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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】自動販売機システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/18 20120101AFI20240910BHJP
   G07F 7/02 20060101ALI20240910BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20240910BHJP
【FI】
G06Q20/18
G07F7/02 Z
G06Q20/32
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020172638
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022046396
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020152356
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 佳那子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰仁
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/117021(WO,A1)
【文献】特開2020-071745(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013110369(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を販売する自動販売機と、前記商品の決済処理を行う決済サーバと、前記商品を購入する利用者が携帯し、前記商品の決済制御を行う決済制御部を有する携帯端末とを有し、前記自動販売機と前記決済サーバと前記携帯端末とが互いに通信接続が可能である自動販売機システムであって、
前記自動販売機は、自身の自動販売機を特定する自動販売機識別情報を図形化した図形化コードを読み取り可能に掲示しておき、
前記利用者による商品選択後に前記自動販売機と前記携帯端末とが通信接続し、
前記携帯端末は、前記図形化コードを読み取り、前記自動販売機と前記携帯端末との通信接続後に前記図形化コードが示す前記自動販売機識別情報を前記自動販売機に通知し、
前記自動販売機は、前記携帯端末から通知された自動販売機識別情報と自身の自動販売機識別情報とが一致する場合、前記携帯端末に商品選択した商品の取引識別情報及び商品情報を通知し、
前記自動販売機は、前記携帯端末と前記決済サーバとの間における前記商品の決済処理前に前記決済サーバに接続する決済前接続処理を行い、前記取引識別情報を用いて前記決済処理の状態を監視し、
前記携帯端末は、前記取引識別情報、前記商品情報及び利用者情報を用いて前記決済サーバとの間で決済処理を行い、
前記自動販売機は、接続している前記決済サーバから前記決済処理の決済結果通知を受けて商品選択された商品の搬出を行うことを特徴とする自動販売機システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記決済処理時に前記決済サーバのリンク先情報を取得し、該リンク先情報を用いて前記決済サーバにアクセスして決済処理を行うことを特徴とする請求項に記載の自動販売機システム。
【請求項3】
前記自動販売機及び前記携帯端末は、前記携帯端末による決済処理を協働して行い、
前記自動販売機は、前記決済処理時に前記決済サーバのリンク先情報を取得して該リンク先情報を前記携帯端末に通知し、
前記携帯端末は、該リンク先情報を用いて前記決済サーバにアクセスして決済処理を行うことを特徴とする請求項に記載の自動販売機システム。
【請求項4】
前記自動販売機による決済前接続処理は、前記決済サーバに対するポーリングの開始であることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【請求項5】
前記自動販売機と前記携帯端末とは近距離無線通信によって通信接続され、
前記自動販売機は、複数であり、各自動販売機は、前記近距離無線通信によって同時に通信接続可能な状態で近接配置されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末と決済サーバとの間の決済処理終了から商品搬出までの時間ロスを低減することができる自動販売機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、QRコード(登録商標)などの図形化コードを用いて商品を販売する自動販売機が知られている。例えば、特許文献1には、硬貨などの金銭が入金される入金部と、商品情報を含む2次元コードを表示する表示部とを備えた自動販売機が開示されている。この自動販売機は、硬貨などの金銭を入金して商品を購入することに加えて、商品を購入しようとする利用者の携帯端末によって2次元コードを読み取って商品の購入が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-95547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、QRコード(登録商標)などの図形化コードを読み取った携帯端末は、自動販売機において選択した商品を搬出するため、決済サーバに接続して決済処理を行い、この決済処理の終了を自動販売機に通知する。