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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】印刷制御サーバーおよび印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240910BHJP
   H04L 67/02 20220101ALI20240910BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G06F3/12 373
G06F3/12 303
G06F3/12 329
G06F3/12 388
H04L67/02
B41J29/38 801
B41J29/38 203
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020158305
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052114
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 良輔
(72)【発明者】
【氏名】世良 隆
(72)【発明者】
【氏名】河上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】北原 佑真
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-125528(JP,A)
【文献】特開2005-078160(JP,A)
【文献】特開2016-005199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0050263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
H04L 51/00-51/58
H04L 67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)により提供されるチャットシステムに
対してユーザーから入力された印刷指示を取得し、前記印刷指示に従った印刷をプリンタ
ーに実行させる印刷制御部と、
前記プリンターの印刷履歴であって前記印刷指示に応じた印刷履歴を取得する履歴取得
部と、
前記印刷履歴を、前記チャットシステムを介して管理者へ通知する通知部と、を備え、
前記通知部は、集計された前記印刷履歴の通知要求を、前記チャットシステムを介して
受信した場合に、集計された前記印刷履歴を前記管理者へ通知する、ことを特徴とする印
刷制御サーバー。
【請求項2】
前記印刷履歴は、印刷枚数を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御サーバー
【請求項3】
前記印刷履歴は、前記印刷指示の指示元のユーザー毎の情報であることを特徴とする請
求項1または請求項2に記載の印刷制御サーバー。
【請求項4】
前記印刷履歴は、前記印刷指示が印刷対象として指定したファイル毎の情報であること
を特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項5】
前記印刷履歴は、前記印刷指示に従って印刷を実行したプリンター毎の情報であること
を特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項6】
前記履歴取得部は、前記印刷履歴を所定期間毎に集計し、
前記通知部は、集計された前記印刷履歴を前記管理者へ通知する、ことを特徴とする請
求項1~請求項5のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項7】
前記通知部は、集計された前記印刷履歴を前記所定期間毎に前記管理者へ通知する、こ
とを特徴とする請求項6に記載の印刷制御サーバー。
【請求項8】
前記通知部は、集計された前記印刷履歴を予め指定された日時に前記管理者へ通知する
、ことを特徴とする請求項6に記載の印刷制御サーバー。
【請求項9】
前記通知部は、集計された前記印刷履歴の通知タイミングの変更指示を、前記チャット
システムを介して受信した場合に、集計された前記印刷履歴を前記管理者へ通知するタイ
ミングを、前記変更指示に従って変更する、ことを特徴とする請求項6~請求項のいず
れかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項10】
前記印刷制御部は、グループチャットに属するユーザーから入力された前記印刷指示を
取得し、
前記通知部は、前記グループチャットの管理者へ通知する、ことを特徴とする請求項1
~請求項のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項11】
