(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】渋滞検出システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240910BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G08G1/01 E
B60W40/04
(21)【出願番号】P 2020210280
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020023009
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 邦光
(72)【発明者】
【氏名】竹内 鋭典
(72)【発明者】
【氏名】二村 光宏
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159426(JP,A)
【文献】特開2018-146462(JP,A)
【文献】特開2019-113421(JP,A)
【文献】特開2009-031142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行中の道路において前記車両に搭載されたカメラにより撮影された
画像において、第3の距離の範囲内に所定台数以上の車両が検出された場合に、前記所定台数以上の車両の列を渋滞列として検出する渋滞列検出部と、
前記画像に基づいて、渋滞列の前記道路上における先頭車両を検出する先頭検出部と、
前記先頭車両から第
2の距離の範囲内に施設が存在する場合に、前記渋滞列の発生原因を前記施設への入場待ちと判定する原因判定部と
、
他の渋滞検出システムにより検出された渋滞列に係る渋滞列情報であって、渋滞列の末尾車両から進行方向前方に連なる複数台の車両の列を示す画像特徴と、前記先頭車両の位置と、渋滞列の発生原因と、を含む渋滞列情報を渋滞管理システムから受信する通信処理部と、
前記渋滞列情報に示される画像特徴と一致する画像特徴を示す特徴車両列が前記画像に基づいて検出された検出渋滞列に存在する場合に、前記検出渋滞列は前記渋滞列情報に係る登録渋滞列と同一であると判定する渋滞列判定部と、
前記検出渋滞列が前記登録渋滞列と同一でないと判定された場合には、前記先頭検出部により検出された前記先頭車両の位置と、前記原因判定部により検出された発生原因を案内し、前記検出渋滞列が前記登録渋滞列と同一であると判定された場合には、前記渋滞列情報に示される、前記先頭車両の位置及び発生原因を案内する案内部と、
を備える、渋滞検出システム。
【請求項2】
前記施設が前記道路に隣接し、かつ前記先頭車両から第
1の距離の範囲内に交差点が存在しない場合に、前記発生原因は、前記施設への入場待ちと判定される、請求項1に記載の渋滞検出システム。
【請求項3】
前記案内部は、前記渋滞列の前記発生原因が前記施設への入場待ちと判定された場合に、前記渋滞列が存在する車線以外の車線を走行する旨を案内す
る、請求項1又は2に記載の渋滞検出システム。
【請求項4】
前記案内部は、前記渋滞列の前記発生原因が前記施設への入場待ちと判定され、かつ前記車両の目的地として前記施設が登録されている場合に、前記渋滞列が存在する車線を走行する旨を案内す
る、請求項1又は2に記載の渋滞検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたカメラにより撮影された画像に基づいて、渋滞を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、対向車線の渋滞を検出する装置が開示されている。また、特許文献2には、自車走行車両に隣接する車線の交通量に応じて、運転者に違和感のない走行制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-207677号公報
【文献】特開2006-48494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、渋滞が施設への入場であるのか、交差点であるのかといった渋滞の発生原因を特定することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、渋滞の発生原因が特定される可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の渋滞検出システムは、車両が走行中の道路において前記車両に搭載されたカメラにより撮影された画像に基づいて、渋滞列の前記道路上における先頭車両を検出する先頭検出部と、前記先頭車両から第1の距離の範囲内に施設が存在する場合に、前記渋滞列の発生原因を前記施設への入場待ちと判定する原因判定部とを備える。
【0007】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の渋滞検出プログラムは、コンピュータを、車両が走行中の道路において前記車両に搭載されたカメラにより撮影された画像に基づいて、渋滞列の前記道路上における先頭車両を検出する先頭検出部と、前記先頭車両から第1の距離の範囲内に施設が存在する場合に、前記渋滞列の発生原因を前記施設への入場待ちと判定する原因判定部として機能させるためのプログラムである。
【0008】
上記渋滞検出システム及び渋滞検出プログラムは、渋滞列の道路上における先頭車両を検出し、先頭車両から第1の距離の範囲内に施設が存在する場合に、渋滞列の発生原因を施設への入場待ちと判定する。従って、渋滞列の発生原因を特定する可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図3Aは撮影された画像の例を示す図。
図3Bは車幅軸と車長軸とを含む平面を示す図。
【
図4】
図4Aは誤判定の説明図。
図4Bは周辺車両の走行車線を特定する処理の説明図。
【
図7】渋滞列判定処理を示すフローチャートである。
【
図8】先頭車両検出処理を示すフローチャートである。
【
図9】発生原因判定処理を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係る発生原因判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)渋滞通知システムの構成:
(2)渋滞通知処理:
(3)第2の実施形態:
(4)他の実施形態:
【0011】
(1)渋滞通知システムの構成:
図1は、第1の実施形態に係る渋滞通知システム1の全体構成図である。渋滞通知システム1は、渋滞検出システム10及び渋滞管理システム20を有している。渋滞検出システム10は、ナビゲーションシステムの一部として車両に搭載されるシステムである。渋滞管理システム20は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型の外部サーバ等である。渋滞検出システム10と渋滞管理システム20は、ネットワークを介して通信可能である。
【0012】
図2を参照しつつ、渋滞通知システム1による渋滞通知サービスについて説明する。渋滞検出システム10を搭載し、道路Xを走行中の車両Aは、カメラ110により、車両Aから周辺車両の画像を撮影する。以下、カメラ110により撮影された画像をカメラ画像と称する。車両Aの渋滞検出システム10は、t1のタイミングにおいて、カメラ110により得られたカメラ画像に基づいて、周辺車両を検出する。さらに、周辺車両の検出結果に基づいて、渋滞列30を検出し、渋滞列30の先頭車両及び末尾車両を検出する。なお、先頭車両は、道路上における先頭車両であり、
図2に示す例においては、車両31aが先頭車両となる。渋滞列が施設内にまで延びているような場合において、車両31cのように道路以外の場所に、車両31aよりも前に並ぶ車両が存在する場合であっても、道路上において先頭に並ぶ車両31aが先頭車両として検出される。末尾車両は車両31bである。また、末尾車両は、渋滞列のうち、カメラ画像において検出された周辺車両のうち渋滞列の進行方向において最も後方に位置する車両である。したがって、渋滞列の実際の末尾車両がカメラ画像に含まれない場合には、渋滞列の実際の末尾車両よりも前の車両が、渋滞通知システム1により末尾車両と判定される。
【0013】
渋滞検出システム10は、渋滞列30に関する情報である渋滞列情報を渋滞管理システム20に送信する。渋滞管理システム20は、渋滞列情報を受信すると、渋滞列情報を記録媒体23に記憶する。ここで、渋滞列情報は、渋滞列の先頭車両の位置や、渋滞列の発生原因などを示す情報である。ここで、発生原因としては、施設の入場待ちや、交差点への進入待ちが挙げられる。
【0014】
