(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240910BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240910BHJP
G16H 20/17 20180101ALI20240910BHJP
【FI】
A61M5/168 534
A61M5/172
G16H20/17
(21)【出願番号】P 2020212224
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀典
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04853521(US,A)
【文献】国際公開第2013/116873(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/064952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/172
G16H 20/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する装置であって、
載置部に載置されたシリンジに収容された薬剤量に関する量を検出する量検出部と、
第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合する照合部と、を備え、
前記シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する読取り可能な薬剤情報のタグを有し、
前記第1の薬剤情報は、
前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、当該シリンジの前記タグから読出された前記薬剤情報を含み、
前記第2の薬剤情報は、
前記第1時刻に載置が検出されたシリンジが前記載置部から取出され、その後に、前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、当該シリンジの前記タグから読出された前記薬剤情報を含み、
前記照合の結果が照合一致を示すことに応じて、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれにおいて前記量検出部によって検出され
た検出量どうしの量差を検出する差検出部と、
前記照合一致を示す薬剤情報と
当該照合一致を示すことに応じて検出された前記量差とを紐付けた紐付け情報を出力する出力部と、をさらに備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記量検出部は、
前記載置部に載置されたシリンジの重量を検出する重量検出部を含み、
前記量差は、
前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれにおいて前記重量検出部によって検出される重量どうしの差である重量差を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、さらに、
前記重量差と前記照合一致を示す薬剤情報を記憶したシリンジに収容された薬剤の比重とから、容量を導出し、
前記照合の結果が照合一致を示す薬剤情報と前記容量とを紐付けて出力する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
載置部に載置されたシリンジを撮像部によって撮像した撮像画像を処理する画像処理部を、さらに備え、
前記画像処理部による画像処理は、前記撮像画像が有する液位の部分画像から前記シリンジに収容された薬剤の容量を検出する処理を含み、
前記量差は、
前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれにおいて、前記撮像部によって撮像されて出力された撮像画像から検出される前記容量どうしの差を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記タグは、前記薬剤情報を読取り可能に記憶するICタグを含み、
前記情報処理装置は、
前記載置部に載置されたシリンジの前記ICタグと非接触で交信する交信部を、さらに備え、前記交信は、前記ICタグから前記薬剤情報を読取るための交信を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記タグは、前記薬剤情報が読取り可能に印字されたタグを含み、
前記情報処理装置は、
前記載置部に載置されたシリンジを撮像部によって撮像した撮像画像から、当該シリンジに印字された前記薬剤情報を認識することにより読取る認識処理を実施する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する装置であって、
載置部に載置された1つ以上のシリンジ
の撮像部によって撮像された撮像画像を画像処理する画像処理部と、
各前記1つ以上のシリンジについて、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合する照合部と、を備え、
前記各シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する印字された薬剤情報を有し、
前記画像処理は、
前記撮像画像における各シリンジの画像について、当該シリンジの液位の部分画像に基づき当該シリンジに収容された薬剤の容量を検出する画像処理と、当該シリンジに印字された薬剤情報を認識する認識処理とを含み、
前記各シリンジについて、
前記第1の薬剤情報は、当該シリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、前記認識処理によって認識された薬剤情報を含み、
前記第2の薬剤情報は、前記第1時刻に載置が検出されたシリンジが前記載置部から取出され、その後に、前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、前記認識処理によって認識された薬剤情報を含み、
前記各シリンジについて、
前記照合の結果が照合一致を示すことに応じて、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれにおいて、前記撮像部によって撮像された撮像画像から検出され
た前記容量どうしの差を投与量として検出する投与量検出部と、
前記各シリンジについて、前記照合の結果が照合一致を示す薬剤情報と
当該照合一致を示すことに応じて検出された前記投与量とを紐付けた紐付け情報を出力する出力部と、をさらに備える、情報処理装置。
【請求項8】
前記第2時刻は、前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された前記第1時刻から所定長さの時間が経過後の時刻を示し、
前記所定長さの時間は、前記シリンジを用いて前記薬剤を患者へワンショット投与する所要時間に基づいている、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記紐付け情報は、さらに、前記第1時刻または前記第2時刻の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、
前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された前記第1時刻から直後に載置が検出されるまでの経過時間を測定し、測定中に当該経過時間と所定長さの時間とを比較し、比較の結果に基づき、測定中に当該経過時間が前記所定長さの時間を超えたと判定したときアラームを出力し、
前記所定長さの時間は、前記シリンジを用いて前記薬剤を患者へワンショット投与する所要時間に基づいている、請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記所定長さの時間は、前記シリンジを用いて前記薬剤を患者へワンショット投与する所要時間に基づいている、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記情報処理装置は、
電子カルテの情報を管理するサーバと通信し、
前記出力部は、前記紐付け情報を前記電子カルテの情報として管理するために、前記サーバに転送する、請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する方法であって、
コンピュータが、載置部に載置されたシリンジに収容された薬剤量に関する量を検出するステップと、
前記コンピュータが、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合するステップと、を備え、
前記シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する読取り可能な薬剤情報のタグを有し、
