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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20240910BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240910BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240910BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/1335
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349C
G02F1/13 505
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020160935
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053996
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春山 明秀
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179145(JP,A)
【文献】国際公開第2010/058629(WO,A1)
【文献】特開2001-215517(JP,A)
【文献】特開平10-142610(JP,A)
【文献】特開2007-086410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/1335
G02F 1/13
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極を含んだ第1基板と、
透光性を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置された電気光学層と、
隣り合う画素電極間に配置され、前記電気光学層の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率部と、当該高屈折率部と接する光吸収部と、を含み、前記第1基板と前記第2基板との間の距離を規定するスペーサーと、を備え、
前記光吸収部は、隣り合う画素電極の端部とそれぞれ接するように配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記スペーサーは、前記第1基板または前記第2基板の一方から他方に向かって幅が小さくなる形状である請求項に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記スペーサーは、平面視で、互いに離間する前記複数の画素電極の間の領域に位置する部分を有する請求項に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1基板または前記第2基板は、前記複数の画素電極に対応する複数のレンズ部を有するレンズ層を、さらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、第1基板と第2基板との間に配置された液晶層とを備える。第1基板上には画素電極が設けられており、画素電極上には配向膜が設けられている。第2基板上には対向電極が設けられており、対向電極上には他の配向膜が設けられている。
【0004】
また、特許文献1に記載の液晶表示装置では、第1基板と第2基板との間にスペーサーが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-90698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スペーサーを形成した後に配向膜を形成する場合、スペーサーの周囲がスペーサーの影となり、配向膜が形成できない領域ができるため、複数蒸着により配向膜を形成する方法がとられている。ただし、スペーサー側面領域の蒸着膜の付き周りが、スペーサー部がない領域と異なることで、スペーサー側面領域の液晶分子の配向規制が十分でない。このため、スペーサーの周囲において液晶の配向が乱れやすい。この結果、配向が乱れた箇所で光漏れが生じてしまうおそれがある。また、スペーサーの構成によっては、配向が乱れた箇所に入射した光が、スペーサーと液晶との界面で反射してしまうおそれがある。この結果、光漏れを助長させてしまうおそれがある。よって、スペーサー等の影響により画像品質が低下してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置の一態様は、複数の画素電極を含んだ第1基板と、透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記複数の画素電極による電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記電気光学層の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率部を含み、前記第1基板と前記第2基板との間の距離を規定するスペーサーと、を備える。
【0008】
本発明の電子機器の一態様は、前述の電気光学装置と、前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
図2図1に示す電気光学装置のA-A線における断面図である。
図3図1の素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
図4図2の電気光学装置の一部を拡大した図である。
図5図4の素子基板の一部を示す平面図である。
図6図4のレンズ部およびスペーサーの配置を示す平面図である。
図7図4のスペーサーを示す断面図ある。
図8】第2実施形態におけるスペーサーを示す断面図である。
図9】第3実施形態におけるスペーサーを示す断面図である。
図10】第4実施形態におけるスペーサーを示す断面図である。
図11】第5実施形態に係る電気光学装置を示す断面図である。
図12】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図13】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
