(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】光照射ユニット及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240910BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/01 129
H05K3/00 H
(21)【出願番号】P 2020209213
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 真裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158808(WO,A1)
【文献】特開2014-044814(JP,A)
【文献】特開2015-058670(JP,A)
【文献】特開2016-122717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033089(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 21/00-30/06
B41J 2/01- 2/215
F21S 2/00
F21V 8/00
23/00-99/00
H01L 33/00
33/48-33/64
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
ヒートシンクと、
前記光源が取り付けられると共に、前記光源に接続された配線を有する基板と、
前記ヒートシンクを前記基板に固定する固定部と、を備え、
複数の前記光源は、第1方向に並んで光源列を成し、
前記光源列は、前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ第1光源列及び第2光源列を有し、
前記固定部は、前記第1光源列中の隣接する前記光源の間に配置されている一方、前記第2光源列中には配置されておらず、
前記配線は、前記第1光源列の前記光源に接続された第1配線、及び、前記第2光源列の前記光源に接続された第2配線を有し、
前記第1配線は、前記固定部を迂回するための第1迂回部分を有し、
前記第2配線は、前記第1方向とは異なる方向成分を有する第2迂回部分を有している、光照射ユニット。
【請求項2】
前記第2光源列は、前記第1方向における一端にある一端光源と、前記第1方向における他端にある他端光源とを含み、
前記第2迂回部分は、前記第1方向において前記一端光源と前記他端光源との間に配置されている、請求項1に記載の光照射ユニット。
【請求項3】
前記第2配線は、前記第2光源列の前記光源に接続され且つ前記第1方向に延びる接続部分を有し、
前記第2迂回部分は、前記接続部分よりも前記固定部に近接する位置に設けられている、請求項1又は2に記載の光照射ユニット。
【請求項4】
前記基板は、前記光源が取り付けられた表面を有し、
前記第2迂回部分は、前記第2方向において前記固定部に並び且つ前記第2光源列において前記第1方向に隣接する前記光源の間の前記表面上のスペースに設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項5】
前記第2光源列では、前記第1方向において前記スペースを互いの間に挟んで隣接する前記光源の間隔は、前記第1方向において前記スペースよりも一方側で隣接する前記光源の間隔よりも広い、請求項4に記載の光照射ユニット。
【請求項6】
前記基板は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する積層方向に積層された複数の層を有し、
前記第1迂回部分及び前記第2迂回部分は、互いに異なる前記層に設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項7】
前記第2迂回部分は、前記積層方向に迂回している、請求項6に記載の光照射ユニット。
【請求項8】
前記第2光源列では、前記第
1方向において複数の前記光源は互いに等間隔に配置されている、請求項7に記載の光照射ユニット。
【請求項9】
前記基板は、前記複数の層として3つ以上の層を有し、
前記光源列は、前記第2光源列に対して前記第2方向に隣接すると共に、前記固定部が列中に配置されていない第3光源列を有し、
前記配線は、前記第3光源列の前記光源に接続された第3配線を有し、
前記第3配線は、前記第1方向とは異なる方向成分を有する第3迂回部分を有し、
前記第2迂回部分と前記第3迂回部分とは、互いに異なる前記層に設けられている、請求項6~8のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項10】
複数の光源と、
ヒートシンクと、
前記光源が取り付けられると共に、前記光源に接続された配線を有する基板と、
前記ヒートシンクを前記基板に固定する固定部と、を備え、
複数の前記光源は、第1方向に並んで光源列を成し、
前記光源列は、前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ第1光源列及び第2光源列を有し、
前記固定部は、前記第1光源列中の隣接する前記光源の間に配置されている一方、前記第2光源列中には配置されておらず、
前記第1光源列の前記光源の数は、前記第2光源列の前記光源の数よりも少なく、
前記配線は、前記第1光源列の前記光源に接続された第1配線、及び、前記第2光源列の前記光源
に接続された第2配線を有し、
前記第1配線の抵抗は、前記第2配線の抵抗よりも大きい、光照射ユニット。
【請求項11】
前記基板は、前記光源が取り付けられた表面、前記ヒートシンクが取り付けられた背面、前記表面から前記背面に向かって窪むザグリ、及び、前記ザグリの底面と前記背面との間を貫通する第1貫通孔を有し、
前記固定部は、前記ザグリに嵌められた頭部、及び、前記頭部から前記第1貫通孔に延びた軸部を有し、
前記ヒートシンクは、前記背面に対向する対向面、及び、前記対向面に前記軸部が螺合された第1螺子孔を有している、請求項1~10のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項12】
前記ヒートシンクは、前記基板に取り付けられる取付部、及び、前記取付部を貫通する第2貫通孔を有し、
前記固定部は、前記第2貫通孔に挿通された軸部、及び、前記軸部に接続され且つ前記取付部から前記基板とは反対側に延びたフィン形頭部を有し、
前記基板は、前記光源が取り付けられた表面、前記取付部が取り付けられた背面、前記背面から前記表面に向かって延び且つ前記軸部が螺合された第2螺子孔を有している、請求項1~10のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項13】
前記請求項1~12のいずれか一項に記載の光照射ユニットと、
前記光照射ユニットから照射された光により硬化する液体を被吐出媒体に吐出するヘッドと、
前記被吐出媒体を前記第1方向と平行な搬送方向に搬送する搬送装置と、を備えている、液体吐出装置。
【請求項14】
前記ヘッドを前記搬送方向に直交する直交方向に移動するキャリッジと、を備えている、請求項13に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射ユニット及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体吐出装置として、特許文献1の印刷装置が知られている。この印刷装置は、光硬化性インクを吐出する印刷ヘッドと、吐出されたインクに光を照射する発光素子が取り付けられた光源基板とを備えている。また、この印刷装置では、光源基板において発光素子の間に固定孔が設けられ、この固定孔に固定部材が挿通されることで、光源基板が熱伝導部材に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の印刷装置では、発光素子が取り付けられている光源基板に固定孔が設けられている。これにより、例えば、一部の発光素子に接続された配線が、固定孔を避けるように配置されると、固定孔の位置に応じて配線の長さに差が生じる。よって、この配線長の差に伴い、発光素子に流れる電流が異なり、発光素子の照度ムラが生じてしまう。
【0005】