前記第1の薬剤情報は、
前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、当該シリンジの前記タグから読出された前記薬剤情報を含み、
前記第2の薬剤情報は、
前記第1時刻に載置が検出されたシリンジが前記載置部から取出され、その後に、前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、当該シリンジの前記タグから読出された前記薬剤情報を含み、
前記コンピュータが、
前記照合の結果が照合一致を示すことに応じて、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれにおいて
当該コンピュータが検出
した検出量どうしの量差を検出するステップと、
前記コンピュータが、
前記照合一致を示す薬剤情報と
当該照合一致を示すことに応じて検出された前記量差とを紐付けた紐付け情報を出力するステップと、をさらに備える、情報処理方法。
【請求項14】
シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する方法であって、
コンピュータが、載置部に載置された1つ以上のシリンジの撮像部によって撮像された撮像画像を画像処理するステップと、
前記コンピュータが、各前記1つ以上のシリンジについて、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合するステップと、を備え、
前記各シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する印字された薬剤情報を有し、
前記画像処理は、
前記撮像画像における各シリンジの画像について、当該シリンジの液位の部分画像に基づき当該シリンジに収容された薬剤の容量を検出する画像処理と、当該シリンジに印字された薬剤情報を認識する認識処理とを含み、
前記各シリンジについて、
前記第1の薬剤情報は、当該シリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、前記認識処理によって認識された薬剤情報を含み、
前記第2の薬剤情報は、前記第1時刻に載置が検出されたシリンジが前記載置部から取出され、その後に、前記載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、前記認識処理によって認識された薬剤情報を含み、
前記コンピュータが、前記各シリンジについて、
前記照合の結果が照合一致を示すことに応じて、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれにおいて、前記撮像部によって撮像された撮像画像から検出され
た前記容量どうしの差を投与量として検出するステップと、
前記各シリンジについて、前記照合の結果が照合一致を示す薬剤情報と
当該照合一致を示すことに応じて検出された前記投与量とを紐付けた紐付け情報を出力するステップと、をさらに備える、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、投与する薬剤に関連する情報を処理する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内に投与(注入)される薬剤に関連する情報を処理する技術として、例えば特許文献1(特開2004-348717号公報)では、看護師は、注射実施後に患者に投与した投与量を、投与量入力画面のボタンを操作することで、入力の処理をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療現場の様々な局面において、患者に投与された薬剤に関連する情報を正確に処理することが要望されている。特許文献1では、看護師が自ら投与量入力画面のボタンを操作して投与量を入力するので、誤入力の可能性がある。そのため、患者に投与された薬剤に関連する情報の処理の精度が担保されなくなる。
【0005】
この開示は、患者に投与された薬剤に関連する情報の精度を担保可能な情報処理装置および情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理装置は、シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する装置であって、載置部に載置されたシリンジに収容された薬剤量に関する量を検出する量検出部と、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合する照合部と、を備える。シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する読取り可能な薬剤情報のタグを有し、第1の薬剤情報は、載置部にシリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、当該シリンジのタグから読出された薬剤情報を含み、第2の薬剤情報は、第1時刻に載置が検出されたシリンジが載置部から取出され、その後に、載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、当該シリンジのタグから読出された薬剤情報を含む。情報処理装置は、第1時刻および第2時刻のそれぞれにおいて量検出部によって検出される検出量どうしの量差を検出する差検出部と、照合の結果が照合一致を示すことに応じて、照合一致を示す薬剤情報と検出された量差とを紐付けた紐付け情報を出力する出力部と、をさらに備える。
【0007】
上述の開示において、量検出部は、載置部に載置されたシリンジの重量を検出する重量検出部を含み、量差は、第1時刻および第2時刻のそれぞれにおいて重量検出部によって検出される重量どうしの差である重量差を含む。
【0008】
上述の開示において、情報処理装置は、さらに、重量差と照合一致を示す薬剤情報を記憶したシリンジに収容された薬剤の比重とから、容量を導出し、照合の結果が照合一致を示す薬剤情報と容量とを紐付けて出力する。
【0009】
上述の開示において、情報処理装置は、載置部に載置されたシリンジを撮像部によって撮像した撮像画像を処理する画像処理部を、さらに備え、画像処理部による画像処理は、撮像画像が有する液位の部分画像からシリンジに収容された薬剤の容量を検出する処理を含み、量差は、第1時刻および第2時刻のそれぞれにおいて、撮像部によって撮像されて出力された撮像画像から検出される容量どうしの差を含む。
【0010】
上述の開示において、タグは、薬剤情報を読取り可能に記憶するICタグを含み、情報処理装置は、載置部に載置されたシリンジのICタグと非接触で交信する交信部を、さらに備え、交信は、ICタグから薬剤情報を読取るための交信を含む。
【0011】
上述の開示において、タグは、薬剤情報が読取り可能に印字されたタグを含み、情報処理装置は、載置部に載置されたシリンジを撮像部によって撮像した撮像画像から、当該シリンジに印字された薬剤情報を認識することにより読取る認識処理を実施する。
【0012】
本開示の他の局面に係る情報処理装置は、シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する装置であって、載置部に載置された1つ以上のシリンジを撮像部によって撮像された撮像画像を画像処理する画像処理部と、各シリンジについて、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合する照合部と、を備え、各シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する印字された薬剤情報を有し、画像処理は、撮像画像における各シリンジの画像について、当該シリンジの液位の部分画像に基づき当該シリンジに収容された薬剤の容量を検出する画像処理と、当該シリンジに印字された薬剤情報を認識する認識処理とを含み、各シリンジについて、第1の薬剤情報は、当該シリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、認識処理によって認識された薬剤情報を含み、第2の薬剤情報は、第1時刻に載置が検出されたシリンジが載置部から取出され、その後に、載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、認識処理によって認識された薬剤情報を含み、各シリンジについて、第1時刻および第2時刻のそれぞれにおいて、撮像部によって撮像された撮像画像から検出される容量どうしの差を投与量として検出する投与量検出部と、各シリンジについて、照合の結果が照合一致を示す薬剤情報と投与量とを紐付けた紐付け情報を出力する出力部と、をさらに備える。
【0013】