前記通知部は、前記印刷履歴を、チャット形式で通知する、ことを特徴とする請求項1
~請求項10のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項12】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)により提供されるチャットシステムに
対してユーザーから入力された印刷指示を取得し、前記印刷指示に従った印刷をプリンタ
ーに実行させる印刷制御工程と、
前記プリンターの印刷履歴であって前記印刷指示に応じた印刷履歴を取得する履歴取得
工程と、
前記印刷履歴を、前記チャットシステムを介して管理者へ通知する通知工程と、を備え

前記通知工程は、集計された前記印刷履歴の通知要求を、前記チャットシステムを介し
て受信した場合に、集計された前記印刷履歴を前記管理者へ通知する、ことを特徴とする
印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御サーバーおよび印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)を利用するユーザーは、SNSが提供するチャットシステムにテキストや写真等のファイルを投稿して、同じグループチャットに参加するユーザーに対して公開することができる。また、ユーザーは、SNSとネットワークで通じた印刷システムを利用し、SNSに投稿したファイルを、印刷システムに予め登録したプリンターにより印刷することも可能である。
【0003】
また、プリンターが登録されていないユーザーからチャットルームに印刷指示の投稿がなされた場合、プリンターの登録を求めるメッセージをチャットルームに投稿し、この投稿に応じて当該ユーザーがプリンターIDをチャットルームに投稿すると、当該プリンターIDを当該ユーザーに対応付けて登録し、登録したプリンターで印刷を実行する情報処理装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020‐71598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術においては、グループチャットのメンバーである各ユーザーが行う印刷の状況を、グループチャットの管理者が把握することが出来なかった。そのため、管理者は、チャットシステムを介した印刷を適切に管理することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷制御サーバーは、SNSにより提供されるチャットシステムに対してグループチャットに属するユーザーから入力された印刷指示を取得し、前記印刷指示に従った印刷をプリンターに実行させる印刷制御部と、前記プリンターの印刷履歴であって前記印刷指示に応じた印刷履歴を取得する履歴取得部と、前記印刷履歴を、前記チャットシステムを介して前記グループチャットの管理者へチャット形式で通知する通知部と、を備える。
【0007】
印刷制御方法は、SNSにより提供されるチャットシステムに対してグループチャットに属するユーザーから入力された印刷指示を取得し、前記印刷指示に従った印刷をプリンターに実行させる印刷制御工程と、前記プリンターの印刷履歴であって前記印刷指示に応じた印刷履歴を取得する履歴取得工程と、前記印刷履歴を、前記チャットシステムを介して前記グループチャットの管理者へチャット形式で通知する通知工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】システムを簡易的に示すブロック図。
図2】ユーザーDBを示す図。
図3】印刷制御処理を示すシーケンス図。
図4】履歴通知を表示するチャット画面の一例を示す図。
図5】レポート通知を表示するチャット画面の一例を示す図。
図6】レポート通知を表示するチャット画面の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0010】
1.システム構成:
図1は、本実施形態にかかるシステム70の構成をブロック図により簡易的に示している。システム70の少なくとも一部を、印刷システムと呼んでもよい。図1によれば、システム70は、複数の端末装置30や、複数のサーバー40,50や、プリンター60を含む。端末装置30や、サーバー40,50や、プリンター60は、図1に示すように必要に応じ、インターネットを通じて互いに通信可能に接続されている。
【0011】
端末装置30は、ユーザーUによって操作される通信機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピューター(PC)等である。端末装置30には、幾つかのアプリケーションがインストールされている。図1の例では、端末装置30には、アプリケーションの例として、ある一つのSNSを利用するためのSNSアプリケーション31がインストールされている。以下では、ある一つのSNSを、単にSNSと呼ぶ。図3では、アプリケーションを、アプリと略している。
