インターネット等のネットワークを介して、カードプリント装置2やユーザ端末3と通信可能に接続されている。
【0011】
ユーザが所有するスマートフォン等のユーザ端末3には、オリジナルカードを注文するためのアプリ(アプリケーションプログラム)がインストールされている。このアプリを実行することで、ユーザ端末3にオリジナルカードの注文画面が表示される。
【0012】
例えば、
図2(a)に示すような画像選択画面で、ユーザ端末3内の画像一覧が表示され、画像一覧から、カード基材にプリントしたい画像を選択する。画像の選択後、画像内の人物領域の抽出を行うか否かの選択を行えるようにしてもよい。
【0013】
次に、
図2(b)に示すようなカード種類選択画面で、画像をプリントするカード種類を選択する。本実施形態では、透明カードが用いられる。例えば、無地の透明カード、金色の装飾縁が予めプリントしてある透明カード、ロゴマークが予めプリントしてある透明カードなどから、好みのカードを選択する。
【0014】
続いて、
図2(c)に示すようなレイアウト選択画面で、レイアウトを選択する。ここで、レイアウトとは、カード基材において、選択した画像をプリントする領域の大きさや位置等である。例えば、画像を全面にプリントするレイアウト、画像を右半側にプリントするレイアウト、上限を除いた中央部に画像をプリントするレイアウトから、好みのレイアウトを選択する。
【0015】
画像を右半側にプリントするレイアウトや、上限を除いた中央部に画像をプリントするレイアウトを選択した場合は、レイアウト選択後に、余白部分(画像をプリントしない部分)に入れるデザインを選択できるようにしてもよい。
【0016】
ユーザ端末3は、ユーザが選択した画像データ、選択したカード種類情報及びレイアウト情報を含むカード作製情報を、サーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、カード作製情報を受信すると、このカード作製情報を一意に識別する識別情報を生成し、識別情報をバーコード等のコード情報に変換してユーザ端末3へ送信する。サーバ装置1は、カード作製情報と識別情報とを対応付けて保存する。
【0017】
カード作製情報は、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報を含んでもよい。人物領域の抽出を行う場合、サーバ装置1は、画像から人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域をカード作製情報の画像データに置き換える。人物領域の抽出は、サーバ装置1が行ってもよいし、サーバ装置1が他サーバへ画像データを送信し、他サーバが行ってもよい。
【0018】
ユーザは、カードプリント装置2の設置場所へ移動し、
図3に示すように、ユーザ端末3にコード情報Bを表示し、カードプリント装置2にコード情報Bを読み取らせる。
図3では、コード情報Bがバーコードである例を示しているが、二次元コードであってもよい。
【0019】
カードプリント装置2は、読み取ったコード情報Bから識別情報を取得し、識別情報をサーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、カードプリント装置2から受信した識別情報に対応するカード作製情報をカードプリント装置2へ送信する。
【0020】
カードプリント装置2は、サーバ装置1から受信したカード作製情報に基づいて、カードを作製する。後述するように、カードプリント装置2には、透明のカード基材を種類毎に収納する複数の収納庫(カードマガジン)が設けられており、カード作製情報で示される種類のカード基材をカードマガジンから繰り出す。そして、カードプリント装置2は、繰り出したカード基材に、カード作製情報に含まれる画像を、カード作製情報に含まれるレイアウトに基づいてプリントする。画像は、透明のカード基材を透して見るようにプリントされる。
【0021】
このように、本実施形態によれば、特色などが使われたデザインが予め印刷された複数種類の透明カード基材から、好みのデザインの透明カード基材を選択し、ユーザ端末3等に保有している画像と組み合わせたオリジナルカードを製造することができる。画像面は透明カード基材に覆われているため、傷が付き難い。また、カード基材を用いているため、耐久性の高いものとなる。
【0022】
次に、サーバ装置1の構成について説明する。サーバ装置1は、通信部、記憶部、CPU等を備えたコンピュータであり、CPUが記憶部内のカード作製プログラムを実行することで、
