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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】巻取装置および巻取方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/044 20060101AFI20240910BHJP
   B65H 54/56 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B65H67/044
B65H54/56 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020190131
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079137
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 耕平
(72)【発明者】
【氏名】徳田 有佑
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-167188(JP,A)
【文献】特開平06-305682(JP,A)
【文献】特開平09-156834(JP,A)
【文献】特開2008-063148(JP,A)
【文献】特開2014-015314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/28
B65H 54/56
B65H 67/00-67/08
B65H 75/00-75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸状体を巻取る巻取装置であって、
第1回転軸を中心に回転する第1巻枠体と、
第2回転軸を中心に回転する第2巻枠体と、
前記第1巻枠体と前記第2巻枠体との間で糸状体を移動可能な糸渡し部と、を備え、
前記第1巻枠体の前記第1回転軸と前記第2巻枠体の前記第2回転軸とは平行となるとともに、前記第1回転軸および前記第2回転軸に対して直交する仮想平面上に、前記第1巻枠体の糸状体を巻き付ける位置と前記第2巻枠体の糸状体を巻き付ける位置とは並んで配置され、
前記糸渡し部の糸状体誘導部は、前記仮想平面に沿って、前記第1巻枠体において所定本数の糸状体の束が作成された後、前記第1巻枠体から前記第2巻枠体に糸を移動させ
前記第1巻枠体および前記第2巻枠体の内部には、前記糸渡し部から送られてきた糸状体を把持する内部把持機構が設けられている、巻取装置。
【請求項2】
前記第1巻枠体および前記第2巻枠体は、多角形状である、請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記第1巻枠体および前記第2巻枠体の各頂点には、巻取った糸状体の束を把持する頂点把持機構が設けられている、請求項2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記巻取装置は、前記第1回転軸および前記第2回転軸の回転軸が延びる方向からみた場合に、前記第1巻枠体と前記第2巻枠体との回転方向が相互に逆回転方向に回転することにより糸状体を巻取る、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項5】
前記巻取装置は、2列以上の糸状体の巻取を同時に切替えることが可能である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の巻取装置を用いた、糸状体を巻取る巻取方法であって、
前記巻取方法は、
前記第1巻枠体において糸状体を巻取り、前記内部把持機構で把持する第1工程と、
前記糸渡し部によって糸状体を前記第2巻枠体に移動させる第2工程と、
前記第2巻枠体において糸状体を巻取り、前記内部把持機構で把持する第3工程と、備える、巻取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、巻取装置および巻取方法に関する。より詳細には、前工程から連続的に送られてくる糸状体を、連続的かつ自動的に糸状体の束に成形するための装置および方法に関する。ここで、糸状体とは、1本または2本以上の中実糸、1本または2本以上の中空糸を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、糸状体の束を成形するための装置として、多角形の巻枠体を回転させて糸状体を巻き取り、所定数に到達した後に別の巻枠体に糸状体を移動する方式が知られている。特許文献1には、複数の巻枠体が回転部材に対して回転軸がそれぞれ平行となるように支持され、回転部材が回転することによって巻取位置の巻枠体を交換する装置が開示されている。また、特許文献2には、2つの巻枠体を回転軸に対して同軸上に並列に配置し、回転軸方向に糸状体を移動させる装置が開示されている。いずれの装置も糸状体が所定数に到達した巻枠体は、回転を停止させた後、糸状体の束が巻枠体から切り取られ、再び巻取を開始できる状態となる。これを繰り返すことにより、連続的な処理が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6371079号
