(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】漏油センサー用光導波路および漏油センサー
(51)【国際特許分類】
G01M 3/16 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01M3/16 C
(21)【出願番号】P 2020171346
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠
(72)【発明者】
【氏名】寺田 信介
(72)【発明者】
【氏名】兼田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋武
(72)【発明者】
【氏名】木下 遼太
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-048533(JP,A)
【文献】特開2010-151718(JP,A)
【文献】実開昭59-058404(JP,U)
【文献】特開平08-061988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154380(US,A1)
【文献】米国特許第05269173(US,A)
【文献】特開昭54-121413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/40
G02B 6/00- 6/54
G01F 23/00- 23/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1保護層と、
第2保護層と、
前記第1保護層と前記第2保護層との間に設けられ、光入射面および光出射面を備えるコア部、
ならびに、側面クラッド部を有するコア層と、
を備え、
前記コア層の厚さ方向から見たとき、
前記コア部の前記光入射面および前記光出射面以外の側面部分が前記側面クラッド部に隣接しており、
前記コア部
の前記側面部分と前記コア層の側面との最短距離が1μm~1mmであり、
前記側面クラッド部の耐油性が、前記第1保護層の耐油性および前記第2保護層の耐油性の双方より低いことを特徴とする漏油センサー用光導波路。
【請求項2】
前記コア層は、厚さ方向から見たとき、一端部と他端部とを有する長尺状をなしており、
前記光入射面および前記光出射面は、前記一端部に設けられている請求項1に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項3】
前記コア部は、円弧に沿って延在する曲線部を含み、
前記曲線部は、光の伝搬方向を180°以上変化させる請求項2に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項4】
前記コア層を貫通する貫通孔を備え、
前記コア部は、前記貫通孔の縁に沿って延在する周回部を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項5】
前記コア部は、厚さ方向から見たとき、交差している交差部を含む請求項4に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項6】
前記交差部で交差している前記コア部同士がなす内角のうち、前記貫通孔側の内角に隣り合う内角の大きさを交差角とするとき、
前記交差角は、90°以下である請求項5に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項7】
前記コア層の前記側面のうち、
前記コア部と前記コア層の前記側面との距離が、前記最短距離の100%以上200%以下である部分をセンシング部とし、
前記コア部と前記コア層の前記側面との距離が、前記最短距離の200%超である部分を非センシング部としたとき、
前記コア層の前記側面は、前記センシング部および前記非センシング部の双方を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項8】
前記コア層の前記側面は、互いに離間した前記センシング部を複数有する請求項7に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項9】
前記第1保護層の前記コア層とは反対側に設けられている接着層を備える請求項1ないし8のいずれか1項に記載の漏油センサー用光導波路。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の漏油センサー用光導波路と、
前記光入射面に接続される発光部と、
前記光出射面に接続される受光部と、
前記受光部で受光した強度に基づいて、信号を出力する制御部と、
を備えることを特徴とする漏油センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏油センサー用光導波路および漏油センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油類と反応して漏油状態を感知する漏油感知センサーが開示されている。この漏油感知センサーは、炭酸ナノチューブ分散液、アルキッド樹脂および銀フレークを混合した混合物を、ベースフィルム層に印刷して形成された一対の導電ラインを有する。この導電ラインが油類に接触すると、アルキッド樹脂が溶けて途切れるため、導電ラインの抵抗値が上がる。この抵抗値の変化を制御器によって検出することにより、漏油の有無を確認することができる。
【0003】
一方、特許文献2には、光ファイバーを利用した漏油検知センサーが開示されている。この漏油検知センサーは、石英ガラス材のコア部の周りにポリマー材料のクラッド層を形成するとともに、クラッド層の一部に穴を加工した光ファイバーを備えている。この穴から表出したコア部に油が付着すると、光ファイバーを伝搬する光の減衰が大きくなる。この減衰を検知することにより、漏油の有無を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-528915号公報
【文献】実用新案登録第3176191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、電気信号を用いて漏油の有無を確認する。このため、特許文献1に記載の漏油感知センサーでは、電気信号が火花等を発生させるおそれがある。したがって、引火性の油類を感知する用途では電気信号を用いた漏油感知センサーを使いにくいという課題がある。
【0006】
特許文献2に記載の考案では、光信号を用いて漏油の有無を確認する。このため、特許文献2に記載の漏油検知センサーは、引火性の油類に対しても使用可能である。しかしながら、クラッド層に設けた穴から表出したコア部に水が付着した場合でも、光ファイバーを伝搬する光が減衰する。このため、屋外や水を使用する環境では使用できないという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、油の引火性や使用環境によらず、漏油を検出可能な漏油センサー、および、かかる漏油センサーを実現可能な漏油センサー用光導波路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)~(10)の本発明により達成される。
(1) 第1保護層と、
第2保護層と、
前記第1保護層と前記第2保護層との間に設けられ、光入射面および光出射面を備えるコア部、ならびに、側面クラッド部を有するコア層と、
を備え、
前記コア層の厚さ方向から見たとき、前記コア部の前記光入射面および前記光出射面以外の側面部分が前記側面クラッド部に隣接しており、
前記コア部の前記側面部分と前記コア層の側面との最短距離が1μm~1mmであり、
前記側面クラッド部の耐油性が、前記第1保護層の耐油性および前記第2保護層の耐油性の双方より低いことを特徴とする漏油センサー用光導波路。
【0009】
(2) 前記コア層は、厚さ方向から見たとき、一端部と他端部とを有する長尺状をなしており、
前記光入射面および前記光出射面は、前記一端部に設けられている上記(1)に記載の漏油センサー用光導波路。
【0010】
