IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特許7552276インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム
<>
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図1
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図2
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図3
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図4
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図5
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図6
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図7
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図8
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図9
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図10
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図11
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図12
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図13
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図14
  • 特許-インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】インク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 213
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020190083
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079108
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 貴士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 脩平
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-271313(JP,A)
【文献】特開2016-155322(JP,A)
【文献】特開2008-168620(JP,A)
【文献】特開2011-005656(JP,A)
【文献】特開2020-104387(JP,A)
【文献】特開2010-030212(JP,A)
【文献】特開2018-024216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行し、
前記吐出ヘッドにおいて、前記複数のノズル列が前記主走査方向に並設されてなるノズル列群が前記主走査方向に複数設けられており、
前記ノズル列群の各々において、前記複数のノズル列の各々における前記副走査方向に隣り合う前記ノズル間の間隔がL1であり、前記主走査方向に隣り合う前記ノズル列間の間隔がL3であり、
前記複数のノズルは、前記発数削減処理において減少の対象となる対象ノズルであって、前記ノズル列群の各々における前記複数のノズル列のうち所定のノズル列に備わる対象ノズルを含み、
前記制御装置は、前記L1が前記L3よりも大きい場合に、前記発数削減処理において前記対象ノズルにインクを吐出させない、インク吐出装置。
【請求項2】
前記複数のノズルは、前記発数削減処理において減少の対象となる対象ノズルを含み、
前記制御装置は、前記発数削減処理において前記対象ノズルにインクを吐出させない、請求項1に記載のインク吐出装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッドにおいては、前記複数のノズル列の各々における前記副走査方向に隣り合う前記ノズル間の間隔がL1であり、前記主走査方向に隣り合う前記ノズル列間の間隔がL2であり、
前記複数のノズルは、前記発数削減処理において減少の対象となる対象ノズルを含み、
前記制御装置は、前記L1が前記L2よりも小さい場合に、前記発数削減処理において前記対象ノズルにインクを吐出させない、請求項1記載のインク吐出装置。
【請求項4】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行し、
前記吐出ヘッドにおいて、前記複数のノズル列が前記主走査方向に並設されてなるノズル列群が前記主走査方向に複数設けられており、
前記ノズル列群の各々において、前記複数のノズル列の各々における前記副走査方向に隣り合う前記ノズル間の間隔がL1であり、前記主走査方向に隣り合う前記ノズル列間の間隔がL3であり、
前記ノズル列群の各々には前記副走査方向に沿って延在し前記主走査方向に並設された前記ノズル列が3列含まれ、
前記複数のノズルは、前記発数削減処理において減少の対象となる対象ノズルであって、前記ノズル列群の各々における前記3列のノズル列のうち2列のノズル列に備わる対象ノズルを含み、
前記制御装置は、前記L1が前記L3の2倍の値よりも大きい場合に、前記発数削減処理において前記対象ノズルにインクを吐出させない、インク吐出装置。
【請求項5】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行し、
前記吐出ヘッドにおいて、前記複数のノズル列が前記主走査方向に並設されてなるノズル列群が前記主走査方向に複数設けられており、
前記ノズル列群の各々において、前記複数のノズル列の各々における前記副走査方向に隣り合う前記ノズル間の間隔がL1であり、前記主走査方向に隣り合う前記ノズル列間の間隔がL3であり、
前記ノズル列群の各々には前記副走査方向に沿って延在し前記主走査方向に並設された前記ノズル列が3列含まれ、
前記複数のノズルは、前記発数削減処理において減少の対象となる対象ノズルであって、前記ノズル列群の各々における前記3列のノズル列のうち1列のノズル列に備わる対象ノズルを含み、
前記制御装置は、前記L1が前記L3の2倍の値よりも小さい場合に、前記発数削減処理において前記対象ノズルにインクを吐出させない、インク吐出装置。
【請求項6】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行し、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、吐出周波数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも低下させる、インク吐出装置。
【請求項7】
前記吐出ヘッドは前記主走査方向に往復移動するように構成され、