車両Aが渋滞列情報を渋滞管理システム20に登録した後、t2のタイミングで、車両Bが道路Xを走行する。このとき、車両Bの渋滞検出システム10は、渋滞管理システム20から渋滞列情報を受信する。そして、車両Bに搭載された渋滞検出システム10は、渋滞列30を検出する。この場合、車両Bの渋滞検出システム10は、渋滞列情報から、渋滞列の発生原因や先頭車両の位置等を特定することができる。すなわち、車両Bの渋滞検出システム10は、渋滞列30の先頭車両を検出する前に、渋滞列の発生原因等を特定することができる。このように、渋滞検出システム10は、渋滞検出を行うシステムであると共に、渋滞管理システム20への渋滞列に係る情報を登録する渋滞情報登録システムとしても動作する。なお、
図2においては、車両Aが検出し、登録した渋滞列を車両Aと異なる車両Bが検出する場合を例に説明したが、渋滞通知サービスは、同一の車両が、再び同じ場所を訪れ、一度検出した渋滞列を再度検出するような場合にも適用される。
【0015】
図1を参照しつつ、このような渋滞通知サービスを実現するための構成について説明する。以下の説明においては、渋滞検出システム10が搭載された車両を単に車両と称し、渋滞検出システム10のカメラ110により撮影されたカメラ画像から検出された、車両の周辺に存在する車両を周辺車両と称する。
【0016】
渋滞検出システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部12と記録媒体13とを備えている。制御部12は、記録媒体13やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部12は、このプログラムの1つとして、渋滞検出プログラム120を実行することができる。制御部12は、渋滞検出プログラム120の処理により、
図2を参照しつつ説明した車両Aのように、渋滞列を検出し、渋滞列情報を渋滞管理システム20に登録することができる。制御部12はさらに、渋滞検出プログラム120の処理により、
図2を参照しつつ説明した車両Bのように、渋滞列を検出し、渋滞列情報に示される渋滞列と比較することにより、渋滞列の先頭を検出する前に、渋滞列の発生原因等の情報を特定することができる。
【0017】
記録媒体13は、地図情報131を記憶している。地図情報131は、交差点の位置の特定や、経路案内等に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置や形状等を示す地物データ等を含んでいる。なお、本実施形態においてノードは交差点を示している。地物データは、施設等の建物データを含んでいる。建物データは、建物の位置、サイズ及び形状などを含んでいる。
【0018】
また、リンクデータには、当該リンクデータが示す道路区間に存在する車線の数および車線の幅を示す情報が対応づけられている。リンクデータには、リンクデータが示す道路区間上で車両が進行可能な方向を示す情報が含まれており、双方向通行の道路においては、1つの道路区間に、進行方向の異なる2つのリンクデータが対応付けられる。本実施形態においてノードや形状補間点が示す位置は道路区間上の中央線の位置を示しており、当該位置と車線の数および車線の幅によって車線の位置や車線が存在する範囲が特定可能である。
【0019】
車両にはさらに、カメラ110と、GNSS受信部111と、車速センサ112と、ジャイロセンサ113と、ユーザI/F部114と、通信部115とが搭載されている。カメラ110は、車両の前方に向けられた視野内の画像を取得する装置である。カメラ110の光軸は車両に対して固定されており、渋滞検出システム10において、この光軸の方向が予め設定されているものとする。本実施形態においては、カメラ110は、車両の車幅方向と、光軸中心が垂直で、車両の進行方向前方が視野に含まれるような姿勢で車両に取り付けられている。制御部12は、カメラ110が出力するカメラ画像を取得し、特徴量の抽出等により画像解析することによって車両の周辺に存在する他の車両(周辺車両)を検出することができる。
【0020】
GNSS受信部111は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部111は、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して、車両の位置を算出するための信号を出力する。制御部12は、この信号を取得して車両の位置を取得する。車速センサ112は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部12は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ113は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部12は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ112およびジャイロセンサ113等は、車両の走行軌道を特定するために利用される。本実施形態においては、制御部12は、車両の出発地と走行軌道とに基づいて車両の位置を特定し、出発地と走行軌道とに基づいて特定された車両の位置をGNSS受信部111の出力信号に基づいて補正する。
【0021】
ユーザI/F部114は、ユーザの指示を入力し、また、ユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネル式のディスプレイやスイッチ等やスピーカー等を備えている。すなわち、ユーザI/F部114は画像や音声の出力部およびユーザによる指示の入力部を備えている。通信部115は、外部の装置と無線通信を行うための装置であり、制御部12は通信部115を介して渋滞管理システム20と通信することができる。
【0022】
渋滞検出システム10の制御部12が実行する渋滞検出プログラム120は、渋滞列を検出するために、領域特定部120aと、車線特定部120bと、渋滞列検出部120cと、渋滞列判定部120dと、特徴抽出部120eと、先頭検出部120fと、原因判定部120gと、情報生成部120hと、案内部120iと、通信処理部120jとを備えている。
【0023】
領域特定部120aは、カメラ画像から周辺車両が含まれる矩形の車両領域、すなわちバウンディングボックスを特定する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部12はカメラ画像において、レンズによる歪み補正等を施す。さらに、制御部12は、YOLO(You Only Look Once)やパターンマッチング等を用いて、周辺車両を対象とした画像認識処理を実行する。この結果、制御部12は、カメラ画像から周辺車両の画像を検出する。そして、制御部12は、認識した周辺車両の画像を囲むバウンディングボックスをカメラ画像内において特定する。
図3Aは、カメラ110によって撮影され、
図3Aに示すように、本実施形態においてバウンディングボックスPは、画像Iから検出された周辺車両を囲む矩形領域である。
【0024】
車線特定部120bは、車両領域、すなわちバウンディングボックスの位置に基づいて、バウンディングボックスで囲まれた周辺車両の走行車線を特定する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部12は、車線特定部120bの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、まず車両の位置を基準とした周辺車両の相対方位と車両から周辺車両までの距離を推定する。続いて、制御部12は、車両の位置を基準として、周辺車両の道路上の位置を推定し、周辺車両の道路上の位置から、周辺車両の走行車線を特定する。以下、走行車線を特定するための処理について説明する。
【0025】
バウンディングボックスPのサイズや位置は、例えばバウンディングボックスPの左上の頂点の座標と右下の頂点の座標によって表される。制御部12は、バウンディングボックスPの対角2頂点の座標から、バウンディングボックスPの高さh(画素数)と、バウンディングボックスPの代表座標Po(x、y)を取得する。代表座標Poは、例えばバウンディングボックスPの中心座標(幅方向および高さ方向の中点)等である。制御部12は、バウンディングボックスPの代表座標Poの位置に基づいて、車両から見た周辺車両の相対方位を特定する。また、制御部12は、バウンディングボックスPの高さhおよび周辺車両の種類に基づいて、車両から周辺車両までの距離を特定する。
【0026】
具体的には、画像I内の各座標には、車両を基準とした場合の、当該座標に写る物体の相対方位が対応付けられており、対応関係を示す情報が記録媒体13に記憶されている。制御部12は、この対応関係に基づいて、代表座標Poに写る周辺車両の相対方位を取得する。本実施形態において制御部12は、車両を基準とした車両座標系を利用する。車両座標系は、互いに直交する車幅軸(
