(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240910BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240910BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240910BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240910BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/0969
G01C21/34
G09B29/10 A
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2020188011
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 竜治
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165688(JP,A)
【文献】特開2020-060901(JP,A)
【文献】特開2020-153939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両が位置する地点を特定する地点データと、
前記地点の周囲の状況、及び、前記地点における前記第1車両の状態のうち、少なくともいずれかの要因を示す要因データと、
前記地点にて前記第1車両が実行可能であった第1運転支援レベル
、を特定する第1レベルデータと、
が入力される受付部と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記要因データに基づいて、前記要因が変動要因であるか否かを判定し、
前記要因が前記変動要因ではないと判定した場合、
前記第1車両の後に前記地点に位置する第2車両
に関して、前記地点での前記第1運転支援レベルの実行可能性があると判定し、
前記実行可能性の有無に基づいて、前記第2車両が実行可能
である第2運転支援レベルを特定する第2レベルデータを算出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記要因が前記変動要因であると判定した場合、前記地点にて前記第2車両に前記要因が生じるか否か、を判定し、
前記要因が生じると判定した場合、前記実行可能性があると判定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記地点に前記第1車両が位置する第1タイミングと前記地点に前記第2車両が位置する第2タイミングの少なくとも一方に基づいて、前記地点にて前記第2車両に前記要因が生じるか否かを判定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記第1タイミングは、現在よりも過去のタイミングであり、
前記第2タイミングは、現在、又は、現在よりも将来のタイミングであること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記第2レベルデータに基づいて、前記第2車両の現在地点から設定された目的地までの前記第2車両の走行予定経路を算出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記地点に前記第2車両が位置する時期又は時間帯に基づいて、前記地点にて前記第2車両に前記要因が生じるか否かを判定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記地点での天候に基づいて、前記地点にて前記第2車両に前記要因が生じるか否かを判定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記変動要因は、逆光により前記第1車両に搭載されたカメラが前記第1車両の周囲の一部を撮像できないこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記変動要因は、悪天候により前記第1車両に搭載されたカメラが前記第1車両の周囲の一部を撮像できないこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラから前記第2レベルデータを受信し、地図情報と共に前記第2レベルデータを表示する提示部を備えること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラから前記第2レベルデータによって特定される前記第2運転支援レベルの実行確率の情報を受信し、地図情報と共に前記実行確率を表示する提示部を備えること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の情報処理装置であって、
前記提示部は、前記第2車両に搭載された端末、又は、ユーザの端末であること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記第1車両又は前記第2車両が実行可能である運転支援レベルがとりうるレベルは、自動運転が可能であることを示す自動運転可能レベル、及び、自動運転が不可能であることを示す自動運転不可レベルを含むことを
を特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
