(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240910BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240910BHJP
B41J 19/18 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J29/46 F
B41J19/18 Z
(21)【出願番号】P 2020197076
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 伸五
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-054153(JP,A)
【文献】特開2020-137830(JP,A)
【文献】特開2003-080784(JP,A)
【文献】特開2018-153940(JP,A)
【文献】特開2017-113317(JP,A)
【文献】特開2019-000443(JP,A)
【文献】特開2017-202634(JP,A)
【文献】特開2014-162193(JP,A)
【文献】特開昭58-053471(JP,A)
【文献】特表2018-513029(JP,A)
【文献】特開2000-194838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/46
B41J 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段を移動させる移動手段と、
前記印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記移動手段による前記印刷手段の移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記移動手段による前記印刷手段の移動を制御する移動制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記移動手段はステッピングモータを含んでおり、
前記印刷手段の前記移動情報は、前記ステッピングモータに投入される入力パルスの情報であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記移動制御手段は、前記比較結果から前記ステッピングモータの脱調が検知された場合に、前記脱調の前のシーケンスとは異なるスローアップ制御をかけて前記ステッピングモータを再起動させることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記位置情報検出手段は、前記画像中における前記印刷手段の位置を前記第1の位置情報として検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記位置情報導出手段は、基準となる位置からの前記移動情報に基づいて導出される前記印刷手段の位置を前記第2の位置情報とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記移動制御手段は、前記印刷手段の移動可能領域内の画像から前記印刷手段の移動を妨げる異物を検出したときに前記移動手段を停止させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷手段又は前記印刷手段と一体となって移動する移動体には、前記撮影手段によって撮影可能な位置に識別部が設けられており、
前記位置情報検出手段は、前記画像から前記識別部を検出することで前記第1の位置情報を検出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記撮影手段は、前記印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を連続的又は断続的に撮影するものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記撮影手段は、前記印刷手段を撮影する他に、前記印刷対象を撮影可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷対象に印刷を行う印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程において取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出工程と、
前記印刷手段を移動させるための移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出工程と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記印刷手段の移動を制御する移動制御工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、
印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影することで取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出機能と、
前記印刷手段を移動させるための移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出機能と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記印刷手段の移動を制御する移動制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種モータを用いて印刷ヘッド等の印刷手段を移動させ、印刷対象に印刷を行う印刷装置が知られている。
例えば、特許文献1には、印刷手段を移動させるための駆動源としてステッピングモータを用いる構成が開示されている。
ステッピングモータは、正常動作時において入力パルスに同期して回転する。このため、モータが1回転するのに必要な入力パルス数及びモータが1回転したときに得られる移動量(移動距離)を把握することで、所定の距離を移動するのに必要な総パルス数を求めることができる。そして、モータに対してどれだけの入力パルスを投入したかといった「移動情報」に基づいて、印刷手段の正確な移動制御を行うことが可能となる。
【0003】
しかし、ステッピングモータを用いる場合、エンコーダを用いた制御のように印刷手段(印刷ヘッド)の実際の移動量をリアルタイムに検知することができない。このため、実際には入力パルス数に対応する量だけ、モータが正しく回転していない場合等でも、例えば印刷手段を検知するポジションセンサ等が一定時間印刷手段を検知できない状態となるまでモータの回転異常等を検知することができない。
【0004】
ステッピングモータの回転異常の原因は各種考えられるが、例えば過負荷や急な速度変化があったときには、入力パルスとモータ回転との同期が失われる状態(この状態を「脱調」という)が生じ得る。
一定時間脱調に気付かず放置された場合には、ステッピングモータからの異音や発熱等を生じ、モータによる移動機構の信頼性低下を招く。
そこで、ステッピングモータを用いる場合には、通常稼働時に規定のトルク値を守る他に、脱調を避けるために、起動時に入力パルスを低い周波数から段階的に上げて徐々にモータの回転数を上げ、定常速度まで到達させるスローアップシーケンス(スローアップ制御)を行うことが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにスローアップシーケンスにて徐々にモータを起動させる場合には、モータトルクが増大するため、脱調が発生する危険性が低下する。
しかしながら、一気に定常速度まで加速する場合と比べて印刷手段の移動時間が長くかかり、これに伴い印刷時間が長くなってしまう。
他方で素早くモータを起動させるシーケンスとすると、モータトルクが減少するために、シャフトのメカトルクばらつきや変動等によって脱調が発生する危険性が高まる。そして実際に脱調が生じてしまった場合には結果的に迅速な印刷処理を行うことができない。
【0007】
また、例えば印刷手段(印刷ヘッド)が移動する動線上に指等の異物があり、これによって印刷手段の移動が妨げられている場合にも、モータ制御における移動情報から導かれる印刷手段の移動量と実際の移動量とに齟齬が生じる場合がある。
このような場合にも、印刷手段の実際の移動量をリアルタイムに検知することができずに異常が放置されると、ユーザが指を怪我してしまったり、装置の安全性が損なわれたり、装置各部が破損したりする等のおそれが生じる。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷手段の移動の際の異常をリアルタイムに検知して適切に対応することのできる印刷装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置の一態様は、
印刷対象に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段を移動させる移動手段と、
前記印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記移動手段による前記印刷手段の移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記移動手段による前記印刷手段の移動を制御する移動制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷手段の移動の際の異常をリアルタイムに検知して適切に対応することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における印刷装置の要部構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【
図3】本実施形態における印刷装置の内部構成を装置上方から見た模式図であり、印刷ヘッドがホームポジションに位置している状態を示したものである。
【
図4】本実施形態における印刷装置の内部構成を装置後方から見た模式図である。
【