図14】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0011】
1.電気光学装置
1A.第1実施形態
1Aa.基本構成
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100のA-A線における断面図である。なお、図1では、対向基板3の図示を省略する。また、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。また、以下では、+Z方向または-Z方向に見ることを「平面視」とし、Z軸を含む断面に対して垂直方向からを見ることを「断面視」とする。
【0012】
図1および図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の液晶装置である。図2に示すように、電気光学装置100は、透光性を有する素子基板2と、透光性を有する対向基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。素子基板2、液晶層5および対向基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。また、図1および図2では図示しないが、電気光学装置100は、液晶層5の厚みを規定する複数のスペーサーを有する。また、図1に示す電気光学装置100の平面視での形状は四角形であるが、例えば円形であってもよい。なお、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0013】
図2に示す素子基板2は、後述の複数のTFT(Thin Film Transistor)を有する基板である。素子基板2は、透光性を有する第1基板20と、透光性を有する複数の画素電極23と、透光性を有する第1配向膜25とを有する。また、図示はしないが、素子基板2は、複数の画素電極23を平面視で囲む複数のダミー画素電極を有する。
【0014】
対向基板3は、素子基板2に対向して配置される基板である。対向基板3は、透光性を有する第2基板30と、透光性を有する共通電極35と、透光性を有する第2配向膜36とを有する。共通電極35は、複数の画素電極23に対して液晶層5を介して配置される対向電極である。また、図示はしないが、対向基板3は、平面視で複数の画素電極23を囲む遮光性の見切りを有する。「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。
【0015】
画素電極23および共通電極35のそれぞれは、液晶層5に電界を印加するための電極である。なお、素子基板2および対向基板3の詳細な構成については、後で説明する。
【0016】
シール部材4は、素子基板2と対向基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等の各種硬化性樹脂を含む接着剤等を用いて形成される。シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。ギャップ材が第1基板20と第2基板30との間の距離を制御することも可能であるが、後述するスペーサー6を表示領域A10に配置することにより、第1基板20と第2基板30との間の距離を制御することができる。スペーサー6は、図1図2では不図示であるが、図4以降に示される。
【0017】
液晶層5は、素子基板2、対向基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、第1基板20と第2基板30との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0018】
図1に示すように、素子基板2には、複数の走査線駆動回路11と信号線駆動回路12と複数の外部端子13とが配置される。複数の外部端子13の一部は、図示しないが、走査線駆動回路11または信号線駆動回路12から引き回される配線に接続される。また、複数の外部端子13は、共通電位が印加させる端子を含む。当該端子は、図示しない配線および導通材を介して、対向基板3の共通電極35に電極的に接続される。
【0019】
かかる電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の外側に位置する周辺領域A20とを有する。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極23が1対1で配置される。前述の共通電極35は、複数の画素Pで共通に設けられる。また、周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む。周辺領域A20には、走査線駆動回路11および信号線駆動回路12が配置される。また、図示はしないが、周辺領域A20は、複数のダミー画素電極が配置されるダミー画素領域を含む。
【0020】
本実施形態では、電気光学装置100は透過型である。本実施形態では、対向基板3に入射した光が素子基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、素子基板2に入射した光が対向基板3ら出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、電気光学装置100は、反射型であってもよい。この場合、例えば、共通電極35が透光性を有し、かつ画素電極23が反射性を有する。反射型の場合、対向基板3に入射した光が画素電極23で反射し、再び対向基板3から出射される間で変調されることにより、画像が表示される。さらに、反射型の場合、素子基板2は透光性を有しなくてよく、例えば、素子等を作り込めることが可能なシリコン基板であってもよい。
【0021】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0022】
1Ab.素子基板2の電気的な構成
