(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】配線部材を備える可動部付きの装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240910BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20240910BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20240910BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240910BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H02G3/04
H02G11/00
H02G3/30
B60R16/02 620C
H01B7/08
(21)【出願番号】P 2020185315
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 真実
(72)【発明者】
【氏名】石田 英敏
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟司
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 裕美子
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/133065(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/096324(WO,A1)
【文献】特開2005-347247(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003553(WO,A1)
【文献】特開2009-252563(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225096(WO,A1)
【文献】特開2019-075491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 11/00
H02G 3/30
B60R 16/02
H01B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部材と、
可動部を含む取付け対象と、
を備え、
前記配線部材は、
ジグザグ状に延びるジグザグ区間を有する線状伝送部材と、
配置面を有し、伸縮可能なベース材と、
前記配線部材を前記取付け対象に取付けるための取付部材と、
前記線状伝送部材の一端部が接続された第1コネクタと、
前記線状伝送部材の他端部が接続された第2コネクタと、
を備え、
前記ジグザグ区間が前記配置面上に配置され、
前記ベース材が前記ジグザグ区間をジグザグ状に保って
おり、
前記線状伝送部材の延在方向に沿って互いに離れた第1箇所及び第2箇所にそれぞれ前記取付部材が設けられ、
前記第1箇所の前記取付部材及び前記第2箇所の前記取付部材が前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間に位置し、
前記ジグザグ区間は、少なくとも前記第1箇所及び前記第2箇所の間の区間に設けられ、
前記可動部は、第1部分と、前記第1部分に回転可能に連結された第2部分とを有し、
前記配線部材は、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれに取付けられ、
前記ジグザグ区間は、前記第1部分に対する取付箇所と前記第2部分に対する取付箇所との間に位置する、可動部付きの装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可動部付きの装置であって、
前記取付け対象が車両の座席であり、
前記可動部の前記第1部分が前記座席の座面を含むシート本体であり、前記可動部の前記第2部分が前記座席の背もたれであり、
前記シート本体に対する前記背もたれの回転に伴い、前記ジグザグ区間が伸縮する、可動部付きの装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の
可動部付きの装置であって、
前記ベース材は、布地又は弾性シートである、
可動部付きの装置。
【請求項4】
請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載の
可動部付きの装置であって、
前記線状伝送部材が複数設けられ、
複数の前記線状伝送部材は、前記取付部材よりも端部側で円形状に束ねられている、
可動部付きの装置。
【請求項5】
請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載の
可動部付きの装置であって、
前記線状伝送部材には、前記取付部材よりも端部側に直線状に保たれた直線区間が設けられ、
前記線状伝送部材が複数設けられ、
複数の前記線状伝送部材は、前記直線区間においてフラット形態に保たれている、
可動部付きの装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の
可動部付きの装置であって、
前記線状伝送部材が複数設けられ、
複数の前記線状伝送部材は、前記ジグザグ区間において前記配置面上にフラット形態に配置される、
可動部付きの装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の
可動部付きの装置であって、
前記線状伝送部材は、前記ジグザグ区間において、前記ベース材に対して移動可能に保持されている、