図5】本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態における印刷装置の内部構成を装置上方から見た模式図であり、印刷ヘッドがY方向の原点位置まで移動した状態を示したものである。
【
図7】本実施形態における印刷装置の内部構成を装置上方から見た模式図であり、印刷ヘッドがX方向の原点位置まで移動した状態を示したものである。
【
図8】印刷領域、印刷開始位置のイメージを示すとともに、印刷動作における印刷ヘッドの動きを模式的に示した説明図である。
【
図9】本実施形態における印刷装置の内部構成を装置上方から見た模式図であり、印刷ヘッドが印刷開始位置まで移動した状態を示したものである。
【
図10】
図5にいう印刷動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図10を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、人の爪以外の爪様のものを印刷対象としてもよい。
【0013】
図1は、本実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、
図1に示した方向をいうものとする。
【0014】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2は、前面側(印刷装置1の正面側、
図1において前側)の下側部分に、左右方向(印刷装置1の横方向、
図1において左右方向、X方向)のほぼ全面に亘って形成された開口部21を有している。また、筐体2の左右方向のほぼ中央部には、開口部21の上側に連続して切り欠き部22が形成されている。切り欠き部22は、後述する印刷ヘッド41を装置に対して着脱する際の出入口として機能する。
【0015】
また、筐体2の上面(天板)には、印刷装置1の操作部12が設けられている。操作部12は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置30に出力され、制御装置30が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお、操作部12に代えて、後述する端末装置7の操作部71から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、操作部12は、筐体2の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、筐体2にはその他各種の操作ボタンが操作部12として設けられていてもよいし、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0016】
筐体2の内部には、装置本体10が収容されている。
装置本体10は、基台11と、これに取り付けられた指保持部6、印刷部40等を備えている。
また筐体2の内部には、撮影部50が設けられている。
【0017】
指保持部6は、基台11における装置前面側の左右方向(X方向)のほぼ中央部に配置されており、本実施形態における印刷対象である爪Tを有する指Uを印刷に適した領域内に保持する指保持手段である。
指保持部6は、装置前面側に開口部61を有している。また指保持部6の内部には、開口部61から挿入された指Uを下側から押し上げ支持する指固定部材62が設けられている。
指保持部6の上面には窓部63が形成されている。本実施形態における印刷対象である爪Tを有する指Uを開口部61から指保持部6内の所定の位置まで挿入すると、指Uの爪T部分が窓部63から露出するようになっている。
【0018】
印刷部40は、印刷対象である爪Tに印刷を行う印刷手段である印刷ヘッド41と、ヘッド移動機構49(
図2参照)とを備えている。
図3は、本実施形態における印刷装置の内部構成を装置上方から見た模式図であり、
図4は、本実施形態における印刷装置の内部構成を装置後方から見た模式図である。
なお、
図3において、後述の印刷ヘッド41(印刷手段)の移動可能領域Ar1を太破線で示している。また、基台11の奥側(後方側)に点線で示す領域は、印刷ヘッド41(印刷手段)の待機領域(ホームポジション)Ar2であり、基台11の手前側(前方側)のほぼ中央部(X方向の中央部)に点線で示す領域は、印刷ヘッド41(印刷手段)により印刷動作が行われる印刷可能領域Ar3である。
【0019】
本実施形態の印刷ヘッド41は、爪表面に対向する面がインクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(いずれも図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象(爪T)の被印刷面である爪表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクを貯留するインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)のインクを吐出可能となっている。なお、印刷ヘッド41に備えられるインクの種類はこれに限定されない。
【0020】
印刷ヘッド41には、撮影手段である撮影装置51によって撮影可能な位置に識別部Mが設けられている。識別部Mは、例えば印刷ヘッド41の色と異なる色(例えば印刷ヘッド41の色の反対色等)で印刷されたマークである。なお、識別部Mを施す手法は印刷に限定されず、シール等を貼着したものであってもよいし、立体的に形成されたものであってもよい。
本実施形態では、
図3等に示すように、印刷ヘッド41の上面に識別部Mとして丸い形状が印刷されている。
【0021】
ヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41を移動させる移動手段である。
本実施形態の印刷装置1は、印刷ヘッド41をX方向(
図1におけるX方向、装置の左右方向)及びY方向(
図1におけるY方向、装置の前後方向)に移動させながらインク吐出動作を行い、印刷を行う。
このため、ヘッド移動機構49は、
図3及び
図4に示すように、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるためのX方向移動機構45及び印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させるためのY方向移動機構47を有する2軸構成となっている。
【0022】
印刷ヘッド41は、ホルダ42に支持された状態でX方向移動機構45のキャリッジ451に搭載されている。本実施形態においてホルダ42は、印刷手段である印刷ヘッド41と一体となって移動する移動体である。
キャリッジ451は、装置の左右方向(X方向)に亘って延在しており、キャリッジ451の延在方向(本実施形態では装置の左右方向、X方向)の両側は、後述するY方向移動機構47の一対のガイドシャフト475に支持されるとともに、図示しない駆動ベルトに係止されている。これにより、駆動ベルトの駆動にしたがってキャリッジ451がガイドシャフト475に沿ってガイドシャフト475の延在方向(本実施形態では装置の前後方向、Y方向)に移動する。
【0023】
キャリッジ451の内部であって延在方向の両端部には図示しないプーリが設けられている。この一対のプーリには図示しない駆動ベルトが巻き掛けられている。またキャリッジ451内には、駆動ベルトと平行して装置の左右方向(X方向)に亘って延在するガイドシャフト455が設けられている。
ガイドシャフト455の一端側(本実施形態では、
図3等に示すように、X方向左側)には、X方向の原点センサ(以下、「X方向原点センサ」という)411が設けられている。
【0024】
プーリのうちいずれか一方は、正逆自在に動作する駆動プーリとなっており、X方向移動機構45は、駆動プーリを動作させるX方向駆動モータ46を備えている。X方向駆動モータ46としては、例えばDCモータ(ブラシレスDCモータ)やACモータ等が用いられる。
印刷ヘッド41は、駆動ベルトに係止されており、駆動ベルトの動作によって、ガイドシャフト455に案内されながら、装置の左右方向(X方向)に移動可能となっている。
【0025】
さらにX方向移動機構45は、移動手段であるヘッド移動機構49による印刷ヘッド41(印刷手段)のX方向の移動情報(位置情報)を取得する手段としてエンコーダ(エンコーダセンサ(X方向のポジションセンサ)413及びスリット板414)を有している。
エンコーダセンサ413により取得された情報に基づいてDCモータやACモータ等であるX方向駆動モータ46にフィードバック制御をかけることにより、印刷ヘッド41のX方向における位置、移動速度等を正確に制御することができる。
【0026】
エンコーダセンサ413は、例えば、対向する発光部と受光部(いずれも図示せず)を有し、発光部からの光を物体が遮るのを受光部で検出することによって、物体の位置等を判定するフォトインタラプタ等で構成されるセンサである。エンコーダセンサ413は、例えば
図4に示すように、印刷ヘッド41を保持するホルダ42の背面(後方)側に取り付けられている。
【0027】
また印刷ヘッド41が搭載されているキャリッジ451等には、エンコーダセンサ413に対応する位置に、スリット板414が設けられている(
図4参照)。
本実施形態のエンコーダセンサ413は、印刷ヘッド41のX方向の移動情報(位置情報)を取得するものであるため、スリット板414はガイドシャフト455に沿ってX方向に延在するように配置されている。
【0028】
スリット板414は、例えば透明材に印刷等を施すことにより光を透過する透過部と光を透過させない非透過部とがスリット板414の長手方向に沿ってほぼ等間隔で交互に形成されたスリットを有する。
エンコーダセンサ413は、このスリット板414のスリットを読み取り、検出結果を位置確認部316として機能する制御部31(後述)に出力する。位置確認部316は、エンコーダセンサ413による検出結果に基づいて印刷ヘッド41等のX方向の移動量(移動距離)を検出する。
すなわち、エンコーダセンサ413は、スリット板414に形成されたスリット(透過部・非透過部)の通過回数をカウントする。このカウント結果から位置確認部316は、印刷ヘッド41の移動量を算出し、さらにX方向の原点位置等(X方向の基準となる位置)からの移動距離に基づき印刷ヘッド41のリアルタイムの位置を把握する。
