(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B23D 55/00 20060101AFI20240910BHJP
B23D 53/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B23D55/00 Z
B23D53/04
(21)【出願番号】P 2020197846
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】小吹 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小川 五史
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01980352(EP,A1)
【文献】特開昭51-130982(JP,A)
【文献】特開2019-147211(JP,A)
【文献】特開2012-061544(JP,A)
【文献】特開2009-196013(JP,A)
【文献】特開2000-71120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D45/00-65/04
B27B 1/00-23/00
B25F 1/00- 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの上側において前後方向に延在され、左右方向を軸方向とする揺動軸によって前記ベースに揺動可能に連結され
、前記ベースの上側において前後方向に延在する状態となる初期位置と、前記初期位置から上側に揺動した起立位置との間で揺動可能に構成される本体部と、
前記本体部に設けられた原動機と、
前記本体部に回転可能に設けられ、前記原動機によって駆動する駆動鋸車と、
前記本体部に回転可能に設けられた従動鋸車と、
前記駆動鋸車及び前記従動鋸車に掛け回された帯鋸と、
前記原動機の周囲に配置され、前記原動機を制御する制御部と、
前記制御部に接続され、前記原動機に電力を供給するためのリード線と、
前記本体部に連結され、前記原動機及び前記制御部を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記リード線を収容する配線収容部と、
を備え
、
前記本体部が前記初期位置に位置するとき、前記制御部が前記原動機の下側に位置するとともに、前記配線収容部が前記原動機の前後方向両側の少なくとも一方に位置するように構成された作業機。
【請求項2】
前記本体部は、
前記本体部の後端部を構成し、前記駆動鋸車を回転可能に支持すると共に、前記原動機及び前記制御部が設けられた後側本体部と、
前記本体部の前端部を構成し、前記従動鋸車を回転可能に支持する前側本体部と、
前記後側本体部及び前記前側本体部を連結する中間本体部と、
を含んで構成されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記揺動軸が、前記後側本体部と前記ベースとを連結している請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記配線収容部は、前記本体部が前記初期位置に位置するときに、前記原動機の前後方向の一方側に設けられる第1配線収容部と、前記原動機の前後方向の他方側に設けられる第2配線収容部を有し、
前記リード線の一部が前記第1配線収容部に収容され、他の一部が前記第2配線収容部に収容される請求項1~請求項3の何れか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記本体部は、商用電源に接続可能な電源コードを支持し、
前記リード線は、一部が前記電源コード内に位置して前記制御部に接続される第1リード線と、前記制御部を前記原動機とを接続する第2リード線を含み、
前記第1リード線の少なくとも一部は前記第1配線収容部に収容され、前記第2リード線の少なくとも一部が前記第2配線収容部に収容される請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ハウジングの内部には、前記原動機を収容するインナハウジングが設けられており、
前記原動機の駆動軸が、伝達機構によって前記駆動鋸車の回転軸に連結されると共に、前記駆動鋸車の回転軸よりも前側に配置され、
前記制御部が、前記インナハウジングの前端よりも後側に配置されている請求項1~請求項5の何れか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記原動機は、前記本体部に対して左右方向一方側に設けられ、
前記原動機の駆動軸は、左右方向一方側へ向かうに従い下側へ傾斜しており、前記制御部が、前記駆動軸における前記原動機側の端部の下方側に配置されている請求項5又は請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記原動機の駆動軸には、空気流を発生させるファンが一体回転可能に設けられており、
前記ハウジングには、前記空気流によって前記ハウジング内に冷却風を流入させるための吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排気する排気口と、が形成されており、
前記排気口が前記吸気口の下方側に配置されている請求項1~請求項7の何れか1項に記載の作業機。
【請求項9】
前記ハウジングには、配線を接続するコネクタが設けられており、
前記ハウジングは、前記冷却風が通過する風路と、前記コネクタが収容される領域と、遮蔽する遮蔽壁を有している請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記原動機の駆動軸には、空気流を発生させるファンが一体回転可能に設けられており、
前記ハウジングには、前記空気流によって前記ハウジング内に冷却風を流入させるための吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排気する排気口と、が形成されており、