そして、自動販売機は、携帯端末からの決済終了通知を受けた後に、あるいは、携帯端末からの決済終了通知をもとに、さらに決済サーバにアクセスして決済確認を行った後に、選択した商品の搬出処理を行うようにしていた。このため、携帯端末と決済サーバとの間の決済処理が終了した後から商品搬出までの間に時間ロスが発生してしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、携帯端末と決済サーバとの間の決済処理終了から商品搬出までの時間ロスを低減することができる自動販売機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、商品を販売する自動販売機と、前記商品の決済処理を行う決済サーバと、前記商品を購入する利用者が携帯し、前記商品の決済制御を行う決済制御部を有する携帯端末とを有し、前記自動販売機と前記決済サーバと前記携帯端末とが互いに通信接続が可能である自動販売機システムであって、前記利用者による商品選択後に前記自動販売機と前記携帯端末とが通信接続し、前記携帯端末が商品選択した商品の取引識別情報及び商品情報を前記自動販売機から取得し、前記自動販売機は、前記携帯端末と前記決済サーバとの間における前記商品の決済処理前に前記決済サーバに接続する決済前接続処理を行い、前記取引識別情報を用いて前記決済処理の状態を監視し、前記携帯端末は、前記取引識別情報、前記商品情報及び利用者情報を用いて前記決済サーバとの間で決済処理を行い、前記自動販売機は、接続している前記決済サーバから前記決済処理の決済結果通知を受けて商品選択された商品の搬出を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動販売機は、自身の自動販売機を特定する自動販売機識別情報を図形化した図形化コードを読み取り可能に掲示しておき、前記携帯端末は、前記図形化コードを読み取り、前記自動販売機と前記携帯端末との通信接続後に前記図形化コードが示す前記自動販売機識別情報を前記自動販売機に通知し、前記自動販売機は、前記携帯端末から通知された自動販売機識別情報と自身の自動販売機識別情報とが一致する場合、前記携帯端末に前記取引識別情報及び前記商品情報を通知することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記携帯端末は、前記決済処理時に前記決済サーバのリンク先情報を取得し、該リンク先情報を用いて前記決済サーバにアクセスして決済処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動販売機及び前記携帯端末は、前記携帯端末による決済処理を協働して行い、前記自動販売機は、前記決済処理時に前記決済サーバのリンク先情報を取得して該リンク先情報を前記携帯端末に通知し、前記携帯端末は、該リンク先情報を用いて前記決済サーバにクセスして決済処理を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動販売機による決済前接続処理は、前記決済サーバに対するポーリングの開始であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動販売機と前記携帯端末とは近距離無線通信によって通信接続され、前記自動販売機は、複数であり、各自動販売機は、前記近距離無線通信によって同時に通信接続可能な状態で近接配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯端末と決済サーバとの間の決済処理終了から商品搬出までの時間ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムを構成する自動販売機及び携帯端末の外観構成を示す図である。
図2図2は、自動販売機システムの制御系を示すブロック図である。
図3図3は、自動販売機システムによる携帯端末を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。
図4図4は、変形例1による携帯端末を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。
図5図5は、変形例3による携帯端末を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。
図6図6は、変形例4による携帯端末及び自動販売機を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
<自動販売機の構成>
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムを構成する自動販売機1及び携帯端末4の外観構成を示す図である。また、図2は、自動販売機システム100の制御系を示すブロック図である。なお、図2に示すように、自動販売機システム100は、ネットワークNを介して、自動販売機1、決済サーバ2及び携帯端末4が接続される。また、自動販売機1と携帯端末4とは直接、通信接続が可能である。なお、この自動販売機1は、自動販売機の一例であり、例えば缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機であるが、カップ式自動販売機などの各種商品を販売するものであってもよい。