(3) 前記コア部は、円弧に沿って延在する曲線部を含み、
前記曲線部は、光の伝搬方向を180°以上変化させる上記(2)に記載の漏油センサー用光導波路。
【0011】
(4) 前記コア層を貫通する貫通孔を備え、
前記コア部は、前記貫通孔の縁に沿って延在する周回部を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の漏油センサー用光導波路。
【0012】
(5) 前記コア部は、厚さ方向から見たとき、交差している交差部を含む上記(4)に記載の漏油センサー用光導波路。
【0013】
(6) 前記交差部で交差している前記コア部同士がなす内角のうち、前記貫通孔側の内角に隣り合う内角の大きさを交差角とするとき、
前記交差角は、90°以下である上記(5)に記載の漏油センサー用光導波路。
【0014】
(7) 前記コア層の前記側面のうち、
前記コア部と前記コア層の前記側面との距離が、前記最短距離の100%以上200%以下である部分をセンシング部とし、
前記コア部と前記コア層の前記側面との距離が、前記最短距離の200%超である部分を非センシング部としたとき、
前記コア層の前記側面は、前記センシング部および前記非センシング部の双方を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の漏油センサー用光導波路。
【0015】
(8) 前記コア層の前記側面は、互いに離間した前記センシング部を複数有する上記(7)に記載の漏油センサー用光導波路。
【0016】
(9) 前記第1保護層の前記コア層とは反対側に設けられている接着層を備える上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の漏油センサー用光導波路。
【0017】
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の漏油センサー用光導波路と、
前記光入射面に接続される発光部と、
前記光出射面に接続される受光部と、
前記受光部で受光した強度に基づいて、信号を出力する制御部と、
を備えることを特徴とする漏油センサー。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、油の引火性や使用環境によらず、漏油を検出可能な漏油センサーが得られる。
【0019】
また、本発明によれば、上記漏油センサーを実現可能な漏油センサー用光導波路が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る漏油センサー用光導波路を用いた漏油センサーの使用状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す漏油センサーの動作を説明する平面図である。
【
図4】
図1に示す漏油センサー用光導波路の部分拡大斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路を示す平面図である。
【
図7】第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路の第1変形例を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路の第2変形例を示す平面図である。
【
図10】第3実施形態に係る漏油センサー用光導波路を示す平面図である。
【
図11】周回部Rに対応する円Cと、円Cの中心Oと、交差部CPと、コア部と、の位置関係を模式化した図である。
【
図12】交差角θを45°から120°まで変化させたとき、円Cと交差部CPとの距離Lがどのように変化するかを計算によって示した一覧表である。
【
図13】第4実施形態に係る漏油センサー用光導波路を示す部分拡大平面図である。
【
図14】第5実施形態に係る漏油センサー用光導波路を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の漏油センサー用光導波路および漏油センサーについて添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
1.漏油センサー
まず、後述する第1実施形態に係る漏油センサー用光導波路1を用いた漏油センサー100について説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態に係る漏油センサー用光導波路1を用いた漏油センサー100の使用状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す漏油センサー100の断面図である。
図3は、
図1に示す漏油センサー100の動作を説明する平面図である。なお、各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、矢印で示している。そして、矢印の基端側を各軸の「マイナス側」、先端側を各軸の「プラス側」という。また、Z軸を表す矢印の先端側を「上」といい、基端側を「下」という。
【0024】
図1ないし
図3に示す漏油センサー100は、漏油センサー用光導波路1、光を射出する発光素子101、102、光を受光する受光素子103、104、および、受光強度に基づいて検出結果を出力する制御部106を備える。
【0025】
漏油センサー用光導波路1は、
図1ないし
図3に示すように、被着体9に貼り付けられた状態で使用される。
【0026】
図1に示す被着体9は、内部に流路を有する本体91と、蓋体92と、4本のボルト93と、を備えている。ボルト93は、蓋体92を貫通する貫通孔に挿通され、本体91に形成されたネジ孔に螺合する。これにより、蓋体92を本体91に圧接させ、内部を液密に封止する。その結果、本体91の流路に油類を流通させることができる。
【0027】
したがって、被着体9は、例えば漏油の可能性がある構造物である。
図1に示す漏油センサー用光導波路1は、被着体9の外表面に貼り付けられ、被着体9の外表面に漏れ出る油類の有無を検出する。これにより、漏油センサー100は、被着体9における異常の有無を検出することができる。なお、漏洩センサー用光導波路1の被着体9への貼り付け場所は、特に限定されないが、漏油検知に効果的な場所であるのが好ましい。したがって、漏油センサー用光導波路1の貼り付け場所は、
図1に示す場所に限定されず、例えば、
図1に示す被着体9の左右面であってもよく、左右面から上下面にまたがる場所であってもよい。
【0028】
検出対象の油類としては、例えば、原油、重油、軽油、ガソリン、潤滑油、鉱物油、ギアオイル、モーター油、内燃機関油、トランス油等が挙げられる。
【0029】
漏油センサー100では、被着体9に漏油センサー用光導波路1を貼り付けた状態で、
図3に示すように、発光素子101、102から漏油センサー用光導波路1に入射光L1を連続的または断続的に入射する。入射光L1は、漏油センサー用光導波路1の内部で伝搬方向が折り返され、出射光L2として出射する。この出射光L2を受光素子103、104で受光し、制御部106で強度をモニターする。
【0030】
このように出射光L2の強度をモニターしている状態で、被着体9の表面に油類が漏れ出すと、漏れ出た油類が漏油センサー用光導波路1に侵入し、内部を膨潤または溶解させる。そうすると、この部位では、伝送損失が増大するため、出射光L2の強度は、平常時よりも小さくなる。これにより、制御部106では、出射光L2の強度の減少を検出し、それに基づいて漏油の有無を捉えることができる。その結果、漏油センサー100は、被着体9からの漏油を検出するセンサーとして機能する。
【0031】
発光素子101、102は、漏油センサー用光導波路1に入射光L1を入射する。発光素子101、102としては、例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、発光ダイオード等が挙げられる。
【0032】
受光素子103、104は、漏油センサー用光導波路1から出射する出射光L2を受光し、制御部106に受光信号を出力する。受光素子103、104としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスター等が挙げられる。
【0033】
