IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-投影装置 図1
  • 特許-投影装置 図2
  • 特許-投影装置 図3
  • 特許-投影装置 図4
  • 特許-投影装置 図5
  • 特許-投影装置 図6
  • 特許-投影装置 図7
  • 特許-投影装置 図8
  • 特許-投影装置 図9
  • 特許-投影装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240910BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240910BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240910BHJP
   G03B 21/28 20060101ALI20240910BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G02B3/00 A
G03B21/00 F
G03B21/28
H04N5/74 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020155953
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049752
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 浩
(72)【発明者】
【氏名】馬峰 治
(72)【発明者】
【氏名】杉山 知隼
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-292293(JP,A)
【文献】特開2000-330072(JP,A)
【文献】特開2014-119702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090468(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0219847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168615(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0127511(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第1677226(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103885103(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G02B 3/00
G03B 21/00
G03B 21/28
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された光線束を均一化するマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイから出射された前記光線束を光軸周りに回転させて導光する導光光学系と、
前記導光光学系により導光された前記光線束が照射されて画像光を形成する表示素子と、
を備え、
前記マイクロレンズアレイは、前記表示素子における前記光線束の照射領域と前記表示素子の有効領域が略一致するように回転させて配置される、
ことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記照射領域及び前記有効領域は、長方形状に形成され、
前記マイクロレンズアレイは、前記照射領域と前記有効領域の長尺方向が略一致するように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、正面視長方形状に形成され、
前記マイクロレンズアレイは、前記マイクロレンズアレイの回転による前記マイクロレンズの傾斜角度が、前記導光光学系における前記光線束の回転による傾斜角度と略一致するように配置される、
ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項4】
前記マイクロレンズアレイは、前記光源側から入射される前記光線束の回転方向と同方向に光軸周りに回転して配置される、ことを特徴とする請求項3記載の投影装置。
【請求項5】
光源側導光面に沿って導光された前記光源からの前記光線束を、前記光源側導光面に対して傾斜方向に反射して前記マイクロレンズアレイに導光する第一反射ミラーを備え、
前記マイクロレンズアレイは、矩形状に形成され、
前記光源から導光された矩形状の光断面形状を有する前記光線束は、前記光源側導光面に対して傾くように回転して前記マイクロレンズアレイに入射する、
ことを特徴とする請求項乃至請求項の何れかに記載の投影装置。
【請求項6】
前記導光光学系は、前記マイクロレンズアレイから出射された前記光線束を、前記マイクロレンズアレイの光軸及び前記光源側導光面に対して傾斜方向に反射して前記表示素子に導光する第二反射ミラーを有する、ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源から出射された光を、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は液晶板等の表示素子に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させる投影装置が使用されている。例えば、特許文献1には、光源から出射された光をマイクロレンズアレイにより均一化してDMDである表示素子に照射し、表示素子にて画像光を形成する投影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-119702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源側から導光された光は、表示素子の画像形成面に照射されるが、画像光が形成される有効領域外に照射された光は捨て光となってしまう。特許文献1の投影装置における光源側からの光は、光軸の方向が変換されて、表示素子に導光される。しかしながら、光軸の変換方向によっては光が光軸周りに回転しながら導光される場合があり、有効領域外に照射される光が増加すると光源光の利用効率が低下してしまう。
【0005】
