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特許7552249上位管理装置、生産制御システム、上位管理方法および上位管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】上位管理装置、生産制御システム、上位管理方法および上位管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240910BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240910BHJP
   G06Q 10/0633 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06Q10/0633
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020178866
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069917
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】木村 克行
(72)【発明者】
【氏名】峯本 俊文
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123230(JP,A)
【文献】特開2017-191189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産対象物を生産するための複数の工程を含む生産ラインにおいて、以上の前記工程を制御する複数の下位制御装置とネットワークを介して接続される上位管理装置であって、
1つの前記下位制御装置から、当該下位制御装置において異常が検知されたときの異常発生工程に関する異常工程情報を受信する受信部と、
前記異常工程情報に基づき、前記生産ラインに含まれる工程の中から、前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物に関与する関与処理を特定する特定部と、
複数の前記下位制御装置に対して、前記関与処理に関する測定データの送信を要求する指令部と、
前記異常工程情報、および、前記測定データを記憶部に記憶する制御を行う記憶制御部と、を備え
前記生産ラインにおいて生産される前記生産対象物にはそれぞれに識別情報が付されており、
前記特定部は、前記生産ラインに含まれる前記工程の順番と、それぞれの前記工程の所要時間とを示す所要時間テーブルを参照し、前記異常工程情報に基づいて、前記関与処理を工程情報と実施時刻情報とによって特定し、
前記指令部は、
複数の前記下位制御装置に対して、前記工程情報、前記実施時刻情報、及び前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物の第1識別情報を送信し、
複数の前記下位制御装置に対して、前記関与処理に関する、それぞれの識別情報に紐付けられた測定データのうち、前記第1識別情報に紐付けられた測定データのみの送信を要求する、
上位管理装置。
【請求項2】
前記指令部は、1つの前記下位制御装置から前記関与処理に関する前記測定データと、別の下位制御装置から前記関与処理に関する前記測定データと、の受信タイミングが異なるように、それぞれの前記下位制御装置に対して前記測定データの送信を要求する請求項1記載の上位管理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記異常発生工程よりも上流の前記関与処理を特定する請求項1または2に記載の上位管理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記異常発生工程よりも下流の前記関与処理を特定する請求項1からのいずれか1項に記載の上位管理装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の上位管理装置と、
前記上位管理装置とネットワークを介して接続される、複数の前記下位制御装置と、を備える生産制御システム。
【請求項6】
生産対象物を生産するための複数の工程を含む生産ラインにおいて、以上の前記工程を制御する複数の下位制御装置とネットワークを介して接続される上位管理装置の上位管理方法であって、
1つの前記下位制御装置から、当該下位制御装置において異常が検知されたときの異常発生工程に関する異常工程情報を受信する受信ステップと、
前記異常工程情報に基づき、前記生産ラインに含まれる工程の中から、前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物に関与する関与処理を特定する特定ステップと、
複数の前記下位制御装置に対して、前記関与処理に関する測定データの送信を要求する指令ステップと、
前記異常工程情報、および、前記測定データを記憶部に記憶する制御を行う記憶制御ステップと、を含み、
前記生産ラインにおいて生産される前記生産対象物にはそれぞれに識別情報が付されており、
前記特定ステップにおいて、前記生産ラインに含まれる前記工程の順番と、それぞれの前記工程の所要時間とを示す所要時間テーブルを参照し、前記異常工程情報に基づいて、前記関与処理を工程情報と実施時刻情報とによって特定し、
前記指令ステップにおいて、
