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特許7552207カラーフィルタ、表示装置、電子ペーパーおよび白表示方法ならびに色味調整部材形成用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】カラーフィルタ、表示装置、電子ペーパーおよび白表示方法ならびに色味調整部材形成用組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240910BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240910BHJP
   G02F 1/1677 20190101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G09F9/30 349B
G02F1/1677
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020164819
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056852
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓郎
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101050(JP,A)
【文献】特開2014-123049(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092877(WO,A1)
【文献】特開2012-181450(JP,A)
【文献】特開2013-088750(JP,A)
【文献】特表2019-502171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G09F 9/30
G02F 1/1677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも赤、緑および青のいずれかの副画素を有するカラーフィルタであって、前記副画素間に、CIE1931表色系におけるY値が70以上98以下である色味調整部材を配置してなり、前記色味調整部材が色材を含み、前記色味調整部材の固形分中の前記色材の含有量が0.01質量%以上1質量%以下であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記基板上に少なくとも赤、緑および青の副画素を有する、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記色味調整部材の、波長450nmの光に対する透過率T450が90%以上、波長550nmの光に対する透過率T550が65%以上98%以下、波長700nmの光に対する透過率T700が80%以上である請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
さらに黄の副画素を有する、請求項2または3に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記色味調整部材の固形分中の前記色材の含有量が0.05質量%以上1質量%以下である、請求項のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
前記色材が青色色材もしくは紫色色材である、請求項のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載のカラーフィルタを有することを特徴とする電子ペーパー。
【請求項9】
請求項2~のいずれかに記載のカラーフィルタおよび電気泳動表示層を有する電子ペーパーの白表示方法であって、前記電気泳動表示層の前記青の副画素に対応する部分の反射率を他の色のいずれかの副画素に対応する部分の反射率よりも高くする、白表示方法。
【請求項10】
基板上に少なくとも赤、緑および青のいずれかの副画素を有するカラーフィルタの副画素間に、色味調整部材を形成することができる色味調整部材形成用組成物であって、膜厚2μmの皮膜とした際のCIE1931表色系におけるY値が70以上98以下であり、色材を含み、固形分中の前記色材の含有量が0.01質量%以上1質量%以下であることを特徴とする色味調整部材形成用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ、表示装置、電子ペーパーおよび白表示方法ならびに色味調整部材形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の特性を活かし、テレビ、ノートパソコン、携帯情報端末、スマートフォン、デジタルカメラ等様々な用途で使用されている。液晶表示装置には、用途に応じて3~6原色の最適な色が要求され、様々な色性能を担うカラーフィルタ基板が使用されている。
【0003】
近年、液晶表示装置と異なる表示装置として、電子ペーパーが活用される機会が増えてきている。電子ペーパーは、低消費電力、目に優しいといった特徴があり、カラー化に向けた取り組みが行われている。カラー化のために、カラーインク方式やカラーフィルタ方式が検討されているが、表示切替速度の点から、カラーフィルタ方式が注目されている。
【0004】
電子ペーパーは、一般的な液晶表示装置のようにバックライト光により明るさを調整せず、外光を利用する表示原理であるため、表示が暗くなるという課題がある。表示の鮮やかさを改善するため、画素間にブラックマトリックスを設けない電子ペーパーや、画素間に白色の遮光部材を形成した電子ペーパーが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。しかしこれらの技術では、鮮やかな各色の表示と、白色表示において低彩度でかつ明るい白色の表示とを両立させることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-107234号公報
【文献】特開2013-88750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カラーフィルタを有する電子ペーパーを用いて各色表示を行う場合、表示のための外光量が少なく、好ましい色表示を行うために、それぞれの画素色を設計する必要があった。そのため、白色表示を行った場合、好ましい白を表示することが難しく、改善が必要であった。
【0007】
かかる状況に鑑み、本発明は、反射型の表示装置においても、各色を明るく鮮やかに表示することが可能で、かつ白色表示において低彩度で明るい白色を表示できる、カラーフィルタおよび特に反射型の表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板上に少なくとも赤、緑および青のいずれかの副画素を有するカラーフィルタであって、前記副画素間に、CIE1931表色系におけるY値が70以上98以下である色味調整部材を配置してなることを特徴とするカラーフィルタである。
【0009】
また本発明は、本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置である。
【0010】
また本発明は、本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする電子ペーパーである。
【0011】
また本発明は、膜厚2μmの皮膜とした際のCIE1931表色系におけるY値が70以上98以下であることを特徴とする色味調整部材形成用組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカラーフィルタによれば、反射型の表示装置においても、各色を明るく鮮やかに表示することが可能で、かつ白色表示において低彩度で明るい白色を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、赤、緑および青の副画素、ならびに色味調整部材の配置の例を示す図である。
図2図2は、赤、緑、青および第4の副画素、ならびに色味調整部材の配置の例を示す図である。
図3図3は、赤、緑、青および黄の副画素、ならびに色味調整部材の配置の例を示す図である。
図4図4は、赤、緑、青および第4の副画素、ならびに色味調整部材の配置の別の例を示す図である。
図5図5は、赤、緑、青および黄の副画素、ならびに色味調整部材の配置の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明において「以上」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも大きいことを意味する。また、「以下」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも小さいことを意味する。
【0015】
本発明のカラーフィルタは基板を有する。基板としては例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等の無機ガラスの板や、有機プラスチックのフィルムやシート等が挙げられる。これらを2種以上積層してもよい。なお、本発明のカラーフィルタを備える表示装置が、反射型の表示装置である場合やシリコンOLEDのように発光素子を有する表示装置である場合は、基板は不透明であってもよい。
【0016】
有機プラスチックのフィルムやシートは、自立膜であってもよいし、例えばガラス基板などの基板上に塗布等により形成された膜であってもよい。かかる塗布膜の場合、レーザー等により基板と膜との密着力を適度に調整して剥離することができる。有機プラスチックの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホンなどが挙げられる。
【0017】
基板が有機プラスチックのフィルムの場合、基板の強度の観点から、基板は厚さ5μm以上のフィルムが好ましく、10μm以上がより好ましい。一方、柔軟性の観点から、基板は厚さ100μm以下のフィルムが好ましい。
【0018】
本発明のカラーフィルタは、基板上に少なくとも赤(R)、緑(G)および青(B)のいずれかの副画素を有する。本発明において副画素(subpixel)とは、ディスプレイ上の1つの画素(pixel)を構成する単色の各点をいう。赤、緑および青のいずれかの副画素を有することで、各画素に対応した色やそれらの加法混色を表示することができる。また、基板上に赤、緑および青の副画素を有することが、RGBの3原色を頂点とするRGBカラートライアングルの内部の色を表現できることから好ましい。
