(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車両側部の車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20240910BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B62D25/04 A
B62D25/20 F
(21)【出願番号】P 2020205751
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】今田 光彦
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/155538(WO,A1)
【文献】特開2016-060402(JP,A)
【文献】特開2016-060401(JP,A)
【文献】特開平02-041981(JP,A)
【文献】実開昭63-051822(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0106154(US,A1)
【文献】特開2008-247133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の下部で前後方向に延びるサイドシルを構成するサイドシルアウタリンフォースと、
下端部に前記サイドシルアウタリンフォース
の車幅方向外側の面と接合される接合面部を有し、車両上下方向に延びるフロン
トピラーロアを構成するフロントピラーロアアウタリンフォースと、
前記サイドシルアウタリンフォースから上方に離れた位置で前記フロントピラーロアアウタリンフォースの車幅方向外側の面に接合され、ドアのヒンジが固定されるヒンジブラケットと、
前記ヒンジブラケット
の車幅方向外側の面から前記フロントピラーロアアウタリンフォースの前記接合面部にわたって延設され、前記ヒンジブラケット
の車幅方向外側の面と前記フロントピラーロアアウタリンフォース
の車幅方向外側の面に接合されるサポートリンフォースと、を備える
ことを特徴とする車両側部の車体構造。
【請求項2】
前記サポートリンフォースには、車幅方向外側に突設され、車両前後方向に延在するビードが設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の車両側部の車体構造。
【請求項3】
前記サイドシルアウタリンフォースには、車両前後方向に延在する稜線が形成され、
前記ビードは、車幅方向から見て前記稜線と重なる位置または近傍の位置で前記稜線に沿って車両前後方向に延在する
ことを特徴とする請求項2記載の車両側部の車体構造。
【請求項4】
前記ビードは、車幅方向から見て前記フロントピラーロアアウタリンフォースの前記接合面部と重なる位置または近傍の位置で車両前後方向に延在する
ことを特徴とする請求項2または3記載の車両側部の車体構造。
【請求項5】
前記サポートリンフォースは、その下部が前記フロントピラーロアアウタリンフォースの前記接合面部に複数の第1接合点で接合され、
前記フロントピラーロアアウタリンフォースの前記接合面部は、前記サイドシルアウタリンフォースの車幅方向外側を向いたアウタ本体板部に重ねられ、前記第1接合点より下方の位置において複数の第2接合点で前記アウタ本体板部に接合されている、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の車両側部の車体構造。
【請求項6】
前記第1接合点は、車両前後方向に所定の間隔を開けて設けられ、
前記第2接合点は、車両前後方向に所定の間隔を開けて設けられ、
前記第1接合点と前記第2接合点とが上下方向で位置が重ならないように車両前後方向で交互に配置されている
ことを特徴とする請求項5記載の車両側部の車体構造。
【請求項7】
前記サイドシルアウタリンフォースの車幅方向内側の面に接合されるサイドシルサブリンフォースを備え、
前記フロントピラーロアアウタリンフォースと前記サイドシルアウタリンフォースと前記サイドシルサブリンフォースとが前記第2接合点で接合されている
ことを特徴とする請求項5または6記載の車両側部の車体構造。
【請求項8】
前記フロントピラーロアアウタリンフォースの車幅方向内側の面に接合されるヒンジリンフォースを備え、
前記ヒンジブラケットの下部は、前記ヒンジリンフォースの下端部より下方に延長され、
前記ヒンジリンフォースの下端部が前記フロントピラーロアアウタリンフォースと前記ヒンジブラケットに同一の接合点で接合され、
前記サポートリンフォースの上端部が前記ヒンジブラケットの下部と前記フロントピラーロアアウタリンフォースに同一の接合点で接合される
