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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20240910BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240910BHJP
   B26D 7/00 20060101ALI20240910BHJP
   B26D 1/24 20060101ALI20240910BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240910BHJP
   B65H 35/04 20060101ALI20240910BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J29/13
B26D7/06 Z
B26D7/00 Z
B26D1/24 J
B41J11/70
B65H35/04
B41J2/01 305
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020196967
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085340
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山口 真誠
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-145176(JP,A)
【文献】特開2011-093115(JP,A)
【文献】特開2003-145864(JP,A)
【文献】特開平09-254496(JP,A)
【文献】特開昭63-112356(JP,A)
【文献】特開2004-025823(JP,A)
【文献】特開2004-268207(JP,A)
【文献】特開2009-214492(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0017302(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/13
B26D 7/06
B26D 7/00
B26D 1/24
B41J 11/70
B65H 35/04
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成するヘッドと、
前記記録媒体を、前記ヘッドによる画像形成位置を通過する搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送経路の一部として、前記記録媒体を両面から規制する案内経路を構成する第1カバーと、
前記搬送経路に存在する前記記録媒体を、前記記録媒体の幅方向に切断可能なカッター機構と、
第2カバーとを備え、
前記第1カバーは、前記案内経路を通過する前記記録媒体を前記画像形成位置に案内可能な動作位置と、前記案内経路にある前記記録媒体を外部に開放する開放位置とを取ることが可能であり、
前記第2カバーは、前記カッター機構にアクセス可能な状態とする開放位置と、前記カッター機構にアクセス不可能な状態とする閉鎖位置とを取ることが可能であり、
前記第2カバーが前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて移動するときに前記記録媒体と干渉せず、
前記カッター機構は、前記案内経路よりも前記搬送経路に沿った搬送方向の上流側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カッター機構は手動で操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内経路よりも前記搬送経路に沿った搬送方向の下流側に配置され、前記記録媒体を前記画像形成位置に搬送するための搬送ローラをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カッター機構よりも前記搬送経路に沿った搬送方向の下流側且つ前記案内経路よりも前記搬送経路に沿った搬送方向の上流側の位置に配置され、前記記録媒体を搬送するための中間ローラをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カッター機構へと送られる前記記録媒体の搬送方向の水平成分と、前記ヘッドの前記画像形成位置を経て外部に排出される前記記録媒体の搬送方向の水平成分とが反対向きであることを特徴とする請求項1又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カッター機構よりも前記搬送経路に沿った搬送方向の上流側において、前記カッター機構に前記記録媒体を案内するための案内ガイドを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を切断するためのカッター機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、布、ラベル等の長尺の記録媒体を所定の方向に搬送しつつ画像を形成する画像形成装置が知られている。