本発明はこのような事態に鑑み、光源の照度ムラを低減することができる光照射ユニット及び液体吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る光照射ユニットは、複数の光源と、ヒートシンクと、前記光源が取り付けられると共に、前記光源に接続された配線を有する基板と、前記ヒートシンクを前記基板に固定する固定部と、を備え、複数の前記光源は、第1方向に並んで光源列を成し、前記光源列は、前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ第1光源列及び第2光源列を有し、前記固定部は、前記第1光源列中の隣接する前記光源の間に配置されている一方、前記第2光源列中には配置されておらず、前記配線は、前記第1光源列の前記光源に接続された第1配線、及び、前記第2光源列の前記光源に接続された第2配線を有し、前記第1配線は、前記固定部を迂回するための第1迂回部分を有し、前記第2配線は、前記第1方向とは異なる方向成分を有する第2迂回部分を有している。
【0007】
本発明のある態様に係る光照射ユニットは、複数の光源と、ヒートシンクと、前記光源が取り付けられると共に、前記光源に接続された配線を有する基板と、前記ヒートシンクを前記基板に固定する固定部と、を備え、複数の前記光源は、第1方向に並んで光源列を成し、前記光源列は、前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ第1光源列及び第2光源列を有し、前記固定部は、前記第1光源列中の隣接する前記光源の間に配置されている一方、前記第2光源列中には配置されておらず、前記第1光源列の前記光源の数は、前記第2光源列の前記光源の数よりも少なく、前記配線は、前記第1光源列の前記光源に接続された第1配線、及び、前記第2光源列の前記光源接続された第2配線を有し、前記第1配線の抵抗は、前記第2配線の抵抗よりも大きい、光照射ユニット。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、光源の照度ムラを低減することができる光照射ユニット及び液体吐出装置を提供することが可能であるという効果を奏する。
【0009】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る光照射ユニットを備える液体吐出装置であって、筐体の蓋を開けた状態の斜視図である。
【
図2】
図1の液体吐出装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1のヘッドユニットを側方から視た図である。
図3(b)は、
図3(a)のヘッドユニットを下方から視た図である。
【
図4】
図3(b)の光照射ユニットを下方から視た図である。
【
図5】
図4のA-A線に沿って切断した光照射ユニットの断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る光照射ユニットを下方から視た図である。
【
図7】
図6のB-B線に沿って切断した光照射ユニットの断面図である。
【
図8】本発明の変形例1に係る光照射ユニットを下方から視た図である。
【
図9】本発明の変形例2に係る光照射ユニットを下方から視た図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の変形例3に係る光照射ユニットの一部を示す断面図である。
図10(b)は、
図10(a)の第2貫通孔及び第2螺子孔に固定部を取り付けた光照射ユニットの一部を示す断面図である。
【
図11】本発明の変形例4に係る光照射ユニットの断面図である。
【
図12】本発明の変形例5に係る光照射ユニットを下方から視た図である。
【
図13】本発明のその他の変形例に係る光照射ユニットを下方から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付している。
【0012】
(実施の形態1)
<液体吐出装置の構成>
実施の形態1に係る光照射ユニット30は、例えば、液体吐出装置10に備えられている。この液体吐出装置10は、
図1に示すように、インク等の液体をヘッド20から被吐出媒体Aに吐出し、被吐出媒体A上の液体に光照射ユニット30から光を照射して印刷を行うインクジェットプリンタである。被吐出媒体Aは、例えば、布帛及び紙等のシート状、並びに、ボール及びマグカップなどの立体状である。液体は、光硬化性である。液体吐出装置10は、ヘッドユニット11、走査装置70、搬送装置80及び制御装置90(
図2)を備えている。ヘッドユニット11は、ヘッド20及び光照射ユニット30を有している。なお、ヘッドユニット11及び制御装置90の詳細については後述する。
【0013】
また、搬送装置80により被吐出媒体Aを搬送する第1方向を前後方向と称する。第1方向に交差(例えば、直交)する第2方向を左右方向と称する。前後方向及び左右方向に交差(例えば、直交)する方向を上下方向と称する。但し、液体吐出装置10の配置はこれに限定されない。
【0014】
走査装置70は、一対の走査レール71、キャリッジ72、駆動ベルト73、走査モータ74を有し、ヘッドユニット11を左右方向に移動する。走査レール71は、左右方向に延びる長尺部材であって、互いの間にヘッドユニット11を挟むように互いに平行に配置されている。キャリッジ72は、ヘッドユニット11を搭載し、走査レール71に沿って左右方向において移動可能に支持されている。駆動ベルト73は、左右方向に沿って架け渡され、走査モータ74に連結されている。走査モータ74は、駆動ベルト73を駆動することにより走査レール71に沿ってキャリッジ72を左右方向に往復移動する。
【0015】
搬送装置80は、ステージ81、一対の搬送レール82、ステージ支持台83及び搬送モータ84(
図2)を有し、被吐出媒体Aを前後方向に移動する。ステージ81は、矩形の平板形状であって、その上面に被吐出媒体Aが載置され、被吐出媒体Aとヘッド20との間隔を規定する。一対の搬送レール82は、前後方向に延びており、ステージ支持台83を前後方向に移動可能に支持する。ステージ支持台83は、例えば、ステージ81を取り外し可能に支持し、搬送モータ84に連結されている。搬送モータ84がステージ支持台83を駆動することにより、ステージ81を前後方向に移動する。
【0016】
<ヘッドユニットの構成>
ヘッド20は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ヘッド20の下面及び光照射ユニット30の下面がステージ81の上面に対向するようにヘッドユニット11に配置されている。ヘッド20は、複数のノズル21、複数の個別流路22、共通流路23、流路形成体24、及び、複数の駆動素子25(
図2)を有している。複数のノズル21は、前後方向において互いに等間隔に並んでノズル列を成している。複数のノズル列は、左右方向において互いに等間隔に並んでいる。
【0017】
流路形成体24は、例えば、直方体形状であって、その内部にノズル21、個別流路22及び共通流路23が形成されている。ノズル21は、流路形成体24の下面にて開口している。共通流路23は前後方向に延び、共通流路23から複数の個別流路22が分岐している。個別流路22は、その上流端が共通流路23に接続され、その下流端がノズル21に接続されている。このため、共通流路23を流れる液体は、前後方向に流れる間に個別流路22に分流し、ノズル21に供給される。
【0018】
駆動素子25は、圧電素子等であって、個別流路22に対応して設けられ、個別流路22の容積を変動させるよう駆動する。これにより、個別流路22の液体に、ノズル21から液体を吐出する圧力が付与される。
【0019】
光照射ユニット30は、液体が吐出しながら移動するヘッド20の上流に配置されている。例えば、一方向印刷では、ヘッド20が左側に移動する際に液体を吐出し、右側に移動する際には液体を吐出しない。この場合、光照射ユニット30は、印刷時の左側への移動方向においてヘッド20の上流である右側に配置されている。光照射ユニット30は、液体を被吐出媒体A上に吐出するヘッド20に追随して移動しながら、被吐出媒体A上の液体に光を照射する。
【0020】
なお、双方向印刷では、液体吐出装置10は、左右方向においてヘッド20を挟むように一対の光照射ユニット30が配置される。一対の光照射ユニット30のうちの右側の光照射ユニット30は、左側に移動しながら液体を被吐出媒体A上に吐出するヘッド20に追随して左側に移動しながら、被吐出媒体A上の液体に光を照射する。一対の光照射ユニット30のうちの左側の光照射ユニット30は、右側に移動しながら液体を被吐出媒体A上に吐出するヘッド20に追随して右側に移動しながら、被吐出媒体A上の液体に光を照射する。
【0021】
光照射ユニット30は、複数の光源31、光源31が搭載された基板40、及び、基板40を冷却するヒートシンク50、ヒートシンク50を基板40に固定する固定部60を有している。光源31は、例えば、LEDであって、制御装置90により駆動されて、ノズル21から吐出された液体を硬化する光(例えば、紫外線)を発光する。なお、光照射ユニット30の詳細については後述する。