可動部付きの装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材及びそれを備える可動部付きの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、伸縮性を有し且つ分岐回路を設けることが可能なワイヤーハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電線同士が編み込まれることによって、ワイヤーハーネスに伸縮性を持たせている。この場合、電線同士の編み込みが面倒である。
【0005】
そこで、簡易な構造で配線部材に伸縮性を持たせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材は、ジグザグ状に延びるジグザグ区間を有する線状伝送部材と、配置面を有し、伸縮可能なベース材と、を備え、前記ジグザグ区間が前記配置面上に配置され、前記ベース材が前記ジグザグ区間をジグザグ状に保っている、配線部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡易な構造で配線部材に伸縮性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる配線部材を示す平面図である。
【
図2】
図2は実施形態1にかかる配線部材を示す側面図である。
【
図3】
図3はベース材と線状伝送部材との取付態様の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4はベース材と線状伝送部材との取付態様の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5はベース材と線状伝送部材との取付態様の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は配線部材が伸縮する様子を示す説明図である。
【
図8】
図8は配線部材を備える可動部付きの装置を示す側面図である。
【
図9】
図9は可動部が
図8の状態から可動した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)ジグザグ状に延びるジグザグ区間を有する線状伝送部材と、配置面を有し、伸縮可能なベース材と、を備え、前記ジグザグ区間が前記配置面上に配置され、前記ベース材が前記ジグザグ区間をジグザグ状に保っている、配線部材である。伸縮可能なベース材の配置面上に、線状伝送部材のジグザグ区間が設けられることによって、ベース材及び線状伝送部材が共に伸縮可能となる。これにより、簡易な構造で配線部材に伸縮性を持たせることができる。
【0012】
(2)(1)の配線部材において、前記ベース材は、布地又は弾性シートであってもよい。これにより、ベース材として、簡易な部材を用いることができる。
【0013】
(3)(1)又は(2)の配線部材において、配線部材を取付け対象に取付けるための取付部材をさらに備え、前記線状伝送部材の延在方向に沿って互いに離れた第1箇所及び第2箇所にそれぞれ前記取付部材が設けられ、前記ジグザグ区間は、少なくとも前記第1箇所及び前記第2箇所の間の区間に設けられていてもよい。これにより、第1箇所及び第2箇所の間が遊動区間となることができることによって、配線部材の伸縮性がなるべく損なわれずに配線部材が取付け対象に取付けられることができる。
【0014】
(4)(3)の配線部材において、前記線状伝送部材が複数設けられ、複数の前記線状伝送部材は、前記取付部材よりも端部側で円形状に束ねられていてもよい。これにより、複数の線状伝送部材が円形状に束ねられた状態で端部に向けて延びることができる。
【0015】
(5)(3)の配線部材において、前記線状伝送部材には、前記取付部材よりも端部側に直線状に保たれた直線区間が設けられ、前記線状伝送部材が複数設けられ、複数の前記線状伝送部材は、前記直線区間においてフラット形態に保たれていてもよい。これにより、複数の線状伝送部材がフラット形態で端部に向けて延びることができる。これにより、配線部材の低背化を図ることができる。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線部材において、前記線状伝送部材が複数設けられ、複数の前記線状伝送部材は、前記ジグザグ区間において前記配置面上にフラット形態に配置されてもよい。これにより、ジグザグ区間において配線部材をフラットにすることができる。これにより、配線部材の低背化を図ることができる。また、互いに回転可能に連結された2部材に跨るように配線部材が配置された際、回転軸方向に複数の線状伝送部材が並ぶように配線部材が配置されることによって、回転時に複数の線状伝送部材の間で距離差が生じにくい。
【0017】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの配線部材において、前記線状伝送部材は、前記ジグザグ区間において、前記ベース材に対して移動可能に保持されていてもよい。これにより、ベース材及び線状伝送部材のうち一方が他方の伸縮を阻害しにくくなり、配線部材の伸縮性が高まる。
【0018】
(8)また、本開示の可動部付きの装置は、(1)から(7)のいずれか1つの配線部材と、可動部を含む取付け対象と、を備え、前記可動部は、第1部分と、前記第1部分に回転可能に連結された第2部分とを有し、前記配線部材は、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれに取付けられ、前記ジグザグ区間は、前記第1部分に対する取付箇所と前記第2部分に対する取付箇所との間に位置する、可動部付きの装置である。ジグザグ区間が第1部分に対する取付箇所と第2部分に対する取付箇所との間に位置することによって、第1部分及び第2部分の回転時に、取付箇所間の経路長が変わっても、配線部材が伸縮することによってその経路差を吸収することができる。これにより、第1部分及び第2部分の回転時に、配線部材がたるみにくくなる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材10を示す平面図である。
図2は実施形態1にかかる配線部材10を示す側面図である。
【0021】
