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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240910BHJP
   B26D 1/24 20060101ALI20240910BHJP
   B26D 7/00 20060101ALI20240910BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240910BHJP
   B65H 35/06 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J11/70
B26D1/24 J
B26D7/00 Z
B26D7/06 Z
B65H35/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020196862
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085263
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山口 真誠
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-39252(JP,A)
【文献】特開2006-231759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/70
B26D 1/24
B26D 7/00
B26D 7/06
B65H 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送経路の所定位置においてシート状媒体を切断するカッターと、
前記カッターを、前記所定位置における前記搬送方向と直交する走査方向に、前記搬送経路外の待機位置から前記搬送経路内へと移動させる走査機構と、を備え、
前記搬送機構は、前記所定位置において前記搬送経路を挟むように配置された一対の経路部材を含み、
前記一対の経路部材は、それぞれ、前記カッターの前記走査方向の移動と連動し、
前記カッターが前記待機位置にあるときの第1位置と、
前記カッターが前記搬送経路内にあるときの第2位置であって、前記第1位置よりも前記搬送経路から離隔し、前記一対の経路部材間に前記カッターの配置空間が形成される第2位置と、を取り得るように構成されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記一対の経路部材は、それぞれ、前記走査方向に沿った軸を中心として回動することにより、前記第1位置と前記第2位置とを取り得るように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一対の経路部材は、それぞれ、前記第2位置から前記第1位置に向けて付勢部材により付勢されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カッターが取り付けられたカッターユニットと、
前記カッターユニットを保持し、前記走査機構に固定されたホルダーと、を備え、
前記一対の経路部材の少なくとも一方は、前記ホルダーに押圧されることにより、前記第1位置から前記第2位置に移動することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一対の経路部材の少なくとも一方は、前記走査方向に対して傾斜した傾斜面を有し、前記傾斜面が前記ホルダーに押圧されることにより、前記第1位置から前記第2位置に移動することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
シート状媒体を収容可能な収容部と、
シート状媒体に対して画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記搬送機構は、
前記収容部からシート状媒体を搬送するように構成されており、
前記収容部からシート状媒体を送り出す給送ローラと、
前記搬送経路において前記給送ローラと前記画像形成部との間に配置された中間ローラと、
前記搬送経路において前記中間ローラと前記画像形成部との間に配置された搬送ローラと、をさらに含み、
前記中間ローラと前記搬送ローラとの間において、前記搬送方向が反転するように構成されており、
前記所定位置は、前記搬送経路において前記給送ローラと前記中間ローラとの間にあることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記収容部は、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記カッターは、前記搬送経路を挟むように配置された一対の回転刃で構成されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状媒体を切断するカッターを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、布、ラベル等のシート状媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送しつつ画像を形成する画像形成装置が知られている。