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の車両側部の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両側部の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の両側部に、車両骨格部材として、ルーフパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在するルーフレールと、フロアパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在するサイドシルと、上下方向に延在しルーフレールの前端とサイドシルの前端とを連結するフロントピラーが設けられた車両が提供されている。
フロントピラーは、その上端がルーフレールの前端に連結されたフロントピラーアッパと、その上端がフロントピラーアッパの下端に連結されその下端がサイドシルの前端に連結されたフロントピラーロアとを含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両において、車体の前側と、対象物と、の車幅方向のオーバーラップ量が少ない衝突(いわゆるスモールオーバーラップ衝突)が発生して、大きな荷重が前輪を介してフロントピラーロアに入力した場合、その荷重はフロントピラーロアからサイドシルに伝達される。
この際、如何にしてフロントピラーロアからサイドシルに効率よく荷重の伝達を行なうかが、フロントピラーロアの変形を抑制する上で重要となる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたもので、本発明の目的は、荷重の伝達を効率よく行なう上で有利な車両側部の車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、車両側部の車体構造であって、車両の下部で前後方向に延びるサイドシルを構成するサイドシルアウタリンフォースと、下端部に前記サイドシルアウタリンフォースと接合される接合面部を有し、車両上下方向に延びるフロンピラーロアを構成するフロントピラーロアアウタリンフォースと、前記サイドシルアウタリンフォースから上方に離れた位置で前記フロントピラーロアアウタリンフォースの車幅方向外側の面に接合され、ドアのヒンジが固定されるヒンジブラケットと、前記ヒンジブラケットから前記フロントピラーロアアウタリンフォースの前記接合面部にわたって延設され、前記ヒンジブラケットと前記フロントピラーロアアウタリンフォースとに接合されるサポートリンフォースを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、フロントピラーロアアウタリンフォースの接合面部とヒンジブラケットとの間はフロントピラーロアアウタリンフォースのみが位置しているものの、ヒンジブラケットから接合面部にわたるフロントピラーロアアウタにわたってサポートリンフォースが接合されている。
したがって、ヒンジブラケットの下端とフロントピラーロアアウタリンフォースの接合面部との間が、フロントピラーロアアウタリンフォースとサポートリンフォースとの2つの部材で構成されているため、フロントピラーロアアウタリンフォースとサイドシルアウタリンフォースとの接合部分の強度、剛性が確保されている。
そのため、車体の前側と、対象物と、の車幅方向のオーバーラップ量が少ないスモールオーバーラップ衝突が発生した場合、大きな荷重が前輪を介してフロントピラーの下部に入力した場合、フロントピラーからサイドシルへの荷重の伝達が効率よくなされ、フロントピラーロアが変形することを抑制する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の車両側部の車体構造が適用された車両の斜視図である。
【
図2】実施の形態の車両側部の車体構造を車幅方向外側から見た説明図である。
【
図5】実施の形態の車両側部の車体構造の斜視図であり、フロントピラーロアアウタリンフォースとサイドシルアウタリンフォースとヒンジブラケットとサポートリンフォースが接合された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号INは車幅方向内側、符号OUTは車幅方向外側を示す。
図1に示すように、車両の車体10の両側部には、車両骨格部材として、ルーフレール12、フロントピラー14、センターピラー16、リアピラー18、サイドシル20がそれぞれ設けられている。
ルーフレール12は、車室空間の上方を覆うルーフパネル22の車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在している。
フロントピラー14は、上下方向に延在しルーフレール12の前端とサイドシル20の前端とを連結している。
センターピラー16は、上下方向に延在しルーフレール12の中間部とサイドシル20の中間部とを連結している。
リアピラー18は、上下方向に延在しルーフレール12の後端とサイドシル20の後端とを連結している。
【0009】