【0029】
本実施形態では、キャリッジ451及びキャリッジ451内に設けられた一対のプーリに巻き掛けられた駆動ベルトと、X方向駆動モータ46と、駆動ベルトと平行して設けられたガイドシャフト455と、エンコーダ(エンコーダセンサ413及びスリット板414)を備えてX方向移動機構45が構成されている。
【0030】
Y方向移動機構47は、基台11の前側及び後側(Y方向の前後)に設けられた一対のプーリと、これに巻き掛けられている駆動ベルト(いずれも図示せず)と、駆動ベルトと平行してY方向に沿って設けられたガイドシャフト475と、を装置の左右位置にそれぞれ備えている。
プーリのうちのいずれかは、正逆自在に動作する駆動プーリとなっており、Y方向移動機構47は、駆動プーリを動作させるY方向駆動モータ48を備えている。本実施形態ではY方向駆動モータ48として、ステッピングモータが用いられる。
ガイドシャフト475の一端側(本実施形態では、
図3等に示すように、Y方向前方側)には、Y方向の原点センサ(以下、「Y方向原点センサ」という)412が設けられている。
【0031】
本実施形態において、ガイドシャフト475は、印刷ヘッド41を搭載したキャリッジ451の移動方向(本実施形態ではY方向)に延在してキャリッジ451を案内するものである。
キャリッジ451は、駆動ベルトに係止されており、駆動ベルトの動作によって、ガイドシャフト475に案内されながら、装置の前後方向(Y方向)に移動可能となっている。
【0032】
ヘッド移動機構49のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及び印刷ヘッド41(印刷ヘッド41の吐出機構部)の動作は制御装置30の印刷制御部315(
図2参照)によって制御される。
また、X方向原点センサ411、Y方向原点センサ412、エンコーダセンサ413によって取得された情報は、印刷制御部315(位置確認部316、
図2参照)に送られるようになっている。
【0033】
図2に示すように、撮影部50は、撮影装置51と、照明装置52とを備えている。
撮影装置51は、例えば200万画素程度以上の画素を有する固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。また、照明装置52は、例えば白色LED等の照明灯である。
【0034】
本実施形態の撮影部50(撮影部50の撮影装置51)は、印刷手段である印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1(
図3等参照)内を継続的に撮影可能である撮影手段である。撮影装置51は、
図3等において太破線で示す移動可能領域Ar1全体をカバーできるだけの比較的広い画角(例えば
図4において点線で示す)のレンズ(図示せず)を備えている。
また、撮影部50は、指保持部6に保持された指Uの爪Tを照明装置52によって照明する。そして、撮影装置51によってその指Uを撮影して、指Uの爪Tの画像である爪画像(爪画像を含む指の画像)を得る。
【0035】
撮影部50は、後述する制御装置30の撮影制御部312(
図2参照)に接続され、該撮影制御部312によって制御されるようになっている。
なお、撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部32に記憶されてもよい。また、撮影部50によって取得された爪画像は、通信部13を介して端末装置7に送られてもよい。
【0036】
撮影部50は、指保持部6に保持された指U及びその爪Tを撮影可能な位置に設けられていればよく、具体的な配置は特に限定されない。本実施形態では、撮影装置51及び照明装置52は、筐体2の天面内側であって指保持部6に保持された指Uの爪T(爪Tの表面)と対向可能な位置に固定配置されている。
なお、撮影部50は、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49等の移動機構によってXY方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0037】
図2は、本実施形態の制御構成を示すブロック図である。
印刷装置1に搭載される制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部31(
図2参照)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部32(
図2参照)とを備えるコンピュータである。
制御装置30は、例えば筐体2の上面(天板)の内側(下面側)等に配置された図示しない基板等に搭載されている。
【0038】
記憶部32は、印刷装置1を動作させるための各種プログラム等が格納されたプログラム記憶領域321を有している。
具体的には、記憶部32には、印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、制御部31がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部31において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、記憶部32は、爪情報記憶領域322を有している。爪情報記憶領域322には、後述の爪情報検出部313によって検出された爪Tに関する各種の情報が記憶される。
なお、記憶部32には、撮影部50によって取得された爪画像等のデータが記憶されてもよいし、その他各種データが記憶されてもよい。
【0039】
制御部31は、機能的に見た場合、通信制御部311、撮影制御部312、爪情報検出部313、印刷データ生成部314、印刷制御部315等を備えている。これら通信制御部311、撮影制御部312、爪情報検出部313、印刷データ生成部314、印刷制御部315等としての機能は、制御部31と記憶部32のプログラム記憶領域321に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0040】
通信制御部311は、印刷装置1の通信部13の動作を制御するものである。
通信部13は、端末装置7の通信部73との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、通信制御部311は、印刷装置1、端末装置7間で各種のデータ等を送受信する際に通信部13の動作を制御する。
本実施形態の印刷装置1は、後述する端末装置7と連携してネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう。)の印刷を行うようになっている。例えば爪Tに印刷するデザインのデータは端末装置7側に記憶されており、通信制御部311は適宜通信部13による通信を制御し、通信部13を介して端末装置7側からデザインのデータを取得する。
【0041】
撮影制御部312は、撮影部50の撮影装置51及び照明装置52を制御して撮影を行わせ、画像を取得するものである。
本実施形態において撮影制御部312は、撮影部50(撮影部50の撮影装置51)により、印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1(
図3等参照)内を撮影させる。特に本実施形態では印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内の撮影を継続的に行わせるようになっている。
撮影装置51による撮影は、静止画撮影でも動画撮影でもよい。すなわち、上記「継続的」な撮影は、静止画撮影による断続的な撮影であってもよいし、動画撮影による連続的な撮影であってもよい。
また、撮影制御部312は、撮影装置51により、指保持部6に載置された指Uの爪Tの画像を含む指U撮影させ、爪Tの画像を含む指Uの画像(爪画像)を取得する。この場合の撮影も、静止画撮影、動画撮影のいずれであってもよい。
なお、動画撮影を行う場合には、撮影制御部312は、例えば撮影された動画像の中から適宜フレームを抜き出し静止画像として取得する。
【0042】
撮影部50により取得された印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内の撮影画像や爪Tの画像(爪画像)は、撮影制御部312に送られ取得される。撮影制御部312は、こうした画像のデータを記憶部32に記憶させてもよい。
【0043】
、
爪情報検出部313は、撮影制御部312によって取得された爪Tの画像(爪画像)に基づいて、指Uの爪Tについての爪情報を検出する。
爪情報検出部313によって取得される爪情報は、例えば、爪Tとそれ以外の部分(指Uの皮膚部分等)とを分けて爪Tの領域を画する爪輪郭TL(
図8参照)である。
なお、爪情報検出部313によって検出される爪情報は爪輪郭TLに限定されない。
爪情報検出部313によって検出される爪情報は、例えば、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)等を含んでいてもよい。また、撮影装置51によって撮影された画像等から爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置)を取得できる場合には、爪Tの高さも爪情報に含まれてよい。
【0044】
印刷データ生成部314は、爪情報検出部313によって検出された爪輪郭TL等に基づいて印刷を施す印刷領域を設定する印刷領域設定手段として機能する。すなわち、印刷データ生成部314は、爪情報検出部313によって検出され爪情報記憶領域322に記憶された爪輪郭TLに所望のデザインを合わせ込んで印刷データを生成する。
具体的には、印刷データ生成部314は、ユーザによって選択されたネイルデザイン(デザイン)の画像データを切り出し、適宜拡大縮小、配置の調整等を行うとともに、爪Tの画像から検出された爪輪郭TL内にフィッティングする。
なお、爪情報検出部313において爪Tの曲率等が取得された場合には、印刷データ生成部314は、この爪Tの曲率等に基づいて、印刷データに適宜曲面補正を行ってもよい。曲面補正を行った場合には、より爪Tの形状に合った印刷データを生成することができる。