本発明は、画像光を効率よく形成する投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の投影装置は、光源から出射された光線束を均一化するマイクロレンズアレイと、前記マイクロレンズアレイから出射された前記光線束を光軸周りに回転させて導光する導光光学系と、前記導光光学系により導光された前記光線束が照射されて画像光を形成する表示素子と、を備え、前記マイクロレンズアレイは、前記表示素子における前記光線束の照射領域と前記表示素子の有効領域が略一致するように回転させて配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像光を効率よく形成する投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の機能ブロックを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る蛍光ホイールの平面模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイを出射面側から見た図である。
図5】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの各マイクロレンズから出射された光の光路を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る導光光学系の一部のレンズを省略してZ軸正方向側から見た平面模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る導光光学系の一部のレンズを省略してY軸正方向側から見た正面模式図である。
図8】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの入射面側に照射される光の光強度の分布を示す模式図であり、(a)は回転させたマイクロレンズアレイに照射される赤色波長帯域光を示し、(b)は回転させない場合のマイクロレンズアレイに照射される赤色波長帯域光を示す。
図9】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの入射面側に照射される光の光強度の分布を示す模式図であり、(a)は緑色波長帯域光を示し、(b)は青色波長帯域光を示す。
図10】本発明の実施形態に係る導光光学系における光線束の傾きを示す模式図であり、(a)マイクロレンズアレイと第二反射ミラーとの間における光線束を示し、(b)は第二反射ミラーと表示素子との間における光線束を示し、(c)は表示素子の画像形成面における光線束を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図に基づいて説明する。図1は投影装置10の投影装置制御部の機能回路ブロックを示す図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と、表示駆動部26とを含むフォーマッターユニットから構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0010】
表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0011】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。
【0012】
そして、投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、光源光学系140を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影光学系220(図2も参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0013】
画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。
【0014】
さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長する。画像圧縮/伸長部31は、その画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0015】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPU、各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0016】
筐体の上面パネルに設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出される。リモートコントローラからのキー操作信号はIr受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0017】
制御部38は、システムバス(SB)を介して音声処理部47と接続される。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声報音させる。
【0018】
また、制御部38は、光源制御部としての光源制御回路41を制御する。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、後述する励起光照射装置70、赤色光源装置120、及び蛍光ホイール装置100等を含む光源装置60の動作を制御することができる。
【0019】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0020】
次に、この投影装置10の内部構造について述べる。図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。ここで、投影装置10の筐体は、略箱状に形成されて、正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14及び左側パネル15を備える。なお、以下の説明において、投影装置10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0021】
投影装置10は、筐体の略中央部分に光源装置60を備える。光源装置60と左側パネル15との間には、導光光学系180や投影光学系220が配置される。
【0022】
光源装置60は、青色波長帯域光の光源であって励起光源でもある励起光照射装置70と、赤色波長帯域光の光源である赤色光源装置120と、緑色波長帯域光の光源である緑色光源装置80と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と蛍光ホイール装置100により構成される。また、光源装置60には、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、赤色波長帯域光を導光する光源光学系140が配置されている。光源光学系140は、複数のレンズとして、青光路側集光レンズ146、第一集光レンズ147、第二集光レンズ148及び第三集光レンズ149を含む。また、光源光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、第二ダイクロイックミラー144、青光路側反射ミラー143及び第一反射ミラー145を有する。光源光学系140は、各色の光源装置(励起光照射装置70、緑色光源装置80及び赤色光源装置120)から出射される光線束を、マイクロレンズアレイ90の入射面901に集光する。