制御部106は、受光信号に基づいて検出結果を出力する。このような制御部106は、例えば、内部バスで互いに接続されたプロセッサー、メモリーおよび外部インターフェース等を備えるデバイスで構成される。制御部106は、メモリーに記憶されているプログラムをプロセッサーで実行することにより動作する。動作内容としては、例えば、受光強度を定量的または定性的に報知する動作の他、メモリーに記憶させておいた、受光強度と被着体9に発生する事象との関係に基づき、被着体9の漏油の有無を報知する動作等が挙げられる。
【0034】
なお、制御部106は、上記デバイスの他、ドライバーIC、アンプICのような集積回路素子やその他の能動素子、各種受動素子等を備えていてもよい。
【0035】
2.漏油センサー用光導波路
2.1.第1実施形態
次に、第1実施形態に係る漏油センサー用光導波路について説明する。
図4は、
図1に示す漏油センサー用光導波路1の部分拡大斜視図である。
【0036】
本実施形態に係る漏油センサー用光導波路1は、
図2および
図4に示すように、下方から、第1保護層18、クラッド層11、コア層13、クラッド層12、および第2保護層19がこの順で積層されてなるシート体10を備える。各層は、X-Y面に広がっている。コア層13中には、
図4に示すように、2本の長尺状のコア部14と、コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。
【0037】
図3に示す漏油センサー用光導波路1の外縁の形状は、コア層13を厚さ方向から見たときに長尺状をなす形状、具体的には長方形であるが、この形状は特に限定されず、正方形、六角形のような多角形、真円、楕円、長円のような円形、円環、枠のような環状、その他の形状であってもよい。漏油センサー用光導波路1のコア層13のうち、Y軸と交差する端面131に、コア部14の長手方向の両端が露出している。すなわち、各コア部14は、
図3に示すように、途中で180°折り返すように湾曲した形状をなしている。
【0038】
漏油センサー用光導波路1の全長は、特に限定されないが、一例として10cm以上とされ、1m以上1000m以下としてもよい。これにより、広い範囲に漏油センサー用光導波路1を敷設することができる。その結果、広い範囲で漏油を検出可能な漏油センサー100を実現することができる。
【0039】
漏油センサー用光導波路1の幅は、特に限定されないが、好ましくは0.1cm以上1m以下とされ、より好ましくは1cm以上30cm以下とされる。
【0040】
漏油センサー用光導波路1は、
図2に示すように、第1保護層18の下面を接着面109として、被着体9に接着するように用いられる。接着面109と被着体9との間には、必要に応じて
図2に示す接着層2を介在させてもよい。接着層2の接着性を利用して、漏油センサー用光導波路1を被着体9に固定することができる。また、漏油センサー用光導波路1は、シート状をなしているため、被着体9の表面に貼り付ける作業を容易に行うことができる。
【0041】
以下、漏油センサー用光導波路1の各部についてさらに詳述する。
2.1.1.コア層
コア部14は、
図4に示すように、その側面が、側面クラッド部15およびクラッド層11、12で囲まれている。そして、コア部14の屈折率は、側面クラッド部15やクラッド層11、12の屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部14に光を閉じ込めて伝搬させることができる。
【0042】
コア層13において、コア部14の光路に直交する面内における屈折率分布は、いかなる分布であってもよく、例えば屈折率が不連続的に変化した、いわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化した、いわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
【0043】
Y-Z面によるコア部14の断面形状、つまりコア部14の横断面形状は、特に限定されないが、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、その他の異形状が挙げられる。
【0044】
コア層13の平均厚さは、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、5~100μm程度であるのがより好ましく、10~70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部14に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0045】
コア層13の構成材料(主材料)としては、油類との接触によって膨潤または溶解し得る材料が用いられる。具体的には、コア層13の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等が挙げられる。なお、樹脂材料には、異なる組成のものを組み合わせた複合材料も用いられる。また、本明細書において「主材料」とは、構成材料の50質量%以上を占める材料のことをいい、好ましくは70質量%以上を占める材料のことをいう。
【0046】
このうち、コア層13の構成材料としては、特に、環状エーテル系樹脂または環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。これらは、油類に対する膨潤または溶解が適度に生じる。このため、コア層13の構成材料として特に有用である。
【0047】
なお、コア部14と側面クラッド部15とで、構成材料が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0048】
2.1.2.クラッド層
クラッド層11、12は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよいが、本実施形態に係る漏油センサー用光導波路1は、クラッド層11、12を有している。これにより、コア部14とその外部との間で、安定した屈折率差を形成し、維持することができる。このため、コア部14の伝送効率をより高めることができる。なお、
図1では、図示の便宜のため、クラッド層11、12を省略している。
【0049】
クラッド層11、12の平均厚さは、それぞれ1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、クラッド層11、12に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0050】
クラッド層11、12の主材料は、例えば、前述したコア層13の構成材料として挙げた材料から適宜選択して用いられる。
【0051】
なお、クラッド層11、12のいずれか一方または双方は、側面クラッド部15と一体になっていてもよい。
【0052】
2.1.3.保護層
第1保護層18は、クラッド層11の下面に設けられている。第2保護層19は、クラッド層12の上面に設けられている。このような第1保護層18および第2保護層19を設けることにより、コア層13やクラッド層11、12を保護し、外部環境等に起因したコア部14の伝送効率の低下を抑制することができる。
【0053】
第1保護層18および第2保護層19の平均厚さは、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~50μm程度であるのがさらに好ましい。
【0054】
第1保護層18および第2保護層19は、互いに同じ構成であっても互いに異なる構成であってもよい。例えば、第1保護層18および第2保護層19は、平均厚さが互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0055】
第1保護層18および第2保護層19の主材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
【0056】
このうち、第1保護層18および第2保護層19の主材料は、それぞれポリイミド系樹脂であるのが好ましい。ポリイミド系樹脂は、弾性率が比較的大きく、熱分解温度も高いことから、外力や外部環境に対する十分な耐久性を有している。