図3は、図1の素子基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。図3に示すように、素子基板2は、複数のトランジスター24とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の容量線243とを有する。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター24が配置される。各トランジスター24は、例えばスイッチング素子として機能するTFTである。各トランジスター24は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0023】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY2方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター24のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0024】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY2方向に延在し、m本の信号線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター24のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0025】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。各画素電極23は、対応するトランジスター24のドレインに電気的に接続される。
【0026】
n本の容量線243のそれぞれはX1方向に延在し、n本の容量線243はY2方向に等間隔で並ぶ。また、n本の容量線243は、m本の信号線242およびn本の走査線241に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各容量線243には、グランド電位等の固定電位が印加される。n本の容量線243のそれぞれは、対応する複数の蓄積容量244に電気的に接続される。各蓄積容量244は、画素電極23の電位を保持するための容量素子である。なお、複数の蓄積容量244は、複数の画素電極23に1対1で電気的に接続される。複数の蓄積容量244は、複数のトランジスター24のドレインに1対1で電気的に接続される。
【0027】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター24がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmが、選択される走査線241に対応する画素Pに取り込まれ、画素電極23に印加される。これにより、画素電極23と図2に共通電極35との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子の配向が変化する。また、蓄積容量244によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0028】
1Ac.電気光学装置100の具体的な構成
図4は、図2の電気光学装置100の一部を拡大した図である。図4に示すように、電気光学装置100は、素子基板2、対向基板3および液晶層5に加え、複数のスペーサー6を有する。以下、素子基板2、対向基板3および液晶層5について説明する。
【0029】
1Ac-1.素子基板2
図4に示すように、素子基板2は、前述のように、第1基板20、複数の画素電極23および第1配向膜25を有する。第1基板20は、第1基体21、積層体22、遮光部240および前述のトランジスター24を有する。遮光部240は、前述の図3に示す各種配線等を含む。第1基体21、積層体22、複数の画素電極23および第1配向膜25は、この順にZ1方向に積層される。以下、素子基板2について説明する。
【0030】
第1基板20は、透光性を有する。また、第1基板20が有する第1基体21は、透光性および絶縁性を有する平板である。第1基体21は、例えば、ガラス板または石英板である。積層体22は、透光性および絶縁性を有する。積層体22は、複数の層間絶縁膜221、222、223、224および225を有する。層間絶縁膜221、222、223、224および225は、第1基体21から複数の画素電極23に向けてこの順に積層される。積層体22の各層の材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。
【0031】
複数のトランジスター24および遮光部240は、積層体22の層間に配置される。なお、図4ではトランジスター24および遮光部240は模式的に図示される。前述のとおり、対向基板3には、表示領域A10を囲む遮光性の見切りを有するが、表示領域A10においては、遮光部材はなく、素子基板2のトランジスター24および遮光部240により、図5に示すように画素Pの開口部が規定される。
【0032】
複数のトランジスター24は、断面視で遮光部240が有する配線等の間に配置される。トランジスター24は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有する半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極とを有する。
【0033】
遮光部240は、図3に示す各種配線等を含む遮光性の膜の集合体である。遮光部240は、各種配線またはトランジスター24に接続される各種電極を含む。図4では、信号線242が代表して図示される。また、図4では、当該各種電極の例として、トランジスター24のドレインに電気的に接続される中継電極245が図示される。また、遮光部240は、トランジスター24への光の入射を防ぐため、複数の遮光膜247を有する。
【0034】
遮光部240が有する配線等は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)等の金属、金属シリサイド、または金属化合物を用いて形成される。
【0035】
また、図示はしないが、第1基板20は、例えば、積層体22の画素電極23側の面に配置され、BSG(borosilicate glass)等のガラスを含む層を有してもよい。
【0036】
複数の画素電極23は、第1基板20と液晶層5との間に配置される。本実施形態では、画素電極23は、透光性および導電性を有する。画素電極23は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。