【0019】
また、赤、緑および青に加えて、さらに黄(Y)の副画素を有することがより好ましい。そうすることで、RYGBの4頂点からなる4辺形の内部の色を表現し、金管楽器の黄金色などをより鮮やかに表現することができる。
【0020】
副画素を形成する着色組成物を構成する材料としては、例えば、色材、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等のバインダー樹脂とラジカル重合性化合物を含有する着色組成物などが挙げられる。
【0021】
着色組成物に含まれる色材としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられ、これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、透過率をより向上させる観点から、有機顔料、染料が好ましい。
【0022】
赤色色材としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」)9、PR48、PR97、PR122、PR123、PR144、PR149、PR166、PR168、PR177、PR179、PR180、PR192、PR209、PR215、PR216、PR217、PR220、PR223、PR224、PR226、PR227、PR228、PR240、PR254、臭素基を有するジケトピロロピロール色材などが挙げられる。副画素の輝度特性の観点から、PR254やPR177、臭素基を有するジケトピロロピロール色材が好ましく、電子ペーパーの赤色表示の明るさ、鮮やかさの観点から、臭素基を有するジケトピロロピロール色材を用いることが好ましい。また、電子ペーパーの赤色表示の明るさ、鮮やかさ、表示色味の観点から、赤の副画素に含まれる色材中、臭素基を有するジケトピロロピロール色材の割合が70質量%以上であることが好ましい。
【0023】
緑色色材としては、例えば、C.I.ピグメントグリ-ン(以下、「PG」)PG1、PG2、PG4、PG7、PG8、PG10、PG13、PG14、PG15、PG17、PG18、PG19、PG26、PG36、PG38、PG39、PG45、PG48、PG50、PG51、PG54、PG55、PG58、PG59などが挙げられる。副画素の輝度特性の観点から、PG58やPG59が好ましい。
【0024】
黄色色材としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」)12、PY13、PY17、PY20、PY24、PY83、PY86、PY93、PY95、PY109、PY110、PY117、PY125、PY129、PY137、PY138、PY139、PY147、PY148、PY150、PY153、PY154、PY166、PY168、PY185などが挙げられる。色純度、透過率及びコントラスト比の観点から、PY129、PY138、PY139やPY150が好ましく、PY138やPY150がより好ましく、PY150がさらに好ましい。
【0025】
オレンジ色色材としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ(以下、「PO」)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが挙げられる。
【0026】
青色色材としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」)15、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB21、PB22、PB60、PB64などが挙げられる。
【0027】
紫色色材としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(以下「PV」)19、PV23、PV29、PV30、PV32、PV37、PV40、PV50などが挙げられる(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)。
【0028】
色材としては染料でもよく、染料としては、例えば、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、酸性媒染染料などが挙げられる。また、上記染料をレーキ化したり、染料と含窒素化合物との造塩化合物としてもよい。
【0029】
赤色、緑色、青色、紫色または黄色の染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料などが挙げられる。これら染料の具体例としては、例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、アズレン系染料などが挙げられる。染料は着色組成物中に溶解させても、粒子として分散させても構わない。
【0030】
着色組成物はラジカル重合性化合物を含有してもよい。着色組成物に含まれるラジカル重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性物またはプロピレンオキサイド変性物、スチレン誘導体、多官能マレイミド化合物、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、アジピン酸1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートなどのオリゴマー、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ジシクロペンタンジエニルジアクリレート、これらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物やアルキルエステル変性物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0031】
ラジカル重合性化合物の含有量は、パターニング性の観点から、着色組成物の固形分中40質量%以上が好ましい。一方、製膜時の膜厚ムラを抑制し、焼成時の流動によるパターンの変形を抑制する観点から、ラジカル重合性化合物の含有量は、固形分中、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。また、パターニング性の観点から、3つ以上の(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有するラジカル重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物中50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
【0032】
着色組成物に、さらに、バインダー樹脂、分散剤、光重合開始剤、連鎖移動剤、増感剤、有機溶剤、重合禁止剤、密着改良剤、界面活性剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などを含有してもよい。
【0033】
着色組成物に含まれるバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。安定性の面から、アクリル樹脂が好ましく用いられる。
【0034】
アクリル樹脂としては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物との共重合体が好ましい。
【0035】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0036】
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸イソ-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3-ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0037】
アクリル樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和基を有することが好ましく、感度を向上させることができる。エチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂としては、例えば、“サイクロマー”(登録商標)P(ダイセル化学工業(株))や、アルカリ可溶性カルド樹脂等が挙げられる。
【0038】
バインダー樹脂の重量平均分子量は、硬化膜の強度の観点から3,000以上が好ましく、9,000以上がより好ましい。一方、着色組成物の安定性の観点から、バインダー樹脂の重量平均分子量は200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましい。ここで、バインダー樹脂の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーショングロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算値を指す。
【0039】
バインダー樹脂の含有量は、製膜時の膜厚ムラを抑制する観点から、着色組成物の固形分中10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、パターニング性の観点から、バインダー樹脂の含有量は、着色組成物の固形分中、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0040】
本発明のカラーフィルタに含まれる色材は、レーザーラマン分光法(Ar+レーザー(457.9nm))や、MALDI質量分析装置または飛行時間型二次イオン質量分析計による質量分析により、同定することができる。
【0041】