前記制御装置は、前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズル列の前記ノズルによる1パス当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる、請求項1乃至の何れか1項に記載のインク吐出装置。
【請求項8】
前記印刷ジョブには、前記ローギャップ印刷モード、前記ハイギャップ印刷モード、および、前記距離が前記ローギャップよりも大きくかつ前記ハイギャップよりも小さい1又は複数のミドルギャップとなる印刷モードであるミドルギャップ印刷モードを指示する情報が含まれ、
前記制御装置は、前記距離が大きくなるほど重ねるパスを増やして印刷を実行するように前記吐出ヘッドを制御する、請求項1乃至の何れか1項に記載のインク吐出装置。
【請求項9】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行し、
ンクはブラックインク、イエローインク、シアンインク、およびマゼンタインクを含み、
前記複数のノズルのうちブラックインクを吐出するノズルの数は、イエローインクを吐出するノズルの数、シアンインクを吐出するノズルの数、およびマゼンタインクを吐出するノズルの数よりも多く、
前記制御装置は、前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記イエローインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数、前記シアンインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数、および前記マゼンタインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合と同等にし、前記ブラックインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる、インク吐出装置。
【請求項10】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行し、
ンクはホワイトインクおよびクリアインクを含み、
前記制御装置は、前記印刷ジョブに基づき前記ホワイトインクの吐出の有無および前記クリアインクの吐出の有無の判定を行い、前記ノズルから前記クリアインクを吐出させると判定した場合、および下地形成用として前記ノズルから前記ホワイトインクを吐出させる判定した場合には、前記複数のノズル列の前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合と同等にする、インク吐出装置。
【請求項11】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置され、インクを吐出する複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドを備えたインク吐出装置を用いたインク吐出方法であって、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定工程と、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定された場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減工程と、を備え
インクはブラックインク、イエローインク、シアンインク、およびマゼンタインクを含み、
前記複数のノズルのうちブラックインクを吐出するノズルの数は、イエローインクを吐出するノズルの数、シアンインクを吐出するノズルの数、およびマゼンタインクを吐出するノズルの数よりも多く、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記イエローインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数、前記シアンインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数、および前記マゼンタインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合と同等にし、前記ブラックインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる、インク吐出方法。
【請求項12】
主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置され、インクを吐出する複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドを備えたインク吐出装置におけるコンピュータに実行させるインク吐出プログラムであって、
前記コンピュータを、
印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定手段、および、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードである判定された場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減手段、として機能させ
インクはブラックインク、イエローインク、シアンインク、およびマゼンタインクを含み、
前記複数のノズルのうちブラックインクを吐出するノズルの数は、イエローインクを吐出するノズルの数、シアンインクを吐出するノズルの数、およびマゼンタインクを吐出するノズルの数よりも多く、
前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記イエローインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数、前記シアンインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数、および前記マゼンタインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合と同等にし、前記ブラックインクを吐出すべき前記ノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる手段、としてさらに機能させる、インク吐出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタ等の画像記録装置に用いられるインク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ノズルから被吐出媒体までの距離(同文献ではペーパーギャップと記載)に応じてノズルからインクを吐出するタイミングを決定するインク吐出装置が開示されている。このインク吐出装置においては、検出部が検出した距離に応じたタイミングでノズルからインクを吐出する場合よりも、空気抵抗に起因するインクの実際の着弾位置と目標の着弾位置とのずれ量が少なくなるようにするために、検出部が検出した距離よりも大きい距離に基づいてノズルからインクを吐出するタイミングが決定されるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-206355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルと被吐出媒体とのギャップが大きくなるにつれて、吐出したインクが被吐出媒体の所望の位置に着弾しないという課題があった。これは、ノズルから吐出されたインクの液滴の体積は非常に小さいため、僅かな気流の影響でも受けてしまうためであると考えられる。特に上記ギャップが大きくなるにつれて吐出流(液滴が吐出されることで生じる、上から下に向かう気流)が大きくなり、この大きくなった吐出流と被吐出媒体の搬送により生じる気流との合成流に起因して、印刷後の被吐出媒体に風紋のような印刷乱れが生じることがある。その結果、印刷品質が低下していた。