複数の前記下位制御装置に対して、前記工程情報、前記実施時刻情報、及び前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物の第1識別情報を送信し、
複数の前記下位制御装置に対して、前記関与処理に関する、それぞれの識別情報に紐付けられた測定データのうち、前記第1識別情報に紐付けられた測定データのみの送信を要求する、
上位管理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の上位管理装置としてコンピュータを機能させるための上位管理プログラムであって、上記受信部、上記特定部、上記指令部および上記記憶制御部としてコンピュータを機能させるための上位管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生産対象物を生産するための複数の工程を含む生産ラインにおいて、1以上の前記工程を制御する複数の下位制御装置とネットワークを介して接続される上位管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FA(Factory Automation)の分野において、工場などに設置される生産設備等に係るデータを、効率的に収集、管理しようとする試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、生産設備上で、ワークが良品か否かを判定し、不良に該当したデータのみを上位装置に送信する装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、生産設備上で、所定の収集規則に従ってデータを収集し、上位装置に送信するPLC(Programmable Logic Controller)が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、生産設備上でワークが通常の生産状態に対し異なる挙動(以降、異常と呼称する)を示すか否かを判定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-131648号公報
【文献】特開2020-52441号公報
【文献】特開2018-97839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術では、ある生産設備のある工程上で不良が発生した場合、または当該工程で所定の条件を満たした場合に、当該工程のデータを上位装置に送信するだけに留まっている。すなわち、当該工程のデータのみが上位装置に送信されるため、前後工程に関連したデータとはいえない。そのため、当該工程以前で不良の原因が発生した場合、または、当該工程の不良が原因で後工程に影響を与えた場合を、検討することができない。
【0008】
本発明の一態様は、ある工程で不良または異常が発生した場合に、前後工程を含めたデータを上位装置に送信し、より詳細なデータ解析の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る上位管理装置は、生産対象物を生産するための複数の工程を含む生産ラインにおいて、1以上の前記工程を制御する複数の下位制御装置とネットワークを介して接続される上位管理装置であって、1つの前記下位制御装置から、当該下位制御装置において異常が検知されたときの異常発生工程に関する異常工程情報を受信する受信部と、前記異常工程情報に基づき、前記生産ラインに含まれる工程の中から、前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物に関与する関与処理を特定する特定部と、複数の前記下位制御装置に対して、前記関与処理に関する測定データの送信を要求する指令部と、前記異常工程情報、および、前記測定データを記憶部に記憶する制御を行う記憶制御部と、を備える。
【0010】
上記の構成によれば、異常が発生した生産対象物に関与した関与処理を特定し、当該関与処理を制御している下位制御装置に対し、測定データの送信を要求することができる。すなわち、異常が発生した下位制御装置の測定データに加え、生産ライン上の他の下位制御装置の測定データも取得することができるので、前後工程を含めた工程の測定データを横断的に比較検討するためのデータを提供することができる。
【0011】
前記特定部は、前記生産ラインに含まれる前記工程の順番と、それぞれの前記工程の所要時間とを示す所要時間テーブルを参照し、前記異常工程情報に基づいて、前記関与処理を工程情報と実施時刻情報とによって特定し、前記指令部は、複数の前記下位制御装置に対して、工程情報と実施時刻情報とを送信してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、異常が発生した下位制御装置から、異常に関する異常工程情報を受信し、その異常発生工程に関与した関与処理ごとの実施時刻を特定し、下位制御装置に対し、当該実施時刻における実施時刻情報を送信する指令を出すことができる。したがって、異常発生工程が特定できれば、それに関与した関与処理の工程と実施時刻を特定することができ、異常の比較検討に用いる測定データを取得することができる。
【0013】