かかる画像形成装置には、シート状媒体を切断するカッターを備えたものがある。例えば、特許文献1には、画像形成部の搬送方向下流側(搬送経路の所定位置)において、移動ユニット(走査機構)によってシート幅方向(走査方向)に移動し、シート状媒体を切断するカッターを備えた画像形成装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-86235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように搬送経路の所定位置においてカッターを走査方向に移動させる構成では、当該所定位置において、搬送経路内へのカッターの移動を確保するため、経路部材を配置し難い。経路部材がないと、シート状媒体を搬送経路に沿ってガイドできず、特にシート状媒体のカールが大きい場合、搬送不良が生じてしまう。
【0005】
本発明の目的は、搬送経路の所定位置においてカッターを走査方向に移動させる構成であっても、当該所定位置においてシート状媒体のガイドを行うことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、シート状媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送機構と、前記搬送経路の所定位置においてシート状媒体を切断するカッターと、前記カッターを、前記所定位置における前記搬送方向と直交する走査方向に、前記搬送経路外の待機位置から前記搬送経路内へと移動させる走査機構と、を備え、前記搬送機構は、前記所定位置において前記搬送経路を挟むように配置された一対の経路部材を含み、前記一対の経路部材は、それぞれ、前記カッターの前記走査方向の移動と連動し、前記カッターが前記待機位置にあるときの第1位置と、前記カッターが前記搬送経路内にあるときの第2位置であって、前記第1位置よりも前記搬送経路から離隔し、前記一対の経路部材間に前記カッターの配置空間が形成される第2位置と、を取り得るように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一対の経路部材が、カッターの走査方向の移動と連動し、第1位置と第2位置とを取り得るように構成されている。これにより、搬送経路の所定位置においてカッターを走査方向に移動させる構成であっても、カッターが待機位置にあるときに一対の経路部材が第1位置を取ることで、当該所定位置においてシート状媒体のガイドを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの全体構成図である。
図2図1のプリンタに含まれるカッター機構及び走査機構を示す概略図である。
図3図1に示す領域IIIの拡大図である。
図4図1のプリンタにおいて、カッターが待機位置から搬送経路内に移動し、一対の経路部材が回動した状態を示す、図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<プリンタの全体構成>
先ず、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るプリンタ100(画像形成装置)の全体構成について説明する。なお、図1に示す上下方向及び前後方向を、プリンタ100の上下方向及び前後方向とする。
【0010】
プリンタ100は、筐体100aと、給紙トレイ1と、搬送機構3と、カッター機構4と、ヘッド5と、排紙トレイ6と、制御部10とを含む。給紙トレイ1は、上方に開口した箱形状を有し、筐体100aの下部に着脱可能である。排紙トレイ6は、筐体100aの上部の前方の側壁で構成され、筐体100aに対して開閉可能である。
【0011】
給紙トレイ1には、ロール紙Rを収容可能なロール紙収容部11が設けられている。ロール紙収容部11は、本発明の「収容部」に該当する。
【0012】
ロール紙Rは、円筒状の芯部材Rcの外周面に、長尺の用紙P(本発明の「シート状媒体」)がロール状に巻回されたものであり、本発明の「ロール体」に該当する。ロール紙Rは、その回転軸Rx(芯部材Rcの中心軸)が上下方向及び前後方向と直交する方向(後述の「走査方向」であり、用紙Pの幅方向)に沿った状態で、ロール紙収容部11に収容される。
【0013】
ロール紙収容部11は、ロール紙Rを収容する凹部11xを有する。凹部11xの底部に、2つのローラ14,15が設けられている。2つのローラ14,15は、それぞれ、上記走査方向に延びる軸14a,15aを中心として回転可能である。ロール紙Pは、凹部11xに収容されたとき、その下側部分の外周面が2つのローラ14,15に支持される。
【0014】
ロール紙収容部11は、さらに、凹部11xと連通しかつ上下方向に延びる孔11yと、孔11yと連通しかつ前後方向に延びる溝11zとを有する。孔11y及び溝11zは、共に、ロール紙収容部11の底面に開口している。ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pは、孔11y及び溝11zを通り、ヘッド5に向けて搬送される。
【0015】