【0005】
そこで、本発明は、吐出したインクが被吐出媒体の所望の位置に着弾し易くなるインク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインク吐出装置は、主走査方向に交差する副走査方向に並んで配置された複数のノズルを含む複数のノズル列が前記主走査方向に複数配置される吐出ヘッドと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、印刷ジョブを受信し、前記ノズルと被吐出媒体との距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび前記距離が前記ローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを前記印刷ジョブに基づき判定するモード判定処理と、前記印刷モードが前記ハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、前記複数のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数を前記ローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理と、を実行するものである。
【0007】
本発明に従えば、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合に、複数のノズル列のノズルによる単位時間当たりの総吐出発数がローギャップ印刷モードの場合よりも減少される。これにより、ハイギャップ印刷モード時に比較的大きくなる吐出流(液滴が吐出されることで生じる、上から下に向かう気流)を低減することができる。それにより、上記吐出流と被吐出媒体の搬送により生じる気流との合成流に起因したインクの着弾ずれを抑制することができる。これによって、従来よりも印刷品質が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、捨てるインクの量を抑制することができるインク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るインク吐出装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1の吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
図3図1のインク吐出装置を備えた画像記録装置の構成を示すブロック図である。
図4】(a)はハイギャップを説明するための図であり、(b)はミドルギャップを説明するための図であり、(c)はローギャップを説明するための図である。
図5図1の吐出ヘッドにおけるノズルの配置例を示す図である。
図6】(a)は第1実施形態におけるローギャップ印刷モード時のインク吐出のイメージを示す斜視図であり、(b)は第1実施形態におけるハイギャップ印刷モード時のインク吐出のイメージを示す斜視図である。
図7】第1実施形態における吐出ヘッドの変形例を示す図である。
図8】第1実施形態における印刷処理を説明するためのフローチャートである。
図9】第2実施形態における吐出ヘッドのノズルの配置例を示す図である。
図10】第2実施形態における吐出ヘッドの変形例を示す図である。
図11】(a)は第3実施形態におけるローギャップ印刷モード時のインク吐出のイメージを示す斜視図であり、(b)は第3実施形態におけるハイギャップ印刷モード時のインク吐出のイメージを示す斜視図である。
図12】第3実施形態における印刷処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第4実施形態に係る印刷処理においてパスごとに被吐出媒体に吐出される液滴のイメージを示す斜視図である。
図14】第4実施形態における印刷処理を説明するためのフローチャートである。
図15】変形例に係る吐出ヘッドにおけるノズルの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るインク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラムについて図面を参照しながら説明する。以下に説明するインク吐出装置、インク吐出方法、およびインク吐出プログラムは本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のインク吐出装置10は、インクを吐出するものであって、タンクに相当する貯留タンク12、キャリッジ16、吐出ヘッド20、一対の搬送ローラ15、一対のガイドレール17、およびサブタンク18を備えている。なお、インク吐出装置10において図略のプラテン上に被吐出媒体Wが配置される。
【0012】
キャリッジ16にはサブタンク18を含む吐出ヘッド20が搭載されている。キャリッジ16は、被吐出媒体Wの搬送方向(副走査方向)に直交する主走査方向に延在する一対のガイドレール17に支持され、当該ガイドレール17に沿って主走査方向に往復動する。これにより、吐出ヘッド20は主走査方向に往復動する。このような吐出ヘッド20はチューブ12aを介して貯留タンク12に接続されている。
【0013】
一対の搬送ローラ15は主走査方向に沿って互いに平行に配置されている。搬送ローラ15は図略の搬送モータが駆動されると回転し、これによりプラテン上の被吐出媒体Wが搬送方向に搬送されるようになっている。
【0014】
貯留タンク12にはインクが貯留されている。貯留タンク12は、吐出ヘッド20にインクを供給すべくインク流路を介して吐出ヘッド20に接続されている。また、貯留タンク12は、インクの種類ごとに設けられている。貯留タンク12は、例えば4つ設けられ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがそれぞれ貯留されている。
【0015】
図2に示すように、吐出ヘッド20は貯留タンク12からのインクを用いて液滴を吐出する複数のノズル21を有する。吐出ヘッド20は流路形成体と容積変更部の積層体を有している。流路形成体には、その内部にインク流路が形成され、その下面である吐出面40aに複数のノズル孔21aが開口している。また、上記の容積変更部は、駆動されてインク流路の容積を変更する。このとき、ノズル孔21aではメニスカスが振動してインクが吐出される。以下、吐出ヘッド20の構成について詳細に説明する。
【0016】
図2に示すように、吐出ヘッド20の上述の流路形成体は複数のプレートの積層体であり、容積変更部は振動板55およびアクチュエータ(圧電素子)60を含む。振動板55の上には絶縁膜56が接続されており、当該絶縁膜56の上には後述の共通電極61が接続されている。
【0017】
複数のプレートは、下から順に、ノズルプレート46、スペーサプレート47、第1流路プレート48、第2流路プレート49、第3流路プレート50、第4流路プレート51、第5流路プレート52、第6流路プレート53、および第7流路プレート54を含んで積層されている。上記の第1流路プレート48、第2流路プレート49、第3流路プレート50、第4流路プレート51、および第5流路プレート52がマニホールド用プレート44を構成する。