前記配線収容部と前記原動機との間には、前記冷却風の通路が形成され、前記通路を通る前記冷却風によって前記制御部が冷却される請求項1~7の何れか1項に記載の作業機。
【請求項11】
前記配線収容部と前記原動機との間に形成される前記通路と前記配線収容部との間には、前記配線収容部に前記冷却風が入り込むことを抑制する遮蔽壁が設けられている請求項10に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のバンドソー(作業機)は、モータを有する本体部がベースに揺動可能に連結されている。また、本体部は、駆動鋸車及び従動鋸車を有しており、駆動鋸車及び従動鋸車には、帯鋸が掛け回されている。そして、モータの駆動によって、駆動鋸車が回転することで、帯鋸が周回して、加工材に切断加工を施すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、ブラシレスモータを採用することで、作業機のメンテナンス性の向上や小型軽量化を図ることがある。ここで、ブラシレスモータを採用する場合には、新たにモータ制御用の回路を設ける必要があるが、例えばインバータ回路などの駆動回路や、駆動回路を制御するマイコン等の制御部が必要となるため、作業性を損なわないような配置方法や冷却方法が必要となる。特に、上記のようなバンドソーでは、本体部がベースに対して揺動するような作業形態であるため、これら部材の相対移動を考慮しつつ、バンドソーの体格の大型化を抑制するように、モータ制御用の回路を搭載することが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、大型化を抑制できる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、ベースと、前記ベースの上側において前後方向に延在され、左右方向を軸方向とする揺動軸によって前記ベースに揺動可能に連結され、前記ベースの上側において前後方向に延在する状態となる初期位置と、前記初期位置から上側に揺動した起立位置との間で揺動可能に構成される本体部と、前記本体部に設けられた原動機と、前記本体部に回転可能に設けられ、前記原動機によって駆動する駆動鋸車と、前記本体部に回転可能に設けられた従動鋸車と、前記駆動鋸車及び前記従動鋸車に掛け回された帯鋸と、前記原動機の周囲に配置され、前記原動機を制御する制御部と、前記制御部に接続され、前記原動機に電力を供給するためのリード線と、前記本体部に連結され、前記原動機及び前記制御部を収容するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記リード線を収容する配線収容部と、を備え、前記本体部が前記初期位置に位置するとき、前記制御部が前記原動機の下側に位置するとともに、前記配線収容部が前記原動機の前後方向両側の少なくとも一方に位置するように構成された作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体部は、前記本体部の後端部を構成し、前記駆動鋸車を回転可能に支持すると共に、前記原動機及び前記制御部が設けられた後側本体部と、前記本体部の前端部を構成し、前記従動鋸車を回転可能に支持する前側本体部と、前記後側本体部及び前記前側本体部を連結する中間本体部と、を含んで構成されている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記揺動軸が、前記後側本体部と前記ベースとを連結している作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記配線収容部は、前記本体部が前記初期位置に位置するときに、前記原動機の前後方向の一方側に設けられる第1配線収容部と、前記原動機の前後方向の他方側に設けられる第2配線収容部を有し、前記リード線の一部が前記第1配線収容部に収容され、他の一部が前記第2配線収容部に収容される作業機である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体部は、商用電源に接続可能な電源コードを支持し、前記リード線は、一部が前記電源コード内に位置して前記制御部に接続される第1リード線と、前記制御部を前記原動機とを接続する第2リード線を含み、前記第1リード線の少なくとも一部は前記第1配線収容部に収容され、前記第2リード線の少なくとも一部が前記第2配線収容部に収容される作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングの内部には、前記原動機を収容するインナハウジングが設けられており、前記原動機の駆動軸が、伝達機構によって前記駆動鋸車の回転軸に連結されると共に、前記駆動鋸車の回転軸よりも前側に配置され、前記制御部が、前記インナハウジングの前端よりも後側に配置されている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記原動機は、前記本体部に対して左右方向一方側に設けられ、前記原動機の駆動軸は、左右方向一方側へ向かうに従い下側へ傾斜しており、前記制御部が、前記駆動軸における前記原動機側の端部の下方側に配置されている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記原動機の駆動軸には、空気流を発生させるファンが一体回転可能に設けられており、前記ハウジングには、前記空気流によって前記ハウジング内に冷却風を流入させるための吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排気する排気口と、が形成されており、前記排気口が前記吸気口の下方側に配置されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングには、配線を接続するコネクタが設けられており、前記ハウジングは、前記冷却風が通過する風路と、前記コネクタが収容される領域と、遮蔽する遮蔽壁を有している作業機である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記原動機の駆動軸には、空気流を発生させるファンが一体回転可能に設けられており、前記ハウジングには、前記空気流によって前記ハウジング内に冷却風を流入させるための吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排気する排気口と、が形成されており、前記配線収容部と前記原動機との間には、前記冷却風の通路が形成され、前記通路を通る前記冷却風によって前記制御部が冷却される請求項作業機である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記配線収容部と前記原動機との間に形成される前記通路と前記配線収容部との間には、前記配線収容部に前記冷却風が入り込むことを抑制する遮蔽壁が設けられている作業機である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係るバンドソーを示す右側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示されるバンドソーの後側から見た後面図である。
【
図3】
図1に示されるバンドソー本体を起立位置に揺動させた状態を示す側面図である。
【
図4】
図1に示されるバンドソーの後部を示す左側から見た側面図である。
【
図5】
図1に示されるバンドソー本体を、鋸刃カバーを取り除いた状態で示す直交方向他方側から見た図である。
【
図6】
図4に示される駆動機構を直交方向一方側から見た図である。
【
図7】
図6に示される駆動機構を、カバーハウジングを取り除いた状態で示す直交方向一方側から見た図である。
【
図8】
図6に示される駆動機構の内部を示す傾斜方向一方側から見た断面図(
図6の8―8線断面図)である。
【
図9】
図6に示される駆動機構の内部を示す後側から見た断面図(
図6の9―9線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る作業機としてのバンドソー10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、それぞれバンドソー10の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、バンドソー10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0018】
図1~
図4に示されるように、バンドソー10は、加工材に切断加工を施す装置として構成されている。バンドソー10は、ベース20と、バンドソー本体40と、を含んで構成されている。
【0019】
(ベース20について)
ベース20は、バンドソー10の下端部を構成し、パイプなどの加工材を載置する台として構成されている。ベース20は、前後方向を長手方向とし且つ上下方向を厚み方向とする略矩形ブロック状に形成されている。ベース20の前後方向中間部には、段差部20Aが形成されており、ベース20の後部の上面が、ベース20の前部の上面よりも下側に一段下がっている。ベース20には、下側へ突出した4箇所の脚部20Bが設けられている。4箇所の脚部20Bでは、左右方向に並ぶ脚部20Bが対を成しており、対を成す脚部20Bがベース20の前部及び後部にそれぞれ配置されている。そして、脚部20Bが、バンドソー10を設置する設置面上に載置される構成になっている。
【0020】
また、ベース20の後端部には、左右一対の車輪22が設けられており、車輪22は、左右方向を軸方向としてベース20に回転可能に連結されている。そして、バンドソー10の前端部を持ち上げて、設置面上において車輪22を転がして、バンドソー10を運搬するようになっている。
【0021】
ベース20の後端部には、後述するバンドソー本体40のフレーム42をベース20に連結するための揺動軸24が設けられている。揺動軸24は、左右方向を軸方向としてベース20の上側に配置されており、揺動軸24の両端部が、ベース20の後端部に対して左右方向外側に突出した状態で、ベース20に回転可能に支持されている。
【0022】
ベース20の前部の上面には、バイスとしての第1バイス26が設けられている。第1バイス26は、右側から見て、略L字形状に形成されており、第1バイス26の下端部がベース20に固定されている。また、ベース20には、第1バイス26の前側において、バイスとしての第2バイス28が設けられている。第2バイス28は、前後方向を板厚方向とするプレート部28Aを有しており、プレート部28Aが第1バイス26と前後方向に対向して配置されている。また、第2バイス28は、前後方向にスライド可能にベース20に連結されている。これにより、ベース20の上面に載置された加工材を、第1バイス26と第2バイス28のプレート部28Aとによって挟み込んで、固定するようになっている。
【0023】
ベース20の右側部には、スイッチ30が設けられており、スイッチ30は、上下方向に切替可能に構成された所謂スナップスイッチとして構成されている。そして、作業者の操作によってスイッチ30が上側のオン位置へ操作されることで、後述するブラシレスモータ82が駆動してバンドソー10が作動するようになっている。一方、後述するスイッチアーム43によってスイッチ30が下側へ押圧されることで、スイッチ30の位置がオフ位置に切替わり、ブラシレスモータ82の駆動が停止するように構成されている。
【0024】
(バンドソー本体40について)
バンドソー本体40は、本体部としてのフレーム42と、駆動機構70と、を含んで構成されている。また、詳細については後述するが、バンドソー本体40は、ベース20に揺動可能に連結されている。具体的には、バンドソー本体40が、右側から見て、