【0023】
励起光照射装置70は、投影装置10筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13寄りに配置される。励起光照射装置70は、青色レーザダイオード71による光源群、反射ミラー群75、励起光路側集光レンズ77及び拡散板78等を有する。光源群は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された半導体発光素子である複数の青色レーザダイオード71により形成される。光源群を構成する青色レーザダイオード71は、2行4列のマトリクス状に配列されている。励起光照射装置70は、ヒートパイプを介してヒートシンク79と接続されて冷却される。
【0024】
反射ミラー群75は、階段状に配列された複数の反射ミラーを有し、青色レーザダイオード71から出射される光線束の有効径を一方向に縮幅して出射する。反射ミラー群75は、各青色レーザダイオード71からの出射光の光軸を正面パネル12方向に約90度変換する。
【0025】
赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71と光軸が平行となるように配置された赤色発光ダイオード121と、赤色発光ダイオード121からの出射光を集光する第二集光レンズ群125と、を有する。この赤色発光ダイオード121は、赤色波長帯域光を出射する半導体発光素子である。また、赤色光源装置120は、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光の光軸が、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光の光軸、及び蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。赤色光源装置120は、ヒートパイプを介してヒートシンク126と接続されて冷却される
【0026】
緑色光源装置80を構成する蛍光ホイール装置100は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光の光路上であって、正面パネル12の近傍に配置される。蛍光ホイール装置100は、正面パネル12と平行となるように(換言すれば、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように)配置された蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するモータ110と、このモータ110を駆動制御する図示しない駆動制御装置と、を備える。また、蛍光ホイール装置100は、励起光照射装置70から出射される励起光の光線束を蛍光ホイール101に集光するとともに蛍光ホイール101から背面パネル13方向に出射される緑色波長帯域光の光線束を集光する第一集光レンズ群111と、蛍光ホイール101を透過した光を集光して青光路側集光レンズ146側へ反射するレンズ部材142と、を有する。なお、駆動制御装置は、前述の光源制御回路41により制御される。
【0027】
図3に示す蛍光ホイール101は、円板又は円環状に形成されており、開口部112側がモータ110の軸部と接続されて回転可能に形成される。蛍光ホイール101は、複数の光源セグメントとして蛍光発光領域310と透過領域320を周方向に並設している。蛍光ホイール101の基材102は銅やアルミニウム等の金属基材により形成することができる。この基材102の励起光照射装置70側の表面102aは銀蒸着等によってミラー加工されている。蛍光発光領域310には、このミラー加工された表面102aに形成された緑色蛍光体層が形成される。蛍光発光領域310は、励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光を励起光として受けて、全方位に緑色波長帯域の蛍光(緑色波長帯域光)を出射する。緑色波長帯域光は、蛍光ホイール装置100から出射されて、第一ダイクロイックミラー141側の第一集光レンズ群111に入射する。
【0028】
蛍光ホイール101の透過領域320は、蛍光ホイール101の基材102に形成された切抜部に、透光性を有する透明基材を嵌入して形成することができる。透明基材は、ガラスや樹脂等の透明な材料で形成される。また、透明基材には、青色波長帯域光が照射される側又はその反対側の表面に拡散層を設けてもよい。拡散層は、例えば、その透明基材の表面に、サンドブラスト等による微細凹凸を形成して設けることができる。透過領域320に入射された励起光照射装置70からの青色波長帯域光は、励起光路側集光レンズ77及び第一集光レンズ群111で集光径が縮幅されて、透過領域320を透過又は拡散透過し、レンズ部材142側へ出射される。なお、青色波長帯域光は、透過領域320(又は透過領域320近傍の前後位置)で集光されて光線束が光軸を中心に反転する。蛍光ホイール101の透過領域320は、後述するマイクロレンズアレイ90に入射する光線束の光学基準面A3(光学基準点)となる(図2も参照)。
【0029】
蛍光ホイール101は回転駆動しており、蛍光ホイール101の蛍光発光領域310が図3に示す青色波長帯域光の照射領域Sに位置する場合、青色波長帯域光により励起された緑色波長帯域光が第一集光レンズ群111側へ出射される。一方、蛍光ホイール101の透過領域320が青色波長帯域光の照射領域Sに位置すると、青色波長帯域光は蛍光ホイール101を透過してレンズ部材142に導光される。
【0030】
図2に戻り、第一ダイクロイックミラー141は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光とが交差する位置に配置されている。第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。従って、蛍光ホイール101から出射された緑色波長帯域光の光軸は、第二集光レンズ148側に90度変換される。
【0031】