【0018】
各プレートには大小種々の孔および溝が形成されている。各プレートが積層された流路形成体の内部では孔および溝が組み合わされて、複数のノズル21、複数の個別流路64およびマニホールド22がインク流路として形成されている。
【0019】
ノズル21はノズルプレート46を積層方向に貫通し形成されている。ノズルプレート46の吐出面40aには、ノズル21の先端である複数のノズル孔21aが配列方向に複数並んでノズル列を形成している。上記の配列方向は積層方向に直交する方向である。
【0020】
マニホールド22は、インクの吐出圧力が付与される後述の圧力室28に対してインクを供給する。マニホールド22は、配列方向に延在しており、複数の個別流路64の各一端にそれぞれ接続されている。すなわち、マニホールド22はインクの共通流路として機能する。マニホールド22は、第1流路プレート48~第4流路プレート51を積層方向に貫通した貫通孔および第5流路プレート52の下面から窪んだ窪みが積層方向に重なって形成されている。
【0021】
ノズルプレート46はスペーサプレート47の下方に配置されている。そのスペーサプレート47は例えばステンレス鋼材で形成される。スペーサプレート47は、例えばハーフエッチングによりノズルプレート46側の面からスペーサプレート47の厚み方向に凹むことで、ダンパ部47aを成す薄肉部分とダンパ空間47bとが形成される凹部45を有している。このような構成により、マニホールド22とノズルプレート46との間には、バッファー空間としてのダンパ空間47bが形成される。
【0022】
マニホールド22には供給ポート22aが連通している。供給ポート22aは例えば筒状に形成され、配列方向(マニホールド22の長手方向)の一方端に設けられている。なお、マニホールド22と供給ポート22aとは、第5流路プレート52の上側部分、第6流路プレート53、および第7流路プレート54をそれぞれ貫通して設けられた図略の流路により繋がっている。
【0023】
複数の個別流路64はマニホールド22にそれぞれ接続されている。個別流路64は、その上流端がマニホールド22に接続され、その下流端がノズル21の基端に接続されている。個別流路64は、第1連通孔25、個別絞り路である供給絞り路26、第2連通孔27、圧力室28、およびディセンダ29で構成されており、これらの構成要素はこの順で配置される。
【0024】
第1連通孔25は、その下端がマニホールド22の上端に接続し、マニホールド22から積層方向の上方に延び、第5流路プレート52における上側部分を積層方向に貫通している。
【0025】
供給絞り路26の上流端は第1連通孔25の上端に接続されている。供給絞り路26は、例えばハーフエッチングにより形成され、第6流路プレート53の下面から窪んだ溝により構成されている。また、第2連通孔27は、その上流端が供給絞り路26の下流端に接続され、供給絞り路26から積層方向の上方に延び、第6流路プレート53を積層方向に貫通して形成されている。
【0026】
圧力室28は、その上流端が第2連通孔27の下流端に接続されている。圧力室28は、第7流路プレート54を積層方向に貫通して形成されている。
【0027】
ディセンダ29は、スペーサプレート47、第1流路プレート48、第2流路プレート49、第3流路プレート50、第4流路プレート51、第5流路プレート52、および第6流路プレート53を積層方向に貫通して形成されている。ディセンダ29は、その上流端が圧力室28の下流端に接続され、下流端がノズル21の基端に接続されている。ノズル21は、例えば積層方向においてディセンダ29に重なり、幅方向においてディセンダ29の中央に配置されている。
【0028】
振動板55は、第7流路プレート54の上に積層されており、圧力室28の上端開口を覆っている。
【0029】
アクチュエータ60は、共通電極61、圧電層62および個別電極63を含み、これらはこの順で配置されている。共通電極61は、絶縁膜56を介して振動板55の全面を覆っている。圧電層62は、圧力室28ごとに設けられ、当該圧力室28に重なるように共通電極61上に配置されている。個別電極63は、圧力室28ごとに設けられ、圧電層62上に配置されている。1つの個別電極63、共通電極61および両電極で挟まれた部分の圧電層62により1つのアクチュエータ60が構成される。
【0030】
個別電極63はドライバICに電気的に接続されている。このドライバICは、図略の制御部から制御信号を受けて、駆動信号(電圧信号)を生成し、個別電極63に印加する。これに対し、共通電極61は常にグランド電位に保持されている。このような構成において、駆動信号に応じて、圧電層62の活性部が、2つの電極61,63と共に面方向に伸縮する。これに応じて、振動板55が協働して変形し、圧力室28の容積を増減する方向に変化する。これにより、インクをノズル21から吐出させる吐出圧力が圧力室28に付与される。
【0031】
以上のような吐出ヘッド20において、供給ポート22aは配管を介してサブタンク18に接続されている。配管に設けられた加圧ポンプが駆動すると、インクはサブタンク18から配管を通り、供給ポート22aを介してマニホールド22に流入する。そして、インクはマニホールド22から第1連通孔25を介して供給絞り路26に流入し、供給絞り路26から第2連通孔27を介して圧力室28に流入する。そして、インクはディセンダ29を流れ、ノズル21に流入する。ここで、アクチュエータ60により圧力室28に吐出圧力が付与されると、インクはノズル孔21aから吐出される。
【0032】
次いで、本実施形態のインク吐出装置10を備える、例えばインクジェットプリンタ等の画像記録装置1について説明する。
【0033】
図3に示すように、画像記録装置1は、上記のインク吐出装置10の他に、ネットワークインターフェース(I/F)70、CPU等で構成される制御装置71、RAM72、ROM73、ヘッドドライバIC74、記録媒体読取り装置77、モータドライバIC30,32、搬送モータ31、およびキャリッジモータ33を備えている。なお、制御装置71がコンピュータに相当する。
【0034】
制御装置71は、その機能的構成として、モード判定処理部71a、および発数削減処理部71bを有している。制御装置71が所定のプログラムを実行することによって、上記のモード判定処理部71a、および発数削減処理部71bが機能的に実現されるようになっている。なお、モード判定処理部71aはモード判定手段に相当し、発数削減処理部71bは発数削減手段に相当する。
【0035】
制御装置71のモード判定処理部71aは、外部装置であるコンピュータ200等から送信される印刷ジョブを受信する。また、モード判定処理部71aは、受信した印刷ジョブに基づき、ノズル21と被吐出媒体Wとの距離がローギャップとなる印刷モードであるローギャップ印刷モードおよび上記距離がローギャップよりも大きいハイギャップとなる印刷モードであるハイギャップ印刷モードのうち何れであるかを判定するモード判定処理を実行する。なお、ローギャップおよびハイギャップについては後述する。
【0036】
また、発数削減処理部71bは、印刷モードがハイギャップ印刷モードであるとモード判定処理部71aにより判定された場合に、複数のノズル21による単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる発数削減処理に用いる吐出データを生成し、当該吐出データに基づき発数削減処理を実行する。