図1に示される初期位置(
図1に示される位置)と、初期位置から揺動方向一方側(
図1の矢印E方向側)へ揺動した起立位置(
図3に示される位置)と、の間を揺動可能に構成されている。そして、加工材への加工時には、バンドソー本体40を起立位置から初期位置側へ傾倒させ、バンドソー本体40に設けられた帯鋸62を加工材の上側に配置し、バンドソー本体40の自重によって帯鋸62を加工材に押し付けて、加工材に対する切断可能を施すようになっている。以下の説明では、バンドソー10が初期位置に配置された状態として説明する。なお、本実施の形態では、開口部42Dにある帯鋸62がベース20の上面に対して直交する方向に延びる位置を起立位置としたが、作業に影響がない範囲で上限位置を設定すればよく、例えば下端位置から50度程度上方に揺動した位置を上限位置(起立位置)として設定してもよい。
【0025】
(フレーム42について)
図1~
図5に示されるように、フレーム42は、右側から見て下側へ開放された略逆U字形板状に形成されると共に、前後方向から見て、上側へ向かうに従い左側へ傾斜して配置されている。具体的には、フレーム42は、フレーム42の後端部を構成する後側本体部としてのリヤフレーム部42Aと、フレーム42の前端部を構成する前側本体部としてのフロントフレーム部42Bと、フレーム42の前後方向中間部を構成する中間本体部としてのセンタフレーム部42Cと、を含んで構成されると共に、フレーム42の前後方向中間部には、下側へ開放された開口部42Dが形成されている。そして、以下の説明では、前後方向から見て、フレーム42が傾斜する方向を傾斜方向(
図2の矢印A方向及び矢印B方向)と称し、傾斜方向に対して直交する方向(フレーム42の厚み方向であり、
図2の矢印C方向及び矢印D方向)を直交方向と称している。
【0026】
図2及び
図4に示されるように、フレーム42の後端部の下端部には、フレーム連結部42Eが形成されている。フレーム連結部42Eは、フレーム42から左側へ突出すると共に、揺動軸24の右端部に一体回転可能に固定されている。フレーム42の後端部の左側には、ヒンジ部材44が設けられており、ヒンジ部材44は、後側から見て、略逆L字形板状に形成されている。ヒンジ部材44の下端部は、揺動軸24の左端部に一体回転可能に固定されており、ヒンジ部材44の上端部がフレーム42に締結固定されている。これにより、フレーム42が、傾斜した状態でベース20の上側に配置されると共に、揺動軸24によって左右方向を軸方向としてベース20に揺動可能に連結されている。
【0027】
ヒンジ部材44の下部には、左右方向に延在された荷重調整レバー46が回転可能に設けられており、荷重調整レバー46の右端部には、カム部材48が一体回転可能に設けられている。また、揺動軸24には、トーションスプリングとして構成された一対の荷重調整バネ50が装着されている。荷重調整バネ50の一端部は、ベース20に係止され、荷重調整バネ50の他端部がカム部材48に係止されており、荷重調整バネ50によってフレーム42を揺動方向一方側へ付勢している。これにより、荷重調整レバー46を回転させることで、カム部材48に作用する荷重調整バネ50の付勢力が変化して、切断加工時における帯鋸62の加工材に対する押付力を調整できるようになっている。
【0028】
また、フレーム42では、フレーム42の上端部を除く部分が、直交方向一方側(
図2の矢印C方向側)へ一段下がった鋸刃収容部42Fとして構成されている。フレーム42の上端部には、鋸刃カバー52がフレーム42の長手方向を軸方向として回転可能に設けられており、鋸刃カバー52によって鋸刃収容部42Fを覆っている。
【0029】
図5に示されるように、リヤフレーム部42Aの鋸刃収容部42Fには、駆動鋸車54が設けられている。駆動鋸車54は、直交方向を厚み方向とする略円環板状の鋸車部54Aと、鋸車部54Aの中心部から径方向外側へ延出されて鋸車部54Aに接続された4本のスポークス部54Bと、を含んで構成されている。駆動鋸車54の中心部には、回転軸56が固定されている。回転軸56は、直交方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、駆動鋸車54から直交方向一方側へ延出されると共に、フレーム42に回転可能に支持されている。
【0030】
フロントフレーム部42Bの鋸刃収容部42Fには、従動鋸車58が設けられている。従動鋸車58は、駆動鋸車54と同様に構成されている。すなわち、従動鋸車58は、直交方向を厚み方向とする略円環板状の鋸車部58Aと、鋸車部58Aの中心部から径方向外側へ延出されて鋸車部58Aに接続された4本のスポークス部58Bと、を含んで構成されている。また、従動鋸車58の中心部には、回転軸60に固定されている。そして、回転軸60が、従動鋸車58から直交方向一方側へ延出されると共に、フレーム42に回転可能に支持されている。
【0031】
駆動鋸車54及び従動鋸車58には、無端帯状の帯鋸62が掛け回されており、帯鋸62の一部が、フレーム42の開口部42Dから露出している。これにより、後述するブラシレスモータ82の駆動によって駆動鋸車54が回転することで、帯鋸62によって駆動鋸車54の回転力が従動鋸車58に伝達されて従動鋸車58が回転すると共に、帯鋸62が周方向一方側(
図5の矢印F方向側)に周回するように構成されている。帯鋸62の幅方向一端部には、刃部が形成されている。また、帯鋸62は、フレーム42の開口部42Dの下端部に設けられた前後一対の押えベアリングユニット64によってガイドされて、一対の押えベアリングユニット64間における帯鋸62の刃部が下側へ向くように、帯鋸62が捻じられている。これにより、フレーム42の開口部42Dから露出された帯鋸62の刃部が、ベース20に載置された加工材に対して上側から当接する構成になっている。
【0032】
図2、
図4、及び
図6~