【0022】
<制御装置の構成>
制御装置90は、
図2に示すように、ヘッド駆動回路93を介して駆動素子25に接続され、駆動素子25の駆動を制御する。制御装置90は、光源駆動回路94を介して光源31に接続され、光源31の駆動を制御する。光源駆動回路94は、商用電源等の外部の電源に接続されており、電源から光源31への電力供給を制御している。制御装置90は、走査駆動回路95を介して走査モータ74に接続され、走査モータ74の駆動を制御する。制御装置90は、搬送駆動回路96を介して搬送モータ84に接続され、搬送モータ84の駆動を制御する。
【0023】
制御装置90は、演算部91及び記憶部92を有している。記憶部92は、演算部91がアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。RAMは、印刷ジョブ等の各種データを一時的に記憶する。ROMは、各種データ処理を行うためのプログラムを記憶している。
【0024】
演算部91は、CPU等のプロセッサ、及び、ASIC等の集積回路等により構成されている。演算部91は、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、駆動素子25、光源31、走査モータ74及び搬送モータ84を制御して、印刷処理を実行する。印刷処理の詳細については後述する。
【0025】
<印刷処理>
印刷処理では、制御装置90は、駆動素子25を制御してヘッド20から液体を吐出させる吐出処理を実行する。また、制御装置90は、光源31を制御して光照射ユニット30から光を照射させる照射処理を実行する。さらに、制御装置90が、走査モータ74を制御して、ヘッドユニット11を左右方向に移動させる移動処理を実行する。制御装置90は、搬送モータ84を制御して、被吐出媒体Aを前方へ搬送させる搬送処理を実行する。制御装置90は、吐出処理、照射処理及び移動処理を含む画像記録処理と、搬送処理とを交互に繰り返し、印刷を進めていく。
【0026】
画像記録処理において、ヘッド20が左側へ移動しながら、ノズル21から液体を吐出する。これにより、ヘッド20の下面に対向する被吐出媒体Aに液体が着弾する。また、ヘッド20に後続して光照射ユニット30が左側へ移動しながら、光源31から光を照射する。これにより、光源31に対向する被吐出媒体Aに光が照射され、被吐出媒体A上の液体が光により硬化し、被吐出媒体Aに定着する。
【0027】
<光照射ユニット>
基板40は、
図4及び
図5に示すように、例えば、絶縁性材料から成り、矩形の平板形状であって、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い。基板40は、光源31が搭載された表面40aである下面、及び、表面40aと反対側の背面40bである上面を有しており、この下面及び上面はそれぞれ平坦である。
【0028】
基板40には、例えば、その中央に第1貫通孔43が設けられている。第1貫通孔43は、固定部60が取り付けられた孔であって、例えば、上下方向に直交する断面が円形状であり、上下方向に延びて、基板40の下面と上面との間を貫通している。
【0029】
基板40の中央は、基板40において光源31の熱が集中し易い位置であって、例えば、上下方向に直交する方向における基板40の中心を含む範囲である。なお、基板40の中央は、複数の光源31の配置分布における中央であってもよい。例えば、左右方向において第1貫通孔43よりも左側の光源31の数と第1貫通孔43よりも右側の光源31の数とが等しく、且つ、前後方向において第1貫通孔43よりも前側の光源31の数と第1貫通孔43よりも後側の光源31の数とが等しくなる位置に、基板40の中央が設定されてもよい。また、基板40の中央は、複数の光源31の熱分布における中央であってもよい。例えば、光源31の照度プロファイルにおいて最高値になる下面の位置に、基板40の中央が設定されてもよい。
【0030】
基板40の下面には、複数の光源31、光源31に接続される配線33、及び、配線33に接続されたコネクタ37が搭載されている。複数の光源31は、前後方向において所定の間隔を空けて並べられて列を成し、光源列32を形成している。複数の光源列32は、左右方向において互いに間隔を空けて並べられている。左右方向においてその一方側から他方側を視て、光源列32とノズル列とは互いに重なるように配置されている。
図4の例では、複数の光源列32は第1光源列32a、第2光源列32b及び第3光源列32cを有している。
【0031】
第1光源列32aは、左右方向に並ぶ5本の光源列32の中央の光源列32であって、前後方向に並ぶ複数(例えば、8個)の第1光源31aを有している。この第1光源列32aにおいて、前後方向の中央、例えば、互いに隣接する前から4つ目の第1光源31aと前から5つ目の第1光源31aとの間に、第1貫通孔43が配置されている。
【0032】
第2光源列32bは、左右方向において第1光源列32aに隣接している光源列32であって、第1光源列32aの左側に隣接する左側の第2光源列32b、及び、第1光源列32aの右側に隣接する右側の第2光源列32bを有している。第2光源列32bは、前後方向に並ぶ複数(例えば、10個)の第2光源31bを有している。この第2光源列32bにおいて、前後方向の中央、例えば、互いに隣接する前から5つ目の第2光源31bと前から6つ目の第2光源31bとの間に、スペースBが配置されている。また、第2光源列32bを構成する複数の第2光源31bは、第2光源列32bの前端に配置された前端の第2光源31b、及び、第2光源列32bの後端に配置された後端の第2光源31bを有している。
【0033】
第3光源列32cは、左右方向において第2光源列32bに隣接している光源列32であって、第2光源列32bの左側に隣接する左側の第3光源列32c、及び、第2光源列32bの右側に隣接する右側の第3光源列32cを有している。第3光源列32cは、前後方向に並ぶ複数(例えば、11個)の第3光源31cを有している。この第3光源列32cを構成する複数の第3光源31cは、第3光源列32cの前端に配置された前端の第3光源31c、及び、第3光源列32cの後端に配置された後端の第3光源31cを有している。
【0034】
このような光源列32において、第1光源31a、第2光源31b及び第3光源31cは、左右方向において一方側から他方側を視て互いに重なるように並んでいる。また、第3光源31cは、前後方向において互いに所定の間隔dにて等間隔に配置されている。
【0035】
このため、第1貫通孔43よりも前側の4個の第1光源31aは前後方向において互いに所定の間隔dにて等間隔に配置され、第1貫通孔43よりも後側の4個の第1光源31aは前後方向において互いに所定の間隔dにて等間隔に配置されている。また、スペースBよりも前側の5個の第2光源31bは前後方向において互いに所定の間隔dにて等間隔に配置され、スペースBよりも後側の5個の第2光源31bは前後方向において互いに所定の間隔dにて等間隔に配置されている。さらに、左右方向において一方側から他方側を視て、スペースBは第1貫通孔43に重なって配置されている。前後方向において、スペースBの長さは第2光源31bの間隔dよりも長い。
【0036】
コネクタ37は、例えば、基板40において光源列32よりも前側及び後側のそれぞれに設けられている。コネクタ37は、光源駆動回路94(
図2)及び配線33に接続されている。電力は、光源駆動回路94によりコネクタ37介して配線33に接続された光源31に供給される。
【0037】
配線33は、前後方向に延びて、その前端が前側のコネクタ37に接続され、その後端が後側のコネクタ37に接続されている。配線33は、第1光源31aに接続された第1配線34、第2光源31bに接続された第2配線35、及び、第3光源31cに接続された第3配線36を有している。
【0038】
第1配線34は、第1接続部分34a及び第1迂回部分34bを有している。第1接続部分34aは、前後方向において第1迂回部分34bよりも前側の第1接続部分34a、及び、前後方向において第1迂回部分34bよりも後側の第1接続部分34aを有している。前側の第1接続部分34a及び後側の第1接続部分34aは、互いに同一直線上において前後方向に直線状に延びている。前側の第1接続部分34aは、第1光源列32aにおいて第1貫通孔43よりも前側にある4つの第1光源31aのそれぞれに直列に接続されている。後側の第1接続部分34aは、第1光源列32aにおいて第1貫通孔43よりも後側にある4つの第1光源31aのそれぞれに直列に接続されている。
【0039】