前記生産ラインにおいて生産される前記生産対象物にはそれぞれに識別情報が付されているとともに、前記指令部は、前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物の前記識別情報を複数の前記下位制御装置に対して送信してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、生産対象物には、識別情報が付されているため、複数の生産対象物に関する測定データの中から、異常が発生した当該生産対象物に関する測定データを特定することができ、比較検討に用いる測定データを取得することができる。
【0015】
前記指令部は、1つの前記下位制御装置から前記関与処理に関する前記測定データと、別の下位制御装置から前記関与処理に関する前記測定データと、の受信タイミングが異なるように、それぞれの前記下位制御装置に対して前記測定データの送信を要求してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、下位制御装置ごとに測定データの送信タイミングをずらすことができ、ネットワークの通信負荷を低減することができる。
【0017】
前記特定部は、前記異常発生工程よりも上流の前記関与処理を特定してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、関与処理として、異常発生工程よりも上流の下位制御装置を対象にすることができる。そのため、異常発生工程において異常が発生した原因を追究することが容易になる。
【0019】
前記特定部は、前記異常発生工程よりも下流の前記関与処理を特定してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、関与処理として、異常発生工程よりも下流の下位制御装置を対象にすることができる。そのため、異常発生工程における異常が原因となり、引き起こされる、他の異常を特定することが容易になる。
【0021】
本発明の一態様に係る生産制御システムは、前記上位管理装置と、前記上位管理装置とネットワークを介して接続される、複数の前記下位制御装置と、を備える。
【0022】
本発明の一態様に係る上位管理方法は、生産対象物を生産するための複数の工程を含む生産ラインにおいて、1以上の前記工程を制御する複数の下位制御装置とネットワークを介して接続される上位上記管理装置の上位管理方法であって、1つの前記下位制御装置から、当該下位制御装置において異常が検知されたときの異常発生工程に関する異常工程情報を受信する受信ステップと、前記異常工程情報に基づき、前記生産ラインに含まれる工程の中から、前記異常発生工程において生産されていた前記生産対象物に関与する関与処理を特定する特定ステップと、複数の前記下位制御装置に対して、前記関与処理に関する測定データの送信を要求する指令ステップと、前記異常工程情報、および、前記測定データを記憶部に記憶する制御を行う記憶制御ステップと、を含む。
【0023】
本発明の各態様に係る上位管理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記上位管理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記上位管理装置をコンピュータにて実現させる上位管理装置の上位管理装置制御の受信プログラム、特定プログラム、指令プログラム、記憶制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、異常発生時に前後の関与処理における測定データを比較検討できる上位管理装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1に係る生産ラインの要部の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る制御システムの要部の構成を示すブロック図である。
図3】所要時間テーブルの一例である。
図4】異常判定処理の一例を示す概要図である。
図5】制御システムにおける測定データを取得するための事前準備のフローチャートである。
図6】制御システムにおける測定データを取得する処理を示すフローチャートである。
図7】実施形態2に係る測定データの絞り込み処理の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0027】
§1.適用例
図1は、実施形態1に係る生産ライン70の要部の構成を示すブロック図である。生産ライン70は工程A1・工程A2・工程A3・工程B1・工程B2・工程B3・工程C1・工程C2・工程C3によってワーク(生産対象物)を処理し、製品を生産するラインである。各工程をワークが1つずつ通過し処理される。例えば、図1に示すように、工程B2では5番のワークが生産されており、当該ワークは、次に現在4番のワークを生産している工程B3に移って生産を続け、工程C3を終えると生産を完了し、製品が完成する。
【0028】
工程B2の生産中において、当該ワークの生産に通常の生産と挙動が異なる異常が発生した場合、当該5番のワーク自体が工程B2で不良品になることも考えられるが、後の工程で不良品になることがある。また、工程B2で不良品になった真の原因が工程B2にあるとは限らず、前の工程に原因がある場合もある。
【0029】
このように、通常の生産と異なる異常が発生した場合に、前後の工程をも含めて測定データを確認することで、不良品の原因を特定し、工程改善を行うことができる。そこで、本願では、通常の生産と異なる異常を検知した場合に、当該ワークに関与する前後の工程の情報を測定データとして取得する上位管理装置10を実現する。
