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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/66 20060101AFI20240910BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20240910BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20240910BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20240910BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240910BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20240910BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240910BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20240910BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20240910BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
C08G59/66
C08G59/24
C08G59/40
C08G75/045
C09J4/02
C09J163/00
C09J11/06
C09D4/02
C09D163/00
G03B17/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020170733
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2021075698
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2019199275
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】田村 賢
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大河
(72)【発明者】
【氏名】新田 亜季
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6699145(JP,B2)
【文献】特許第4976575(JP,B1)
【文献】国際公開第2005/052021(WO,A1)
【文献】特開2017-101112(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181421(WO,A1)
【文献】特開平11-256013(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017418(WO,A1)
【文献】特開2017-041442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/66
C08G 59/24
C08G 59/40
C08G 75/045
C09J 4/02
C09J 163/00
C09J 11/06
C09D 4/02
C09D 163/00
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(1)~(5):
(1)(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(2)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つ25℃で固形であるエポキシ化合物、
(3)1分子中に2個以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、
(4)光ラジカル発生剤、および
(5)潜在性硬化剤
を含み、
成分(3)の量が、硬化性組成物全体あたり、15重量%以上、50重量%以下であり、並びに
成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)中のエポキシ基の合計と成分(3)中のメルカプト基とのモル比(成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)中のエポキシ基の合計/成分(3)中のメルカプト基)が、0.5~2.0である硬化性組成物。
【請求項2】
成分(2)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
成分(3)が、1分子中に2~6個のメルカプト基を有するポリチオール化合物を含む請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
成分(5)が、アミン-エポキシアダクト系化合物および/またはアミン-イソシアネートアダクト系化合物を含む請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含む接着剤。
【請求項6】
カメラモジュールの構成部品間の接着用である、請求項に記載の接着剤。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含む封止剤。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含むコーティング剤。
【請求項9】
以下の工程(I)~(III):
(I)請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物が塗布された第一の接着部品と、第二の接着部品との位置決めを行う工程、
(II)前記硬化性組成物を光照射により硬化させて第一の接着部品および第二の接着部品間を仮固定する工程、および
(III)前記硬化性組成物を加熱により硬化させて第一の接着部品および第二の接着部品間を本固定する工程
を含む、カメラモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの携帯機器の薄型化に伴い、スマートフォンなどの携帯機器に搭載されるカメラモジュールは小型化されてきている。また、ウエアラブルデバイスにおいてもカメラモジュールの搭載が予想され、小型化、薄型化の要求が高まっている。そして、カメラモジュールの小型化により、カメラモジュールの構成部品間を接着固定する部位も微細になってきているため、落下に対するカメラモジュールの耐衝撃性は非常に重要になっている。そのため、カメラモジュールが落下による衝撃を受けても、構成部品間の接着面積が小さくても接着が維持されなければならず、接着面積が小さくなると、構成部品の接着部位が剥がれやすくなるので、接着剤の単位面積当たりの接着強度の向上がより重要視されている。
【0003】
一方、カメラモジュールの組み立てに用いられる接着剤は、イメージセンサー等への高温処理による熱的ダメージを避けるために低温硬化性が要求され、また、生産効率向上の観点から、低温および短時間で硬化する性能(低温-短時間硬化性)も同時に要求される。このような観点から、低温-短時間硬化性の接着剤として、紫外線硬化性接着剤や熱硬化性エポキシ樹脂系接着剤が多く利用されている(例えば、特許文献1および2)。しかし、紫外線硬化性接着剤は、速硬化が可能な反面、硬化収縮による硬化ひずみを生じる、接着強度が低い、光が当たらない部分の接着には使用できないなどのデメリットがある。一方、熱硬化性エポキシ樹脂系接着剤は、低温-短時間硬化性の接着剤といえども、接着する間は接着姿勢を保つために接着する部品を治具や装置で固定しなければならず、また、加熱による温度上昇により粘度が低下して、硬化直前にタレが生じたり、所望部以外に流れたりしてしまう等の問題を生じ、必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
そこで、上記のような課題を解決するために、カメラモジュールを構成する各部品を高精度に配置するために光(紫外線、可視光)照射による硬化(予備硬化)により仮固定し、熱による硬化(本硬化)により接着(本固定)を行うタイプの接着剤がいくつか提案されている(例えば、特許文献3および4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-140497号公報
【文献】特開2013-88525号公報
【文献】特開2009-51954号公報
【文献】特開2009-79216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3および4に記載されているような、光および熱硬化性の接着剤を使用しても接着強度が低く、その仮固定性が低いと、製造プロセス中で部品が動くという課題があった。また、カメラモジュールの構造上、モジュール内部には光が届きにくい場所があり、そのような場所では、充分に光硬化せず、事実上、加熱硬化のみになる結果、十分な接着強度が確保できないという課題があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、優れた光硬化性と優れた熱硬化性を併せ持ち、接着強度に優れる硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成し得る本発明は、以下の通りである。
[1] 以下の成分(1)~(5):
(1)(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(2)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つ25℃で固形であるエポキシ化合物、
(3)1分子中に2個以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、
(4)光ラジカル発生剤、および