第1迂回部分34bは、基板40の下面上において前後方向とは異なる方向に延びて、第1貫通孔43に取り付けられる固定部60を迂回する。第1迂回部分34bは、その前端が前側の第1接続部分34aの後端に接続され、その後端が後側の第1接続部分34aの前端に接続されている。第1迂回部分34bは、前後方向において第1貫通孔43を互いの間に挟むように隣接する前から4つ目の第1光源31aと前から5つ目の第1光源31aとの間であって、左右方向において第1接続部分34aと第2光源列32bとの間に配置されている。
図4の例では、第1迂回部分34bは、右側の第2光源列32bよりも左側において、前側の第1接続部分34aから右側後方へ直線状に延びてから、後方へ直線状に延び、さらに左側後方へ直線状に延びて後側の第1接続部分34aに接続されている。
【0040】
第2配線35は、第2接続部分35a及び第2迂回部分35bを有している。第2接続部分35aは、前後方向において第2迂回部分35bよりも前側の第2接続部分35a、及び、前後方向において第2迂回部分35bよりも後側の第2接続部分35aを有している。前側の第2接続部分35a及び後側の第2接続部分35aは、互いに同一直線上において前後方向に直線状に延びている。前側の第2接続部分35aは、第2光源列32bにおいてスペースBよりも前側にある5つの第2光源31bのそれぞれに直列に接続されている。後側の第2接続部分35aは、第2光源列32bにおいてスペースBよりも後側にある5つの第2光源31bのそれぞれに直列に接続されている。
【0041】
第2迂回部分35bは、その前端が前側の第2接続部分35aの後端に接続され、その後端が後側の第2接続部分35aの前端に接続されている。第2迂回部分35bは、前後方向においてスペースBを互いの間に挟むように隣接する前から5つ目の第2光源31bと前から6つ目の第2光源31bとの間であって、左右方向において第2接続部分35aよりも第1貫通孔43側とは反対側に配置されている。
図4の例では、右側の第2配線35の第2迂回部分35bは、右側の第3光源列32cよりも左側において、前側の第2接続部分35aよりも右側に突出して、前方に屈曲した後に後方へ転向して後側の第2接続部分35aに接続されている。左側の第2配線35の第2迂回部分35bは、左側の第3光源列32cよりも右側において、前側の第2接続部分35aよりも左側に突出して、前方に屈曲した後に後方へ転向して後側の第2接続部分35aに接続されている。
【0042】
このように、第2迂回部分35bは、基板40の下面上において前後方向とは異なる方向に延びている。このため、前端の第2光源31bと後端の第2光源31bとの間における第2配線35の全長は、第2迂回部分35bによって、前後方向における第2光源列32bの最短距離よりも長くなる。
【0043】
第3配線36は、第3接続部分36a及び第3迂回部分36bを有している。第3接続部分36aは、前後方向において第3迂回部分36bよりも前側の第3接続部分36a、及び、前後方向において第3迂回部分36bよりも後側の第3接続部分36aを有している。前側の第3接続部分36a及び後側の第3接続部分36aは、互いに同一直線上において前後方向に直線状に延びている。前側の第3接続部分36aは、第3光源列32cにおいて第3迂回部分36bよりも前側にある6つの第3光源31cのそれぞれに直列に接続されている。後側の第3接続部分36aは、第3光源列32cにおいて第3迂回部分36bよりも後側にある5つの第3光源31cのそれぞれに直列に接続されている。
【0044】
第3迂回部分36bは、その前端が前側の第3接続部分36aの後端に接続され、その後端が後側の第3接続部分36aの前端に接続されている。第3迂回部分36bは、前後方向において中央に近い隣接する光源31の間であって、例えば、前から6つ目の第3光源31cと前から7つ目の第3光源31cとの間において、左右方向において第3接続部分36aよりも第1貫通孔43側に配置されている。
図4の例では、右側の第3配線36の第3迂回部分36bは、右側の第2光源列32bよりも右側において、前側の第3接続部分36aよりも左側に突出して、前方に屈曲した後に後方へ転向して後側の第3接続部分36aに接続されている。左側の第3配線36の第3迂回部分36bは、左側の第2光源列32bよりも左側において、前側の第3接続部分36aよりも右側に突出して、前方に屈曲した後に後方へ転向して後側の第3接続部分36aに接続されている。
【0045】
このように、第3迂回部分36bは、基板40の下面上において前後方向とは異なる方向に延びている。このため、前端の第3光源31cと後端の第3光源31cとの間における第3配線36は、第3迂回部分36bによって、前後方向における第3光源列32cの最短距離よりも長くなる。
【0046】
このような第1配線34、第2配線35及び第3配線36は、互いに同じ材質から成り、互いに断面積が等しい。このため、第1配線34、第2配線35及び第3配線36は、単位長さ当たりの電気抵抗が等しい。
【0047】
この第1配線34に接続されている第1光源31aの数は第2配線35に接続されている第2光源31bの数よりも少なく、第2配線35に接続されている第2光源31bの数は第3配線36に接続されている第3光源31cの数よりも少ない。このため、第1配線34に接続された全ての第1光源31aの合成抵抗は第2配線35に接続された全ての第2光源31bの合成抵抗よりも小さく、第2配線35に接続された全ての第2光源31bの合成抵抗は第3配線36に接続された全ての第3光源31cの合成抵抗よりも小さい。
【0048】
これに対し、第1迂回部分34bの長さは第2迂回部分35bの長さよりも長く、第2迂回部分35bの長さは第3迂回部分36bの長さよりも長い。このため、第1配線34自体の電気抵抗は第2配線35自体の電気抵抗よりも大きく、第2配線35自体の電気抵抗は第3配線36自体の電気抵抗よりも大きい。
【0049】
従って、第1配線34及びこれに接続された全ての第1光源31aの合成抵抗と、第2配線35及びこれに接続された全ての第2光源31bの合成抵抗と、第3配線36及びこれに接続された全ての第3光源31cの合成抵抗とは、互いに等しい又は近くなる。これにより、固定部60の配置に起因して配線33に接続される光源31の数が異なったり、配線33の迂回に起因して配線33の長さが異なったりする場合であっても、光源31の照度ムラを低減することができる。
【0050】
ヒートシンク50は伝熱性材料から成る。伝熱性材料としては、アルミニウム、鉄及び銅等の金属が例示される。ヒートシンク50は、取付部51及び複数のフィン52を有している。取付部51は、平板形状であって、基板40の上面に対向する対向面50aである下面、及び、下面と反対側の上面を有している。複数のフィン52は、前後方向及び左右方向のそれぞれに方向において互いに等間隔に配置されており、取付部51における分布が均等になるように配置されている。フィン52は、円柱形状及び角柱形状等の柱形状であって、取付部51の上面から立ち上がり上方に延びている。
【0051】
取付部51には、基板40の第1貫通孔43に対応する位置に第1螺子孔53が設けられている。第1螺子孔53は、固定部60が取り付けられ孔であって、例えば、上下方向に直交する断面が円形状であり、取付部51の下面から上方に延びている。第1螺子孔53の周囲を取り囲む取付部51の内面には、ねじ溝が設けられている。なお、第1螺子孔53は、取付部51の下面と上面との間を貫通していてもよい。
【0052】
ヒートシンク50と基板40との間には、熱伝導性材料54が挟まれていてもよい。熱伝導性材料54は、平板形状であって、基板40の上面に対向する下面、及び、下面と反対側であってヒートシンク50の下面に対向する上面を有している。熱伝導性材料54は、基板40とヒートシンク50との間の小さな隙間及び凸凹を埋め、基板40の熱をヒートシンク50に伝播する。これにより、ヒートシンク50による基板40の冷却効率を向上することができる。
【0053】
熱伝導性材料54には、基板40の第1貫通孔43に対応する位置に挿通孔55が設けられている。挿通孔55は、固定部60が取り付けられ孔であって、例えば、上下方向に直交する断面が円形状であり、上下方向に延びて、取付部51の下面と上面との間を貫通している。
【0054】
固定部60は、例えば、熱伝導性が基板40よりも高い金属等の材料から成り、軸部61及び頭部62を有している。軸部61は、例えば、円柱形状であって、その基端が頭部62に接続されている。軸部61は、その少なくとも先端領域にねじ山が設けられている。この先端領域は、軸部61のうちその先端を含む領域であって、軸部61が第1螺子孔53に挿入される範囲である。なお、ねじ山は、軸部61の基端と先端との間の全長に亘って設けられていてもよい。