【0012】
つまり、ユーザーUは、SNSのユーザーである。ユーザーUは、SNSの自身のアカウントを予め有している。アカウントは、SNS内においてユーザーを識別するための識別情報であり、ユーザーIDやパスワードやその他の個人情報を含んでいる。図1では便宜上、複数の端末装置30の夫々を、端末装置301,302,303…というように区別して記載している。また、図1では、端末装置301,302,303…の夫々を操作する各ユーザーUを、ユーザーU1,U2,U3…というように区別して記載している。ユーザーUは、端末装置30において起動するSNSアプリケーション31へアカウントでログインすることによりSNSを利用する。
【0013】
SNSサーバー40は、インターネット上でSNSを提供するための一つあるいは複数のサーバーである。SNSサーバー40とSNSアプリケーション31との協働により、アカウントを有するユーザーUに対してSNSが提供される。本実施形態では、SNSサーバー40は、サービスの一つとしてチャットシステムをユーザーUに提供する。ユーザーUは、チャットシステムにおける、あるグループチャットに入ることで、共通のグループチャットに属する他のユーザーUとチャットを行うことができる。グループチャットを、チャットのためのチャンネルと呼んだり、ワークスペースと呼んだりしてもよい。
【0014】
印刷制御サーバー50は、SNSを介した印刷を制御可能である。印刷制御サーバー50は、ユーザーUからのチャットシステムへの印刷指示の入力に応じて、指定されたプリンターに印刷を実行させることが可能な、一つあるいは複数のサーバーである。印刷制御サーバー50は、印刷制御方法を実現する。SNSアプリケーション31は、SNSサーバー40が提供するAPI(Application Programming Interface)を介して、印刷制御サーバー50と印刷に関して必要な情報のやり取りを行う。印刷制御サーバー50を制御するプロセッサー51は、印刷制御部52、履歴取得部53、通知部54等として機能する。
【0015】
図1ではプリンター60の他に、プリンター61を記載している。つまり、印刷制御サーバー50がインターネットを通じて利用可能なプリンターは複数台存在し得る。
【0016】


ユーザーUは、SNSアプリケーション31を起動させて端末装置30を操作し、SNSサーバー40が提供するチャットシステムにおける所定の規則に従った入力処理をして、チャットシステム内にグループチャットを生成することができる。以下では、グループチャットを生成したユーザーUを、グループチャットの管理者という意味で「管理ユーザー」と呼ぶ。あるいは、グループチャットの管理者は、単に管理者としての権限を付与されたユーザーUであってもよい。以下では、ユーザーU1が管理ユーザーであるとする。
【0017】
管理ユーザーU1は、チャットシステムにおける所定の規則に従って他のユーザーUをグループチャットへ招待し、メンバーとして登録することができる。ここでは、グループチャットに登録するユーザーUであって、管理ユーザーU1以外のユーザーUを、「通常ユーザー」と呼ぶことにする。以下では、ユーザーU2,U3を通常ユーザーと想定する。
【0018】
図2は、あるグループチャットに登録されたユーザーUを規定したユーザーデータベース55の例を示している。データベースを、DBと略す。ユーザーDB55には、あるグループチャットに属する各ユーザーUの識別情報が規定されている。ここでは、識別情報“U1******”は、管理ユーザーU1に該当し、識別情報“U2******”は、通常ユーザーU2に該当し、識別情報“U3******”は、通常ユーザーU3に該当するものとする。例えば、管理ユーザーU1による端末装置301を介したチャットシステムに対する入力に基づいて、このようなユーザーDB55が生成される。生成されたユーザーDB55は、SNSサーバー40を介して印刷制御サーバー50に送信され、印刷制御サーバー50に記憶される。
【0019】
図2によれば、ユーザーDB55は、ユーザーU毎のプリンター識別情報を加えたDBとなっている。プリンター識別情報とは、印刷制御サーバー50がネットワークを通じて認識しているプリンター毎に固有の識別情報であり、例えば、プリンター毎に割り当てた電子メールアドレスや、プリンター名や、シリアルナンバー等である。例えば、同じグループチャットに属する各ユーザーUには、共通のプリンター識別情報が対応付けられる。むろん、ユーザーU毎に異なるプリンターが対応付けられてもよいし、図2において一部のユーザーUに関して示すように、一人のユーザーUに複数のプリンターが対応付けられてもよい。