(5)潜在性硬化剤
を含み、成分(3)の量が、硬化性組成物全体あたり、15重量%以上、50重量%以下である硬化性組成物。
[2] 成分(2)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む前記[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 成分(3)が、1分子中に2~6個のメルカプト基を有するポリチオール化合物を含む前記[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)中のエポキシ基の合計と成分(3)中のメルカプト基とのモル比(成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)中のエポキシ基の合計/成分(3)中のメルカプト基)が、0.5~2.0である前記[1]~[3]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[5] 成分(5)が、アミン-エポキシアダクト系化合物および/またはアミン-イソシアネートアダクト系化合物を含む前記[1]~[4]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[6] 前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を含む接着剤。
[7] カメラモジュールの構成部品間の接着用である、前記[6]に記載の接着剤。
[8] 前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を含む封止剤。
[9] 前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を含むコーティング剤。
[10] 以下の工程(I)~(III):
(I)前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物が塗布された第一の接着部品と、第二の接着部品との位置決めを行う工程、
(II)前記硬化性組成物を光照射により硬化させて第一の接着部品および第二の接着部品間を仮固定する工程、および
(III)前記硬化性組成物を加熱により硬化させて第一の接着部品および第二の接着部品間を本固定する工程
を含む、カメラモジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた光硬化性と優れた熱硬化性を併せ持つ硬化性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、以下の成分(1)~(5):
(1)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、
(2)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つ25℃で固形であるエポキシ化合物(以下「固形エポキシ化合物」と略称することがある。)、
(3)1分子中に2個以上のメルカプト基(-SH)を有するポリチオール化合物(以下「ポリチオール化合物」と略称することがある。)、
(4)光ラジカル発生剤、および
(5)潜在性硬化剤
を含み、成分(3)の量が、硬化性組成物全体あたり、15重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする。
【0011】
成分(1)~(5)は、いずれも1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の硬化性組成物が成分(1)~(5)以外の成分を含む場合、該成分も、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。以下、各成分を順に説明する。
【0012】
<(1)(メタ)アクリロイル基を有する化合物>
本発明において成分(1)として使用する(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、主に接着強度を高める役割を担う成分である。また、本発明において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の一方または両方を意味する。
【0013】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物の1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、1以上であればよい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物が混合物である場合、この数は、1分子あたりの平均値を表す。また、1分子中にアクリロイル基およびメタクリロイル基の両方が存在する場合、この数は、1分子中のアクリロイル基およびメタクリロイル基の合計数を意味する。(メタ)アクリロイル基を有する化合物(但し、後述するリン酸変性(メタ)アクリレートを除く)の1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、好ましくは1~6、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4である。
【0014】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物(但し、後述するリン酸変性(メタ)アクリレートを除く)の分子量は、好ましくは50~5,000、より好ましくは70~4,000、さらに好ましくは100~2,000である。この分子量が50未満の場合、揮発性が高く、臭気や取り扱い性の点で好ましくなく、この分子量が5,000を超える場合、組成物の粘度が高くなって、組成物の塗布性が低下する傾向となる。なお、1000以上の分子量は重量平均分子量を意味し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。1,000未満の分子量は重量分析装置(例えばESI-MS)で測定することができる。
【0015】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、以下の化合物は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(1分子中に1個のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物)
β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート
イソボルニル(メタ)アクリレート
オクチル/デシル(メタ)アクリレート
エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート
EO変性フェノール (メタ)アクリレート
EO変性o-フェニルフェノール (メタ)アクリレート
EO変性パラクミルフェノール (メタ)アクリレート
EO変性ノニルフェノール (メタ)アクリレート
PO変性ノニルフェノール (メタ)アクリレート
N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド
ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン モノ(メタ)アクリレート
フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート
【0017】
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味する。また、「EO変性」とは、エチレンオキシド(EO)の付加によって変性されたことを意味する。また、「PO変性」とは、プロピレンオキシド(PO)の付加によって変性されたことを意味する。
【0018】
(1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
ジプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート
1,6-ヘキサンジオール ジ(メタ)アクリレート
トリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート
PO変性ネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート
トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート
EO変性ビスフェノールF ジ(メタ)アクリレート
EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート
EO変性イソシアヌル酸 ジ(メタ)アクリレート
ポリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート
ネオペンチルグリコール ヒドロキシピバリン酸エステル ジ(メタ)アクリレート
1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン
1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル
【0019】
(1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート
PO変性トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート
EO変性トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート
EO変性イソシアヌル酸 (トリ)(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトール (トリ/テトラ)(メタ)アクリレート