【0037】
第1配向膜25は、透光性および絶縁性を有する。第1配向膜25は、液晶層5の液晶分子を配向させる。第1配向膜25は、複数の画素電極23を覆うように配置される。第1配向膜25の材料としては、例えば酸化ケイ素が挙げられる。また、第1配向膜25は、斜方蒸着により成膜された斜方蒸着膜である。なお、斜方蒸着は、第1基板20等の被蒸着物の表面に対して蒸着物質を斜めに入射させる方法である。第1配向膜25は、斜方蒸着膜であるため、液晶層5の厚さ方向であるZ1方向に対して傾斜する複数のカラムを有する。各カラムは、蒸着物質の分子間の相互作用による分子の凝集により形成される柱状の結晶である。
【0038】
図5は、図4の素子基板2の一部を示す平面図である。図5は、図4中のB-B線に対応する液晶層5側から素子基板2を平面視した図である。図5では、第1配向膜25の図示が省略される。画素電極23の外縁を実線で示し、他の外縁を破線で示す。複数の画素電極23は、互いに離間し、X1方向およびY2方向に行列状に配置される。複数のトランジスター24および遮光部240は、平面視で複数の画素電極23の周囲に配置される。遮光部240は、平面視で格子状に配置される。図5では、スペーサー6、あるいは、それに対応する部分の図示は省略される。
【0039】
1Ac-2.対向基板3
図4に示すように、対向基板3は、前述のように、第2基板30、共通電極35および第2配向膜36を有する。第2基板30は、第2基体31、透光層32、レンズ層33および絶縁層34を有する。第2基体31、透光層32、レンズ層33、絶縁層34、共通電極35および第2配向膜36は、この順にZ2方向に積層される。
【0040】
第2基体31は、透光性および絶縁性を有する平板である。第2基体31は、例えば、ガラス板または石英板である。
【0041】
透光層32は、透光性および絶縁性を有する。透光層32は、複数の凹部321を有する。透光層32の材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。
【0042】
レンズ層33は、透光性および絶縁性を有する。レンズ層33は、複数のレンズ部331を有する。複数のレンズ部331は、複数の凹部321に1対1で配置される。レンズ部331は、絶縁層34からZ1方向の突出する凸部である。レンズ部331は、レンズ面として機能する湾曲面を有する。当該湾曲面は、凹部321が有する凹面に接触する。レンズ層33の材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。
【0043】
透光層32の屈折率とレンズ層33の屈折率とは、互いに異なる。本実施形態では、透光層32の屈折率はレンズ層33の屈折率よりも小さい。このため、レンズ部331は、第2基体31から入射した光を集光させる。
【0044】
また、複数のレンズ部331は、複数の画素電極23に1対1で対応して配置される。かかるレンズ部331を有することで、レンズ部331を有さない場合に比べ、光の利用効率を高めることができる。よって、明るく、かつ表示品質に優れる電気光学装置100を実現することができる。
【0045】
絶縁層34は、透光性および絶縁性を有する。絶縁層34の材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。なお、絶縁層34は省略してもよい。
【0046】
共通電極35は、透光性および導電性を有する。共通電極35は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。
【0047】
第2配向膜36は、透光性および絶縁性を有する。第2配向膜36は、第1配向膜25とともに液晶層5の液晶分子を配向させる。第2配向膜36は、共通電極35を覆うように配置される。第2配向膜36の材料としては、例えば酸化ケイ素が挙げられる。また、第2配向膜36は、第1配向膜25と同様に、斜方蒸着により成膜された斜方蒸着膜である。
【0048】
図6は、図4のレンズ部331およびスペーサー6の配置を示す平面図である。図6は、図4中のC-C線に対応する対向基板3から素子基板2に向かって平面視した図であり、図5に対応する。レンズ部331の外縁を実線で示し、他の外縁を破線示す。図6は、レンズ部331が、平面視で、対応する画素電極23に重なることを示す。レンズ部331は、画素ピッチごとに配置される。また、図6では、平面視で、複数のレンズ部331の間には、スペーサー6が配置され、便宜上、スペーサー6をドットパターンで示している。また、図6では、レンズ部331の外縁を円で示しているが、レンズ部331の外縁を画素電極23の形状に近づけ、図4の断面形状とすることも可能である。
【0049】
1Ac-3.スペーサー6
図7は、図4のスペーサー6を拡大した断面図ある。図7に示すように、複数のスペーサー6は、第1基板20と第2基板30との間に配置される。また、複数のスペーサー6は、液晶層5内に配置される。図7に示す例では、スペーサー6は、第1基板20および画素電極23に接触する。本実施形態では、スペーサー6は、第1基板20上に配置される。また、図7に示す例では、スペーサー6は、第1配向膜25で覆われるが、スペーサー6上には、第1配向膜25が配置されていなくてもよい。さらに、第1配向膜25が配置されていない領域の配向不良を低減するために、複数蒸着によりスペーサー6上に第1配向膜25を形成してもよい。例えば、スペーサー6を素子基板2に形成する場合、画素電極23まで形成した素子基板2に無機材料を図4図7に示されるようにパターニングすることにスペーサー6を形成配置し、その後、無機材料を垂直および斜方蒸着することにより、画素電極23及びスペーサー6の液晶層5側の面に第1配向膜を形成することができる。
【0050】
各スペーサー6は、柱状の部材である。スペーサー6は、第1基板20と第2基板30との間の距離を規定する。すなわち、スペーサー6は、液晶層5の厚さを規定している。スペーサー6を有することで、有さない場合に比べ、第1基板20と第2基板30との間の距離の経時的な変化を抑制することができる。
【0051】