【0055】
頭部62は、例えば、円盤形状であって、その径が第1貫通孔43の径よりも大きい。これにより、軸部61が第1貫通孔43、挿通孔55及び第1螺子孔53に挿通されて第1螺子孔53に螺合されると、頭部62が基板40の下面に当接して係止される。このため、固定部60によってヒートシンク50が熱伝導性材料54を介して基板40に固定される。そして、基板40の熱が熱伝導性材料54及び固定部60を介してヒートシンク50に伝播して、基板40は冷却される。
【0056】
<構成、作用及び効果>
光照射ユニット30は、複数の光源31と、ヒートシンク50と、光源31が取り付けられると共に、光源31に接続された配線33を有する基板40と、ヒートシンク50を基板40に固定する固定部60と、を備えている。複数の光源31は、第1方向に並んで光源列32を成している。光源列32は、第1方向に直交する第2方向に並ぶ第1光源列32a及び第2光源列32bを有している。固定部60は、第1光源列32a中の隣接する光源31の間に配置されている一方、第2光源列32b中には配置されていない。配線33は、第1光源列32aの光源31に接続された第1配線34、及び、第2光源列32bの光源31に接続された第2配線35を有している。第1配線34は、固定部60を迂回するための第1迂回部分34bを有している。第2配線35は、第1方向とは異なる方向成分を有する第2迂回部分35bを有している。これにより、第2配線35を流れる電流は、第2迂回部分35bにおいて第1方向とは異なる方向成分を有することになる。
【0057】
このように、固定部60を迂回するために、第1迂回部分34bによって第1配線34の長さが長くなっている場合がある。このような場合であっても、第1方向とは異なる方向成分を有する第2迂回部分35bによって第2配線35の長さが長くなる。このため、全ての第2光源31bと第2配線35との合成抵抗を、全ての第1光源31aと第1配線34との合成抵抗に一致又は近づけることにより、第1光源31aと第2光源31bとの照度差を低減することができる。
【0058】
光照射ユニット30では、第2光源列32bは、第1方向における一端にある一端光源31と、第1方向における他端にある他端光源31とを含んでいる。第2迂回部分35bは、第1方向において一端光源31と他端光源31との間に配置されている。例えば、第2迂回部分35bが前端の第2光源31bと後端の第2光源31bとの間に配置されているため、前後方向において第2迂回部分35bによる基板40の大型化を抑制することができる。
【0059】
光照射ユニット30では、第3配線36は、第3光源列32cの第3光源31cに接続され且つ第1方向に延びる第3接続部分36aを有している。第3迂回部分36bは、第3接続部分36aよりも固定部60に近接する位置に設けられている。すなわち、左右方向において、第3迂回部分36bにおける第3接続部分36aとの接続位置(例えば、第3迂回部分36bの前端)は、第3接続部分36aにおける第3迂回部分36bとの接続位置(例えば、前側の第3接続部分36aの後端)よりも固定部60側に配置されている。このため、左右方向において、第3迂回部分36bの前端と固定部60との間隔は、前側の第3接続部分36aの後端と固定部60との間隔よりも短い。このように、左右方向において、第3迂回部分36bと固定部60との間隔は、第3接続部分36aと固定部60との間隔よりも小さい。これにより、第3配線36は、第3迂回部分36b及び固定部60を介してヒートシンク50に熱を逃すことができる。
【0060】
光照射ユニット30では、基板40は、光源31が取り付けられた表面40aを有している。第2迂回部分35bは、第2方向において固定部60に並び且つ第2光源列32bにおいて第1方向に隣接する光源31の間の表面40a上のスペースBに設けられている。これにより、第2光源列32bにおいて固定部60を回避するために形成された光源31同士の間のスペースBを第2迂回部分35bの配置場所として用い、第2迂回部分35bによる大型化を抑制することができる。
【0061】
光照射ユニット30において、第2光源列32bでは、第1方向においてスペースBを互いの間に挟んで隣接する光源31の間隔は、第1方向においてスペースBよりも一方側で隣接する光源31の間隔よりも広い。これにより、第2光源列32bにおいて固定部60を回避するために形成された光源31間のスペースBに第2迂回部分35bを配置することにより、第2迂回部分35bによる大型化を抑制することができる。
【0062】
光照射ユニット30において、第1光源列32aの光源31の数は、第2光源列32bの光源31の数よりも少ない。配線33は、第1光源列32aの光源31に接続された第1配線34、及び、第2光源列32bの光源31に接続された第2配線35を有している。第1配線34の電気抵抗は、第2配線35の電気抵抗よりも大きい。このように、接続された第1光源31aが少ない第1配線34の電気抵抗を、接続された第2光源31bが多い第2配線35の電気抵抗を大きくすることにより、第1配線34により第1光源31aに流れる電流と第2配線35により第2光源31bに流れる電流とを互いに近づけ、光源31の照度差を低減することができる。
【0063】
液体吐出装置10は、光照射ユニット30と、光照射ユニット30から照射された光により硬化する液体を被吐出媒体Aに吐出するヘッド20と、被吐出媒体Aを第1方向と平行な搬送方向に搬送する搬送装置80と、を備えている。これにより、液体吐出装置10は、光照射ユニット30による光源31の照度ムラを低減し、良好に印刷することができる。
【0064】
液体吐出装置10は、ヘッド20を搬送方向に直交する直交方向に移動するキャリッジ72と、を備えている。これにより、ヘッド20が直交方向に移動する液体吐出装置10においても、光照射ユニット30による光源31の照度ムラを低減し、良好に印刷することができる。
【0065】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る光照射ユニット30では、基板40は、第1方向及び第2方向に直交する積層方向に積層された複数の層を有している。第1迂回部分34b及び第2迂回部分35bは、互いに異なる層に設けられている。ここで、第2迂回部分35bは、積層方向に迂回していてもよい。
【0066】
さらに、基板40は、複数の層として3つ以上の層を有していてもよい。ここで、光源列32は、第2光源列32bに対して第2方向に隣接すると共に、固定部60が列中に配置されていない第3光源列32cを有している。配線33は、第3光源列32cの光源31に接続された第3配線36を有している。第3配線36は、第1方向とは異なる方向成分を有する第3迂回部分36bを有している。第2迂回部分35bと第3迂回部分36bとは、互いに異なる層に設けられている。
【0067】
具体的には、基板40は、複数(例えば、3枚)の層の積層体である。3枚の層は、第1層44、第1層44上に積層された第2層45、及び、第2層45上に積層された第3層46を有している。第1層44の下面である第1下面は基板40の表面40aを構成し、第1下面上には複数の光源31が搭載されている。第3層46の上面である第3上面は基板40の背面40bを構成し、第3上面には熱伝導性材料54を介してヒートシンク50が取り付けられている。
【0068】
基板40には、前側のコネクタ37、後側のコネクタ37、第2配線孔47及び第3配線孔48が設けられている。第2配線孔47は、第2配線35が通過する孔であって、第2光源列32bに2つ設けられている。2つの第2配線孔47は、第2光源列32bのスペースBにおいて前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。第2配線孔47は、前後方向において第2接続部分35aと同一直線上に配置されており、第1層44を上下方向に貫通している。
【0069】
第3配線孔48は、第3配線36が通過する孔であって、第3光源列32cにおいて2つ設けられている。2つの第3配線孔48は、前後方向に隣接する第3光源31c同士の間において前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。第3配線孔48は、前後方向において第3接続部分36aと同一直線上に配置されており、第1層44及び第2層45を上下方向に貫通している。
【0070】
第1配線34の第1接続部分34aは、第1下面上において第1光源列32aの各第1光源31aに接続されながら前後方向に延びている。第1迂回部分34bは、例えば、第1下面上において第1接続部分34aから右側に突出するように延びて、固定部60を迂回している。