【0020】
図2の例では、プリンター識別情報“abcd@print.・・・”はプリンター60を意味し、プリンター識別情報“efgh@print.・・・”はプリンター61を意味するものとする。このようなユーザーUとプリンターとは、例えば、管理ユーザーU1がチャットシステムにおいてグループチャットを生成したときに、管理ユーザーU1がプリンター60やプリンター61を任意に指定することにより対応付けられる。つまり、印刷制御サーバー50は、管理ユーザーU1が指定したユーザーUとプリンターとの対応関係を、SNSサーバー40を介して取得することにより、ユーザーDB55に、プリンターの識別情報を対応付けて登録する。
【0021】
2.印刷と履歴通知:
次に、ユーザーDB55が印刷制御サーバー50に記憶されていることを前提として、本実施形態にかかる印刷制御処理を説明する。
図3は、印刷制御処理に関するシステム70内の各構成による処理を、シーケンス図により示している。図3において、通常ユーザーU2による処理は、通常ユーザーU2がSNSアプリケーション31を起動した状態の端末装置302を操作して自身のアカウントにより行う処理である。同様に、図3において管理ユーザーU1による処理は、管理ユーザーU1がSNSアプリケーション31を起動した状態の端末装置301を操作して自身のアカウントにより行う処理である。
【0022】
管理ユーザーU1は、チャットシステムへ、「1.レポート設定指示」を入力する。つまり、管理ユーザーU1よりチャットシステムへレポート設定指示が投稿され、このレポート設定指示をSNSサーバー40が受信する。本実施形態において「レポート」とは、所定期間に集計した印刷履歴を意味する。レポート設定指示は、一回分のレポートのために印刷履歴を集計する所定期間の長さや、レポートを通知するタイミング等を設定するための指示である。管理ユーザーU1は、このような所定期間の長さやレポート通知のタイミングを任意に決定して、レポート設定指示として投稿することができる。
【0023】
次に、「2.レポート設定指示」の記載から解るように、SNSサーバー40が受信したレポート設定指示は、SNSサーバー40から印刷制御サーバー50へ送信される。SNSサーバー40は、管理ユーザーU1からのレポート設定指示を印刷制御サーバー50へ送信する際、このレポート設定指示の指示元の管理ユーザーU1が属するグループチャットを特定する情報を付帯させて送信する。
【0024】
印刷制御サーバー50が、SNSサーバー40を介してレポート設定指示を受信すると、履歴取得部53は、「3.レポート設定」を行う。つまり、履歴取得部53は、受信したレポート設定指示に付帯した情報から特定されるグループチャットに関する、前記所定期間の長さやレポート通知のタイミング等を、当該受信したレポート設定指示に従って設定し、記憶する。
【0025】
履歴取得部53は、管理ユーザーU1から送信されたレポート設定指示に従って、例えば、管理ユーザーU1が属するグループチャットに関して前記所定期間を一か月と設定し、レポート通知のタイミングを当該所定期間内の最終日と設定する。
また、履歴取得部53は、管理ユーザーU1から送信されたレポート設定指示に従って、例えば、管理ユーザーU1が属するグループチャットに関して前記所定期間を一か月と設定し、レポート通知のタイミングを翌月の所定日時と設定する。
【0026】
「3.レポート設定」以後、履歴取得部53は、レポート設定を行ったグループチャットに属する各ユーザーUからの印刷指示に基づく印刷について、設定した前記所定期間を単位として印刷履歴を集計する作業(「10.印刷履歴集計」)を、繰り返し行う。
【0027】
次に、図3の番号4~9で示す処理について説明する。これら番号4~9で示す処理は、基本的には一回の印刷毎の処理である。
通常ユーザーU2は、チャットシステムの自身が属するグループチャットへ、任意のファイルについての「4.印刷指示」を入力する。つまり、通常ユーザーU2によりチャットシステムへ印刷指示が投稿され、この印刷指示をSNSサーバー40が受信する。
【0028】
「5.印刷指示」の記載から解るように、SNSサーバー40が受信した印刷指示は、SNSサーバー40から印刷制御サーバー50へ送信される。SNSサーバー40は、ユーザーUからの印刷指示を印刷制御サーバー50へ送信する際、当該印刷指示の指示元のユーザーUの識別情報を併せて送信する。言うまでもなく、印刷指示には、印刷指示が印刷対象として指定するファイルのデータも含まれている。また、印刷指示には、ファイルの印刷部数や印刷枚数の指定等、指示元のユーザーUが任意に入力した情報が含まれている。
【0029】