一般に、かかる画像形成装置は、記録媒体を必要とされる長さで切断するためのカッター機構を有することがある。例えば、特許文献1には、印字ヘッド(ヘッド)と、記録紙(記録媒体)の搬送路と、記録紙を切断するための切断装置(カッター機構)とを有するプリンタ(画像形成装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-268207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、記録媒体とヘッドとが接触することで、装置内部にジャムが発生することがある。ジャム処理時には、作業者が画像形成装置に設けられたカバーを開放して記録媒体を取り除くこととなるが、記録媒体が長尺である場合には、記録媒体を装置から取り除く前に記録媒体を切断しなければならない。このようなときに、作業者がカッター機構に直接アクセスして、記録媒体を切断することが必要となることもある。
【0005】
また、カッター機構のカッターにラベルの糊が付着したりカッターが摩耗したりしてカット性能が低下する場合、あるいはカッター機構で切断できない材質の記録媒体がセットされる場合、カッター機構によって記録媒体を切断することができない。このような場合には、カッター機構に直接アクセスしてカッター機構を記録媒体の搬送経路から退避させる必要があり、その後に記録媒体が取り除かれる又はカッター機構によらない切断処理が行われる。
【0006】
カッター機構にアクセスする必要がある場合には、ジャム処理時において記録媒体を取り除くために開放するカバーからカッター機構に直接アクセスすることが考えられる。しかし、上記カバーが記録媒体を両面から規制する搬送経路を含む構成となっている場合、ジャム発生時や切断不良時において記録媒体が搬送経路に残っていると、上記カバーを開放させようとしても記録媒体から受ける抵抗が大きく、上記カバーを開放させることが困難である。
【0007】
本発明の目的は、装置の内部において生じたジャム等の不具合を解消するためにカッター機構に容易にアクセスすることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するヘッドと、前記記録媒体を、前記ヘッドによる画像形成位置を通過する搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送経路の一部として、前記記録媒体を両面から規制する案内経路を構成する第1カバーと、前記搬送経路に存在する前記記録媒体を、前記記録媒体の幅方向に切断可能なカッター機構と、第2カバーとを備え、前記第1カバーは、前記案内経路を通過する前記記録媒体を前記画像形成位置に案内可能な動作位置と、前記案内経路にある前記記録媒体を外部に開放する開放位置とを取ることが可能であり、前記第2カバーは、前記カッター機構にアクセス可能な状態とする開放位置と、前記カッター機構にアクセス不可能な状態とする閉鎖位置とを取ることが可能であり、前記第2カバーが前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて移動するときに前記記録媒体と干渉せず、前記カッター機構は、前記案内経路よりも前記搬送経路に沿った搬送方向の上流側に配置されている
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、装置の内部においてジャム等の不具合が発生したときに、記録媒体を取り除くために記録媒体を外部に開放する開放位置に移動させる第1カバーとは別の、第2カバーを開放位置に移動させてカッター機構にアクセスすることができる。第2カバーを閉鎖位置から開放位置に向けて移動させるときには記録媒体と干渉しないため、ジャム発生時や切断不良時において記録媒体が搬送経路に残っている場合でも、第2カバーを容易に開放位置に移動させることができる。これにより、装置の内部において生じたジャム等の不具合を解消するためにカッター機構に容易にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2】第1カバーが開放位置にあるときのプリンタの後方部分を示す図である。