レンズ部材142は、蛍光ホイール101を透過又は拡散透過した青色波長帯域光の光軸上に配置され、青色波長帯域光を反射して青光路側集光レンズ146に光軸を90度変換する。青光路側集光レンズ146は、両凸レンズであり、レンズ部材142の左側パネル15側に配置される。この青光路側集光レンズ146の左側パネル15側には、青光路側反射ミラー143が配置される。青光路側反射ミラー143の背面パネル13側には、出射側を凸面とした平凸(片凸)の第一集光レンズ147が配置される。青光路側反射ミラー143は、青光路側集光レンズ146で集光された青色波長帯域光を、背面パネル13側に90度変換して第一集光レンズ147に入射させる。
【0032】
また、第一ダイクロイックミラー141の左側パネル15側には、入射側に凸面を有した平凸(片凸)の第二集光レンズ148が配置されている。さらに、第二集光レンズ148の左側パネル15側であって、第一集光レンズ147の背面パネル13側には、第二ダイクロイックミラー144が配置されている。第二ダイクロイックミラー144は、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射して背面パネル13側に90度光軸を変換するとともに、青色波長帯域光を透過させる。
【0033】
第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸と、この赤色波長帯域光の光軸と一致するように第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸は、第二集光レンズ148に入射する。そして、第二集光レンズ148を透過した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー144により反射され、第三集光レンズ149に入射する。一方、第一集光レンズ147で集光された青色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー144を透過して、第三集光レンズ149に入射する。
【0034】
第三集光レンズ149は、入射側に凸面を有し出射側に凹面を有した凸レンズ(正のメニスカスレンズ)である。第三集光レンズ149は、第二ダイクロイックミラー144側から入射した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光及び青色波長帯域光を集光して第一反射ミラー145側へ出射させる。第三集光レンズ149から出射した光線束は、第一反射ミラー145により、マイクロレンズアレイ90側に光軸が変換されて導光される。なお、光学基準面A1~A3(光学基準点)における位置の光線束を物体側とすると、マイクロレンズアレイ90は、光源光学系140により導光された光が略結像される位置(即ち、光学基準面A1~A3における光線束の像F1~F3が形成される位置)に配置される。マイクロレンズアレイ90の入射面901に照射される光線束の像F1~F3の形状は、後述の図8(a)、図9(a)及び図9(b)に例示する。
【0035】
導光光学系180は、凹レンズ181、凸レンズ182、第二反射ミラー183及びコンデンサレンズ184を有する。なお、コンデンサレンズ184は、コンデンサレンズ184の背面パネル13側に配置される表示素子51から出射された画像光を投影光学系220に向けて出射するので、投影光学系220の一部ともされている。凹レンズ181は、マイクロレンズアレイ90と凸レンズ182との間(換言すれば、マイクロレンズアレイ90と表示素子51との間の光路)に配置される。また、凸レンズ182は、凹レンズ181と第二反射ミラー183との間(換言すれば、マイクロレンズアレイ90と表示素子51との間の光路)に配置される。
【0036】
マイクロレンズアレイ90から出射された光は、両凹の凹レンズ181に入射して光線束が拡幅された後、凸レンズ182に入射する。凸レンズ182は、両凸に形成されており、入射側の凸面よりも出射側の凸面の方が大きな曲率で形成される。凸レンズ182は、凹レンズ181から出射された光を集光し、第二反射ミラー183側へ出射する。第二反射ミラー183により反射された光は、コンデンサレンズ184を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、DMDとされる表示素子51は、背面パネル13側にヒートシンク190が設けられ、このヒートシンク190により冷却される。
【0037】
ここで、マイクロレンズアレイ90の構成について説明する。図4は、マイクロレンズアレイ90を出射面902側から見た正面図である。マイクロレンズアレイ90は、矩形板状(本実施形態では正方形の板状)に形成される。マイクロレンズアレイ90は、Q部拡大図に示すように、正面視長方形状の複数のマイクロレンズ91を有する。各マイクロレンズ91は、入射面901側及び出射面902側において凸面を有する両凸レンズとして形成される。マイクロレンズ91は、マイクロレンズ91の長尺方向に約50個が配列され、マイクロレンズ91の短尺方向に約80個が配列されて、マトリクス状に設けられる。マイクロレンズアレイ90の上側面92及び下側面93はマイクロレンズ91の長辺91aと平行となるように形成される。また、左側面94及び右側面95はマイクロレンズ91の短辺91bと平行となるように形成される。
【0038】
マイクロレンズアレイ90は、図2に示した投影装置10内の光学ケース(詳細は不図示)に対して固定されるレンズホルダ180aにより保持される。マイクロレンズアレイ90は、光軸Pと直交する入射面901及び出射面902がXY平面に対して傾斜するように配置される。上側面92及び下側面93(又は長辺91a)もXY平面に対して傾斜して配置される。本実施形態のマイクロレンズアレイ90は、マイクロレンズ91の長辺91aをXY平面に対して光軸P周りに角度θ1分回転させて配置される。マイクロレンズアレイ90の入射面901には光源光学系140側から導光された光線束が入射する。入射面901では、図8(a)、図9(a)及び図9(b)で後述するように、光学基準面A1~A3に対する像F1~F3(具体的には、各像F1~F3の形状と傾きを模式的に表した像F4)がマイクロレンズアレイ90に対して光軸P周りに角度θ2分さらに傾いて照射される。入射面901に像F1として照射された光線束は、各マイクロレンズ91に対応する部分領域毎に拡散されて、表示素子51に重なり合うように導光される。
【0039】
図5は、第二反射ミラー183及びコンデンサレンズ184を省略した導光光学系180の光路を示す模式図である。マイクロレンズアレイ90及び凹レンズ181は接触して配置される(図2も参照)。マイクロレンズアレイ90は、入射面901に入射した光(青色波長帯域光、緑色波長帯域光、赤色波長帯域光)を均一化して表示素子51の画像形成面511に照射させる。
【0040】