着色組成物に含まれる分散剤としては、例えば、ポリエステル、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドイミドやこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これら高分子分散剤の中でも、固形分換算のアミン価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり酸価が1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるものが好ましい。中でも、塩基性基を有する高分子分散剤が好ましく、顔料分散液および着色組成物の保存安定性を向上させることができる。塩基性基を有する、市販品の高分子分散剤としては、例えば、“ソルスパース”(登録商標)(アビシア社製)、“EFKA”(登録商標)(エフカ社製)、“アジスパー”(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)(ビックケミー社製)が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも“ソルスパース”(登録商標)24000(アビシア社製)、“EFKA”(登録商標)4300、4330(エフカ社製)、4340(エフカ社製)、“アジスパー”(登録商標)PB821、PB822(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)161~163、2000、2001、6919、21116(ビックケミー社製)が好ましい。
【0042】
着色組成物に含まれる光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、アントラキノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物、チタノセン系化合物などが挙げられる。
【0043】
より具体的には、オキシムエステル化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、“アデカアークルズ”(商標登録)N-1919、NCI-930((株)ADEKA製)、“IRGACURE”(商標登録)OXE01、OXE02(BASF(株)製)などが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、“IRGACURE”(商標登録)369、379、907(BASF(株)製)などが挙げられる。アントラキノン系化合物としては、例えば、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノンなどが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体などが挙げられる。ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。ベンゾオキサゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾオキサゾールなどが挙げられる。トリアジン系化合物としては、例えば、4-(p-メトキシフェニル)-2,6-ジ-(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0044】
光重合開始剤の含有量は、感度、パターニング性、加工性の観点から、着色組成物の色材を除く固形分中、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、光重合開始剤の含有量は、感度、パターニング性、加工性、耐熱性の観点から、着色組成物の色材を除く固形分中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0045】
着色組成物に含まれる連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、N-(2-メルカプトプロピオニル)グリシン、2-メルカプトニコチン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N-(3-メルカプトプロピオニル)アラニン、2-メルカプトエタンスルホン酸、3-メルカプトプロパンスルホン酸、4-メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-2-ブタノール、メルカプトフェノール、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトイミダゾール、2-メルカプト-3-ピリジノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、“カレンズ”(登録商標)MT PE-1(昭和電工(株)製)、“カレンズ”(登録商標)MT NR-1(昭和電工(株)製)、“カレンズ”(登録商標)MT BD-1(昭和電工(株)製)、等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2-ヨードエタノール、2-ヨードエタンスルホン酸、3-ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0046】
着色組成物に含まれる増感剤としては、チオキサントン系増感剤、芳香族または脂肪族の第3級アミンなどが挙げられる。チオキサントン系増感剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、“KAYACURE”(登録商標)DETX-S(日本化薬(株)製)等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0047】
着色組成物は、さらに有機溶媒を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアセテート、エチルベンゾエート、メチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート、3-メトキシ-ブチルアセテート、アセト酢酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、2-エチルブチルアセテート、イソペンチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、酢酸ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチルブタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0048】
本発明のカラーフィルタが赤の副画素を有する場合、赤の副画素の色相は、D65光源にて測定したL表色系色度座標(a、b)においてaが70以上80以下、bが30以上40以下であることが好ましい。これらを満たすことで、電子ペーパーの赤色表示において、彩度、明るさに優れた表示を行うことができる。また、表示の明るさの観点から、赤の副画素をD65光源にて測定したL表色系色度図におけるLは55以上が好ましく、60以上がより好ましい。
【0049】
本発明のカラーフィルタが緑の副画素を有する場合、緑の副画素の色相は、D65光源にて測定したL表色系色度座標(a、b)においてaが-80以上-70以下、bが40以上60以下であることが好ましい。これらを満たすことで、電子ペーパーの緑色表示において、彩度、明るさに優れた表示を行うことができる。また、表示の明るさの観点から、緑の副画素をD65光源にて測定したL表色系色度図におけるLは80以上が好ましく、85以上がより好ましい。
【0050】
本発明のカラーフィルタが青の副画素を有する場合、青の副画素の色相は、D65光源にて測定したL表色系色度座標(a、b)においてaが20以上30以下、bが-80以上-70以下であることが好ましい。これらを満たすことで、電子ペーパーの青色表示において、彩度、明るさに優れた表示を行うことができる。また、表示の明るさの観点から、青の副画素をD65光源にて測定したL表色系色度図におけるLは40以上が好ましく、45以上がより好ましい。
【0051】
第4の副画素の色相は、D65光源にて測定したL表色系色度座標(a、b)においてaが-5以上7以下、bが-7以上5以下であることが好ましい。これらを満たすことにより、電子ペーパーの白色表示を明るくすることができる。
【0052】
本発明のカラーフィルタが黄の副画素を有する場合、黄の副画素の色相は、D65光源にて測定したL表色系色度座標(a、b)においてaが-50以上-20以下、bが80以上100以下であることが好ましい。これらを満たすことで、電子ペーパーの黄色表示において、彩度、明るさに優れた表示を行うことができる。また、表示の明るさの観点から、黄の副画素をD65光源にて測定したL表色系色度図におけるLは85以上が好ましく、90以上がより好ましい。
【0053】
本発明のカラーフィルタにおける副画素の配置について、カラーフィルタが赤、緑、青の副画素を有する場合、例えば、図1に示されるような配置を挙げることができるが、これに制限されない。また、カラーフィルタが赤、緑、青および第4の副画素を有する場合、例えば、図2図4に示されるような配置を挙げることができるが、これに制限されない。また、カラーフィルタが赤、緑、青および黄の副画素を有する場合、例えば、図3図5に示されるような配置を挙げることができるが、これに制限されない。
【0054】
副画素の膜厚としては、0.5μm以上3.0μm以下が好ましい。0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.4μm以上とすることで、色純度を向上させることができる。一方、3.0μm以下、より好ましくは2.8μm以下とすることで、カラーフィルタの平坦性、パターン加工性および信頼性を向上させることができる。
【0055】
本発明のカラーフィルタが赤の副画素を有する場合、画素一つ分の面積をM、赤い副画素の着色面積をRとしたとき、赤色表示を鮮やかにするという観点から、R/Mは0.16以上が好ましく、0.17以上がより好ましい。なお、画素一つ分の面積Mは、赤、緑、青、黄等の副画素のまとまりの最小の繰り返し単位と、それらの副画素が最も近い副画素として近接する副画素間の領域を含む。画素一つ分の面積Mは、カラーフィルタの中央付近にある画素50個の平均面積として測定することができる。また、前記副画素の着色面積は、カラーフィルタ基板の中央付近にあるその色の副画素50個の平均面積として測定することができる。
【0056】
本発明のカラーフィルタが緑の副画素を有する場合、緑の副画素の着色面積をGとしたとき、緑色表示を鮮やかにするという観点から、G/Mは0.16以上が好ましく、G0.17以上がより好ましい。
【0057】
本発明のカラーフィルタが青の副画素を有する場合、最小繰り返し単位の面積をM、青画素の着色面積をBとしたとき、青色表示を鮮やかにするという観点から、B/Mは0.16以上が好ましく、0.17以上がより好ましい。
【0058】
本発明のカラーフィルタが黄の副画素を有する場合、最小繰り返し単位の面積をM、黄画素の着色面積をYとしたとき、黄色表示を鮮やかにするという観点から、Y/Mは0.16以上が好ましく、0.17以上がより好ましい。