【0016】
図1に示すように、自動販売機1は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品を冷やした状態または温めた状態で販売するもので、本体キャビネット1aの前面開口を閉塞する外扉1bが配置される。
【0017】
外扉1bの前面右側中程には、ポップアップハンドル111が設けてある。ポップアップハンドル111は、外扉1bを閉塞した状態で施錠するためのものである。自動販売機1は、外扉1bを閉塞した状態でポップアップハンドル111を押し込むことにより施錠され、解錠操作するとポップアップハンドル111がポップアップ(突出)することにより、外扉1bの開放操作が可能となる。
【0018】
また、外扉1bの前面上部域には、展示室112が設けてある。展示室112は、自動販売機1が販売する商品の商品見本Dを展示するためのものである。展示室112は、外扉1bの後方側に開閉可能に取り付けられた中扉と外扉1bの前面側に嵌め込んだ透明な電照板114とにより画成され、利用者が自動販売機1の前面側から展示室112の内部を視認可能である。
【0019】
展示室112の内部には、商品を展示するためのステージ115が上下方向に三つ並べて設置してあり、それぞれのステージ115において商品見本Dが横並びに展示される。
【0020】
商品選択ボタン23は、商品を選択するためのもので、商品見本Dと対応するように、複数の商品選択ボタン23を備えている。なお、各商品選択ボタン23は、LED表示が可能であり、投入金額に対して商品購入が可能な商品に対応する場合、点灯表示される。また、商品選択ボタン23は、キャッシュレス決済の場合、商品選択ボタン23の押下に連動して点灯表示される。
【0021】
また、展示室112の下方となる外扉1bの中程には、硬貨投入口51、紙幣挿入口53、表示部24、返却レバー52、電子マネーリーダライタ36及び図形化コード表示部25が設けてある。
【0022】
硬貨投入口51は、硬貨を受け付けるための開口である。硬貨投入口51から投入された硬貨は、外扉1bの内側に搭載したコインメカニズム(硬貨処理装置)33に収容される。コインメカニズム33は、各種硬貨の投入枚数を整理し、後述する自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、各種硬貨を払い出すものである。なお、コインメカニズム33には、硬貨の真贋及び金種を識別する金銭識別機能を有する。
【0023】
紙幣挿入口53は、紙幣を受け付けるための開口である。紙幣挿入口53から挿入された紙幣は、外扉1bの内側に搭載したビルバリデータ(紙幣処理装置)34に収容される。ビルバリデータ34は、紙幣の投入枚数を整理し、自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、紙幣を払い出すものである。なお、ビルバリデータ34は、紙幣の真贋及び金種を識別する金銭識別機能を有する。
【0024】
電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードにチャージされた電子マネーを読み込みむとともに、決済後の電子マネーを書き込む処理を行う。また、電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードに釣銭分の電子マネーをチャージする書き込み処理を行う。電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードを検出するとともに電子マネーカードの有効無効や種別を識別する電子マネー識別機能を有する。
【0025】
表示部24は、販売中、釣り切れ、準備中、お札中止のほか、投入金額、各種設定時の情報等の各種情報を表示するためのものである。
【0026】
返却レバー52は、取引の中断を指示するためのもので、返却レバー52が操作されると、取引が中断され、コインメカニズム33から硬貨返却口63に釣銭等が放出され、ビルバリデータ34から紙幣挿入口53に紙幣が返却される。
【0027】
図形化コード表示部25は、QRコード(登録商標)など図形化コードDDを読み取り可能に掲示するものであり、例えば、図形化コードDDが印刷されたシールを貼付したものである。図形化コードDDは、QRコード(登録商標)のように2次元コードでもよいし、バーコードであってもよく、情報が図形化されていればよい。この図形化コードDDは、自身の自動販売機1を特定する自動販売機識別情報D1を図形化したものである。なお、図形化コードDDが示す情報内容は、自動販売機識別情報D1に限らず、例えば、通信制御ユニット20のシリアル番号などでもよい。
【0028】
また、外扉1bの下方となる位置には、取出口62が設けてある。取出口62は、商品収納ラックから搬出された商品を取り出すための開口である。
【0029】
また、外扉1bの内側には、リモコン35が配設してある。リモコン35は、各種設定操作、各種売上データの確認操作を行うためのもので、書込みキーや終了キーなどの操作キーのほか、各種設定データや確認データが表示される液晶表示器を備えている。リモコン35から設定入力された設定データは、自動販売機主制御部10に送信される。そして、リモコン35は、この自動販売機主制御部10から送信された確認データを受信する。
