(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ECM送信装置およびECM送信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/266 20110101AFI20240910BHJP
H04N 5/913 20060101ALI20240910BHJP
H04K 1/00 20060101ALI20240910BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20240910BHJP
H04H 20/86 20080101ALI20240910BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20240910BHJP
H04H 60/15 20080101ALI20240910BHJP
H04H 60/23 20080101ALI20240910BHJP
【FI】
H04N21/266
H04N5/913
H04K1/00 Z
H04H20/28
H04H20/86
H04H40/18
H04H60/15
H04H60/23
(21)【出願番号】P 2020196854
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】山田 正寿
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真二
(72)【発明者】
【氏名】海野 光晴
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-257547(JP,A)
【文献】特開2006-013949(JP,A)
【文献】特開2008-017502(JP,A)
【文献】特開2016-116065(JP,A)
【文献】特開2019-134299(JP,A)
【文献】特表2010-518781(JP,A)
【文献】一般社団法人電波産業会,BS/広帯域CSデジタル放送運用規定,ARIB TR-B15,第7.8版,日本,一般社団法人電波産業会,2019年12月,5-44~5-47
【文献】松本 修一,4K/8Kに向かうケーブルTV入門 リマックス方式,RFワールド,日本,CQ出版株式会社,2020年05月01日,No.50,pp45-50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
H04N 5/91 - 5/956
H04H 20/00 -20/46
H04H 20/51 -20/86
H04H 20/91 -40/27
H04H 40/90 -60/98
H04K 1/00 - 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵を含むECMを繰り返しスクランブル装置へ送信するECM送信装置であって、
前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含む前記ECMを生成するECM生成部と、
前記ECM生成部により生成された前記ECMと、前記ECMに含まれる前記偶数鍵および前記奇数鍵の、前記コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とを前記スクランブル装置へ送信する送信部とを備える、ECM送信装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記使用順情報として、前記ECMに含まれる前記偶数鍵および前記奇数鍵と所定の対応関係を有し、かつ前記スクランブル鍵が更新されるたびに異なる数値を、JLabs SPEC-035 2.1版の規格に従うセクションデータにおけるバージョン番号に格納して前記スクランブル装置へ送信する、請求項
1に記載のECM送信装置
。
【請求項3】
コンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵を含むECMを繰り返しスクランブル装置へ送信するECM送信装置におけるECM送信方法であって、
前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含む前記ECMを生成するステップと、
生成した前記ECMと、前記偶数鍵および前記奇数鍵の、前記コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とを前記スクランブル装置へ送信するステップとを含む、ECM送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクランブル装置、スクランブル方法、ECM送信装置およびECM送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル放送により配信されるコンテンツを管理するためのCAS(Conditional Access System)に関する技術が開発されている。
【0003】
たとえば、JLabs SPEC-035 2.1版、“高度ケーブル自主放送運用仕様”、一般社団法人 日本ケーブルラボ(Japan Cable Laboratories)、2018年12月25日(非特許文献1)には、CASに関する各種規格が開示されている。すなわち、非特許文献1には、ECM(Entitlement Control Message)が適用されるES(Elementary Stream)のスクランブル鍵が変更される場合には、スクランブル鍵の変更に先だってECMが更新される旨が開示されている。また、非特許文献1には、スクランブル鍵の変更において、偶数鍵から奇数鍵、そして奇数鍵から偶数鍵の順に変更され、同一鍵が続けて変更されることはない旨が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】JLabs SPEC-035 2.1版、“高度ケーブル自主放送運用仕様”、一般社団法人 日本ケーブルラボ(Japan Cable Laboratories)、2018年12月25日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1では、スクランブル装置が、コンテンツの暗号化に使用した暗号化鍵すなわちスクランブル鍵と、暗号化に使用していないスクランブル鍵とを組み合わせて奇数鍵および偶数鍵の組を生成し、この組を暗号化されたコンテンツと共に送信し、デスクランブル装置が、暗号化されたコンテンツと共に上記組を受信してコンテンツを復号することを前提としたシステムに関する規格が開示されている。つまり、この規格は、スクランブル装置が、暗号化に使用するための奇数鍵および偶数鍵の組を外部から受信し、受信した組のうちの暗号化に使用するスクランブル鍵を選択する構成を定めたものではない。そこで、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、奇数鍵および偶数鍵のうちのコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵をより正確に判断し、適切なスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、奇数鍵および偶数鍵のうちのコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵をより正確に判断し、適切なスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことが可能なスクランブル装置、スクランブル方法、ECM送信装置およびECM送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のスクランブル装置は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するECM管理部と、前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、前記ECM管理部は、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵の更新を検知し、前記スクランブル部は、前記偶数鍵および前記奇数鍵のうちの、前記スクランブル鍵のn回目(nは1以上の整数)の更新の前の前記ECMと、前記スクランブル鍵のn回目の更新の後の前記ECMとに基づいて決定される前記スクランブル鍵を用いて、前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0008】
