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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B41J2/01 303
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020192746
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081297
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋次
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-069737(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027084(JP,U)
【文献】特開2008-276058(JP,A)
【文献】特開2011-049238(JP,A)
【文献】特開2012-216566(JP,A)
【文献】特開平10-257220(JP,A)
【文献】特開2009-037840(JP,A)
【文献】特開2020-009964(JP,A)
【文献】特開2003-309381(JP,A)
【文献】特開平08-051520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246549(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102615975(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215、29/00
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアに記録する記録部と、
複数のケーブルと、
複数の前記ケーブルがそれぞれ接続される複数の接続部が設けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、
前記第2面と対向する対向部材と、
前記基板を支持することによって前記対向部材と前記基板との間の空間を規定する支持部材と、を備え、
複数の前記ケーブルは、前記空間を通過し、
前記対向部材は、複数の前記ケーブルの経路を規定する経路規定部を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記対向部材と前記基板との間に、前記基板と前記ケーブルとを絶縁する絶縁部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
複数の前記ケーブルは、少なくとも1つのフレキシブルフラットケーブルを含み、
前記経路規定部は、前記少なくとも1つのフレキシブルフラットケーブルを収容する収容部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
複数の前記ケーブルは、少なくとも1組のツイストケーブルを含み、
前記少なくとも1組のツイストケーブルは、2本以上の前記ケーブルが撚られたケーブルであり、
前記経路規定部は、前記ツイストケーブルが巻き掛けられるピンを有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記ピンは、巻き掛けられた前記ツイストケーブルに接触することによって、前記ツイストケーブルが前記ピンから脱落することを規制する規制部を有することを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項6】
メディアに記録する記録部と、
複数のケーブルと、
複数の前記ケーブルがそれぞれ接続される複数の接続部が設けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、
前記第2面と対向する対向部材と、
前記基板を支持することによって前記対向部材と前記基板との間の空間を規定する支持部材と、
前記対向部材と前記基板との間に、前記基板と前記ケーブルとを絶縁する絶縁部材と、を備え、
複数の前記ケーブルは、前記空間を通過することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記対向部材は、前記支持部材が挿入される孔を有し、