各スペーサー6の断面視での形状は、四角形状である。スペーサー6は、柱上であり、底面に対応する第1面601と、上面に対応する第2面602と、側面603とを有する。第1面601は、スペーサー6のうち最も第1基板20の近くに位置する面である。第2面602は、スペーサー6のうち最も第2基板30の近くに位置する面である。側面603は、第1面601と第2面602とを接続する。本実施形態では、側面603は、Z1方向に平行である。第1面601の幅と第2面602の幅は、ほぼ等しい。当該幅は、X-Y平面における長さである。
【0052】
なお、図6に示す例では、各スペーサー6の平面視での形状は、ほぼ四角形であるが、当該形状は四角形に限定されない。例えば、当該形状は、例えば、ひし形および六角形等の多角形、あるいは円形であってもよい。また、図6に示す例では、各スペーサー6の全体形状は、柱状であるが、当該全体形状は、例えば壁状であってもよい。この場合、スペーサー6の平面視での形状は、遮光部240が有する配線に沿ったライン状でもよいし、遮光部240に対応する枠状でもよい。
【0053】
また、図6に示すように、複数のスペーサー6は、平面視で島状に配置される。各スペーサー6は、主に、平面視で画素電極23と重ならない。具体的には、各スペーサー6は、平面視で複数の画素電極23の間の領域に位置する部分を有する。かかる位置にスペーサー6を配置することで、平面視でスペーサー6と画素電極23とが重なる領域を少なくすることができる。よって、スペーサー6が存在することによる開口率の低下を抑制することができる。また、スペーサー6の画素電極23と重なる部分の割合は、開口率の低下を防ぐため、スペーサー6の画素電極23と重ならない部分の割合よりも小さい。
【0054】
なお、図4~7に示す例では、各スペーサー6は、画素電極23に重なる部分を有するが、当該部分を有していなくてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、複数のスペーサー6は、複数の画素Pに対して1対1で配置される。ただし、スペーサー6は、画素Pごとに配置されなくてもよい。ただし、画素Pごとに配置されることで、画素Pごとに第1基板20と第2基板30との間の距離のバラつきを抑制することができる。
【0056】
図7に示すように、スペーサー6は、高屈折率部61と光吸収部62とを有する。高屈折率部61と光吸収部62とは接続される。本実施形態では、高屈折率部61は、スペーサー6の大部分を占める。
【0057】
高屈折率部61は、透光性および絶縁性を有する。高屈折率部61の屈折率は、液晶層5の屈折率よりも高い。つまり、スペーサー6は、液晶層5の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率部61を備える。
【0058】
ここで、第1配向膜25が蒸着膜で形成される場合は、形成方法によっては、スペーサー6が存在すると、スペーサー6の側面部の領域と、画素電極23の領域、特に画素電極23の中心部の領域とでは第1配向膜25の成膜状態が異なる場合がある。この結果、スペーサー6の側面部と画素電極23の中心部とで同じ液晶配向にすることが難しく、スペーサー6の側面部において液晶の配向が乱れやすい。この結果、配向が乱れた箇所で光漏れが生じてしまうおそれがある。また、スペーサー6の側面部での反射光によって当該光漏れが増大するおそれがある。
【0059】
本実施形態では、前述のように高屈折率部61を有する。このため、図7のように、光LLは、高屈折率部61の側面603で全反射されずに、高屈折率部61内に入射する。このため、全反射した光が液晶層5の配向が乱れた箇所に入射することによって光漏れが増大することを抑制することができる。したがって、従来よりも、光漏れを低減することができる。よって、いわゆる電気光学装置における黒浮きを抑制することができる。このため、表示品質の向上を図ることができる。
【0060】
スペーサー6のうちの高屈折率部61の割合は、特に限定されないが、好ましくは8割以上である。かかる範囲以上であることで、光LLの高屈折率部61での光の反射をより効果的に抑制することができる。
【0061】
また、高屈折率部61は、光吸収部62に対して光LLの入射側に位置する。このため、高屈折率部61が光吸収部62に対して光LLに出射側に位置する場合に比べ、光LLを高屈折率部61に効率良く導くことができる。この結果、液晶層5の配向が乱れた箇所に入射する光LLの割合を減らすことができる。よって、光漏れの発生をより効果的に抑制することができる。
【0062】
液晶層5の屈折率と高屈折率部61の屈折率との差は、特に限定されないが、例えば0.05以上0.4以下である。かかる範囲であると、範囲外である場合に比べ、光LLを高屈折率部61に効率良く導くことができ、かつ高屈折率部61の材料の選択肢が過度に少なくなることが抑制される。また、液晶層5の屈折率は、具体的には例えば、1.4以上1.65以下である。この場合、高屈折率部61の屈折率は、液晶層5の屈折率よりも大きければ特に限定されないが、例えば、1.7以上1.9以下である。
【0063】
かかる高屈折率部61の材料としては、例えば、二酸化ケイ素等の酸化ケイ素、および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機材料が挙げられる。高屈折率部61の材料が無機材料であることで、高屈折率部61が有機材料を含む場合に比べ、高屈折率部61の寸法精度を特に高めることができ、かつ経時的な寸法変化を特に生じ難くすることができる。よって、長期にわたって、素子基板2と対向基板3との間の距離の安定化を図ることができる。また、高屈折率部61の材料が無機材料であることで、有機材料または金属材料の成分が液晶層5に侵入することによる液晶層5の劣化が抑制される。このため、有機成分または金属成分が液晶層5に混入することによって不具合が発生するおそれを抑制することができる。それゆえ、電気光学装置100の長寿命化を図ることができる。
【0064】
なお、高屈折率部61は、有機材料または金属材料を含んでもよい。また、高屈折率部61は、1層で構成されもよいし、複数層で構成されてもよい。ただし、1層で構成されることで、複数層で構成される場合に比べ、高屈折率部61の製造が容易である。
【0065】
図7に示すように、光吸収部62は、高屈折率部61に対してZ2方向に位置する。光吸収部62は、第1基板20および画素電極23に接触する。なお、光吸収部62と、第1基板20および画素電極23にとの間には、任意の膜が介在してもよい。