【0045】
印刷制御部315は、印刷データ生成部314において生成された印刷データにしたがって爪Tに印刷を施すように印刷部40を制御する。
具体的には、印刷制御部315は、印刷データに基づいて印刷部40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの印刷データにしたがった印刷を施すように印刷部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、印刷ヘッド41等を制御する。
また、本実施形態の印刷制御部315は、位置情報検出手段、位置情報導出手段として機能する位置確認部316を含んでいる。印刷制御部315は、位置確認部316によって得られた「第1の位置情報」と位置情報導出手段としての位置確認部316によって得られた「第2の位置情報」との比較結果に基づいてヘッド移動機構49による印刷ヘッド41の移動を制御する移動制御手段として機能する。
【0046】
位置確認部316は、撮影手段である撮影部50によって取得された画像に基づいて印刷手段である印刷ヘッド41の「第1の位置情報」を検出する位置情報検出手段として機能する。本実施形態の位置確認部316は、画像中における印刷ヘッド41の位置を「第1の位置情報」として検出する。
本実施形態では、前述のように印刷ヘッド41に識別部Mが付されている。位置確認部316は、印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内の撮影画像から各種画像処理により識別部Mを検出することで印刷ヘッド41の「第1の位置情報」を得る。
【0047】
また位置確認部316は、移動手段であるヘッド移動機構49による印刷ヘッド41の移動情報に基づいて印刷ヘッド41の「第2の位置情報」を導出(例えば算出等により取得)する位置情報導出手段として機能する。位置確認部316は、基準となる位置(例えばXY方向の原点位置(
図7参照)や印刷開始位置(
図8参照))からの移動情報(Y方向移動モータ48に投入された入力パルスの情報)に基づいて導出される印刷ヘッド41の位置を「第2の位置情報」とする。つまり、入力パルス分だけモータが正常に駆動した場合の印刷ヘッド41の仮想的な位置情報を導出する。
【0048】
印刷ヘッド41のX方向の位置については、X方向原点センサ411による検知結果やエンコーダセンサ413からの移動情報に基づいてリアルタイムに取得することができる。
他方、印刷ヘッド41のY方向の位置を検知するセンサは、Y方向原点センサ412しかなく、印刷ヘッド41のリアルタイムの位置をセンサからの出力情報から把握することができない。
【0049】
すなわち、ステッピングモータであるY方向移動モータ48は、正常に動作している場合には、入力パルスに同期して回転する。このため、モータが1回転するのに必要な入力パルス数及びモータが1回転したときに得られる移動量(移動距離)を把握することで、所定の距離を移動するのに必要な総パルス数を求めることができる。そして、モータに対してどれだけの入力パルスを投入したかといった「移動情報」に基づいて、印刷ヘッド41がどれだけ移動し、現在どの位置にあるかを把握することができる。
しかし何らかの原因により、入力パルスとモータ回転との同期が失われる、いわゆる「脱調」状態が生じた場合には印刷ヘッド41の実際の移動量をリアルタイムに検知することができなくなってしまう。
【0050】
一定時間脱調に気付かず放置された場合には、ステッピングモータからの異音や発熱等を生じる。このため、脱調が生じた場合には、速やかにモータを停止させて再起動させることが望ましい。
脱調は、例えば過負荷や急な速度変化があった場合に生じることが多いため、脱調後に再起動させる場合には、駆動トルクを大きくするために起動時に投入する入力パルスを低い周波数から段階的に高い周波数に上げて徐々にモータの回転数を上げ、定常速度まで到達させるスローアップシーケンス(スローアップ制御)を行うことが好ましい。
【0051】
本実施形態において位置確認部316は、位置情報導出手段として、印刷ヘッド41の移動情報(ステッピングモータであるY方向移動モータ48の場合、モータに投入される入力パルスの情報)に基づいて印刷ヘッド41の「第2の位置情報」を導出する。「第2の位置情報」は、入力パルス分だけモータが正常に駆動した場合における仮想的な印刷ヘッド41の位置情報である。
また、位置確認部316は、位置情報検出手段として、撮影部50の撮影装置51によって取得された画像に基づいて印刷手段である印刷ヘッド41の「第1の位置情報」を検出する。「第1の位置情報」は、印刷ヘッド41の実際の移動の様子を捉えたリアルタイムの印刷ヘッド41の位置情報である。
さらに位置確認部316は、「第1の位置情報」と「第2の位置情報」とを比較して、その比較結果を移動制御手段としての印刷制御部315に出力する。「第1の位置情報」と「第2の位置情報」とが一致している場合は、入力パルス分だけモータが正常に駆動している場合であり、脱調等が生じていないと考えられる。
なお、位置確認部316による比較結果に基づく印刷ヘッド41の移動制御の詳細については、後述する。
【0052】
また、前述のように、本実施形態の印刷装置1は、端末装置7と連携して爪Tに対する印刷を行う。
端末装置7は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置である。なお、端末装置7はスマートフォンに限定されない。例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ(以下において「PC」とする。)やノート型のPC、据置型のPC、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図2に示すように、端末装置7は、操作部71、表示部72、通信部73及び制御装置80等を備えている。
【0053】
操作部71は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、例えば表示部72の表面に一体的に設けられたタッチパネルである。操作部71が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御部81に送信される。
表示部72に構成されるタッチパネルには、後述する表示制御部812の制御にしたがって各種の操作画面が表示され、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によって各種の入力・設定等の操作を行うことができる。なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部71はタッチパネルである場合に限定されない。
【0054】
本実施形態では、ユーザが操作部71を操作することで、端末装置7から印刷装置1に対して印刷開始等の各種指示が出力されるようになっており、端末装置7は印刷装置1の操作部としても機能する。
また、ユーザが操作部71を操作することで、爪Tに印刷するネイルデザイン(デザイン)を選択すること等ができるようになっている。
【0055】
表示部72は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、前述のように、表示部72の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部71として機能する。
本実施形態では、ユーザが操作部71から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部72に表示可能となっている。
また、表示部72は、後述するように印刷装置1が印刷動作を続行することができず、緊急停止する場合に、エラーをユーザに報知する報知手段としても機能する。
なお、表示部72に表示される内容はこれに限定されない。
【0056】
通信部73は、印刷装置1の通信部13との間で通信可能に構成されたものである。
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、無線接続方式、有線接続方式のどちらでもよく、具体的な方式は限定されない。通信部73は印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部13の通信規格と合致するものが適用される。
【0057】
図2に示すように、本実施形態の端末装置7の制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部81と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0058】
記憶部82には、端末装置7の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、本実施形態のROM等には、端末装置7の各部を統括制御するための動作プログラム821aの他、印刷装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム821b(以下「ネイルプリントAP」とする。)等の各種プログラムが格納されており、制御部81がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部81において実行されることによって、端末装置7の各部が統括制御されるようになっている。
【0059】
また、本実施形態の記憶部82には、ネイルデザイン(デザイン)のデータを格納するデザイン記憶領域822等が設けられている。
なお、デザイン記憶領域822に格納されるネイルデザイン(デザイン)は、予め用意された既存のデザインであってもよいし、ユーザが自ら作成したデザインであってもよい。また、端末装置7が各種ネットワークに接続可能である場合には、ネットワーク接続可能な図示しないサーバ装置等に記憶されているネイルデザイン(デザイン)を取り込むことが可能となっていてもよい。
【0060】
端末装置7の制御部81は、機能的に見た場合、通信制御部811、表示制御部812等を備えている。これら通信制御部811、表示制御部812等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。なお、端末装置7の制御部81が備える機能はこれに限定されず、その他各種の機能部を備えていてもよい。