前記支持部材の先端は、前記第2面に接触することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、媒体に記録する記録装置の一例であるプリンターが記載されている。このプリンターは、複数のケーブルと、ケーブルが接続される接続部を有する基板とを備える。基板は、接続部が設けられる第1面と、第1面とは反対の第2面とを有する。ケーブルは、接続部の配置に合わせて第1面上で引き回される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-82444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような記録装置では、接続部の配置に合わせて第1面上でケーブルを引き回すと、第1面上でケーブル同士が干渉しやすくなる。第1面上でケーブル同士が干渉すると、接続部に対するケーブルの接続が不安定になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する記録装置は、メディアに記録する記録部と、複数のケーブルと、複数の前記ケーブルがそれぞれ接続される複数の接続部が設けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第2面と対向する対向部材と、前記基板を支持することによって前記対向部材と前記基板との間の空間を規定する支持部材と、を備え、複数の前記ケーブルは、前記空間を通過する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】記録装置の一実施形態を示す正面図。
図2図1の拡大図。
図3】基板の平面図。
図4】対向部材の平面図。
図5】ケーブルが配置された状態の対向部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、記録装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。記録装置は、例えば、メディアの一例である用紙に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真等の画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
図1に示すように、記録装置11は、筐体12を備える。筐体12は、記録装置11が備える各種構成を収容する。
記録装置11は、支持台13を備える。支持台13は、例えば、搬送されるメディア99を支持する。
【0009】
記録装置11は、記録部14を備える。記録部14は、メディア99に記録するように構成される。記録部14は、例えば、支持台13と対向するように位置する。記録部14は、例えば、支持台13に支持されるメディア99に画像を記録する。記録部14は、例えば、ヘッド15と、キャリッジ16とを有する。
【0010】
ヘッド15は、1又は複数のノズル17を有する。ヘッド15は、ノズル17から液体をメディア99に吐出することによって、メディア99に画像を記録する。ヘッド15は、例えば、ノズル17の数と同等数の圧電素子を有する。圧電素子に電圧が印加されることによって、ノズル17から液体が吐出される。
【0011】
キャリッジ16は、ヘッド15を搭載する。キャリッジ16は、支持台13に支持されるメディア99に対して相対的に移動する。このように、記録装置11は、例えば、シリアルタイプのプリンターである。記録装置11は、メディア99の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインタイプのプリンターでもよい。
【0012】
キャリッジ16は、上面18を有する。上面18は、キャリッジ16において上方を向く面である。
キャリッジ16は、例えば、支持部材19を有する。支持部材19は、後述する基板33を支持する部材である。記録装置11は、支持部材19を備えるともいえる。本例のキャリッジ16は、基板33を支持する。そのため、キャリッジ16は、基板33を支持する支持部としても機能する。
【0013】
本例では、1又は複数の支持部材19が設けられる。支持部材19は、例えば、上面18から突出する。支持部材19は、例えば、ボスである。このボスの形状は、例えば、円柱形状である。支持部材19は、その先端が基板33と接触することによって基板33を支持する。
【0014】
記録装置11は、例えば、ガイド部材21を備える。ガイド部材21は、例えば、筐体12の幅にわたって延びる長尺の部材である。ガイド部材21は、例えば、板金であるが、ロッドでもよい。ガイド部材21は、筐体12に固定される。ガイド部材21は、キャリッジ16をガイドするとともに、キャリッジ16を支持する。キャリッジ16は、ガイド部材21に沿って移動することによって、メディア99に対して相対的に移動する。
【0015】
記録装置11は、例えば、検出部22を備える。検出部22は、例えば、1又は複数のセンサーで構成される。本例では、複数のセンサーが設けられる。複数のセンサーは、例えば、メディア99の幅を検出する第1センサー23、支持台13とヘッド15との距離を検出する第2センサー24、メディア99との接触を検出する第3センサー25、メディア99に記録されたマークを検出する第4センサー26などである。記録装置11は、その他に、キャリッジ16の位置を検出する第5センサー、ヘッド15の温度を検出する第6センサーなどを備えてもよい。各センサー23、24、25、26は、例えば、記録部14に取り付けられる。各センサー23、24、25、26は、例えば、キャリッジ16に取り付けられる。
【0016】
第1センサー23は、例えば、光学センサーである。第1センサー23は、メディア99の端を検出することによって、メディア99の幅を検出する。第2センサー24は、例えば、光学センサーである。第2センサー24は、支持台13に向けて照射することによって、支持台13とヘッド15との距離を検出する。第3センサー25は、例えば、アクチュエーターである。第4センサー26は、例えば、光学センサーである。第5センサーは、例えば、エンコーダーである、第6センサーは、例えば、サーミスタである。