配線部材10は、線状伝送部材20とベース材30とを備える。ここでは配線部材10は、取付部材40をさらに備える。
【0022】
線状伝送部材20は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。例えば、線状伝送部材20は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、電気ケーブル、エナメル線、ニクロム線、光ファイバケーブル等であってもよい。線状伝送部材20は、伝送線本体21と被覆層22とを有する(
図7参照)。伝送線本体21は電気又は光を伝送する部分である。伝送線本体21は、電線における導体芯線に相当し、光ファイバケーブルにおけるコア及びクラッドに相当する。被覆層22は伝送線本体21を覆う。被覆層22は樹脂材料等が伝送線本体21の周囲に押出被覆されて形成される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。線状伝送部材20は曲げ変形可能な柔軟な部材である。
【0023】
電気を伝送する線状伝送部材20としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材20の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。また、線状伝送部材20は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。線状伝送部材20がケーブルの場合、シースも被覆層22に含まれる。
【0024】
線状伝送部材20の数は少なくとも1本あればよく、1本であってもよいし、複数本であってもよい。
図1に示す例では線状伝送部材20は、10本含まれる。
【0025】
複数の線状伝送部材20は、車両における部品同士を接続する部材であることが想定される。線状伝送部材20の端部はベース材30の端部から延出して、ベース材30の外方に位置する。線状伝送部材20において端部を除く中間部がベース材30上に配置されている。線状伝送部材20の端部には、例えばコネクタCが設けられる。このコネクタCが相手側部品に設けられたコネクタと接続されることで、線状伝送部材20が相手側部品に接続される。つまり、本配線部材10は、車両等において各種部品同士を電気的に(或は光通信可能に)接続する配線部材10として用いられる。線状伝送部材20の端部が、ベース材30上に位置していてもよい。コネクタCが、ベース材30に固定されていてもよい。
【0026】
ベース材30は、配置面32を有する。ここではベース材30はシート状に形成されており、ベース材30の一方主面が配置面32とされている。配置面32上に線状伝送部材20が配置されている。ベース材30は、伸縮可能である。ベース材30は、線状伝送部材20よりも高い伸縮性を有する部材である。線状伝送部材20は伝送線本体21を有することによって、ベース材30よりも伸縮性に劣る。例えば、ベース材30は、伸縮性を有する布地又は弾性シートである。
【0027】
布地は、例えば、織地、編地、不織布などである。典型的には、布地は、繊維又は糸などを用いてシート状に形成された部材である。布地は、繊維又は糸の絡まり方によって伸縮性を有する。例えば、織地は、経糸と緯糸とが絡み合って形成される。一般に織地において、経糸及び緯糸の両方と交差する斜め方向における伸縮性が、経糸及び緯糸の延びる方向における伸縮性よりも高くなる。編地は、1つの糸が形成するループに他の糸が絡まることによって形成される。編地は、このループを有することによって、一般に織地よりも高い伸縮性を有する。不織布は、繊維同士が絡まって形成されたウェブを多層に積層して形成される。不織布は、繊維の延びる方向がランダムであることによって、伸縮性を有する。布地における繊維又は糸がエラストマなどの弾性材料によって形成されることによって、布地が伸縮性を有していてもよい。
【0028】
弾性シートは、エラストマなどの弾性材料製のシートである。本開示では、弾性材料製の繊維又は糸が絡み合って形成されたシートは、布地とする。本開示の弾性シートは、繊維又は糸が絡み合って形成されたシートを含まない。例えば、弾性シートは、発泡シートであってもよい。また例えば、弾性シートは、充実断面を有するシート(以下、ソリッドシートと言う)であってもよい。また例えば、弾性シートは主面に無数の孔があけられたメッシュシートなどであってよい。
【0029】
線状伝送部材20はベース材30に取付けられている。線状伝送部材20とベース材30との取付手段は如何なる取付手段であってもよい。線状伝送部材20とベース材30との取付手段としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、線状伝送部材20とベース材30とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸、カバー、粘着テープなどが、線状伝送部材20をベース材30に向けて押え込んだり、線状伝送部材20とベース材30とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。
【0030】
かかる接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、線状伝送部材20とベース材30とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどを介して間接的に接着して固定されているものである。また接触部位直接固定とは、線状伝送部材20とベース材30とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接的に接着して固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば線状伝送部材20とベース材30とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによって接着して固定されることが考えられる。