グリセリン プロポキシトリ(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトール エトキシ テトラ(メタ)アクリレート
ジトリメチロールプロパン テトラ(メタ)アクリレート
ジペンタエリスリトール (ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート
ジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレート
EO変性ジグリセリン テトラ(メタ)アクリレート
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル
【0020】
また、ペンタエリスリトール (トリ/テトラ)(メタ)アクリレートとは、ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレートと、ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレートとの混合物である。この混合比(ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレート/ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレート)は、重量比で、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは30/70~70/30である。
【0021】
また、ジペンタエリスリトール (ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレートとは、ジペンタエリスリトール ペンタ(メタ)アクリレートと、ジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートとの混合物である。この混合比(ジペンタエリスリトール ペンタ(メタ)アクリレート/ジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレート)は、重量比で、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは30/70~70/30である。
【0022】
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、EO変性イソシアヌル酸 (ジ/トリ)(メタ)アクリレートを使用することができる。ここで、EO変性イソシアヌル酸 (ジ/トリ)(メタ)アクリレートとは、EO変性イソシアヌル酸 ジ(メタ)アクリレートと、EO変性イソシアヌル酸 トリ(メタ)アクリレートの混合物である。この混合比(EO変性イソシアヌル酸 ジ(メタ)アクリレート/EO変性イソシアヌル酸 トリ(メタ)アクリレート)は、重量比で、好ましくは1/99~99/1、より好ましくは10/90~90/10、さらに好ましくは40/60~60/40である。
【0023】
保存安定性および密着性の観点から、成分(1)は、好ましくはリン酸変性(メタ)アクリレートを含む。ここで、「リン酸変性」とは、リン酸とのエステル結合によって変性されたことを意味する。リン酸変性(メタ)アクリレートは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。リン酸変性(メタ)アクリレートは、好ましくはリン酸変性メタクリレートである。
【0024】
リン酸変性(メタ)アクリレートは、例えば、以下の方法(i)によって製造することができるが、本発明はこれに限定されない。
(i)(メタ)アクリロイル基およびヒドロキシ基を有する化合物とリン酸とを反応させる方法。
【0025】
前記方法(i)に使用し得る1分子中に(メタ)アクリロイル基およびヒドロキシ基を有する化合物は、例えば、以下の方法(ii)または(iii)によって製造することができるが、本発明はこれらに限定されない。
(ii)(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートと、多価アルコール(例えば、アルキレングリコール、グリセリン等)とを、前記多価アルコールのヒドロキシ基が残るような量比で反応させる方法。
(iii)(メタ)アクリル酸にアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を付加させる方法。
【0026】
リン酸変性(メタ)アクリレートは、市販品を使用してもよい。その市販品としては、例えば、オルネクス株式会社製の「EBECRYL168」、日本化薬株式会社製の「KAYAMER PM-2」、「KAYAMER PM-21」、共栄社化学株式会社製の「ライトエステルP-1M」、「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、城北化学工業株式会社製の「JPA-514」が挙げられる。
【0027】
リン酸変性(メタ)アクリレートの1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、好ましくは0.5~3、より好ましくは1~2、さらに好ましくは1~1.5である。なお、リン酸変性(メタ)アクリレートが混合物である場合、この数は、1分子あたりの平均値を表す。
【0028】
リン酸変性(メタ)アクリレートの分子量は、好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800、さらに好ましくは200~600である。
【0029】
リン酸変性(メタ)アクリレートを使用する場合、保存安定性および硬化性の観点から、その量は、成分(1)100重量部あたり、好ましくは0.001~5重量部、より好ましくは0.01~3重量部、さらに好ましくは0.05~2重量部である。
【0030】
本発明の一態様において、成分(1)は、好ましくはトリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートおよびリン酸変性(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含み、より好ましくはトリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートおよびリン酸変性(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0031】
本発明の別の一態様において、成分(1)は、好ましくはトリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物を含み、より好ましくはトリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物である。
【0032】
本発明の別の一態様において、成分(1)は、好ましくはトリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物を含み、より好ましくはトリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物である。
【0033】
硬化性および接着性の観点から、成分(1)の量は、硬化性組成物全体あたり、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。
【0034】
<(2)固形エポキシ化合物>
本発明において使用する成分(2)は、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形である化合物であれば、特に限定は無い。
【0035】
固形エポキシ化合物としては、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形であるエポキシ樹脂が挙げられる。なお、モノマーであるエポキシ樹脂(即ち、モノマー型エポキシ樹脂)は、これが1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形である限り、本発明の成分(2)として使用することができる。
【0036】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキサゾリドン環型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
成分(2)(即ち、固形エポキシ化合物)のエポキシ当量は、反応性等の観点から、好ましくは50~5,000g/eq、より好ましくは100~3,000g/eq、さらに好ましくは150~1,000g/eqである。ここでエポキシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基を含む化合物のグラム数を意味する(単位:g/eq)。言い換えると、エポキシ当量とは、エポキシ基を含む化合物の分子量を該化合物が有するエポキシ基の数で除した値、即ち、エポキシ基1個あたりの分子量を意味する。エポキシ当量は、JIS
K 7236に規定された方法に従って測定される。
【0038】
本発明の一態様において、成分(2)は、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つを含み、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つである。この態様において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂は、いずれも、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形である。
【0039】
本発明の別の一態様において、成分(2)は、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、またはビフェニル型エポキシ樹脂を含み、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、またはビフェニル型エポキシ樹脂である。この態様において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂は、いずれも、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形である。