上述の開示において、第1時刻と第2時刻は、それぞれ、シリンジに収容された薬剤のワンショット投与前と当該ワンショット投与後の時刻を示す。
【0014】
上述の開示において、紐付け情報は、さらに、第1時刻または第2時刻の少なくとも1つを含む。
【0015】
上述の開示において、情報処理装置は、ワンショット投与前の第1時刻から当該ワンショット投与後の第2時刻までの経過時間を測定し、測定中に経過時間が所定長さの時間を超える場合、アラームを出力する。
【0016】
上述の開示において、所定長さの時間は、シリンジを用いて薬剤を患者へワンショット投与する所要時間に基づいている。
【0017】
上述の開示において、情報処理装置は、電子カルテの情報を管理するサーバと通信し、出力部は、紐付け情報を電子カルテの情報として管理するために、サーバに転送する。
【0018】
この開示に他の局面に係る方法は、シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する方法であって、コンピュータが、載置部に載置されたシリンジに収容された薬剤量に関する量を検出するステップと、コンピュータが、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合するステップと、を備える。シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する読取り可能な薬剤情報のタグを有し、第1の薬剤情報は、載置部にシリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、当該シリンジのタグから読出された薬剤情報を含み、第2の薬剤情報は、第1時刻に載置が検出されたシリンジが載置部から取出され、その後に、載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、当該シリンジのタグから読出された薬剤情報を含み、方法は、コンピュータが、第1時刻および第2時刻のそれぞれにおいて検出するステップにおいて検出される検出量どうしの量差を検出するステップと、コンピュータが、照合の結果が照合一致を示すことに応じて、照合一致を示す薬剤情報と検出された量差とを紐付けた紐付け情報を出力するステップと、をさらに備える。
【0019】
この開示の他の局面に係る方法は、シリンジを用いて患者へワンショット投与される薬剤に関連する情報を処理する方法であって、コンピュータが、載置部に載置された1つ以上のシリンジの撮像部によって撮像された撮像画像を画像処理するステップと、コンピュータが、各シリンジについて、第1の薬剤情報と第2の薬剤情報とを照合するステップと、を備える。各シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する印字された薬剤情報を有し、画像処理は、撮像画像における各シリンジの画像について、当該シリンジの液位の部分画像に基づき当該シリンジに収容された薬剤の容量を検出する画像処理と、当該シリンジに印字された薬剤情報を認識する認識処理とを含む。各シリンジについて、第1の薬剤情報は、当該シリンジが載置されたことが検出された第1時刻において、認識処理によって認識された薬剤情報を含み、第2の薬剤情報は、第1時刻に載置が検出されたシリンジが載置部から取出され、その後に、載置部にシリンジが載置されたことが検出された第2時刻において、認識処理によって認識された薬剤情報を含み、コンピュータが、各シリンジについて、第1時刻および第2時刻のそれぞれにおいて、撮像部によって撮像された撮像画像から検出される容量どうしの差を投与量として検出するステップと、各シリンジについて、照合の結果が照合一致を示す薬剤情報と投与量とを紐付けた紐付け情報を出力するステップと、をさらに備える。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、人の操作による情報の入力なしに、患者に投与された薬剤に関連する情報を取得するから、取得される情報の精度を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態に係る管理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本実施の形態1に係る情報処理装置1の外観を模式的に示す図である。
【
図3】本実施の形態1に係る情報処理装置1のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【
図4】本実施の形態1に係る電子カルテサーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係るRFタグ300の構成を模式的に示す図である。
【
図6】本実施の形態に係るRFリーダライタ5の構成を模式的に示す図である。
【
図7】本実施の形態1に係るシリンジによる薬剤投与の情報を処理する機能構成の一例を模式的に示す図である。
【
図8】本実施の形態1に係るテーブル105の内容の一例を模式的に示す図である。
【
図9】本実施の形態1に係るシリンジ40が載置面6上に載置または取出される状況の一例を模式的に示す図である。
【
図10】本実施の形態1に係るシリンジ40が載置面6上に載置または取出される状況の他の例を模式的に示す図である。
【
図11】本実施の形態1に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施の形態に係る電子カルテの230の一例を模式的に示す図である。
【
図13】本実施の形態2に係る情報処理装置1aのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【
図14】本実施の形態2に係るシリンジによる薬剤投与の情報を処理する機能構成の一例を模式的に示す図である。
【
図15】本実施の形態2に係るテーブル105aの内容の一例を模式的に示す図である。
【
図16】本実施の形態2に係るシリンジ40が載置面6上に載置または取出される状況の一例を模式的に示す図である。
【
図17】本実施の形態2に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】本実施の形態に係るRFタグ300の他の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表す。
【0023】
(概要)
患者に、シリンジに収容された薬剤をワンショット投与する。シリンジは、当該シリンジに収容された薬剤または収容されるべき薬剤に関する読取り可能な薬剤情報のタグを有する。情報処理装置は、シリンジが有するタグから読み取った情報から投与薬剤(薬液)を判別し、ワンショット投与前後のシリンジに収容された薬剤に関する量(シリンジの重量または収容された薬剤の容量)を検出する。このように検出される量から、ワンショット投与された薬剤の量を取得することができる。このような構成により、本実施の形態では、医療行為者がボタン操作によって投与した薬剤量を入力するための構成を排除できる、すなわち、患者に投与された薬剤に関連する情報(投与量を含む)の人的操作による誤入力を排除できて当該情報の正確性を担保できる。
【0024】
実施の形態では、タグは、読取り可能なメモリに薬剤情報を記憶する媒体、または薬剤情報が印字された媒体等を含む。また、医療行為者は医師または看護師を含む概念であり、以下では医療行為者として医師を例示する。
【0025】
実施の形態1.
実施の形態1では、シリンジは、薬剤情報を記憶したIC(integrated circuit)タグを有し、ワンショット投与前後のシリンジに収容された薬剤に関する量として、ワンショット投与前後のシリンジの重量を用いる。
【0026】
(管理システムの構成)
図1は、本実施の形態に係る管理システムの全体構成を示す図である。管理システム1000は、コンピュータの一例である情報処理装置1と、電子カルテサーバ2とを含む。情報処理装置1と、電子カルテサーバ2とは、ネットワーク9を介して相互に通信する。ネットワーク9は、たとえば、LAN(Local Area Network)などの有線または無線のネットワークを含む。
【0027】
情報処理装置1は、たとえば、病院等の医療施設内で、患者に投与される薬剤、とりわけシリンジによって投与される薬剤に関連する情報を取得し、取得した情報を電子カルテサーバ2に送信する。電子カルテサーバ2は、情報処理装置1から受信した薬剤に関連する情報を電子カルテに記録する。管理システム1000は、複数の情報処理装置1を含んでいても良い。
【0028】
電子カルテサーバ2は、各患者の情報を管理する。ここでは、患者の情報の一例として、シリンジを用いて患者に投与された薬剤に関連する薬剤投与情報を示す。管理システム1000は、医療行為者が操作する図示しない携帯型端末等の各種端末をネットワーク9に接続可能に構成されてもよい。医療行為者は、当該端末を介して電子カルテサーバ2の電子カルテに記録された情報を参照することができる。また、電子カルテに記録された情報を参照する端末には、情報処理装置1が含まれてもよい。