印刷制御サーバー50が、SNSサーバー40を介して印刷指示を受信すると、印刷制御部52は、「6.印刷制御」を行う。つまり、印刷制御部52は、印刷指示の指示元である通常ユーザーU2に対応付けたプリンターを、ユーザーDB55を参照してプリンター識別情報により特定し、この特定したプリンターに、印刷指示に従ったファイルの印刷を実行させる。
【0030】
印刷制御部52は、印刷指示の指示元のユーザーUに対応付けられたプリンターの識別情報が、ユーザーDB55に複数のプリンター分規定されている場合、それら複数のプリンターのうちいずれか一つのプリンター、例えばプリンター60に、印刷を実行させればよい。また、印刷指示の中に、使用するプリンターを指定する情報が含まれている場合は、印刷制御部52は、印刷指示によって指定されているプリンターに印刷を実行させればよい。
【0031】
印刷指示に応じた「6.印刷制御」の結果を受けて、履歴取得部53は、この印刷指示に応じた「7.印刷履歴取得」を行う。印刷履歴とは、一回の印刷指示に応じて実行された印刷に関する、印刷枚数、印刷対象としたファイル、印刷を実行したプリンター、印刷指示の指示元のユーザーU等を記述した情報である。これら情報以外にも、印刷履歴は、印刷日時や、カラー印刷又はモノクロ印刷の別等、様々な情報を含むものであってもよい。例えば、通常ユーザーU2が、計10ページ分の第1テキストファイルをプリンター60に2部印刷させる旨をグループチャットへ印刷指示として投稿したとする。この場合、当該印刷指示に従った「6.印刷制御」の後、履歴取得部53は、印刷枚数=20、ファイル名=第1テキストファイル、プリンター=“abcd@print.・・・”、ユーザーU=“U2******”といった各情報からなる印刷履歴を生成する。
【0032】
続いて、通知部54は「8.履歴通知」を実行する。具体的には、通知部54は、「7.印刷履歴取得」により得られた印刷履歴を、チャットシステムを介して、印刷指示の指示元のユーザーUが属するグループチャットの管理ユーザー宛にチャット形式で通知する。ここで、グループチャットに対応するユーザーDB55には、ユーザーU毎の識別情報のうち管理ユーザーU1に該当する識別情報に、管理者である旨を示す所定の情報が付加されているとする。従って、通知部54は、ユーザーDB55を参照することで、印刷指示の指示元のユーザーUが属するグループチャットの管理ユーザーを特定することができる。図3の「8.履歴通知」および「9.履歴通知」に示すように、履歴通知は、印刷制御サーバー50からSNSサーバー40へ送信され、SNSサーバー40から管理ユーザーU1へ送信される。
【0033】
なお、SNSサーバー40は、グループチャット毎の管理ユーザーを当然に認識している。そのため、印刷制御サーバー50の通知部54は、「8.履歴通知」をSNSサーバー40へ送信する際、印刷指示の指示元のユーザーUが属するグループチャットの管理ユーザーを自身では特定せず、この管理ユーザーを特定して「9.履歴通知」を行うことをSNSサーバー40に依頼するとしてもよい。
【0034】
図4は、SNSサーバー40が管理ユーザーU1に提示するチャット画面41の例を示している。チャット画面41は、管理ユーザーU1と印刷制御サーバー50とがチャットシステム上で展開するチャットを表している。管理ユーザーU1は、端末装置301のディスプレイによりチャット画面41を閲覧する。「8.履歴通知」および「9.履歴通知」の結果、チャット画面41には、履歴通知としてのメッセージ42が表示される。メッセージ42は、グループチャットに属するいずれのユーザーUが、いずれのプリンターに、どのようなファイルを、何枚印刷させたか、といった内容の印刷履歴を表現している。
【0035】
図3では、通常ユーザーU2が「4.印刷指示」を行う場合を記載している。通常ユーザーU3や管理ユーザーU1が「4.印刷指示」を行う場合も、これまでの図3の番号4~9で示す処理の説明と同様に解釈することができる。つまり、グループチャットに属するいずれかのユーザーUがチャットシステムに印刷指示を投稿し、SNSサーバー40および印刷制御サーバー50を介して当該印刷指示に従った印刷が実行される度に、当該印刷にかかる印刷履歴が、当該グループチャットの管理ユーザーに通知される。
【0036】
これまでの説明から解るように、履歴取得部53は、あるグループチャットに関する前記所定期間毎に、当該グループチャット内の各ユーザーUに関して「7.印刷履歴取得」により得た印刷履歴を集計する。そして、当該グループチャットに関して設定されたレポート通知のタイミングが到来したとき、通知部54は「11.レポート通知」を行う。具体的には、通知部54は、当該グループチャットに関するレポートを、チャットシステムを介して、当該グループチャットの管理ユーザー宛にチャット形式で通知する。図3の「11.レポート通知」および「12.レポート通知」に示すように、レポート通知は、印刷制御サーバー50からSNSサーバー40へ送信され、SNSサーバー40から管理ユーザーU1へ送信される。