例えば、光軸Pの中心側のマイクロレンズ91Aに入射して出射された光L1(光軸光L11並びにマイクロレンズ91Aのマージナル光L12及びマージナル光L13を含む)は、凹レンズ181に入射する。凹レンズ181は、入射した光L1を拡散(光線束を拡幅)して凸レンズ182側に出射する。光軸Pから離れた他のマイクロレンズ91Bに入射して出射された外径側の光L2(光軸光L21並びにマイクロレンズ91Bのマージナル光L22及びマージナル光L23を含む)も、凹レンズ181に入射する。凹レンズ181は、入射した外径側の光L2を拡散(光線束を拡幅)して凸レンズ182側に出射する。
【0041】
凸レンズ182は凹レンズ181と所定の間隔を設けて配置される。凸レンズ182には、凹レンズ181から出射された光線束の集光径がある程度拡幅された状態で入射する。凸レンズ182は、入射した光L1を光線束の集光径が縮幅される方向に集光して(光軸Pとの拡幅角度が小さくなるように集光して)、表示素子51側へ出射する。また、凸レンズ182は、光軸Pに対して外径側を通る光L2についても集光して、光軸P側を通る光L1と同様に、表示素子51側へ出射する。従って、表示素子51に入射する光L1及び光L2は、平行光に近づけた状態で表示素子51に導光される。
【0042】
マイクロレンズアレイ90を用いることで、入射面901側に輝度分布が偏った光が入射した場合であっても、各マイクロレンズ91に対応した部分領域毎に光が重畳されるため、表示素子51の画像形成面511に均一化された光を照射することができる。
【0043】
また、本実施形態の凸レンズ182は、両凸としているため、焦点距離が短く、光線束を比較的短い距離で表示素子51の有効領域S1(図10(c)も参照)に照射させることができる。従って、凸レンズ182から表示素子51までの光路長を短くすることができ、光源装置60及び投影装置10を小型化することができる。
【0044】
次に、第一反射ミラー145及び導光光学系180により導光される光線束の回転について主に図6乃至図10を用いて説明する。なお、図6及び図7では、凹レンズ181、凸レンズ182及びコンデンサレンズ184の図示を省略している。また、図6乃至図10では、マイクロレンズアレイ90、凹レンズ181、凸レンズ182及びコンデンサレンズ184による光線束の集光径の拡縮変化については考慮しておらず、主にマイクロレンズアレイ90に入射する光(赤色波長帯域光Lr、緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lb)と、マイクロレンズアレイ90から出射される光線束Lの光軸P周りの回転量について説明している。なお、光線束Lは、出射面902から矩形状の光断面形状を有する平行光が出射されたものとして、四隅の角光P1~P4の光路により模式的に示している。また、この光線束Lの光断面形状は、図4の出射面902側から見たマイクロレンズ91と相似関係の長方形状であり、マイクロレンズ91(又はマイクロレンズアレイ90)と同角度θ1で光軸P周りに傾斜している。
【0045】
まず、光源光学系140側の光路においては、光源側導光面(XY平面と平行な面)と略平行な光軸により光源(赤色光源装置120、緑色光源装置80又は励起光照射装置70)側から導光された赤色波長帯域光Lr、緑色波長帯域光Lg又は青色波長帯域光Lbの光線束がY軸負方向に沿って導光されて、第一反射ミラー145に照射される。第一反射ミラー145は、光源側導光面に対する傾斜方向(X軸負方向、Y軸正方向及びZ軸負方向)に光軸を変換するように光線束を反射する。マイクロレンズアレイ90及び第二反射ミラー183は、第一反射ミラー145により反射された光線束の光軸上に配置される。マイクロレンズアレイ90は、入射面901及び出射面902が光軸Pに対して直交し、XY平面、YZ平面及びZX平面に対しては斜めに傾斜して配置される。
【0046】
図8(a)、図9(a)及び図9(b)は、それぞれ赤色波長帯域光Lr、緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lbが照射されたマイクロレンズアレイ90を入射面901側から見た模式図である。また、図8(b)は、赤色波長帯域光Lrが照射されたマイクロレンズアレイ90を光軸P周りに回転させずに配置した状態(即ち、上側面92及び下側面93の縁線(又は長辺91a)と、XY平面とを平行に配置した場合の位置)を、比較例として図示している。入射面901には、赤色波長帯域光Lr、緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lbの各光学基準面A1~A3に対する像F1~F3が結像される。なお、一点鎖線で示す像F4は、赤色波長帯域光Lr、緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lbの各光断面形状の凡その形状と傾きを示している。
【0047】
まず、図8(a)は、入射面901における赤色波長帯域光Lrの照射領域を光強度の等高線で表し、さらに、この照射領域のA-A断面位置及びB-B断面位置における光強度の分布を示している。赤色波長帯域光Lrの光路の場合、図2に示したように、光学基準面A1は、赤色発光ダイオード121の発光面(発光点)である。赤色発光ダイオード121は略矩形状の発光面から赤色波長帯域光Lrを出射する。そのため、赤色波長帯域光Lrは、入射面901において、光強度の分布が比較的均一な略矩形状の領域で照射される。また、赤色波長帯域光Lrは、マイクロレンズアレイ90(マイクロレンズ91)に対して光軸P周りの時計回り方向にさらに角度θ2分回転して傾斜している。即ち、赤色波長帯域光Lrの光軸P周りの回転角度(角度θ1+角度θ2)は、マイクロレンズアレイ90の光源側導光面(XY平面に平行な面)に対する角度θ1よりも大きい。なお、Z2軸は、マイクロレンズアレイ90の右側面95(図8(b)では左側の側面)と平行であって、光軸Pと直交する方向の軸である。
【0048】
図8(b)に示すマイクロレンズアレイ90Aは、マイクロレンズアレイ90を光軸P周りに回転させずに配置した場合の位置を示している。なお、Z1軸は、マイクロレンズアレイ90Aの右側面95と平行であって、光軸Pと直交する方向の軸である。
【0049】
マイクロレンズアレイ90に光を入射させた場合、矩形状のマイクロレンズアレイ90と矩形状の像F4の向きが一致せずに、入射面901において光が照射されない無光領域903が発生する場合がある。図8(b)に示したマイクロレンズアレイ90を光学導光面(XY平面と平行な面)に対して傾斜させていない(即ち、光軸P周り方向に回転させていない)例では、マイクロレンズアレイ90Aと赤色波長帯域光Lrの模式化した像F4は、前述の通り角度θ1+角度θ2の回転角度で相対的に回転してずれている。本実施形態では、図8(a)に示すように、赤色波長帯域光Lr(緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lbに対しても同様)の照射領域(像F4)の回転方向に合わせて、マイクロレンズアレイ90も光軸P周りの同方向(入射面901側から見た時計回り方向)に角度θ1分回転させて配置している。