【0029】
(情報処理装置1の構成)
図2は、本実施の形態1に係る情報処理装置1の外観を模式的に示す図である。情報処理装置1は、机上などの水平面に置いて利用される。情報処理装置1は、略直方体の筐体4を有し、筐体4の側面には、薬剤名などの情報を表示する液晶等からなるディスプレイ13と、インジケータ15と、電源のオン・オフのユーザ操作を受付けるためのキー11と、アラーム音を含む各種音声を出力するためのスピーカ17とが配置される。また、筐体4の上面には、上部が開口したシールドケース3が設けられる。シールドケース3には、RF(Radio Frequency)リーダライタ5が設けられる。インジケータ15は、薬剤の投与量など表示するために7セグメントLED(Liquid Crystal Display)からなる複数の表示素子を含む。
【0030】
筐体4は電子天秤21を内蔵する。電子天秤21が有する計量皿は、筐体4の上面であってシリンジが載置される載置部に対応の載置面6を構成する。載置面6はシリンジ等の対象を安定して載置可能なように略水平面である。電子天秤21は、載置面6(すなわち計量皿)の背面側において、載置面6の表面側からかけられる荷重を検出するためのロードセルに相当する荷重センサを有する。荷重センサは、載置面6の上から荷重がかけられた場合に、かけられた荷重を検出し、検出した荷重の大きさを示す荷重信号を出力する。
【0031】
荷重センサは、かけられる荷重に応じて伸縮する歪ゲージの伸縮に応じて抵抗値を変化させて、その抵抗変化の大きさを示す電流信号を出力する。なお、荷重を検出するためのセンサは、歪ゲージを用いる方法に限定されず、例えば、ばねやピエゾフィルムを利用したセンサ、圧縮を測定する素子、変位センサなどであってもよい。
【0032】
本実施の形態では、RFリーダライタ5は、RFタグと交信する。より具体的には、RFリーダライタ5は載置面6上に載置されたシリンジに付されたRFタグとの間でRFID(Radio Frequency IDentification)と称される非接触による近距離無線技術を用いた通信を実施する。情報処理装置1が設置された環境によっては、同じ周波数帯域を使用する、または隣接する周波数帯域を使用するRFリーダライタが接近する。その場合、1のRFリーダライタ5からの電波が他のRFリーダライタ5から送信された電波と干渉する。本実施の形態では、載置面6を囲むように電波のシールドケース3が設けられることで、RFリーダライタ5と載置面6上に載置されたシリンジのRFタグとの間の通信における当該干渉を防止できる。なお、RFリーダライタ5の取付け位置は、載置されたシリンジのRFタグ300と通信可能な範囲であればよく、シールドケース3に限定されない。
【0033】
図3は、本実施の形態1に係る情報処理装置1のハードウェア構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、制御部100を含む。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ101と、不揮発性RAM(Random Access Memory)103を含むメモリ102と、タイマ104と、これらの要素を互いに接続するバスラインとを含む。プロセッサ101は、プログラムを実行することにより、所与の機能を実現する。プログラムは、メモリ102またはHDD(Hard Dick Drive)24またはメモリカード23に格納されたプログラムを含む。メモリ102には、薬剤毎にテーブル105を格納する。テーブル105は、対応する薬剤の投与の履歴を表す履歴情報を格納する。
【0034】
情報処理装置1は、さらに、キー11からの操作信号を制御部100に出力する入力I/F(インターフェースの略)10と、制御部100からの表示制御データに従いディスプレイ13を駆動する表示コントローラ12と、制御部100からの表示データに従いインジケータ15の点灯を制御するインジケータ制御回路14と、制御部100からの音声データに従いスピーカ17を駆動するスピーカ回路16と、各部に電力を供給する電源回路18と、RFリーダライタ5と通信するための通信I/F19と、電子天秤21を接続する天秤I/F20と、データリーダ/ライタ22と、HDD24と、ネットワーク9と通信するためのネットワークI/F110とを含む。
【0035】
通信I/F19は、LAN等を介して制御部100とRFリーダライタ5との間のデータ伝送を仲介する。
【0036】
天秤I/F20は、電子天秤21を接続し、電子天秤21からの電流信号を検出された荷重の大きさを示す後述する重量値152に変換し、制御部100に出力する。データリーダ/ライタ22は、メモリカード23等の記録媒体が脱着自在に装着される。制御部100は、データリーダ/ライタ22を、装着された記録媒体に情報を書込む、または当該記録媒体から情報を読出すように制御する。記録媒体は、メモリカード23に限定されず、例えばCD-ROM(Compact Disc Read only memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等を含む。
【0037】
(電子カルテサーバ2の構成)
図4は、本実施の形態1に係る電子カルテサーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。電子カルテサーバ2は、CPU211を含む。CPU211は、プログラムを実行することにより、所与の機能を実現する。
【0038】
電子カルテサーバ2は、タイマ212と、入力I/F213と、RAM214と、ハードディスク215と、メディアドライブ216と、ネットワーク9と通信するための通信I/F217と、出力I/F218とをさらに含む。電子カルテサーバ2における各構成要素は、相互にバスによって接続されている。
【0039】
入力I/F213は、キーボード221およびマウス222と接続される。CPU211は、入力I/F213を介して、キーボード221およびマウス222からの入力を受け付ける。メディアドライブ216は脱着自在に記録媒体219が装着される。CPU211は、メディアドライブ216を介して、記録媒体219からデータを読み出し、記録媒体へデータを書き込む。
【0040】
ハードディスク215は、プログラムおよび電子カルテ230を含む各種のデータを格納する。
【0041】
出力I/F218は、ディスプレイ223と接続されている。CPU211は、出力I/F218を介してディスプレイ223の表示を制御する。なお、ディスプレイ223とキーボード221とマウス222とは、タッチパネルによって実現されてもよい。この場合、入力I/F213および出力I/F218は、上記タッチパネルと通信するための回路として提供される。
【0042】
(RFタグとRFリーダライタの構成および通信)
図5は、本実施の形態に係るRFタグ300の構成を模式的に示す図である。
図6は、本実施の形態に係るRFリーダライタ5の構成を模式的に示す図である。
図5のRFタグ300は、電源を内蔵せず、リーダライタ200からの送信波により生じた起電力によって動作するパッシブタイプを例示する。RFタグ300は、プロセッサ332および半導体回路で構成されるメモリ332を含むIC回路330とRF通信回路320とを含む。RF通信回路320は、アンテナ310を接続するとともに、RFリーダライタ5との通信信号を変調または復調するためのモデム回路等も含む。なお、RFタグ300はパッシブタイプに限定されず、電源内蔵のタイプであってもよい。プロセッサ332は、RFリーダライタ5から受信するリードコマンドに従いメモリ331の情報を読出し、RFリーダライタ5に転送し、また、RFリーダライタ5から受信するライトコマンドに従いメモリ331に情報を書込む。情報書込に成功または失敗した通知を、RFリーダライタ5に送信してもよい。失敗の通知を受信した場合、RFリーダライタ5はライトコマンドを再送する。RFリーダライタ5とRFタグ300は、お互いの識別子を用いて通信を実施する。
【0043】
本実施の形態では、RFタグ300はシリンジに装着されて使用することができる。RFタグ300のメモリ331は、シリンジに収容された薬剤(薬液)または収容されるべき薬剤に関する薬剤情報153が格納される。薬剤情報153は、薬剤の名称など薬剤を識別する薬剤ID(identification)154および薬剤の比重155(単位:g/ml)の情報を含む。なお、薬剤情報に含まれる情報の種類は、これらに限定されない。
【0044】
図6を参照してRFリーダライタ5は、アンテナを接続するRF通信回路51と、CPU54およびタイマ55を含むコントローラ50と、揮発性または不揮発性の記憶媒体である記憶部52と、情報処理装置1(より特定的には通信I/F19)と通信するための通信I/F53とを含む。本実施の形態では、通信I/F19は、RFリーダライタ5を用いてRFタグ300と非接触で交信する交信部に相当する。