【0031】
かかる接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0032】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、融着等の公知の手段を用いることができる。例えば、融着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波融着、加熱加圧融着、熱風融着、高周波融着など種々の融着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材20とベース材30とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波融着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材20とベース材30とは、超音波融着による接触部位直接固定の状態とされる。
【0033】
接触部位固定の場合、線状伝送部材20とベース材30とは、線状伝送部材20の延在方向に沿って全体にわたって連続的に固定されていてもよい。線状伝送部材20とベース材30とは、線状伝送部材20の延在方向に沿って一部に固定されない区間が生じるように断続的に固定されていてもよい。また非接触部位固定の場合、複数の線状伝送部材20は、1本又は数本ずつ固定されていてもよいし、複数本すべてまとめて固定されていてもよい。
【0034】
図1に示すように、配置面32に平行であり、かつ互いに直交する2つの方向を第1方向D1、第2方向D2とし、配置面32に直交する方向を第3方向D3とする。第1方向D1は、配置面32上を線状伝送部材20が延びる方向である。第2方向D2は、複数の線状伝送部材20が配置面32上に並列する方向である。ベース材30のうち第1方向D1に沿った寸法が、第2方向D2に沿った寸法よりも大きい。第3方向D3は配線部材10の厚み方向となる。
【0035】
線状伝送部材20はジグザグ区間24を有する。ジグザグ区間24は線状伝送部材20がジグザグ状に延びる区間である。ジグザグ区間24は配置面32上に配置される。ベース材30がジグザグ区間24をジグザグ状に保っている。ジグザグ区間24において、線状伝送部材20は、第1方向D1に向けて延びる途中に、第1方向D1と交差する方向(ここでは第2方向D2)に向けて曲がることを複数回繰り返している。ジグザグ区間24における線状伝送部材20の経路は、第1方向D1に最短となる経路よりも長い迂回経路となる。このジグザグ区間24が、ベース材30上に配置されることによって、配線部材10は第1方向D1に伸縮性を有する。
【0036】
ベース材30の伸縮性に方向性がある場合、つまりベース材30が高伸縮方向と低伸縮方向とを有する場合、高伸縮方向が第1方向D1となるように線状伝送部材20が配置面32に配置されると良い。例えば、ベース材30が織地の場合、経糸及び緯糸の両方と交差する斜め方向であることが好ましい。例えば、ベース材30が編地の場合、第1方向D1はコース方向であってもよいし、ウェール方向であってもよいし、コース方向及びウェール方向の両方と交差する斜め方向であってもよい。ここで、編地において、コース方向は、ループが横方向に並んだ列に沿った方向を言い、ウェール方向は、ループが縦方向に並んだ列に沿った方向を言う。
【0037】
図3から
図5を参照しつつ、ベース材30と線状伝送部材20との取付態様について説明する。
図3から
図5はそれぞれベース材30と線状伝送部材20との取付態様の一例を示す模式図である。
図3から
図5では、複数の線状伝送部材20のうちの1本が代表して描かれている。
【0038】
ジグザグ区間24において、線状伝送部材20は、周期性を有している。具体的には、ジグザグ区間24はシフト区間Sを有する。シフト区間Sは、第1方向D1と交差する方向(ここでは第2方向D2)に沿って延びる区間である。シフト区間Sは、線状伝送部材20が第1方向D1に平行に延びていない区間である。ここでは、シフト区間Sは、第1シフト区間S1と第2シフト区間S2とを有する。線状伝送部材20の経路を第1方向D1に沿って一方側(
図3の紙面左側)から他方側(
図3の紙面右側)に向けてたどるとき、第1シフト区間S1は、線状伝送部材20がベース材30の一端側(
図3の紙面下側)から他端側(
図3の紙面上側)に向けて延びる区間であり、第2シフト区間S2は、線状伝送部材20がベース材30の他端側(
図3の紙面上側)から一端側(
図3の紙面下側)に向けて延びる区間である。第1シフト区間S1の長さ寸法と第2シフト区間S2の長さ寸法とは、同じ値である。第1シフト区間S1の長さ寸法と第2シフト区間S2の長さ寸法とは、異なる値であってもよい。一組の第1シフト区間S1と第2シフト区間S2とを含む区間が、ジグザグ区間24の一周期に相当する区間となる。
【0039】
図3に示す寸法Lは、ジグザグ区間24の一周期分に相当する区間の第1方向D1に沿った長さ寸法である。ここでは、ジグザグ区間24の長さ寸法Lは、第1方向D1に沿った第1シフト区間S1の長さ寸法及び第2シフト区間S2の長さ寸法の和である。ジグザグ区間24の長さ寸法Lは、如何なる値であってもよい。また
図3に示す寸法Wは、ジグザグ区間24の幅寸法である。ジグザグ区間24の幅寸法Wは、如何なる値であってもよい。ジグザグ区間24の幅寸法Wが大きいほど、配線部材10の伸縮性が増す。ジグザグ区間24の幅寸法Wが小さいほど、配線部材10の伸縮性が増す。配線部材10の幅寸法を小さくできる。ジグザグ区間24の幅寸法Wは、ジグザグ区間24の一周期分の長さ寸法Lよりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0040】