【0071】
第2配線35の第2接続部分35aは、第1下面上において第2光源列32bの各第2光源31bに接続されながら前後方向に延びている。第2迂回部分35bは、前側の第2接続部分35aに接続されて、第1下面から前側の第2配線孔47を上方に延び、第1層44を通過し、その上面である第1上面に至る。第2迂回部分35bは、第1上面と、第1上面に対向する第2層45の下面である第2下面との間を固定部60側へ延びてから後方へ曲がり、さらに固定部60側の反対側へ曲がる。そして、第2迂回部分35bは、後側の第2配線孔47を下方に延びて、第1層44を通過して第1下面に至り後側の第2接続部分35aに接続されている。
【0072】
第3配線36の第3接続部分36aは、第1下面上において第3光源列32cの各第3光源31cに接続されながら前後方向に延びている。第3迂回部分36bは、前側の第3接続部分36aに接続されて、第1下面から前側の第3配線孔48を上方に延び、第1層44及び第2層45を通過し、その上面である第2上面に至る。第2迂回部分35bは、第2上面と、第2上面に対向する第3層46の下面である第3下面との間を固定部60側へ延びてから後方へ曲がり、さらに固定部60側の反対側へ曲がる。そして、第3迂回部分36bは、後側の第3配線孔48を下方に延びて、第1層44及び第2層45を通過して第1下面に至り後側の第3接続部分36aに接続されている。
【0073】
このような第1迂回部分34bの長さは第2迂回部分35bの長さよりも長く、第2迂回部分35bの長さは第3迂回部分36bの長さよりも長い。このため、第1配線34自体の電気抵抗は第2配線35自体の電気抵抗よりも大きく、第2配線35自体の電気抵抗は第3配線36自体の電気抵抗よりも大きい。従って、第1配線34及びこれに接続された全ての第1光源31aの合成抵抗と、第2配線35及びこれに接続された全ての第2光源31bの合成抵抗と、第3配線36及びこれに接続された全ての第3光源31cの合成抵抗とは、互いに等しい又は近くなる。このように、固定部60の配置に起因して配線33に接続される光源31の数が異なったり、配線33の迂回に起因して配線33の長さが異なったりする場合であっても、光源31の照度ムラを低減することができる。
【0074】
また、第1迂回部分34b及び第2迂回部分35bは基板40において互いに異なる層に設けられている。これにより、積層方向に直交する方向における光照射ユニット30の大型化を抑制しながら、配線33の配置自由度を高めることができる。例えば、積層方向の一方側から他方側を視て、第1迂回部分34bと第2迂回部分35bとが重複するように配置することができる。さらに、第2迂回部分35b及び第3迂回部分36bが互いに異なる層に設けられていることについても、積層方向に直交する方向における光照射ユニット30の大型化を抑制しながら、配線33の配置自由度を高めることができる。
【0075】
さらに、第2配線35の第2迂回部分35bは、第2接続部分35aから固定部60側へ延び、第2接続部分35aよりも固定部60に近接する位置に設けられている。すなわち、左右方向において、第2迂回部分35bにおける第2接続部分35aとの接続位置(例えば、第2迂回部分35bの前端)は、第2接続部分35aにおける第2迂回部分35bとの接続位置(例えば、前側の第2接続部分35aの後端)よりも固定部60側に配置されている。このため、左右方向において、第2迂回部分35bの前端と固定部60との間隔は、前側の第2接続部分35aの後端と固定部60との間隔よりも短い。このように、左右方向において、第2迂回部分35bと固定部60との間隔は、第2接続部分35aと固定部60との間隔よりも小さい。これにより、第2光源31bから第2配線35を伝播する熱が固定部60を介してヒートシンク50へ伝わり易く、照射部を効率良く冷却することができる。なお、第3迂回部分36bも第3接続部分36aよりも固定部60側へ延びていることにより、照射部の冷却効率の向上を図ることができる。
【0076】
なお、
図7の例では、第1迂回部分34bが第1下面に設けられ、第2迂回部分35bが第1上面と第2下面との間の内層に設けられ、第3迂回部分36bが第2上面と第3下面との間の内層に設けられていた。但し、第1迂回部分34b、第2迂回部分35b及び第3迂回部分36bの基板40における配置はこれに限定されない。例えば、第1迂回部分34bが内層に配置されており、第2迂回部分35bが第1下面に配置されていてもよい。また、第1迂回部分34b及び第3迂回部分36bが互いに同じ層に配置されており、第2迂回部分35bがこれらと異なる内層に配置されていてもよい。
【0077】
<変形例1>
変形例1に係る光照射ユニット30では、実施の形態2において、
図8に示すように、第2光源列32bでは、第2方向において複数の光源31は互いに等間隔に配置されている。
【0078】
例えば、左右方向において、第1光源列32aを挟んで隣接する左側の第2光源列32bと右側の第2光源列32bとの間隔L1よりも、固定部60の径L2と第1迂回部分34bの配線用スペースとの合計長さが以下である。この場合、第2光源列32bは、固定部60を回避するようにスペースB(
図4)を設けなくてもよい。このため、第2光源列32bでは、前後方向において互いに隣接する第2光源31b同士を所定の間隔dで配列されている。2つの第2配線孔47は、前後方向に互いに隣接する第2光源31b同士の間において間隔を空けて、前後方向において第2接続部分35aと同一直線上に配置されている。
【0079】
第2配線35の前側の第2接続部分35aは、第2光源列32bにおいて第2迂回部分35bよりも前側にある6つの第2光源31bのそれぞれに接続されながら第1下面上で前後方向に延びている。後側の第2接続部分35aは、第2光源列32bにおいて第2迂回部分35bよりも後側にある5つの第2光源31bのそれぞれに接続されながら第1下面上で前後方向に延びている。
【0080】
第2迂回部分35bは、前側の第2配線孔47において前側の第2接続部分35aから上方に延びて、第1下面から第2配線孔47を通過して第1上面に至る。第2迂回部分35bは、第1上面と第2下面との間において固定部60側へ延びてから後方へ曲がり、さらに固定部60側の反対側へ曲がる。そして、第2迂回部分35bは、後側の第2配線孔47を通過して第1下面に至り後側の第2接続部分35aに接続されている。
【0081】
このように、スペースBが設けられていない場合、第2迂回部分35bは左右方向に長く延びる。このため、第2迂回部分35bが第1迂回部分34bと重なるように配置されることがある。このような場合であっても、第1迂回部分34bと第2迂回部分35bとを基板40において異なる層に配置することにより、第1迂回部分34b及び第2迂回部分35bを互いに干渉することなく配置することができる。
【0082】
<変形例2>
変形例2に係る光照射ユニット30では、実施の形態2及び変形例1において、
図9に示すように、配線33に接続されたコネクタ37は、前後方向においていずれか一方に設けられていてもよい。
図9の例では、コネクタ37は、配線33よりも後側の基板40上に配置され、積層方向に延びて、配線33の両端のそれぞれに接続されている。また、コネクタ37は、光源駆動回路94(
図2)に接続されて、電力が光源駆動回路94によりコネクタ37を介して光源31に供給される。
【0083】
基板40には、第2配線孔47及び第3配線孔48に加えて、第1配線孔49が設けられている。また、第2配線孔47は、第2迂回部分35bが通過するための孔に加えて、第2配線35を折り返すための第2配線孔47aを有している。第3配線孔48は、第3迂回部分36bが通過するための孔に加えて、第3配線36を折り返すための第3配線孔48aを有している。この第1配線孔49、第2配線孔47a及び第3配線孔48aは、左右方向において互いに同一直線上に配置されている。
【0084】
第1配線孔49は、第1配線34が通過する孔であって、第1光源列32aに設けられている。第1配線孔49は、前後方向において第1接続部分34aと同一直線上に配置されており、第1層44を上下方向に貫通している。第1配線34は、第1接続部分34a及び第1迂回部分34bに加えて、第1戻り部分34cを有している。第1迂回部分34bは、第1層44の第1下面上の第1迂回部分34b1、及び、第1層44と第2層45との間の第1迂回部分34b2を有している。第1戻り部分34cは、第1迂回部分34b2よりも前方の前側の第1戻り部分34c、及び、第1迂回部分34b2よりも後方の後側の第1戻り部分34cを有している。
【0085】