【0045】
コントローラ50はコンピュータに相当する機能を有する。具体的には、CPU54は、記憶部52等のメモリに格納されたプログラムに基づき、情報処理装置1との通信処理、RFタグ300との交信処理を含む各種のデータ処理を実行する。記憶部52は、各種データ処理のためのプログラムおよびデータを格納する。RF通信回路51は、コントローラ50からのデジタル信号(コマンド信号を含む)をアナログ信号に変換し、変換後のアナログ信号を変調して送信する。また、RF通信回路51は、受信信号を復調し、復調された信号をAD変換し、変換後のデータをコントローラ50に出力する。
【0046】
RFリーダライタ5は、RFタグ300の薬剤情報153を読出すためのリードコマンドを送信する。RFタグ300のプロセッサ332は、RF通信回路320を介して受信するリードコマンドに基づきメモリ331から薬剤情報153を読出し、読出された薬剤情報153を、RF通信回路320を介してRFリーダライタ5に送信する。
【0047】
RFリーダライタ5のCPU54は、リードコマンドの応答として、RF通信回路51を介してRFタグ300から薬剤情報153を受信する。CPU54は受信した薬剤情報153を通信I/F53を介して情報処理装置1に送信する。情報処理装置1のプロセッサ101は、通信I/F19を介して、RFリーダライタ5から薬剤情報153を受信し、受信した薬剤情報153を処理する。
【0048】
なお、RFリーダライタ5は、リードコマンドを送信してから所定期間内に応答を受信できず交信(通信)が失敗したときは、アラーム信号を通信I/F53を介して情報処理装置1に送信する。情報処理装置1のプロセッサ101は、通信I/F19を介して、RFリーダライタ5からアラーム信号を受信し、受信したアラーム信号に基づくアラームを出力する。このアラームは、例えばディスプレイ13、インジケータ15、スピーカ17等を介して出力される。これにより、RFリーダライタ5が載置面6に載置されたシリンジのRFタグ300との交信に失敗したときは、アラームが出力される。医師は、アラームが出力されたとき、RFリーダライタ5とRFタグ300との間の交信が成功するように、載置面6上のシリンジの位置を調整などする。調整後に、交信が成功すると、アラームの出力は停止する。
【0049】
(情報処理装置1の機能構成とテーブル105の構成)
図7は、本実施の形態1に係るシリンジによる薬剤投与の情報を処理する機能構成の一例を模式的に示す図である。情報処理装置1は、載置/取出し検出部60と、テーブル105に情報を書込む、またはテーブル105から情報を読出す書込/読出部61と、通信I/F19を介してRFリーダライタ5から受信した情報をテーブル105から読出された情報と照合する照合部62と、重量差検出部63と、紐付け部64と、転送部65とを含む。載置/取出し検出部60は、載置面6上にシリンジが載置されたか否か、または載置面6上のシリンジが取り出されたかを検出する。医師が、載置面6上からシリンジを取り出す態様は、載置面6からシリンジが取り除くこと、または取り去ることも含み得る。
【0050】
図8は、本実施の形態1に係るテーブル105の内容の一例を模式的に示す図である。情報処理装置1は、シリンジ40毎(すなわち薬剤毎)にテーブル105を格納し、各テーブル105は、対応の薬剤について薬剤投与の履歴情報を保持するよう構成される。より具体的には、テーブル105は、投与の時刻151と、時刻151において電子天秤21を用いて測定されたシリンジの重量値152と、当該シリンジのRFタグ300から読出された薬剤情報153(薬剤ID154および比重155)とを関連付けて含む複数のレコード156を格納可能なように構成される。
【0051】
載置/取出し検出部60は、載置面6上にシリンジが載置されたか否かを検出する。この検出は、たとえば、電子天秤21の出力に基づく重量値152の変位が予め定められた閾値を超えたと判断したとき、シリンジが載置されたことを検出し、“載置”を示す検出値70を出力する。また、プロセッサ101は、載置が検出されたときは、RFタグ300との通信が可能なようにRFリーダライタ5の電源をオン(電源投入)するとともに、リードコマンドを出力するようRFリーダライタ5を制御する。また、載置されたことが検出された後において、載置/取出し検出部60は、電子天秤21の出力に基づく重量値152の変位が予め定められた閾値を超えたと判断したとき、載置面6からシリンジが取出されたと検出し、“取出し”を示す検出値70を出力するとともに、RFリーダライタ5の電源をオフ(電源遮断)する。載置/取出し検出部60は、“載置”を示す検出値70を出力するとき、天秤I/F20から入力した重量値152も出力する。
【0052】
書込/読出部61は、載置/取出し検出部60からの検出値70が“載置”を示すとき、タイマ104からの時刻と、通信I/F19を介して入力する薬剤情報153(薬剤ID154および比重155)と、載置/取出し検出部60からの重量値152とを関連付けて、関連付けられた情報を有するレコード156を生成しテーブル105に書込む。
【0053】
照合部62は、載置/取出し検出部60からの検出値70が“取出し”を示した後において、当該検出値70が“載置”に変化したとき、載置されたシリンジに付されているRFタグ300から読出された薬剤情報153の薬剤ID154を、テーブル105に格納されている各レコード156の薬剤ID154と照合する。より具体的には、照合部62は、検出値70が“載置”に変化したときの時刻151が例えば“T2”(
図8の矢印AR1のレコード156を参照)を示すとき、テーブル105を検索することによって、レコード156のうち時刻“T2”を遡る所定長さの期間に該当の時刻151を示す1つ以上のレコード156を特定する。照合部62は、載置されたシリンジに付されているRFタグ300から読出された薬剤情報153の薬剤ID154を、上記の特定した1つ以上のレコード156それぞれの薬剤ID154と照合する。
【0054】
照合部62は、照合の結果が一致を示す薬剤ID154を有するレコード156(例えば、
図8の太枠のレコード156)の重量値152を重量差検出部63に出力する。重量差検出部63は、検出値70が“載置”を示すときに照合部62から出力された重量値152と天秤I/F20からの重量値152との差を算出し、算出された差を重量差157(単位:g(グラム))として検出する。紐付け部64は、照合部62の照合結果71が“照合一致”を示すとき、通信I/F19から入力する薬剤情報153(すなわち、照合一致した薬剤情報153)と重量差検出部63からの重量差157とを紐付けて、紐付け情報72を生成し出力する。転送部65は、紐付け部64からの紐付け情報72を、電子カルテ230に記録するために、ネットワークI/F110を介して電子カルテサーバ2に転送する。情報処理装置1は、重量差157と比重155から投与量を算出して、投与量を紐付け情報72に含ませて電子カルテサーバ2に転送してもよい。または、電子カルテサーバ2が、受信した紐付け情報72の重量差157と比重155とから投与量を算出してもよい。
【0055】
(シリンジの構成)
図9は、本実施の形態1に係るシリンジ40が載置面6上に載置または取出される状況の一例を模式的に示す図である。
図9に示すように、シリンジ40は、バレル41とプランジャ49とを備える。バレル41は、内部に薬液を収容する円筒状の収容部42を有する。バレル41の先端には、薬液出入口49aが設けられている。バレル41の後端には、開口46が設けられている。バレル41の外周面には、目盛42aが付されている。
【0056】
プランジャ49の先端側には、バレル41の内周面と摺動するガスケット部44が設けられている。目盛42aにおいては、ガスケット部44の先端面43と重なる目盛が、バレル41の内部に収容されている薬液量を示すように付されている。
【0057】
たとえば、
図9においては、目盛42aにおけるガスケット部44の先端面43と重なる目盛は10ml(ml:ミリリットル)であり、この状態においては、バレル41の内部に薬液が10ml収容されている。医師は、シリンジ40を把持した状態で薬液を投与する。投与の際は、医師はプランジャ49を薬液出入口49aの方向に押し出すようにシリンジス40内を移動させる。これにより、バレル41内から押し出された薬液は薬液出入口49aを介して患者に投与される。目盛42aにおいて、投与後のガスケット部44の先端面43と重なる目盛が示すバレル41の内部に収容されている薬液量と、投与前の先端面43と重なる目盛が示すバレル41の内部に収容されている薬液量との差が、薬液の投与量を表す。シリンジ40には、例えば、バレル41の外周面等においてRFタグ300が取付けられている。なお、シリンジ40におけるRFタグ300の取付位置は、載置面6上にシリンジ40が載置された状態で、RFリーダライタ5と通信可能な位置であればよく、バレル41の外周面に限定されない。