【0059】
副画素の形状としては、長方形や正方形のような矩形でもよいし、円形や楕円形などでもよい。アレイ基板とカラーフィルタとの貼り合わせの精度を向上させる点からは、副画素の形状は正方形が好ましい。
【0060】
本発明のカラーフィルタは、副画素間に色味調整部材を有する。本発明における色味調整部材とは、副画素と副画素との間に形成した部材であって、CIE1931表色系におけるY値が70以上98以下であるものをいう。副画素間に色味調整部材を有することで、白色表示において低彩度で明るい白色を表示することができる。ここで言う白色表示とは、カラーフィルタ全体を通過する光が最大となるように調整したときの表示方法のことを指す。
【0061】
特に、赤、緑および青、さらには黄の副画素を有すると、白色表示したときの彩度が高くなりやすく、副画素サイズの調整が必要となるが、CIE1931表色系におけるY値が70以上98以下の色味調整部材を有することで、白色表示したときの彩度を改善することができ、より低彩度で明るい白色を効果的に近い表示させることができる。
【0062】
本発明の色味調整部材形成用組成物は、膜厚2μmの皮膜とした際のCIE1931表色系におけるY値が70以上98以下であることが好ましい。そうすることで、色味調整部材形成用組成物として、本発明のカラーフィルタにおける色味調整部材を効率良く形成させることができる。
【0063】
色味調整部材を形成する色味調整部材形成用組成物を構成する材料としては、例えば、色材、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等のバインダー樹脂等を含有する組成物などが挙げられる。
【0064】
色味調整部材や色味調整部材形成用組成物に含まれる色材としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられ、これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、耐光性の観点から、有機顔料が好ましい。
【0065】
色味調整部材形成用組成物の赤色色材としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」)9、PR48、PR97、PR122、PR123、PR144、PR149、PR166、PR168、PR177、PR179、PR180、PR192、PR209、PR215、PR216、PR217、PR220、PR223、PR224、PR226、PR227、PR228、PR240、PR254、臭素基を有するジケトピロロピロール色材などが挙げられる。
【0066】
色味調整部材形成用組成物の緑色色材としては、例えば、C.I.ピグメントグリ-ン(以下、「PG」)PG1、PG2、PG4、PG7、PG8、PG10、PG13、PG14、PG15、PG17、PG18、PG19、PG26、PG36、PG38、PG39、PG45、PG48、PG50、PG51、PG54、PG55、PG58、PG59などが挙げられる。
【0067】
色味調整部材形成用組成物の黄色色材としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」)12、PY13、PY17、PY20、PY24、PY83、PY86、PY93、PY95、PY109、PY110、PY117、PY125、PY129、PY137、PY138、PY139、PY147、PY148、PY150、PY153、PY154、PY166、PY168、PY185などが挙げられる。
【0068】
色味調整部材形成用組成物のオレンジ色色材としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ(以下、「PO」)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが挙げられる。
【0069】
色味調整部材形成用組成物の青色色材としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」)15、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB21、PB22、PB60、PB64などが挙げられる。
【0070】
色味調整部材形成用組成物の紫色色材としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(以下「PV」)19、PV23、PV29、PV30、PV32、PV37、PV40、PV50などが挙げられる(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)。
【0071】
色味調整部材形成用組成物の色材としては染料でもよく、染料としては、例えば、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、酸性媒染染料などが挙げられる。また、上記染料をレーキ化したり、染料と含窒素化合物との造塩化合物としても構わない。
【0072】
赤色、緑色、青色、紫色または黄色の染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料などが挙げられる。これら染料の具体例としては、例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、アズレン系染料などが挙げられる。染料は着色組成物中に溶解させても、粒子として分散させても構わない。
【0073】
色味調整部材や色味調整部材形成用組成物に含まれる色材としては、赤色色材、黄色色材、青色色材、紫色色材など、どの色材でもよいが、白色表示において彩度が低く、明るい白色を表示する観点から青色色材や紫色色材が好ましく、より好ましくは、紫色色材である。
【0074】
また、色味調整部材に含まれる色材として、PR254、臭素基を有するジケトピロロピロール色材、PR177、PY150、PY185、PG58、PG59、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PV23などを用いることができる。なかでも、白色表示において彩度が低く、明るい白色を表示する観点からPG58、PG59、PB15:6、PV23が好ましく、より好ましくはPB15:6、PV23、さらにより好ましくはPV23である。
【0075】
色味調整部材や色味調整部材形成用組成物に含まれる色材の含有量は、白色表示において彩度が低く、明るい白色を表示する観点から、固形分中0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。また、白色表示において彩度が低く、明るい白色を表示する観点から、固形分中5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。なお、ここで言う固形分とは、色味調整部材や色味調整部材形成用組成物に含まれる成分の中で、有機溶媒を除く全成分のことを指す。
【0076】
色味調整部材形成用組成物は、ラジカル重合性化合物を含有してもよい。色味調整部材形成用組成物に含まれるラジカル重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性物またはプロピレンオキサイド変性物、スチレン誘導体、多官能マレイミド化合物、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、アジピン酸1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートなどのオリゴマー、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ジシクロペンタンジエニルジアクリレート、これらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物やアルキルエステル変性物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0077】
色味調整部材形成用組成物に含まれるラジカル重合性化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含有し、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの質量(A)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの質量(B)の比率A/Bが、0.16以上3以下であることが好ましい。0.16以上、より好ましくは0.17以上、さらに好ましくは0.3以上とすることで、パターニング性に優れ、低温で焼成してもパターン剥離が起こりにくくすることができる。また、A/Bを2.4以下、より好ましくは1.6以下とすることで、パターンの混色を抑制することができる。特に、カラーフィルタの基材がポリエチレンテレフタレート(PET)で構成された有機プラスチックのフィルムやシートである場合に、低温にて焼成する必要があるため、ラジカル重合性化合物は、上記のA/Bを満足するものであることが好ましい。
【0078】
ラジカル重合性化合物の含有量は、パターニング性の観点から、色味調整部材形成用組成物の固形分中40質量%以上が好ましい。一方、製膜時の膜厚ムラを抑制し、焼成時の流動によるパターンの変形を抑制する観点から、ラジカル重合性化合物の含有量は、色味調整部材形成用組成物の固形分中、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。また、パターニング性の観点から、3つ以上の(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有するラジカル重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物中50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
【0079】
色味調整部材形成用組成物に、さらに、バインダー樹脂、分散剤、光重合開始剤、連鎖移動剤、増感剤、有機溶剤、重合禁止剤、密着改良剤、界面活性剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤、架橋剤などを含有してもよい。
【0080】