図3】第2カバーが開放位置にあるときのプリンタの後方部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態に係るプリンタ100(本発明の画像形成装置)について、図1図3を参照しつつ、以下に説明する。なお、図1に示す上下方向及び前後方向を、プリンタ100の上下方向及び前後方向とする。
【0012】
(プリンタ100の全体構成)
プリンタ100は、筐体100aと、給紙カセット1(本発明の収容部)と、給紙機構2と、搬送機構3と、カッター機構4と、ヘッド5と、排紙トレイ6と、第1カバー7と、第2カバー8と、制御部10とを含む。給紙カセット1は、筐体100aの下部に着脱可能である。排紙トレイ6は、筐体100aの上部の前側の側壁を構成し、筐体100aに対して開閉可能である。
【0013】
給紙カセット1は、ロール紙Rを収容可能である。ロール紙Rは、円筒状の芯部材Rcの外周面に、長尺の用紙P(本発明の記録媒体)がロール状に巻回されたものである。ロール紙Rは、その回転軸Rx(芯部材Rcの中心軸)に沿った軸方向(図1の紙面垂直方向)が上下方向及び前後方向と直交するように配置される。回転軸Rxの軸方向は、用紙Pの幅方向にも該当する。また、本実施形態におけるロール紙Rから用紙Pが巻き解かれて当該ロール紙Rから離れるように搬送される搬送方向Aは、図1に示すように概ね前後方向の前から後に向かう方向である。そして、用紙Pが搬送されるときのロール紙Rの回転方向Bが、ロール紙Rの巻き解かれる方向である。なお、本実施形態において、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pは、後述の給紙機構2及び搬送機構3によって規定される搬送経路に沿って、排紙トレイ6まで送られる。図1では、搬送経路に沿って搬送される用紙Pの搬送方向を搬送方向Aとする。
【0014】
給紙カセット1は、図1に示すように、トレイ11と、ロール紙Rの下側部分の外周面を支持しつつロール紙Rを回転可能に支持する支持部12と、2つの規制部材16,17とを有する。トレイ11は、上方に開口した箱形状を有し、ロール紙Rを収容可能に構成されている。支持部12は、支持台13と、2つのローラ14,15とを有する。
【0015】
支持台13は、図1に示すように、前後方向に互いに離隔して配置された2つの台部13a,13bを有している。これら2つの台部13a,13bは、トレイ11の底部11aに着脱可能に設けられている。また、各台部13a,13bは、回転軸Rxの軸方向に沿って長尺に延在している。本実施形態における台部13a,13bは、用紙P、すなわちロール紙Rの幅よりも若干長く形成されている。台部13aは、前後方向において、支持部12に支持されたロール紙Rの回転軸Rxよりも前側に配置されている。台部13bは、前後方向において、支持部12に支持されたロール紙Rの回転軸Rxよりも後側に配置されている。
【0016】
2つのローラ14,15も、回転軸Rxの軸方向に沿って長尺に延在しており、ロール紙Rの幅より若干長く形成されている。ローラ14は、その軸部材14aが回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能に台部13aに支持されている。ローラ15は、その軸部材15aが回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能に台部13bに支持されている。そして、これら2つのローラ14,15が、ロール紙Rの下側部分の外周面と接触した状態で当該ロール紙Rを下方から支持する。
【0017】
また、台部13bの下面には、トレイ11の底面11a1との間に用紙Pを通すための通路18を画定する溝13b2が形成されている。溝13b2は、底面11a1に向かって開口しており、前後方向に沿って水平に延在し、回転軸Rxの軸方向の幅がロール紙Rの幅よりも長く形成されている。通路18を通された用紙Pは、図1に示すように、トレイ11の底面11a1に沿って配され、後述する給紙ローラ2aによって給紙可能となる。
【0018】
規制部材16は、図1に示すように、台部13aの搬送方向Aの上流端部から垂直に延びている。規制部材17は、台部13bの搬送方向Aの下流端部の上端から垂直に延びている。また、これら2つの規制部材16,17は、支持部12で支持可能な最大サイズのロール紙Rの外周面に近接可能に配置されている。これにより、ロール紙Rの巻きが緩んでロール紙Rの外径が大きくなろうとしても、ロール紙Rの外周面が規制部材16,17と接触し、外径が大きくなるのを規制することが可能となる。
【0019】
給紙機構2は、図1に示すように、給紙ローラ2aと、アーム2bと、給紙モータ(不図示)とを有する。給紙ローラ2aは、アーム2bの先端に軸支されている。アーム2bは、支軸2cに回動自在に支持されている。制御部10の制御により給紙モータが駆動されると、用紙Pが搬送方向A(すなわち前後方向の前から後に向かう方向)に給紙されるように給紙ローラ2aが回転する。このとき、給紙ローラ2aがトレイ11の底面11a1に近づくようにアーム2bが付勢される。これにより、用紙Pが搬送方向Aに給紙される。なお、アーム2bは、トレイ11を着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。