【0066】
光吸収部62は、光を吸収する機能を有する。このため、高屈折率部61内に入射した光LLを吸収することができる。よって、当該光LLが液晶層5の配向が乱れた箇所に出射されることが抑制される。また、高屈折率部61が平面視でトランジスター24と重なるため、高屈折率部61内に入射した光LLが、トランジスター24に入射するおそれが抑制される。なお、光吸収部62が存在しない場合には、例えば、高屈折率部61内に入射した光LLは、遮光部240によって吸収される。
【0067】
かかる光吸収部62の材料としては、例えば、色材を含む樹脂材料、金属材料、および窒化ケイ素等の無機材料が挙げられる。また、光吸収部62は、1層で構成されもよいし、複数層で構成されてもよい。ただし、1層で構成されることで、複数層で構成される場合に比べ、光吸収部62の製造が容易である。
【0068】
光吸収部62の屈折率は、液晶層5の屈折率と同じでも異なっていてもよいが、好ましくは、液晶層5の屈折率よりも高い。これにより、液晶層5から光吸収部62に向かう光が光吸収部62で反射するおそれが抑制される。したがって、スペーサー6の全体の屈折率は、好ましくは液晶層5の屈折率よりも高い。これにより、光漏れを特に効果的に抑制することができる。
【0069】
以上のスペーサー6を用いることで、液晶層5の厚さを維持するとともに光漏れを従来よりも抑制することができ、電気光学装置100の表示品位の低下を抑制することができる。
【0070】
また、第1配向膜25の屈折率は、好ましくは、液晶層5の屈折率と高屈折率部61の屈折率との間の屈折率である。さらに、第1配向膜25の屈折率は、好ましくは、液晶層5の屈折率よりも高屈折率部61の屈折率に近い。これにより、光LLが第1配向膜25とスペーサー6の界面で全反射するのを抑え、光LLを高屈折率部61に効率良く導くことができる。
【0071】
また、前述のように、レンズ部331は、画素ピッチごとに設けられる。レンズ部331は、光を液晶層5において光を集光させる。このため、レンズ部331を有さない場合に比べ、液晶層5の配向が乱れた箇所に入射する光LLの割合を減らすことができる。よって、レンズ部331を有さない場合に比べ、光漏れを抑制することができる。
【0072】
1B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0073】
図8は、第2実施形態におけるスペーサー6Aを示す断面図である。本実施形態のスペーサー6Aは、第1実施形態の高屈折率部61および光吸収部62を分離して有していない。図8に示すスペーサー6Aは、ほぼ全体が高屈折率部61および光吸収部62の両方の機能を有する。以下では、スペーサー6Aについて、第1実施形態のスペーサー6と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は適宜省略する。
【0074】
図8に示すスペーサー6Aは、液晶層5の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率部で構成される。そして、当該高屈折率部は、光を吸収する機能を有する。スペーサー6Aが第1実施形態の高屈折率部61および光吸収部62の両方の機能を有することで、スペーサー6Aに入射する光LLは、スペーサー6A内に入射し、かつ吸収される。なお、スペーサー6Aの吸収性能によっては、光LLは、スペーサー6A内を進行しつつ徐々に吸収される。
【0075】
かかるスペーサー6Aを有することで、スペーサー6Aで反射した光が液晶層5の配向が乱れた箇所に入射することによって光漏れが助長されることを抑制することができる。また、スペーサー6Aに入射した光がスペーサー6A外に出射するおそれが抑制される。特に、スペーサー6Aの全体が吸収性能を有することで、光LLをより吸収できるので、光漏れ量をより低減することができる。
【0076】
スペーサー6Aの材料としては、例えば、色材を含む樹脂材料、金属材料、および窒化ケイ素等の無機材料が挙げられる。なお、スペーサー6Aは、1層で構成されもよいし、複数層で構成されてもよい。スペーサー6Aが複数層で構成される場合、液晶層5と接触する部分は、好ましくは無機材料で構成される。これにより、有機成分または金属成分が液晶層5に混入することによって不具合が発生するおそれが抑制される。
【0077】
また、第1配向膜25の屈折率は、好ましくは、液晶層5の屈折率とスペーサー6Aの屈折率との間の屈折率である。さらに、第1配向膜25の屈折率は、好ましくは、液晶層5の屈折率よりもスペーサー6Aの屈折率に近い。これにより、光LLが第1配向膜25とスペーサー6Aの界面で全反射するのを抑え、スペーサー6Aに効率良く導くことができる。
【0078】
以上の第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来よりも、光漏れを低減することができる。
【0079】
1C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0080】
図9は、第3実施形態におけるスペーサー6Bを示す断面図である。本実施形態のスペーサー6Bは、第1実施形態の高屈折率部61および光吸収部62の代わりに、高屈折率部61Bおよび光吸収部62Bを有する。以下では、スペーサー6Bについて、第1実施形態のスペーサー6と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は適宜省略する。
【0081】
図9に示すように、スペーサー6Bは、第1基板20または第2基板30の一方から他方に向かって幅が小さくなる形状である。本実施形態では、スペーサー6は、第1基板20から第2基板30に向かって幅が小さいなる形状である。スペーサー6Bの断面視での形状は、台形である。高屈折率部61Bおよび光吸収部62Bの各断面視での形状は、台形である。本実施形態では、第2面602の幅は、第1面601の幅よりも小さい。また、本実施形態では、光LLが第2基板30から入射する。このため、スペーサー6Bの幅は、光LLの出射側から入射側からに向かって小さくなる。
【0082】