搬送機構3は、ロール紙収容部11から用紙Pを搬送するように構成されており、給送ローラ3a、中間ローラ対3b、搬送ローラ対3c、排紙ローラ対3d及びガイド7~9を含む。搬送機構3により、用紙Pは、ロール紙収容部11からヘッド5の下方を通って排紙トレイ6に向かう搬送経路Cに沿って、搬送方向Aに搬送される。
【0016】
給送ローラ3aは、搬送経路Cにおいてロール紙収容部11とヘッド5との間に配置されている。中間ローラ対3bは、搬送経路Cにおいて給送ローラ3aとヘッド5との間に配置されている。搬送ローラ対3cは、搬送経路Cにおいて中間ローラ対3bとヘッド5との間に配置されている。排紙ローラ対3dは、搬送経路Cにおいてヘッド5と排紙トレイ6との間に配置されている。
【0017】
給送ローラ3aは、アーム3yの先端に軸支されている。アーム3yは、支軸3xに回動自在に支持され、かつ、給送ローラ3aが給紙トレイ1の底面に近づくように付勢されている。図1に示すように、ロール紙Rがロール紙収容部11に収容された状態において、制御部10の制御により給紙モータ(図示略)が駆動され、給送ローラ3aが回転すると、ロール紙Rが矢印方向Bに回転し、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pが中間ローラ対3bに向けて給送される。
【0018】
中間ローラ対3b、搬送ローラ対3c及び排紙ローラ対3dは、それぞれ、搬送モータ(図示略)の駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとを含む。制御部10の制御により搬送モータ(図示略)が駆動され、中間ローラ対3b、搬送ローラ対3c及び排紙ローラ対3dが用紙Pを挟持しつつ回転することで、用紙Pが搬送経路Cに沿って搬送方向Aに搬送される。
【0019】
搬送方向Aは、中間ローラ対3bと搬送ローラ対3cとの間において、反転するように構成されている。本実施形態では、搬送経路Cにおいてロール紙収容部11から中間ローラ対3bまでの部分と、搬送経路Cにおいて搬送ローラ対3cから排紙トレイ6までの部分とで、搬送方向Aにおける前後方向の成分が反対方向になっている。
【0020】
ガイド7は、搬送経路Cにおいて給送ローラ3aと中間ローラ対3bとの間に配置されており、給送ローラ3aにより給送された用紙Pを中間ローラ対3bへと案内する。ガイド7は、給紙トレイ1の後方の側壁で構成され、前から後に向かうにつれて上方に位置するように傾斜している。
【0021】
ガイド8は、搬送経路Cにおいてガイド7と中間ローラ対3bとの間(所定位置Cx)に配置されており、給送ローラ3aにより給送されかつガイド7に案内された用紙Pをさらに中間ローラ対3bへと案内する。ガイド8は、搬送経路Cを挟むように配置された一対の経路部材8a,8bで構成されている。
【0022】
ガイド9は、搬送経路Cにおいて中間ローラ対3bと搬送ローラ対3cとの間に配置されており、中間ローラ対3bにより搬送された用紙Pを搬送ローラ対3cへと案内する。ガイド9は、搬送経路Cを挟むように配置された一対の経路部材9a,9bで構成されている。
【0023】
なお、経路部材8a,8b,9a,9bのうち、ガイド8を構成する経路部材8a,8bは、回動可能である。これについては、後に詳述する。
【0024】
カッター機構4は、所定位置Cx(ガイド8が配置された位置)において用紙P(ロール紙Rから巻き解かれた用紙P)を切断するように構成されており、カッター4aと、カッター4aが取り付けられたカッターユニット4bと、カッターユニット4bを保持するホルダー4cとを含み、走査機構2により走査方向(所定位置Cxにおける搬送方向Aと直交する方向)に往復動可能である(図2参照)。
【0025】
カッター4aは、搬送経路Cを挟むように配置された一対の回転刃4a1,4a2で構成されている。一対の回転刃4a1,4a2は、それぞれ搬送経路Cに対して直交し、かつ、互いに重なり合う部分を有する。具体的には、一対の回転刃4a1,4a2のうち、回転刃4a1が搬送方向Aの下流側、回転刃4a2が搬送方向Aの上流側に配置されており、これら一対の回転刃4a1,4a2は搬送方向Aに互いに重なり合う部分を有する。
【0026】
カッターユニット4bは、一対の回転刃4a1,4a2をそれぞれ回転可能に支持している。ホルダー4cは、カッターユニット4bを外側から保持するケース状の部材であり、走査方向の一側壁に、搬送方向Aの下流側に突出した凸部4cpが形成されている。
【0027】
走査機構2は、図2に示すように、走査方向に互いに離隔した一対のプーリ2a,2bと、一対のプーリ2a,2bに巻回されかつホルダー4cが固定されたベルト2cと、切断モータ(図示略)とを含む。制御部10の制御により切断モータが駆動されると、ベルト2cが走査方向に走行し、ホルダー4c及びこれに保持されたカッターユニット4b(即ち、カッター4aを含むカッター機構4全体)が、搬送経路C外の待機位置Dから、搬送経路C内へと移動される。またこのとき、切断モータの駆動により、回転刃4a1,4a2が回転する。ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pは、所定位置Cxにおいてカッター4aにより用紙Pの幅方向に切断される。
【0028】