【0050】
そのため、マイクロレンズアレイ90と赤色波長帯域光Lrの像F4とは、角度θ1分回転角度のずれが小さくなる。このように、マイクロレンズアレイ90と赤色波長帯域光Lrの像F4との向きが一致する方向にマイクロレンズアレイ90を回転させておくと、無光領域903の面積を小さくすることができる。無光領域903の面積を小さくすると、入射面901において像F4の位置する面積(有光領域)も大きくなるため、入射面901に入射される赤色波長帯域光Lrをより多くのマイクロレンズ91に照射させることができる。従って、マイクロレンズアレイ90に入射する赤色波長帯域光Lrを、より多くの部分領域に分割して表示素子51において重畳させることができ、赤色波長帯域光Lrの光強度の分布をより均一化することができる。換言すれば、無光領域903の比率が低減されることにより、光線束を均一化する機能を有しながらマイクロレンズアレイ90を小型化することができる。
【0051】
緑色波長帯域光Lgの光路の場合、光学基準面A2は蛍光ホイール101上の蛍光発光領域310の発光面(発光点)である(図2参照)。図9(a)に示す緑色波長帯域光Lgは、光学基準面A2である蛍光発光領域310から全方位に出射された蛍光が略結像された像F2である。そのため、緑色波長帯域光Lgは、入射面901において、光強度の分布が光軸P側を中心に放射状に弱くなる略円形状で照射される。緑色波長帯域光Lgの照射領域の外形は、一点鎖線の像F4に示すように、概ね矩形状に形成されており、この像F4は赤色波長帯域光Lrと略同角度で、マイクロレンズアレイ90(マイクロレンズ91)に対して光軸P周りの時計回り方向に角度θ2分傾斜している。
【0052】
青色波長帯域光Lbの光路の場合、光学基準面A3は蛍光ホイール101上の透過領域320の出射面又は集光面(出射点)である(図2参照)。図9(b)に示す青色波長帯域光Lbは、マトリクス状(本実施形態では2行4列)に配置された複数の青色レーザダイオード71から出射されるため、結像面である入射面901においても、マトリクス状に光強度が強く分布した像F3として略結像される。青色波長帯域光Lbの照射領域の全体は、一点鎖線の像F4に示すように、概ね矩形状に形成されており、赤色波長帯域光Lrと略同角度で、マイクロレンズアレイ90(マイクロレンズ91)に対して光軸P周りの時計回り方向に角度θ2分傾斜している。
【0053】
このように、入射面901には光源側導光面(XY平面と平行な面)に沿って導光された光線束が、光断面形状を光源側導光面に対して傾くように回転させて入射するが、マイクロレンズアレイ90は、緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lbに対しても、緑色波長帯域光Lg及び青色波長帯域光Lbの回転方向に合わせて無光領域903の面積が小さくなるように、光軸P周りの同方向(入射面901側から見た時計回り方向)に回転させて配置される。
【0054】
次に、導光光学系180において導光される光線束Lが回転する様子について説明する。図6及び図7で、第二反射ミラー183は、マイクロレンズアレイ90側から導光された出射光である光線束Lを、光源側導光面(XY平面と平行な面)に対する傾斜方向(X軸正方向、Y軸負方向及びZ軸正方向)に光軸Pを変換するように反射する。第二反射ミラー183により反射された光線束Lは、ZX平面に平行に配置された画像形成面511を有する表示素子51に照射される。
【0055】
マイクロレンズアレイ90と第二反射ミラー183との間に導光される光線束Lは、図10(a)のC1部の光断面形状に示すように、XY平面に対し光軸P周りに回転した状態(即ち、光線束Lの光断面形状である長矩形形状の長尺方向と、XY平面とが角度θ1で傾斜した状態)で導光される。
【0056】
第二反射ミラー183により表示素子51に対して反射される光線束Lの光断面形状は、光軸Pに対して線対称に反転し、さらに光軸P周りに回転して導光される。表示素子51と第二反射ミラー183との間に導光される光線束は、図10(b)のC2部の光断面形状に示すように、XY平面に対して光軸P周りに回転していない状態(即ち、光線束Lの角光P1及び角光P2を結ぶ線(又は角光P3及び角光P4を結ぶ線)と、XY平面とが平行となる状態)で導光される。C2部断面におけるZ3軸は、C2部断面における光軸Pと直交して、角光P3及び角光P2方向側を正とした軸であり、参考として示している。
【0057】
図10(c)は、表示素子51の画像形成面511に照射される光線束Lを示している。表示素子51に照射された光線束Lは、画像形成面511における長方形状の有効領域S1に照射される。光の照射領域S2は、略長方形状であり、有効領域S1を含むように位置している。照射領域S2と有効領域1の長尺方向は略一致している。有効領域S1に照射された光は、表示素子51の複数のマイクロミラーにより反射されて画像データに応じた画像光を形成して投影光学系220側に反射される(図2参照)。なお、有効領域S1に含まれない照射領域S2の照射光は捨て光となる。
【0058】
なお、図6及び図7で、表示素子51に第二反射ミラー183側から出射された光線束Lは、画像形成面511に対して斜め下方の傾斜方向から照射されるため、C2部断面における光断面形状が矩形状である場合、照射領域S2の形状は僅かに平行四辺形又は菱形となるが、本実施形態では無視できる程度として、図10(c)には矩形形状で図示している。
【0059】
以上のように、第二反射ミラー183の前後において、導光光学系180は、マイクロレンズアレイ90側からの出射光を光軸P周りに角度θ1分回転させて表示素子51側に導光することができる。換言すれば、マイクロレンズアレイ90は、表示素子51に照射される光源(光源装置60)側からの出射光の照射領域S2と表示素子51の有効領域S1の向きが一致するように、導光光学系180における光線束の回転量に応じて光軸P周りに回転させて配置される。マイクロレンズアレイ90の回転により、マイクロレンズ91の傾斜角度も、導光光学系180における光線束の回転による傾斜角度と略一致するように配置される。
【0060】
なお、C2部断面における光断面形状は、光軸P周りに回転(例えば、反時計回り)してもよく、この場合も、マイクロレンズアレイ90は、表示素子51に照射される光源(光源装置60)側からの出射光の照射領域S2と表示素子51の有効領域S1の向きが一致するように、光軸P周りに回転させて配置することができる。