図3Bに示すX軸)と車長軸(
図3Bに示すY軸)とで定義される座標系である。
【0027】
図3Bは車幅軸と車長軸とを含む平面を示している。同図において点Oは、車両における車両座標系の原点である。
図3Bの例において、車長軸は車両が走行している道路区間を示すリンクと平行である。相対方位は、例えば、車両座標系の原点Oと代表座標Poに対応する地点とを結ぶ直線SLと車長軸とのなす角度(θ)で表現される(例えばθが負値の場合は進行方向前方に向かって車長軸の左側、正値の場合は右側であることを示す)。
【0028】
さらに、制御部12は、物体認識処理により、バウンディングボックスP内の周辺車両の種類を特定する。周辺車両の種類は、車体の大きさを示す種類であればよく、例えば貨物自動車、乗用車、2輪車等のように分類されてよい。また、本実施形態においては周辺車両の種類毎に、代表的な車高(例えば乗用車の場合、1.5[m]等)が規定されている。さらに、車両と周辺車両との直線距離と、当該周辺車両をカメラ110で撮影した場合のバウンディングボックスPの高さhとが予め計測されている。そして、車両の種類毎に、バウンディングボックスPの高さhと、車両座標系の原点を基準とした直線距離との対応関係を示す情報が記録媒体13に記憶されている。
【0029】
例えば、車高の代表的な実寸が1.5[m]の乗用車を囲むバウンディングボックスの高さがh1画素であれば直線距離がD1[m]であり、h2画素であれば直線距離がD2[m]であることが対応付けられている。貨物自動車や2輪車等の他の種類についてもそれぞれ対応関係を示す情報が記録媒体13に記憶されている。制御部12は、この対応関係に基づいて、バウンディングボックスPの高さhに対応する直線距離D(
図3Bを参照)を算出する。以上のようにして、制御部12は、カメラ110が撮影した画像に基づいて、画像内に含まれる周辺車両の相対方位θと、車両との直線距離Dを取得する。
【0030】
制御部12は、GNSS受信部111の信号に基づいて特定した車両の位置を基準とし、周辺車両の相対方位θと、車両との直線距離Dと、に基づいて、周辺車両の位置を特定する。また、制御部12は、地図情報131を参照し、車両が走行中の道路(リンク)の中央線の位置と、道路(リンク)に含まれる車線の数や幅の情報から、車線が走行中の道路における各車線の境界位置を特定する。そして、制御部12は、車両及び周辺車両の地図情報131における位置と、各車線の境界位置との位置関係から、車両及び周辺車両が走行する車線を特定する。このように、制御部12は、カメラ画像に含まれるバウンディングボックス(車両領域)の位置及びサイズに基づいて、カメラ110が搭載された車両を基準とした、周辺車両の位置を推定する。
【0031】
制御部12はさらに、車両の速度と、異なるタイミングで撮影された複数のカメラ画像における周辺車両の位置の変化量と、に基づいて、周辺車両の速度を検出する。具体的には、制御部12は、複数のカメラ画像において、同一の周辺車両を認識し、認識した周辺車両の移動量を特定する。そして、制御部12は、複数のカメラ画像間の時間変化と、周辺車両の移動量とから、周辺車両の車両に対する相対速度を求め、車両の速度を加算することで、周辺車両の速度を検出する。
【0032】
ところで、周辺車両の車高が車両の種類に応じて設定されたバウンディングボックスPの高さに比べて低い場合がある。この場合、周辺車両に対して設定されたバウンディングボックスPが車両の種類に応じたサイズより小さいサイズになる。このため、
図4Aに示すように、実際の周辺車両の位置401に比べて車両からより遠い位置402が周辺車両の位置として特定される場合がある。このような誤判定への対処として、制御部12は、周辺車両の走行車線を補正する処理を行う。
【0033】
本実施形態の渋滞検出システム10が検出対象とする渋滞列は、施設への入場や、交差点における左折や右折に起因した渋滞列である。このため、渋滞列が発生し得る車線は、同方向を走行する車線のうち両端の車線である。すなわち、道路の端に隣接する車線と、中央線(または中央分離帯)に隣接する車線である。これに対応し、本実施形態の制御部12は、車両が走行中の道路において道路の端に隣接する車線及び中央線(または中央分離帯)に隣接する車線を渋滞列の有無を検出する対象車線とする。すなわち、周辺車両の走行車線を補正する処理についても、対象車線を走行中の周辺車両が正しく対象車線上の位置に補正されればよい。そこで、制御部12は、バウンディングボックスを用いた処理により、対象車線に位置しないと判定された周辺車両が対象車線に位置するか否かを再度判定する。
【0034】
具体的には、制御部12は、まず対象車線に位置しないと判定された周辺車両のうち、対象車線に位置するか否かの判定対象とする車両を対象車両として選択する。制御部12は、対象車線に位置する周辺車両のうち、対象車両の進行方向前方において対象車両に最も近い位置に存在する周辺車両と、進行方向後方において対象車両に最も近い位置に存在する周辺車両のペアを抽出する。制御部12は、
図4Bに示すように、カメラ画像において、選択された2台の周辺車両それぞれのバウンディングボックス411,412の底辺411a,412aと、底辺411aの左端の点T1と底辺412aの左端の点S1を結ぶ直線と、底辺411aの右端の点T2と、底辺412aの右端の点S2を結ぶ直線と、により囲まれる四角形の領域を判定領域420として設定する。
【0035】
そして、制御部12は、対象車両のバウンディングボックス430の底辺430aの少なくとも一部が判定領域420に含まれるか否かを判定する。制御部12は、底辺420aの少なくとも一部が判定領域420に含まれる場合に、バウンディングボックス430に対応する対象車両の走行車線を対象車線に変更する。
【0036】
図1に戻り、渋滞列検出部120cは、カメラ画像において検出された渋滞列を検出する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部12は、渋滞列検出部120cの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、各周辺車両の走行車線に基づいて、渋滞列を検出する。具体的には、制御部12は、まず各周辺車両に対して特定された走行車線に基づいて、対象車線に存在する周辺車両を特定する。そして、制御部12は、対象車線に存在する周辺車両の列において、周辺車両の走行速度が基準速度以下であり、かつ基準距離(第3の距離)の範囲内に基準台数以上の車両が含まれる場合に、対象車線の車両の列を渋滞列として検出する。ここで、基準速度は、例えば20km/hである。基準速度、基準距離及び基準台数は、予め記録媒体13等に設定されているものとする。制御部12はさらに、渋滞列のうち進行方向において最も後方に位置する周辺車両を末尾車両として特定する。以下、渋滞列に含まれる周辺車両を渋滞車両と称する。
【0037】
渋滞列判定部120dは、渋滞列検出部120cの機能により検出した渋滞列が、渋滞管理システム20に登録されている渋滞列であるか否かを判定する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。なお、以下、説明の便宜上、渋滞列検出部120cに機能により新たに検出された渋滞列を検出渋滞列、渋滞管理システム20に登録されている渋滞列を登録渋滞列と称することとする。渋滞管理システム20には、渋滞検出システム10により検出された渋滞列が登録渋滞列として登録されている。なお、
図1においては、1台の車両に搭載された渋滞検出システム10のみを示しているが、渋滞管理システム20には、複数の車両それぞれに搭載された渋滞検出システム10において検出された渋滞列が登録されているものとする。
【0038】
制御部12は、渋滞列判定部120dの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、通信部115及び通信処理部120jを介して渋滞管理システム20から登録渋滞列の渋滞列情報を受信する。ここで、渋滞列情報には、登録渋滞列の検出時刻、発生原因、発生原因の位置先頭車両の位置、及び特徴車両列の末尾車両の位置及び渋滞列の画像特徴が含まれる。発生原因が施設の入場待ちの場合には、発生原因の位置として施設の位置が含まれる。発生原因が交差点への進入待ちの場合には、発生原因の位置として交差点の位置が含まれる。渋滞列情報は、登録渋滞列に関する情報である。なお、画像特徴の情報は特徴情報の一例である。すなわち、渋滞列情報は、特徴情報を含む。画像特徴は、カメラ画像から得られる特徴量であり、本実施形態においては、特徴車両列に含まれる各車両の色の配列である。特徴車両列は、渋滞列の末尾車両から進行方向前方に連なる複数台の車両の列である。例えば、