図9に示されるように、リヤフレーム部42Aには、伝達機構としての減速機構66が設けられており、減速機構66は、リヤフレーム部42Aから直交方向一方側に突出している。減速機構66は、減速機構66の外郭を構成するギヤハウジング67と、ギヤハウジング67の内部に設けられたギヤ列68と、を含んで構成されており、ギヤ列68によって、後述するブラシレスモータ82の回転を減速して駆動鋸車54の回転軸56に伝達するようになっている。具体的には、駆動鋸車54の回転軸56が、ギヤハウジング67内に配置されて、ギヤ列68によってブラシレスモータ82に連結されている。
【0033】
また、
図1に示されるように、リヤフレーム部42Aの下端部には、スイッチアーム43が設けられている。スイッチアーム43は、右側から見て、前後方向に延在された略L字形板状に形成されており、スイッチアーム43の前端部がリヤフレーム部42Aに固定され、スイッチアーム43の後端部がスイッチ30の上側に配置されている。そして、バンドソー本体40の初期位置では、スイッチアーム43の後端部がスイッチ30を上側から押圧して、スイッチ30がオン位置からオフ位置に切替わるように構成されている。さらに、フレーム42の前端部には、右側へ突出したハンドル53が設けられており、バンドソー本体40を初期位置から揺動させるときに、作業者がハンドル53を把持するようになっている。
【0034】
(駆動機構70について)
図2、
図4、及び
図6~
図9に示されるように、駆動機構70は、減速機構66に対して直交方向一方側に配置されて、減速機構66を介してフレーム42のリヤフレーム部42Aに連結されている。駆動機構70は、ハウジングとしてのアウタハウジング72と、アウタハウジング72の内部に配置された原動機としてのブラシレスモータ82及び制御部90と、を含んで構成されている。
【0035】
(アウタハウジング72について)
アウタハウジング72は、駆動機構70の外郭を構成している。アウタハウジング72は、直交方向一方側から見て、略矩形箱状に形成されており、ギヤハウジング67の直交方向一方側に配置されている。アウタハウジング72は、直交方向に2分割されたハウジング部材によって構成されている。具体的には、アウタハウジング72は、アウタハウジング72の直交方向他方側部分を構成するベースハウジング74と、アウタハウジング72の直交方向一方側部分を構成するカバーハウジング76と、を含んで構成されており、ベースハウジング74及びカバーハウジング76が、ギヤハウジング67に締結固定されている。
【0036】
カバーハウジング76の略中央部には、直交方向一方側へ隆起し且つ直交方向他方側へ開放された有底筒状のモータ収容部76Aが形成されている。モータ収容部76Aの底壁は、第1バイス26の左端部よりも右側に配置されている(
図2参照)。より詳しくは、上下方向において、モータ収容部76Aの底壁が第1バイス26と重なる位置に配置されて、第1バイス26が、アウタハウジング72の前側においてモータ収容部76Aよりも左側に突出している。
【0037】
モータ収容部76Aの底壁には、複数の吸気口としての外側吸気口76Bが貫通形成されている。外側吸気口76Bは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されており、傾斜方向に並ぶ複数の外側吸気口76Bを1列として、2列の外側吸気口76Bが前後方向に並んで配置されている。また、モータ収容部76Aの底壁の内周面には、シート状のフィルタ78が設けられており、切断時に生じる切粉の外側吸気口76Bからの侵入をフィルタ78によって抑制するようになっている。
【0038】
また、カバーハウジング76の下部には、直交方向一方側へ突出した制御部収容部76Cが形成されており、制御部収容部76Cの突出量が、モータ収容部76Aの突出量よりも小さくなっている。詳しくは、後側から見て、制御部収容部76Cの底壁がモータ収容部76Aの底壁よりも右側(フレーム42側)に配置されると共に、制御部収容部76Cが、モータ収容部76Aの下端部と、ギヤハウジング67の下端部と、の間に配置されている(
図9参照)。換言すると、左右方向において、ギヤハウジング67の下端部、制御部収容部76C、及びモータ収容部76Aの下端部が並んで配置されている。制御部収容部76Cの底壁には、複数の排気口76Dが貫通形成されている。排気口76Dは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されており、傾斜方向に並ぶ複数の排気口76Dを1列として、4列の排気口76Dが前後方向に並んで配置されている。なお、最も後側の列では、1箇所の排気口76Dのみが形成されている。
【0039】
アウタハウジング72の内部には、後述するブラシレスモータ82を収容するためのインナハウジング80が設けられており、インナハウジング80は、直交方向他方側へ開放された略有底筒状に形成されている。インナハウジング80は、アウタハウジング72のモータ収容部76A内に配置されており、インナハウジング80の開口部が、ベースハウジング74に締結固定されている。これにより、アウタハウジング72の内部が、インナハウジング80によって、ブラシレスモータ82を収容する領域と、後述する制御部90を収容する領域と、に区画されている。インナハウジング80は、前後方向に2分割されたハウジング部材によって構成されて、これらハウジング部材同士が締結固定されている。なお、ベースハウジング74は、インナハウジング80の固定部位において、開口されており、インナハウジング80の内部とギヤハウジング67の内部とが連通している。
【0040】
インナハウジング80の底壁の前後の角部には、複数の内側吸気口80Aが貫通形成されている。内側吸気口80Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されており、傾斜方向に並んで配置されている。また、内側吸気口80Aは、アウタハウジング72の外側吸気口76Bの直交方向他方側に配置されており、内側吸気口80Aと外側吸気口76Bとが傾斜方向にずれて配置されている。すなわち、直交方向において、内側吸気口80Aと外側吸気口76Bとが対向して配置されていない。