【0057】
なお、第1保護層18および第2保護層19の構成材料には、必要に応じて、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、劣化防止剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。このうち、フィラーを添加することにより、第1保護層18および第2保護層19の熱膨張係数を調整することができる。
【0058】
また、第1保護層18および第2保護層19は、被着体9との接着性を向上させるため、凹凸やエンボス加工等、接着面を大きくする構造を有していてもよい。さらに、第1保護層18および第2保護層19は、立体的な曲面等に沿わせることができるように、凹みやスリット等の構造を有していてもよい。
【0059】
2.1.4.接着層
図2に示す接着層2は、漏油センサー用光導波路1を被着体9に貼り付けるとき、双方の間を接着する。接着層2は、被着体9側に設けられていてもよいが、漏油センサー用光導波路1側に設けておいてもよい。すなわち、漏油センサー用光導波路1は、第1保護層18の下面に設けられた、未硬化の接着層2を備えていてもよい。これにより、漏油センサー用光導波路1を被着体9に貼り付ける作業を効率よく行うことができる。
【0060】
接着層2を構成する接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤の他、ポリエステル系、変性オレフィン系の各種ホットメルト接着剤等が挙げられる。
【0061】
未硬化の接着層2は、未硬化の状態が液状であっても、固形または半固形であってもよく、硬化反応が一部進行している状態であってもよい。また、接着層2の硬化原理は、熱硬化性であっても、光硬化性であってもよい。さらに、未硬化の接着層2は、第1保護層18の下面全体に設けられていてもよいし、一部のみに設けられていてもよい。硬化後の接着層2の厚さは、特に限定されないが、1~100μmであるのが好ましく、5~60μmであるのがより好ましい。
【0062】
2.1.5.センシング部
図3に示すコア層13は、前述したように、途中で180°折り返すように湾曲した形状をなすコア部14を2本有している。これら2本のコア部14を、コア部141およびコア部142とする。
【0063】
コア部141は、光入射面1411と、入射部1413と、折り返し部1415と、出射部1417と、光出射面1419と、を有する。
【0064】
光入射面1411は、発光素子101から出射した入射光L1が入射する面である。入射部1413は、光入射面1411と折り返し部1415とを接続する。折り返し部1415は、入射部1413と出射部1417とを接続し、ほぼ180°折り返すように湾曲した部位である。出射部1417は、折り返し部1415と光出射面1419とを接続する。光出射面1419は、出射光L2が出射する面であり、出射した出射光L2は、受光素子103で受光される。
【0065】
コア部142は、光入射面1421と、入射部1423と、折り返し部1425と、出射部1427と、光出射面1429と、を有する。
【0066】
光入射面1421は、発光素子102から出射した入射光L1が入射する面である。入射部1423は、光入射面1421と折り返し部1425とを接続する。折り返し部1425は、入射部1423と出射部1427とを接続し、ほぼ180°折り返すように湾曲した部位である。出射部1427は、折り返し部1425と光出射面1429とを接続する。光出射面1429は、出射光L2が出射する面であり、出射した出射光L2は、受光素子104で受光される。
【0067】
本実施形態では、厚さ方向から見たとき、コア層13が、一端部と他端部とを有する長尺状をなしている。そして、光入射面1411、1421および光出射面1419、1429は、一端部である端面131に設けられている。
【0068】
このような構成によれば、発光素子101、102、受光素子103、104および制御部106を、いずれも漏油センサー用光導波路1の端面131側にまとめて配置することができる。このため、電気信号を用いる部位と、電気信号を用いない部位と、を区分けすることができ、電気信号が油類に引火するのを防ぎやすくなる。
【0069】
なお、本実施形態では、光入射面1411、1421および光出射面1419、1429の全てが一端部である端面131に設けられているが、これらの少なくとも1つは他端部に設けられていてもよい。
【0070】
また、一端部は、端面131だけでなく、端面131近傍の範囲を指す。したがって、光入射面1411、1421および光出射面1419、1429は、例えば、一端部に設けられた光路変換用の反射面(ミラー)であってもよい。この反射面は、例えば、コア部14の光路に対して斜めに配置された傾斜面であり、コア部14の光路を反射により変換する。これにより、漏油センサー用光導波路1の上面側または下面側に発光素子101、102および受光素子103、104を配置したとき、これらの素子に対してコア部14の光路を結合させることができる。その結果、素子の表面実装が可能になる。一端部だけでなく、他端部についても、同様である。
【0071】
また、光入出射面1411、1421および光出射面1419、1429には、図示しない光ファイバーが接続されていてもよい。これにより、光ファイバーを介して光入射面1411、1421および光出射面1419、1429と発光素子101、102および受光素子103、104との間を結合させることができる。なお、その場合、端面131に図示しない光コネクターを装着するようにしてもよい。
【0072】
なお、光入射面1411、1421および光出射面1419、1429の位置は、特に限定されず、例えば、一端部や他端部以外の部位に設けられていてもよい。
【0073】
また、漏油センサー用光導波路1は、側面132を有する。この側面132は、コア層13の側面である。そして、この側面132には、コア部14は露出せず、側面クラッド部15が露出している。側面クラッド部15が側面132に露出することにより、平常時、つまり、漏油が発生していないときには、コア部14の伝送特性が一定に維持される。換言すれば、コア部14が側面132に露出していると、例えば水分等が付着した場合にコア部14の伝送特性が変化するおそれがあるが、本実施形態では、側面クラッド部15が露出しているため、そのような不安定要素が排除されている。
【0074】
図5は、
図3の部分拡大図である。コア層13を厚さ方向から見たとき、つまり、Z軸に沿う位置から見たとき、
図5に示すコア部14と側面132との最短距離をSmとする。この側面132とは、コア層13の主面同士を繋ぐ面のうち、前述した端面131以外の面のことをいう。したがって、最短距離Smは、この側面132とコア部14との離間距離Sのうちの最短の距離である。また、離間距離Sとは、コア部14の輪郭線に対して直交する方向において、側面132とコア部14との距離のことをいう。
【0075】
本実施形態では、最短距離Smが1μm~1mmである。この最短距離Smは、換言すれば、コア部14と外気とを隔てている側面クラッド部15の厚さに相当する。漏油センサー100が油類を検出するときには、この側面クラッド部15に油類が侵入してコア部14に到達し、側面クラッド部15およびコア部14の膨潤、溶解等が生じる。最短距離Smをこのような範囲に設定することにより、この最短距離Smを満たす領域が、油類を最短時間で侵入させる領域となる。したがって、本実施形態では、側面132のうち、離間距離Sが最短距離Sm以上で、かつ、最短距離Smの2倍値Sm2以下を満たす領域を「センシング部SA」とする。また、側面132のうち、センシング部SA以外の領域を「非センシング部N」とする。
【0076】
センシング部SAは、通常、被着体9の外表面のうち、漏油する可能性が高い位置に近接するように配置される。これにより、漏油が発生した場合には、漏れ出た油類をセンシング部SAにおいていち早く捉えることができる。
【0077】
また、最短距離Smは、好ましくは2~500μmとされ、より好ましくは3~100μmとされ、さらに好ましくは4~30μmとされ、特に好ましくは5~20μmとされる。