【0061】
図6乃至図10では、光線束の回転について模式的に説明したが、実際の光線束は、図5に示したようにマイクロレンズ91毎に出射された光が、凹レンズ181、凸レンズ182及びコンデンサレンズ184により集光径が調整されながら、図6及び図7に示したように第二反射ミラー183の反射の傾斜方向(傾斜角度)に応じた回転量で各々回転して、表示素子51の画像形成面511で重なり合うように照射される。これにより、画像形成面511には、均一な略矩形状の光が照射領域S2と有効領域S1の向きを揃えるように照射される。
【0062】
以上のように投影装置10を構成することで、蛍光ホイール101を同期回転させるとともに励起光照射装置70及び赤色光源装置120から適宜のタイミングで光を出射すると、緑色、青色及び赤色の各波長帯域の光が光源光学系140を介してマイクロレンズアレイ90に入射され、導光光学系180を介して表示素子51に入射される。そのため、表示素子51がデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0063】
以上、図1乃至図10を用いて本実施形態の構成を説明したが、以下に説明するその他の構成を適用することもできる。例えば、本実施形態では、略正方形板状のマイクロレンズアレイ90について示したが、光源(赤色光源装置120、緑色光源装置80、励起光照射装置70)側から入射面901に入射する光の光軸P周りの回転量は、マイクロレンズアレイ90までの光路の構成により種々の傾斜角度が考えられる。従って、マイクロレンズアレイ90は、無光領域903部分については部材の一部を切欠く等してマイクロレンズアレイ90の上側面92及び下側面93とマイクロレンズ91の長辺91aとを非平行となるように構成してもよい。又は、左側面94及び右側面95と短辺91bとは、非平行となるように構成してもよい。
【0064】
また、図8(a)、図9(a)及び図9(b)では、入射面901に照射された光線束の像F1~F3(像F4)が入射面901側から見て時計回り方向に回転する例について示したが、入射面901に照射される像F1~F3(像F4)は入射面901から見た反時計回り方向に回転した状態で入射面901に照射される構成としてもよい。この場合、マイクロレンズアレイ90は、入射面901に照射される像F1~F3(像F4)の回転方向(例えば、反時計回り方向)とは反対方向(例えば、時計回り方向)に回転させて配置することができる。
【0065】
また、導光光学系180は、光線束の大きさや光路長等の構成によっては、マイクロレンズアレイ90と表示素子51との間において、凹レンズ181又は凸レンズ182を省略した構成としてもよい。例えば、マイクロレンズアレイ90と表示素子51との間の距離が比較的短い場合に、凹レンズ181から出射された光を、直接(或いは、コンデンサレンズ184や第二反射ミラー183のみを介して)照射させることができる。なお、凹レンズ181は、マイクロレンズアレイ90と凸レンズ182との間に設けずに凸レンズ182と表示素子51との間に設ける構成としてもよい。さらに、凸レンズ182は、凹レンズ181と第二反射ミラー183との間に設けずに第二反射ミラー183とコンデンサレンズ184との間に設ける構成としてもよい。
【0066】
また、マイクロレンズ91は、両凸に限らず、入射面901側又は出射面902側を平坦にして平凸のレンズとしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、マイクロレンズ91を長方形状に形成した例について説明したが、表示素子51の有効領域S1の形状に応じてマイクロレンズ91の形状を変更することができる。例えば、有効領域S1の形状が正方形状である場合、マイクロレンズ91の形状も正方形状とすることができる。また、表示素子51に照射される光は、画像形成面511に対して傾斜方向から照射されるため、導光光学系180における光断面形状と照射領域S2の形状とは相似関係ではない場合がある。従って、マイクロレンズ91の正面視から見た形状は、照射領域S2の形状がより有効領域S1の形状に近づくように、有効領域S1の縦横比や内角を変更した異なる形状としてもよい。例えば、有効領域S1の形状が矩形状(正方形や長方形状)である場合、マイクロレンズ91は平行四辺形又は菱形とすることができる。
【0068】
また、本実施形態では、DLP(Digital Light Processing)方式の投影装置10においてマイクロレンズアレイ90に光を入射させて均一化させる例について示したが、本実施形態で示した構成は、所謂LCD(Liquid Crystal Display)方式に適用することもできる。例えば、3か所に配置した表示素子である液晶フィルタ(液晶パネル)と光源との間の光路にマイクロレンズアレイ90を配置して、マイクロレンズアレイ90により均一化した青色、緑色及び赤色の各光を表示素子に入射させてもよい。なお、マイクロレンズアレイ90と液晶フィルタとの間には必要に応じて凹レンズ181及び凸レンズ182等の光学素子を配置してもよいし、光源とマイクロレンズアレイ90との間にも複数の集光レンズを配置することができる。
【0069】
本実施形態では、光源から出射された光線束を均一化するマイクロレンズアレイ90と、マイクロレンズアレイ90から出射された光線束を導光する導光光学系180と、導光光学系180により導光された光線束が照射されて画像光を形成する表示素子51と、を備える。そして、マイクロレンズアレイ90は、表示素子51における光線束の照射領域S2と表示素子51の有効領域S1が略一致するように回転させて配置される。
【0070】
照射領域S2と有効領域S1とを一致させることにより、画像形成面511において画像光の形成に用いられない捨て光を低減することができるため、投影装置10は光源からの出射光により画像光を効率よく形成することができる。
【0071】
また、照射領域S2及び有効領域S1は長方形状に形成され、マイクロレンズアレイ90は照射領域S2と有効領域S1の長尺方向が略一致するように配置される投影装置10は、照射領域S2と有効領域S1の向きを一致させて捨て光を低減し、表示素子51は長方形状の領域において画像光を効率よく形成することができる。
【0072】
また、導光光学系180がマイクロレンズアレイ90から出射された光線束を光軸P周りに回転させて導光する投影装置10は、導光光学系180における光線束Lの回転に応じてマイクロレンズアレイ90を光軸P周りに回転させておくことで、表示素子51上の照射領域S2を有効領域S1に略一致させることができる。
【0073】