本開示のECM送信装置は、コンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵を含むECMを繰り返しスクランブル装置へ送信するECM送信装置であって、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含む前記ECMを生成するECM生成部と、前記ECM生成部により生成された前記ECMと、前記ECMに含まれる前記偶数鍵および前記奇数鍵の、前記コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とを前記スクランブル装置へ送信する送信部とを備える。
【0009】
本開示のスクランブル方法は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するステップと、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、前記ECMを受信するステップにおいては、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵の更新を検知し、前記コンテンツ情報を暗号化するステップにおいては、前記偶数鍵および前記奇数鍵のうちの、前記スクランブル鍵のn回目(nは1以上の整数)の更新の前の前記ECMと、前記スクランブル鍵のn回目の更新の後の前記ECMとに基づいて決定される前記スクランブル鍵を用いて、前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0010】
本開示のECM送信方法は、コンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵を含むECMを繰り返しスクランブル装置へ送信するECM送信装置におけるECM送信方法であって、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含む前記ECMを生成するステップと、生成した前記ECMと、前記偶数鍵および前記奇数鍵の、前記コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とを前記スクランブル装置へ送信するステップとを含む。
【0011】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるスクランブル装置として実現され得るだけでなく、スクランブル装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、スクランブル装置における処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、スクランブル装置を備える放送システムとして実現され得たり、放送システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、放送システムにおける処理をステップとする方法として実現され得たり、放送システムにおける処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。
【0012】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるECM送信装置として実現され得るだけでなく、ECM送信装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、ECM送信装置における処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、ECM送信装置を備える放送システムとして実現され得たり、放送システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、放送システムにおける処理をステップとする方法として実現され得たり、放送システムにおける処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、奇数鍵および偶数鍵のうちのコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵をより正確に判断し、適切なスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るECM送信装置により送信されるECMに含まれるスクランブル鍵の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるTSパケットのフォーマットを示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM検出部によるフォーマット変換の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるセクションデータのフォーマットを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECMの受信タイミングおよびコンテンツ情報の暗号化に用いるスクランブル鍵を示すタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM管理部により受信されるECMの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置が起動後の処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る放送システムの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2の実施の形態に係るECM送信装置の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM管理部により受信されるECMの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の第2の実施の形態に係るECM送信装置がECMの送信を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本開示の実施の形態に係るスクランブル装置は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するECM管理部と、前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、前記ECM管理部は、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵の更新を検知し、前記スクランブル部は、前記偶数鍵および前記奇数鍵のうちの、前記スクランブル鍵のn回目(nは1以上の整数)の更新の前の前記ECMと、前記スクランブル鍵のn回目の更新の後の前記ECMとに基づいて決定される前記スクランブル鍵を用いて、前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0017】
このように、偶数鍵および奇数鍵のうちの、n回目の更新の前のECMと、n回目の更新の後のECMとに基づいて決定されるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する構成により、スクランブル鍵の更新後において、偶数鍵および奇数鍵のうちの、CASに関する規格に従ってコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵を判断することができる。したがって、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、奇数鍵および偶数鍵のうちのコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵をより正確に判断し、適切なスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことができる。
【0018】