サイドシル20は、車両の下部でフロアパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在している。
図3に示すようにサイドシル20は、サイドシルインナ24と、サイドシルサブリンフォース26と、サイドシルアウタリンフォース28と、前蓋部30と、後蓋部32とを備えている。
サイドシルインナ24は、サイドシルアウタリンフォース28の車幅方向内側に配置されている。
サイドシルインナ24は、車幅方向内側に凸のハット形状を呈している。
サイドシルインナ24は、インナ本体板部2402と、インナ本体板部2402の上下から車幅方向外側に突出する上下のインナ側板部2404、2406と、上下のインナ側板部2404、2406の端部から上方または下方に延在する上下のインナフランジ部2408、2410とを含んで構成されている。
【0010】
サイドシルアウタリンフォース28は、アウタ本体板部2802と、アウタ本体板部2802の上下から車幅方向内側に突出する上下のアウタ側板部2804、2806と、上下のアウタ側板部2804、2806の端部から上方または下方に延在する上下のアウタフランジ部2808、2810とを含んで構成されている。
サイドシルインナ24の上下のインナフランジ部2408、2410とサイドシルアウタリンフォース28の上下のアウタフランジ部2808、2810とは接合され、したがって、サイドシルインナ24とサイドシルアウタリンフォース28とにより閉断面構造が形成されている。
【0011】
サイドシルサブリンフォース26は、サイドシルアウタリンフォース28の車幅方向内側に配置されている。
サイドシルサブリンフォース26は、アウタ本体板部2802の車幅方向内側の面に重ね合わされるリンフォース本体板部2602と、上下のアウタ側板部2804、2806にそれぞれ重ね合わされ溶接により接合される上下のリンフォース側板部2604、2606とを含んで構成されている。
すなわち、サイドシルサブリンフォース26は、サイドシルアウタリンフォース28の車幅方向内側の面に接合されている。
前蓋部30は、閉断面構造をなすサイドシル20の前端に接合され、後蓋部32は、サイドシル20の後端に接合され、サイドシルインナ24とサイドシルアウタリンフォース28とにより形成される閉断面構造の内部空間を車両前端と車両後端とで閉塞している。
【0012】
図1に示すように、フロントピラー14は、上端がルーフレール12の前端に連結されるフロントピラーアッパ34と、上端がフロントピラーアッパ34の下端に接合され下端がサイドシル20の前端に接合され車両上下方向に延びるフロントピラーロア36とで構成されている。
【0013】
図4に示すように、フロントピラーロア36は、車幅方向に対向して配置されたフロントピラーロアインナ38およびフロントピラーロアアウタリンフォース40と、それらフロントピラーロアインナ38、フロントピラーロアアウタリンフォース40の間に配置された上補強部材42、下補強部材44、ヒンジリンフォース46とを含んで構成されている。
【0014】
図4に示すように、フロントピラーロアインナ38はフロントピラーロアアウタリンフォース40の車幅方向内側に配置されている。
フロントピラーロアインナ38は、前輪60(
図2参照)に対応した形状の円弧状の欠部3801が設けられたロアインナ本体板部3802と、ロアインナ本体板部3802の上部から車幅方向内側に延在するロアインナ上板部3804と、ロアインナ本体板部3802の車両後部から車幅方向内側に延在するロアインナ側板部3806と、ロアインナ側板部3806の車幅方向内側端から車両後方に延在するロアインナフランジ部3808とを有している。
図6に示すように、フロントピラーロアインナ38の下部で車両後部は、サイドシルインナ24の車両前部のインナ本体板部2402に接合されている。
図示されていないが、上補強部材42は、フロントピラーロアインナ38の車両後部の上部の車幅方向外側に接合されている。
図4、
図6に示すように、下補強部材44は、フロントピラーロアインナ38の車両後部の下部の車幅方向外側に接合されている。
【0015】
図4に示すように、フロントピラーロアアウタリンフォース40は、フロントピラーロアインナ38の車両後部の車幅方向外側で上下方向に延在している。
フロントピラーロアアウタリンフォース40は、アウタ本体板部4002と、アウタ前板部4004と、アウタ前フランジ部4006と、アウタ後板部4008と、アウタ後フランジ部4010と、アウタ上フランジ部4012とを有している。
アウタ本体板部4002は、フロントピラーロアアウタリンフォース40の最も車幅外側に位置して上下方向に延在する前部アウタ本体板部4002Aと、前部アウタ本体板部4002Aの上部から斜め後方に延在する上部アウタ本体板部4002Bと、前部アウタ本体板部4002Aの下部から車両後方に延在する下部アウタ本体板部4002Cとを有している。