【文献】特許第4343633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産効率の観点で重要なのは、廃棄糸の割合を小さくすることである。多角形の巻枠体から糸状体の束を取り外す時、多角形の頂点付近で一定の長さを廃棄する必要がある。巻枠体を大きくするほど、この割合を小さくすることができるが、特許文献1で開示されている巻取装置の場合、構造上、巻枠体を大きくすると装置が極端に大きくなってしまうため経済的ではない。
【0005】
特許文献2で開示されている巻取装置は、2つの巻枠体が向かい合う配置にする必要がある。この時、巻枠体の正面に十分なスペースをとることができないため、後工程の装置の配置、操作性、メンテナンス性に課題がある。これを解決する手段として、糸状体が所定数に到達した側の巻枠体を、一時的に広いスペースの場所に搬送する仕組みを採用する場合、装置の機構が複雑になってしまう。
【0006】
本開示の目的は、廃棄糸の割合が小さく、装置の機構がシンプルで、後工程の装置が配置しやすく、操作性とメンテナンス性が良好であるという特徴を有し、前工程から送られてくる糸状体を、連続的かつ自動的に糸状体の束に成形するための巻取装置および巻取方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の巻取装置のある局面に従うと、糸状体を巻取る巻取装置であって、第1回転軸を中心に回転する第1巻枠体と、第2回転軸を中心に回転する第2巻枠体と、上記第1巻枠体と上記第2巻枠体との間で糸状体を移動可能な糸渡し部と、を備え、上記第1巻枠体の上記第1回転軸と上記第2巻枠体の上記第2回転軸とは平行となるとともに、上記第1回転軸および上記第2回転軸に対して直交する仮想平面上に、上記第1巻枠体の糸状体を巻き付ける位置と上記第2巻枠体の糸状体を巻き付ける位置とは並んで配置され、上記糸渡し部の糸状体誘導部は、上記仮想平面に沿って、上記第1巻枠体において所定本数の糸状体の束が作成された後、上記第1巻枠体から上記第2巻枠体に糸を移動させる。
【0008】
上記第1巻枠体および上記第2巻枠体は、多角形状である。
【0009】
上記第1巻枠体および上記第2巻枠体の各頂点には、巻取った糸状体の束を把持する頂点把持機構が設けられている。
【0010】
上記第1巻枠体および上記第2巻枠体の内部には、上記糸渡し部から送られてきた糸状体を把持する内部把持機構が設けられている。
【0011】
上記巻取装置は、上記第1回転軸および上記第2回転軸の回転軸が延びる方向からみた場合に、上記第1巻枠体と上記第2巻枠体との回転方向が相互に逆回転方向に回転することにより糸状体を巻取る。
【0012】
上記第1巻枠体および上記第2巻枠体は、2列以上の糸状体の巻取を同時に切替えることが可能である。
【0013】
本開示の巻取方法のある局面に従うと、糸状体を巻取る巻取方法であって、上記巻取方法は、上記第1巻枠体において糸状体を巻取る第1工程と、上記糸渡し部によって糸状体を上記第2巻枠体に移動させる第2工程と、上記第2巻枠体において糸状体を巻取る第3工程と、備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示に従えば、廃棄糸の割合が小さく、装置の機構が複雑ではなく、後工程の装置が配置しやすく、操作性とメンテナンス性が良好であるという特徴を有した、前工程から連続的に送られてくる糸状体を、連続的かつ自動的に糸状体の束に成形するための巻取装置および巻取方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1における巻取ユニットの構成を説明するための概略図である。
図2】実施の形態1における巻取装置の動作を説明するための概略図である。
図3】実施の形態1における巻取装置の正面図である。
図4】実施の形態1における巻取装置を平面から見たときの動作を説明するための概略図である。
図5】実施の形態1における非固定時の頂点クランプ機構を説明するための図である。
図6】実施の形態1における固定時の頂点クランプ機構を説明するための図である。
図7】実施の形態1における糸渡し機構の平面図である。
図8】実施の形態1における糸渡し機構の側面図である。
図9】実施の形態1における固定時の内部クランプ機構を説明するための図である。
図10】実施の形態1における非固定時の内部クランプ機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示に基づいた各実施の形態の巻取装置および巻取方法について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0017】