(2)本開示の実施の形態に係るECM送信装置は、コンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵を含むECMを繰り返しスクランブル装置へ送信するECM送信装置であって、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含む前記ECMを生成するECM生成部と、前記ECM生成部により生成された前記ECMと、前記ECMに含まれる前記偶数鍵および前記奇数鍵の、前記コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とを前記スクランブル装置へ送信する送信部とを備える。
【0019】
このように、ECMに含まれる偶数鍵および奇数鍵の、コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報をスクランブル装置へ送信する構成により、スクランブル装置において、コンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵を簡易な処理で判断することができるとともに、コンテンツ情報の暗号化を早期に開始することができる。
【0020】
(3)好ましくは、前記送信部は、前記使用順情報として、前記ECMに含まれる前記偶数鍵および前記奇数鍵と所定の対応関係を有し、かつ前記スクランブル鍵が更新されるたびに異なる数値を、JLabs SPEC-035 2.1版の規格に従うセクションデータにおけるバージョン番号に格納して前記スクランブル装置へ送信する。
【0021】
このような構成により、簡易な処理で使用順情報をスクランブル装置へ送信することができる。
【0022】
(4)本開示の実施の形態に係るスクランブル方法は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するステップと、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、前記ECMを受信するステップにおいては、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵の更新を検知し、前記コンテンツ情報を暗号化するステップにおいては、前記偶数鍵および前記奇数鍵のうちの、前記スクランブル鍵のn回目(nは1以上の整数)の更新の前の前記ECMと、前記スクランブル鍵のn回目の更新の後の前記ECMとに基づいて決定される前記スクランブル鍵を用いて、前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0023】
このように、偶数鍵および奇数鍵のうちの、n回目の更新の前のECMと、n回目の更新の後のECMとに基づいて決定されるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する構成により、スクランブル鍵の更新後において、偶数鍵および奇数鍵のうちの、CASに関する規格に従ってコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵を判断することができる。したがって、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、奇数鍵および偶数鍵のうちのコンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵をより正確に判断し、適切なスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことができる。
【0024】
(5)本開示の実施の形態に係るECM送信方法は、コンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵を含むECMを繰り返しスクランブル装置へ送信するECM送信装置におけるECM送信方法であって、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含む前記ECMを生成するステップと、生成した前記ECMと、前記偶数鍵および前記奇数鍵の、前記コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とを前記スクランブル装置へ送信するステップとを含む。
【0025】
このように、ECMに含まれる偶数鍵および奇数鍵の、コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報をスクランブル装置へ送信する方法により、スクランブル装置において、コンテンツ情報の暗号化に用いるべきスクランブル鍵を簡易な処理で判断することができるとともに、コンテンツ情報の暗号化を早期に開始することができる。
【0026】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0027】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムの構成を示す図である。
図1を参照して、放送システム401は、ECM送信装置201と、EMM(Entitlement Management Message)送信装置202と、スクランブル装置101と、エンコーダ装置111と、リマックス装置121と、複数のSTB(Set Top Box)301とを備える。STB301には、図示しないCASモジュールが接続されている。
【0028】
たとえば、ECM送信装置201およびエンコーダ装置111は、互いに異なる場所に設けられる。より詳細には、ECM送信装置201およびEMM送信装置202は、番組配信センタ251に設けられる。エンコーダ装置111、スクランブル装置101およびリマックス装置121は、ケーブルテレビ局151に設けられる。STB301は、加入者宅351に設けられる。STB301は、図示しないケーブルテレビ放送受信装置を含む。
【0029】
番組配信センタ251は、コンテンツをケーブルテレビ局151経由で加入者宅351へ配信する。番組配信センタ251は、コンテンツと、加入者宅351ごとの契約情報とを一括して管理する。
【0030】
ECM送信装置201は、コンテンツの一例である番組に関する情報と、映像情報および音声情報等のコンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵と、各種制御情報とを含むECMを生成する。当該ECMは、スクランブル鍵として偶数鍵KEおよび奇数鍵KOを含み、かつ偶数鍵KEおよび奇数鍵KOが交互に更新される。たとえば、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOは、更新周期UCに従う更新タイミングUTごとに交互に更新される。更新周期UCは、たとえば8秒である。
【0031】
ECM送信装置201は、生成したECMを、ワーク鍵を用いて暗号化し、暗号化したECMをスクランブル装置101へ送信する。より詳細には、ECM送信装置201は、暗号化したECMを含むセクションデータを生成し、生成したセクションデータが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIP(Internet Protocol)パケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置101へ送信する。IP伝送網211では、IPプロトコルに従って、IPパケットが伝送される。
【0032】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るECM送信装置により送信されるECMに含まれるスクランブル鍵の一例を示す図である。
【0033】
図2を参照して、たとえば、ECM送信装置201は、ECMを所定周期PCで繰り返しスクランブル装置101へ送信する。具体的には、ECM送信装置201は、更新タイミングUT11から次の更新タイミングUT12までの期間において、奇数鍵KO11および偶数鍵KE12を含むECM_E11を所定周期PCで繰り返し送信し、更新タイミングUT12から次の更新タイミングUT13までの期間において、偶数鍵KE12および奇数鍵KO13を含むECM_E12を所定周期PCで繰り返し送信し、更新タイミングUT13から次の更新タイミングUT14までの期間において、奇数鍵KO13および偶数鍵KE14を含むECM_E13を所定周期PCで繰り返し送信する。所定周期PCは、たとえば100ミリ秒である。なお、ECM送信装置201は、ECMをスクランブル装置101へ不定期に繰り返し送信する構成であってもよい。
【0034】
再び