通信制御部811は、通信部73の動作を制御するものである。
また、表示制御部812は、表示部72を制御して表示部72に各種の表示画面を表示させる。
【0061】
次に、
図5から
図10を参照しつつ、本実施形態の印刷制御方法について説明する。
図5は、本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
本実施形態の印刷装置1を用いてネイルプリントを行う場合には、ユーザは、印刷装置1の操作部12(操作ボタン)等を操作して電源を入れ起動させる(ステップS1)。
また、端末装置7についても電源を入れて端末装置7の操作部71からネイルプリント処理の実行を選択する。これによりネイルプリントAP821bが起動する。
【0062】
端末装置7においてネイルプリントAP821bが起動すると、端末装置7の表示制御部812が、デザインを選択することのできるデザイン選択画面(図示せず)を表示部72に表示させ、いずれかのデザインを選択する操作が行われると、当該選択されたデザインが爪Tに印刷するデザインとして設定される。
【0063】
また電源が投入されると、印刷ヘッド41が待機領域Ar2にある印刷装置1の初期状態(
図3に示す状態)から、印刷ヘッド41を移動させる印刷の準備動作が開始される。
まず移動制御手段としての印刷制御部315は、ヘッド移動機構49のY方向移動モータ48を動作させて、印刷ヘッド41のY方向への移動を開始させる(ステップS2)。
具体的には、印刷制御部315は所定の入力パルスをステッピングモータであるY方向移動モータ48に投入する。
また制御部31は撮影部50を動作させて、撮影装置51により移動可能領域Ar1内を継続的に撮影させ、画像(撮影画像)を取得する。
【0064】
制御部31(位置確認部316)は、Y方向原点センサ412がX方向移動機構のガイドシャフト455(
図5において「Xシャフト」とする。)を検知したか否かを随時判断する(ステップS3)。
Y方向原点センサ412がXシャフト(ガイドシャフト455)を検知していない場合には、制御部31(位置確認部316)は、撮影画像から印刷ヘッド41のY方向への移動が検出できたか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、制御部31(位置確認部316)は位置情報検出手段として撮影装置51によって取得された撮影画像を解析し、画像中から印刷ヘッド41(本実施形態では印刷ヘッド41に付された識別部M)を検出する。そして、継続的に撮影された画像から印刷ヘッド41が移動していることが検出されると(ステップS4;YES)、ステップS3に戻ってY方向原点センサ412がXシャフト(ガイドシャフト455)を検知するまで処理を繰り返す。
【0065】
他方継続的に撮影された画像から印刷ヘッド41が移動していることが検出されない場合(ステップS4;NO)には、制御部31(位置確認部316)は、さらに、印刷ヘッド41が移動しないことが異物との衝突等の干渉によるものか否かを判断する(ステップS5)。
すなわち、継続的に撮影された画像を解析することで、印刷ヘッド41の動線上、つまりここでは移動方向下流側(
図1、
図3におけるY方向の手前側)に、ユーザの手や指等、印刷ヘッド41の移動を阻害するものが存在しているか否かを判断する。
【0066】
印刷ヘッド41の移動方向下流側に印刷ヘッド41の移動を阻害するようなものが存在しない(画像に映り込んでいない)場合には、制御部31(位置確認部316)は、印刷ヘッド41が移動しない原因が異物との衝突等ではないと判断する(ステップS5;NO)。
この場合制御部31(位置確認部316)は、さらに、Y方向移動モータ48の起動時のシーケンスが装置性能上最も遅いスローアップ制御であるか否かを判断する(ステップS6)。そしてY方向移動モータ48の起動時のシーケンスが装置性能上最も遅いスローアップ制御でない場合、すなわち、さらに遅いスローアップ制御を選択することができる場合(ステップS6;NO)には、Y方向移動モータ48を即時停止させ、さらに遅いスローアップの起動シーケンスでモータを再起動させる(ステップS7)。
【0067】
すなわち、Y方向移動モータ48に入力パルスを投入したにもかかわらず、これに対応する印刷ヘッド41の動きがなく、それが異物との干渉でない場合には、ステッピングモータであるY方向移動モータ48に脱調が発生したと考えられる。
脱調は、例えば過負荷や急な速度変化があった場合に生じる。このため、起動時に投入する入力パルスの周波数を低くしこれを段階的に上げていくスローアップシーケンスを適用すると、起動時のモータトルクが増大して、脱調を生じにくくなる。
そこで、当初の起動時にスローアップシーケンスを適用しなかった場合には、定常速度でモータを回転させる場合に投入する入力パルスよりも1段階低い周波数の入力パルスから起動し始めるスローアップ制御を行う。また、当初の起動時にもスローアップシーケンスを適用した場合には、当初の起動時に適用したスローアップシーケンスよりもさらに1段階低い周波数の入力パルスから起動し始めるスローアップ制御を行う。そして、ステップS3に戻って処理を繰り返す。低い周波数の入力パルスから徐々にY方向移動モータ48を起動させることで、急激な速度変化や大きな負荷をY方向移動モータ48に与えにくくなり、脱調の発生を防いでY方向移動モータ48を正常な駆動状態に戻すことが期待できる。
【0068】
他方、Y方向移動モータ48の起動時のシーケンスが装置性能上最も遅いスローアップ制御である場合(ステップS6;YES)には、制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48を緊急停止させ、ユーザにエラーを報知する(ステップS8)。
エラーを報知する手法は特に限定されないが、例えば問題が生じて適切に駆動できない旨のメッセージ等を、端末装置7の表示部72に表示させる。印刷装置1が表示部を備える場合には、これにエラーメッセージを表示させてもよいし、ランプやインジケータ等を備える場合には、これらを点灯、点滅等させることによってエラーを報知してもよい。また、音声出力部を備える場合には、アラートや音声等によりエラーを報知してもよい。
【0069】
なお、定常速度でモータを回転させる場合に投入する入力パルスに対して、起動時の入力パルスを、どの程度低い周波数のパルスから開始させるかは適宜設定される事項である。また、Y方向移動モータ48の起動時からモータが定常速度となるまでどの程度の角度で入力パルスの周波数を上げていくか、どのようなカーブを描くスローアップ制御(パルス制御)を行うかも適宜設定される事項である。
また、印刷装置1の装置性能上、当初の起動時の起動シーケンスから最も遅いスローアップシーケンスまで、例えば10段階で調整可能である場合に、正常な駆動状態となるまでステップS7において必ずしも1段階ずつ10回処理を繰り返す必要はない。例えば、10段階で調整可能なスローアップシーケンスを3段階や5段階に分けて、3回又は5回等の処理を繰り返しても状況が改善されない場合には、ステップS8に進んで、ユーザにエラーを報知するようにしてもよい。
【0070】
なお、ステップS5において、印刷ヘッド41が移動しない原因が異物との衝突等である場合(ステップS5;NO)には、印刷ヘッド41と干渉している異物を除去しない限り状況が改善されない。このため、この場合にも制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48を緊急停止させ、ユーザにエラーを報知する(ステップS8)。
この場合、異常の原因がモータの脱調等ではない旨(すなわち、何らかの異物との干渉である旨)を併せて示すことが好ましい。これにより、ユーザは、印刷装置1が停止した原因を理解することができ、印刷ヘッド41と干渉しているもの(手や指等)を取り除く等、適切な対応をとることが可能となる。なお、撮影装置51によって取得された撮影画像を表示部72等に表示させてもよい。これによりユーザはより状況を的確に把握しやすくなる。
【0071】
一方、Y方向原点センサ412がXシャフト(ガイドシャフト455)を検知した場合(
図6に示す状態、ステップS3;YES)には、制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48を停止させて印刷ヘッド41のY方向への移動を停止させ、X方向移動モータ46を動作させて、印刷ヘッド41のX方向への移動を開始させる(ステップS9)。
さらに制御部31(位置確認部316)は、X方向原点センサ411が印刷ヘッド41を検出したか否かを判断する(ステップS10)。
X方向原点センサ411が印刷ヘッド41を検出していない場合(ステップS10;NO)には、制御部31(位置確認部316)は、さらにエンコーダセンサ413が印刷ヘッド41の移動を検知したか否かを判断する(ステップS11)。
【0072】
エンコーダセンサ413が印刷ヘッド41の移動を検知した場合(ステップS11;YES)には、ステップS10に戻ってX方向原点センサ411が印刷ヘッド41を検出するまで判断を繰り返す。
他方エンコーダセンサ413が印刷ヘッド41の移動を検知しない場合(ステップS11;NO)には、何らかの異常が生じていると考えられる。このため、制御部31(位置確認部316)は、X方向移動モータ46を緊急停止させ、ユーザにエラーを報知する(ステップS8)。
この場合、撮影装置51によって取得された撮影画像の解析から、印刷ヘッド41の動線上に異物が存在し、この異物が印刷ヘッド41の移動を妨げていると判断される場合には、X方向移動モータ46を緊急停止させた原因が異物との干渉である旨を併せてユーザに示すことが好ましい。これにより、ユーザは、印刷装置1が停止した原因を理解することができ、印刷ヘッド41と干渉しているもの(手や指等)を取り除く等、適切な対応をとることが可能となる。なお、撮影装置51によって取得された撮影画像を表示部72等に表示させてもよい。
【0073】
一方、X方向原点センサ411が印刷ヘッド41を検出した場合(