【0037】
RAM72は、外部のパーソナルコンピュータ等のコンピュータ200からネットワークインターフェース70を介して受信した印刷ジョブを一時的に記憶する。また、RAM72は吐出データ等を一時的に記憶する。
【0038】
ROM73は、本実施形態のインク吐出プログラムや各種データ処理を行うための制御プログラムを記憶する。
【0039】
ヘッドドライバIC74は制御装置71からの指示を受けて吐出ヘッド20に液滴を吐出させる。同様に、モータドライバIC30は制御装置71からの指示を受けて搬送モータ31の駆動制御を行う。搬送モータ31は、搬送ローラ15を動作させることで被吐出媒体Wを搬送方向に搬送する。被吐出媒体Wのうち液滴が吐出されていない部分と吐出ヘッド20とが対向した後、モータドライバIC32は制御装置71からの指示を受けてキャリッジモータ33の駆動制御を行う。キャリッジモータ33は、キャリッジ16を動作させることで吐出ヘッド20を主走査方向に移動させる。キャリッジ16が主走査方向に移動可能な範囲のうち、吐出ヘッド20と被吐出媒体Wとが対向する範囲が印刷範囲である。ヘッドドライバIC74は制御装置71からの指示を受けて吐出ヘッド20に、印刷範囲の全範囲に液滴を吐出させる場合もあるし、印刷範囲の一部に液滴を吐出させる場合もある。印刷範囲の全範囲および印刷範囲の一部は1パスに相当する。また、モータドライバIC32が制御装置71からの指示を受けて、キャリッジ16を主走査方向に印刷範囲を複数回移動させる際に、ヘッドドライバIC74が制御装置71からの指示を受けて、各移動において吐出ヘッド20に液滴を吐出させる場合もある。つまり、パスを重ねる。なお、モータドライバIC32が制御装置71からの指示を受けて、キャリッジ16を主走査方向に印刷範囲を複数回移動させる際に、吐出ヘッド20に液滴を吐出させながらの移動と、吐出ヘッド20に液滴を吐出させない移動とを交互に繰り返しても良い。
【0040】
記録媒体読取り装置77は、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROM,CD-R,CD-RW等)、DVD(DVD-ROM,DVD-RAM,DVD-R,DVD+R,DVD-RW,DVD+RW等)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスク、および光磁気ディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体KBからインク吐出プログラムを読み出す装置である。この記録媒体読取り装置77は、例えばUSBフラッシュメモリ等の記録媒体からインク吐出プログラムを読み出す装置であってもよい。読み出されたインク吐出プログラムはROM73に保存され、制御装置71により実行される。なお、本実施形態のインク吐出プログラムは、外部のコンピュータ200からネットワークインターフェース70を介してROM73に保存してもよいし、或いはインターネットからダウンロードしてROM73に保存してもよい。
【0041】
次に、図4は吐出面40a(ノズル孔21aの下端)と被吐出媒体Wとの距離について説明するための図である。図4(a)はハイギャップを説明するための図であり、同図(b)はミドルギャップを説明するための図であり、同図(c)はローギャップを説明するための図である。
【0042】
図4(a)に示すように、吐出面40aと被吐出媒体Wとの距離が最も大きい場合の距離をハイギャップGHとする。また、図4(c)に示すように、吐出面40aと被吐出媒体Wとの距離がハイギャップGHよりも小さくなる場合の距離をローギャップGLとする。さらに、図4(b)に示すように、吐出面40aと被吐出媒体Wとの距離がローギャップGLよりも大きく且つハイギャップGHよりも小さくなる場合の1又は複数の距離をミドルギャップGMと総称する。このように、本実施形態の印刷ジョブには、ローギャップGLにて印刷を行うローギャップ印刷モード、ハイギャップGHにて印刷を行うハイギャップ印刷モード、およびミドルギャップGMにて印刷を行うミドルギャップ印刷モードを指示する情報が含まれる。ローギャップ印刷モード、ハイギャップ印刷モード、およびミドルギャップ印刷モードを示す情報はユーザの指示により取得される。
【0043】
ここで、吐出ヘッド20におけるノズル21の配置について説明する。図5に示すように、吐出ヘッド20には複数(図5では4つ)のノズル列NLが設けられている。各ノズル列NLは主走査方向にほぼ等間隔でそれぞれ配置されている。各ノズル列NLは、副走査方向に並んで配置された複数のノズル21をそれぞれ含む。なお、主走査方向の一端側(図5では左端側)から順に、例えば、ブラックインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NL、シアンインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NL、マゼンタインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NL、およびイエローインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NLが配置されている。
【0044】
上述した通り、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合には、発数削減処理において、複数のノズル21による単位時間当たりの総吐出発数がローギャップ印刷モードの場合よりも減少される。この発数削減処理のイメージを図6(b)に示す。図6(b)に示されるように、ハイギャップ印刷モード時には、複数のノズル列NLの各々における複数のノズル21のうち1又は複数のノズルにインクを吐出させない。このように、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合には、図6(a)に示すローギャップ印刷モードとは異なり、各ノズル列NLにおいて(すなわち主走査方向において)幾つかのノズル21がインクを吐出しないノズル(インク非吐出ノズル)として間引かれる。つまり、幾つかのノズル21が発数削減処理において減少の対象となる対象ノズル21b(図5)として副走査方向に間引かれるようになっている。
【0045】
発数削減処理を実行する際の条件を以下のように設定することができる。図5の吐出ヘッド20においては、複数のノズル列NLの各々における副走査方向に隣り合うノズル21間の間隔はL1である。また、主走査方向に隣り合うノズル列NL間の間隔はL2である。このような構成において、L1がL2よりも小さい場合に、発数削減処理部71bは上述の対象ノズル21bにインクを吐出させないよう発数削減処理を実行する。
【0046】