図4に示すように、カード作製情報受信部11、識別情報生成部12、コード送信部13、識別情報受信部14及びカード作製情報送信部15の機能が実現される。
【0023】
カード作製情報受信部11は、ユーザ端末3からカード作製情報を受信する。カード作製情報は、カード基材にプリントする画像データ、使用するカード基材の種類、レイアウト情報、余白部のデザイン情報等を含む。
【0024】
識別情報生成部12は、受信したカード作製情報に対応する識別情報を生成する。識別情報は、例えば、ユーザ端末3にインストールされているアプリのアプリID、日時等を用いて生成され、複数桁の英数字や記号で構成される。カード作製情報と識別情報とが対応付けられて、記憶部10に保存される。
【0025】
コード送信部13は、識別情報をバーコードや二次元コードに変換し、コード情報をユーザ端末3へ送信する。
【0026】
識別情報受信部14は、カードプリント装置2から識別情報を受信する。この識別情報は、例えば、カードプリント装置2が、ユーザ端末3に表示されているコード情報を読み取って取得したものである。
【0027】
カード作製情報送信部15は、識別情報受信部14が受信した識別情報に対応するカード作製情報を記憶部10から取り出し、カードプリント装置2へ送信する。
【0028】
次に、カードプリント装置2の構成について説明する。
図5に示すように、カードプリント装置2は、CPU20、メモリ21、タッチパネル22、読取装置23、プリンタ24及び通信装置25を備える。
【0029】
タッチパネル22は、ユーザに各種情報を提示すると共に、ユーザから操作指示を受け付ける。
【0030】
読取装置23は、例えば、ユーザ端末3に表示されたバーコードを読み取るバーコードリーダである。
【0031】
通信装置25は、サーバ装置1との間でデータの送受信を行う。
【0032】
CPU20がメモリ21に格納されている制御プログラムを実行することで、
図6に示すように、識別情報取得部201、カード作製情報取得部202及びプリント制御部203の機能が実現される。
【0033】
ユーザがタッチパネル22を操作してカード作製処理を開始すると、識別情報取得部201は、ユーザ端末3にコード情報を表示して読取装置23にかざすよう指示する指示画面をタッチパネル22に表示する。識別情報取得部201は、読取装置23が読み取ったコード情報(例えばバーコード)から、コード情報が示す識別情報を取得する。
【0034】
カード作製情報取得部202は、識別情報取得部201が取得した識別情報をサーバ装置1へ送信し、識別情報に対応するカード作製情報を要求する。カード作製情報取得部202は、サーバ装置1からカード作製情報を取得する。
【0035】
プリント制御部203は、カード作製情報に基づいてプリンタ24を制御し、カード基材に画像をプリントする。
【0036】
図7に示すように、プリンタ24は、カード基材50を収納するカード収納部40、カード基材50を搬送する搬送部T、熱転写シート90を用いて、中間転写媒体100に設けられた受容層104(
図11参照)に画像を印画する印画部60と、中間転写媒体100の転写層110(
図11参照)をカード基材50上に転写する転写部80とを備える。
【0037】
カード収納部40は、カード基材50を積層して収納する複数(
図7に示す例では3つ)のカードマガジン40A~40Cを有する。カードマガジン40A~40Cには、互いに種類の異なるカード基材50が収納される。
【0038】
各カードマガジン40A~40Cに収納されるカード基材50は、
図2(b)に示すカード種類選択画面で選択可能なカード種類に対応している。例えば、カードマガジン40Aには、無地の透明カード基材が収納される。カードマガジン40Bには、金色の装飾縁が予めプリントしてある透明カード基材が収納される。カードマガジン40Cには、ロゴマークが予めプリントしてある透明カード基材が収納される。
【0039】
カード収納部40は、各カードマガジン40A~40Cに収納されるカード基材50を1枚ずつ繰り出すことができる。例えば、
図8に示すように、各カードマガジン40A~40Cは、側面下部に設けられた排出口41を介して、積層されているカード基材50を下から順に繰り出す。カードマガジン40A~40Cから繰り出されたカード基材50は、搬送部Tにより転写部80へ搬送される。
【0040】
カードマガジン40A~40Cの別の構成を