以下の説明において巻取ユニット100を正面側から見た場合の左手側を「左」、右手側を「右」と付して説明しているが、これは本開示の内容の理解を容易にするものであって、「左」および「右」に限定して解釈するものではない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1における巻取ユニット100の構成を説明するための概略図である。巻取ユニット100は、巻取装置1、緩み吸収装置2、張力制御装置3、フィルム巻付け装置4、糸束切取り装置5、および糸束加工装置6により構成されている。各装置は、図示しないPLC(Programmable Logic Controller)により動作が制御される。図1においては、説明を分かり易くするため設備の一部を省略した記載としている。
【0019】
緩み吸収装置2は、糸製造装置(図示省略)から送られてくる糸状体の緩みを吸収する装置である。実施の形態1において糸製造装置から送られてくる糸状体は、複数本の中空糸の塊(例えば、10数本の中空糸)である場合を説明するが、糸製造装置から送られてくる糸状体が1本の中空糸であってもよい。また、糸製造装置から送られてくる糸状体は、1本または2本以上の中実糸であってもよい。このように、糸状体は、糸製造装置から送られてくる基準となる量の糸である。張力制御装置3は、巻取装置1において一定の張力で糸状体を巻取ることができるように糸状体の送り量を制御する装置である。
【0020】
巻取装置1は、張力制御装置3を通過した後の糸状体を2つの多角形状の巻枠体を用いて巻取る装置である。フィルム巻付け装置4は、巻取装置1により巻取られ糸状体の束となった中空糸束にフィルムを巻付ける装置である。糸束切取り装置5は、フィルムが巻付けられた後の中空糸束を丸刃により切断する装置である。
【0021】
糸束加工装置6は、フィルム巻付け装置4にフィルムを供給すること、フィルム巻付け装置4を巻枠体の位置まで移動させること、中空糸束に巻き付けたフィルムの重なり部を固定する(テープを張り付ける)こと等の処理を行う装置である。
【0022】
図2から図4を参照して、実施の形態1の巻取装置1について説明する。図2は、実施の形態1における巻取装置1の動作を説明するための概略図、図3は、実施の形態1における巻取装置1の正面図、図4は、実施の形態1における巻取装置1を平面から見たときの動作を説明するための概略図である。
【0023】
巻取装置1は、正面視において左側に設けられた第1巻枠体としての左巻枠体10Lと、正面視において右側に設けられた第2巻枠体としての右巻枠体10Rとを含む。左巻枠体10Lと右巻枠体10Rとの間には、糸状体7を左右方向に移動させることが可能な糸渡し部としての糸渡し機構20が配置されている。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、図示しない減速機付きサーボモータにより動作する。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの内部には、糸渡し機構20により移動された糸状体7を把持する内部把持機構としての内部クランプ機構30が設けられている。内部クランプ機構30は、左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの内部に2つずつ対向する位置に配置される。内部クランプ機構30は、左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの内部に1つずつ配置されるようにしてもよいが、巻枠体の重量バランスを取るための配慮が必要である。また、内部把持機構(内部クランプ機構30)は、多角形(の頂点の数)と同数配置されるようにしてもよい。
【0024】
巻取装置1は、図2(A)から図2(E)の順に動作する。巻取装置1は、図2(A)に示すように、巻取り開始時に糸状体7を把持した糸渡し機構20を中央位置から左巻枠体10Lへ移動する。糸渡し機構20により左巻枠体10Lに移動した糸状体7は、左巻枠体10Lの内部クランプ機構30により把持される。糸渡し機構20は、糸状体7が左巻枠体10Lの内部クランプ機構30により把持された後に、把持していた糸状体7を離し中央位置へ移動する。
【0025】
図2(B)に示すように、巻取装置1は、左巻枠体10Lを右回り(時計回り)に回転させることにより左巻枠体10Lの各頂点に糸状体7を巻取らせる。巻取装置1は、左巻枠体10Lにおいて糸状体としての糸状体7を所定の回数巻取ることにより所定本数の糸状体の束である中空糸束70を作成した後に回転を停止する。中空糸束70は、例えば、製品として使用する1万本程度の中空糸の束である。巻取装置1は、その後、頂点把持機構としての頂点クランプ機構11により左巻枠体10Lの各頂点の位置において中空糸束70を把持する。頂点クランプ機構11の詳細は、後述する。図2(C)では、各頂点の位置にある頂点クランプ機構11のうち糸渡し機構20の把持する位置の頂点クランプ機構11のみが図示されている。
【0026】
図2(C)に示すように、巻取装置1は、糸渡し機構20を中央位置から左巻枠体10Lへ移動する。糸渡し機構20は、糸状体7を把持するとともに把持位置より下方の位置の糸状体7を切断する。巻取装置1は、図2(D)に示すように、糸状体7を把持した糸渡し機構20を左巻枠体10Lから右巻枠体10Rへ移動する。
【0027】
糸渡し機構20により右巻枠体10Rに移動した糸状体7は、右巻枠体10Rの内部クランプ機構30により把持される。糸渡し機構20は、糸状体7が右巻枠体10Rの内部クランプ機構30により把持された後に、把持していた糸状体7を離し中央位置へ移動する。