図5に示す例においては、特徴車両列500の末尾車両から順に、「青、赤、黒、白」の色の並びが画像特徴となる。なお、画像特徴は、各渋滞列を識別するための情報である。このため、所定の色数以上の色数が含まれるような車両列が特徴車両列として決定され、特徴車両列に含まれる車両の台数は可変である。
【0039】
制御部12は、渋滞列情報に示される画像特徴と一致する画像特徴を示す特徴車両列が検出渋滞列に存在する否かを判定する。制御部12は、検出渋滞列に特徴車両列が存在する場合には、検出渋滞列は渋滞列情報に係る登録渋滞列と同一であると判定する。制御部12は、検出渋滞列に特徴車両列が存在しない場合には、検出渋滞列は渋滞列情報に係る登録渋滞列と異なる渋滞列であると判定する。すなわち、制御部12は、新たな渋滞列を検出したと判定する。
【0040】
特徴抽出部120eは、検出渋滞列に含まれる車両の配列に基づいて、渋滞列の画像特徴を抽出する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部12は、特徴抽出部120eの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、渋滞列の末尾車両から進行方向前方に所定台数の車両の列を特徴車両列として特定する。そして、制御部12は、特定車両列における各車両の色の配列を特徴情報として抽出する。例えば、
図5に示す例においては、末尾車両から順に、「青、赤、黒、白」の色の並びが画像特徴として抽出される。なお、制御部12は、特徴車両列に含まれる車両の色の数が所定の色数よりも小さい場合には、所定の色数以上になるまで特徴車両列に含まれる車両を増やす。こうして、制御部12は、車両の色の数が、所定の色数以上の車両列を特徴車両として特定する。
【0041】
さらに、制御部12は、特徴車両列に、特定の色の車両が含まれている場合には、特定の色の車両が含まれていない場合に比べて、特徴車両列の車両を所定台数増やす。例えば、白やグレーのように、道路上で多く観察される色が特定の色として予め設定されているものとする。これにより、制御部12は、高い確率で出現する色が含まれる場合には、車両の台数を増やすことで、画像特徴による渋滞列の識別能力が低くなるのを防ぐことができる。
【0042】
先頭検出部120fは、カメラ画像に基づいて、検出渋滞列の、道路上における先頭車両を検出する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部12は、先頭検出部120fの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、検出渋滞列において、進行方向における一定距離先までの範囲(前方の一定距離の範囲)に、他の渋滞車両が存在しない渋滞車両を先頭車両として検出する。
【0043】
原因判定部120gは、検出渋滞列の発生原因を判定する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部12は、原因判定部120gの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、地図情報131を参照し、検出渋滞列の先頭車両から第1の距離範囲内に交差点が存在するか否かを判定する。制御部12は、第1の距離範囲内に交差点が存在する場合は、検出渋滞列の発生原因を交差点への進入待ちと判定する。さらに、制御部12は、先頭車両から第1の距離範囲内に交差点が存在しない場合には、先頭車両から第2の距離範囲内に施設が存在するか否かを判定する。制御部12は、先頭車両から第2の距離範囲内に施設が存在し、かつ施設が、車両が走行中の道路に隣接する場合に、検出渋滞列の発生原因を施設への入場待ちと判定する。ここで、第2の距離範囲は、第1の距離範囲よりも広い範囲である。第1の距離範囲は、例えば車両の位置を中心とした半径30mの範囲であり、第2の距離範囲は、例えば車両の位置を中心とした半径50mの範囲である。
【0044】
案内部120iは、検出渋滞列に関する情報を案内する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。検出渋滞列に関する情報は、検出渋滞列の先頭車両の位置と、検出渋滞列の発生原因とのうち少なくとも一方を示す情報である。制御部12は、案内部120iの機能により、以下の処理を行う。制御部12は、検出渋滞列に関する情報をユーザI/F部114が備えるディスプレイに表示する。ただし、案内する情報の出力先は、特に限定されるものではなく、他の例としては、出力先は、ユーザI/F部114が備えるスピーカーであってもよい。制御部12は、検出渋滞列が登録渋滞列と同一でないと判定された場合には、先頭検出部120fの機能により検出された先頭車両の位置と、原因判定部120gの機能により検出された発生原因を案内する。なお、発生原因が不明と判定された場合には、不明である旨が原因として案内される。制御部12は、検出渋滞列が登録渋滞列と同一であると判定された場合には、渋滞列情報に示される、先頭車両の位置及び発生原因、すなわち登録渋滞列に関する情報を案内する。このように、制御部12は、検出渋滞列が登録渋滞列と一致した場合には、カメラ画像に基づく先頭車両の特定や、発生原因の判定を行うことなく、先頭車両の位置や発生原因を案内することができる。
【0045】
情報生成部120hは、渋滞列情報を生成する機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。ここで、渋滞列情報は、渋滞列検出部120cの機能により検出された検出渋滞列に係る情報である。制御部12は、検出渋滞列が登録渋滞列と一致しなかった場合、すなわち新たな渋滞列を検出した場合には、新たな渋滞列に係る渋滞列情報を生成する。制御部12は、検出渋滞列が登録渋滞列と一致した場合、すなわち登録渋滞列を検出した場合には、登録渋滞列に係る渋滞列情報を新たに作成する。新たに作成された渋滞列情報には、制御部12が参照した渋滞列情報と同様に、登録渋滞列の検出時に参照した渋滞列情報に示される発生原因、発生原因の位置、渋滞列情報に示された特徴車両列の末尾車両の位置が含まれる。発生原因、発生原因の位置については、制御部12が改めて検出する必要はない。新たに作成された渋滞列情報にはさらに、当該登録渋滞列に対し、制御部12により、新たに抽出された特徴車両列、すなわち当該渋滞検出システム10による検出時点における登録渋滞列の末尾車両を含む車両列の画像特徴及び当該渋滞検出システム10が登録渋滞列を検出した検出時刻が含まれる。
【0046】
渋滞列情報は、通信部115を介して、渋滞管理システム20に送信される。渋滞列情報は、渋滞管理システム20の記録媒体23に格納される。なお、上記のように同一の渋滞列に係る渋滞列情報は、発生原因や発生原因の位置により、同一の登録渋滞列に係る渋滞列情報として対応付けて管理される。すなわち、発生原因や発生原因の位置が同一であることにより、同一の登録渋滞列に係る情報であるか否かがわかる。渋滞管理システム20においては、同一の登録渋滞列に対し、複数の渋滞列情報が登録されている場合には、各渋滞列情報における同一の特徴車両列の末尾車両の検出時刻の変化量と、検出位置の変化量と、に基づいて、特徴車両列の末尾車両の走行速度を推定することができる。
【0047】
通信処理部120jは、通信部115を介して渋滞管理システム20との間で各種情報の送受信を行う機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部12は、通信処理部120jの機能により以下の処理を行う。制御部12は、例えば、情報生成部120hの機能により生成された渋滞列情報及び経過情報を、通信部115を介して渋滞管理システム20へ送信する。また制御部12は、渋滞列情報を、通信部115を介して渋滞管理システム20から受信する。ここで、渋滞列情報は、前述の通り、登録渋滞列に関する情報である。
図2を参照しつつ説明したように、車両Bとしての車両に搭載された渋滞検出システム10の制御部12は、例えば車両Aのように他の車両に搭載された、他の渋滞検出システムにより検出された渋滞列に係る渋滞列情報を受信する。
【0048】
次に、渋滞管理システム20について説明する。渋滞管理システム20は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部22と記録媒体23とを備えている。制御部22は、記録媒体23やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部22は、このプログラムの1つとして、渋滞管理プログラム220を実行することができる。制御部22は、渋滞管理プログラム220の処理により、車両に搭載された渋滞検出システム10により検出された渋滞列に係る情報を管理する。