図1を参照して、EMM送信装置202は、加入者宅351ごとの契約情報と、暗号化されたECMを復号するためのワーク鍵とを含むEMMを生成する。EMM送信装置202は、生成したEMMを、番組の視聴契約を行った加入者宅351におけるCASモジュールにより復号することができるように設定されたマスタ鍵を用いて暗号化する。EMM送信装置202は、マスタ鍵を用いて暗号化したEMMをスクランブル装置101へ送信する。より詳細には、EMM送信装置202は、暗号化したEMMを含むセクションデータを生成し、生成したセクションデータが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置101およびリマックス装置121へ送信する。
【0035】
ケーブルテレビ局151は、コンテンツ情報をスクランブルすなわち暗号化し、暗号化されたコンテンツ情報を加入者宅351のSTB301へ送信する。
【0036】
より詳細には、エンコーダ装置111は、コンテンツ事業者としての番組配信センタ251からコンテンツ情報を取得し、取得したコンテンツ情報を符号化することによりコンテンツ情報が複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを生成する。エンコーダ装置111は、生成した複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてスクランブル装置101へ送信する。
【0037】
スクランブル装置101は、ECM送信装置201から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化する。より詳細には、スクランブル装置101は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。
【0038】
また、スクランブル装置101は、IP伝送網211経由でEMM送信装置202からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットからEMMを取得する。スクランブル装置101は、取得したEMMを、マスタ鍵を用いて復号することにより、EMMからワーク鍵を取得する。スクランブル装置101は、後述するCASモジュールに格納されたワーク鍵を、EMMから取得したワーク鍵に更新する。
【0039】
また、スクランブル装置101は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットからECMを取得する。スクランブル装置101は、取得したECMを、CASモジュールに格納されたワーク鍵を用いて復号することにより、ECMからスクランブル鍵を取得する。
【0040】
スクランブル装置101は、エンコーダ装置111から受信したIPパケットから取得したTSパケットを、スクランブル処理して出力する。より詳細には、スクランブル装置101は、TSパケットを、取得したスクランブル鍵を用いて暗号化する。スクランブル装置101は、暗号化したTSパケットおよびTSパケットの暗号化に用いたECMが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてリマックス装置121へ送信する。
【0041】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるTSパケットのフォーマットを示す図である。
図3を参照して、TSパケットは、データ長が188バイトであり、ヘッダと、アダプテーションフィールドと、ペイロードとを含む。ヘッダは、同期バイトと、トランスポートエラーインジケータと、ペイロードユニット開始インジケータと、トランスポート優先度と、PID(Packet Identification)と、トランスポートスクランブル制御と、アダプテーションフィールド制御と、連続性指標すなわちCC(Continuity Counter)値とを含む。
【0042】
PIDは、TSパケットの識別子である。PIDは、13ビットで表現される識別子であり、TSパケットのペイロードの内容に応じた値に設定される。ペイロードユニット開始インジケータは、ペイロードに含まれる情報等が、当該ペイロードから開始されるか否かを示す1ビットのデータである。CC値は、TSパケットの連続性を示す、同じPIDのTSパケットごとにインクリメントされる4ビットのカウンタ値である。トランスポートスクランブル制御は、ペイロードに含まれる情報が暗号化されているか否か、およびペイロードに含まれる情報が偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれを用いて暗号化されているか等を示す2ビットのデータである。
【0043】
再び
図1を参照して、リマックス装置121は、IP伝送網211経由でEMM送信装置202からIPパケットを受信する。また、リマックス装置121は、スクランブル装置101からIPパケットを受信する。
【0044】
リマックス装置121は、受信したIPパケットを所定の変調方式により変調することによりRF(Radio Frequency)帯の放送信号を生成する。リマックス装置121は、生成した放送信号をケーブルテレビ網311経由で加入者宅351へ送信する。
【0045】
加入者宅351におけるSTB301は、リマックス装置121から送信された放送信号をケーブルテレビ網311経由で受信する。STB301は、受信した放送信号を復調することにより、暗号化されたコンテンツ情報、ECMおよびEMMを取得する。STB301は、CASモジュールを用いてEMMを復号することによりワーク鍵を取得し、取得したワーク鍵を用いてECMを復号することによりスクランブル鍵を取得し、取得したスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報をデスクランブルすなわち復号する。STB301は、復号したコンテンツ情報を図示しないTVモニタへ送信する。当該TVモニタは、STB301から受信したコンテンツ情報に基づいて番組を再生する。
【0046】
[スクランブル装置]
図4は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。
図4を参照して、スクランブル装置101は、ECM管理部10と、EMM管理部20と、スクランブル部40と、出力部50と、CASモジュール70とを備える。ECM管理部10は、ECM検出部11と、ECM復号部13とを含む。CASモジュール70には、ワーク鍵が格納されている。
【0047】
(ECM管理部)
ECM管理部10は、ECM送信装置201から送信されるECMを受信する。ECM管理部10は、受信したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。上述したように、ECMは、スクランブル鍵として偶数鍵KEおよび奇数鍵KOを含み、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOはたとえば更新タイミングUTごとに交互に更新されるものである。
【0048】
より詳細には、ECM管理部10におけるECM検出部11は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。ECM検出部11は、取得したTSパケットにおけるPID等を参照することにより、当該TSパケットのペイロードに、ECMを含むセクションデータの一部が格納されていると判断した場合、当該TSパケットを出力部50へ出力する。
【0049】
また、ECM検出部11は、当該TSパケットのデータフォーマットからセクションデータのデータフォーマットへの変換を行う。
【0050】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM検出部によるフォーマット変換の一例を示す図である。
図5を参照して、セクションデータは、たとえば最大1024バイトまたは最大4096バイトのデータ長を有する。セクションデータは、ECM送信装置201において生成され、データ長がたとえば188バイトの複数のTSパケットに分割され、IPパケットに含めて伝送される。セクションデータは、ヘッダ部のフィールドと、データ部のフィールドと、CRC(Cyclic Redundancy Check)32のフィールドとを含む。
【0051】
ECM検出部11は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、ECM送信装置201において生成された、暗号化されたECMを含むセクションデータを再構成する。