【0058】
医師はシリンジ40を把持しながら載置面6上に置く、または、載置面6上から取出す。載置が検出されたとき、ディスプレイ13とインジケータ15は、それぞれ、RFリーダライタ5によりRFタグ300から読出された薬剤情報(薬剤ID154など)と検出された重量値152を表示する。また、載置が検出された場合、照合部62によって照合一致が検出されたとき、ディスプレイ13とインジケータ15は、それぞれ、照合一致した薬剤情報(薬剤ID154など)と重量差157を表示する。このような表示において、インジケータ15は、表示値が重量値152および重量差157のいずれであるかを識別可能なように表示態様を異ならせてもよい。
【0059】
図10は、本実施の形態1に係るシリンジ40が載置面6上に載置または取出される状況の他の例を模式的に示す図である。たとえば、
図10においては、目盛42aにおけるガスケット部44の先端面43と重なる目盛は7mlであり、この状態においては、バレル41の内部に薬液が7ml収容されている。本実施の形態では、シリンジ40は、ワンショット投与に利用することができる。より具体的には、ICUなどの集中治療において患者の急変に対処するために、急遽薬剤を投与する場合、医師は載置面6上からシリンジ40を取出し、シリンジ40を操作して患者に薬剤をワンショット投与する。このようなワンショット投与は用時投与であるから、投与量を電子カルテに230に確実に記録するために、本実施の形態では、医師はワンショット投与の前後でシリンジ40を載置面6上に置くことで、投与毎に、投与された薬剤情報153と重量差157、すなわち投与量とを紐付けて電子カルテ230に自動的に記録することができる。例えば、医師が
図9の載置面6上に載置されたシリンジ40を取出してワンショット投与を実施し、その後、シリンジ40を
図10のように載置面6上に載置すると、投与された薬剤情報153と重量差157、すなわち投与量とが、それぞれ、
図10のディスプレイ13とインジケータ15において表示されるとともに、投与の時刻151と薬剤情報153と重量差157(投与量)は紐付けられて、電子カルテ230に自動的に記録される。
【0060】
図9と
図10においてシリンジ40の先端面43の位置の変位によれば、ワンショット投与による投与量は3ml(10ml-7ml=3ml)となる。重量差157を用いた場合、投与量は(重量差157/比重155)に従い容量として算出することができる。なお、紐付け部64は、紐付けられる投与時刻として、載置面6上にシリンジ40が載置されたことが検出された第1時刻(投与前の
図8の時刻“T1”)と、当該シリンジ40が載置面6上から取り出された後であって載置面6上にシリンジ40が戻されて載置されたことが検出された第2時刻(投与後の
図8の時刻“T2”)のうちの、第2時刻の方を設定する。なお、紐付けられる投与時刻は、上記の第2時刻に限定されず、第1時刻であってもよい。
【0061】
(フローチャート)
図11は、本実施の形態1に係る処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ101は、載置/取出し検出部60として、載置面6上に対象(シリンジ40)が載置されたか否かを検出する(ステップS3)。対象は載置されていないと検出すると(ステップS3でNO)、ステップS3の処理を繰返す。
【0062】
対象が載置されたことが検出されると(ステップS3でYES)、載置/取出し検出部60からの検出値70が“載置”を示すことに応じて、書込/読出部61は、タイマ104からの時刻151、天秤I/F20からの重量値152および通信I/F19からの薬剤情報153とを関連付けたレコード156を生成しテーブル105に書込む(格納する)(ステップS5、S7、S11)。このとき、プロセッサ101は、薬剤情報153の薬剤ID154と重量値152を、それぞれ、ディスプレイ13とインジケータ15に表示する(ステップS9)。
【0063】
プロセッサ101は、照合部62として、テーブル105を検索する(ステップS13)。より具体的には、プロセッサ101は、ステップS7で取得された薬剤情報153の薬剤ID154を、ステップS5で計時された時刻151を遡る所定長さの期間に該当する時刻151を示す1つ以上のレコード156それぞれの薬剤ID154と照合する(ステップS13)。ステップS13の所定長さの期間は、例えば、ワンショット投与の所要時間に基づき決定された長さの時間であり、より特定的には、ワンショット投与前に載置面6上からシリンジ40が取出されてから、ワンショット投与後に当該シリンジ40が載置面6に戻されて載置されるまでの所要時間に相当する。
【0064】
照合の結果、プロセッサ101は、ステップS7においてシリンジ40のRFタグ300から読出された薬剤情報153の薬剤ID154と、照合一致する薬剤ID154を有した1つ以上のレコード156が検索されたか否かを判定する(ステップS15)。
【0065】
一致する薬剤ID154を有したレコード156は検索されなかったと判定されると(ステップS15でNO)、処理はステップS3に戻る。
【0066】
一方、一致する薬剤ID154を有した1つ以上のレコード156が検索されたと判定されると(ステップS15でYES)、プロセッサ101は、重量差検出部63として、重量差157を検出する(ステップS17、S19)。より具体的には、プロセッサ101は、ステップS13で検出された1つ以上のレコード156のうち、ステップS5の時刻151(例えば時刻“T2”)からみて直近の時刻151(例えば、
図10の時刻“T1”)を示す1つのレコード156を特定する(ステップS17)。
【0067】
プロセッサ101は、重量差検出部63として、時刻“T2”で測定された重量値152(ステップS3で測定された重量値152)と時刻“T1”で測定された重量値152(ステップS17で特定されたレコード156の重量値152)とから重量差157を取得する(ステップS19)。
【0068】
プロセッサ101は、紐付け部64として、ステップS13の検索によって照合一致した薬剤情報と、ステップS19で取得された重量差157と、時刻151(例えば、時刻“T2”)とを紐付けて紐付け情報72を出力する(ステップS21)。転送部65は、紐付け部64からの紐付け情報72を、電子カルテ230に記録するために、電子カルテサーバ2に転送する(ステップS23)。
【0069】
上記に述べた処理によれば、ワンショット投与毎に、ワンショット投与前後の重量差157に相当する投与量を、投与時刻(上記の時刻“T2”)と、薬剤情報153とを紐付けて、電子カルテ230に記録することができる。
【0070】
(電子カルテ230の一例)
図12は、本実施の形態に係る電子カルテの230の一例を模式的に示す図である。電子カルテ230では、患者を識別する患者ID毎に当該患者のカルテ情報232を有する。カルテ情報232は、管理情報233と、薬剤の投与の履歴を表す投与情報234と、例えば血圧および体温を含むバイタル情報235とを含む。
【0071】
管理情報233は、投与されたまたは投与される薬剤の薬剤情報と、投与したまたは投与する医師を識別するスタッフIDとを含む。
【0072】
投与情報234は、管理情報233が示す薬剤情報が示す薬剤が投与された時刻を示す1つ以上の時刻236と、各時刻236に関連付けて、重量差237、投与量238、および積算量239を含む。
【0073】
電子カルテサーバ2のCPU211は、情報処理装置1から紐付け情報72を受信する毎に、受信した紐付け情報72に基づく投与情報234を格納する。より具体的には、CPU21は、紐付け情報72が有する薬剤情報153(薬剤ID154と比重155)に一致する管理情報233を有するカルテ情報232に、受信した紐付け情報72が有する時刻151および重量差157を、それぞれ、時刻236および重量差237として記録するとともに、重量差237と当該薬剤の比重155とから投与量238を算出して記録し、さらに投与量238の積算量239を算出して記録する。積算量239は、当該紐付け情報72に基づく投与量238と、当該紐付け情報72よりも以前に受信されて記録された1つ以上の紐付け情報72に基づく投与量238の総和として算出されて記録される。バイタル情報235は、投与情報234の時刻236に同期して測定されたバイタル(血圧、体温等)を示す。
【0074】
これにより、患者のカルテ情報232において、ワンショット投与毎に、投与された薬剤に関連する情報(投与の薬剤ID154、投与の時刻236、当該時刻における投与量238および積算量239等)を電子カルテ230に自動的に記録することができる。
【0075】
実施の形態2.