【0030】
<自動販売機の制御系>
図2に示すように、自動販売機1は、自動販売機主制御部10を有し、自動販売機主制御部10には、通信制御ユニット20、本体制御部30、冷熱装置31、搬出装置32、コインメカニズム33、ビルバリデータ34、リモコン35、電子マネーリーダライタ36、商品選択ボタン23、表示部24が接続される。
【0031】
通信制御ユニット20は、外部通信部21及び近距離無線通信部22を有する。通信制御ユニット20は、携帯端末4及び決済サーバ2との通信接続処理を行い、特に、携帯端末4を用いた決済処理に関する制御処理を実行する。外部通信部21は、例えばLTE(登録商標)などの通信方式により、ネットワークNを介して決済サーバ2に接続する通信インタフェースである。近距離無線通信部22は、携帯端末4と近距離無線通信を行う通信インタフェースである。近距離無線通信は、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などがあるが、消費電力の観点からのBluetooth(登録商標)、特にBLE(Bluetooth Low Energy)通信を用いている。
【0032】
本体制御部30には、冷熱装置31、搬出装置32が接続される。本体制御部30は、自動販売機主制御部10の制御のもと、冷熱装置31、搬出装置32を制御する。
【0033】
冷熱装置31は、本体キャビネット内の商品収納庫を設定された状態に管理するためのものである。冷熱装置31は、冷却設定された商品収納庫の内部を冷却する一方、加温設定された商品収納庫の内部を加温する。
【0034】
搬出装置32は、ラックごとに設けられたベンドソレノイド、売切スイッチを管理するためのものである。本体制御部30は、自動販売機主制御部10から送信された搬出命令に従ってラックから商品を搬出する。また、搬出装置32は、ラックに収納された商品のすべてを搬出した場合に売切信号を本体制御部30に出力する。
【0035】
コインメカニズム33、ビルバリデータ34、リモコン35、電子マネーリーダライタ36、商品選択ボタン23及び表示部24は、上記において説明したので説明を省略する。
【0036】
自動販売機主制御部10は、販売制御部11及び記憶部12を有する。販売制御部11は、商品選択ボタン23によって選択された商品の払い出し、決済処理等を行う。また、自動販売機主制御部10は、外部通信部21を介して図示しない管理サーバとの間で、売上データ、設定データなどの通知やダウンロードを行う。記憶部12は、自動販売機識別情報D1を有する。
【0037】
<携帯端末の制御系>
図2に示すように、携帯端末4は、操作表示部41、外部通信部42、近距離無線通信部43、コード読取部47、記憶部44及び制御部45を有する。操作表示部41は、例えばタッチパネル式の液晶表示デバイスであり、各種データの操作入力及び各種データの表示出力、例えば、決済アプリの操作画面などの表示を行う入出力インタフェースである。外部通信部42は、外部通信部21と同様に、LTE(登録商標)などの通信方式により、ネットワークNを介して決済サーバ2と通信接続する通信インタフェースである。また、近距離無線通信部43は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を用いて自動販売機1と近距離無線通信を行う通信インタフェースである。コード読取部47は、自動販売機1の図形化コードDDを読み取り、データ化する。記憶部44は、利用者情報D2を記憶している。
【0038】
制御部45は、携帯端末4全体を制御する制御部であり、決済制御部46を有する。決済制御部46は、自動販売機1及び決済サーバ2との間で商品の決済制御を行うものであり、決済アプリによって実現される。
【0039】
<携帯端末を用いた決済処理>
図3は、自動販売機システム100による携帯端末4を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。図3に示すように、まず、自動販売機1の自動販売機主制御部10は、商品選択ボタン23の押下による商品選択を検出する(ステップS110)。そして、自動販売機主制御部10は、選択された商品の商品情報を通信制御ユニット20に通知する(ステップS120)。商品情報には、商品番号及び商品価格が含まれる。一方、携帯端末4は、決済アプリを起動し(ステップS130)、商品を販売している自動販売機1に掲示された図形化コードDDの読取を行う(ステップS140)。
【0040】
その後、通信制御ユニット20は、自動販売機主制御部10からの商品情報の通知を受けて、携帯端末4との間の通信を確立する(ステップS150)。この通信確立は、例えば、BLEなどの近距離無線通信で行う。
【0041】
その後、携帯端末4は、読み取った図形化コードDDが示す情報、すなわち自動販売機識別情報を通信制御ユニット20に通知する(ステップS160)。この自動販売機識別情報を受け取った通信制御ユニット20は、受け取った自動販売機識別情報と、自身の自動販売機1が保持する自動販売機識別情報D1とが一致するか否かの接続判定を行う(ステップS170)。この接続判定を行うのは、自動販売機1が複数隣接し、あるいは近接して配置されている場合、近距離無線通信によって同時に他の自動販売機と通信接続が可能であるため、自動販売機識別情報を用いて、選択した商品を販売している自動販売機と通信接続されているか否かを確認するためである。したがって、図形化コードDDが示す情報は、商品が選択されていない他の自動販売機と区別できる情報であればよい。ここで、接続判定において自動販売機識別情報が一致しない場合はエラー処理によって処理を終了する。