【0028】
図2(E)に示すように、巻取装置1は、右巻枠体10Rを左回り(反時計回り)に回転させることにより右巻枠体10Rの各頂点に糸状体7を巻取らせる。巻取装置1は、右巻枠体10Rにおいて糸状体7を所定の回数巻取ることにより中空糸束70を作成した後に回転を停止する。巻取装置1は、図2の(A)から(E)の一連の動作により左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rに中空糸束70を作成する。
【0029】
図3に示すように、巻取装置1は、正面視において壁面50より前方側に左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rが隣合って配置されている。正六角形状の左巻枠体10Lおよび正六角形状の右巻枠体10Rの各頂点には、頂点クランプ機構11が設けられている。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの内部には、対向する位置に内部クランプ機構30が配置されている。
【0030】
左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、本体部10Xに6本の腕部10Yが接続されている。内部クランプ機構30が配置された腕部10Yの位置に対応する本体部10Xには、切欠き部10Zが形成されている。切欠き部10Zは、糸渡し機構20が左巻枠体10Lと右巻枠体10Rとの間を平行移動し内部クランプ機構30に糸状体7を渡すときに、移動の妨げになることを防いでいる。巻取装置1によって巻取られる糸状体7は、張力制御装置3によって一定の張力で巻取られるように調整されている。
【0031】
図4に示すように、巻取装置1は、第1回転軸CL1を中心に左巻枠体10Lが回転し、第2回転軸CL2を中心に右巻枠体10Rが回転する。左巻枠体10Lの第1回転軸CL1と右巻枠体10Rの第2回転軸CL2とは、平行になっている。左巻枠体10Lの糸状体7を巻き付ける位置である第1溝部11bと右巻枠体10Rの糸状体7を巻き付ける位置である第1溝部11bとは、第1回転軸CL1および第2回転軸CL2に対して直交する第1仮想平面VS1に沿って並んで配置されている。また、左巻枠体10Lの糸状体7を巻き付ける位置である第2溝部11eと右巻枠体10Rの糸状体7を巻き付ける位置である第2溝部11eとは、第1回転軸CL1および第2回転軸CL2に対して直交する第2仮想平面VS2に沿って並んで配置されている。第1仮想平面VS1および第2仮想平面VS2は、紙面に対して垂直方向に位置している。図4に示すように、左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、第1仮想平面VS1および第2仮想平面VS2上を直列に配置されている。
【0032】
糸渡し機構20は、前方の第1糸渡し部20Fおよび後方の第2糸渡し部20Rを含む。第1糸渡し部20Fは、第1右誘導部20dと第1左誘導部20fとを含む。第2糸渡し部20Rは、第2右誘導部20hと第2左誘導部20jとを含む。第1糸渡し部20Fは、第1仮想平面VS1に沿って左右に移動する。第2糸渡し部20Rは、第2仮想平面VS2に沿って左右に移動する。例えば、第1糸渡し部20Fの第1右誘導部20dは、第1仮想平面VS1に沿って、左巻枠体10Lにおいて中空糸束70が作成された後、左巻枠体10Lから右巻枠体10Rに糸状体7を移動させる。頂点クランプ機構11は、前方の第1頂点クランプ部11Fおよび後方の第2頂点クランプ部11Rを含む。
【0033】
巻取装置1は、左巻枠体10Lにおいて中空糸束70が作成された後、第1頂点クランプ部11Fおよび後方の第2頂点クランプ部11Rにおいて中空糸束70を把持する。糸渡し機構20は、左巻枠体10Lにおいて中空糸束70が作成され頂点クランプ機構11により中空糸束70が把持された後、張力制御装置3側から送られてくる糸状体7を把持するとともに糸状体7を切断する。糸渡し機構20のうち第1糸渡し部20Fは、第1仮想平面VS1に沿って左右に移動する。糸渡し機構20のうち第2糸渡し部20Rは、第2仮想平面VS2に沿って左右に移動する。
【0034】
図2から図4に示すように、左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、2列の糸状体7を同時に巻取ることが可能である。図2から図4に示すように、糸渡し機構20は、2列の糸状体7を同時に移動させることが可能である。このように、巻取装置1は、糸状体7の巻取を同時に切替えることが可能である。なお、巻取装置1は、3列以上の糸状体7の巻取を同時に切替える構成としてもよい。
【0035】
(頂点クランプ機構11)
図5および図6を参照して、実施の形態1の頂点クランプ機構11について説明する。図5は、実施の形態1における非固定時の頂点クランプ機構11を説明するための図であり、図6は、実施の形態1における固定時の頂点クランプ機構11を説明するための図である。
【0036】