【0078】
なお、最短距離Smが前記下限値を下回ると、コア部14と側面132との間を隔てている側面クラッド部15の長さが短くなりすぎる。そうすると、コア部14を伝搬する光が側面クラッド部15を貫通して漏れ出しやすくなる。また、側面クラッド部15の構成材料によっては、油類による膨潤や溶解等が過剰になり、感度が高くなりすぎるおそれがある。一方、最短距離Smが前記上限値を上回ると、側面クラッド部15の長さが長くなりすぎるため、側面クラッド部15の構成材料によっては、侵入した油類がコア部14に到達するまで、長時間を要する。そうすると、漏油センサー100の感度が著しく低下する。
【0079】
一方、最短距離Smを満たす領域をセンシング部SAとして機能させるため、本実施形態では、側面クラッド部15の耐油性を、第1保護層18や第2保護層19の耐油性よりも低くしている。これにより、油類の侵入経路を絞り込むことができるので、油類を検出する感度のバラつきを小さく抑えることができる。その結果、検出特性が安定した漏油センサー100を実現することができる。
【0080】
また、耐油性を前述したように設定することで、例えば漏油センサー100を被着体9に貼り付けるときや、接着層2を形成するとき等に、作業者の手指の脂や接着層2に含まれる溶媒等の影響を受けにくい漏油センサー用光導波路1が得られる。これにより、使用環境によらず、感度のバラつきが少ない漏油センサー用光導波路1を実現することができる。
【0081】
なお、耐油性は、JIS K 6258:2016に規定されている試験用潤滑油No.3油を用い、JIS K 7114:2001に規定されている試験方法に基づいて求めた質量変化率により評価することができる。すなわち、側面クラッド部15の耐油性が低いとは、試験用潤滑油No.3油を接触させたときの側面クラッド部15の質量変化率が、第1保護層18や第2保護層19の質量変化率より大きいことをいう。
【0082】
これらの差は、特に限定されないが、3%以上であるのが好ましく、5~90%であるのがより好ましく、10~80%であるのがさらに好ましい。これにより、耐油性の差を最適化することができる。その結果、第1保護層18や第2保護層19に十分な耐油性を与えつつ、センシング部SAの油類に対する感度を高めることができる。つまり、漏油センサー用光導波路1の取り扱いやすさと感度との両立を図ることができる。
【0083】
なお、この質量変化率は、各材料で作成した縦60mm×横60mm×厚さ1mmの試験片を用意し、試験用潤滑油に168時間浸漬する試験前後での質量変化の割合である。
【0084】
2.1.6.非センシング部
非センシング部Nは、前述したように、コア層13の側面132のうち、センシング部SA以外の領域である。非センシング部Nは、離間距離Sが最短距離Smの200%超である領域である。非センシング部Nを設けることにより、検出能力をセンシング部SAに絞り込みやすくなる。
【0085】
非センシング部Nは、特に、離間距離Sが最短距離Smの500%以上の領域を有しているのが好ましく、1000%以上の領域を有しているのがより好ましい。これにより、センシング部SAと非センシング部Nとの差を十分に確保することができる。その結果、センシング部SAに検出能力を絞り込むという効果がより顕著に得られる。
【0086】
また、離間距離Sのうち、最も長い距離を最長距離としたとき、最長距離は、特に限定されないが、漏油センサー用光導波路1の小型化等を考慮すれば、30mm以下であるのが好ましい。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る漏油センサー用光導波路1は、第1保護層18と、第2保護層19と、コア層13と、を備える。コア層13は、第1保護層18と第2保護層19との間に設けられ、光入射面1411、1421および光出射面1419、1429を備えるコア部14、および、側面クラッド部15を有する。このような漏油センサー用光導波路1では、コア層13の厚さ方向から見たとき、コア部14とコア層13の側面132との最短距離Smが1μm~1mmである。また、側面クラッド部15の耐油性は、第1保護層18の耐油性および第2保護層19の耐油性の双方より低い。
【0088】
このような漏油センサー用光導波路1を用いることにより、電気信号を使用することなく漏油を検出することができる。このため、かかる漏油センサー用光導波路1によれば、検出対象の油類の引火性や使用環境によらず、漏油を検出可能な漏油センサー100を実現することができる。
【0089】
また、漏油センサー用光導波路1は、薄く、曲げやすく、貼り付けやすい形状を有している。このため、被着体9へ容易に取り付けることができる。
【0090】
さらに、コア層13は、コア部14とその側面を覆う側面クラッド部15とを有している。したがって、コア部14が側面132に露出することがないので、漏油センサー用光導波路1では、水分や異物の付着に伴う誤検出の発生が抑制される。
【0091】
また、コア部14は、円弧に沿って延在する曲線部を含む折り返し部1415、1425を有している。すなわち、本実施形態に係る折り返し部1415、1425は、それぞれ、曲線部と直線部とで構成されている。そして、この曲線部は、光の伝搬方向を180°またはそれ以上変化させるような形状をなしている。このため、伝搬方向が変わるときの損失を抑えつつ、光の伝搬方向を反転させることができ、光入射面1411、1421および光出射面1419、1429を同一の端面131に集約することができる。これにより、電気信号を用いる部位を端面131側に集約することができ、取り扱いおよび設置が容易な漏油センサー100を実現することができる。
【0092】
なお、円弧とは、任意の中心点を持つ円周の一部である。円弧に沿って延在する曲線部では、曲げ半径が一定であるため、曲げ半径が変化する場合に比べて曲げ損失を抑えやすい。
【0093】
また、コア層13の側面132のうち、コア部14とコア層13の側面132との離間距離Sが、最短距離Smの100%以上200%以下である部分をセンシング部SAとし、コア部14とコア層13の側面132との離間距離Sが、最短距離Smの200%超である部分を非センシング部Nとする。このとき、コア層13の側面132は、センシング部SAのみであってもよいが、本実施形態では、センシング部SAおよび非センシング部Nの双方を有する。
【0094】
このような構成によれば、漏油センサー用光導波路1の一部にセンシング部SAを設け、それ以外を非センシング部Nとすることができる。これにより、特に漏油を検出したい個所に検出能力を絞り込むことができる。その結果、漏油個所の絞り込みが容易な漏油センサー100を実現し得る漏油センサー用光導波路1が得られる。
【0095】
また、本実施形態に係る漏油センサー用光導波路1は、2本のコア部14として、コア部141およびコア部142を有する。コア部141およびコア部142は、それぞれセンシング部SAを有している。したがって、コア層13の側面132は、互いに離間したセンシング部SAを複数有している。
【0096】
このような構成では、漏油の有無だけでなく、漏油個所の特定も可能になる。その結果、漏油個所を特定可能な漏油センサー100を実現することができる。
【0097】
図3に示す漏油センサー用光導波路1では、Y軸に沿って2つのセンシング部SAが並んでいる。これにより、Y軸方向における漏油個所を特定することができる。なお、センシング部SAは、Y軸方向に加えてX軸方向にも並ぶように構成されていてもよい。また、
図3では、側面132のうち、X軸マイナス側の面にのみセンシング部SAが設けられているが、X軸プラス側の面にもセンシング部SAが設けられていてもよい。
【0098】
なお、漏油センサー用光導波路1が有するコア部14の数は、特に限定されず、1つであっても、3つ以上であってもよい。また、1つのコア部14が、複数のセンシング部SAを有していてもよい。
【0099】
また、
図2に示す漏油センサー用光導波路1は、シート体10と、シート体10の一方の面に設けられている前述の接着層2と、を有している。換言すれば、漏油センサー用光導波路1は、第1保護層18のコア層13とは反対側に設けられている接着層2を有する。