図7に示す状態、ステップS10;YES)には、制御部31(位置確認部316)は、X方向移動モータ46を停止させて印刷ヘッド41のX方向への移動を停止させ、印刷ヘッド41のXY方向の原点位置(
図7における印刷ヘッド41の位置参照)で待機させる(ステップS12)。
そして、制御部31(印刷制御部315)は、印刷データがあるか否かを判断し(ステップS13)、印刷データがない場合(ステップS13;NO)には、ステップS13の判断を繰り返す。
【0074】
他方、印刷データがある場合(ステップS13;YES)には、制御部31(撮影制御部312)は撮影部50を制御して指保持部6に保持されている指U(爪Tを含む指U)を撮影させ、爪画像を取得させる(ステップS14)。
爪画像が取得されると、制御部31は、爪画像に基づき印刷領域及び印刷開始位置を設定する(ステップS15)。
図8は、爪画像に基づき設定される印刷領域及び印刷開始位置のイメージを示す説明図である。
図8に示すように、印刷可能領域Ar3は、各種の大きさの爪Tに対応できるように実際に設定される印刷領域よりも広く設定され、指保持部6の窓部63とほぼ同じとなっている。
【0075】
爪画像が取得されると、まず制御部31(爪情報検出部313)は爪画像から爪輪郭TL等の爪情報を検出する。爪輪郭TLが検出されると、制御部31(印刷データ生成部314)は、爪輪郭TLにデザインデータを合わせ込むとともに、適宜補正等を行い、デザインデータに基づく印刷データを生成する。なお、予めユーザの爪輪郭TL等が取得され記憶部32等に記憶されているような場合には、印刷データを生成するタイミングは、印刷ヘッド41のXY方向の原点位置を合わせる処理よりも早い段階であってもよい。
また制御部31(印刷データ生成部314)は、爪輪郭TLに外接する矩形枠FLを設定し、この矩形枠FLの内側領域を印刷領域とするとともに、矩形枠FLのいずれかの角部(
図8では左上の角部)を印刷開始位置(x0,y0)と設定する。印刷開始位置(x0,y0)は、後述するように印刷動作における基準位置となる。
印刷領域及び印刷開始位置が設定されると、印刷動作(ステップS16)が行われる。
【0076】
図10は、
図5にいう印刷動作を示すフローチャートである。
図10に示すように、印刷動作(
図5のステップS16)においては、制御部31(印刷制御部315)は、まず印刷開始位置(
図8参照)のY座標(
図8に示す「y0」)を目的のY方向位置とし(ステップS21)、目的のY方向位置への印刷ヘッド41の移動を開始させる(ステップS22)。
具体的にはY方向移動モータ48に所定の入力パルスを投入し、Y方向移動モータ48を駆動させる。
【0077】
制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48に投入された入力パルスの情報(印刷ヘッド41の移動情報)から印刷ヘッド41の「第2の位置情報」(入力パルス分の移動量、印刷開始位置から入力パルス分移動した場合の印刷ヘッド41の仮想的な位置情報)を導出する(ステップS23)。
また本実施形態では、印刷動作中も撮影装置51によって印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内が継続的に撮影され、撮影画像が随時取得されている。制御部31(位置確認部316)は、この撮影画像を解析することにより、印刷ヘッド41のリアルタイムの位置である「第1の位置情報」を検出する。そして、印刷ヘッド41の「第1の位置情報」と「第2の位置情報」とを比較する。
【0078】
具体的には、制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48に投入された入力パルス分の印刷ヘッド41の移動が、撮影画像から検知できるか否かを判断する(ステップS24)。
Y方向移動モータ48に投入された入力パルス分の移動が、撮影画像から検知できない場合(ステップS24;NO)には、制御部31(位置確認部316)は、さらに印刷ヘッド41が移動しないことが異物との衝突等の干渉によるものか否かを判断する(ステップS25)。
すなわち、継続的に撮影された画像を解析することで、印刷ヘッド41の移動方向下流側(
図1、
図7等におけるY方向の奥側)に、ユーザの手や指等、印刷ヘッド41の移動を阻害するものが存在しているか否かを判断する。
【0079】
印刷ヘッド41の移動方向下流側に印刷ヘッド41の移動を阻害するようなものが存在しない(画像に映り込んでいない)場合には、制御部31(位置確認部316)は、印刷ヘッド41が移動しない原因が異物との衝突等ではないと判断する(ステップS25;NO)。なお、指Uが適切に配置されている状態である場合に、この指Uが「画像内に映り込んだ異物」として認識されてエラーとなることは妥当でない。このため、例えば爪認識が正常に行われている間は、印刷可能領域Ar3内に異物は無いものとして扱う、又はこの場合の指Uを「異物」と扱わない等の判断、制御を行ってもよい。
【0080】
印刷ヘッド41が移動しない原因が異物との衝突等ではないと判断された場合、制御部31(位置確認部316)は、さらに、Y方向移動モータ48の起動時のシーケンスが装置性能上最も遅いスローアップ制御であるか否かを判断する(ステップS26)。そしてY方向移動モータ48の起動時のシーケンスが装置性能上最も遅いスローアップ制御でない場合、すなわち、さらに遅いスローアップ制御を選択することができる場合(ステップS26;NO)には、Y方向移動モータ48を即時停止させ、さらに遅いスローアップの起動シーケンスで再起動させ(ステップS27)、ステップS23以降の処理を繰り返す。なお、スローアップの起動シーケンスの具体的内容は、
図5のステップS7と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
他方、Y方向移動モータ48の起動時のシーケンスが装置性能上最も遅いスローアップ制御である場合(ステップS26;YES)には、制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48を緊急停止させ、ユーザにエラーを報知する(ステップS28)。
エラーを報知する手法等については、
図5のステップS8と同様であるので、その説明を省略する。
なお、ステップS25において、印刷ヘッド41が移動しない原因が異物との衝突等である場合(ステップS25;YES)には、
図5の「ステップS5;YES」の場合と同様に制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48を緊急停止させ、ユーザにエラーを報知する(ステップS28)。
この場合にも、モータの脱調等ではない旨(すなわち、何らかの異物との干渉である旨)を併せて示すことが好ましい。
【0082】
一方、Y方向移動モータ48に投入された入力パルス分の移動が、撮影画像から検知できた場合(ステップS24;YES)には、制御部31(位置確認部316)(ステップS28)。は、さらに印刷ヘッド41が目的のY方向位置に到達したか否かを判断する(ステップS29)。具体的には、Y方向移動モータ48に投入された入力パルス数から求められる印刷ヘッド41の「第2の位置情報」と撮影画像から検出される「第1の位置情報」とに基づいて、印刷ヘッド41が目的のY方向位置であるY方向の印刷開始位置「y0」まで移動したか否かを判断する。
そして、印刷ヘッド41が目的のY方向位置に到達していない場合(ステップS29;NO)には、ステップS23に戻って処理を繰り返す。
【0083】
他方、印刷ヘッド41が目的のY方向位置に到達した場合(ステップS29;YES)には、制御部31(位置確認部316)は、Y方向移動モータ48を停止させて印刷ヘッド41のY方向への移動を停止させ、X方向移動モータ46を動作させて、目的のX方向位置(
図8に示すX方向の印刷開始位置「x0」)への印刷ヘッド41の移動を開始させる(ステップS30)。
制御部31(位置確認部316)は、エンコーダセンサ413の検出情報から印刷ヘッド41が目的のX方向位置まで移動したか否かを判断する(ステップS31)。
印刷ヘッド41が目的のX方向位置まで移動していない場合(ステップS31;NO)には、制御部31(位置確認部316)は、さらにエンコーダセンサ413が印刷ヘッド41の移動を検知したか否かを判断する(ステップS32)。
【0084】
エンコーダセンサ413が印刷ヘッド41の移動を検知した場合(ステップS32;YES)には、ステップS31に戻って印刷ヘッド41が目的のX方向位置に移動するまで判断を繰り返す。
他方、エンコーダセンサ413が印刷ヘッド41の移動を検知しない場合(ステップS32;NO)には、何らかの異常が生じていると考えられる。このため、制御部31(位置確認部316)は、X方向移動モータ46を緊急停止させ、ユーザにエラーを報知する(ステップS28)。
この場合、撮影装置51によって取得された撮影画像の解析から、印刷ヘッド41の進行方向に異物が存在し、この異物が印刷ヘッド41の移動を妨げていると判断される場合には、X方向移動モータ46を緊急停止させた原因が異物との干渉である旨を併せてユーザに示すことが好ましい。なお、具体的な対応は
図5のステップS8において示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0085】
一方、印刷ヘッド41が目的のX方向位置まで移動した場合(ステップS31;YES)には、
図9に示すように、印刷ヘッド41が印刷開始位置(x0,y0)に配置された状態となる。そこで、制御部31(印刷制御部315)は、X方向移動モータ46を動作させて印刷ヘッド41をX方向に所定量移動させながら、印刷データにしたがって一行分の印刷を行うように印刷ヘッド41のインク吐出動作を制御する(ステップS33)。
例えば
図8に示す例では、印刷ヘッド41は、印刷開始位置(x0,y0)からX方向に沿って右に移動する。印刷領域である矩形枠FL内には、印刷対象である爪Tのある領域とない領域(例えば
図8に示す矩形枠FLの4角部分等)とがあり、またデザインによっては爪Tの全面に印刷しない場合もある。制御部31(印刷制御部315)は印刷データにしたがって、必要な部分に適切に印刷を施すように、印刷ヘッド41からのインク吐出を制御する。