【0049】
記録媒体23は、地図情報231と、渋滞テーブル232と、を記憶している。地図情報231は、地図情報131と同様である。渋滞テーブル232には、渋滞検出システム10から受信した渋滞列情報が記憶される。同一の渋滞列が複数回検出された場合には、同一渋滞列に係る渋滞列情報が複数記憶される。これらの同一渋滞列に係る渋滞列情報は、発生原因の位置により対応付けられる。
【0050】
通信部215は、外部の装置と無線通信を行うための装置であり、制御部22は、通信部215を介して渋滞検出システム10と通信することができる。
【0051】
渋滞管理システム20の制御部22が実行する渋滞管理プログラム220は、渋滞列情報を管理するために、通信処理部220aと、格納部220bとを備えている。通信処理部220aは、通信部215を介して渋滞検出システム10との間で各種情報の送受信を行う機能を制御部12に実現させるプログラムモジュールである。制御部22は、通信処理部220aの機能により、通信部215を介して、渋滞列情報を渋滞検出システム10から受信し、また渋滞列情報を渋滞検出システム10に送信する。格納部220bは、通信処理部220aの機能により受信した渋滞列情報を記録媒体23に格納する。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る渋滞通知システム1において、渋滞検出システム10は、渋滞列を検出した場合に、その先頭車両の位置に基づいて、渋滞列の発生原因を特定する可能性を高めることができる。さらに、渋滞検出システム10は、渋滞列の発生原因を案内することができる。したがって、ユーザは、渋滞列の原因を把握することができる。また、渋滞検出システム10により渋滞列が検出されると、渋滞管理システム20に渋滞列情報が登録される。そして、渋滞検出システム10は、渋滞列情報を参照することで、新たに検出された渋滞列が既に検出済みの登録渋滞列と同一の渋滞列であるか否かを正しく判定する可能性を高めることができる。検出渋滞列が既に渋滞検出システム10により検出され、登録済みの渋滞列と同一である場合には、先頭車両を特定することなく、渋滞列情報に示される先頭車両の位置や発生原因をユーザに案内することができる。すなわち、渋滞検出システム10は、渋滞検出後、速やかに発生原因などを案内することができる。
【0053】
さらに、渋滞検出システム10は、カメラ画像においてバウンディングボックスの位置やサイズから推定した周辺車両の位置を、バウンディングボックスの底辺の位置と、判定領域の位置とに基づいて補正することにより、精度よく各周辺車両の走行車線を特定することができる。
【0054】
(2)渋滞通知処理:
図6は、渋滞通知処理を示すフローチャートである。
図6の左に示すフローチャートは、渋滞検出システム10による処理を示し、
図6の右に示すフローチャートは、渋滞管理システム20による処理を示す。渋滞通知処理は、渋滞列を検出した場合に、渋滞列に関する情報を提供する処理である。制御部12は、渋滞検出システム10の起動後に渋滞通知処理を開始する。
【0055】
渋滞検出システム10の制御部12は、通信処理部120jの機能により、通信部115を介して、渋滞検出システム10の現在位置、すなわち車両位置を渋滞管理システム20へ送信する(ステップS100)。これに対し、渋滞管理システム20の制御部22は、通信処理部220aの機能により、通信部215を介して、渋滞検出システム10から車両位置を受信すると(ステップS200)、記録媒体23に記録されている渋滞テーブル232を参照し、登録渋滞列の発生原因の位置が道路上における車両位置から車両の前方の所定範囲内に含まれる渋滞列情報が存在するか否かを判定する(ステップS205)。先頭車両の位置が車両位置から所定範囲内に含まれる渋滞列情報が存在する場合には(ステップS205でY)、制御部22は、通信処理部220aの機能により、通信部215を介して、渋滞列情報を、車両位置の送信元である渋滞検出システム10へ送信する(ステップS210)。なお、同一の発生原因の位置を示す渋滞列情報が複数登録されている場合には、制御部12は、検出時刻が最も新しい渋滞列情報を送信するものとする。先頭車両の位置が車両位置から車両の前方の所定範囲内に含まれる渋滞列が存在しない場合には(ステップS205でN)、制御部22は、ステップS210の処理を行うことなく、処理をステップS215へ進める。
【0056】
渋滞検出システム10において、制御部12は、通信処理部120jの機能により、通信部115を介して渋滞列情報を受信すると(ステップS105)、渋滞列判定処理を行う(ステップS110)。なお、渋滞管理システム20から渋滞情報が送信されない場合もあり、この場合、制御部12は、車両位置を送信した後、所定時間が経過すると、ステップS105をスキップし、処理をステップS110へ進める。
【0057】
図7は、渋滞列判定処理(ステップS110)における詳細な処理を示すフローチャートである。まず、制御部12は、領域特定部120aの機能により、カメラ110からカメラ画像を取得する(ステップS300)。次に、制御部12は、領域特定部120aの機能により、周辺車両を検出する(ステップS305)。この結果、周辺車両を囲むバウンディングボックスの画像内の位置及び大きさが特定される。次に、制御部12は、車線特定部120bの機能により、各周辺車両の位置及び速度を検出する(ステップS310)。
【0058】
すべての周辺車両に対しステップS305及びステップS310の処理が終了すると、続いて、制御部12は、渋滞列検出部120cの機能により、渋滞候補車両を検出する(ステップS315)。具体的には、制御部12は、まず、車両の走行中の道路において、車両の進行方向と同一方向の車線でかつ、道路の端に隣接する車線及び中央線に隣接する車線を対象車線として設定する。そして、制御部12は、バウンディングボックスの位置とサイズから、対象車線を走行中と判定され、かつ走行速度が基準速度以下の周辺車両を渋滞車両候補として設定する。渋滞車両候補は、渋滞車線を走行中の車両の候補を意味する。
【0059】
次に、制御部12は、渋滞列検出部120cの機能により、カメラ画像に含まれる渋滞車両候補以外の周辺車両(以下、他の周辺車両と称する)のうち走行速度が基準速度以下の周辺車両のうち1台の車両を対象として、判定領域を設定する(ステップS320)。以下、処理対象として選択された他の周辺車両を、対象車両と称する。制御部12は、対象車両の進行方向前方で対象車両の最も近くに位置する渋滞車両候補と、対象車両の進行方向後方で対象車両の最も近くに位置する渋滞車両候補のペアを抽出し、このペアの渋滞車両候補のバウンディングボックスの底辺の位置に基づいて、判定領域を設定する。
【0060】
次に、制御部12は、対象車両のバウンディングボックスの底辺の少なくとも一部が判定領域に含まれるか否かを判定する。制御部12は、判定領域に含まれる場合に(ステップS325でY)、対象車両を渋滞車両候補に変更する(ステップS330)。制御部12は、判定領域に含まれない場合には(ステップS320でN)、ステップS330の処理を行わず、次の処理へ進む。制御部12は、カメラ画像に含まれる他の周辺車両のうち走行速度が基準速度以下のすべての周辺車両を対象として、ステップS320~ステップS330の処理を繰り返す。
【0061】
次に、制御部12は、渋滞列検出部120cの機能により、対象車線において、予め定められた基準距離の範囲内に基準台数以上の渋滞車両候補が存在するか否かを判定する。制御部12は、基準距離の範囲内に基準台数以上の渋滞車両候補が存在する場合には(ステップS335でY)、渋滞列が存在すると判定する(ステップS340)。この場合、制御部12は、渋滞車両候補を渋滞車両として決定する。一方、制御部12は、制御部12は、基準距離の範囲内に基準台数以上の渋滞車両候補が存在しない場合には(ステップS335でN)、対象車線に渋滞列は存在しないと判定する(ステップS345)。以上で、渋滞列判定処理(ステップS110)が終了する。なお、制御部12は、道路の端に隣接する車線及び中央線に隣接する車線それぞれを対象として、渋滞列判定処理を行うものとする。
【0062】
図6に戻り、渋滞検出システム10の制御部12は、渋滞列判定処理が完了すると、処理をステップS115へ進める。制御部12は、渋滞列が存在すると判定されなかった場合には(ステップS115でN)、再びステップS100へ進み、一定時間経過後に、再び渋滞通知処理を開始する。制御部12は、渋滞列が存在すると判定された場合には(ステップS115でY)、さらに、特徴抽出部120eの機能により、検出渋滞列の画像特徴を抽出する(ステップS120)。具体的には、制御部12は、渋滞列の末尾から所定台数の車両の列を特徴車両列として特定し、特定車両列における車両の色の配列を渋滞列の画像特徴として抽出する。次に、制御部12は、渋滞列検出部120cの機能により、検出渋滞列の末尾車両を特定する(ステップS125)。具体的には、制御部12は、渋滞車両のうち、車両との距離が最も近い渋滞車両を末尾車両として特定する。