【0041】
インナハウジング80の開口部の前部には、前側連通孔80B(広義には、連通孔として把握される要素であり、
図8参照)が貫通形成されており、インナハウジング80の開口部の後部には、後側連通孔80C(広義には、連通孔として把握される要素であり、
図8参照)が貫通形成されている。これにより、インナハウジング80の内部とアウタハウジング72の内部とが前側連通孔80B及び後側連通孔80Cによって連通している。そして、アウタハウジング72内における前側連通孔80Bから制御部収容部76Cに至る部分が、後述する冷却風ARの風路となる前側風路72A(
図7参照)として構成され、後側連通孔80Cから制御部収容部76Cに至る部分が、後述する冷却風ARの風路となる後側風路72B(
図7参照)として構成されている。これにより、インナハウジング80の内部と制御部収容部76Cの内部とが、前側風路72A及び後側連通孔80Cによって連通している。
【0042】
(ブラシレスモータ82について)
ブラシレスモータ82は、商用交流電源によって駆動可能であり、インナハウジング80内に収容されている。ブラシレスモータ82は、直交方向を軸方向とする駆動軸83と、駆動軸83に固定された略円筒状のロータ84と、ロータ84の径方向外側に配置された略円筒状のステータ85と、を含んで構成されている。すなわち、駆動軸83が、後側から見て左側(左右方向一方側)へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0043】
駆動軸83は、駆動鋸車54の回転軸56と平行に且つ回転軸56の前側に配置されており(
図8参照)、駆動軸83の一端部が、インナハウジング80に固定された第1軸受86に回転可能に支持され、駆動軸83の他端部が、ギヤハウジング67に固定された第2軸受87に回転可能に支持されている。また、駆動軸83は、後側から見て、減速機構66の直交方向一方側に配置されている。そして、駆動軸83の他端部の外周部には、ギヤ部83Aが形成されており、ギヤ部83Aが、減速機構66のギヤ列68に連結されている。これにより、ブラシレスモータ82が、減速機構66によって駆動鋸車54の回転軸56に連結されている。また、ロータ84及びステータ85が、前述したインナハウジング80の内側吸気口80Aと、前側連通孔80B及び後側連通孔80Cと、の間に配置されている。
【0044】
ブラシレスモータ82の仕様として、ブラシレスモータ82の質量が2Kg以下であり、ブラシレスモータ82の出力が500w以上として設定されている。より詳しくは、ブラシレスモータ82の質量が、バンドソー本体40の質量の10%以下に設定されている。また、バンドソー10の全体質量は18kg以上であり、具体的には39kgとなっている。
【0045】
駆動軸83の他端側部分には、ファン88が一体回転可能に設けられており、ファン88は、所謂遠心ファンとして構成されている。ファン88は、インナハウジング80の前側連通孔80B及び後側連通孔80Cに対して、直交方向一方側に配置されている。これにより、ファン88の回転により生じる空気流によって、内側吸気口80Aからインナハウジング80に流入され且つ前側連通孔80B及び後側連通孔80Cからアウタハウジング72内に流出される冷却風ARが発生するように構成されている。
【0046】
なお、リヤフレーム部42Aでは、駆動機構70、減速機構66、及び駆動鋸車54が、揺動軸24の前側に配置されている。
【0047】
(制御部90について)
図7及び
図9に示されるように、制御部90は、アウタハウジング72の制御部収容部76Cの下端部内に収容されている。すなわち、制御部90がブラシレスモータ82の下方側に配置されている。より詳しくは、制御部90が、ブラシレスモータ82における駆動軸83の他端部及びファン88の下側に配置されている。制御部90には、ブラシレスモータ82が電気的に接続されており、制御部90によって、ブラシレスモータ82の駆動を制御するようになっている。具体的には、ブラシレスモータ82と制御部90とを接続する配線としてのリード線91が、コネクタ92を介して接続されると共に、アウタハウジング72の前部の外周部に配策されている。
【0048】
また、アウタハウジング72の後端部における傾斜方向一方側端部には、ブラシレスモータ82に電力を供給するための電源コード93が設けられており、電源コード93は、アウタハウジング72から後側へ延出されている。さらに、アウタハウジング72の後端部には、電源コード93に対して傾斜方向他方側において、スイッチコード94が設けられており、スイッチコード94は、ベースハウジング74から後側へ延出されて、スイッチ30に接続されている。電源コード93及びスイッチコード94を構成するリード線95は、コネクタ96及びフィルタ等の電子部品97を介して、制御部90に接続されている。制御部90には、ダイオードブリッジ(整流回路)、平滑コンデンサ(平滑回路)、複数のスイッチング素子(インバータ回路)、制御部(マイコン)が搭載されている。ダイオードブリッジと平滑コンデンサによって整流・平滑された交流電源からの電力がインバータ回路に入力され、マイコンがインバータ回路をPWM制御することでブラシレスモータ82が駆動する。
【0049】
また、前述したベースハウジング74には、コネクタ92の後側において、傾斜方向に延在された遮蔽壁としての前側遮蔽壁74Aが形成されており、前側遮蔽壁74Aによって、コネクタ92を収容する領域と前側風路72Aとの間が遮蔽されている。さらに、ベースハウジング74には、コネクタ96の前側において、傾斜方向他方側へ向かうに従い後側へ延在された遮蔽壁としての後側遮蔽壁74Bが形成されており、後側遮蔽壁74Bによって、コネクタ96を収容する領域と後側風路72Bとの間が遮蔽されている。