アウタ前板部4004は、前部アウタ本体板部4002Aの車両前部から車幅方向内側に延在している。
アウタ前フランジ部4006は、アウタ前板部4004の車両前端から車両前方に延在している。
アウタ後板部4008は、前部アウタ本体板部4002Aおよび上部アウタ本体板部4002Bの車両後部から車幅方向内側に延在している。
アウタ後フランジ部4010は、アウタ後板部4008の車両後端から車両後方に延在している。
アウタ上フランジ部4012は、上部アウタ本体板部4002Bの上部から車幅方向内側に延在している。
【0016】
図4に示すように、ヒンジリンフォース46は、リンフォース本体板部4602と、リンフォース前板部4604と、リンフォース後板部4606と、リンフォース上フランジ部4608とを備えている。
リンフォース本体板部4602は、ヒンジリンフォース46の最も車幅外側に位置して上下方向に延在する前部リンフォース本体板部4602Aと、前部リンフォース本体板部4602Aの上部から斜め後方に延在する上部リンフォース本体板部4602Bとを備えている。
リンフォース前板部4604は、前部リンフォース本体板部4602Aの車両前部から車幅方向内側に延在している。
リンフォース後板部4606は、前部リンフォース本体板部4602Aおよび上部リンフォース本体板部4602Bの車両後部から車幅方向内側に延在している。
リンフォース上フランジ部4608は、上部リンフォース本体板部4602Bの上部から車幅方向内側に延在し、リンフォース前板部4604の上端に接続されている。
前部リンフォース本体板部4602Aと上部リンフォース本体板部4602Bとは、フロントピラーロアアウタリンフォース40の前部アウタ本体板部4002Aと上部アウタ本体板部4002Bの車幅方向内側の面に接合されている。
リンフォース前板部4604はフロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ前板部4004の車両後方を向いた面に接合され、リンフォース上フランジ部4608はフロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ上フランジ部4012の下方を向いた面に接合され、リンフォース後板部4606はフロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ後板部4008の車両前方を向いた面に接合されている。
すなわち、ヒンジリンフォース46は、フロントピラーロアアウタリンフォース40の車幅方向内側の面に接合されている。
図6に示すように、ヒンジリンフォース46の下端部は、後述するフロントピラーロアアウタリンフォース40とヒンジブラケット50に同一の接合点P0で接合されている。
【0017】
図4に示すように、フロントピラーロアアウタリンフォース40は、アウタ本体板部4002をフロントピラーロアインナ38のロアインナ本体板部3802に対向させ、アウタ前フランジ部4006をフロントピラーロアインナ38のロアインナ本体板部3802に接合し、アウタ上フランジ部4012をフロントピラーロアインナ38のロアインナ上板部3804に接合し、アウタ後フランジ部4010をフロントピラーロアインナ38のロアインナフランジ部3808に接合している。
さらに
図5に示すように、下部アウタ本体板部4002Cは、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の車両前部の上部に接合され、アウタ後板部4008の下端は、サイドシルアウタリンフォース28の上側のアウタ側板部2804に接合され、アウタ後フランジ部4010の車両後端は、サイドシルアウタリンフォース28の上側のアウタフランジ部2808に接合されている。
【0018】
なお、図示されていないが、アウタ後フランジ部4010が接合されたサイドシルアウタリンフォース28の上側のアウタフランジ部2808の車幅方向内側の面にはフロントピラーロアインナ38のロアインナフランジ部3808が接合され、したがって、アウタ後フランジ部4010とロアインナフランジ部3808とは、サイドシルアウタリンフォース28の上側のアウタフランジ部2808の箇所を除いて相互に接合されている。
また、
図5に示すように、アウタ前板部4004の下端は、前蓋部30の正面板部3002に接合され、アウタ前フランジ部4006の下端は、前蓋部30のフランジ部3004に接合されている。
それらフロントピラーロアアウタリンフォース40の下端である下部アウタ本体板部4002Cの下端、アウタ後板部4008の下端、アウタ後フランジ部4010の車両後端、アウタ前板部4004の下端、アウタ前フランジ部4006の下端とがサイドシルアウタリンフォース28の前端に接合されている。
そして、
図5、