【0017】
記録装置11は、複数のケーブル27を備える。複数のケーブル27は、例えば、検出部22と接続される。図1では、第1センサー23と接続されるケーブル27及び第3センサー25と接続されるケーブル27を図示しているが、実際にはセンサーの数と同等又はそれ以上のケーブル27が設けられる。複数のケーブル27は、例えば、それぞれ可撓性を有する。複数のケーブル27は、例えば、少なくとも1つのフレキシブルフラットケーブル28を含む。換言すれば、複数のケーブル27は、1又は複数のフレキシブルフラットケーブル28を含む。複数のケーブル27は、例えば、少なくとも1組のツイストケーブル29を含む。換言すれば、複数のケーブル27は、1又は複数のツイストケーブル29を含む。少なくとも1組のツイストケーブル29は、2本以上のケーブル27が撚られたケーブルである。すなわち、互いに撚られてまとめられた2本以上のケーブル27が、1つのツイストケーブル29を構成する。2本のケーブル27が撚られたケーブルは、いわゆるツイストペアケーブルである。
【0018】
記録装置11は、制御部31を備える。制御部31は、記録装置11の各種構成を制御する。制御部31は、例えば、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。制御部31は、ねじなどの固定部材を用いて筐体12に固定されている。
【0019】
記録装置11は、電線32を備える。電線32は、制御部31に接続される。複数のケーブル27と電線32とによって、制御部31と検出部22とが電気的に接続される。検出部22が検出した信号が、複数のケーブル27と電線32とを通じて制御部31に入力される。電線32は、例えば、可撓性を有する。そのため、電線32は、キャリッジ16の移動に伴い、キャリッジ16に追従するように変形する。
【0020】
図1及び図2に示すように、記録装置11は、基板33を備える。基板33は、第1面34と第2面35とを有する。第1面34は、ケーブル27、電線32などが接続される面である。第1面34は、例えば、上方を向く面である。第2面35は、第1面34と反対の面である。第2面35は、例えば、下方を向く面である。第2面35は、支持部材19の先端と接触する。そのため、基板33は、支持部材19上に位置する。
【0021】
図2及び図3に示すように、基板33は、複数の接続部36を有する。複数の接続部36は、第1面34に設けられる。接続部36は、例えば、コネクターである。複数の接続部36は、ケーブル27が接続される第1接続部37と、電線32が接続される第2接続部38とを含む。本例では、複数の第1接続部37と複数の第2接続部38とが設けられる。
【0022】
基板33は、ケーブル27が第1接続部37と接続されることによって検出部22と接続される。基板33は、電線32が第2接続部38と接続されることによって制御部31と接続される。すなわち、基板33は、制御部31と検出部22とを中継する。換言すれば、検出部22は、基板33を介して制御部31と接続される。基板33は、各センサー23、24、25、26に限らず、ケーブル27と第1接続部37とによって、ヘッド15が有する圧電素子と接続されてもよいし、その他の構成と接続されてもよい。
【0023】
基板33は、例えば、固定部材39によって支持部材19に取り付けられる。固定部材39は、例えば、ねじである。本例では、複数の固定部材39が設けられる。複数の固定部材39は、第1面34を平面視した時の基板33の四隅を支持部材19に固定する。そのため、支持部材19は、基板33の四隅と対応するように設けられる。
【0024】
図2に示すように、記録装置11は、対向部材41を備える。対向部材41は、第2面35と対向する部材である。対向部材41は、第2面35と対向する対向面42を有する。対向面42は、例えば、上方を向く面である。対向部材41は、例えば、支持部であるキャリッジ16に支持される。対向部材41は、上面18上に位置する。対向部材41は、上面18と第2面35との間に位置する。
【0025】
図2及び図4に示すように、対向部材41は、支持部材19が挿入される孔43を有する。そのため、孔43の数は、支持部材19の数と等しい。複数の孔43は、基板33の四隅に設けられる。孔43に支持部材19が挿入されることによって、対向部材41は、支持部であるキャリッジ16に対する位置が決定されたうえで、キャリッジ16に取り付けられる。複数の孔43のうち、一部の孔43は、例えば、長孔である。これにより、複数の孔43に対して複数の支持部材19が挿入されやすくなる。対向部材41は、孔43に支持部材19が挿入された状態で、例えばねじによって支持部であるキャリッジ16に固定されてもよい。対向部材41は、支持部であるキャリッジ16とは別の部材で構成されているが、支持部であるキャリッジ16と一体で構成されてもよい。すなわち、対向部材41は、支持部の一部であってもよい。
【0026】