【0052】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるセクションデータのフォーマットを示す図である。
図6を参照して、セクションデータにおけるヘッダ部は、テーブル識別子と、セクションシンタクス指示と、セクション長と、テーブル識別子拡張と、バージョン番号と、カレントネクスト指示と、セクション番号と、最終セクション番号とを含む。
【0053】
テーブル識別子は、セクションデータが属するテーブルを示す。テーブル識別子の値は、セクションデータが属するテーブルがECMである場合、すなわちデータ部にECMが格納される場合、「0x82」または「0x83」である。ここで、「0x」で始まる数字は、「0x」以降の数字が16進数で表されていることを意味する。バージョン番号は、テーブルのバージョン番号を示す。バージョン番号の値は、データ部に格納されるECMに含まれるスクランブル鍵の更新に伴って更新される。
【0054】
ECM検出部11は、再構成したセクションデータのデータ部から、暗号化されたECMを取得し、取得したECMをECM復号部13へ出力する。
【0055】
ECM復号部13は、ECM検出部11からECMを受けて、受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。ECM復号部13は、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。
【0056】
ECM管理部10は、受信したECMに含まれるスクランブル鍵の更新を検知する。より詳細には、ECM復号部13は、ECMを復号するたびに、復号したECMからスクランブル鍵を取得し、取得したスクランブル鍵と、直前に復号したECMから取得したスクランブル鍵とを比較することにより、スクランブル鍵の更新を検知する。
【0057】
ECM復号部13は、スクランブル鍵のn回目の更新前のECMと、スクランブル鍵のn回目の更新後のECMとに基づいて、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのうちのスクランブル部40へ出力すべきスクランブル鍵を決定する。ここで、nは1以上の整数である。たとえば、ECM復号部13は、1回目の更新前のECMと、1回目の更新後かつ2回目の更新前のECMとに基づいて、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのうちのスクランブル部40へ出力すべきスクランブル鍵を決定する。ECM復号部13におけるスクランブル部40へ出力すべきスクランブル鍵の決定の詳細については後述する。
【0058】
(EMM管理部)
EMM管理部20は、IP伝送網211経由でEMM送信装置202からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。EMM管理部20は、取得したTSパケットにおけるPID等を参照することにより、当該TSパケットのペイロードに、EMMを含むセクションデータの一部が格納されていると判断した場合、ECM復号部13と同様に、当該TSパケットのデータフォーマットからセクションデータのデータフォーマットへの変換を行う。
【0059】
EMM管理部20は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、EMM送信装置202において生成された、暗号化されたEMMを含むセクションデータを再構成する。
【0060】
EMM管理部20は、再構成したセクションデータのデータ部のフィールドから、暗号化されたEMMを取得し、取得したEMMを、たとえば予め番組配信センタ251から付与されたマスタ鍵を用いて復号することにより、EMMからワーク鍵を取得する。EMM管理部20は、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を、EMMから取得したワーク鍵に更新する。
【0061】
(スクランブル部)
スクランブル部40は、ECM管理部10により受信されたECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0062】
より詳細には、スクランブル部40は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットを、ECM復号部13から受けたスクランブル鍵を用いて暗号化する。
【0063】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵を示す図である。
図7は、非特許文献1に記載の規格に定められている、ECMの更新タイミングと暗号化に用いるスクランブル鍵の切り替えタイミングとを示している。
【0064】
図7を参照して、上記規格において、更新周期UCを、n回目の更新タイミングUTnから始まる期間T1と、期間T1の終了時刻から(n+1)回目の更新タイミングUT(n+1)までの期間T2とに分けたときに、期間T2および更新タイミングUT(n+1)から始まる期間において同一のスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことが定められている。また、上記規格において、期間T1は7600ミリ秒より大きく、期間T2はゼロ秒より大きく、かつ期間T1と期間T2との和は8000ミリ秒より大きく設定することが定められている。
【0065】
以下、期間T1において用いるべきスクランブル鍵をカレント鍵とも称し、期間T2において用いるべきスクランブル鍵をネクスト鍵とも称する。
【0066】
スクランブル部40は、スクランブル鍵の切り替えに関する当該規格に従って、期間T1においてカレント鍵を用いてTSパケットを暗号化し、期間T2においてネクスト鍵を用いてTSパケットを暗号化する。
【0067】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECMの受信タイミングおよびコンテンツ情報の暗号化に用いるスクランブル鍵を示すタイミングチャートの一例を示す図である。
【0068】
図8を参照して、たとえば、スクランブル部40は、n回目の更新タイミングUTnよりも所定時間前の時刻tnから始まる対象期間TXnにおいて、ECM管理部10により受信されたECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか一方を用いてコンテンツ情報を暗号化する。また、スクランブル部40は、(n+1)回目の更新タイミングUT(n+1)よりも所定時間前の時刻t(n+1)から始まる、対象期間Tnに続く対象期間TX(n+1)において、ECM管理部10により受信されたECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか他方を用いてコンテンツ情報を暗号化する。対象期間TXnは第nの期間の一例であり、対象期間TX(n+1)は、第(n+1)の期間の一例である。
【0069】
具体的には、たとえば、スクランブル部40は、更新タイミングUT12を終了時刻とする期間T2の開始時刻t12から、更新タイミングUT13を終了時刻とする期間T2の開始時刻t13までの対象期間TX12において、偶数鍵KEを用いてTSパケットを暗号化する。
【0070】
より詳細には、ECM復号部13は、時刻t12から更新タイミングUT12までの期間T2において、ECM検知部11から受けたECM_E11に含まれる偶数鍵KE12をスクランブル部40へ出力し、更新タイミングUT12から時刻t13までの期間T1において、ECM検知部11から受けたECM_E12に含まれる偶数鍵KE12をスクランブル部40へ出力する。
【0071】
また、たとえば、スクランブル部40は、時刻t13から、更新タイミングUT14を終了時刻とする期間T2の開始時刻t14までの対象期間TX13において、奇数鍵KOを用いてTSパケットを暗号化する。
【0072】
より詳細には、ECM復号部13は、時刻t13から更新タイミングUT13までの期間T2において、ECM検知部11から受けたECM_E12に含まれる奇数鍵KO13をスクランブル部40へ出力し、更新タイミングUT13から時刻t14までの期間T1において、ECM検知部11から受けたECM_E13に含まれる奇数鍵KO13をスクランブル部40へ出力する。
【0073】
また、たとえば、スクランブル部40は、時刻t14から、更新タイミングUT15を終了時刻とする期間T2の開始時刻t15までの対象期間TX14において、偶数鍵KEを用いてTSパケットを暗号化する。