図3に示す例では、ジグザグ区間24において、線状伝送部材20はサインカーブを描くように配置面32上に配置されている。このため、ジグザグ区間24において、線状伝送部材20は、配置面32上を第1方向D1及び第2方向D2と交差する方向に向けて延びている。ジグザグ区間24は、シフト区間Sのみで構成されている。ジグザグ区間24において、線状伝送部材20は、配置面32上を第1方向D1に平行に延びる区間を有していない。もっとも、
図4に示す例のように、ジグザグ区間24において、線状伝送部材20は、配置面32上を第1方向D1に平行に延びるパラレル区間Pを有していてもよい。
【0041】
パラレル区間Pは、シフト区間Sの間に設けられる。ジグザグ区間24の一周期に相当する区間は、シフト区間Sとパラレル区間Pとを含む。
図4に示す例では、第1シフト区間S1と第2シフト区間S2との間に、パラレル区間Pが設けられる。ジグザグ区間24の一周期に相当する区間は、第1シフト区間S1、第2シフト区間S2及び2つのパラレル区間Pを含む。パラレル区間Pは、第1シフト区間S1の途中、又は第2シフト区間S2の途中に設けられていてもよい。第1方向D1に沿ったパラレル区間Pの長さ寸法は、如何なる値であってもよい。第1方向D1に沿ったパラレル区間Pの長さ寸法は、第1方向D1に沿った第1シフト区間S1又は第2シフト区間S2の長さ寸法よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。第1方向D1に沿ったパラレル区間Pの長さ寸法は、ジグザグ区間24の幅寸法Wよりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0042】
また、シフト区間Sにおいて、線状伝送部材20は、配置面32上を第2方向D2と平行に延びていてもよい。この場合、例えば、ジグザグ区間は、平面視において、U字と逆さまのU字とが組み合わさった形状、又はL字と逆さまのL字とが組み合わさった形状とされてもよい。また、シフト区間Sにおいて、線状伝送部材20は、配置面32上を第1方向D1に戻るように延びていてもよい。この場合、例えば、ジグザグ区間は、平面視において、C字と逆さまのC字とが組み合わさった形状とされてもよい。
【0043】
複数の線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において配置面32上にフラット形態に配置される。複数の線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において配置面32上に一列に並んでいると良い。複数の線状伝送部材20が、ジグザグ区間24において配置面32上に複数列に分かれて並んでいる場合、高さ寸法が並列方向に沿った寸法よりも小さいと良い。
【0044】
図3に示す例では、ジグザグ区間24において複数の線状伝送部材20は位相が揃うように配置される。ジグザグ区間24において複数の線状伝送部材20は位相がずれるように配置されてもよい。例えば、ジグザグ区間24において複数の線状伝送部材20の一部の位相が他の一部の位相と逆となるように配置されてもよい。この場合、ジグザグ区間24において、一部の線状伝送部材20が他の一部の線状伝送部材20に対して第1方向D1に平行な線に対して対称に配置される。
【0045】
線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、ベース材30に対して移動可能に保持されている。例えば、線状伝送部材20とベース材30との取付手段が糸又はカバーによる非接触部位固定である場合、線状伝送部材20は延在方向に沿って全体にわたってベース材30に対して移動可能である。例えば、線状伝送部材20とベース材30との取付手段が接触部位固定であるか、又は粘着テープによる非接触部位固定である場合、線状伝送部材20は延在方向に沿って一部固定されない区間が設けられることによって、当該区間において、ベース材30に対して移動可能である。
【0046】
図3から
図5では、線状伝送部材20とベース材30との取付手段が接触部位固定又は粘着テープによる非接触部位固定である場合の線状伝送部材20とベース材30とのスポット固定部SFが二点鎖線で示されている。スポット固定部SFは線状伝送部材20の延在方向に沿った一部をベース材30に固定する部分である。スポット固定部SFは、線状伝送部材20の延在方向に沿って間隔をあけた複数箇所に設けられる。
【0047】
スポット固定部SFは、如何なる位置に設けられていてもよいが、シフト区間S全体がスポット固定部SFとならないように設けられるとよい。例えば、
図3に示す例では、スポット固定部SFは、第1シフト区間S1と第2シフト区間S2との連結部分に設けられている。またスポット固定部SFは、第1シフト区間S1の中間部及び第2シフト区間S2の中間部にそれぞれ設けられている。また
図4に示す例では、スポット固定部SFは、第1シフト区間S1とパラレル区間Pとの連結部分及び第2シフト区間S2とパラレル区間Pとの連結部分にそれぞれ設けられている。また
図5に示す例では、スポット固定部SFは、第1シフト区間S1の両端部及び第2シフト区間S2の両端部にそれぞれ設けられている。従って、
図5に示す例では、第1シフト区間S1と第2シフト区間S2との連結部分の両側にスポット固定部SFが設けられている。
【0048】
スポット固定部SFの位置において、線状伝送部材20とベース材30とは一体的に動く。2つのスポット固定部SFの間の位置において、線状伝送部材20とベース材30とは独立して動く。
【0049】
取付部材40は、配線部材10を取付け対象80に取付けるための部材である。ここでは、線状伝送部材20の延在方向に沿って互い離れた第1箇所及び第2箇所にそれぞれ取付部材40が設けられている。ジグザグ区間24は、少なくとも第1箇所及び第2箇所の間の区間に設けられている。取付部材40は第1取付部42と第2取付部44とを含む。第1取付部42は、線状伝送部材20又はベース材30に取付けられる部分である。第2取付部44は、取付け対象に取付けられる部分である。
図2に示す例では、第2取付部44は第3方向D3に沿って配置面32とは反対側の面の外側に突出する。第2取付部44は第3方向D3に沿って配置面32の外側に突出してもよい。