吐出ヘッドの他の態様として、図7に示すようにキャリッジ16に2つの吐出ヘッドを設けてもよい。この場合、上述と同じ吐出ヘッド20と吐出ヘッド20Aとが副走査方向に並んで配置される。吐出ヘッド20Aには複数(図7では4つ)のノズル列NLが設けられている。吐出ヘッド20Aにおける各ノズル列NLは主走査方向にほぼ等間隔でそれぞれ配置されている。各ノズル列NLは、副走査方向に並んで配置された複数のノズル21をそれぞれ含む。なお、主走査方向の一端側(図7では左端側)から順に、例えば、ホワイトインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NL、同じくホワイトインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NL、クリアインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NL、および同じくクリアインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NLが配置されている。なお、ホワイトインクは下地形成のために吐出されるものであり、クリアインクは光沢を付与する場合や印刷部分の保護を行う場合に吐出されるものである。
【0047】
図8は本実施形態における制御装置71の印刷処理を説明するためのフローチャートである。図8に示すように、まず、制御装置71のモード判定処理部71aは外部装置であるコンピュータ200から送信される印刷ジョブを受信したか否かを判別する(ステップS1)。印刷ジョブを受信した場合には(ステップS1でYES)、モード判定処理部71aは印刷モードがハイギャップ印刷モードであるか否かを印刷ジョブに基づき判定する(ステップS2)。一方、印刷ジョブを受信していない場合には(ステップS1でNO)、モード判定処理部71aは印刷ジョブを受信するまで待機する。
【0048】
続いて、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合(ステップS2でYES)、発数削減処理部71bは印刷ジョブに基づき下地としてのホワイトインクの吐出の有無の判定を行う(ステップS3)。下地としてのホワイトインクの吐出が無い場合(ステップS3でYES)、発数削減処理部71bはクリアインクの吐出の有無の判定を行う(ステップS4)。クリアインクの吐出が無い場合には(ステップS4でYES)、発数削減処理部71bは発数削減処理に用いる吐出データを生成して印刷処理として上述の発数削減処理を実行する(ステップS5)。
【0049】
一方、印刷モードがハイギャップ印刷モードでない場合(ステップS2でNO)、下地としてのホワイトインクの吐出がある場合(ステップS3でNO)、ならびにクリアインクの吐出がある場合には(ステップS4でNO)、発数削減処理部71bは単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合と同等にした吐出データを生成して通常の印刷処理を実行する(ステップS6)。
【0050】
以上のように、本実施形態のインク吐出装置10によれば、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合に、複数のノズル列NLのノズル21による単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合よりも減少する発数削減処理が実行される。これにより、ハイギャップ印刷モード時に比較的大きくなる吐出流(液滴が吐出されることで生じる、上から下に向かう気流)を低減することができる。それにより、上記吐出流と被吐出媒体Wの搬送により生じる気流との合成流に起因したインクの着弾ずれを抑制することができる。これによって、従来よりも印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、発数削減処理部71bは、発数削減処理において対象ノズル21bにインクを吐出させないようにする。これにより、発数削減処理を容易な手段で実現することができる。
【0052】
また、本実施形態では、吐出ヘッド20においては、各ノズル列NLにおける副走査方向に隣り合うノズル21間の間隔L1が主走査方向に隣り合うノズル列NL間の間隔L2よりも小さい場合に、発数削減処理部71bにより発数削減処理が実行される。これにより、間隔L1が間隔L2以上である場合(つまり副走査方向におけるノズル間隔が十分大きい場合)のように副走査方向に隣り合うノズルに起因した吐出流による影響があまりないと考えられるときには、通常の印刷処理を実行することができる。
【0053】
また、本実施形態では、印刷モードがハイギャップ印刷モードでない場合、ならびにクリアインクを吐出すべき場合およびホワイトインクを吐出すべき場合には、通常の印刷処理(すなわちノズル21による単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合と同等にした印刷処理)が実行される。これによって、上記の各場合に発数削減処理を実行することを避けることができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。
【0055】
図9は第2実施形態における吐出ヘッドのノズルの配置例を示す図である。図9に示す吐出ヘッド20Bには、複数(図9では3つ)のノズル列NLが主走査方向に並設されてなるノズル列群NLGが主走査方向に複数(図9では4つ)設けられている。なお、図9では各ノズル列NLをNL1~NL12として識別して図示している。各ノズル列群NLGは主走査方向にほぼ等間隔でそれぞれ配置されている。また、ノズル列群NLGの各々において各ノズル列NLは主走査方向にほぼ等間隔でそれぞれ配置されている。各ノズル列NLは、副走査方向に並んで配置された複数のノズル21をそれぞれ含む。なお、主走査方向の一端側(図9では左端側)から順に、例えば、ブラックインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLG、シアンインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLG、マゼンタインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLG、およびイエローインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLGが配置されている。ノズル列群NLGの各々において、複数のノズル列NLの各々における副走査方向に隣り合うノズル21間の間隔がL1であり、主走査方向に隣り合うノズル列NL間の間隔がL3である。
【0056】
複数のノズル21は、発数削減処理において減少の対象となる対象ノズルであって、ノズル列群NLGの各々における複数のノズル列NLのうち所定のノズル列に備わる対象ノズル21bを含む。このような構成において、制御装置71の発数削減処理部71bは、間隔L1が間隔L3よりも大きい場合に、上記対象ノズル21bにインクを吐出させないようにする発数削減処理を実行する。
【0057】
例えば、各ノズル列群NLGに含まれるノズル列が3列である場合に、以下の発数削減処理を実行してもよい。発数削減処理部71bは、間隔L1が間隔L3の2倍の値よりも大きい場合に、発数削減処理においてノズル列群NLGの各々における3列のノズル列NLのうち2列のノズル列に備わる対象ノズル21bにインクを吐出させない。なお、図9においては上記2列のノズル列NLにおける対象ノズル21bとして、ノズル列群NLG(K)における左側から2列分のノズル列NLのみ図示しており、他の3つのノズル列群NLGの各々における対象ノズル21bの図示は省略している。
【0058】
また、各ノズル列群NLGに含まれるノズル列が3列である場合に、以下の発数削減処理を実行してもよい。発数削減処理部71bは、間隔L1が間隔L3の2倍の値よりも小さい場合に、発数削減処理においてノズル列群NLGの各々における3列のノズル列のうち1列のノズル列に備わる対象ノズル21bにインクを吐出させない。