図6に示すように、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802に接合されている下部アウタ本体板部4002Cの部分、言い換えると、サイドシルアウタリンフォース28に接合されているサイドシルアウタリンフォース28の下端部によって接合面部48が構成されている。
なお、図中記号×は溶接箇所を示している。
【0019】
図4、
図5に示すように、接合面部48から上方に離れたフロントピラーロアアウタリンフォース40の前部アウタ本体板部4002Aの下部にフロントドアの下部のヒンジが結合されるヒンジブラケット50が接合されている。
言い換えると、ヒンジブラケット50は、サイドシルアウタリンフォース28から上方に離れた位置でフロントピラーロアアウタリンフォース40の車幅方向外側の面に接合されている。
図5、
図6に示すように、ヒンジブラケット50の下部は、ヒンジリンフォース46の下端部より下方に延長されている。
図4、
図5に示すように、ヒンジブラケット50は、ヒンジブラケット本体板部5002と、取り付け座5004と、ヒンジブラケット前フランジ部5006と、ヒンジブラケット後フランジ部5008とを備えている。
ヒンジブラケット本体板部5002は、上下方向に延在し前部アウタ本体板部4002Aに接合される箇所であり、取り付け座5004は、ヒンジブラケット本体板部5002の上下方向の中間部に設けられている。
図5に示すように、取り付け座5004は、ヒンジブラケット本体板部5002から上下方向において互いに対向しつつ車幅方向外側に突出する上側板部5004Aおよび下側板部5004Bと、車両前後方向において互いに対向しつつ車幅方向外側に突出する前側板部5004Cおよび後側板部5004Dと、それら4つの側板部5004A-5004Dの先端を接続する取り付け板部5004Eとを備えている。
図6に示すように、上側板部5004Aと取り付け板部5004Eと下側板部5004Bの車幅方向内側の箇所にわたりドアブラケット52が取り付けられている。
図4、
図5に示すように、ヒンジブラケット前フランジ部5006はヒンジブラケット本体板部5002の車両前部から車幅方向内側に突出され、ヒンジブラケット後フランジ部5008はヒンジブラケット本体板部5002の車両後部から車幅方向内側に突出されている。
ヒンジブラケット前フランジ部5006は、フロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ前板部4004に接合され、ヒンジブラケット後フランジ部5008は、フロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ後板部4008に接合されている。
【0020】
図5、
図6に示すように、ヒンジブラケット50からフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48にわたってサポートリンフォース54が延設され、サポートリンフォース54はヒンジブラケット50とフロントピラーロアアウタリンフォース40とに接合されている。
図6に示すように、サポートリンフォース54の上端はヒンジリンフォース46の下端よりも下方に離れた箇所に位置している。
図5に示すように、サポートリンフォース54は、サポートリンフォース本体板部5402と、サポートリンフォース前板部5404と、サポートリンフォース後板部5406とをそなえている。
サポートリンフォース本体板部5402は車幅方向外側に向いた箇所である。
図6に示すように、サポートリンフォース本体板部5402の上部は、フロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ本体板部4002と、ヒンジブラケット50の取り付け座5004の下方のヒンジブラケット本体板部5002とに重ね合わされ、それら3つの部材が同一の箇所P1で接合されている。
言い換えると、サポートリンフォース54の上端部は、ヒンジブラケット50の下部の延長された部位とフロントピラーロアアウタリンフォース40に同一の接合点P1で接合されている。
図5に示すように、サポートリンフォース本体板部5402の下部は、下方に至るにつれて車両後部の箇所が車両後方に変位し、したがって、サポートリンフォース本体板部5402の下部は下方に至るにつれて次第に幅広に形成されている。
【0021】
図2、
図4、
図5、
図6に示すように、サポートリンフォース本体板部5402の下部には、車幅方向外側に突設され、車両前後方向に延在するビード5408が設けられている。
また、
図2、
図5、
図6に示すように、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802と上側のアウタ側板部2804との境の箇所に稜線Rが形成され、ビード5408は、車幅方向から見て稜線Rと重なる位置または近傍の位置で稜線Rに沿って車両前後方向に延在している。
また、ビード5408は、車幅方向から見てフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48と重なる位置または近傍の位置で車両前後方向に延在している。