【0050】
図3に示す例では、取付部材40は、クランプである。第1取付部42とベース材30又は線状伝送部材20との取付手段は、如何なる取付手段であってもよく、線状伝送部材20とベース材30との取付手段で説明した接触部位固定又は非接触部位固定などの取付手段であってもよい。ここでは第1取付部42はベース材30に取付けられている。第2取付部44は柱部と係止片とを含む。係止片が弾性変形することによって、第2取付部44は取付け対象に形成された取付孔に挿入係止可能に形成されている。
【0051】
線状伝送部材20にはジグザグ区間24の隣りに直線区間26が設けられている。直線区間26は複数の線状伝送部材20がベース材30上を第1方向D1に沿って直線状に延びる。直線区間26は第1シフト区間S1の途中又は第2シフト区間S2の途中に設けられると良い。これにより、ベース材30の幅方向に沿って直線区間26の両側に取付部材40を設けるためのスペースを確保しやすい。取付部材40は直線区間26に設けられる。ベース材30の幅方向に沿って、複数の線状伝送部材20を挟んだ両側の位置に取付部材40が設けられる。
【0052】
複数の線状伝送部材20は、取付部材40よりも端部側(コネクタC側)で円形状に束ねられている。複数の線状伝送部材20が円形状に束ねられた区間を円形束区間28と称する。ここでは直線区間26がベース材30の外縁まで延び、ベース材30の外縁よりも線状伝送部材20の端部側に円形束区間28が設けられる。またここでは、ジグザグ区間24の両側に円形束区間28が設けられる。
【0053】
図1に示す例では、複数の線状伝送部材20が円形状に束ねられる部分は、ベース材30に保持されていない。この場合、複数の線状伝送部材20は、テープT、結束バンドなどの結束部材によって円形状に束ねられているとよい。複数の線状伝送部材20が円形状に束ねられる部分は、ベース材30に保持されていてもよい。この場合、結束部材がベース材30を丸めた状態に保ってもよいし、ベース材30の周方向端部が接着剤又は融着などによって留められていてもよい。
【0054】
図6は配線部材10が伸縮する様子を示す説明図である。
図7は
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【0055】
配線部材10は、伸び変形及び伸び変形からの復元変形が可能である。
図6の左側の配線部材10は、初期状態(伸長状態から復元した状態)における配線部材10を示し、
図6の右側の配線部材10は、伸長状態における配線部材10を示す。以下では、初期状態における配線部材10を配線部材10Iと称し、伸長状態における配線部材10を配線部材10Eと称することがある。なお、ここでは初期状態は、配線部材10が伸長していない状態である。配線部材10が取付け対象に取付けられた状態で、配線部材10が常に伸長状態にあり、かつ伸長度合が変わるように配線部材10が変形することも考えられる。この場合、配線部材10の伸長度合が最も低い状態を初期状態としてもよい。
【0056】
配線部材10は、第1方向D1に伸び変形及び復元変形する。配線部材10Iが第1方向D1に伸び変形して配線部材10Eとなり、配線部材10Eが第1方向D1に復元変形して配線部材10Iとなる。配線部材10Iから配線部材10Eに伸び変形する際、線状伝送部材20のジグザグ区間24及びベース材30は、第1方向D1の寸法が大きくなる代わりに、第2方向D2の寸法が小さくなる。配線部材10Eのジグザグ区間24における線状伝送部材20の経路は、配線部材10Iのジグザグ区間24における線状伝送部材20の経路よりも、第1方向D1に沿う直線状に近づく。またベース材30は第1方向D1に伸縮性を有していることによって、線状伝送部材20の変形を阻害しない。配線部材10Eにおいて、ベース材30は、幅方向に沿った一部にしわ34が生じ得る。
図7に示すように、しわ34の部分においてベース材30が厚み方向に曲がり、ジグザグ状となり得る。
【0057】
また、配線部材10Eから配線部材10Iに復元変形する際、ベース材30は自身の伸縮性によって、復元変形する。この際、線状伝送部材20がベース材30に保持されていることによって、ベース材30の復元する力を受けて線状伝送部材20のジグザグ区間24の経路が初期状態に復元可能とされる。
【0058】
図7に示すように、初期状態において、複数の線状伝送部材20は、並列方向に間隔をあけて設けられていてもよい。これにより、配線部材10Eにおいて、複数の線状伝送部材20の間隔が狭くなるようにベース材30が変形することができる。配線部材10Eにおいて、複数の線状伝送部材20の間にも、しわ34が生じうる。
【0059】
配線部材10を第1方向D1に伸び変形させる外力は、取付部材40の位置にかけられることが想定される。つまり、取付部材40の取付け対象が動くことによって、配線部材10に、第1方向D1に伸び変形させる外力がかかる。取付部材40がベース材30に設けられる場合、
図6に示すように、ベース材30よりも伸びにくい剛体50が取付部材40の位置に部分的に設けられていてもよい。剛体50はベース材30の幅方向に沿って離れた2つの取付部材40の間を結ぶように設けられていてもよい。剛体50はベース材30の幅方向に沿った一端部と他端部とを結ぶように設けられていてもよい。剛体50が設けられることによって、ベース材30のうち取付部材40が設けられる位置の補強ができる。剛体50は、例えば、シート材60であってもよい。また剛体50は、取付部材40の第1取付部42であってもよい。
【0060】
また、取付部材40がクリップなどの場合、外力が第2取付部44の位置に局所的にかかることもあり得る。この場合でも、剛体50が設けられることによって、外力がベース材30の幅方向に沿って均一にならされることができる。
【0061】
<配線部材を備える可動部付きの装置>
図8は配線部材10を備える可動部82付きの装置を示す側面図である。
図9及び
図10は可動部82が