第1配線34は、第1下面上において後側の第1接続部分34aによりコネクタ37及び複数の第1光源31aに接続され、第1迂回部分34b1により固定部60を迂回し、前側の第1接続部分34aにより複数の第1光源31aに接続されている。また、前側の第1戻り部分34cは、前側の第1接続部分34aに接続され、第1配線孔49を通り、第1層44と第2層45との間において前方から後方に延びる。第1迂回部分34b2は、前側の第1戻り部分34cに接続され、固定部60を迂回して、後側の第1戻り部分34cに接続される。後側の第1戻り部分34cは、前方から後方に延びて、コネクタ37に接続されている。
【0086】
第2配線孔47aは、第2配線35が通過する孔であって、各第2光源列32bに設けられている。第2配線孔47は、前後方向において第2接続部分35aと同一直線上に配置されており、第1層44を上下方向に貫通している。第2配線35は、第2接続部分35a及び第2迂回部分35bに加えて、第2戻り部分35cを有している。
【0087】
第2配線35は、第1下面上においての後側の第2接続部分35aによりコネクタ37及び複数の第2光源31bに接続され、スペースBにおいて第2迂回部分35bにより固定部60を迂回し、前側の第2接続部分35aにより複数の第2光源31bに接続されている。第2戻り部分35cは、前側の第2接続部分35aに接続され、第2配線孔47aを通り、第1層44と第2層45との間において前方から後方へ直線状に延びて、コネクタ37に接続されている。
【0088】
第3配線孔48aは、第3配線36が通過する孔であって、各第3光源列32cに設けられている。第3配線孔48は、前後方向において第3接続部分36aと同一直線上に配置されており、第1層44及び第2層45を上下方向に貫通している。第3配線36は、第3接続部分36a及び第3迂回部分36bに加えて、第3戻り部分36cを有している。
【0089】
第3配線36は、第1下面上においての後側の第3接続部分36aによりコネクタ37及び複数の第3光源31cに接続され、第3迂回部分36bにより迂回し、前側の第3接続部分36aにより複数の第3光源31cに接続されている。また、第3戻り部分36cは、前側の第1接続部分34aに接続され、第3配線孔48aを通り、第2層45と第3層46との間において前方から後方へ直前状に延びて、コネクタ37に接続されている。
【0090】
この第2配線35に接続された第2光源31bの数、及び、第2配線35の全長に基づいた第2配線35の電気抵抗が、第1配線34に接続された第1光源31aの数、及び、第1配線34の全長に基づいた第1配線34の電気抵抗に等しい又は近くなるように、第2迂回部分35bの長さが設定される。また、第3配線36に接続された第3光源31cの数、及び、第3配線36の全長に基づいた第3配線36の電気抵抗が、第1配線34に接続された第1光源31aの数、及び、第1配線34の全長に基づいた第1配線34の電気抵抗に等しい又は近くなるように、第3迂回部分36bの長さが設定される。これにより、第1光源31a、第2光源31b及び第3光源31cは、積層方向に直交する方向における大型化を抑制しながら、互いの照度ムラを低減することができる。
【0091】
なお、第1配線孔49は第1層44及び第2層45を貫通し、第1戻り部分34cは第2層45と第3層46との間に配置されてもよい。また、第2配線孔47aは、第1層44及び第2層45を貫通し、第2戻り部分35cは第2層45と第3層46との間に配置されてもよい。さらに、第3配線孔48aは、第1層44を貫通し、第3戻り部分36cは第1層44と第2層45との間に配置されてもよい。
【0092】
<変形例3>
変形例3に係る光照射ユニット30では、実施の形態1及び2並びに変形例1及び2において、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、基板40は、光源31が取り付けられた表面40a、ヒートシンク50が取り付けられた背面40b、表面40aから背面40bに向かって窪むザグリ41、及び、ザグリ41の底面41aと背面40bとの間を貫通する第1貫通孔43を有している。固定部60は、ザグリ41に嵌められた頭部62、及び、頭部62から第1貫通孔43に延びた軸部61を有している。ヒートシンク50は、背面40bに対向する対向面50a、及び、対向面50aに軸部61が螺合された第1螺子孔53を有している。
【0093】
ザグリ41は基板40の中央において下面から上方に窪み、ザグリ41により形成される空間は円柱形状である。ザグリ41の底面41aは、円形状であって、その径が固定部60の頭部62の径よりも大きい。第1貫通孔43は、ザグリ41の底面41aの中央に設けられ、その底面41aと基板40の上面との間を上下方向に貫通している。第1貫通孔43により形成される空間は円柱形状である。
【0094】
基板40においてザグリ41の底面41aと基板40の上面との間の鍔部42は、ザグリ41の外周縁から第1貫通孔43に向かって突出し、第1貫通孔43に近いほど下方へ傾斜している。軸部61が第1貫通孔43、挿通孔55及び第1螺子孔53に挿通されて第1螺子孔53に螺合されると、頭部62がザグリ41に嵌って、鍔部42を上方へ押し上げる。これにより、光源31の点灯及び消灯により温度変化が大きい状況において固定部60が緩み易いが、鍔部42がスプリングワッシャとして頭部62とヒートシンク50との間に介在するため、固定部60がヒートシンク50から外れることを低減することができる。
【0095】
また、基板40の下面から窪むザグリ41に頭部62が嵌るため、下面から下方に突出する頭部62の長さを短くすることができる。このため、基板40の下面に搭載された光源31からの光が頭部62により遮られることを低減し、固定部60に起因する光源31の照度のムラを低減することができる。
【0096】
<変形例4>
変形例4に係る光照射ユニット30では、実施の形態1及び2並びに変形例1において、
図11に示すように、ヒートシンク50は、基板40に取り付けられる取付部51、及び、取付部51を貫通する第2貫通孔56を有している。固定部60は、第2貫通孔56に挿通された軸部61、及び、軸部61に接続され且つ取付部51から基板40とは反対側に延びたフィン形頭部63を有している。基板40は、光源31が取り付けられた表面40a、取付部51が取り付けられた背面40b、背面40bから表面40aに向かって延び且つ軸部61が螺合された第2螺子孔43aを有している。
【0097】
具体的には、基板40には、その中央に第2螺子孔43aが設けられている。第2螺子孔43aは、固定部60が取り付けられる孔であって、例えば、上下方向に直交する断面が円形状であり、上下方向に延びて、基板40の上面から下方に延びている。第2螺子孔43aの周囲を取り囲む基板40の内面には、ねじ溝が設けられている。なお、第2螺子孔43aは基板40を上下方向に貫通していてもよい。
【0098】
ヒートシンク50の取付部51には、基板40の第2螺子孔43aに対応する位置に第2貫通孔56が設けられている。第2貫通孔56は、固定部60の軸部61が挿通される孔であって、例えば、上下方向に直交する断面が円形状であり、上下方向に延びて、取付部51の下面と上面との間を貫通している。
【0099】
固定部60の軸部61は、その少なくとも先端領域にねじ山が設けられている。この先端領域は、軸部61のうちその先端を含む領域であって、軸部61が第2螺子孔43aに挿入される範囲である。なお、ねじ山は、軸部61の基端と先端との間の全長に亘って設けられていてもよい。
【0100】
フィン形頭部63は、ヒートシンク50のフィン52と同様の形状を有しており、例えば、円柱形状である。フィン形頭部63は、その基端が軸部61の基端に接続されており、その径が第2貫通孔56の径よりも大きい。このため、軸部61が第2貫通孔56、挿通孔55及び第2螺子孔43aに挿通されて第2螺子孔43aに螺合されると、フィン形頭部63がヒートシンク50の取付部51の上面に当接して係止される。この固定部60によってヒートシンク50が熱伝導性材料54を介して基板40に固定され、基板40の熱が熱伝導性材料54を介してヒートシンク50に伝播して、基板40は冷却される。なお、フィン形頭部63と取付部51との間にワッシャ64が介在していてもよい。
【0101】
また、フィン形頭部63は、フィン52と同様に、取付部51の上面から立ち上がり上方に延びている。フィン形頭部63及び複数のフィン52は、前後方向及び左右方向のそれぞれに方向において互いに等間隔に配置されており、取付部51における分布が均等になるように配置されている。このように、フィン形頭部63がフィン52と同様の機能を奏するため、フィン形頭部63を固定及び冷却に有効利用することができる。さらに、フィン形頭部63が基板40の下面から突出しないため、フィン形頭部63に起因する光源31の照度の低下を低減することができる。