【0100】
このような構成によれば、漏油センサー用光導波路1を被着体9に貼り付ける作業を効率よく行うことができる。
【0101】
また、本実施形態に係る漏油センサー100は、漏油センサー用光導波路1と、発光部である発光素子101、102と、受光部である受光素子103、104と、制御部106と、を備える。発光素子101、102は、漏油センサー用光導波路1の光入射面1411、1421に接続される。受光素子103、104は、漏油センサー用光導波路1の光出射面1419、1429に接続される。制御部106は、受光素子103、104で受光した強度に基づいて、信号を出力する。
【0102】
このような構成によれば、電気信号を使用することなく漏油を検出する漏油センサー100を実現することができる。また、この漏油センサー100は、検出対象の油類の引火性や使用環境によらず、漏油を検出することができる。
【0103】
2.2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路について説明する。
図6は、第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Aを示す平面図である。
【0104】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図6において、第1実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0105】
図6に示す漏油センサー用光導波路1Aは、Z軸に沿ってシート体10を貫通する2つの貫通孔3を有している。そして、
図6に示す漏油センサー用光導波路1Aでは、貫通孔3の縁に沿ってセンシング部SAが設定されている。つまり、貫通孔3の縁も、前述した側面132の一部である。そして、漏油センサー用光導波路1Aでも、この貫通孔3の縁(側面132)とコア部14との離間距離が、前述した最短距離になっている。これにより、漏油センサー用光導波路1Aでは、貫通孔3の縁から油類を侵入させ、漏油を検出する。
【0106】
また、漏油センサー用光導波路1Aでは、この貫通孔3の縁に沿ってコア部14が延在している。これにより、
図6に示すコア部14は、貫通孔3の縁に沿って貫通孔3を周回するように延在する周回部Rを有している。
図6では、前述した折り返し部1415、1425がそれぞれ周回部Rに相当する。
【0107】
貫通孔3の縁と周回部Rとの離間距離Sは、貫通孔3の縁の一部を除いてほぼ一定であり、かつ、前述したセンシング部SAの要件を満たしている。これにより、本実施形態では、貫通孔3の縁に沿ったセンシング部SAを設定することができる。
【0108】
なお、貫通孔3の縁に沿ったセンシング部SAは、貫通孔3の縁の全周のうち、30%以上に設定されているのが好ましく、50%以上に設定されているのがより好ましい。これにより、センシング部SAが十分に広く設定されるので、漏油の不検出が発生しにくくなる。
【0109】
図6では、被着体9の本体91と蓋体92との境界が、貫通孔3から見えるように、漏油センサー用光導波路1Aを貼り付けている。これにより、この境界から漏れ出た油類を、センシング部SAでいち早く捉えることができる。また、貫通孔3から被着体9の外表面を覗くことができ、かつ、貫通孔3の縁がセンシング部SAに対応しているため、被着体9に対して漏油センサー用光導波路1Aを貼り付ける際の位置合わせが容易になる。なお、この配置は、特に限定されず、例えば、貫通孔3から境界が直接見えていなくてもよい。
【0110】
また、本実施形態では、センシング部SAがコア層13に取り囲まれているため、漏油センサー用光導波路1Aを貼り付ける作業を行うとき、センシング部SAを傷つけてしまう可能性が低くなる。このため、その観点でも、漏油センサー用光導波路1Aは取り扱いが容易である。
【0111】
さらに、貫通孔3には、必要に応じて、ボルト等の締結部材あるいはその他の部品を配置することができる。具体的には、ボルト93を貫通孔3の内側に配置することで、ボルト93を避けながら、漏油センサー用光導波路1を蓋体92に密着させることができる。これにより、例えばボルト93等の突起部が漏油個所になり得る被着体9の場合であっても、その漏油個所に近接するようにセンシング部SAを配置することが可能になる。
【0112】
コア層13を厚さ方向から見たとき、
図6に示す貫通孔3は、長円形をなしている。このような円形をなす貫通孔3は、シート体10に発生する亀裂の起点になりにくい。このため、円形をなす貫通孔3は、シート体10の機械的強度の観点から有用である。
【0113】
なお、貫通孔3の形状は、特に限定されず、長円形以外の円形、例えば楕円形、真円形であってもよいし、その他の形状、例えば四角形、六角形のような多角形等であってもよい。貫通孔3の数は、特に限定されず、1つでも、3つ以上であってもよい。また、貫通孔3は、少なくとも貫通孔3を貫通していればよいが、被着体9側に位置する第1保護層18およびクラッド層11も貫通しているのが好ましい。なお、本実施形態ではシート体10を貫通している。
【0114】
以上のように、本実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Aは、少なくともコア層13を貫通する貫通孔3を備えている。そして、コア部14は、貫通孔3の縁に沿って延在する周回部Rを含む。
【0115】
このような構成によれば、貫通孔3の縁に沿ってセンシング部SAを設定することが可能になる。このため、例えば漏油センサー用光導波路1Aを被着体9に貼り付ける作業を行うとき、センシング部SAが傷つきにくくなる。また、被着体9にボルト等の突起部が設けられている場合でも、貫通孔3の内側に突起部を配置することにより、漏油センサー用光導波路1Aを安定して貼り付けることができる。これにより、突起部周辺の漏油の有無を安定して検出可能な漏油センサー100を実現することができる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0116】
2.2.1.第1変形例
図7は、第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路の第1変形例を示す平面図である。
図8は、
図7の断面図である。
【0117】
以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0118】
図7に示す漏油センサー用光導波路1Bは、第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Aと同様の構成に、被覆フィルム4を追加したものである。
【0119】
被覆フィルム4は、コア層13の厚さ方向から見たとき、
図7に示すように、シート体10よりも外側に広がっている。このため、被覆フィルム4のうち、シート体10からはみ出している部分は、
図8に示すように、被着体9に直接貼り付けられている。
【0120】
このような被覆フィルム4を設けることにより、漏油センサー用光導波路1Bを被着体9に貼り付けた後、シート体10が傷つけられたり、光や水分、熱等で劣化したりするのを抑制することができる。これにより、長期にわたってシート体10の状態を良好に維持することができる。
【0121】
また、
図7に示す被覆フィルム4は、貫通孔3を覆うように設けられる。このため、被着体9から漏れ出た油類が貫通孔3に留まりやすくなり、センシング部SAへの侵入を促進することができる。
【0122】
被覆フィルム4の構成材料としては、例えば、前述した第1保護層18や第2保護層19の主材料として挙げた材料が用いられる。
【0123】
また、被覆フィルム4の平均厚さも、例えば、第1保護層18や第2保護層19の平均厚さの範囲内で設定される。
【0124】
なお、
図8に示す第2保護層19を拡張することによって、被覆フィルム4と同等の機能を持たせるようにしてもよい。換言すれば、
図8に示す第2保護層19を省略し、代わりに、
図8に示す被覆フィルム4を第2保護層19とするようにしてもよい。
以上のような第1変形例においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0125】