図5を参照して、頂点クランプ機構11は、左巻枠体10Lの腕部10Yおよび右巻枠体10Rの腕部10Yに接続される頂点クランプ本体部11aと、前方の第1頂点クランプ部11Fと、後方の第2頂点クランプ部11Rと、を含む。第1頂点クランプ部11Fは、第1溝部11bと、第1支持部11dを中心に回転可能な前方頂点クランプ部材11cと、第1支持部11dを中心に回転可能な前方補助部材11tと、を含む。第2頂点クランプ部11Rは、第2溝部11eと、第2支持部11gを中心に回転可能な後方頂点クランプ部材11fと、第2支持部11gを中心に回転可能な後方補助部材11uと、を含む。
【0037】
頂点クランプ機構11は、背面側の下部において図示を省略した2本の引っ張りバネが配置されている。前方側の引っ張りバネは、前方補助部材11tの下側の位置で接続され、第3支持部11pを中心に回転可能に配置されている。後方側の引っ張りバネは、後方補助部材11uの下側の位置で接続され、第4支持部11sを中心に回転可能に配置されている。
【0038】
頂点クランプ機構11は、第3支持部11pを中心に回転可能な第1ロック部材11qと、第4支持部11sを中心に回転可能な第2ロック部材11rと、第1ロック部材11qおよび第2ロック部材11rを接続する頂点軸部11oと、を含む。
【0039】
頂点クランプ機構11は、壁面50の内部に配置されるクランプ用シリンダ11hと、壁面50の内部に配置されるリリース用シリンダ11iと、を含む。クランプ用シリンダ11hは、前方へ突出可能な第1押出し部材11jを含む。リリース用シリンダ11iは、前方へ突出可能な第2押出し部材11kを含む。第2ロック部材11rは、前方へ突出した第1押出し部材11jと当接する第1受け部材11mと、前方へ突出した第2押出し部材11kと当接する第2受け部材11nと、を含む。
【0040】
図5および図6を参照しながら、頂点クランプ機構11による中空糸束70を把持する動作、および把持していた中空糸束70を離す動作の実行について説明する。頂点クランプ機構11は、図5に示す非固定状態においてクランプ用シリンダ11hを動作させ、第1押出し部材11jを前方へ突出させる。第1押出し部材11jは、前方への動作により第1受け部材11mと当接する。第2ロック部材11rに接続されている第1受け部材11mは、図6に示すように、第4支持部11sを中心に前方側へ移動する。
【0041】
第1押出し部材11jは、第1受け部材11mを押し込むと初期位置に戻る。第2ロック部材11rに接続されている第2受け部材11nは、図6に示すように、第1受け部材11mが前方へ移動した分、後方へ移動する。第2ロック部材11rに接続されている頂点軸部11oは、第2受け部材11nの後方への移動に伴って第4支持部11sを中心に後方側へ移動する。頂点軸部11oに接続されている第1ロック部材11qは、頂点軸部11oの移動に伴って第3支持部11pを中心に後方側へ移動する。
【0042】
頂点クランプ機構11では、第1ロック部材11qおよび第2ロック部材11rの一連の動作により前方側の引っ張りバネと、後方側の引っ張りバネとが回転しながら上方へ移動する。前方補助部材11tは、前方側の引っ張りバネの張力により第1支持部11dを中心に上側に移動する。前方頂点クランプ部材11cは、前方補助部材11tの動作に伴い第1支持部11dを中心に図5に示す非固定位置から図6に示す固定位置へと移動する。
【0043】
後方補助部材11uは、後方側の引っ張りバネの張力により第2支持部11gを中心に上側に移動する。後方頂点クランプ部材11fは、後方補助部材11uの動作に伴い第2支持部11gを中心に図5に示す非固定位置から図6に示す固定位置へと移動する。頂点クランプ機構11は、前方頂点クランプ部材11cおよび後方頂点クランプ部材11fが非固定位置から固定位置へと移動することにより、前後方向の2か所において中空糸束70を把持することができる。
【0044】
頂点クランプ機構11は、以下の順序により把持していた中空糸束70を離す動作を実行する。頂点クランプ機構11は、図6に示す固定状態においてリリース用シリンダ11iを動作させ、第2押出し部材11kを前方へ突出させる。第2押出し部材11kは、前方への動作により第2受け部材11nと当接する。第2ロック部材11rに接続されている第2受け部材11nは、図5に示すように、第4支持部11sを中心に前方側へ移動する。
【0045】
第2押出し部材11kは、第2受け部材11nを押し込むと初期位置に戻る。第2ロック部材11rに接続されている第1受け部材11mは、図5に示すように、第2受け部材11nが前方へ移動した分、後方へ移動する。第2ロック部材11rに接続されている頂点軸部11oは、第2受け部材11nの前方への移動に伴って第4支持部11sを中心に前方側へ移動する。頂点軸部11oに接続されている第1ロック部材11qは、頂点軸部11oの移動に伴って第3支持部11pを中心に前方側へ移動する。
【0046】
頂点クランプ機構11は、第1ロック部材11qおよび第2ロック部材11rの一連の動作により前方側の引っ張りバネと、後方側の引っ張りバネとが回転しながら下方へ移動する。前方補助部材11tは、前方側の引っ張りバネの張力により第1支持部11dを中心に下側に移動する。前方頂点クランプ部材11cは、前方補助部材11tの動作に伴い第1支持部11dを中心に図6に示す固定位置から図5に示す非固定位置へと移動する。