色味調整部材形成用組成物に含まれるバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。安定性の面から、アクリル樹脂が好ましい。また、これら樹脂は加熱により反応する官能基を有することが好ましい。加熱により反応する官能基を有することで、フォトリソ加工で形成する色味調整部材やインクジェット等で塗布し、乾燥、焼成して形成する色味調整部材に好適に使用することができる。
【0081】
アクリル樹脂としては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物との共重合体が好ましい。
【0082】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0083】
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸イソ-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3-ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0084】
アクリル樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和基を有することが好ましく、感度を向上させることができる。エチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂としては、例えば、“サイクロマー”(登録商標)P(ダイセル化学工業(株))や、アルカリ可溶性カルド樹脂等が挙げられる。
【0085】
バインダー樹脂の重量平均分子量は、硬化膜の強度の観点から3,000以上が好ましく、9,000以上がより好ましい。一方、着色組成物の安定性の観点から、バインダー樹脂の重量平均分子量は200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましい。ここで、バインダー樹脂の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーショングロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算値を指す。
【0086】
バインダー樹脂の含有量は、製膜時の膜厚ムラを抑制する観点から、固形分中10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、パターニング性の観点から、バインダー樹脂の含有量は、固形分中、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0087】
本発明の色味調整部材や色味調整部材形成用組成物に含まれる色材は、レーザーラマン分光法(Ar+レーザー(457.9nm))や、MALDI質量分析装置または飛行時間型二次イオン質量分析計による質量分析により、同定することができる。
【0088】
色味調整部材形成用組成物に含まれる分散剤としては、例えば、ポリエステル、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドイミドやこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これら高分子分散剤の中でも、固形分換算のアミン価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり酸価が1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるものが好ましい。中でも、塩基性基を有する高分子分散剤が好ましく、顔料分散液および着色組成物の保存安定性を向上させることができる。塩基性基を有する、市販品の高分子分散剤としては、例えば、“ソルスパース”(登録商標)(アビシア社製)、“EFKA”(登録商標)(エフカ社製)、“アジスパー”(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)(ビックケミー社製)が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも“ソルスパース”(登録商標)24000(アビシア社製)、“EFKA”(登録商標)4300、4330(エフカ社製)、4340(エフカ社製)、“アジスパー”(登録商標)PB821、PB822(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)161~163、2000、2001、6919、21116(ビックケミー社製)が好ましい。
【0089】
色味調整部材形成用組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。色味調整部材形成用組成物に含まれる光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、アントラキノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物、チタノセン系化合物などが挙げられる。
【0090】
より具体的には、オキシムエステル化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、“アデカアークルズ”(商標登録)N-1919、NCI-930((株)ADEKA製)、“IRGACURE”(商標登録)OXE01、OXE02(BASF(株)製)などが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、“IRGACURE”(商標登録)369、379、907(BASF(株)製)などが挙げられる。アントラキノン系化合物としては、例えば、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノンなどが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体などが挙げられる。ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。ベンゾオキサゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾオキサゾールなどが挙げられる。トリアジン系化合物としては、例えば、4-(p-メトキシフェニル)-2,6-ジ-(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、加工性の観点から、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンが好ましく、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンに加えて、後述する増感剤を併用することがさらに好ましい。
【0091】
光重合開始剤の含有量は、感度、パターニング性、加工性の観点から、色味調整部材形成用組成物の固形分中、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、光重合開始剤の含有量は、感度、パターニング性、加工性、耐熱性の観点から、色味調整部材形成用組成物の固形分中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0092】
色味調整部材形成用組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。色味調整部材形成用組成物に含まれる連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、N-(2-メルカプトプロピオニル)グリシン、2-メルカプトニコチン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N-(3-メルカプトプロピオニル)アラニン、2-メルカプトエタンスルホン酸、3-メルカプトプロパンスルホン酸、4-メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-2-ブタノール、メルカプトフェノール、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトイミダゾール、2-メルカプト-3-ピリジノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、“カレンズ”(登録商標)MT PE-1(昭和電工(株)製)、“カレンズ”(登録商標)MT NR-1(昭和電工(株)製)、“カレンズ”(登録商標)MT BD-1(昭和電工(株)製)、等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2-ヨードエタノール、2-ヨードエタンスルホン酸、3-ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0093】
色味調整部材形成用組成物は増感剤を含有してもよい。色味調整部材形成用組成物に含まれる増感剤としては、チオキサントン系増感剤、芳香族または脂肪族の第3級アミンなどが挙げられる。チオキサントン系増感剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、“KAYACURE”(登録商標)DETX-S(日本化薬(株)製)等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0094】
色味調整部材形成用組成物は架橋剤を含有してもよい。色味調整部材形成用組成物に含まれる架橋剤としては、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基などのように、熱により反応する官能基を有する化合物を指す。また、ここで言うエポキシ基とは、グリシジル基、オキセタニル基、脂環式エポキシ基のことを指す。色味調整部材形成用組成物に含まれる架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,-ジグリシジル-ベンジルアミン、N,N-ジグリシジル-アミノメチルシクロヘキサン、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX-750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW-30、MX-100LM(以上、三和ケミカル社製)や、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123-10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125-80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