【0020】
カッター機構4は、給紙機構2よりも搬送方向Aの下流側であって、後述するヘッド5よりも搬送方向Aの上流側の位置に配置されている。カッター機構4は、例えば2枚の回転刃であるカッター4aと、カッター4aを軸方向に往復駆動させる切断モータ(不図示)とを含む。ロール紙Rから巻き解かれて搬送経路に沿って搬送された用紙Pは、制御部10の制御により切断モータが駆動されることで、カッター4aにより用紙Pの幅方向に切断される。これにより、印刷された用紙Pに後端が形成される。用紙Pの印刷時において搬送経路に沿って搬送される用紙Pの切断する際は、カッター機構4は、予め設定された操作手順に従って制御部10によって自動操作される。しかしながら、本実施形態においてカッター機構4は手動で操作することも可能である。ここでいう手動操作には、用紙Pを切断するためにカッター機構4のカッター4aを手動で軸方向に往復移動させることと、カッター機構4を用紙Pの搬送経路から手動で退避させることとが含まれる。
【0021】
搬送機構3は、搬送ローラ対(本発明の搬送ローラ)3a、排紙ローラ対3b、案内ガイド20、案内経路7a、中間ローラ対(本発明の中間ローラ)9を有している。搬送ローラ対3aは、不図示の搬送モータの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。排紙ローラ対3bは、不図示の排紙モータの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。制御部10の制御により不図示の搬送モータ及び排紙モータが駆動され、搬送ローラ対3a及び排紙ローラ対3bが用紙Pを挟持しつつ回転することで、用紙Pが搬送される。
【0022】
案内ガイド20は、給紙機構2の後方であって、カッター機構4よりも搬送方向Aの上流側に設けられている。案内ガイド20は、給紙機構2からカッター機構4へと用紙Pを案内するためのものである。案内ガイド20は、図1に示すように、前後方向の前から後に向かうにつれて上方に位置するように傾斜している。案内ガイド20は、回転軸Rxの軸方向、すなわち用紙Pの幅方向に沿って長尺に延在しており、用紙Pの幅より若干長く形成されている。
【0023】
案内経路7aは、搬送ローラ対3aよりも搬送方向Aの上流側であって、カッター機構4よりも搬送方向Aの下流側に設けられている。案内経路7aは、後述する第1カバー7によって構成され、給紙機構2及び搬送機構3によって規定される搬送経路の一部であって、用紙Pを両面から規制する。案内経路7aについては、後述の第1カバー7のところで詳しく説明する。
【0024】
中間ローラ対9は、案内経路7aよりも搬送方向Aの上流側であって、カッター機構4よりも搬送方向Aの下流側に設けられている。中間ローラ対9は、カッター機構4を通過した用紙Pを案内経路7aへと搬送する。中間ローラ対9は、不図示の中間モータの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。
【0025】
ヘッド5は、用紙Pに画像を形成するものであって、搬送ローラ対3aよりも搬送方向Aの下流側であって、排紙ローラ対3bよりも搬送方向Aの上流側に配置されている。ヘッド5は、下面に形成された複数のノズル(図示略)と、ドライバICとを含む。制御部10の制御によりドライバICが駆動されると、ノズルからインクが吐出される。搬送機構3によって搬送経路に沿って搬送された用紙Pがヘッド5の下面と対向する画像形成位置を通過するときに、ヘッド5のノズルからインクが吐出され、用紙Pに対して画像が形成される。なお、ヘッド5は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式、及び、回転軸Rxの軸方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式のいずれでもよい。ヘッド5により画像が形成されかつカッター4aにより切断された用紙Pは、筐体100aに対して開いた状態の排紙トレイ6に受容される。
【0026】
用紙Pは、給紙機構2によってカッター機構4へと送られた後、中間ローラ対9、案内経路7aを経て、ヘッド5の下面と対向する画像形成位置を通過し、排紙トレイ6に受容される。なお、本実施形態において、給紙機構2によってカッター機構4へと送られる用紙Pの搬送方向Aの水平成分は前後方向の前から後に向かう方向であり、ヘッド5の下面と対向する画像形成位置を経て開いた状態の排紙トレイ6から外部に排出される用紙Pの搬送方向Aの水平成分は前後方向の後から前に向かう方向である。すなわち、本実施形態のプリンタ100は、用紙Pの搬送方向Aが途中で折り返される、いわゆるUターンパスの構成となっている。