【0037】
図5は、SNSサーバー40が管理ユーザーU1に提示するチャット画面41であって、図4とは別の例を示している。「11.レポート通知」および「12.レポート通知」の結果、チャット画面41には、レポート通知としてのメッセージ43が表示される。メッセージ43は、所定期間(例えば、2020年8月)に印刷履歴を集計したレポートを、この所定期間の最終日に管理ユーザーU1へ通知するメッセージである。つまり、月毎のレポートが、月毎に管理ユーザーU1に通知される。設定されたレポート通知のタイミングが、仮に、翌月の所定日時であれば、2020年8月分のレポートは、2020年9月の所定日時に管理ユーザーU1に通知される。
【0038】
図5の例では、メッセージ43には、レポートのファイル44が添付されている。管理ユーザーU1は、チャット画面41内のファイル44をタップやクリック等することにより、ファイル44を開いてレポートの内容を閲覧することができる。レポートは、所定期間内にグループチャットの各ユーザーUの印刷指示により実行された印刷毎の印刷履歴を一覧にしたデータである。そのため、一回のレポートの情報量は、一回の「8.履歴通知」で通知される印刷履歴よりも当然多い。そのため、通知部54は、レポートを所定のフォーマットでファイル化して、管理ユーザーU1に通知する。ファイル44のフォーマットは特に限定しない。むろん、ファイル44は、端末装置30が復号可能な形式で圧縮された圧縮ファイルであってもよい。
【0039】
メッセージ43は、印刷制御サーバー50におけるファイル44の在り処を示すURL(Uniform Resource Locator)を含んでいてもよい。そして、管理ユーザーU1は、チャット画面41内でメッセージ43と共に表示されたURLをタップやクリック等することにより、ファイル44を印刷制御サーバー50からダウンロードしてレポートを閲覧するとしてもよい。管理ユーザーU1は、レポートを閲覧することにより、自身が管理するグループチャットの各ユーザーUが、所定期間内に、どのようなファイルを、どのプリンターに、どれだけ印刷させたかを、全て知ることができる。
【0040】
通知部54は、設定されたレポート通知のタイミングだけでなく、レポートの通知要求を、チャットシステムを介して受信した場合にも、レポート通知を行うことができる。
図6は、SNSサーバー40が管理ユーザーU1に提示するチャット画面41であって、図4,5とは別の例を示している。管理ユーザーU1は、レポートの通知要求を、チャットシステムに投稿する。図6におけるチャット画面41内のメッセージ45は、管理ユーザーU1によるレポートの通知要求の一例である。メッセージ45は、SNSサーバー40を介して印刷制御サーバー50へ送信される。
【0041】
メッセージ45を受けた通知部54は、メッセージ45の送信元の管理ユーザーU1宛に、SNSサーバー40を介してレポート通知を行う。この結果、チャット画面41内には、レポート通知としてのメッセージ46が表示される。図6の例では、一つの所定期間である2020年9月中に「先月のレポート下さい。」というメッセージ45が管理ユーザーU1により投稿されたため、通知部54は、当該所定期間の一つ前の所定期間である8月分のレポートを通知するメッセージ46を、管理ユーザーU1へ返している。メッセージ46には、図5のメッセージ43と同様にレポートのファイル47が添付されているため、管理ユーザーU1は、チャット画面41内のファイル47をタップやクリック等することにより、ファイル47を開いてレポートの内容を閲覧することができる。言うまでもなく、メッセージ46は、図5のメッセージ43に関して補足説明したのと同様に、印刷制御サーバー50におけるファイル47の在り処を示すURLを含む態様であってもよい。
【0042】
3.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷制御サーバー50は、SNSにより提供されるチャットシステムに対してグループチャットに属するユーザーUから入力された印刷指示を取得し、前記印刷指示に従った印刷をプリンターに実行させる印刷制御部52と、前記プリンターの印刷履歴であって前記印刷指示に応じた印刷履歴を取得する履歴取得部53と、前記印刷履歴を、前記チャットシステムを介して前記グループチャットの管理者へチャット形式で通知する通知部54と、を備える。
【0043】
前記構成によれば、グループチャットの管理者は、グループチャットの各ユーザーUがチャットシステムを介して行う印刷の履歴を把握することができる。また、管理者は、グループチャットの各ユーザーUがチャットシステムを介して行う印刷の履歴を把握することにより、例えば印刷量が想定よりも多い場合は各ユーザーUに印刷を抑制させる等して、チャットシステムを介した印刷を適切に管理することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態によれば、前記印刷履歴は、印刷枚数を含む。