【0022】
図6に示すように、サポートリンフォース本体板部5402の下部でビード5408よりも上方の箇所は、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の車幅方向外側において、フロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ本体板部4002に重ね合わされて接合されている。
なお、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の車幅方向外側において、サポートリンフォース本体板部5402の下部は、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802には接合されていない。
【0023】
図5、
図6に示すように、サポートリンフォース本体板部5402の下部でビード5408よりも下方の箇所は、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の車幅方向外側において、フロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48に複数の第1接合点56で接合されている。
また、フロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48は、サイドシルアウタリンフォース28の車幅方向外側を向いたアウタ本体板部2802に重ねられ、第1接合点56より下方の位置において複数の第2接合点58でアウタ本体板部2802に接合されている。
また、
図5に示すように、第1接合点56は、車両前後方向に所定の間隔を開けて設けられ、第2接合点58は、車両前後方向に所定の間隔を開けて設けられ、第1接合点56と第2接合点58とが上下方向で位置が重ならないように車両前後方向で交互に配置されている。
また、フロントピラーロアアウタリンフォース40の下部アウタ本体板部4002Cとサイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802とサイドシルサブリンフォース26のリンフォース本体板部2602とが第2接合点58で接合されている。
【0024】
なお、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の車幅方向外側において、サポートリンフォース本体板部5402の下部は、サイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802には接合されていない。
したがって、サイドシルアウタリンフォース28に対するフロントピラーロアアウタリンフォース40とサポートリンフォース54との接合構造は、サイドシルアウタリンフォース28のサイドシルアウタリンフォース28の車幅方向外側において、サイドシルアウタリンフォース28に接合されずフロントピラーロアアウタリンフォース40とサポートリンフォース54とが接合される第1接合点56と、サポートリンフォース54に接合されずフロントピラーロアアウタリンフォース40とサイドシルアウタリンフォース28とが接合される第2接合点58とが車両前後方向に交互に並べられて構成されている。
【0025】
サポートリンフォース前板部5404は、サポートリンフォース本体板部5402の前端から車幅方向内側に突出し、サポートリンフォース前板部5404の上部は、ヒンジブラケット50のヒンジブラケット前フランジ部5006に接合され、サポートリンフォース前板部5404の下部は、フロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ前板部4004に接合されている。
サポートリンフォース後板部5406は、サポートリンフォース本体板部5402の後端から車幅方向内側に突出し、サポートリンフォース後板部5406の上部は、ヒンジブラケット50のヒンジブラケット後フランジ部5008に接合され、サポートリンフォース後板部5406の下部は、フロントピラーロアアウタリンフォース40のアウタ後板部4008にわたって接合されている。
【0026】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、フロントピラーロアアウタリンフォース40の下端部にサイドシルアウタリンフォース28と接合される接合面部48を設け、サイドシルアウタリンフォース28から上方に離れた位置でフロントピラーロアアウタリンフォース40の車幅方向外側の面にヒンジブラケット50を接合し、ヒンジブラケット50からフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48にわたってサポートリンフォース54を延設し、サポートリンフォース54をヒンジブラケット50とフロントピラーロアアウタリンフォース40とに接合した。