【0074】
より詳細には、ECM復号部13は、時刻t14から更新タイミングUT14までの期間T2において、ECM検知部11から受けたECM_E13に含まれる偶数鍵KE14をスクランブル部40へ出力し、更新タイミングUT14から時刻t15までの期間T1において、ECM検知部11から受けたECM_E14に含まれる偶数鍵KE14をスクランブル部40へ出力する。
【0075】
スクランブル部40は、ECM復号部13から受けた、たとえば最新のスクランブル鍵を用いてTSパケットを暗号化し、暗号化したTSパケットを出力部50へ出力する。
【0076】
上述のように、ECM復号部13は、時刻tn,t(n+1),t(n+2)・・・の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0077】
スクランブル部40は、ECM復号部13から受けた最新のスクランブル鍵を用いてTSパケットの暗号化を行うことにより、当該切替タイミングにおいて、暗号化に用いるスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0078】
(出力部)
出力部50は、スクランブル部40により暗号化されたコンテンツ情報、およびスクランブル部40においてコンテンツ情報の暗号化に用いられたスクランブル鍵を含むECMを出力する。
【0079】
より詳細には、出力部50は、スクランブル部40から受けた、暗号化されたTSパケットと、ECM検出部11から受けた、ECMを含むセクションデータの一部が格納されたTSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0080】
<ECMの受信開始後の処理>
スクランブル装置101では、ECM復号部13が、上述の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替え、スクランブル部40が、ECM復号部13から受けた最新のスクランブル鍵を用いてTSパケットの暗号化を行う。また、スクランブル装置101では、ECMに含まれる奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのうちの、カレント鍵として用いるスクランブル鍵と、ネクスト鍵として用いるスクランブル鍵とを決定する必要がある。たとえば、スクランブル装置101では、起動後にECM送信装置201からECMを受信し始めた際、受信したECMに含まれる奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのうちの、カレント鍵として用いるスクランブル鍵と、ネクスト鍵として用いるスクランブル鍵とを決定し、ECMに含まれる奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのうちのいずれを用いてTSパケットの暗号化を開始すべきであるかを判断する必要がある。
【0081】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM管理部により受信されるECMの一例を示す図である。
【0082】
図9を参照して、ECM検知部11は、ECM送信装置201からのECMの受信開始タイミングTsから、1回目の更新タイミングUT1までの期間において、所定周期PCに従うタイミングにおいて、再構成したセクションデータから奇数鍵KO1および偶数鍵KE1を含むECM_Esを取得してECM復号部13へ出力する。
【0083】
また、ECM検知部11は、更新タイミングUT1以降、所定周期PCに従うタイミングにおいて、再構成したセクションデータから奇数鍵KO1および偶数鍵KE2を含むECM_E1を取得してECM復号部13へ出力する。
【0084】
ECM復号部13は、更新タイミングUT1の前にECM検知部11により取得されたECMと、更新タイミングUT1の後にECM検知部11により取得されたECMとに基づいて、スクランブル部40において更新タイミングUT1以降にTSパケットの暗号化に用いるべきスクランブル鍵を決定する。
【0085】
詳細には、ECM復号部13は、更新タイミングUT1以降においてECM検知部11から受けたECM_E1から取得したスクランブル鍵と、更新タイミングUT1より前にECM検知部11から受けたECM_Esから取得したスクランブル鍵とを比較することにより、スクランブル鍵の更新を検知する。そして、ECM復号部13は、スクランブル鍵が更新される前のECM_Esと、スクランブル鍵が更新された後のECM_E1とに基づいて、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのうちのスクランブル部40へ出力すべきスクランブル鍵を決定する。
【0086】
より詳細には、ECM復号部13は、受信開始タイミングTs以降、ECM検知部11からECM_Esを受けて、受けたECM_Esに含まれる奇数鍵KO1および偶数鍵KE1と、スクランブル部40において用いるべきカレント鍵およびネクスト鍵との対応関係が不明であるので、スクランブル鍵をスクランブル部40へ出力することなく破棄する。
【0087】
また、ECM復号部13は、更新タイミングUT1の後、ECM検知部11からECM_E1を受けて、ECM_E1から取得したスクランブル鍵とECM_Esから取得したスクランブル鍵とを比較することにより、スクランブル鍵の更新を検知する。そして、ECM復号部13は、スクランブル鍵が更新された後のECM_E1に含まれるスクランブル鍵のうちの、スクランブル鍵が更新される前のECM_Esに含まれるいずれかのスクランブル鍵と一致したスクランブル鍵をカレント鍵であると判断する。具体的には、ECM復号部13は、ECM_EsとECM_E1とを比較し、ECM_E1に含まれる奇数鍵KO1がECM_Esに含まれる奇数鍵KO1と一致するので、ECM_E1の奇数鍵KO1を期間T1において用いるべきカレント鍵であると判断し、ECM_E1の偶数鍵KE2を期間T2において用いるべきネクスト鍵であると判断する。
【0088】
そして、ECM復号部13は、更新タイミングUT1から始まる期間T1において、ECM検知部11から受けたECM_E1に含まれる奇数鍵KO1をスクランブル部40へ出力し、次の更新タイミングUT2を終了時刻とする期間T2において、ECM検知部11から受けたECM_E1に含まれる偶数鍵KE2をスクランブル部40へ出力する。
【0089】
スクランブル部40は、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのうちの、スクランブル鍵のn回目の更新の前のECMと、スクランブル鍵のn回目の更新の後のECMとに基づいて決定されるスクランブル鍵を用いて、コンテンツ情報を暗号化する。
【0090】
たとえば、スクランブル部40は、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのうちの、ECM管理部10によるECMの受信の開始後における1回目の更新タイミングUT1の前にECM管理部10により受信されたECMと、更新タイミングUT1の後であって2回目の更新タイミングUT2の前にECM管理部10により受信されたECMとに基づいて決定されるスクランブル鍵を用いて、コンテンツ情報を暗号化する。ここで、ECM管理部10によるECMの受信の開始後における1回目の更新タイミングUT1とは、一例として、スクランブル装置101の電源がオンされることによるスクランブル装置101の起動後、スクランブル装置101のリセット後、またはスクランブル装置101の再起動後における、1回目の更新タイミングUTを意味するものとする。
【0091】
より詳細には、スクランブル部40は、更新タイミングUT1から始まる期間T1において、ECM復号部13から奇数鍵KO1を受けて、受けた奇数鍵KO1を用いてTSパケットを暗号化する。また、スクランブル部40は、次の更新タイミングUT2を終了時刻とする期間T2において、ECM復号部13から偶数鍵KE2を受けて、受けた偶数鍵KE2を用いてTSパケットを暗号化する。
【0092】
ECM復号部13は、次の更新タイミングUT3を終了時刻とする期間T2の開始時刻t3以降、時刻tn,t(n+1),t(n+2)・・・の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0093】
[動作の流れ]