対向部材41の厚さは、支持部材19の長さよりも小さい。対向部材41の厚さは、対向面42から、対向面42と反対の面までの距離である。すなわち、対向部材41の厚さは、上面18から支持部材19の先端までの距離よりも小さい。そのため、支持部材19は、挿入された孔43から突出する。したがって、支持部材19が基板33を支持することによって、対向部材41と基板33との間に空間44が形成される。具体的には、第2面35と対向面42との間に空間44が形成される。このように、支持部材19は、基板33を支持することによって空間44を規定する。
【0027】
本例では、基板33及び対向部材41を平面視した場合に、対向面42の面積が第2面35の面積よりも大きい。そのため、対向面42において第2面35と対向しない領域が存在する。空間44は、対向面42において第2面35と対向する領域を含み、対向面42において第2面35と対向しない領域を含まない空間である。すなわち、空間44は、基板33と対向部材41とを平面視した場合に、基板33と対向部材41とが重複する領域によって規定される空間である。
【0028】
空間44は、複数のケーブル27が通過する空間である。ケーブル27に空間44を通過させることによって、第1接続部37の配置に合わせてケーブル27を空間44で引き回すことができる。これにより、第1面34上でケーブル27を引き回す必要がなくなる。そのため、第1面34上でケーブル27同士が干渉しにくくなる。したがって、第1接続部37に対するケーブル27の接続が不安定になるおそれを低減できる。特に、本例のように、キャリッジ16が移動する場合には、例えば複数のケーブル27の慣性や振動に起因して複数のケーブル27同士が干渉しやすいため、ケーブル27を空間44で引き回すことの効果が大きい。また、第1面34上でケーブル27を引き回すと、ケーブル27を第1接続部37に接続しにくくなる。
【0029】
ケーブル27が空間44を通過することによって、そのケーブル27の姿勢が安定する。基板33と対向部材41とで挟まれる空間44をケーブル27が通過することによって、ケーブル27が動いたとしても、そのケーブル27が基板33又は対向部材41に接触する。すなわち、ケーブル27は、基板33と対向部材41とに保持される。空間44内でケーブル27が保持されることによって、ケーブル27の姿勢が安定する。
【0030】
また、本例においては、第1面34の上方の空間が規定されるのではなく、第2面35と対向面42との間の空間44が規定される。換言すれば、基板33において第1接続部37が設けられる面とは反対の面と対向面42との間の空間44が規定される。これにより、第1面34の上方の空間が規定される場合と比べて、第1面34を平面視した場合に第1接続部37に対向部材41が重複するおそれが低減する。従って、記録装置11のユーザーやメンテナンスを行う作業者が第1接続部37にアクセスしやすくなり、ケーブル27を第1接続部37に接続したり、第1接続部37から取り外したりしやすい。
【0031】
対向部材41と基板33との間の距離が小さいほど、ケーブル27の姿勢が安定する。例えば、対向部材41と基板33との間の距離がケーブル27の厚みと同程度になると、ケーブル27の姿勢が安定しやすい。
【0032】
図4及び図5に示すように、対向部材41は、複数のケーブル27の経路を規定する経路規定部45を有する。経路規定部45は、対向面42に設けられる。経路規定部45は、ケーブル27の経路を規定することによって、ケーブル27をガイドする。例えば、経路規定部45は、ケーブル27において空間44を通過する部分をガイドする。これにより、ケーブル27の姿勢が安定する。本例では、経路規定部45は、対向面42において第2面35と対向しない領域にも設けられるため、ケーブル27において空間44を通過していない部分をガイドすることもある。
【0033】
経路規定部45は、例えば、ケーブル27を収容する収容部46を含む。収容部46は、ケーブル27を収容することによって、ケーブル27をガイドする。収容部46は、例えば、対向面42から突出するリブ47によって構成されるが、対向面42から凹む溝によって構成されてもよい。本例では、複数のリブ47が対向面42に設けられ、対向面42上を延びる。複数のリブ47は、収容部46を構成するリブ47と、収容部46を構成しないリブ47とを含む。
【0034】
ケーブル27は、収容部46に収容されることによって、収容部46の配置に沿って引き回される。すなわち、ケーブル27は、リブ47に沿って引き回される。具体的には、ケーブル27において少なくとも空間44を通過する部分が、リブ47に沿って引き回される。このように、収容部46は、ケーブル27の経路を規定する。
【0035】
収容部46は、例えば、フレキシブルフラットケーブル28の少なくとも一部を収容する。本例では、フレキシブルフラットケーブル28の一部が収容部46に収容される。そのため、収容部46が規定する経路は、フレキシブルフラットケーブル28の経路である。
【0036】
経路規定部45は、例えば、ケーブル27が巻き掛けられるピン48を含む。ピン48は、対向面42から突出する。ピン48にケーブル27が巻き掛けられることによって、ピン48の配置に沿ってケーブル27が引き回される。ピン48は、巻き掛けられたケーブル27をガイドする。このように、ピン48は、ケーブル27の経路を規定する。