図8の状態から可動した様子を示す説明図である。
【0062】
可動部82付きの装置は、配線部材10と取付け対象80とを備える。取付け対象80は、可動部82を含む。可動部82は、第1部分83と第2部分84とを有する。第2部分84は、第1部分83に回転軸85回りに回転可能に連結されている。配線部材10は、第1部分83及び第2部分84のそれぞれに取付けられる。ジグザグ区間24は、第1部分83に対する取付箇所と第2部分84に対する取付箇所との間に位置する。配線部材10は配置面32とは反対側の面が取付け対象80側を向くように取付けられてもよい。配線部材10は配置面32が取付け対象80側を向くように取付けられてもよい。
【0063】
取付け対象80は、車両において可動部82を含むものが想定される。例えば、取付け対象80は、座席であってもよいし、ドア及び車体であってもよい。以下では、取付け対象80が車両における座席80であるものとして説明される。可動部82における第1部分83は、座面を有するシート本体83である。可動部82における第2部分84は、背もたれ84である。シート本体83において、座面とは反対側を向く面を下面と称する。背もたれ84において、座面に座る乗員側を向く面を一方主面とし、一方主面とは反対側を向く面を他方主面と称する。例えば、配線部材10は、シート本体83に対して下面に取付けられ、背もたれ84に対して他方主面に取付けられてもよい。この場合、シート本体83に対して背もたれ84が回転する回転軸85よりも外周側に配線部材10が取付けられる。
【0064】
座席80において、
図8に示すように、背もたれ84がシート本体83とは反対側に最大限倒れた状態で、シート本体83に対する取付箇所と背もたれ84に対する取付箇所との間の配線部材10の経路長が、最も短くなる。座席80において、通常の運転状態では、
図9に示すように、背もたれ84が立った状態となる。この状態では、シート本体83に対する取付箇所と第2部分84に対する取付箇所との間の配線部材10の経路長は、
図8の状態よりも、長くなる。そして、座席80において、
図10に示すように、背もたれ84がシート本体83側に最大限倒れた状態で、シート本体83に対する取付箇所と背もたれ84に対する取付箇所との間の配線部材10の経路長が、最も長くなる。配線部材10は、経路長の差を吸収可能に、伸縮可能であると良い。つまり、座席80が
図8の状態で、配線部材10は初期状態となり、座席80が
図10の状態で、配線部材10は最大伸長状態となる。この配線部材10の最大伸長状態において、配線部材10が弾性変形域にあればよい。
【0065】
なお、初期状態と、最大伸長状態との経路長の差は、シート本体83に対する背もたれ84の回転可能な角度範囲、及び回転軸85からの距離等に応じて決まる。シート本体83に対する背もたれ84の回転可能な角度範囲、及び回転軸85からの距離等は、車種等によって適宜設計される値である。例えば、シート本体83に対する背もたれ84の回転可能な角度範囲は、180度(
図8の状態での角度)から60度(
図10の状態での角度)までの範囲であってもよい。また、回転軸85からの距離は、例えば、配線部材10の経路が回転軸85から5センチメートル外側を通るように設定されていてもよい。これらの場合、初期状態と最大伸長状態との間の経路長の差は、10センチメートル程度となる。従って、配線部材10は第1方向D1に、10数センチメートル程度、弾性変形可能であると良い。
【0066】
以上のように構成された配線部材10によると、伸縮可能なベース材30の配置面32上に、線状伝送部材20のジグザグ区間24が設けられることによって、ベース材30及び線状伝送部材20が共に伸縮可能となる。これにより、簡易な構造で配線部材10に伸縮性を持たせることができる。
【0067】
またベース材30は、布地又は弾性シートである。これにより、ベース材30として、簡易な部材を用いることができる。
【0068】
また、線状伝送部材20の延在方向に沿って互い離れた第1箇所及び第2箇所にそれぞれ取付部材40が設けられ、ジグザグ区間24は、少なくとも第1箇所及び第2箇所の間の区間に設けられている。これにより、第1箇所及び第2箇所の間が遊動区間となることができることによって、配線部材10の伸縮性がなるべく損なわれずに配線部材10が取付け対象80に取付けられることができる。
【0069】
また、複数の線状伝送部材20は、取付部材40よりも端部側で円形状に束ねられている。これにより、複数の線状伝送部材20が円形状に束ねられた状態で端部に向けて延びることができる。
【0070】
また、複数の線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において配置面32上にフラット形態に配置される。これにより、ジグザグ区間24において配線部材10をフラットにすることができる。これにより、配線部材10の低背化を図ることができる。また、互いに回転可能に連結された2部材に跨るように配線部材10が配置された際、回転軸85方向に複数の線状伝送部材20が並ぶように配線部材10が配置されることによって、回転時に複数の線状伝送部材20の間で距離差が生じにくい。
【0071】
また、線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、ベース材30に対して移動可能に保持されている。これにより、ベース材30及び線状伝送部材20のうち一方が他方の伸縮を阻害しにくくなり、配線部材10の伸縮性が高まる。
【0072】
また、以上のように構成された配線部材10を備える可動部82付きの装置によると、ジグザグ区間24が第1部分83に対する取付箇所と第2部分84に対する取付箇所との間に位置することによって、第1部分83及び第2部分84の回転時に、取付箇所間の経路長が変わっても、配線部材10が伸縮することによってその経路差を吸収することができる。これにより、第1部分83及び第2部分84の回転時に、配線部材10がたるみにくくなる。
【0073】
[変形例]
図11は配線部材10の第1変形例を示す平面図である。