【0047】
後方補助部材11uは、後方側の引っ張りバネの張力により第2支持部11gを中心に下側に移動する。後方頂点クランプ部材11fは、後方補助部材11uの動作に伴い第2支持部11gを中心に図6に示す固定位置から図5に示す非固定位置へと移動する。頂点クランプ機構11は、前方頂点クランプ部材11cおよび後方頂点クランプ部材11fが固定位置から非固定位置へと移動することにより、前後方向の2か所において中空糸束70を離すことができる。
【0048】
(糸渡し機構20)
図7および図8を参照して、実施の形態1の糸渡し機構20について説明する。図7は、実施の形態1における糸渡し機構20の平面図である。図8は、実施の形態1における糸渡し機構20の側面図である。
【0049】
糸渡し機構20は、壁面50から前方側へ延びる本体部20aと、前方の第1糸渡し部20Fと、後方の第2糸渡し部20Rと、を含む。第1糸渡し部20Fは、第1右案内部20cと、第1右誘導部20dと、第1左案内部20eと、第1左誘導部20fと、を含む。第2糸渡し部20Rは、第2右案内部20gと、第2右誘導部20hと、第2左案内部20iと、第2左誘導部20jと、を含む。糸渡し機構20は、壁面50内に配置されたロボシリンダにより動作する。
【0050】
右側前方に位置する糸状体7は、糸渡し機構20が右側に移動する際、第1右案内部20cに沿って移動し、第1右誘導部20dへ誘導される。左側前方に位置する糸状体7は、糸渡し機構20が左側に移動する際、第1左案内部20eに沿って移動し、第1左誘導部20fへ誘導される。右側後方に位置する糸状体7は、糸渡し機構20が右側に移動する際、第2右案内部20gに沿って移動し、第2右誘導部20hへ誘導される。左側後方に位置する糸状体7は、糸渡し機構20が左側に移動する際、第2左案内部20iに沿って移動し、第2左誘導部20jへ誘導される。
【0051】
糸渡し機構20は、シリンダ部20kと、シリンダ部20kに接続される糸渡し軸部20qと、を含む。第1糸渡し部20Fは、第1固定クランプ部20mと、第1移動クランプ部20nと、第1糸切刃20pと、を含む。第2糸渡し部20Rは、第2固定クランプ部20rと、第2移動クランプ部20sと、第2糸切刃20tと、を含む。糸渡し軸部20qは、第1移動クランプ部20n、第1糸切刃20p、第2移動クランプ部20s、および第2糸切刃20tと一体的に動作する。
【0052】
糸渡し機構20は、以下の順序により糸状体7を把持し、移動する動作を実行する。糸渡し機構20は、左巻枠体10Lにおいて中空糸束70が作成された後、中央位置から水平方向に左巻枠体10Lの頂点位置に移動する。左巻枠体10Lは、糸渡し機構20の移動の前に壁面50の内側に配置された左巻枠体10Lの回転軸の角度を検知するセンサが検出した適切な位置で回転を停止している。
【0053】
糸渡し機構20は、張力制御装置3から送られ左巻枠体10Lの頂点位置に到達している糸状体7を第1固定クランプ部20mと第1移動クランプ部20nとの間、および第2固定クランプ部20rと第2移動クランプ部20sとの間において把持する。糸渡し機構20は、シリンダ部20kが制御されることにより糸渡し軸部20qが後方に移動することに伴って、第1移動クランプ部20nと第2移動クランプ部20sとが後方へ移動する動作により糸状体7を把持することができる。把持された糸状体7は、第1糸切刃20pおよび第2糸切刃20tにより把持位置より下方の位置において切断される。
【0054】
糸渡し機構20は、糸状体7を把持したまま水平移動し、右巻枠体10Rの内部クランプ機構30に糸状体7を渡す。右巻枠体10Rは、糸渡し機構20の移動の前に壁面50の内側に配置された右巻枠体10Rの回転軸の角度を検知するセンサが検出した適切な位置で回転を停止している。適切な位置とは、右巻枠体10Rの内部クランプ機構30が糸渡し機構20から運ばれる糸状体7を把持できる位置である。
【0055】
(内部クランプ機構30)
図9および図10を参照して、実施の形態1の内部クランプ機構30について説明する。図9は、実施の形態1における固定時の内部クランプ機構30を説明するための図である。
【0056】
内部クランプ機構30は、左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの腕部10Yと固定される一対の連結部30fと、一対の連結部30fと接続される本体部30aと、前方の第1内部クランプ部30Fと、後方の第2内部クランプ部30Rと、内部軸部30gと、を含む。
【0057】
第1内部クランプ部30Fは、第1固定クランプ部30cと、第1移動クランプ部30bと、第1バネ部30mと、を含む。第2内部クランプ部30Rは、第2固定クランプ部30eと、第2移動クランプ部30dと、第2バネ部30nと、を含む。内部軸部30gは、第1移動クランプ部30bおよび第2移動クランプ部30dと一体的に動作する。内部クランプ機構30は、壁面50の内部に配置されるシリンダ30hを含む。シリンダ30hは、前方へ突出可能な押出し部材30iを含む。
【0058】