上記に述べた実施の形態1では、薬剤の投与量238を、投与前後のシリンジ40の重量差237から取得している。対照的に、実施の形態2では、薬剤の投与量238を、投与前後においてシリンジ40を撮影した画像から収容された薬液の容量を導出することによる取得する。撮像のためのカメラ21aは、載置面6上に載置されたシリンジ40の全体を撮像視野内に配置することができるように取り付けられている。
【0076】
図13は、本実施の形態2に係る情報処理装置1aのハードウェア構成を模式的に示す図である。情報処理装置1aは、
図3の情報処理装置1の構成に追加して、カメラ21aを接続するカメラI/F20aを備える。カメラI/F20aは、制御部100からの撮像指令73に従って、カメラ21aに撮像動作を実施させる。カメラI/F20aは、撮像動作によってカメラ21aから出力された撮像画像を画像バッファ20cに格納し、画像バッファ20cに格納された撮像画像について輝度調整等の所定処理を実施して、撮像画像データ20bとして出力する。また、情報処理装置1aは、
図3に示したテーブル105に替えて、後述するテーブル105aを格納する。情報処理装置1aの構成の他の部分は、
図3に示したものと同様であるから、説明は繰り返さない。
【0077】
図14は、本実施の形態2に係るシリンジによる薬剤投与の情報を処理する機能構成の一例を模式的に示す図である。
図14の情報処理装置1aのプロセッサ101は、
図7に示した載置/取出し検出部60および重量差検出部63に替えて、載置/取出し検出部60aおよび投与量検出部63aを有するとともに、
図7の構成に追加して画像処理部66を有する。
図14の他の構成は、
図7に示されたものと同様であるから説明は繰り返さない。
【0078】
載置/取出し検出部60aは、天秤I/F20から出力された重量値152に基づき、載置/取出し検出部60と同様な方法で、載置面6上に対象(シリンジ40)が載置されたか否か、または載置面6上から対象が取出されたか否かを検出する。載置/取出し検出部60aが載置面6上に対象が載置されたことを検出したとき、プロセッサ101は撮像指令73を出力する。カメラI/F20aは、撮像指令73に従って、撮像動作するようカメラ21aを制御する。
【0079】
カメラI/F20aはカメラ21aからの撮像画像に基づく撮像画像データ20bを出力する。画像処理部66は、カメラI/F20aが出力する撮像画像データ20bから所定の特徴量を抽出し、抽出した特徴量を所定パターンとマッチングすることによって、撮像画像からシリンジ40内の液位の部分画像、すなわち目盛42aにおけるガスケット部44の先端面43の位置を示す部分画像を特定し、特定した部分画像の目盛42aにおける位置を容量値152aに換算し、換算された容量値152aを出力する。これにより、画像処理部66は、シリンジ40に収容されている薬剤(薬液)の容量を表す容量値152aを検出する。なお、液位の位置を容量値152aに換算する方法は、予め定められた演算式で換算する方法、またはテーブルルックアップを用いる方法等を適用できる。
【0080】
図15は、本実施の形態2に係るテーブル105aの内容の一例を模式的に示す図である。テーブル105aは、
図8のテーブル105の重量値152に替えて容量値152aを格納する。テーブル105aの他の情報は、
図8のテーブル105と同じであるから、説明は繰り返さない。書込/読出部61は、画像処理部66から出力される容量値152aを、時刻151およびICタグ300から読出された薬剤情報153と関連付けて有するレコード156を生成し、生成されたレコード156をテーブル105aに格納する。
【0081】
照合部62は、実施の形態1と同様な照合処理を実施することにより、照合の結果が一致を示す薬剤ID154を有するレコード156(例えば、
図15の太枠のレコード156)と特定し、特定したレコード156の容量値152aを読出し、投与量検出部63aに出力する。投与量検出部63aは、照合部62からの容量値152aと画像処理部66からの容量値152aとの差を算出し、算出された差を投与量238(単位:ml)として検出する。紐付け部64は、照合部62の照合結果71が“照合一致”を示すとき、通信I/F19から入力する薬剤情報153(すなわち、照合一致した薬剤情報153)と投与量検出部63aからの投与量238とを紐付けて、紐付け情報72aを生成し出力する。転送部65は、紐付け部64からの紐付け情報72aを、電子カルテ230に記録するために、ネットワークI/F110を介して電子カルテサーバ2に送転送(送信)する。
【0082】
図16は、本実施の形態2に係るシリンジ40が載置面6上に載置または取出される状況の一例を模式的に示す図である。
図16では、シールドケース3においてカメラ21aが、載置面6上に載置された対象(シリンジ40)の全体を撮像可能なように取り付けられている。なお、カメラ21aの取付位置は、対象(シリンジ40)の全体を撮像可能な位置であればよく、
図16に示される位置に限定されない。
【0083】
図17は、本実施の形態2に係る処理の一例を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、
図11の実施の形態1のフローチャートにステップS4aおよびS4bを追加するとともに、ステップS5とステップS19とステップS21に替えて、ステップS5aとステップS19aとステップS21aを有する。
図17の他のステップの処理は、
図11で示した処理と同様であるから簡単に説明する。
【0084】
プロセッサ101は、載置/取出し検出部60aとして、載置面6上に対象(シリンジ40)が載置されたことを検出すると(ステップS3でYES)撮像指令73を出力し、カメラ21aは撮像指令73に従い撮像する(ステップS4a)。画像処理部66は、カメラ21aから出力された撮像画像に基づく撮像画像データ20bを画像処理し、処理の結果に基づく容量値152aを出力する(ステップS4b)。
【0085】
対象が載置されたことが検出されると(ステップS3でYES)、載置/取出し検出部60からの検出値70が“載置”を示すことに応じて、書込/読出部61は、タイマ104からの時刻151、画像処理部66からの容量値152aおよび通信I/F19からの薬剤情報153とを関連付けたレコード156を生成しテーブル105aに書込む(格納する)(ステップS5a、S7、S11)。このとき、プロセッサ101は、薬剤情報153の薬剤ID154と容量値152aを、それぞれ、ディスプレイ13とインジケータ15に表示する(ステップS9)。
【0086】
プロセッサ101は、照合部62として、テーブル105aを検索する(ステップS13)。より具体的には、プロセッサ101は、ステップS7で取得された薬剤情報153の薬剤ID154を、ステップS5で計時された時刻151を遡る所定長さの期間に該当する時刻151を示す1つ以上のレコード156それぞれの薬剤ID154と照合する(ステップS13)。照合の結果、プロセッサ101は、ステップS7においてシリンジ40のRFタグ300から読出された薬剤情報153の薬剤ID154と、照合一致する薬剤ID154を有した1つ以上のレコード156aが検索されたか否かを判定する(ステップS15)。
【0087】
一致する薬剤ID154を有したレコード156aは検索されなかったと判定されると(ステップS15でNO)、処理はステップS3に戻る。
【0088】
一方、一致する薬剤ID154を有した1つ以上のレコード156aが検索されたと判定されると(ステップS15でYES)、プロセッサ101は、投与量検出部63aとして、投与量238を検出する(ステップS17、S19a)。より具体的には、プロセッサ101は、ステップS13で検出された1つ以上のレコード156のうち、ステップS5の時刻151(例えば
図15の時刻“T2”)からみて直近の時刻151(例えば、
図15の時刻“T1”)を示す1つのレコード156を特定する(ステップS17)。
【0089】
プロセッサ101は、投与量検出部63aとして、時刻“T2”で測定された容量値(ステップS3で測定された容量値152a)と時刻“T1”で測定された容量値(ステップS17で特定されたレコード156aの容量値152a)との差である投与量238を取得する(ステップS19a)。
【0090】