2.2.2.第2変形例
図9は、第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路の第2変形例を示す平面図である。
【0126】
以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0127】
図9に示す漏油センサー用光導波路1Cは、第2実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Aのコア部141およびコア部142を、それぞれ2重化したものである。
【0128】
具体的には、
図9に示す漏油センサー用光導波路1Cは、第2実施形態に係るコア部141を2重化してなる2本のコア部141a、141bと、コア部142を2重化してなる2本のコア部142a、142bと、を有している。
【0129】
コア部141a、141bは、互いにほぼ平行に延在している。これらのコア部141a、141bから出射した出射光L2は、互いに異なる受光素子で受光される。これにより、コア部141bから出射した出射光L2を受光した時刻と、コア部141aから出射した出射光L2を受光した時刻と、の差を求めることができる。
図6に示す制御装置106では、この時間差から、漏油発生時刻の推算が可能となる。そして、漏油発生時刻を求めることにより、工場運営、製品管理に寄与することができる。
【0130】
また、コア部141a、141bには、互いに異なる発光素子から出射した光が入射され、1つの受光素子において時分割で受光される。これにより、コア部14の冗長性を高めることができる。具体的には、コア部141a、141bのうちの一方が、何らかの原因で損傷を受けた場合でも、他方を利用してコア部14と同様の機能を維持することができる。
【0131】
コア部142a、142bも、互いにほぼ平行に延在している。コア部142a、142bも、上述したコア部141a、141bと同様の作用、効果を奏する。
【0132】
なお、第2変形例は、コア部141、142を2重化したものに限定されず、3重化以上の多重化したものであってもよい。
以上のような第2変形例においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0133】
2.3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る漏油センサー用光導波路について説明する。
図10は、第3実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Dを示す平面図である。
【0134】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図10において、第2実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0135】
図10に示す漏油センサー用光導波路1Dは、Z軸に沿ってシート体10を貫通する4つの貫通孔3を有している。
図10に示す貫通孔3は、ほぼ真円形をなしている。貫通孔3同士の間隔は、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
【0136】
また、
図10に示す漏油センサー用光導波路1Dは、4本のコア部14を有している。これら4本のコア部14を、コア部143、144、145、146とする。
【0137】
コア部143~146は、いずれも同様の構成を有しているので、以下の説明では、コア部143を代表に説明する。
【0138】
コア部143は、光入射面1431と、入射部1433と、折り返し部1435と、出射部1437と、光出射面1439と、を有する。
【0139】
光入射面1431は、発光素子から出射した入射光L1が入射する面である。入射部1433は、光入射面1431と折り返し部1435とを接続する。折り返し部1435は、入射部1433と出射部1437とを接続し、折り返すように湾曲した部位である。出射部1437は、折り返し部1435と光出射面1439とを接続する。光出射面1439は、出射光L2が出射する面であり、出射した出射光L2は、受光素子で受光される。
【0140】
折り返し部1435は、1つの貫通孔3に対応して配置されている。また、折り返し部1435は、貫通孔3の縁に沿って延在する周回部Rを含んでいる。
【0141】
図10に示す周回部Rは、貫通孔3を取り囲んでいる。これにより、貫通孔3の縁のより広い範囲でセンシング部SAを設定することが可能になる。
【0142】
また、
図10に示すコア部143は、コア層13を厚さ方向から見たとき、交差している交差部CPを含んでいる。交差部CPを設けることにより、設けない場合に比べて、コア部143の曲げ半径を小さくすることなく周回部Rを設けることができる。換言すれば、交差部CPを含むコア部143は、円弧に沿って延在する曲線部を含み、この曲線部は、入射光L1の伝搬方向を180°以上変化させている。これにより、曲げ損失の増大を抑制することができる。
【0143】
さらに、
図10に示す交差部CPで交差しているコア部143同士がなす内角のうち、貫通孔3側の内角に隣り合う内角の大きさを「交差角θ」とする。この交差角θは、特に限定されないが、90°以下であるのが好ましく、20°以上80°以下であるのがより好ましく、30°以上60°以下であるのがさらに好ましい。交差角θをこのような範囲に設定することで、交差部CPと貫通孔3の縁との距離を特に十分に短くすることができる。これにより、貫通孔3の縁のさらに広い範囲にセンシング部SAを設定することが可能になる。
【0144】
図11は、周回部Rに対応する円Cと、円Cの中心Oと、交差部CPと、コア部143と、の位置関係を模式化した図である。
図12は、交差角θを45°から120°まで変化させたとき、円Cと交差部CPとの距離Lがどのように変化するかを計算によって示した一覧表である。
【0145】
図11に示すように、交差角θは、コア部143同士がなす4つの内角のうち、貫通孔3側に位置する内角に隣り合う内角の大きさである。そして、この交差角θを90°以下にすると、
図12に示すように、距離Lが十分に短くなることがわかる。具体的には、円Cの半径rに対する距離Lの比L/r[%]は、計算上、41.4%となる。したがって、比L/r[%]は、41.4%以下であるのが好ましい。
以上のような第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0146】
なお、
図10では、第1、第2実施形態と同様、漏油センサー用光導波路1Dが長尺形状をなしており、1つの端面にコア部143~146の光入射面および光出射面を集約することができる。また、これらの光入射面および光出射面は、1つの端面に集約されず、長手方向の両端に振り分けられていてもよい。例えば、一方の端面に光入射面を集約し、長手方向の反対側の端面に光出射面を集約するようにしてもよい。このような場合でも、例えば、漏油センサー用光導波路1Dの外縁の形状を環状にした場合には、発光素子、受光素子および制御部を1か所に集約することができる。
【0147】
また、コア部143~146では、2つ以上の入射部を合流させることにより、2つ以上の光入射面が共通になっていてもよい。光入射面が共通化されていても、光出射面が個別に分かれていれば、コア部143~146で個別に強度変化を検出することができる。
【0148】
2.4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る漏油センサー用光導波路について説明する。
【0149】
図13は、第4実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Eを示す部分拡大平面図である。
【0150】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図13において、第3実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0151】
図13に示す漏油センサー用光導波路1Eは、コア部147を有している。このコア部147は、途中で3本に分岐している以外、