第1車両が位置する地点を特定する地点データと、
前記地点の周囲の状況、及び、前記地点における前記第1車両の状態のうち、少なくともいずれかの要因を示す要因データと、
前記地点にて前記第1車両が実行可能であった第1運転支援レベル
、を特定する第1レベルデータと、
が入力されるコントローラを制御する情報処理方法であって、
前記コントローラは、
前記要因データに基づいて、前記要因が変動要因であるか否かを判定し、
前記要因が前記変動要因ではないと判定した場合、
前記第1車両の後に前記地点に位置する第2車両
に関して、前記地点での前記第1運転支援レベルの実行可能性があると判定し、
前記実行可能性の有無に基づいて、前記第2車両が実行可能
である第2運転支援レベルを特定する第2レベルデータを算出すること
を特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転を実施できている車両の交通量である自動運転交通量を逐次取得し、取得した自動運転交通量をもとに、選択できる道路が複数存在する経路について、自動運転を実施できている車両の交通量がより多い道路を優先して、自動運転を行うのに推奨される経路に選択する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、自動運転交通量に基づいて自動運転を行うのに推奨される経路を選択するものであるが、自動運転交通量は、自動運転の可否の判断を行う上で参考となる指標のうちの一要素にすぎない。つまり、特許文献1に記載の技術によれば、自動運転交通量以外の要因を考慮して経路を選択することができず、自動運転交通量以外の要因の如何によっては、経路の選択結果が変わるおそれがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動運転に影響を及ぼし得る種々の要因を考慮して自動運転を行うのに推奨される経路を提示することが可能な情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置及び情報処理方法は、所定地点における第1車両が実行可能な第1運転支援レベルを特定する第1レベルデータと、第1レベルデータが特定された時点の要因を示す要因データを受け付ける。そして、要因データに基づいて、要因が変動要因であるか否かを判定し、要因が変動要因ではないと判定した場合、第2車両には所定地点での第1運転支援レベルの実行可能性があると判定し、実行可能性の有無に基づいて、第2車両が実行可能な第2運転支援レベルを特定する第2レベルデータを算出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自動運転に影響を及ぼし得る種々の要因を考慮して自動運転を行うのに推奨される経路を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理(登録処理)を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理(算出処理)を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置による運転支援レベルの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[情報処理装置の構成]
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理装置1の構成例を説明する。情報処理装置1は車両に搭載されるものであってもよいし、車両の外部に設置されるものであってもよい。なお、以下では、本実施形態の車両は、自動駐車を実行可能な車両であるとして説明するが、これに限定されない。
【0011】
図1に示すように情報処理装置1は、地点データ受付部21と、レベルデータ受付部22と、要因データ受付部23と、記憶部25と、コントローラ100とを備える。その他、情報処理装置1は、提示部300を備えるものであってもよい。
【0012】
地点データ受付部21は、位置特定部11及びコントローラ100と接続され、位置特定部11から車両(第1車両)が位置する地点を特定する地点データを受け付ける。
【0013】
ここで、位置特定部11は、車両の位置情報を検出する装置であって、例えば、車両に搭載されるGPS受信機である。GPS受信機は、人工衛星からの電波を受信することにより、地上における車両の位置情報を検出する。GPS受信機が検出する車両の位置情報には、緯度情報、及び、経度情報が含まれる。
【0014】
なお、位置特定部11が車両の位置情報を検出する方法は、GPS受信機を用いた方法に限定されない。例えばオドメトリと呼ばれる方法を用いて位置を推定してもよい。オドメトリとは、車両の回転角、回転角速度に応じて車両の移動量及びと移動方向を求めることにより、車両の位置を推定する方法である。
【0015】
位置特定部11によって生成された地点データは、地点データ受付部21に入力され、地点データ受付部21は、受け付けた地点データをコントローラ100に送信する。その他、地点データ受付部21は、受け付けた地点データを後述する記憶部25に送信するものであってもよい。
【0016】
なお、位置特定部11によって生成された地点データ以外にも、地点データ受付部21は、車両(第2車両)が走行を予定している地点を特定する情報を地点データとして受け付けるものであってもよい。
【0017】