ヘッド5は、搬送経路Cにおいて搬送ローラ対3cと排紙ローラ対3dとの間に配置されている。ヘッド5は、本発明の「画像形成部」に該当し、下面に形成された複数のノズル(図示略)と、ドライバICとを含む。制御部10の制御によりドライバICが駆動されると、ノズルからインクが吐出され、搬送機構3によって搬送された用紙Pがヘッド5の下面と対向する位置を通過するときに、用紙Pに対して画像が形成される。なお、ヘッド5は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式、及び、走査方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式のいずれでもよい。
【0029】
ヘッド5により画像が形成された用紙Pは、筐体100aに対して開いた状態の排紙トレイ6に受容される。
【0030】
制御部10は、内部バス(図示略)を介して、給紙モータ、搬送モータ、切断モータ及びドライバICと接続されている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。ROMには、CPUが各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAMは、CPUがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。
【0031】
<経路部材>
次いで、図2図4を参照し、一対の経路部材8a,8bについて詳細に説明する。
【0032】
一対の経路部材8a,8bは、図3及び図4に示すように、それぞれ、走査方向に沿った軸8ax,8bxを中心として回動可能であり、軸8ax,8bxに設けられたばね8as,8bsにより搬送経路Cに向けて(即ち、図3及び図4において、経路部材8aは反時計回り方向に、経路部材8bは時計回り方向に)付勢されている。ばね8as,8bsは、本発明の「付勢部材」に該当する。
【0033】
一対の経路部材8a,8bは、カッター機構4が待機位置D(図2参照)にあるとき、図3に示す位置(第1位置)にある。このとき一対の経路部材8a,8bは、ばね8as,8bsにより付勢されつつ、ストッパ(図示略)により当該位置に固定されている。
【0034】
カッター機構4が待機位置Dから搬送経路C内へと移動すると(図2参照)、一対の経路部材8aは、それぞれカッター機構4に押圧され、ばね8as,8bsの付勢力に抗して回動し、図3に示す位置(第1位置)から図4に示す位置(第2位置)に移動する。具体的には、図4に示すように、経路部材8aは軸8axを中心として時計回り方向に、経路部材8bは軸8bxを中心として反時計回り方向に回動する。各経路部材8a,8bにおいて、第2位置は第1位置よりも搬送経路Cから離隔した位置である。各経路部材8a,8bが第2位置にあるとき、一対の経路部材8a,8b間に、カッター機構4の配置空間が形成される。
【0035】
このように、一対の経路部材8a,8bは、それぞれ、カッター機構4の走査方向の移動と連動する。
【0036】
なお、本実施形態において、一対の経路部材8a,8bは、それぞれ、走査方向に対して傾斜した傾斜面8at,8btを有する(図2参照)。具体的には、傾斜面8atは、走査方向において搬送経路C内から待機位置Dに向かうにつれて、経路部材8bから離れるように傾斜している。傾斜面8btは、走査方向において搬送経路C内から待機位置Dに向かうにつれて、経路部材8aから離れるように傾斜している。
【0037】
経路部材8aは、傾斜面8atがカッターユニット4bに押圧されることにより、図3に示す位置(第1位置)から図4に示す位置(第2位置)に移動する。
【0038】
経路部材8bは、傾斜面8btがホルダー4cの凸部4cpに押圧されることにより、図3に示す位置(第1位置)から図4に示す位置(第2位置)に移動する。
【0039】
<本実施形態の構成及び効果>
以上に述べたように、本実施形態によれば、一対の経路部材8a,8bが、カッター4aの走査方向の移動と連動し、図3に示す位置(第1位置)と図4に示す位置(第2位置)とを取り得るように構成されている。これにより、搬送経路Cの所定位置Cxにおいてカッター4aを走査方向に移動させる構成であっても、カッター4aが待機位置Dにあるときに一対の経路部材8a,8bが図3に示す位置(第1位置)を取ることで、当該所定位置Cxにおいて用紙Pのガイドを行うことができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、搬送経路Cにおいて、カッター4aを配置するための専用の箇所(経路部材8a,8bのない箇所)を設ける必要がない。したがって、搬送経路Cの長尺化(ひいては、プリンタ100の大型化)を抑制できる。
【0041】
一対の経路部材8a,8bは、それぞれ、走査方向に沿った軸8ax,8bxを中心として回動することにより、図3に示す位置(第1位置)と図4に示す位置(第2位置)とを取り得るように構成されている。この場合、一対の経路部材8a,8bを互いに離隔する方向にスライドさせる場合に比べ、経路部材8a,8bの第1位置から第2位置への移動に係る機構を簡素化できる。
【0042】