本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0094】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0095】
図10を参照して、まず、スクランブル装置101は、ECM送信装置201から送信されるECMを受信する。より詳細には、スクランブル装置101は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。そして、スクランブル装置101は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、暗号化されたECMを含むセクションデータを再構成し、再構成したセクションデータから暗号化されたECMを取得する(ステップS102)。
【0096】
次に、スクランブル装置101は、取得したECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。より詳細には、スクランブル装置101は、取得したECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。そして、スクランブル装置101は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれる、コンテンツ情報を含むTSパケットを、復号したECMに含まれるスクランブル鍵を用いて暗号化する(ステップS104)。
【0097】
次に、スクランブル装置101は、暗号化したコンテンツ情報、およびコンテンツ情報の暗号化に用いたスクランブル鍵を含むECMを出力する。より詳細には、スクランブル装置101は、暗号化されたTSパケットと、暗号化に用いたECMを含むセクションデータの一部が格納されたTSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する(ステップS106)。
【0098】
図11は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置が起動後の処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【0099】
図11を参照して、まず、スクランブル装置101は、起動後、ECM送信装置201からのECMを待ち受け(ステップS202でNO)、1回目のECM_Esを受信すると(ステップS202でYES)、ECMに含まれるスクランブル鍵の更新を検知するまで(ステップS204でNO)、受信したECM_Esを破棄する(ステップS206)。
【0100】
一方、スクランブル装置101は、ECMに含まれるスクランブル鍵の更新を検知すると(ステップS204でYES)、スクランブル鍵が更新される前のECM_Esと、スクランブル鍵が更新された後のECM_E1とを比較する(ステップS208)。
【0101】
次に、スクランブル装置101は、ECM_EsとECM_E1との比較結果に基づいて、ECM_E1に含まれる奇数鍵KO1および偶数鍵KE2のうち、更新タイミングUT1から始まる期間T1においてカレント鍵として用いるべきスクランブル鍵を判断する(ステップS210)。
【0102】
次に、スクランブル装置101は、ECM_EsとECM_E1とに基づいて決定されるスクランブル鍵を用いたTSパケットの暗号化を開始する。より詳細には、スクランブル装置101は、更新タイミングUT1から始まる期間T1において、カレント鍵として用いるべきと判断したスクランブル鍵を用いてTSパケットを暗号化する。そして、スクランブル装置101は、時刻tn,t(n+1),t(n+2)・・・の切替タイミングにおいて、暗号化に用いるスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替えながらTSパケットを暗号化する(ステップS212)。
【0103】
なお、本開示の第1の実施の形態に係る放送システム401では、ECM送信装置201、EMM送信装置202およびエンコーダ装置111は、TSパケットを1または複数のIPパケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置101へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ECM送信装置201、EMM送信装置202およびエンコーダ装置111のうちの少なくともいずれか1つは、TSパケットをASI(Asynchronous Serial Interface)方式の信号であるASI信号に含めてスクランブル装置101へ送信する構成であってもよい。
【0104】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0105】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る放送システム401と比べて、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOの、コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報を送信するECM送信装置203と、当該使用順情報に基づいて決定されるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置102とを備える放送システム402に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る放送システム401と同様である。
【0106】
[構成および基本動作]
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る放送システムの構成を示す図である。
図12を参照して、放送システム402は、第1の実施の形態に係る放送システム401と比べて、ECM送信装置201およびスクランブル装置101の代わりにECM送信装置203およびスクランブル装置102を備える。
【0107】
[ECM送信装置]
図13は、本開示の第2の実施の形態に係るECM送信装置の構成を示す図である。
図13を参照して、ECM送信装置203は、ECM生成部210と、送信部220とを備える。
【0108】
ECM生成部210は、スクランブル鍵として偶数鍵KEおよび奇数鍵KOを含むECMを生成する。たとえば、ECM生成部210は、更新周期UCに従う更新タイミングUTごとに交互に更新される偶数鍵KEおよび奇数鍵KOを含むECMを生成する。ECM生成部210は、たとえば所定周期PCに従うタイミングにおいて、生成したECMを送信部220へ出力する。
【0109】
また、ECM生成部210は、ECMに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOと、カレント鍵およびネクスト鍵との対応関係を示す対応情報を当該ECMとともに送信部220へ出力する。
【0110】
送信部220は、ECM生成部210からECMを受けて、受けたECMを、ワーク鍵を用いて暗号化する。
【0111】
再び
図6を参照して、送信部220は、所定周期PCに従うタイミングにおいて、暗号化したECMがデータ部に格納されたセクションデータを生成する。また、送信部220は、データ部に格納するECMに含まれるスクランブル鍵の更新に合わせて、セクションデータのバージョン番号のフィールドに格納する値を更新する。以下、バージョン番号のフィールドに格納される値をバージョン値とも称する。
【0112】
送信部220は、ECM生成部210により生成されたECMと、当該ECMに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOの、コンテンツ情報の暗号化に用いる順を認識可能な使用順情報とをスクランブル装置102へ送信する。
【0113】
たとえば、送信部220は、使用順情報として、ECMに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOと所定の対応関係を有し、かつ更新周期UCごとに異なる数値を、JLabs SPEC-035 2.1版の規格に従うセクションデータにおけるバージョン番号に格納してスクランブル装置102へ送信する。
【0114】
より詳細には、送信部220は、ECM生成部210から対応情報を受けて、受けた対応情報に応じたバージョン値をバージョン番号のフィールドに格納する。