【0040】
本発明の別の一態様において、成分(2)は、好ましくは、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を含み、より好ましくは、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で固形であるビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
【0041】
本発明の硬化性組成物は、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ25℃で液状である化合物(以下「液状エポキシ化合物」と略称することがある。)を含んでいてもよい。しかし、本発明の効果(即ち、優れた光硬化性および優れた熱硬化性)の観点から、本発明の硬化性組成物は、液状エポキシ化合物を含まないか、または成分(2)(即ち、固形エポキシ化合物)100重量部あたり、20重量部以下の量で液状エポキシ化合物を含むことが好ましい。液状エポキシ化合物の量は、成分(2)100重量部あたり、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。本発明の硬化性組成物は、液状エポキシ化合物を含まないことが特に好ましい。
【0042】
硬化性組成物の硬化性および取り扱い性の観点から、成分(2)の量は、硬化性組成物全体あたり、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは55重量%以下である。
【0043】
<(3)ポリチオール化合物>
本発明において成分(3)として使用する「1分子中に2個以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物」は、主として、紫外線等の光照射により成分(1)と反応して組成物を硬化させる硬化剤の役割を担う。ポリチオール化合物の1分子中のメルカプト基の数は、好ましくは2~6、より好ましくは3~6、さらに好ましくは3~5、特に好ましくは3または4である。
【0044】
ポリチオール化合物は、市販品を使用してもよく、公知の方法(例えば、特開2012-153794号公報または国際公開2001/00698号に記載の方法)で製造したものを使用してもよい。
【0045】
ポリチオール化合物は、例えば、ポリオールとメルカプト有機酸との部分エステル、ポリオールとメルカプト有機酸との完全エステルが挙げられる。ここで、部分エステルとは、ポリオールとカルボン酸とのエステルであって、ポリオールのヒドロキシ基の一部がエステル結合を形成しているもの、完全エステルとは、ポリオールのヒドロキシ基が全てエステル結合を形成しているものを意味する。
【0046】
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0047】
メルカプト有機酸としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸(例:3-メルカプトプロピオン酸)、メルカプト酪酸(例:3-メルカプト酪酸、4-メルカプト酪酸)等のメルカプト脂肪族モノカルボン酸;ヒドロキシ酸とメルカプト有機酸とのエステル化反応によって得られるメルカプト基およびカルボキシ基を含有するエステル;メルカプトコハク酸、ジメルカプトコハク酸(例:2,3-ジメルカプトコハク酸)等のメルカプト脂肪族ジカルボン酸;メルカプト安息香酸(例:4-メルカプト安息香酸)等のメルカプト芳香族モノカルボン酸;等が挙げられる。前記メルカプト脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは2~8、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4、特に好ましくは3である。前記メルカプト有機酸の中で、炭素数が2~8のメルカプト脂肪族モノカルボン酸が好ましく、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸および4-メルカプト酪酸がより好ましく、3-メルカプトプロピオン酸がさらに好ましい。
【0048】
ポリオールとメルカプト有機酸との部分エステルの具体例としては、トリメチロールエタン ビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタン ビス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールエタン ビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン ビス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパン ビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン ビス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパン ビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパン ビス(4-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトール トリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール トリス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール トリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトール トリス(4-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトール テトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトール テトラキス(4-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
【0049】
ポリオールとメルカプト有機酸との完全エステルの具体例としては、エチレングリコール ビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコール ビス(3-メルカプトプロピオナート)、エチレングリコール ビス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコール ビス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン トリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタン トリス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールエタン トリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン トリス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパン トリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパン トリス(4-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトール テトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトール テトラキス(4-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(4-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
【0050】
保存安定性の観点から、前記部分エステルおよび完全エステルは、塩基性不純物の量が極力少ないものが好ましく、製造上塩基性物質の使用を必要としないものがより好ましい。
【0051】
また、成分(3)として、1,4-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,10-デカンジチオール等のアルカンポリチオール化合物;末端メルカプト基含有ポリエーテル;末端メルカプト基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるポリチオール化合物;ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端メルカプト基を有するポリチオール化合物;等のように、その製造工程上の反応触媒として塩基性物質を使用して製造されたポリチオール化合物も使用することができる。塩基性物質を使用して製造されたポリチオール化合物は、脱アルカリ処理を行い、アルカリ金属イオン濃度を50重量ppm以下としてから用いることが好ましい。
【0052】
塩基性物質を使用して製造されたポリチオール化合物の脱アルカリ処理としては、例えばポリチオール化合物をアセトン、メタノール等の有機溶媒に溶解し、希塩酸、希硫酸等の酸を加えることにより中和した後、抽出・洗浄などにより脱塩する方法;イオン交換樹脂を用いて吸着する方法;蒸留により精製する方法;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
また、成分(3)として、例えば、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、ビス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、および4,4’-イソプロピリデンジフェニル ビス(3-メルカプトプロピル)エーテル等を使用することができる。