一対の経路部材8a,8bは、それぞれ、図4に示す位置(第2位置)から図3に示す位置(第1位置)に向けてばね8as,8bsにより付勢されている。この場合、経路部材8a,8bの回動をより実効的に実現できる。
【0043】
経路部材8bは、ホルダー4cに押圧されることにより、図3に示す位置(第1位置)から図4に示す位置(第2位置)に移動する。ホルダー4cは走査機構2に固定されているため、ホルダー4cが経路部材8bを押圧する際の、カッター4aへの負荷が小さい。カッター4aへの負荷が大きいと、カッター4aによる切断精度が悪化し得るが、本構成では当該問題を抑制できる。
【0044】
経路部材8bは、走査方向に対して傾斜した傾斜面8bt(図2参照)を有し、傾斜面8btがホルダー4cに押圧されることにより、図3に示す位置(第1位置)から図4に示す位置(第2位置)に移動する。ホルダー4cに傾斜面を設けると、ホルダー4cが走査方向に大型化し、ひいてはプリンタ100が大型化してしまう。この点、本構成では、経路部材8bに傾斜面8btを設けたことで、当該問題を抑制できる。
【0045】
なお、経路部材8aが傾斜面8at(図2参照)を有する点からも、上記と同様の効果が得られる。即ち、経路部材8aは、走査方向に対して傾斜した傾斜面8at(図2参照)を有し、傾斜面8atがカッターユニット4bに押圧されることにより、図3に示す位置(第1位置)から図4に示す位置(第2位置)に移動する。カッターユニット4bに傾斜面を設けると、カッターユニット4bが走査方向に大型化し、ひいてはプリンタ100が大型化してしまう。この点、本構成では、経路部材8aに傾斜面8atを設けたことで、当該問題を抑制できる。
【0046】
中間ローラ対3bと搬送ローラ対3cとの間において、搬送方向Aが反転するように構成されている(図1参照)。カッター4a及び経路部材8a,8bが設けられる所定位置Cxは、搬送経路Cにおいて給送ローラ3aと中間ローラ対3bとの間にある。搬送経路Cにおいて給送ローラ3aと中間ローラ対3bとの間は、搬送方向Aが反転する前の、用紙Pのガイドが特に必要な位置である。当該位置Cxにカッター4a及び経路部材8a,8bを配置したことで、経路部材8a,8bによる用紙Pのガイドが行われ、搬送不良をより実効的に抑制できる。
【0047】
搬送機構3は、ロール紙収容部11内のロール紙Rから巻き解かれた用紙Pを、所定位置Cxへと搬送する。ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pは、カールが大きく、経路部材8a,8bがないと、搬送不良が生じる可能性が高い。このような場合に本発明を適用することで、搬送不良を防止できる。
【0048】
カッター4aは、搬送経路Cを挟むように配置された一対の回転刃4a1,4a2で構成されている。この場合、一対の経路部材8a,8bの一方のみではなく両方を、第1位置から第2位置へと移動させる必要があり、本発明の構成が発揮される。
【0049】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0050】
カッターは、上述の実施形態では一対の回転刃で構成されるが、これに限定されず、例えば、1枚の回転刃、1枚の固定刃等で構成されてもよい。
【0051】
上述の実施形態では、中間ローラと搬送ローラとの間において、搬送方向における前後方向の成分が反転するが、搬送方向における上下方向の成分が反転してもよい。
【0052】
カッター及び一対の経路部材が設けられる所定位置は、上述の実施形態で給送ローラと中間ローラとの間であるが、これに限定されない。例えば、中間ローラと搬送ローラとの間を所定位置としてもよい。
【0053】
一対の経路部材は、上述の実施形態では走査方向に対して傾斜した傾斜面を押圧されることで第1位置から第2位置に移動するが、これに限定されない。例えば、一対の経路部材は、走査方向と直交する面を押圧されることで第1位置から第2位置に移動してもよい。
【0054】
一対の経路部材は、上述の実施形態では回動することにより第1位置と第2位置とを取り得るが、これに限定されない。例えば、一対の経路部材は、互いに離隔する方向にスライドすることにより第1位置と第2位置とを取ってもよい。
【0055】
シート状媒体は、用紙に限定されず、例えば、布、樹脂部材等であってもよい。
【0056】
画像形成部は、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)を吐出してもよい。また、画像形成部は、液体吐出方式に限定されず、レーザー方式、熱転写方式等であってもよい。
【0057】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
2 走査機構
3 搬送機構
3a 給送ローラ
3b 中間ローラ対
3c 搬送ローラ対
4a カッター
4a1,4a2 回転刃
4b カッターユニット
4c ホルダー
5 ヘッド(画像形成部)
8a 経路部材
8as ばね(付勢部材)
8at 傾斜面
8ax 軸
8b 経路部材
8bs ばね(付勢部材)
8bt 傾斜面
8bx 軸
11 ロール紙収容部(収容部)
100 プリンタ(画像形成装置)
A 搬送方向
C 搬送経路
Cx 所定位置
D 待機位置
P 用紙(シート状媒体)
R ロール紙(ロール体)
図1
図2
図3
図4