【0042】
接続判定において自動販売機識別情報が一致する場合、通信制御ユニット20は、取引識別情報を携帯端末4に通知する(ステップS180)。この取引識別情報は、商品販売に関する取引を識別する情報であり、例えば、自動販売機識別情報D1及び取引通番が含まれる。
【0043】
さらに、通信制御ユニット20は、商品情報を携帯端末4に通知する(ステップS140)。この商品情報には、上記のように、商品番号及び商品価格が含まれる。
【0044】
その後、通信制御ユニット20は、携帯端末4と決済サーバ2との間における商品の決済処理前に決済サーバ2に接続する決済前接続処理を行い(ステップS200)、取引識別情報を用いて決済処理の状態の監視を開始する。
【0045】
その後、携帯端末4は、受け取った取引識別情報、商品情報、及び、自身の利用者情報D2を用いて決済サーバ2との間で決済処理を行う(ステップS210)。
【0046】
ここで、携帯端末4と決済サーバ2との間の決済処理が終了すると、通信制御ユニット20は、予め決済サーバ2に接続して決済処理の状態を監視しているため、決済結果通知を決済サーバ2から直接取得する(ステップS220)。この決済結果通知には、決済結果(決済終了)、取引識別情報、商品情報が含まれる。この決済結果通知を受けた通信制御ユニット20は、決済結果通知を自動販売機主制御部10に通知する(ステップS230)。自動販売機主制御部10は、決済結果通知を受けて、決済が終了した商品を搬出し(ステップS240)、商品搬出終了を通信制御ユニット20に通知し、本処理を終了する。なお、通信制御ユニット20は、商品搬出終了の通知を受けて、選択された商品の決済処理を終了する。
【0047】
本実施の形態では、自動販売機1が携帯端末4と決済サーバ2との間における商品の決済処理前に決済サーバ2に接続する決済前接続処理を行い、取引識別情報を用いて決済処理の状態を監視して決済終了通知を決済サーバ2から直接受け取っているので、携帯端末4と通信制御ユニット20との間の通信処理や、決済サーバ2との間の決済確認処理等を行う必要がないので、携帯端末4と決済サーバ2との間の決済処理終了から商品搬出までの時間ロスを低減することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、複数の自動販売機1が近接配置され、各自動販売機1が携帯端末4との近距離無線通信接続が可能である場合であっても、各自動販売機1が各自動販売機識別情報を示す図形化コードDDを掲示し、携帯端末4がこの図形化コードDDを読み取って、自動販売機識別情報の一致確認を行っているので、商品選択していない自動販売機1との誤った通信接続を回避することができる。これにより、複数の自動販売機1が近接配置される場合であっても、商品販売エラーなどが発生せず、商品を購入する利用者は、確実かつ迅速に商品を購入することができる。
【0049】
<変形例1>
上記の実施の形態では、複数の自動販売機1が近接配置されることを前提として図形化コードDDを掲示するようにしていたが、本変形例1では、図形化コードDDを用いず、近距離無線通信を用いて直接、自動販売機1側から自動販売機識別情報を取得して決済処理を行うようにしている。
【0050】
図4は、変形例1による携帯端末4を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。図4に示すように、本変形例1では、図3に示したシーケンス図において、図形化コードDDを用いていないため、ステップS140の図形化コードの読取処理、ステップS160の図形化コード情報の通知処理、ステップS170の接続判定処理を削除した処理を行う。そして、携帯端末4は、ステップS180における取引識別情報内の自動販売機識別情報D1を直接、近距離無線通信によって取得する。その他の処理は、図3に示したシーケンス図と同じであり、同一符号を付している。
【0051】
本変形例1では、複数の自動販売機1が近接配置されていないことを前提として、図形化コードDDを用いない場合であっても、自動販売機1が携帯端末4と決済サーバ2との間における商品の決済処理前に決済サーバ2に接続する決済前接続処理を行い、取引識別情報を用いて決済処理の状態を監視して決済終了通知を決済サーバ2から直接受け取っているので、携帯端末4と通信制御ユニット20との間の通信処理や、決済サーバ2との間の決済確認処理等を行う必要がないので、携帯端末4と決済サーバ2との間の決済処理終了から商品搬出までの時間ロスを低減することができる。
【0052】
<変形例2>
上記の実施の形態及び変形例1では、自動販売機1による決済サーバ2への決済前接続処理を接続開始から決済終了通知まで常時接続するようにしていたが、本変形例2では、自動販売機1側から決済サーバ2への決済前接続処理をポーリングによって行うようにしている。すなわち、通信制御ユニット20は、携帯端末4への商品情報の通知(ステップS190)後の決済前接続(ステップS200)をポーリングによって行っている。通信制御ユニット20は、ステップS200の決済前接続によって、決済サーバ2に対する決済終了の監視のためのポーリングを開始し、決済結果通知を受けて(ステップS220)、ポーリングを終了する。