レベルデータ受付部22は、運転支援装置12及びコントローラ100と接続され、運転支援装置12から車両(第1車両)が実行可能な運転支援レベル(第1運転支援レベル)を特定するレベルデータ(第1レベルデータ)を受け付ける。
【0018】
ここで、「運転支援レベル」は、例えば、車両の自動運転が可能であることを示す自動運転可能レベル、車両の自動運転が不可能であることを示す自動運転不可レベルのいずれかのレベルである。
【0019】
その他にも、「運転支援レベル」は、車両の自動運転の程度に応じて、複数の段階を示すものであってもよい。例えば、「運転支援レベル」は、自動運転なしを表す「レベル0」、最低レベルの運転支援が可能であることを示す「レベル1」、部分的自動運転が可能であることを示す「レベル2」、条件付き自動運転が可能であることを示す「レベル3」、
高度な自動運転が可能であることを示す「レベル4」、完全自動運転が可能であることを示す「レベル5」のいずれかのレベルであってもよい。
【0020】
運転支援装置12は、車両の運転支援を継続する間、随時、車両が走行する地点の周囲の状況、車両の状態などに基づいて、車両が実行可能な運転支援レベルを決定し、さらに、決定した運転支援レベルを特定するレベルデータを生成する。
【0021】
要因データ受付部23は、運転支援装置12及びコントローラ100と接続され、運転支援装置12から要因データを受け付ける。運転支援装置12は、車両の運転支援レベルを実行可能とする要因を特定する情報を、要因データとして生成する。すなわち、運転支援装置12は、レベルデータが特定された時点の要因を特定する情報を、要因データとして生成する。例えば、要因データには、車両に搭載されたカメラが、駐車時に車両の周囲の一部を撮像できないことを示すタグ情報が含まれていてもよい。
【0022】
また、要因データには、駐車時に車両の周囲の一部を撮像できなかった原因(悪天候のため、水滴がカメラのレンズ面に付着していることや、逆光により、カメラの撮像素子の一部が飽和状態にあることなど)を特定するタグ情報が含まれていてもよい。
【0023】
さらに、要因データには、車両の走行経路に車両の走行に干渉しうる物体が存在したことを示すタグ情報や、車両の走行経路の路面形状が車両の走行に干渉しうることを示すタグ情報が含まれていてもよい。
【0024】
さらに、要因データには、上述したタグ情報と共に、地点データによって特定される地点を車両が走行した時期(年月日)や時間帯(時刻)、地点データによって特定される地点の周辺の天候情報(車両の走行したエリアの天候の情報)などの、車両の走行時の状況を表す補足情報が含まれていてもよい。
【0025】
要因データ受付部23は、運転支援装置12から受け付けた要因データをコントローラ100に送信する。その他、要因データ受付部23は、受け付けた要因データを後述する記憶部25に送信するものであってもよい。
【0026】
記憶部25は、コントローラ100と接続され、地点データ受付部21によって受け付けた地点データ、レベルデータ受付部22によって受け付けたレベルデータ、要因データ受付部23によって受け付けた要因データを記憶する。記憶部25は、受け付けたデータ(地点データ、レベルデータ、要因データなど)を、所定時間の間、記憶するものであってもよい。すなわち、記憶されたデータは、記憶されてから所定時間の間、記憶部25によって保持され、記憶されてから所定時間が経過した後には、削除されるものであってもよい。
【0027】
記憶部25は、地点データごとに、レベルデータ及び要因データを、当該地点データに関連付けて記憶する。したがって、記憶部25は、地点ごとに、当該地点を車両が走行した際に車両が実行可能であった運転支援レベル、及び、レベルデータが特定された時点の要因(当該運転支援レベルを実行可能とする要因)を記憶する。
【0028】
なお、記憶部25によって各地点において記憶されるレベルデータ、要因データの組は1組とは限らない。地点データ受付部21、レベルデータ受付部22、要因データ受付部23は、複数台の車両から、それぞれ地点データ、レベルデータ、要因データを受け付ける。したがって、注目する地点を走行する車両が複数存在すれば、車両の走行のたびに、当該地点に関連づけられるレベルデータ、要因データが生成され、記憶部25によって記憶される。
【0029】
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ100は、提示部300と接続される。
【0030】
コントローラ100には、情報処理装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ100は情報処理装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0031】
なお、ここでは、ソフトウェアによって情報処理装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0032】
コントローラ100は、複数の情報処理回路として、要因判定部110と、実行可能性判定部120と、レベル算出部130と、送信部140を備える。
【0033】
要因判定部110は、要因データに基づいて、地点データによって特定される地点を車両が走行した際に、当該車両のレベルデータが特定された時点の要因(当該車両の運転支援レベルを実行可能とする要因)が変動要因であるか否かを判定する。例えば、要因判定部110は、要因データに含まれるタグ情報が所定のタグ情報である場合に、要因が「変動要因」であると判定する。より具体的には、要因判定部110は、タグ情報が「駐車時に車両の周囲の一部を撮像できないこと」を示すタグ情報である場合に、要因が「変動要因」であると判定するものであってもよい。