図10に示すコア部143と同様である。
【0152】
コア部147は、本線1471と、分岐部1472と、3本の支線1473、1474、1475と、合流部1476と、本線1477と、を有する。また、コア部147も、交差部CPを有している。
【0153】
分岐部1472は、本線1471を3つに分岐する。3本の支線1473、1474、1475は、
図10に示すコア部143と同様、貫通孔3の周りを周回している。支線1473は、貫通孔3側に最も近い位置に配置され、支線1475は、貫通孔3から最も遠い位置に配置され、支線1474は、支線1473と支線1475との間に配置されている。
【0154】
このように3本の支線1473、1474、1475を配置すると、貫通孔3の縁(側面132)から侵入した油類は、側面クラッド部15を膨潤または溶解させ、その後、支線1473、1474、1475の順に到達する。そうすると、まず、支線1473の伝送損失が増大し、その分、出射光L2の強度が減少する。仮に、分岐部1472において分配後の強度が等しくなるように分岐比が設定され、かつ、油類の影響で支線1473の伝送効率がゼロになったとした場合、出射光L2の強度は当初の約67%に減少する。この減少幅を算出することにより、支線1473のみが油類の影響を受けたのか、支線1473、1474の双方が影響を受けたのか、支線1473、1474、1475の全てが影響を受けたのか、を特定することができる。これにより、油類の侵入量を特定可能な漏油センサー100を実現することができる。
【0155】
なお、分岐部1472における分岐比は、特に限定されず、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0156】
例えば、支線1473、1474、1475のうち、中央の支線1474に対する分岐比を、両側の支線1473、1475に対する分岐比よりも小さくする分岐比の設定例が挙げられる。このように分岐比を設定することにより、入射光の横断面内での強度分布が不均一であっても、支線1473、1474、1475に分配する強度を等しくすることができる。具体的には、例えば発光素子として発光ダイオードを用いた場合には、入射光L1の強度分布では、中央部の強度が周辺部の強度よりも高いことが多い。このため、中央の支線1474に対する分岐比を、両側の支線1473、1475に対する分岐比よりも小さくすることで、支線1473、1474、1475に分配される強度を揃えることが可能になる。
【0157】
また、別の例として、内側の支線1473よりも外側の支線1475の強度が大きくなるように、分岐比を設定するようにしてもよい。最も外側に配置される支線1475の強度を相対的に大きくすることにより、光路長が長いことに伴う相対的に大きな伝送損失を、この強度差によって補填することができる。これにより、光路長の差による強度のバラつきを補正することができる。その結果、油類の侵入量をより精度よく特定することができる。
【0158】
また、この場合、本線1471には、必要に応じて、屈曲を繰り返す構造を設けるようにしてもよい。このような構造は、強度分布が均一でない入射光L1が本線1471に入射した場合でも、強度分布を均一にならす作用を持つ。このため、分岐部1472では、構造に応じて決められる分岐比に応じた精度の高い分配が可能になる。
【0159】
2.5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係る漏油センサー用光導波路について説明する。
【0160】
図14は、第5実施形態に係る漏油センサー用光導波路1Fを示す部分拡大平面図である。
【0161】
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図14において、第2実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0162】
図14に示す漏油センサー用光導波路1Fは、光入射面1411および光出射面1419が互いに共通の面になっていること以外、
図6に示す漏油センサー用光導波路1Aと同様である。具体的には、
図14に示すコア層13は、コア部14が2つに分岐している分岐部BPを含んでいる。分岐部BPを設けることにより、光入射面1411と光出射面1419とを共通化することができる。なお、漏油センサー用光導波路1Fの外部には、入射光L1と出射光L2とを分離する図示しない分離光学系を設けるようにすればよい。これにより、光入射面1411と光出射面1419とを共通化したとしても、その面に入射光L1を入射するとともに、その面から出射した出射光L2の強度変化を捉えることができる。分離光学系としては、例えば、3ポートタイプの光サーキュレーター等が挙げられる。
【0163】
また、
図14に示すコア部14は、第2実施形態と同様、貫通孔3の縁に沿って延在する周回部Rを含む。光入射面1411から入射した入射光L1は、分岐部BPで2つに分配され、周回部Rを伝搬する。そして、周回部Rを周回した入射光L1は、出射光L2として再び分岐部BPで合波される。そして、合波された出射光L2は、光出射面1419から出射する。
【0164】
このような構成によれば、光入射面1411と光出射面1419とを共通化することができるので、漏油センサー用光導波路1Fと外部機器とを接続ポート数を減らすことができる。これにより、接続作業の工数を削減するとともに、漏油センサー100全体の小型化を容易に図ることができる。なお、分岐部BPによる分岐数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0165】
以上、本発明の漏油センサー用光導波路および漏油センサーを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0166】
例えば、本発明の漏油センサー用光導波路および漏油センサーは、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成のものに置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
【0167】
また、漏油センサー用光導波路は、接着層を覆う保護層をさらに有していてもよい。この保護層は、漏油センサー用光導波路を被着体に接着する作業の直前に接着層から剥がされることにより、清浄な接着面を容易に準備することを可能にする。これにより、異物の巻き込みを抑えることができ、より密着性の高い接着を行うことができる。
【符号の説明】
【0168】
1 漏油センサー用光導波路
1A 漏油センサー用光導波路
1B 漏油センサー用光導波路
1C 漏油センサー用光導波路
1D 漏油センサー用光導波路
1E 漏油センサー用光導波路
1F 漏油センサー用光導波路
2 接着層
3 貫通孔
4 被覆フィルム
9 被着体
10 シート体
11 クラッド層
12 クラッド層
13 コア層
14 コア部
15 側面クラッド部
18 第1保護層
19 第2保護層
91 本体
92 蓋体
93 ボルト
100 漏油センサー
101 発光素子
102 発光素子
103 受光素子
104 受光素子
106 制御部
109 接着面
131 端面
132 側面
141 コア部
141a コア部
141b コア部
142 コア部
142a コア部
142b コア部
143 コア部
144 コア部
145 コア部
146 コア部
147 コア部
1411 光入射面
1413 入射部
1415 折り返し部
1417 出射部
1419 光出射面
1421 光入射面
1423 入射部
1425 折り返し部
1427 出射部
1429 光出射面
1431 光入射面
1433 入射部
1435 折り返し部
1437 出射部
1439 光出射面
1471 本線
1472 分岐部
1473 支線
1474 支線
1475 支線
1476 合流部
1477 本線
BP 分岐部
C 円
CP 交差部
L 距離
L1 入射光
L2 出射光
N 非センシング部
O 中心
R 周回部
S 離間距離
SA センシング部
Sm 最短距離
Sm2 2倍値
r 半径
θ 交差角