【0027】
制御部10は、内部バス(不図示)を介して、給紙モータ、搬送モータ、排紙モータ、ドライバIC、切断モータと接続されている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。ROMには、CPUが各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAMは、CPUがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。
【0028】
第1カバー7は、上述したように案内経路7aを構成する部材である。第1カバー7は、筐体100aの後方且つ上方において、筐体100aに着脱可能に取り付けられている。第1カバー7は、筐体100aに取り付けられた状態であって、案内経路7aを通過する用紙Pをヘッド5の下面と対向する画像形成位置に案内可能な動作位置(図1の状態)と、筐体100aから取り外された状態であって、案内経路7aにある用紙Pを外部に開放する開放位置(図2の状態)とを取ることができる。案内経路7aは、回転軸Rxの軸方向、すなわち用紙Pの幅方向に沿って長尺に延在しており、用紙Pの幅よりも若干長く形成されている。第1カバー7は、動作位置にあるときにおいて、案内経路7aにある用紙Pの両面を規制し且つ用紙Pの幅方向の両側を規制する。中間ローラ対9によって搬送される用紙Pは、動作位置にある第1カバー7の案内経路7aを通って、搬送ローラ対3aへと搬送される。
【0029】
ここで、長尺の用紙Pに画像を記録するプリンタ100の内部において、用紙Pのジャムやカッター機構4の切断不良等の不具合が発生する場合がある。この場合、作業者がカッター機構4に直接アクセスして用紙Pの切断処理を行う必要があり、カッター機構4にアクセスするために第1カバー7を開放させることが考えられる。しかしながら、上述したように第1カバー7は用紙Pを両面から規制する案内経路7aを含む構成となっているため、ジャム発生時や切断不良時において用紙Pが案内経路7aを含む搬送経路に残っていると、第1カバー7を開放させようとしても用紙Pから受ける抵抗が大きく、第1カバー7を開放させることが困難である。
【0030】
そこで、本実施形態のプリンタ100では、ジャム等の処理時において、カッター機構4にアクセスするための第2カバー8が設けられている。第2カバー8は、筐体100aの後方且つ下方であって、カッター機構4の後方に配置されている。第2カバー8は、その下端に設けられた回転軸8aを中心に回転可能である(図3の実線矢印参照)。なお、回転軸8aの軸方向(図1の紙面垂直方向)が上下方向及び前後方向と直交している。第2カバー8は、回転軸8aを中心に回転することで、カッター機構4にアクセス可能な状態とする開放位置(図3の状態)と、カッター機構4にアクセス不可能な状態とする閉鎖位置(図1及び図2の状態)とを取ることが可能である。閉鎖位置にある第2カバー8は、例えば図3に示すように、回転軸8aを中心に略90度回転することで開放位置に移動することとなる。第2カバー8は、閉鎖位置から開放位置に向けて移動するときに搬送経路にある用紙Pと干渉しない。なお、プリンタ100による用紙Pの印刷時には、第2カバー8は閉鎖位置にある。第2カバー8の閉鎖位置と開放位置との間の移動は、自動で行われてもよく、作業者によって手動で行われてもよい。
【0031】
プリンタ100の内部において、用紙Pのジャムやカッター機構4の切断不良等の不具合が発生した場合、自動で又は手動で第2カバー8が開放位置に移動される。これにより、作業者はカッター機構4に直接アクセス可能となる。このとき、第1カバー7は動作位置としたままでよい。すなわち、ジャム等の処理時にカッター機構4に直接アクセスするために、第1カバー7を開放させることが不要となる。第2カバー8を開放位置に移動させて、カッター機構4に直接アクセス可能となった作業者は、ジャムが発生した用紙Pについてカッター機構4の近傍の位置で切断を行う、切断不良となったカッター機構4を用紙Pの搬送経路から退避させる、等の必要な処理を行う。その後、必要であれば、第1カバー7を開放位置とし、すなわち第1カバー7を筐体100aから取り外し、用紙Pをプリンタ100から取り除く。