色味調整部材形成用組成物は、さらに有機溶媒を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアセテート、エチルベンゾエート、メチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート、3-メトキシ-ブチルアセテート、アセト酢酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、2-エチルブチルアセテート、イソペンチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、酢酸ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチルブタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0096】
色味調整部材の形成は、色味調整部材形成用組成物をインクジェット等で塗布し、乾燥、焼成してもよいし、感光性を有する色味調整部材形成用組成物をスリット塗布等の方法で塗布し、乾燥後にマスク露光、現像、焼成してもよい(フォトリソ加工)。加工寸法精度の観点から、色味調整部材は、感光性を有する色味調整部材形成用組成物を用いて、フォトリソ加工により形成することが好ましい。
【0097】
色味調整部材の膜厚は、加工性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。また、平坦性、加工性の観点から、色味調整部材の膜厚は、3.0μm以下が好ましく、2.8μm以下がより好ましい。
【0098】
色味調整部材の透過率は、白色表示において彩度が低く、明るく良好な白色を表示するという観点から、波長450nmにおける透過率T450が90%以上、波長550nmにおける透過率T550が65%以上98%以下、波長700nmにおける透過率T700が80%以上であることが好ましい。
【0099】
色味調整部材の面積Hと画素一つ分の面積Mとの比H/Mとしては、白色表示において彩度が低く、明るく良好な白色を表示するという観点から、0.05以上が好ましく、より好ましくは0.10以上である。また、各色の表示を鮮やかにするという観点から、0.36以下が好ましく、より好ましくは0.30以下、さらに好ましくは0.20以下である。
【0100】
色味調整部材は画素間の中央に形成することが、各色の表示を明るく、鮮やかに表示する観点から好ましいが、色味調整部材と特定の色の副画素との距離を狭くする一方で、色味調整部材と別の色の副画素との距離を広くとるように配置してもよい。色味調整部材と各画素の距離は、0μmであってもよいし、数μm~数十μmであってもよいし、数百μmであってもよい。鮮やかな色を表示する観点から、色味調整部材と各画素の距離は、50μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下、さらにより好ましくは20μm以下である。
【0101】
また、色味調整部材の形状は、図1図2図3図5のように、各画素を取り囲むような形状であってもよいし、図4のように、矩形であってもよいし、円形や楕円形、星形、波型などの形状でもよい。
【0102】
白色表示において低彩度で明るい白色を表示するために、色味調整部材は、例えば赤の副画素と緑の副画素との間および赤の副画素と青の副画素との間のように、2通り以上の副画素の組み合わせの間に色味調整部材を配置することが好ましく、より好ましくは例えば赤の副画素と緑の副画素との間、赤の副画素と青の副画素との間、および緑の副画素と青の副画素との間のように、3通り以上の副画素の組み合わせの間に色味調整部材を配置することがより好ましく、その間に色味調整部材を配置する副画素の組み合わせの数が多いほど好ましい。なお、その間に色味調整部材を配置する副画素の組み合わせは、上記の例示に限定されない。
【0103】
色味調整部材および副画素の配置の態様としては、例えば図1のように、それぞれ正方形の赤、緑および青の副画素が繰り返し配列され、色味調整部材がこれらの副画素の間に形成された態様を示すことができる。なお、赤、緑、青の副画素の位置関係については、図1の態様に特に限定されない。
【0104】
また例えば図2のように、それぞれ正方形の赤、緑および青の副画素、ならびに第4の副画素が繰り返し配列され、色味調整部材がこれらの副画素の間に形成された態様を示すことができる。なお、赤、緑、青および第4の副画素の位置関係については、図2の態様に特に限定されない。
【0105】
また例えば図3のように、それぞれ正方形の赤、緑、青および黄の副画素が繰り返し配列され、色味調整部材がこれらの副画素の間に形成された態様を示すことができる。なお、赤、緑、青および黄の副画素の位置関係については、図3の態様に特に限定されない。
【0106】
また例えば図4のように、それぞれ正方形の赤、緑および青の副画素、ならびに第4の副画素が繰り返し配列され、色味調整部材がこれらの副画素の間に、それぞれの色画素の一部を囲う形で形成された態様を示すことができる。なお、赤、緑、青および第4の副画素の位置関係については、図4の態様に特に限定されない。
【0107】
また例えば図5のように、それぞれ正方形の赤、緑、青および黄の副画素が繰り返し配列され、色味調整部材がこれらの副画素に隣接する形で形成された態様を示すことができる。なお、赤、緑、青および黄の副画素の位置関係については、図5の態様に特に限定されない。
【0108】
色味調整部材の幅は、色味調整部材の加工性や、白色表示において彩度が低く、明るい白色を表示する観点から、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましい。また、白色表示において彩度が低く、明るい白色を表示する観点から、色味調整部材の幅は、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。ここで言う色味調整部材の幅とは、隣り合う副画素の間隔方向の色味調整部材の長さを指す。
【0109】
本発明のカラーフィルタは、さらに、ブラックマトリックスを有してもよい。ブラックマトリックスは、画素間の光漏れによるコントラストや色純度の低下を防止するものであり、副画素間や副画素間の一部分や額縁部に配置してもよい。ブラックマトリックスを構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等のバインダー樹脂とラジカル重合性化合物を含有する感光性組成物、黒色に着色された非感光性樹脂組成物などが挙げられる。ブラックマトリックスの膜厚は、遮光性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。一方、加工性の観点から、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
【0110】
また本発明のカラーフィルタは、さらに、オーバーコート層を有してもよい。オーバーコート層は、カラーフィルタの副画素からの不純物の透過を抑制したり、カラーフィルタの副画素による段差を平坦化させるものである。オーバーコート層を構成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、平坦化材料として市販されている感光性または非感光性の材料などが挙げられる。オーバーコート層の膜厚は、加工性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。一方、カラーフィルタの平坦性の観点から、5.0μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましい。
【0111】
また本発明のカラーフィルタは、さらに、透明電極を有してもよい。透明電極を構成する材料としては、例えば、アルミ、クロム、タンタル、チタン、ネオジム若しくはモリブデン等の金属、Indium-Tin-Oxide(ITO)、Indium-Zinc-Oxide(InZnO)等が挙げられる。
【0112】
また本発明のカラーフィルタは、さらに、拡散板等を有してもよい。
【0113】
以下に、感光性を有する色味調整部材形成用組成物からなる色味調整部材および、感光性を有する着色組成物からなる副画素を有するカラーフィルタを例に製造方法を説明する。
【0114】
基板上に、色味調整部材形成用組成物や着色組成物を塗布し、フォトマスクを用いた選択的な露光および現像によりパターン化し、焼成することにより色味調整部材や副画素を形成し、カラーフィルタを得ることができる。
【0115】
色味調整部材や副画素を形成するための色味調整部材形成用組成物や着色組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、基板を色味調整部材形成用組成物や着色組成物中に浸漬する方法、色味調整部材形成用組成物や着色組成物を基板に噴霧する方法などが挙げられる。
【0116】
続いて、色味調整部材形成用組成物や着色組成物を塗布した基板を乾燥することにより、基板上に色味調整部材形成用組成物や着色組成物の塗布膜を形成する。乾燥方法としては、例えば、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などが挙げられる。これらを2種以上組み合わせてもよく、例えば、減圧乾燥を行った後、加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度は80~130℃が好ましく、加熱乾燥装置としては熱風オーブン、ホットプレートが好ましい。なお、ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの場合、予めブラックマトリックスを形成した基板上に、着色組成物の塗布膜を形成することが好ましい。
【0117】
次に、色味調整部材形成用組成物や着色組成物の塗布膜上にフォトマスクを配置し、選択的に露光を行う。露光機としては、例えば、プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、レンズスキャン露光機、ステッパー等が挙げられる。精度の観点から、レンズスキャン露光機が好ましい。また、露光に用いる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、ケミカル灯、高圧水銀灯等が挙げられる。