【0034】
要因判定部110は、タグ情報が「車両の走行に干渉しうる物体が存在したこと」又は「車両の走行経路の路面形状が車両の走行に干渉しうること」を示すタグ情報である場合に、要因が「固定要因」であると判定するものであってもよい。
【0035】
その他にも、要因判定部110は、記憶部25に記憶され蓄積された複数の要因データに基づいて、タグ情報と、地点データによって特定される地点を車両が走行した時期(年月日)、時間帯(時刻)、地点データによって特定される地点の周辺の天候情報などの補足情報との間に相関関係があるかどうかを判定するものであってもよい。要因判定部110は、補足情報との相関関係があると判定されたタグ情報に係る要因について、変動要因であると判定するものであってもよい。
【0036】
タグ情報と補足情報との間に相関関係がある場合には、補足情報で示される状況によっては、当該地点を走行する際に運転支援レベルを実現できる場合もあれば実現できない場合もあると考えられる。つまり、補足情報との間に相関関係が認められるタグ情報によって表される要因は、変動的といえる。そのため、補足情報との相関関係があると判定されたタグ情報に係る要因について、変動要因であると判定する。
【0037】
要因判定部110は、タグ情報と補足情報の間の相関分析以外にも、機械学習を用いた要因分析に基づいて、変動要因であるか否かを判定するものであってもよい。
【0038】
要因判定部110による判定結果は、地点データ、レベルデータ、要因データに関連付けられて、記憶部25に記憶される。
【0039】
その他、要因判定部110は、車両のレベルデータが特定された時点の要因が変動要因であるか否かに応じて、地点データによって特定される地点を、レベルデータによって特定される運転支援レベルを実行するに際して「固定要因のある地点」又は「変動要因のある地点」のいずれかに分類するものであってもよい。
【0040】
要因判定部110による地点の分類結果は、地点データ、レベルデータ、要因データに関連付けられて、記憶部25に記憶される。
【0041】
実行可能性判定部120は、地点データによって特定される地点において、注目する運転支援レベルを車両(第2車両)が実行可能であるか否かを判定する。つまり、地点データによって特定される地点における運転支援レベルの実行可能性の有無を判定する。
【0042】
より具体的には、実行可能性判定部120は、記憶部25を参照し、地点データによって特定される地点が、注目する運転支援レベルを車両が実行するに際して「固定要因のある地点」又は「変動要因のある地点」のいずれかに分類されているのかを取得する。そして、「固定要因のある地点」として分類されている場合には、実行可能性判定部120は、車両には当該地点において注目する運転支援レベルの実行可能性があると判定する。
【0043】
一方、「変動要因のある地点」として分類されている場合には、実行可能性判定部120は、車両には当該地点において注目する運転支援レベルの実行可能性がないと判定するものであってもよい。
【0044】
また、実行可能性判定部120は、地点データによって特定される地点が「変動要因のある地点」として分類されている場合において、当該地点を走行しようとする車両に変動要因が生じるか否かを判定し、要因が生じると判定した場合に、車両には当該地点において注目する運転支援レベルの実行可能性があると判定するものであってもよい。
【0045】
ここで、実行可能性判定部120は、車両に変動要因が生じるか否かを判定するため、注目する地点の状況を取得する。例えば、実行可能性判定部120は、当該地点を車両が走行する時期又は時間帯を算出し、算出した時期、時刻に基づいて、変動要因が生じるか否かを判定してもよい。時期又は時間帯に基づいて生じるか否かが変動する変動要因の例としては、例えば、車両走行時の太陽位置が挙げられる。太陽位置、車両の走行する向きによっては、車載されたカメラが逆光のため、車両の周囲の一部を撮像できない場合が起こりうる。したがって、このような変動要因に依存して、車両が実行可能な運転支援レベルは変わりうる。
【0046】
その他にも、実行可能性判定部120は、車両に変動要因が生じるか否かを判定するため、当該地点における天候の情報を、図示しない外部サーバなどから取得し、当該天候の情報に基づいて、変動要因が生じるか否かを判定してもよい。例えば、天候が悪天候である場合に、降水や積雪などのために車載されたカメラが道路上の白線を撮像できない場合が起こりうる。車両の周囲の一部を撮像できないという変動要因に依存して、車両が実行可能な運転支援レベルは変わりうる。
【0047】
また、実行可能性判定部120は、地点データによって特定される地点を車両(第1車両)が走行したタイミング(第1タイミング)と、当該地点を車両(第2車両)が走行すると予測されるタイミング(第2タイミング)の少なくとも一方に基づいて、当該地点を走行する予定の車両に、運転支援レベルを実行可能とする要因が生じるか否かを判定するものであってもよい。
【0048】
例えば、地点データによって特定される地点を先に走行する第1車両が当該地点を通過する第1タイミングにおいて、当該地点のある道路が舗装されておらず、当該地点を後に走行する予定の第2車両が当該地点を通過すると予測される第2タイミングにおいて、当該地点のある道路が舗装されているという状況を考える。この場合、道路の路面状態は舗装の前後で大きく変化し、車両が実行可能な運転支援レベルは変わりうる。