【0063】
次に、制御部12は、ステップS105において受信した渋滞列情報に示される画像特徴を示す特徴車両列が検出渋滞列に存在するか否かを判定する(ステップS130)。なお、制御部12は、ステップS105において渋滞列情報を受信しなかった場合には、特徴車両列が検出渋滞列に存在しないと判定する。制御部12は、特徴車両列が存在しない場合には(ステップS130でN)、第1の処理(ステップS135~ステップS155)を行う。一方で、制御部12は、特徴車両列が存在する場合には(ステップS130でY)、第2の処理(ステップS160~ステップS170)を行う。第1の処理は、新たな検出渋滞列に係る渋滞列情報を新たに渋滞管理システム20に登録すると共に、渋滞列に係る案内を行う処理である。第2の処理は、渋滞管理システム20に登録されている渋滞列情報を参照し、渋滞列に係る案内を行うと共に、登録渋滞列に係る渋滞列情報を新たに作成し、これを渋滞管理システム20に登録する処理である。
【0064】
まず、第1の処理について説明する。制御部12は、特徴抽出部120eの機能により、渋滞列の画像特徴を抽出する(ステップS130)。具体的には、制御部12は、渋滞列の末尾から所定台数の車両の列を特徴車両列として特定し、特定車両列における車両の色の配列を渋滞列の画像特徴として抽出する。次に、制御部12は、先頭検出部120fの機能により、先頭車両検出処理を行う(ステップS135)。先頭車両検出処理は、渋滞列の先頭車両を検出する処理である。
図8は、先頭車両検出処理(ステップS135)における詳細な処理を示すフローチャートである。まず、制御部12は、渋滞列の末尾車両を先頭車両候補に設定する(ステップS400)。次に、制御部12は、末尾車両から前方に所定距離の範囲において渋滞車両が存在するか否かを判定する(ステップS405)。制御部12は、渋滞車両が存在する場合には(ステップS405でY)、先頭車両候補を前方に検出された渋滞車両に更新する(ステップS410)。これにより、先頭車両候補は、渋滞列において1台前の車両に変更される。その後、制御部12は、新たに先頭車両候補として設定された渋滞車両に対し、ステップS405の処理を繰り返す。なお、制御部12は、カメラ画像において、前方の所定範囲がカメラ画像に含まれておらず、所定範囲に渋滞車両が存在するか否か不明な場合には、車両が渋滞列の前方を撮影可能な位置に移動するまで待機し、新たに得られたカメラ画像を用いて、前方の所定距離の範囲に渋滞車両が存在するか否かを判定するものとする。一方で、制御部12は、前方の所定距離の範囲に渋滞車両が存在しない場合には(ステップS405でN)、先頭車両候補として設定されている渋滞車両を先頭車両に設定する(ステップS415)。以上で、先頭車両検出処理が終了する。
【0065】
図6に戻り、制御部12は、先頭車両検出処理(ステップS135)の後、原因判定部120gの機能により、発生原因判定処理を行う(ステップS140)。発生原因判定処理は、渋滞列の発生原因を判定する処理である。
図9は、発生原因判定処理(ステップS140)における詳細な処理を示すフローチャートである。まず、制御部12は、地図情報131を参照し、渋滞列の先頭車両の位置(先頭位置)から第1の距離範囲内に交差点が存在するか否かを判定する(ステップS500)。第1の距離範囲は、予め設定された範囲であり、例えば、半径30mの範囲とする。第1の距離範囲内に交差点が存在する場合には(ステップS500でY)、制御部12は、発生原因は交差点待ちと判定する(ステップS505)。
【0066】
交差点が存在しない場合には(ステップS500でN)、制御部12は、さらに、地図情報131を参照し、先頭位置から第2の距離範囲内に施設が存在するか否かを判定する(ステップS510)。第2の距離範囲は、予め設定された範囲であり、例えば、半径50mの範囲とする。制御部12は、第2の距離範囲内に施設が存在する場合には(ステップS510でY)、発生原因は施設入場待ちと判定する(ステップS515)。次に、制御部12は、第2の距離範囲内において検出された施設のうち、先頭位置の最も近くに存在する施設を発生原因の施設として設定する(ステップS520)。一方で、制御部12は、第2の距離範囲に施設が存在しない場合には(ステップS510でN)、発生原因は不明と判定する(ステップS525)。以上で、発生原因判定処理が終了する。
【0067】
図6に戻り、制御部12は、発生原因判定処理(ステップS140)の後、案内部120iの機能により、渋滞列案内を行う(ステップS145)。具体的には、制御部12は、先頭検出部120fの機能により検出された渋滞列の先頭車両の位置と、原因判定部120gの機能により検出された渋滞列の発生原因を、渋滞列の案内情報として、ユーザI/F部114のディスプレイに表示する。
【0068】
次に、制御部12は、情報生成部120hの機能により、渋滞列情報を生成する(ステップS150)。具体的には、制御部12は、特徴抽出部120eの機能により抽出された画像特徴と、特徴車両列の末尾車両の位置と、先頭検出部120fの機能により検出された先頭車両の位置と、原因判定部120gの機能により判定された発生原因と、発生原因の位置と、渋滞列の検出時刻と、を取得する。そして、制御部12は、これらの情報を渋滞列情報として生成する。次に、制御部12は、通信処理部120jの機能により、通信部115を介して渋滞列情報を渋滞管理システム20へ送信する(ステップS155)。制御部12は、その後処理をステップS100へ進める。
【0069】
続いて第2の処理について説明する。制御部12は、案内部120iの機能により、検出渋滞列と一致した登録渋滞列に係る渋滞列情報に従い、渋滞列案内を行う(ステップS160)。具体的には、制御部12は、渋滞列情報に示される、渋滞列の先頭車両の位置と、発生原因と、を渋滞列の案内情報として、ユーザI/F部114のディスプレイに表示する。次に、制御部12は、情報生成部120hの機能により、渋滞列情報を生成する(ステップS165)。渋滞列情報には、ステップS110において参照した渋滞列情報に示される発生原因と、発生原因の位置と、登録渋滞列の当該渋滞検出システム10における検出時刻と、特徴車両列の末尾車両の位置と、新たに抽出された画像特徴が含まれる。次に、制御部12は、通信処理部120jの機能により、通信部115を介して渋滞列情報を渋滞管理システム20へ送信する(ステップS170)。制御部12は、その後処理をステップS100へ進める。
【0070】
このように、制御部12は、検出渋滞列が登録渋滞列と一致した場合には、再度渋滞列の先頭車両の検出や発生原因の判定を行うことなく、渋滞列情報から先頭位置と発生原因を特定することができる。すなわち、制御部12は、速やかに渋滞列案内を行うことができる。
【0071】
一方で、渋滞管理システム20の制御部22は、通信処理部220aの機能により、通信部215を介して渋滞列情報を渋滞検出システム10から受信すると(ステップS215でY)、受信した渋滞列情報を記録媒体23の渋滞テーブル232に格納する(ステップS220)。渋滞管理システム20は、その後、処理をステップS200へ進め、渋滞検出システム10から車両位置を受信するまで待機する。なお、制御部22は、渋滞列情報を受信することなく一定期間が経過すると(ステップS215でN)、処理をステップS200へ進める。
【0072】
(3)第2の実施形態:
次に、第2の実施形態に係る渋滞通知システム1について、第1の実施形態に係る渋滞通知システム1と異なる点を主に説明する。第2の実施形態に係る渋滞通知システム1においては、渋滞検出システム10の制御部12の、原因判定部120gの機能による処理と、情報生成部120hの機能による処理とが第1の実施形態における処理と異なる。
【0073】
第2の実施形態においては、制御部12は、原因判定部120gの機能により、以下の処理を行う。すなわち、制御部12は、渋滞管理システム20から受信した渋滞列情報に示される、過去に生じた渋滞列の情報に基づいて、ステップS110(
図6)において検出された検出渋滞列の発生原因を判定する。原因判定のための詳細な処理については、
図10を参照しつつ後に詳述する。
【0074】