【0030】
§2.構成例
図2は、実施形態1に係る制御システム1の要部の構成を示すブロック図である。
【0031】
(制御システム1)
制御システム1(生産制御システム)は、上位管理装置10と、上流下位制御装置41と、異常源下位制御装置42と、下流下位制御装置43と、を備える。上流下位制御装置41・異常源下位制御装置42・下流下位制御装置43をまとめて下位制御装置40と総称する。下位制御装置40は、共通した機能を備え、図2では代表として上流下位制御装置41に示す。
【0032】
制御システム1は、ネットワークを介して上位管理装置10と下位制御装置40とを接続している。
【0033】
(生産ライン)
制御システム1は、生産ライン70を統括的に制御するシステムである。生産ライン70は、複数の装置60により構成される。各装置60は複数の工程50を処理する。各装置は下位制御装置40を1つ以上備える。
【0034】
異常が発生した場合、工程50は、異常が発生した処理を行った異常発生工程51と、当該処理に対し前もって処理を行っていた上流工程52と、当該処理に対し後で処理を行った下流工程53とに大別される。異常発生工程51は1つであるが、上流工程52および下流工程53は複数あってもよく、また0であってもよい。
【0035】
例えば、図1に示すように、生産ライン70には3台の装置60としての上流装置61・異常源装置62・下流装置63がある。上流装置61は、上流下位制御装置41によって制御されており、上流工程52である工程A1・工程A2・工程A3を処理する。異常源装置62は、異常源下位制御装置42によって制御されており、上流工程52である工程B1、異常発生工程51である工程B2・下流工程53である工程B3を処理する。下流装置63は、下流下位制御装置43によって制御されており、下流工程53である工程C1・工程C2・工程C3を処理する。
【0036】
もちろん、生産ライン70を構成する装置60は3台に限定されない。また、各装置60(以降、上流装置61・異常源装置62・下流装置63をまとめて装置60と略記する)は、それぞれ3個の工程50を処理するが、3個に限定されない。
【0037】
本実施形態では、仮に説明のため、異常源装置62で処理する工程B2で異常が発生したこと(工程B2が異常発生工程51である)を異常源下位制御装置42が検出する場合を想定して記載するが、これには限定されず、どの工程で異常が発生してもよい。
【0038】
生産ライン70は、シーケンシャルにワーク(生産対象物)に対し処理が進む生産ラインを想定する。
【0039】
(上位管理装置10)
上位管理装置10は、複数の下位制御装置40を管理する制御装置であり、下位制御装置40が取得した異常が発生したワークに関与する測定データを取得し、記憶する処理を行う。上位管理装置10は、制御部20と、記憶部30と、を備える。
【0040】
制御部20は、上位管理装置10の各部を統括的に制御する。制御部20は、受信部21と、特定部22と、指令部23と、記憶制御部24と、を備える。記憶部30は、上位管理装置10で用いるデータおよびプログラムを記憶する。記憶部30は上位管理装置10に備えられていなくてもよく、クラウド上に記憶されていてもよい。記憶部30は、所要時間テーブル31と、データベース32と、を記憶する。
【0041】
受信部21は、ワークを生産中に、1つの下位制御装置40(異常源下位制御装置42)から、当該下位制御装置40において異常が検知されたときの異常工程情報を受信する。受信した異常工程情報を特定部22に出力する。異常工程情報には、異常発生工程51を識別できる工程情報と、異常発生時刻になる実施時刻情報を含む。
【0042】
特定部22は、入力された異常工程情報を基に、所要時間テーブル31(詳細は後述)を参照し、生産ライン70に含まれる工程50の中から、異常発生工程51において生産されていたワークに関与する関与処理を特定する。特定された関与処理の情報を指令部23に出力する。
【0043】
特定部22は、関与処理として、異常発生工程51の上流工程52および下流工程53を特定してもよい。
【0044】
指令部23は、入力された関与処理の情報を基に、複数の下位制御装置40に対して、関与処理に関する測定データの送信を要求する。指令部23は送信に際し、対象となる工程50の工程情報と実施時刻情報(ワークを処理する時刻情報)を合わせて送信してもよい。
【0045】
また、指令部23は、2つ以上の下位制御装置40に対する測定データの送信指令を時間差を設けて送信してもよい。例えば、1つの下位制御装置40に送信指令を送信し、該下位制御装置40から測定データを受信した後に、別の下位制御装置40に送信指令を送信する、という制御を繰り返すことが考えられる。
【0046】
これにより、1つの前記下位制御装置から前記関与処理に関する前記測定データの受信タイミングと、別の下位制御装置から前記関与処理に関する前記測定データの受信タイミングと、が異なるようにすることができ、ネットワーク負荷を低減することができる。
【0047】
なお、指令部23は、下流側の複数の下位制御装置40に対しては、測定データの送信指令を同時に送信してもよい。これは、下流工程53での処理は、異常発生時では未完了なため、意図的に時間差を設けなくても、各工程50の処理完了後に測定データは送信されるからである。すなわち、結果として上位管理装置10における各下位制御装置からの測定データの受信タイミングはずれることになるので、ネットワーク負荷を低減できるためである。