【0049】
実行可能性判定部120による、地点データによって特定される地点における運転支援レベルの実行可能性の有無に関する判定結果は、地点データ、当該運転支援レベルを特定するレベルデータ(第1レベルデータ)に関連付けられて、記憶部25に記憶される。
【0050】
レベル算出部130は、実行可能性判定部120によって判定された実行可能性の有無に基づいて、第2車両が実行可能な第2運転支援レベルを特定するレベルデータ(第2レベルデータ)を算出する。
【0051】
より具体的には、レベル算出部130は、記憶部25を参照し、地点データに関連づけられて記憶されている、実行可能性の有無に関する判定結果を抽出する。ここで、地点データによって特定される地点の車両の走行が複数回あった場合には、実行可能性の有無に関する判定結果は、地点データ、レベルデータごとに複数存在しうる。
【0052】
レベル算出部130は、1又は複数の判定結果に基づいて、レベルデータごとの実行可能ありと判定された回数を算出し、第2車両がとりうる運転支援レベル全体にわたって算出した回数を積算して合計回数を算出する。そして、各回数を合計回数で除算することにより、各レベルデータによって特定される運転支援レベルの実行確率を算出する。レベル算出部130は、算出した実行確率のうち、最も実行確率に対応する運転支援レベルを特定するレベルデータを、第2レベルデータとして算出する。
【0053】
また、レベル算出部130は、算出した実行確率のうち、上位から順番に所定個数の実行確率に対応する運転支援レベルを特定するレベルデータを、第2レベルデータとして算出するものであってもよい。この場合、算出される第2レベルデータは複数個(所定個数)になりうる。
【0054】
なお、レベル算出部130によって算出された第2レベルデータは、図示しない走行支援装置における走行予定経路の算出に使用されてもよい。例えば、走行支援装置は、地図上の各地点における第2レベルデータをレベル算出部130から取得し、所定のレベル以上の自動運転を実施可能である運転支援レベルを特定する第2レベルデータを有する地点のみを経由する走行予定経路を算出するものであってもよい。
【0055】
このようにして算出された走行予定経路を走行する車両は、所定のレベル以上の自動運転を実施可能である運転支援レベルを実行可能して自動運転を行うことができる。そのため、自動運転が中断されることなく自動運転のシステムの稼働効率を向上させることが可能となる。
【0056】
送信部140は、レベル算出部130によって算出された第2レベルデータを、提示部300に送信する。また、送信部140は、レベル算出部130によって算出された、第2レベルデータによって特定される第2運転支援レベルの実行確率を送信するものであってもよい。
【0057】
提示部300は、例えば、車両に搭載された端末、又は、ユーザの端末である。提示部300は、送信部140から送信された情報を、ディスプレイ又はスピーカなどを介して、光又は音声によりユーザに提示する。
【0058】
また、提示部300は、図示しない地図サーバから地図情報を取得して、送信部140から受信した第2レベルデータ、又は、第2運転支援レベルの実行確率を、地図情報と共に表示するものであってもよい。
【0059】
例えば、
図4に示すように、提示部300は、実行確率に応じて地点ごとの色の明度又は色相を変化させて、視覚的に第2運転支援レベルの実行確率を画面上に表示するものであってもよい。
図4では、東京都心の地図情報と共に、幹線道路上での運転支援レベルが「不可」(レベル0又はレベル1)、「L2」(レベル2)、「L3」(レベル3)、「L4」(レベル4)が示されている。
【0060】
[情報処理装置の処理手順(登録処理)]
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の処理のうち、登録処理に関する手順を、
図2のフローチャートを参照して説明する。
図2に示す情報処理装置1の登録処理は、車両がとりうる運転支援レベルごとに実行され、さらに、所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
まず、ステップS101において、地点データ受付部21は地点データを受け付ける。また、レベルデータ受付部22は、レベルデータを受け付け、要因データ受付部23は、要因データを受け付ける。
【0062】
ステップS103において、登録処理が対象とする運転支援レベルを、地点データによて特定される地点で実行可能であるか否かが判定される。具体的には、コントローラ100は、受け付けたレベルデータによって特定される運転支援レベルと、登録処理が対象とする運転支援レベルとを比較し、レベルデータによって特定される運転支援レベルの方が高いレベルである場合、又は、両者が等しいレベルである場合、登録処理が対象とする運転支援レベルが実行可能であると判定する。
【0063】
登録処理が対象とする運転支援レベルが実行可能ではないと判定された場合(ステップS103でNOの場合)には、ステップS105において、地点データによって特定される地点において、登録処理が対象とする運転支援レベルが実行不可であるとして分類する(「実行不可の地点」として分類する)。
【0064】