また、制御部12は、情報生成部120hの機能により、以下の処理を行う。すなわち、制御部12は、ある渋滞列が検出され、この渋滞列(第1の検出渋滞列と称する)に対し原因不明と判定された場合に、第1の検出渋滞列の渋滞列情報を生成し、これを記録媒体13等の記憶部に格納する。その後に、同一リンクのさらに前方において、第1の検出渋滞列と異なる渋滞列(第2の検出渋滞列と称する)が検出され、第2の検出渋滞列に対し不明以外の原因が判定されたとする。この場合、制御部12は、原因不明として記憶部に格納された第1の検出渋滞列の渋滞列情報の発生原因を不明から新たに判定された発生原因に更新する。例えば、連続した渋滞列において、ある車両が車両1台分以上の間隔を空けて停止しているような場合には、この間隔を境に2つの渋滞列が検出される。本実施形態の制御部12は、このような2つの渋滞列を同一の渋滞列とみなして、同一の発生原因を設定する。更新後の渋滞列情報は、通信処理部120jの機能により渋滞管理システム20に送信される。なお、記録媒体13に格納された渋滞列情報は、少なくとも渋滞検出システム10を搭載する車両の車両位置が、記録媒体13に格納された渋滞列情報に示される先頭車両の車両位置を含むリンクを走行中は記録媒体13に格納されればよく、その後は任意のタイミングで削除されてもよい。
【0075】
図10は、第2の実施形態に係る発生原因判定処理(
図6のステップS140)を示すフローチャートである。発生原因判定処理は、制御部12が原因判定部120gの機能により実行する。まず、制御部12は、地図情報131を参照し、検出渋滞列の先頭車両の位置(先頭位置)から第2の距離範囲内に施設が存在するか否かを判定する(ステップS600)。第2の距離範囲は、第1の実施形態において説明した通り、予め設定された範囲である。制御部12は、第2の距離範囲内に施設が存在する場合には(ステップS600でY)、発生原因は施設入場待ちと判定する(ステップS605)。次に、制御部12は、第2の距離範囲内において検出された施設のうち、先頭位置の最も近くに存在する施設を発生原因の施設として設定し(ステップS610)、その後、処理をステップS650へ進める。
【0076】
一方で、ステップS600において、第2の距離範囲に施設が存在しない場合には(ステップS600でN)、制御部12は、検出渋滞列が検出されたリンクと同一のリンクで、過去に渋滞列が検出され、かつ発生原因が特定されたか否かを判定する(ステップS615)。
【0077】
ステップS615において、制御部12は、具体的にはまず、検出渋滞列を含むリンクを特定する。具体的には、制御部12は、検出渋滞列の先頭位置を含むリンクを、検出渋滞列を含むリンクとして特定する。制御部12はまた、ステップS105(
図6)において受信した渋滞列情報のうち、発生原因が不明以外を示す渋滞列情報、すなわち発生原因が特定された渋滞列情報を対象とし、渋滞列情報に含まれる先頭車両の車両位置を含むリンクを特定する。これにより、過去に渋滞列が発生し、かつ渋滞列の発生原因が特定されたリンクが特定される。なお、本実施形態においては、ステップS105において、制御部12は、渋滞検出システム10が搭載された車両の車両位置を含むリンク内の位置を先頭車両の車両位置とする渋滞列情報を少なくとも受信するものとする。制御部12は、渋滞列情報において、検出渋滞列のリンクと同一のリンクが検出された場合に、検出渋滞列を含むリンクと同一のリンクで、過去に渋滞列が検出され、かつ発生原因が特定された渋滞列が存在すると判定する。なお、双方向の道路においては、走行方向まで一致するリンクが同一リンクと判定されるものとする。
【0078】
同一リンクで、過去に渋滞列が検出され、かつ、発生原因が特定された場合には(ステップS615でY)、制御部12は、検出渋滞列の発生原因は、同一リンクで過去に検出された渋滞列の発生原因と同じ発生原因と判定し(ステップS620)、その後処理をステップS650へ進める。同一リンクで過去に検出された渋滞列の発生原因は、渋滞列情報を参照することで特定できる。ステップS615において、同一リンクで過去に渋滞列が検出されなかった場合、または過去に渋滞列が検出されたものの、発生原因が特定されなかった場合には(ステップS615でN)、制御部12は、地図情報131を参照し、検出渋滞列の先頭位置から第1の距離範囲内に交差点が存在するか否かを判定する(ステップS625)。第1の距離範囲は、第1の実施形態において説明した通り、予め設定された範囲である。
【0079】
第1の距離範囲内に交差点が存在する場合には(ステップS625でY)、制御部12はさらに、検出渋滞列を含むリンクの次のリンクで過去に渋滞列が検出され、かつ発生原因が特定されたか否かを判定する(ステップS630)。ここで、次のリンクとは、検出渋滞列を含むリンクにおいて走行方向の前方のノードに接続するリンクで、検出渋滞列を含むリンクの走行方向に沿った走行方向のリンクである。すなわち、検出渋滞列に対し、対向車線となるリンクは次リンクに含まれない。例えば、渋滞列を含むリンクが北に向かうリンクの場合には、次のリンクは、北や西に向かうリンクであり、南に向かうリンクは、次のリンクに含まれない。
【0080】
ステップS630において、制御部12は、具体的にはまず、地図情報131を参照し、検出渋滞列を含むリンクの次のリンクを特定する。さらに、制御部12は、ステップS105において受信した渋滞列情報のうち、発生原因が不明以外を示す渋滞列情報を対象とし、渋滞列情報に含まれる先頭車両の車両位置を含むリンクを特定する。制御部12は、渋滞列情報において、次のリンクと同一のリンクが検出された場合に、次のリンクで過去に渋滞列が検出され、かつ発生原因が特定されたと判定する。
【0081】
ステップS630の処理の他の例としては、制御部12は、検出渋滞列が検出された道路が片側二車線以上の道路の場合には、検出渋滞列を含む車線に基づいて、次のリンクを制限してもよい。例えば、検出渋滞列を含むリンクの前方のノードに、交差点を直進した先のリンクと、右折先のリンクと、左折先のリンクが接続しているとする。また、検出渋滞列が含まれる車線が片側二車線道路の左車線であるとする。この場合には、制御部12は、次のリンクを、交差点を直進した先のリンクと左折先のリンクに制限する。左車線から右折することはないことに対応したものである。このように、制御部12は、検出渋滞列クの車線位置に基づいて、次のリンクを制限してもよい。また、検出渋滞列が左折専用レーンに含まれる場合には、制御部12は、次のリンクを左折先のリンクに限定してもよい。このように、制御部12は、検出渋滞列が、進行方向が制限された車線に含まれる場合には、車線における規制に従い次のリンクを制限してもよい。これにより、発生原因の判定精度を高めることができる。
【0082】
次のリンクで過去に渋滞列が検出され、かつ発生原因が特定された場合には(ステップS630でY)、制御部12は、渋滞列の発生原因は、次のリンクで過去に発生した渋滞列の発生原因と同じ発生原因と判定し(ステップS635)、その後処理をステップS650へ進める。ステップS630において、次リンクで過去に渋滞列が検出されなかった場合、または過去に渋滞列が検出されたものの、発生原因が特定されなかった場合には(ステップS630でN)、制御部12は、発生原因は交差点待ちと判定し(ステップS640)、その後処理をステップS650へ進める。また、ステップS625において、交差点が存在しない場合には(ステップ625でN)、制御部12は、発生原因は不明と判定する(ステップS645)。以上で、発生原因判定処理が終了する。なお、発生原因が不明と判定された場合には、ステップS155(
図6)において、制御部12は、渋滞列情報を渋滞管理システム20に送信するだけでなく、渋滞列情報を記憶部に格納する。
【0083】
一方、ステップ650においては、制御部12は、同一リンクに原因不明の渋滞列が存在するか否かを判定する。具体的には、制御部12は、記録媒体13に、発生原因が不明で、かつ渋滞列が含まれるリンクと同一のリンクの渋滞列情報が格納されている場合に、同一リンクに原因不明の渋滞列が存在すると判定する。同一リンクに原因不明の渋滞列が存在する場合には(ステップS650でY)、同一リンクの渋滞列情報の発生原因を、不明から直前の処理(ステップS620、ステップS635又はステップ640)で得られた判定結果に更新する(ステップS655)。以上で、発生原因判定処理が終了する。なお、同一リンクに原因不明の渋滞列が存在しない場合には(ステップS650でN)、制御部12は、処理を終了する。
【0084】
また、制御部12が、ステップS655において、同一リンクの渋滞列情報の発生原因を更新したとする。この場合、渋滞通知処理(
図6)のステップS155において、制御部12は、通信処理部120jの機能により、更新後の発生原因を含む、同一リンクの渋滞列情報を、ステップS110において判定された渋滞列の渋滞列情報と共に渋滞管理システム20に送信する。渋滞管理システム20の制御部22は、同一リンクの渋滞列情報を受信すると、すでに渋滞テーブル232に格納されている、原因不明を示す同一リンクの渋滞列情報を、新たに受信した同一リンクの渋滞列情報に更新する。なお、同一リンクの渋滞列情報は、検出時刻と先頭車両の車両位置により特定される。これにより、一旦原因不明と判定された渋滞列情報に対しても、発生原因を登録することができる。