【0054】
成分(3)は、好ましくは1分子中に2~6個、より好ましくは3~6個、さらに好ましくは3~5個、特に好ましくは3または4個のメルカプト基を有するポリチオール化合物を含む。
【0055】
本発明の一態様において、成分(3)は、好ましくはペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3-メルカプトプロピオナート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、エチレングリコール ビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン トリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール テトラキス(メルカプトアセテート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン トリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、および4,4’-イソプロピリデンジフェニル ビス(3-メルカプトプロピル)エーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つを含み、より好ましくはペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)およびトリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0056】
本発明の別の一態様において、成分(3)は、好ましくはペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)またはトリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレートを含み、より好ましくはペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)またはトリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレートであり、さらに好ましくはペンタエリスリトール
テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)である。
【0057】
硬化性の観点から、成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)中のエポキシ基の合計と成分(3)中のメルカプト基とのモル比(成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)中のエポキシ基の合計/成分(3)中のメルカプト基)は、好ましくは0.5~2.0、より好ましくは0.6~1.6、さらに好ましくは0.7~1.5、特に好ましくは0.8~1.3である。
【0058】
硬化性および接着性の観点から、成分(3)の量は、硬化性組成物全体あたり、15重量%以上、50重量%以下であることが必要である。成分(3)の量は、硬化性組成物全体あたり、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0059】
硬化性組成物の取り扱い性の観点から、成分(1)および(3)の合計量は、成分(2)100重量部あたり、好ましくは50重量部以上、より好ましくは60重量部以上、さらに好ましくは70重量部以上である。一方、接着性の観点から、成分(1)および(3)の合計量は、成分(2)100重量部あたり、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは1,500重量部以下、さらに好ましくは1,000重量部以下である。
【0060】
<(4)光ラジカル発生剤>
本発明において成分(4)として使用する光ラジカル発生剤に特に限定はない。光ラジカル発生剤としては、例えば、アルキルフェノン系光ラジカル発生剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤、オキシムエステル系光ラジカル発生剤、α-ヒドロキシケトン系光ラジカル発生剤等が挙げられる。光ラジカル発生剤は、好ましくはアルキルフェノン系光ラジカル発生剤である。
【0061】
アルキルフェノン系光ラジカル発生剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸、ベンゾイルエチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサントン、ジフェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オンのオリゴマー等が挙げられる。
【0062】
アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0063】
オキシムエステル系光ラジカル発生剤としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン 2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾ-ル-3-イル]エタノン O-アセチルオキシム等が挙げられる。
【0064】
α-ヒドロキシケトン系光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0065】
光ラジカル発生剤の市販品としては、例えば、BASF社製「Irgacure 1173」(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン)、「Irgacure OXE01」(1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン 2-(O-ベンゾイルオキシム))、「Irgacure OXE02」(1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾ-ル-3-イル]エタノン
O-アセチルオキシム)、IGM Resins B.V.社製「Esacure KTO 46」(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン]とメチルベンゾフェノン誘導体との混合物)、「Esacure KIP 150」(2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オンのオリゴマー)等が挙げられる。
【0066】
成分(4)の量は、光照射時に効率的に光硬化し得る硬化性組成物を得る観点から、硬化性組成物全体あたり、好ましく0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。他方、硬化物中に残存する光ラジカル発生剤またはその分解物によるアウトガスを抑制する観点から、硬化性組成物全体あたり、10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。
【0067】
<(5)潜在性硬化剤>
本発明において成分(5)として使用する潜在性硬化剤とは、エポキシ樹脂等の分野で周知の添加剤であって、常温(25℃)ではエポキシ樹脂等を硬化させないが、加熱することによってエポキシ樹脂等を硬化させ得る添加剤を意味する。
【0068】
潜在性硬化剤としては、例えば、常温で固体のイミダゾール化合物、アミン-エポキシアダクト系化合物(アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物)、アミン-イソシアネートアダクト系化合物(アミン化合物とイソシアネート化合物との反応生成物)等が挙げられる。
【0069】
常温で固体のイミダゾール化合物としては、例えば、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール-トリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール-トリメリテート、N-(2-メチルイミダゾリル-1-エチル)-尿素等が挙げられる。
【0070】
アミン-エポキシアダクト系化合物の原料として用いられるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール、またはグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル;p-ヒドロキシ安息香酸、β-ヒドロキシナフトエ酸等のヒドロキシ酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、テレフタル酸等のポリカルボン酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル;4,4’-ジアミノジフェニルメタンやm-アミノフェノールなどとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルアミン化合物;さらにはエポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン等の多官能エポキシ化合物やブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の単官能エポキシ合物;等が挙げられる。
【0071】