一方、登録処理が対象とする運転支援レベルが実行可能であると判定された場合(ステップS103でYESの場合)には、ステップS107において、要因判定部110は、車両のレベルデータが特定された時点の要因(運転支援レベルを実行可能とする要因)が変動要因であるか否かを判定する。
【0065】
車両のレベルデータが特定された時点の要因が変動要因であると判定された場合(ステップS103でYESの場合)には、要因判定部110は、地点データによって特定される地点において、登録処理が対象とする運転支援レベルが変動要因によって実行可能であるとして分類する(「変動要因のある地点」として分類する)。
【0066】
一方、車両のレベルデータが特定された時点の要因が変動要因ではないと判定された場合(ステップS103でNOの場合)には、要因判定部110は、地点データによって特定される地点において、登録処理が対象とする運転支援レベルが固定要因によって実行可能であるとして分類する(「変動要因のない地点」として分類する)。
【0067】
ステップS105、S109、S111の処理の後、登録処理は終了する。
【0068】
[情報処理装置の処理手順(算出処理)]
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の処理のうち、算出処理に関する手順を、
図3のフローチャートを参照して説明する。
図3に示す情報処理装置1の処理は、地図情報上のレベルデータを取得する必要のある地点ごとに、実行される。
【0069】
まず、ステップS201において、地点データ受付部21は地点データを受け付ける。
【0070】
ステップS203において、実行可能性判定部120は、記憶部25を参照し、地点データによって特定される地点(注目する地点)の分類結果を取得する。
【0071】
ステップS205において、実行可能性判定部120は、注目する地点が「実行不可の地点」であるか否かを判定する。
【0072】
注目する地点が「実行不可の地点」であると判定された場合(ステップS205でYESの場合)には、ステップS213に進む。一方、注目する地点が「実行不可の地点」ではないと判定された場合(ステップS205でNOの場合)には、ステップS207に進む。
【0073】
ステップS207において、実行可能性判定部120は、注目する地点が「変動要因のある地点」であるか否かを判定する。
【0074】
注目する地点が「変動要因のある地点」ではないと判定された場合(ステップS207でNOの場合)には、ステップS215に進む。一方、注目する地点が「変動要因のある地点」であると判定された場合(ステップS207でYESの場合)には、ステップS209に進む。
【0075】
ステップS209において、実行可能性判定部120は、注目する地点の状況を取得する。そして、ステップS211において、実行可能性判定部120は、注目する地点において車両に変動要因が生じるか否かを判定する。
【0076】
車両に変動要因が生じないと判定された場合(ステップS211でNOの場合)には、ステップS213に進み、実行可能性判定部120は、車両には当該地点において注目する運転支援レベルの実行可能性がないと判定する。その後、ステップS217に進む。
【0077】
一方、車両に変動要因が生じると判定された場合(ステップS211でYESの場合)には、ステップS215に進み、実行可能性判定部120は、車両には当該地点において注目する運転支援レベルの実行可能性があると判定する。その後、ステップS217に進む。
【0078】
ステップS217において、レベル算出部130は、実行可能性の有無に基づいて、第2車両が実行可能な第2運転支援レベルを特定するレベルデータ(第2レベルデータ)を算出する。
【0079】
ステップS217の処理の後、算出処理は終了する。
【0080】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、第1車両が位置する地点を特定する地点データと、地点における第1車両が実行可能な第1運転支援レベルを特定する第1レベルデータと、第1レベルデータが特定された時点の要因を示す要因データを受け付ける。そして、要因データに基づいて、要因が変動要因であるか否かを判定し、要因が変動要因ではないと判定した場合、第2車両には地点での第1運転支援レベルの実行可能性があると判定し、実行可能性の有無に基づいて、第2車両が実行可能な第2運転支援レベルを特定する第2レベルデータを算出する。
【0081】
これにより、自動運転に影響を及ぼし得る種々の要因を考慮して自動運転を行うのに推奨される経路を提示することができる。特に、変動要因の有無を考慮して、走行を予定する地点において車両が実行可能な運転支援レベルをより正確に算出できるため、自動運転を継続できる可能性が高まり、自動運転のシステムの稼働効率を向上させることが可能となる。さらには、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、要因が変動要因であると判定した場合、地点にて第2車両に要因が生じるか否か、を判定し、要因が生じると判定した場合、実行可能性があると判定するものであってもよい。これにより、状況に応じて運転支援レベルが変化しうる地点において、地点の状況に基づいてより正確に運転支援レベルを算出でき、自動運転を継続できる可能性が高めることができる。