図9(a)、
図9(b)に示す。
図9(a)に示すように、カードマガジン40A~40Cは、上面が開口部となった筐体を有し、筐体内に複数のカード基材50が積層されて収納される。カードマガジン40A~40C内の底面にはスプリング等の弾性体(図示略)が設けられており、カード基材積層体を上方に付勢している。これにより、カードマガジン40A~40C内に積層配置されたカード基材のうち、最上層のカード基材の上面位置を一定にできる。
【0041】
カード収納部40には、上下左右に移動可能なアーム42が設けられており、アーム42の先端部に吸着装置43が取り付けられている。吸着装置43の下面部には吸着部43aが設けられている。吸着部43aが、カードマガジン40A~40Cに収納されている最上層のカード基材の上側の面を吸着し、
図9(b)に示すように、カードマガジン40A~40Cから搬出する。搬出されたカード基材50は、搬送部Tにより転写部80へ搬送される。
【0042】
カード収納部40は、カード作製情報に基づいて、ユーザが選択した種類のカード基材を繰り出す。
【0043】
図7に示すようにプリンタ24の供給部70には、中間転写媒体100をリボン状に巻き取った巻取が装填される。供給部70は、中間転写媒体100の巻取を回転させ、中間転写媒体100を長尺帯状で印画部60及び転写部80へ順に搬送する。
【0044】
図11(a)に示すように、中間転写媒体100は、支持体101と、支持体101の一方の面上に設けられた転写層110とを備えている。転写層110は、支持体101側から順に積層された剥離層102、白色層103及び受容層104を有する。受容層104は、中間転写媒体100の最表面に位置し、転写層110を構成する層のうち支持体101から最も遠くに位置している。
【0045】
支持体101の材料について特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルム等を挙げることができる。
【0046】
剥離層102は、転写層110の転写性(剥離性)を向上させるためのものであり、転写層110を構成する層のうち支持体101の最も近くに位置している。剥離層102の成分としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ-アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド-アミノ樹脂等を挙げることができる。
【0047】
白色層103は、画像を隠蔽する隠蔽層としての機能を有する。白色層103は、白色顔料及び樹脂材料を含む。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム及び炭酸カルシウム等が挙げられ、これらの中でも、白色度という観点からは、酸化チタンが好ましい。
【0048】
受容層104は、熱転写シート90が備える色材層から移行してくる色材(昇華性染料)を受容し、形成された画像を維持する層である。受容層104は、樹脂材料を含む。樹脂材料としては、染料が染着し易い樹脂であれば限定されるものではなく、例えば、オレフィン樹脂、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。
【0049】
図7に示すように、印画部60は、サーマルヘッド63と、サーマルヘッド63の下方側に設けられた回転駆動自在なプラテンロール64と、サーマルヘッド63をプラテンロール64に対して昇降自在とさせる昇降手段(図示略)を有する。供給部70から供給された中間転写媒体100は、サーマルヘッド63とプラテンロール64との間を通過するようになっている。
【0050】
また、印画部60では、熱転写シート90が、供給ロール61側からガイドロール65を経由して、サーマルヘッド63とプラテンロール64との間を通り、ガイドロール66を経由して、巻取りロール62に巻き取られるようになっている。熱転写シート90には、
図10に示すように、イエローの色材を含有するイエロー色材層91、マゼンタの色材を含有するマゼンタ色材層92、及びシアンの色材を含有するシアン色材層93が繰り返し面順次に設けられている。
【0051】
イエロー色材層91、マゼンタ色材層92、シアン色材層93に含有される色材は、例えば、昇華性染料である。熱転写シート90は、熱溶融性インキを含有する色材層を含んでいてもよい。
【0052】