そのため、フロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48とヒンジブラケット50との間はフロントピラーロアアウタリンフォース40のみが位置しているものの、ヒンジブラケット50から接合面部48にわたるフロントピラーロアアウタリンフォース40にわたってサポートリンフォース54が接合されている。
したがって、ヒンジブラケット50の下端と接合面部48との間が、フロントピラーロアアウタリンフォース40とサポートリンフォース54との2つの部材で構成されているため、フロントピラーロアアウタリンフォース40とサイドシルアウタリンフォース28との接合部分の強度、剛性が確保されている。
そのため、車体10の前側と、対象物と、の車幅方向のオーバーラップ量が少ない衝突(いわゆるスモールオーバーラップ衝突)の場合、
図2に示すように、大きな荷重が前輪60を介してフロントピラー14の下部に入力した場合、フロントピラー14からサイドシル20への荷重の伝達が効率よくなされ、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上で有利となる。
【0027】
また、本実施の形態では、サポートリンフォース本体板部5402の下部には、車幅方向外側に突設され、車両前後方向に延在するビード5408が設けられているので、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントピラーロアアウタリンフォース40に加わった荷重は、サポートリンフォース54のビード5408に沿ってサイドシル20に効率よく伝達されることで、サイドシル20への荷重の伝達がより効率よくなされ、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、サイドシルアウタリンフォース28に稜線Rが形成され、ビード5408は、車幅方向から見て稜線Rと重なる位置または近傍の位置で稜線Rに沿って車両前後方向に延在しているので、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントピラーロアアウタリンフォース40に加わった荷重は、サポートリンフォース54のビード5408とサイドシルアウタリンフォース28の稜線Rとに沿ってサイドシル20に効率よく伝達されることで、サイドシル20への荷重の伝達がより効率よくなされ、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上でより一層有利となる。
また、本実施の形態では、ビード5408は、車幅方向から見てフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48と重なる位置または近傍の位置で車両前後方向に延在しているので、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントピラーロアアウタリンフォース40に加わった荷重は、サポートリンフォース54のビード5408とフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48とに沿ってサイドシル20に効率よく伝達されることで、サイドシル20への荷重の伝達がより効率よくなされ、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上でより一層有利となる。
【0028】
また、本実施の形態では、サポートリンフォース54の下部がフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48に複数の第1接合点56で接合され、この接合面部48は、サイドシルアウタリンフォース28の車幅方向外側を向いたアウタ本体板部2802に重ねられ、第1接合点56より下方の位置において複数の第2接合点58でアウタ本体板部2802に接合されている。
したがって、フロントピラーロアアウタリンフォース40にヒンジブラケット50とサポートリンフォース54を接合して組み付けた状態で、このフロントピラーロアアウタリンフォース40をサイドシルアウタリンフォース28に接合させることができるので、組み立て作業の効率を向上させる上で有利となり、生産性を向上させる上で有利となる。
【0029】
また、本実施の形態では、第1接合点56および第2接合点58は、車両前後方向に所定の間隔を開けて設けられ、第1接合点56と第2接合点58とが上下方向で位置が重ならないように車両前後方向で交互に配置されている。
したがって、スモールオーバーラップ衝突時に、荷重は、サポートリンフォース54の第1接合点56からフロントピラーロアアウタリンフォース40の接合面部48を介してサイドシルアウタリンフォース28の第2接合点58に、第2接合点58から接合面部48を介してサポートリンフォース54の第1接合点56に、第1接合点56から接合面部48を介してサイドシルアウタリンフォース28の第2接合点58へと交互に車両後方に向かって伝達される。