アミン-エポキシアダクト系化合物またはアミン-イソシアネートアダクト系化合物の原料として用いられるアミン化合物としては、エポキシ基またはイソシアネート基(別名:イソシアナト基)と付加反応しうる活性水素原子を1分子中に1個以上有し、且つアミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基および3級アミノ基の少なくとも一つ)を1分子中に1個以上有するものであればよい。このようなアミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン化合物;4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2-メチルアニリン等の芳香族アミン化合物;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾリン、2,4-ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン等の窒素原子が含有された複素環化合物;等が挙げられる。
【0072】
また、3級アミノ基を有する化合物を用いれば、優れた潜在性硬化剤を製造することができる。3級アミノ基を有する化合物としては、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N-メチルピペラジン、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等の3級アミノ基を有するアミン類;2-ジメチルアミノエタノール、1-メチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-フェノキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、1-ブトキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-フェニルイミダゾリン、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾリン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N-β-ヒドロキシエチルモルホリン、2-ジメチルアミノエタンチオール、2-メルカプトピリジン、2-ベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メルカプトピリジン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、N,N-ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N-ジメチルグリシンヒドラジド、N,N-ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等の3級アミノ基を有するアルコール類、フェノール類、チオール類、カルボン酸類およびヒドラジド類;等が挙げられる。
【0073】
エポキシ化合物とアミン化合物を付加反応させて、アミン-エポキシアダクト系化合物を製造する際に、さらに活性水素を1分子中に2個以上有する活性水素化合物を添加することもできる。このような活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂等の多価フェノール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、アジピン酸、フタル酸等の多価カルボン酸類、1,2-ジメルカプトエタン、2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-3-フェノキシ-2-プロパノール、メルカプト酢酸、アントラニル酸、乳酸等が挙げられる。
【0074】
アミン-イソシアネートアダクト系化合物の原料として用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(例:2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;さらには、これら多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応によって得られる、末端イソシアネート基含有化合物;等が挙げられる。このような末端イソシアネート基含有化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加化合物、トリレンジイソシアネートとペンタエリスリトールとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加化合物等が挙げられる。
【0075】
潜在性硬化剤は、例えば、上記の製造原料を適宜混合し、20℃から200℃の温度において反応させた後、冷却固化してから粉砕するか、あるいはメチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で上記の製造原料を反応させ、脱溶媒後、固形分を粉砕することにより容易に得ることができる。
【0076】
潜在性硬化剤は、市販品を使用してもよい。アミン-エポキシアダクト系化合物の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製の「アミキュアPN-23」、「アミキュアPN-40」、「アミキュアPN-50」、「アミキュアPN-H」、エー・シー・アール社製の「ハードナーX-3661S」、「ハードナーX-3670S」、旭化成社製の「ノバキュアHX-3742」、「ノバキュアHX-3721」が挙げられる。また、アミン-イソシアネートアダクト系化合物の市販品としては、例えば、T&K TOKA社製の「フジキュアーFXR-1000」、「フジキュアーFXR-1030」、「フジキュアーFXR-1020」、「フジキュアーFXR-1030」、「フジキュアーFXR-1081」、「フジキュアーFXR-1121」が挙げられる。
【0077】
成分(5)は、好ましくはアミン-エポキシアダクト系化合物および/またはアミン-イソシアネートアダクト系化合物を含み、より好ましくはアミン-エポキシアダクト系化合物および/またはアミン-イソシアネートアダクト系化合物であり、さらに好ましくはアミン-エポキシアダクト系化合物またはアミン-イソシアネートアダクト系化合物であり、特に好ましくはアミン-エポキシアダクト系化合物である。
【0078】
熱による硬化性の観点から、成分(5)の量は、硬化性組成物全体あたり、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上である。また、保存安定性の観点から、成分(5)の量は、硬化性組成物全体あたり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0079】
<(6)安定剤>
本発明の硬化性組成物は、保存安定性等の観点から、さらに成分(6)として、安定剤を含有していてもよい。安定剤としては、例えば、ホウ酸エステル化合物、チタン酸エステル化合物、アルミネート化合物、ジルコネート化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。
【0080】
上述のように、成分(1)の1種であるリン酸変性(メタ)アクリレートは、硬化性組成物の保存安定性を向上させる機能を有する。そのため、本発明の硬化性組成物は、保存安定性の観点から、成分(1)としてリン酸変性(メタ)アクリレートを含むか、および/または成分(6)として安定剤を含むことが好ましい。
【0081】
ホウ酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ-n-ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2-エチルヘキシロキシ)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ-o-トリルボレート、トリ-m-トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられる。
【0082】
チタン酸エステル化合物としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロプルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。
【0083】
アルミネート化合物としては、例えば、トリエチルアルミネート、トリプロピルアルミネート、トリイソプロピルアルミネート、トリブチルアルミネート、トリオクチルアルミネート等が挙げられる。
【0084】
ジルコネート化合物としては、例えば、テトラエチルジルコネート、テトラプロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート等が挙げられる。
【0085】
イソシアネート化合物としては、例えば、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、2-クロロエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p-クロロフェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2-エチルフェニルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4‘-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0086】
安定剤としては、安定剤の汎用性および硬化性組成物の保存安定性の観点から、ホウ酸エステル化合物が好ましく、トリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレートおよびトリ-n-ブチルボレートがより好ましく、トリエチルボレートがさらに好ましい。
【0087】
成分(6)を使用する場合、その量に特に制限は無いが、保存安定性の観点から、その量は、硬化性組成物全体あたり、好ましく0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、好ましく5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。