なお、印刷中においても、印刷ヘッド41が適切な速度で適切な位置に移動しているかが、エンコーダセンサ413から取得した情報や撮影画像の解析結果等に基づいて、制御部31が随時チェックし、異常が検出された場合には緊急停止等の対応を適宜行う。
【0086】
印刷ヘッド41が印刷領域である矩形枠FL内をX方向の一端から他端まで移動し、一行分の印刷を終了すると、制御部31(印刷制御部315)は、当該爪Tについての印刷が完了したか否かを判断する(ステップS34)。そして、印刷データに照らして印刷が完了したと判断される場合(ステップS34;YES)には、印刷動作を終了する。
このとき、制御部31は、ヘッド移動機構49を動作させて、印刷ヘッド41をXY方向の原点位置(例えば、
図7に示す位置)まで移動させてもよい。これにより、他にも印刷を行う指Uの爪Tがある場合に、モータに投入する入力パルス数やエンコーダセンサ413による検出結果に基づいて、改めて基準となる位置(XY方向の原点位置)からの印刷ヘッド41の移動距離を把握することができる。
なお、両手の爪T等、印刷予定の指Uの爪Tすべてについて印刷処理が終了したような場合には、制御部31は、ヘッド移動機構49を動作させて、印刷ヘッド41を待機領域Ar2等に移動させてから印刷動作を終了してもよい。
【0087】
他方、印刷データに照らして当該爪Tに対する印刷が完了していないと判断される場合(ステップS34;NO)には、次の行の印刷開始位置(例えば
図8において上から2番目の矢印で示す行の先頭位置)を目的のY方向位置とし(ステップS35)、ステップS23に戻って以降の処理を繰り返す。すなわち、
図8に示すように矩形枠FLにおけるX方向の端部まで移動すると、印刷動作における所定の1行幅分だけY方向に移動し、再びX方向の逆側の端部まで折り返して印刷を行う。
なお、本実施形態では
図8に示すように、X方向に往復移動する場合の往路及び復路の両方で(双方向で)印刷動作を行う場合を例示したが、往路又は復路のいずれか一方において印刷動作を行ってもよい。この場合には、次の行のX方向の印刷開始位置は一行目と同じ(
図8では矩形枠FLの左端部)となるため、制御部31は、印刷ヘッド41を矩形枠FLの左端部まで戻すとともに、所定の1行幅分だけY方向に移動させてから次の行の印刷を開始させる。
【0088】
このように本実施形態では、印刷ヘッド41のX方向への移動においては、X方向移動モータ46による印刷ヘッド41の移動状況をエンコーダセンサ413によってリアルタイムに把握することができる。また、印刷ヘッド41のY方向への移動においては、Y方向移動モータ48による印刷ヘッド41の移動状況をモータに投入された入力パルスの情報に基づいて導出される「第2の位置情報」と、移動可能領域Ar1内を継続的に撮影した撮影画像から検出される「第1の位置情報」とを比較することで、印刷ヘッド41が正しく移動しているか否かをリアルタイムに把握することができる。
さらに、撮影画像を解析することで、印刷ヘッド41が正しく移動していない場合に、当該異常状態の原因が異物との干渉によるものであるか否かを把握することができ、異常状態の解消を迅速かつ適切に行うことができる。
【0089】
以上のように、本実施形態の印刷装置1は、印刷対象である爪Tに印刷を行う印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41を移動させる移動手段としてのヘッド移動機構49(ヘッド移動機構49を構成する各モータ46,48)と、印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内を撮影可能である撮影手段としての撮影装置(カメラ)51と、撮影装置51によって取得された画像に基づいて印刷ヘッド41の「第1の位置情報」を検出する位置情報検出手段、ヘッド移動機構49による印刷ヘッド41の移動情報に基づいて印刷ヘッド41の「第2の位置情報」を導出する位置情報導出手段として機能する位置確認部316と、印刷ヘッド41の「第1の位置情報」と「第2の位置情報」との比較結果に基づいてヘッド移動機構49による印刷ヘッド41の移動を制御する移動制御手段としての印刷制御部315と、を備える。
このため、印刷ヘッド41の移動の際の異常をリアルタイムに検知することができる。これにより、例えばヘッド移動機構49を構成する各モータ46,48としてステッピングモータが用いられている場合に、脱調が発生しても、脱調の発生を迅速に把握し、適切に対応することが可能となる。
また、印刷ヘッド41や移動可能領域Ar1内を撮影した撮影画像を用いて印刷ヘッド41の移動状況を把握することができるため、印刷ヘッド41の移動の際に異常が生じた場合に、異常の原因を把握することが可能であり、適切に対応することができる。
【0090】
また、本実施形態のヘッド移動機構49(ヘッド移動機構49を構成する各モータ46,48)はステッピングモータを含んでおり、印刷ヘッド41の移動情報は、ステッピングモータに投入される入力パルスの情報である。
このため、印刷ヘッド41がY方向の原点位置等、基準となる位置にある状態からどれだけ移動したか(すなわち、移動量、移動距離)と、その移動の結果、現時点で印刷ヘッド41がどこに位置するかを入力パルス数から容易に算出(導出)することができる。
また、入力パルスの情報から導かれる「第2の位置情報」と撮影画像から検出される「第1の位置情報」とを比較することで、印刷ヘッド41の実際の移動状況を正確に把握することができ、異常が発生したときに迅速に対応することが可能となる。
また、ステッピングモータは、入力パルス数に同期してモータが回転するため、DCモータ等のようにエンコーダ(エンコーダセンサ413及びスリット板414)等のポジションセンサを備える必要がなく、安価に構成することができる。
【0091】
さらに、本実施形態では、移動制御手段としての印刷制御部315は、入力パルスの情報から導かれる「第2の位置情報」と撮影画像から検出される「第1の位置情報」との比較結果からステッピングモータ(本実施形態ではY方向移動モータ48)の脱調が検知された場合に、脱調の前のシーケンスとは異なるスローアップ制御をかけてステッピングモータ(Y方向移動モータ48)を再起動させる。
ステッピングモータ(Y方向移動モータ48)の起動時にスローアップ制御を行うことで、モータトルクが増大し、脱調が生じにくくなる。
なお、起動時のモータの立ち上がりを遅くするほど脱調は起こりにくくなるが、他方でモータの立ち上がりが遅くするほど印刷ヘッド41の移動時間が長くかかり、印刷時間(印刷完了までに要する時間)が長くなってしまう。
この点、本実施形態では、撮影画像に基づいて印刷ヘッド41のリアルタイムの位置を把握することで脱調等の異常の発生を早期に把握し、脱調が生じたときに適切なスローアップ制御による状況改善を試みる。
このため、初めから脱調を起こさない速度まで落としてスローアップ制御を行う場合と比較して、印刷処理を迅速に行うことができる。
【0092】
さらに、本実施形態では、位置情報検出手段としての位置確認部316は、撮影装置51により取得された画像中における印刷ヘッド41の位置を「第1の位置情報」として検出する。
このため、継続的に取得される画像から印刷ヘッド41のリアルタイムの位置を適切に把握することができる。
【0093】
さらに、本実施形態では、位置情報導出手段としての位置確認部316は、基準となる位置(例えばXY方向の原点位置(
図7参照)や印刷開始位置(
図8参照))からの移動情報に基づいて導出される印刷ヘッド41の位置を「第2の位置情報」とする。
このため、このため、印刷ヘッド41が正常に移動していた場合の仮想の移動位置を正確に把握することができる。
【0094】
さらに、本実施形態では、移動制御手段である印刷制御部315は、印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内の画像から印刷ヘッド41の移動を妨げる異物を検出したときにヘッド移動機構49(ヘッド移動機構49を構成する各モータ46,48)を停止させる。
異物が印刷ヘッド41の移動を妨げている場合には、異物を除去する以外に対処法はなく、放置しておけば装置の破損やユーザの指の怪我等のおそれもあり、安全上問題がある。
この点本実施形態のように、異物がある場合にはヘッド移動機構49を構成する各モータ46,48を停止させることとすれば、装置の破損等を回避することができる。
【0095】
さらに、本実施形態の印刷ヘッド41又は印刷ヘッド41と一体となって移動する移動体(例えば、ホルダ42)には、撮影装置51によって撮影可能な位置に識別部Mが設けられており、位置情報検出手段としての位置確認部316は、画像から識別部Mを検出することで「第1の位置情報」を検出する。
このように構成することで、画像から容易に印刷ヘッド41の位置を検出することができる。
【0096】
さらに、本実施形態では、撮影装置51は、印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内を連続的又は断続的に撮影する。
このように、継続的に撮影行うことにより、撮影画像から印刷ヘッド41の位置変化・移動状況を把握することができる。
このため、印刷ヘッド41の移動の際に異常が生じた場合に、異常の原因を迅速・的確に把握することが可能であり、適切に対応することが可能となる。
【0097】
さらに、本実施形態では、撮影装置51は、印刷ヘッド41及び印刷ヘッド41の移動可能領域Ar1内を撮影する他に、印刷対象である爪Tを撮影して爪画像を取得可能となっている。
このため、爪輪郭TLを正確に検出して高品位のネイルプリントを行うことができる。また、「第1の位置情報」を検出するための撮影と爪画像を取得するための撮影とを同じ撮影装置51によって行うことで、コストを増やさずに簡易な装置構成で優れた印刷を実現することができる。
【0098】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0099】
例えば、本実施形態では、ヘッド移動機構49を構成する各モータ46,48のうちY方向移動モータ48のみがステッピングモータである場合を例としたが、ステッピングモータはY方向移動モータ48として適用される場合に限定されず、X方向移動モータ46がステッピングモータであってもよい。また、X方向移動モータ46,Y方向移動モータ48の両方がステッピングモータであってもよい。