【0048】
記憶制御部24は、下位制御装置40から受信した測定データおよび異常工程情報を記憶部30に記憶する制御を行う。
【0049】
所要時間テーブル31は、下位制御装置40が上位管理装置10を通して記憶部30に記憶する設定であり、各下位制御装置40の工程50ごとの所要時間と生産ライン70における工程50の処理順番を記憶したテーブルである。
【0050】
図3は、所要時間テーブル31の一例である。図3に示すように、所要時間テーブル31には、工程名称に加え、工程50を管理する下位制御装置40を識別する情報(PLC名)をも併せて記憶してもよい。
【0051】
データベース32は、下位制御装置40が測定したワークの生産中の測定データを記憶するデータベースである。測定データには任意のデータを記憶してよい。
【0052】
(下位制御装置40)
下位制御装置40は、複数の工程50においてワークの生産を制御し、ワークの生産中において、異常が発生した場合は上位管理装置10に通知を出す。さらに、下位制御装置40は、上位管理装置10の指令に基づき、ワークの生産時の測定データを上位管理装置に送信する。下位制御装置40は、異常判定部81と、リングバッファ82と、指令受信部83と、条件判定部84と、データ送信部85と、を備える。各下位制御装置40は、同一の機能をそれぞれ備える。
【0053】
異常判定部81は、下位制御装置40が制御している工程50において発生した異常を判定する。「異常」とは、下位制御装置40が制御している機器で発生した異常ではなく、通常の生産状態と異なる生産状態でワークを生産することを指す概念である。また、異常を示したワークは、必ずしも当該ワークが工程50ごとの所定の規格に基づき、製品としての機能を満たすかを判断する良品・不良品判定において不良品になるとは限らない。
【0054】
異常判定部81は、異常を判定した場合、当該異常の情報である異常工程情報を上位管理装置10に通知する。異常工程情報には、異常発生時点の時刻および異常発生工程の情報を含む。異常工程情報は、異常発生時点の測定データに関しては、含まなくてもよい。異常判定処理に関する詳細は、後述する。
【0055】
リングバッファ82は、所定の個数のワークの測定データを一時記憶しておくバッファであり、ワークの生産状態が異常かどうかに関わらず一時記憶する。リングバッファ82に一時記憶した測定データは、条件判定部84の判定結果を踏まえ、データ送信部85を介して上位管理装置10に送信される。リングバッファ82は、一定個数の測定データを一時記憶するが、最も古い測定データから新しい測定データに上書き保存していく。
【0056】
リングバッファ82に一時記憶される所定の個数は、生産ライン70が通常のタクトで生産を行っている場合において、あるワークが生産ラインを通過しきるまでに生産されるワークの個数に余剰を持たせた数である。
【0057】
指令受信部83は、指令部23の指令を受信する機能をもつ。指令受信部83は、上位管理装置10から測定データの送信指令が来たことを条件判定部84に出力する。指令受信部83は、指令と合わせてきた工程情報および実施時刻情報を合わせて条件判定部84に出力してもよい。
【0058】
条件判定部84は、上位管理装置の指令に基づき、該当する測定データの有無を判定する。当該工程情報が、異常発生工程の下流工程53であった場合、まだワークの生産に関与していない場合もあるため、該当する測定データが取得されるまで(条件が成立するまで)測定データの送信を待機する。条件判定部84は、該当する測定データが有りだった場合、データ送信部85に該当する測定データを出力する。
【0059】
データ送信部85は、入力された測定データを上位管理装置10の記憶制御部24に送信する。
【0060】
本実施形態では、下位制御装置40はPLCで構成するか、または汎用コンピュータを使用してもよい。
【0061】
(異常判定処理)
下位制御装置40は、次の処理を経て異常判定を行ってもよい。図4は、異常判定処理の一例を示す概要図である。図4に示すように、下位制御装置40は、測定データに対し複数の処理(処理401~処理405)を経て、異常を判定する。
【0062】
処理401は、ワークの生産に関与したデータである、収集データを取得する処理である。収集データとしては、各種センサによる計測データ、および各種稼働装置の動作状況出力データなどのいわゆる生データであってもよい。より具体的には、該当工程における稼働装置が備える駆動部のトルク値、ワークまたは稼働装置が備えるワーク把持部の位置の計測値、および、ワークまたは稼働装置が備えるワーク把持部の移動速度の計測値、などが挙げられる。この処理における収集データは高速サンプリングしたデータであり、大容量のデータになる。そのため、下位制御装置40内の記憶装置に収集データを全数保存し続けることが困難なため、リングバッファ82に一時記憶し、必要なものだけを上位管理装置10に送信し記憶することが一般的である。
【0063】
処理402は、連続した収集データを、生産したワークごとの収集データに切り分ける処理である。すなわち、下位制御装置40内の固有の番号もしくは、識別情報ごとに関連付ける、収集データの期間を定める作業である。具体的には、収集データを時系列にリングバッファに一時記憶するに際し、ワークの識別情報なども併せて一時記憶し、同一の識別情報の期間をもって切り分ける処理を行うことなどが考えられる。