プロセッサ101は、紐付け部64として、ステップS13の検索によって照合一致した薬剤情報153と、ステップS19で取得された投与量238と、時刻151(例えば、時刻“T2”)を紐付けて、紐付け情報72aを生成し出力する(ステップS21a)。転送部65は、紐付け部64からの紐付け情報72aを、電子カルテ230に記録するために、電子カルテサーバ2に転送する(ステップS23)。
【0091】
上記に述べた処理によれば、ワンショット投与毎に、ワンショット投与前後の撮像画像から投与量238を取得でき、取得された投与量238を、投与の時刻236(上記の時刻“T2”)と、薬剤情報153とを紐付けて、電子カルテ230に記録することができる。電子カルテ230には、
図11に示すように、ワンショット投与毎の投与の時刻236、投与量238および積算量239が記録される。
【0092】
実施の形態2では、載置面6上に載置されるシリンジ40は、1つに限定されず複数個であってもよい。シリンジ40が有するタグ、例えばシリンジ40の表面に貼付けたタグまたはRFタグ300の表面には、薬剤ID154が印字されている。カメラ21aは、載置面6上に載置された複数のシリンジ40を撮像した場合、撮像画像データ20bには各シリンジ40が有するタグに印字された薬剤ID154の部分画像を含む。画像処理部66は、撮像画像データ20bについてパターンマッチング等の画像処理を実施することにより、部分画像が示す薬剤ID154を認識し、各シリンジ40について識別した薬剤ID154と容量値152aの組を出力する。書込/読出部61および照合部62は、画像処理部66から出力された各組について、すなわち各シリンジ40(各薬剤)について、上記に述べたテーブル105の検索と照合とを実施する。これにより、載置面6上に複数のシリンジ40が載置された場合であっても、各シリンジ40(認識された各薬剤ID154)について、投与量238を取得することができる。
【0093】
(RFタグ300の他の構成)
図18は、本実施の形態に係るRFタグ300の他の構成を模式的に示す図である。実施の形態1および2では、情報処理装置1(1a)は、シリンジ40毎(すなわち薬剤毎)の薬剤投与の履歴情報を、情報処理装置1(1a)が有する記憶部のテーブル105(105a)に格納したが、テーブル105または105aの格納先は情報処理装置1(1a)が有する記憶部に限定されない。例えば、テーブル105または105aは、
図18に示すようにRFタグ300のメモリ331に格納されてもよい。
図18では、説明のために、RFタグ300のメモリ331に、実施の形態1の重量値152を保持するテーブル105と、実施の形態2の容量値152aを保持するテーブル105aを格納した構成を示すが、実際は、メモリ331には、テーブル105およびテーブル105aの一方が格納され得る。
【0094】
薬剤投与の履歴情報をシリンジ40に設けられたRFタグ300のメモリ331に格納する場合、書込/読出部61は、時刻151と重量値152(または容量値152a)を関連付けてメモリ331に書込むためのライトコマンドを送信するようRFリーダライタ5を制御する。RFタグ300は、RFリーダライタ5から受信するライトコマンドにしたがって、受信した時刻151と重量値152(または容量値152a)を関連付けてメモリ331のテーブル105(105a)に格納する。また、書込/読出部61は、時刻151および重量値152(または容量値152a)を関連付けてメモリ331から読出すためのリードコマンドを送信するようRFリーダライタ5を制御する。RFタグ300は、RFリーダライタ5から受信するリードコマンドにしたがって、メモリ331のテーブル105(105a)から時刻151と重量値152(または容量値152a)を関連付け情報を有するレコード156(またはレコード156a)を読出し、RFリーダライタ5を介して情報処理装置1(1a)に転送する。これにより、情報処理装置1(1a)の照合部62は、RFタグ300のメモリ331のテーブル105(105a)に格納される情報を対象に照合処理を実施し、照合一致したとき、重量差検出部63および投与量検出部63aはそれぞれ重量差157および投与量238を検出する。
【0095】
本実施の形態では、シリンジ40毎(薬剤毎)の投与の履歴情報のテーブル105(105a)を情報処理装置1(1a)側で保持する構成、またはシリンジ40が有するRFタグ300側で保持する構成のいずれも採用可能である。
【0096】
上記の実施の形態では、載置/取出し検出部60は、シリンジ40の載置または取出しを検出するために電子天秤21の出力を用いたが、検出に用いるデバイスは電子天秤21に限定されない。例えば、近接スイッチによって載置面6上の対象(シリンジ40)の有無を検出する方法であってもよい。または、カメラ21aからの撮像画像をフレーム単位で処理することにより画像の動き、すなわち撮像視野内の対象(シリンジ40)の動き(動きの移動量(方向、距離)等)を検出し、検出結果に基づき対象の載置または取出しを検出するようにしてもよい。
【0097】
本実施の形態では、医師はシリンジ40内の薬剤の全部を投与した結果、シリンジ40が空になった場合でも、当該投与の後はシリンジ40を載置面6上に載置する。本実施の形態では、プロセッサ101は、照合部62として、テーブル105(テーブル105a)をステップS5で計時された時刻151を遡る所定長さの期間に該当する時刻151を示す1つ以上のレコード156それぞれの薬剤ID154と照合する(ステップS13)。本実施の形態では、この所定長さの期間は、例えば、ワンショット投与の所要時間に基づき決定された長さの時間として設定されるから、プロセッサ101は、載置が検出された時刻151から直後に載置が検出されるまでの経過時間を計測し、経過時間と所定長さの期間とを比較し、比較の結果、計測中に経過時間が所定長さの期間を超えたと判定したとき(すなわち、所定長さの期間を超えても直後の載置が検出されなかったときは)、アラームを出力する。アラーム出力は、シリンジ40の載置を促すアラーム音のスピーカ17を介した出力、または、載置が検出されなかったシリンジ40の薬剤ID154のディスプレイ13を介した表示等を含む。アラーム出力により、医師は、ワンショット投与後は、たとえ薬剤の全部を投与した結果、シリンジ40が空になった場合でも、載置面6上に載置することが促される。したがって、情報処理装置1(1a)は、確実にワンショット投与毎の投与量の情報を取得でき、患者に投与された薬剤に関連する情報の精度を担保でき、電子カルテ230に記録される情報の精度を維持できる。
【0098】
情報処理装置1および情報処理装置1aは、それぞれ、
図7および
図14に示された各部が提供する機能を、プロセッサ101が記憶部(メモリ102、HDD24、メモリカード23等)に格納されたプログラムを実行することにより実現するが、提供されるこれら機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(application specific integrated circuit)またはFPGA(field-programmable gate array)等)を用いて実装してもよい。また、これらプログラムは、ネットワーク9を介して情報処理装置1(1a)に転送されて記憶部に格納されてもよく、またはメモリカード23から読出されたプログラムが情報処理装置1(1a)の記憶部(メモリ102、HDD24等)に格納されてもよい。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1,1a 情報処理装置、2 電子カルテサーバ、3 シールドケース、5 RFリーダライタ、6 載置面、13 ディスプレイ、15 インジケータ、17 スピーカ、20 天秤I/F、20b 撮像画像データ、21 荷重センサ、21a カメラ、40 シリンジ、41 バレル、42 収容部、42a 目盛、43 先端面、44 ガスケット部、45 フランジ、46 開口、49 プランジャ、49a 薬液出入口、60,60a 取出し検出部、61 書込/読出部、62 照合部、63 重量差検出部、63a 投与量検出部、64 紐付け部、65 転送部、66 画像処理部、70 検出値、71 照合結果、72,72a 紐付け情報、73 撮像指令、100 制御部、105,105a テーブル、151,236 時刻、152 荷重値、152a 容量値、153 薬剤情報、154 薬剤ID、155 比重、156,156a レコード、157 重量差、230 電子カルテ、232 カルテ情報、233 管理情報、234 投与情報、235 バイタル情報、237 投与量、239 積算量、300 RFタグ、1000 管理システム。