スペーサー6Bが第1基板20から第2基板30に向かって幅が小さいなる形状であることで、本実施形態のように光LLが第2基板30から入射する場合、スペーサー6B内において側面603に対する光LLの入射角を大きくすることができる。この結果、図9に示すように、スペーサー6B内で光は伝搬され易くなる。よって、スペーサー6B内の光がスペーサー6B外に出射されるおそれが抑制される。したがって、第1実施形態に比べて、光漏れを低減することができる。
【0083】
また、光吸収部62Bは、高屈折率部61Bで覆われる。すなわち、光吸収部62Bは、高屈折率部61B内に配置される。よって、光吸収部62Bが、有機材料または金属材料で構成されていても、当該材料の成分が液晶層5に侵入することによる液晶層5の劣化が抑制される。
【0084】
以上の第3実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来よりも、光漏れを低減することができる。
【0085】
1D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0086】
図10は、第4実施形態におけるスペーサー6Cを示す断面図である。本実施形態のスペーサー6Cは、第1実施形態の高屈折率部61および光吸収部62を分離して有していない。また、スペーサー6Cの形状は第1実施形態のスペーサー6の形状と異なる。以下では、スペーサー6Cについて、第1実施形態のスペーサー6と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は適宜省略する。
【0087】
図10に示すスペーサー6Cは、第2実施形態のスペーサー6Aと同様に、液晶層5の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率部で構成される。そして、当該高屈折率部は、光を吸収する機能を有する。このため、スペーサー6Cに入射する光LLは、スペーサー6C内に入射し、かつ吸収される。
【0088】
かかるスペーサー6Cを有することで、スペーサー6Cで反射した光LLが液晶層5の配向が乱れた箇所に入射することによって光漏れが助長されることを抑制することができる。また、スペーサー6Cに入射した光がスペーサー6C外に出射するおそれが抑制される。特に、スペーサー6Aの全体が吸収性能を有することで、光LLをより吸収できるので、光漏れ量をより低減することができる。
【0089】
スペーサー6Cの材料としては、第2実施形態のスペーサー6Aと同様に、例えば、色材を含む樹脂材料、金属材料、および窒化ケイ素等の無機材料が挙げられる。
【0090】
図10に示すように、スペーサー6Cは、第3実施形態のスペーサー6Bと同様に、第1基板20または第2基板30の一方から他方に向かって幅が小さくなる形状である。本実施形態では、スペーサー6Cは、第1基板20から第2基板30に向かって幅が小さいなる形状である。スペーサー6Cの断面視での形状は、台形である。第2面602の幅は、第1面601の幅よりも短い。また、スペーサー6Cの幅は、光LLの出射側から入射側に向かって小さくなる。
【0091】
スペーサー6Cが第1基板20から第2基板30に向かって幅が小さいなる形状であることで、光LLが第2基板30から入射する場合、スペーサー6C内において側面603に対する光LLの入射角を大きくすることができる。この結果、図10に示すように、スペーサー6C内で光LLは伝搬され易くなる。よって、スペーサー6C内の光LLがスペーサー6C外に出射されるおそれが抑制される。したがって、第1実施形態に比べて、光漏れを低減することができる。
【0092】
以上の第4実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来よりも、光漏れを低減することができる。
【0093】
1E.第5実施形態
第5実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0094】
図11は、第5実施形態に係る電気光学装置100Dを示す断面図である。本実施形態の電気光学装置100Dは、第1実施形態の素子基板2、対向基板3および複数のスペーサー6の代わりに、素子基板2D、対向基板3Dおよび複数のスペーサー6Dを有する。以下では、素子基板2D、対向基板3Dおよび複数のスペーサー6Dについて、第1実施形態の素子基板2、対向基板3および複数のスペーサー6と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は適宜省略する。
【0095】
図11に示す電気光学装置100Dは、素子基板2Dから光が入射し、対向基板3Dから光が出射される。
【0096】
図11に示すように、素子基板2Dが有する第1基板20Dは、透光層26およびレンズ層27をさらに有する。第1基板20、透光層26、レンズ層27および積層体22は、この順にZ1方向に積層される。
【0097】
透光層26は、透光性および絶縁性を有する。透光層26は、複数の凹部261を有する。透光層26の材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。
【0098】
レンズ層27は、透光性および絶縁性を有する。レンズ層27は、複数のレンズ部271を有する。複数のレンズ部271は、複数の凹部261に1対1で配置される。レンズ部271は、積層体22からZ2方向の突出する凸部である。レンズ部271は、レンズ面として機能する湾曲面を有する。当該湾曲面は、凹部261が有する凹面に接触する。レンズ層27の材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。
【0099】
透光層26の屈折率とレンズ層27の屈折率とは、互いに異なる。本実施形態では、透光層26の屈折率はレンズ層27に屈折率よりも大きい。このため、レンズ部271は、第1基体21から入射した光を集光させる。
【0100】
また、複数のレンズ部271は、複数の画素電極23に1対1で対応する。かかるレンズ部271を有することで、レンズ部271を有さない場合に比べ光の利用効率を高めることができる。よって、明るく、かつ表示品質の優れる電気光学装置100を実現することができる。また、レンズ部271を有することで、有さない場合に比べ、液晶層5の配向が乱れた箇所に入射する光LLの割合を減らすことができる。よって、光漏れを抑制することができる。
【0101】