【0088】
本発明の好ましい一態様では、本発明の硬化性組成物が、成分(1)として、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含み、並びに本発明の硬化性組成物が、成分(1)としてリン酸変性(メタ)アクリレートを含むか、および/または成分(6)として安定剤を含む。この態様において、安定剤は、好ましくはホウ酸エステル化合物であり、より好ましくはトリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、およびトリ-n-ブチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはトリエチルボレートである。
【0089】
本発明の別の好ましい一態様では、成分(1)が、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物である。
【0090】
本発明の別の好ましい一態様では、成分(1)が、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、並びに本発明の硬化性組成物が、成分(6)として安定剤を含む。この態様において、安定剤は、好ましくはホウ酸エステル化合物であり、より好ましくはトリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、およびトリ-n-ブチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはトリエチルボレートである。
【0091】
本発明の別の好ましい一態様では、成分(1)が、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物であり、並びに本発明の硬化性組成物が、成分(6)として安定剤を含む。この態様において、安定剤は、好ましくはホウ酸エステル化合物であり、より好ましくはトリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、およびトリ-n-ブチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはトリエチルボレートである。
【0092】
本発明の別の好ましい一態様では、本発明の硬化性組成物が、成分(1)として、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートを含み、並びに本発明の硬化性組成物が、成分(1)としてリン酸変性(メタ)アクリレートを含むか、および/または成分(6)として安定剤を含む。この態様において、安定剤は、好ましくはホウ酸エステル化合物であり、より好ましくはトリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、およびトリ-n-ブチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはトリエチルボレートである。
【0093】
本発明の別の好ましい一態様では、成分(1)が、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物である。
【0094】
本発明の別の好ましい一態様では、成分(1)が、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートであり、並びに本発明の硬化性組成物が、成分(6)として安定剤を含む。この態様において、安定剤は、好ましくはホウ酸エステル化合物であり、より好ましくはトリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、およびトリ-n-ブチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはトリエチルボレートである。
【0095】
本発明の別の好ましい一態様では、成分(1)が、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートと、リン酸変性(メタ)アクリレートとの混合物であり、並びに本発明の硬化性組成物が、成分(6)として安定剤を含む。この態様において、安定剤は、好ましくはホウ酸エステル化合物であり、より好ましくはトリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、およびトリ-n-ブチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはトリエチルボレートである。
【0096】
<他の成分>
本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の硬化性組成物は、上述の成分とは異なる他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、重合禁止剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、バルビツール酸);酸化防止剤;無機フィラー(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化珪素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、石英粉等);ポリメタクリル酸メチルおよび/またはポリスチレンにこれらを構成するモノマーと共重合可能なモノマーとを共重合させた共重合体等からなる有機フィラー;チキソ剤;消泡剤;レベリング剤;カップリング剤;難燃剤;顔料;染料;蛍光剤等が挙げられる。他の成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0097】
<硬化性組成物の製造および硬化>
本発明の硬化性組成物は、例えば、ニーダー、攪拌混合機、三本ロールミル等を用いて、各成分を均一に混合することによって、一液型の硬化性組成物として調製することができる。混合の際の硬化性組成物の温度は、通常10~50℃、好ましくは20~40℃である。
【0098】
本発明の硬化性組成物を光硬化させる際に照射する光としては、紫外線が好ましい。照射する光のピーク波長は、好ましくは300~500nmである。照射する光の照度は、好ましくは100~5,000mW/cm、より好ましくは300~4,000mW/cmである。露光量は、好ましくは500~3,000mJ/cm、より好ましくは1,000~3,000mJ/cmである。
【0099】
光照射手段としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマーレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、蛍光灯、LED方式SPOT型UV照射器、キセノンランプ、DEEP UVランプ等が挙げられる。
【0100】
本発明の硬化性組成物を熱硬化させる際の加熱温度は特に限定はされないが、例えば50~150℃、好ましくは60~100℃である。本発明の硬化性組成物は低温硬化性に優れ、100℃以下の低い硬化温度においても、優れた熱硬化性を発揮し得る。本発明の硬化性組成物を熱硬化させる際の加熱時間は特に限定はされないが、例えば10~120分、好ましくは30~60分である。
【0101】
<硬化性組成物の用途>
本発明の硬化性組成物は、優れた光硬化性と優れた熱硬化性を併せ持ち、高い接着強度を有する硬化物を形成し得るので、接着剤、封止剤、コーティング剤等のために有用である。従って、本発明は、前記硬化性組成物を含む、接着剤、封止剤およびコーティング剤も提供する。接着剤としては、カメラモジュールの構成部品間の接着用であるものが好ましい。
【0102】
<カメラモジュールの製造方法>
本発明は、以下の工程(I)~(III):
(I)本発明の硬化性組成物が塗布された第一の接着部品と、第二の接着部品との位置決めを行う工程、
(II)前記硬化性組成物を光照射により硬化させて第一の接着部品および第二の接着部品間を仮固定する工程、および
(III)前記硬化性組成物を加熱により硬化させて第一の接着部品および第二の接着部品間を本固定する工程
を含む、カメラモジュールの製造方法を提供する。ここで第一の接着部品とは、本発明の硬化性組成物が塗布された部品を意味し、第二の接着部品とは、第一の接着部品と接着される他方の部品を意味する。第二の接着部品は、本発明の硬化性組成物が塗布されていてもよく、塗布されていなくてもよい。
【0103】
本発明の製造方法によれば、各部品が高精度に位置決めされ、且つ第一の接着部品および第二の接着部品間を高い接着強度で接着することができ、その結果、高品質のカメラモジュールを効率よく製造することができる。
【0104】
工程(II)では、第一の接着部品および第二の接着部品の配置位置の関係から、塗布された硬化性組成物に光が照射されない未照射部分が残ることがある。しかし、本発明の硬化性組成物は良好な熱硬化性を有しているため、光の未照射部分も、工程(III)の熱硬化によって十分に硬化が進行して本硬化に至り、塗布された硬化性組成物全体から高接着強度を有する硬化物を形成することができる。
【0105】
本発明のカメラモジュールの製造方法における工程(II)の光照射の条件および工程(III)の加熱条件は、上述した通りである。
【実施例
【0106】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0107】
1.原料
<成分(1):(メタ)アクリロイル基を有する化合物>
(1A)IRR-214K:ダイセル・オルネクス社製 トリシクロデカンジメタノール
ジアクリレート、分子量:300、1分子中のアクリロイル基の数:2
(1B)EBECRYL150:ダイセル・オルネクス社製 EO変性ビスフェノールA
ジアクリレート、分子量:512、1分子中のアクリロイル基の数:2
(1C)DPHA:ダイセル・オルネクス社製 ジペンタエリスリトール ヘキサアクリレート、分子量524、1分子中のアクリロイル基の数:6