【0115】
具体的には、たとえば、送信部220は、カレント鍵が偶数鍵KEであり、かつネクスト鍵が奇数鍵KOであることを示す対応情報をECM生成部210から受けた場合、偶数のバージョン値をバージョン番号のフィールドに格納する一方で、カレント鍵が奇数鍵KOであり、かつネクスト鍵が偶数鍵KEであることを示す対応情報をECM生成部210から受けた場合、奇数のバージョン値をバージョン番号のフィールドに格納する。
【0116】
送信部220は、生成したセクションデータが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置102へ送信する。
【0117】
[スクランブル装置]
図14は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。
図14を参照して、スクランブル装置102は、第1の実施の形態に係るスクランブル装置101と比べて、ECM管理部10の代わりにECM管理部80を備える。ECM管理部80は、ECM検出部81と、ECM復号部83とを含む。
【0118】
ECM管理部80におけるECM検出部81は、IP伝送網211経由でECM送信装置203からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。ECM検出部81は、取得したTSパケットにおけるPID等を参照することにより、当該TSパケットのペイロードに、ECMを含むセクションデータの一部が格納されていると判断した場合、当該TSパケットを出力部50へ出力する。
【0119】
また、ECM検出部81は、当該TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、ECM送信装置203において生成された、暗号化されたECMを含むセクションデータを再構成する。ECM検出部81は、再構成したセクションデータのデータ部から暗号化されたECMを取得し、バージョン番号のフィールドからバージョン値を取得する。ECM検出部81は、取得したECMおよびバージョン値をECM復号部83へ出力する。
【0120】
ECM復号部83は、ECM検出部81からECMおよびバージョン値を受けて、受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。ECM復号部83は、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をバージョン値に応じてスクランブル部90へ出力する。
【0121】
図15は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM管理部により受信されるECMの一例を示す図である。
【0122】
図15を参照して、ECM検知部81は、ECM送信装置203からのECMの受信開始タイミングTsから、1回目の更新タイミングUT1までの期間において、所定周期PCに従うタイミングにおいて、再構成したセクションデータから奇数鍵KO1および偶数鍵KE1を含むECM_Esおよびたとえば偶数のバージョン値とを取得し、取得したECM_Esおよびバージョン値をECM復号部83へ出力する。
【0123】
ECM復号部83は、受信開始タイミングTsから更新タイミングUT1までの期間において、ECM検知部81からECM_Esおよびバージョン値を受けて、受けたバージョン値が偶数であるので、ECM_Esの偶数鍵KE1が期間T1において用いるべきカレント鍵であると判断する。
【0124】
そして、ECM復号部83は、受信開始タイミングTsから始まる期間T1において、ECM検知部81から受けた最新のECM_Esに含まれる偶数鍵KE1をスクランブル部40へ出力し、1回目の更新タイミングUT1を終了時刻とする期間T2において、ECM検知部81から受けた最新のECM_Esに含まれる奇数鍵KO1をスクランブル部40へ出力する。
【0125】
スクランブル部40は、受信開始タイミングTsから始まる期間T1において、ECM復号部83から偶数鍵KE1を受けて、受けた偶数鍵KE1を用いてTSパケットを暗号化する。また、スクランブル部40は、更新タイミングUT1を終了時刻とする期間T2において、ECM復号部83から奇数鍵KO1を受けて、受けた奇数鍵KO1を用いてTSパケットを暗号化する。
【0126】
ECM復号部83は、更新タイミングUT1から次の更新タイミングUT2を終了時刻とする期間T2の開始時刻t2以降、時刻tn,t(n+1),t(n+2)・・・の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0127】
図16は、本開示の第2の実施の形態に係るECM送信装置がECMの送信を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0128】
図16を参照して、まず、ECM送信装置203は、所定周期PCに従うタイミングを待ち受け(ステップS302でNO)、所定周期PCに従うタイミングが到来すると、ECMを生成する(ステップS304)。
【0129】
次に、ECM送信装置203は、生成したECM、および当該ECMに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOと、カレント鍵およびネクスト鍵との対応関係に応じたバージョン値が格納されたセクションデータを生成する(ステップS306)。
【0130】
次に、ECM送信装置203は、生成したセクションデータをスクランブル装置102へ送信する。より詳細には、ECM送信装置203は生成したセクションデータが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを1または複数のIPパケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置102へ送信する(ステップS308)。
【0131】
次に、ECM送信装置203は、所定周期PCに従う新たなタイミングを待ち受ける(ステップS302でNO)。
【0132】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0133】
なお、本開示の第2の実施の形態に係るECM送信装置203では、送信部220は、使用順情報として、ECM生成部210から受けた対応情報に応じたバージョン値をバージョン番号のフィールドに格納してスクランブル装置203へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。送信部220は、識別情報を、セクションデータにおけるバージョン番号以外のフィールドに格納してスクランブル装置203へ送信する構成であってもよい。
【0134】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、
前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、
前記ECMを受信するECM管理部と、
前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、
前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、
前記スクランブル部は、前記偶数鍵および前記奇数鍵のうちの、前記ECM管理部による前記ECMの受信の開始後における1回目の更新タイミングの前に前記ECM管理部により受信された前記ECMと、1回目の前記更新タイミングの後に前記ECM管理部により受信された前記ECMとに基づいて決定される前記スクランブル鍵を用いて、前記コンテンツ情報を暗号化し、
前記スクランブル部は、前記ECM送信装置が設けられた場所とは異なる場所に設けられたエンコーダ装置から取得した前記コンテンツ情報を暗号化する、スクランブル装置。
【符号の説明】
【0135】
10、80 ECM管理部
11 ECM検出部
13 ECM復号部
20 EMM管理部
40 スクランブル部
50 出力部
70 CASモジュール
81 ECM検出部
83 ECM複号部
101、102 スクランブル装置
111 エンコーダ装置
121 リマックス装置
151 ケーブルテレビ局
211 IP伝送網
201、203 ECM送信装置
202 EMM送信装置
210 ECM生成部
220 送信部
251 番組配信センタ
301 STB
311 ケーブルテレビ網
351 加入者宅
401 放送システム