【0083】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、地点に第1車両が位置する第1タイミングと地点に第2車両が位置する第2タイミングの少なくとも一方に基づいて、地点にて第2車両に要因が生じるか否かを判定するものであってもよい。これにより、時間に応じて状況が変化しうる地点においても、より正確に運転支援レベルを算出できる。
【0084】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、第1タイミングは、現在よりも過去のタイミングであり、第2タイミングは、現在、又は、現在よりも将来のタイミングであってもよい。これにより、過去の車両の走行の際に得られた運転支援レベルの情報に基づいて、将来の走行の際の運転支援レベルをより正確に算出できる。その結果、時間に応じて状況が変化しうる地点においても、より正確に運転支援レベルを算出できる。
【0085】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、第2レベルデータに基づいて、第2車両の現在地点から設定された目的地までの第2車両の走行予定経路を算出するものであってもよい。これにより、算出された走行予定経路を走行する車両は、所定のレベル以上の自動運転を実施可能である運転支援レベルを実行可能して自動運転を行うことができる。そのため、自動運転が中断されることなく自動運転のシステムの稼働効率を向上させることが可能となる。
【0086】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、地点に第2車両が位置する時期又は時間帯に基づいて、地点にて第2車両に要因が生じるか否かを判定するものであってもよい。これにより、時期又は時間帯といった、第2車両が走行する地点の状況に基づいて、より正確に運転支援レベルを算出できる。
【0087】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、地点での天候に基づいて、地点にて第2車両に要因が生じるか否かを判定するものであってもよい。これにより、天候という第2車両が走行する地点の状況に基づいて、より正確に運転支援レベルを算出できる。
【0088】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、変動要因は、逆光により第1車両に搭載されたカメラが第1車両の周囲の一部を撮像できないことであってもよい。これにより、車両に搭載したカメラの状態に基づいて、レベルデータが特定された時点の要因(運転支援レベルを実行可能とする要因)が変動要因であるか否かを決定でき、より正確に運転支援レベルを算出できる。
【0089】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、変動要因は、悪天候により第1車両に搭載されたカメラが第1車両の周囲の一部を撮像できないことであってもよい。これにより、車両に搭載したカメラの状態に基づいて、レベルデータが特定された時点の要因(運転支援レベルを実行可能とする要因)が変動要因であるか否かを決定でき、より正確に運転支援レベルを算出できる。
【0090】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、第2レベルデータを地図情報と共に提示部によって表示するものであってもよい。さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、第2レベルデータによって特定される第2運転支援レベルの実行確率の情報を地図情報と共に提示部によって表示するものであってもよい。また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、提示部は、第2車両に搭載された端末、又は、ユーザの端末であってもよい。
【0091】
これらにより、情報の提示を受けたユーザは、地図上の複数の地点の間での運転支援レベルの比較を行うことができ、いずれの地点を経由する走行経路を選択すれば自動運転を継続しやすいか、ユーザが判断することができる。特に、運転支援レベルや実行確率の大きさに応じて地図上の地点の明度、色相を変えて表示することにより、ユーザに直感的に理解しやすい視覚情報として、運転支援レベルや実行確率を提示することができる。
【0092】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、第1車両又は第2車両が実行可能である運転支援レベルがとりうるレベルは、自動運転が可能であることを示す自動運転可能レベル、及び、自動運転が不可能であることを示す自動運転不可レベルを含むものであってもよい。これにより、少なくとも車両による自動運転が可能か否かを区別でき、自動運転を継続できる可能性が高まり、自動運転のシステムの稼働効率を向上させることが可能となる。
【0093】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0094】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0095】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0096】
1 情報処理装置
11 位置特定部
12 運転支援装置
21 地点データ受付部
22 レベルデータ受付部
23 要因データ受付部
25 記憶部
100 コントローラ
110 要因判定部
120 実行可能性判定部
130 レベル算出部
140 送信部
300 提示部