【0102】
<変形例5>
変形例5に係る光照射ユニット30では、実施の形態1~2及び変形例1~4において、第1配線34の抵抗は第2配線35の抵抗よりも大きい。例えば、
図12に示すように、第2配線35は、その前端が前側のコネクタ37に接続され、後端が後側のコネクタ37に接続されており、この2つのコネクタ37の間において前後方向に直線状に延びて10つの第2光源31bのそれぞれに直列に接続されている。このため、前端の第2光源31bと後端の第2光源31bとの間における第2配線35の全長は、前後方向における第2光源列32bの最短距離と等しい。
【0103】
このような第2配線35の単位長さ当たりの電気抵抗が、第1配線34の単位長さ当たりの電気抵抗よりも小さい。例えば、第2配線35の断面積が第1配線34の断面積よりも大きくてもよい。又は、第2配線35が、第1配線34の材質よりも電気抵抗が小さい材質であってもよい。
【0104】
また、第1配線34は第1迂回部分34bを有しているのに対して、第2配線35は第2迂回部分35b(
図4)を有していない。このため、第1配線34の長さは第2配線35の長さよりも長い。このため、第1配線34自体の電気抵抗は第2配線35自体の電気抵抗よりも大きい。なお、第2配線35の単位長さ当たりの電気抵抗が、第1配線34の単位長さ当たりの電気抵抗と等しくてもよい。この場合には、例えば、第1配線34及び第2配線35に抵抗を配置してもよい。この第1配線34とこれに設けられた抵抗との合成抵抗である第1配線34自体の電気抵抗を、第2配線35とこれに設けられた抵抗との合成抵抗である第2配線35自体の電気抵抗よりも大きくしてもよい。
【0105】
一方、第1配線34に接続されている第1光源31aの数は第2配線35に接続されている第2光源31bの数よりも少ない。このため、第1配線34に接続された全ての第1光源31aの合成抵抗は第2配線35に接続された全ての第2光源31bの合成抵抗よりも小さい。従って、第1配線34及びこれに接続された全ての第1光源31aの合成抵抗と、第2配線35及びこれに接続された全ての第2光源31bの合成抵抗とは、互いに等しい又は近くなる。これにより、固定部60の配置に起因して配線33に接続される光源31の数が異なったり、配線33の迂回に起因して配線33の長さが異なったりする場合であっても、光源31の照度ムラを低減することができる。
【0106】
また、第3配線36は第2配線35と同様である。第3配線36の単位長さ当たりの電気抵抗が、第2配線35の単位長さ当たりの電気抵抗よりも小さい。第2配線35及び第3配線36は互いに長さが等しいため、第3配線36自体の電気抵抗は、第2配線35自体の電気抵抗よりも小さい。これに対し、第3配線36に接続されている第3光源31cの数は、第2配線35に接続されている第2光源31bの数よりも多い。このため、第3配線36に接続された全ての第3光源31cの合成抵抗は、第2配線35に接続された全ての第2光源31bの合成抵抗よりも大きい。従って、第3配線36及びこれに接続された全ての第3光源31cの合成抵抗と、第2配線35及びこれに接続された全ての第2光源31bの合成抵抗とは、互いに等しい又は近くなる。これにより、固定部60の配置に起因して配線33に接続される光源31の数が異なる場合であっても、光源31の照度ムラを低減することができる。
【0107】
<その他の変形例>
実施の形態1及びその全変形例の光照射ユニット30において、
図13に示すように、配線33に接続されたコネクタ37は、前後方向においていずれか一方に設けられていてもよい。
図13の例では、第1配線34は、第1接続部分34a及び第1迂回部分34bに加えて、第1戻り部分34cを有している。第1戻り部分34cは、前側の第1接続部分34aに接続され、右側に延びて、右側の第3光源列32cよりも右側において前方から後方に延び、コネクタ37に接続されている。
【0108】
第2配線35は、第2接続部分35a及び第2迂回部分35bに加えて、第2戻り部分35cを有している。右側の第2配線35の第2戻り部分35cは、前側の第2接続部分35aに接続され、右側に延びて、右側の第3光源列32cよりも右側において前方から後方に延び、コネクタ37に接続されている。左側の第2配線35の第2戻り部分35cは、前側の第2接続部分35aに接続され、左側に延びて、左側の第3光源列32cよりも左側において前方から後方に延び、コネクタ37に接続されている。
【0109】
第3配線36は、第3接続部分36a及び第3迂回部分36bに加えて、第3戻り部分36cを有している。右側の第3配線36の第3戻り部分36cは右側の第2配線35の第2戻り部分35cと同様であり、左側の第3配線36の第3戻り部分36cは左側の第2配線35の第2戻り部分35cと同様である。
【0110】
このような光照射ユニット30において、第1配線34を介して第1光源31aに流れる電流、第2配線35を介して第2光源31bに流れる電流、及び、第3配線36を介して第3光源31cに流れる電流が互いに等しい又は近くなるように、第2迂回部分35bの長さ及び第3迂回部分36bの長さが設定される。これにより、第1光源31a、第2光源31b及び第3光源31cは、光照射ユニット30の大型化を抑制しながら、互いの照度ムラを低減することができる。
【0111】
実施の形態1及び2並びにその全変形例において、
図13に示すように、第2配線35及び第3配線36は、コネクタ37に接続する部分において左右方向の中央に近寄るように曲がっていてもよい。これにより、各配線33の接続部分及び/又は戻り部分の長さが、第1配線34、第2配線35及び第3配線36において互いに異なることがある。この場合、第1光源31a、第2光源31b及び第3光源31cの電流が互いに一致又は近づくように、各迂回部分の長さが調整される。このため、光照射ユニット30の大型化を抑制しながら、互いの照度ムラを低減することができる。
【0112】
実施の形態1及び2並びにその全変形例において、
図13に示すように、第3配線36において複数(例えば、2つ)の第3迂回部分36bが設けられていてもよい。
図13の例では、前から5つ目の第1光源31aと前から6つ目の第3光源31cとの間、及び、前から6つ目の第3光源31cと前から7つ目の第3光源31cとの間に第3迂回部分36bが設けられる。これにより、第3迂回部分36bは第2迂回部分35bと干渉することなく基材上に配置することができる。なお、第2迂回部分35bも第2配線35において複数、設けられていてもよい。
【0113】
上記全ての実施の形態及び変形例では、第2迂回部分35bは、前後方向において前端の第2光源31bと後端の第2光源31bとの間に配置されていた。但し、第2迂回部分35bが基板40の下面上にあれば、第2迂回部分35bの位置はこれに限定されない。例えば、第2迂回部分35bは、基板40の下面上において前端の第2光源31bよりも前側に配置されていてもよいし、基板40の下面上において後端の第2光源31bよりも後側に配置されていてもよい。なお、第3迂回部分36bも第2迂回部分35bと同様である。
【0114】
上記全ての実施の形態及び変形例では、液体吐出装置10は、キャリッジ72によりヘッド20を左右方向に移動するシリアルヘッド方式が用いられた。しかしながら、液体吐出装置10は、キャリッジ72を備えずに、ヘッド20が固定されたラインヘッド方式が用いられてもよい。
【0115】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の光照射ユニット及び液体吐出装置は、光源の照度ムラを低減することができる光照射ユニット及び液体吐出装置等として有用である。
【符号の説明】
【0117】
10 :液体吐出装置
20 :ヘッド
30 :光照射ユニット
31 :光源
31 :他端光源
31 :一端光源
31a :第1光源
31b :第2光源
31c :第3光源
32 :光源列
32a :第1光源列
32b :第2光源列
32c :第3光源列
33 :配線
34 :第1配線
34b :第1迂回部分
34b1 :第1迂回部分
34b2 :第1迂回部分
34c :部分
35 :第2配線
35b :第2迂回部分
35c :部分
36 :第3配線
36b :第3迂回部分
36c :部分
40 :基板
40a :表面
40b :背面
41 :ザグリ
41a :底面
43 :第1貫通孔
43a :第2螺子孔
50 :ヒートシンク
50a :対向面
51 :取付部
52 :フィン
53 :第1螺子孔
56 :第2貫通孔
60 :固定部
61 :軸部
62 :頭部
63 :フィン形頭部
72 :キャリッジ
80 :搬送装置