【0050】
また、アウタハウジング72の内部には、傾斜方向一方側部分において、ブラシレスモータ82の回転速度(すなわち、帯鋸62の周速度)を設定するための速度設定部材としての速度設定ダイヤル98が設けられている。速度設定ダイヤル98は、前後方向を厚み方向とする円盤状に形成されると共に、前後方向を軸方向としてベースハウジング74に回転可能に支持されており、速度設定ダイヤル98の一部が、アウタハウジング72から操作可能に露出されている。速度設定ダイヤル98の後側には、速度設定ダイヤル98の回転位置を検出するためのエンコーダ99が設けられており、エンコーダ99は、制御部90に電気的に接続されている。そして、速度設定ダイヤル98が回転することで、速度設定ダイヤル98の回転位置に応じた検出信号がエンコーダ99から制御部90へ出力され、信号の検出結果に基づいて前述したPWM制御のDuty比を変更することによってブラシレスモータ82の回転速度が変更される構成になっている。これにより、速度設定ダイヤル98の回転位置に応じて、帯鋸62の周速度が設定されるようになっている。本実施の形態では、帯鋸62の周速度が、30~130(m/min)の範囲で設定されるようになっている。帯鋸62の周速度が130(m/min)の場合には、Duty比は100%である。設定可能な最低周速である30(m/min)は、Duty比が20%以上となるよう構成されている。このようにすることで、様々な材料に対応できるよう幅広い変速範囲を確保しつつ、ブラシレスモータ82の安定した駆動を実現している。
【0051】
(作用効果)
次に本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0052】
上記のように構成されたバンドソー10では、前後方向に延在されたベース20と、ベース20の上側に設けられたフレーム42と、を含んで構成されており、フレーム42の後端部が、揺動軸24によってベース20に揺動可能に連結されている。また、フレーム42には、ブラシレスモータ82と、ブラシレスモータ82によって駆動する駆動鋸車54と、従動鋸車58と、が設けられており、駆動鋸車54及び従動鋸車58には、帯鋸62が掛け回されている。これにより、ブラシレスモータ82が駆動することで、駆動鋸車54が回転するとともに、帯鋸62が周回する。これにより、帯鋸62によって加工材に対する切断加工を施す。また、フレーム42は、後側から見て、傾斜方向に傾斜されており、帯鋸62は、一対の押えベアリングユニット64によって捻じられて、フレーム42の開口部42Dから露出された帯鋸62の刃が下側へ向いている。これにより、バンドソー10の切断性能を向上できる。
【0053】
ここで、フレーム42には、ブラシレスモータ82を制御する制御部90が設けられており、制御部90は、ブラシレスモータ82の周囲に配置されている。また、ブラシレスモータ82及び制御部90が、アウタハウジング72に収容されている。これにより、ブラシレスモータ82及び制御部90を、集約して配置して、アウタハウジング72内に収容することができる。したがって、アウタハウジング72の大型化を抑制し、ひいては、バンドソー10の大型化を抑制することができる。
【0054】
より具体的には、フレーム42が、前後方向から見て傾斜方向に傾斜しており、ブラシレスモータ82の駆動軸83が、傾斜方向と直交する直交方向を軸方向として配置されている。このため、駆動軸83が、後側から見て左側へ向かうに従い下側へ傾斜している。これにより、駆動軸83の一端部(フレーム42とは反対側の端部)が、駆動軸83の他端部(フレーム42側の端部)に対して下側に配置されるため、ベース20と駆動軸83の他端部との間の上下距離が、ベース20と駆動軸83の一端部との間の上下距離よりも長くなる。そして、制御部90が駆動軸83の他端部の下側に配置されている。このため、ブラシレスモータ82に配置形態に応じた、ベース20と駆動軸83の他端部との間の領域を有効に活用して、制御部90を配置することができる。したがって、制御部90に対する効率のよい配置構造を実現することができる。
【0055】
また、フレーム42は、フレーム42の後端部を構成するリヤフレーム部42Aと、フレーム42の前端部を構成するフロントフレーム部42Bと、フレーム42の前後方向中間部を構成するセンタフレーム部42Cと、を含んで構成されている。そして、駆動鋸車54、ブラシレスモータ82、及び制御部90が、リヤフレーム部42Aに設けられている。これにより、フレーム42の後端側に、駆動鋸車54、ブラシレスモータ82、及び制御部90を集約して配置することができる。
【0056】
また、フレーム42では、リヤフレーム部42Aの後端部が揺動軸24によってベース20に揺動可能に連結されており、駆動機構70がリヤフレーム部42Aに設けられている。すなわち、駆動機構70を構成するブラシレスモータ82、制御部90、電源コード93、スイッチコード94等の構成部品を揺動軸24の近傍に配置することができる。より詳しくは、これらの構成部品を、前後方向において、揺動軸24と、フレーム42の開口部42Dから露出された帯鋸62と、の間に配置することができる。これにより、バンドソー本体40を初期位置から揺動させたときの駆動機構70によるモーメントによる影響を受けにくくして、フレーム42の開口部42Dから露出された帯鋸62によって加工材に対する切断加工を行うことができる。したがって、バンドソー10の大型化を抑制しつつ切断性能を向上することができる。また、電源コード93と制御部90とを近接して配置することが可能となるため、配線を短くすることができ、さらに組み立て性を向上させることができる。
【0057】
また、アウタハウジング72の内部には、ブラシレスモータ82を収容するインナハウジング80が設けられている。さらに、ブラシレスモータ82の駆動軸83が、減速機構66によって駆動鋸車54の回転軸56に連結されると共に、回転軸56よりも前側に配置されている。そして、制御部90が、インナハウジング80の前端よりも後側に配置されている。これにより、回転軸56と駆動軸83との間を連結する減速機構66の前後方向の領域を有効に活用して、制御部90を配置することができる。