【0037】
ピン48には、例えば、ツイストケーブル29が巻き掛けられる。そのため、ピン48が規定する経路は、ツイストケーブル29の経路である。ピン48は、フレキシブルフラットケーブル28の経路を規定してもよい。収容部46は、ツイストケーブル29の経路を規定してもよい。フレキシブルフラットケーブル28及びツイストケーブル29の先端には、第1接続部37と接続される端子が設けられる。ケーブル27は、経路規定部45によってガイドされた後、第1面34と対向する領域、すなわち基板33の上方へと引き回され、第1接続部37と接続される。図5では、図示の簡略化のため、ツイストケーブル29を1本のケーブル27で図示しているが、実際には複数のケーブル27が撚られている。
【0038】
ピン48は、規制部49を有してもよい。規制部49は、巻き掛けられたツイストケーブル29に接触することによって、そのツイストケーブル29がピン48から脱落することを抑制する。規制部49は、例えば、突起である。規制部49は、例えば、ピン48の先端に設けられる。規制部49は、例えば、対向面42と平行に延びる。このように、規制部49は、ピン48に巻き掛けられたケーブル27が基板33に向けて移動することを規制するフックとして機能する。その結果、ケーブル27の脱落が抑制される。
【0039】
ピン48は、その基端から先端に向かって、径が大きくなるように設けられてもよい。すなわち、ピン48の形状は、錐体形状であってもよい。この場合でも、ピン48に巻き掛けられたケーブル27の脱落が抑制される。この場合、規制部49は、ケーブル27の脱落を抑制するピン48の形状を指す。
【0040】
本例では、ピン48の長さは、リブ47の長さよりも大きい。ピン48の長さは、リブ47の長さよりも小さくてもよい。換言すると、対向面42からピン48の先端までの距離は、対向面42からリブ47の先端までの距離よりも大きくてもよいし小さくてもよい。対向部材41の厚みとリブ47の長さとを加えた値は、支持部材19の長さ以下である。対向部材41の厚みとピン48の長さとを加えた値は、支持部材19の長さ以下である。
【0041】
図3及び図4に示すように、記録装置11は、絶縁部材51を備えてもよい。絶縁部材51は、例えば、絶縁性の材料で構成されたシート又はフィルムである。絶縁部材51は、例えば、ポリエステルのフィルムである。
【0042】
絶縁部材51は、例えば、基板33と対向部材41との間に位置する。絶縁部材51は、支持部材19が挿入される孔を有する。絶縁部材51は、この孔に支持部材19が挿入されることによって、絶縁部材51が支持部材19に取り付けられる。その結果、絶縁部材51は、対向部材41上に位置する。絶縁部材51は、例えば、リブ47及びピン48に載るように位置する。
【0043】
絶縁部材51は、基板33とケーブル27とを絶縁する。具体的には、絶縁部材51は、ケーブル27において空間44を通過する部分と第2面35とが接触することを抑制する。ケーブル27が第2面35に直接接触すると、ケーブル27が損傷するおそれがある。そのため、絶縁部材51が設けられることによって、ケーブル27の損傷が抑制される。
【0044】
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)複数のケーブル27は、空間44を通過する。この構成によれば、基板33と対向部材41との間の空間44で、ケーブル27を引き回すことができる。これにより、第1面34上でケーブル27を引き回す必要がなくなるため、ケーブル27同士が干渉しにくくなる。したがって、第1接続部37に対するケーブル27の接続が不安定になるおそれを低減できる。さらに、複数のケーブル27は、空間44を通過することによって、基板33と対向部材41とによって保持される。これにより、ケーブル27の姿勢が安定する。ケーブル27の姿勢が安定することによって、ケーブル27同士の接近によるノイズの量を管理することもできる。
【0045】
(2)支持部材19の先端は、第2面35に接触する。この構成によれば、比較的に簡易な構成で、対向部材41と基板33との間の空間44を規定できる。
(3)対向部材41は、複数のケーブル27の経路を規定する経路規定部45を有する。この構成によれば、複数のケーブル27は、経路規定部45によって規定された経路を引き回される。これにより、第1面34上で複数のケーブル27を引き回す必要がない。そのため、第1面34上でケーブル同士が干渉しにくくなる。さらに、経路規定部45によってケーブル27をガイドすることによって、ケーブル27の姿勢が安定する。
【0046】
(4)経路規定部45は、フレキシブルフラットケーブル28の一部分を収容する収容部46を有する。この構成によれば、フレキシブルフラットケーブル28は、収容部46に収容されることによって、収容部46により規定された経路を引き回される。これにより、第1面34上でケーブル27同士が干渉しにくくなる。
【0047】
(5)経路規定部45は、ツイストケーブル29が巻き掛けられるピン48を有する。この構成によれば、ツイストケーブル29は、ピン48に巻き掛けられることによって、ピン48により規定された経路を引き回される。これにより、第1面34上でケーブル27同士が干渉しにくくなる。