すなわち、サポートリンフォース54とサイドシルアウタリンフォース28とフロントピラーロアアウタリンフォース40との3つの部材を一体的に接合していないにも拘わらず、フロントピラーロアアウタリンフォース40に入力した荷重を、第1接合点56と第2接合点58を介してサイドシルアウタリンフォース28に効率よく伝達する上で有利となる。
【0030】
なお、フロントピラーロアアウタリンフォース40の下端をサイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の下部まで延在させることで、溶接(スポット溶接)を行なうに足るスペースを十分に確保し、サポートリンフォース54とサイドシルアウタリンフォース28とフロントピラーロアアウタリンフォース40との3つの部材を一体的に接合することが考えられる。
しかしながら、このようにフロントピラーロアアウタリンフォース40の下端をサイドシルアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802の下部まで延在させると、フロントピラーロアアウタリンフォース40の重量が増大し車両の軽量化を図る上で不利となる。
すなわち、本実施の形態のように第1接合点56と第2接合点58とを設けることにより、車両の重量増を抑制しつつ、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントピラーロアアウタリンフォース40に入力した荷重を、第1接合点56からその後方に隣接する第2接合点58を介してサイドシルアウタリンフォース28に効率よく伝達することができ、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上で有利となる。
【0031】
また、本実施の形態では、サイドシルアウタリンフォース28の車幅方向内側の面に接合されるサイドシルサブリンフォース26を備え、フロントピラーロアアウタリンフォース40とサイドシルアウタリンフォース28とサイドシルサブリンフォース26とが第2接合点58で接合されている。
したがって、サイドシルアウタリンフォース28の強度、剛性が高められることにより、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントピラーロアアウタリンフォース40からサイドシル20に加わった荷重Fが第2接合点58で接合されたサイドシルアウタリンフォース28とサイドシルサブリンフォース26に効率よく伝達され、言い換えると、サイドシル20の前方から後方に向かって効率よく伝達されることで、サイドシル20での荷重の伝達がより効率よくなされ、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上でより有利となる。
【0032】
また、本実施の形態では、フロントピラーロアアウタリンフォース40の車幅方向内側の面に接合されるヒンジリンフォース40を設け、ヒンジブラケット50の下部は、ヒンジリンフォース40の下端部より下方に延長され、ヒンジリンフォース46の下端部がフロントピラーロアアウタリンフォース40とヒンジブラケット50に同一の接合点P0で接合され、サポートリンフォース54の上端部がヒンジブラケット50の下部とフロントピラーロアアウタリンフォース40に同一の接合点P1で接合されている。
したがって、ヒンジリンフォース40によりフロントピラーロア36の強度、剛性が高められることに加え、ヒンジブラケット50の下部とフロントピラーロアアウタリンフォース40とヒンジリンフォース46の下端部との接合部分の強度、剛性が確保されると共に、サポートリンフォース54の上端部とヒンジブラケット50の下部とフロントピラーロアアウタリンフォース40との接合部分の強度、剛性が確保されている。
そのため、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントピラーロアアウタリンフォース40に加わった荷重は、サイドシルアウタリンフォース28に効率よく伝達されので、フロントピラーロア36が変形することを抑制する上で有利となる。
【符号の説明】
【0033】
10 車体
12 ルーフレール
14 フロントピラー
20 サイドシル
24 サイドシルインナ
26 サイドシルサブリンフォース
28 サイドシルアウタリンフォース
2802 アウタ本体板部
34 フロントピラーアッパ
36 フロントピラーロア
38 フロントピラーロアインナ
40 フロントピラーロアアウタリンフォース
46 ヒンジリンフォース
48 接合面部
50 ヒンジブラケット
54 サポートリンフォース
5408 ビード
56 第1接合点
58 第2接合点
R 稜線
P1、P2 接合点