【0059】
図10に示すように、本実施形態においても第1実施形態と同様に、キャリッジ16に2つの吐出ヘッドを設けてもよい。この場合、上述と同じ吐出ヘッド20Bと吐出ヘッド20Cとが副走査方向に並んで配置される。吐出ヘッド20Cには複数(図10では4つ)のノズル列NLGが設けられている。吐出ヘッド20Cにおけるノズル列NLおよびノズル21の配置は吐出ヘッド20Bと同様である。なお、主走査方向の一端側(図10では左端側)から順に、例えば、ホワイトインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLG、同じくホワイトインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLG、クリアインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLG、および同じくクリアインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列群NLGが配置されている。
【0060】
本実施形態のインク吐出装置10においては、発数削減処理部71bは、間隔L1が間隔L3よりも大きい場合に、ノズル列群NLGの各々における複数のノズル列NLのうち所定のノズル列における複数のノズル21のうち1又は複数のノズルである対象ノズル21bにインクを吐出させないよう発数削減処理を実行する。この場合、間隔L3が比較的小さいことを勘案し、ノズル列NLごとに発数削減処理を実行することができる。これにより、主走査方向におけるインク吐出を間引くことができる。
【0061】
また、本実施形態では、発数削減処理部71bは、間隔L1が間隔L3の2倍の値よりも大きい場合に、ノズル列群NLGの各々における3列のノズル列のうち2列のノズル列における複数のノズル21のうち1又は複数のノズルである対象ノズル21bにインクを吐出させないよう発数削減処理を実行する。この場合、2列のノズル列NLごとに発数削減処理を実行することができる。これにより、主走査方向におけるインク吐出を十分に間引くことができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、発数削減処理部71bは、間隔L1が間隔L3の2倍の値よりも小さい場合に、ノズル列群NLGの各々における3列のノズル列のうち1列のノズル列における複数のノズル21のうち1又は複数のノズルである対象ノズル21bにインクを吐出させないよう発数削減処理を実行してもよい。この場合、1列のノズル列NLに発数削減処理を実行することができる。これにより、主走査方向におけるインク吐出を間引き過ぎないようにすることができる。
【0063】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。
【0064】
本実施形態において、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合には、吐出周波数がローギャップ印刷モードの場合よりも低下される。この発数削減処理のイメージを図11(b)に示す。なお、吐出周波数とは単位時間当たりにノズル21から吐出されるインクの液滴の数である。図11(b)に示されるように、ハイギャップ印刷モード時には、各ノズル列NLにおける複数のノズル21のうち1又は複数のノズルについて吐出周波数が低下される。このように、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合には、図11(a)に示すローギャップ印刷モードとは異なり、吐出周波数低下処理において各ノズル列NLにおいて幾つかのノズル21の吐出周波数が低下される。これにより、ハイギャップ印刷モード時の吐出流を低減することができ、それ故インクの着弾ずれを抑制することができる。この点、例えば、ローギャップ印刷モード時には、吐出周波数が26kHzであり、ハイギャップ印刷モード時には、吐出周波数が13kHzであるとする。ローギャップ印刷モードからハイギャップ印刷モードに変更されると、1つの吐出波形が入力される周期である駆動周期が、約38μSから約77μSに延びる。ローギャップ印刷モードとハイギャップ印刷モードとで、1つの駆動周期に入力される吐出波形に変わりはないので、前の駆動周期の吐出波形の終端から次の駆動周期までの時間が約38μS以上確保される。これにより、次の駆動周期の液滴は、当該液滴と前の駆動周期の液滴との間隔が広がることに起因して、前の駆動周期の液滴の影響をたとえ受けていた場合であっても、前の駆動周期の液滴の影響を受け難くなる。これにより、インクの着弾ずれを抑制することができる。
【0065】
図12は本実施形態における制御装置71の印刷処理を説明するためのフローチャートである。図12に示すように、まず、制御装置71のモード判定処理部71aは外部装置であるコンピュータ200から送信される印刷ジョブを受信したか否かを判別する(ステップS11)。印刷ジョブを受信した場合には(ステップS11でYES)、モード判定処理部71aは印刷モードがハイギャップ印刷モードであるか否かを印刷ジョブに基づき判別する(ステップS12)。一方、印刷ジョブを受信していない場合には(ステップS11でNO)、モード判定処理部71aは印刷ジョブを受信するまで待機する。
【0066】
続いて、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合(ステップS12でYES)、発数削減処理部71bは印刷ジョブに基づきホワイトインクの吐出の有無およびクリアインクの吐出の有無の判定を行い、クリアインクを吐出すべきでない場合およびホワイトインクを吐出すべきでない場合には(ステップS13でYES)、吐出周波数低下処理に用いる吐出データを生成して印刷処理として上述の吐出周波数低下処理を実行する(ステップS14)。
【0067】
一方、印刷モードがハイギャップ印刷モードでない場合(ステップS12でNO)、ならびにクリアインクを吐出すべき場合およびホワイトインクを吐出すべき場合には(ステップS13でNO)、制御装置71は吐出周波数を低下させずに吐出データを生成して通常の印刷処理を実行する(ステップS15)。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合に、吐出周波数がローギャップ印刷モードの場合よりも低下される。これにより、ハイギャップ印刷モード時の吐出流を低減することができ、それ故インクの着弾ずれを抑制することができる。これによって、従来よりも印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0069】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。
【0070】
図13は第4実施形態に係る印刷処理においてパスごとに被吐出媒体に吐出される液滴のイメージを示す斜視図である。本実施形態においては、制御装置71の発数削減処理部71bは、印刷モードがハイギャップ印刷モードであると判定した場合に、複数のパスを重ねた吐出を行うことで1パス当たりの総吐出発数を低減させるべく、複数のノズル列NLのノズル21による1パス当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合よりも減少させる。この場合、例えば、図14において1パス目でインクの液滴E1が吐出され、2パス目で液滴E2が吐出される。本実施形態では、ローギャップGL、ミドルギャップGMおよびハイギャップGHというようにノズル21と被吐出媒体Wとの距離が大きくなるほど、制御装置71は重ねるパスを増やしつつ1パス当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合よりも減少させるように吐出ヘッド20を制御する。