【0032】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ100は、ヘッド5と、カッター機構4と、搬送経路の一部として、用紙Pを両面から規制する案内経路7aを構成する第1カバー7と、第2カバー8とを含む。そして、第2カバー8は、カッター機構4にアクセス可能な状態とする開放位置と、カッター機構4にアクセス不可能な状態とする閉鎖位置とを取ることが可能であり、第2カバー8が閉鎖位置から開放位置に向けて移動するときに用紙Pと干渉しない。本実施形態によれば、プリンタ100の内部においてジャム等の不具合が発生したときに、用紙Pを取り除くために用紙Pを外部に開放する開放位置に移動させる第1カバー7とは別の、第2カバー8を開放位置に移動させてカッター機構4にアクセスすることができる。第2カバー8を閉鎖位置から開放位置に向けて移動させるときには用紙Pと干渉しないため、ジャム発生時や切断不良時において用紙Pが搬送経路に残っている場合でも、第2カバー8を容易に開放位置に移動させることができる。これにより、プリンタ100の内部において生じたジャム等の不具合を解消するためにカッター機構4に容易にアクセスすることができる。
【0033】
また、本実施形態において、カッター機構4は手動で操作可能である。これによれば、ジャム等の不具合が発生したときにおいて、カッター機構4に予め設定された自動操作では切断できない用紙Pを切断することや、用紙Pの搬送経路からカッター機構4を手動で退避させることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態では、プリンタ100は、案内経路7aよりも搬送経路に沿った搬送方向Aの下流側に配置され、用紙Pをヘッド5による画像形成位置に搬送するための搬送ローラ対3aを含んでいる。ジャムは、上述した用紙Pとヘッド5との接触による原因のほか、搬送ローラ対3aの搬送力以上のバックテンションが用紙Pから搬送ローラ対3aにかかることによっても発生し得る。本実施形態によれば、用紙Pから搬送ローラ対3aに過剰なバックテンションがかかることによってジャムが発生したときにおいて、第2カバー8を開放位置に移動させることでカッター機構4に容易にアクセスすることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、カッター機構4は、案内経路7aよりも搬送経路に沿った搬送方向Aの上流側に配置されている。これによれば、搬送経路に沿った搬送方向Aのヘッド5とカッター機構4との間に案内経路7aが設けられた構成において、プリンタ100の内部において生じたジャム等の不具合を解消するためにカッター機構4に容易にアクセスすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、プリンタ100は、用紙Pを搬送するための中間ローラ対9を含んでいる。中間ローラ対9は、カッター機構4よりも搬送経路に沿った搬送方向Aの下流側且つ案内経路7aよりも搬送経路に沿った搬送方向Aの上流側の位置に配置されている。本実施形態では、カッター機構4と案内経路7aとの間の距離が大きく、カッター機構4に案内される用紙Pの案内方向と案内経路7aに案内される用紙Pの案内方向とが異なる。そこで、搬送を円滑に行うために、カッター機構4と案内経路7aとの間に中間ローラ対9が配置されている。本実施形態によれば、中間ローラ対9を有するプリンタ100の内部においてジャム等の不具合が発生した場合でも、これを解消するためにカッター機構4に容易にアクセスすることができる。
【0037】
また、本実施形態では、カッター機構4へと送られる用紙Pの搬送方向Aの水平成分と、ヘッド5の画像形成位置を経て外部に排出される用紙Pの搬送方向Aの水平成分とが反対向きである。これによれば、用紙Pの搬送方向が途中で折り返される構成であるため、プリンタ100の長さ寸法を小さくすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、カッター機構4よりも搬送経路に沿った搬送方向Aの上流側において、カッター機構4に用紙Pを案内するための案内ガイド20を有する。これによれば、カッター機構4に用紙Pを確実に案内することができる。
【0039】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0040】
上記実施形態では、カッター機構4は手動で操作可能である。しかしながら、カッター機構4は自動操作のみ可能であってもよい。
【0041】
上記実施形態では、搬送ローラ対3aは、案内経路7aよりも搬送経路に沿った搬送方向Aの下流側に配置されている。しかしながら、搬送ローラ対3aは、案内経路7aよりも搬送方向Aの上流側に配置されていてもよい。この場合、例えば、第1カバー7は、動作位置にあるときにおいて案内経路7aがヘッド5よりも搬送方向Aの下流側に位置するように、筐体100aに取り付けられる。また、第1カバー7は、動作位置にあるときにおいて案内経路7aがヘッド5よりも搬送方向Aの上流側及び下流側の両方に位置するように、筐体100aに取り付けられてもよい。すなわち、動作位置にある第1カバー7が、ヘッド5を含む用紙Pの搬送経路を覆うこととなる。この場合、搬送ローラ対3aは、ヘッド5よりも搬送方向Aの上流側に位置する案内経路7aと、ヘッド5との間に配置される。