【0058】
また、ベース20には、加工材を挟持する第1バイス26及び第2バイス28が設けられており、第1バイス26及び第2バイス28が、アウタハウジング72よりも前方側に配置されている。これにより、加工材を制御部90に対して前方側に離間して配置して、加工材に対して切断加工を施すことができる。したがって、制御部90に対する保護性能を向上できる。
【0059】
また、アウタハウジング72には、複数の外側吸気口76B及び排気口76Dが設けられており、外側吸気口76Bが排気口76Dの上側に配置されている。これにより、加工材に対する切断加工時において、バンドソー10が設置される設置面上に滞留する切粉が、外側吸気口76Bからアウタハウジング72内に流入されることを抑制できる。
【0060】
また、ブラシレスモータ82の駆動軸83には、ファン88が一体回転可能に設けられている。さらに、インナハウジング80には、内側吸気口80Aが形成されており、内側吸気口80Aが外側吸気口76Bの直交方向他方側に配置されている。また、インナハウジング80には、前側連通孔80B及び後側連通孔80Cが形成されており、前側連通孔80B及び後側連通孔80Cによってインナハウジング80の内部とアウタハウジング72の内部とが連通されている。これにより、ファン88の回転により生じる空気流によって、外側吸気口76B及び内側吸気口80Aからインナハウジング80内に流入される冷却風ARを発生させることができる。また、冷却風ARを、前側連通孔80B及び後側連通孔80Cからアウタハウジング72内に流入させて、制御部収容部76Cの排気口76Dから排気することができる(
図7及び
図9参照)。これにより、冷却風ARによってブラシレスモータ82及び制御部90を冷却することができる。
【0061】
また、アウタハウジング72の内部に、ブラシレスモータ82を収容するインナハウジング80を設けることで、アウタハウジング72の内部において、インナハウジング80の外周部に沿った前側風路72A及び前側風路72Aを形成することができる。これにより、インナハウジング80の内部において冷却風ARを通過させる風路と、インナハウジング80の外部において制御部収容部76Cへ冷却風ARを導く前側風路72A及び前側風路72Aを形成することができる。したがって、ブラシレスモータ82及び制御部90に対する冷却効果を高くすることができる。
【0062】
また、アウタハウジング72のベースハウジング74には、コネクタ92の後側において、傾斜方向に延在された前側遮蔽壁74Aが形成されており、前側遮蔽壁74Aによって、コネクタ92を収容する領域と前側風路72Aとの間が遮蔽されている。さらに、ベースハウジング74には、コネクタ96の前側において、傾斜方向他方側へ向かうに従い後側へ延在された後側遮蔽壁74Bが形成されており、後側遮蔽壁74Bによって、コネクタ96を収容する領域と後側風路72Bとの間が遮蔽されている。これにより、冷却風ARの前側風路72A及び後側風路72Bの通過時に、冷却風ARがコネクタ92及びコネクタ96側に流れることを抑制できる。このため、仮に、粉塵が、冷却風ARと共に、外側吸気口76B及び内側吸気口80Aからアウタハウジング72内に流入された場合でも、当該粉塵がコネクタ92及びコネクタ96に付着することを抑制できる。したがって、バンドソー10の信頼性を向上することができる。
【0063】
また、駆動機構70では、上下方向において、アウタハウジング72のモータ収容部76Aの底壁が第1バイス26と重なる位置に配置されて、第1バイス26が、アウタハウジング72の前側においてモータ収容部76Aよりも左側に突出している。これにより、第1バイス26をアウタハウジング72に対する保護部品として機能させることができる。その結果、例えば、バンドソー10の運搬時等において、アウタハウジング72が周囲の部品に衝突することを、第1バイス26によって抑制できる。したがって、駆動機構70の保護性能を向上することができる。
【0064】
また、駆動機構70では、ブラシレスモータ82の質量が2kg以下で、ブラシレスモータの出力が500w以上に設定されている。これにより、バンドソー10の軽量化を図りつつ、バンドソー10の高出力化を図ることができる。
【0065】
また、バンドソー10では、帯鋸62の周速度が、30~130m/minの間で変更可能に構成されている。これにより、例えば、加工材の材料や大きさに応じて、帯鋸62の周速度を変更して、加工材に対する切断加工を行うことができる。
【0066】
また、ブラシレスモータ82の質量が、フレーム42の質量の10%以下に設定されている。これにより、フレーム42を初期位置から揺動方向一方側へ揺動させた状態で行う切断加工に対するブラシレスモータ82の質量の影響を抑制できる。また、前後方向におけるバンドソー本体40の重量バランスを良好にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 バンドソー(作業機)
20 ベース
24 揺動軸
26 第1バイス(バイス)
28 第2バイス(バイス)
42 フレーム(本体部)
42A リヤフレーム部(後側本体部)
42B フロントフレーム部(前側本体部)
42C センタフレーム部(中間本体部)
54 駆動鋸車
56 回転軸
58 従動鋸車
66 減速機構(伝達機構)
72 アウタハウジング(ハウジング)
72A 前側風路(風路)
72B 後側風路(風路)
74A 前側遮蔽壁(遮蔽壁)
74B 後側遮蔽壁(遮蔽壁)
76B 外側吸気口(吸気口)
76D 排気口
80 インナハウジング
82 ブラシレスモータ(原動機)
83 駆動軸
88 ファン
90 制御部
91 リード線(配線)
92 コネクタ
95 リード線(配線)
96 コネクタ