また、マイクロレンズアレイ90の各マイクロレンズ91が正面視長方形状に形成され、マイクロレンズアレイ90の回転によるマイクロレンズ91の傾斜角度が、導光光学系180における光線束の回転による傾斜角度と略一致するようにマイクロレンズアレイ90を配置させる投影装置10は、各マイクロレンズ91により出射された長方形状の光を表示素子51側において重畳させて、有効領域S1に対して均一な光を照射させることができる。
【0074】
また、マイクロレンズアレイ90が、光源から入射される光線束の回転方向を同方向に光軸周りに回転して配置される構成について説明した。これにより、入射面901における無光領域903の面積を小さくすることができる。
【0075】
また、投影装置10は、光源側導光面と平行に導光された光源(120,80,70)からの光を、マイクロレンズアレイ90に光源側導光面に対して傾斜方向に反射する第一反射ミラー(145)を含む光源光学系140を備え、マイクロレンズアレイ90は、矩形状に形成される。また、光源から導光された矩形状の光断面形状を有する光線束は、光源側導光面に対して傾くように回転してマイクロレンズアレイ90に入射する。これにより、光源から出射された光がマイクロレンズアレイ90の入射面901に広く照射させることができ、マイクロレンズ91により分割される光を増加させることができるため、表示素子51で重畳して照射される光をより均一化させることができる。また、マイクロレンズアレイ90において光が照射される領域が同じ場合は無光領域903の面積を小さくすることもできるため、マイクロレンズアレイ90を小型化することができる。
【0076】
また、導光光学系180はマイクロレンズアレイ90から出射された光線束を、マイクロレンズアレイ90の光軸及び光源側導光面に対して傾斜方向に反射して表示素子51に導光する第二反射ミラー183を有する。これにより、表示素子51に光を導光する光学部材のレイアウトの自由度を向上させることができる。また、表示素子51に傾斜方向から光を照射することができるため、表示素子51の正面方向に反射された画像光を投影光学系220側に阻害されることなく出射させることができる。
【0077】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0078】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 光源から出射された光線束を均一化するマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイから出射された前記光線束を導光する導光光学系と、
前記導光光学系により導光された前記光線束が照射されて画像光を形成する表示素子と、
を備え、
前記マイクロレンズアレイは、前記表示素子における前記光線束の照射領域と前記表示素子の有効領域が略一致するように回転させて配置される、
ことを特徴とする投影装置。
[2] 前記照射領域及び前記有効領域は、長方形状に形成され、
前記マイクロレンズアレイは、前記照射領域と前記有効領域の長尺方向が略一致するように配置される、
ことを特徴とする前記[1]に記載の投影装置。
[3] 前記導光光学系は前記マイクロレンズアレイから出射された前記光線束を光軸周りに回転させて導光することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の投影装置。
[4] 前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、正面視長方形状に形成され、
前記マイクロレンズアレイは、前記マイクロレンズアレイの回転による前記マイクロレンズの傾斜角度が、前記導光光学系における前記光線束の回転による傾斜角度と略一致するように配置される、
ことを特徴とする前記[3]に記載の投影装置。
[5] 前記マイクロレンズアレイは、前記光源側から入射される前記光線束の回転方向と同方向に光軸周りに回転して配置される、ことを特徴とする前記[3]又は[4]に記載の投影装置。
[6] 光源側導光面に沿って導光された前記光源からの前記光線束を、前記光源側導光面に対して傾斜方向に反射して前記マイクロレンズアレイに導光する第一反射ミラーを備え、
前記マイクロレンズアレイは、矩形状に形成され、
前記光源から導光された矩形状の光断面形状を有する前記光線束は、前記光源側導光面に対して傾くように回転して前記マイクロレンズアレイに入射する、
ことを特徴とする前記[3]乃至前記[5]の何れかに記載の投影装置。
[7] 前記導光光学系は、前記マイクロレンズアレイから出射された前記光線束を、前記マイクロレンズアレイの光軸及び前記光源側導光面に対して傾斜方向に反射して前記表示素子に導光する第二反射ミラーを有する、ことを特徴とする前記[6]に記載の投影装置。
【符号の説明】
【0079】
10 投影装置 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 51 表示素子
60 光源装置 70 励起光照射装置
71 青色レーザダイオード 75 反射ミラー群
77 励起光路側集光レンズ 78 拡散板
79 ヒートシンク 80 緑色光源装置
90 マイクロレンズアレイ 90A マイクロレンズアレイ
91 マイクロレンズ 91A マイクロレンズ
91B マイクロレンズ 91a 長辺
91b 短辺 92 上側面
93 下側面 94 左側面
95 右側面 100 蛍光ホイール装置
101 蛍光ホイール 102 基材
102a 表面 110 モータ
111 第一集光レンズ群 112 開口部
120 赤色光源装置 121 赤色発光ダイオード
125 第二集光レンズ群 126 ヒートシンク
140 光源光学系 141 第一ダイクロイックミラー
142 レンズ部材 143 青光路側反射ミラー
144 第二ダイクロイックミラー 145 第一反射ミラー
146 青光路側集光レンズ 147 第一集光レンズ
148 第二集光レンズ 149 第三集光レンズ
180 導光光学系 180a レンズホルダ
181 凹レンズ 182 凸レンズ
183 第二反射ミラー 184 コンデンサレンズ
190 ヒートシンク 220 投影光学系
235 可動レンズ群 310 蛍光発光領域
320 透過領域 511 画像形成面
901 入射面 902 出射面
903 無光領域
A1~A3 光学基準面 F1~F4 像
L 光線束 L1,L2 光
L11,L21 光軸光 L12,L13 マージナル光
L22,L23 マージナル光 Lb 青色波長帯域光
Lg 緑色波長帯域光 Lr 赤色波長帯域光
P 光軸 P1~P4 角光
S 照射領域 S1 有効領域
S2 照射領域 θ1,θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10