【0064】
処理403は、ワークごとの収集データに対し、統計値である特徴量データを算出する。すなわち、あるワークの生産に関与した多数の収集データを代表する特徴量を導出する。特徴量データに用いられる統計値としては、平均値・最大値・最小値・最頻値・標準偏差などがあり、1つのワークに対し、複数の特徴量を定義してもよい。
【0065】
処理404は、少なくとも1つ以上の特徴量データに重みづけをし、足し合わせた異常度スコアを算出する。異常度スコアの算出に用いる特徴量データとその重みの決定に際し、異常検知アルゴリズムを用いてもよい。
【0066】
異常検知アルゴリズムの一例として、Isolation Forestがある。Isolation Forestは、多次元空間において、1つの空間にあるデータの個数が規定値以下になるまで空間分割を繰り返し、分割数が少ないデータほど、稀なデータであることから異常なデータと判断する手法である。Isolation Forestで求まった異常なデータを異常とみなせるように、特徴量データの選定と重みを決定する。
【0067】
処理405は、算出した異常度スコアを予め定めた閾値でもって異常かどうかを判定する。収集データおよび特徴量データをそのまま異常判定に用いるのではなく、異常度スコアを異常判定に用いることで、複数の特徴量による多次元の比較を1次元で行うことができる。そのため、収集データおよび特徴量データをそのまま異常判定に用いる場合に対し、複雑な条件での異常判定を可能にしている。
【0068】
リングバッファ82に一時記憶する測定データは、収集データまたは特徴量データであってもよい。また、特徴量データは小容量のデータになるため、上位管理装置10で全数保存してもデータベース32の容量を圧迫しないことから、全数保存しても構わない。全数保存することにより、特徴量の経時変化を分析することができる利点がある。
【0069】
また、異常判定処理は処理401~405の処理に限定されず、当業者が想定しうる様々な方法によって異常判定を行ってもよい。例えば、測定データと所定の閾値との関係で異常を判定してもよい。
【0070】
§3.動作例
(事前設定)
図5は、制御システム1における測定データを取得するための事前準備のフローチャートである。
【0071】
S11では、上位管理装置10において、所要時間テーブル31に対し、各工程50の所要時間と、工程順番とが管理者によって設定される。また、S12では、下位制御装置40において、管理者によって異常判定部81に対し、異常の判定条件が設定される。また、S13では、管理者によって、下位制御装置40のリングバッファ82に対し、測定データ(収集変数)をどのように一時記憶するかが設定される。合わせて、測定データの特徴量および異常度スコアの定義方法が設定される。
【0072】
(異常発生時の処理の流れ)
図6は、制御システム1における測定データを取得する処理を示すフローチャートである。図6においては、異常源下位制御装置42の工程B2(異常発生工程51)で異常が発生した場合を想定して記載するが、異常を判定する下位制御装置40は異常源下位制御装置42に限定されず、他の下位制御装置40でも構わない。
【0073】
S21において、異常源下位制御装置42において異常判定部81は、異常が発生していないかどうかを判定する。
【0074】
判定の結果、異常がない場合(S21においてNo)、S21に処理を戻しループする。この間、リングバッファ82は、常に測定データを一時記憶している。
【0075】
判定の結果、異常があった場合(S21においてYes)、S22に処理を進める。S22において、異常判定部81は、異常源下位制御装置42において異常が発生したことを上位管理装置10に対し出力する。
【0076】
S23において、受信部21は、異常源下位制御装置42で異常が発生した通知を受信する。この時、上位管理装置10は、併せて異常工程情報を受信し、異常の時刻および異常発生工程51を認識する。
【0077】
S24において、特定部22は、異常工程情報を基に、関与処理を特定する。具体的には、異常発生工程51の前工程に対し、異常発生時刻から生産ラインの工程順番と所要時間を考慮した、各工程においてワークを生産している実施時刻を特定し、実施時刻情報とする。
【0078】
例えば、図3の所要時間テーブル31における事例を示す。異常源下位制御装置42は、あるワークが時刻10:00:45(期間10:00:40~10:00:50)において、工程B2で異常を判定し、上位管理装置10に異常が発生したことを通知する(S21、S22)。上位管理装置10の受信部21は、異常源下位制御装置42で異常が発生したことを認識する(S23)。上位管理装置10の特定部22は、次の処理によって、工程B2に対する上流工程52および下流工程53を特定する(S24)。
【0079】
所要時間テーブル31から、各工程における、ワークの通過期間を特定する。すなわち、あるワークは、工程A1を生産開始後0~10秒に通過する。当該ワークは、工程A2を生産開始後10~20秒に通過する。当該ワークは、工程A3を生産開始後20~30秒に通過する、当該ワークは、工程B1を生産開始後30~40秒に通過する。当該ワークは、工程B2を生産開始後40~50秒に通過する。当該ワークは、工程B3を生産開始後50~60秒に通過する。当該ワークは、工程C1を生産開始後60~70秒に通過する。当該ワークは、工程C2を生産開始後70~80秒に通過する。当該ワークは、工程C3を生産開始後80~90秒に通過する。