内部クランプ機構30は、以下の順序により糸状体7を把持する動作を実行する。内部クランプ機構30は、図9に示す固定状態においてシリンダ30hを動作させ、押出し部材30iを前方へ突出させる。押出し部材30iは、前方への動作により内部軸部30gの端部と当接する。
【0059】
第1内部クランプ部30Fは、第1バネ部30mの復元力に逆らって内部軸部30gが前方へ移動されることにより、図10に示すように第1固定クランプ部30cと第1移動クランプ部30bとの間に隙間を生じさせる。第2内部クランプ部30Rは、第2バネ部30nの復元力に逆らって内部軸部30gが前方へ移動されることにより、図10に示すように第2固定クランプ部30eと第2移動クランプ部30dとの間に隙間を生じさせる。
【0060】
糸渡し機構20は、糸状体7を第1内部クランプ部30Fおよび第2移動クランプ部30dに生じた隙間まで移動させる。内部クランプ機構30は、シリンダ30hを動作させ、押出し部材30iを後方へ戻す。内部クランプ機構30は、第1バネ部30mおよび第2バネ部30nの復元力により、図10に示す非固定状態から図9に示す固定状態へと変化する。内部クランプ機構30は、固定状態となることにより、第1内部クランプ部30Fおよび第2内部クランプ部30Rにおいて糸状体7を把持する。
【0061】
[巻取方法について]
再び図2を参照して、糸状体7の巻取方法について説明する。巻取方法は、左巻枠体10Lにおいて糸状体7を巻取る第1工程と、糸渡し機構20によって糸状体7を右巻枠体10Rへ移動させる第2工程と、右巻枠体10Rにおいて糸状体7を巻取る第3工程と、を備える。
【0062】
第1工程は、巻取り開始時に糸状体7を把持した糸渡し機構20を中央位置から左巻枠体10Lへ移動し、移動した糸状体7を左巻枠体10Lの内部クランプ機構30により把持する工程を含む。第1工程は、糸状体7が左巻枠体10Lの内部クランプ機構30により把持された後に、把持していた糸状体7を離し中央位置へ移動する工程を含む。第1工程は、左巻枠体10Lを右回り(時計回り)に回転させることにより左巻枠体10Lの各頂点に糸状体7を巻取らせて糸状体7を所定の回数巻取ることにより中空糸束70を作成し、その後に回転を停止する工程を含む。
【0063】
第2工程は、糸渡し機構20を中央位置から左巻枠体10Lへ移動し、糸状体7を把持するとともに把持位置より下方の位置の糸状体7を切断する工程を含む。第2工程は、糸渡し機構20により糸状体7を把持し、左巻枠体10Lから右巻枠体10Rへ移動する工程を含む。
【0064】
第3工程は、糸渡し機構20により右巻枠体10Rに移動した糸状体7を右巻枠体10Rの内部クランプ機構30により把持する工程を含む。第3工程は、糸状体7が右巻枠体10Rの内部クランプ機構30により把持された後に、把持していた糸状体7を離し中央位置へ移動する工程を含む。第3工程は、右巻枠体10Rを左回り(反時計回り)に回転させることにより右巻枠体10Rの各頂点に糸状体7を巻取らせて糸状体7を所定の回数巻取ることにより中空糸束70を作成し、その後に回転を停止する工程を含む。
【0065】
[作用・効果]
本実施の形態における巻取装置1は、第1回転軸CL1を中心に回転する左巻枠体10Lと、第2回転軸CL2を中心に回転する右巻枠体10Rと、左巻枠体10Lと右巻枠体10Rとの間で糸状体7を移動可能な糸渡し機構20と、を備える。左巻枠体10Lの第1回転軸CL1と右巻枠体10Rの第2回転軸CL2とは平行となる。左巻枠体10Lの糸状体7を巻き付ける位置である第1溝部11bと右巻枠体10Rの糸状体7を巻き付ける位置である第1溝部11bとは、第1回転軸CL1および第2回転軸CL2に対して直交する第1仮想平面VS1に沿って並んで配置されている。また、左巻枠体10Lの糸状体7を巻き付ける位置である第2溝部11eと右巻枠体10Rの糸状体7を巻き付ける位置である第2溝部11eとは、第1回転軸CL1および第2回転軸CL2に対して直交する第2仮想平面VS2に沿って並んで配置されている。第1糸渡し部20Fは、第1仮想平面VS1に沿って左右に移動する。第2糸渡し部20Rは、第2仮想平面VS2に沿って左右に移動する。例えば、第1糸渡し部20Fの第1右誘導部20dは、第1仮想平面VS1に沿って、左巻枠体10Lにおいて所定本数の中空糸束70が作成された後、左巻枠体10Lから右巻枠体10Rに糸状体7を移動させる。
【0066】
巻取装置1は、左巻枠体10Lと右巻枠体10Rとが第1仮想平面VS1および第2仮想平面VS2に沿って直列に配置され、左巻枠体10Lと右巻枠体10Rとの間を糸渡し機構20が移動する構成となる。これにより、巻取装置1は、巻枠体を支持する回転部材を持たないので、巻枠体を大きく設計することが容易であり、その分廃棄糸の割合を小さくすることができる。また、巻取装置1は、巻枠体の正面に十分なスペースをとることができるため、(糸状体7が所定数に到達した側の巻枠体を、一時的に広いスペースの場所に搬送する仕組みを採用しなくても)後工程の装置を配置しやすく、操作性とメンテナンス性が良好である。また、巻取装置1は、前工程から送られてくる糸状体7を、連続的かつ自動的に中空糸束70として成形することができる。
【0067】