【0118】
その後、アルカリ性現像液による現像により未露光部を除去し、塗布膜パターンを形成する。アルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ類等が挙げられる。アルカリ性現像液としては、例えば、0.02~1質量%の水酸化カリウムまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。現像方法としては、例えば、露光後の塗布膜をアルカリ現像液に20~300秒間浸漬する方法などが挙げられる。
【0119】
その後、得られた塗布膜パターンを加熱処理することにより、色味調整部材や副画素がパターニングされたカラーフィルタを得る。加熱処理は、空気中、窒素雰囲気中、真空中のいずれで行ってもよい。加熱温度は150~350℃が好ましく、180~250℃がより好ましい。加熱時間は5分間~5時間が好ましい。加熱処理装置としては、熱風オーブン、ホットプレートが好ましい。加熱処理は連続的に行っても段階的に行ってもよい。
【0120】
色味調整部材および副画素を形成する順序としては、副画素を形成した後に、色味調整部材を形成してもよいし、色味調整部材を形成した後に、副画素を形成してもよい。また、カラーフィルタが複数色の副画素を有する場合、各副画素について、上記方法により順次画素形成を行う。各色の形成順序は特に限定されない。
【0121】
本発明のカラーフィルタは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置の構成要素とすることができる。
【0122】
すなわち、本発明の表示装置は、本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする。表示装置とは、表示素子により画面の一部を視認させて、画像を表示する装置のことを指す。表示素子としては、例えば、液晶素子、有機EL素子、無機EL素子、MEMSを用いた表示素子、量子ドットを用いた表示素子、電子インク、電子粉流体、電気泳動素子等が挙げられる。表示装置としては、例えば、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、量子ドットディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。反射型表示装置としては、ウエアラブル端末、電子看板、デジタルサイネージ、電子棚札などの、屋外光や室内光で表示する装置が挙げられる。表示装置には、本発明のカラーフィルタと表示素子の他に、外部光源等の光源や輝度向上フィルムや拡散板等の各種フィルム等を有してもよい。
【0123】
本発明の電子ペーパーは、本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする。電子ペーパーの表示方式としては、電気泳動表示層による電気泳動方式を挙げることができる。電気泳動表示層とは、白色粒子と黒色粒子の粒子を電界によって移動させることで、白黒表示の切り替えを行う表示媒体を有する部材を指す。電気泳動表示層としては、例えば、白色粒子と黒色粒子を透明分散媒からなる分散液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂により固定したものが挙げられる。透明分散媒としては、例えば、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素等の各種有機化合物を用いることができる。白色粒子としては、例えば、二酸化チタン等の白色顔料を用いることができ、黒色粒子としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を用いることができる。マイクロカプセルの壁膜を形成する材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アラビアゴム・ゼラチンの複合膜等を用いることができる。バインダー樹脂としては、マイクロカプセルの壁膜に対する親和性が良好で、絶縁性を有するものを用いることができる。このような電気泳動表示層は、例えば、マイクロカプセルをバインダー樹脂に分散してインキ化したものを塗布することにより形成することができる。
【0124】
電子ペーパーには、本発明のカラーフィルタと電気泳動表示層の他に、視認性、光反射特性を向上させるための光学フィルム、表面保護フィルム、バリア層、タッチパネル層等を有してもよい。
【0125】
本発明の電子ペーパーにおける本発明のカラーフィルタが、赤、緑および青の副画素の組み合わせ、または赤、緑、青および黄の副画素の組み合わせを有する場合、電子ペーパーの白表示において、より白色に近い表示を行うために、電子ペーパーにおける電気泳動表示層の青の副画素に対応する部分の反射率を他のいずれかの副画素に対応する部分の反射率よりも大きくすることが好ましい。特に赤、緑、青および黄の副画素を有する場合に、白色表示が黄色味を帯びたものになりやすく、かかる態様は有用である。ここで言う白表示とは、電子ペーパーにて文字を表示するときに、その文字の背景に用いる白色の表示のことを指す。このように副画素の色に対応した反射率の制御を行うことで、各色表示時の色を鮮やかにしつつ、より白色に近い白表示を行うことができる。
【実施例
【0126】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例および比較例における評価方法について説明する。
【0127】
[測定・評価方法]
(1)色味調整部材の色度、Y値、透過率
実施例で得られた色味調整部材について、顕微分光測定器(大塚電子(株)製LCF-100MA)を用いて、色度xy、CIE1931表色系三刺激値(Y)、450nmにおける透過率T450、550nmにおける透過率T550、700nmにおける透過率T700を測定した。
【0128】
(2)白色表示の評価
各実施例・比較例のカラーフィルタとアレイ基板を貼り合わせ、各色の副画素部の反射強度を最大とした時(以下、白色表示)のLおよび彩度を分光測色器(コニカミノルタ(株)製CM2600d)にて測定した。
【0129】
[実施例1]
(分散液A1の調製)
窒素雰囲気下の500mLの三口フラスコに、176.3gの無水tert-アミルアルコール(2.0mol)及び114.7gのナトリウム-tert-アミルアルコキシド(1.1mol)を仕込み、撹拌しながら内温を100℃に昇温して反応させ、アルコラート溶液を調製した。
【0130】
別の500mLの三口フラスコに、84.9gのコハク酸ジイソプロピル(0.4mol)及び145.6gの4-ブロモベンゾニトリル(0.8mol)を仕込み、撹拌しながら内温を85℃に昇温して溶解させ、混合溶液を調製した。
【0131】
上記のアルコラート溶液が入った三口フラスコの内温を100℃にして撹拌しながら、上記の混合溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、内温90℃で12時間加熱撹拌し、懸濁液を得た。
【0132】
さらに別の500mLの三口フラスコに、640gのメタノール(20.0mol)、720gの水(40.0mol)及び300gの酢酸(10.0mol)を仕込み、内温を-10℃に冷却しながら撹拌して、混合物を得た。
【0133】
上記の混合物が入った三口フラスコの内温を-5℃以下に保って高速撹拌しながら、上記の懸濁液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに7時間撹拌してから、濾液の着色及び塩の析出が無くなるまで、反応液の洗浄及び濾過を行った。集めた濾液を80℃で24時間乾燥させ、得られた固形物を粉砕して、一般式(1)で表される臭素基を有するジケトピロロピロール顔料を112g得た。
【0134】
【化1】
【0135】
得られた臭素基を有するジケトピロロピロール顔料100g、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製“BYK-6919”)50g、バインダーポリマー((株)ダイセル製、“サイクロマー(登録商標)P”、ACA250、45質量%溶液)66.7g、PGME450gを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料の分散液A1を調製した。
【0136】
(分散液A2の調製)
C.I.ピグメントグリーン58 150g、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製“BYK-6919”)75g、バインダーポリマー((株)ダイセル製、“サイクロマー(登録商標)P”、ACA250、45質量%溶液)100g、PGME675gを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、ピグメントグリーン58の分散液A2を調製した。
【0137】
(分散液A3の調製)
C.I.ピグメントイエロー150 150g、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製“BYK-6919”)75g、バインダーポリマー((株)ダイセル製、“サイクロマー(登録商標)P”、ACA250、45質量%溶液)100g、PGME675gを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、ピグメントイエロー150の分散液A3を調製した。
【0138】
(分散液A4の調製)
C.I.ピグメントブルー15:6 150g、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製“BYK-6919”)75g、バインダーポリマー((株)ダイセル製、“サイクロマー(登録商標)P”、ACA250、45質量%溶液)100g、PGME675gを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、ピグメントブルー15:6の分散液A4を調製した。
【0139】
(分散液A5の調製)
C.I.ピグメントバイオレット23 150g、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製“BYK-6919”)75g、バインダーポリマー((株)ダイセル製、“サイクロマー(登録商標)P”、ACA250、45質量%溶液)100g、PGME675gを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、ピグメントバイオレット23の分散液A5を調製した。