【0080】
工程B2で異常を判定した時刻10:00:45に対し、工程B2での生産開始後からのワーク通過期間を考慮すると、当該ワークは、時刻10:00:00に生産を開始したことがわかる。すなわち、上流下位制御装置41では、生産開始後0~30秒の期間においてワークが通過するため、期間10:00:00~10:00:30がワーク通過期間であると特定する。異常源下位制御装置42では、生産開始後30~60秒の期間においてワークが通過するため、期間10:00:30~10:01:00がワーク通過期間であると特定する。下流下位制御装置43では、生産開始後60~90秒の期間においてワークが通過するため、期間10:01:00~10:01:30がワーク通過期間であると特定する。
【0081】
(上流下位制御装置41に対する測定データの取得)
S31~S35によって、上流下位制御装置41に対し、測定データを取得する。
【0082】
S31において、指令部23は、上流下位制御装置41に対し、上流下位制御装置41での関与処理の測定データを取得するクエリを発行する。クエリには、実施時刻情報を付加してもよい。
【0083】
クエリの発行に際し、複数の関与処理にあたる工程50が1つの下位制御装置40に含まれる場合、まとめて測定データを取得するクエリを発行してもよい。上述した例では、上位管理装置10は、上流下位制御装置41から期間10:00:00~10:00:30の測定データを取得するクエリを発行する。
【0084】
S32において、上流下位制御装置41の指令受信部83は、クエリを受信する。
【0085】
S33において、上流下位制御装置41の条件判定部84は、クエリを処理し、クエリの条件に該当する測定データがリングバッファ82に一時記憶されているかを確認する。実施形態1では、クエリとして、測定データを送信する期間を指定されているため、条件判定部84は、測定データの時間が、指定された期間のデータか否かを確認する。
【0086】
リングバッファ82に該当データが一時記憶されていない場合(S33においてNo)、クエリが処理できるまで(該当データがリングバッファ82に一時記憶されるまで)、S33の処理を繰り返す。
【0087】
リングバッファ82に該当データが一時記憶されている場合(S33においてYes)、クエリが処理できたため、S34に処理を進める。なお、上流下位制御装置41は、異常発生工程51に対し上流工程52を制御しているため、異常発生時点で既にリングバッファ82にはクエリの条件に該当するデータが一時記憶されている。そのため、S33の処理は待機することなく処理される。
【0088】
S34において、上流下位制御装置41のデータ送信部85は、クエリの条件に該当した測定データを記憶制御部24に送信する。
【0089】
S35において、記憶制御部24は、受信した測定データをデータベース32に記憶する。この際に、測定データに加え、異常工程情報を関連付けて記憶する。
【0090】
(異常源下位制御装置42に対する測定データの取得)
S41~S45によって、異常源下位制御装置42に対し測定データを取得する。上述した例では、上位管理装置10は、異常源下位制御装置42から期間10:00:30~10:01:00の測定データを取得する。
【0091】
S41~S45は、それぞれS31~S35に対応しており、上流下位制御装置41の処理が異常源下位制御装置42に入れ替わるだけで、同じ処理を行う。
【0092】
異常源下位制御装置42は、異常発生工程51の上流工程52および下流工程53を含む可能性があるため、S43において、リングバッファ82にクエリの条件に該当するデータが一時記憶されるのを待つこともある。
【0093】
(下流下位制御装置43に対する測定データの取得)
S51~S55によって、下流下位制御装置43に対し測定データを取得する。上述した例では、上位管理装置10は、下流下位制御装置43から期間10:01:00~10:01:30の測定データを取得する。
【0094】
S51~S55は、それぞれS31~S35に対応しており、上流下位制御装置41の処理が下流下位制御装置43に入れ替わるだけで、同じ処理を行う。
【0095】
下流下位制御装置43は、異常発生工程51の下流工程53を含むため、S53において、リングバッファ82にクエリの条件に該当するデータが一時記憶されるまで待つ必要が発生する。
【0096】
§4.作用・効果
下位制御装置40で異常が発生した場合に、下位制御装置40は異常を上位管理装置10に通知する。上位管理装置10は、異常の通知を受けると、通知に含まれた異常工程情報に基づき、関与処理を特定する。上位管理装置10は、特定した関与処理を含む下位制御装置40に対して、測定データの送信を指令するクエリを発行する。下位制御装置40は、リングバッファ82に一時記憶していた測定データの中から、クエリに基づく該当測定データを上位管理装置10に送信する。上位管理装置10は、受信した測定データを記憶部30に記憶する。
【0097】
したがって、下位制御装置40で異常が発生したことを上位管理装置10が認識でき、異常が発生した当該ワークに関与した異常発生工程前の関与処理における測定データをも取得することができる。
【0098】