図11に示すように、対向基板3Dでは、第1実施形態の透光層32およびレンズ層33が省略される。よって、対向基板3Dが有する第2基板30Dは、第2基体31および絶縁層34を有する。本実施形態のように、第1基板20Dがレンズ層27を有し、第2基板30Dがレンズ層を有さないことで、第2基板30Dの簡素化を図ることができる。
【0102】
図11に示す例では、スペーサー6Dは、第2基板30上に共通電極35を介して配置されること以外、第3実施形態のスペーサー6Bと同様である。また、スペーサー6Dの一部は、第2配向膜36で覆われるが、スペーサー6D上には、第2配向膜36が配置されていなくてもよい。
【0103】
図11に示すように、スペーサー6Dは、第2基板30Dから第1基板20Dに向かって幅が小さいなる形状である。高屈折率部61Dおよび光吸収部62Dの各断面視での形状は、台形である。本実施形態では、第1面601の幅は、第2面602の幅よりも小さい。また、スペーサー6Dの幅は、光LLの出射側から入射側に向かって小さくなる。
【0104】
スペーサー6Dが第2基板30Dから第1基板20Dに向かって幅が小さいなる形状であることで、光が第1基板20Dから入射する場合、スペーサー6D内において側面603に対する光の入射角を大きくすることができる。この結果、スペーサー6D内の光がスペーサー6D外に出射されるおそれが抑制される。したがって、光漏れを低減することができる。
【0105】
以上の第5実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来よりも、光漏れを低減することができる。
【0106】
なお、スペーサー6Dの断面視での形状は、台形ではなく、第1実施形態のスペーサー6と同様の四角形状でもよい。また、スペーサー6Dは、第2実施形態および第4実施形態と同様に、液晶層5の屈折率よりも屈折率が小さい低屈折部で構成されており、かつ、光を吸収する機能を有してもよい。
【0107】
2.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。以下の第1実施形態に関する変形例は、矛盾しない範囲で他の実施形態に適合され得る。
【0108】
前述の各実施形態では、トランジスター24は、TFTであったが、例えば、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であってもよい。
【0109】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0110】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。第1実施形態では、素子基板2に画素電極23が設けられ、対向基板3に共通電極35が設けられているが、素子基板2または対向基板3のいずれか一方のみに、液晶層5に電界を印加するための電極が設けられてもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0111】
3.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0112】
図12は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0113】
図13は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0114】
図14は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0115】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0116】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。電気光学装置100は光漏れが抑制されるため、いわゆる黒浮きが低減されている。したがって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品質を高めることができる。なお、電気光学装置100の代わりに電気光学装置100Dを用いてもよい。電気光学装置100Dを用いた場合も、電気光学装置100を用いた場合と同様の効果が発揮される。
【0117】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0118】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【0119】
また、前述した説明では、本発明の電気光学装置の一例として液晶装置について説明したが、本発明の電気光学装置はこれに限定されない。例えば、本発明の電気光学装置は、イメージセンサー等にも適用することができる。また、例えば、有機EL(electro luminescence)、無機ELまたは発光ポリマー等の発光素子を用いた表示パネルに対しても前述の実施形態と同様に本発明が適用され得る。また、着色された液体と当該液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを用いた電気泳動表示パネルに対しても前述の実施形態と同様に本発明が適用され得る。
【符号の説明】
【0120】
2…素子基板、3…対向基板、4…シール部材、5…液晶層、6…スペーサー、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…第1基板、21…第1基体、22…積層体、23…画素電極、24…トランジスター、25…第1配向膜、26…透光層、27…レンズ層、30…第2基板、31…第2基体、32…透光層、33…レンズ層、34…絶縁層、35…共通電極、36…第2配向膜、61…高屈折率部、62…光吸収部、100…電気光学装置、221…層間絶縁膜、222…層間絶縁膜、223…層間絶縁膜、224…層間絶縁膜、240…遮光部、241…走査線、242…信号線、243…容量線、244…蓄積容量、245…中継電極、247…遮光膜、261…凹部、271…レンズ部、321…凹部、331…レンズ部、601…第1面、602…第2面、603…側面、A10…表示領域、A20…周辺領域、LL…光、P…画素。
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