【0071】
図14は本実施形態における制御装置71の印刷処理を説明するためのフローチャートである。図14に示すように、まず、制御装置71のモード判定処理部71aは外部装置であるコンピュータ200から送信される印刷ジョブを受信したか否かを判別する(ステップS21)。印刷ジョブを受信した場合には(ステップS21でYES)、モード判定処理部71aは印刷モードがハイギャップ印刷モードであるか否かを印刷ジョブに基づき判別する(ステップS22)。一方、印刷ジョブを受信していない場合には(ステップS21でNO)、モード判定処理部71aは印刷ジョブを受信するまで待機する。
【0072】
続いて、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合(ステップS22でYES)、制御装置71はハイギャップ用画処理を実行する(ステップS23)。この場合、制御装置71は重ねるN回のパスのためのN個のマスクデータを使用した画処理を行って吐出データを生成する。その後、制御装置71は上記画処理に係る吐出データに基づき印刷処理を実行するよう吐出ヘッド20を制御する(ステップS24)。
【0073】
一方、印刷モードがハイギャップ印刷モードでない場合(ステップS12でNO)、モード判定処理部71aは印刷モードがミドルギャップ印刷モードであるか否かを印刷ジョブに基づき判別する(ステップS25)。印刷モードがミドルギャップ印刷モードである場合(ステップS25でYES)、制御装置71はミドルギャップ用画処理を実行する(ステップS26)。この場合、制御装置71は重ねるM(M<N)回のパスのためのM個のマスクデータを使用した画処理を行って吐出データを生成する。その後、制御装置71は上記画処理に係る吐出データ基づく印刷処理を実行するよう吐出ヘッド20を制御する(ステップS24)。一方、印刷モードがミドルギャップ印刷モードでない場合つまりローギャップ印刷モードである場合(ステップS25でNO)、制御装置71は通常の印刷処理のための吐出データを生成して当該吐出データに基づく印刷処理を実行するよう吐出ヘッド20を制御する(ステップS24)。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合に、複数のパスを重ねた吐出を行うことで1パス当たりの総吐出発数を低減させることができる。これにより、ハイギャップ印刷モード時において1パス当たりの吐出流を低減することができ、それ故インクの着弾ずれを抑制することができる。これによって、従来よりも印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態では、ローギャップGL、ミドルギャップGMおよびハイギャップGHというようにノズル21と被吐出媒体Wとの距離が大きくなるほど、制御装置71は重ねるパスを増やすよう吐出ヘッド20を制御する。これにより、ノズル21と被吐出媒体Wとの距離に比例して大きくなる吐出流を当該距離に応じて低減することができる。
【0076】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0077】
以下のように各色インクを吐出するノズルの数を異ならせてもよい。詳しくは、図15に示すように、吐出ヘッド20Dには4つのノズル列NLaが設けられている。各ノズル列NLaは主走査方向にほぼ等間隔でそれぞれ配置されている。各ノズル列NLaは、副走査方向に並んで配置された複数のノズル21をそれぞれ含む。主走査方向の一端側(図15では左端側)から順に、例えば、ブラックインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NLa、シアンインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NLa、マゼンタインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NLa、およびイエローインクを吐出する複数のノズル21で構成されるノズル列NLaが配置されている。ブラックインクを吐出するノズル21の数は、イエローインクを吐出するノズル21の数、シアンインクを吐出するノズル21の数、およびマゼンタインクを吐出するノズル21の数よりも多くなっている。
【0078】
上記の構成において、制御装置71は、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合に、イエローインクを吐出すべきノズル21による単位時間当たりの総吐出発数、シアンインクを吐出すべきノズル21による単位時間当たりの総吐出発数、およびマゼンタインクを吐出すべきノズル21による単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合と同等にするよう吐出ヘッド20を制御する。これに対して、制御装置71は、印刷モードがハイギャップ印刷モードである場合に、ブラックインクを吐出すべきノズル21による単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合よりも減少させるよう吐出ヘッド20を制御する。この場合、制御装置71は図15に示すブラックインクを吐出すべき複数のノズル21のうち1又は複数のノズルである対象ノズル21bにインクを吐出させないよう吐出ヘッド20を制御する。これによって、使用頻度の最も高いブラックインクを吐出するノズル21による単位時間当たりの総吐出発数をローギャップ印刷モードの場合よりも減少させることができる。それにより、ハイギャップ印刷モード時におけるブラックインクの着弾ずれを抑制することができ、それ故印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0079】
また、上記実施形態の印刷ジョブには、ローギャップGLにて印刷を行うローギャップ印刷モード、ハイギャップGHにて印刷を行うハイギャップ印刷モード、およびミドルギャップGMにて印刷を行うミドルギャップ印刷モードを指示する情報が含まれることを説明したが、吐出面40aと被吐出媒体Wとの距離を測定するセンサがあっても良い。このセンサの測定結果に基づき、ローギャップGLにて印刷を行うローギャップ印刷モード、ハイギャップGHにて印刷を行うハイギャップ印刷モード、およびミドルギャップGMにて印刷を行うミドルギャップ印刷モードを指示する情報を、印刷ジョブに書き込んでも良い。さらに、センサによって吐出面40aと被吐出媒体Wとの距離を測定し、インク吐出装置10がその測定結果を印刷ジョブとは別のデータとして記憶しても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 画像記録装置
10 インク吐出装置
20 吐出ヘッド
21 ノズル
21b 対象ノズル
71 制御装置
71a モード判定処理部
71b 発数削減処理部
GH ハイギャップ
GL ローギャップ
GM ミドルギャップ
NL ノズル列
NLG ノズル列群
W 非吐出媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15