そのため、関与処理として上流工程52の測定データを取得した場合は、異常発生工程51で異常が発生した真の原因を異常発生工程51の前の工程から検討することが容易になる。また、関与処理として下流工程53の測定データを取得した場合は、異常発生工程51で異常が発生したが、実際には不良品になっていない場合がある。この場合でも、下流工程53において不良品になることがあり、不良品になった真の原因が異常発生工程51における異常が原因である可能性を容易に検討できる。
【0099】
すなわち、異常発生工程だけの測定データに限らず、異常発生工程の上流工程52および下流工程53における測定データをもまとめて比較調査することができるようになる。その結果、異常を基に、不良品の真の原因を特定し易くなり、対策を立てやすくなる。
【0100】
〔変形例〕
ワークには識別情報が付与されていてもよい。識別情報は、生産される各ワークを識別することが可能な情報である。識別情報としての一例は、シリアルナンバーなどでもよい。識別情報は、ワーク自体にバーコードなどとして実際に付与されていなくてもよく、下位制御装置40間で受け渡されるデータ(いわゆるシフトデータ)として保持しておいても構わない。
【0101】
ワークに対し、識別情報を付与することで、指令部23における測定データを取得するクエリにおいて、下位制御装置40のリングバッファ82から測定データを取得する期間を指定するのではなく、取得する識別情報を指定するようにしても構わない。
【0102】
例えば、非常停止などで装置停止していた場合や特定の工程で通常よりも処理時間が長くなった場合などでは、前記した所要時間テーブルにおける各工程の処理時間どおりに生産が行われないことになる。この場合、所要時間テーブルに基づいて期間を指定するクエリの場合は、適切な期間の測定データを取得できなくなることが考えられる。しかしながら、識別情報を指定するクエリでは、条件判定部84は、識別情報を確認してクエリを処理するため、非常停止などで装置停止していても適切な期間の測定データを選択し、データ送信部85に出力し、データベース32に記憶することができる。
【0103】
また、実施形態1では、生産ラインとしてシーケンシャルにワークが通過し処理される場合を検討したが、変形例では、識別情報を付与しているためこの限りではなく、ワークの順番が前後する生産ラインにおいても適用することができる。
【0104】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図7に基づいて以下に説明する。図7は、実施形態2に係る測定データの絞り込み処理の一例である。
【0105】
実施形態1での指令部23は、下位制御装置40ごとに、関与処理をとりまとめ、異常を発生させたワークが対象となっている下位制御装置40での処理開始時から処理終了時までの期間を、上位管理装置10に送信するクエリを発行する。すなわち、図7の表501のように、異常を発生させたワーク以外の測定データをも取得するクエリを発行している。
【0106】
対して、実施形態2では、指令部23は、上述した期間での測定データに対し、更に、識別情報でもってワークを絞り込み、表502のような測定データを取得するクエリを発行できる。すなわち、異常を発生させたワーク以外の測定データを取得しないクエリを発行することができ、データベース32に記憶しないようになり、データベースの容量圧迫を避けることができる。
【0107】
また、実施形態2に係る指令部23では、リングバッファ82に一時記憶されている測定データから取得する測定データを期間および識別情報の2段階によって検索することができる。そのため、識別情報の大きさに対し、生産数が非常に大きい場合で識別情報がオーバーフローする場合であっても、期間でもって識別情報を選別することができる。
【0108】
例えば、生産ラインの中でワークを搬送する治具があり、当該治具自体に識別情報が付与されており、ワークには識別情報が付与されていなく、治具を再利用するシステムにおいてでも、ワークの測定データを一意の定めることができるようになる。
【0109】
〔ソフトウェアによる実現例〕
上位管理装置10の制御ブロック(特に受信部21、特定部22、指令部23、および記憶制御部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0110】
後者の場合、上位管理装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0111】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1 制御システム(生産制御システム)
10 上位管理装置
20 制御部
21 受信部
22 特定部
23 指令部
24 記憶制御部
30 記憶部
31 所要時間テーブル
32 データベース
40 下位制御装置
41 上流下位制御装置
42 異常源下位制御装置
43 下流下位制御装置
50 工程
51 異常発生工程
52 上流工程
53 下流工程
60 装置
61 上流装置
62 異常源装置
63 下流装置
70 生産ライン
81 異常判定部
82 リングバッファ
83 指令受信部
84 条件判定部
85 データ送信部
401,402,403,404,405 処理
501,502 表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7