X方向移動モータ46がステッピングモータである場合には、X方向移動モータ46についても撮影画像に基づいて「第1の位置情報」を検出し、印刷ヘッド41の移動制御を行う。
【0100】
また、本実施形態では、印刷ヘッド41の移動情報が、ステッピングモータに投入される入力パルスの情報である場合を例示したが、印刷ヘッド41の移動情報は、制御部31において取得可能な情報であればよく、入力パルスの情報に限定されない。
【0101】
また、本実施形態では、ステッピングモータであるY方向移動モータ48の脱調が検知された場合に、スローアップ制御をかけてステッピングモータ(Y方向移動モータ48)を再起動させる例を示したが、スローアップ制御をかけてモータを再起動させるのは脱調の場合に限定されず、他の異常の場合にもスローアップ制御を試みてもよい。
また、脱調が検知された場合の対応はスローアップ制御に限定されず、他の対応が適用されてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、画像中における印刷ヘッド41の位置が「第1の位置情報」である場合を例示したが、「第1の位置情報」はこれに限定されず、撮影画像に基づいて検出可能な各種情報であってもよい。
【0103】
また、本実施形態では、印刷ヘッド41に識別部Mが設けられている場合を例示したが、識別部Mは、印刷ヘッド41を保持するホルダ42(印刷ヘッド41と一体となって移動する移動体)に設けられていてもよい。
また本実施形態では、位置確認部316が、画像から識別部Mを検出することで「第1の位置情報」を検出する場合を例示したが、位置確認部316が「第1の位置情報」を検出する手法はこれに限定されない。
例えば印刷ヘッド41やホルダ42の外形形状が装置側で把握されている場合には、画像中から印刷ヘッド41やホルダ42の外形形状と一致する形状の対象を検出することで画像中における印刷ヘッド41の位置を把握し、「第1の位置情報」を検出してもよい。この場合には、印刷ヘッド41やホルダ42を装置内の色(例えば黒色等)と区別しやすい色(例えば赤色等)とし、撮影画像から背景と区別して検出しやすくすることが好ましい。
【0104】
また、本実施形態では、同じ撮影装置51が、「第1の位置情報」を検出するための撮影と爪画像を取得するための撮影とを行う場合を例示したが、撮影手段の構成はこれに限定されない。例えば「第1の位置情報」を検出するための撮影を行う撮影手段と爪画像を取得するための撮影を行う撮影手段とを別個に設けてもよい。
この場合には、例えば一方は移動可能に構成し、他方は装置内に固定配置する等、適宜配置する場所や配置方法等を撮影対象に応じて最適化することも可能となる。
【0105】
また、本実施形態では、印刷装置1の印刷ヘッド41として、インクジェット方式の印刷ヘッド41を備える構成としたが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
シリンジ型のヘッドやペン型のヘッド等、インクジェット方式の印刷ヘッド41とは異なる構成のものを備えてもよい。
【0106】
また、本実施形態では、印刷装置1が端末装置7と連携して爪に印刷を行う場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、単体で印刷動作が完結するように構成されたものであってもよい。
例えば、本実施形態では、印刷開始指示の入力やネイルデザイン(デザイン)の選択等を端末装置7側の操作部71から行う場合を例としたが、各種指示の入力等を印刷装置1側の操作部12において行う構成としてもよい。この場合、印刷装置1にタッチパネル式の操作部を備えてもよい。また、印刷装置1に表示部を備えてもよく、この場合には当該表示部にタッチパネルが一体的に設けられていてもよい。
【0107】
また、本実施形態では、ネイルデザイン(デザイン)のデータを格納するネイルデザイン記憶領域822が端末装置7の記憶部82に設けられている場合を例示したが、ネイルデザインのデータは端末装置7の記憶部82に保存されている場合に限定されず、印刷装置1の記憶部32に保存されていてもよい。
また、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインのデータを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、記憶部82等の容量を大きくしなくても、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することが可能となる。
【0108】
なお、本実施形態では、爪情報検出部313及び印刷データ生成部314が印刷装置1に設けられており、印刷装置1の制御装置30において、爪画像からの爪情報の検出や印刷データの生成を行う構成である場合を例示したが、印刷装置1の構成はこれに限定されない。
例えば、印刷装置1が印刷部40及び撮影部50のみを備え、爪情報の検出や印刷データの生成は、外部端末(例えばスマートフォン等である端末装置7)において行われる構成としてもよい。
この場合には、撮影部50の撮影装置51により爪Tが撮影され爪画像(指Uを含む爪Tの画像)が取得されると、撮影部50によって取得された爪画像は、通信部13を介して端末装置7の制御装置80に送られる。この場合には、印刷装置1の構成を簡易なものとすることができる。
【0109】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷対象に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段を移動させる移動手段と、
前記印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記移動手段による前記印刷手段の移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記移動手段による前記印刷手段の移動を制御する移動制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記移動手段はステッピングモータを含んでおり、
前記印刷手段の前記移動情報は、前記ステッピングモータに投入される入力パルスの情報であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記移動制御手段は、前記比較結果から前記ステッピングモータの脱調が検知された場合に、前記脱調の前のシーケンスとは異なるスローアップ制御をかけて前記ステッピングモータを再起動させることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記位置情報検出手段は、前記画像中における前記印刷手段の位置を前記第1の位置情報として検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記位置情報導出手段は、基準となる位置からの前記移動情報に基づいて導出される前記印刷手段の位置を前記第2の位置情報とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記移動制御手段は、前記印刷手段の移動可能領域内の画像から前記印刷手段の移動を妨げる異物を検出したときに前記移動手段を停止させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記印刷手段又は前記印刷手段と一体となって移動する移動体には、前記撮影手段によって撮影可能な位置に識別部が設けられており、
前記位置情報検出手段は、前記画像から前記識別部を検出することで前記第1の位置情報を検出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項8>
前記撮影手段は、前記印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を連続的又は断続的に撮影するものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項9>
前記撮影手段は、前記印刷手段を撮影する他に、前記印刷対象を撮影可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項10>
印刷対象に印刷を行う印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程において取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出工程と、
前記印刷手段を移動させるための移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出工程と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記印刷手段の移動を制御する移動制御工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
<請求項11>
コンピュータに、
印刷手段及び前記印刷手段の移動可能領域内を撮影することで取得された画像に基づいて前記印刷手段の第1の位置情報を検出する位置情報検出機能と、
前記印刷手段を移動させるための移動情報に基づいて前記印刷手段の第2の位置情報を導出する位置情報導出機能と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との比較結果に基づいて前記印刷手段の移動を制御する移動制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0110】
1 印刷装置
7 端末装置
31 制御部
32 記憶部
40 印刷部
41 印刷ヘッド
46 X方向移動モータ
48 Y方向移動モータ
49 ヘッド移動機構
50 撮影部
51 撮影装置
315 印刷制御部
316 位置確認部
411 X方向原点センサ
412 Y方向原点センサ
413 エンコーダセンサ
T 爪
U 指