【0048】
(6)ピン48は、巻き掛けられたツイストケーブル29の脱落を規制する規制部49を有する。この構成によれば、ツイストケーブル29を安定した状態で引き回すことができる。
【0049】
(7)記録装置11は、対向部材41と基板33との間に、基板33とケーブル27とを絶縁する絶縁部材51を備える。この構成によれば、ケーブル27が第2面35に直接接触することによって損傷するおそれを低減できる。
【0050】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・支持部材19は、キャリッジ16に限らず、例えば、筐体12に設けられてもよい。すなわち、支持部は、キャリッジ16に限らず、その他の構成であってもよい。
【0051】
・リブ47又はピン48が、支持部材19を兼ねてもよい。
・ヘッド15が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド15が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材または画素材料などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0052】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)記録装置は、メディアに記録する記録部と、複数のケーブルと、複数の前記ケーブルがそれぞれ接続される複数の接続部が設けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第2面と対向する対向部材と、前記基板を支持することによって前記対向部材と前記基板との間の空間を規定する支持部材と、を備え、複数の前記ケーブルは、前記空間を通過する。
【0053】
この構成によれば、基板と対向部材との間の空間で、接続部の配置に合わせてケーブルを引き回すことができる。これにより、第1面上でケーブルを引き回す必要がなくなるため、第1面上でケーブル同士が干渉しにくくなる。したがって、接続部に対するケーブルの接続が不安定になるおそれを低減できる。
【0054】
(B)上記記録装置において、前記対向部材は、前記支持部材が挿入される孔を有し、前記支持部材の先端は、前記第2面に接触してもよい。
上記構成によれば、比較的に簡易な構成で、対向部材と基板との間の空間を規定できる。
【0055】
(C)上記記録装置において、前記対向部材は、複数の前記ケーブルの経路を規定する経路規定部を有してもよい。
上記構成によれば、複数のケーブルは、経路規定部によって規定された経路を引き回される。これにより、第1面上で複数のケーブルを引き回す必要がない。そのため、第1面上でケーブル同士が干渉しにくくなる。
【0056】
(D)上記記録装置において、複数の前記ケーブルは、少なくとも1つのフレキシブルフラットケーブルを含み、前記経路規定部は、前記少なくとも1つのフレキシブルフラットケーブルを収容する収容部を有してもよい。
【0057】
上記構成によれば、フレキシブルフラットケーブルは、収容部に収容されることによって、収容部により規定された経路を引き回される。これにより、第1面上でケーブル同士が干渉しにくくなる。
【0058】
(E)上記記録装置において、複数の前記ケーブルは、少なくとも1組のツイストケーブルを含み、前記少なくとも1組のツイストケーブルは、2本以上の前記ケーブルが撚られたケーブルであり、前記経路規定部は、前記ツイストケーブルが巻き掛けられるピンを有してもよい。
【0059】
上記構成によれば、ツイストケーブルは、ピンに巻き掛けられることによって、ピンにより規定された経路を引き回される。これにより、第1面上でケーブル同士が干渉しにくくなる。
【0060】
(F)上記記録装置において、前記ピンは、巻き掛けられた前記ツイストケーブルに接触することによって、前記ツイストケーブルが前記ピンから脱落することを規制する規制部を有してもよい。
【0061】
上記構成によれば、ツイストケーブルを安定した状態で引き回すことができる。
(G)上記記録装置は、前記対向部材と前記基板との間に、前記基板と前記ケーブルとを絶縁する絶縁部材を備えてもよい。
【0062】
上記構成によれば、ケーブルが第2面に直接接触することによって損傷するおそれを低減できる。
【符号の説明】
【0063】
11…記録装置、12…筐体、13…支持台、14…記録部、15…ヘッド、16…キャリッジ、17…ノズル、18…上面、19…支持部材、21…ガイド部材、22…検出部、23…第1センサー、24…第2センサー、25…第3センサー、26…第4センサー、27…ケーブル、28…フレキシブルフラットケーブル、29…ツイストケーブル、31…制御部、32…電線、33…基板、34…第1面、35…第2面、36…接続部、37…第1接続部、38…第2接続部、39…固定部材、41…対向部材、42…対向面、43…孔、44…空間、45…経路規定部、46…収容部、47…リブ、48…ピン、49…規制部、51…絶縁部材、99…メディア。
図1
図2
図3
図4
図5