左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、六角形状である。このような多角形の巻取装置1では、2点かせ方式や円形かせ方式に比べ内部クランプ機構30を巻取位置の内側に配置することができ、それによって糸状体7の始点部分が製品に混入するリスクを低減することができまる。また、糸状体7のスピードが速い場合には、巻取装置は、多角形の頂点の数が多い方が良いが、多角形の頂点の数を多くしすぎると、図2(D)のようなポジションをとる時に糸状体7が巻枠体に接触してしまい、糸が切れる等の問題が発生するリスクがある。巻取装置1は、このような問題に鑑み、糸状体7が巻枠体に接触せず、かつ辺の数が可能な限り多い適切な形状として六角形を採用している。
【0068】
左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの各頂点には、巻取った中空糸束70を把持する頂点クランプ機構11が設けられている。このため、巻取装置1は、頂点毎に適切に中空糸束70を把持することができる。
【0069】
左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの内部には、糸渡し機構20から送られてきた糸状体7を把持する内部クランプ機構30が設けられている。このため、巻取装置1は、左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rの内部において適切に糸状体7を把持することができる。
【0070】
巻取装置1は、第1回転軸CL1および第2回転軸CL2の回転軸が延びる方向からみた場合に、左巻枠体10Lと右巻枠体10Rとの回転方向が相互に逆回転方向に回転することにより糸状体7を巻取る。このため、巻取装置1は、左巻枠体10Lから右巻枠体10Rへ糸状体7を短い移動距離で渡すことができる。さらに、巻取装置1は、内側方向へ糸状体7を巻取ることができるため、糸状体7にダメージを与えることなく好適に巻き付けることができる。
【0071】
巻取装置1は、2列以上の糸状体7の巻取を同時に切替えることが可能である。巻取装置1は、左巻枠体10Lと右巻枠体10とが直列に配置されている。このため、巻取装置1は、複数列の糸状体7の同時切替え時に渡り糸が発生しないため廃棄糸が増加せず、各巻枠体の間隔を適正に設計することができる。よって、巻取装置1は、中空糸束70を作成するときの生産効率を高めることができる。
【0072】
巻取方法は、左巻枠体10Lにおいて糸状体7を巻取る第1工程と、糸渡し機構20によって糸状体7を右巻枠体10Rへ移動させる第2工程と、右巻枠体10Rにおいて糸状体7を巻取る第3工程と、を備える。このような巻取方法によって、廃棄糸の割合を小さくし、装置の機構をシンプルにし、後工程の装置を配置しやすくし、操作性とメンテナンス性を向上させることができる。また、このような巻取方法によって、前工程から送られてくる糸状体7を、連続的かつ自動的に中空糸束70として成形することができる。
【0073】
[他の実施の形態]
左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rには、六角形状の巻枠体以外の多角形状の巻枠体を用いてもよい。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、2点で巻取る2点巻枠体を用いてもよい。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、円形状の巻枠体を用いてもよい。
【0074】
左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、2列の糸状体7を同時に巻取ることが可能である場合を説明した。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、1列の糸状体7を巻取る構成であってもよい。左巻枠体10Lおよび右巻枠体10Rは、3列以上の糸状体7を同時に巻取る構成であってもよい。
【0075】
糸状体7の巻取る順序は、右巻枠体10Rにおいて糸状体7を巻取った後に、糸渡し機構20によって糸状体7を左巻枠体10Lへ移動させ、左巻枠体10Lにおいて糸状体7を巻取る順序であってもよい。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 巻取装置、2 緩み吸収装置、3 張力制御装置、4 フィルム巻付け装置、5 糸束切取り装置、6 糸束加工装置、7 糸状体、10L 左巻枠体、10R 右巻枠体、10X 本体部、10Y 腕部、10Z 切欠き部、11 頂点クランプ機構、11F 第1頂点クランプ部、11R 第2頂点クランプ部、20 糸渡し機構、20F 第1糸渡し部、20R 第2糸渡し部、30 内部クランプ機構、30F 第1内部クランプ部、30R 第2内部クランプ部、50 壁面、70 中空糸束、100 巻取ユニット、CL1 第1回転軸、CL2 第2回転軸、VS1 第1仮想平面、VS2 第2仮想平面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10