(1D)EBECRYL168:ダイセル・オルネクス社製、リン酸変性メタクリレート、分子量:270、1分子中のメタクリロイル基の数:1.5
【0108】
<成分(2):固形エポキシ化合物>
(2A)jER1001:三菱ケミカル社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量(EPW):475g/eq、軟化点:64℃、1分子中のエポキシ基の数:2
(2B)jER4005P:三菱ケミカル社製 ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量(EPW):538g/eq、軟化点:87℃、1分子中のエポキシ基の数:2(2C)HP-7200:DIC社製 ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量(EPW):258g/eq、軟化点:56~66℃、1分子中のエポキシ基の数:2~3
(2D)YX4000H:三菱ケミカル社製 ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量(EPW):192g/eq、融点:105℃、1分子中のエポキシ基の数:2
【0109】
<成分(2’):液状エポキシ化合物>
(2’A)EX-211:ナガセケムテックス社製 ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量(EPW):138g/eq、25℃で液状、1分子中のエポキシ基の数:2
(2’B)jER828EL:三菱ケミカル社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量(EPW):190g/eq、25℃で液状、1分子中のエポキシ基の数:2(2’C)EXA-4816:DIC社製 脂肪族変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量(EPW)403g/eq、25℃で液状、1分子中のエポキシ基の数:2
(2’D)BF-1000:株式会社ADEKA製 エポキシ化1,2-ポリブタジエン、エポキシ当量(EPW):210g/eq、25℃で液状、1分子中のエポキシ基の数:5
【0110】
<成分(3):ポリチオール化合物>
(3A)PEMP:SC有機化学社製 ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量:489、1分子中のメルカプト基の数:4
(3B)PE1:昭和電工社製「カレンズMT」 ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、分子量:544、1分子中のメルカプト基の数:4
(3C)TMPIC:トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、分子量:351、1分子中のメルカプト基の数:3
【0111】
<成分(4):光ラジカル発生剤>
(4A)Irgacure 1173:BASF社製、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン
(4B)Esacure KIP 150:IGM Resins B.V.社製、2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オンのオリゴマー
【0112】
<成分(5):潜在性硬化剤>
(5A)PN-23:味の素ファインテクノ社製 アミン-エポキシアダクト系化合物
(5B)FXR1081:T&K TOKA社製 アミン-イソシアネートアダクト系化合物
【0113】
<成分(6):安定剤>
(6A)トリエチルボレート:東京化成工業社製
【0114】
2.評価試験
<接着強度の測定>
(1)光硬化後の接着強度1の測定
100mm×25mm×2mm厚の液晶ポリマー(LCP)板(JX日鉱日石エネルギー社製CM-301B)上に硬化性組成物を1~3mgの量で塗布し、その上にチップコンデンサー(JIS呼称 2012サイズ)を乗せ、下記の条件にて光硬化を行い、硬化物の接着強度1を測定し、下記基準で評価した。
【0115】
(2)光および熱硬化後の接着強度2の測定
上記と同様に、LCP板への硬化性組成物の塗布、チップコンデンサーの載置を行ったものに対し、下記の条件にて光および熱硬化を行い、硬化物の接着強度2を測定し、下記基準で評価した。
【0116】
(3)熱硬化後の接着強度3の測定
上記と同様に、LCP板への硬化性組成物の塗布、チップコンデンサーの載置を行ったものに対し、下記の条件にて熱硬化を行い、硬化物の接着強度3を測定し、下記基準で評価した。
【0117】
接着強度は、ボンドテスター(dega社製シリーズ4000)にてチップコンデンサーを横方向から破壊して、接着強度(N/mm)を測定した。測定は3回行い、その平均値を求めた。
【0118】
<熱硬化性の評価>
30mm×50mm×2mm厚のシリコーンゴムシート(アズワン社製)に直径5mmの穴を開け、その中に硬化性組成物を1~3mgの量で埋め込み、下記の条件にて熱硬化を行った。硬化物の指触試験により、熱硬化性を下記基準で評価した。
【0119】
<硬化条件>
(1)光硬化
パナソニック社製UV―LED照射装置UJ35により、照度2500mW/cmの紫外線(ピーク波長:365nm)を、二方向から角度45°(コンデンサーチップ表面への光の入射角度が45°)で、硬化性組成物に1.0秒間照射した(露光量2500mJ/cm)。
【0120】
(2)光および熱硬化
パナソニック社製UV―LED照射装置UJ35により、照度2500mW/cmの紫外線(ピーク波長:365nm)を、二方向から角度45°(コンデンサーチップ表面への光の入射角度が45°)で、硬化性組成物に1.0秒間照射(露光量2500mJ/cm)した。引き続き、光照射した硬化性組成物を熱風循環オーブンにて100℃で30分間加熱した。
【0121】
(3)熱硬化
硬化性組成物を、熱風循環オーブンにて100℃で30分間加熱した。
【0122】
<評価基準>
(1)光硬化後の接着強度1の評価基準
◎:10N/mm以上
○:5N/mm以上10N/mm未満
×:5N/mm未満
【0123】
(2)光および熱硬化後の接着強度2の評価基準
◎:30N/mm以上
○:15N/mm以上30N/mm未満
×:15N/mm未満
【0124】
(3)熱硬化後の接着強度3の評価基準
◎:30N/mm以上
○:15N/mm以上30N/mm未満
×:15N/mm未満
【0125】
(4)熱硬化性の評価基準
◎:指触後も、硬化物の外観に変化が見られない。
〇:指触後で、硬化物の外観に僅かに跡が残る。
×:硬化物に顕著なタックが認められる。
【0126】
3.実施例および比較例
下記表の上欄に示す量で各成分を配合して、実施例1~14および比較例1~7の硬化性組成物を調製した。なお、表に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。また、下記表には、「成分(1)中のアクリロイル基、メタクリロイル基および成分(2)エポキシ基の合計と成分(3)中のメルカプト基とのモル比」を「((メタ)アクリロイル基+エポキシ基)/メルカプト基」の欄に記載し、「硬化性組成物全体あたりの成分(3)の量」を「成分(3)の量」の欄に記載する。
【0127】
実施例1~13および比較例7では、成分(1)および(2)を100℃で混合および溶解し、室温(20~25℃)まで十分に冷ました後、そこへ成分(5)を添加して十分に分散させ、そこへ成分(3)および(4)を添加して混合した後、静置脱泡して、硬化性組成物を調製した。なお、成分(1)および(2)の混合および溶解以外の調製作業は室温で行った。
【0128】
実施例14では、成分(1)および(2)を100℃で混合および溶解し、室温(20~25℃)まで十分に冷ました後、そこへ成分(5)を添加して十分に分散させ、そこへ成分(3)および(4)を添加および混合した後に成分(6)を添加して混合した後、静置脱泡して、、硬化性組成物を調製した。なお、成分(1)および(2)の混合および溶解以外の調製作業は室温で行った。
【0129】
比較例1では、成分(1)へ成分(5)を添加して十分に分散させ、そこへ成分(3)および(4)を添加して混合した後、静置脱泡して、硬化性組成物を調製した。なお、調製作業は室温で行った。
【0130】
比較例2~5では、成分(1)および(2’)を混合した後、そこへ成分(5)を添加して十分に分散させ、そこへ成分(3)および(4)を添加して混合した後、静置脱泡して、硬化性組成物を調製した。なお、調製作業は室温で行った。
【0131】
比較例6では、成分(1)および(2)を100℃で混合および溶解し、室温(20~25℃)まで十分に冷ました後、そこへ成分(5)を添加して十分に分散させ、そこへ成分(4)を添加して混合した後、静置脱泡して、硬化性組成物を調製した。なお、成分(1)および(2)の混合および溶解以外の調製作業は室温で行った。
【0132】
実施例1~14および比較例1~7の硬化性組成物の評価試験の結果を下記表に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
実施例1~14の結果から、本発明の硬化性組成物は、優れた熱硬化性と優れた光硬化性を併せ持つことが分かる。このため、使用環境や用途に応じて、加熱による硬化と光照射による硬化とを選択して実施でき、また両方を組み合わせて実施できる。また、硬化して得られる硬化物は単位面積当たりの接着強度が高く、カメラモジュールにおける構成部品間の接着用の接着剤として有用である。これに対し、比較例1~7の硬化性組成物は、熱硬化性および光硬化性のどちらかが、不充分であった。特に、成分(3)を含まない比較例6の硬化性組成物、および成分(3)の量が少ない比較例7の硬化性組成物は、熱硬化性が不充分であった。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の硬化性組成物は、接着剤、封止剤、コーティング剤(特に、カメラモジュールを製造するために用いられる接着剤)等のために有用である。