【0085】
なお、第2の実施形態に係る渋滞通知システム1のこれ以外の構成及び処理は、第1の実施形態に係る渋滞通知システム1の構成及び処理と同様である。
【0086】
以上のように、第2の実施形態に係る渋滞通知システム1においては、渋滞検出システム10は、過去に得られた渋滞列の情報に基づいて、渋滞列の発生原因を判定することができる。
【0087】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、渋滞検出システム10は、複数の装置(例えば、クライアントとサーバや、ナビゲーション装置内の制御部とユーザI/F部内の制御部等)によって実現されるシステムであってもよい。渋滞検出システム10を構成する領域特定部120a、車線特定部120b、渋滞列検出部120c、特徴抽出部120e、渋滞列判定部120d、先頭検出部120f、原因判定部120g、情報生成部120h、案内部120i、通信処理部120jの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。例えば、領域特定部120a、車線特定部120b、渋滞列検出部120c、特徴抽出部120e、渋滞列判定部120d、先頭検出部120f、原因判定部120g、情報生成部120h、案内部120i、通信処理部120jの少なくとも一部は、渋滞管理システム20により実現されてもよい。また、渋滞検出システム10は、渋滞列を検出し、新たに渋滞列情報を登録する一方で案内を行わないこととしてもよい。また、渋滞検出システム10は、渋滞列を検出し、渋滞列の案内を行う一方で新たな渋滞列情報の登録を行わないこととしてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、
図6に示す特徴抽出処理(ステップS130)は、渋滞列案内処理(ステップS145)よりも後に実行してもよい。また、渋滞列案内処理(ステップS145)は、渋滞列情報送信処理(ステップS155)よりも後に実行してもよい。同様に、渋滞列案内処理(ステップS160)は、経過情報送信処理(ステップS170)よりも後に実行してもよい。
【0089】
渋滞列を検出するための処理は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部12は、渋滞列検出の対象車線に位置する周辺車両の車間距離が閾値以内で連続して走行する複数台の周辺車両の列が存在する場合に、これを渋滞列として検出してもよい。ここで、車間距離は、例えば、5mとする。
【0090】
本実施形態においては、先頭車両の検出は、末尾車両から順に先頭か否かの判定を行うことにより行うものとした。ただし、先頭車両の検出に係る具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部12は、検出渋滞列に含まれる任意の渋滞車両を選択し、選択した渋滞車両が先頭車両であるか否かの判定を行い、この渋滞車両から順に判定対象の渋滞車両を1台前の渋滞車両に変更しながら、先頭車両の検出を行ってもよい。
【0091】
渋滞列の発生原因を判定する処理は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部12は、先頭車両から第2の距離範囲内に施設が存在する場合に、交差点の有無にかかわらず、施設への入場待ちと判定してもよい。また、発生原因を判定する際に参照される第1の距離範囲と第2の距離範囲のサイズの関係についても実施形態に限定されるものではない。他の例としては、第1の距離範囲と第2判定距離範囲は同じサイズであってもよく、第1判定距離範囲は第2の距離範囲よりも広い範囲であってもよい。また、他の例としては、制御部12は、発生原因として、施設や交差点の他、インターチェンジの出入口を特定してもよい。
【0092】
渋滞列が検出された場合に出力される案内情報の内容は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、案内情報は、渋滞列が存在する車線以外の車線を走行することを推奨する旨の情報であってもよい。また、案内情報は、渋滞列が存在する車線を走行することを推奨する旨の情報であってもよい。例えば、渋滞検出システム10において、設定された目的地までのナビゲーションを行う機能を有しているものとする。この場合において、車両の目的地が設定されていない、または渋滞列の発生原因となる施設以外の目的地が車両の目的地として設定されているとする。この場合において、発生原因が施設への入場待ちと判定された場合には、制御部12は、渋滞列が存在する車線以外の車線を走行することを推奨する旨の情報を案内情報として出力してもよい。この構成によれば、ユーザは、ユーザの目的地と異なる施設に続く渋滞を避けることができる。また例えば、車両の目的地として渋滞列の発生原因となる施設が設定されているとする。この場合には、制御部12は、渋滞列が存在する車線を走行することを推奨する旨の情報を案内情報として出力してもよい。これにより、渋滞を避けようとして目的地に到達できなくなったり、渋滞列を通過し、再度渋滞列の末尾に戻ったりといった事態を避けることができる。
【0093】
なお、制御部12は、登録渋滞列に係る情報を案内すればよく、具体的な案内内容は実施形態に限定されるものでない。制御部12は、登録渋滞列の道路上における先頭車両の位置及び渋滞列の発生原因のうち少なくとも一方を案内すればよい。
【0094】
判定領域の設定に用いられる渋滞候補車両は進行方向の距離が対象車両に最も近い車両に限定されるものではなく、対象車両の進行方向前方の渋滞候補車両と進行方向後方の渋滞車両候補であればよい。また、判定領域の設定は、3台以上の渋滞候補車両のバウンディングボックスに基づいて行われてもよい。制御部12は、例えば、3台以上の渋滞候補車両の底辺の位置に基づいて、各底辺の両端の位置と、判定領域の境界線との間の距離が最小となるような範囲を判定領域として設定してもよい。このように、制御部12は、2台以上の渋滞候補車両のバウンディングボックスの底辺を用いることで判定領域を設定すればよく、参照する渋滞候補車両の台数は2台に限定されるものではない。
【0095】
また、他の例としては、制御部12は、
図4Bに示す判定領域420を車両の進行方向の前方及び後方に伸ばした領域、すなわち、底辺411aの左端の点T1と底辺412aの左端の点S1を通る直線と、底辺411aの右端の点T2と、底辺412aの右端の点S2を通る直線の間の領域を判定領域として設定してもよい。
【0096】
さらに、制御部12は、他車線車両候補の底辺の位置に基づいて、走行車線を特定すればよく、そのための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部12は、カメラ画像において、センターラインや車線境界線を画像認識により検出し、認識したセンターラインや車線境界線と、他車線車両候補の底辺と、の位置関係から、他車線車両候補が対象車線上に位置するか否かを判定してもよい。
【0097】
渋滞列を識別するための画像特徴は、車両の色の配列に限定されるものではない。他の例としては、色の並び順を限定せず、特徴車両列に含まれる色の数及び種類のうち、少なくとも一方を画像特徴としてもよい。また、他の例としては、特徴車両列に含まれる車両の形状の配列、車両の高さの配列などを画像特徴としてもよい。
【0098】
本実施形態においては、渋滞検出システム10は、定期的に渋滞列情報を渋滞管理システム20に要求したが、他の例としては、渋滞検出システム10は、一定距離移動する度に、渋滞列情報を渋滞管理システム20に要求することとしてもよい。このように、渋滞検出システム10は、検出し得る渋滞列に対応した渋滞列情報を予め受信できればよく、渋滞列情報を受信するタイミングは、実施形態に限定されるものではない。
【0099】
本実施形態においては、渋滞検出システム10が搭載された車両が走行中の道路において、車両と同一方向の車線における渋滞列を対象として説明したが、渋滞検出システム10が搭載された車両の走行中の道路において、車両の進行方向と逆の方向の車線における渋滞列についても同様に処理を行うことができる。
【0100】
さらに、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0101】
1…渋滞通知システム、10 渋滞検出システム、20…渋滞管理システム、120a…領域特定部、120b…車線特定部、120c…渋滞列検出部、120d…特徴抽出部
、120e…渋滞列判定部、120f…先頭検出部、120g…原因判定部、120h…情報生成部、120i…案内部、120j…通信処理部、220a…通信処理部、220b…格納部