【0140】
(バインダー樹脂溶液B1の合成)
500mLの三口フラスコに、メタクリル酸メチル 33g(0.3mol)、スチレン33g(0.3mol)、メタクリル酸 34g(0.4mol)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) 3g(0.02mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)150gを仕込み、90℃で2時間撹拌してから内温を100℃に昇温して、さらに1時間撹拌して、反応溶液を得た。得られた反応溶液に、メタクリル酸グリシジル 33g(0.2mol)、ジメチルベンジルアミン 1.2g(0.009mol)およびp-メトキシフェノール 0.2g(0.002mol)を添加して、90℃で4時間撹拌した後、PGMEA 50gを添加して、固形分濃度40質量%のバインダー樹脂溶液B1を得た。京都電子工業(株)製の電位差自動測定装置AT-610を用いて、0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液についてバインダー樹脂の酸価を測定したところ、酸価は80.0(mgKOH/g)であった。また、GPC装置での測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は22,000であった。
【0141】
(着色用組成物Rの調製)
50mLのプラスチックボトルに、分散液A1 5.42g、分散液A3 0.11、バインダー樹脂溶液B1 3.11g、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル(C1) 1.49g、N-1919(株)ADEKA製) 0.12g、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、DPMA) 19.75gを添加し、3時間撹拌して、赤の着色用組成物Rを調製した。
【0142】
(着色用組成物Gの調製)
50mLのプラスチックボトルに、分散液A2 6.40g、分散液A3 1.03g、バインダー樹脂溶液B1 3.11g、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル(C1) 1.05g、N-1919(株)ADEKA製) 0.04g、DPMA 18.35gを添加し、3時間撹拌して、緑の着色用組成物Gを調製した。
【0143】
(着色用組成物Bの調製)
50mLのプラスチックボトルに、分散液A4 2.09g、分散液A5 1.12g、バインダー樹脂溶液B1 3.24g、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル(C1) 0.95g、N-1919(株)ADEKA製) 0.07g、DPMA 21.36gを添加し、3時間撹拌して、青の着色用組成物Bを調製した。
【0144】
(着色用組成物Yの調製)
50mLのプラスチックボトルに、分散液A2 2.60g、分散液A3 4.83g、バインダー樹脂溶液B1 3.11g、ペンタ(メタ)アクリロイルオキシジペンタエリスリトールモノこはく酸エステル(C1) 1.05g、N-1919(株)ADEKA製) 0.04g、DPMA 18.35gを添加し、3時間撹拌して、黄の着色用組成物Yを調製した。
【0145】
(色味調整部材形成用組成物H1の調製)
50mLのプラスチックボトルに、分散液A5 0.06g、バインダー樹脂溶液B1 5.82g、ラジカル重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(D1) 1.42gおよびペンタエリスリトールトリアクリレート(D2) 1.42g、光重合開始剤としてIRGACURE907(BASF(株)製)(E1) 0.10g、光増感剤として2,4-ジエチルチオキサントン(F1) 0.10g、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G1) 21.06gを添加し、3時間撹拌して、色味調整部材形成用組成物(H1)を調製した。
【0146】
(赤の副画素の形成)
厚さ0.5mmのガラス基板上に着色用組成物Rをスピンコートにより塗布した後、90℃10分間の加熱乾燥を行った。得られた着色組成物塗布膜に、ネガ用フォトマスクを介して、図5に示すような配置パターンにてi線200mJ/cmで露光を行った後、23℃の0.3質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像を行った。続いて、230℃30分間加熱処理を行い、赤の副画素を形成した。赤の副画素は一辺の長さが129μmの正方形であり、最小繰り返し単位の長さ、すなわち隣り合う同色の副画素同士の中心の距離が318μm、D65光源にて測定したL表色系色度図における各色画素の色(L、a、b)が(62.6、70.2、33.4)であった。
【0147】
(緑の副画素の形成)
赤の副画素が形成された基板上に着色用組成物Gをスピンコートにより塗布した後、90℃10分間の加熱乾燥を行った。得られた着色組成物塗布膜に、ネガ用フォトマスクを介して、図5に示すような赤の副画素との位置関係にてi線200mJ/cmで露光を行った後、23℃の0.3質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像を行った。続いて、230℃30分間加熱処理を行い、緑の副画素を形成した。緑の副画素は一辺の長さが129μmの正方形であり、最小繰り返し単位の長さ、すなわち隣り合う同色の副画素同士の中心の距離が318μm、D65光源にて測定したL表色系色度図における各色画素の色(L、a、b)が(85.8、-77.3、50.7)であった。
【0148】
(青の副画素の形成)
赤および緑の副画素が形成された基板上に着色用組成物Bをスピンコートにより塗布した後、90℃10分間の加熱乾燥を行った。得られた着色組成物塗布膜に、ネガ用フォトマスクを介して、図5に示すような赤および緑の副画素との位置関係にてi線200mJ/cmで露光を行った後、23℃の0.3質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像を行った。続いて、230℃30分間加熱処理を行い、青の副画素を形成した。青の副画素は一辺の長さが129μmの正方形であり、最小繰り返し単位の長さ、すなわち隣り合う同色の副画素同士の中心の距離が318μm、D65光源にて測定したL表色系色度図における各色画素の色(L、a、b)が(48.6、27.5、-71.7)であった。
【0149】
(黄の副画素の形成)
赤、緑および青の副画素が形成された基板上に着色用組成物Yをスピンコートにより塗布した後、90℃10分間の加熱乾燥を行った。得られた着色組成物塗布膜に、ネガ用フォトマスクを介して、図5に示すような赤、緑および青の副画素との位置関係にてi線200mJ/cmで露光を行った後、23℃の0.3質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像を行った。続いて、230℃30分間加熱処理を行い、黄の副画素を形成した。黄の副画素は一辺の長さが129μmの正方形であり、最小繰り返し単位の長さ、すなわち隣り合う同色の副画素同士の中心の距離が318μm、D65光源にて測定したL表色系色度図における各色画素の色(L、a、b)が(94.8、-38.6、83.3)であった。
【0150】
(色味調整部材の形成)
赤、緑、青および黄の副画素が形成された基板上に色味調整部材形成用組成物H1をスピンコートにより塗布した後、90℃10分間の加熱乾燥を行った。得られた色味調整部材形成用組成物H1の塗布膜に、ネガ用フォトマスクを介して、図5に示すような赤、緑、青および黄の副画素との位置関係にてi線200mJ/cmで露光を行った後、23℃の0.3質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像を行った。続いて、230℃30分間加熱処理を行い、膜厚が2.0μm、幅30μmの色味調整部材を形成し、図5のような配置のカラーフィルタを製造した。味調整部材の面積Hと画素一つ分の面積Mとの比H/Mは0.342であった。
【0151】
色味調整部材の色度xyはそれぞれ0.308、0.306、CIE1931表色系におけるY値は92.7であり、T450、T550、T700は、それぞれ99.1、90.2、99.7であった。
【0152】
(表示装置の製造)
得られたカラーフィルタと評価用のアレイ基板とを貼り合わせ、表示装置とした。白色表示時のLは60.5、彩度は9.2であった。
【0153】
[実施例2~4]
色味調整部材形成用組成物として、H1に代えて表1に記載の配合量によるH2~H4を調整し、それぞれ実施例2~4にて採用した。それ以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタおよび表示装置を製造した。評価結果を表2にまとめる。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
[比較例1]
色味調整部材を形成しない以外は実施例1と同様の手順にして、カラーフィルタおよび表示装置を製造した。実施例1~4において色味調整部材を形成した箇所に対応する箇所の、色度xyはそれぞれ0.310、0.316、CIE1931表色系におけるY値は100.0であり、T450、T550、T700は、それぞれ100.0、100.0、100.0であった。また、表示装置としての白色表示時のLは62.7、彩度は13.2であった。
【符号の説明】
【0157】
1 赤の副画素
2 緑の副画素
3 青の副画素
4 色味調整部材
5 画素
6 赤の副画素
7 緑の副画素
8 青の副画素
9 色味調整部材
10 画素
11 赤の副画素
12 緑の副画素
13 青の副画素
14 黄の副画素
15 色味調整部材
16 画素
17 赤の副画素
18 緑の副画素
19 青の副画素
20 色味調整部材
21 画素
22 赤の副画素
23 緑の副画素
24 青の副画素
25 黄の副画素
26 色味調整部材
27 画素
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明のカラーフィルタ基板は、電子ペーパーに好適に使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5