印画部60は、サーマルヘッド63とプラテンロール64との間において、熱転写シート90の色材層と、中間転写媒体100の受容層104とが対向するようになっている。サーマルヘッド63が、カード作製情報に含まれる画像データ及びレイアウト情報に基づいて、イエロー色材層91、マゼンタ色材層92及びシアン色材層93を加熱し、受容層104に染料を移行して、
図11(b)に示すように、画像Gを形成する。
【0053】
印画部60において受容層104に画像が形成された中間転写媒体100は、ガイドロール72を経由して転写部80へ搬送される。
【0054】
転写部80は、ヒートローラ81と、ヒートローラ81の下方に設けられた加圧ロール82とを備える。転写部80は、カード収納部40から搬出されたカード基材50へ、中間転写媒体100の転写層110を転写する。具体的には、転写部80は、ヒートローラ81と加圧ロール82との間で、画像が形成された中間転写媒体100の受容層104面を、カード基材50へ重ね合わせて加熱する。転写層110は、支持体101から剥離され、カード基材50に転写される。これにより、
図11(c)に示すように、カード基材50に画像Gを形成し、オリジナルカードが作製される。
【0055】
転写層110が剥離された中間転写媒体100は、巻取りロール71に巻き取られる。
【0056】
画像Gは、透明のカード基材50を透して見る。カード基材50側から画像Gを見た場合、画像G(受容層104)の後方には白色層103が設けられているため、画像Gが透けるのを防止し、画像Gを見やすくできる。画像面がカード基材50に覆われているため、傷が付き難くなっている。
【0057】
上記実施形態において、カード基材50は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PETG、アクリル樹脂等の合成樹脂を母材とした透明基材である。
【0058】
カード基材50は、箔押し加工、エンボス加工、スクラッチ加工、ホログラム加工等が施されていてもよい。
【0059】
上記実施形態では、作製されるオリジナルカードの全面に白色層103が設けられていたが、プリントする画像データやレイアウト情報に基づいて、白色層を局所的に設けてもよい。この場合、印画部60では、
図12に示すように、色材層91~93に加えて、白色層94及び受容層95が面順次に設けられた熱転写シート90を使用する。
【0060】
供給部70から繰り出される中間転写媒体100は、
図13(a)に示すように、支持体101と剥離層102とが積層されたものである。印画部60のサーマルヘッド63は、熱転写シート90の白色層94を加熱し、
図13(b)に示すように、プリントする画像データやレイアウト情報に基づく領域に白色層94を転写する。
【0061】
次に、
図13(c)に示すように、サーマルヘッド63が、熱転写シート90の受容層95を加熱し、白色層94を覆うように、剥離層102上に受容層95を転写する。
【0062】
次に、
図13(d)に示すように、サーマルヘッド63が、熱転写シート90の色材層91~93を加熱し、受容層95に画像Gを形成する。
【0063】
次に、
図13(e)に示すように、転写部80が、受容層95及び剥離層102を含む転写層を中間転写媒体からカード基材50に転写する。これにより、画像Gが見やすく、かつ画像G以外の領域が透けたオリジナルカードを作製できる。
【0064】
上記実施形態において、ユーザ端末3からカードプリント装置2に対し、無線LAN等のネットワークを介してカード作製情報を転送してもよい。
【0065】
上記実施形態では、カード作製情報を識別する識別情報をサーバ装置1が生成する例について説明したが、ユーザ端末3が識別情報を生成してもよい。ユーザ端末3は、識別情報及びカード作製情報をサーバ装置1へ送信する。ユーザ端末3は、生成した識別情報をバーコードや二次元コードに変換して、ディスプレイに表示できる。
【0066】
カードプリント装置2は、ユーザ端末3に表示されたバーコードや二次元コードを読み取って識別情報を取得してもよいし、ユーザがタッチパネル22を操作して識別情報を入力することで取得してもよい。
【0067】
上記実施形態では、複数種類の透明カード基材から、好みの種類の透明カード基材を選択する例について説明したが、用意されている透明カード基材は1種類であってもよい。
【0068】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0069】
1 サーバ装置
2 カードプリント装置
3 ユーザ端末