【0042】
上記実施形態では、カッター機構4は、案内経路7aよりも搬送経路に沿った搬送方向Aの上流側に配置されている。しかしながら、カッター機構4は、案内経路7aよりも搬送方向Aの下流側に配置されていてもよい。この場合、例えば、カッター機構4は、搬送方向Aにおける案内経路7aと搬送ローラ対3aとの間の位置に配置されていてもよいし、排紙ローラ対3bよりも搬送方向Aの下流側に配置されていてもよい。カッター機構4が、排紙ローラ対3bよりも搬送方向Aの下流側に配置されている場合の例として、筐体100aに対して開いた状態の排紙トレイ6に受容される直前の位置にカッター機構4bが配置されていてもよい。この場合、ヘッド5からインクが吐出されることによって画像を形成された用紙Pは、外部に排出されるときに切断される。
【0043】
上記実施形態では、カッター機構4よりも搬送方向Aの下流側且つ案内経路7aよりも搬送方向Aの上流側の位置に中間ローラ対9が配置されている。しかしながら、中間ローラ対9は配置されていなくてもよい。プリンタ100がコンパクトな構成であるためにカッター機構4と案内経路7aとの間の距離が小さい場合や、カッター機構4に案内される用紙Pの案内方向と案内経路7aに案内される用紙Pの案内方向とが同一である場合、中間ローラ対9は配置されていなくてもよい。また、上記実施形態と同様の構成であっても、プリンタ100の内部の構成によっては中間ローラ対9を配置しない場合も考えられる。
【0044】
上記実施形態のプリンタ100では、カッター機構4へと送られる用紙Pの搬送方向の水平成分と、ヘッド5の画像形成位置を経て外部に排出される用紙Pの搬送方向の水平成分とが反対向きである。しかしながら、カッター機構4へと送られる用紙Pの搬送方向の水平成分と、ヘッド5の画像形成位置を経て外部に排出される用紙Pの搬送方向の水平成分とが同じ向きであってもよい。
【0045】
上記実施形態では、カッター機構4よりも搬送方向Aの上流側において、カッター機構4に用紙Pを案内するための案内ガイド20が設けられている。しかしながら、案内ガイド20は、配置されていなくてもよい。例えば、長尺の用紙Pのみを印刷するためのプリンタ100の場合、案内ガイド20は配置されていなくてもよい。
【0046】
上記実施形態では、第2カバー8は、その下端に設けられた回転軸8aを中心に回転可能な下開き構成である。しかしながら、第2カバー8は、その上端に設けられた回転軸を中心に回転可能な上開き構成でもよい。また、第2カバー8は、左右方向(図1の紙面垂直方向)の左端及び右端の何れかに設けられた回転軸を中心に回転可能な横開き構成でもよい。さらに、第2カバー8は、筐体100aに着脱可能な構成であってもよい。この場合、第2カバー8は筐体100aに取り付けられているときに開放位置となり、筐体100aから取り外されたときに閉鎖位置となる。
【0047】
上記実施形態では、案内ガイド20は、用紙Pの幅方向に沿って長尺に延在している。しかしながら、用紙Pの幅方向に沿って短く延在した案内ガイドが、用紙Pの幅方向に沿って複数配列されていてもよい。
【0048】
上記実施形態において、第2カバー8を開放位置に移動させて作業者がカッター機構4に直接アクセスした後に、カッター機構4の近傍の位置で用紙Pを切断する場合、カッター機構4は、作業者によって手動で操作されてもよく、制御部10によって自動で操作されてもよい。また、カッター機構4は使用されず、作業者が外部から持ち込んだ切断器具(例えば、ハサミやカッター)によって用紙Pが切断されてもよい。
【0049】
上記実施形態において、第2カバー8の内面の少なくとも一部が用紙Pの搬送経路を規定するためのガイドを構成していてもよい。例えば、第2カバー8の内面の一部が、給紙機構2からカッター機構4へと用紙Pを案内するための案内ガイドを構成していてもよい。
【0050】
本発明に係る画像形成装置は、プリンタ100の他に、複合機やコピー機などにも適用することもできる。また、プリンタは、インクジェット式に限らずレーザー式でもよい。さらに、本発明に係る記録媒体は、用紙の他に、布やラベル等でもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 給紙カセット(収容部)
2 給紙機構
3 搬送機構
3a 搬送ローラ対(搬送ローラ)
4 カッター機構
5 ヘッド
6 排紙トレイ
7 第1カバー
7a 案内経路
8 第2カバー
8a 回転軸
9 中間ローラ対(中間ローラ)
20 案内ガイド
100 プリンタ
100a 筐体
A 搬送方向
P 用紙
図1
図2
図3