【0074】
第1変形例における配線部材110では、ベース材30及び線状伝送部材20の直線区間26がコネクタ近くまで延ばされている点で、上記配線部材10とは異なる。配線部材110において、取付部材40よりも端部側の直線区間は直線区間27と称する。線状伝送部材20には、取付部材40よりも端部側に直線状に保たれた直線区間27が設けられている。直線区間27は、ジグザグ区間24の端部から取付部材40の位置までの直線区間26よりも長い。複数の線状伝送部材20は、直線区間27においてもフラット形態を保っている。これにより、複数の線状伝送部材20がフラット形態で端部に向けて延びることができる。これにより、配線部材110の低背化を図ることができる。
【0075】
図12は配線部材10の第2変形例を示す平面図である。
【0076】
第2変形例における配線部材210では、取付部材40よりも端部側に設けられた直線区間27が、ベース材30とは別のシート材60に保持されている。従って複数の線状伝送部材20は、取付部材40よりも端部側において、シート材60によって並列状かつ直線状に保持されている。例えば、このシート材60は、ベース材30よりも第1方向D1に伸びにくくてもよい。例えば、ベース材30及びシート材60は共に織地であって、ベース材30の織地は経糸及び緯糸と交差する方向が第1方向D1とされ、シート材60の織地は経糸又は緯糸の方向が第1方向D1とされてもよい。また、シート材60は、非弾性材料製の発泡シート又はソリッドシートなどであってもよい。
【0077】
図12に示す例では、ベース材30とシート材60とが第1方向D1に間隔をあけて設けられている。ベース材30とシート材60とは、第1方向D1に間隔をあけずに設けられていてもよい。ベース材30の端部とシート材60の端部とが重なっていてもよい。ベース材30の端部及びシート材60の端部の重なる部分同士が固定されていてもよい。
【0078】
図11、
図12に示す例では、線状伝送部材20の延在方向に沿ってジグザグ区間24の片側のみに直線区間27が設けられている。従って、
図11、
図12に示す例では、円形束区間28と直線区間27との両方が設けられている。線状伝送部材20の延在方向に沿ってジグザグ区間24の両側に直線区間27が設けられていてもよい。
【0079】
図13は配線部材10の第3変形例を示す平面図である。
【0080】
第3変形例における配線部材310では、取付部材40がベース材30に設けられていない。配線部材310では、取付部材40が、円形束区間28に設けられている。この場合、外力は線状伝送部材20にかかる。
図12に示す例のように、ベース材30よりも端部側にシート材60が設けられる場合、取付部材40がシート材60に設けられていてもよい。
【0081】
このほか、これまでベース材30は、布地又は弾性シートであるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ベース材30は、布地又は弾性シート以外の部材であってもよい。
【0082】
またこれまで、複数の線状伝送部材20が、ジグザグ区間24において配置面32上にフラット形態に配置されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。複数の線状伝送部材20は、束ねられた状態で、配置面32上に配置されていてもよい。
【0083】
またこれまでD1方向に延びる線状伝送部材20がD2方向に曲がってジグザグ区間24が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。D1方向に延びる線状伝送部材20がD3方向に曲がってジグザグ区間24が設けられていてもよい。
【0084】
またこれまで、線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、ベース材30に対して移動可能に保持されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、ベース材30に対して移動不能に保持されていてもよい。つまり、線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、どの位置においても、ベース材30と一緒に移動するように構成されていてもよい。例えば、線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、延在方向に沿って全体にわたって、連続的にベース材30に貼り付けられることによって、線状伝送部材20は、ジグザグ区間24において、ベース材30に対して移動不能に保持されることができる。
【0085】
またこれまで複数の線状伝送部材20がすべて同じ経路に沿って延びるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。複数の線状伝送部材20に分岐部が設けられていてもよい。分岐部は、ジグザグ区間24を避けて、それよりも端部側の区間に設けられていてもよい。分岐部は、ジグザグ区間24に設けられていてもよい。分岐部がベース材30又はシート材60に保持されていてもよい。
【0086】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0087】
10、110、210、310 配線部材
20 線状伝送部材
21 伝送線本体
22 被覆層
24 ジグザグ区間
26、27 直線区間
28 円形束区間
30 ベース材
32 配置面
34 しわ
40 取付部材
42 第1取付部
44 第2取付部
50 剛体
60 シート材
80 座席(取付け対象)
82 可動部
83 第1部分(シート本体)
84 第2部分(背もたれ)
85 回転軸
C コネクタ
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
S シフト区間
S1 第1シフト区間
S2 第2シフト区間
P パラレル区間
SF スポット固定部
T テープ