前記構成によれば、管理者は、印刷指示に応じて何枚の印刷がされたのかを把握できる。
【0045】
また、本実施形態によれば、前記印刷履歴は、前記印刷指示の指示元のユーザーU毎の情報である。
前記構成によれば、管理者は、グループチャットに属するいずれのユーザーUの印刷指示に応じて印刷がされたのかを把握できる。
【0046】
また、本実施形態によれば、前記印刷履歴は、前記印刷指示が印刷対象として指定したファイル毎の情報である。
前記構成によれば、管理者は、印刷指示に応じてどのようなファイルが印刷されたのかを把握できる。
【0047】
また、本実施形態によれば、前記印刷履歴は、前記印刷指示に従って印刷を実行したプリンター毎の情報である。
前記構成によれば、管理者は、印刷指示に応じていずれのプリンターが印刷を実行したのかを把握できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、履歴取得部53は、前記印刷履歴を所定期間毎に集計し、通知部54は、集計された前記印刷履歴(レポート)を前記管理者へ通知する。
前記構成によれば、管理者は、印刷指示毎に印刷履歴を把握するだけでなく、レポートにより、所定期間単位の印刷履歴をまとめて把握することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、通知部54は、集計された前記印刷履歴を前記所定期間毎に前記管理者へ通知する。
前記構成によれば、管理者は、例えば、毎月、該当する月内のレポートを得ることができる。
なお、所定期間は、月に限定されず、例えば、週、年、或いはそれら以外の長さの期間であってもよい。
【0050】
また、本実施形態によれば、通知部54は、集計された前記印刷履歴を予め指定された日時に前記管理者へ通知する、としてもよい。
前記構成によれば、管理者は、例えば、毎月の決まった日時に前月分のレポートを得ることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、通知部54は、集計された前記印刷履歴の通知要求を、前記チャットシステムを介して受信した場合に、集計された前記印刷履歴を前記管理者へ通知する、としてもよい。
前記構成によれば、管理者は、任意のタイミングで通知要求を行うことにより、即座にレポートを得ることができる。
【0052】
さらに、通知部54は、集計された前記印刷履歴の通知タイミングの変更指示を、前記チャットシステムを介して受信した場合に、集計された前記印刷履歴を前記管理者へ通知するタイミングを、前記変更指示に従って変更するとしてもよい。
通知部54は、あるグループチャットに関するレポート通知のタイミングについての変更指示を、SNSサーバー40を介して受信したとき、当該変更指示に従って、当該グループチャットに関するレポート通知のタイミングを変更すればよい。つまり、管理者或いは管理者以外のユーザーUは、図3の「3.レポート設定」により一度設定されたレポート通知のタイミングを、変更指示をチャットシステムに投稿することにより変更できる。
【0053】
本実施形態は、印刷制御サーバー以外にも、システム、方法、プログラムといった様々なカテゴリーの発明を開示する。
これまでの、印刷制御サーバー50に関する説明によれば、SNSにより提供されるチャットシステムに対してグループチャットに属するユーザーUから入力された印刷指示を取得し、前記印刷指示に従った印刷をプリンターに実行させる印刷制御工程と、前記プリンターの印刷履歴であって前記印刷指示に応じた印刷履歴を取得する履歴取得工程と、前記印刷履歴を、前記チャットシステムを介して前記グループチャットの管理者へチャット形式で通知する通知工程と、を備える印刷制御方法が開示されている。
【0054】
図3に示した、ユーザーUから印刷制御サーバー50に向けた指示や、印刷制御サーバー50からユーザーUに向けた通知の一部については、SNSアプリケーション31およびSNSサーバー40が協働して実現するチャットシステムを介するのではなく、ブラウザーや、電子メール等の手段を利用して、端末装置30と印刷制御サーバー50との間で実現するとしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
30,301,302,303…端末装置、31…SNSアプリケーション、40…SNSサーバー、50…印刷制御サーバー、51…プロセッサー、52…印刷制御部、53…履歴取得部、54…通知部、55…ユーザーDB、60,61…プリンター、70…システム、U,U1,U2,U3…ユーザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6