【0053】
<変形例3>
図5は、変形例3による携帯端末4を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。図5に示すように、本変形例3では、図3に示したシーケンス図における決済処理(ステップS210)に替えて、ステップS210aの決済処理を行う。決済サーバ2は、決済事業者のサーバと、決済事業者と自動販売機1との間を取り次ぐアクワイアラのサーバとを有する。このステップS210aの決済処理では、決済処理時に決済サーバ2のアクワイアラから決済サーバ2の決済事業者のリンク先情報を取得し、該リンク先情報を用いて決済サーバ2の決済事業者にアクセスして決済処理を行うようにしている。アクワイアラが通知するリンク先情報は、自動販売機1に表示させる動的な図形化コードを作成するための情報であるが、本変形例3では、動的な図形化コードを作成して表示せず、通知されたリンク先情報のデータのみを用いる。この動的なリンク先情報は、一定時間ごとに更新されるものである。
【0054】
具体的なステップS201aの決済処理は、まず、携帯端末4が、取引識別情報、商品情報、自動販売機識別情報及び自身の利用者情報を決済サーバ2のアクワイアラに通知する一括注文を行う(ステップS211)。これに対し、決済サーバ2のアクワイアラは、図形化コード作成用のリンク先情報を携帯端末4に通知する(ステップS212)。
【0055】
携帯端末4は、通知されたリック先情報が示す決済サーバ2のリンク先である決済事業者にアクセスし(ステップS216)、決済サーバ2の決済事業者から支払依頼通知を受ける(ステップS217)。その後、携帯端末4は、決済事業者に支払処理を行い(ステップS218)、決済サーバ2の決済事業者から支払成功通知を受けて(ステップS219)、決済処理を終了する。
【0056】
本変形例3では、通常、自動販売機1に表示される動的な図形化コードを表示しなくても、この動的な図形化コードを用いた決済処理と同じ処理を行うことができるので、セキュリティの向上を図ることができる。また、本変形例3は、図形化コードDDを読み取る処理を行うようにしているので、動的な図形化コードを用いた決済処理と同様な読取操作を行うため、利用者に対して決済処理操作の違和感を与えない。
【0057】
<変形例4>
図6は、変形例4による携帯端末4及び自動販売機1を用いた決済処理手順を示すシーケンス図である。図6に示すように、本変形例3では、図5に示したシーケンス図における決済処理(ステップS210a)に替えて、ステップS210bの決済処理を行う。本変形例4では、ステップS210aの携帯端末による決済処理を自動販売機1及び携帯端末4が協働して行うようにしている。自動販売機1は、決済処理時に決済サーバ2のアクワイアラから決済事業者のリンク先情報を取得して該リンク先情報を携帯端末4に通知し、携帯端末4は、該リンク先情報を用いて決済サーバ2の決済事業者にアクセスして決済処理を行うようにしている。
【0058】
具体的なステップS201bの決済処理は、まず、通信制御ユニット20が、取引識別情報、商品情報、自動販売機識別情報及び携帯端末4の利用者情報を決済サーバ2のアクワイアラに通知する一括注文を行う(ステップS213)。これに対し、決済サーバ2のアクワイアラは、図形化コード作成用のリンク先情報を通信制御ユニット20に通知する(ステップS214)。そして、通信制御ユニット20は、通知されたリンク先情報を携帯端末4に通知する(ステップS215)。
【0059】
その後は、携帯端末4は、ステップS210aと同様に、通知されたリック先情報が示す決済サーバ2のリンク先である決済事業者にアクセスし(ステップS216)、決済サーバ2の決済事業者から支払依頼通知を受ける(ステップS217)。その後、携帯端末4は、決済事業者に支払処理を行い(ステップS218)、決済サーバ2の決済事業者から支払成功通知を受けて(ステップS219)、決済処理を終了する。
【0060】
本変形例4では、変形例3と同様に、通常、自動販売機1に表示される動的な図形化コードを表示しなくても、この動的な図形化コードを用いた決済処理と同じ処理を行うことができるので、セキュリティの向上を図ることができる。また、携帯端末4の負荷を軽減することができる。
【0061】
なお、上記の変形例3,4においても、変形例1と同様に、図形化コードDDを用いない決済処理を行うことができる。
【0062】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 自動販売機
2 決済サーバ
4 携帯端末
10 自動販売機主制御部
11 販売制御部
12,44 記憶部
20 通信制御ユニット
21,42 外部通信部
22,43 近距離無線通信部
23 商品選択ボタン
24 表示部
25 図形化コード表示部
30 本体制御部
31 冷熱装置
32 搬出装置
33 コインメカニズム
34 ビルバリデータ
35 リモコン
36 電子マネーリーダライタ
41 操作表示部
45 制御部
46 決済制御部
47 コード読取部
100 自動販売機システム
D1 自動販売機識別情報
D2 利用者情報
DD 図形化コード
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6